(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20221223BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20221223BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M50/184 C
(21)【出願番号】P 2018158829
(22)【出願日】2018-08-28
【審査請求日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】P 2017183142
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【氏名又は名称】村瀬 成康
(72)【発明者】
【氏名】河瀬 覚
(72)【発明者】
【氏名】筒井 靖貴
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-119195(JP,A)
【文献】特開2006-164782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0585
H01M 50/184
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極層と対極層とを含む発電要素と、
前記電極層に接して配置される電極集電体と、
前記対極層に接して配置される対極集電体と、
第1部分と第2部分とを有する第1封止部分と、
第2封止部分と、
を備え、
前記第1部分は、前記電極集電体と前記対極集電体とが対向する領域である対向領域の範囲内に、前記電極集電体と前記対極集電体とに接して、位置し、
前記第2部分は、前記対向領域の範囲外に、位置し、
前記第2部分は、前記電極集電体の端部と前記対極集電体の端部との両方よりも外側に、位置
し、
前記第2封止部分は、前記第1封止部分に接して、位置し、
前記第1封止部分は、前記発電要素と前記第2封止部分との間に、位置し、
前記第1封止部分は、第1材料を含み、
前記第2封止部分は、第2材料を含み、
前記第2材料は、前記第1材料とは異なる材料である、
電池。
【請求項2】
前記第1封止部分は、粒子状の金属酸化物材料を含む、
請求項1に記載の電池。
【請求項3】
電極層と対極層とを含む発電要素と、
前記電極層に接して配置される電極集電体と、
前記対極層に接して配置される対極集電体と、
第1部分と第2部分とを有する第1封止部分と、
を備え、
前記第1部分は、前記電極集電体と前記対極集電体とが対向する領域である対向領域の範囲内に、前記電極集電体と前記対極集電体とに接して、位置し、
前記第2部分は、前記対向領域の範囲外に、位置し、
前記第2部分は、前記電極集電体の端部と前記対極集電体の端部との両方よりも外側に、位置し、
前記第1封止部分は、粒子状の金属酸化物材料を含む、
電池。
【請求項4】
前記第1部分の厚さは、前記発電要素の厚さ以上である、
請求項1
から3のいずれかに記載の電池。
【請求項5】
前記第1部分は、前記発電要素の周囲を囲んで、位置し、
前記第2部分は、前記第1部分の周囲を囲んで、位置する、
請求項1
から4のいずれかに記載の電池。
【請求項6】
前記第2部分は、前記電極集電体の端部と前記対極集電体の端部とを覆わずに、位置する、
請求項1から
5のいずれかに記載の電池。
【請求項7】
前記第1部分は、前記発電要素に接する、
請求項1から
6のいずれかに記載の電池。
【請求項8】
前記第1封止部分は、第1材料を含み、
前記第1材料は、絶縁性であり、かつ、イオン伝導性を有さない材料である、
請求項1から
7のいずれかに記載の電池。
【請求項9】
前記第1材料は、エポキシ樹脂とアクリル樹脂とポリイミド樹脂とシルセスキオキサンとのうちの少なくとも1種である、
請求項
8に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、活物質層の端面の周縁部を被覆する絶縁性材料を備える電極体が、開示されている。
【0003】
特許文献2には、端部絶縁部を備える全固体リチウム電池が、開示されている。
【0004】
特許文献3には、樹脂で被覆される固体電池が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-038425号公報
【文献】国際公開第2016/152565号
