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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】コネクタセットおよびコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20221223BHJP
   H01R 13/64 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
H01R13/64
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018087653
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019192615
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 覚
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宝
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-235133(JP,A)
【文献】特開2008-146907(JP,A)
【文献】米国特許第05910027(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/639
H01R 13/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ハウジングと、前記第1ハウジングに保持される第1端子と、を有する第1コネクタと、
前記第1ハウジングと嵌合する第2ハウジングと、前記第2ハウジングに保持され、前記第1ハウジングと第2ハウジングとを嵌合させた状態で前記第1端子に導通接続される第2端子と、を有する第2コネクタと、
前記第1ハウジングの挿入空間において第1位置と第2位置との間で一方向にスライド可能に構成されるスライド部材と、
を備え、
前記第1ハウジングは、
前記第1端子を保持する第1ハウジング本体と、
前記第1ハウジング本体に連設され、前記第1ハウジング本体に対して相対移動するレバー部と、
を備え、
前記第2ハウジングは、
前記第2端子を保持する第2ハウジング本体と、
前記第1ハウジングと第2ハウジングとを嵌合させた状態で前記レバー部に係合し、前記第1ハウジングと第2ハウジングとの嵌合状態を維持するレバー係合部と、
前記レバー部が収容される収容部と、
を備え、
前記スライド部材には、
本体部と、
前記本体部の幅方向両側において前方に延びるように連設されて弾性変形可能に設けられた1対の第1アーム部と、
前記1対の第1アーム部と上下方向に対向して配置され前記本体部の幅方向両側において前方に延びるように連設された1対の第2アーム部と、
前記第2位置までスライドさせた際に、前記第2ハウジングに形成された被係止部に係止され、前記スライド部材の前記第2位置よりも後方である前記第1位置へのスライドを規制する係合部と、
が形成されており、
前記スライド部材には、前記1対の第1アーム部及び前記1対の第2アーム部によって幅方向の両側が画成された空隙が、前記1対の第1アーム部側から前記1対の第2アーム部側にかけて貫通するように形成されており、
前記第1ハウジングは、前記レバー部の上下方向の下方への撓みが許容される許容空間を備えており、
前記挿入空間は、前記許容空間の幅方向両側における上下方向の上方側に形成されて、前記1対の第1アーム部が挿入される第1挿入空間と、前記許容空間の幅方向両側における下方側に形成されて、前記1対の第2アーム部が挿入される第2挿入空間と、を備えており、
前記収容部は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを嵌合させた状態で、前記レバー部および前記許容空間が収容されるレバー部収容空間を備えており、
前記収容部は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを嵌合させつつ前記スライド部材を前記第2位置までスライドさせた状態で、前記レバー部収容空間の幅方向両側における上下方向の上方側に形成されて、前記一対の第1アーム部が収容される第1収容空間と、前記レバー部収容空間の幅方向両側における下方側に形成されて、前記一対の第2アーム部が挿入される第2収容空間と、をさらに備えていることを特徴とするコネクタセット。
【請求項2】
前記スライド部材は、
前記第1ハウジングと第2ハウジングとが嵌合していない状態では、前記スライド部材の被規制部が前記第1ハウジングに形成されたスライド規制部に干渉して前記スライド部材の前記第1位置から前方である前記第2位置へのスライドが規制可能である仮保持状態と、
前記第1ハウジングと第2ハウジングとが嵌合した状態では、前記係合部が前記被係止部に当接することにより前記スライド規制部との干渉が解除されて前記仮保持状態から前記スライド部材の前記第2位置へのスライドが許容されるスライド許容状態と、を有していることを特徴とする請求項1に記載のコネクタセット。
【請求項3】
前記1対の第1アーム部には、前記被規制部と前記係合部が形成され、
前記1対の第2アーム部には、前記仮保持状態で、前記第1ハウジングに係止して後方に移動を規制する係止部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタセット。
【請求項4】
前記仮保持状態のとき、前記係合部が前記スライド規制部よりも前方に位置していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のコネクタセット。
【請求項5】
前記スライド部材には、前記第2位置までスライドさせた際に、前記レバー部の前記第1ハウジング本体に対する相対移動を規制する規制部が形成されていることを特徴とする請求項2~4のうちいずれか1項に記載のコネクタセット。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載のスライド部材が第1位置と第2位置との間でスライド可能に保持されるハウジングと、
前記ハウジングに保持される端子と、
を備えることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタセットおよびコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタセットとして、第1コネクタと第2コネクタとを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このコネクタセットは、第1コネクタの第1ハウジングと第2コネクタの第2ハウジングとを嵌合させることで、第1ハウジングに収容された第1端子と第2ハウジングに収容された第2端子とを導通接続させるものである。
【0003】
この特許文献1では、第1ハウジングに弾性変形可能に形成されたレバー部を第2ハウジングに形成された被係止部に係止させることで、第1コネクタと第2コネクタとが嵌合状態でロックされるようにしている。
【0004】
また、この特許文献1に開示されたコネクタセットは、第1ハウジングにスライド可能に保持されるスライド部材をさらに備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-152273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、スライド部材に形成された突部をレバー部に形成された被係止部に係止させることで、第2位置から第1位置へのスライド移動を規制している。そのため、第1ハウジングの第2ハウジングに対する引っ張り強度を高めることができない。
【0007】
そこで、本開示は、互いに嵌合させた状態において、第1ハウジングの第2ハウジングに対する引っ張り強度をより高めることが可能なコネクタセットおよびコネクタを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示にかかるコネクタセットは、第1ハウジングと、前記第1ハウジングに保持される第1端子と、を有する第1コネクタと、前記第1ハウジングと嵌合する第2ハウジングと、前記第2ハウジングに保持され、前記第1ハウジングと第2ハウジングとを嵌合させた状態で前記第1端子に導通接続される第2端子と、を有する第2コネクタと、前記第1ハウジングの挿入空間において第1位置と第2位置との間で一方向にスライド可能に構成されるスライド部材と、を備えている。また、前記第1ハウジングは、前記第1端子を保持する第1ハウジング本体と、前記第1ハウジング本体に連設され、前記第1ハウジング本体に対して相対移動するレバー部と、を備えている。また、前記第2ハウジングは、前記第2端子を保持する第2ハウジング本体と、前記第1ハウジングと第2ハウジングとを嵌合させた状態で前記レバー部に係合し、前記第1ハウジングと第2ハウジングとの嵌合状態を維持するレバー係合部と、前記レバー部が収容される収容部と、を備えている。また、前記スライド部材には、本体部と、前記本体部の幅方向両側において前方に延びるように連設されて弾性変形可能に設けられた1対の第1アーム部と、前記1対の第1アーム部と上下方向に対向して配置され前記本体部の幅方向両側において前方に延びるように連設された1対の第2アーム部と、前記第2位置までスライドさせた際に、前記第2ハウジングに形成された被係止部に係止され、前記スライド部材の前記第2位置よりも後方である前記第1位置へのスライドを規制する係合部と、が形成されている。そして、前記スライド部材には、前記1対の第1アーム部及び前記1対の第2アーム部によって幅方向の両側が画成された空隙が、前記1対の第1アーム部側から前記1対の第2アーム部側にかけて貫通するように形成されており、前記第1ハウジングは、前記レバー部の上下方向の下方への撓みが許容される許容空間を備えており、前記挿入空間は、前記許容空間の幅方向両側における上下方向の上方側に形成されて、前記1対の第1アーム部が挿入される第1挿入空間と、前記許容空間の幅方向両側における下方側に形成されて、前記1対の第2アーム部が挿入される第2挿入空間と、を備えており、前記収容部は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを嵌合させた状態で、前記レバー部および前記許容空間が収容されるレバー部収容空間を備えており、前記収容部は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを嵌合させつつ前記スライド部材を前記第2位置までスライドさせた状態で、前記レバー部収容空間の幅方向両側における上下方向の上方側に形成されて、前記一対の第1アーム部が収容される第1収容空間と、前記レバー部収容空間の幅方向両側における下方側に形成されて、前記一対の第2アーム部が挿入される第2収容空間と、をさらに備えている。
【0009】
また、本開示にかかるコネクタは、前記スライド部材が第1位置と第2位置との間でスライド可能に保持されるハウジングと、前記ハウジングに保持される端子と、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、互いに嵌合させた状態において、第1ハウジングの第2ハウジングに対する引っ張り強度をより高めることが可能なコネクタセットおよびコネクタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】コネクタセットの一例を示す図であって、ケーブルに実装されるとともにスライド部材が仮保持されたプラグコネクタと、回路基板に実装されたレセプタクルコネクタと、に分解して示す斜視図である。
図2】コネクタセットの一例を示す図であって、ケーブルに実装されたプラグコネクタと回路基板に実装されたレセプタクルコネクタとを嵌合させ、スライド部材でロックした状態を示す斜視図である。
図3】一例として示したコネクタセットのプラグコネクタ側の端子とレセプタクルコネクタ側の端子との接触状態を示す図であって、(a)は、プラグコネクタ側の下側端子とレセプタクルコネクタ側の下側端子との接触状態を示す斜視図、(b)は、プラグコネクタ側の上側端子とレセプタクルコネクタ側の上側端子との接触状態を示す斜視図である。
