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特許7199009感震システム、分電盤、方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】感震システム、分電盤、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/42 20060101AFI20221223BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
H02B1/42
H02J13/00 301A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018226071
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020089244
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 憲一
(72)【発明者】
【氏名】澤田 知行
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 晋治
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-200574(JP,A)
【文献】特開2017-11542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
H02H 5/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震の発生の有無を検出する地震検出部と、
前記地震検出部にて前記地震の発生が検出されると、分電盤に設けられたブレーカを制御して前記ブレーカに対応する電路を遮断する処理部と、を備え、
前記処理部は、前記地震検出部にて前記地震の発生が検出されると、前記電路を遮断する前に、前記分電盤の外にある機器の制御に用いられる制御情報を、前記機器へ送信し、
前記制御情報は、前記機器を駆動させるための情報であり、前記機器に対する制御内容を含み、
前記処理部は、前記分電盤から前記機器までの電力供給路上にある配線器具に対して、前記制御情報を送信する、
感震システム。
【請求項2】
地震の発生の有無を検出する地震検出部と、
前記地震検出部にて前記地震の発生が検出されると、分電盤に設けられたブレーカを制御して前記ブレーカに対応する電路を遮断する処理部と、を備え、
前記処理部は、前記地震検出部にて前記地震の発生が検出されると、前記電路を遮断する前に、前記分電盤の外にある機器の制御に用いられる制御情報を、前記機器及び前記分電盤から前記機器までの電力供給上にある配線器具の双方へ送信する、
感震システム。
【請求項3】
地震の発生の有無を検出する地震検出部と、
前記地震検出部にて前記地震の発生が検出されると、分電盤に設けられたブレーカを制御して前記ブレーカに対応する電路を遮断する処理部と、を備え、
前記処理部は、前記地震検出部にて前記地震の発生が検出されると、前記電路を遮断する前に、前記分電盤の外にある機器の制御に用いられる制御情報を、前記機器へ送信し、
前記処理部は、更に、前記分電盤から前記機器までの電力供給路上にある配線器具に対して、前記制御情報を送信し、
前記配線器具は、前記地震の発生時に制御される旨を表示する表示部を備える、
感震システム。
【請求項4】
地震の発生の有無を検出する地震検出部と、
前記地震検出部にて前記地震の発生が検出されると、分電盤に設けられたブレーカを制御して前記ブレーカに対応する電路を遮断する処理部と、を備え、
前記処理部は、前記地震検出部にて前記地震の発生が検出されると、前記電路を遮断する前に、前記分電盤の外にある機器の制御に用いられる制御情報を、前記機器へ送信し、
前記処理部は、更に、前記分電盤から前記機器までの電力供給路上にある配線器具に対して、前記制御情報を送信し、
前記配線器具は、前記制御情報を他の配線器具へ送信する機能を有する、
感震システム。
【請求項5】
前記配線器具は、前記制御情報を他の配線器具へ送信する機能を有する、
請求項3記載の感震システム。
【請求項6】
前記配線器具は、前記制御情報を、前記他の配線器具で用いられるプロトコルに変換し、変換した前記制御情報を前記他の配線器具へ送信する、
請求項4又は5記載の感震システム。
【請求項7】
前記制御情報は、前記機器を駆動させるための情報である、
請求項2~6のいずれか1項に記載の感震システム。
【請求項8】
前記機器は、照明装置である、
請求項1~7のいずれか1項に記載の感震システム。
【請求項9】
前記地震検出部は、前記分電盤に設けられている、
請求項1~8のいずれか1項に記載の感震システム。
【請求項10】
前記処理部は、前記分電盤に設けられている、
請求項1~9のいずれか1項に記載の感震システム。
【請求項11】
前記地震検出部にて前記地震の発生を検出した場合に、前記処理部が前記機器を制御するか否かを設定可能な設定部をさらに備える、
請求項1~10のいずれか1項に記載の感震システム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の感震システムと、
前記ブレーカと、
前記ブレーカを収容する分電盤用キャビネットと、を備える、
分電盤。
【請求項13】
地震の発生の有無を検出する地震検出処理と、
前記地震の発生が検出されると、分電盤に設けられたブレーカを制御して前記ブレーカに対応する電路を遮断する遮断処理と、
前記地震の発生が検出されると、前記電路を遮断する前に、前記分電盤の外にある機器の制御に用いられる制御情報を、前記機器へ送信する送信処理と、を有し、
前記制御情報は、前記機器を駆動させるための情報であり、前記機器に対する制御内容を含む、
前記送信処理では、前記分電盤から前記機器までの電力供給路上にある配線器具に対して、前記制御情報を送信する、
方法。
【請求項14】
地震の発生の有無を検出する地震検出処理と、
前記地震の発生が検出されると、分電盤に設けられたブレーカを制御して前記ブレーカに対応する電路を遮断する遮断処理と、
前記地震の発生が検出されると、前記電路を遮断する前に、前記分電盤の外にある機器の制御に用いられる制御情報を、前記機器及び前記分電盤から前記機器までの電力供給路上にある配線器具の双方へ送信する送信処理と、を有する、
方法。
【請求項15】
地震の発生の有無を検出する地震検出処理と、
前記地震の発生が検出されると、分電盤に設けられたブレーカを制御して前記ブレーカに対応する電路を遮断する遮断処理と、
前記地震の発生が検出されると、前記電路を遮断する前に、前記分電盤の外にある機器の制御に用いられる制御情報を、前記機器へ送信する送信処理と、を有し、
前記送信処理は、更に、前記分電盤から前記機器までの電力供給路上にある配線器具に対して、前記制御情報を送信し、
前記配線器具は、前記地震の発生時に制御される旨を表示する表示部を備える、
方法。
【請求項16】
地震の発生の有無を検出する地震検出処理と、
前記地震の発生が検出されると、分電盤に設けられたブレーカを制御して前記ブレーカに対応する電路を遮断する遮断処理と、
前記地震の発生が検出されると、前記電路を遮断する前に、前記分電盤の外にある機器の制御に用いられる制御情報を、前記機器へ送信する送信処理と、を有し、
前記送信処理は、更に、前記分電盤から前記機器までの電力供給路上にある配線器具に対して、前記制御情報を送信し、
前記配線器具は、前記制御情報を他の配線器具へ送信する機能を有する、
方法。
【請求項17】
1以上のプロセッサに、
請求項13~16のいずれか1項に記載の方法を実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に感震システム、分電盤、方法、及びプログラムに関し、より詳細には、地震の発生に伴う制御を実行する感震システム、それを備える分電盤、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、分電盤に、地震発生を感知する感震リレーを備えた感震システム(感震遮断システム)が記載されている。この感震システムでは、所定の震度以上の地震が発生すると、感震リレーがその一定時間後に、分電盤の主幹ブレーカを遮断動作させる。
