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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】加熱送風システム
(51)【国際特許分類】
   A45D 20/10 20060101AFI20221223BHJP
【FI】
A45D20/10 101
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019074031
(22)【出願日】2019-04-09
(65)【公開番号】P2020171409
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 覚
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】高野 創志
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-159057(JP,A)
【文献】特開2017-118991(JP,A)
【文献】特開2006-192075(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109907460(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112120382(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの内部に配置されるファンおよび加熱部を有する加熱送風装置と、
前記加熱送風装置を制御するプログラムと、を備え、
前記プログラムは、
前記加熱送風装置の動作モードを取得するステップと、
前記加熱送風装置の吐出口から温風と冷風とを予め設定された周期で交互に吐出させる温冷モードを前記加熱送風装置の動作モードとして取得した場合に、予め設定された温風の温度と、温風の駆動時間と、冷風の温度と、冷風の駆動時間とにしたがって、前記ファンの回転動作と前記加熱部の加熱動作とを制御するステップとを有し、
前記ファンの回転動作と前記加熱部の加熱動作とを制御するステップは、前記加熱部の設定が温風に対応する温度である場合の前記ファンの回転数を、前記加熱部の設定が冷風に対応する温度である場合の前記ファンの回転数よりも小さく設定するものである、加熱送風システム。
【請求項2】
前記加熱送風装置は、環境温度を検知する環境温度検知部を有し、
前記プログラムは、前記環境温度検知部によって検知された環境温度を取得するステップを有し、
前記ファンの回転動作と前記加熱部の加熱動作とを制御するステップは、取得した環境温度が予め設定された環境温度よりも高い場合、前記ファンの回転数をより大きく設定し、取得した環境温度が予め設定された環境温度よりも低い場合、前記ファンの回転数をより小さく設定するものである、請求項1に記載の加熱送風システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加熱送風システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱送風システムとして、例えば特許文献1には、ハウジングの内部に配置されるファンおよび加熱部を有する加熱送風装置と、加熱送風装置を制御するプログラムとを備えるものが開示されている。
【0003】
この加熱送風システムは、動作モードとして温冷モードを取得した場合に、加熱送風装置の吐出口から例えば風温70℃の温風を吐出させ、次いで加熱送風装置の吐出口から例えば風温30℃の冷風を吐出させ、以降これらの動作を繰り返すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-202129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の加熱送風システムにおいては、温冷モードの風温によらず風量は一定であり、温冷モードにおいて温風と冷風とで意図する温度差が得られない可能性がある。
【0006】
本開示は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本開示の目的は、温冷モードにおいて温風と冷風とで意図する温度差が実現されやすくなる加熱送風システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の態様にかかる加熱送風システムは、ハウジングの内部に配置されるファンおよび加熱部を有する加熱送風装置と、加熱送風装置を制御するプログラムと、を備える。プログラムは、加熱送風装置の動作モードを取得するステップを有する。また、プログラムは、加熱送風装置の吐出口から温風と冷風とを予め設定された周期で交互に吐出させる温冷モードを加熱送風装置の動作モードとして取得した場合に、予め設定された温風の温度と、温風の駆動時間と、冷風の温度と、冷風の駆動時間とにしたがって、ファンの回転動作と加熱部の加熱動作とを制御するステップを有する。ファンの回転動作と加熱部の加熱動作とを制御するステップは、加熱部の設定が温風に対応する温度である場合のファンの回転数を、加熱部の設定が冷風に対応する温度である場合のファンの回転数よりも小さく設定するものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、温冷モードにおいて温風と冷風とで意図する温度差が実現されやすくなる加熱送風システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態における加熱送風装置の側面図である。
図2】本実施形態における加熱送風装置の正面図である。
図3】本実施形態における加熱送風装置の平面図である。
図4】本実施形態における加熱送風装置の上側内部を示す平面図である。