【文献】特開2008-103292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術においては、短絡リスクの低減が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一様態における電池は、電極層と対極層とを含む発電要素と、前記電極層に接して配置される電極集電体と、前記対極層に接して配置される対極集電体と、第1部分と第2部分とを有する第1封止部分と、を備え、前記第1部分は、前記電極集電体と前記対極集電体とが対向する領域である対向領域の範囲内に、前記電極集電体と前記対極集電体とに接して、位置し、前記第2部分は、前記対向領域の範囲外に、位置し、前記第2部分は、前記電極集電体の端部と前記対極集電体の端部との両方よりも外側に、位置する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、短絡リスクを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1における電池1000の概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1における電池1100の概略構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1における電池1200の概略構成を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1における電池1300の概略構成を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1における電池1400の概略構成を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1における電池1500の概略構成を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1における電池1600の概略構成を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1における電池1700の概略構成を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態2における電池2000の概略構成を示す図である。
【
図10】
図10は、実施の形態2における電池2100の概略構成を示すx-z図(断面図)である。
【
図11】
図11は、実施の形態2における電池2200の概略構成を示すx-z図(断面図)である。
【
図12】
図12は、実施の形態2における電池2300の概略構成を示すx-z図(断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態が、図面を参照しながら、説明される。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における電池1000の概略構成を示す図である。
【0012】
図1(a)は、実施の形態1における電池1000の概略構成を示すx-z図(1A断面図)である。
【0013】
図1(b)は、実施の形態1における電池1000の概略構成を示すx-y図(上面透視図)である。
【0014】
実施の形態1における電池1000は、発電要素100と、電極集電体210と、対極集電体220と、第1封止部分310と、を備える。
【0015】
発電要素100は、電極層110と対極層120とを含む。
【0016】
電極集電体210は、電極層110に接して、配置される。
【0017】
対極集電体220は、対極層120に接して、配置される。
【0018】
第1封止部分310は、第1部分311と第2部分312とを有する。
【0019】
第1部分311は、電極集電体210と対極集電体220とが対向する領域である対向領域400の範囲内に、位置する。
【0020】
第2部分312は、対向領域400の範囲外に、位置する。
【0021】
以上の構成によれば、電極集電体210と対極集電体220とが接触する可能性を低減できる。すなわち、第1封止部分310の第1部分311により、電極集電体210と対極集電体220との間隔を一定の距離以上(例えば、第1部分311の厚み以上)に、維持できる。したがって、電極集電体210と対極集電体220とが、互いに近接することを回避できる。さらに、集電体の一方に変形(例えば、折曲がり、バリの発生、など)が生じた場合であっても、第1封止部分310の第2部分312により、その変形部分が集電体のもう一方に接触することを抑制できる。これらにより、例えば、全固体電池(または、電極層110と対極層120との間にセパレータ600を備えない電池)においても、電極集電体210と対極集電体220とが直接接触して電極層110と対極層120とが短絡するリスクを、低減できる。
【0022】
なお、第1封止部分310は、第1材料を含む部材であってもよい。すなわち、第1部分311と第2部分312とは、第1材料を含んでもよい。第1封止部分310は、例えば、第1材料を主成分として含む部材であってもよい。すなわち、第1部分311と第2部分312とは、第1材料を主成分として含んでもよい。第1封止部分310は、例えば、第1材料のみからなる部材であってもよい。すなわち、第1部分311と第2部分312とは、第1材料のみを含んでもよい。
【0023】
第1材料としては、一般に公知の電池の封止部材の材料(例えば、封止剤)が、用いられうる。第1材料としては、例えば、樹脂材料が用いられうる。
【0024】
なお、第1材料は、絶縁性であり、かつ、イオン伝導性を有さない材料であってもよい。