【0003】
これにより、地震発生を受けて主幹ブレーカは遅延遮断動作をするため、照明等は即時に消えないよう制御でき、人が避難する時間を確保できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-68098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の感震システムでは、地震発生時に、例えば照明装置などの人の避難行動を補助し得る機器が駆動していない場合、人の避難行動に影響を及ぼし、人が避難しにくくなる可能性がある、という問題があった。
【0006】
本開示は、地震発生時に人が避難しやすくなる感震システム、分電盤、方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る感震システムは、地震検出部と、処理部と、を備える。前記地震検出部は、地震の発生の有無を検出する。前記処理部は、前記地震検出部にて前記地震の発生が検出されると、分電盤に設けられたブレーカを制御して前記ブレーカに対応する電路を遮断する。前記処理部は、前記地震検出部にて前記地震の発生が検出されると、前記電路を遮断する前に、前記分電盤の外にある機器の制御に用いられる制御情報を、前記機器へ送信する。前記制御情報は、前記機器を駆動させるための情報であり、前記機器に対する制御内容を含む。前記処理部は、前記分電盤から前記機器までの電力供給路上にある配線器具に対して、前記制御情報を送信する。
本開示の一態様に係る感震システムは、地震検出部と、処理部と、を備える。前記地震検出部は、地震の発生の有無を検出する。前記処理部は、前記地震検出部にて前記地震の発生が検出されると、分電盤に設けられたブレーカを制御して前記ブレーカに対応する電路を遮断する。前記処理部は、前記地震検出部にて前記地震の発生が検出されると、前記電路を遮断する前に、前記分電盤の外にある機器の制御に用いられる制御情報を、前記機器及び前記分電盤から前記機器までの電力供給上にある配線器具の双方へ送信する。
本開示の一態様に係る感震システムは、地震検出部と、処理部と、を備える。前記地震検出部は、地震の発生の有無を検出する。前記処理部は、前記地震検出部にて前記地震の発生が検出されると、分電盤に設けられたブレーカを制御して前記ブレーカに対応する電路を遮断する。前記処理部は、前記地震検出部にて前記地震の発生が検出されると、前記電路を遮断する前に、前記分電盤の外にある機器の制御に用いられる制御情報を、前記機器へ送信する。前記処理部は、更に、前記分電盤から前記機器までの電力供給路上にある配線器具に対して、前記制御情報を送信する。前記配線器具は、前記地震の発生時に制御される旨を表示する表示部を備える。
本開示の一態様に係る感震システムは、地震検出部と、処理部と、を備える。前記地震検出部は、地震の発生の有無を検出する。前記処理部は、前記地震検出部にて前記地震の発生が検出されると、分電盤に設けられたブレーカを制御して前記ブレーカに対応する電路を遮断する。前記処理部は、前記地震検出部にて前記地震の発生が検出されると、前記電路を遮断する前に、前記分電盤の外にある機器の制御に用いられる制御情報を、前記機器へ送信する。前記処理部は、更に、前記分電盤から前記機器までの電力供給路上にある配線器具に対して、前記制御情報を送信する。前記配線器具は、前記制御情報を他の配線器具へ送信する機能を有する。
【0008】
本開示の一態様に係る分電盤は、上記いずれかの感震システムと、前記ブレーカと、前記ブレーカを収容する分電盤用キャビネットと、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る方法は、地震検出処理と、遮断処理と、送信処理と、を有する。前記地震検出処理は、地震の発生の有無を検出する処理である。前記遮断処理は、前記地震の発生が検出されると、分電盤に設けられたブレーカを制御して前記ブレーカに対応する電路を遮断する処理である。前記送信処理は、前記地震の発生が検出されると、前記電路を遮断する前に、前記分電盤の外にある機器の制御に用いられる制御情報を、前記機器へ送信する処理である。前記制御情報は、前記機器を駆動させるための情報であり、前記機器に対する制御内容を含む。前記送信処理では、前記分電盤から前記機器までの電力供給路上にある配線器具に対して、前記制御情報を送信する。
本開示の一態様に係る方法は、地震検出処理と、遮断処理と、送信処理と、を有する。前記地震検出処理は、地震の発生の有無を検出する処理である。前記遮断処理は、前記地震の発生が検出されると、分電盤に設けられたブレーカを制御して前記ブレーカに対応する電路を遮断する処理である。前記送信処理は、前記地震の発生が検出されると、前記電路を遮断する前に、前記分電盤の外にある機器の制御に用いられる制御情報を、前記機器及び前記分電盤から前記機器までの電力供給上にある配線器具の双方へ送信する処理である。
本開示の一態様に係る方法は、地震検出処理と、遮断処理と、送信処理と、を有する。前記地震検出処理は、地震の発生の有無を検出する処理である。前記遮断処理は、前記地震の発生が検出されると、分電盤に設けられたブレーカを制御して前記ブレーカに対応する電路を遮断する処理である。前記送信処理は、前記地震の発生が検出されると、前記電路を遮断する前に、前記分電盤の外にある機器の制御に用いられる制御情報を、前記機器へ送信する処理である。前記送信処理は、更に、前記分電盤から前記機器までの電力供給路上にある配線器具に対して、前記制御情報を送信する。前記配線器具は、前記地震の発生時に制御される旨を表示する表示部を備える。
本開示の一態様に係る方法は、地震検出処理と、遮断処理と、送信処理と、を有する。前記地震検出処理は、地震の発生の有無を検出する処理である。前記遮断処理は、前記地震の発生が検出されると、分電盤に設けられたブレーカを制御して前記ブレーカに対応する電路を遮断する処理である。前記送信処理は、前記地震の発生が検出されると、前記電路を遮断する前に、前記分電盤の外にある機器の制御に用いられる制御情報を、前記機器へ送信する処理である。前記送信処理は、更に、前記分電盤から前記機器までの電力供給路上にある配線器具に対して、前記制御情報を送信する。前記配線器具は、前記制御情報を他の配線器具へ送信する機能を有する。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記いずれかの方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示は、地震発生時に人が避難しやすくなる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る感震システム及びそれを備える分電盤の概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、同上の感震システム及び分電盤の概略構成を示す概念図である。
図3図3は、同上の分電盤を正面から見た説明図である。
図4図4は、同上の感震システムの動作を示すフローチャートである。
図5図5は、本開示の一実施形態の変形例に係る感震システム及びそれを備える分電盤の概略構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1)概要
本実施形態の感震システム100は、図1及び図2に示すように、例えば地震発生時に機器6を制御するために用いられる。また、本実施形態の分電盤1は、図1図3に示すように、感震システム100と、ブレーカ20と、ブレーカ20を収容する分電盤用キャビネット10と、を備えている。
【0014】
