(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】負極材料およびそれを用いた電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/134 20100101AFI20221223BHJP
H01M 4/131 20100101ALI20221223BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20221223BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20221223BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20221223BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20221223BHJP
H01B 1/06 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
H01M4/134
H01M4/131
H01M4/38 Z
H01M4/485
H01M10/0562
H01M10/052
H01B1/06 A
(21)【出願番号】P 2019567905
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(86)【国際出願番号】 JP2018045587
(87)【国際公開番号】W WO2019146295
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】P 2018011529
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】杉本 裕太
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 出
(72)【発明者】
【氏名】大島 龍也
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 晃暢
【審査官】増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-054596(JP,A)
【文献】特開2012-104280(JP,A)
【文献】特開2016-189339(JP,A)
【文献】特開2006-244734(JP,A)
【文献】国際公開第2018/025582(WO,A1)
【文献】Ternary Halides of the A3MX6Type. VII. The Bromides Li3MBr6(M=Sm-Lu, Y): Synthesis, Crystal Structure,and Ionic Mobility,Journal of inorganic and General Chemistry,Vol.623,1997年,pp.1352-1356
【文献】Ternary Halides of the A3MX6 Type. VI. Ternary Chlorides of the Rare-Earth Elements with Lithium, Li3MCl6(M=Tb-Lu, Y,Sc):Synthesis, Crystal Structures, and Ionic Motion,Journal of inorganic and General Chemistry,Vol.623,1997年,p.1067-1073
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00
H01M 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極活物質と第1固体電解質材料とを含み、
前記負極活物質は、インジウム金属、リチウム合金、チタン酸化物、およびチタン酸リチウムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、
前記第1固体電解質材料は、Li、M、およびXを含み、かつ、硫黄を含まず、
前記第1固体電解質材料は、下記の組成式(1)により表され、
Li
α
M
β
X
γ
・・・式(1)
ここで、α、β、およびγは、それぞれ独立して0より大きい値であり、
Mは、Li以外の金属元素および半金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、
前記Mは、イットリウムを含み、
Xは、Cl、Br、およびIからなる群より選ばれる少なくとも1つであり、
前記負極活物質は、リチウムに対して0.27V以上で、リチウムイオンを吸蔵・放出する活物質である、
負極材料。
【請求項2】
前記第1固体電解質材料は、リチウムに対して0.27V以下で還元する、
請求項
1に記載の負極材料。
【請求項3】
前記第1固体電解質材料は、
Li
3YCl
6、
Li
3YBr
6、
Li
2.5Y
0.5Zr
0.5Cl
6、または、
Li
3YBr
2Cl
2I
2、である、
請求項
1または2に記載の負極材料。
【請求項4】
