(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】電力変換システム、及び仮想直流電圧生成回路
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20221223BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20221223BHJP
【FI】
H02M3/28 U
H02M7/48 R
H02M7/48 T
(21)【出願番号】P 2021507194
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2020009526
(87)【国際公開番号】W WO2020189317
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2019050368
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】草間 史人
(72)【発明者】
【氏名】則定 孝彰
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-112681(JP,A)
【文献】特開2007-221892(JP,A)
【文献】特開2014-017917(JP,A)
【文献】特開2016-025713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1内側端子及び第1外側端子を有し、前記第1外側端子に交流電源又は交流負荷が電気的に接続される第1回路と、
少なくとも第2内側端子を有する第2回路と、を備え、
前記第1回路の前記第1内側端子と前記第2回路の前記第2内側端子との間で電力の伝達を行う電力変換システムであって、
第3内側端子及び
2つの第3外側端子を有する第3回路を更に備え、
前記第1内側端子と前記第2内側端子と前記第3内側端子とが同一の接続部に電気的に接続されており、
前記第3回路は、スイッチング素子、及び前記スイッチング素子に電気的に接続されるトランスを有し、前記スイッチング素子及び前記トランスを介して前記トランスの二次巻線の両端間に出力電圧を出力するように構成されており、
前記2つの第3外側端子の少なくとも一方と、前記トランスの一次巻線の両端の少なくとも一方との間には、コイル及びコンデンサ以外の素子であって前記スイッチング素子としての一次側スイッチング素子を含む少なくとも1つの素子が電気的に直列に接続されており、
前記接続部と、前記トランスの二次巻線の両端の少なくとも一方との間には、コイル及びコンデンサ以外の素子であって前記スイッチング素子としての二次側スイッチング素子を含む少なくとも1つの素子が電気的に直列に接続されており、
前記出力電圧の波形は、
前記出力電圧が第1電位から前記第1電位よりも高い第2電位に変化する立ち上がり部と、
前記出力電圧が前記第2電位から前記第1電位に変化する立ち下がり部と、
前記出力電圧が前記第1電位又は前記第2電位に維持される平坦部と、を含む、
電力変換システム。
【請求項2】
第1内側端子及び第1外側端子を有し、前記第1外側端子に交流電源又は交流負荷が電気的に接続される第1回路と、
少なくとも第2内側端子を有する第2回路と、を備え、
前記第1回路の前記第1内側端子と前記第2回路の前記第2内側端子との間で電力の伝達を行う電力変換システムであって、
第3内側端子及び第3外側端子を有する第3回路を更に備え、
前記第1内側端子と前記第2内側端子と前記第3内側端子とが同一の接続部に電気的に接続されており、
前記第3回路は、スイッチング素子、及び前記スイッチング素子に電気的に接続されるトランスを有し、前記スイッチング素子及び前記トランスを介して前記トランスの二次巻線の両端間に出力電圧を出力するように構成されており、
前記出力電圧の波形は、
前記出力電圧が第1電位から前記第1電位よりも高い第2電位に変化する立ち上がり部と、
前記出力電圧が前記第2電位から前記第1電位に変化する立ち下がり部と、
前記出力電圧が前記第1電位又は前記第2電位に維持される平坦部と、を含み、
前記接続部は、平滑用のコンデンサを含まない、
電力変換システム。
【請求項3】
第1内側端子及び第1外側端子を有し、前記第1外側端子に交流電源又は交流負荷が電気的に接続される第1回路と、
少なくとも第2内側端子を有する第2回路と、を備え、
前記第1回路の前記第1内側端子と前記第2回路の前記第2内側端子との間で電力の伝達を行う電力変換システムであって、
第3内側端子及び第3外側端子を有する第3回路を更に備え、
前記第1内側端子と前記第2内側端子と前記第3内側端子とが同一の接続部に電気的に接続されており、
前記第3回路は、スイッチング素子、及び前記スイッチング素子に電気的に接続されるトランスを有し、前記スイッチング素子及び前記トランスを介して前記トランスの二次巻線の両端間に出力電圧を出力するように構成されており、
前記出力電圧の波形は、
前記出力電圧が第1電位から前記第1電位よりも高い第2電位に変化する立ち上がり部と、
前記出力電圧が前記第2電位から前記第1電位に変化する立ち下がり部と、
前記出力電圧が前記第1電位又は前記第2電位に維持される平坦部と、を含み、
前記第1回路は、前記スイッチング素子としての第3スイッチング素子とは異なる第1スイッチング素子を有し、
前記第2回路は、前記第1スイッチング素子及び前記第3スイッチング素子とは異なる第2スイッチング素子を有し、
前記第1回路は、前記第1スイッチング素子のオン/オフを制御することによって矩形波状の第1出力電流を前記第1内側端子に出力するように構成され、
前記第2回路は、前記第2スイッチング素子のオン/オフを制御することによって矩形波状の第2出力電流を前記第2内側端子に出力するように構成されている、
電力変換システム。
【請求項4】
前記接続部は、平滑用のコンデンサを含まない、
請求項1又は3に記載の電力変換システム。
【請求項5】
前記第1回路は、前記スイッチング素子としての第3スイッチング素子とは異なる第1スイッチング素子を有し、
前記第2回路は、前記第1スイッチング素子及び前記第3スイッチング素子とは異なる第2スイッチング素子を有し、
前記第1回路は、前記第1スイッチング素子のオン/オフを制御することによって矩形波状の第1出力電流を前記第1内側端子に出力するように構成され、
前記第2回路は、前記第2スイッチング素子のオン/オフを制御することによって矩形波状の第2出力電流を前記第2内側端子に出力するように構成されている、
請求項1又は2に記載の電力変換システム。
【請求項6】
前記第1スイッチング素子をオン/オフするための第1駆動信号、前記第2スイッチング素子をオン/オフするための第2駆動信号、及び前記第3スイッチング素子をオン/オフするための第3駆動信号が同期している、
請求項3又は5に記載の電力変換システム。
【請求項7】
前記第1スイッチング素子のオンタイミング及びオフタイミングの一方と、前記第2スイッチング素子のオンタイミング及びオフタイミングの一方と、が同期している、
請求項6に記載の電力変換システム。
【請求項8】
前記第1回路及び前記第2回路の各々は、前記トランスの一次巻線に印加される電圧の極性が反転する反転期間を含む第1期間に、前記第3回路との間で電力の伝達を行わないように構成されている、
請求項3、5~7のいずれか1項に記載の電力変換システム。
【請求項9】
前記第1期間の始点から前記反転期間の始点までの期間の長さである第1時間長は、前記反転期間の終点から前記第1期間の終点までの期間の長さである第2時間長以上である、
請求項8に記載の電力変換システム。
【請求項10】
前記第1回路と前記第2回路との一方において異常を検知した場合に、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の少なくとも一方をオフしてから所定時間が経過した後に前記第3スイッチング素子をオフする制御回路を更に備える、