感震システム100は、地震検出部101と、処理部102と、を備えている。地震検出部101は、地震の発生を検出する。処理部102は、地震検出部101にて地震の発生が検出されると、分電盤1に設けられたブレーカ20を制御してブレーカ20に対応する電路L1を遮断する。本実施形態では、処理部102は、地震検出部101にて地震の発生が検出されると、ブレーカ20として主幹ブレーカ3を制御することで、主幹ブレーカ3に接続される電路L1を遮断する。
【0015】
そして、処理部102は、地震検出部101にて地震の発生が検出されると、電路L1を遮断する前に、分電盤1の外にある機器6の制御に用いられる制御情報を、機器6へ送信する。つまり、処理部102は、地震検出部101にて地震の発生が検出されると、まず、制御情報を機器6へ送信する処理を実行する。その後、処理部102は、ブレーカ20(主幹ブレーカ3)を制御して電路L1を遮断する処理を実行する。
【0016】
上述のように、本実施形態では、処理部102は、地震検出部101にて地震の発生が検出されると、ブレーカ20を制御して電路L1を遮断する処理を実行するだけでなく、機器6に制御情報を送信して機器6を制御させる処理を実行する。このため、本実施形態では、地震が発生して人が避難行動をとる際に、電路L1が遮断されるまでの間、機器6が制御されることで人の避難行動が補助され得る。つまり、本実施形態では、地震発生時に人が避難しやすくなる、という利点がある。
【0017】
(2)詳細
以下、本実施形態の感震システム100及び分電盤1の詳細について図1図3を参照して説明する。
【0018】
(2.1)全体構成
まずは、本実施形態の分電盤1の全体構成について説明する。本実施形態では、上述した通り、分電盤1は、感震システム100と、ブレーカ20と、分電盤用キャビネット10と、を備えている。本実施形態では、ブレーカ20は、主幹ブレーカ3である。また、分電盤1は、感震システム100、分電盤用キャビネット10及びブレーカ20(主幹ブレーカ3)に加えて、複数の分岐ブレーカ2、計測ユニット4、電流計測装置5、及び感震ユニット9を更に備えている。本実施形態では、感震システム100の構成要素(地震検出部101及び処理部102等)は、一例として、計測ユニット4及び感震ユニット9に分散して設けられている。分岐ブレーカ2、主幹ブレーカ3、計測ユニット4、電流計測装置5及び感震ユニット9は、分電盤1の構成要素の一部であって、分電盤1の内器として分電盤用キャビネット10に収容されている。
【0019】
分電盤用キャビネット10は、本体11を含んでいる。本体11は、分岐ブレーカ2、主幹ブレーカ3、計測ユニット4、電流計測装置5及び感震ユニット9等を収容する。本体11は、造営材(例えば建物の壁)に取り付けられる。造営材は、分電盤用キャビネット10が設置される建物(戸建て住宅、集合住宅の住戸又はテナントビル等)内の部屋の壁に限らず、例えば、建物内の部屋の天井又は床であってもよい。
【0020】
分電盤用キャビネット10の本体11は、前面が開口した箱状のボディ12と、ボディ12の前面を覆うカバーと、を備えている。カバーは、閉位置と開位置との間で移動可能な状態でボディ12に取り付けられる。閉位置はボディ12の前面を覆う位置であり、開位置はボディ12の前面の少なくとも一部を覆わない位置である。分電盤用キャビネット10の本体11は、例えば建物の壁に取り付けられている。分電盤用キャビネット10の本体11は、例えば平均的な身長の子供では手が届かないような高さ位置であって、平均的な身長の大人であれば操作が可能なような高さ位置に設けられている。
【0021】
分電盤用キャビネット10の本体11の内部には、複数の分岐ブレーカ2、主幹ブレーカ3、計測ユニット4、電流計測装置5及び感震ユニット9が収容されている。本実施形態では、分岐ブレーカ2の1つに代えて感震ユニット9が設けられている。そのため、感震ユニット9は、分電盤用キャビネット10において、分岐ブレーカ2が収まるべきところに収容される。複数の分岐ブレーカ2、主幹ブレーカ3、計測ユニット4、電流計測装置5及び感震ユニット9は、ボディ12に直接的に又は取付用の金具等を介して取り付けられている。図3の例では、本体11の内部において、計測ユニット4、主幹ブレーカ3、複数の分岐ブレーカ2は、左右方向において左からこの順に配置されている。さらに、図3の例では、本体11の内部において、複数の分岐ブレーカ2の右下方に感震ユニット9が配置されている。
【0022】
主幹ブレーカ3は、本体11の内部において、左右方向の中央よりもやや左側の位置に配置されている。本体11内での主幹ブレーカ3の位置は、例えば中央よりも右側等、他の位置であってもよい。主幹ブレーカ3は、一次側端子31と、二次側端子と、を備えている。主幹ブレーカ3は、一次側端子31と二次側端子との間の電路に接続された接点を備える。主幹ブレーカ3は、接点をオン又はオフにするための操作レバー33を前面に備えている。また、主幹ブレーカ3は、例えば接点に漏電電流又は過負荷電流等の過電流が流れる異常状態を検知すると、接点を遮断する主幹遮断部を備えている。
【0023】
本実施形態の分電盤1では、配電方式として単相三線式を想定しているので、主幹ブレーカ3の一次側端子31には、系統電源(商用電源)の単相三線式の引込線200が電気的に接続される。本実施形態では、ボディ12に配置された接続端子124に引込線200が電気的に接続されており、接続端子124と主幹ブレーカ3の一次側端子31との間は配線部材125を介して電気的に接続されている。分電盤用キャビネット10に接続端子124及び配線部材125が備えられていることは必須ではなく、引込線200が主幹ブレーカ3の一次側端子31に直接接続されていてもよい。
【0024】
また、主幹ブレーカ3の二次側端子には、第1電圧極(L1相)の導電バー、第2電圧極(L2相)の導電バー、及び中性極(N相)の導電バーが接続されている。各導電バーは、導電部材により左右方向に長い長尺板状に形成されており、本体11の内部において、上下方向の中央であって主幹ブレーカ3の右側の位置に配置されている。
【0025】
複数の分岐ブレーカ2は、中性極(N相)の導電バーの上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個ずつ左右方向に並ぶように配置されている。本実施形態では、導電バーの上側には、12個の分岐ブレーカ2が左右方向に並ぶように配置されている。また、導電バーの下側には、11個の分岐ブレーカ2が左右方向に並ぶように配置されている。
【0026】
分岐ブレーカ2には、100V用と200V用とがある。100V用の分岐ブレーカ2が備える一対の一次側端子は、第1電圧極の導電バー及び第2電圧極の導電バーのうちの一方と、中性極の導電バーとにそれぞれ電気的に接続される。200V用の分岐ブレーカ2が備える一対の一次側端子は、第1電圧極の導電バーと、第2電圧極の導電バーとにそれぞれ電気的に接続される。また、分岐ブレーカ2の二次側端子には、対応する回路8が電気的に接続される。
【0027】
ここで、各分岐ブレーカ2は、図2に示すように、複数の回路8のうちの1つの回路8における幹線との接続端に挿入される。言い換えれば、回路8は、分岐ブレーカ2を含んでおり、分岐ブレーカ2にて幹線に電気的に接続されている。本実施形態では、分電盤1は、複数の回路8と同数(ここでは23個)の分岐ブレーカ2を備えるので、複数の回路8はいずれも分岐ブレーカ2を含んでいる。
【0028】
本開示でいう「回路8」は、幹線と電気的に接続され、分電盤1にて幹線から複数に分岐された分岐回路の各々である。本実施形態では、回路8は、分岐ブレーカ2に加えて、配線81及び負荷82を含んでいる。配線81は、分岐ブレーカ2の二次側端子に電気的に接続される。負荷82は、例えば、照明装置、空調機器、テレビ受像器、給湯設備等の機器6、コンセント(アウトレット)又は壁スイッチ等の配線器具7を含む。負荷82は、配線81を介して分岐ブレーカ2に電気的に接続される。
【0029】
機器6は、分電盤1の外に設けられている。本実施形態では、後述するように、機器6はHEMS対応機器である。また、機器6は、配線器具7を介して複数ある分岐ブレーカ2のうちの1つの二次側端子に電気的に接続されている。また、本実施形態では、機器6は、一例として照明装置である。機器6は、図2に示すように、通信部61と、制御部62と、を有している。