図4】一例として示したプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、スライド部材が仮保持されたプラグコネクタがレセプタクルコネクタに嵌合する前の状態を示す斜視図である。
図5】一例として示したプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、スライド部材が仮保持されたプラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させた状態を示す斜視図である。
図6】一例として示したプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、プラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させつつスライド部材でロックした状態を示す斜視図である。
図7】一例として示したコネクタセットが備えるスライド部材が仮保持されたプラグコネクタをケーブルに実装する前の状態を示す斜視図である。
図8】一例として示したコネクタセットが備えるプラグコネクタをケーブルに実装する様子を説明する図であって、(a)は、実装前の状態を裏側から視た斜視図、(b)は、実装後の状態を裏側から視た斜視図である。
図9】一例として示したコネクタセットが備えるプラグコネクタおよびスライド部材を分解して示す斜視図である。
図10】プラグコネクタが備えるプラグハウジングを示す図であって、(a)は、平面図、(b)は、裏面図である。
図11】プラグコネクタが備えるプラグハウジングを示す図であって、(a)は、正面図、(b)は、背面図、(c)は、側面図、(d)は、側断面図である。
図12】プラグコネクタが備える下側端子を示す図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、側面図、(d)は、裏面図、(e)は、正面図、(f)は、背面図である。
図13】プラグコネクタが備える上側端子を示す図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、側面図、(d)は、裏面図、(e)は、正面図、(f)は、背面図である。
図14】プラグコネクタとケーブルとの実装状態を示す図であって、(a)は、下側端子をケーブルの導体部に実装した状態を示す側断面図、(b)は、上側端子をケーブルの導体部に実装した状態を示す側断面図である。
図15】プラグコネクタの脚部保持部を拡大して示す斜視図である。
図16】プラグコネクタの第1空間が第2脚部によって分断される状態を説明する図である。
図17】プラグコネクタの端子用ガイド溝を拡大して示す斜視図である。
図18】一例として示したコネクタセットが備えるレセプタクルコネクタが回路基板に実装される前の状態を示す斜視図である。
図19】一例として示したコネクタセットが備えるレセプタクルコネクタを分解して示す斜視図である。
図20】一例として示したレセプタクルコネクタが備えるレセプタクルハウジングを示す図であって、(a)は、平面図、(b)は、裏面図である。
図21】一例として示したレセプタクルコネクタが備えるレセプタクルハウジングを示す図であって、(a)は、正面図、(b)は、背面図、(c)は、側面図、(d)は、側断面図である。
図22】一例として示したレセプタクルコネクタが備える下側端子を示す図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、側面図、(d)は、裏面図、(e)は、正面図、(f)は、背面図である。
図23】一例として示したレセプタクルコネクタが備える上側端子を示す図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、側面図、(d)は、裏面図、(e)は、正面図、(f)は、背面図である。
図24】一例として示したレセプタクルコネクタと回路基板との実装状態を示す図であって、(a)は、下側端子を回路基板の導体部に実装した状態を示す側断面図、(b)は、上側端子を回路基板の導体部に実装した状態を示す側断面図である。
図25】一例として示したコネクタセットが備えるスライド部材を示す図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、側面図、(d)は、裏面図、(e)は、正面図、(f)は、背面図である。
図26】一例として示したプラグコネクタにスライド部材が仮保持される状態を示す水平断面図である。
図27】一例として示したプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、スライド部材が仮保持されたプラグコネクタがレセプタクルコネクタに嵌合する前の状態を示す側断面図である。
図28】一例として示したプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、スライド部材が仮保持されたプラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させた状態を示す側断面図である。
図29】一例として示したプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、プラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させつつスライド部材でロックした状態を示す側断面図である。
図30】プラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させつつスライド部材でロックした状態で、レバー部の撓みが規制される様子を説明する側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、ケーブル1Aに実装されるプラグコネクタ1、回路基板2Aに実装されるレセプタクルコネクタ2を例示する。
【0013】
また、以下では、被実装部材に実装した状態において被実装部材の実装面と直交する方向(実装面の法線方向)をコネクタの上下方向(Z方向)として説明する。また、各コネクタのハウジングに収容された端子が並設される方向を幅方向(Y方向)とし、各コネクタのハウジング内への端子の挿入方向を前後方向(X方向)として説明する。
【0014】
さらに、被実装部材に実装されたコネクタを実装面の上側に位置させた状態における上方を、上下方向の上方と規定し、コネクタ同士を嵌合させる際に互いに相手側コネクタと対向する側を前後方向の前方と規定する。
【0015】
[コネクタセットの構成例]
本実施形態にかかるプラグコネクタ(第1コネクタ:コネクタ)1は、図1~3に示すコネクタセットC1などで用いられるものである。
【0016】
コネクタセットC1は、図1および図2に示すように、上述したプラグコネクタ1が嵌合するレセプタクルコネクタ(第2コネクタ)2を備えている。
【0017】
本実施形態では、プラグコネクタ1は、FPCやFFC等のケーブル(被接続部材)1Aに実装可能に形成されている。すなわち、プラグコネクタ1が備える端子13をケーブル1Aの導体部151bAに電気的に接続する(実装する)ことで、プラグコネクタ1がケーブル1Aに実装されるようになっている。
【0018】
一方、レセプタクルコネクタ2は、回路基板(被実装部材)2Aに実装可能に形成されている。すなわち、レセプタクルコネクタ2が備える端子23を回路基板2Aの導体部(図示せず)に電気的に接続する(実装する)ことで、レセプタクルコネクタ2が回路基板2Aに実装されるようになっている。
【0019】
このように、コネクタセットC1は、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させて、端子13と端子23とを導通接続させることで、ケーブル1Aと回路基板2Aとを電気的に接続させるものである(図2および図3参照)。
【0020】
さらに、本実施形態では、プラグコネクタ1には、スライド部材3がスライド可能に保持されている(図4図6参照)。
【0021】
このスライド部材3は、プラグコネクタ1のレセプタクルコネクタ2への嵌合が完了していない状態では、第1位置としての初期位置から第2位置としてのスライド完了位置へのスライド移動が規制されるように、プラグコネクタ1にスライド可能に取り付けられている。なお、第1位置および第2位置は適宜設定することができる。
【0022】
そして、プラグコネクタ1のレセプタクルコネクタ2への嵌合が完了した状態になると、初期位置からスライド完了位置へのスライド移動が許容されるように構成されている。このような構成とすることで、スライド部材3の初期位置からスライド完了位置へのスライドによって、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2との嵌合の完了を確認できるようになっている。
【0023】
このように、本実施形態では、コネクタセットC1が、コネクタ位置保証(Connector Position Assurance;CPA)機能を有しており、スライド部材3をCPA部材として機能させている。
【0024】
[ケーブル1Aの構成例]
次に、プラグコネクタ1が実装されるケーブル1Aの構成の一例について、図7図8に基づき説明する。
【0025】
ケーブル1Aは、表面(前面:一面)1aAおよび裏面(後面:他面)1bAを持つシート状(平板状)をしており、表面1aAが、プラグコネクタ1が実装される実装面となっている。さらに、ケーブル1Aは可撓性を有しており、ケーブル1Aをケーブル厚さ方向に曲げる(湾曲させる)ことができるようになっている。
【0026】
このケーブル1Aは、プラグコネクタ1との連結に使用される連結領域11Aと、他の回路との配線のために導体層15bAが延伸する延伸領域12Aと、を備えている。
【0027】
本実施形態では、ケーブル1Aは、延伸領域12Aの一端側に連結領域11Aが位置するように形成されている。そして、連結領域11Aを連結したプラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ(レセプタクルコネクタ2やレセプタクルコネクタ3)に嵌合させた状態において、延伸領域12Aがレセプタクルコネクタの反対側に位置するようになっている。
【0028】
また、ケーブル1Aは、多層構造をしており、支持層15aAと、支持層15aAに支持される導体層15bAと、を備えている。支持層15aAは、複数の絶縁体膜からなり、導体層15bAを被覆するものである。一方、導体層15bAは、支持層15aAを構成する絶縁体膜上に印刷された導体膜であり、後述する複数の端子13,14にそれぞれ対応する複数の配線パターンである。
【0029】
また、連結領域11Aの上面には、支持体15aAから露出された導体層15bAである複数の導体部151bAが形成されている。複数の導体部151bAは、前後方向に2列形成されており、各列の導体部151bAが幅方向(Y方向)に所定のピッチで並ぶように形成されている。さらに、本実施形態では、複数の導体部151bAは、平面視(実装面1Aaに沿って視た状態)で千鳥状となるように形成されている。
【0030】
このような構造は、例えば、支持層15aA上に複数の導体膜を印刷することで導体層15bAを形成し、この導体層15bA上を他の支持層15aAで覆うことで形成することができる。このとき、導電層15bAの先端が覆われないように他の支持層15aAを設けるようにすれば、導電層15bAの先端が一側(上下方向の上方)に露出したケーブル1Aが形成される。
【0031】
なお、ケーブル1Aの形成方法は上記の方法に限られるものではなく、様々な方法で形成することができる。
【0032】
また、連結領域11Aの上面には、プラグコネクタ1の後述する保持金具15が固定される固定部15cAが形成されている。本実施形態では、ケーブル1Aは、幅方向(Y方向)に並設された複数の導体層15bAよりも幅方向(Y方向)の両側に延設された幅広部16Aを備えており、各幅広部16Aの先端側(前後方向の前側)に一対の固定部15cAが形成されている。また、各幅広部16Aの前後方向の後側には、プラグコネクタ1のハウジング10が固定される固定部15dAが形成されている。この固定部15cAや固定部15dAは、例えば、導体層15bAの印刷工程において導体層15bAと同様に形成することができる。
