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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】調理器及び調理物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/04 20060101AFI20221223BHJP
【FI】
A47J43/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018191836
(22)【出願日】2018-10-10
(65)【公開番号】P2019072480
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2017198180
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】片岡 章
(72)【発明者】
【氏名】新田 浩朗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 歩
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-094662(JP,A)
【文献】特開昭59-059170(JP,A)
【文献】特開2013-051924(JP,A)
【文献】特開平08-056636(JP,A)
【文献】米国特許第05074201(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/04
A23P 30/10 - 30/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を粉砕する粉砕部と、
前記粉砕部で粉砕された食材を成形して調理物を製造する成形部と、
前記粉砕部と前記成形部とを収容する筐体と、
を備える、調理器において、
前記粉砕部は、
食材が入れられる有底円筒形の食材粉砕室と、
回転軸を中心に回転するミル羽根と、を備え、
前記成形部は、前記回転軸の延在方向から見て前記粉砕部の外側に前記食材粉砕室の全体を覆うように配置され、
前記食材粉砕室の側壁は、複数の貫通穴を有する円筒形のフィルタ部で構成され、
前記フィルタ部は、前記食材粉砕室と前記成形部とを連通し且つ前記粉砕部で粉砕された食材を通過させる、調理器
【請求項2】
前記成形部は、
前記粉砕部で粉砕された食材を収容する収容空間を構成する壁の一部である固定壁と、
前記固定壁に対して相対移動し、前記収容空間の体積を可変する可動壁と、
を備える、請求項に記載の調理器。
【請求項3】
前記収容空間の体積が予め決められた体積以下になるまで、前記可動壁が前記固定壁に
対して相対移動されたとき、前記収容空間が閉塞空間となるように構成されている、請求項に記載の調理器。
【請求項4】
前記筐体内に収容され、前記調理物を乾燥させる調理物乾燥部を更に備える、請求項1~のいずれか1つに記載の調理器。
【請求項5】
前記調理物乾燥部は、前記成形部に前記調理物を乾燥させる熱を供給するように構成されている、請求項に記載の調理器。
【請求項6】
前記筐体内に収容され、前記食材を乾燥させる食材乾燥部を更に備え、
前記粉砕部は、前記食材乾燥部によって乾燥された食材を粉砕するように構成されている、請求項又はに記載の調理器。
【請求項7】
前記食材乾燥部と前記調理物乾燥部とは、前記食材及び前記調理物を乾燥させる熱を生成する同一の熱源を備える、請求項に記載の調理器。
【請求項8】
前記粉砕部の重力方向の上側に配置され、前記食材を収容する食材収容部と、
前記食材収容部に収容された食材を押圧して移動させ、前記粉砕部に落下させる食材押圧部と、を更に備え、
前記食材乾燥部は、前記食材収容部に前記食材を乾燥させる熱を供給するように構成されている、請求項又はに記載の調理器。
【請求項9】
筐体内において食材を粉砕する粉砕工程と、
前記筐体内において前記粉砕工程で粉砕された食材を成形して調理物を製造する成形工程と、
を含む、請求項1~8のいずれか1つに記載の調理器を用いた調理物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕した果物等の食材を成形して調理物を製造する調理器、及び当該調理物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、粉砕した果物等の食材を棒状に成形した調理物であるシリアルバーやドライフードバーが広く知られている。
【0003】
従来、果物等の食材を粉砕する調理器として、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1には、筐体内に設けたカッタを回転させて、果物等の食材を粉砕する調理器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-199943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の調理器では、食材を粉砕する機能を有しているが、粉砕した食材を成形して調理物に仕上げることはできない。
【0006】
従って、本発明の目的は、前記問題を解決することにあって、果物等の食材を粉砕し、当該粉砕した食材を成形して調理物を製造することができる調理器、及び当該調理物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明に係る調理器は、食材を粉砕する粉砕部と、
前記粉砕部で粉砕された食材を成形して調理物を製造する成形部と、
前記粉砕部と前記成形部とを収容する筐体と、
を備える。
【0008】
また、本発明に係る調理器の製造方法は、
筐体内において食材を粉砕する粉砕工程と、