【0030】
通信部61は、分電盤1(計測ユニット4)及び機器6に接続されている配線器具7とそれぞれ通信可能に構成されている。通信部61は、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、計測ユニット4との間、及び配線器具7との間で信号を授受する。通信部61と計測ユニット4との間の通信方式は、一例として、例えば、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、電波を媒体とした無線通信である。通信部61と配線器具7との間の通信方式も同様である。
【0031】
制御部62は、一例として、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。プロセッサは、メモリに記録されているプログラムを実行することにより、制御部62の機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。
【0032】
制御部62は、機器6の有する固有の機能を発揮するために、機器6を制御する。本実施形態では、上述したように、機器6は照明装置である。したがって、機器6の有する固有の機能は、例えば光源の点灯若しくは消灯、又は光源の調光など、一般の照明装置に備わる機能である。
【0033】
制御部62は、通常、つまり地震が発生するまでの間は、ユーザによる操作入力に応じて光源を制御する。ユーザによる操作入力は、例えば壁スイッチ等の配線器具7での操作入力、又はリモートコントローラでの操作入力などを含み得る。そして、制御部62は、地震が発生し、感震システム100(処理部102)から送信される制御情報を受信すると、受信した制御情報に基づく制御を実行する。ここで、「制御情報」は、機器6の制御に用いられる情報である。本実施形態では、制御情報は、機器6としての照明装置の制御に用いられ、より詳細には、光源の点灯若しくは消灯、又は光源の調光などの照明装置の固有の機能を発揮させるために用いられる。
【0034】
さらに、本実施形態では、制御情報は、機器6を駆動させるための情報である。したがって、制御部62は、感震システム100から送信される制御情報を受信すると、光源を点灯させる制御を実行する。なお、制御情報を受信した時点で光源が既に点灯している場合、光源の点灯状態が継続することになる。
【0035】
配線器具7は、複数ある分岐ブレーカ2のうちの1つの分岐ブレーカ2と、機器6との間に電気的に接続されている。言い換えれば、配線器具7は、分電盤1から機器6までの電力供給路上にある。また、本実施形態では、配線器具7は、一例として壁スイッチである。配線器具7は、図2に示すように、通信部71と、制御部72と、表示部73と、を有している。
【0036】
通信部71は、分電盤1(計測ユニット4)及び機器6とそれぞれ通信可能に構成されている。通信部71は、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、計測ユニット4との間、及び機器6との間で信号を授受する。通信部71と計測ユニット4との間の通信方式は、一例として、例えば、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、電波を媒体とした無線通信である。通信部71と機器6との間の通信方式も同様である。
【0037】
制御部72は、一例として、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。プロセッサは、メモリに記録されているプログラムを実行することにより、制御部72の機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。
【0038】
制御部72は、配線器具7の有する固有の機能を発揮するために、配線器具7を制御する。本実施形態では、上述したように、配線器具7は壁スイッチである。したがって、配線器具7の有する固有の機能は、例えば分電盤1から機器6までの電力供給路の導通又は遮断など、一般の壁スイッチに備わる機能である。
【0039】
制御部72は、通常、つまり地震が発生するまでの間は、ユーザによる操作入力に応じて配線器具7を制御する。ユーザによる操作入力は、例えば配線器具7でのスイッチの押操作などの操作入力を含み得る。そして、制御部72は、地震が発生し、感震システム100(処理部102)から送信される制御情報を受信すると、受信した制御情報に基づく制御を実行する。
【0040】
上述したように、本実施形態では、制御情報は機器6を駆動させるための情報である。したがって、制御部72は、感震システム100から送信される制御情報を受信すると、分電盤1から機器6までの電力供給路を導通させる制御を実行する。なお、制御情報を受信した時点で電力供給路が既に導通している場合、電力供給路の導通状態が継続することになる。
【0041】
表示部73は、例えば配線器具7の筐体に設けられて、地震の発生時に制御される旨を表示する。本実施形態では、上述したように、配線器具7は壁スイッチである。したがって、表示部73は、壁スイッチの筐体のうち壁から露出している部位(例えば、化粧プレート)に設けられる。一例として、表示部73は、「地震発生時に数分間、動作します」等のメッセージが記載されたラベルである。また、一例として、表示部73は、特定の色(例えば、緑色)で発光する発光素子(例えば、発光ダイオード等)であってもよい。つまり、表示部73は、ユーザが配線器具7の外観を見ることにより、配線器具7が地震の発生時に制御されることが把握できる態様であればよい。
【0042】
計測ユニット4は、本体11の内部において、主幹ブレーカ3の左側に配置されている。計測ユニット4は、複数の回路8の電流と電力との少なくとも一方を計測する計測機能、及び本体11の外部に配置された機器6と通信する通信機能を有している。
【0043】
より詳しくは、計測ユニット4は、主幹ブレーカ3に流れる電流を計測する主幹電流センサ32(図2参照)、及び電流計測装置5と電気的に接続されている。ここに、主幹電流センサ32は、例えば、カレントトランス(CT)からなる。そして、計測ユニット4は、電流計測装置5及び主幹電流センサ32が計測した電流の値に基づいて電力値を演算する機能(計測機能)を有している。詳しくは後述するが、電流計測装置5は、複数の回路8の各々に流れる電流を計測するので、計測ユニット4では、電流計測装置5が計測した電流値に基づいて、各回路8の電流と電力との少なくとも一方を計測する。
【0044】
また、計測ユニット4は、HEMS(Home Energy Management System)に対応する機器(以下、「HEMS対応機器」ともいう)6の制御又は監視を行うように構成されたコントローラとの間で通信する機能(通信機能)を有している。コントローラは、本体11の外部に配置された装置である。ここに、HEMS対応機器は、例えばスマートメータ、太陽光発電装置、蓄電装置、燃料電池、電気自動車、エアコン、照明装置、給湯装置、冷蔵庫、又はテレビ受像機等を含む。HEMS対応機器は、これらの機器に限定されない。
【0045】
計測ユニット4とコントローラとの間の通信方式は、例えば、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、電波を媒体とした無線通信である。計測ユニット4とコントローラとの間の通信方式は、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信であってもよい。また、計測ユニット4とコントローラとの間の通信における通信プロトコルは、例えば、Ethernet(登録商標)、ECHONET Lite(登録商標)等である。
【0046】