【0033】
また、本実施形態では、ケーブル1Aの連結領域11Aには、前後方向(X方向)に細長く、前方に開口するスリット11aAが形成されている。そして、連結領域11Aにおけるスリット11aAの幅方向(Y方向)の両側には、ケーブル厚さ方向(上下方向;Z方向)に貫通する貫通孔11bAが形成されている。
【0034】
さらに、本実施形態では、ケーブル1Aが補強板14Aを備えている。この補強板14Aは、ガラスエポキシ樹脂やステンレス等を用いて形成されており、ケーブル1Aの連結領域11Aをプラグコネクタ1との間に挟み込むことにより、ケーブル1Aの連結領域11Aを補強するものである。
【0035】
本実施形態では、補強板14Aは、ケーブル1Aの連結領域11Aの形状に対応した形状をしている。すなわち、補強板14Aは、平面視(実装面1Aaに沿って視た状態)における輪郭形状が、連結領域11Aの輪郭形状と略同一の形状をしている。したがって、補強板14Aには、前後方向(X方向)に細長く、前方に開口するスリット14aAと、ケーブル厚さ方向(上下方向;Z方向)に貫通する貫通孔14bAと、が形成されている。そして、補強板14Aは、スリット11aAとスリット14aAとを連通させるとともに、貫通孔11bAと貫通孔14bAとを連通させた状態で、接着剤等により連結領域11Aの裏面側に取り付けられている。
【0036】
このとき、平面視(実装面1Aaに沿って視た状態)で、導体部151bAの全体が補強板14Aと重なり合うようにするのが好ましい。こうすれば、導体部151bAの全体が補強板14Aにより支持されるため、導体部151bAが上下方向(Z方向)に折れ曲がったり、幅方向(Y方向)に撓んだりしてしまうのを抑制することができる。
【0037】
[プラグコネクタ1の構成例]
次に、プラグコネクタ1の構成の一例について、図9図17に基づき説明する。
【0038】
プラグコネクタ(第1コネクタ)1は、図9に示すように、プラグハウジング(第1ハウジング)10と、プラグハウジング10に保持されるプラグ端子(第1端子)13,14と、プラグハウジング10に保持される保持金具15と、を備えている。
【0039】
そして、プラグハウジング10に保持されたプラグ端子13,14が、プラグハウジング10の外側に配置されたケーブル1Aの導体部151bAに実装されることで、プラグコネクタ1が被実装部材としてのケーブル1Aに実装されるようになっている。なお、プラグ端子13,14は、半田付け等により導体部151bAに実装されている。また、保持金具15は、プラグハウジング10に保持された状態で、半田付け等によりケーブル1Aの固定部15cAに固定されることで、プラグハウジング10をケーブル1Aに固定するためのものである。
【0040】
プラグハウジング10は、剛性を有するハウジング本体(第1ハウジング本体)11を備えており、このプラグハウジング10は、例えば、絶縁性の樹脂材料を用いて形成することができる。
【0041】
また、ハウジング本体11には、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ(レセプタクルコネクタ2やレセプタクルコネクタ3)のハウジングとを嵌合状態で保持したり、嵌合状態を解除したりするロック部12が形成されている。
【0042】
このように、本実施形態では、プラグハウジング10は、ハウジング本体11と、ハウジング本体11に形成されたロック部12と、を備えている。
【0043】
ハウジング本体11は、天壁111と、底壁112と、天壁111および底壁112の幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ連設する一対の側壁113と、天壁111、底壁112および側壁113,113の前端に連設された前壁114と、を備えている。
【0044】
また、ハウジング本体11は、一対の側壁113および前壁114に連設されて、天壁111、底壁112、側壁113,113および前壁114で画成された空間を上下に仕切る仕切り壁115を備えている。
【0045】
さらに、ハウジング本体11は、天壁111、仕切り壁115および前壁114に連設された上側隔壁116を複数備えており、この上側隔壁116によって、仕切り壁115で仕切られた上側の空間が複数の空間に仕切られている。また、ハウジング本体11は、底壁112、仕切り壁115および前壁114に連設された下側隔壁117を複数備えており、この下側隔壁117によって、仕切り壁115で仕切られた下側の空間が複数の空間に仕切られている。
【0046】
そして、このハウジング本体11の上部の幅方向中央部にロック部12が形成されている。具体的には、天壁111は、幅方向の両側に形成されており、それぞれの天壁111の幅方向内側に上側隔壁116が連設されている。このように、本実施形態では、ハウジング本体11は、挿入方向(前後方向;X方向)に沿って視た状態で、幅方向の中央部が凹んだ形状をしている。そして、このハウジング本体11の幅方向の中央部に形成された凹部11aにロック部12が形成されている。
【0047】
ロック部12は、仕切り壁115の前端に連設されて後方に延在するレバー部121を備えている。このレバー部121は、後側が仕切り壁115(ハウジング本体11)に対して上下方向に相対移動できるようになっている。そして、レバー部121の後端には、レバー部121を操作する操作部121aが形成されており、レバー部121の前後方向の中央部には、レセプタクルコネクタ2に形成された係合凹部(係合部)221aに係合する係合突部121bが形成されている。
【0048】
本実施形態では、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20とを嵌合させた際に、係合突部121bが係合凹部221aに係合して、各コネクタのハウジング同士をロック(嵌合状態で維持)できるようにしている。そして、レバー部121の操作部121aを押し下げて、レバー部121を下方に移動させることで、係合突部121bも下方に移動し、係合凹部221aとの係合が解除されて、各コネクタのハウジング同士の嵌合を解除できるようにしている。
【0049】
さらに、凹部11aにおけるレバー部121の幅方向両側には、スライド部材3が挿入される挿入空間S6が形成されている。また、凹部11aにおけるレバー部121の下方(レバー部121と仕切り壁115との間)には、レバー部121の下方への撓み(ハウジング本体11に対する相対移動)が許容される撓み許容空間S7が形成されている。
【0050】
なお、挿入空間S6は、凹部11aを画成する上側隔壁116に、幅方向に突出するように形成された突出壁116aによって、後述するスライド部材3の下側アーム部32が挿入される空間と、上側アーム部33が挿入される空間とに区画されている。
【0051】
また、凹部11aを画成する上側隔壁116の突出壁116aよりも下側の前後方向の中央部には、段差部116bが形成されており、下側アーム部32が挿入される空間は、平面視で、前側が幅広となるように形成されている(図26参照)。そして、下側アーム部32の先端(前端)に幅方向外側に突出するように形成された係止突部32aを段差部116bに係止させることで、スライド部材3のハウジング本体11からの抜けが抑制されるようにしている。
【0052】
また、天壁111には、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20との嵌合をガイドするガイド溝111bが形成されている。
【0053】
そして、天壁111の後部には、平面視で略L字状をした規制突部(スライド規制部)111dが形成されている。この規制突部111dは、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了していない状態のときに、スライド部材3が初期位置からスライド完了位置へとスライドしてしまうことを規制するものである。
【0054】
また、底壁112の下側(裏面側)の前端には、幅方向に延在する突部112aが下方に向けて突出するように形成されている。この突部112aは、突出量が、ケーブル1Aの厚さと補強板14Aの厚さの和以上となるように底壁112に形成されている。
【0055】
このような突部112aを底壁112に形成することで、底壁112の下面に凹部112cが形成されるようにしている。そして、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装させた際に、補強板14Aが取り付けられた連結領域11Aがこの凹部112cに収容されるようにしている(図8(b)参照)。
【0056】
このように、本実施形態では、プラグハウジング10は、ハウジング厚み方向(上下方向:Z方向)に対向する一対の壁部(天壁111および底壁112)を備えている。そして、一対の壁部(天壁111および底壁112)のうちの一方側の壁部である底壁112に、ケーブル1Aの連結領域11Aが収容される凹部112cが形成されている。すなわち、プラグハウジング10は、ケーブル(被実装部材)1Aを受け入れる受入部(凹部112b)を、ハウジング厚み方向(上下方向)の一方側の壁部(底壁112b)に有している。
【0057】
なお、本実施形態では、レセプタクルコネクタ2に、スリット11aAおよびスリット14aAに対応するように位置決め突部212bが形成されている。そして、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させる際に、位置決め突部212bがスリット11aAおよびスリット14aAに挿入されるようにしている。こうすることで、ケーブル1Aの幅方向の位置ずれが抑制されるようにしている。また、ケーブル1Aの前方への位置ずれは、突部112aによって抑制されるようにしている。
【0058】
前壁114には、仕切り壁115、上側隔壁116および下側隔壁117により仕切られた複数の空間と連通するように貫通孔14aが形成されている。このように、本実施形態では、ハウジング本体11には、前後方向に貫通する複数の空間が形成されている。そして、前後方向に貫通する空間内に、プラグ端子13,14がそれぞれ圧入(挿入)されるようになっている。
【0059】
本実施形態では、ハウジング本体11に、幅方向(Y方向)に複数並設された空間が上下方向(Z方向)に2段形成されるようにしている。さらに、ハウジング本体11を前後方向の後方から視たときに、複数の空間が千鳥状に形成されるようにしている。こうすることで、プラグコネクタ1の幅方向の小型化を図っている。
【0060】
具体的には、ハウジング本体11の下側(実装面1aA側)に、底壁112、仕切り壁115および下側隔壁117によって画成された空間を、幅方向(Y方向)に複数並設させている。そして、このハウジング本体11の下側(実装面1aA側)に形成された空間が、プラグ端子13,14のうち後述する下側プラグ端子13が圧入(挿入)される第1空間S1となっている。
【0061】
一方、ハウジング本体11の上側(第1空間S1よりも実装面1aAから離れた位置)には、天壁111、仕切り壁115および上側隔壁116によって画成された空間を、幅方向(Y方向)に複数並設させている。そして、このハウジング本体11の上側に形成された空間が、プラグ端子13,14のうち後述する上側プラグ端子14が圧入(挿入)される第2空間S2となっている。
【0062】
さらに、本実施形態では、上側隔壁116と下側隔壁117とが幅方向にずれた位置に形成されている。すなわち、第1空間S1と第2空間S2とが、平面視で一部が重なり合うように形成されている。言い換えると、プラグ端子13,14がハウジング10に保持されるとともにケーブル1Aに実装された状態で、プラグハウジング10を実装面1aAの法線方向(上下方向)に沿って視たときに、第1空間S1と第2空間S2とが重なり合うようにしている。
【0063】
なお、本実施形態では、プラグハウジング10を幅方向に沿って視たときに、挿入空間S6と第2空間S2とが重なり合うようにしている。こうすることで、スライド部材3が保持されるプラグハウジング10の高さを低く抑えることができるようにしている。
【0064】
