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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】認知レベル判定システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20221223BHJP
   G16H 50/30 20180101ALI20221223BHJP
【FI】
A61B10/00 H
G16H50/30
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021551134
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(86)【国際出願番号】 JP2020022530
(87)【国際公開番号】W WO2021065083
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2019180749
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】松村 吉浩
(72)【発明者】
【氏名】中島 博文
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/130957(WO,A1)
【文献】特開2020-018776(JP,A)
【文献】特許第6635412(JP,B1)
【文献】特開2010-220761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
G16H 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者のトイレ空間での行動を検知する検知部と、
前記検知部での検知結果に基づいて前記被験者の認知レベルを判定する認知レベル判定部と、を備え、
前記検知部は、前記被験者の前記トイレ空間での行動として、前記トイレ空間の滞在時間を検知し、
前記認知レベル判定部は、前記滞在時間に基づいて前記認知レベルを判定する、
認知レベル判定システム。
【請求項2】
被験者のトイレ空間での行動を検知する検知部と、
前記検知部での検知結果に基づいて前記被験者の認知レベルを判定する認知レベル判定部と、を備え、
前記検知部は、前記被験者の前記トイレ空間での行動として操作装置に対する操作を検知し、
前記認知レベル判定部は、前記操作装置が有する押ボタンの押下回数に対する長押し回数の割合である長押し率に基づいて前記認知レベルを判定する、
認知レベル判定システム。
【請求項3】
被験者のトイレ空間での行動を検知する検知部と、
前記検知部での検知結果に基づいて前記被験者の認知レベルを判定する認知レベル判定部と、を備え、
前記検知部は、前記被験者の前記トイレ空間での行動として操作装置に対する操作を検知し、
前記認知レベル判定部は、前記操作装置が有する押ボタンの連続操作に基づいて前記認知レベルを判定し、
前記連続操作は、前記押ボタンに対する連続押し割合であり、
連続押し割合は、前記押ボタンの押下回数に対する所定の基準時間間隔よりも短い時間間隔で押された回数の割合である、
認知レベル判定システム。
【請求項4】
被験者のトイレ空間での行動を検知する検知部と、
前記検知部での検知結果に基づいて前記被験者の認知レベルを判定する認知レベル判定部と、
前記トイレ空間において欠如している行動が有る場合には、前記欠如している行動に係る欠如行動情報を通知する通知部と、を備える、
認知レベル判定システム。
【請求項5】
前記検知部は、前記被験者の前記トイレ空間での複数の行動を検知し、
前記認知レベル判定部は、前記複数の行動の順序に基づいて前記認知レベルを判定する、
請求項4に記載の認知レベル判定システム。
【請求項6】
前記認知レベル判定部は、前記被験者の前記トイレ空間での行動順序であって予め記憶されている行動順序と、前記検知部が検知した前記複数の行動の順序とを比較して、前記認知レベルを判定する、
請求項5に記載の認知レベル判定システム。
【請求項7】
前記認知レベル判定部は、前記検知部による前記被験者の前記トイレ空間での行動の検知の有無に基づいて前記認知レベルを判定する、
請求項4に記載の認知レベル判定システム。
【請求項8】
前記検知部は、前記被験者の前記トイレ空間での行動として、前記トイレ空間の滞在時間を検知し、
前記認知レベル判定部は、前記滞在時間に基づいて前記認知レベルを判定する、
請求項4に記載の認知レベル判定システム。
【請求項9】
前記検知部は、前記被験者の前記トイレ空間での行動に要する時間を検知し、
前記認知レベル判定部は、前記行動に要する時間に基づいて前記認知レベルを判定する、
請求項4に記載の認知レベル判定システム。
【請求項10】
前記検知部は、前記被験者の前記トイレ空間での行動の内容を検知し、
前記認知レベル判定部は、前記行動の内容に基づいて前記認知レベルを判定する、
請求項4に記載の認知レベル判定システム。
【請求項11】
前記検知部は、前記被験者の前記トイレ空間での複数の行動を検知し、
前記認知レベル判定部は、前記複数の行動において重複する行動の有無に基づいて前記認知レベルを判定する、
請求項4に記載の認知レベル判定システム。
【請求項12】
前記検知部は、前記被験者の前記トイレ空間での行動として操作装置に対する操作を検知し、
前記認知レベル判定部は、前記操作に基づいて前記認知レベルを判定する、
請求項4に記載の認知レベル判定システム。
【請求項13】
前記認知レベル判定部は、前記操作装置が有する押ボタンの長押し率に基づいて前記認知レベルを判定する、
請求項12に記載の認知レベル判定システム。
【請求項14】
前記認知レベル判定部は、前記操作装置が有する押ボタンの連続操作に基づいて前記認知レベルを判定する、
請求項12に記載の認知レベル判定システム。
【請求項15】
前記認知レベル判定部は、前記被験者の前記トイレ空間での行動を前記検知部が検知した時間帯及び前記検知部の検知頻度のうち少なくとも一方を用いて前記認知レベルを判定する、
請求項4に記載の認知レベル判定システム。
【請求項16】
前記検知部は、前記被験者の前記トイレ空間での行動として前記被験者の排泄物の有無を検知し、
前記認知レベル判定部は、前記被験者の排泄物の有無に基づいて前記認知レベルを判定する、
請求項4に記載の認知レベル判定システム。
【請求項17】
コンピュータを、請求項1~16のいずれか一項に記載の認知レベル判定システムとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に認知レベル判定システム及びプログラムに関し、より詳細には被験者の行動に基づいて認知レベルを判定する認知レベル判定システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者の記憶障害等の発症を診断する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の高次脳機能障害診断装置は、2つの操作入力手段と、指示手段と、反応時間測定手段とを少なくとも具備する。2つの操作入力手段は、被験者による操作を受け付ける。指示手段は、2つの操作入力手段のうち何れを操作すべきかを被験者に対して指示する。反応時間測定手段は、指示手段が被験者に対する指示を実行してから2つの操作入力手段が被験者による操作を受け付けるまでの時間差である反応時間を測定する。反応時間測定手段は、被験者が操作する2つ操作入力手段の体中心に対する相対的な配置と被験者が2つの操作入力手段を操作するときに駆使する身体部位の体中心に対する相対的な配置とが不適合である条件下での反応時間を測定する。
【0004】
この構成により、特許文献1の高次脳機能障害診断装置は、被験者の記憶障害等の発症の有無、つまり認知レベルを判定することができる。
【0005】
認知症の可能性がある人は、生活のある一場面での行動に変化が生じる場合がある。近年、生活のある一場面での行動に基づいて認知レベルの判定を行うことが望まれている。しかしながら、特許文献1では、被験者の記憶障害等の発症の有無を判定するための動作を行っており、生活のある一場面の行動とは言い難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-135824号公報
【発明の概要】
【0007】
本開示は上記課題に鑑みてなされ、生活のある一場面での行動に基づいて被験者の認知レベルを判定することができる認知レベル判定システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【0008】