【0025】
以上の構成によれば、第1材料が絶縁性であることで、電極集電体210と対極集電体220との間の導通を、防止できる。また、第1材料がイオン伝導性を有さないことで、第1封止部分310の第2部分312と、他の電池部材(例えば、他の電池の第1封止部分310の第2部分312)との接触による、電池特性の低下を、防止できる。
【0026】
なお、第1材料は、エポキシ樹脂とアクリル樹脂とポリイミド樹脂とシルセスキオキサンとのうちの少なくとも1種であってもよい。
【0027】
以上の構成によれば、第1封止部分310を、絶縁性であり、かつ、イオン伝導性を有さず、かつ、硬化が容易な部材にできる。すなわち、第1材料は、初期状態では流動性を有し、その後、硬化させる(例えば、紫外線照射、熱処理、など、により流動性を喪失させる)ことができる材料となる。熱処理または紫外線照射による仮硬化(または、熱処理による本硬化)といった形成方法により、第1封止部分310の第2部分312を対向領域400の範囲外にはみ出させることが容易となる。
【0028】
なお、第1封止部分310は、粒子状の金属酸化物材料を含んでもよい。
【0029】
以上の構成によれば、第1封止部分310の特性(例えば、電池形状の維持力、絶縁性、熱伝導性、防湿性、など)を、より向上させることができる。
【0030】
金属酸化物材料としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、ゼオライト、ガラス、など、が用いられうる。
【0031】
金属酸化物材料の粒子サイズは、電極集電体210と対極集電体220との間隔以下であればよい。金属酸化物材料の粒子形状は、正円状、楕円状、棒状、などであってもよい。
【0032】
対向領域400は、電極集電体210と対極集電体220とが対向する領域である。すなわち、対向領域400は、積層方向(z方向)において、電極集電体210と対極集電体220とが重なり合う領域である。例えば、電極集電体210よりも対極集電体220が小さく、かつ、電極集電体210の形成範囲内に対極集電体220が位置する場合には、対向領域400は、対極集電体220の形成範囲と同じ領域となる。もしくは、例えば、電極集電体210と対極集電体220とが同じ大きさ(すなわち、同じ形状)であれば、対向領域400は、電極集電体210の形成範囲と同じ領域となる。
【0033】
発電要素100は、例えば、充電および放電の特性を有する発電部(例えば、二次電池)である。例えば、発電要素100は、単電池セルであってもよい。
【0034】
電極層110は、電極材料(例えば、活物質)を含む層である。
【0035】
対極層120は、対極材料(例えば、活物質)を含む層である。対極材料は、電極材料の対極を構成する材料である。
【0036】
電極集電体210と対極集電体220とは、導電性を有する部材である。電極集電体210と対極集電体220とは、例えば、導電性を有する薄膜であってもよい。電極集電体210と対極集電体220とを構成する材料としては、例えば、金属(SUS、Al、Cu、など)が用いられうる。また、電極集電体210は、電極層110に接する部分に、集電体層(例えば、導電性材料を含む層)を備えてもよい。また、対極集電体220は、対極層120に接する部分に、集電体層(例えば、導電性材料を含む層)を備えてもよい。
【0037】
なお、電極集電体210は、電極層110よりも広い範囲に、形成されてもよい。また、対極集電体220は、対極層120よりも広い範囲に、形成されてもよい。
【0038】
なお、電極層110は負極活物質層であってもよい。このとき、電極材料は負極活物質である。電極集電体210は負極集電体である。対極層120は正極活物質層である。対極材料は正極活物質である。対極集電体220は正極集電体である。
【0039】
もしくは、電極層110は正極活物質層であってもよい。このとき、電極材料は正極活物質である。電極集電体210は正極集電体である。対極層120は負極活物質層である。対極材料は負極活物質である。対極集電体220は負極集電体である。
【0040】
正極活物質層に含有される正極活物質としては、公知の正極活物質(例えば、コバルト酸リチウム、LiNO、など)が用いられうる。正極活物質の材料としては、LiまたはMgなどのイオンを離脱および挿入することができる各種材料が用いられうる。
【0041】
また、正極活物質層の含有材料としては、公知の固体電解質(例えば、無機系固体電解質など)が用いられうる。無機系固体電解質としては、硫化物固体電解質または酸化物固体電解質などが用いられうる。硫化物固体電解質としては、例えば、Li2S:P2S5の混合物が用いられうる。正極活物質の表面は、固体電解質でコートされていてもよい。また、正極活物質層の含有材料としては、導電材(例えば、アセチレンブラックなど)、結着用バインダー(例えば、ポリフッ化ビニリデンなど)、など、が用いられうる。
【0042】
これら正極活物質層の含有材料を溶媒と共に練り込んだペースト状の塗料を正極集電体面上に塗工乾燥して正極活物質層が作製されうる。正極活物質層の密度を高めるために、乾燥後にプレスしておいてもよい。このようにして作製される正極活物質層の厚みは、例えば、5~300μmである。