本実施形態の分電盤1では、計測ユニット4は、電流計測装置5が計測した複数の回路8の各々に流れる電流値を、電流計測装置5から受け取る。さらに、計測ユニット4は、主幹電流センサ32が計測した電流値を主幹電流センサ32から受け取る。計測ユニット4は、電流計測装置5、及び主幹電流センサ32が計測した電流値のそれぞれを電力値(瞬時電力値)に変換する。計測ユニット4は、収集した瞬時電力のデータを所定時間にわたって積算した電力量のデータを演算する機能を有している。したがって、計測ユニット4と通信するコントローラは、複数の回路8の各々での瞬時電力や電力量に基づいて機器(HEMS対応機器)6を制御又は監視することができる。
【0047】
また、計測ユニット4は、太陽光発電装置、蓄電装置、及び電気自動車に電気的に接続される電力変換装置のうちの少なくとも1つとの間で通信する機能(通信機能)を有している。電力変換装置は、分電盤1から電気自動車への単方向充電を行うための電力変換の他、双方向に電力変換を行うことで電気自動車の蓄電池の充電と放電との両方に用いられる構成であってもよい。
【0048】
また、計測ユニット4は、ガスメータと水道メータとの少なくとも一方との通信機能を有している。計測ユニット4と太陽光発電装置、蓄電装置、及び電力変換装置との間の通信方式は、例えば、RS-485等の通信規格に準拠した有線通信である。計測ユニット4とガスメータ、水道メータとの間の通信方式は、有線通信に限らず、無線通信であってもよい。計測ユニット4は、例えば、貯湯型の給湯装置等と通信可能であってもよい。
【0049】
本実施形態では、上述したように感震システム100の一部の構成要素(処理部102等)は、計測ユニット4に設けられている。感震システム100に関する計測ユニット4の構成について詳しくは、「(2.2)感震システムの構成」の欄で説明する。
【0050】
電流計測装置5は、複数の回路8に流れる電流を計測するように構成されている。電流計測装置5は、図1に示すように、基板50と、複数の電流センサ51と、を有している。また、本実施形態では、電流計測装置5は、図1に示すように、処理部52、コネクタ53及び基板側通信部54を更に有している。
【0051】
基板50は、左右方向に長い板状である。基板50は、複数の電流センサ51と計測ユニット4との間の電気的な接続経路の少なくとも一部に用いられる。厳密には、基板50は、例えば、電気絶縁性を有する樹脂製基板の表面(又は内層)に導電層が形成されたプリント配線板であって、導電層の部分が、複数の電流センサ51と計測ユニット4との間の電気的な接続経路の一部に用いられる。この導電層には、コネクタ53が電気的に接続されている。
【0052】
電流センサ51は、例えば、コアを用いない(コアレスの)空芯コイルからなり、内側を通過する電流に応じた出力を生じるロゴスキコイルである。電流センサ51は、基板50の孔の周りに形成されている。ここでは、複数の電流センサ51は、複数の回路8の電流をそれぞれ検出する。これにより、本実施形態では、電流計測装置5は、複数の回路8の各々に流れる電流を計測する。
【0053】
処理部52は、複数の電流センサ51の出力に関して信号処理を実行する。さらに、処理部52は、コネクタ53を介して計測ユニット4と通信可能に構成されている。そのため、計測ユニット4は、電流計測装置5が計測した複数の回路8の各々に流れる電流値を、電流計測装置5から受け取ることが可能になる。
【0054】
基板側通信部54は、基板50に実装されており、後述する感震ユニット9の通信部91と通信可能に構成されている。本開示において「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受できることを意味する。すなわち、電流計測装置5(基板側通信部54)と感震ユニット9(通信部91)とは、互いに信号を授受することができる。
【0055】
感震ユニット9は、分電盤用キャビネット10において、分岐ブレーカ2が収まるべきところに収容される。本実施形態では、上述したように感震システム100の一部の構成要素(地震検出部101)は、感震ユニット9に設けられている。感震システム100に関する感震ユニット9の構成について詳しくは、「(2.2)感震システムの構成」の欄で説明する。
【0056】
ところで、図3に示すように、ボディ12の底壁には、底壁を前後方向に貫通する貫通孔121が設けられており、本体11の外部から貫通孔121を通して本体11の内部に導入された電線が分岐ブレーカ2等に電気的に接続される。また、ボディ12の上部の周壁122には、周壁122を上下方向に貫通する貫通孔123が設けられている。換言すると、本体11は、分岐ブレーカ2に接続される電線を、前後方向と交差する一方向(本実施形態では上下方向)に沿って本体11の外部から内部に導入させるための電線挿入口(貫通孔123)を有している。電線挿入口は、ボディ12の下部の周壁122に設けられてもよいし、ボディ12の右側部又は左側部の周壁122に設けられていてもよいし、周壁122の複数箇所に電線挿入口が設けられていてもよい。
【0057】
また、本実施形態の分電盤用キャビネット10は、接続端子124と、配線部材125とを更に備えている。接続端子124には、本体11の外部から導入される電線(引込線200)が電気的に接続される。配線部材125は、本体11(具体的にはボディ12)に配置されて、接続端子124と主幹ブレーカ3との間を電気的に接続する。配線部材125は、導電部材により幅寸法が略一定の板状に形成されている。接続端子124と主幹ブレーカ3との間が配線部材125を介して電気的に接続されているので、主幹ブレーカ3に接続される電線を本体11の内部で曲げるためのスペースを確保する必要がない、という利点がある。
【0058】
本実施形態では、配線部材125は、接続端子124と主幹ブレーカ3との間を電気的に接続しているが、本体11には、接続端子124と分岐ブレーカ2との間を電気的に接続する配線部材が配置されてもよい。分電盤用キャビネット10が、接続端子124と配線部材125とを備えることは必須ではなく、本体11の外部から本体11の内部に導入された電線が主幹ブレーカ3又は分岐ブレーカ2に直接的に接続されてもよい。
【0059】
(2.2)感震システムの構成
次に、本実施形態の感震システム100のより詳細な構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0060】
本実施形態では、上述したように、感震システム100の構成要素(地震検出部101及び処理部102等)は、計測ユニット4及び感震ユニット9に分散して設けられている。つまり、本実施形態では、地震検出部101は、分電盤1に設けられている。また、本実施形態では、処理部102は、分電盤1に設けられている。そこで、以下では、計測ユニット4及び感震ユニット9の構成について説明する。
【0061】
感震ユニット9は、図1に示すように、通信部91と、地震検出部101と、を有している。
【0062】
通信部91は、計測ユニット4と通信可能に構成されている。通信部91は、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、計測ユニット4との間で信号を授受する。
【0063】
本実施形態では、通信部91と計測ユニット4とは、互いに双方向に通信可能であって、通信部91から計測ユニット4への信号の送信、及び計測ユニット4から通信部91への信号の送信の両方が可能である。
【0064】
本実施形態では、通信部91は、電流計測装置5(基板側通信部54)と通信可能に構成されている。さらに、電流計測装置5は計測ユニット4とは、互いに通信可能に構成されている。そこで、通信部91は、電流計測装置5の基板50を、計測ユニット4との間の通信経路の少なくとも一部に用いる。つまり、通信部91が電流計測装置5の基板側通信部54と通信し、電流計測装置5が計測ユニット4と通信することで、通信部91は、電流計測装置5の基板50を経由して、計測ユニット4と通信する。言い換えれば、基板50の導電層が、通信部91と計測ユニット4との間の通信経路の一部を構成する。
【0065】
