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特許7199003搬送装置、受信機能付き搬送装置、搬送システム、上位システム、搬送装置の制御方法、及びプログラム
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  • 特許-搬送装置、受信機能付き搬送装置、搬送システム、上位システム、搬送装置の制御方法、及びプログラム 図1
  • 特許-搬送装置、受信機能付き搬送装置、搬送システム、上位システム、搬送装置の制御方法、及びプログラム 図2
  • 特許-搬送装置、受信機能付き搬送装置、搬送システム、上位システム、搬送装置の制御方法、及びプログラム 図3
  • 特許-搬送装置、受信機能付き搬送装置、搬送システム、上位システム、搬送装置の制御方法、及びプログラム 図4
  • 特許-搬送装置、受信機能付き搬送装置、搬送システム、上位システム、搬送装置の制御方法、及びプログラム 図5
  • 特許-搬送装置、受信機能付き搬送装置、搬送システム、上位システム、搬送装置の制御方法、及びプログラム 図6
  • 特許-搬送装置、受信機能付き搬送装置、搬送システム、上位システム、搬送装置の制御方法、及びプログラム 図7
  • 特許-搬送装置、受信機能付き搬送装置、搬送システム、上位システム、搬送装置の制御方法、及びプログラム 図8
  • 特許-搬送装置、受信機能付き搬送装置、搬送システム、上位システム、搬送装置の制御方法、及びプログラム 図9
  • 特許-搬送装置、受信機能付き搬送装置、搬送システム、上位システム、搬送装置の制御方法、及びプログラム 図10
  • 特許-搬送装置、受信機能付き搬送装置、搬送システム、上位システム、搬送装置の制御方法、及びプログラム 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】搬送装置、受信機能付き搬送装置、搬送システム、上位システム、搬送装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20221223BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20221223BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
G05D1/02 P
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018017488
(22)【出願日】2018-02-02
(65)【公開番号】P2019131392
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-12-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井川 喜博
(72)【発明者】
【氏名】白水 博
(72)【発明者】
【氏名】水野 修
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-225614(JP,A)
【文献】特開平07-168623(JP,A)
【文献】特開2016-052919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律移動可能であって、搬送物を保持する保持機構を有する本体部と、
前記本体部に設けられて、前記本体部の周囲の状況を検知するセンサと、
前記センサで検知した検知情報を、他の搬送装置の動作を管理する管理装置へ出力する出力部と、を備え、
前記センサは、前記他の搬送装置の状態を検知対象とし、
前記他の搬送装置の状態は、前記他の搬送装置の異常の有無を含む、
搬送装置。
【請求項2】
前記他の搬送装置の状態は、前記他の搬送装置の車体部、車輪、前記センサ及び前記他の搬送装置が搬送している搬送物の状態のうちの少なくとも一つの異常の有無を含む、
請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記センサは、前記搬送装置の前記車輪の各々の温度を計測可能であり、
前記他の搬送装置の状態における異常は、少なくとも一つの前記車輪の温度が閾値温度よりも高いときに前記異常であると判定される、
請求項2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記センサは、前記搬送装置の前記車輪から発生する音量を計測可能であり、
前記他の搬送装置の状態における異常は、少なくとも一つの前記車輪から発生する音量が閾値音量よりも高いときに前記異常であると判定される、
請求項2又は3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記センサは、前記搬送装置及び前記他の搬送装置の少なくとも一方の移動経路の状態を検知対象とする、
請求項1~4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記管理装置は、前記他の搬送装置の動作に関する動作情報を前記他の搬送装置へ出力するように構成され、
前記動作情報は、少なくとも前記他の搬送装置の移動経路に関する情報を含む、
請求項5記載の搬送装置。
【請求項7】
前記管理装置で管理されている他の搬送装置が検知して出力した検知情報に基づく動作情報を、前記管理装置から受信する受信部を更に備え、
前記受信部で受信した前記動作情報に基づいて動作する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項8】
自律移動可能であって、搬送物を保持する保持機構を有する本体部と、
請求項1~7のいずれか1項に記載の搬送装置が出力する前記検知情報に基づく動作情報を前記管理装置から受信する受信部と、を備え、
前記受信部で受信した前記動作情報に基づいて動作する、
受信機能付き搬送装置。
【請求項9】
搬送装置を複数備え、
前記複数の搬送装置は、請求項1~7のいずれか1項に記載の搬送装置と、請求項8記載の受信機能付き搬送装置と、を含む、
搬送システム。
【請求項10】
請求項9記載の搬送システムに用いられる前記管理装置であって、
前記複数の搬送装置の各々の動作を管理する、
上位システム。
【請求項11】
自律移動可能であって、搬送物を保持する保持機構を有する本体部と、
前記本体部に設けられて、前記本体部の周囲の状態を検知するセンサと、を備え
前記センサで検知した検知情報を、他の搬送装置の動作を管理する管理装置へ出力させる搬送装置の制御方法であって、
前記センサは、前記他の搬送装置の状態を検知対象とし、
前記他の搬送装置の状態は、前記他の搬送装置の異常の有無を含む、
搬送装置の制御方法。
【請求項12】
自律移動可能であって、搬送物を保持する保持機構を有する本体部と、
前記本体部に設けられて、前記本体部の周囲の状態を検知するセンサと、を備え
搬送装置を制御するため、コンピュータシステムに、前記センサで検知した検知情報を、他の搬送装置の動作を管理する管理装置へ出力する出力処理を実行させるためのプログラムであって、
前記センサは、前記他の搬送装置の状態を検知対象とし、
前記他の搬送装置の状態は、前記他の搬送装置の異常の有無を含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に搬送装置、受信機能付き搬送装置、搬送システム、上位システム、搬送装置の制御方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、空間内を移動する搬送装置、受信機能付き搬送装置、搬送システム、上位システム、搬送装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、経路データに従って走行エリア内を移動する無人搬送車(搬送装置)が開示されている。この無人搬送車は、荷(搬送物)を積んで移動したり、荷を卸したりする。また、この無人搬送車は、走行中において前方に障害物を検知すると、その障害物を回避して走行する機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-53838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の無人搬送車では、例えば障害物の検知結果、つまり無人搬送車が検知した情報は、情報を取得した無人搬送車の走行のためには活用されるが、他の無人搬送車では活用されない、という問題があった。