そして、下側プラグ端子13は、第1空間S1の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この第1空間S1の後端側の開口が挿入口S1aとなっている。また、第1空間S1の前端側の開口は、下側プラグ端子13が抜け落ちないように、挿入口S1aよりも小さくなっている。すなわち、挿入口S1aから圧入(挿入)された下側プラグ端子13の前方への移動が、前壁114によって規制されるようにしている。なお、第1空間S1の前端側の開口は、後述するレセプタクルコネクタのレセプタクル端子の接点部を第1空間S1内に導入する導入口S1bとなっている。この導入口S1bの周縁部は、レセプタクル端子の接点部が導入されやすいようにテーパ状に形成されている。
【0065】
同様に、上側プラグ端子14は、第2空間S2の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この第2空間S2の後端側の開口が挿入口S2aとなっている。また、第2空間S2の前端側の開口は、上側プラグ端子14が抜け落ちないように、挿入口S2aよりも小さくなっている。すなわち、挿入口S2aから圧入(挿入)された上側プラグ端子14の前方への移動が、前壁114によって規制されるようにしている。なお、第2空間S2の前端側の開口も、後述するレセプタクルコネクタのレセプタクル端子の接点部を第2空間S2内に導入する導入口S2bとなっている。この導入口S2bの周縁部も、レセプタクル端子の接点部が導入されやすいようにテーパ状に形成されている。
【0066】
また、天壁111の下部には、後方および下方に開口する溝部111cが第2空間S2に連通するように形成されている。この溝部111cは、後述する上側プラグ端子14の側壁144の上端が挿入されて、上側プラグ端子14の第2空間S2への圧入(挿入)をガイドするものである。
【0067】
本実施形態では、図17に示すように、溝部111cは、第2空間S2の幅方向両側に形成されており、各溝部111cが、挿入口S2aから前壁114まで延在するように形成されている。
【0068】
すなわち、溝部111cは、挿入方向(X方向)の長さが、側壁134の上端の溝部111cへの挿入が開始されてから完了するまでの間に上側プラグ端子14が移動する距離以上となるように形成されている。したがって、側壁134の上端における最初に溝部111cに挿入される部位は、溝部111cへの挿入が開始されてから上側プラグ端子14の第2空間S2への圧入(挿入)が完了するまでの間、溝部111c内に存在することとなる。
【0069】
なお、溝部111cは、溝幅(Y方向の長さ)が側壁134の板厚よりも若干広くなるように形成されている。
【0070】
同様に、仕切り壁115の下部には、後方および下方に開口する溝部115aが第1空間S1に連通するように形成されている。この溝部115aは、後述する下側プラグ端子13の側壁134の上端が挿入されて、下側プラグ端子13の第1空間S1への圧入(挿入)をガイドするものである。
【0071】
本実施形態では、図17に示すように、溝部115aも、第1空間S1の幅方向両側に形成されており、各溝部115aが、挿入口S1aから前壁114まで延在するように形成されている。
【0072】
すなわち、溝部115aは、挿入方向(X方向)の長さが、側壁134の上端の溝部115aへの挿入が開始されてから完了するまでの間にプラグ端子13が移動する距離以上となるように形成されている。したがって、側壁134の上端における最初に溝部115aに挿入される部位は、溝部115aへの挿入が開始されてから下側プラグ端子13の第1空間S1への圧入(挿入)が完了するまでの間、溝部115a内に存在することとなる。
【0073】
なお、溝部115aは、溝幅(Y方向の長さ)が側壁134の板厚よりも若干広くなるように形成されている。
【0074】
さらに、本実施形態では、仕切り壁115の後端には、上下方向に延在して両端がそれぞれ第1空間S1および第2空間S2に開口する溝部115bが形成されている。具体的には、溝部115bは、1つの第2空間S2に連通するように形成された2つの溝部111cのうちの一方(図16図17の右側)の溝部111cと上下方向に対向するように形成されている。
【0075】
すなわち、図16に示すように、ハウジング10を前後方向の後方から視たときに、溝部115bと一方(図16の右側)の溝部111cとが、上下方向に一直線上に並ぶように配置されている。この溝部115bは、圧入(挿入)完了状態における上側プラグ端子14の脚部141の上部が挿入されるものである。
【0076】
また、底壁112の後端には、上下方向に延在して上端が第1空間S1に開口する溝部112dが形成されている。具体的には、ハウジング10を前後方向の後方から視たときに、溝部112d、一方(図16の右側)の溝部111cおよび溝部115bが、上下方向に一直線上に並ぶように配置されている。この溝部112dは、圧入(挿入)完了状態における上側プラグ端子14の脚部141の下部が挿入されるものである。
【0077】
さらに、底壁112の後端には、上下方向に延在して両端がそれぞれ第1空間S1およびハウジング10の下方に開口する溝部112eが形成されている。具体的には、溝部112eは、1つの第1空間S1に連通するように形成された2つの溝部115aのうちの一方(図16図17の右側)の溝部115aと上下方向に対向するように形成されている。
【0078】
すなわち、図16に示すように、ハウジング10を前後方向の後方から視たときに、溝部112eと一方(図16の右側)の溝部115aとが、上下方向に一直線上に並ぶように配置されている。この溝部112eは、圧入(挿入)完了状態における下側プラグ端子13の脚部131が挿入されるものである。
【0079】
また、底壁112の後端部には、下方および後方に開口して前後方向に延在する凹部112fが形成されている。この凹部112fは、圧入(挿入)完了状態における下側プラグ端子13の実装片(実装部)132が収容されるものである。
【0080】
また、一対の側壁113,113には、後方に延在する延設部113a,113aがそれぞれ形成されており、延設部113a,113aが対向する領域が、端子13,14の実装片(実装部)132,142が収容される凹部113bとなっている。
【0081】
このように、本実施形態では、延設部113a,113aの後端よりも前側で、端子13,14の実装片(実装部)132,142がケーブル1Aの導体部151bAに実装されるようにしている。さらに、本実施形態では、この延設部113a,113aの先端部(後端部)がケーブル1Aの固定部15dAに固定されるようにしている。このとき、延設部113a,113aと補強板14Aとでケーブル1Aの連結領域11Aが挟持されるようにしている。
【0082】
こうすれば、ケーブル1Aがあおられて補強板14Aから離れる方向に移動した際に、ケーブル1Aと補強板14Aとの接着が剥がれてしまうのをより確実に抑制することができる。さらに、延設部113a,113aの先端(後端)よりも前側に端子13,14の実装片(実装部)132,142が位置するようにしているため、ケーブル1Aのあおりによって端子13,14の脚部131,141や実装片132,142が変形してしまうのを抑制することができる。すなわち、端子13,14とケーブル1Aとの実装部分をケーブル1Aのあおりから保護することができる。
【0083】
また、一対の側壁113,113の前端部には、保持金具15が保持される保持金具取付部113c,113cがそれぞれ形成されている。
【0084】
本実施形態では、保持金具取付部113cは、上下方向および幅方向の外方に開口する凹部113dと、凹部113dの幅方向内側に連設されて、保持金具15の本体部151の前後方向の両端が挿入されるスリット113e,113eと、備えている。そして、保持金具15をプラグハウジング10に保持した状態で、本体部151の下端に連設された固定片152をケーブル1Aの固定部15cAに固定することで、プラグハウジング10をケーブル1Aに固定させている。
【0085】
また、本実施形態では、プラグ端子は、プラグハウジング10に形成された空間に挿入される本体部と、本体部からケーブル1Aの実装面1aAに向けて延設された脚部と、脚部に連設されてケーブル1Aに実装される実装部と、を備えている。
【0086】
具体的には、プラグ端子は、ハウジング本体11の下側(実装面1aA側)に形成された第1空間S1に圧入(挿入)される下側プラグ端子13を備えている。さらに、プラグ端子は、ハウジング本体11の上側(第1空間S1よりも実装面1aAから離れた位置)に形成された第2空間S2に圧入(挿入)される上側プラグ端子14を備えている。
【0087】
本実施形態では、下側プラグ端子13は、導電性を有しており、プラグハウジング10の幅方向(Y方向)に複数並設されている。この下側プラグ端子13は、図12に示すように、1枚の帯板状の金属部材を板厚方向に曲げた形状をしており、挿入方向(前後方向;X方向)に沿って視た状態で略U字状をしている(図12(e),(f)参照)。このような下側プラグ端子13は、例えば、帯板状の金属部材に曲げ加工を施すことで形成することができる。
【0088】
また、下側プラグ端子13は、第1空間S1に圧入(挿入)される第1本体部130を備えている。さらに、下側プラグ端子13は、第1本体部130から実装面1aAに向けて延設された第1脚部131と、第1脚部131に連設されてケーブル1Aに実装される第1実装片(第1実装部)132と、を備えている。
【0089】
第1本体部130は、底壁133と、底壁133の幅方向(Y方向)両端部に連設された側壁134と、を備えている。
【0090】
底壁133は、側壁134の下端が連設された底壁本体135と、底壁本体135の前端に連設されて前方に突出する接点保護部136と、を備えている。この接点保護部136は、第1本体部130を第1空間S1に圧入(挿入)する際に、下側プラグ端子13の接点部130aがハウジング本体11に接触してしまうのを抑制するものである。
【0091】
また、底壁本体135および接点保護部136には、幅方向(Y方向)両端から外方に向けて突出する規制片135a,136aがそれぞれ形成されている。そして、この規制片135a,136aによって、第1本体部130を第1空間S1に圧入(挿入)する際に、第1本体部130が斜めに圧入(挿入)されてしまうのが抑制されるようにしている。
【0092】
側壁134は、下端が底壁本体135に連設された側壁本体137と、側壁本体137の前端に弾性変形可能に連設され、レセプタクルコネクタの接点部に接触する接触片138と、を備えている。
【0093】
側壁本体137の上端には、規制突起137aが形成されており、この規制突起137aによって、第1本体部130を第1空間S1に圧入(挿入)する際に、第1本体部130が浮き上がってしまうのが抑制されるようにしている。
【0094】
また、接触片138は、幅方向内側に屈曲するように側壁本体137の前端に連設された内側屈曲片138aと、幅方向内側に屈曲するように内側屈曲片138aの前端に連設された外側屈曲片138bと、を備えている。
【0095】
本実施形態では、この接触片138は、一対の側壁本体137,137のそれぞれに連設されており、平面視で略線対称となるように形成されている。すなわち、一対の接触片138,138は、前方に向かうにつれて互いに近づく方向に屈曲した形状の内側屈曲片138a,138aと、前方に向かうにつれて互いに離れる方向に屈曲した形状の外側屈曲片138b,138bと、を備えている。
【0096】
そして、一対の接触片138,138が最も近づいた部位(内側屈曲片138aと外側屈曲片138bとの連設部)で、レセプタクルコネクタの接点部を挟持するようにしている(図3(a)および図6(b)参照)。このように、本実施形態では、一対の接触片138,138を、下側プラグ端子13の接点部130aとして機能させている。そして、一対の外側屈曲片138bを、レセプタクルコネクタの接点部をよりスムーズに導入するためのガイド部として機能させている。
【0097】
さらに、本実施形態では、一対の側壁本体137,137のうちの一方の側壁本体137の後端に、後方に突出する延設壁139が連設されており、第1本体部130は、片側が後方に突出した形状をしている。
【0098】