請求項3、5~9のいずれか1項に記載の電力変換システム。
【請求項11】
前記接続部に電気的に接続されるスナバ回路を更に備える、
請求項1~10のいずれか1項に記載の電力変換システム。
【請求項12】
前記第1回路及び前記第2回路の各々を複数備え、
前記複数の第1回路の各々の前記第1内側端子と前記複数の第2回路の各々の前記第2内側端子と前記第3回路の前記第3内側端子とが前記接続部に電気的に接続されている、
請求項1~11のいずれか1項に記載の電力変換システム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の電力変換システムに前記第3回路として用いられる、
仮想直流電圧生成回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換システム、及び仮想直流電圧生成回路に関する。より詳細には、本開示は、単方向又は双方向に電力の変換を行う電力変換システム、及び仮想直流電圧生成回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽光発電パネルに接続可能な電力変換装置(電力変換システム)が記載されている。特許文献1に記載の電力変換装置は、直流から交流への電力変換を行うものであり、DC/DCコンバータと、DC/ACコンバータと、を備えている。DC/ACコンバータは、中間バスを介してDC/DCコンバータに接続されている。中間バスには中間コンデンサが接続されている。
【0003】
特許文献1に記載の電力変換装置では、DC/DCコンバータとDC/ACコンバータとを直流側で接続するために、平滑用のコンデンサ(中間コンデンサ)が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示の目的は、平滑用のコンデンサを用いることなく複数の回路を直流側で接続することができる電力変換システム、及び仮想直流電圧生成回路を提供することにある。
【0006】
本開示の一態様に係る電力変換システムは、第1回路と、第2回路と、を備え、前記第1回路の第1内側端子と前記第2回路の第2内側端子との間で電力の伝達を行う電力変換システムである。前記第1回路は、前記第1内側端子及び第1外側端子を有し、前記第1外側端子に交流電源又は交流負荷が電気的に接続される。前記第2回路は、少なくとも前記第2内側端子を有する。前記電力変換システムは、第3回路を更に備える。前記第3回路は、第3内側端子及び2つの第3外側端子を有する。前記電力変換システムでは、前記第1内側端子と前記第2内側端子と前記第3内側端子とが同一の接続部に電気的に接続されている。前記第3回路は、スイッチング素子、及び前記スイッチング素子に電気的に接続されるトランスを有する。前記第3回路は、前記スイッチング素子及び前記トランスを介して前記トランスの二次巻線の両端間に出力電圧を出力するように構成されている。前記2つの第3外側端子の少なくとも一方と、前記トランスの一次巻線の両端の少なくとも一方との間には、コイル及びコンデンサ以外の素子であって前記スイッチング素子としての一次側スイッチング素子を含む少なくとも1つの素子が電気的に直列に接続されている。前記接続部と、前記トランスの二次巻線の両端の少なくとも一方との間には、コイル及びコンデンサ以外の素子であって前記スイッチング素子としての二次側スイッチング素子を含む少なくとも1つの素子が電気的に直列に接続されている。前記出力電圧の波形は、立ち上がり部と、立ち下がり部と、平坦部と、を含む。前記立ち上がり部では、前記出力電圧が第1電位から前記第1電位よりも高い第2電位に変化する。前記立ち下がり部では、前記出力電圧が前記第2電位から前記第1電位に変化する。前記平坦部では、前記出力電圧が前記第1電位又は前記第2電位に維持される。
本開示の別の一態様に係る電力変換システムは、第1回路と、第2回路と、を備え、前記第1回路の第1内側端子と前記第2回路の第2内側端子との間で電力の伝達を行う電力変換システムである。前記第1回路は、前記第1内側端子及び第1外側端子を有し、前記第1外側端子に交流電源又は交流負荷が電気的に接続される。前記第2回路は、少なくとも前記第2内側端子を有する。前記電力変換システムは、第3回路を更に備える。前記第3回路は、第3内側端子及び第3外側端子を有する。前記電力変換システムでは、前記第1内側端子と前記第2内側端子と前記第3内側端子とが同一の接続部に電気的に接続されている。前記第3回路は、スイッチング素子、及び前記スイッチング素子に電気的に接続されるトランスを有する。前記第3回路は、前記スイッチング素子及び前記トランスを介して前記トランスの二次巻線の両端間に出力電圧を出力するように構成されている。前記出力電圧の波形は、立ち上がり部と、立ち下がり部と、平坦部と、を含む。前記立ち上がり部では、前記出力電圧が第1電位から前記第1電位よりも高い第2電位に変化する。前記立ち下がり部では、前記出力電圧が前記第2電位から前記第1電位に変化する。前記平坦部では、前記出力電圧が前記第1電位又は前記第2電位に維持される。前記接続部は、平滑用のコンデンサを含まない。
本開示の別の一態様に係る電力変換システムは、第1回路と、第2回路と、を備え、前記第1回路の第1内側端子と前記第2回路の第2内側端子との間で電力の伝達を行う電力変換システムである。前記第1回路は、前記第1内側端子及び第1外側端子を有し、前記第1外側端子に交流電源又は交流負荷が電気的に接続される。前記第2回路は、少なくとも前記第2内側端子を有する。前記電力変換システムは、第3回路を更に備える。前記第3回路は、第3内側端子及び第3外側端子を有する。前記電力変換システムでは、前記第1内側端子と前記第2内側端子と前記第3内側端子とが同一の接続部に電気的に接続されている。前記第3回路は、スイッチング素子、及び前記スイッチング素子に電気的に接続されるトランスを有する。前記第3回路は、前記スイッチング素子及び前記トランスを介して前記トランスの二次巻線の両端間に出力電圧を出力するように構成されている。前記出力電圧の波形は、立ち上がり部と、立ち下がり部と、平坦部と、を含む。前記立ち上がり部では、前記出力電圧が第1電位から前記第1電位よりも高い第2電位に変化する。前記立ち下がり部では、前記出力電圧が前記第2電位から前記第1電位に変化する。前記平坦部では、前記出力電圧が前記第1電位又は前記第2電位に維持される。前記第1回路は、前記スイッチング素子としての第3スイッチング素子とは異なる第1スイッチング素子を有する。前記第2回路は、前記第1スイッチング素子及び前記第3スイッチング素子とは異なる第2スイッチング素子を有する。前記第1回路は、前記第1スイッチング素子のオン/オフを制御することによって矩形波状の第1出力電流を前記第1内側端子に出力するように構成されている。前記第2回路は、前記第2スイッチング素子のオン/オフを制御することによって矩形波状の第2出力電流を前記第2内側端子に出力するように構成されている。
【0007】
本開示の一態様に係る仮想直流電圧生成回路は、上述の電力変換システムに前記第3回路として用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1に係る仮想直流電圧生成回路及び電力変換システムの構成を示す回路図である。
【
図2】
図2は、同上の電力変換システムのインバータモードにおける動作を示す波形図である。
【
図3】
図3は、同上の電力変換システムのインバータモードにおける別の動作を示す波形図である。
【
図4】
図4は、
図3と同一の波形図について、第1期間及び第2期間を明示した説明図である。
【
図5】
図5A~
図5Cは、同上の電力変換システムのシミュレーション結果を示す波形図である。
【
図6】
図6A~
図6Cは、同上の電力変換システムのシミュレーション結果を示す別の波形図である。
【
図7】
図7は、
図8A~
図8Cにおける同上の電力変換システムのインバータモードにおける一部分の動作を示す拡大波形図である。
【
図8】
図8A~