【0005】
本開示は、上記の点に鑑みてなされており、検知した情報を他の搬送装置にて活用することのできる搬送装置、受信機能付き搬送装置、搬送システム、上位システム、搬送装置の制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る搬送装置は、本体部と、センサと、出力部と、を備える。前記本体部は、自律移動可能であって、搬送物を保持する保持機構を有する。前記センサは、前記本体部に設けられて、前記本体部の周囲の状況を検知する。前記出力部は、前記センサで検知した検知情報を、前記他の搬送装置の動作を管理する管理装置へ出力する。前記センサは、前記他の搬送装置の状態を検知対象とする。前記他の搬送装置の状態は、前記他の搬送装置の異常の有無を含む。
【0007】
本開示の一態様に係る受信機能付き搬送装置は、本体部と、受信部と、を備える。前記本体部は、自律移動可能であって、搬送物を保持する保持機構を有する。前記受信部は、上記の搬送装置が出力する前記検知情報に基づく前記動作情報を前記管理装置から受信する。前記受信機能付き搬送装置は、前記受信部で受信した前記動作情報に基づいて動作する。
【0008】
本開示の一態様に係る搬送システムは、搬送装置を複数備える。前記複数の搬送装置は、上記の搬送装置と、上記の受信機能付き搬送装置と、を含む。
【0009】
本開示の一態様に係る上位システムは、上記の搬送システムに用いられる前記管理装置であって、前記複数の搬送装置の各々の動作を管理する。
【0010】
本開示の一態様に係る搬送装置の制御方法は、本体部と、センサと、を備える搬送装置の制御方法である。前記本体部は、自律移動可能であって、搬送物を保持する保持機構を有する。前記センサは、前記本体部に設けられて、前記本体部の周囲の状態を検知する。前記搬送装置の制御方法は、前記センサで検知した検知情報を、前記他の搬送装置の動作を管理する管理装置へ出力させる。
【0011】
本開示の一態様に係るプログラムは、本体部と、センサと、を備える搬送装置を制御するためのプログラムである。前記本体部は、自律移動可能であって、搬送物を保持する保持機構を有する。前記センサは、前記本体部に設けられて、前記本体部の周囲の状態を検知する。前記プログラムは、コンピュータシステムに、前記センサで検知した検知情報を、前記他の搬送装置の動作を管理する管理装置へ出力する出力処理を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本開示は、検知した情報を他の搬送装置にて活用することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る搬送装置を含む搬送システムのブロック図である。
図2図2は、同上の搬送装置の外観を示す斜視図である。
図3図3は、同上の搬送システムの動作を説明するタイムチャートである。
図4図4Aは、同上の搬送装置の車輪の正常な状態を示す概略図である。図4Bは、同上の搬送装置の車輪の異常な状態を示す概略図である。図4Cは、同上の搬送装置の本体部の異常な状態を示す概略図である。
図5図5Aは、同上の搬送装置が搬送するロールボックスパレットの異常な状態を示す概略図である。図5Bは、同上の搬送装置が搬送する平パレットの異常な状態を示す概略図である。
図6図6は、同上の搬送システムの第1動作例での状況を示す概略図である。
図7図7は、同上の搬送システムの第1動作例での動作を説明するタイムチャートである。
図8図8は、同上の搬送システムの第2動作例での状況を示す概略図である。
図9図9は、同上の搬送システムの第2動作例での動作を説明するタイムチャートである。
図10図10は、同上の搬送システムの第3動作例での状況を示す概略図である。
図11図11は、同上の搬送システムの第3動作例での動作を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)概要
本実施形態に係る搬送装置1は、図2に示すように、複数の車輪23で移動面200の上を走行する装置であり、搬送物X1(図5A及び図5B参照)の搬送用の装置である。搬送装置1は、例えば物流センター(配送センターを含む)、工場、オフィス、店舗、学校、及び病院等の施設に導入される。移動面200は、その上を搬送装置1が移動する面であり、搬送装置1が施設内を移動する場合は施設の床面等が移動面200となり、搬送装置1が屋外を移動する場合は地面等が移動面200となる。以下では、物流センターに搬送装置1を導入する場合について説明する。
【0015】
搬送装置1は、図1及び図2に示すように、本体部2と、センサ31と、通信部(出力部)32と、を備えている。
【0016】
本体部2は、自律移動可能であって、搬送物X1を保持する保持機構(リフトアップ機構)33を有している。つまり、搬送装置1は、保持機構33にて搬送物X1を保持した状態で自律移動することが可能である。
【0017】
センサ31は、本体部2に設けられて、本体部2の周囲の状況を検知する。本開示でいう「本体部2の周囲」とは、センサ31で検知可能な範囲に相当する。つまり、「本体部2の周囲」が示す範囲は、センサ31の性能に依存する。すなわち、本体部2を中心とする全方位が「本体部2の周囲」である場合もあれば、本体部2を頂点とする所定角度の領域が「本体部2の周囲」である場合もある。
【0018】
通信部(出力部)32は、センサ31で検知した検知情報を、他の搬送装置10の動作を管理する管理装置101へ出力する。本実施形態では、通信部32は、管理装置101である上位システム4(後述する)へ検知情報を出力する。また、本実施形態では、管理装置101は、搬送装置1から取得した検知情報に基づく動作情報を、他の搬送装置10へ出力する。つまり、検知情報は、検知情報を取得した搬送装置1だけで用いられるのではなく、検知情報を取得した搬送装置1とは異なる他の搬送装置10にて間接的に用いられることになる。
【0019】
上述のように、本実施形態では、搬送装置1が取得した検知情報は、他の搬送装置10の動作を管理する管理装置101へ出力される。そして、管理装置101が、取得した検知情報に基づいて他の搬送装置10の動作を管理することにより、他の搬送装置10は、間接的に検知情報を活用することができる。つまり、本実施形態では、検知した情報(検知情報)を他の搬送装置10にて活用することができる、という利点がある。
【0020】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る搬送装置1、受信機能付き搬送装置11、搬送システム100、及び上位システム4について図1及び図2を用いて詳細に説明する。以下では、特に断りのない限り、移動面200に直交する方向を上下方向とし、移動面200から見て搬送装置1側を「上方」、その逆を「下方」として説明する。また、以下では、搬送装置1の前進時において搬送装置1が進む向きを「前方」、その逆を「後方」として説明する。また、以下では、上下方向及び前後方向の両方向に直交する方向を左右方向として説明する。ただし、これらの方向の規定は、搬送装置1の使用態様を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0021】
搬送システム100は、複数の搬送装置A1を備えている。そして、複数の搬送装置A1は、搬送装置1と、受信機能付き搬送装置11と、を含んでいる。本開示でいう「受信機能付き搬送装置」は、本体部2を備え、搬送装置1が出力する検知情報に基づく動作情報を受信し、受信した動作情報に基づいて動作する装置である。言い換えれば、「受信機能付き搬送装置」は、動作情報を受信する機能を有する搬送装置A1である。本実施形態では、複数の搬送装置A1は、いずれも搬送装置1であり、受信機能付き搬送装置11でもある。以下では、特に断りのない限り、任意の1台の搬送装置A1に着目したとき、この搬送装置A1を「搬送装置1」といい、残りの全ての搬送装置A1の各々を「他の搬送装置10」という。
【0022】
搬送装置1は、上述したように、本体部2と、センサ31と、通信部(出力部及び受信部)32と、を備えている。また、本実施形態では、搬送装置1は、リフトアップ機構33と、駆動部34と、制御部35と、検知部36と、位置検知部37と、を更に備えている。本実施形態では、リフトアップ機構33、駆動部34、制御部35、検知部36、及び位置検知部37は、いずれも本体部2に搭載されている。