前記第1固体電解質材料は、
Li
2.5
Y
0.5
Zr
0.5
Cl
6
、または、
Li
3
YBr
2
Cl
2
I
2
、である、
請求項3に記載の負極材料。
【請求項5】
前記負極活物質は、チタン酸化物およびインジウム
金属からなる群から選択される少なくとも1つを含む、
請求項1から
4のいずれかに記載の負極材料。
【請求項6】
前記負極活物質は、チタン酸リチウムを含む、
請求項
5に記載の負極材料。
【請求項7】
前記負極活物質の粒子および前記第1固体電解質の粒子の合計体積に対する前記負極活物質の粒子の体積を表す体積比Vnは、0.3以上0.95以下である、
請求項1から6のいずれかに記載の負極材料。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の負極材料を含む負極と、
正極と、
前記正極と前記負極との間に設けられる電解質層と、
を備える、
電池。
【請求項9】
前記電解質層は、前記第1固体電解質材料を含む、
請求項8に記載の電池。
【請求項10】
前記負極の厚みは、10μm以上かつ500μm以下である、
請求項8または9に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、負極材料およびそれを用いた電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インジウムを含むハロゲン化物から形成された固体電解質を含む全固体電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、電池の充放電効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、
負極活物質および第1固体電解質材料を含み、
前記負極活物質は、インジウム金属、リチウム合金、チタン酸化物、およびチタン酸リチウムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、
前記第1固体電解質材料は、Li、M、およびXを含み、かつ、硫黄を含まず、
前記第1固体電解質材料は、下記の組成式(1)により表され、
Li
α
M
β
X
γ
・・・式(1)
ここで、α、β、およびγは、それぞれ独立して0より大きい値であり、
Mは、Li以外の金属元素と半金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、前記Mは、イットリウムを含み、
Xは、Cl、Br、およびIからなる群より選ばれる少なくとも1つであり、
前記負極活物質は、リチウムに対して0.27V以上の電位で、リチウムイオンを吸蔵・放出する活物質である、
負極材料を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、電池の充放電効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施の形態2における電池1000の断面図を示す。
【
図2】
図2は、実施例4におけるハロゲン化物固体電解質のLiに対する還元電位を示すグラフである。
【
図3】
図3は、実施例1および比較例における全固体電池の初期充放電特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態が、図面を参照しながら説明される。
【0009】
(実施の形態1)
実施の形態1における負極材料は、負極活物質および第1固体電解質材料を含む。
【0010】
第1固体電解質材料は、下記の組成式(1)により表される材料である。
LiαMβXγ ・・・式(1)
ここで、α、β、およびγは、それぞれ独立して、0より大きい値である。
Mは、Li以外の金属元素および半金属元素からなる群より選択される少なくとも1つを含む。
Xは、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0011】
負極活物質は、リチウムに対して0.27V以上の電位で、リチウムイオンを吸蔵・放出する活物質である。
【0012】
以上の構成によれば、電池の充放電効率を向上することができる。
【0013】
図2は、ハロゲン化物のLi基準電位に対する還元電位を示すグラフである。
【0014】
ハロゲン化物は、Li基準電位0.27V以下で還元する。Liに対して0.27V以上の電位でLiイオンを吸蔵・放出する負極活物質を用いることで、還元を抑制することができる。これにより、充放電効率を向上させることができる。
【0015】
本明細書において用いられる用語「半金属元素」とは、B、Si、Ge、As、Sb、およびTeからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0016】
本明細書において用いられる「金属元素」は、
(i)周期表1族から12族中に含まれるすべての元素(ただし、水素を除く)、および
(ii)周期表13族から16族に含まれるすべての元素(ただし、B、Si、Ge、As、Sb、Te、C、N、P、O、S、およびSeを除く)
を含む。
すなわち、金属元素は、ハロゲン化合物と無機化合物を形成した際に、カチオンとなりうる元素群である。
【0017】