前記筐体内において前記粉砕工程で粉砕された食材を成形して調理物を製造する成形工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、果物等の食材を粉砕し、当該粉砕した食材を成形して調理物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る調理器のブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る調理器の第1変形例を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る調理器の第2変形例を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る調理器の第3変形例を示すブロック図である。
図5】本発明の第1実施例に係る調理器の縦断面図である。
図6】本発明の第1実施例に係る調理器の横断面図であって、食材を粉砕するときの様子を示す図である。
図7】本発明に第1実施例に係る調理器の横断面図であって、粉砕された食材を成形するときの様子を示す図である。
図8】本発明の第2実施例に係る調理器を正面から見た縦断面図である。
図9】本発明の第2実施例に係る調理器を側面から見た縦断面図である。
図10】本発明の第3実施例に係る調理器の全体構成を示す斜視図である。
図11図10の調理器の一部の部品を取り外した状態を示す斜視図である。
図12図10の調理器の一部の部品を取り外した状態を示す斜視図である。
図13図10の調理器の一部の部品を取り外した状態を示す斜視図である。
図14図10の調理器の一部の部品を取り外した状態を示す斜視図である。
図15】互いに連結される2つの押圧羽根を斜め上方から見た分解斜視図である。
図16】互いに連結される2つの押圧羽根を斜め下方から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
本発明者らは、果物等の食材を粉砕し、当該粉砕した食材を成形して調理物を製造するために、鋭意検討した結果、以下の新規な知見を得た。
【0012】
従来、この種の調理物を製造する場合、特許文献1のような調理器によって果物などの食材を粉砕し、当該粉砕した食材を成形器に移し替えて当該成形器内で成形するようにしている。すなわち、食材を粉砕する調理器と、粉砕した食材を成形する成形器とが別々の装置であり、粉砕した食材を調理器から成形器に移し替える作業が必要である。
【0013】
これに対し、本発明者らは、例えば、乾燥した果物をカッタなどで粉砕した場合、果物の切断面に果物自体が有する糖分があらわれ、当該糖分を結合材として調理物の成形に利用できることを見出した。また、本発明者らは、前記糖分を結合材として調理物の成形に利用することで、粉砕器と成形器とを別々の装置として設けず、粉砕と成形とを同じ筐体内で行えることを見出した。この新規な知見に基づき、本発明者らは以下の発明に至った。
【0014】
本発明の第1態様によれば、食材を粉砕する粉砕部と、
前記粉砕部で粉砕された食材を成形して調理物を製造する成形部と、
前記粉砕部と前記成形部とを収容する筐体と、
を備える、調理器を提供する。
【0015】
本発明の第2態様によれば、前記粉砕部と前記成形部との間に設けられたフィルタ部を更に備え、
前記フィルタ部は、前記粉砕部と前記成形部とを連通し且つ前記粉砕部で粉砕された食材を通過させる複数の貫通穴を有する、第1態様に記載の調理器を提供する。
【0016】
本発明の第3態様によれば、前記粉砕部は、回転軸を中心に回転するミル羽根を備え、
前記成形部は、前記回転軸の延在方向から見て前記粉砕部の外側に配置されている、
第1又は2態様に記載の調理器を提供する。
【0017】
本発明の第4態様によれば、前記成形部は、
前記粉砕部で粉砕された食材を収容する収容空間を構成する壁の一部である固定壁と、
前記固定壁に対して相対移動し、前記収容空間の体積を可変する可動壁と、
を備える、第1~3態様のいずれか1つに記載の調理器を提供する。
【0018】
本発明の第5態様によれば、前記収容空間の体積が予め決められた体積以下になるまで、前記可動壁が前記固定壁に対して相対移動されたとき、前記収容空間が閉塞空間となるように構成されている、第4態様に記載の調理器を提供する。
【0019】
本発明の第6態様によれば、前記筐体内に収容され、前記調理物を乾燥させる調理物乾燥部を更に備える、第1~5態様のいずれか1つに記載の調理器を提供する。
【0020】
本発明の第7態様によれば、前記調理物乾燥部は、前記成形部に前記調理物を乾燥させる熱を供給するように構成されている、第6態様に記載の調理器を提供する。
【0021】
本発明の第8態様によれば、前記筐体内に収容され、前記食材を乾燥させる食材乾燥部を更に備え、
前記粉砕部は、前記食材乾燥部によって乾燥された食材を粉砕するように構成されている、第6又は7態様に記載の調理器を提供する。
【0022】
本発明の第9態様によれば、前記食材乾燥部と前記調理物乾燥部とは、前記食材及び前記調理物を乾燥させる熱を生成する同一の熱源を備える、第8態様に記載の調理器を提供する。
【0023】
本発明の第10態様によれば、前記粉砕部の重力方向の上側に配置され、前記食材を収容する食材収容部と、
前記食材収容部に収容された食材を押圧して移動させ、前記粉砕部に落下させる食材押圧部と、を更に備え、
前記食材乾燥部は、前記食材収容部に前記食材を乾燥させる熱を供給するように構成されている、第8又は9態様に記載の調理器を提供する。
【0024】
本発明の第11態様によれば、筐体内で食材を粉砕する粉砕工程と、
前記筐体内において前記粉砕工程で粉砕された食材を成形して調理物を製造する成形工程と、
を含む、調理物の製造方法を提供する。
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0026】