本開示の一態様に係る認知レベル判定システムは、検知部と、認知レベル判定部と、を備える。前記検知部は、被験者のトイレ空間での行動を検知する。認知レベル判定部は、前記検知部での検知結果に基づいて前記被験者の認知レベルを判定する。前記検知部は、前記被験者の前記トイレ空間での行動として、前記トイレ空間の滞在時間を検知する。前記認知レベル判定部は、前記滞在時間に基づいて前記認知レベルを判定する。
本開示の一態様に係る認知レベル判定システムは、検知部と、認知レベル判定部と、を備える。前記検知部は、被験者のトイレ空間での行動を検知する。認知レベル判定部は、前記検知部での検知結果に基づいて前記被験者の認知レベルを判定する。前記検知部は、前記被験者の前記トイレ空間での行動として操作装置に対する操作を検知する。前記認知レベル判定部は、前記操作装置が有する押ボタンの押下回数に対する長押し回数の割合である長押し率に基づいて前記認知レベルを判定する。
本開示の一態様に係る認知レベル判定システムは、検知部と、認知レベル判定部と、を備える。前記検知部は、被験者のトイレ空間での行動を検知する。認知レベル判定部は、前記検知部での検知結果に基づいて前記被験者の認知レベルを判定する。前記検知部は、前記被験者の前記トイレ空間での行動として操作装置に対する操作を検知する。前記認知レベル判定部は、前記操作装置が有する押ボタンの連続操作に基づいて前記認知レベルを判定する。前記連続操作は、前記押ボタンに対する連続押し割合である。連続押し割合は、前記押ボタンの押下回数に対する所定の基準時間間隔よりも短い時間間隔で押された回数の割合である。
本開示の一態様に係る認知レベル判定システムは、検知部と、認知レベル判定部と、通知部と、を備える。前記検知部は、被験者のトイレ空間での行動を検知する。認知レベル判定部は、前記検知部での検知結果に基づいて前記被験者の認知レベルを判定する。前記通知部は、前記トイレ空間において欠如している行動が有る場合には、前記欠如している行動に係る欠如行動情報を通知する。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、前記認知レベル判定システムとして機能させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態に係る認知レベル判定システムの構成、及び同上の認知レベル判定システムを備える判定システムの構成を示す図である。
図2図2は、一実施形態に係る認知レベル判定システムを用いるトイレ装置の外観を説明する図である。
図3図3は、同上の判定システムが備える操作装置の外観を説明する図である。
図4図4は、同上の認知レベル判定システムの動作を説明する流れ図である。
図5図5は、同上の認知レベル判定システムで行われる判定処理を説明する流れ図である。
図6図6は、同上の認知レベル判定システムの動作の具体例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。以下の実施形態及び変形例以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
(実施形態)
以下、本実施形態に係る認知レベル判定システム1について、図1図6を用いて説明する。
【0014】
(1)概要
本実施形態に係る判定システム2は、図1に示すように、認知レベル判定システム1としての判定装置10と、第1人感センサ20、第2人感センサ21、操作装置22及び情報端末23を備える。情報端末23は、例えばスマートフォン、タブレット端末等の情報端末である。
【0015】
判定装置10は、第1人感センサ20、第2人感センサ21、操作装置22及び情報端末23と通信可能に構成されている。例えば、判定装置10は、第1人感センサ20、第2人感センサ21及び操作装置22と有線又は無線により通信可能に構成されている。判定装置10は、情報端末23と、インターネット等のネットワークNT1を介して通信可能に構成されている。
【0016】
判定装置10は、認知レベルの判定対象である人(被験者)のトイレ装置30が設けられた空間(トイレ空間)5での行動を基に、当該被験者の認知レベルを判定する。本実施形態では、トイレ装置30は、1人の被験者のみで使用されることを前提として説明する。ここで、被験者は、上述したように認知レベルの判定の対象者である。
【0017】
ここで、認知レベルは、認知症の度合いに対応している。認知レベルは、認知症の疑いの度合いであってもよいし、認知症の可能性であってもよい。また、認知レベルは、認知症よりも軽度である軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)の範囲に対応するレベルであってもよい。
【0018】
また、認知レベルは、健常者の範囲に対応する正常レベルと、軽度認知障害及び認知症の範囲に対応する異常レベルとの2段階で規定されてもよい。そして、異常レベルは、さらに、軽度認知障害、軽度の認知症、中度の認知症、及び、重度の認知症等のように、詳細な複数の段階に細分化されてもよい。
【0019】
トイレ装置30は、図2に示すように、水洗式の便器31と便座32と便蓋33と洗浄装置34とを備える。便器31は腰掛便器である。操作装置22は、トイレ装置30が一体に備える場合とトイレ装置30とは別体である場合とがある。以下では、操作装置22がトイレ装置30とは別体、すなわち便器31とは別に、トイレ空間5の壁に配置されている場合を説明する。以下では、トイレ装置30がトイレ空間5に設置された状態を説明し、便器31において開口面311を備える面を上とする。また、本実施形態では、操作装置22とトイレ装置30とは、トイレシステム3を構成する。
【0020】
便座32及び便蓋33は、便器31の上面に対して立ち上がる開位置と、便器31の上面に沿って伏せる閉位置との間で移動可能となるように、便器31に結合されている。一般的には、便座32及び便蓋33は、回転軸の周りで回転可能となるように便器31に結合されている。本実施形態では、便座32及び便蓋33は、便器31に対して分離不能に結合されている。
【0021】
便座32と便蓋33とのそれぞれは、操作装置22の操作に応じて、図示していないモータからの駆動力を受けて独立して移動する。便座32が閉位置であるときに、便蓋33は開位置と閉位置との間で移動可能であり、便蓋33が開位置であるときに、便座32は開位置と閉位置との間で移動可能である。すなわち、便座32と便蓋33との両方が閉位置である状態と、便座32が閉位置であり便蓋33が開位置である状態と、便座32と便蓋33との両方が開位置である状態との3状態が選択可能である。
【0022】
便器31のボウル内に洗浄水を吐出させるタイミング及び洗浄水の量は、操作装置22の操作により制御される。また、洗浄装置34は、便座32に着座した人(被験者)の局所を洗浄できるように水を吐出させるノズル341を備えている。ノズル341は、操作装置22の操作に応じて、ノズル341から水を吐出させる状態及び水の吐出を停止させる状態を切り替える。ノズル341から水を吐出させることで、便座32に着座した人の局所を洗浄することが可能である。さらに、洗浄装置34は、操作装置22の操作に応じて、ノズル341の位置、ノズル341から噴出させる水の圧力及び水を噴出させる態様等について制御される。
【0023】
第1人感センサ20、第2人感センサ21及び操作装置22は、トイレ装置30とともにトイレ空間5に設けられている。
【0024】
第1人感センサ20は、トイレ空間5における人(被験者)の入退出を検知するセンサである。第1人感センサ20は、判定装置10と通信可能に構成されており、例えば操作装置22の筐体の側面に設けられる。
【0025】
第2人感センサ21は、トイレ装置30の利用の有無を検知するセンサである。第2人感センサ21は、判定装置10と通信可能に構成されており、例えば便器31に設けられる。第2人感センサ21は、便器31に設けられることで、便器31の前に直立した被験者、及び便座32に着座した被験者を検知する。
【0026】
第2人感センサ21の検知範囲は、第1人感センサ20の検知範囲よりも狭い。そのため、トイレ空間5において、第1人感センサ20が被験者を検知し、かつ第2人感センサ21が被験者を検知しない在室状態、第1人感センサ20と第2人感センサ21とがともに被験者を検知する利用状態、及び第1人感センサ20と第2人感センサ21とがともに被験者を検知しない不在状態の3状態がある。
【0027】
在室状態は、トイレ空間5に被験者は存在するが、トイレ装置30を利用していない状態である。利用状態は、トイレ空間5に被験者は存在し、かつトイレ装置30を利用している状態である。不在状態は、トイレ空間5に被験者は存在しない状態である。
【0028】
操作装置22は、上述したように、トイレ装置30に対する操作に用いられる。操作装置22は、判定装置10と通信可能に構成されている。操作装置22は、操作部B11、B12、B13、B14、B15、B20、B21、B22、B23、B24、B25を有する(図3参照)。以降の説明において、操作装置22の操作部B11、B12、B13、B14、B15、B20、B21、B22、B23、B24、B25を個々に区別する必要がない場合、操作部B10と記述する。
