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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】菌糸抑制装置及び菌糸抑制方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20221223BHJP
【FI】
A61L2/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018176881
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2020044218
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山田 真
(72)【発明者】
【氏名】青木 慎一
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-207278(JP,A)
【文献】特開2005-328734(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02338326(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第102186332(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0043044(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107715132(CN,A)
【文献】特開2012-183014(JP,A)
【文献】国際公開第2010/047277(WO,A1)
【文献】特開2018-027291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
A01G 7/00
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
菌糸を有する生物に光を照射することで、前記菌糸の成長を抑制する菌糸抑制装置であって、
ピーク波長が380nm以上410nm以下の範囲に含まれる光を出射する第1光源、及び、ピーク波長が280nm以上350nm未満の範囲に含まれる光を出射する第2光源の少なくとも一方を有する第1光源部と、
ピーク波長が350nm以上380nm未満の範囲に含まれる光を出射する第3光源を有する第2光源部と
前記第2光源部を点灯させた後、前記第1光源部を点灯させる制御部とを備える
菌糸抑制装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1光源部を点灯させている期間には前記第2光源部を消灯し、前記第2光源部を点灯させている期間には前記第1光源部を消灯する
請求項に記載の菌糸抑制装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1光源部の点灯と前記第2光源部の点灯とを交互に繰り返し行う
請求項又はに記載の菌糸抑制装置。
【請求項4】
前記第1光源部は、前記第1光源と、前記第2光源とを有し、
前記第2光源部は、ピーク波長が415nm以上480nm以下の範囲に含まれる光を出射する第4光源をさらに有する
請求項1~のいずれか1項に記載の菌糸抑制装置。
【請求項5】
前記第1光源部は、前記第1光源及び前記第2光源のうち前記第1光源のみを有する
請求項1~のいずれか1項に記載の菌糸抑制装置。
【請求項6】
前記第2光源部からの光の照射エネルギーは、前記第1光源部からの光の照射エネルギー以下である
請求項1~のいずれか1項に記載の菌糸抑制装置。
【請求項7】
前記第2光源部からの光の照射積算量は、前記第1光源部からの光の照射積算量以下である
請求項1~のいずれか1項に記載の菌糸抑制装置。
【請求項8】
前記第2光源部からの光の照射時間は、前記第1光源部からの光の照射時間以下である
請求項1~のいずれか1項に記載の菌糸抑制装置。
【請求項9】
前記生物は、黒カビ又はピンク酵母である
請求項1~のいずれか1項に記載の菌糸抑制装置。
【請求項10】
前記生物は、緑膿菌である
請求項1~のいずれか1項に記載の菌糸抑制装置。
【請求項11】
菌糸を有する生物に光を照射することで、前記菌糸の成長を抑制する菌糸抑制方法であって、
ピーク波長が380nm以上410nm以下の範囲に含まれる第1光、及び、ピーク波長が280nm以上350nm未満の範囲に含まれる第2光の少なくとも一方を前記生物に照射する工程と、
ピーク波長が350nm以上380nm未満の範囲に含まれる第3光を前記生物に照射する工程とを含み、
前記第3光を照射する工程の後に、前記第1光及び前記第2光の少なくとも一方を照射する工程を行う