また、以下では、説明の便宜上、通常使用時の状態を想定して「上」、「下」、「側」、「底」等の方向を示す用語を用いている。しかしながら、これらの用語は、本発明の調理器の使用状態等を限定することを意味するものではない。
【0027】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る調理器のブロック図である。
【0028】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る調理器は、果物等の食材を粉砕する粉砕部1と、粉砕部1で粉砕された食材を成形して調理物を製造する成形部2と、粉砕部1と成形部2とを収容する筐体10とを備えている。
【0029】
粉砕部1は、例えば、食材を内部に収容し、当該内部で食材を切断するカッタ等のミル羽根をモータ等の駆動源により回転させることにより、食材を粉砕するように構成されている。
【0030】
本実施形態においては、食材として、乾燥させた果物や野菜などを用いる。食材は、例えば、マンゴー、パパイヤ、パイナップルなどをあらかじめ乾燥させた果物(いわゆる、ドライフルーツ)である。ここで、「乾燥」とは、自然乾燥又は熱乾燥により食材中の水分がほぼ蒸発した状態のことをいう。
【0031】
成形部2は、例えば、予め決められた形状の型を有し、当該型に粉砕された食材を押し込んで成形し、調理物を製造するように構成されている。
【0032】
筐体10は、粉砕部1と成形部2とを内部に収容するサイズを有するものである。筐体10には、例えば、モータ等の駆動源を制御する制御部と、当該制御部に駆動源の駆動の開始又は終了を指示する操作部とが設けられている。
【0033】
本実施形態に係る調理器によれば、1つの筐体10内に粉砕部1と成形部2とが収容されているので、果物等の食材を粉砕し、当該粉砕した食材を成形して調理物を製造することを1つの筐体10内で一貫して効率良く行うことができる。
【0034】
なお、食材は、1種類に限定されるものではなく、2種類以上の組み合わせであってもよい。また、食材には、例えば、オートミール、全粒粉、胡麻等の果物や野菜以外の食材が適宜加えられてもよい。また、食材には、ヘーゼルナッツ、アーモンド、ウォールナッツなどのナッツ類が適宜加えられてもよい。この場合、ナッツ類が食材から出る水分を吸収し、調理物をより成形し易くすることができる。また、食材には、ココナッツオイルや蜂蜜等の粘度を有する液体が加えられてもよい。この場合、食材が果物ではなく、切断面に糖分があらわれるものでなくても、前記粘度を有する液体が結合材として機能し、調理物をより成形し易くすることができる。
【0035】
次に、本発明の実施形態に係る調理器を用いた調理物の製造方法の一例について説明する。
【0036】
まず、筐体10内で食材を粉砕する粉砕工程を行う。
【0037】
具体的には、使用者が粉砕部1に乾燥した食材を入れる。その後、使用者が筐体10の操作部を操作することにより、制御部を介して駆動源が駆動され、粉砕部1内のミル羽根が回転する。ミル羽根が回転することにより、乾燥した食材が粉砕される。例えば、乾燥した食材が果物である場合、ミル羽根により粉砕された食材の切断面には、糖分があらわれる。
【0038】
次いで、筐体10内において粉砕工程で粉砕された食材を成形して調理物を製造する成形工程を行う。
【0039】
具体的には、粉砕部1で粉砕された果物を、例えば、ミル羽根の遠心力を利用して成形部2が有する型に押し込む。例えば、粉砕された食材の切断面に糖分がある場合、粉砕された食材同士が糖分を介して結合する。これにより、粉砕された食材が固められて成形され、調理物が製造される。
【0040】
なお、成形部2にて製造した調理物に含まれる水分が多い場合、調理物が十分に固まらずに、ばらつくおそれがある。このため、図2に示すように、筐体10内に調理物を乾燥させる調理物乾燥部(第二乾燥部ともいう)3を更に設けてもよい。これにより、より堅く成形された調理物を得ることができる。調理物乾燥部3は、例えば、熱源としてヒータを備え、当該ヒータによって成形部2内の調理物に熱を伝達するように構成されてもよい。また、調理物乾燥部3は、例えば、粉砕部1が備える駆動源の排熱等を利用して成形部2内の調理物に熱を伝達するように構成されてもよい。調理物乾燥部3が調理物に熱を伝達することにより、調理物内の食材同士の結合力が向上し、より固まり易くすることができる。
【0041】
なお、前記では、調理物乾燥部3が成形部2内の調理物に熱を伝達するように構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、調理物乾燥部3は、成形部2から取り外した調理物に対して熱を伝達するように構成されてもよい。但し、調理物乾燥部3が成形部2内の調理物に熱を伝達するように構成した方が、乾燥のために調理物を成形部2内から取り外す手間を軽減することができ、使い勝手を向上させることができる。
【0042】
また、前記では、乾燥させた食材を用いるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、生の果物などの未乾燥の食材を用いてもよい。但し、未乾燥の食材を粉砕部1で粉砕すると、ジュース状になり、食材は粒状に粉砕され難い。このため、図3に示すように、筐体10内に食材を乾燥させる食材乾燥部(第一乾燥部ともいう)4を更に設けてもよい。食材乾燥部4が未乾燥の食材を乾燥させることで、乾燥した食材を得ることができる。この場合、粉砕部1は、食材乾燥部4によって乾燥された食材を粉砕するように構成されていればよい。食材乾燥部4は、例えば、ヒータとファンとにより熱風を生成するように構成されてもよい。また、食材乾燥部4は、例えば、フリーズドライ技術により調理物を乾燥させるように構成されてもよい。