図8Cは、同上の電力変換システムのシミュレーション結果を示す別の波形図である。
【
図9】
図9A及び
図9Bは、本開示の実施形態1の変形例1に係る仮想直流電圧生成回路の一次側回路の構成を示す回路図である。
【
図10】
図10は、同上の仮想直流電圧生成回路の二次側回路の構成を示す回路図である。
【
図11】
図11A~
図11Dは、本開示の実施形態1の変形例2に係る電力変換システムに用いられるスナバ回路の構成を示す回路図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施形態2に係る電力変換システムの構成を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、同上の電力変換システムの構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
(1)概要
以下、本実施形態に係る電力変換システム10の概要について、
図1を参照して説明する。
【0010】
本実施形態に係る電力変換システム10は、
図1に示すように、第1直流端子T11,T12と、第2直流端子T21,T22と、交流端子T31,T32,T33との間で電力変換を行うシステムである。第1直流端子T11,T12には、太陽電池70が電気的に接続される。第2直流端子T21,T22には、蓄電池80が電気的に接続される。交流端子T31,T32,T33には、電力系統90が電気的に接続される。本開示でいう「電力系統」は、電力会社等の電気事業者が需要家の受電設備に電力を供給するためのシステム全体を意味する。
【0011】
本実施形態に係る電力変換システム10は、太陽電池70及び蓄電池80の少なくとも一方から入力される直流電力をU相、V相及びW相を有する三相の交流電力に変換し、この交流電力を電力系統90に出力(伝達)する。また、電力変換システム10は、電力系統90から入力される交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を蓄電池80に出力する。
【0012】
言い換えると、電力変換システム10は、太陽電池70の発電時及び蓄電池80の放電時には、太陽電池70及び蓄電池80から入力される直流電力を交流電力に変換し、この交流電力を電力系統90に出力する。このとき、太陽電池70及び蓄電池80の各々は「直流電源」として機能し、電力系統90はU相、V相及びW相を有する「三相交流負荷(交流負荷)」として機能する。また、電力変換システム10は、蓄電池80の充電時には、電力系統90から入力される交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を蓄電池80に出力する。このとき、蓄電池80は「直流負荷」として機能し、電力系統90はU相、V相及びW相を有する「三相交流電源(交流電源)」として機能する。
【0013】
本実施形態に係る電力変換システム10は、
図1に示すように、第1回路1と、第2回路2と、を備え、第1回路1の第1内側端子111,112と第2回路2の第2内側端子211,212との間で電力の伝達を行う。第1回路1は、第1内側端子111,112及び第1外側端子113~115を有し、第1外側端子113~115に電力系統90が電気的に接続される。第2回路2は、少なくとも第2内側端子211,212を有する。本実施形態では、第2回路2は、第2内側端子211,212及び第2外側端子213,214を有する。
【0014】
電力変換システム10は、第3回路3を更に備える。第3回路3は、第3内側端子341,342及び第3外側端子343,344を有する。電力変換システム10では、第1内側端子111,112と第2内側端子211,212と第3内側端子341,342とが同一の接続部7に電気的に接続されている。第3回路3は、スイッチング素子Q31~Q34、及びスイッチング素子Q31~Q34に電気的に接続されるトランス33を有する。第3回路3は、スイッチング素子Q31~Q34及びトランス33を介してトランス33の二次巻線332の両端間に出力電圧VTを出力する。二次巻線332は第3内側端子341,342に電気的に接続されている。出力電圧VTの波形W1(
図2参照)は、立ち上がり部W11(
図2参照)と、立ち下がり部W13(
図2参照)と、平坦部W12(
図2参照)と、を含む。立ち上がり部W11では、出力電圧VTが第1電位VT1(
図2参照)から第1電位VT1よりも高い第2電位VT2(
図2参照)に変化する。立ち下がり部W13では、出力電圧VTが第2電位VT2から第1電位VT1に変化する。平坦部W12では、出力電圧VTが第1電位VT1又は第2電位VT2に維持される。本開示でいう「平坦」とは、全体に亘って平らな場合だけでなく、少なくとも一部において微少な変動を有している場合を含む。したがって、出力電圧VTの波形W1の平坦部W12のように微少な変動が含まれている場合でも、平坦であるといえる。
【0015】
また、本実施形態に係る仮想直流電圧生成回路3は、上述の電力変換システム10に第3回路3として用いられる。
【0016】
上述したように、本実施形態に係る電力変換システム10では、第3回路3は、トランス33の二次巻線332の両端間に出力電圧VTを出力している。そのため、出力電圧VTのうち平坦部W12に相当する直流電圧を接続部7に発生させることができる。これにより、平滑用のコンデンサを用いることなく第1回路1と第2回路2とを直流側で接続することができる。
【0017】
また、従来の電力変換システムでは、交流側の電源又は負荷による商用周波数等の交流成分によって直流側に生じる脈動(リップル)を平滑するために、接続部7に大容量のコンデンサを設けている。これに対して、本実施形態に係る電力変換システム10では、上記脈動を平滑する役目をコンデンサC1、C2、もしくは蓄電池80に担わせることができ、接続部7の平滑コンデンサを省略することができる。
【0018】
本実施形態では一例として、電力変換システム10が、オフィスビル、病院、商業施設及び学校等の、非住宅施設に導入される場合を想定して説明する。
【0019】
特に近年、法人又は個人が、分散型電源(例えば、太陽電池70、蓄電池80又は燃料電池)から得た電力を商用電力系統に逆潮流する「売電」が拡大している。売電は、分散型電源を商用電力系統と接続する系統連系によって実現される。系統連系では、パワーコンディショナと称される電力変換システム10を用いて、分散型電源の電力を、商用電力系統に適応した電力に変換する。本実施形態に係る電力変換システム10は、一例として、パワーコンディショナとして用いられ、分散型電源としての太陽電池70及び蓄電池80と、電力系統90との間において、直流電力と三相交流電力とを相互に変換する。
【0020】
(2)構成
次に、本実施形態に係る電力変換システム10の構成について、
図1を参照して説明する。
【0021】
本実施形態に係る電力変換システム10は、
図1に示すように、第1回路1と、第2回路2と、第3回路3と、を備えている。電力変換システム10は、2つの第1直流端子T11,T12と、2つの第2直流端子T21,T22と、3つの交流端子T31,T32,T33と、の間で電力変換を行うシステムである。第1直流端子T11,T12には、直流電源として機能する太陽電池70が電気的に接続される。第2直流端子T21,T22には、直流電源又は直流負荷として機能する蓄電池80が電気的に接続される。交流端子T31,T32,T33には、U相、V相及びW相を有する三相交流電源又は三相交流負荷として機能する電力系統90が電気的に接続される。
【0022】
電力変換システム10は、フィルタ回路4と、スナバ回路5と、制御回路6と、接続部7と、を更に備えている。また、電力変換システム10は、2つの第1直流端子T11,T12と、2つの第2直流端子T21,T22と、3つの交流端子T31,T32,T33と、を更に備えている。ただし、2つの第1直流端子T11,T12、2つの第2直流端子T21,T22、及び3つの交流端子T31,T32,T33は、電力変換システム10の構成要素に含まれなくてもよい。また、本開示でいう「端子」は、電線等を接続するための部品でなくてもよく、例えば、電子部品のリード、又は回路基板に含まれる導体の一部等であってもよい。