【0043】
正極集電体としては、金属箔(例えば、SUS箔、Al箔)、など、が用いられうる。正極集電体の厚みは、例えば、5~100μmである。
【0044】
負極活物質層に含有される負極活物質としては、公知の負極活物質(例えば、グラファイト、金属リチウム、など)が用いられうる。負極活物質の材料としては、LiまたはMgなどのイオンを離脱および挿入することができる各種材料が用いられうる。
【0045】
また、負極活物質層の含有材料としては、公知の固体電解質(例えば、無機系固体電解質など)が用いられうる。無機系固体電解質としては、硫化物固体電解質または酸化物固体電解質などが用いられうる。硫化物固体電解質としては、例えば、Li2S:P2S5の混合物が用いられうる。また、負極活物質層の含有材料としては、導電材(例えば、アセチレンブラックなど)、結着用バインダー(例えば、ポリフッ化ビニリデンなど)、など、が用いられうる。
【0046】
これら負極活物質層の含有材料を溶媒と共に練り込んだペースト状の塗料を負極集電体上に塗工乾燥して負極活物質層が作製されうる。負極活物質層の密度を高めるために、負極板をプレスしておいてもよい。このようにして作製される負極活物質層の厚みは、例えば、5~300μmである。
【0047】
負極集電体としては、金属箔(例えば、SUS箔、Cu箔)、など、が用いられうる。負極集電体の厚みは、例えば、5~100μmである。
【0048】
なお、発電要素100は、電解質層130を含んでもよい。電解質層130は、電極層110と対極層120との間に配置される。電解質層130は、電解質材料を含む層である。電解質材料としては、一般に公知の電池用の電解質が用いられうる。電解質層130の厚みは、5~300μmであってもよく、もしくは、5~100μmであってもよい。
【0049】
なお、電解質材料は、例えば、固体電解質であってもよい。すなわち、発電要素100は、固体電解質層を含んでもよい。発電要素100は、例えば、全固体電池であってもよい。
【0050】
固体電解質としては、公知の固体電解質(例えば、無機系固体電解質など)が用いられうる。無機系固体電解質としては、硫化物固体電解質または酸化物固体電解質などが用いられうる。硫化物固体電解質としては、例えば、Li2S:P2S5の混合物が用いられうる。なお、電解質層130は、電解質材料に加えて、結着用バインダー(例えば、ポリフッ化ビニリデンなど)、など、を含有してもよい。
【0051】
なお、
図1に示されるように、第2部分312は、対極集電体220の端部よりも外側(すなわち、対極集電体220の外周側)に、位置してもよい。このとき、第2部分312は、電極集電体210の端部よりも内側(すなわち、電極集電体210の中央側)に、位置してもよい。
【0052】
図2は、実施の形態1における電池1100の概略構成を示す図である。
【0053】
図2(a)は、実施の形態1における電池1100の概略構成を示すx-z図(2A断面図)である。
【0054】
図2(b)は、実施の形態1における電池1100の概略構成を示すx-y図(上面透視図)である。
【0055】
図2に示されるように、第2部分312は、電極集電体210の端部と対極集電体220の端部との両方よりも外側(すなわち、集電体の外周側)に、位置してもよい。
【0056】
以上の構成によれば、電極集電体210の端部と対極集電体220の端部との間の沿面距離を、より長くすることができる。このため、第1封止部分310の第2部分312により、集電体の変形に起因する集電体どうしの接触を、より抑制できる。これにより、電極層110と対極層120とが短絡するリスクを、より低減できる。
【0057】
なお、
図1および
図2に示されるように、第1部分311は、発電要素100の端部の一部(例えば、発電要素100が矩形形状であれば、発電要素100の端部の一辺)に接して、位置してもよい。このとき、第2部分312は、第1部分311に接して、位置してもよい。
【0058】
もしくは、第1部分311は、発電要素100の端部の全て(例えば、発電要素100が矩形形状であれば、発電要素100の端部の全辺)に接して、位置してもよい。このとき、第2部分312は、第1部分311の端部の全てに接して、位置してもよい。
【0059】
図3は、実施の形態1における電池1200の概略構成を示す図である。
【0060】
図3(a)は、実施の形態1における電池1200の概略構成を示すx-z図(3A断面図)である。
【0061】
図3(b)は、実施の形態1における電池1200の概略構成を示すx-y図(上面透視図)である。
【0062】
図3に示されるように、第1部分311は、発電要素100の周囲を囲んで、位置してもよい。
【0063】
このとき、
図3に示されるように、第2部分312は、第1部分311の周囲を囲んで、位置してもよい。
【0064】