この延設壁139の上端には、圧入突起139aが形成されており、この圧入突起139aをハウジング本体11に食い込ませることで、第1本体部130が第1空間S1に圧入されている。
【0099】
なお、本実施形態では、下側プラグ端子13の側壁134の上端が挿入されて、下側プラグ端子13の第1空間S1への圧入(挿入)をガイドする溝部115aが形成されている。そのため、第1本体部130の後方に突出した片側の側壁134を押圧することで、下側プラグ端子13を第1空間S1へ圧入(挿入)させる場合であっても、下側プラグ端子13の位置ずれが抑制される。その結果、下側プラグ端子13を、よりスムーズ且つより正確に第1空間S1へと圧入(挿入)させることができる。
【0100】
そして、第1脚部131が、延設壁139の後端部から下方(ケーブル1A:被実装部材)に向けて延設されている。このように、本実施形態では、第1脚部131は、第1空間S1に圧入(挿入)させた状態の第1本体部130からハウジング厚み方向に延設されている。また、第1脚部131の下端には、第1実装片132が前方に向けて突出するように連設されている。
【0101】
このとき、第1脚部131および第1実装片132は、薄板状(板状)に形成されており、板厚方向が側壁本体137の板厚方向と略同一の方向となるように形成されている。
【0102】
したがって、第1本体部130を第1空間S1に挿入するとともに第1実装片(第1実装部)132をケーブル(被実装部材)1Aに実装した状態では、第1脚部131の板厚方向が幅方向(Y方向)となる。すなわち、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装した状態では、第1脚部131の板厚方向が、第1本体部130の第1空間S1への挿入方向および実装面1aAの法線方向と交差する方向となっている。
【0103】
一方、上側プラグ端子14も、導電性を有しており、プラグハウジング10の幅方向(Y方向)に複数並設されている。この上側プラグ端子14は、図13に示すように、1枚の帯板状の金属部材を板厚方向に曲げた形状をしており、挿入方向(前後方向;X方向)に沿って視た状態で略U字状をしている(図13(e),(f)参照)。このような上側プラグ端子14も、例えば、帯板状の金属部材に曲げ加工を施すことで形成することができる。
【0104】
また、上側プラグ端子14は、第2空間S2に圧入(挿入)される第2本体部140を備えている。さらに、上側プラグ端子14は、第2本体部140から実装面1aAに向けて延設された第2脚部141と、第2脚部141に連設されてケーブル1Aに実装される第2実装片(第2実装部)142と、を備えている。
【0105】
第2本体部140は、底壁143と、底壁143の幅方向(Y方向)両端部に連設された側壁144と、を備えている。
【0106】
底壁143は、側壁144の下端が連設された底壁本体145と、底壁本体145の前端に連設されて前方に突出する接点保護部146と、を備えている。この接点保護部146は、第2本体部140を第2空間S2に圧入(挿入)する際に、上側プラグ端子14の接点部140aがハウジング本体11に接触してしまうのを抑制するものである。
【0107】
また、底壁本体145および接点保護部146には、幅方向(Y方向)両端から外方に向けて突出する規制片145a,146aがそれぞれ形成されている。そして、この規制片145a,146aによって、第2本体部140を第2空間S2に圧入(挿入)する際に、第2本体部140が斜めに圧入(挿入)されてしまうのが抑制されるようにしている。
【0108】
側壁144は、下端が底壁本体145に連設された側壁本体147と、側壁本体147の前端に弾性変形可能に連設され、レセプタクルコネクタの接点部に接触する接触片148と、を備えている。
【0109】
側壁本体147の上端には、規制突起147aが形成されており、この規制突起147aによって、第2本体部140を第2空間S2に圧入(挿入)する際に、第2本体部140が浮き上がってしまうのが抑制されるようにしている。
【0110】
また、接触片148は、幅方向内側に屈曲するように側壁本体147の前端に連設された内側屈曲片148aと、幅方向内側に屈曲するように内側屈曲片148aの前端に連設された外側屈曲片148bと、を備えている。
【0111】
本実施形態では、この接触片148は、一対の側壁本体147,147のそれぞれに連設されており、平面視で略線対称となるように形成されている。すなわち、一対の接触片148,148は、前方に向かうにつれて互いに近づく方向に屈曲した形状の内側屈曲片148a,148aと、前方に向かうにつれて互いに離れる方向に屈曲した形状の外側屈曲片148b,148bと、を備えている。
【0112】
そして、一対の接触片148,148が最も近づいた部位(内側屈曲片148aと外側屈曲片148bとの連設部)で、レセプタクルコネクタの接点部を挟持するようにしている(図3(b)および図6(b)参照)。このように、本実施形態では、一対の接触片148,148を、上側プラグ端子14の接点部140aとして機能させている。そして、一対の外側屈曲片148bを、レセプタクルコネクタの接点部をよりスムーズに導入するためのガイド部として機能させている。
【0113】
さらに、本実施形態では、一対の側壁本体147,147のうちの一方の側壁本体147の後端に、後方に突出する延設壁149が連設されており、第2本体部140は、片側が後方に突出した形状をしている。
【0114】
この延設壁149の上端には、圧入突起149aが形成されており、この圧入突起149aをハウジング本体11に食い込ませることで、第2本体部140が第2空間S2に圧入されている。
【0115】
なお、本実施形態では、上側プラグ端子14の側壁144の上端が挿入されて、上側プラグ端子14の第2空間S2への圧入(挿入)をガイドする溝部111cが形成されている。そのため、第2本体部140の後方に突出した片側の側壁144を押圧することで、上側プラグ端子14を第2空間S2へ圧入(挿入)させる場合であっても、上側プラグ端子14の位置ずれが抑制される。その結果、上側プラグ端子14を、よりスムーズ且つより正確に第2空間S2へと圧入(挿入)させることができる。
【0116】
そして、第2脚部141が、延設壁149の後端部から下方(ケーブル1A:被実装部材)に向けて延設されている。この第2脚部141は、上下方向の長さが第1脚部131よりも長くなっている。このように、本実施形態では、第2脚部141は、第2空間S2に圧入(挿入)させた状態の第2本体部140からハウジング厚み方向に延設されている。また、第2脚部141の下端には、第2実装片142が後方に向けて突出するように連設されている。
【0117】
このように、本実施形態では、前後方向(X方向:本体部の空間への挿入方向)の前方(一方側)に突出するように第1実装片(第1実装部)132が第1脚部131に連設されている。また、前後方向(X方向:本体部の空間への挿入方向)の後方(他方側)に突出するように第2実装片(第2実装部)142が第2脚部141に連設されている。
【0118】
また、第1脚部131および第2脚部141は、第1本体部130および第2本体部140を第1空間S1および第2空間S2に挿入した状態で、前後方向の位置が略同一となるようにしている(図14参照)。そして、第1脚部131および第2脚部141は、第1本体部130および第2本体部140を第1空間S1および第2空間S2に挿入した状態で、幅方向の位置が略半ピッチだけずれるようにしている。
【0119】
したがって、本実施形態では、複数のプラグ端子をプラグハウジング10に保持させた状態で、実装部(第1実装片132および第2実装片142)が千鳥状に配置されるようになっている。
【0120】
さらに、第1実装片132は、第1本体部130を第1空間S1に挿入した状態で、底壁112の後端部に形成された凹部112fに収容されるようにしている。一方、第2実装片142は、第2本体部140を第2空間S2に挿入した状態で、第2空間S2の挿入口S1aよりも後方に位置するようにしている。
【0121】
したがって、複数のプラグ端子をプラグハウジング10に保持させるとともにケーブル1Aに実装させた状態における平面視で、第1実装片132がプラグハウジング10と重なり合うこととなる。一方、複数のプラグ端子をプラグハウジング10に保持させるとともにケーブル1Aに実装させた状態における平面視で、第2実装片142がプラグハウジング10から露出することとなる。
【0122】
すなわち、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装した状態で、プラグハウジング10を実装面1aAの法線方向に沿って視たときに、第1実装片132および第2実装片142のうちいずれか一方の実装片(実装部)がプラグハウジング10と重なり合っている。
【0123】
このように、本実施形態では、複数のプラグ端子がプラグハウジングに保持された状態で、実装部が空間の挿入口(後端縁)を挟んだ両側に千鳥状に配置されるようにしている。
【0124】
また、第2脚部141および第2実装片142も、薄板状(板状)に形成されており、板厚方向が側壁本体147の板厚方向と略同一の方向となるように形成されている。
【0125】
したがって、第2本体部140を第2空間S2に挿入するとともに第2実装片(第2実装部)142をケーブル(被実装部材)1Aに実装した状態では、第2脚部141の板厚方向が幅方向(Y方向)となる。すなわち、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装した状態では、第2脚部141の板厚方向が、第2本体部140の第2空間S2への挿入方向および実装面1aAの法線方向と交差する方向となっている。
【0126】
また、本実施形態では、第1挿入口S1aが、空間S1,S2に端子13,14の本体部130,140を挿入した状態で、前後方向の後方から視たときに、第2脚部141によって2つの領域R1,R2に分断されている(図16参照)。すなわち、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装した状態で、プラグハウジングを本体部130,140の空間S1,S2への挿入方向に沿って視たときに、第1空間S1の第1挿入口S1aが第2脚部141によって2つの領域R1,R2に分断されている。
【0127】
さらに、本実施形態では、第1本体部130の第1空間S1への圧入(挿入)完了位置において、第1脚部131が、溝部112eに挿入されて幅方向(Y方向;板厚方向)への移動が規制された状態で保持されるようにしている。すなわち、ハウジング本体11の底壁112に形成された溝部112eを、第1脚部131を保持する脚部保持部118として機能させている。このように、プラグコネクタ1は、プラグハウジング10に接続され、第1脚部131を保持する脚部保持部118を備えている。本実施形態では、脚部保持部118は、プラグハウジング10に一体に形成されている。なお、プラグハウジング10とは別体の部材をプラグハウジング10に接続することで、脚部保持部を形成してもよい。
【0128】
また、第2本体部140の第2空間S2への圧入(挿入)完了位置において、第2脚部141が、溝部115bおよび溝部112dに挿入されて幅方向(Y方向;板厚方向)への移動が規制された状態で保持されるようにしている。すなわち、ハウジング本体11の仕切り壁115に形成された溝部115bおよび底壁112に形成された溝部112eを、第2脚部141を保持する脚部保持部119として機能させている。このように、プラグコネクタ1は、プラグハウジング10に接続され、第2脚部141を保持する脚部保持部119を備えている。本実施形態では、脚部保持部119も、プラグハウジング10に一体に形成されているが、別体に形成されていてもよい。
【0129】
こうすることで、端子13,14の本体部130,140の空間S1,S2への圧入(挿入)時や、空間S1,S2に圧入(挿入)された端子13,14のケーブル1Aへの実装時などに、脚部131,141が変形してしまうのが抑制されるようにしている。
【0130】
[レセプタクルコネクタ2の構成例]
次に、レセプタクルコネクタ2の構成の一例を、図18図24に基づき説明する。
【0131】