図5図4のA-A断面図である。
図6】本実施形態における加熱送風装置の本体部内でイオン生成部と酸性成分生成部、帯電微粒子液体生成部が設けられる部分を示す斜面図である。
図7】本実施形態における加熱送風装置の本体部内でイオン生成部と酸性成分生成部、帯電微粒子液体生成部が設けられる部分を拡大して示す平面図である。
図8】本実施形態における加熱送風システムの機能構成を示すブロック図である。
図9】温冷モードにおけるファンの回転動作、ヒータの加熱動作を示す特性図である。
図10】風量切替ありの場合と風量切替なしの場合とにおける経過時間に対する風温の変化を示す図である。
図11】本実施形態の変形例における加熱送風装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
先ず、加熱送風装置について図1から図7に基づいて説明する。図1は、本実施形態における加熱送風装置の側面図を示すものである。
【0012】
本実施形態にかかる加熱送風装置としてのヘアドライヤ(ヘアケア装置)1は、使用者が手で握る部分としての把持部1aと、把持部1aと交差する方向に結合された本体部1bとを備えている。そして、使用時には把持部1aと本体部1bとで略T字状あるいは略L字状(本実施形態では略T字状)の外観を呈するように折り畳み可能に構成されている。
【0013】
把持部1aの突出端部からは、電源コード2が引き出されている。また、把持部1aは、本体部1b側の根元部1cと先端部1dとに分割されており、これら根元部1cと先端部1dとが、連結部1eを介して回動可能に連結されている。なお、先端部1dは、本体部1bに沿う位置まで折り畳むことができるようになっている。
【0014】
ヘアドライヤ1の外壁をなす(外郭を構成する)ハウジング3は、複数の分割体を継ぎ合わせて構成されている。ハウジング3の内部には空洞が形成されており、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。
【0015】
本体部1bの内部には、その長手方向(図5の左右方向)の一方側(右側)の入口開口(吸入口)4aから出口開口(吐出口)4bに至る風洞(送風流路)が形成されている。この風洞内に収容された送風部としてのファン5を回転させることによって空気流W1が形成される。すなわち、空気流W1は、外部から入口開口4aを介して風洞内に流入し、当該風洞内を通って出口開口4bから外部に排出される。
【0016】
入口開口(吸入口)4aは、網目状の枠体81で覆われており、この枠体81の開口部81aの形状はハニカム形状となっている。こうすることで、桟部81bの強度を均等に確保させつつ入口開口(吸入口)4aの総開口面積を大きくとることができ、風量の増大を図ることができるようになる。
【0017】
また、枠体81には、図5に示すように、開口率が55~90パーセント程度であって、300~650μm程度の網目幅のメッシュ82が一体成形されている。このメッシュ82は、例えば金属やポリエステル等の難燃性樹脂を用いることができ、このように網目幅の細かいメッシュ82を一体成形することで、細かい埃や毛髪等が空気流路内に入ってしまうのをより確実に抑制できるようにしている。
【0018】
また、本体部1bにおいて、ハウジング3の外筒3aの内部には、略円筒状の内筒6が設けられており、空気流W1はこの内筒6の内側を流れるようになっている。内筒6の内側では、最も上流側にファン5が配置され、その下流側にファン5を駆動するモータ7が配置され、モータ7のさらに下流側に加熱部(加熱機構)としてのヒータ8が配置されている。
【0019】
ヒータ8を作動させたときには、出口開口4bから温風が吹き出されることになる。なお、本実施形態では、ヒータ8は、帯状かつ波板状の電気抵抗体を内筒6の内周に沿って巻回して配置したものとして構成されているが、かかる構成には限定されない。
【0020】
また、ハウジング3内には、遷移金属微粒子を生成する遷移金属微粒子生成部、イオンを生成するイオン生成部、酸性成分を生成する酸性成分生成部、帯電微粒子液体を生成する帯電微粒子液体生成部のうち、少なくとも1つの生成部が設けられている。
【0021】
イオン生成部としては、例えば、針状の第1電極(放電電極)と円環状の第2電極(対向電極)とで構成され、この電極間に高電圧を印可することでイオンを生成するようにしたものを用いることができる。
【0022】
また、帯電微粒子液体生成部としては、例えば、針状の第1電極(放電電極)と円環状の第2電極(対向電極)とで構成され、この電極間に高電圧を印可することで帯電微粒子液体を生成するようにしたものを用いることができる。なお、帯電微粒子液体を生成する際には、第1電極に帯電微粒子液体を生成するための液体が水供給デバイス(図示せず)から供給された状態で、第1電極と第2電極との間に高電圧が印可される。
【0023】
この第1電極への液体の供給方法としては、例えば、液体を含有したタンク(水供給デバイス)から第1電極に供給する方法を用いることができる。また、第1電極を冷却して第1電極表面で水分を結露させることで液体を供給する方法とすることも可能である。この液体は、第1電極表面で結露した水分(結露水)、または、第1電極から溶解した成分や第1電極の周囲の構成物から溶解した成分を含む結露水である。
【0024】
酸性成分生成部は、酸性成分を生成することができる方式であればよい。例えば、第1電極(放電電極)と第2電極(対向電極)とで構成される酸性成分生成部とし、この電極間に高電圧を印可することで、放電により生成される酸性成分を有するNOx-(HO)n等を生成する方法を用いることができる。
【0025】
また、酸性の特性を有する液体を静電霧化させたり、揮発させたりすることで酸性成分を生成することも可能である。また、固体から昇華させる方法で酸性成分を生成するようにしてもよい。
【0026】