【0029】
操作装置22は、操作装置22が操作されるごとに、操作された操作部B10の種別を表す操作情報を、判定装置10に出力する。
【0030】
判定装置10は、第1人感センサ20及び第2人感センサ21の各々の検知結果に基づいて、トイレ空間5における被験者の在不在、及び被験者がトイレ空間5に存在する場合におけるトイレ装置30の利用の有無を判定(検知)する。判定装置10は、操作装置22から受け取った操作情報を基に、操作装置22に対する操作に係る検知を行う。
【0031】
判定装置10は、検知結果に基づいて、被験者の認知レベルの判定を行い、ネットワークNT1を介して、判定結果を情報端末23に通知する。さらに、判定装置10は、トイレ空間5において欠如している行動が有る場合には、欠如している行動に係る情報を操作装置22に通知する。
【0032】
情報端末23は、判定装置10からネットワークNT1を介して被験者に対する判定結果を受け取ると、受け取った判定結果を、情報端末23の表示部に表示する。
【0033】
(2)構成
(2-1)判定装置
判定装置10は、図1に示すように、第1通信部11、第2通信部12、記憶部13及び制御部14を備える。
【0034】
判定装置10は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部14として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0035】
第1通信部11は、第1人感センサ20、第2人感センサ21及び操作装置22と通信を行うための通信インタフェースを有している。
【0036】
第2通信部12は、情報端末23と通信を行うための通信インタフェースを有している。
【0037】
記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のいずれかの記憶デバイスで構成されている。
【0038】
記憶部13は、被験者がトイレ装置30の利用を開始してからトイレ空間5を退出するまでの、被験者の行動パターンを記憶している。例えば、記憶部13は、便蓋33を開く操作、便座32を開く操作、排泄物を流す操作、便座32を閉じる操作、便蓋33を閉じる操作を含む行動パターンを、各操作に対して行動順序を対応付けて記憶する。または、記憶部13は、便蓋33を開く操作、排泄物を流す操作、ノズル341から水を吐出させる操作、ノズル341から水の吐出を停止する操作、便蓋33を閉じる操作を含む行動パターンを、各操作に対して行動順序を対応付けて記憶する。
【0039】
さらに、記憶部13は、第1人感センサ20の検知結果、第2人感センサ21の検知結果、及び操作装置22に対する操作に係る検知によって得られた被験者のトイレ空間5における行動の検知に係る情報を記憶する。例えば、記憶部13は、被験者がトイレ空間5に入室したことが検知された後でのトイレ空間5での行動の有無、つまりトイレ装置30の利用の有無を表す利用情報を、時系列に記憶する。記憶部13は、被験者がトイレ空間5に入室したことが検知される度に、トイレ空間での行動順序を表す行動情報を、時系列に記憶する。記憶部13は、被験者がトイレ空間5に入室したことが検知される度に、トイレ空間5での滞在時間を表す滞在時間情報を、時系列に記憶する。記憶部13は、被験者がトイレ空間5に入室したことが検知される度に、退出が検知されるまでの間に同一行動が行われたか否か、つまり重複行動の有無を表す重複行動情報を、時系列に記憶する。記憶部13は、トイレ空間5における被験者の行動が欠如しているか否かを表す情報、言い換えるとトイレ空間5において欠如している行動の有無を表す欠如行動有無情報を、時系列に記憶する。
【0040】
制御部14は、図1に示すように、検知部141、欠如行動判定部142、認知レベル判定部143及び通知部144を有する。
【0041】
検知部141は、被験者のトイレでの行動を検知する。例えば、検知部141は、被験者のトイレでの複数の行動を検知する。以下、検知についての詳細について説明する。
【0042】
検知部141は、第1人感センサ20が被験者がトイレ空間5に入室したことを検知してから、第1人感センサ20が被験者がトイレ空間5から退出したことを検知するまでの時間を、滞在時間として計時(検知)する。検知部141は、検知した滞在時間を表す滞在時間情報を記憶部13に格納する。
【0043】
検知部141は、第1人感センサ20が被験者がトイレ空間5に入室したことを検知すると、退出までに操作装置22に対して操作が行われた操作順序を行動順序として検知し、記憶部13に格納する。例えば、検知部141は、操作装置22が操作されるごとに操作装置22から操作情報を受け取る。検知部141は、受け取った操作情報が表す操作部B10の種別を基に、操作装置22に対して行われた操作内容を検知する。検知部141は、被験者がトイレ空間5に滞在中に検知された全ての操作内容と、全ての操作内容のそれぞれに対応付けられた操作順序とを含む情報を行動順序情報として、記憶部13に格納する。
【0044】
検知部141は、操作装置22に対して操作された操作内容を基に、滞在中に検知された全ての操作内容のうち重複する操作内容の有無を検知する。検知部141は、重複する操作内容の有無の検知結果を、重複行動情報として記憶部13に格納する。
【0045】
検知部141は、被験者によるトイレ装置30の利用の有無、つまりトイレ空間5での行動の有無を検知する。検知部141は、利用の有無の検知結果を、利用情報として記憶部13に格納する。例えば、検知部141は、第1人感センサ20が人を検知した後、第2人感センサ21の検知結果に関係なく操作に係る検知が行われない場合には、トイレ装置30が利用されていない、つまりトイレ空間5で行動が行われていないことを検知する。検知部141は、第1人感センサ20が人を検知した後、第2人感センサ21の検知結果に関係なく操作に係る検知が行われた場合には、トイレ装置30が利用された、つまりトイレ空間5で行動が行われたことを検知する。
【0046】
欠如行動判定部142は、検知部141での検知結果を用いて、トイレ空間5において欠如している行動(欠如行動)の有無を判定する。具体的には、欠如行動判定部142は、直近の検知結果である行動順序情報と、記憶部13が記憶している行動パターンとを比較して、トイレ空間5での欠如行動の有無を判定する。例えば、行動パターンには含まれるが、行動順序情報には含まれない行動の有無を判定する。行動パターンには含まれるが、行動順序情報には含まれない行動が欠如行動である。
【0047】
欠如行動判定部142は、トイレ空間5における欠如行動が有ると判断した場合、欠如行動に係る欠如行動情報を操作装置22に通知するように通知部144を制御する。さらに、欠如行動判定部142は、欠如行動の有無の判定結果を、欠如行動有無情報として記憶部13に記憶する。
【0048】
認知レベル判定部143は、検知部141での検知結果に基づいて被験者の認知レベルを判定する。
【0049】
認知レベル判定部143は、直近の検知結果である利用情報に基づいてトイレ装置30の利用の有無を判定する。認知レベル判定部143は、直近のトイレ空間5での滞在においてトイレ装置30の利用がされていないと判定する場合、直近の検知結果から過去における所定期間(例えば1ヶ月)について、当該所定期間に含まれる複数の利用情報を用いて、トイレ装置30が利用されていない未利用割合を算出する。認知レベル判定部143は、算出した未利用割合を基に、被験者の認知レベルを判定する。例えば、未利用割合が第1所定値以下である場合には、認知レベル判定部143は、認知レベルは正常レベルと判定する。未利用割合が第1所定値を超える場合には、認知レベル判定部143は、認知レベルは異常レベルと判定する。なお、認知レベル判定部143は、異常レベルを細分化する場合には、複数の段階のうち未利用割合に応じた1つの段階を異常レベルとして割り当てる。
【0050】
認知レベル判定部143は、直近の検知結果である行動順序情報と、記憶部13が記憶している行動パターンとを比較して、行動順序情報に含まれる行動の順序と、行動パターンが表す行動順序とが、一致するか否かを判定する。一致しないと判定する場合には、認知レベル判定部143は、直近の検知結果から過去における所定期間(例えば1ヶ月)について、当該所定期間に含まれる複数の行動順序情報を用いて、行動パターンと行動順序が一致しない不一致割合を算出する。認知レベル判定部143は、算出した不一致割合を基に、被験者の認知レベルを判定する。例えば、不一致割合が第2所定値以下である場合には、認知レベル判定部143は、認知レベルは正常レベルと判定する。不一致割合が第2所定値を超える場合には、認知レベル判定部143は、認知レベルは異常レベルと判定する。なお、認知レベル判定部143は、異常レベルを細分化する場合には、複数の段階のうち不一致割合に応じた1つの段階を異常レベルとして割り当てる。