【0023】
(2.1)第1回路
第1回路1は、例えば、DC/ACコンバータである。具体的には、第1回路1は、後述する端子P1,N1間の直流電圧を矩形波状の交流電圧に変換する三相インバータ回路である。第1回路1は、
図1に示すように、ブリッジ接続された6つの第1スイッチング素子Q11~Q16を備えている。また、第1回路1は、2つの第1内側端子111,112と、3つの第1外側端子113~115と、を更に備えている。
【0024】
第1スイッチング素子Q11~Q16の各々は、例えば、デプレッション型のnチャネルMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)である。高電位側の第1スイッチング素子Q11は、端子P1,N1間において、低電位側の第1スイッチング素子Q12と電気的に直列に接続されている。高電位側の第1スイッチング素子Q13は、端子P1,N1間において、低電位側の第1スイッチング素子Q14と電気的に直列に接続されている。高電位側の第1スイッチング素子Q15は、端子P1,N1間において、低電位側の第1スイッチング素子Q16と電気的に直列に接続されている。つまり、端子P1,N1間には、第1スイッチング素子Q11,Q12の直列回路と、第1スイッチング素子Q13,Q14の直列回路と、第1スイッチング素子Q15,Q16の直列回路と、が電気的に並列に接続されている。
【0025】
第1スイッチング素子Q11~Q16の各々は、寄生ダイオードを含んでいる。各第1スイッチング素子Q11~Q16の寄生ダイオードは、アノードが対応する第1スイッチング素子Q11~Q16のソースに電気的に接続され、カソードが対応する第1スイッチング素子Q11~Q16のドレインに電気的に接続されている。
【0026】
高電位側の第1スイッチング素子Q11,Q13,Q15のドレインは、それぞれ第1内側端子111を介して端子P1に電気的に接続されている。低電位側の第1スイッチング素子Q12,Q14,Q16のソースは、それぞれ第1内側端子112を介して端子N1に電気的に接続されている。また、高電位側の第1スイッチング素子Q11のソースは、低電位側の第1スイッチング素子Q12のドレインに電気的に接続されている。高電位側の第1スイッチング素子Q13のソースは、低電位側の第1スイッチング素子Q14のドレインに電気的に接続されている。高電位側の第1スイッチング素子Q15のソースは、低電位側の第1スイッチング素子Q16のドレインに電気的に接続されている。
【0027】
第1スイッチング素子Q11~Q16の各々は、制御回路6から出力される第1駆動信号Sig5~Sig10に従ってオン/オフする。
【0028】
(2.2)第2回路
第2回路2は、例えば、DC/DCコンバータである。具体的には、第2回路2は、太陽電池70から入力される直流電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路である。第2回路2は、
図1に示すように、コンデンサC2と、インダクタL1と、2つの第2スイッチング素子Q21,Q22と、を備えている。また、第2回路2は、2つの第2内側端子211,212と、2つの第2外側端子213,214と、を更に備えている。
【0029】
コンデンサC2は、2つの第2外側端子213,214を介して、2つの第1直流端子T11,T12間に電気的に接続されている。言い換えると、コンデンサC2は、2つの第2外側端子213,214及び2つの第1直流端子T11,T12を介して太陽電池70に接続されている。コンデンサC2は、例えば、電解コンデンサである。コンデンサC2は、第1直流端子T11,T12間の電圧を安定させる機能を有している。ただし、コンデンサC2は、第2回路2の構成要素に含まれなくてもよい。
【0030】
第2スイッチング素子Q21,Q22の各々は、例えば、デプレッション型のnチャネルMOSFETである。高電位側の第2スイッチング素子Q21は、端子P1,N1間において、低電位側の第2スイッチング素子Q22に電気的に直列に接続されている。つまり、端子P1,N1間には、第2スイッチング素子Q21,Q22の直列回路が電気的に接続されている。
【0031】
第2スイッチング素子Q21,Q22の各々は、寄生ダイオードを含んでいる。各第2スイッチング素子Q21,Q22の寄生ダイオードは、アノードが対応する第2スイッチング素子Q21,Q22のソースに電気的に接続され、カソードが対応する第2スイッチング素子Q21,Q22のドレインに電気的に接続されている。
【0032】
高電位側の第2スイッチング素子Q21のドレインは、第2内側端子211を介して端子P1に電気的に接続されている。低電位側の第2スイッチング素子Q22のソースは、第2内側端子212を介して端子N1に電気的に接続されている。また、高電位側の第2スイッチング素子Q21のソースは、低電位側の第2スイッチング素子Q22のドレインに電気的に接続されている。
【0033】
第2スイッチング素子Q21,Q22の各々は、制御回路6から出力される第2駆動信号Sig11,Sig12に従ってオン/オフする。
【0034】
インダクタL1の第1端は、第2外側端子213に電気的に接続されており、インダクタL1の第2端は、第2スイッチング素子Q21,Q22の接続点に電気的に接続されている。
【0035】
(2.3)第3回路
第3回路(仮想直流電圧生成回路)3は、例えば、DC/DCコンバータである。第3回路3は、
図1に示すように、コンデンサC1と、トランス33と、4つの第3スイッチング素子Q31~Q34と、を備えている。また、第3回路3は、2つの第3内側端子341,342と、2つの第3外側端子343,344と、を更に備えている。
【0036】
コンデンサC1は、2つの第3外側端子343,344を介して、2つの第2直流端子T21,T22間に電気的に接続されている。言い換えると、コンデンサC1は、2つの第3外側端子343,344及び2つの第2直流端子T21,T22を介して蓄電池80に接続されている。コンデンサC1は、例えば、電解コンデンサである。コンデンサC1は、第2直流端子T21,T22間の電圧を安定させる機能を有している。ただし、コンデンサC1は、第3回路3の構成要素に含まれなくてもよい。
【0037】
第3スイッチング素子Q31~Q34の各々は、例えば、デプレッション型のnチャネルMOSFETである。第3スイッチング素子Q31~Q34の各々は、寄生ダイオードを含んでいる。各第3スイッチング素子Q31~Q34の寄生ダイオードは、アノードが対応する第3スイッチング素子Q31~Q34のソースに電気的に接続され、カソードが対応する第3スイッチング素子Q31~Q34のドレインに電気的に接続されている。
【0038】
第3スイッチング素子Q31~Q34の各々は、制御回路6から出力される第3駆動信号Sig1~Sig4に従ってオン/オフする。なお、以下の説明において、第1駆動信号Sig5~Sig10、第2駆動信号Sig11,Sig12、及び第3駆動信号Sig1~Sig4を特に区別しない場合、「駆動信号Sig1~Sig12」ともいう。
【0039】
トランス33は、互いに磁気結合された一次巻線331及び二次巻線332を有している。一次巻線331は、第3スイッチング素子Q31,Q32を介してコンデンサC1に電気的に接続されている。二次巻線332は、第3スイッチング素子Q33,Q34を介して第3内側端子341,342間に電気的に接続されている。
【0040】