本実施形態では、本体部1b内で、ハウジング3と内筒6との間に形成された空洞9に、2つ(複数)の金属微粒子生成部30,40および1つのミスト生成部50が配置されている。
【0027】
したがって、生成部(金属微粒子生成部30,40およびミスト生成部50)で生成された成分は、分岐流W2とともに吐出するようになっているが、出口開口(吐出口)4bから空気流W1とともに吐出させるようにしてもよい。また、生成部はヒータ(加熱部)8が設けられている内筒6内に設けてもよいが、本実施形態に示すように、ヒータ(加熱部)8で加熱されない部位に設けることが好ましい。
【0028】
金属微粒子生成部30,40では、遷移金属微粒子、イオンおよび酸性成分が生成される。一方、ミスト生成部50では、帯電微粒子液体(ナノイー(登録商標))、イオンおよび酸性成分が生成される。
【0029】
このように、本実施形態では、金属微粒子生成部30,40が、遷移金属微粒子生成部、イオン生成部および酸性成分生成部を兼ねている。そして、ミスト生成部50が、帯電微粒子液体生成部、イオン生成部および酸性成分生成部を兼ねている。
【0030】
本実施形態では、ハウジング3内に、遷移金属微粒子を生成する遷移金属微粒子生成部、イオンを生成するイオン生成部、酸性成分を生成する酸性成分生成部および帯電微粒子液体を生成する帯電微粒子液体生成部の4種類の生成部が設けられていることとなる。また、イオン生成部および酸性成分生成部はそれぞれ3箇所に設けられることとなり、遷移金属微粒子生成部および帯電微粒子液体生成部は1箇所に設けられることとなる。
【0031】
なお、4種類の生成部は、それぞれ独立した状態で設けるようにしてもよい。また、4種類の生成部の全てを設ける必要はなく、いずれか1種類の生成部のみをハウジング3内に設けるようにしてもよいし、4種類の生成部のなかから任意に選択した2種類の生成部をハウジング3内に設けるようにしてもよい。
【0032】
そして、本実施形態では、生成されるイオン、帯電微粒子液体、酸性成分、遷移金属微粒子の生成量を制御部10で制御しており、毛髪の状態(髪質、長さ、乾燥状態)に応じて好適な量の成分が供給されるようにしている。
【0033】
また、本体部1b内で、ハウジング3と内筒6との間に形成された空洞9には、ミスト生成部50に電圧を印加する電圧印加回路12等も収容されている。なお、金属微粒子生成部30,40に電圧を印加する電圧印加回路(図示せず)もハウジング3内に収容されているが、この電圧印加回路(図示せず)は、相互干渉による不具合を抑制するため、電圧印加回路12が収容された部位とは別の部位に収容されている。
【0034】
電圧印加回路12および金属微粒子生成部30,40に電圧を印加する電圧印加回路(図示せず)は、把持部1a内、または本体部1b内で把持部1aの延長線上となる領域に配置するのが好適である。使用者が把持部1aを持ったときに、電圧印加回路12および電圧印加回路(図示せず)の質量に起因する回転モーメントを小さくして、使用者の手に作用する負荷を小さくするためである。
【0035】
また、これら電圧印加回路12および電圧印加回路(図示せず)を、内筒6を挟んで相互に反対側となる位置に配置するのが好適である。こうすれば、電圧印加回路12と電圧印加回路(図示せず)との相互干渉による電圧の低下や不安定化等の不具合をより一層抑制することができる。
【0036】
さらに、本実施形態では、空洞9の側面部分(空洞9の電圧印加回路12が収容された部位とは別の部位)に、温風と冷風の切り換えや動作モードの切り替え等を行うスイッチ部21が収容されている。
【0037】
また、把持部1aの先端部1d内の空洞には、電源のONとOFFとの切り換え等を行う別のスイッチ部16が収容されている。これら電気部品同士は、金属導体等からなる芯線を絶縁性樹脂等で被覆したリード線17によって接続されている。
【0038】
なお、金属微粒子生成部30に繋がるリード線17、金属微粒子生成部40に繋がるリード線17およびミスト生成部50に繋がるリード線17は、相互に交叉させることなく極力離間させて配索するのが好適である。それぞれのリード線17を流れる電流の相互干渉によって、金属微粒子生成部30,40あるいはミスト生成部50で所望の電圧が得られなくなったり、電圧が不安定になったりするのを抑制するためである。
【0039】
本実施形態では、スイッチ部16は、ハウジング3の表面に露出した操作子18を操作することで、内部接点の開閉状態を切り換えることができるように構成されている。このとき、操作子18を上下方向にスライドさせることで、内部接点の開閉状態を多段階に切り換えることができるようにすることが可能である。
【0040】
例えば、電源オフ、弱風、中風、強風の4つのモードに切り換えられるようにすることが可能である。この場合、操作子18を最下部に位置させた状態を電源オフとすることができる。
【0041】
そして、操作子18を最下部から一段階上方にスライドさせた際に、電源オン状態となって、弱風が送風されるようにすることができる。さらに、操作子18を最下部から二段階上方にスライドさせた際に、中風が送風され、操作子18を最上部までスライドさせた際に、強風が送風されるようにすることができる。
【0042】
一方、温風と冷風の切り換えや動作モード等を行うスイッチ部21は、ハウジング3の表面(側面)に形成した操作子19や操作子19a、19bを操作する(押圧する)ことで、内部接点の開閉状態を切り換えることができるように構成されている。そして、本体部1bの上部には、現在選択されているモードを表示する表示部14が形成されている。
【0043】
これらのスイッチ部21や表示部14等は、制御部10と電気的に接続されている。
【0044】
本実施形態では、操作子19を操作することで、温風と冷風の切り換えを行うことができるようになっている。なお、操作子19を操作する度に、温風、冷風、温風…と単に温冷2つのモードを切り替えるだけでなく、「HOT」、「温冷」、「COLD」、「SCALP」の4つの風温モードを切り替えることができるようにすることも可能である。