【0051】
認知レベル判定部143は、直近の検知結果である滞在時間情報が表す滞在時間が所定時間を超えているか否かを判定する。所定時間を超えていると判定する場合には、認知レベル判定部143は、直近の検知結果から過去における所定期間(例えば1ヶ月)について、当該所定期間に含まれる複数の滞在時間情報を用いて、滞在時間が所定時間を超えた時間超過回数を算出する。認知レベル判定部143は、算出した時間超過回数を基に、被験者の認知レベルを判定する。例えば、時間超過回数が第3所定値以下である場合には、認知レベル判定部143は、認知レベルは正常レベルと判定する。時間超過回数が第3所定値を超える場合には、認知レベル判定部143は、認知レベルは異常レベルと判定する。なお、認知レベル判定部143は、異常レベルを細分化する場合には、複数の段階のうち時間超過回数に応じた1つの段階を異常レベルとして割り当てる。
【0052】
認知レベル判定部143は、直近の検知結果である重複行動情報を基に、重複行動の有無を判定する。重複行動が有ると判定する場合には、認知レベル判定部143は、直近の検知結果から過去における所定期間(例えば1ヶ月)について、当該所定期間に含まれる複数の重複行動情報を用いて、重複行動が有ることを示す重複行動情報の数、つまり重複行動があると検知された重複回数を算出する。認知レベル判定部143は、算出した重複回数を基に、被験者の認知レベルを判定する。例えば、重複回数が第4所定値以下である場合には、認知レベル判定部143は、認知レベルは正常レベルと判定する。重複回数が第4所定値を超える場合には、認知レベル判定部143は、認知レベルは異常レベルと判定する。なお、認知レベル判定部143は、異常レベルを細分化する場合には、複数の段階のうち重複回数に応じた1つの段階を異常レベルとして割り当てる。
【0053】
直近の検知結果である行動順序情報を用いた欠如行動判定部142による欠如行動の有無の判定結果が欠如行動が有ることを表す場合には、認知レベル判定部143は、直近の検知結果から過去における所定期間(例えば1ヶ月)について、当該所定期間でのトイレ空間5の利用回数のうち、欠如行動が存在する回数である欠如回数を算出する。認知レベル判定部143は、算出した欠如回数を基に、被験者の認知レベルを判定する。例えば、欠如回数が第5所定値以下である場合には、認知レベル判定部143は、認知レベルは正常レベルと判定する。欠如回数が第5所定値を超える場合には、認知レベル判定部143は、認知レベルは異常レベルと判定する。なお、認知レベル判定部143は、異常レベルを細分化する場合には、複数の段階のうち欠如回数に応じた1つの段階を異常レベルとして割り当てる。
【0054】
認知レベル判定部143は、判定した認知レベルを判定結果として、ネットワークNT1を介して、情報端末23に送信する。このとき、情報端末23では、受信した判定結果(認知レベル)を情報端末23の表示部に表示する。
【0055】
通知部144は、トイレ空間5での欠如行動が有る場合には、当該欠如行動に係る欠如行動情報を通知する。具体的には、通知部144は、欠如行動に応じた音声データを欠如行動情報として、第1通信部11を介して操作装置22に送信する。例えば、欠如行動が便蓋33を閉じる操作である場合には、便蓋33を閉じることを促す音声に係る音声データを欠如行動情報として、操作装置22に出力する。
【0056】
(2-2)操作装置
操作装置22の一例を図3に示す。図3に示す操作装置22は、複数の操作部B10を備える。図3には11個の操作部B10が示されているが、操作装置22に設けられる操作部B10の個数は設計などにより適宜に変更される。
【0057】
具体的には、操作装置22は、上部に並ぶ4個の操作部B11、B12、B13、B14と、下部に並ぶ6個の操作部B20、B21、B22、B23、B24、B25と、を備える。また、操作装置22の上部と下部との間(中間部)には、1個の操作部B15が設けられている。
【0058】
操作部B11、B12、B13、B14と、操作部B20、B21、B22、B23、B24、B25と、操作部B15とは、いずれも押ボタンである。操作部B24、B25は、1個の押ボタンに2つの操作位置を備えている。すなわち、操作部B24、B25は、1個の押ボタンが2個の押ボタンとして機能する。
【0059】
操作部B11、B12は、便器31に流す水の量を2段階から選択する。すなわち、2個の操作部B11、B12のうちの一方が操作されると、操作された操作部B11、B12に応じた量の水が便器31に流れる。また、操作部B13は、便座32の開閉を制御するためのボタンである。操作部B13が操作されるたびに便座32を閉状態と開状態との間で移動させる。操作部B14は、便蓋33の開閉を制御するためのボタンである。操作部B14が操作されるたびに便蓋33を閉状態と開状態との間で移動させる。
【0060】
下部に並ぶ操作部B21、B22、B23は洗浄装置34の動作の種類を選択するときに操作され、操作部B20は洗浄装置34の動作を停止させるときに操作される。操作部B24は、ノズル341が噴出する水の圧力を調節するときに操作され、操作部B24が操作される場所に応じて、圧力を高める操作と弱める操作とが可能である。また、操作部B25は、ノズル341から水が噴出する位置を調節するときに操作される。ノズル341から水が噴出する位置は直線上で調節することが可能であり、操作部B25が操作される場所に応じて、水が噴出する位置を一方の向きに変位させる操作と他方の向きに変位させる操作とが可能である。なお、操作部B24は水の圧力を段階的に調節するボタンである。操作部B25は水が噴出する位置を段階的に調節するボタンである。中間部に配置された操作部B15は、擬似的な流水音などを発生させるときに操作される。
【0061】
操作装置22は、操作装置22が操作されるごとに、操作された操作部B10の種別を表す操作情報を、判定装置10に出力する。
【0062】
操作装置22は、スピーカ220を、更に備える。操作装置22は、判定装置10から受け取った音声データに応じた音声を出力する。例えば、操作装置22は、欠如行動情報として便蓋33を閉じる操作を促す旨の音声データを判定装置10から受け取ると、受け取った音声データに応じた音声(例えば、“便蓋を閉じてください”)をスピーカ220から出力する。
【0063】
(3)動作
(3-1)全体動作
ここでは、判定装置10が行う認知レベルの判定に係る全体動作について、図4を用いて説明する。
【0064】
検知部141は、被験者がトイレ空間5に入室したことを第1人感センサ20が検知したか否かを判断する(ステップS1)。具体的には、検知部141は、第1人感センサ20の検知結果がトイレ空間5において人を検知したことを表すか否かを判断する。
【0065】
被験者がトイレ空間5に入室したことを第1人感センサ20が検知していないと判断する場合(ステップS1における「No」)、検知部141は、ステップS1の動作を繰り返す。すなわち、第1人感センサ20の検知結果がトイレ空間5において人を検知したことを表していないと判断する場合には、検知部141は、ステップS1を繰り返す。
【0066】
被験者がトイレ空間5に入室したことを第1人感センサ20が検知したと判断する場合(ステップS1における「Yes」)、検知部141は、行動検知処理を行う(ステップS2)。すなわち、第1人感センサ20の検知結果がトイレ空間5において人を検知したことを表していると判断する場合には、検知部141は、行動検知処理を行う。
【0067】
例えば、検知部141は、滞在時間の計時を行い、被験者がトイレ空間5から退出するまでの滞在時間を検知する。さらに、検知部141は、操作装置22が操作されるごとに操作装置22から操作情報を受け取る。すなわち、検知部141は、被験者がトイレ空間5に入室してから退出するまでの間に1つ以上操作情報を順次受け取る。検知部141は、操作情報を受け取る度に、受け取った操作情報に対応する操作部B10を特定する。検知部141は、特定した操作部B10に応じた操作内容、及び操作情報を受け取った順位を表す番号を特定(検知)する。
【0068】
検知部141は、トイレ空間5での行動が終了したか否かを判断する(ステップS3)。具体的には、検知部141は、第2人感センサ21が被験者を検知しているか否かを判断する。すなわち、検知部141は、第2人感センサ21の検知結果がトイレ空間5において人を検知したことを表すか否かを判断する。
【0069】
トイレ空間5での行動が終了していないと検知部141が判断する場合(ステップS3における「No」)、検知部141は、行動検知処理を継続する。なお、行動検知処理は、後述するステップS8が行われるまでは継続している。