トランス33は、一例として、センタータップ付きの高周波絶縁トランスである。トランス33の一次巻線331は、一次側センタータップCT1を接続点とする、2つの巻線L31,L32の直列回路にて構成されている。同様に、トランス33の二次巻線332は、二次側センタータップCT2を接続点とする、2つの巻線L33,L34の直列回路にて構成されている。つまり、2つの巻線L31,L32が電気的に直列に接続され、一次巻線331を構成する。同様に、2つの巻線L33,L34が電気的に直列に接続され、二次巻線332を構成する。一次側センタータップCT1は、コンデンサC1の正極側(第2直流端子T21側)の端子に電気的に接続されている。二次側センタータップCT2は、一方の第3内側端子341に電気的に接続されている。巻線L31,L32,L33,L34の巻数比は、例えば、1:1:1:1である。巻線L31,L32,L33,L34の巻数比は、電力変換システム10の仕様等に応じて任意に変更することができる。以下では、第3スイッチング素子Q31,Q32及びトランス33の一次巻線331を含む回路を「一次側回路31」ともいい、第3スイッチング素子Q33,Q34及びトランス33の二次巻線332を含む回路を「二次側回路32」ともいう。
【0041】
第3回路3は、第2直流端子T21,T22を介して、蓄電池80の両端電圧が入力電圧として印加される。
【0042】
第3回路3では、一次側回路31の第3スイッチング素子Q31,Q32がオン/オフすることにより、入力電圧を、例えば、20kHzの矩形波状の高周波の交流電圧に変換し、一次巻線331(巻線L31,L32)に印加(供給)する。
【0043】
第3スイッチング素子Q31は、コンデンサC1の両端間において、巻線L31と電気的に直列に接続されている。第3スイッチング素子Q32は、コンデンサC1の両端間において、巻線L32と電気的に直列に接続されている。言い換えると、第2直流端子T21,T22間には、第3スイッチング素子Q31及び巻線L31の直列回路と、第3スイッチング素子Q32及び巻線L32の直列回路と、が電気的に並列に接続されている。
【0044】
第3スイッチング素子Q31のドレインは、巻線L31を介して一次側センタータップCT1に電気的に接続されている。第3スイッチング素子Q32のドレインは、巻線L32を介して一次側センタータップCT1に電気的に接続されている。第3スイッチング素子Q31,Q32のソースは、それぞれ低電位(負極)側の第2直流端子T22に電気的に接続されている。
【0045】
第3回路3では、二次側回路32の第3スイッチング素子Q33,Q34がオン/オフすることにより、二次巻線332(巻線L33,L34)に生じる正及び負の極性を持つ矩形波状の交流電圧を、正の極性を持つ直流電圧に変換し、接続部7の2つの端子P1,N1間に出力する。ここでは、2つの端子P1,N1のうち、相対的に、端子P1が高電位(正極)、端子N1が低電位(負極)となるように、端子P1,N1間に電圧が供給される。
【0046】
第3スイッチング素子Q33は、端子P1,N1間において、巻線L33と電気的に直列に接続されている。第3スイッチング素子Q34は、端子P1,N1間において、巻線L34と電気的に直列に接続されている。つまり、端子P1,N1間には、第3スイッチング素子Q33及び巻線L33の直列回路と、第3スイッチング素子Q34及び巻線L34の直列回路と、が電気的に並列に接続されている。
【0047】
第3スイッチング素子Q33のドレインは、巻線L33を介して二次側センタータップCT2に電気的に接続されている。第3スイッチング素子Q34のドレインは、巻線L34を介して二次側センタータップCT2に電気的に接続されている。第3スイッチング素子Q33,Q34のソースは、それぞれ低電位(負極)側の端子N1に電気的に接続されている。
【0048】
なお、第3スイッチング素子Q31,Q32の各々のドレイン及びソース間には、コンデンサが電気的に接続されていてもよい。この場合、コンデンサが一次巻線331と共振することで、第3スイッチング素子Q31~Q34のソフトスイッチングを実現する。コンデンサは、第3スイッチング素子Q31のドレイン及び第3スイッチング素子Q32のドレイン間に電気的に接続されてもよいし、巻線L31,L32の各々に電気的に並列に接続されてもよい。
【0049】
(2.4)フィルタ回路
フィルタ回路4は、第1回路1から出力された矩形波状の交流電圧を平滑化する。これにより、第1回路1から出力された矩形波状の交流電圧は、パルス幅に応じた振幅を持つ正弦波状の交流電圧に変換される。
【0050】
具体的には、フィルタ回路4は、複数(
図1では3つ)のインダクタL41,L42,L43と、複数(
図1では3つ)のコンデンサC41,C42,C43と、を有している。インダクタL41の第1端は、第1外側端子113を介して第1スイッチング素子Q11,Q12の接続点に電気的に接続され、インダクタL41の第2端は、交流端子T31に電気的に接続されている。インダクタL42の第1端は、第1外側端子114を介して第1スイッチング素子Q13,Q14の接続点に電気的に接続され、インダクタL42の第2端は、交流端子T32に電気的に接続されている。インダクタL43の第1端は、第1外側端子115を介して第1スイッチング素子Q15,Q16の接続点に電気的に接続され、インダクタL43の第2端は、交流端子T33に電気的に接続されている。コンデンサC41は、交流端子T31,T32間に電気的に接続されている。コンデンサC42は、交流端子T32,T33間に電気的に接続されている。コンデンサC43は、交流端子T31,T33間に電気的に接続されている。
【0051】
言い換えると、第1スイッチング素子Q11,Q12の接続点は、インダクタL41を介して、U相に対応する交流端子T31に電気的に接続される。第1スイッチング素子Q13,Q14の接続点は、インダクタL42を介して、V相に対応する交流端子T32に電気的に接続される。第1スイッチング素子Q15,Q16の接続点は、インダクタL43を介して、W相に対応する交流端子T33に電気的に接続される。
【0052】
(2.5)スナバ回路
スナバ回路5は、端子P1,N1に電気的に接続されている。つまり、スナバ回路5は、第3回路3のトランス33に電気的に接続されている。
【0053】
スナバ回路5は、接続部7の端子P1,N1から電気エネルギを吸収し、かつ電気エネルギを端子P1,N1に注入(回生)する回生スナバ回路である。スナバ回路5は、端子P1,N1間のバス電圧Vbusが第1クランプ値Vclp1(
図2参照)を超える場合には、端子P1,N1から第1クランプ値Vclp1を超える分の電気エネルギを吸収することにより、バス電圧Vbusの上限値を第1クランプ値Vclp1にクランプする。また、スナバ回路5は、バス電圧Vbusが第2クランプ値Vclp2(<Vclp1)を下回る場合には、端子P1,N1に電気エネルギを注入(回生)することにより、バス電圧Vbusの下限値を第2クランプ値Vclp2にクランプする。
【0054】
スナバ回路5は、
図1に示すように、複数(
図1では2つ)のダイオードD1,D2と、抵抗R1と、複数(
図1では2つ)のコンデンサC51,C52と、を有している。ダイオードD1は、端子P1,N1間において、コンデンサC51と電気的に直列に接続されている。ダイオードD2は、端子P1,N1間において、コンデンサC52と電気的に直列に接続されている。ダイオードD1のアノードは、端子P1に電気的に接続され、ダイオードD1のカソードは、コンデンサC51を介して端子N1に電気的に接続されている。ダイオードD2のアノードは、コンデンサC52を介して端子N1に電気的に接続され、ダイオードD2のカソードは、端子P1に電気的に接続されている。つまり、ダイオードD1とダイオードD2とは、端子P1,N1間において互いに逆向きに接続されている。抵抗R1は、ダイオードD1及びコンデンサC51の接続点と、ダイオードD2及びコンデンサC52の接続点との間に電気的に接続されている。
【0055】
スナバ回路5では、バス電圧Vbusが第1クランプ値Vclp1を超えると、端子P1,N1から吸収した電気エネルギがコンデンサC51に蓄積される。コンデンサC51に蓄積された電気エネルギは、抵抗R1を介してコンデンサC52に伝達される。コンデンサC52に蓄積された電気エネルギは、バス電圧Vbusが第2クランプ値Vclp2を下回る場合に、ダイオードD2を介して端子P1,N1に回生される。