通信部91と基板50(基板側通信部54)との間の通信方式は、有線通信である。つまり、感震ユニット9が本体11に取り付けられた状態において、基板50に設けられた基板側通信部54と感震ユニット9の通信部91とは、電気的に接続される。通信部91と基板50(基板側通信部54)との間の通信方式は、例えば、RS-485、又は有線LAN等の通信規格に準拠した有線通信を適宜採用可能である。
【0066】
地震検出部101は、地震の発生の有無を検出する。地震検出部101は、例えば、加速度センサ及び角速度センサ等のセンサを含み、地震等により、分電盤1が設置されている建物に生じた揺れ(振動)を検知する。つまり、地震検出部101は、振動に応じた電気信号を出力するセンサを有し、センサの出力する電気信号から、センサ(地震検出部101)に作用する揺れ(振動)の大きさ(大きさ)を検出する。そして、地震検出部101で、ある閾値以上の震度の揺れを検知した場合には、感震ユニット9は、地震の発生を表す地震発生信号を計測ユニット4に送信する。つまり、感震ユニット9は、感震ブレーカとしての機能を有している。
【0067】
計測ユニット4は、ユニット側通信部41と、処理部102と、設定部103と、入力部42と、を有する。
【0068】
本実施形態では一例として、計測ユニット4は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。プロセッサは、メモリに記録されているプログラムを実行することにより、処理部102及び設定部103等の機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。言い換えれば、上記プログラムは、コンピュータシステムを、計測ユニット4として機能させるためのプログラムである。
【0069】
ユニット側通信部41は、上述したように、感震ユニット9(通信部91)と通信可能に構成されている。ユニット側通信部41は、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、感震ユニット9(通信部91)との間で信号を授受する。
【0070】
入力部42は、ユーザの操作を受け付ける。入力部42は、一例として、押釦スイッチ又はスライドスイッチ等で実現される。入力部42は、ユーザの操作に応じた電気信号を入力信号として出力する。
【0071】
処理部102は、地震検出部101にて地震の発生が検出されると、送信処理と、遮断処理と、を順に実行する。本実施形態では、処理部102は、例えば内蔵のタイマにより、地震検出部101にて地震の発生が検出された時点から待機時間(例えば、数分間)のカウントを開始する。そして、処理部102は、待機時間が経過する前に送信処理を実行し、待機時間が経過すると、遮断処理を実行する。
【0072】
遮断処理は、ブレーカ20(主幹ブレーカ3)を制御することでブレーカ20に対応する電路L1を遮断する処理である。本実施形態では、処理部102は、ブレーカ20に擬似信号を出力することにより、ブレーカ20(主幹ブレーカ3)に遮断動作を行わせる状態を擬似的に発生させる。これにより、ブレーカ20は、例えば漏電などの遮断動作を行うべき状況ではないにも関わらず、遮断動作を実行して電路L1を遮断することになる。
【0073】
送信処理は、電路L1を遮断する前に(つまり、遮断処理を実行する前に)、制御情報を機器6へ送信する処理である。処理部102は、ユニット側通信部41と機器6の通信部61との通信により、制御情報を機器6へ送信する。また、本実施形態では、送信処理は、電路L1を遮断する前に、制御情報を配線器具7へ送信する処理を含む。つまり、本実施形態では、処理部102は、配線器具7に対して、制御情報を送信する。処理部102は、ユニット側通信部41と配線器具7の通信部71との通信により、制御情報を配線器具7へ送信する。
【0074】
設定部103は、地震検出部101にて地震の発生を検出した場合に、処理部102が機器6を制御するか否かを設定可能である。本実施形態では、設定部103は、入力部42に対する入力に応じて、処理部102が機器6を制御するか否かを設定する。設定部103にて機器6を制御するように設定された場合、処理部102は、地震検出部101にて地震の発生が検出されると、遮断処理を実行する前に送信処理を実行する。一方、設定部103にて機器6を制御しないように設定された場合、処理部102は、地震検出部101にて地震の発生が検出されても、送信処理を実行せずに遮断処理を実行する。ユーザは、例えば分電盤1まで赴いて、計測ユニット4の入力部42を手動で操作することにより、処理部102の動作を設定することが可能である。
【0075】
(3)動作
以下、本実施形態の感震システム100の動作について図4のフローチャートを参照して説明する。ここでは、地震の発生時において、感震システム100の制御対象である機器6が停止している場合を例に説明する。
【0076】
まず、感震システム100は、地震検出部101にて、地震の発生の有無を検出する(S1)。地震が発生するまでは(S1:No)、地震検出部101は、継続的に検出を行う。地震が発生して、地震検出部101が地震の発生を検出すると(S1:Yes)、感震システム100は、処理部102にて、制御情報を機器(ここでは、照明装置)6及び配線器具(ここでは、壁スイッチ)7に対して送信する送信処理を実行する(S2)。制御情報を受信した機器6は、制御情報にしたがって光源を点灯させる制御を実行する。
【0077】
ここで、制御情報の送信時において、配線器具7により分電盤1から機器6までの電力供給路が導通状態となっている場合、機器6は、制御情報にしたがって光源を点灯させることが可能である。一方、制御情報の送信時において、配線器具7により分電盤1から機器6までの電力供給路が遮断状態となっている場合があり得る。この場合、制御情報を受信した配線器具7が、制御情報にしたがって電力供給路を遮断状態から導通状態に切り替える制御を実行する。したがって、この場合も電力供給路が導通状態となるため、機器6は、制御情報にしたがって光源を点灯させることが可能である。
【0078】
その後、感震システム100は、地震検出部101が地震の発生を検出した時点から待機時間が経過したか否かを、処理部102にて判断する(S3)。待機時間が経過していなければ(S3:No)、処理部102は、待機時間のカウントを継続する。待機時間が経過すると(S3:Yes)、感震システム100は、処理部102にてブレーカ20(ここでは、主幹ブレーカ3)を制御して電路L1を遮断させる遮断処理を実行する(S4)。これにより、複数の分岐ブレーカ2に対する電力供給が遮断され、結果として機器6及び配線器具7に対する電力供給も遮断されることで、機器6が停止する。
【0079】
図4のフローチャートは、感震システム100の動作の一例に過ぎず、処理を適宜省略又は追加してもよいし、処理の順番が適宜変更されていてもよい。
【0080】
上述のように、本実施形態では、処理部102は、地震検出部101にて地震の発生が検出されると、ブレーカ20を制御して電路L1を遮断する遮断処理を実行するだけでなく、機器6に制御情報を送信して機器6を制御させる送信処理を実行する。このため、本実施形態では、地震が発生して人が避難行動をとる際に、電路L1が遮断されるまでの間、機器6が制御されることで人の避難行動が補助され得る。
【0081】
例えば、本実施形態であれば、地震の発生時において機器6が停止している、つまり照明装置の光源が消灯していたとしても、処理部102が送信処理を実行することにより、照明装置の光源を点灯させることが可能である。このため、例えば夜間に地震が発生した場合でも、人が暗闇の中、照明装置を探し出して光源を点灯させる必要はなく、迅速に避難行動を開始することが可能である。つまり、本実施形態では、地震発生時に人が避難しやすくなる、という利点がある。
【0082】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、感震システム100と同様の機能は、方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0083】