レセプタクルコネクタ(第2コネクタ)2は、図18,19に示すように、レセプタクルハウジング(第2ハウジング)20と、レセプタクルハウジング20に保持されるレセプタクル端子(第2端子)23,24と、を備えている。また、レセプタクルコネクタ2は、レセプタクルハウジング20に保持される保持金具25を備えている。
【0132】
そして、レセプタクルハウジング20に保持されたレセプタクル端子23,24が、レセプタクルハウジング20の外側に配置された回路基板2Aの導体部2bAに実装されることで、レセプタクルコネクタ2が被実装部材としての回路基板2Aに実装されるようになっている。なお、レセプタクル端子23,24も、半田付け等により導体部2bAに実装されている。また、保持金具25は、レセプタクルハウジング20に保持された状態で、半田付け等により回路基板2Aの固定部2cAに固定されることで、レセプタクルハウジング20を回路基板2Aに固定するためのものである。
【0133】
なお、回路基板2Aは、略矩形板状をしており、剛性および絶縁性を有する樹脂材料等で形成された基板本体2aAを備えている。そして、この基板本体2aAの表面21aAに露出するように、導体部2bAおよび固定部2cAが形成されている。このように、本実施形態では、基板本体2aAの表面21aAが実装面となっている。
【0134】
レセプタクルハウジング20は、剛性を有するハウジング本体(第2ハウジング本体)21を備えており、このレセプタクルハウジング20は、例えば、絶縁性の樹脂材料を用いて形成することができる。
【0135】
また、ハウジング本体21の上部には、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合状態で保持したり、嵌合状態を解除したりするロック部12が挿入されるロック部挿入部22が形成されている。
【0136】
このように、本実施形態では、レセプタクルハウジング20は、ハウジング本体21と、ハウジング本体21に形成されたロック部挿入部22と、を備えている。
【0137】
ハウジング本体21は、天壁211と、底壁212と、天壁211および底壁212の幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ連設する一対の側壁213と、天壁211、底壁212および側壁213,213の後端に連設された後壁214と、を備えている。
【0138】
そして、天壁211の幅方向中央部にロック部挿入部22が形成されている。具体的には、ロック部挿入部22は、天壁211における上方に突出させた部位の内側に形成されており、レバー部121を収容する収容部221を備えている。この収容部221の前後方向の中央部には、ロック部12の係合突部121bが係合する係合凹部(係合部)221aが形成されている。
【0139】
また、収容部221の幅方向両側には、スライド部材3の上側アーム部33が挿入される挿入空間S8が形成されている。そして、天壁211には、下方に突出する突部(被係止部)211cが、挿入方向(前後方向;X方向)に沿って視た状態で、挿入空間S8に配置されるように形成されている。この突部211cは、上側アーム部33を下方に撓ませたり、上側アーム部33の先端に形成された係合突部32bを係止したりするものである。
【0140】
そして、天壁211には、ガイド溝111bに収容されるガイド突部211bが形成されている。
【0141】
また、底壁212の幅方向中央部には、上方に突出する位置決め突部212bが形成されている。そして、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させる際には、この位置決め突部212bによって、ケーブル1Aの幅方向の位置決めがなされるようにしている。
【0142】
また、後壁214には、前後方向に貫通する空間が複数形成されている。本実施形態では、幅方向(Y方向)に複数並設された空間が上下方向(Z方向)に2段形成されるようにしている。さらに、ハウジング本体21を前後方向の後方から視たときに、複数の空間が千鳥状に形成されるようにしている。こうすることで、レセプタクルコネクタ2の幅方向の小型化を図っている。
【0143】
そして、前後方向に貫通する空間内に、レセプタクル端子23,24がそれぞれ圧入(挿入)されるようになっている。
【0144】
具体的には、ハウジング本体21の下側(実装面21aA側)に形成された空間が、レセプタクル端子23,24のうち後述する下側レセプタクル端子23が圧入(挿入)される第1空間S3となっている。
【0145】
一方、ハウジング本体21の上側(第1空間S3よりも実装面21aAから離れた位置)に形成された空間が、レセプタクル端子23,24のうち後述する上側レセプタクル端子24が圧入(挿入)される第2空間S4となっている。
【0146】
そして、下側レセプタクル端子23は、第1空間S3の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この第1空間S3の後端側の開口が挿入口S3aとなっている。同様に、上側レセプタクル端子24は、第2空間S4の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この第2空間S4の後端側の開口が挿入口S4aとなっている。
【0147】
また、ハウジング本体21には、前方(プラグコネクタ1側)に開口する嵌合空間S5が形成されている。この嵌合空間S5は、プラグハウジング10のハウジング本体11が挿入嵌合される空間で、天壁211、底壁212、一対の側壁213,213および後壁214によって画成されている。したがって、第1空間S3および第2空間S4は、それぞれ嵌合空間S5に連通するように形成されている。
【0148】
さらに、本実施形態では、後壁214の後端に、上下方向に延在して後方に突出する突条214aが幅方向に複数並設されている。具体的には、突条214aは、幅方向で隣り合う第1空間S3と第2空間S4との間に形成されている。
【0149】
また、底壁212の後端部には、下方および後方に開口して前後方向に延在する凹部212aが形成されている。この凹部212aは、圧入(挿入)完了状態における上側レセプタクル端子24の実装片(実装部)242が収容されるものである。
【0150】
また、一対の側壁213,213には、保持金具25が保持される保持金具取付部213a,213aがそれぞれ形成されている。
【0151】
本実施形態では、保持金具取付部213aは、上下方向および幅方向の外方に開口する凹部213bと、凹部213bの幅方向内側に連設されて、保持金具25の本体部251の前後方向の両端が挿入されるスリット213c,213cと、備えている。そして、保持金具25をレセプタクルハウジング20に保持した状態で、本体部251の下端に連設された固定片252を回路基板2Aの固定部2cAに固定することで、レセプタクルハウジング20を回路基板2Aに固定させている。
【0152】
また、本実施形態では、レセプタクル端子は、レセプタクルハウジング20に形成された空間に挿入される本体部と、本体部から回路基板2Aの実装面21aAに向けて延設された脚部と、脚部に連設されて回路基板2Aに実装される実装部と、を備えている。
【0153】
具体的には、レセプタクル端子は、ハウジング本体21の下側(実装面21aA側)に形成された第1空間S3に圧入(挿入)される下側レセプタクル端子23を備えている。さらに、レセプタクル端子は、ハウジング本体21の上側(第1空間S3よりも実装面21aAから離れた位置)に形成された第2空間S4に圧入(挿入)される上側レセプタクル端子24を備えている。
【0154】
本実施形態では、下側レセプタクル端子23は、導電性を有しており、レセプタクルハウジング20の幅方向(Y方向)に複数並設されている。この下側レセプタクル端子23は、図22に示すように、薄板状に形成されており、板厚方向を幅方向(Y方向)に略一致させた状態でハウジング本体21に形成された第1空間S3に後方から圧入(挿入)されている。このような下側レセプタクル端子23は、例えば、薄板金属を打抜き加工することで形成することができる。
【0155】
また、下側レセプタクル端子23は、第1空間S3に圧入(挿入)される第1本体部230を備えている。さらに、下側レセプタクル端子23は、第1本体部230から実装面21aAに向けて延設された第1脚部231と、第1脚部231に連設されて回路基板2Aに実装される第1実装片(第1実装部)232と、を備えている。
【0156】
そして、第1本体部230の前端には、略棒状の接点部230aが前方に突出するように形成されている。また、第1本体部230の上端および下端には、圧入突起230bが形成されており、この圧入突起230bをハウジング本体21に食い込ませることで、第1本体部230が第1空間S3に圧入されている。そして、第1本体部230を第1空間S3に圧入(挿入)した状態で、接点部230aが嵌合空間S5内に配置されるようにしている。
【0157】
また、本実施形態では、第1脚部231が、第1本体部230の後端部から下方(回路基板2A:被実装部材)に向けて延設されている。具体的には、第1脚部231は、クランク状に屈曲した形状をしており、下端が第1本体部230よりも後方に位置するようになっている。このように、本実施形態では、第1脚部231は、第1空間S3に圧入(挿入)させた状態の第1本体部230からハウジング厚み方向(上下方向)に延設されている。そして、この第1脚部231の下端に、第1実装片232が後方に向けて突出するように連設されている。
【0158】
一方、上側レセプタクル端子14も、導電性を有しており、レセプタクルハウジング20の幅方向(Y方向)に複数並設されている。この上側レセプタクル端子24は、図23に示すように、薄板状に形成されており、板厚方向を幅方向(Y方向)に略一致させた状態でハウジング本体21に形成された第2空間S4に後方から圧入(挿入)されている。このような上側レセプタクル端子24も、例えば、薄板金属を打抜き加工することで形成することができる。
【0159】
また、上側レセプタクル端子24は、第2空間S4に圧入(挿入)される第2本体部240を備えている。さらに、上側レセプタクル端子24は、第2本体部240から実装面21aAに向けて延設された第2脚部241と、第2脚部241に連設されて回路基板2Aに実装される第2実装片(第2実装部)242と、を備えている。
【0160】
そして、第2本体部240の前端には、略棒状の接点部240aが前方に突出するように形成されている。また、第2本体部240の上端および下端には、圧入突起240bが形成されており、この圧入突起240bをハウジング本体21に食い込ませることで、第2本体部240が第2空間S4に圧入されている。そして、第2本体部240を第2空間S4に圧入(挿入)した状態で、接点部240aが嵌合空間S5内に配置されるようにしている。
【0161】
また、本実施形態では、第2脚部241が、第2本体部240の後端部から下方(回路基板2A:被実装部材)に向けて略直線状に延設されている。このように、本実施形態では、第2脚部241は、第2空間S4に圧入(挿入)させた状態の第2本体部240からハウジング厚み方向(上下方向)に延設されている。この第2脚部241は、上下方向の長さが第1脚部231よりも長くなっている。そして、この第2脚部241の下端に、第1実装片232が前方に向けて突出するように連設されている。
【0162】
このように、本実施形態では、前後方向(X方向:本体部の空間への挿入方向)の前方(一方側)に突出するように第2実装片(第2実装部)242が第2脚部241に連設されている。また、前後方向(X方向:本体部の空間への挿入方向)の後方(他方側)に突出するように第1実装片(第1実装部)232が第1脚部231に連設されている。
【0163】
すなわち、複数のレセプタクル端子をレセプタクルハウジング20に保持させた状態で、実装部(第1実装片232および第2実装片242)が千鳥状に配置されるようになっている。
【0164】
さらに、第2実装片242は、第2本体部240を第2空間S4に挿入した状態で、底壁212の後端部に形成された凹部212aに収容されるようにしている。一方、第1実装片232は、第1本体部230を第1空間S3に挿入した状態で、第1空間S3の挿入口S3aよりも後方に位置するようにしている。
【0165】