【0070】
トイレ空間5での行動が終了したと検知部141が判断する場合(ステップS3における「Yes」)、欠如行動判定部142は、検知部141での検知結果を用いて、トイレ空間5での欠如行動の有無を判定する(ステップS4)。欠如行動判定部142は、欠如行動の有無の判定結果を、欠如行動有無情報として記憶部13に記憶する。
【0071】
トイレ空間5での欠如行動が有ると欠如行動判定部142が判定する場合には(ステップS4における「Yes」)、通知部144は、欠如行動に係る欠如行動情報を操作装置22に通知する(ステップS5)。
【0072】
トイレ空間5での欠如行動がないと欠如行動判定部142が判定する場合には(ステップS4における「No」)、又はステップS5で通知部144が欠如行動情報を操作装置22送信した後、検知部141は、被験者がトイレ空間5から退出したか否かを検知する(ステップS6)。具体的には、検知部141は、第1人感センサ20の検知結果がトイレ空間5において人を検知していないことを表すか否かを判断する。
【0073】
被験者がトイレ空間5から退出していないと判断する場合(ステップS6における「No」)、検知部141は、ステップS6の動作を繰り返す。すなわち、第1人感センサ20の検知結果がトイレ空間5において人を検知していないことを表していない、言い換えると第1人感センサ20の検知結果がトイレ空間5において人を検知していることを表していると判断する場合には、検知部141は、ステップS6を繰り返す。
【0074】
被験者がトイレ空間5から退出したと判断する場合(ステップS6における「Yes」)、つまり第1人感センサ20の検知結果がトイレ空間5において人を検知していないことを表すと検知部141が判断する場合、検知部141は、行動検知処理による検知結果を取得する(ステップS7)。
【0075】
具体的には、検知部141は、滞在時間の計時を停止し、被験者がトイレ空間5に入室してから退出するまでの滞在時間を取得する。検知部141は、取得した滞在時間を表す滞在時間情報を記憶部13に格納する。検知部141は、行動検知処理で検知した1つ以上の操作内容と、1つ以上の操作内容に一対一に対応する操作順序(順位を表す番号)とを含む行動順序情報を取得(生成)し、記憶部13に格納する。
【0076】
さらに、検知部141は、操作装置22に対して操作された操作内容を基に、滞在中に検知された全ての操作内容のうち重複する操作内容の有無の情報を検知(取得)する。検知部141は、重複する操作内容の有無の検知結果を、重複行動情報として記憶部13に格納する。
【0077】
また、検知部141は、被験者によるトイレ装置30の利用の有無(トイレ空間5での行動の有無)の情報を検知(取得)する。検知部141は、トイレ空間5に被験者が入室し退出するまでの間における第2人感センサ21の検知結果及び操作装置22に対する操作の検知に基づいて、トイレ装置30の利用の有無(トイレ空間5での行動の有無)の情報を検知する。例えば、検知部141は、検知結果が人を検知したことを表す検知結果を第2人感センサ21から受け取った場合には、被験者が便座32に着座したと考えられるため、トイレ装置30の利用が有ることを検知する。また、検知部141は、操作装置22から操作情報を受け取った場合には、トイレ装置30の利用が有ることを検知する。検知部141は、利用の有無の検知結果を、利用情報として記憶部13に格納する。
【0078】
制御部14は認知レベル判定処理を行い、被験者の認知レベルを判定する(ステップS8)。認知レベル判定処理の詳細については、後述する。
【0079】
認知レベル判定部143は、判定した認知レベルを判定結果として情報端末23に通知する(ステップS9)。このとき、情報端末23では、受信した判定結果(認知レベル)を情報端末23の表示部に表示する。
【0080】
(3-2)認知レベル判定処理
ここでは、認知レベル判定処理の詳細について、図5を用いて説明する。
【0081】
認知レベル判定部143は、直近の検知結果である利用情報に基づいてトイレ装置30の利用の有無を判定する(ステップS101)。
【0082】
直近のトイレ空間5での滞在においてトイレ装置30の利用がされていないと判定する場合(ステップS101における「No」)、認知レベル判定部143は、第1判定処理を行う(ステップS102)。具体的には、認知レベル判定部143は、直近の検知結果から過去における所定期間での未利用割合を算出する。認知レベル判定部143は、算出した未利用割合を基に、被験者の認知レベルを判定する。
【0083】
直近のトイレ空間5での滞在においてトイレ装置30の利用がされたと判定する場合(ステップS101における「Yes」)、認知レベル判定部143は、直近の検知結果である行動順序情報に含まれる行動の順序と、行動パターンが表す行動順序とが、一致するか否かを判定する(ステップS103)。
【0084】
一致しないと判定する場合には(ステップS103における「No」)、認知レベル判定部143は、第2判定処理を行う(ステップS104)。具体的には、認知レベル判定部143は、直近の検知結果から過去における所定期間での不一致割合を算出する。認知レベル判定部143は、算出した不一致割合を基に、被験者の認知レベルを判定する。
【0085】
一致すると判定する場合(ステップS103における「Yes」)、認知レベル判定部143は、直近の検知結果である滞在時間情報が表す滞在時間が長いか否かを判定する(ステップS105)。具体的には、認知レベル判定部143は、滞在時間が所定時間を超えているか否かを判定する。
【0086】
滞在時間が長い、つまり滞在時間が所定時間を超えていると判定する場合には(ステップS105における「Yes」)、第3判定処理を行う(ステップS106)。具体的には、認知レベル判定部143は、直近の検知結果から過去における所定期間での時間超過回数を算出する。認知レベル判定部143は、算出した時間超過回数を基に、被験者の認知レベルを判定する。
【0087】
滞在時間が長くない、つまり滞在時間が所定時間を超えていないと判定する場合には(ステップS105における「No」)、認知レベル判定部143は、直近の検知結果である重複行動情報を基に、重複行動の有無を判定する(ステップS107)。
【0088】
重複行動が有ると判定する場合には(ステップS107における「Yes」)、認知レベル判定部143は、第4判定処理を行う(ステップS108)。具体的には、認知レベル判定部143は、直近の検知結果から過去における所定期間での重複回数を算出する。認知レベル判定部143は、算出した重複回数を基に、被験者の認知レベルを判定する。
【0089】
重複行動がないと判定する場合には(ステップS107における「No」)、認知レベル判定部143は、欠如行動判定部142の判定結果を基に、欠如行動が有無を判定する(ステップS109)。
【0090】
欠如行動が有る判定する場合には(ステップS109における「Yes」)、認知レベル判定部143は、第5判定処理を行う(ステップS110)。具体的には、認知レベル判定部143は、直近の検知結果から過去における所定期間での欠如回数を算出する。認知レベル判定部143は、算出した欠如回数を基に、被験者の認知レベルを判定する。
【0091】
欠如行動がない判定する場合には(ステップS109における「No」)、認知レベル判定部143は、第6判定処理を行う(ステップS111)。具体的には、認知レベル判定部143は、認知レベルは正常レベルと判定する。
【0092】
(4)具体例
ここでは、被験者がトイレ空間5の利用についての具体例を基に判定装置10の動作を、図6を用いて説明する。
【0093】
トイレ空間5に被験者u1が入室すると、第1人感センサ20は人を検知する(時刻t1)。このとき、検知部141は、第1人感センサ20の検知結果により、トイレ空間5に被験者u1が入室したことを検知し、行動検知処理を開始する。検知部141は、行動検知処理として、例えば滞在時間の計時、操作内容及び操作順序の特定を行う。
【0094】
被験者u1は、トイレ空間5に入室した後、トイレ装置30の便座32に着座し、その後トイレ装置30から離れる(時刻t1~t2)。時刻t1~t2において、操作装置22に対して操作が行われると、検知部141は、操作内容及び操作順序の特定を行う。
【0095】
被験者u1がトイレ装置30から離れると、第1人感センサ20は人を検知しているが、第2人感センサ21は人を検知しない。このとき、検知部141は、第2人感センサ21の検知結果により、被験者u1によるトイレ装置30の利用が終了したことを検知し、欠如行動の有無を判定する(時刻t3)。欠如行動が有ると欠如行動判定部142が判断する場合には、通知部144は、欠如行動に係る欠如行動情報を通知する。なお、第2人感センサ21が人を検知しない場合であっても、第1人感センサ20が人を検知している場合には、行動検知処理は行われている。