菌糸抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菌糸抑制装置及び菌糸抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室若しくはキッチンなどの水廻り設備、又は、天井裏若しくは床下などの湿気が多い場所には、カビが発生する。発生したカビを除去するには、例えば、光触媒を利用する技術が知られている。例えば、特許文献1には、紫外光を光触媒に照射することで光触媒を活性化させて、触媒反応により抗菌及び防臭を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-200358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、菌の増殖を充分に抑制することができない。
【0005】
そこで、本発明は、菌糸を有する生物の増殖を従来よりも効率良く抑制することができる菌糸抑制装置及び菌糸抑制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る菌糸抑制装置は、菌糸を有する生物に光を照射することで、前記菌糸の成長を抑制する菌糸抑制装置であって、ピーク波長が380nm以上410nm以下の範囲に含まれる光を出射する第1光源、及び、ピーク波長が280nm以上350nm未満の範囲に含まれる光を出射する第2光源の少なくとも一方を有する第1光源部と、ピーク波長が350nm以上380nm未満の範囲に含まれる光を出射する第3光源、及び、ピーク波長が415nm以上480nm以下の範囲に含まれる光を出射する第4光源の少なくとも一方を有する第2光源部とを備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係る菌糸抑制方法は、菌糸を有する生物に光を照射することで、前記菌糸の成長を抑制する菌糸抑制方法であって、ピーク波長が380nm以上410nm以下の範囲に含まれる光、及び、ピーク波長が280nm以上350nm未満の範囲に含まれる光の少なくとも一方を前記生物に照射する工程と、ピーク波長が350nm以上380nm未満の範囲に含まれる光、及び、ピーク波長が415nm以上480nm以下の範囲に含まれる光の少なくとも一方を前記生物に照射する工程とを含む。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記菌糸抑制方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現することができる。あるいは、当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現することもできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、菌糸を有する生物の増殖を従来よりも効率良く抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る菌糸抑制装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態に係る菌糸抑制装置が備える各光源の出射光のスペクトルを示す図である。
図3図3は、実施の形態に係る菌糸抑制装置の模式的な斜視図である。
図4図4は、実施の形態に係る菌糸抑制装置の別の構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施の形態に係る菌糸抑制装置の動作と生物の菌糸の挙動とを示す図である。
図6図6は、比較例1及び2と実施例とに係る光の照射時間の一例を示す図である。
図7図7は、比較例1及び2と実施例とに係る菌数平均値の時間変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の実施の形態に係る菌糸抑制装置及び菌糸抑制方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
(実施の形態)
[構成]
まず、本実施の形態に係る菌糸抑制装置の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る菌糸抑制装置1の構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示されるように、菌糸抑制装置1は、菌糸92を有する生物90に光を照射することで、菌糸92の成長を抑制する菌糸抑制装置である。菌糸抑制装置1は、生物90の菌糸92の成長を抑制することで、生物90の増殖を抑制することができる。
【0015】
生物90は、例えば、カビ若しくは酵母などの真菌類、又は、真正細菌などの細菌類などの日常的に“菌”と呼ばれるものである。例えば、生物90は、黒カビ(クロカワカビとも言う)及びピンク酵母などである。黒カビは、具体的には、クラドスポリウム又はクラドスポリオイデスである。ピンク酵母は、具体的には、ロドトルラである。生物90は、緑膿菌であってもよい。
【0016】
図1に示されるように、菌糸抑制装置1は、第1光源部10と、第2光源部20とを備える。本実施の形態では、菌糸抑制装置1は、さらに、制御部30と、時間設定部40とを備える。
【0017】
第1光源部10は、図1に示されるように、紫色光源12と、UVB光源15とを有する。
【0018】
紫色光源12は、ピーク波長が380nm以上410nm以下の範囲に含まれる紫色光を出射する第1光源の一例である。図1に示されるように、紫色光源12は、LED(Light Emitting Diode)13と、フィルタ14とを有する。