【0056】
(2.6)制御回路
制御回路6は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。つまり、制御回路6は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御回路6として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0057】
制御回路6は、第1回路1、第2回路2及び第3回路3の各々を制御するように構成されている。制御回路6は、第1回路1に対しては、第1スイッチング素子Q11~Q16をそれぞれ駆動するための第1駆動信号Sig5~Sig10を出力する。制御回路6は、第2回路2に対しては、第2スイッチング素子Q21,Q22をそれぞれ駆動するための第2駆動信号Sig11,Sig12を出力する。制御回路6は、第3回路3に対しては、第3スイッチング素子Q31~Q34をそれぞれ駆動するための第3駆動信号Sig1~Sig4を出力する。駆動信号Sig1~Sig12の各々は、ハイレベル(アクティブ値の一例)とローレベル(非アクティブ値の一例)とで切り替わる二値信号からなるPWM信号である。
【0058】
(2.7)接続部
接続部7には、
図1に示すように、第1内側端子111,112を介して第1回路1が電気的に接続されている。さらに、接続部7には、第2内側端子211,212を介して第2回路2が電気的に接続されている。さらに、接続部7には、第3内側端子341,342を介して第3回路3が電気的に接続されている。言い換えると、第1回路1の第1内側端子111,112と第2回路2の第2内側端子211,212と第3回路3の第3内側端子341,342とが同一の接続部7に電気的に接続されている。つまり、本実施形態に係る電力変換システム10では、第1回路1と第2回路2と第3回路3とが直流側で電気的に接続されている。
【0059】
接続部7は、
図1に示すように、端子P1,N1を含む。そして、端子N1に対する端子P1の電圧が正となるように、つまり端子N1に対する端子P1の電位が相対的に高電位となるように、第3回路3の二次側回路32が動作する。接続部7には、上述したスナバ回路5が電気的に接続されている。
【0060】
(3)動作
(3.1)電力変換システムの動作
次に、本実施形態に係る電力変換システム10の動作について、
図2~
図4を参照して説明する。
【0061】
本実施形態に係る電力変換システム10では、第1直流端子T11,T12及び第2直流端子T21,T22と交流端子T31,T32,T33との間で、双方向に電力の変換(伝達)を行う。つまり、電力変換システム10は、インバータモードと、コンバータモードとの2つの動作モードを有している。インバータモードは、第1直流端子T11,T12及び第2直流端子T21,T22に入力される直流電力を三相の交流電力に変換し、この交流電力を交流端子T31,T32,T33から出力するモードである。コンバータモードは、交流端子T31,T32,T33に入力される三相の交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を第2直流端子T21,T22から出力するモードである。
【0062】
言い換えると、インバータモードは、交流端子T31,T32,T33の間において、電力系統90を介して電流が流れる向きと同じ向きに電圧降下が発生するモード、つまり、同極性の電圧と電流とが発生するモードである。コンバータモードは、交流端子T31,T32,T33の間において、電力系統90を介して電流が流れる向きと逆の向きに電圧降下が発生するモード、つまり、異極性の電圧と電流とが発生するモードである。
【0063】
以下では、電力変換システム10の動作モードがインバータモードであって、電力変換システム10が、直流電力を周波数が50Hz又は60Hzの三相の交流電力に変換する場合を例に説明する。また、以下では、第2スイッチング素子Q21,Q22の駆動周波数が40kHz、第3スイッチング素子Q31~Q34の駆動周波数が20kHzである場合を例示する。
【0064】
図2は、本実施形態に係る電力変換システム10のインバータモードの一例を示す波形図である。
図2の横軸は時間軸である。
図2では、上段から、第3駆動信号Sig1~Sig4、第1駆動信号Sig5,Sig6、第1駆動信号Sig7,Sig8、第1駆動信号Sig9,Sig10、第2駆動信号Sig11,Sig12を示す。さらに、
図2では、出力電圧VT及び第3出力電流I3、両端電圧Vo及び第2出力電流I2、第1出力電流I1、ダイオードD1,D2を流れる電流Id1,Id2、バス電圧Vbus、第1クランプ値Vclp1及び第2クランプ値Vclp2を示す。
【0065】
駆動信号Sig1~Sig12については、ハイレベルを図中「H」と表記し、ローレベルを図中「L」と表記する。第1スイッチング素子Q11~Q16、第2スイッチング素子Q21,Q22、及び第3スイッチング素子Q31~Q34の各々は、対応する駆動信号Sig1~Sig12がハイレベルのときにオンになり、ローレベルのときにオフになる。
【0066】
また、出力電圧VTは、二次巻線332の両端に発生する電圧であって、第3出力電流I3は、二次側センタータップCT2から端子P1に流れる電流である。さらに、電圧Voは、第2スイッチング素子Q22の両端電圧であって、第2出力電流I2は、第2スイッチング素子Q21を通って端子P1に流れる電流である。また、第1出力電流I1は、第1回路1から端子P1に流れる電流である。インバータモードでは、第1出力電流I1は、端子P1から第1回路1に流れるため、「-I1」となる。
【0067】
制御回路6は、第2回路2においては、第2スイッチング素子Q21,Q22を交互にオン/オフする。第2スイッチング素子Q21がオンし、かつ第2スイッチング素子Q22がオフしているときには、端子P1,N1に正の極性を持つ電圧が印加(供給)される。一方、第2スイッチング素子Q21がオフし、かつ第2スイッチング素子Q22がオンしているときには、太陽電池70の電気エネルギが第2スイッチング素子Q22を介してインダクタL1に蓄積される。
【0068】
制御回路6は、第3回路3においては、一次巻線331に正及び負の電圧が交互に印加されるように第3スイッチング素子Q31,Q32を制御する。さらに、制御回路6は、端子N1対する端子P1の電圧が正となるように第3スイッチング素子Q33,Q34を制御する。
【0069】
具体的には、制御回路6は、第3スイッチング素子Q31,Q33をオンしているときに第3スイッチング素子Q32,Q34をオフし、第3スイッチング素子Q31,Q33をオフしているときに第3スイッチング素子Q32,Q34をオンする。ここで、制御回路6は、第3スイッチング素子Q31~Q34を同じデューティ比で制御する。本実施形態では、第3スイッチング素子Q31~Q34のデューティ比は、「0.5」(実質的に50%)である。
【0070】
そして、制御回路6は、一次巻線331及び二次巻線332に高周波の交流電圧が供給されるように第3スイッチング素子Q31,Q32を制御し、かつ端子P1,N1に正の極性を持つ電圧が供給されるように第3スイッチング素子Q33,Q34を制御する。
【0071】
制御回路6は、第1回路1においては、第1スイッチング素子Q11~Q16の各々をオン又はオフすることによって、交流端子T31,T32,T33から出力される電圧又は電流の少なくとも一方の振幅もしくは位相を制御する。
【0072】