【0096】
被験者u1がトイレ装置30から離れ、その後トイレ空間5から退出すると、第1人感センサ20は人を検知しない(時刻t4)。言い換えると、被験者u1がトイレ空間5から退出すると、第1人感センサ20は、人の不在を検知する。このとき、検知部141は、第1人感センサ20の検知結果により、トイレ空間5から被験者u1が退出したことを検知し、被験者に対する認知レベル判定処理を行う。検知部141は、判定結果を情報端末23に通知する(時刻t5)。
【0097】
(5)利点
以上説明したように、本実施形態の認知レベル判定システム1(判定装置10)は、検知部141と、認知レベル判定部143と、を備える。検知部141は、第1人感センサ20の検知結果、第2人感センサ21の検知結果、及び操作装置22に対する操作の検知結果に基づいて、トイレ空間5での被験者の行動を検知する。例えば、検知部141は、被験者の行動として、トイレ空間5での被験者の滞在時間、操作装置22の利用の有無、操作順序、重複行動の有無、欠如行動の有無を検知する。認知レベル判定部143は、検知された行動に基づいて被験者の認知レベルを判定する。
【0098】
この構成によると、認知レベル判定システム1は、生活の一場面としてトイレ空間5での被験者の行動を検知して、認知レベルを判定している。これにより、生活のある一場面での行動に基づいて被験者の認知レベルを判定することができる。
【0099】
なお、被験者の行動としてトイレ空間5での被験者の滞在時間、操作装置22の利用の有無、操作順序、重複行動の有無、欠如行動の有無のすべてを検知部141が検知することは必須ではない。トイレ空間5での被験者の滞在時間、操作装置22の利用の有無、操作順序、重複行動の有無、欠如行動の有無のうち少なくとも1つを検知部141は検知する構成であればよい。
【0100】
(6)変形例
以下に、変形例について列記する。なお、以下に説明する変形例は、上記実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
【0101】
(6-1)変形例1
検知部141は、検知した行動に要する時間を計時してもよい。例えば、検知部141は、被験者が局部を洗浄する行動を行う場合、当該行動に要する時間を計時する。
【0102】
例えば、検知部141は、局部洗浄の開始を指示する操作を行ってから終了を指示する操作を行うまでの時間を、被験者が局部を洗浄する行動に要する時間として計時する。
【0103】
このとき、認知レベル判定部143は、計時した時間に基づいて被験者の認知レベルを判定する。例えば、認知レベル判定部143は、計時した時間が第1所定時間以下である場合、又は第2所定時間以上である場合には、認知レベルは異常レベルと判定する。認知レベル判定部143は、計時した時間が第1所定時間を超え、かつ第2所定時間を超えない場合には、認知レベルは正常レベルと判定する。なお、認知レベル判定部143は、異常レベルを細分化する場合には、複数の段階のうち時間超過回数に応じた1つの段階を割り当てる。
【0104】
(6-2)変形例2
検知部141は、被験者のトイレ空間5での行動の内容を検知してもよい。この場合、認知レベル判定部143は、検知した行動の内容に基づいて被験者の認知レベルを判定してもよい。
【0105】
例えば、検知部141は、被験者によるトイレットペーパの使用量を行動の内容として検知してもよい。トイレットペーパがロール型である場合には、検知部141は、トイレットペーパの回転を検知するジャイロセンサによるトイレットペーパの回転数の検知結果を用いることで、検知部141は、トイレットペーパの使用量を検知することが可能になる。
【0106】
認知レベル判定部143は、トイレットペーパの使用量に基づいて被験者の認知レベルを判定する。例えば、認知レベル判定部143は、トイレットペーパの使用量が第1所定量以下である場合には、認知レベルは異常レベルと判定する。認知レベル判定部143は、トイレットペーパの使用量が第1所定量を超えている場合には、認知レベルは正常レベルと判定する。なお、認知レベル判定部143は、異常レベルを細分化する場合には、複数の段階のうちトイレットペーパの使用量に応じた1つの段階を異常レベルとして割り当てる。
【0107】
(6-3)変形例3
認知レベル判定部143は、操作部B10の操作に基づいて被験者の認知レベルを判定してもよい。例えば、認知レベル判定部143は、操作部B10である押ボタンの長押し率に基づいて被験者の認知レベルを判定してもよい。
【0108】
この場合、操作装置22は、操作装置22が操作されるごとに、操作情報に操作部B10が押された時間を含めて、判定装置10に出力する。検知部141は、操作装置22に対する長押し率を検知(取得)する。長押し率は、押下回数に対する長押し回数の割合である。押下回数は、操作装置22の操作部B10(押ボタン)が押された回数である。長押し回数は、操作装置22の操作部B10が所定の基準時間よりも長く継続して押された回数である。基準時間は、例えば2秒である。基準時間は、固定の時間であってもよいし、動的に定められる時間であってもよい。
【0109】
また、例えば、検知部141は、押下回数を取得してもよいし、長押し回数を取得してもよい。検知部141は、押下回数及び長押し回数から長押し率を算出することにより、長押し率を取得してもよい。
【0110】
認知レベル判定部143は、検知部141で取得された長押し率に基づいて、認知症レベルを判定する。具体的には、認知レベル判定部143は、長押し率が低いほど、相対的に認知症レベルをより重度と判定する。例えば、認知レベル判定部143は、長押し率が第1割合である場合、認知症レベルを正常レベルと判定し、長押し率が第1割合よりも低い第2割合である場合、認知症レベルを異常レベルと判定する。なお、認知レベル判定部143は、異常レベルを細分化する場合には、複数の段階のうち長押し率に応じた1つの段階を異常レベルとして割り当てる。
【0111】
また、認知レベル判定部143は、長押し率が低いほど、認知症レベルをより重度と常に判定しなくてもよい。認知レベル判定部143は、他の条件等に従って、例外的に、長押し率が低いほど、認知症レベルをより重度と判定しなくてもよい。また、例えば、認知レベル判定部143は、長押し率が所定の範囲内である場合、認知症レベルを同じレベルと判定してもよい。
【0112】
(6-4)変形例4
操作部B10の操作に基づいて被験者の認知レベルを判定する別の例として、認知レベル判定部143は、操作部B10の連続操作に基づいて被験者の認知レベルを判定してもよい。
【0113】
検知部141は、操作装置22に対する連続操作に関する情報として、操作装置22に対する連続押し割合を取得(検知)する。連続押し割合は、押下回数に対する連続押し回数の割合である。押下回数は、操作装置22の操作部B10(押ボタン)が押された回数である。連続押し回数は、操作装置22の操作部B10が所定の基準時間間隔よりも短い時間間隔で押された回数である。基準時間間隔は、例えば、3秒である。基準時間間隔は、経験的または実験的に適宜定められればよい。基準時間間隔は、固定の時間であってもよいし、動的に定められる時間であってもよい。
【0114】
また、例えば、検知部141は、押下回数を取得してもよいし、連続押し回数を取得してもよい。検知部141は、押し回数及び連続押し回数から連続押し割合を算出することにより、連続押し割合を取得してもよい。
【0115】
認知レベル判定部143は、検知部141が取得した連続押し割合に基づいて、認知症レベルを判定する。
【0116】
具体的には、認知レベル判定部143は、連続押し割合が高いほど、相対的に認知症レベルをより重度と判定する。例えば、認知レベル判定部143は、連続押し割合が第3割合である場合、認知症レベルを正常レベルと判定し、連続押し率が第3割合よりも高い割合である場合、認知症レベルを異常レベルと判定する。なお、認知レベル判定部143は、異常レベルを細分化する場合には、複数の段階のうち連続押し割合に応じた1つの段階を割り当てる。
【0117】
また、認知レベル判定部143は、連続押し割合が高いほど、認知症レベルをより重度と常に判定しなくてもよい。認知レベル判定部143は、他の条件等に従って、例外的に、連続押し割合が高いほど、認知症レベルをより重度と判定しなくてもよい。また、例えば、認知レベル判定部143は、連続押し割合が所定の範囲内である場合、認知症レベルを同じレベルと判定してもよい。
【0118】
(6-5)変形例5
検知部141は、被験者のトイレ空間5での行動を検知した時間帯を取得(検知)してもよい。この場合、認知レベル判定部143は、被験者のトイレ空間5での行動を検知部が検知した時間帯を用いて被験者の認知レベルを判定する。
【0119】