したがって、複数のレセプタクル端子をレセプタクルハウジング20に保持させるとともに回路基板2Aに実装させた状態における平面視で、第2実装片242がレセプタクルハウジング20と重なり合うこととなる。一方、複数のレセプタクル端子をレセプタクルハウジング20に保持させるとともに回路基板2Aに実装させた状態における平面視で、第1実装片232がレセプタクルハウジング20から露出することとなる。
【0166】
すなわち、レセプタクルコネクタ1を回路基板2Aに実装した状態で、レセプタクルハウジング20を実装面21aAの法線方向に沿って視たときに、第1実装片232および第2実装片242のうちいずれか一方の実装片(実装部)がレセプタクルハウジング20と重なり合っている。
【0167】
このように、本実施形態では、複数のレセプタクル端子がレセプタクルハウジングに保持された状態で、実装部が空間の挿入口(後端縁)を挟んだ両側に千鳥状に配置されるようにしている。
【0168】
さらに、本実施形態では、第1本体部230の第1空間S3への圧入(挿入)完了位置において、第1脚部231が突条214aの間に、幅方向(Y方向;板厚方向)への移動が規制された状態で保持されるようにしている。すなわち、ハウジング本体21の後壁214に形成された突条214aを、第1脚部231を保持する脚部保持部216として機能させている。このように、レセプタクルコネクタ2は、レセプタクルハウジング20に接続され、第1脚部231を保持する脚部保持部216を備えている。本実施形態では、脚部保持部216は、レセプタクルハウジング20に一体に形成されている。なお、レセプタクルハウジング20とは別体の部材をレセプタクルハウジング20に接続することで、脚部保持部を形成してもよい。
【0169】
また、第2本体部240の第2空間S4への圧入(挿入)完了位置において、第2脚部241が突条214aの間に、幅方向(Y方向;板厚方向)への移動が規制された状態で保持されるようにしている。すなわち、ハウジング本体21の後壁214に形成された突条214aを、第2脚部241を保持する脚部保持部217として機能させている。このように、レセプタクルコネクタ2は、レセプタクルハウジング20に接続され、第2脚部241を保持する脚部保持部217を備えている。本実施形態では、脚部保持部217も、レセプタクルハウジング20に一体に形成されているが、別体に形成されていてもよい。
【0170】
こうすることで、端子23,24の本体部230,240の空間S3,S4への圧入(挿入)時に、脚部231,241が変形してしまうのが抑制されるようにしている。
【0171】
このような構成をしたレセプタクルコネクタ2に上述のプラグコネクタ1を嵌合させると、プラグハウジング10のロック部12がレセプタクルハウジング20のロック部挿入部22に挿入され、ハウジング本体11が嵌合空間S5に挿入されることとなる。
【0172】
このとき、レバー部121の係合突部121bがレセプタクルハウジング20の天壁211により下方に押圧されることになる。このように、係合突部121bが天壁211により下方に押圧されると、レバー部121の後端部(操作部121a)が下方に移動するように弾性変形して、係合突部121bがロック部挿入部22の奥側まで移動できるようになる。
【0173】
そして、係合突部121bをロック部挿入部22の奥側まで移動させると、天壁211による係合突部121bの下方への押圧が解除されて、レバー部121の弾性復元力により係合突部121bが上方に移動する。そして、係合突部121bが上方に移動することで、レセプタクルコネクタ2に形成された係合凹部221aに係合して、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2とが嵌合状態でロックされることになる。
【0174】
また、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させる途中で、下側レセプタクル端子23の接点部230aの先端が導入口S1bからプラグハウジング10に形成された第1空間S1内に導入されて、下側プラグ端子13の接点部130aに接触する。なお、本実施形態では、略棒状の接点部230aが一対の接触片138,138の間に挿入され、一対の接触片138,138によって挟持されることで、下側プラグ端子13と下側レセプタクル端子23とを導通接続させている。
【0175】
同様に、上側レセプタクル端子24の接点部240aの先端が導入口S2bからプラグハウジング10に形成された第2空間S2内に導入されて、上側プラグ端子14の接点部140aに接触する。なお、本実施形態では、略棒状の接点部240aが一対の接触片238,238の間に挿入され、一対の接触片238,238によって挟持されることで、上側プラグ端子14と上側レセプタクル端子24とを導通接続させている。
【0176】
このように、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させて、端子13,14と端子23,24とを導通接続させることで、ケーブル1Aと回路基板2Aとを電気的に接続させるコネクタセットC1が形成される。
【0177】
一方、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2から取り外す際には、まず、レバー部121の操作部121aを押し下げて、レバー部121を下方に移動させる。こうすることで、係合突部121bも下方に移動し、係合突部121bと係合凹部221aとの係合が解除される。そして、係合突部121bと係合凹部221aとの係合を解除した状態で、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に対して抜去方向に引っ張ると、プラグコネクタ1がレセプタクルコネクタ2に対して抜去方向に相対移動することとなる。このように、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に対して抜去方向に相対移動させると、まず、端子同士の導通接続が解除され、その後に、ハウジング同士の嵌合が解除されることとなる。こうして、プラグコネクタ1がレセプタクルコネクタ2から取り外されることになる。
【0178】
[スライド部材3の構成例]
次に、スライド部材3の構成の一例を、図25に基づき説明する。
【0179】
スライド部材3は、略矩形板状の本体部31を備えており、この本体部31の上部に取手31aが形成されている。
【0180】
また、本体部31の下部における幅方向の両側には、一対の下側アーム部32が前後方向の前方に延びるように連設されている。一対の下側アーム部32は、片持ち状態で本体部31に連設されており、幅方向に弾性変形できるように形成されている。この下側アーム部32の先端(前端)には、幅方向外側に突出するように係止突部32aが形成されている。
【0181】
一方、本体部31の上部における幅方向の両側には、一対の上側アーム部33が前後方向の前方に延びるように連設されている。一対の上側アーム部33は、片持ち状態で本体部31に連設されており、上下方向(端子の挿入方向と交差する方向)に弾性変形できるように形成されている。この上側アーム部33の先端(前端)には、上方に突出するように係合突部(係合部)33bが形成されている。
【0182】
また、上側アーム部33の前後方向の略中央部には、上方に突出する突部33aが形成されている。
【0183】
そして、本体部31の下部における幅方向の中央には、前方かつ上方に延在する規制突部(規制部)31bが形成されている。
【0184】
上述したように、本実施形態では、このスライド部材3をCPA部材として機能させている。すなわち、スライド部材3は、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了していない状態では、初期位置(第1位置)からスライド完了位置(第1位置)へのスライド移動が規制されるように、プラグハウジング10にスライド可能に取り付けられている。そして、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了した状態になると、初期位置からスライド完了位置へのスライド移動が許容されるように構成されている。
【0185】
具体的には、スライド部材3は、下側アーム部32の先端を幅方向の内側に撓ませた状態で挿入空間S6に挿入するようになっている。このとき、上側アーム部33の先端も挿入空間S6に挿入されることとなる。
【0186】
そして、下側アーム部32および上側アーム部33の先端を挿入空間S6に挿入させた状態で、スライド部材3を前方に所定量だけ移動させる(挿入する)と、下側アーム部32の先端が、凹部11aを画成する上側隔壁116に形成された段差部116bよりも前方に移動することとなる。このように、下側アーム部32の先端が段差部116bよりも前方に移動すると、下側アーム部32が弾性復元力により互いに開く方向(幅方向の外側)に移動し、下側アーム部32の係止突部32aが段差部116bに係止されることとなる。こうして、スライド部材3は、ハウジング本体11からの抜けが抑制された状態で、プラグハウジング10にスライド可能に保持される(仮保持される)こととなる。
【0187】
なお、下側アーム部32の係止突部32aを段差部116bに係止させた状態では、上側アーム部33は、突部33aが、規制突部(スライド規制部)111dの後方に、当該規制突部(スライド規制部)111dと対向するように配置されることとなる(図27参照)。
【0188】
したがって、レセプタクルハウジング20に嵌合していないプラグハウジング10にスライド部材3を仮保持した状態で、スライド部材3を前方にスライドさせようとすると、上側アーム部33の突部33aが規制突部111dに突き当たるため、スライド部材3のそれ以上の前方への移動が規制されることとなる。
【0189】
本実施形態では、このような構成とすることで、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了していない状態では、スライド部材3が初期位置からスライド完了位置へとスライドさせることができないようにしている。なお、本実施形態では、下側アーム部32の係止突部32aを段差部116bに係止させた状態を、スライド部材3の初期位置としている。
【0190】
そして、スライド部材3を仮保持させたプラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させると、嵌合開始から嵌合完了までの間に、上側アーム部33の係合突部33bが天壁211の突部211cに当接して下方に押し下げられることとなる。そして、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20との嵌合が完了した状態においては、係合突部33bの先端が突部211cの下面に当接して、上側アーム部33が下方に撓んだ状態となる。このとき、上側アーム部33の突部33aも下方に移動して、規制突部(スライド規制部)111dよりも下側に位置することとなる(図28参照)。
【0191】
したがって、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させると、規制突部111dによる突部33aの前方への移動の規制が解除されるため、スライド部材3を前方にスライドさせることができるようになる。このように、本実施形態では、上下に弾性変形可能な上側アーム部33と、この上側アーム部33に、規制突部111dに当接可能に形成された突部33aと、をスライドロック機構34として機能させている。
【0192】
そして、スライド部材3を前方にスライドさせて、上側アーム部33の係合突部33bを天壁211の突部211cの前端に係止させることで、このスライド部材3によっても、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合状態でロックしている(図29参照)。なお、本実施形態では、上側アーム部33の係合突部33bを天壁211の突部211cの前端に係止させた状態を、スライド部材3のスライド完了位置(完了位置:第2位置)としている。
【0193】
こうすることで、コネクタセットC1は、レバー部121およびスライド部材3により二重にロックされることとなる。