【0019】
LED13は、紫色光を含む光を発する発光素子の一例である。LED13は、例えば、紫色の単色光を発する。
【0020】
LED13が発する紫色光は、半値幅が20nm以下である発光ピークを有する。なお、半値幅は、例えば、15nm以下でもよく、10nm以下でもよい。あるいは、半値幅は、20nmより大きくてもよい。
【0021】
紫色光が有する発光ピークのピーク波長は、380nm以上410nm以下の範囲に含まれる。なお、ピーク波長は、例えば、380nm以上400nm以下の範囲にあってもよい。ピーク波長は、紫色光の分光分布において、発光強度が最大(又は、極大)になるときの波長である。
【0022】
LED13は、例えば、図2に示される分光スペクトルを有する紫色光を発する。図2は、本実施の形態に係る菌糸抑制装置1が備える各光源の出射光のスペクトルを示す図である。なお、図2において、横軸は波長であり、縦軸は光の相対エネルギー(強度)を示している。図2に示されるように、LED13が発する紫色光は、ピーク波長が約391nmであり、半値幅が約24nmである。
【0023】
なお、LED13は、紫色の単色光ではなく、紫色光と他の波長成分とを含む光を発してもよい。例えば、LED13は、紫色光以外の青色光、緑色光などを含む可視光を発してもよい。例えば、LED13は、白色光を発してもよい。
【0024】
フィルタ14は、LED13から出射される光の一部のみを透過させる。例えば、フィルタ14は、所定の波長帯域(透過帯域)のみの光を透過させるバンドパスフィルタであり、透過帯域以外の波長の光の透過を十分に抑制する。フィルタ14の波長帯域は、例えば、380nm以上410nm以下の範囲である。これにより、紫色光源12から出射される光には、380nm未満の波長の光、及び、410nmより長波長の光が含まれないようにすることができる。
【0025】
UVB光源15は、ピーク波長が280nm以上350nm未満の範囲に含まれる紫外光(UVB光)を出射する第2光源の一例である。図1に示されるように、UVB光源15は、LED16と、フィルタ17とを有する。
【0026】
LED16は、UVB光を含む光を発する発光素子の一例である。LED16が発するUVB光は、半値幅が38nmである発光ピークを有する。なお、半値幅は、例えば、70nm以下でもよく、10nm以下でもよい。
【0027】
UVB光が有する発光ピークのピーク波長は、280nm以上350nm未満の範囲に含まれる。なお、ピーク波長は、望ましくは、280nm以上330nm以下の範囲に含まれるとよい。ピーク波長は、UVB光の分光分布において、発光強度が最大(又は、極大)になるときの波長である。
【0028】
LED16は、例えば、図2に示される分光スペクトルを有するUVB光を発する。図2に示されるように、LED16が発するUVB光は、ピーク波長が約315nmであり、半値幅が約38nmである。
【0029】
なお、LED16は、UVB光と他の波長成分とを含む光を発してもよい。例えば、LED16は、280nm未満の紫外光などを含む光を発してもよい。
【0030】
フィルタ17は、LED16から出射される光の一部のみを透過させる。例えば、フィルタ17は、所定の波長帯域(透過帯域)のみの光を透過させるバンドパスフィルタであり、透過帯域以外の波長の光の透過を十分に抑制する。フィルタ17の波長帯域は、例えば、280nm以上350nm未満の範囲である。これにより、UVB光源15から出射される光には、280nm未満の波長の光、及び、350nm以上の長波長の光が含まれないようにすることができる。
【0031】
第1光源部10が点灯した場合に出射される光は、380nm以上410nm以下の範囲の波長の紫色光、若しくは、280nm以上350nm未満のUVB光、又は、これらの混合光であり、これらはいずれも、菌糸92の成長を抑制することができる。具体的には、紫色光は、菌糸92を弱体化させる機能を有する光である。また、UVB光は、菌糸92を破壊する機能を有する光である。
【0032】
第2光源部20は、図1に示されるように、青色光源22と、UVA光源25とを有する。青色光源22は、ピーク波長が415nm以上480nm以下の範囲に含まれる青色光を出射する第4光源の一例である。図1に示されるように、青色光源22は、LED23と、フィルタ24とを有する。
【0033】
LED23は、青色光を含む光を発する発光素子の一例である。LED23は、例えば、青色の単色光を発する。
【0034】
LED23が発する青色光は、半値幅が25nmである発光ピークを有する。なお、半値幅は、例えば、70nm以下でもよく、10nm以下でもよい。
【0035】
青色光が有する発光ピークのピーク波長は、415nm以上480nm以下の範囲に含まれる。なお、ピーク波長は、望ましくは、430nm以上470nm以下の範囲に含まれるとよい。ピーク波長は、青色光の分光分布において、発光強度が最大(又は、極大)になるときの波長である。
【0036】
LED23は、例えば、図2に示される分光スペクトルを有する青色光を発する。図2に示されるように、LED23が発する青色光は、ピーク波長が約470nmであり、半値幅が約24nmである。
【0037】