一態様に係る方法は、地震検出処理(図4の「S1」)と、遮断処理(図4の「S4」)と、送信処理(図4の「S2」)と、を有する。地震検出処理は、地震の発生の有無を検出する処理である。遮断処理は、地震の発生が検出されると、分電盤1に設けられたブレーカ20を制御してブレーカ20に対応する電路L1を遮断する処理である。送信処理は、地震の発生が検出されると、電路L1を遮断する前に、分電盤1の外にある機器6の制御に用いられる制御情報を、機器6へ送信する処理である。
【0084】
一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の方法を実行させるためのプログラムである。
【0085】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0086】
本開示における分電盤1は、例えば、計測ユニット4等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における分電盤1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0087】
また、感震システム100の少なくとも一部の機能は、感震ユニット9及び計測ユニット4に限らず、例えば主幹ブレーカ3又は電流計測装置5等に設けられていてもよい。具体的には、例えば、地震検出部101及び処理部102等の機能が、主幹ブレーカ3又は電流計測装置5等に設けられていてもよい。さらに、感震システム100の少なくとも一部の機能は、分電盤1内になくてもよく、例えば、地震検出部101の機能は、分電盤1に外付けされていてもよい。
【0088】
また、感震システム100の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていることは感震システム100に必須の構成ではなく、感震システム100の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、感震システム100の少なくとも一部の機能、例えば、地震検出部101又は処理部102の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0089】
反対に、複数の装置に分散されている感震システム100の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、感震ユニット9と計測ユニット4とに分散されている、地震検出部101と処理部102とが、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0090】
また、感震システム100を用いる分電盤1において、計測ユニット4及び電流計測装置5は必須の構成ではない。つまり、分電盤1は、計測ユニット4及び電流計測装置5を備えていなくてもよい。この態様では、処理部102は、一例として、分電盤1に収容される内器のいずれかに設けられていればよい。
【0091】
また、配線器具7は、制御情報を他の配線器具7へ送信する機能を有していてもよい。つまり、配線器具7は、地震発生時において、制御情報を他の配線器具7へ送信することにより、他の配線器具7と連携する機能を有していてもよい。例えば、図5に示すように、配線器具7は、複数の他の配線器具7に対して、受信した制御情報をブロードキャストしてもよい。
【0092】
また、配線器具7は、制御情報を、他の配線器具7で用いられるプロトコルに変換し、変換した制御情報を他の配線器具7へ送信してもよい。例えば、他の配線器具7が属する照明システムが、配線器具7の属する照明システムと異なる場合、単に制御情報を他の配線器具7へ送信するだけでは、他の配線器具7が制御情報を受信できない可能性がある。そこで、配線器具7は、プロトコル変換を行うことにより、制御情報を他の配線器具7にて受信可能な制御情報に変換してから、変換した制御情報を他の配線器具7へ送信する。これにより、他の配線器具7においても、処理部102が送信した制御情報と同等の内容を含む制御情報を受信することが可能になる。
【0093】
また、処理部102は、1つの機器6に限らず、複数の機器6に対して制御情報をブロードキャストしてもよい。同様に、処理部102は、1つの配線器具7に限らず、複数の配線器具7に対して制御情報をブロードキャストしてもよい。その他、処理部102は、複数の機器6に対して制御情報を送信する場合、機器6ごとに制御情報の内容を異ならせてもよい。同様に、処理部102は、複数の配線器具7に対して制御情報を送信する場合、配線器具7ごとに制御情報の内容を異ならせてもよい。
【0094】
また、処理部102は、機器6が接続されている分岐ブレーカ2を流れる電流の大きさを監視することにより、機器6が動作しているか否かを判定する機能を有していてもよい。例えば、地震発生時において、機器(照明装置)6の光源がリモートコントローラにより消灯状態に切り替えられている場合、機器6は、単に制御情報を用いるだけでは、光源を点灯させることができない。そこで、処理部102は、制御情報を送信した後に、機器6が動作しているか否か(つまり、光源が点灯しているか否か)を判定する。そして、処理部102は、光源が点灯していなければ、光源を消灯させる指令を含む第1制御情報を送信し、その後、光源を点灯させる指令を含む第2制御情報を送信する。これにより、機器6は、まず、第1制御情報を用いて光源を消灯させる制御を実行することで、リモートコントローラによる制御を解除し、その後、第2制御情報を用いて光源を点灯させることが可能である。
【0095】
また、処理部102は、例えばインターネット等のネットワークを介して、ユーザの所有する情報端末に向けて、送信処理を実行した旨を通知してもよい。その他、上述したように、機器6が接続されている分岐ブレーカ2を流れる電流の大きさを監視することにより、機器6が駆動しているか否かを判定できる場合、処理部102は、機器6が駆動している旨を併せて通知してもよい。
【0096】
また、設定部103は、外部からの通信により処理部102の動作を設定可能に構成されていてもよい。例えば、ユーザは、情報端末(例えば、パーソナルコンピュータ、又はスマートフォン等)にインストールされた専用のアプリケーションを用いて、処理部102の動作を変更する操作入力を行う。すると、ユーザの操作入力に応じた設定情報を含む信号が、計測ユニット4に向けて送信される。そして、この信号を受信した計測ユニット4では、設定部103にて、受信した信号に含まれる設定情報に基づいて、処理部102の動作が設定される。
【0097】
また、処理部102が配線器具7に対して制御情報を送信する構成は必須ではない。つまり、処理部102は、機器6に対してのみ制御情報を送信してもよい。
【0098】
また、配線器具7は、表示部73を備えていなくてもよい。また、感震システム100は、設定部103を備えていなくてもよい。
【0099】
また、計測ユニット4と感震ユニット9との通信、及び計測ユニット4と機器6又は配線器具7との通信は、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)であってもよい。また、計測ユニット4と感震ユニット9との通信は、非接触通信であってもよい。本開示でいう「非接触通信」には、電波を通信媒体として用いる無線通信、電磁結合を利用した通信、及び光を通信媒体として用いる光通信を含む。例えば、計測ユニット4と感震ユニット9との通信は、920MHz帯の特定小電力無線局、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、無線通信であってもよい。
【0100】
また、機器6は、HEMS対応機器でなくてもよい。この場合、機器6は、HEMSとは関係なく計測ユニット4と通信可能であって、計測ユニット4から送信される制御情報を受信する構成であればよい。
【0101】
また、機器6は、照明装置に限らず、テレビ受像機、ラジオ、電気錠、又は電動シャッタなどであってもよい。例えば、機器6がラジオである場合、制御情報は、緊急地震速報を放送するチャンネルでラジオを起動する指令を含むのが好ましい。また、例えば、機器6が電気錠である場合、制御情報は、電気錠を解錠させる指令を含むのが好ましい。