以上の構成によれば、第1封止部分310の第1部分311により、発電要素100の周囲(例えば、四方方向)において、電極集電体210と対極集電体220との間隔を一定の距離以上(例えば、第1部分311の厚み以上)に、維持できる。したがって、発電要素100の周囲において、電極集電体210と対極集電体220とが、互いに近接することを回避できる。さらに、発電要素100の周囲において、集電体の一方に変形(例えば、折曲がり、バリの発生、など)が生じた場合であっても、第1封止部分310の第2部分312により、その変形部分が集電体のもう一方に接触することを抑制できる。これらにより、電極層110と対極層120とが短絡するリスクを、より低減できる。
【0065】
また、以上の構成によれば、発電要素100の部材の側面を、第1部分311により、覆うことができる。これにより、発電要素100の部材(例えば、電極層110に含まれる電極材料、対極層120に含まれる対極材料、電解質層130に含まれる固体電解質材料、など)の一部が崩落した場合であっても、第1部分311により、当該崩落した構成部材が、電池内部の別の部材と接触することを抑制できる。したがって、電池の構成部材の崩落による、電池内部の短絡を抑制できる。これらにより、電池の信頼性を、より向上させることができる。
【0066】
図4は、実施の形態1における電池1300の概略構成を示す図である。
【0067】
図4(a)は、実施の形態1における電池1300の概略構成を示すx-z図(4A断面図)である。
【0068】
図4(b)は、実施の形態1における電池1300の概略構成を示すx-y図(上面透視図)である。
【0069】
図4に示されるように、第1部分311は、発電要素100の周囲を囲んで、位置してもよい。
【0070】
このとき、
図4に示されるように、第2部分312は、第1部分311の周囲を囲んで、かつ、電極集電体210の全ての端部と対極集電体220の全ての端部との両方よりも外側(すなわち、集電体の外周側)に、位置してもよい。
【0071】
以上の構成によれば、発電要素100の周囲(例えば、四方方向)において、電極集電体210の端部と対極集電体220の端部との間の沿面距離を、より長くすることができる。このため、第1封止部分310の第2部分312により、集電体の変形に起因する集電体どうしの接触を、より抑制できる。これにより、電極層110と対極層120とが短絡するリスクを、より低減できる。
【0072】
なお、
図1~4に示されるように、第2部分312は、電極集電体210の端部と対極集電体220の端部とを覆わずに、位置してもよい。
【0073】
以上の構成によれば、第1封止部分310の第2部分312が集電体の端部に付着することに起因する、集電体の変形を、抑制できる。このため、集電体の変形に起因する集電体どうしの接触を、より抑制できる。これにより、電極層110と対極層120とが短絡するリスクを、より低減できる。
【0074】
なお、
図1~4に示されるように、第1部分311は、電極集電体210と対極集電体220とに接してもよい。
【0075】
以上の構成によれば、第1部分311は、電極集電体210と対極集電体220との間で連続的(すなわち、一体的)に形成される部材となる。これにより、第1封止部分310の第1部分311により、電極集電体210と対極集電体220との間隔を一定の距離以上(例えば、第1部分311の厚み以上)に、より強固に、維持できる。したがって、電極集電体210と対極集電体220とが、互いに近接することを、より確実に、回避できる。これにより、電極集電体210と対極集電体220とが直接接触して電極層110と対極層120とが短絡するリスクを、より低減できる。
【0076】
図5は、実施の形態1における電池1400の概略構成を示す図である。
【0077】
図5(a)は、実施の形態1における電池1400の概略構成を示すx-z図(5A断面図)である。
【0078】
図5(b)は、実施の形態1における電池1400の概略構成を示すx-y図(上面透視図)である。
【0079】
図5に示されるように、電極集電体210と対極集電体220とは、同じ形状であってもよい。
【0080】
なお、
図1~5に示されるように、第1部分311は、発電要素100に接してもよい。すなわち、第1部分311は、電極層110と対極層120と電解質層130との少なくとも1つに接してもよい。
【0081】
以上の構成によれば、電池の発電要素100の部材の側面を、第1部分311により、保護することができる。すなわち、発電要素100の部材(例えば、電極層110に含まれる電極材料、対極層120に含まれる対極材料、電解質層130に含まれる固体電解質材料、など)の一部が崩落することを、第1部分311により、抑制できる。
【0082】
なお、
図1~5に示されるように、電極層110と対極層120との形成範囲は、同じであってもよい。
【0083】
また、
図1~5に示されるように、電解質層130の形成範囲は、電極層110および対極層120の形成範囲と、同じであってもよい。すなわち、電解質層130は、電極層110の端部(すなわち、側面)と対極層120の端部(すなわち、側面)とを覆わずに、位置してもよい。
【0084】
このとき、