なお、LED23は、青色の単色光ではなく、青色光と他の波長成分とを含む光を発してもよい。例えば、LED23は、青色光以外の緑色光などを含む可視光を発してもよい。例えば、LED23は、白色光を発してもよい。
【0038】
フィルタ24は、LED23から出射される光の一部のみを透過させる。例えば、フィルタ24は、所定の波長帯域(透過帯域)のみの光を透過させるバンドパスフィルタであり、透過帯域以外の波長の光の透過を十分に抑制する。フィルタ24の波長帯域は、例えば、415nm以上480nm以下の範囲である。これにより、青色光源22から出射される光には、415nm未満の波長の光、及び、480nmより長波長の光が含まれないようにすることができる。
【0039】
UVA光源25は、ピーク波長が350nm以上380nm未満の範囲に含まれる紫外光(UVA光)を出射する第3光源の一例である。図1に示されるように、UVA光源25は、LED26と、フィルタ27とを有する。
【0040】
LED26は、UVA光を含む光を発する発光素子の一例である。LED26が発するUVBAは、半値幅が33nmである発光ピークを有する。なお、半値幅は、例えば、50nm以下でもよく、10nm以下でもよい。
【0041】
UVA光が有する発光ピークのピーク波長は、350nm以上380nm未満の範囲に含まれる。ピーク波長は、UVA光の分光分布において、発光強度が最大(又は、極大)になるときの波長である。
【0042】
LED26は、例えば、図2に示される分光スペクトルを有するUVA光を発する。図2に示されるように、LED26が発するUVA光は、ピーク波長が約365nmであり、半値幅が約33nmである。
【0043】
なお、LED26は、UVA光と他の波長成分とを含む光を発してもよい。例えば、LED26は、350nm未満の紫外光などを含む光を発してもよい。
【0044】
フィルタ27は、LED26から出射される光の一部のみを透過させる。例えば、フィルタ27は、所定の波長帯域(透過帯域)のみの光を透過させるバンドパスフィルタであり、透過帯域以外の波長の光の透過を十分に抑制する。フィルタ27の波長帯域は、例えば、350nm以上380nm未満の範囲である。これにより、UVA光源25から出射される光には、350nm未満の波長の光、及び、380nm以上の長波長の光が含まれないようにすることができる。
【0045】
第2光源部20が点灯した場合に出射される光は、415nm以上480nm以下の範囲の波長の青色光、若しくは、350nm以上380nm未満の範囲の波長のUVA光、又は、これらの混合光であり、これらは、菌糸92の成長を促進させることができる。具体的には、青色光及びUVA光はいずれも、生物90の菌糸92を細長く伸ばす機能を有する。
【0046】
制御部30は、第1光源部10及び第2光源部20の点灯及び消灯を制御する。具体的には、制御部30は、第1光源部10及び第2光源部20の各々の点灯時間、点灯の開始及び終了のタイミング、点灯方法(光の照射範囲など)を制御する。例えば、制御部30は、外部電源又は電池などから供給される電力を、第1光源部10及び第2光源部20に供給することで、第1光源部10及び第2光源部20を点灯させる。
【0047】
制御部30は、例えば、マイコン(マイクロコントローラ)である。制御部30は、例えば、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサなどで実現される。制御部30の機能は、プロセッサによって実行されるソフトウェアで実現されてもよく、複数の回路素子を含む電子回路などのハードウェアで実現されてもよい。
【0048】
本実施の形態では、制御部30は、第2光源部20を点灯させた後、第1光源部10を点灯させる。制御部30は、第1光源部10を点灯させた後に、第2光源部20を点灯させてもよい。例えば、制御部30は、第1光源部10の点灯と第2光源部20の点灯とを交互に繰り返し行う。制御部30は、第1光源部10を点灯させている期間には第2光源部20を消灯する。制御部30は、第2光源部20を点灯させている期間には第1光源部10を消灯する。つまり、制御部30は、第1光源部10と第2光源部20とを排他的に点灯させる。
【0049】
例えば、制御部30は、第2光源部20からの光の照射積算量が、第1光源部10からの光の照射積算量以下になるように、第1光源部10及び第2光源部20を制御する。照射積算量は、単位時間当たりの照射量と照射時間との積で表される。
【0050】
本実施の形態では、制御部30は、第2光源部20からの光の照射時間が、第1光源部10からの光の照射時間以下になるように、第1光源部10及び第2光源部20を制御する。具体的には、制御部30は、時間設定部40によって設定された時間情報に基づいて、第1光源部10及び第2光源部20を制御する。
【0051】
なお、紫色光源12とUVB光源15とは、第1光源部10からの光の照射期間内で同時に点灯されるが、時間排他的に点灯されてもよい。このとき、例えば、紫色光源12の点灯時間は、UVB光源15の点灯時間以上であってもよい。また、青色光源22とUVA光源25とは、第2光源部20からの光の照射期間内で同時に点灯されるが、時間排他的に点灯されてもよい。このとき、例えば、青色光源22の点灯時間は、UVA光源25の点灯時間以上であってもよい。