そして、制御回路6は、一次巻線331に印加される電圧の極性が反転する反転期間Td1を含む期間T1aには、第1回路1と第3回路3との間で電力の伝達が行われないように第1回路1を制御する。また、制御回路6は、反転期間Td1を含む期間T1bには、第2回路2と第3回路3との間で電力の伝達が行われないように第2回路2を制御する。また、制御回路6は、期間T1aとは異なる期間T2aには、第1回路1と第3回路3との間で電力の伝達が行われるように第1回路1を制御する。また、制御回路6は、期間T1bとは異なる期間T2bには、第2回路2と第3回路3との間で電力の伝達が行われるように第2回路2を制御する。
【0073】
具体的には、制御回路6は、以下に説明する第1~5モードを繰り返すように動作する。
【0074】
第1モードにおいて、制御回路6は、高電位側の第1スイッチング素子Q11,Q13,Q15がオン、もしくは低電位側の第1スイッチング素子Q12,Q14,Q16がオンとなるように、第1回路1に第1駆動信号Sig5~Sig10を出力する。これにより、第1回路1内で電流が循環する第1循環モードとなる(第1循環期間)。
【0075】
第2モードにおいて、制御回路6は、第1回路1を第1モードとした状態で、高電位側の第2スイッチング素子Q21がオフ、低電位側の第2スイッチング素子Q22がオンとなるように、第2回路2に第2駆動信号Sig11,Sig12を出力する。これにより、第2回路2内で電流が循環する第2循環モードとなる(第2循環期間)。なお、第1モードと第2モードの順番が入れ替わってもよい。
【0076】
第3モードにおいて、制御回路6は、第1回路1を第1モードとし、かつ第2回路2を第2モードとした状態で、4つの第3スイッチング素子Q31~Q34がオフとなるように、第3回路3に第3駆動信号Sig1~Sig4を出力する。このとき、出力電圧VTは、トランス33の励磁電流によって上昇もしくは低下する(
図2参照)。またこのとき、第1出力電流I1がゼロになっているため、第3スイッチング素子Q31~Q34は、負荷電流によらず常に安定したスイッチングが行えるゼロ電流スイッチング(ソフトスイッチング)が可能である(反転期間)。
【0077】
第4モードにおいて、制御回路6は、第3スイッチング素子Q31,Q33がオン、もしくは第3スイッチング素子Q32,Q34がオンとなるように、第3回路3に第3駆動信号Sig1~Sig4を出力する。これにより、端子P1,N1間に正極性の電圧が印加(供給)される。また、第4モードにおいて、制御回路6は、高電位側の第1スイッチング素子Q11がオンで、かつ低電位側の第1スイッチング素子Q14,Q16がオンとなるように、もしくは高電位側の第1スイッチング素子Q11,Q15がオンで、低電位側の第1スイッチング素子Q14がオンとなるように、第1回路1に第1駆動信号Sig5~Sig10を出力する。これにより、第1回路1と第3回路3との間で電力の伝達が行われる(伝達期間)。ここでは、各スイッチング素子の状態(オン・オフ)を
図2の例で説明しているが、要は第1回路1が第1モードと排他的な関係であればよく、第3スイッチング素子Q31~Q34の状態(オン・オフ)はこの例の限りではない。
【0078】
第5モードにおいて、制御回路6は、第3スイッチング素子Q31,Q33がオン、もしくは第3スイッチング素子Q32,Q34がオンとなるように、第3回路3に第3駆動信号Sig1~Sig4を出力する。これにより、端子P1,N1間に正極性の電圧が印加(供給)される。また、第4モードにおいて、制御回路6は、高電位側の第2スイッチング素子Q21がオン、低電位側の第2スイッチング素子Q22がオフとなるように、第2回路2に第2駆動信号Sig11,Sig12を出力する。これにより、第2回路2と第3回路3との間で電力の変換が行われる(伝達期間)。なお、第4モードと第5モードの順番が入れ替わってもよい。
【0079】
第1回路1は、上述の第1モードと第4モードとを繰り返し、第2回路2は、上述の第2モードと第5モードとを繰り返す。そして、第3回路3は、第1回路1が第1モードで、かつ第2回路2が第2モードのときに第3モードを実行する。
【0080】
ここで、第3回路3の4つの第3スイッチング素子Q31~Q34が全てオフになる反転期間Td1と第1回路1の第1モードとを合わせる必要があるため、第1回路1は、第3回路3のキャリアと同期させる必要がある。また、第3回路3の4つの第3スイッチング素子Q31~Q34が全てオフになる反転期間Td1と第2回路2の第2モードとを合わせる必要があるため、第2回路2は、第3回路3のキャリアの2倍の周波数で同期させる必要がある。言い換えると、第3回路3のキャリアと、第1回路1及び第2回路2のキャリアとを同期させることにより、第3回路3の4つの第3スイッチング素子Q31~Q34が全てオフになる反転期間Td1と、第1モード及び第2モードとを合わせることができる。
【0081】
ところで、第3回路3のトランス33の二次巻線332の両端間に発生する出力電圧VTの波形W1は、
図2に示すように、矩形波状である。具体的には、出力電圧VTの波形W1は、立ち上がり部W11と、立ち下がり部W13と、平坦部W12と、を含む。立ち上がり部W11では、
図2に示すように、出力電圧VTが第1電位VT1から第1電位VT1よりも大きい第2電位VT2(>VT1)に比例的に増加(変化)している。立ち下がり部W13では、
図2に示すように、出力電圧VTが第2電位VT2から第1電位VT1に比例的に減少(変化)している。平坦部W12では、
図2に示すように、出力電圧VTが第1電位VT1又は第2電位VT2に維持されている。そして、本実施形態に係る電力変換システム10では、二次巻線332の両端間に発生する出力電圧VTのうち平坦部W12に相当する直流電圧が、接続部7の端子P1,N1に供給(印加)される。つまり、本実施形態に係る電力変換システム10によれば、出力電圧VTのうち平坦部W12に相当する直流電圧を接続部7に発生させることができ、これにより第1回路1と第2回路2とを直流側で接続することができる。
【0082】
また、第3回路3のコンデンサC1から接続部7への経路上にはインダクタ(トランス33を除く)が接続されていないことが好ましい。例えば、第2回路2の高電位側の第2スイッチング素子Q21がオンで、かつ低電位側の第2スイッチング素子Q22がオフの場合、低インピーダンスであるコンデンサC2と接続部7とがインダクタL1を介して接続されるため、比較的高インピーダンスになる。また、第2回路2の高電位側の第2スイッチング素子Q21がオフで、かつ低電位側の第2スイッチング素子Q22がオンの場合、コンデンサC2から接続部7への経路が遮断されるため、さらに高インピーダンスとなる。そのため、負荷電流によって接続部7の電圧変動が大きくなり、その結果、交流変換を行えない可能性がある。
【0083】
これに対して、本実施形態に係る電力変換システム10では、第3回路3の4つの第3スイッチング素子Q31~Q34のいずれかがオンとなっている期間において、端子P1,N1間のインピーダンスは低インピーダンスであるコンデンサC1と等価となり、接続部7に平滑用のコンデンサを用いなくても低インピーダンスとなる。
【0084】
ここにおいて、第3回路3は、低インピーダンスの期間しか電圧源として利用できないため、低インピーダンスであることが好ましい。言い換えると、第3回路3のコンデンサC1から接続部7への経路上にインダクタ(トランス33を除く)が接続されていないことが好ましい。なお、この場合においても、リンギング等のキャリア周波数よりも十分に高い周波数によって高インピーダンスになる可能性はあるが、スナバ回路5によって上記周波数成分を除去することができるため、低インピーダンスを維持することができる。
【0085】
また、時比率(スイッチング素子のオン時間と周期との比)が低いと電圧利用率が悪くなり、第3回路3から接続部7への出力電圧の電圧値を高くする必要がある。そのため、第3回路3の4つの第3スイッチング素子Q31~Q34のいずれかがオンとなる期間の時比率は50%以上であることが好ましい。より好ましくは、上記期間の時比率は90%以上であるのがよい。本実施形態に係る電力変換システム10では、第3回路3のトランス33の反転期間Td1を短くすることによって、時比率を50%以上にすることができる。