組成式(1)においては、Mは、Y(すなわち、イットリウム)を含んでもよい。第1固体電解質材料は、金属元素MとしてYを含んでもよい。
【0018】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0019】
Yを含む第1固体電解質材料として、例えば、LiaMebYcX6(ここで、a+mb+3c=6、c>0、MeはLiおよびY以外の金属元素および半金属元素からなる群より選択される少なくとも1つであり、かつmはMeの価数である)の組成式で表される化合物であってもよい。
【0020】
Meとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Sc、Al、Ga、Bi、Zr、Hf、Ti、Sn、Ta、およびNbからなる群より選択される少なくとも1つを用いてもよい。
【0021】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率をより向上することができる。
【0022】
なお、第1固体電解質材料は、Li3YCl6、Li3YBr6、Li2.5Y0.5Zr0.5Cl6、またはLi3YBr2Cl2I2であってもよい。
【0023】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率をより向上させることができる。
【0024】
なお、第1固体電解質材料は、下記の組成式(A1)により表される材料であってもよい。
Li6-3dYdX6・・・式(A1)
ここで、組成式(A1)においては、Xは、Cl、Br、およびIからなる群より選択される二種以上の元素である。
【0025】
また、組成式(A1)においては、0<d<2を満たす。
【0026】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0027】
なお、第1固体電解質材料は、下記の組成式(A2)により表される材料であってもよい。
Li3YX6・・・式(A2)
ここで、組成式(A2)においては、Xは、Cl、Br、およびIからなる群より選択される二種以上の元素である。すなわち、組成式(A1)において、d=1であってもよい。
【0028】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0029】
なお、第1固体電解質材料は、下記の組成式(A3)により表される材料であってもよい。
Li3-3δY1+δCl6・・・式(A3)
ここで、組成式(A3)においては、0<δ≦0.15が満たされる。
【0030】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0031】
なお、第1固体電解質材料は、下記の組成式(A4)により表される材料であってもよい。
Li3-3δY1+δBr6・・・式(A4)
ここで、組成式(A4)においては、0<δ≦0.25が満たされる。
【0032】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0033】
なお、第1固体電解質材料は、下記の組成式(A5)により表される材料であってもよい。
Li3-3δ+aY1+δ-aMeaCl6-x-yBrxIy ・・・式(A5)
ここで、組成式(A5)においては、Meは、Mg、Ca、Sr、Ba、およびZnからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0034】
また、組成式(A5)においては、
-1<δ<2、
0<a<3、
0<(3-3δ+a)、
0<(1+δ-a)、
0≦x≦6、
0≦y≦6、および
(x+y)≦6、
が満たされる。
【0035】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0036】
なお、第1固体電解質材料は、下記の組成式(A6)により表される材料であってもよい。
Li3-3δY1+δ-aMeaCl6-x-yBrxIy ・・・式(A6)
ここで、組成式(A6)においては、Meは、Al、Sc、Ga、およびBiからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0037】
また、組成式(A6)においては、
-1<δ<1、
0<a<2、
0<(1+δ-a)、
0≦x≦6、
0≦y≦6、および
(x+y)≦6、
が満たされる。
【0038】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0039】
なお、第1固体電解質材料は、下記の組成式(A7)により表される材料であってもよい。
Li3-3δ-aY1+δ-aMeaCl6-x-yBrxIy ・・・式(A7)
ここで、組成式(A7)においては、Meは、Zr、Hf、およびTiからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0040】
また、組成式(A7)においては、
-1<δ<1、
0<a<1.5、
0<(3-3δ-a)、
0<(1+δ-a)、
0≦x≦6、
0≦y≦6、および
(x+y)≦6、
が満たされる。