【0043】
また、図4に示すように、筐体10内に調理物乾燥部3及び食材乾燥部4の両方を更に設けてもよい。この場合、乾燥した食材を得ることができるとともに、より堅く成形された調理物を得ることができる。
【0044】
また、食材乾燥部4が未乾燥の食材を乾燥させることで、半乾燥した食材を得ることができる。ここで、「半乾燥」とは、自然乾燥による乾燥ではなく、水分が完全に蒸発しない程度(すなわち食材中に水分がある程度残った状態)まで、意図的に熱を加えて乾燥させることをいう。例えば、ヒータとファンとにより熱風を送る量や時間を制御することで、半乾燥した食材を得ることができる。また、食材の種類や大きさに合わせて熱風を送る量や時間を最適な半乾燥状態に調整してもよい。この場合、食材乾燥部4で半乾燥した食材を得ることができ、粉砕部1で粉砕された半乾燥の食材が、成形部2内で変形した状態で調理物乾燥部3によりさらに乾燥されて固まるため、調理物内の食材同士の結合力がさらに向上し、調理物がより固まり易くなる。そのため、食材乾燥部4を用いて調理物の成型をより容易にすることができる。
【0045】
(第1実施例)
本発明の実施形態に係る調理器の具体的構成例である第1実施例に係る調理器を説明する。図5は、本発明の第1実施例に係る調理器の縦断面図である。図6は、本発明の第1実施例に係る調理器の横断面図であって、食材を粉砕するときの様子を示す図である。図7は、本発明に第1実施例に係る調理器の横断面図であって、粉砕された食材を成形するときの様子を示す図である。
【0046】
本第1実施例に係る調理器は、食材5を粉砕する粉砕部1と、粉砕部1で粉砕された食材5aを成形して調理物5Aを製造する成形部2と、調理物5Aを乾燥させる調理物乾燥部3と、粉砕部1と成形部2と調理物乾燥部3を収容する筐体10と、を備えている。
【0047】
粉砕部1は、食材5が入れられる食材粉砕室11と、食材粉砕室11の内部に配置され、回転軸12を中心に回転するミル羽根13とを備えている。
【0048】
本第1実施例において、食材粉砕室11は、有底円筒形の容器で構成されている。食材粉砕室11の上方開口部には、蓋体14が着脱自在に取り付けられている。蓋体14には、外部から食材粉砕室11内へ食材5を投入するための食材投入筒15が設けられている。食材投入筒15の内径は、手指が食材投入筒15を通じてミル羽根13に接触しない大きさに設計されている。
【0049】
本第1実施例において、ミル羽根13は、回転軸12の一端部12aに取り付けられている。ミル羽根13は、刃先を有してもよいし、刃先を有さなくてもよい。回転軸12は、食材粉砕室11の底壁の中心部を貫通して筐体10の内部空間に延在している。筐体10の内部空間において、回転軸12の中間部には、回転軸12を軸周りに回転させる回転駆動力を発生させる駆動源の一例であるモータ16が取り付けられている。また、回転軸12の他端部12bには、調理物乾燥部3の一部を構成する送風ファン31が取り付けられている。
【0050】
成形部2は、回転軸12の延在方向(図6では紙面方向)から見て粉砕部1の外側に配置されている。粉砕部1と成形部2との間には、フィルタ部6が設けられている。フィルタ部6は、粉砕部1と成形部2とを連通し且つ粉砕部1で粉砕された食材5aを通過させる複数の貫通孔6aを有している。複数の貫通孔6aは、例えば、格子状に配列されている。ミル羽根13によって粉砕された食材5aは、ミル羽根13の遠心力によって複数の貫通孔6aを通じて成形部2の収容空間S1に移動する。このとき、複数の貫通穴6aの大きさに応じて、収容空間S1に移動する食材5aの大きさを制御することができる。なお、複数の貫通孔6aは、粉砕部1で粉砕された食材5aの全部を通過させるものに限定されるものはなく、粉砕部1で粉砕された食材5aの少なくとも一部を通過させるように構成されていればよい。
【0051】
本第1実施例において、フィルタ部6は、食材粉砕室11の円筒形の側壁で構成されている。言い換えれば、食材粉砕室11の側壁は、複数の貫通孔6aを有する円筒形のフィルタ部6で構成されている。
【0052】
また、成形部2は、粉砕部1で粉砕された食材5aを収容する収容空間S1を構成する壁の一部である固定壁21と、固定壁21に対して相対移動し、収容空間S1の体積を可変する可動壁22とを備えている。収容空間S1は、予め決められた形状の型となる空間である。
【0053】
本第1実施例において、固定壁21と可動壁22とは、図6及び図7に示すように、円筒形のフィルタ部6の円周方向X1に対して交差(例えば、直交)する方向に延在するように設けられている。また、固定壁21と可動壁22とは、フィルタ部6の円周方向X1に互いに対向するように設けられている。また、本第1実施例においては、4つの固定壁21と4つの可動壁22とが、回転軸12を中心として均等間隔(すなわち、90度間隔)で設けられている。収容空間S1に移動した食材5aは、可動壁22が固定壁21に向けて収容空間S1の体積を小さくするように移動されることで、可動壁22と固定壁21との間で圧縮されて成形される。これにより、調理物5Aが製造される。
【0054】
また、本第1実施例においては、収容空間S1の体積が予め決められた体積以下になるまで、可動壁22が固定壁21に対して相対移動されたとき、収容空間S1が閉塞空間となるように構成されている。すなわち、図7に示すように、可動壁22が固定壁21に近づくように回転軸12を中心として回転されたとき、収容空間S1は、フィルタ部6の複数の貫通孔6aを通じて粉砕部1の食材粉砕室11内と連通しないようになっている。これにより、可動壁22と固定壁21との間で圧縮される調理物5Aの一部が食材粉砕室11内に戻ることを抑えることができる。なお、「閉塞空間」は、密閉空間である必要はなく、調理物5Aの一部が抜け出さないように、圧縮空気を逃がす程度の僅かな隙間を有する空間であってもよい。