【0194】
さらに、本実施形態では、スライド部材3をスライド完了位置(完了位置)までスライドさせると、規制突部(規制部)31bが撓み許容空間S7に挿入されるようにしている(図30参照)。そして、撓み許容空間S7に挿入された規制突部31bによって、レバー部121の下方への移動が規制されるようにしている。
【0195】
このとき、レバー部121が規制突部31bに当接した状態でも、係合突部121bと係合凹部221aとが係合しているように、規制突部31bの上方への突出量を設定するのが好ましい。こうすれば、スライド部材3によるロックを解除させない限り、レバー部121によるロックが解除されないようにすることができ、より確実にロック状態を維持できるようになる。
【0196】
なお、レバー部121およびスライド部材3により二重にロックされたコネクタセットC1の嵌合を解除する場合、まず、スライド完了位置にあるスライド部材3を初期位置までスライドさせることとなる。本実施形態では、スライド部材3を後方(初期位置側)まで強く引っ張ることで、係合突部33bと突部211cとの係止が解除されるようになっている。したがって、例えば、操作者等が取手31aを把持してスライド部材3を後方に強く引っ張るようにすれば、スライド部材3は初期位置までスライドすることとなる。
【0197】
このように、スライド部材3を初期位置までスライドさせることで、レバー部121の下方への移動の規制が解除され、レバー部121によるロックを解除できるようになる。
【0198】
そして、上述したプラグコネクタ1のレセプタクルコネクタ2からの取り外し作業を行うことで、プラグコネクタ1がレセプタクルコネクタ2から取り外されることになる。
【0199】
以上説明したように、本実施形態にかかるコネクタセットC1は、プラグハウジング(第1ハウジング)10と、プラグハウジング10に保持される第1端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)と、を有するプラグコネクタ(第1コネクタ)1を備えている。
【0200】
また、コネクタセットC1は、プラグハウジング10と嵌合するレセプタクルハウジング(第2ハウジング)20と、レセプタクルハウジング20に保持され、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合させた状態で、第1端子に導通接続される第2端子(下側レセプタクル端子23および上側レセプタクル端子24)と、を有するレセプタクルコネクタ(第2コネクタ)2を備えている。
【0201】
さらに、コネクタセットC1は、プラグハウジング10およびレセプタクルハウジング20のうちのいずれか一方のハウジング(プラグハウジング10)に第1位置としての初期位置と第2位置としての完了位置との間でスライド可能に保持されるスライド部材3を備えている。
【0202】
そして、プラグハウジングは、第1端子を保持するハウジング本体(第1ハウジング本体)11と、ハウジング本体11に連設され、ハウジング本体11に対して相対移動するレバー部121と、を備えている。
【0203】
また、レセプタクルハウジング20は、第2端子を保持するハウジング本体(第2ハウジング本体)21と、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合させた状態で、レバー部121に係合し、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20との嵌合状態を維持する係合凹部(係合部)221aと、を備えている。
【0204】
また、スライド部材3には、完了位置までスライドさせた際に、他方のハウジング(レセプタクルハウジング20)に形成された突部(被係止部)221cに係止されて、スライド部材3の初期位置へのスライドを規制する係合突部(係合部)33bが形成されている。
【0205】
そして、突部(被係止部)221cが他方のハウジング(レセプタクルハウジング20)のハウジング本体21に形成されている。
【0206】
このように、スライド部材3を他方のハウジング(レセプタクルハウジング20)に係止させるようにすれば、スライド部材3によっても、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20との嵌合が解除されてしまうことを抑制することができる。その結果、レセプタクルハウジング20に嵌合させたプラグハウジング10が、レセプタクルハウジング20から外れてしまうことをより確実に抑制することができるようになる。すなわち、互いに嵌合させた状態において、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20に対する引っ張り強度をより高めることができるようになる。
【0207】
さらに、本実施形態では、他方のハウジング(レセプタクルハウジング20)におけるレバー部121と係合凹部(係合部)221aとの係合箇所とは別の箇所で、スライド部材3がプラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合状態でロックするようにしている。
【0208】
こうすれば、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とをロックする部分の当接面積が増加するため、互いに嵌合させた状態において、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20に対する引っ張り強度をより一層高めることができるようになる。
【0209】
また、本実施形態にかかるプラグコネクタ(コネクタ)1は、上述したスライド部材3が初期位置と完了位置との間でスライド可能に保持されるプラグハウジング(ハウジング)10と、プラグハウジング10に保持される端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)と、を備えている。
【0210】
このようなプラグコネクタ1を用いることで、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20との嵌合の完了をより確実に確認することができるようになる。
【0211】
このように、本実施形態によれば、互いに嵌合させた状態において、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20に対する引っ張り強度をより高めることが可能なコネクタセットC1およびプラグコネクタ(コネクタ)1を得ることができる。
【0212】
また、本実施形態では、スライド部材3は、スライドロック機構34を備えている。このスライドロック機構34は、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とが嵌合していない状態では、一方のハウジング(プラグハウジング10)に形成された規制突部(スライド規制部)111dに干渉して、スライド部材3の完了位置へのスライドを規制するものである。また、スライドロック機構34は、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とが嵌合した状態では、規制突部111dとの干渉が解除されて、スライド部材3の完了位置へのスライドを許容するものである。
【0213】
こうすれば、スライド部材3の初期位置からスライド完了位置へのスライドによって、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2との嵌合の完了を確認できるようになる。
【0214】
また、本実施形態では、規制突部11dが一方のハウジング(プラグハウジング10)のハウジング本体11に形成されている。
【0215】
このように、本実施形態では、剛性を有する部材であるハウジング本体11によって、スライド部材3の完了位置へのスライドが規制されるようにしている。
【0216】
そのため、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とが嵌合していない状態で、規制突部111dによるスライド部材3の完了位置へのスライドの規制が解除されてしまうことをより確実に抑制することができる。すなわち、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とが嵌合していない状態で、スライド部材3の初期位置から完了位置へのスライドが許容されてしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0217】
その結果、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20との嵌合の完了をより確実に確認することができるようになる。
【0218】
また、本実施形態では、スライド部材3には、完了位置までスライドさせた際に、レバー部121のハウジング本体11に対する相対移動を規制する規制突部(規制部)31bが形成されている。
【0219】
こうすれば、スライド部材3によるロックを解除させない限り、レバー部121によるロックが解除されないようにすることが可能となる。
【0220】
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態およびその変形例には限定されず、種々の変形が可能である。
【0221】
例えば、上記実施形態では、複数の端子が上下の2段に配置されたものを例示したが、複数の端子が1段のみに配置されたコネクタや3段以上に配置されたコネクタとすることも可能である。
【0222】
また、同一の段に配置される端子の形状を同一の形状としたコネクタを例示したが、同一の段に複数種類の端子が配置されたコネクタとすることも可能である。
【0223】
また、上記実施形態では、上側アーム部33を上下方向に弾性変形させることで規制突部111dとの干渉を解除させるようにしたものを例示したが、幅方向に弾性変形させることで、規制突部111dとの干渉を解除させるようにしてもよい。すなわち、端子の挿入方向である前後方向に対向して規制突部111dと干渉する突部33aを、前後方向(端子挿入方向)と交差する方向に移動させることで、規制突部111dとの干渉を解除させるようにしてもよい。
【0224】
また、上記実施形態では、スライドロック機構34が干渉するスライド規制部を、一方のハウジング(プラグハウジング10)のハウジング本体11に形成したものを例示したが、スライド規制部を、一方のハウジング(プラグハウジング10)のレバー部121に形成してもよい。
【0225】
また、上記実施形態では、プラグコネクタにスライド部材を保持させたものを例示したが、レセプタクルコネクタにスライド部材を保持させるようにすることも可能である。
【0226】
また、基板同士やケーブル同士を電気的に接続するコネクタ(プラグコネクタやレセプタクルコネクタ)に本開示を適用してもよい。さらに、電線と基板とを電気的に接続するコネクタ(プラグコネクタやレセプタクルコネクタ)や電線とケーブルとを電気的に接続するコネクタ(プラグコネクタやレセプタクルコネクタ)に本開示を適用してもよい。
【0227】
また、ハウジングや端子、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0228】
1 プラグコネクタ(第1コネクタ)
10 プラグハウジング(第1ハウジング)
11 ハウジング本体(第1ハウジング本体)
111d 規制突部(スライド規制部)
121 レバー部
13 下側プラグ端子(第1端子)
14 上側プラグ端子(第1端子)
2 レセプタクルコネクタ(第2コネクタ)
20 レセプタクルハウジング(第2ハウジング)
21 ハウジング本体(第2ハウジング本体)
211c 突部(被係止部)
221a 係合凹部(係合部)
23 下側レセプタクル端子(第2端子)
24 上側レセプタクル端子(第2端子)
3 スライド部材
31b 規制突部(規制部)
33b 係合突部(係合部)
34 スライドロック機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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