【0041】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0042】
なお、第1固体電解質材料は、下記の組成式(A8)により表される材料であってもよい。
Li3-3δ-2aY1+δ-aMeaCl6-x-yBrxIy ・・・式(A8)
ここで、Meは、Ta、およびNbからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0043】
また、組成式(A8)においては、
-1<δ<1、
0<a<1.2、
0<(3-3δ-2a)、
0<(1+δ-a)、
0≦x≦6、
0≦y≦6、および
(x+y)≦6、
が満たされる。
【0044】
以上の構成によれば、第1固体電解質材料のイオン導電率を、より向上することができる。これにより、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0045】
なお、第1固体電解質材料として、例えば、Li3YX6、Li2MgX4、Li2FeX4、Li(Al、Ga、In)X4、Li3(Al、Ga、In)X6、など、が用いられうる。
【0046】
負極活物質は、Liに対して0.27V以上の電位でリチウムイオンを吸蔵・放出する特性を有する材料を含む。
【0047】
負極活物質には、金属材料、炭素材料、酸化物、窒化物、錫化合物、珪素化合物、など、が使用されうる。金属材料は、単体の金属であってもよい。もしくは、金属材料は、合金であってもよい。金属材料の例として、インジウム金属、リチウム合金、など、が挙げられる。酸化物材料の例として、Li4Ti5O12、LiTi2O4、TiO2、などが挙げられる。
【0048】
なお、負極活物質は、チタン酸化物、または、In(インジウム)、を含んでもよい。
【0049】
以上の構成によれば、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0050】
なお、負極活物質は、チタン酸リチウムを含んでもよい。
【0051】
以上の構成によれば、電池の充放電効率を、より向上させることができる。
【0052】
実施の形態1における負極材料は、
図1に示されるように、負極活物質粒子104および第1固体電解質粒子105を含んでもよい。
【0053】
また、第1固体電解質粒子105の形状は、限定されない。第1固体電解質粒子105の形状の例は、針状、球状、または楕円球状である。例えば、第1固体電解質粒子105の形状は、粒子状であってもよい。
【0054】
負極活物質粒子104のメジアン径は、0.1μm以上かつ100μm以下であってもよい。負極活物質粒子104のメジアン径が0.1μmより小さい場合、負極において、負極活物質粒子104および第1固体電解質粒子105が負極内で、良好に分散しないため、電池の充放電特性が低下し得る。負極活物質粒子104のメジアン径が100μmより大きい場合には、負極活物質粒子104内でリチウムが拡散する速度が低下し得る。このため、電池の高出力での動作が困難となる場合がある。
【0055】
負極活物質粒子104のメジアン径は、第1固体電解質粒子105のメジアン径よりも、大きくてもよい。これにより、負極活物質粒子104と第1固体電解質粒子105との良好な分散状態を形成できる。
【0056】
なお、実施の形態1における負極材料においては、第1固体電解質粒子105および負極活物質粒子104は、
図1に示されるように、互いに接触していてもよい。
【0057】
また、実施の形態1における負極材料は、複数の第1固体電解質粒子105および複数の負極活物質粒子104を含んでもよい。
【0058】
また、実施の形態1における負極材料において、第1固体電解質粒子105の含有量は、負極活物質粒子104の含有量と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0059】
<第1固体電解質材料の製造方法>
実施の形態1における第1固体電解質材料は、例えば、下記の方法により、製造され得る。
【0060】
生成物の組成比を考慮して二元系ハロゲン化物の原料粉を用意する。例えば、Li3YCl6の合成のためには、LiClおよびYCl3を、3:1のモル比で用意する。
【0061】
このとき、原料粉の種類を選択することで、上述の組成式における「M」、「Me」、および「X」の元素を決定することができる。また、原料粉、配合比、および合成プロセスを調整することで、「α」、「β」、「γ」、「d」、「δ」、「a」、「x」、および「y」の値がされる。
【0062】
原料粉がよく混合される。次いで、メカノケミカルミリングの方法を用いて原料粉は粉砕される。このようにして、原料粉は反応し、第1固体電解質材料を得る。もしくは、原料粉がよく混合された後、真空中で焼結され、第1固体電解質材料を得てもよい。
【0063】
これにより、結晶相を含む前述の固体電解質材料が得られる。
【0064】
なお、固体電解質材料における結晶相の構成(すなわち、結晶構造)は、原料粉どうしの反応方法および反応条件の選択により、決定され得る。
【0065】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2が説明される。上述の実施の形態1と重複する説明は、適宜、省略される。