【0045】
このとき、選択されているモードを認識することが可能な文字等が表示部14に表示されるようにするのが好ましい。以下、各モードおよび表示部14への表示方法の一例について説明する。
【0046】
「HOT」とは、温風を出力するモードであって、通常の使用時に毛髪にあたる風の温度が約70℃から80℃となるようにしたモードである。この温風を出力するモードが選択されているときには、表示部14に「HOT」の文字が表示されるようにする。
【0047】
また、「温冷」とは、例えば冷風5秒、温風7秒といったように、温風と冷風を交互に出力するモードである。この「温冷」モードが選択されているときには、表示部14に矢印が表示されるとともに、温風と冷風の出力に応じて「HOT」と「COLD」が交互に表示されるようにする。
【0048】
また、「COLD」とは、冷風を出力するモードであって、通常の使用時に毛髪にあたる風の温度が約30℃となるようにしたモードである。この冷風を出力するモードが選択されているときには、表示部14に「COLD」の文字が表示されるようにする。
【0049】
また、「SCALP」とは、低温風を出力するモードであって、通常の使用時に毛髪にあたる風の温度が約50℃となるようにしたモードである。この「SCALP」モードは、主として頭皮のケアを行う際に選択されるモードとして設定するものである。そして、「SCALP」モードが選択されているときには、表示部14に「SCALP」の文字が表示されるようにする。
【0050】
そして、操作子18を上方にスライドさせて電源オン状態にすると、制御部10が通電され、現在の風温モードに応じた駆動信号でヒータ8が駆動されるとともに、現在の風温モードを表示するように表示部14の風温表示が制御される。なお、操作子18を上方にスライドさせて単に電源オン状態にした状態では、「HOT」モードが選択されており、温風が送風される。
【0051】
そして、操作子19を操作するたびに、押下信号が制御部10に送られて4つの風温状態が「温冷」モード、「COLD」モード、「SCALP」モード、「HOT」モードの順に切り替わるようになっている。
【0052】
さらに、本実施形態では、表示部14に「SKIN」の文字が形成されており、弱風モードで、「COLD」を選択した場合に、「COLD」とともに「SKIN」が表示されるようにしている。
【0053】
すなわち、弱風モードで、「COLD」を選択した場合には、「SKIN」モードとして使用することもできるようになっている。なお、「SKIN」モードは、ミスト等が含まれた冷風を肌に当てることで肌の水分保湿を適度な状態となるようにする等、肌のケアを行う際に選択されるモードである。
【0054】
なお、上記説明は一例に過ぎず、各モードの表示方法としては、様々な方法を用いることができる。また、温風と冷風の切り換えモードについても、様々なモードの設定が可能である。
【0055】
さらに、本実施形態では、ヘアドライヤ1は、環境温度(外気温度:使用者がいる場所の室温、気温等)を検知する環境温度検知部60を備えている。そして、環境温度検知部60が検知した環境温度に応じて、ヒータ(加熱部)8への通電量を制御部10により変化させるようにしている。
【0056】
この環境温度検知部60は、例えば風温センサを用いることができ、ヘアドライヤ1内部のファン(送風部)5よりも下流に設けられており、ヒータ8による熱の影響を受けない部位に設けられている。本実施形態では、図6に示すように、環境温度検知部60は、空洞9内(内筒6よりも外側)の間隙g1よりも下流側に配置されている。
【0057】
そして、環境温度検知部60は、ヒータ8による熱の影響を受けにくい状態で環境温度を検知し、環境温度検知部60により検知された環境温度に応じて制御部10によりヒータ8への通電量を制御している。
【0058】
例えば、環境温度10℃の環境では、ヒータ8にはより大きな電流での通電を行い、例えば110~130℃の温風、好ましくは120℃の温風を発生させるようにすることができる。一方、環境温度30℃の環境では、ヒータ8への通電量を減少させて、例えば50~70℃の温風、好ましくは60℃の温風を発生させるようにすることができる。
【0059】
また、本実施形態では、操作子19aを操作することで、髪質モードの切り替えを行うことができるようになっている。具体的には、毛髪の太い使用者が主として選択する髪太モードと、毛髪の細い使用者が主として選択する髪細モードの2つの髪質モードの選択ができるようになっている。
【0060】
本実施形態では、選択された髪質モードに応じて、ハウジング3内に設けられる生成部で生成される成分量の調整を行うようにしている。
【0061】
また、本実施形態では、操作子19bを操作することで、髪長さモードの切り替えを行うことができるようになっている。具体的には、髪の短い使用者が主として選択するショートモードと、髪の長い使用者が主として選択するロングモードと、髪の長さが中程度の使用者が主として選択するミディアムモードの3つの髪長さモードの選択ができるようになっている。
【0062】
本実施形態では、選択された髪長さモードに応じて、ハウジング3内に設けられる生成部で生成される成分量の調整を行うようにしている。
【0063】
そして、髪質モードや髪長さモードの選択状態についても、様々な方法で表示部14に表示させることが可能である。例えば、ロングモードを選択した場合には、ロングモードの文字や長髪の絵等が表示されるようにすることができる。すなわち、髪質モードや髪長さモードのうちの選択したモードそのものが判別できる表示方法(文字や髪の長さを示す絵等)とすることが可能である。
【0064】
また、本実施形態のヘアドライヤ1は、通常の使用状態で、ある程度使用した際には、使用開始時に比べて生成される成分量が少なくなるように制御されている。