【0055】
成形部2にて成形された調理物5Aは、調理物乾燥部3によって乾燥される。調理物乾燥部3は、成形部2に調理物5Aを乾燥させる熱を供給するように構成されている。本第1実施例において、調理物乾燥部3は、図5に示すように、送風ファン31と、ヒータ32とを備えている。
【0056】
送風ファン31は、モータ16の回転駆動力を受けて回転軸12を中心として回転することにより、風を発生させるように構成されている。ヒータ32は、送風ファン31の風の流れ方向の下流側に配置され、調理物5Aを乾燥させる熱を発生させるように構成されている。
【0057】
送風ファン31とヒータ32とは、筐体10の内部空間において粉砕部1及び成形部2の下方に配置されている。筐体10は、内側面10aと成形部2の外側面2aとの間に送風ファン31から発生した風が通り抜ける流路F1を形成するように構成されている。送風ファン31から発生した風は、ヒータ32によって加熱されて熱風となる。当該熱風が図5にて2点鎖線の矢印で示すように、流路F1を通じて外部に通り抜ける過程で、成形部2内の調理物5Aが乾燥される。
【0058】
成形部2は、フィルタ部6の表面に沿って着脱可能に構成されている。成形部2がフィルタ部6の表面に沿って上方に移動されることにより、成形部2の収容空間S1で製造された調理物5Aも上方に移動する。成形部2が筐体10から完全に引き抜かれると、フィルタ部6の外側面に対向していた調理物5Aの内側面が外部に露出し、調理物5Aが取り外し可能になる。
【0059】
また、筐体10には、モータ16、送風ファン31、及びヒータ32を制御する制御部(図示せず)と、当該制御部にモータ16、送風ファン31、及びヒータ32の駆動の開始又は終了を指示する操作部(図示せず)とが設けられている。
【0060】
次に、本発明の第1実施例に係る調理器を用いた調理物の製造方法の一例について説明する。
【0061】
まず、使用者が粉砕部1に乾燥した食材5を入れる。その後、使用者が筐体10の操作部を操作することにより、制御部を介してモータ16が駆動され、粉砕部1内のミル羽根13が回転軸12を中心として回転する。ミル羽根13が回転することにより、乾燥した食材5が粉砕される。
【0062】
粉砕部1で粉砕された食材5aは、ミル羽根13の遠心力を利用してフィルタ部6の複数の貫通孔6aを通過し、成形部2の収容空間S1に移動する。その後、収容空間S1の体積が予め決められた体積以下になるまで、可動壁22が固定壁21に対し可動壁22が固定壁21に近づくように回転軸12を中心として回転させる。これにより、粉砕された食材5aが固められて成形され、調理物5Aが製造される。
【0063】
その後、使用者が筐体10の操作部を操作することにより、制御部を介して送風ファン31及びヒータ32が駆動され、送風ファン31から発生した風がヒータ32によって加熱されて熱風となり、流路F1を通じて流れる。これにより、成形部2内の調理物5Aが乾燥される。
【0064】
その後、成形部2がフィルタ部6の表面に沿って上方に移動され、成形部2が筐体10から完全に引き抜かれると、フィルタ部6の外側面に対向していた調理物5Aの内側面が外部に露出し、調理物5Aが取り外し可能になる。
【0065】
本第1実施例に係る調理器によれば、1つの筐体10内に粉砕部1と成形部2と調理物乾燥部3とが収容されているので、食材5を粉砕し、当該粉砕した食材5aを成形して調理物5Aを製造することを筐体10内で効率良く行うことができる。
【0066】
また、本第1実施例に係る調理器においては、粉砕部1と成形部2との間に設けられたフィルタ部6を備え、フィルタ部6は、粉砕部1と成形部2とを連通し且つ粉砕部1で粉砕された食材5aを通過させる複数の貫通穴6aを有している。この構成によれば、複数の貫通穴6aの大きさ以下に粉砕された食材5aのみを、収容空間S1に移動させることができる。
【0067】
また、本第1実施例に係る調理器においては、粉砕部1が回転軸12を中心に回転するミル羽根13を備え、成形部2が回転軸12の延在方向から見て粉砕部1の外側に配置されている。この構成によれば、ミル羽根13の遠心力を利用して、ミル羽根13によって粉砕した食材5aを成形部2へ移動させることができる。従って、粉砕部1から成形部2へ食材5aを移動させるために別途装置を設ける必要性を無くすことができる。
【0068】
また、本第1実施例に係る調理器においては、成形部2が、粉砕部1で粉砕された食材5aを収容する収容空間S1を構成する壁の一部である固定壁21と、固定壁21に対して相対移動し、収容空間S1の体積を可変する可動壁22とを備えている。この構成によれば、収容空間S1の体積が小さくなるように、固定壁21に向けて可動壁22を移動させることで、収容空間S1に収容された食材5aを固定壁21と可動壁22との間で圧縮して成形し、調理物5Aを製造することができる。
【0069】
また、本第1実施例に係る調理器においては、収容空間S1の体積が予め決められた体積以下になるまで、可動壁22が固定壁21に対して相対移動されたとき、収容空間S1が閉塞空間となるように構成されている。この構成によれば、可動壁22と固定壁21との間で圧縮される調理物5Aの一部が食材粉砕室11内に戻ることを抑えることができる。
【0070】
なお、前記では、調理物乾燥部3を送風ファン31とヒータ32とで構成するようにしたが、本発明はこれに限定されない。送風ファン31は、必ずしも設ける必要はない。また、送風ファン31は、モータ16の冷却の用途に用いてもよい。また、ヒータ32を設けず、モータ16の駆動により発生する熱で送風ファン31の風を加熱して熱風とし、当該熱風を流路F1に流すようにしてもよい。
【0071】
(第2実施例)
本発明の第2実施例に係る調理器を説明する。図8は、本発明の第2実施例に係る調理器を正面から見た縦断面図である。図9は、本発明の第2実施例に係る調理器を側面から見た縦断面図である。