【0066】
図1は、実施の形態2における電池1000の断面図を示す。
【0067】
実施の形態2における電池1000は、正極101、電解質層102、および負極103を備える。
【0068】
電解質層102は、正極101および負極103の間に配置される。
【0069】
負極103は、実施の形態1における負極材料を含む。
【0070】
以上の構成によれば、電池の充放電効率を向上することができる。
【0071】
ハロゲン化物は、Li基準電位0.27V以下で還元する。Liに対して0.27V以上でLiイオンを吸蔵・放出する負極活物質を用いることで、還元を抑制することができる。これにより、充放電効率を向上させることができる。
【0072】
負極103において、負極活物質粒子104および第1固体電解質粒子105の合計体積に対する負極活物質粒子104の体積を表す体積比Vnは、0.3以上0.95以下であってもよい。体積比Vnが0.3未満である場合には、電池のエネルギー密度を十分に確保することが困難となり得る。一方、体積比Vnが0.95を超える場合には、高出力での電池の動作が困難となり得る。
【0073】
負極103の厚みは、10μm以上かつ500μm以下であってもよい。負極の厚みが10μm未満である場合には、十分な電池のエネルギー密度を確保することが困難となり得る。また、負極の厚みが500μmを超える場合には、高出力での動作が困難となり得る。
【0074】
正極101は、金属イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵・放出する特性を有する材料を含む。正極101は、正極活物質を含んでもよい。
【0075】
正極活物質には、例えば、
リチウム含有遷移金属酸化物(例えば、Li(NiCoAl)O2、Li(NiCoMn)O2、LiCoO2、など)、
遷移金属フッ化物、
ポリアニオン材料、
フッ素化ポリアニオン材料、
遷移金属硫化物、
遷移金属オキシ硫化物、
遷移金属オキシ窒化物
など、が用いられうる。特に、正極活物質として、リチウム含有遷移金属酸化物を用いた場合には、製造コストを安くでき、平均放電電圧を高めることができる。
【0076】
正極101は、固体電解質材料を含んでもよい。以上の構成によれば、正極101の内部のリチウムイオン伝導性を高め、高出力での動作が可能となる。
【0077】
固体電解質材料としては、ハロゲン化物固体電解質または硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、高分子固体電解質、錯体水素化物固体電解質が含まれてもよい。
【0078】
ハロゲン化物固体電解質としては、例えば、上述の第1固体電解質材料の例示としてあげる材料を用いてもよい。
【0079】
硫化物固体電解質としては、例えば、Li2S-P2S5、Li2S-SiS2、Li2S-B2S3、Li2S-GeS2、Li3.25Ge0.25P0.75S4、Li10GeP2S12、など、が用いられうる。また、これらに、LiX(X:F、Cl、Br、I)、Li2O、MOq、LipMOq(M:P、Si、Ge、B、Al、Ga、In、Fe、Znのいずれか)(p、q:自然数)などが、添加されてもよい。
【0080】
酸化物固体電解質としては、例えば、
LiTi2(PO4)3およびその元素置換体を代表とするNASICON型固体電解質、
(LaLi)TiO3系のペロブスカイト型固体電解質、
Li14ZnGe4O16、Li4SiO4、LiGeO4およびその元素置換体を代表とするLISICON型固体電解質、
Li7La3Zr2O12およびその元素置換体を代表とするガーネット型固体電解質、
Li3NおよびそのH置換体、
Li3PO4およびそのN置換体、
LiBO2、Li3BO3などのLi-B-O化合物をベースとして、Li2SO4、Li2CO3などが添加されたガラス、
ガラスセラミックスなど、が用いられうる。
【0081】
高分子固体電解質としては、例えば、高分子化合物と、リチウム塩との化合物が用いられうる。高分子化合物はエチレンオキシド構造を有していてもよい。エチレンオキシド構造を有する高分子電解質はリチウム塩を多く含有することができるので、イオン導電率をより高めることができる。リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiSO3CF3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)、LiC(SO2CF3)3、など、が使用されうる。リチウム塩として、これらから選択される1種のリチウム塩が、単独で、使用されうる。もしくは、リチウム塩として、これらから選択される2種以上のリチウム塩の混合物が、使用されうる。
【0082】
錯体水素化物固体電解質としては、例えば、LiBH4-LiI、LiBH4-P2S5など、が用いられうる。
【0083】
正極活物質粒子のメジアン径は、0.1μm以上かつ100μm以下であってもよい。正極活物質のメジアン径が0.1μmより小さいと、正極101において、正極活物質粒子および固体電解質材料が、良好な分散状態を形成できない可能性が生じる。これにより、電池の充放電特性が低下する。また、正極活物質材料のメジアン径が100μmより大きいと、正極活物質粒子内のリチウム拡散が遅くなる。このため、電池の高出力での動作が困難となる場合がある。