【0065】
そして、選択された髪長さモード毎に、生成される成分量が所定の値となるまでの時間(使用開始時の生成量に対する割合が所定の値となるまでの時間)を異ならせている。
【0066】
したがって、選択された髪長さモードを表示する場合に、選択されたモードにおける生成量が減少するまでの時間を表示部14に表示するという方法もある。
【0067】
また、本実施形態のヘアドライヤ1は、選択された髪質モード毎に、使用開始時における生成される成分量を異ならせている。すなわち、制御部10によって生成量が多い第1の制御モードでの制御や生成量が少ない第2の制御モードでの制御が行われるようにしている。
【0068】
したがって、選択された髪質モードを表示する場合に、選択されたモードにおいて使用開始時に生成される成分量の分量を表示部14に表示することも可能である。
【0069】
また、髪質モードや髪長さモードの選択状態だけでなく様々な状態を表示部14に示すこともできる。
【0070】
例えば、イオン生成部、帯電微粒子液体生成部、酸性成分生成部、遷移金属微粒子生成部等での各成分の生成量の制御部10による制御状態を表示部14に表示することができる。これらの表示方法としては、イオン量や、帯電微粒子液体量、酸性成分量、遷移金属微粒子量の変化をLEDの点灯状態の変化で示す方法がある。
【0071】
また、生成量が多い第1の制御モードや生成量が少ない第2の制御モードでの駆動状態を表示部14において表示することもできる。
【0072】
これらの表示方法としては、生成量の多い第1の制御モードと生成量の少ない第2の制御モードでの駆動状態を毛髪への髪ケア効果の一部を表現に使用し、ボリュームダウン、ボリュームアップとして表現する方法がある。
【0073】
表示部14は、制御基板上に実装されたチップ型の発光ダイオード11と、発光ダイオード11の光を拡散する白色乃至乳白色の拡散板13と、透明樹脂からなる表示パネル15とからなる。
【0074】
表示パネル15は、ハウジング3と別体に形成して両面接着テープでハウジング3に固定してもよいし、ハウジング3と一体に形成してもよい。表示パネル15の裏面には、外部光を反射するハーフミラー層を印刷または転写により設けるのが好ましい。
【0075】
そして、ハーフミラー層の上面の発光ダイオード11と対向する面には、発光ダイオード11からの光を選択的に遮光する遮光層を印刷または塗装により設けるのが好ましい。
【0076】
なお、“選択的に遮光する”とは、風温表示、「HOT」、「温冷」、「COLD」、「SCALP」および「SKIN」等の文字や絵柄が表れるように、特定の領域(例えば、文字部分以外の領域)を遮光するという意味である。
【0077】
表示部14をかかる構成とすることで、電源オフの状態では、発光ダイオード11が発光していないためヘアドライヤ1の内部が暗く、ヘアドライヤ1の外部が明るくても、外部光がハーフミラー層により反射され、内部部品や文字等を見えにくくすることができる。
【0078】
一方、電源をオンにすると、発光ダイオード11が発光し、その光が遮光層とハーフミラー層を透過して外部に照射される。このとき、遮光層により文字部分以外の領域については遮光されるので、外部には文字が表れることになる。
【0079】
このとき、表示したい文字や絵柄に応じて、発光ダイオード11が異なる色を発光するようにしてもよいし、同色の発光ダイオード11を発光させるようにしてもよい。
【0080】
また、表示部14の印刷色は本体部1bの色に合わせて変更してもよい。ただし、白色やピンク色・ゴールド色等の場合、単色印刷では十分に遮光することができないため、外観用印刷色で印刷した後、遮光用として金属粉末の配合率の高いインク材料を使用しているシルバー系の印刷色にて印刷を行うとよい。
【0081】
内筒6は、筒状部6aと、筒状部6aから径方向外側に向けて伸びて周方向に分散して配置された複数の支持リブ6b(図5では一箇所のみ図示)と、を有している。また、内筒6は、支持リブ6bを介して筒状部6aに接続され当該筒状部6aの軸方向と略直交する方向に張り出すフランジ部6cを有している。
【0082】
筒状部6aとフランジ部6cとの間には間隙g1が形成されており、この間隙g1を介して空洞9内に空気流W1の一部が分岐されて流入し、分岐流W2が形成されている。なお、分岐流W2の空洞9内への導入口となる間隙g1は、ファン5の下流でありかつヒータ8の上流側となる位置に設けられている。したがって、分岐流W2は、ヒータ8によって加熱される前の、比較的冷たい空気流となる。
【0083】
そして、分岐流W2の一部はさらに分岐されて分岐流W3となっている。この分岐流W3は、後述する金属微粒子吹出口(イオン放出口)20a,20bやミスト吹出口(イオン放出口)20cを通過せず、内筒6とハウジング3との間を通って出口開口4bの外周部分から吹き出す比較的冷たい空気流となっている。
【0084】
ハウジング3には、空洞9の出口開口4b側となる位置に、略円弧状の貫通孔(開口)3bが形成されており、この貫通孔3bを絶縁性の合成樹脂材料からなるカバー20で塞いである。
【0085】
このように、本実施形態では、カバー20は、ハウジング3に形成された貫通孔(開口)3bを覆うようにして当該ハウジング3に取り付けられている。また、本実施形態では、カバー20は、ハウジング3に対して図5の左側から右側に移動させることで、ハウジング3に取り付けられている。
【0086】
したがって、本実施形態では、風洞(送風流路)の下流側から上流側への方向が、カバー20のハウジング3への取り付け方向となっている。
【0087】
また、カバー20には、金属微粒子吹出口(イオン放出口)20a,20bとミスト吹出口(イオン放出口)20cとがそれぞれ独立して形成されている。
【0088】