【0052】
また、制御部30は、第2光源部20からの光の照射エネルギーが第1光源部10からの光の照射エネルギー以下になるように、第1光源部10及び第2光源部20を制御してもよい。つまり、菌糸92の成長を抑制する光の照射エネルギーが、菌糸92の成長を促進させる光の照射エネルギー以下になるように、第1光源部10及び第2光源部20を制御してもよい。
【0053】
時間設定部40は、第1光源部10及び第2光源部20の照射時間を設定する。時間設定部40は、例えば、ユーザからの指示、又は、予め定められたスケジュール情報などに基づいて第1光源部10及び第2光源部20の照射時間を設定する。スケジュール情報は、例えば、光の照射の開始のタイミング及び終了のタイミングなどを示す情報であり、メモリ(図示せず)などに記憶されている。
【0054】
図示しないが、菌糸抑制装置1は、光の照射を開始及び停止するための操作スイッチが設けられていてもよい。また、菌糸抑制装置1は、電池を備えてもよく、外部電源からの電力を受けるためのコンセントプラグなどを備えてもよい。
【0055】
図3は、本実施の形態に係る菌糸抑制装置1の模式的な斜視図である。図3において、第1光源部10に含まれるLED13及び16には、密なドットの網掛けを付しており、第2含まれるLED23及び26には、疎なドットの網掛けを付している。なお、図3では、各フィルタの図示を省略している。各LEDからの光量は、例えば同じであるが、異なっていてもよい。
【0056】
菌糸抑制装置1では、図3に示されるように、複数のLED13、16、23及び26は面内に分散して配置されている。例えば、菌糸抑制装置1は、複数のLED13のみを点灯した場合に出射される紫色光の照射範囲と、複数のLED16のみを点灯した場合に出射されるUVB光の照射範囲と、複数のLED23のみを点灯した場合に出射される青色光と、複数のLED26のみを点灯した場合に出射されるUVA光の照射範囲とが互いに同じになるように構成されている。
【0057】
本実施の形態では、第1光源部10に含まれるLED13又は16の個数が、第2光源部20に含まれるLED23又は26の個数より多くなるように設けられている。具体的には、紫色光を発するLED13の個数が最も多く、UVB光を発するLED16、青色光を発するLED23、UVAを発するLED26の順で少なくなっている。これにより、紫色光の照射エネルギーが最も大きく、UVB光、青色光、UVA光の順で小さくなる。
【0058】
ここでは、各LEDの出力は同じ大きさであるが、異なっていてもよい。また、例えば、各LEDの個数が互いに同数であってもよい。この場合には、紫色光を発するLED13の出力が最も大きく、UVB光を発するLED16、青色光を発するLED23、UVAを発するLED26の順で小さくなってもよい。
【0059】
また、本実施の形態では、菌糸抑制装置1が紫色光源12、UVB光源15、青色光源22及びUVA光源25の4つの光源を備える例について示したが、これに限らない。菌糸抑制装置1は、紫色光源12及びUVB光源15の少なくとも一方と、青色光源22及びUVA光源25の少なくとも一方とを備えればよい。
【0060】
図4は、本実施の形態に係る菌糸抑制装置の別の構成を示すブロック図である。図4に示される菌糸抑制装置2は、図1に示される菌糸抑制装置1と比較して、第1光源部10及び第2光源部20の代わりに、第1光源部11及び第2光源部21を備える点が相違する。
【0061】
第1光源部11は、紫色光源12のみを有する。つまり、第1光源部11は、UVB光源15を有しない。
【0062】
第2光源部21は、青色光源22のみを有する。つまり、第2光源部21は、UVA光源25を有しない。
【0063】
このように、菌糸抑制装置2は、可視光を出射する光源のみを備え、紫外光を出射する光源を有しない。このため、紫外光に弱い樹脂材料などを用いて形成された部材が光の照射範囲に含まれる場合であっても、菌糸92の抑制処理を行うことができる。つまり、菌糸抑制装置2は、使用環境に制限が少なく、汎用性の高い菌糸抑制装置として実現される。
【0064】
[動作]
続いて、上述した菌糸抑制装置1の動作について、図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態に係る菌糸抑制装置1の動作と生物90の菌糸92の挙動とを示す図である。なお、菌糸抑制装置2の動作は、菌糸抑制装置1の動作と同じであるので、説明を省略する。
【0065】
まず、図5の(a)に示されるように、第1光源部10からの光を生物90に照射する。具体的には、制御部30が、第1光源部10に含まれるLED13及び16に電力を供給することで、LED13及び16を点灯させ、LED13及び16からの紫色光及びUVB光を生物90に照射する。なお、菌糸抑制装置2の場合は、LED13からの紫色光のみを生物90に照射する。紫色光及びUVB光が照射されることにより、菌糸92の成長が抑制される。
【0066】