【0084】
正極活物質粒子のメジアン径は、固体電解質材料のメジアン径よりも、大きくてもよい。これにより、正極活物質粒子と固体電解質材料との良好な分散状態を形成できる。
【0085】
正極101において、正極活物質粒子および固体電解質材料の合計体積に対する正極活物質粒子の体積を表す体積比Vpは、0.3以上0.95以下であってもよい。体積比Vpが0.3未満である場合には、電池のエネルギー密度を十分に確保することが困難となり得る。一方、体積比Vpが0.95を超える場合には、高出力での電池の動作が困難となり得る。
【0086】
正極101の厚みは、10μm以上かつ500μm以下であってもよい。正極の厚みが10μm未満である場合には、十分な電池のエネルギー密度を確保することが困難となる可能性がある。また、正極の厚みが500μmを超える場合には、高出力での動作が困難となる可能性がある。
【0087】
正極活物質は被覆してもよい。被覆材料としては、電子伝導性が低い材料が用いられうる。被覆材料として、酸化物材料、酸化物固体電解質などが用いられうる。
【0088】
酸化物材料としては、例えば、SiO2、Al2O3、TiO2、B2O3、Nb2O5、WO3、ZrO2などが用いられうる。酸化物固体電解質としては、例えば、
LiNbO3などのLi-Nb-O化合物、
LiBO2、Li3BO3などのLi-B-O化合物、
LiAlO2などのLi-Al-O化合物、
Li4SiO4などのLi-Si-O化合物、
Li2SO4、
Li4Ti5O12などのLi-Ti-O化合物、
Li2ZrO3などのLi-Zr-O化合物、
Li2MoO3などのLi-Mo-O化合物、
LiV2O5などのLi-V-O化合物、
Li2WO4などのLi-W-O化合物
などが用いられうる。
【0089】
酸化物固体電解質は、イオン導電率が高く、高電位安定性が高い。このため、酸化物固体電解質を用いることで、充放電効率をより向上することができる。
【0090】
電解質層102に含まれる固体電解質材料としては、上述された材料(例えば、ハロゲン化物固体電解質、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、高分子固体電解質、錯体水素化物固体電解質、など)が、用いられうる。
【0091】
なお、電解質層102は、固体電解質材料を、主成分として、含んでもよい。すなわち、電解質層102は、固体電解質材料を、例えば、電解質層102の全体に対する重量割合で50%以上(50重量%以上)、含んでもよい。
【0092】
以上の構成によれば、電池の充放電特性を、より向上させることができる。
【0093】
また、電解質層102は、固体電解質材料を、例えば、電解質層102の全体に対する重量割合で70%以上(70重量%以上)、含んでもよい。
【0094】
以上の構成によれば、電池の充放電特性を、より向上させることができる。
【0095】
電解質層102は、さらに、不可避的な不純物を含み得る。電解質層102は、固体電解質材料の合成のために用いられた出発原料を含み得る。電解質層102は、固体電解質材料を合成する際に生成した副生成物または分解生成物を含み得る。
【0096】
電解質層102に含まれる固体電解質材料の電解質層102に対する重量比は、実質的に1であり得る。「重量比が実質的に1である」とは、電解質層102に含まれ得る不可避不純物を考慮せずに算出された重量比が1であるという意味である。すなわち、電解質層102は、固体電解質材料のみから構成されていてもよい。
【0097】
以上の構成によれば、電池の充放電特性を、より向上させることができる。
【0098】
以上のように、電解質層102は、固体電解質材料のみから構成されていてもよい。
【0099】
なお、電解質層102は、固体電解質材料として挙げられた材料のうちの2種以上を含んでもよい。例えば、電解質層102は、第1固体電解質材料と硫化物固体電解質材料とを含んでもよい。
【0100】
電解質層102の厚みは1μm以上かつ300μm以下であってもよい。電解質層102の厚みが1μm未満である場合には、正極101および負極103が短絡する可能性が高まる。また、電解質層102の厚みが300μmを超える場合には、高出力での動作が困難となる可能性がある。
【0101】
正極101と、電解質層102と、負極103とのうちの少なくとも1つには、粒子同士の密着性を向上する目的で、結着剤が含まれてもよい。結着剤は、電極を構成する材料の結着性を向上するために用いられる。
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステル、ポリアクリル酸ヘキシルエステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸エチルエステル、ポリメタクリル酸ヘキシルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、など、が挙げられる。