【0023】
搬送装置1は、例えば、施設の床面等からなる平坦な移動面200を自律走行する。ここでは一例として、搬送装置1は、蓄電池を備え、蓄電池に蓄積された電気エネルギを用いて動作することとする。本実施形態では、搬送装置1は、本体部2に搬送物X1を積載した状態で移動面200上を走行する。これにより、搬送装置1は、例えば、施設内のある場所に置かれている搬送物X1を、施設内の別の場所に搬送することが可能である。
【0024】
本実施形態では、搬送物X1は、パレットX11、又は荷物X12が載せられたパレットX11である(図5A及び図5B参照)。パレットX11は、例えばロールボックスパレット(コールドロールボックスパレットを含む)又は平パレットである。以下では、パレットX11は、特に断りのない限り、ロールボックスパレットである。
【0025】
本体部2は、左右方向よりも前後方向に長く、かつ左右方向及び前後方向よりも上下方向の寸法が小さい直方体状である。詳しくは後述するが、本実施形態では、本体部2が搬送物X1の下方に潜り込んで搬送物X1を持ち上げるようにして、搬送物X1が本体部2に積載される。そのため、本体部2が搬送物X1の下方に生じる隙間に収まるように、本体部2の上下方向の寸法は、本体部2の左右方向の寸法に比べても十分に小さく設定されている。
【0026】
本体部2は、車体部21と、昇降板22と、を有している。本実施形態では、本体部2は金属製である。ただし、本体部2は、金属製に限らず、例えば、樹脂製であってもよい。
【0027】
車体部21は、複数(ここでは、4つ)の車輪23により移動面200上に支持される。複数の車輪23は、平面視において車体部21の四隅に配置されている。複数の車輪23の各々は、駆動部34からの駆動力を受けて個別に回転可能である。各車輪23は、左右方向に延びる回転軸を中心に回転可能な状態で、本体部2(車体部21)に保持されている。
【0028】
本実施形態では、複数の車輪23の全てが、駆動部34によって駆動される駆動輪である。これら複数の車輪23が個別に駆動されることにより、本体部2は全方向に移動可能となる。つまり、複数の車輪23にて支持された本体部2は、複数の車輪23の各々の回転により、移動面200の上を、前、後、左及び右の全方位に移動可能である。複数の車輪23の各々は、例えば、オムニホイール等の全方向移動型車輪であってもよい。
【0029】
昇降板22は、車体部21の上面の少なくとも一部を覆うように、車体部21の上方に配置されている。本実施形態では、昇降板22は、車体部21の上面の四隅をそれぞれ覆うように設けられている。昇降板22の上面は、搬送装置1にて搬送物X1を搬送する際には、搬送物X1が積載される積載面24となる。本実施形態では、積載面24は、四隅が、四隅以外の部位(中央部等)より僅かに高くなっている。さらに、積載面24の四隅は、例えば、滑り止め加工が施されることにより、積載面24における四隅以外の部位に比べて大きな摩擦係数を有する。そのため、積載面24に積載された搬送物X1が、積載面24に対して滑りにくくなる。
【0030】
ここで、昇降板22は、リフトアップ機構33にて車体部21に対して昇降可能である。このため、本体部が搬送物X1の下方に潜り込んだ状態で、昇降板22が上昇することにより、昇降板22にて搬送物X1が持ち上げられる。反対に、昇降板22にて搬送物X1を持ち上げた状態で、昇降板22が下降することにより、昇降板22から搬送物X1が降ろされる。
【0031】
センサ31は、RGBカメラと、赤外線カメラと、を有している。RGBカメラは、本体部2の周囲を撮像することで、RGB画像を取得する。本実施形態では、RGBカメラは、搬送装置1の走行中に連続して複数の画像を撮像することにより、撮像した複数の画像に基づいて奥行き(Depth)情報を取得している。つまり、本実施形態では、RGBカメラは、本体部2の周囲を撮像することで、RGB-D画像を取得している。赤外線カメラは、本体部2の周囲を撮像することで、熱画像を取得する。センサ31が取得したRGB-D画像及び熱画像は、検知情報として、通信部32を介して管理装置101(ここでは、上位システム4)へ出力される。本実施形態では、センサ31は、搬送装置1の走行中においては常時動作することで、検知情報を定期的に取得する。
【0032】
センサ31の検知対象は、搬送装置1の周囲の状況に応じて変わる。例えば、搬送装置1の周囲に他の搬送装置10が存在する場合、センサ31は、他の搬送装置10の状態を検知対象とすることになる。ここで、センサ31にて検知する他の搬送装置10の状態は、他の搬送装置10の異常の有無(例えば、他の搬送装置10を構成する部品等が正常な状態にあるか、又は正常に動作しているかどうか等)を含んでいる。また、他の搬送装置10が搬送物X1を搬送している場合、センサ31にて検知する他の搬送装置10の状態は、他の搬送装置10が搬送している搬送物X1の状態を含んでいる。また、センサ31は、走行中の搬送装置1の移動経路の状態の他、他の搬送装置10が走行している、又は走行する予定の移動経路の状態を検知対象とする場合もある。つまり、センサ31は、搬送装置1及び他の搬送装置10の少なくとも一方の移動経路の状態を検知対象とする場合もある。
【0033】
本実施形態では、搬送装置1は、4つのセンサブロック311を備えている(図2参照)。そして、各センサブロック311が上述のRGBカメラと赤外線カメラとを有している。4つのセンサブロック311のうち2つのセンサブロック311は、本体部2の前端部に設けられており、残りの2つのセンサブロック311は、本体部2の後端部に設けられている。本体部2の前端部に設けられた2つのセンサブロック311は、移動面200と平行な平面において、本体部2の前端部を中心とする半円形状の範囲を撮像する。本体部2の後端部に設けられた2つのセンサブロック311は、移動面200と平行な平面において、本体部2の後端部を中心とする半円形状の範囲を撮像する。
【0034】
通信部32は、例えばWi-Fi(登録商標)等の通信方式で無線通信を行う通信モジュールを備えている。また、通信部32は、例えば無線局の免許が不要な通信方式で無線通信を行う通信モジュールを備えていてもよい。この種の通信方式としては、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、特定小電力無線等の規格に準拠した通信方式がある。本実施形態では、通信部32は、上位システム4と通信する通信機能を有している。そして、通信部32は、センサ31で検知した検知情報を管理装置101である上位システム4へ送信する。つまり、通信部32は、センサ31で検知した検知情報を管理装置101へ出力する出力部に相当する。また、通信部32は、上位システム4が出力する動作情報(後述する)を受信する。つまり、通信部32は、動作情報を管理装置101から受信する受信部にも相当する。
【0035】
リフトアップ機構33は、積載面24を上昇させることにより搬送物X1を持ち上げる機構である。言い換えれば、リフトアップ機構33は、搬送物X1を持ち上げることにより、搬送物X1を保持する保持機構である。ここでは、積載面24は昇降板22の上面であるので、リフトアップ機構33は、昇降板22を車体部21に対して相対的に上下方向に移動させることにより、積載面24を上昇又は下降させる。リフトアップ機構33は、昇降板22の可動域の下限位置と上限位置との間で、昇降板22を移動させる。リフトアップ機構33は、車体部21と昇降板22との間に収まるように、本体部2に内蔵されている。
【0036】
これにより、搬送装置1は、昇降板22が可動域の下限位置にある状態で、本体部2を搬送物X1の下方に潜り込ませることが可能である。そして、本体部2を搬送物X1の下方に潜り込ませた状態で、リフトアップ機構33が昇降板22を可動域の上限位置まで上昇させることにより、昇降板22にて搬送物X1を持ち上げることができる。昇降板22の可動域は、一定値(固定値)であってもよいし、可変値であってもよい。リフトアップ機構33は、例えば、電動機(モータ)を含み、パンタグラフ式やラックピニオン式等、電動機で発生する駆動力にて、昇降板22を上下方向に直進移動させることが可能な適宜の機構で実現される。