次に、図5の(b)に示されるように、第2光源部20からの光を生物90に照射する。このとき、第1光源部10からの光の照射を停止する。具体的には、制御部30が、第2光源部20に含まれるLED23及び26に電力を供給することで、LED23及び26を点灯させ、LED23及び26からの青色光及びUVA光を生物90に照射する。このとき、制御部30は、第1光源部10に含まれるLED13及び16への電力の供給を停止するので、LED13及び16からの紫色光及びUVB光が生物90には照射されない。なお、菌糸抑制装置2の場合は、LED23からの青色光のみを生物90に照射する。
【0067】
青色光及びUVA光が照射されることにより、菌糸92の成長が促進される。具体的には、図5の(b)に示されるように、菌糸92は細長く伸びる。細長く伸びた菌糸92は、弱く破壊されやすくなる。
【0068】
次に、図5の(c)に示されるように、第1光源部10からの光を生物90に照射する。具体的な処理は、図5の(a)と同じである。紫色光及びUVB光が照射されることで、長く伸びた菌糸92は、更に弱り又は破壊される。また、このとき、新しい菌糸94の成長は抑制される。弱った菌糸92は、その後の成長が止まり、最終的に破壊される。
【0069】
以降、図5の(d)に示されるように、第2光源部20からの光の照射と第1光源部10からの光の照射とが繰り返される。繰り返された結果、新しい菌糸94及び96の成長が抑制される。
【0070】
[試験結果]
続いて、本実施の形態に係る菌糸抑制装置1又は2による効果を確認するために実際に行った試験結果について説明する。
【0071】
対象となる生物90の一例である試験菌として、ピンク酵母(ロドトルラ)を用いた。具体的には、菌密度を約10CFU/mLに調製した後、図6に示される比較例1、比較例2及び実施例の各条件下に曝した。その後、3日間培養を行い、菌数のカウントを行った。
【0072】
図6は、比較例1及び2と実施例とに係る光の照射時間の一例を示す図である。図6の(a)~(c)はそれぞれ、比較例1、比較例2及び実施例の各々の光の照射条件を示している。図6の(a)~(c)の各々において、横軸は時間を示している。
【0073】
図6の(a)に示されるように、比較例1では、試験菌を24時間、暗所に放置した。図6の(b)に示されるように、比較例2では、24時間、照射強度が500μW/cmで、ピーク波長が391nmの紫色光を試験菌に照射した。図6の(c)に示されるように、実施例では、照射強度が500μW/cmで、ピーク波長が391nmの紫色光の照射と、照射強度が500μW/cmで、ピーク波長が470nmの青色光の照射とを交互に繰り返し行った。紫色光の照射時間は2時間であり、青色光の照射は1時間であり、各々8回繰り返すことで、合計で24時間の照射を行った。
【0074】
図7は、比較例1及び2と実施例とに係る菌数平均値の時間変化を示す図である。図7において、横軸は経過時間を表し、縦軸は菌数平均値を表している。経過時間が24時間に達するまでの時間が図6の(b)及び(c)に示される光の照射時間に相当する。経過時間が24時間以降は、その後の放置時間である。24時間以降は、比較例1及び2並びに実施例のいずれも暗所で放置した。
【0075】
図7に示されるように、比較例1では、時間の経過とともに菌数が増加している。比較例2及び実施例では、光の照射を停止した時点(すなわち、24時間の経過時点)では、いずれも菌数が減少している。このとき、実施例の方が比較例2に比べて、1桁以上の菌数の減少が確認された。つまり、実施例の方が比較例2に比べて菌の抑制効果が高いことが分かる。この要因として、紫色光の照射だけでは、菌が紫色光に順応し、紫色光による抑制効果が弱まったことが考えられる。
【0076】
また、光の照射を停止した後(すなわち、24時間以降)においても、実施例では、菌数の増加がほとんど確認できなかったのに対して、比較例2においては菌数が徐々に増加した。このように、本実施の形態によれば、光の照射を停止した後における菌の増殖も抑制することができる。したがって、次に光を照射するまでのインターバル(無照射期間)を長く確保することができるので、省エネルギー化も実現することができる。
【0077】
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る菌糸抑制装置1又は2は、菌糸92を有する生物90に光を照射することで、菌糸92の成長を抑制する菌糸抑制装置であって、ピーク波長が380nm以上410nm以下の範囲に含まれる光を出射する紫色光源12、及び、ピーク波長が280nm以上350nm未満の範囲に含まれる光を出射するUVB光源15の少なくとも一方を有する第1光源部10又は11と、ピーク波長が350nm以上380nm未満の範囲に含まれる光を出射するUVA光源25、及び、ピーク波長が415nm以上480nm以下の範囲に含まれる光を出射する青色光源22の少なくとも一方を有する第2光源部20又は21とを備える。
【0078】
これにより、第1光源部10又は11からの光によって菌糸92の成長が抑制され、かつ、第2光源部20又は21からの光によって菌糸92の成長が促進される。菌糸92の成長の抑制と促進との2つの機能を有する光が照射されることにより、菌糸92の耐性がつきにくくなり、菌糸92を有する生物90の増殖を従来よりも効率良く抑制することができる。
【0079】