また、結着剤としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、ペンタフルオロプロピレン、フルオロメチルビニルエーテル、アクリル酸、およびヘキサジエンからなる群より選択された2種以上の材料の共重合体が用いられうる。
また、2種以上の結着剤が用いられ得る。
【0102】
正極101と負極103との少なくとも1つは、電子導電性を高める目的で、導電助剤を含んでもよい。
導電助剤としては、例えば、
天然黒鉛または人造黒鉛のグラファイト類、
アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック類、
炭素繊維または金属繊維などの導電性繊維類、
フッ化カーボン、
アルミニウムなどの金属粉末類、
酸化亜鉛またはチタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー類、
酸化チタンなどの導電性金属酸化物、
ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子化合物、
など、が用いられうる。炭素導電助剤を用いた場合、低コスト化を図ることができる。
【0103】
実施の形態2における電池の形状の例は、コイン、円筒、角型、シート、ボタン、扁平型、または積層型である。
【0104】
(実施例)
以下、実施例および比較例を用いて、本開示の詳細が説明される。
【0105】
≪実施例1≫
[第1固体電解質材料の作製]
露点-60℃以下のアルゴングローブボックス内で、原料粉LiClとYCl3とを、モル比でLiCl:YCl3=3:2となるように、用意した。その後、遊星型ボールミル(フリッチュ社製、P-7型)を用い、25時間、600rpmでミリング処理することで、実施例1による第1固体電解質材料Li3YCl6の粉末を得た。
【0106】
[硫化物固体電解質材料の作製]
露点-60℃以下のAr雰囲気のアルゴングローブボックス内で、Li2SとP2S5とを、モル比でLi2S:P2S5=75:25となるように、秤量した。これらを乳鉢で粉砕して混合した。その後、遊星型ボールミル(フリッチュ社製、P-7型)を用い、10時間、510rpmでミリング処理することで、ガラス状の固体電解質を得た。ガラス状の固体電解質について、不活性雰囲気中で、270度で、2時間熱処理した。これにより、ガラスセラミックス状の硫化物固体電解質材料Li2S-P2S5を得た。
【0107】
[負極材料の作製]
アルゴングローブボックス内で、実施例1の第1固体電解質材料と、負極活物質Li4Ti5O12と、導電助剤VGCFを、28.3:66.5:5.7の重量比率で秤量した。これらをメノウ乳鉢で混合することで、実施例1の負極材料を作製した。
【0108】
なお、負極活物質Li4Ti5O12は、リチウムに対して1.5Vで、リチウムイオンを吸蔵・放出する活物質である。この値は、次の方法で測定された。
【0109】
すなわち、絶縁性外筒の中で、負極材料を40mg、固体電解質材料を100mg、Li箔の順に積層した。これを360MPaの圧力で加圧成形することで、積層体を作製した。次に、積層体の上下にステンレス鋼集電体を配置し、集電体に集電リードを付設した。最後に、絶縁性フェルールを用いて、絶縁性外筒内部を外気雰囲気から遮断・密閉することで、還元電位測定用セルを作製した。
【0110】
[Li吸蔵・放出電位の測定]
以下の条件で、負極活物質Li4Ti5O12の吸蔵・放出電位の測定が実施された。還元電位測定用セルを25℃の恒温槽に配置した。定電流充放電測定により、Li基準電位で1V~2.5Vの範囲で充放電を行うことでLi吸蔵・放出電位を測定した。
【0111】
[二次電池の作製]
絶縁性外筒の中で、負極材料40mg、実施例1の硫化物固体電解質材料を80mg、の順に積層した。これを360MPaの圧力で加圧成形することで、負極と電解質層からなる積層体を作製した。
【0112】
次に、固体電解質層の負極と接する側とは反対側に、金属In(厚さ200μm)を積層した。これを80MPaの圧力で加圧成型することで、正極、固体電解質層、負極からなる積層体を作製した。
【0113】
次に、積層体の上下にステンレス鋼集電体を配置し、集電体に集電リードを付設した。
【0114】
最後に、絶縁性フェルールを用いて、絶縁性外筒内部を外気雰囲気から遮断・密閉することで、実施例1による電池を作製した。
【0115】
≪実施例2≫
[第1固体電解質材料の作製]
露点-60℃以下のアルゴングローブボックス内で、原料粉LiBrとYBr3とを、モル比でLiBr:YBr3=3:2となるように、用意した。その後、遊星型ボールミル(フリッチュ社製、P-7型)を用い、25時間、600rpmでミリング処理することで、第1固体電解質材料Li3YBr6の粉末を得た。
【0116】
負極に実施例2の第1固体電解質材料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で実施例2の二次電池を作製した。
【0117】
≪実施例3≫
[第1固体電解質材料の作製]