【0037】
駆動部34は、複数の車輪23のうちの少なくとも一部である駆動輪に対して、直接的又は間接的に駆動力を与える。本実施形態では、上述したように複数の車輪23の全てが駆動輪であるので、駆動部34は、複数の車輪23の全てに対して駆動力を与える。駆動部34は、車体部21に内蔵されている。駆動部34は、例えば、電動機(モータ)を含み、ギアボックス及びベルト等を介して、電動機で発生する駆動力を間接的に各車輪23に与える。また、駆動部34は、インホイールモータのように、各車輪23に対して直接的に駆動力を与える構成であってもよい。駆動部34は、制御部35から入力される制御信号に基づいて、複数の車輪23の各々を制御信号に応じた回転方向及び回転速度で駆動する。
【0038】
制御部35は、センサ31、通信部32、リフトアップ機構33、駆動部34、及び検知部36を制御する。本実施形態では、制御部35は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、制御部35の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0039】
検知部36は、本体部2の挙動、及び本体部2の周辺状況等を検知する。本開示でいう「挙動」は、動作及び様子等を意味する。つまり、本体部2の挙動は、本体部2が走行中/停止中を表す本体部2の動作状態、本体部2の速度(及び速度変化)、本体部2に作用する加速度、及び本体部2の姿勢等を含む。具体的には、検知部36は、例えば、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ等のセンサを含み、これらのセンサにて本体部2の挙動を検知する。また、検知部36は、例えば、ソナーセンサ、レーダ、及びLiDAR(Light Detection and Ranging)等のセンサを含み、これらのセンサにて本体部2の周辺状況を検知する。
【0040】
位置検知部37は、本体部2の位置を測定する。位置検知部37は、例えば、複数の発信器から電波で送信されるビーコン信号を受信する受信部を備える。複数の発信器は、搬送装置1が移動する範囲内の複数箇所に配置されている。位置検知部37は、複数の発信器の位置と、複数の発信器から送信されるビーコン信号の受信電波強度とに基づいて、本体部2の位置を測定する。なお、位置検知部37は、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを用いて、本体部2の位置を特定してもよい。
【0041】
また、搬送装置1は、上記以外の構成、例えば、蓄電池の充電回路等を適宜備えている。
【0042】
上位システム4は、搬送システム100に用いられる管理装置101であって、搬送システム100に含まれる複数の搬送装置A1(ここでは、複数の搬送装置1)の各々の動作を管理する。本実施形態では、上位システム4は、例えばサーバであって、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、上位システム4の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0043】
上位システム4は、複数の搬送装置1の各々が出力する検知情報を取得する。そして、上位システム4は、複数の搬送装置1の各々について、取得した検知情報を処理する。本実施形態では、上位システム4は、検知情報に含まれる画像(RGB-D画像及び熱画像)に対して、例えばディープラーニングを用いた画像セグメンテーション(Semantic Segmentation)を実行する。なお、画像セグメンテーションにてディープラーニングを用いるか否かは任意である。これにより、上位システム4は、検知情報に含まれる画像に表れる検知対象の状態を、ピクセルごとに認識することが可能である。例えば、上位システム4は、画像セグメンテーションにより、検知情報に含まれる画像のピクセルごとに、ピクセルが背景を表しているのか、人を表しているのか、搬送装置1を表しているのか等を認識することが可能である。また、上位システム4は、画像セグメンテーションにより、検知情報に含まれる画像のピクセルごとに、ピクセルが表す物体(人を含む)の温度を認識することが可能である。
【0044】
上位システム4は、画像セグメンテーションによる認識の結果に基づいて、検知対象の状態に異常があるか否かを判定する判定処理を実行する。例えば、上位システム4は、判定処理にて、画像セグメンテーションの実行後の画像と、正常画像とを比較することにより、検知対象の状態に異常があるか否かを判定することが可能である。ここで、「正常画像」は、例えば任意の検知対象(例えば、搬送装置1又は搬送物X1等)を表す画像であって、正常画像には、この検知対象が正常な場合の1以上の特徴量が記述されている。正常画像は、例えば判定器にて予め機械学習により生成してもよい。この場合、上位システム4は、この判定器を用いることで、上記の判定を実行することが可能である。また、上位システム4自体が機械学習することにより、正常画像を生成し、生成した正常画像を用いて上記の判定を実行してもよい。
【0045】
例えば、上位システム4は、判定処理にて、画像セグメンテーションの実行後の画像における通路を表す画像に、搬送物X1を表す画像が含まれている場合、検知対象(ここでは、通路)の一部に異常があると判定することが可能である。また、例えば、上位システム4は、判定処理にて、画像セグメンテーションの実行後の画像における一部の温度が、対応する正常画像の一部の温度を上回る場合、検知対象の一部に異常があると判定することが可能である。上位システム4による具体的な判定例については、後述する「(3.2)搬送システムでの搬送装置の基本動作」にて詳細に説明する。そして、上位システム4(管理装置101)は、判定結果に応じて、他の搬送装置10の動作に関する動作情報を他の搬送装置10へ出力するように構成されている。これにより、上位システム4は、他の搬送装置10の動作を維持したり、変更したりする等して、他の搬送装置10の動作を管理する。上位システム4による具体的な管理方法については、後述する「(3.3.1)第1動作例」、「(3.3.2)第2動作例」、及び「(3.3.3)第3動作例」にて詳細に説明する。
【0046】
また、本実施形態では、上位システム4は、複数の搬送装置1の他に、搬送システム100の管理者が所有する管理者端末5(図7参照)との間でも無線通信が可能である。管理者端末5は、例えば、携帯端末、パーソナルコンピュータ等である。上位システム4は、例えば検知情報に基づいて複数の搬送装置1のうちの1以上の搬送装置1に異常が発生したと判定すると、異常が発生した旨を管理者端末5に通知する。
【0047】
(3)動作
以下、本実施形態に係る搬送装置1及び搬送システム100の動作について説明する。
【0048】
(3.1)搬送装置の基本動作
まず、搬送装置1の基本動作について説明する。搬送装置1は、定常時には、制御部35にて駆動部34を制御することで1以上の車輪23を駆動し、移動面200を自律走行する。このとき、搬送装置1は、メモリ(例えば、制御部35のメモリ)に記憶してある電子地図に従って、移動面200を自律走行する。電子地図には、搬送装置1の移動経路、及び搬送装置1の搬送対象である搬送物X1の位置が記録されている。電子地図は、例えば上位システム4にて更新された電子地図を通信部32にて受信することで、更新可能である。また、電子地図は、例えば上位システム4からの搬送指令を通信部32にて受信することで、搬送装置1が搬送指令に基づいて更新してもよい。また、搬送装置1は、走行中において、本体部2の周辺状況等を検知部36にて検知する。そして、搬送装置1は、例えば検知部36にて走行の妨げとなる障害物を検知した場合、移動経路を逸脱しない範囲内で障害物を避けるように自律走行する。
【0049】
また、搬送装置1は、搬送指令を受けている場合、搬送対象である搬送物X1の位置まで到達すると、搬送物X1を積載する。具体的には、搬送装置1は、まず昇降板22が可動域の下限位置にある状態で、本体部2を搬送物X1の下方に潜り込ませる。この状態で、リフトアップ機構33が昇降板22を可動域の上限位置まで上昇させることにより、昇降板22の上面(積載面24)にて搬送物X1を持ち上げる。これにより、本体部2の積載面24に搬送物X1を積載することが可能である。