図1~5に示されるように、第1部分311は、電極層110と対極層120と電解質層130とのそれぞれの端部(すなわち、側面)に接してもよい。
【0085】
図6は、実施の形態1における電池1500の概略構成を示す図である。
【0086】
図6(a)は、実施の形態1における電池1500の概略構成を示すx-z図(6A断面図)である。
【0087】
図6(b)は、実施の形態1における電池1500の概略構成を示すx-y図(上面透視図)である。
【0088】
図6に示されるように、電極層110と対極層120との形成範囲は、互いに異なってもよい。例えば、電極層110の形成範囲は、対極層120の形成範囲よりも、大きくてもよい。
【0089】
以上の構成によれば、例えば、正極活物質層の形成範囲よりも、負極活物質層の形成範囲を、大きくできる。これにより、リチウム析出(または、マグネシウム析出)による電池の信頼性低下を防止することができる。
【0090】
なお、
図6に示されるように、電解質層130は、電極層110と対極層120とのうちで、より形成範囲が小さい方の端部(すなわち、側面)を覆ってもよい。例えば、電解質層130は、対極層120の端部(すなわち、側面)を覆ってもよい。
【0091】
このとき、
図6に示されるように、第1部分311は、電極層110と電解質層130との端部(すなわち、側面)に接してもよい。
【0092】
図7は、実施の形態1における電池1600の概略構成を示す図である。
【0093】
図7(a)は、実施の形態1における電池1600の概略構成を示すx-z図(7A断面図)である。
【0094】
図7(b)は、実施の形態1における電池1600の概略構成を示すx-y図(上面透視図)である。
【0095】
図7に示されるように、電解質層130は、電極側電解質層131と対極側電解質層132とを含んでもよい。
【0096】
電極側電解質層131は、電極層110側に位置する。電極側電解質層131は、例えば、電極層110の端部を覆ってもよい。
【0097】
対極側電解質層132は、対極層120側に位置する。対極側電解質層132は、例えば、対極層120の端部を覆ってもよい。
【0098】
このとき、
図7に示されるように、第1部分311は、電極側電解質層131と対極側電解質層132との端部(すなわち、側面)に接してもよい。
【0099】
図8は、実施の形態1における電池1700の概略構成を示す図である。
【0100】
図8(a)は、実施の形態1における電池1700の概略構成を示すx-z図(8A断面図)である。
【0101】
図8(b)は、実施の形態1における電池1700の概略構成を示すx-y図(上面透視図)である。
【0102】
図8に示されるように、電極側電解質層131は、電極集電体210と同じ範囲に形成されてもよい。
【0103】
また、
図8に示されるように、対極側電解質層132は、対極集電体220と同じ範囲に形成されてもよい。
【0104】
このとき、
図8に示されるように、第1部分311は、電極側電解質層131と対極側電解質層132とに接して、位置してもよい。
【0105】
また、電極側電解質層131と対極側電解質層132との端部(すなわち、側面)は、第1部分311に覆われずに、露出されていてもよい。
【0106】
なお、電極側電解質層131と対極側電解質層132とは、電解質材料を含む層である。電解質材料としては、一般に公知の電池用の電解質が用いられうる。電解質材料は、例えば、固体電解質であってもよい。電極側電解質層131と対極側電解質層132とは、互いに同じ電解質材料を含んでもよいし、もしくは、互いに異なる電解質材料を含んでもよい。電極側電解質層131と対極側電解質層132との厚みは、5~150μmであってもよく、もしくは、5~50μmであってもよい。
【0107】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2が説明される。なお、上述の実施の形態1と重複する説明は、適宜、省略される。
【0108】
図9は、実施の形態2における電池2000の概略構成を示す図である。
【0109】
図9(a)は、実施の形態2における電池2000の概略構成を示すx-z図(9A断面図)である。
【0110】
図9(b)は、実施の形態2における電池2000の概略構成を示すx-y図(上面透視図)である。
【0111】
実施の形態2における電池2000は、上述の実施の形態1における電池の構成に加えて、下記の構成をさらに備える。
【0112】
すなわち、実施の形態2における電池2000は、第2封止部分320を、さらに備える。
【0113】
第2封止部分320は、第1封止部分310に接して、位置する。
【0114】
第1封止部分310は、発電要素100と第2封止部分320との間に、位置する。
【0115】
第1封止部分310は、第1材料を含む。
【0116】
第2封止部分320は、第2材料を含む。第2材料は、第1材料とは異なる材料である。
【0117】