露点-60℃以下のアルゴングローブボックス内で、原料粉LiClとYCl3とZrCl4とを、モル比でLiCl:YCl3:ZrCl4=2.5:0.5:0.5となるように、用意した。その後、遊星型ボールミル(フリッチュ社製、P-7型)を用い、25時間、600rpmでミリング処理することで、第1固体電解質材料Li2.5Y0.5Zr0.5Cl6の粉末を得た。
【0118】
負極に実施例3の第1固体電解質材料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で二次電池を作製した。
【0119】
≪実施例4≫
[第1固体電解質材料の作製]
露点-60℃以下のアルゴングローブボックス内で、原料粉LiBrとLiClとLiIとYCl3とYBr3とを、モル比でLiBr:LiCl:LiI:YCl3:YBr3=1:1:4:1:1となるように、秤量した。その後、遊星型ボールミル(フリッチュ社製、P-7型)を用い、25時間、600rpmでミリング処理することで、第1固体電解質材料Li3YBr2Cl2I2の粉末を得た。
【0120】
負極に実施例4の第1固体電解質材料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で二次電池を作製した。
【0121】
≪実施例5≫
[正極材料の作製]
アルゴングローブボックス内で、実施例1の第1固体電解質材料Li3YCl6と、Li(NiCoMn)O2(以下、NCMと表記する)を、30:70の重量比率で用意した。これらをメノウ乳鉢で混合することで、実施例5の正極材料を作製した。
【0122】
絶縁性外筒の中で、実施例5の正極材料40mg、実施例1の硫化物固体電解質材料を80mg、の順に積層した。これを360MPaの圧力で加圧成形することで、正極と電解質層からなる積層体を作製した。
次に、固体電解質層の正極と接する側とは反対側に、金属In(厚さ200μm)を積層した。これを80MPaの圧力で加圧成型することで、正極、固体電解質層、負極からなる積層体を作製した。
【0123】
なお、金属Inは、リチウムに対して0.62Vで、リチウムイオンを吸蔵・放出する。この値は、実施例1と同様の手法で測定された。
【0124】
次に、積層体の上下にステンレス鋼集電体を配置し、集電体に集電リードを付設した。
【0125】
最後に、絶縁性フェルールを用いて、絶縁性外筒内部を外気雰囲気から遮断・密閉することで、実施例5による電池を作製した。
【0126】
≪比較例≫
[負極材料の作製]
アルゴングローブボックス内で、実施例1の第1固体電解質材料と、負極活物質であるグラファイトを、60:40の重量比率で用意した。これらをメノウ乳鉢で混合することで、比較例の負極材料を作製した。
【0127】
なお、グラファイトは、リチウムに対して0.1Vで、リチウムイオンを吸蔵・放出する。この値は、実施例1と同様の手法で測定された。
【0128】
負極に比較例の負極材料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で比較例による二次電池を作製した。
【0129】
[充放電試験]
上述の実施例1~4の電池をそれぞれ用いて、以下のように、充放電試験が実施された。
【0130】
電池を25℃の恒温槽に配置した。
【0131】
電流値70μAで、定電流充電し、Liに対する電位1.0Vで充電を終了した。
【0132】
次に、電流値70μAで、放電し、Liに対する電位2.5Vで放電を終了した。
【0133】
上述の実施例5の電池を用いて、以下のように、充放電試験が実施された。
【0134】
電池を25℃の恒温槽に配置した。
【0135】
電流値70μAで、定電流充電し、Liに対する電位4.2Vで充電を終了した。
【0136】
次に、電流値70μAで、放電し、Liに対する電位2.5Vで放電を終了した。
【0137】
上述の比較例の電池を用いて、以下の条件で、充放電試験が実施された。
【0138】
電池を25℃の恒温槽に配置した。電流値70μAで、定電流充電し、Liに対する電位0.0Vで充電を終了した。
【0139】
次に、電流値70μAで、放電し、Liに対する電位2.5Vで放電を終了した。
【0140】
以上の充放電結果に基づいて、上述の実施例1~5および比較例の電池のそれぞれの初回充放電効率(=初回放電容量/初回充電容量)を得た。この結果は、下記の表1に示される。
【0141】
【0142】
≪考察≫
図3は、実施例1および比較例における全固体電池の初期充放電特性を示すグラフである。
【0143】
図3と表1とに示される実施例1および比較例の結果から、負極にLiに対して0.27V以上でLiイオンを吸蔵・放出する活物質を用いることで、ハロゲン化物固体電解質の還元を抑制し、充放電効率が向上することが確認された。
【0144】
表1に示される実施例1~5および比較例の結果から、Li3YCl6以外のハロゲン化物固体電解質、Li4Ti5O12以外の負極材料においても同様の効果が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本開示の電池は、例えば、全固体リチウム二次電池などとして、利用されうる。
【符号の説明】
【0146】
1000 電池
101 正極
102 電解質層
103 負極
104 負極活物質粒子
105 第1固体電解質粒子