【0050】
(3.2)搬送システムでの搬送装置の基本動作
次に、搬送システム100での搬送装置1の基本動作について図3を用いて説明する。以下では、搬送システム100に含まれる複数の搬送装置1のうちの1台の搬送装置1に着目して、搬送システム100の基本動作について説明する。以下に説明する搬送装置1の動作は、複数の搬送装置1の各々が実行する。
【0051】
搬送装置1は、走行中において、センサ31により本体部2の周囲を検知(撮像)することで、検知情報(RGB-D画像及び熱画像)を定期的に取得する(S1)。そして、搬送装置1は、取得した検知情報を、通信部32を介して管理装置101(ここでは、上位システム4)へ出力(送信)する(S2)。
【0052】
管理装置101は、取得した検知情報に基づいて画像セグメンテーションを実行することにより、搬送装置1の検知対象の状態に異常があるか否かを判定する判定処理を実行する(S3)。ここで、搬送装置1の検知対象は、例えば他の搬送装置10の状態(他の搬送装置10の移動経路、及び他の搬送装置10が搬送している搬送物X1を含む)、移動面200上にある搬送物X1、棚などの設置物、及び壁などがある。以下、判定処理の具体例について図4A図5Bを用いて説明する。図4A図5Bにおいてドットで示す領域は、温度が正常時よりも上昇している箇所を表している。
【0053】
検知対象が他の搬送装置10の場合、上位システム4は、例えば他の搬送装置10の車体部21、車輪23、及びセンサ31等に異常があるか否かを画像セグメンテーション及び判定処理により判定することが可能である。例えば、他の搬送装置10の車輪23のタイヤが弾性変形を繰り返すことによる微小な温度変動が正常であるとする。この場合、図4Aに示すように、他の搬送装置10の走行中にタイヤの一部の温度が正常時よりも上昇していれば、上位システム4は、車輪23が一部変形していたり、欠損していたりしている可能性があるとして、車輪23に異常があると判定する。また、例えば図4Bに示すように、他の搬送装置10の走行中に車輪23のストッパ231の温度が正常時よりも上昇していれば、上位システム4は、ストッパによりロックされている状態で走行している可能性があるとして、車輪23に異常があると判定する。また、例えば図4Cに示すように、他の搬送装置10の一部の温度が正常時よりも上昇していれば、他の搬送装置10のモータが過負荷により発熱していたり、車体部21の一部の劣化による応力集中が発生していたりする可能性がある。この場合、上位システム4は、車体部21に異常があると判定する。
【0054】
検知対象が搬送物X1の場合、上位システム4は、例えば搬送物X1のパレットX11及び荷物X12等に異常があるか否かを画像セグメンテーション及び判定処理により判定することが可能である。例えば、図5Aに示すようにパレットX11がロールボックスパレットであり、フレームX111が変形していれば、上位システム4は、パレットX11のフレームX111に異常があると判定する。また、ロールボックスパレットの車輪X112の一部の温度が正常時よりも上昇していれば、上位システム4は、他の搬送装置10の車輪23の場合と同様に、車輪X112に異常があると判定する。その他、ロールボックスパレットのサイドバーX113の位置が装着時の位置からずれていれば、上位システム4は、サイドバーX113が装着されていない可能性があるとして、ロールボックスパレットのサイドバーX113に異常があると判定する。
【0055】
また、例えば、図5Bに示すようにパレットX11が平パレットであり、平パレットの一部が変形していれば、上位システム4は、平パレットの一部に異常があると判定する。また、例えば平パレットの一部に亀裂が生じており、亀裂により平パレットの一部の温度が上昇していれば、上位システム4は、平パレットの亀裂が生じた箇所に異常があると判定する。また、例えば平パレットに載せられている荷物X12の位置が、正常に載せられている場合の位置からずれていれば、上位システム4は、荷物X12が正常に載せられていない可能性があるとして、荷物X12に異常があると判定する。
【0056】
そして、上位システム4は、判定処理の判定結果に基づいて動作情報を生成し、生成した動作情報を他の搬送装置10へ送信する(S4)。動作情報を受信した他の搬送装置10は、動作情報に応じて現在の動作を変更する等の処理を実行する(S5)。例えば、上位システム4は、他の搬送装置10の車輪23に異常があると判定した場合、他の搬送装置10に異常がある旨を含む動作情報を他の搬送装置10へ送信する。この場合、動作情報を受信した他の搬送装置10は、走行を停止する。このとき、上位システム4は、他の搬送装置10の走行の停止指令を含む動作情報を他の搬送装置10へ送信してもよい。
【0057】
上述のように、本実施形態では、搬送装置1は、他の搬送装置10が検知し得ない箇所をセンサ31にて検知し、センサ31で検知した検知情報を上位システム4へ出力する。そして、上位システム4は、取得した検知情報に基づいて生成した動作情報を他の搬送装置10へ送信する等して、検知情報に基づいて他の搬送装置10の動作を管理する。つまり、他の搬送装置10は、搬送装置1から間接的に検知情報を伝えられることにより、自身では検知し得ない箇所の状態(例えば、他の搬送装置10自体の状態、及び他の搬送装置10が未だ到達していない地点の状態等)を把握することが可能である。言い換えれば、本実施形態では、搬送装置1が検知した情報(検知情報)を他の搬送装置10にて活用することができる、という利点がある。
【0058】
ところで、本実施形態では、搬送装置1は、他の搬送装置10から見れば「他の搬送装置」に相当する。このため、搬送装置1は、他の搬送装置10のセンサ31にて検知した検知情報に基づく動作情報を、上位システム4から受信し、受信した動作情報に基づいて動作することも可能である。つまり、搬送装置1は、上位システム4(管理装置101)で管理されている他の搬送装置10が検知して出力した検知情報に基づく動作情報を、上位システム4から受信する通信部(受信部)32を更に備えている。そして、搬送装置1は、通信部32で受信した動作情報に基づいて動作する。
【0059】
(3.3)動作例
以下、本実施形態に係る搬送システム100の第1動作例~第3動作例について図6図11を用いて説明する。図6図8、及び図10に示すドットの領域は、搬送装置1及び他の搬送装置10の有するセンサ31(ここでは、本体部2の前端にある2つのセンサブロック311)の検知範囲を表している。
【0060】
(3.3.1)第1動作例
まず、搬送システム100の第1動作例について図6及び図7を用いて説明する。第1動作例では、例えば2台の搬送装置が互いに異なる搬送指令を受けており、一方の搬送装置(以下、「第1搬送装置1A」という)が搬送物X1を載せて走行中であると仮定する。また、他方の搬送装置(以下、「第2搬送装置1B」という)が第1搬送装置1Aの搬送している搬送物X1とは異なる搬送物X1に向かって走行中であると仮定する。また、第1動作例では、第1搬送装置1Aが「搬送装置1」であり、第2搬送装置1Bが「他の搬送装置10」であると仮定して説明する。
【0061】
これらの搬送装置がすれ違うとき、第1搬送装置1A及び第2搬送装置1Bは、それぞれ走行しながら、すれ違う相手をセンサ31にて撮像する。第1搬送装置1Aは、すれ違う相手である第2搬送装置1Bを検知対象として撮像する(S11)。そして、第1搬送装置1Aは、撮像により得られた検知情報を、通信部32から上位システム4へ送信する(S12)。また、第2搬送装置1Bは、すれ違う相手である第1搬送装置1Aを検知対象として撮像する(S13)。そして、第2搬送装置1Bは、撮像により得られた検知情報を、通信部32を介して上位システム4へ送信する(S14)。
【0062】