以上の構成によれば、第1封止部分310の第1材料として、電極集電体210と対極集電体220との接触を抑制することに適した材料を、選択できる。すなわち、第1封止部分310の外側に位置する第2封止部分320の第2材料として、例えば、耐環境性(例えば、耐水性、耐湿性、など)が高い材料を用いることで、第1封止部分310の第1材料としては、耐環境性は低いが強度がより高い材料を用いることができる。これにより、電池の耐環境性を高めながら、電極集電体210と対極集電体220とが直接接触して電極層110と対極層120とが短絡するリスクを低減できる。
【0118】
なお、第2材料としては、一般に公知の電池の封止部材の材料(例えば、封止剤)が、用いられうる。第2材料としては、例えば、樹脂材料が用いられうる。
【0119】
なお、
図9に示されるように、第1部分311は、発電要素100の周囲を囲んで、位置してもよい。
【0120】
このとき、
図9に示されるように、第2部分312は、第1部分311の周囲を囲んで、位置してもよい。
【0121】
このとき、
図9に示されるように、第2封止部分320は、第2部分312の周囲を囲んで、位置してもよい。
【0122】
図10は、実施の形態2における電池2100の概略構成を示すx-z図(断面図)である。
【0123】
実施の形態2における電池2100は、上述の実施の形態1における電池を複数積層し、かつ、直列で接続してなる電池である。
【0124】
以上の構成によれば、直列積層により、高電圧を得ることができる。したがって、直列型であり、かつ、短絡リスクの小さい積層電池を実現できる。すなわち、集電体どうしの接触による短絡リスクが小さく、かつ、直列積層のバイポーラ構造を形成できる。
【0125】
実施の形態2における電池2100においては、上述の実施の形態1における電池である所定の電池(例えば、単電池セル)の電極集電体210と、別の電池(例えば、単電池セル)の対極集電体220と、を接合することで積層されうる。これらの集電体どうしの接合は、直接接合されてもよい。もしくは、導電性接着剤または溶接法などにより、接合されてもよい。
【0126】
なお、互いに積層される電池(例えば、単電池セル)の数は、3以上であってもよい。積層される電池数を調整することで、所望の電池特性を得ることができる。
【0127】
なお、
図10に示されるように、電池2100の側面は、第2封止部分320により、覆われてもよい。これにより、電池2100における複数の電池の積層状態を、より強固に、維持できる。
【0128】
なお、積層型の電池を構成する際に、必要な特性に応じて、並列と直列とが混在させられてもよい。これにより、僅かな体積で、かつ、高容量の電池を実現できる。
【0129】
図11は、実施の形態2における電池2200の概略構成を示すx-z図(断面図)である。
【0130】
図11には、必要な電圧が単位電池の3直列分であった場合における、直列と並列の混在方法の一例が示される。
【0131】
実施の形態2における電池2200においては、単位電池の3直列分の積層電池が、絶縁性のセパレータ600を介して、3つ並列で並んでいる。電極取出し線510と対極取出し線520とが、それぞれ、電極集電体210と対極集電体220とに接続されている。それぞれの積層電池は、セパレータ600を介して、積層されている。なお、第2封止部分320を形成することで、電池2200における積層電池どうしを、より強固に、接合することができる。
【0132】
図12は、実施の形態2における電池2300の概略構成を示すx-z図(断面図)である。
【0133】
図12には、必要な電圧が単位電池の3直列分であった場合における、直列と並列の混在方法の別の一例が示される。
【0134】
実施の形態2における電池2300においては、単位電池の3直列分の積層電池が、それぞれの電極集電体210どうし(および、対極集電体220どうし)で、接合されて、電気的に3並列となっている。なお、第2封止部分320を形成することで、電池2300における積層電池どうしを、より強固に、接合することができる。電池2300は、電池2200と比較すると、セパレータ600が不要であり、かつ、電極取出し線510と対極取出し線520の必要数が少ない。したがって、低コスト化と製造工程の簡便化とを実現できる。また、省スペースによる高容量化を実現できる。
【0135】
なお、積層接続された電池は、封止ケースに内包されてもよい。封止ケースとしては、一般に公知のケース(例えば、ラミネート袋、金属缶、樹脂ケース、など)が用いられうる。封止ケースを用いることで、発電要素100が水分によって劣化することを防止できる。
【0136】
<電池の製造方法>
以下、本開示の電池の製造方法の一例が説明される。
【0137】
【0138】
まず、対極材料を溶媒と共に練り込んだペースト状の塗料を準備する。この塗料を対極集電体220上に塗工する(すなわち、対極層120を形成する)。さらに、塗工された塗料を覆うように、固体電解質材料を対極集電体220上に塗工し、乾燥する(すなわち、対極側電解質層132を形成する)。これにより、
図13(a)に示されるような、対極板が作製される。なお、対極材料(および、電極材料)と固体電解質材料とは、溶剤を含まない材料で準備されてもよい。