【0072】
本第2実施例に係る調理器が、前記第1実施例に係る調理器と主として異なる点は、粉砕部1が成形部2の上方に配置され、ミル羽根13の遠心力に加えて重力も利用して、粉砕部1で粉砕された食材5aが成形部2に移動されるように構成している点である。
【0073】
本第2実施例において、粉砕部1の回転軸12は、上下方向でなく、横方向に延在するように構成されている。このため、ミル羽根13の遠心力は、下方向に働くようになっている。
【0074】
また、本第2実施例において、フィルタ部6は、粉砕部1の底壁に構成されている。粉砕部1で粉砕された食材5aは、図8及び図9に示すように、ミル羽根13の遠心力及び重力により、フィルタ部6の複数の貫通孔6aを通じて成形部2の収容空間S1に移動される。
【0075】
また、本第2実施例において、成形部2の可動壁22は、直線方向に移動するように構成されている。筐体10には、可動壁22を移動させる駆動源の一例であるモータ23が設けられている。筐体10に設けられた制御部(図示せず)はモータ23を制御し、操作部は、モータ23の駆動の開始又は終了を指示するように構成されている。
【0076】
また、本第2実施例において、調理物乾燥部3は、送風ファン31を備えず、ヒータ32が収容空間S1の固定壁21に取り付けられるように構成されている。ヒータ32は、面状のヒータで構成されている。
【0077】
次に、本発明の第2実施例に係る調理器を用いた調理物の製造方法の一例について説明する。
【0078】
まず、使用者が粉砕部1に乾燥した食材5を入れる。その後、使用者が筐体10の操作部を操作することにより、制御部を介してモータ16が駆動され、粉砕部1内のミル羽根13が回転軸12を中心として回転する。ミル羽根13が回転することにより、乾燥した食材5が粉砕される。
【0079】
粉砕部1で粉砕された食材5aは、ミル羽根13の遠心力及び重力を利用してフィルタ部6の複数の貫通孔6aを通過し、成形部2の収容空間S1に移動する。その後、使用者が筐体10の操作部を操作することにより、制御部を介してモータ23が駆動され、収容空間S1の体積が予め決められた体積以下になるまで、可動壁22が固定壁21に対し可動壁22が固定壁21に近づくように移動される。これにより、粉砕された食材5aが固められて成形され、調理物5Aが製造される。
【0080】
その後、使用者が筐体10の操作部を操作することにより、制御部を介してヒータ32が駆動され、成形部2内の調理物5Aがヒータ32によって直接的に乾燥される。
【0081】
成形部2内の調理物5Aは、フィルタ部6の表面に沿って上方に移動され、成形部2が筐体10から完全に引き抜かれると、フィルタ部6の外側面に対向していた調理物5Aの内側面が外部に露出し、調理物5Aが取り外し可能になる。
【0082】
本第2実施例に係る調理器によれば、1つの筐体10内に粉砕部1と成形部2と調理物乾燥部3が収容されているので、食材5を粉砕し、当該粉砕した食材5aを成形して調理物5Aを製造することを筐体10内で効率良く行うことができる。
【0083】
(第3実施例)
本発明の第3実施例に係る調理器を説明する。図10は、本発明の第3実施例に係る調理器の全体構成を示す斜視図である。図11図14は、それぞれ図10の調理器の一部の部品を取り外した状態を示す斜視図である。
【0084】
本第3実施例に係る調理器が、前記第1実施例に係る調理器と主として異なる点は、食材収容部7と、食材押圧部の一例である押圧羽根8と、食材乾燥部4とを更に備え、食材乾燥部4で生成された熱が食材収容部7に供給されるように構成されている点である。
【0085】
食材収容部7は、粉砕部1の上下方向(重力方向ともいう)の上側に配置され、食材5を収容するように構成されている。本第3実施例において、食材収容部7は、食材5として未乾燥の食材5bを収容するように構成されている。未乾燥の食材5bは、食材乾燥部4(図13参照)で生成された熱が食材収容部7に供給されることにより、乾燥した食材5となる。
【0086】
食材収容部7は、上蓋71と、3つの食材容器72,73,74と、載置台75とを備えている。上蓋71と3つの食材容器72,73,74と載置台75とは、上下方向に積層されている。
【0087】
上蓋71は、最上段の食材容器72の上方開口部を着脱自在に覆うように構成されている。上蓋71には、例えば、シリアルやナッツなどの乾燥不要の食材を投入するための投入口(図示せず)が設けられ、当該投入口を覆うように、図10に示す投入口蓋71aが着脱自在に取り付けられている。
【0088】
本第3実施例において、3つの食材容器72,73,74は、同様の構成を有している。このため、以下では、食材容器72の構成を代表して説明する。
【0089】
食材容器72は、図11に示すように、有底円筒形に構成されている。食材容器72の底壁には、投入口蓋71aに対向する位置に貫通穴72aが設けられている。貫通穴72aは、粉砕部1の上方に設けられ、食材容器72に収容された食材5を、重力を利用して粉砕部1に導く食材落下通路P1の一部を構成する。
【0090】
また、食材容器72の底壁には、貫通穴72aに対応する部分を切り欠いた環状の複数のリブ72bが設けられている。複数のリブ72bは、同心円状に間隔を空けて配置されている。複数のリブ72bの上に未乾燥の食材5bが載置されることで、食材5が食材容器72の底壁に張り付くことを抑えることができる。
【0091】
また、食材容器72の底壁には、リブ72bと重ならない位置に複数の連通孔72cが設けられている。食材乾燥部4で生成された熱が複数の連通孔72cを通じて食材容器72内に取り込まれることで、食材容器72内の未乾燥の食材5bが乾燥され、乾燥した食材5となる。連通孔72cの大きさは、食材5が落下しないように食材5よりも小さく設計されている。