上位システム4は、第1搬送装置1Aから受信した検知情報に基づいて、第1搬送装置1Aの検知対象である第2搬送装置1Bの状態を判定する(S15)。同様に、上位システム4は、第2搬送装置1Bから受信した検知情報に基づいて、第2搬送装置1Bの検知対象である第1搬送装置1Aの状態を判定する(S15)。具体的には、上位システム4は、第1搬送装置1Aから受信した検知情報に含まれる画像(RGB-D画像及び熱画像)に基づいて、画像セグメンテーションを実行する。そして、上位システム4は、判定処理にて、画像セグメンテーションの結果に基づいて、第2搬送装置1Bに異常があるか否かを判定する。同様に、上位システム4は、第2搬送装置1Bから受信した検知情報に含まれる画像に基づいて、画像セグメンテーション及び判定処理を実行し、第1搬送装置1Aに異常があるか否かを判定する。図7に示す例では、上位システム4は、第2搬送装置1Bに異常があると判定している。このため、上位システム4は、第2搬送装置1Bに異常がある旨を知らせる異常通知信号を、第2搬送装置1B及び管理者端末5へ送信する(S16)。異常通知信号には、異常が発生している箇所を特定する情報が含まれているのが好ましい。その他、異常通知信号には、異常が生じた原因に関する情報が含まれているのが好ましい。
【0063】
異常通知信号を受信した第2搬送装置1Bは、走行を停止し、例えば警報音を鳴動することにより、異常が発生した旨を報知する。つまり、第2搬送装置1Bは、動作情報である異常通知信号を受信することにより、発生した異常に対する対応を行う(S17)。これにより、警報音を聞いた作業員は、第2搬送装置1Bの修復作業(例えば、車輪23の交換、及び荷物X12の整理等)を行うことにより、第2搬送装置1Bの異常を除去する。第2搬送装置1Bの異常が除去されると、作業員は、例えば第2搬送装置1Bに備え付けのスイッチを操作する。これにより、第2搬送装置1Bは、異常の除去が完了した旨を知らせる完了通知信号を、通信部32を介して上位システム4へ送信する。上位システム4は、完了通知信号を受信すると、受信した完了通知信号を管理者端末5に中継する等して、第2搬送装置1Bの異常が除去されたことを管理者に通知する。
【0064】
その他、第2搬送装置1Bが警報音を鳴動する機構を備えていない場合、又は第2搬送装置1Bの置かれた現場に作業員が存在しない場合、管理者が自ら現場に向かったり、現場に作業員を派遣するように指示を行ったりしてもよい。この場合でも、管理者、又は派遣された作業員により第2搬送装置1Bの修復作業を行うことが可能である。また、この場合でも、派遣された作業員が第2搬送装置1Bに備え付けのスイッチを操作することにより、上位システム4及び管理者端末5に第2搬送装置1Bの異常が除去されたことを通知することが可能である。
【0065】
上述のように、第1動作例では、搬送装置1は、他の搬送装置10とすれ違うときに、センサ31にて他の搬送装置10の状態を検知対象として検知し、検知情報を上位システム4へ出力する。そして、上位システム4は、取得した検知情報に基づく異常検知信号(動作情報)を他の搬送装置10へ送信することで、他の搬送装置10の動作を管理する。つまり、第1動作例では、搬送装置1が検知した他の搬送装置10の状態(ここでは、他の搬送装置10の異常の有無)に関する情報を、他の搬送装置10にて活用することができる。
【0066】
(3.3.2)第2動作例
次に、搬送システム100の第2動作例について図8及び図9を用いて説明する。第2動作例では、例えば1台の搬送装置(以下、「第3搬送装置1C」という)が搬送指令を受けており、第3搬送装置1Cが搬送物X1を載せて走行中であると仮定する。また、第2動作例では、第3搬送装置1Cが「搬送装置1」であると仮定して説明する。
【0067】
ここで、第3搬送装置1Cの移動経路上に搬送指令の対象外の荷物などの障害物Y1が存在する場合、又は移動経路の周辺に物体が存在する場合、第3搬送装置1Cは、センサ31にて、これらの障害物Y1又は物体を検知対象として撮像する(S21)。このとき、第3搬送装置1Cは、障害物Y1が存在する場合は停止した状態でセンサ31にて撮像する。一方、第3搬送装置1Cは、障害物Y1が存在しない場合には、停止した状態で、又は走行しながらセンサ31にて撮像する。そして、第3搬送装置1Cは、撮像により得られた検知情報を、通信部32を介して上位システム4へ送信する(S22)。
【0068】
上位システム4は、第3搬送装置1Cから受信した検知情報に基づいて、画像セグメンテーション及び判定処理を実行することにより、第3搬送装置1Cの移動経路上、又は第3搬送装置1Cの移動経路の周辺に異常があるか否かを判定する(S23)。図9に示す例では、上位システム4は、第3搬送装置1Cの移動経路上、又は第3搬送装置1Cの移動経路の周辺に障害物Y1があると判定している。このため、上位システム4は、電子地図に異常が発生した箇所(つまり、障害物Y1のある位置)を記述することで電子地図を更新する。そして、上位システム4は、更新した電子地図のデータを含む地図情報を、動作情報として全ての搬送装置1へ送信する(S24)。つまり、動作情報は、少なくとも他の搬送装置の移動経路に関する情報を含んでいる。なお、上位システム4は、第3搬送装置1C、及び更新前の移動経路上に異常が発生した箇所が存在する搬送装置1に対してのみ、地図情報を送信してもよい。また、上位システム4は、異常が発生した箇所を特定する情報を含む通知信号を、管理者端末5へ送信する。
【0069】
第3搬送装置1Cは、受信した地図情報に含まれる電子地図のデータを用いて、メモリに記憶してある電子地図を更新する。これにより、障害物Y1を迂回するような新たな移動経路が設定されるので、第3搬送装置1Cは、新たな移動経路にて走行を再開する。また、第3搬送装置1Cは、新たな移動経路を設定した旨を知らせる変更通知信号を、通信部32を介して上位システム4へ送信する。
【0070】
同様に、第3搬送装置1C以外の搬送装置1(つまり、他の搬送装置10)は、受信した地図情報に含まれる電子地図のデータを用いて、メモリに記憶してある電子地図を更新する。これにより、現在の移動経路に障害物Y1が存在する他の搬送装置10においては、障害物Y1を迂回するような新たな移動経路が設定される。そして、この他の搬送装置10は、新たな移動経路にて走行する。また、この他の搬送装置10は、新たな移動経路を設定した旨を知らせる変更通知信号を、通信部32を介して上位システム4へ送信する。一方、現在の移動経路に障害物Y1が存在しない他の搬送装置10は、現在の移動経路を維持して走行する。この他の搬送装置10は、変更通知信号を上位システム4へ送信しない。
【0071】
上位システム4は、第3搬送装置1C及び他の搬送装置10から変更通知信号を受信すると、受信した変更通知信号を管理者端末5に中継する等して、第3搬送装置1C及び他の搬送装置10の移動経路が新たに設定されたことを管理者に通知する。変更通知信号には、新たに設定された移動経路を特定する情報が含まれているのが好ましい。
【0072】
その他、上位システム4は、例えば第3搬送装置1Cの検知対象である障害物Y1又は物体の温度が正常時よりも過大に上昇している場合、障害物Y1又は物体に火災(小火を含む)が発生していると判定する。この場合、上位システム4は、管理者端末5に火災が発生している旨を通知する。これにより、管理者は、現場に作業員を派遣して消火作業を行わせる等の措置をとることが可能である。
【0073】
上述のように、第2動作例では、搬送装置1が上位システム4に検知情報を出力することにより、上位システム4では、受信した検知情報に基づいて、必要に応じて電子地図を更新することが可能である。そして、更新した電子地図は、検知情報を出力した搬送装置1のみならず、他の搬送装置10でも共有することが可能になる。つまり、第2動作例では、上位システム4は、更新した電子地図を搬送装置1及び他の搬送装置10へ送信することにより、搬送装置1及び他の搬送装置10の動作を間接的に管理している。そして、第2動作例では、搬送装置1が検知した他の搬送装置10の状態(ここでは、搬送装置1及び他の搬送装置10の少なくとも一方の移動経路の状態)に関する情報を、他の搬送装置10にて活用することができる。
【0074】
(3.3.3)第3動作例
次に、搬送システム100の第3動作例について図10及び図11を用いて説明する。第3動作例では、例えば1台の搬送装置1(以下、「第4搬送装置1D」という)が搬送指令を受けており、第4搬送装置1Dが搬送指令の対象となる搬送物X1の正面に位置していると仮定する。また、この搬送物X1の両隣には、それぞれ他の搬送物X1(パレットX11、及びパレットX11に載せられている荷物X12)が置かれていると仮定する。また、第3動作例では、第4搬送装置1Dが「搬送装置1」であると仮定して説明する。
【0075】