また、例えば、菌糸抑制装置1又は2は、さらに、第2光源部20又は21を点灯させた後、第1光源部10又は11を点灯させる制御部30を備える。
【0080】
これにより、第2光源部20又は21からの、菌糸92の成長を促進する光を生物90に照射した場合、菌糸92は細長く伸びて弱くなる。弱く伸びた菌糸92に対して、第1光源部10又は11からの、菌糸92の成長を抑制するための光が照射されることで、菌糸92が破壊されやすくなる。これにより、菌糸92を有する生物90の増殖を従来よりも効率良く抑制することができる。
【0081】
また、例えば、制御部30は、第1光源部10又は11を点灯させている期間には第2光源部20又は21を消灯し、第2光源部20又は21を点灯させている期間には第1光源部10又は11を消灯する。
【0082】
これにより、菌糸92の成長の促進と抑制とを分けることで、抑制効果を更に高めることができる。
【0083】
また、例えば、制御部30は、第1光源部10又は11の点灯と第2光源部20又は21の点灯とを交互に繰り返し行う。
【0084】
これにより、菌糸92を有する生物90の増殖を更に効率良く抑制することができる。
【0085】
また、例えば、第1光源部10は、紫色光源12と、UVB光源15とを有する。第2光源部20は、UVA光源25と、青色光源22とを有する。
【0086】
これにより、紫外光を利用することで、菌糸92を破壊することができるので、生物90の増殖を更に効率良く抑制することができる。
【0087】
また、例えば、第1光源部11は、紫色光源12及びUVB光源15のうち紫色光源12のみを有する。第2光源部21は、UVA光源25及び青色光源22のうち青色光源22のみを有する。
【0088】
これにより、菌糸抑制装置1は、紫外光を出射する光源を備えないので、紫外光に弱い樹脂材料などで形成されている部材に付着した、又は、当該部材の近傍に存在する生物90の増殖の抑制に利用することができる。このように、紫外光の光源を備える場合に比べて使用可能な環境の制限が少なく、菌糸抑制装置1の汎用性を高めることができる。
【0089】
また、例えば、第2光源部20又は21からの光の照射エネルギーは、第1光源部10又は11からの光の照射エネルギー以下である。
【0090】
これにより、細長く成長した菌糸92を十分に弱らせることができるので、生物90の増殖を更に効率良く抑制することができる。
【0091】
また、例えば、第2光源部20又は21からの光の照射積算量は、第1光源部10又は11からの光の照射積算量以下である。
【0092】
これにより、細長く成長した菌糸92を十分に弱らせることができるので、生物90の増殖を更に効率良く抑制することができる。
【0093】
また、例えば、第2光源部20又は21からの光の照射時間は、第1光源部10又は11からの光の照射時間以下である。
【0094】
これにより、細長く成長した菌糸92を十分に弱らせることができるので、生物90の増殖を更に効率良く抑制することができる。
【0095】
また、例えば、生物90は、黒カビ又はピンク酵母である。
【0096】
これにより、浴室若しくはキッチンなどの水廻り設備、又は、天井裏若しくは床下などの湿気が多い場所に発生しやすい黒カビ又はピンク酵母などの成長を効率良く抑制することができる。
【0097】
また、例えば、生物90は、緑膿菌であってもよい。
【0098】
緑膿菌は、免疫の低下した人物に感染した場合に、緑膿菌感染症を引き起こす恐れがある。菌糸抑制装置1又は2によれば、緑膿菌の成長が抑制されるので、病気の予防に役立てることができる。
【0099】
また、例えば、本実施の形態に係る菌糸抑制方法は、菌糸92を有する生物90に光を照射することで、菌糸92の成長を抑制する菌糸抑制方法であって、ピーク波長が380nm以上410nm以下の範囲に含まれる光、及び、ピーク波長が280nm以上350nm未満の範囲に含まれる光の少なくとも一方を生物90に照射する工程と、ピーク波長が350nm以上380nm未満の範囲に含まれる光、及び、ピーク波長が415nm以上480nm以下の範囲に含まれる光の少なくとも一方を生物90に照射する工程とを含む。
【0100】
これにより、上述した菌糸抑制装置1又は2と同様に、菌糸92を有する生物90の増殖を従来よりも効率良く抑制することができる。
【0101】
(その他)
以上、本発明に係る菌糸抑制装置及び菌糸抑制方法について、上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0102】
例えば、上記の実施の形態では、菌糸92を有する生物90として、黒カビ、ピンク酵母及び緑膿菌を例として示したが、これに限らない。例えば、生物90は、うどんこ病、いもち病などを発生させる糸状菌などであってもよい。
【0103】
また、上記の実施の形態に係る菌糸抑制装置1又は2及び菌糸抑制方法によればカビ及び酵母などの発生を抑制することができるので、カビ及び酵母などを餌とする害虫の発生も抑制することができる。例えば、カビ又は酵母を餌とするチャタテムシの発生を抑制することができる。これに伴って、さらに、チャタテムシを餌とするツメダニの発生も抑制することができる。
【0104】