【0102】
また、制御情報は、機器6を駆動させるための情報に限らず、既に駆動中の機器6の動作モードを変更させるための情報であってもよい。例えば、処理部102は、地震発生時に、比較的高い調光率で光源を点灯させる指令を含む制御情報を送信してもよい。この場合、機器(照明装置)6が既に駆動中であるが、比較的低い調光率で光源を点灯させていても、地震発生時には比較的高い調光率で光源を点灯させることができるので、避難経路を明るく照らすことが可能になる。その他、制御情報は、機器6を停止させるための情報であってもよい。この場合、地震発生時に、人の避難行動の妨げとなり得る機器6を停止させることができる。
【0103】
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係る感震システム(100)は、地震検出部(101)と、処理部(102)と、を備える。地震検出部(101)は、地震の発生の有無を検出する。処理部(102)は、地震検出部(101)にて地震の発生が検出されると、分電盤(1)に設けられたブレーカ(20)を制御してブレーカ(20)に対応する電路(L1)を遮断する。処理部(102)は、地震検出部(101)にて地震の発生が検出されると、電路(L1)を遮断する前に、分電盤(1)の外にある機器(6)の制御に用いられる制御情報を、機器(6)へ送信する。
【0104】
この態様によれば、地震発生時に人が避難しやすくなる、という利点がある。
【0105】
第2の態様に係る感震システム(100)では、第1の態様において、制御情報は、機器(6)を駆動させるための情報である。
【0106】
この態様によれば、地震発生時に駆動していない機器(6)を駆動することができるので、機器(6)により人の避難行動が補助され、地震発生時に人が避難しやすくなる、という利点がある。
【0107】
第3の態様に係る感震システム(100)では、第1又は第2の態様において、機器(6)は、照明装置である。
【0108】
この態様によれば、地震発生時に、例えば避難経路上にある機器(照明装置)(6)を駆動することができるので、避難経路が照明装置により照らされることで、地震発生時に人が避難しやすくなる、という利点がある。
【0109】
第4の態様に係る感震システム(100)では、第1~第3のいずれかの態様において、地震検出部(101)は、分電盤(1)に設けられている。
【0110】
この態様によれば、地震検出部(101)が分電盤(1)外に設けられている場合と比較して、地震検出部(101)が地震に伴う外力を受けにくい、という利点がある。
【0111】
第5の態様に係る感震システム(100)では、第1~第4のいずれかの態様において、処理部(102)は、分電盤(1)に設けられている。
【0112】
この態様によれば、処理部(102)が分電盤(1)外に設けられている場合と比較して、処理部(102)が地震に伴う外力を受けにくい、という利点がある。
【0113】
第6の態様に係る感震システム(100)では、第1~第5のいずれかの態様において、処理部(102)は、分電盤(1)から機器(6)までの電力供給路上にある配線器具(7)に対して、制御情報を送信する。
【0114】
この態様によれば、地震発生時に機器(6)に対する電力供給が途絶えている場合でも、配線器具(7)を制御することで機器(6)に電力供給させることができる、という利点がある。
【0115】
第7の態様に係る感震システム(100)では、第6の態様において、配線器具(7)は、地震の発生時に制御される旨を表示する表示部(73)を備える。
【0116】
この態様によれば、表示部(73)の有無を確認することにより、地震発生時に制御される配線器具(7)の設置状況を把握しやすい、という利点がある。
【0117】
第8の態様に係る感震システム(100)では、第6又は第7の態様において、配線器具(7)は、制御情報を他の配線器具(7)へ送信する機能を有する。
【0118】
この態様によれば、処理部(102)から送信される制御情報の受信対象ではない他の配線器具(7)に接続される機器(6)も制御することができる、という利点がある。
【0119】
第9の態様に係る感震システム(100)では、第8の態様において、配線器具(7)は、制御情報を、他の配線器具(7)で用いられるプロトコルに変換し、変換した制御情報を他の配線器具(7)へ送信する。
【0120】
この態様によれば、処理部(102)から送信される制御情報では他の配線器具(7)に接続される機器(6)を制御できない場合でも、制御情報を変換することにより、他の配線器具(7)に接続される機器(6)を制御できるようになる、という利点がある。
【0121】
第10の態様に係る感震システム(100)は、第1~第9のいずれかの態様において、設定部(103)をさらに備える。設定部(103)は、地震検出部(101)にて地震の発生を検出した場合に、処理部(102)が機器(6)を制御するか否かを設定可能である。
【0122】
この態様によれば、機器(6)の設置状況に応じて、地震発生時に制御対象となる機器(6)の取捨選択を行うことができる、という利点がある。
【0123】
第11の態様に係る分電盤(1)は、第1~第10のいずれかの態様の感震システム(100)と、ブレーカ(20)と、ブレーカ(20)を収容する分電盤用キャビネット(10)と、を備える。
【0124】
この態様によれば、地震発生時に人が避難しやすくなる、という利点がある。
【0125】
第12の態様に係る方法は、地震検出処理と、遮断処理と、送信処理と、を有する。地震検出処理は、地震の発生の有無を検出する処理である。遮断処理は、地震の発生が検出されると、分電盤(1)に設けられたブレーカ(20)を制御してブレーカ(20)に対応する電路(L1)を遮断する処理である。送信処理は、地震の発生が検出されると、電路(L1)を遮断する前に、分電盤(1)の外にある機器(6)の制御に用いられる制御情報を、機器(6)へ送信する処理である。
【0126】
この態様によれば、地震発生時に人が避難しやすくなる、という利点がある。
【0127】
第13の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第12の態様に係る方法を実行させるためのプログラムである。
【0128】
この態様によれば、地震発生時に人が避難しやすくなる、という利点がある。
【0129】
第2~第10の態様に係る構成は、感震システム(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0130】
ところで、第1の態様に係る感震システム(100)において、処理部(102)が分電盤(1)に設けられたブレーカ(20)を制御する構成は必須ではない。例えば、処理部(102)は、いわゆる感震コンセントのように、配線器具(7)に接続された機器(6)に対応する電路を遮断する構成であってもよい。
【0131】
すなわち、第14の態様に係る感震システム(100)は、地震検出部(101)と、処理部(102)と、を備える。地震検出部(101)は、地震の発生の有無を検出する。処理部(102)は、地震検出部(101)にて地震の発生が検出されると、配線器具(7)に設けられた開閉器を制御して配線器具(7)に接続された機器(6)に対応する電路(L1)を遮断する。処理部(102)は、地震検出部(101)にて地震の発生が検出されると、電路(L1)を遮断する前に、機器(6)の制御に用いられる制御情報を、機器(6)へ送信する。
【0132】
この態様によれば、地震発生時に人が避難しやすくなる、という利点がある。
【0133】
また、第2,3,7~10の態様に係る構成については、第14の態様に係る感震システム(100)と組み合わせて適用可能である。
【符号の説明】
【0134】
1 分電盤
10 分電盤用キャビネット
100 感震システム
101 地震検出部
102 処理部
103 設定部
20 ブレーカ
6 機器
7 配線器具
73 表示部
L1 電路
図1
図2
図3
図4
図5