第4搬送装置1Dは、センサ31にて、搬送指令の対象となる搬送物X1の他に、この搬送物X1の両隣にある2つの他の搬送物X1を検知対象として撮像する(S31)。そして、第4搬送装置1Dは、撮像により得られた検知情報を、通信部32を介して上位システム4へ送信する(S32)。また、第4搬送装置1Dは、リフトアップ機構33により搬送指令の対象となる搬送物X1を本体部2に積載し、搬送物X1の搬送を開始する(S33)。検知情報の送信は、搬送物X1の搬送開始よりも前であってもよいし、後であってもよい。
【0076】
上位システム4は、第4搬送装置1Dから受信した検知情報に基づいて、画像セグメンテーション及び判定処理を実行することにより、第4搬送装置1Dの検知対象である2つの他の搬送物X1の各々の状態を判定する(S34)。図11に示す例では、上位システム4は、2つの他の搬送物X1のうちの一方の搬送物X1(図10における下側の搬送物X1)の荷物X12に荷崩れが発生していると判定する。このため、上位システム4は、搬送対象から除外する旨の指令を含む指示情報を、荷崩れの発生している搬送物X1を搬送対象とする他の搬送装置10へ送信する(S35)。また、上位システム4は、荷崩れが発生している搬送物X1を特定する情報を含む通知信号を、管理者端末5へ送信する。これにより、管理者は、現場に作業員を派遣して搬送物X1の荷物X12の整理を行わせる等の措置をとることが可能である。
【0077】
指示情報を受信した第4搬送装置1Dは、搬送対象から荷崩れの発生している搬送物X1を除外する(S36)。ここで、第4搬送装置1Dは、搬送物X1の荷崩れが解消した旨を知らせる通知信号を、上位システム4から受信するまで、荷崩れの発生している搬送物X1を搬送対象から除外し続けるのが好ましい。
【0078】
上述のように、第3動作例では、搬送装置1は、搬送指令の対象となる搬送物X1の搬送を開始するときに、センサ31にて他の搬送物X1の状態を検知対象として検知し、検知情報を上位システム4へ出力する。そして、上位システム4は、取得した検知情報に基づく指示情報(動作情報)を他の搬送装置10へ送信することで、他の搬送装置10の動作を管理する。つまり、第3動作例では、搬送装置1が検知した他の搬送装置10が搬送予定の搬送物X1の状態に関する情報を、他の搬送装置10にて活用することができる。
【0079】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、搬送装置1の制御部35と同様の機能は、搬送装置1の制御方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0080】
一態様に係る搬送装置1の制御方法は、本体部2と、センサ31と、を備える搬送装置1の制御方法である。本体部2は、自律移動可能であって、搬送物X1を保持する保持機構(ここでは、リフトアップ機構33)を有する。センサ31は、本体部2に設けられて、本体部2の周囲の状態を検知する。搬送装置1の制御方法は、センサ31で検知した検知情報を、他の搬送装置10の動作を管理する管理装置101(ここでは、上位システム4)へ出力させる。
【0081】
一態様に係るプログラムは、本体部2と、センサ31と、を備える搬送装置1を制御するためのプログラムである。本体部2は、自律移動可能であって、搬送物X1を保持する保持機構(ここでは、リフトアップ機構33)を有する。センサ31は、本体部2に設けられて、本体部2の周囲の状態を検知する。プログラムは、コンピュータシステムに、センサ31で検知した検知情報を、他の搬送装置10の動作を管理する管理装置101(ここでは、上位システム4)へ出力する出力処理を実行させるためのプログラムである。
【0082】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0083】
本開示における搬送装置1は、例えば、制御部35、及び検知部36等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御部35、及び検知部36等の機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0084】
上述の搬送システム100の第1動作例において、上位システム4は、他の搬送装置10が搬送する搬送物X1の状態に応じて、他の搬送装置10の挙動を変更するための動作情報を他の搬送装置10へ送信してもよい。例えば、他の搬送装置10が搬送する搬送物X1が平パレットであって、平パレットに載せられている荷物X12が若干崩れている場合を想定する。この場合、上位システム4は、例えば旋回速度を正常時よりも遅くしたり、右旋回を禁止したりする指示を含む動作情報を他の搬送装置10へ送信してもよい。
【0085】
上述の搬送システム100の第1動作例では、互いに逆向きに走行する複数(ここでは、2台)の搬送装置1A,1Bがすれ違う場合について説明したが、これに限定する趣旨ではない。例えば、第1動作例において、同じ向きに走行する複数の搬送装置1A,1Bがすれ違う場合においても、一方の搬送装置1A(1B)は、他方の搬送装置1B(1A)をセンサ31にて検知することが可能である。
【0086】
上述の搬送システム100の第2動作例では、上位システム4は、検知情報に基づいて更新した電子地図のデータを含む地図情報を、動作情報として第3搬送装置1C及び他の搬送装置10へ送信しているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、上位システム4は、障害物Y1を現在の移動経路から排除する指令、又は障害物Y1を回避する指令を、動作情報として第3搬送装置1C及び他の搬送装置10へ送信してもよい。
【0087】
上述の実施形態では、センサ31は、搬送装置1の走行中においては常時動作しているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、センサ31は、検知部36が周囲に存在する物体を検知したときに動作を開始してもよい。この場合、センサ31は、例えば検知部36が物体を検知しなくなった時点、又はこの時点から所定の時間が経過すると、動作を終了すればよい。
【0088】
上述の実施形態では、センサ31は、RGBカメラにて搬送装置1の走行中に連続して複数の画像を撮像することにより奥行き情報を取得しているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、センサ31は、ステレオカメラを用いることで、2台のカメラの視差に基づいて奥行き情報を取得してもよい。また、センサ31は、例えばToF(Time of Flight)カメラを用いて、投射したレーザが対象物まで往復するのに要する時間に基づいて奥行き情報を取得してもよい。
【0089】
上述の実施形態では、センサ31は、RGBカメラ及び赤外線カメラの両方を有しているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、センサ31は、RGBカメラ及び赤外線カメラのうちのいずれか一方のみを用いてもよい。また、センサ31は、温度センサ、測距センサ、音響センサ(マイクロホン)などであってもよい。その他、センサ31は、これらのセンサ、RGBカメラ、及び赤外線カメラのうちの1以上の装置から構成されていてもよい。
【0090】
上述の実施形態では、複数の搬送装置1は上位システム4により管理されているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、複数の搬送装置1は、上位システム4を介さずに互いに通信可能であってもよい。この構成では、上位システム4は不要である。また、この構成では、例えば第1動作例、第2動作例、及び第3動作例の各々の当事者となる搬送装置1が、上位システム4の代わりに動作すればよい。つまり、搬送システム100に含まれる全ての搬送装置1が、それぞれ上位システム4の代わりに動作することが可能である。もちろん、全ての搬送装置1ではなく、少なくとも1台の搬送装置1が上位システム4の代わりに動作する構成であってもよい。つまり、搬送システム100は、上位システム4を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。そして、搬送システム100が上位システム4を含まない場合、複数の搬送装置1のうち1以上の搬送装置1が管理装置101として機能すればよい。
【0091】