なお、ミスト生成部(イオン発生部)50および金属微粒子生成部(イオン発生部)30,40の前方には、イオンが流れるイオン流路4cが形成されることとなる。このため、金属微粒子吹出口(イオン放出口)20a,20bおよびミスト吹出口(イオン放出口)20cは、イオン流路4cの下流側に設けられることとなる。
【0089】
また、カバー20は、金属微粒子あるいはミストによる帯電を抑制するため、ハウジング3よりも導電性を低くするのが好適である。カバー20が帯電すると、その電荷によって、金属微粒子生成部30,40やミスト生成部50から電荷を帯びた金属微粒子およびマイナスイオンやミストが放出されにくくなるからである。
【0090】
カバー20の帯電を抑制するためには、帯電を起こしにくい材料、例えば、PC(ポリカーボネート)樹脂を用いてカバー20を形成し、カバー20の材質を帯電を起こしにくい材質とするのが好ましい。なお、この部分では、カバー20がヘアドライヤ1の外壁を成している(外郭を構成している)。
【0091】
また、本実施形態では、金属微粒子吹出口20a,20bの孔径を、ミスト吹出口20cの孔径より小さくしてある。すなわち、ミスト吹出口20cを介してのミスト生成部50のメンテナンスや状態の確認等をより容易に行わせるとともに、金属微粒子吹出口20a,20bを介しての手指や道具等の誤進入を抑制してある。
【0092】
なお、カバー20の内側にリブ(突部:接続部)を設け、このリブを後述するミスト生成部50の対向電極(第2電極)52に当接させることで、カバー20の除電を行うようにするのが好ましい。
【0093】
このように、本実施形態では、カバー20とミスト生成部(イオン発生部)50、カバー20と金属微粒子生成部(イオン発生部)30,40とで、3つのイオン生成装置100が形成されている。
【0094】
さらに、本実施形態では、毛髪の帯電状態を変更することが可能な帯電部(帯電付与パネル)1fを設けている。この帯電部1fは、把持部1aの近傍に設けられている。具体的には、帯電部1fは、把持部1aの外表面に露出する導電性樹脂(導電部材)で形成されている。
【0095】
また、本実施形態では、ミスト吹出口20cの周辺部に、金属微粒子吹出口(イオン放出口)20a,20bを形成している。
【0096】
具体的には、金属微粒子吹出口20aと金属微粒子吹出口20bとを、ミスト吹出口20cが中心となるように並設している。
【0097】
すなわち、カバー20には、金属微粒子吹出口20a、20bおよびミスト吹出口20cが、ヘアドライヤ1の幅方向(図2の左右方向)に、金属微粒子吹出口20a、ミスト吹出口20c、金属微粒子吹出口20bの順に並ぶように形成されている。
【0098】
このような配置とすることで、マイナスに帯電しているミストが、ミスト吹出口20cの周辺部20dに形成された金属微粒子吹出口(イオン放出口)20a、20bから吹き出されるマイナスイオンによって、外側へ拡散してしまうのを抑制できるようにしている。
【0099】
その結果、ミストの直進性が向上してミストが髪に届きやすくなり、髪ケア効果をより高めることができる。
【0100】
また、金属微粒子生成部30,40およびミスト生成部50は、空洞9内でヘアドライヤ1の幅方向(図2の左右方向)に、金属微粒子生成部30、ミスト生成部50、金属微粒子生成部40の順に並列に配置されている。
【0101】
そして、ミスト生成部50と、当該ミスト生成部50と隣り合う金属微粒子生成部(マイナスイオン発生部)30、40との間には、遮蔽板(仕切部)6dが設けられている。
【0102】
図6に示すように、遮蔽板6dを、ヘアドライヤ1の上下方向およびミストの吹き出し方向に延在するように配置することで、金属微粒子やミストが金属微粒子吹出口20a、20bおよびミスト吹出口20cから吹き出される前に混合してしまうのを抑制している。
【0103】
次に、加熱送風装置としてのヘアドライヤ1を備えた加熱送風システム200について図8から図11に基づいて説明する。図8は、本実施形態における加熱送風システムの機能構成を示すブロック図を示すものである。
【0104】
加熱送風システム200は、ハウジング3とファン5とヒータ8とを有するヘアドライヤ1と、ヘアドライヤ1を制御するプログラム102と、を備える。
【0105】
また、加熱送風システム200は、ダウンロードサーバ103を備える。なお、ダウンロードサーバ103は、ローカルエリアネットワーク(LAN)にあるものであってもよく、広域ネットワーク(WAN)にあるものであってもよい。
【0106】
ヘアドライヤ1は、ハウジング3と、送風部としてのファン5と、加熱部としてのヒータ8と、これらファン5およびヒータ8等を制御する制御部10と、環境温度(外気温度:使用者がいる場所の室温、気温等)を検知する環境温度検知部60と、を有する。
【0107】
プログラム102は、例えば、ダウンロードサーバ103からダウンロードされて、スマートフォン等の操作装置101にインストールされる。この操作装置101が、プログラム102を有する。
【0108】
なお、プログラム102は、ダウンロードサーバ103からダウンロードされて操作装置101にインストールされるものに限定されず、操作装置101にプリインストールされるものであってもよい。また、プログラム102は、操作装置101に組み込まれるものに限定はされず、例えば、ヘアドライヤ1の制御部10に組み込まれるものであってもよい。
【0109】
ヘアドライヤ1が電源オン状態とされるに伴い、ヘアドライヤ1の環境温度検知部60が、環境温度を計測する。
【0110】
プログラム102は、温冷モードをヘアドライヤ1の動作モードとして取得した場合、予め設定された温風の温度と、温風の駆動時間と、冷風の温度と、冷風の駆動時間とにしたがって、ファン5の回転動作とヒータ8の加熱動作とを制御する。
【0111】