【0092】
食材容器72の底壁の中心部には、押圧羽根8が着脱自在に取り付けられている。押圧羽根8は、食材容器72に収容された食材5を押圧して移動させ、貫通穴72aを通じて粉砕部1に落下させるように構成されている。これにより、食材5を適切なタイミングで粉砕部1に落下させることができる。食材5を落下させるタイミングは、食材5の種類やサイズに合わせて予め設定した時間であってもよく、食材5の乾燥状態を検知して決定してもよい。
【0093】
押圧羽根8は、図11に示すように、軸部81と、羽根部82とを備えている。軸部81は、食材容器72の底壁の中心部に軸周りに回転可能に取り付けられている。羽根部82は、軸部81を中心として食材容器72の底壁の複数のリブ72bに沿って回転するように構成されている。羽根部82が軸部81を中心として回転することで、食材容器72に収容された食材5が羽根部82に押圧されて移動し、貫通穴72aを通じて粉砕部1へ落下する。押圧羽根8は、各食材容器72に設けられている。3つの食材容器72,73,74に設けられる3つの押圧羽根8は、同様の構造を有し、上下方向に直列に連結されるように構成されている。
【0094】
図15は、互いに連結される2つの押圧羽根8を斜め上方から見た分解斜視図である。図16は、互いに連結される2つの押圧羽根8を斜め下方から見た分解斜視図である。
【0095】
図15及び図16に示すように、軸部81は、円筒部81aと、円筒部81aの上方開口部を塞ぐ天壁部81bとを備えている。
【0096】
天壁部81bの上面外周部には、上方へ突出する突起部81cが設けられている。本第3実施例において、突起部81cは、約120度の略円弧状に形成されている。突起部81cの一端部は、平面視において、軸部81と羽根部82との接続部の近傍に位置している。円筒部81aの内周壁には、中心側に向けて突出し、下方の押圧羽根8の突起部81cに係合可能な係合片81dが設けられている。3つの食材容器72,73,74に設けられる3つの押圧羽根8は、各突起部81cの一端部と係合片81dとが係合した状態のとき、上下方向に重なって位置するように構成されている。また、3つの押圧羽根8は、各突起部81cの他端部と係合片81dとが係合した状態のとき、平面視において、羽根部82が約120度間隔で位置するように構成されている。3つの押圧羽根8がこのように構成されることにより、食材容器72,73,74に収容された食材5は、時間差を持って食材落下通路P1を通じて粉砕部1に落下されることになる。これにより、例えば、一度に食材5が落下することにより、食材落下通路P1が詰まるようなことを抑えることができる。
【0097】
最下段の食材容器74は、載置台75に載置される。載置台75は、図12に示すように、有底円筒形に構成されている。載置台75の外形は、食材容器72,73,74と同様である。載置台75の底壁には、投入口蓋71a及び貫通穴72aに対向する位置にガイド穴75aが設けられている。ガイド穴75aは、粉砕部1の上方に設けられ、食材容器72に収容された食材5を、重力を利用して粉砕部1に導く食材落下通路P1の一部を構成する。本第3実施例において、食材落下通路P1は、上蓋71の投入口と、食材容器72,73,74の各貫通穴と、ガイド穴75aとで構成されている。本第3実施例において、ガイド穴75aは、粉砕部1に近づくに従い開口面積が小さくなるようにテーパ状に形成されている。これにより、ガイド穴75aを通る食材5を粉砕部1により確実に誘導することができる。
【0098】
また、載置台75の底壁には、食材容器72の複数の連通孔72cに対向する位置に複数の連通孔75bが設けられている。食材乾燥部4で生成された熱は、複数の連通孔75bを通じて食材容器72,73,74へと供給される。
【0099】
載置台75の底壁の中心部には、押圧羽根8を回転させる駆動源の一例であるモータの出力軸83が回転自在に貫通している。出力軸83は、図13に示すように、筐体10の天壁10bから突出するように設けられている。出力軸83は、最下段の食材容器74に設けられる押圧羽根8の軸部81に連結され、当該押圧羽根8を回転させる回転駆動力を発生させる。
【0100】
載置台75は、筐体10の天壁10bから上方に突出するように設けられた一部が切り欠かれた環状のリブ10cをガイドとして筐体10の天壁10bに位置決めされて載置される。
【0101】
本第3実施例において、筐体10には、図5図7に示す第1実施例に係る調理器と同様の構成を有する調理器が設けられている。すなわち、筐体10には、粉砕部1と、成形部2と、調理物乾燥部3とが収容されている。
【0102】
また、筐体10には、可動壁22が固定壁21に対して相対移動するように、成形部2を回転させる回転部9が収容されている。回転部9は、例えば、外周部に複数の歯が形成されたギヤ部を有し、当該ギヤ部が成形部2の外側面2aに設けられた複数の歯に歯合した状態で回転することにより、成形部2を回転させるように構成されている。筐体10に設けられた制御部(図示せず)は回転部9を制御し、操作部は、回転部9の駆動の開始又は終了を指示するように構成されている。
【0103】
また、筐体10には、食材乾燥部4が収容されている。食材乾燥部4は、筐体10の天壁10bに設けられた複数の貫通孔41を通じて食材収容部7へ食材5(厳密には未乾燥の食材5b)を乾燥させる熱を供給するように構成されている。
【0104】
本第3実施例においては、食材乾燥部4の食材5を乾燥させる熱を生成する熱源として、調理物乾燥部3のヒータ32を共用する。すなわち、食材乾燥部4と調理物乾燥部3とは、食材及び調理物を乾燥させる熱を生成する同一の熱源を備えるように構成されている。これにより、調理器の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0105】