上述の実施形態では、搬送システム100に含まれる複数の搬送装置A1は、いずれも搬送装置1であり、出力部及び受信部の両方の機能を兼ねた通信部32を有しているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、複数の搬送装置A1のうち1以上の搬送装置A1は、出力部を有さずに受信部のみを有する搬送装置A1であってもよい。また、複数の搬送装置A1のうち1以上の搬送装置A1は、受信部を有さずに出力部のみを有する搬送装置A1であってもよい。つまり、搬送システム100は、出力部のみを有する搬送装置A1と、受信部のみを有する搬送装置A1と、を備えていればよい。
【0092】
上述の実施形態では、搬送装置1の保持機構はリフトアップ機構33であるが、これに限定する趣旨ではない。例えば、パレットX11が平パレットである場合、搬送装置1は、例えば平パレットの差込口に挿入可能なフォーク、及びフォークを昇降させる昇降機構など、平パレットを保持する機構を保持機構33として備えるのが好ましい。
【0093】
上述の実施形態では、搬送システム100に含まれる複数の搬送装置A1は、いずれもパレットX11等を昇降動作により搬送するリフト型の搬送装置であるが、これに限定する趣旨ではない。例えば、搬送装置A1は、例えばロールボックスパレット等のパレットX11を、フック等を用いて牽引することで搬送する牽引型の搬送装置であってもよい。この場合、フック等のパレットX11を牽引する機構が保持機構33に相当する。また、複数の搬送装置A1は、リフト型の搬送装置と、牽引型の搬送装置との両方を含んでいてもよい。
【0094】
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係る搬送装置(1)は、本体部(2)と、センサ(31)と、出力部(通信部(32))と、を備える。本体部(2)は、自律移動可能であって、搬送物(X1)を保持する保持機構(リフトアップ機構(33))を有する。センサ(31)は、本体部(2)に設けられて、本体部(2)の周囲の状況を検知する。出力部は、センサ(31)で検知した検知情報を、他の搬送装置(10)の動作を管理する管理装置(101)へ出力する。
【0095】
この態様によれば、検知した情報(検知情報)を他の搬送装置(10)にて活用することができる、という利点がある。
【0096】
第2の態様に係る搬送装置(1)では、第1の態様において、センサ(31)は、他の搬送装置(10)の状態を検知対象とする。
【0097】
この態様によれば、他の搬送装置(10)自身では検知し得ない他の搬送装置(10)の状態を踏まえて、他の搬送装置(10)の動作を管理することができる、という利点がある。
【0098】
第3の態様に係る搬送装置(1)では、第2の態様において、他の搬送装置(10)の状態は、他の搬送装置(10)の異常の有無を含む。
【0099】
この態様によれば、他の搬送装置(10)自身では検知し得ない他の搬送装置(10)の異常の有無を踏まえて、他の搬送装置(10)の動作を管理することができる、という利点がある。
【0100】
第4の態様に係る搬送装置(1)では、第2又は第3の態様において、他の搬送装置(10)の状態は、他の搬送装置(10)が搬送している搬送物(X1)の状態を含む。
【0101】
この態様によれば、他の搬送装置(10)自身では検知し得ない他の搬送装置(10)が搬送している搬送物(X1)の状態を踏まえて、他の搬送装置(10)の動作を管理することができる、という利点がある。
【0102】
第5の態様に係る搬送装置(1)では、第1~第4のいずれかの態様において、センサ(31)は、搬送装置(1)及び他の搬送装置(10)の少なくとも一方の移動経路の状態を検知対象とする。
【0103】
この態様によれば、他の搬送装置(10)が未だ到達していない地点の状態を踏まえて、他の搬送装置(10)の動作を管理することができる、という利点がある。
【0104】
第6の態様に係る搬送装置(1)では、第5の態様において、管理装置(101)は、他の搬送装置(10)の動作に関する動作情報を他の搬送装置(10)へ出力するように構成される。動作情報は、少なくとも他の搬送装置(10)の移動経路に関する情報を含む。
【0105】
この態様によれば、他の搬送装置(10)が未だ到達していない地点の状態を踏まえて、他の搬送装置(10)が移動経路を変更する等の措置をとることができる、という利点がある。
【0106】
第7の態様に係る搬送装置(1)は、第1~第6のいずれかの態様において、管理装置(101)で管理されている他の搬送装置(10)が検知して出力した検知情報に基づく動作情報を、管理装置(101)から受信する受信部(通信部(32))を更に備える。搬送装置(1)は、受信部で受信した動作情報に基づいて動作する。
【0107】
この態様によれば、搬送装置(1)は、搬送装置(1)として動作する他の搬送装置(10)が検知した情報(検知情報)を活用することができる、という利点がある。
【0108】
第8の態様に係る受信機能付き搬送装置(11)は、本体部(2)と、受信部(通信部(32))と、を備える。本体部(2)は、自律移動可能であって、搬送物(X1)を保持する保持機構(リフトアップ機構(33))を有する。受信部は、第1~第7のいずれかの態様の搬送装置(1)が出力する検知情報に基づく動作情報を管理装置(101)から受信する。受信機能付き搬送装置(11)は、受信部で受信した動作情報に基づいて動作する。
【0109】
この態様によれば、搬送装置(1)で検知した情報(検知情報)を他の搬送装置(10)である受信機能付き搬送装置(11)にて活用することができる、という利点がある。
【0110】
第9の態様に係る搬送システム(100)は、搬送装置(A1)を複数備える。複数の搬送装置(A1)は、第1~第7のいずれかの態様の搬送装置(1)と、第8の態様の受信機能付き搬送装置(11)と、を含む。
【0111】
この態様によれば、搬送装置(1)で検知した情報(検知情報)を他の搬送装置(10)である受信機能付き搬送装置(11)にて活用することができる、という利点がある。
【0112】
第10の態様に係る上位システム(4)は、第9の態様の搬送システム(100)に用いられる管理装置(101)であって、複数の搬送装置(A1)の各々の動作を管理する。
【0113】
この態様によれば、搬送装置(1)で検知した情報(検知情報)を他の搬送装置(10)にて活用することができる、という利点がある。
【0114】
第11の態様に係る搬送装置(1)の制御方法は、本体部(2)と、センサ(31)と、を備える搬送装置(1)の制御方法である。本体部(2)は、自律移動可能であって、搬送物(X1)を保持する保持機構(リフトアップ機構(33))を有する。センサ(31)は、本体部(2)に設けられて、本体部(2)の周囲の状態を検知する。搬送装置(1)の制御方法は、センサ(31)で検知した検知情報を、他の搬送装置(10)の動作を管理する管理装置(101)へ出力させる。
【0115】
この態様によれば、検知した情報(検知情報)を他の搬送装置(10)にて活用することができる、という利点がある。
【0116】
第12の態様に係るプログラムは、本体部(2)と、センサ(31)と、を備える搬送装置(1)を制御するためのプログラムである。本体部(2)は、自律移動可能であって、搬送物(X1)を保持する保持機構(リフトアップ機構(33))を有する。センサ(31)は、本体部(2)に設けられて、本体部(2)の周囲の状態を検知する。プログラムは、コンピュータシステムに、センサ(31)で検知した検知情報を、他の搬送装置(10)の動作を管理する管理装置(101)へ出力する出力処理を実行させるためのプログラムである。
【0117】
この態様によれば、検知した情報(検知情報)を他の搬送装置(10)にて活用することができる、という利点がある。
【0118】
第2~第7の態様に係る構成については、搬送装置(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0119】
1,1A,1C,1D,A1 搬送装置
10,1B 他の搬送装置
11 受信機能付き搬送装置
2 本体部
31 センサ
32 通信部(出力部、受信部)
33 リフトアップ機構(保持機構)
4 上位システム
100 搬送システム
101 管理装置
X1 搬送物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11