具体的には、プログラム102は、環境温度検知部60により計測された環境温度に基づいて、あらかじめ定められたテーブルから、温風時のヒータ8の出力及びファン5の回転数と、冷風時のヒータ8の出力及びファン5の回転数とを取得する。プログラム102は、予め定められたテーブルから取得した温風時のヒータ8の出力及びファン5の回転数と、冷風時のヒータ8の出力及びファン5の回転数とをヘアドライヤ1の制御部10に付与する。そして、ヘアドライヤ1の制御部10が、温風時のヒータ8の出力及びファン5の回転数と、冷風時のヒータ8の出力及びファン5の回転数とに応じて、ファン5、ヒータ8の制御を行う。
【0112】
ヘアドライヤ1の制御部10は、図9中の下側のグラフに示すように、ヒータ8への通電のオン・オフを制御しており、ヒータ8への通電をオフにした場合には、温度が比較的低い冷風がヘアドライヤ1から吐出される。一方、ヒータ8への通電をオンにした場合には、温度が比較的高い温風が吐出される。
【0113】
本実施形態では、温冷モードにおけるヒータ8への通電の周期を12秒と比較的長くしており、ヒータ8への通電がオンとなる時間t1を7秒、ヒータ8への通電がオフ(停止)となる時間t2を5秒としている(図9参照)。
【0114】
また、ヘアドライヤ1の制御部10は、図9中の上側のグラフに示すように、ファン5の回転数(モータ7の回転数)を制御しており、ファン5の回転を停止する(モータ7の駆動を停止する)ことで、送風部5による送風が停止される。また、予め設定された回転数でファン5を回転させる(モータ7を駆動させる)ことで、ファン5による送風が行われる。
【0115】
また、温冷モードにおけるファン5、ヒータ8の制御においては、ヒータ8の設定が温風に対応する温度である場合のファン5の回転数は、ヒータ8の設定が冷風に対応する温度である場合のファン5の回転数よりも小さく設定される。換言すれば、ヒータ8の設定が冷風に対応する温度である場合のファン5の回転数は、ヒータ8の設定が温風に対応する温度である場合のファン5の回転数よりも大きく設定される。
【0116】
ヒータ8の設定が温風に対応する場合(比較的少ない量の送風が行われる際)には、風量が1m/分以下(例えば0.7m/分)となるようにするのが好ましい。こうすれば、温冷モードの風量を風温によらず一定とした場合と比較して、温度差ΔT1の分だけ風温の低下を抑制することができる(図10参照)。この場合の風量は、例えば、出口開口(吐出口)4bの面積および出口開口(吐出口)4bから吐出される風の流速(平均速度)等から求めることができる。
【0117】
一方、ヒータ8の設定が冷風に対応する場合(比較的多い量の送風が行われる際)には、風量が1m/分以上(例えば1.3m/分)となるようにするのが好ましい。こうすれば、温冷モードの風量を風温によらず一定とした場合と比較して、温度差ΔT2の分だけ風温の低下を促進することができる(図10参照)。この場合の風量は、例えば、出口開口(吐出口)4bの面積および出口開口(吐出口)4bから吐出される風の流速(平均速度)等から求めることができる。
【0118】
また、プログラム102は、環境温度検知部60(風温センサ)により計測された環境温度を取得し、環境温度検知部60により計測された環境温度と、予め設定された環境温度との比較を行う。
【0119】
温冷モードにおけるヒータ8、ファン5の制御においては、環境温度検知部60から取得した環境温度が予め設定された環境温度よりも高い場合、ヒータ8の出力が標準条件と同じに設定され、ファン5の回転数が標準条件よりも大きくなるように設定される。このようなファン5の回転数の制御(補正)を行うのは、風量の増加により使用者に供給される風温を低くして、使用者が感じる熱さを低減するためである。
【0120】
なお、温冷モードにおけるヒータ8の制御においては、環境温度検知部60から取得した環境温度が予め設定された環境温度よりも高い場合、ヒータ8の出力が標準条件よりも小さくなるように設定されてもよい。このようなヒータ8の出力の制御(補正)を行うのは、使用者が感じる熱さを低減するためである。この場合、ファン5の回転数が標準条件と同じであると、使用者に供給される風温が低くなる。このため、温冷モードにおけるファン5の制御においては、環境温度検知部60から取得した環境温度が予め設定された環境温度よりも高い場合、ファン5の回転数が標準条件よりも小さくなるように設定される。
【0121】
一方、温冷モードにおけるヒータ8、ファン5の制御においては、環境温度検知部60から取得した環境温度が予め設定された環境温度よりも低い場合、ヒータ8の出力が標準条件と同じに設定され、ファン5の回転数が標準条件よりも小さくなるように設定される。このようなファン5の回転数の制御(補正)を行うのは、風量の減少により使用者に供給される風温を高くして、使用者が感じる寒さを低減するためである。
【0122】
なお、温冷モードにおけるヒータ8の制御においては、環境温度検知部60から取得した環境温度が予め設定された環境温度よりも低い場合、ヒータ8の出力が標準条件よりも大きくなるように設定されてもよい。このようなヒータ8の出力の制御(補正)を行うのは、使用者が感じる寒さを低減するためである。この場合、ファン5の回転数が標準条件と同じであると、使用者に供給される風温が高くなる。このため、温冷モードにおけるファン5の制御においては、環境温度検知部60から取得した環境温度が予め設定された標準温度よりも低い場合、ファン5の回転数が標準条件よりも大きくなるように設定される。
【0123】
なお、このような環境温度に基づく制御(補正)は、温風の条件のみに対して行ってもよく、冷風の条件のみに対して行ってもよい。
【0124】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0125】