例えば、検知部141は、行動としてトイレ空間5の入室(又は退出、入退室)を検知する。検知部141は、所定期間において、行動を検知した時間帯が深夜(例えば、0:00~05:00)である割合を算出する。認知レベル判定部143は、算出した割合が所定値以下である場合には認知レベルは正常レベルと判定する。認知レベル判定部143は、算出した割合が所定値を超えている場合には認知レベルは異常レベルと判定する。なお、認知レベル判定部143は、異常レベルを細分化する場合には、複数の段階のうち算出した割合に応じた1つの段階を割り当てる。
【0120】
また、別の例として、検知部141は、所定期間(例えば、1日)における被験者のトイレ空間5での行動の検知頻度(検知回数)を取得してもよい。この場合、認知レベル判定部143は、検知部141の検知頻度を用いて被験者の認知レベルを判定する。
【0121】
例えば、検知部141は、1日における被験者のトイレ空間5での行動としてトイレ空間5の入室(又は、退出、入退出)を検知した検知回数を取得(検知)する。認知レベル判定部143は、取得した検知回数が所定値以下である場合には認知レベルは正常レベルと判定する。認知レベル判定部143は、取得した検知回数が所定値を超えている場合には認知レベルは異常レベルと判定する。なお、認知レベル判定部143は、異常レベルを細分化する場合には、複数の段階のうち取得した検知回数に応じた1つの段階を割り当てる。
【0122】
また、検知部141は、被験者のトイレ空間5での行動を検知した時間帯及び所定期間(例えば、1日)における被験者のトイレ空間5での行動の検知頻度の双方を取得してもよい。つまり、認知レベル判定部143は、被験者のトイレ空間5での行動を検知した時間帯及び所定期間(例えば、1日)における被験者のトイレ空間5での行動の検知頻度の双方を用いて被験者の認知レベルを判定してもよい。
【0123】
すなわち、検知部141は、被験者のトイレ空間5での行動を検知した時間帯及び所定期間(例えば、1日)における被験者のトイレ空間5での行動の検知頻度のうち少なくとも一方を取得してもよい。つまり、認知レベル判定部143は、被験者のトイレ空間5での行動を検知した時間帯及び所定期間(例えば、1日)における被験者のトイレ空間5での行動の検知頻度のうち少なくとも一方を用いて被験者の認知レベルを判定してもよい。
【0124】
(6-6)変形例6
検知部141は、被験者のトイレ空間5での行動として被験者の排泄物の排泄行為を検知してもよい。例えば、検知部141は、便器31のボウル内での被験者の排泄物の有無を検知してもよい。この場合、検知部141は、便器31のボウル内の水の水質を検知する。便器31のボウル内を洗浄する操作が行われたときの水質が被験者のトイレ空間5への入室前の水質と異なる場合に、検知部141は、便器31のボウル内での被験者の排泄物の有ることを検知する。
【0125】
認知レベル判定部143は、便器31のボウル内における被験者の排泄物の有無に基づいて認知レベルを判定する。認知レベル判定部143は、便器31のボウル内において被験者の排泄物が有ることを検知部141が検知した場合には、認知レベルは正常レベルと判定する。認知レベル判定部143は、便器31のボウル内において被験者の排泄物が有ることを検知部141が検知した場合には、認知レベルは異常レベルと判定する。
【0126】
(6-7)変形例7
上記実施形態の操作装置22は、操作された操作部B10の種別を表す操作情報を、判定装置10に出力する構成としたが、この構成に限定されない。
【0127】
操作装置22は、操作された操作部B10に対応する操作内容を表す情報を判定装置10に出力してもよい。
【0128】
この場合、検知部141は、操作装置22に対して操作が行われる度に、操作内容を表す情報を受け取る。検知部141は、操作内容を表す情報を受け取ると、当該情報を受け取った順位を表す番号を特定(検知)する。検知部141は、被験者がトイレ空間5から退出したことを検知した後、被験者がトイレ空間5に在室中(トイレ空間5の利用中)に受け取った1つ以上の操作内容と、1つ以上の操作内容に一対一に対応する操作順序(順位を表す番号)とを含む行動順序情報を取得(生成)し、記憶部13に格納する。
【0129】
(6-8)変形例8
上記実施形態では、トイレ装置30は、1人の被験者のみで使用されることを前提としたが、トイレ装置30は複数人の被験者で使用されてもよい。
【0130】
この場合、記憶部13は、被験者ごとに、トイレ空間5での行動の検知結果を記憶している。例えば、被験者の各々は、当該被験者を識別するための識別子を有し、通信可能なタグを所持している。被検者がトイレ空間5に入室すると、タグから発信された識別子を、判定装置10は取得する。
【0131】
判定装置10は、取得した識別子に対応する被験者について認知レベルを判定する。すなわち、判定装置10は、取得した識別子に対応する被験者に応じた、記憶部13に記憶している検知結果を用いて、認知レベルを判定する。
【0132】
なお、被験者を識別するためにタグを用いる構成としたが、この構成に限定されない。例えば、便座32に体重センサを設けて、着座した被験者の体重で当該被験者を識別してもよい。要は、判定システム2は、被験者を識別することが可能な構成を有していればよい。
【0133】
(6-9)変形例9
検知部141は、トイレットペーパの使用の有無を検知してもよい。例えば、トイレットペーパがロール型である場合には、トイレットペーパの回転を検知するジャイロセンサの検知結果を用いることで、検知部141は、トイレットペーパの使用の有無を検知することが可能になる。
【0134】
(6-10)変形例10
上記実施形態では、認知レベル判定部143は、行動検知の有無、行動順序、滞在時間、重複行動の有無、欠如行動の有無を個別に判定条件として用いて、被験者の認知レベルを判定する構成とした。さらに、変形例1では検知した行動の時間、変形例2では検知した行動の内容、変形例3,4では操作部B10の操作(長押し率、又は連続操作)、変形例5では行動を検知した時間帯、変形例6では排泄物の有無、をそれぞれ判定条件として用いて被験者の認知レベルを判定する構成とした。しかしながら、これらの構成に限定されない。
【0135】
認知レベル判定部143は、これら判定条件のうち少なくとも2つ以上を組み合わせて、被験者の認知レベルを判定してもよい。
【0136】
(6-11)変形例11
上記実施形態では、認知レベル判定部143は、所定期間での検知結果を用いて被験者の認知レベルを判定する構成としたが、この構成に限定されない。
【0137】
認知レベル判定部143は、直近の検知結果のみを用いて被験者の認知レベルを判定してもよい。
【0138】
(6-12)その他の変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、認知レベル判定システム1と同様の機能は、認知レベル判定方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る認知レベル判定方法は、検知ステップと、認知レベル判定ステップと、を含む。検知ステップは、被験者のトイレ空間での行動を検知する。認知レベル判定ステップは、検知ステップでの検知結果に基づいて被験者の認知レベルを判定する。一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムを、上述した認知レベル判定方法として機能させるためのプログラムである。
【0139】
本開示における認知レベル判定システム1又は認知レベル判定方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを有する。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における認知レベル判定システム1又は認知レベル判定方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0140】
コンピュータシステムである認知レベル判定システム1は、1又は複数のコンピュータで構成されるシステムであってもよい。例えば、認知レベル判定システム1の少なくとも一部の機能は、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されてもよい。
【0141】
また、上記実施形態では、判定装置10は、操作装置22と別体の構成としたが、この構成に限定されない。判定装置10は、操作装置22は一体の装置であってもよい。
【0142】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の認知レベル判定システム(1)は、検知部(141)と、認知レベル判定部(143)と、を備える。検知部(141)は、被験者(u1)のトイレ空間(5)での行動を検知する。認知レベル判定部(143)は、検知部(141)での検知結果に基づいて被験者(u1)の認知レベルを判定する。