このように、カビ及び酵母などの菌類の発生を抑制することで、人体に害をなす害虫の発生を抑制することができる。すなわち、上記実施の形態に係る菌糸抑制装置1又は2及び菌糸抑制方法は、害虫の駆除及び防除効果も間接的に有する。
【0105】
また、例えば、菌糸抑制装置1又は2からの光の照射範囲に、予め光触媒を配置しておいてもよい。菌糸抑制装置1又は2からの光が光触媒に照射されることで、光触媒が活性化されて菌糸92の分解を促進することができる。
【0106】
また、例えば、上記の実施の形態では、菌糸抑制装置1又は2は、光の種類毎にLED及びフィルタを備える例を示したが、1つの光源(LED)と2つ以上のフィルタとを備えてもよい。つまり、第1光源部と第2光源部とで、1つの光源を共有してもよい。例えば、1つの光源から出射される光が通過するフィルタを機械的に切り替えることで、2種類の光を出射させてもよい。あるいは、フィルタの光入射側又は光出射側に開閉可能な遮光壁が設けられ、当該遮光壁の開閉を切り替えることで、2種類の光を出射させてもよい。
【0107】
また、例えば、第1光源部10の点灯と第2光源部20の点灯とが同時に行われてもよい。例えば、制御部30は、第1光源部10を点灯している間に、第2光源部20を点灯させ、その後に、第1光源部10を消灯してもよい。同様に、制御部30は、第2光源部20を点灯している間に、第1光源部10を点灯させ、その後に、第2光源部20を消灯してもよい。このように、第1光源部10の点灯と第2光源部20の点灯とは、完全に時間排他的に行われなくてもよく、各々の点灯期間の一部が重複していてもよい。
【0108】
また、例えば、菌糸抑制装置1又は2は、浴室の排水口などに取り付けて使用されるが、これに限らない。菌糸抑制装置1又は2は、水又は水蒸気に触れうるあらゆる環境に適用することができる。
【0109】
例えば、菌糸抑制装置1又は2は、住宅などの一般家庭に利用することができる。具体的には、菌糸抑制装置1又は2は、トイレ、キッチン、洗面台、排水管などの水廻り設備に設置されてもよい。あるいは、菌糸抑制装置1又は2は、床下、天井裏、窓のサッシなどの結露しやすい部位に設置されてもよい。また、菌糸抑制装置1又は2は、風通しの悪い下駄箱、衣装ケース、押入れなどに設置されてもよい。
【0110】
また、例えば、菌糸抑制装置1又は2は、電気製品に設置されてもよい。具体的には、菌糸抑制装置1又は2は、食洗機、洗濯機、冷蔵庫、炊飯器、アルカリイオン整水器、掃除機、又は、換気扇、除湿器、乾燥機若しくは加湿器などの空調設備などに設置されてもよい。
【0111】
また、例えば、菌糸抑制装置1又は2は、農水畜産分野にも利用することができる。具体的には、菌糸抑制装置1又は2は、ビニルハウス、食品加工工場、と畜場、魚類配送センター、卸売市場などに設置されてもよい。例えば、食品加工工場には、缶詰、カット野菜、粉末、酒類、冷凍食品などの各種食品の加工工場が含まれる。また、菌糸抑制装置1又は2は、人工光を利用した植物工場、人工光と太陽光とを併用した施設園芸、露地栽培の外灯などに利用することができる。
【0112】
また、例えば、菌糸抑制装置1又は2は、工業分野にも利用することができる。例えば、菌糸抑制装置1又は2は、半導体ウェハの製造工場などの排水設備などに設置されてもよい。
【0113】
また、例えば、菌糸抑制装置1又は2は、オフィスビル、病院、介護施設、給食センター若しくは学校などの各種施設などの各種建造物に設置することもできる。また、例えば、菌糸抑制装置1又は2は、カフェ、レストラン、バーなどの飲食店、又は、花屋、ペットショップなどの小売店などの店舗に設置されてもよい。また、例えば、菌糸抑制装置1又は2は、スーパーマーケット又はデパートメントストアなどの食品売り場に設置されてもよい。具体的には、菌糸抑制装置1又は2は、天井を含む鮮魚コーナー又は冷蔵設備付近に利用されてもよい。
【0114】
また、上記の実施の形態において、制御部30及び時間設定部40などの構成要素は、専用のハードウェアで構成されてもよく、あるいは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0115】
なお、本発明は、菌糸抑制装置として実現できるだけでなく、菌糸抑制装置の各構成要素が行う処理をステップとして含むプログラム、及び、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なDVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体として実現することもできる。
【0116】
つまり、上述した包括的又は具体的な態様は、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0117】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0118】
1、2 菌糸抑制装置
10、11 第1光源部
12 紫色光源(第1光源)
15 UVB光源(第2光源)
20、21 第2光源部
22 青色光源(第4光源)
25 UVA光源(第3光源)
30 制御部
90 生物
92、94、96 菌糸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7