【0139】
次いで、
図13(b)に示されるように、対極板の周辺部に第1材料を塗布する(すなわち、第1封止部分310を形成する)。このとき、
図13(b)に示されるように、第1封止部分310の厚みが、対極層120と対極側電解質層132と電極層110と電極側電解質層131との厚みの合計よりも、厚く塗布されてもよい。さらに、塗布後に熱処理または紫外線照射などを行うことで、塗料の流動性を残したまま増粘させて、塗料を仮硬化することができる。増粘硬化を用いることで、第1封止部分310の変形を制御できる。
【0140】
次いで、電極材料を溶媒と共に練り込んだペースト状の塗料を準備する。この塗料を電極集電体210上に塗工する(すなわち、電極層110を形成する)。さらに、塗工された塗料を覆うように、固体電解質材料を電極集電体210上に塗工し、乾燥する(すなわち、電極側電解質層131を形成する)。これにより、
図13(c)に示されるような、電極板が作製される。
【0141】
次いで、
図13(c)に示されるように、第1封止部分310を形成した対極板に対向するように、電極板を配置し、圧着する。
【0142】
このとき、第1封止部分310は流動性を有しているため、
図13(d)に示されるように変形が生じて、電極集電体210と対極集電体220との少なくとも一方の端部よりも外側に、突出する。なお、第1封止部分310が変形した後に、例えば、熱処理またはUV照射などにより、第1封止部分310を本硬化させてもよい。これにより、封止状態をより強固にすることができる。
【0143】
以上のように、本開示の電池の製造方法は、電極板と対極板とが張り合わされる前に、第1封止部分310を事前に形成する工程を、包含する。これにより、電極集電体210と対極集電体220との少なくとも一方の外側に、第1封止部分310が形成される。これにより、電極集電体210と対極集電体220とが直接接触することに起因する、電極層110と対極層120との短絡のリスクを、大幅に小さくすることができる。
【0144】
ここで、第1封止部分310の厚み制御は、電池の信頼性の向上に、大きく寄与する要素となる。第1封止部分310の厚みは、第1封止部分310の塗布厚みの調整により、制御される。このとき、第1封止部分310が、電極集電体210と対極集電体220の端部の大半を被覆しないように(漏れないように)調整されてもよい。
【0145】
以上の製造方法の一例により、例えば、上述の電池1600が作製されうる。
【0146】
なお、第1封止部分310を塗工する位置、電極層110と対極層120と電解質層130の形成範囲、電極集電体210と対極集電体220の大きさ、などが調整されることにより、実施の形態1において示された電池のそれぞれが、作製されうる。
【0147】
なお、第2封止部分320の形成および複数の電池の積層を行うことで、実施の形態2において示された電池のそれぞれが、作製されうる。
【0148】
本開示の電池の製造方法においては、電極板と対極板との張り合わせ時、または、複数の電池の積層時に、加圧が行われてもよい。このとき、加圧される各層の面積と厚みとが均一であってもよい。これにより、各層にかかる圧力が一定となる。このため、各層が緻密に充填されつつ、かつ、各層間の均一な密着が可能となる。本開示の電池(または、積層電池)であれば、加圧時に圧力がかかる各層の厚み(および、面積)を、実質的に均一とすることができる。このため、各単位電池の電池特性を均一にすることができる。これにより、直列型の積層電池を、安定的に高容量化することができる。
【0149】
なお、本開示の電池においては、第1部分311の厚さは、発電要素100の厚さ以上であってもよい。例えば、第1部分311の厚さは、発電要素100の厚さと等しくてもよい。すなわち、第1部分311の厚さは、対向領域400における電極集電体210と対極集電体220との間の距離と、等しくてもよい。
【0150】
以上の構成によれば、電池製造時および電池使用時において、電極集電体210と対極集電体220との間の距離を、第1部分311により、発電要素100の厚さ以上に維持できる。これにより、電極集電体210と対極集電体220との間の距離が変動することを抑制できる。このため、電極層110と対極層120とが短絡するリスクを、より低減できる。さらに、電池製造時における積層プレス時でのプレス圧力の制御と調整とを容易にできる(例えば、電池の主面全体で同一のプレス圧力でプレスできる)。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本開示の電池は、電子機器、電気器具装置、電気車両、など、の電池(例えば、全固体二次電池)として、利用されうる。
【符号の説明】
【0152】
100 発電要素
110 電極層
120 対極層
130 電解質層
131 電極側電解質層
132 対極側電解質層
210 電極集電体
220 対極集電体
310 第1封止部分
311 第1部分
312 第2部分
320 第2封止部分
400 対向領域
510 電極取出し線
520 対極取出し線
600 セパレータ