次に、本発明の第3実施例に係る調理器を用いた調理物の製造方法の一例について説明する。
【0106】
まず、図12又は図13に示すように、筐体10の天壁10bの上に、リブ10cをガイドとして載置台75bを位置決めして載置する。また、このとき、載置台75の底壁の中心部を貫通するように、出力軸83の頂部を突出させる。
【0107】
その後、図11に示すように、食材容器72,73,74にそれぞれ未乾燥の食材5bを収容するとともに、載置台75の上に食材容器72,73,74を積層する。また、3つの食材容器72,73,74に設けられる3つの押圧羽根8の軸部81を上下方向に直列に連結するとともに、最下段の押圧羽根8の軸部81を出力軸83と連結する。このとき、各押圧羽根8の羽根部82は食材落下通路P1に位置させる。その後、最上段の食材容器72の上方開口部を上蓋71で覆う。
【0108】
その後、使用者が筐体10の操作部を操作することにより、制御部を介してヒータ32が駆動され、ヒータ32により生成された熱が、貫通孔41、連通孔75b、及び連通孔72cを通じて食材容器72,73,74に供給される。これにより、未乾燥の食材5bが乾燥され、乾燥した食材5が得られる。
【0109】
その後、使用者が筐体10の操作部を操作することにより、制御部を介してモータの出力軸83が回転される。これにより、3つの押圧羽根8が時間差を持って回転し、食材容器74の食材、食材容器73の食材、食材容器72の食材の順に、食材落下通路P1を通じて粉砕部1に落下する。これにより、粉砕部1に乾燥した食材が入れられる。また、このとき、上蓋71に設けられた投入口を通じて、シリアルやナッツなどの乾燥不要の食材が食材落下通路P1を通じて粉砕部1に投入されてもよい。
【0110】
その後、使用者が筐体10の操作部を操作することにより、制御部を介してモータ16が駆動され、粉砕部1内のミル羽根13が回転軸12を中心として回転する。ミル羽根13が回転することにより、乾燥した食材5が粉砕される。
【0111】
粉砕部1で粉砕された食材5aは、ミル羽根13の遠心力を利用してフィルタ部6の複数の貫通孔6aを通過し、成形部2の収容空間S1に移動する。その後、使用者が筐体10の操作部を操作することにより、制御部を介して回転部9が駆動され、収容空間S1の体積が予め決められた体積以下になるまで、可動壁22が固定壁21に対し可動壁22が固定壁21に近づくように移動される。これにより、粉砕された食材5aが固められて成形され、調理物5Aが製造される。
【0112】
その後、使用者が筐体10の操作部を操作することにより、制御部を介して送風ファン31及びヒータ32が駆動され、送風ファン31から発生した風がヒータ32によって加熱されて熱風となり、流路F1を通じて流れる。これにより、成形部2内の調理物5Aが乾燥される。
【0113】
その後、成形部2がフィルタ部6の表面に沿って上方に移動され、図14に示すように、成形部2が筐体10から完全に引き抜かれると、フィルタ部6の外側面に対向していた調理物5Aの内側面が外部に露出し、調理物5Aが取り外し可能になる。
【0114】
本第3実施例に係る調理器によれば、1つの筐体10内に粉砕部1と成形部2と調理物乾燥部3と食材乾燥部4とが収容されているので、食材5を粉砕し、当該粉砕した食材5aを成形して調理物5Aを製造することを筐体10内で効率良く行うことができる。
【0115】
なお、前記では、使用者が筐体10の操作部を操作することにより、制御部を介して回転部9等が駆動されるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、調理物5Aの製造の開始前に、使用者が筐体10の操作部を操作してタイマー設定やコース設定することにより、自動的に回転部9等が駆動されるようにしてもよい。これにより、使用者が操作部を操作する回数を減らして、使い勝手を向上させることができる。
【0116】
また、前記では、3つの食材容器72,73,74を備えるものとしたが、本発明はこれに限定されない。食材容器の個数は、1つでもよいし、2つでもよいし、4つ以上であってもよい。
【0117】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0118】
本発明をある程度の詳細さをもって各実施の形態において説明したが、これらの実施の形態の開示内容は構成の細部において変化してしかるべきものであり、各実施の形態における要素の組合せや順序の変化は請求された本発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明に係る調理器は、果物等の食材を粉砕し、当該粉砕した食材を成形して調理物を製造することができるので、家庭用の調理器だけでなく、大量生産の工場ラインに用いる調理器としても有用である。
【符号の説明】
【0120】
1 粉砕部
2 成形部
2a 外側面
3 調理物乾燥部
4 食材乾燥部
5,5a,5b 食材
5A 調理物
6 フィルタ部
6a 貫通孔
7 食材収容部
8 押圧羽根
9 回転部
10 筐体
10a 内側面
10b 天壁
10c リブ
11 食材粉砕室
12 回転軸
12a 一端部
12b 他端部
13 ミル羽根
14 蓋体
15 食材投入筒
16 モータ
21 固定壁
22 可動壁
23 モータ
31 送風ファン
32 ヒータ
41 貫通孔
71 上蓋
71a 投入口蓋
72,73,74 食材容器
72a 貫通穴
72b リブ
72c 連通孔
75 載置台
75a ガイド穴
75b 連通孔
81 軸部
81a 円筒部
81b 天壁部
81c 突起部
81d 係合片
82 羽根部
83 出力軸
F1 流路
P1 食材落下通路
S1 収容空間
X1 円周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16