(1)加熱送風システム200は、ハウジング3の内部に配置されるファン5および加熱部(ヒータ8)を有する加熱送風装置(ヘアドライヤ1)と、ヘアドライヤ1を制御するプログラム102と、を備える。プログラム102は、ヘアドライヤ1の動作モードを取得するステップを有する。プログラム102は、温冷モードを加熱送風装置の動作モードとして取得した場合に、予め設定された温風の温度と、温風の駆動時間と、冷風の温度と、冷風の駆動時間とにしたがって、ファン5の回転動作とヒータ8の加熱動作とを制御するステップを有する。ファン5の回転動作とヒータ8の加熱動作とを制御するステップは、ヒータ8の設定が温風に対応する温度である場合のファン5の回転数を、ヒータ8の設定が冷風に対応する温度である場合のファン5の回転数よりも小さく設定するものである。
【0126】
温冷モードにおけるファン5、ヒータ8の制御においては、ヒータ8の設定が温風に対応する温度である場合のファン5の回転数は、ヒータ8の設定が冷風に対応する温度である場合のファン5の回転数よりも小さく設定される。このため、ヒータ8の設定が温風に対応する温度である場合には、風量を比較的小さくすることにより、風温の低下を抑制することができる。一方、ヒータ8の設定が冷風に対応する温度である場合には、風量を比較的大きくすることにより、風温の低下を促進することができる。その結果として、温冷モードにおいて温風と冷風とで意図する温度差が実現されやすくなる(図10参照)。
【0127】
(2)ヘアドライヤ1は、環境温度を検知する環境温度検知部60を有し、プログラム102は、環境温度検知部60によって検知された環境温度を取得するステップを有する。ファン5の回転動作とヒータ8の加熱動作とを制御するステップは、取得した環境温度が予め設定された環境温度よりも高い場合、ファン5の回転数をより大きく設定するものである。また、ファン5の回転動作とヒータ8の加熱動作とを制御するステップは、取得した環境温度が予め設定された環境温度よりも低い場合、ファン5の回転数をより小さく設定するものである。
【0128】
かかる構成により、実際の環境温度(外気温度:使用者がいる場所の室温、気温等)を踏まえて、ヘアドライヤ1の風温をより意図した風温とすることができる。
【0129】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0130】
例えば、図12に示すように、加熱送風装置としてのブラシ付きヘアドライヤ1Bに本開示を適用することも可能である。
【0131】
ブラシ付きヘアドライヤ1Bは、棒状に形成されており、使用者が把持部1aを持って先端部1gに設けられたブラシ部23を髪に当てて整髪する(髪を梳かす)ものである。ブラシ部23には、複数のブリッスル23aが突設されている。
【0132】
外壁をなす(外郭を構成する)ハウジング3Bは、複数の分割体を継ぎ合わせて構成されており、その内部には風洞(送風流路)9Bが形成され、この風洞9B内に、各種電気部品が収容されている。
【0133】
また、把持部1aのブラシ部23に近い部分には、膨出した形状の外壁をなす(外郭を構成する)カバー20Bが取り付けられている。このカバー20Bとハウジング3Bとによって形成される風洞9B内に、金属微粒子生成部30,40とミスト生成部50とが収容されている。
【0134】
カバー20Bには、ブリッスル23aに向けて開放された排出口20a,20bが形成されている。金属微粒子生成部30,40で生成された金属微粒子ならびにミスト生成部50で生成されたミストは、この排出口20a,20bから外部に放出され、髪や地肌に作用することになる。なお、金属微粒子生成部30,40およびミスト生成部50には、回路部24から電圧が印加される。
【0135】
また、風洞9Bに空気流Wを生じさせるファン5Bおよびこのファン5Bを回転させるモータ7Bを設け、金属微粒子生成部30,40で生成した金属微粒子ならびにミスト生成部50で生成したミストを、分岐流Wpに乗せて排出できるようにしている。
【0136】
モータ7Bおよびファン5Bは、ハウジング3B内に形成される風洞9B内に収容されている。モータ7Bは回路部24に含まれる駆動回路によって回転駆動される。
【0137】
ハウジング3Bの基端側(図12では下側)には空気の吸入口となる開口部1hが形成されており、ファン5Bが回転すると、空気が外部から開口部1hを介して風洞9B内に流入し、当該風洞9B内を通ってブラシ部23に向けて排出される空気流Wが形成される。空気流Wは、ブラシ部23のブリッスル23aの根元に形成された吹出孔(吐出口)23bから吹き出される。
【0138】
さらに、使用者の帯電によって金属微粒子の放出が阻害されるのを抑制するため、把持部1aの表面に帯電部(帯電付与パネル)1fを露出させてある。
【0139】
また、遮蔽壁22Bを設け、ミスト生成部50で生成されたミストが金属微粒子生成部30,40に到達するのを抑制している。
【0140】
このようなブラシ付きヘアドライヤ(加熱送風装置)1Bに本開示を適用しても、上記実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0141】
また、毛髪に髪ケア効果を与えるとともに、毛髪が比較的乾燥した状態のときに発生量を減少させることで髪ケア効果が向上する髪ケア剤を放出させるようにすることも可能である。このような髪ケア剤としては、例えば、オイル成分を含有する剤が挙げられる。オイル成分を含有する剤は、毛髪表面への付着が少量であることで髪ケア効果が向上するものがある。
【0142】
また、カバーやハウジング、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0143】
1 ヘアドライヤ(加熱送風装置)
1B ブラシ付きヘアドライヤ(加熱送風装置)
3 ハウジング
5 ファン
8 ヒータ(加熱部)
60 環境温度検知部
102 プログラム
200 加熱送風システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11