【0143】
この構成によると、生活の一場面としてトイレ空間(5)での被験者の行動に基づいて被験者の認知レベルを判定することができる。また、特別な検査を必要とすることなく、被験者の認知レベルを判定することができる。
【0144】
第2の態様の認知レベル判定システム(1)では、第1の態様において、検知部(141)は、被験者(u1)のトイレ空間(5)での複数の行動を検知する。認知レベル判定部(143)は、複数の行動の順序に基づいて認知レベルを判定する。
【0145】
この構成によると、トイレ空間(5)での被験者の複数の行動の順序に基づいて認知レベルを判定することができる。
【0146】
第3の態様の認知レベル判定システム(1)では、第2の態様において、認知レベル判定部(143)は、被験者(u1)のトイレ空間(5)での行動順序であって予め記憶されている行動順序と、検知部(141)が検知した複数の行動の順序とを比較して、認知レベルを判定する。
【0147】
この構成によると、予め記憶している行動順序と比較することで、比較的容易に認知レベルを判定することができる。
【0148】
第4の態様の認知レベル判定システム(1)では、第1の態様において、認知レベル判定部(143)は、検知部(141)による被験者(u1)のトイレ空間(5)での行動の検知の有無に基づいて認知レベルを判定する。
【0149】
この構成によると、行動の検知の有無に基づいて認知レベルを判定する。認知症又はMCIの可能性がある被験者は、トイレ空間(5)に入室しても何もしないでトイレ空間(5)から退出する場合がある。そこで、トイレ空間(5)での行動の検知の有無を用いることで、比較的容易に認知レベルを判定することができる。
【0150】
第5の態様の認知レベル判定システム(1)では、第1の態様において、検知部(141)は、被験者(u1)のトイレ空間(5)での行動として、トイレ空間(5)の滞在時間を検知する。認知レベル判定部(143)は、滞在時間に基づいて認知レベルを判定する。
【0151】
この構成によると、滞在時間に基づいて認知レベルを判定する。認知症又はMCIの可能性がある被験者は、トイレ空間(5)での滞在時間が変化する傾向がある。そこで、トイレ空間(5)での滞在時間を用いることで、比較的容易に認知レベルを判定することができる。
【0152】
第6の態様の認知レベル判定システム(1)では、第1の態様において、検知部(141)は、被験者(u1)のトイレ空間(5)での行動に要する時間を検知する。認知レベル判定部(143)は、行動に要する時間に基づいて認知レベルを判定する。
【0153】
この構成によると、行動に要する時間に基づいて認知レベルを判定する。認知症又はMCIの可能性がある被験者は、トイレ空間(5)での行動に要する時間が変化する。そこで、トイレ空間(5)での行動に要する時間を用いることで、比較的容易に認知レベルを判定することができる。
【0154】
第7の態様の認知レベル判定システム(1)では、第1の態様において、検知部(141)は、被験者(u1)のトイレ空間(5)での行動の内容を検知する。認知レベル判定部(143)は、行動の内容に基づいて認知レベルを判定する。
【0155】
この構成によると、行動の内容に基づいて認知レベルを判定する。認知症又はMCIの可能性がある被験者は、トイレ空間(5)での行動の内容が変化する。そこで、トイレ空間(5)での行動の内容を用いることで、比較的容易に認知レベルを判定することができる。
【0156】
第8の態様の認知レベル判定システム(1)では、第1の態様において、検知部(141)は、被験者(u1)のトイレ空間(5)での複数の行動を検知する。認知レベル判定部(143)は、複数の行動において重複する行動の有無に基づいて認知レベルを判定する。
【0157】
この構成によると、重複する行動の有無に基づいて認知レベルを判定する。認知症又はMCIの可能性がある被験者は、トイレ空間(5)での行動が重複する場合がある。そこで、トイレ空間(5)において重複する行動の有無を用いることで、比較的容易に認知レベルを判定することができる。
【0158】
第9の態様の認知レベル判定システム(1)では、第1の態様において、検知部(141)は、被験者のトイレ空間(5)での行動として操作装置(22)に対する操作を検知する。認知レベル判定部(143)は、操作に基づいて認知レベルを判定する。
【0159】
この構成によると、操作装置(22)に対する操作に基づいて認知レベルを判定する。認知症又はMCIの可能性がある被験者は、トイレ空間(5)での操作装置(22)に対する操作に変化が生じる場合がある。そこで、トイレ空間(5)において操作装置(22)に対する操作に応じて認知レベルを判定することができる。
【0160】
第10の態様の認知レベル判定システム(1)では、第9の態様において、認知レベル判定部(143)は、操作装置(22)が有する押ボタン(操作部B10)の長押し率に基づいて認知レベルを判定する。
【0161】
この構成によると、押ボタンの長押し率に基づいて認知レベルを判定する。認知症又はMCIの可能性がある被験者は、押ボタンの操作に変化が生じる場合がある。そこで、操作装置(22)の押ボタンに対する長押し率に応じて認知レベルを判定することができる。
【0162】
第11の態様の認知レベル判定システム(1)では、第9の態様において、認知レベル判定部(143)は、操作装置(22)が有する押ボタン(操作部B10)の連続操作に基づいて認知レベルを判定する。
【0163】
この構成によると、押ボタンの連続操作に基づいて認知レベルを判定する。認知症又はMCIの可能性がある被験者は、押ボタンの操作に変化が生じる場合がある。そこで、操作装置(22)の押ボタンに対する連続操作に応じて認知レベルを判定することができる。
【0164】
第12の態様の認知レベル判定システム(1)では、第1の態様において、認知レベル判定部(143)は、被験者(u1)のトイレ空間(5)での行動を検知部(141)が検知した時間帯及び検知部(141)の検知頻度のうち少なくとも一方を用いて認知レベルを判定する。
【0165】
この構成によると、被験者(u1)のトイレ空間(5)での行動を検知部(141)が検知した時間帯及び検知部(141)の検知頻度のうち少なくとも一方を用いて認知レベルを判定する。認知症又はMCIの可能性がある被験者は、トイレ空間(5)を利用する時間帯、頻度に変化が生じる場合がある。そこで、被験者(u1)のトイレ空間(5)での行動を検知部(141)が検知した時間帯及び検知部(141)の検知頻度のうち少なくとも一方を用いることで、比較的容易に認知レベルを判定することができる。
【0166】
第13の態様の認知レベル判定システム(1)では、第1の態様において、検知部(141)は、被験者(u1)のトイレ空間(5)での行動として被験者(u1)の排泄物の有無を検知する。認知レベル判定部(143)は、被験者(u1)の排泄物の有無に基づいて認知レベルを判定する。
【0167】
この構成によると、被験者(u1)の排泄物の有無に基づいて認知レベルを判定する。認知症又はMCIの可能性がある被験者は、排泄を行うことなくトイレ空間(5)から退出する場合がある。そこで、排泄物の有無を用いることで、比較的容易に認知レベルを判定することができる。
【0168】
第14の態様の認知レベル判定システム(1)では、第1~第13のいずれかの態様において、通知部(144)を、更に備える。通知部(144)は、トイレ空間(5)において欠如している行動が有る場合には、欠如している行動に係る欠如行動情報を通知する。
【0169】
この構成によると、トイレ空間(5)において、欠如している行動を気付かせることができる。
【0170】
第15の態様の認知レベル判定方法は、検知ステップと、認知レベル判定ステップと、を含む。検知ステップは、被験者(u1)のトイレ空間(5)での行動を検知する。認知レベル判定ステップは、検知ステップでの検知結果に基づいて被験者(u1)の認知レベルを判定する。
【0171】
この認知レベル判定方法によると、生活の一場面としてトイレ空間(5)での被験者の行動に基づいて被験者の認知レベルを判定することができる。
【0172】
第16の態様のプログラムは、コンピュータに、第15の態様の認知レベル判定方法を実行させるためのプログラムである。
【0173】
このプログラムによると、生活の一場面としてトイレ空間(5)での被験者の行動に基づいて被験者の認知レベルを判定することができる。
【符号の説明】
【0174】
1 認知レベル判定システム
5 トイレ空間
10 判定装置
22 操作装置
141 検知部
143 認知レベル判定部
144 通知部
B10 操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6