【0086】
ところで、
図2に示す例では、例えば、第1スイッチング素子Q11のオンタイミングと第2スイッチング素子Q21のオンタイミングとがずれている。これにより、第2スイッチング素子Q21をオンする際に、第3出力電流I3の変化(dI3/dt)が大きくなっている。また、
図2に示す例では、例えば、第1スイッチング素子Q13のオンタイミングと第2スイッチング素子Q22のオンタイミングとがずれている。これにより、第2スイッチング素子Q22をオンする際にも、第3出力電流I3の変化が大きくなっている。そして、第3出力電流I3の変化が大きくなると、トランス33の漏れインダクタンスに起因するリンギング電圧も大きくなる。したがって、リンギング電圧を小さくするためには、第3出力電流I3の変化を小さくすることが好ましい。具体的には、第3出力電流I3の変化を小さくするために、第1スイッチング素子Q11~Q16のオンタイミング及びオフタイミングの一方と、第2スイッチング素子Q21,Q22のオンタイミング及びオフタイミングの一方と、を同期(一致)させることが好ましい。
【0087】
図3に示す例では、第1スイッチング素子Q11及び第2スイッチング素子Q21のオンタイミングを同期させている。さらに、
図3に示す例では、第1スイッチング素子Q13及び第2スイッチング素子Q22のオンタイミングを同期させている。さらに、
図3に示す例では、第1スイッチング素子Q14及び第2スイッチング素子Q21のオンタイミングを同期させている。さらに、
図3に示す例では、第1スイッチング素子Q12及び第2スイッチング素子Q22のオンタイミングを同期させている。これにより、上記のタイミングで発生する第3出力電流I3の変化を小さくすることができ、さらに第3出力電流I3の実効値についても小さくすることができる。また、第3出力電流I3の変化を小さくすることにより、リンギング電圧についても小さくすることができる。さらに、リンギング電圧が小さくなることにより、スナバ回路5の第1クランプ値Vclp1及び第2クランプ値Vclp2も小さくなる(
図2及び
図3参照)。
【0088】
また、
図2と比べて、スナバ回路5のダイオードD1,D2を流れる電流Id1,Id2が減少し、これによりスナバ回路5への流入電力も減少する。そして、スナバ回路5からの出力電力が減少することにより、リンギングの発生エネルギも抑えることができる。
【0089】
ここで、
図3に示す例では、第1スイッチング素子Q11及び第2スイッチング素子Q21のオンタイミング、第1スイッチング素子Q13及び第2スイッチング素子Q22のオンタイミング、第1スイッチング素子Q14及び第2スイッチング素子Q21のオンタイミング、並びに、第1スイッチング素子Q12及び第2スイッチング素子Q22のオンタイミングを同期(一致)させているが、I3=-I1-I2であるため、dI3/dtを小さくするためにはd(I1+I2)/dtを小さくすればよい。そのため、d(I1+I2)/dtが小さくなるように、第1回路1の第1スイッチング素子Q11~Q16の少なくとも1つのオンタイミング及びオフタイミングの一方と、第2回路2の第2スイッチング素子Q21,Q22の少なくとも1つのオンタイミング及びオフタイミングの一方と、を同期(一致)させればよい。例えば、第1スイッチング素子Q11~Q16の少なくとも1つのオフタイミングと第2スイッチング素子Q21,Q22の少なくとも1つのオフタイミングとを同期させてもよいし、第1スイッチング素子Q11~Q16の少なくとも1つのオンタイミングと第2スイッチング素子Q21,Q22の少なくとも1つのオフタイミングとを同期させてもよいし、その逆でもよい。
【0090】
ところで、制御回路6は、上述したように、トランス33の一次巻線331に印加される電圧の極性が反転する反転期間Td1を含む第1期間T1(
図4参照)には、第1回路1と第3回路3との間で電力の伝達が行われないように第1回路1を制御し、かつ第2回路2と第3回路3との間で電力の伝達が行われないように第2回路2を制御する。また、制御回路6は、第1期間T1とは異なる第2期間T2(
図4参照)において、第1回路1と第3回路3との間で電力の伝達が行われるように第1回路1を制御し、第2回路2と第3回路3との間で電力の伝達が行われるように第2回路2を制御する。
【0091】
より詳細には、電力変換システム10では、
図4に示すように、PWM信号の半キャリアに相当する単位時間内に、第1期間T1及び第2期間T2が割り当てられる。さらに、第1期間T1には、反転期間Td1と循環期間とが割り当てられ、第2期間T2に供給期間が割り当てられる。ただし、電力変換システム10の動作モードがインバータモードであれば、第2期間T2に供給期間が割り当てられるが、電力変換システム10の動作モードがコンバータモードであれば、第2期間T2には回生期間が割り当てられる。
【0092】
そして、制御回路6は、第1回路1をPWM制御して各単位期間(半キャリア)に占める第2期間T2の割合を変更することで、目標とする電圧又は電流を生成する。目標とする電圧又は電流とは、例えば、PWM制御で用いられる変調波信号と同じ波形を持つ電圧又は電流である。
【0093】
ここにおいて、第1期間T1の始点から反転期間Td1の始点までの期間T4の長さである第1時間長は、反転期間Td1の終点から第1期間T1の終点までの期間T3の長さである第2時間長以上である。つまり、第1期間T1において反転期間Td1の前後に設定される期間T4及び期間T3の時間長を比較すると、反転期間Td1前の期間T4の時間長は、反転期間Td1後の期間T3の時間長以上である。
図4に示す例では、期間T4の時間長(第1時間長)は、期間T3の時間長(第2時間長)より長い。
【0094】
特に、本実施形態では、少なくとも第2直流端子T21,T22に印加される直流電圧が定格動作範囲の最大値であるときにおいても、第1時間長(期間T4の時間長)が第2時間長(期間T3の時間長)以上となる。
【0095】
すなわち、電力系統90に印加される電圧は仕様上決まった値であるが、蓄電池80の電圧はある程度の範囲を仕様として持つ。例えば、蓄電池80の電圧が高くなるとトランス33の励磁電流は大きくなるが、電圧利用率は低下する。すなわち、余剰の時間が多くなる。これにより、定常時では発生し得ない過電流が生じたとしても、第1時間長(期間T4の時間長)を第2時間長(期間T3の時間長)よりも大きくすることで、残留電流が減衰する時間をより多く確保できる。その結果、残留電流(裾引き電流)が反転期間Td1に当たりにくく、トランス33の偏磁が起こりにくくなる。ここでいう「残留電流」とは、第1回路1及び第2回路2を遮断した後に、第3回路3のトランス33の漏れインダクタンスに残っている電流をいう。
【0096】
これとは逆に、蓄電池80の電圧が比較的低い場合は、電圧利用率が上昇し余剰の時間が少なくなる。この場合、第1時間長(期間T4の時間長)を第2時間長(期間T3の時間長)よりも大きくしても、残留電流が減衰する時間を十分に確保できない可能性がある。このときは、トランス33の電圧の急反転が起こり、偏磁が起こる可能性がある。一般に偏磁が起こるとトランス33の励磁電流が増加することになり、より高い直流重畳特性が必要になる。本実施形態においても蓄電池80の電圧が低い場合は、偏磁が起こる可能性があるが、もともとの励磁電流が低いため、問題となり難い。
【0097】
ここで、第2時間長(期間T3の時間長)を必要最小値にし、第1時間長(期間T4の時間長)をとり得る範囲内の最大値とすることが好ましい。
【0098】
また、期間T3,T4は、以下のように定義することもできる。すなわち、電力変換システム10がインバータモードで動作中においては、供給期間である第2期間T2の終点から反転期間Td1の始点までが期間T4であり、反転期間Td1の終点から供給期間である第2期間T2の始点までが期間T3となる。同様に、電力変換システム10がコンバータモードで動作中においては、回生期間である第2期間T2の終点から反転期間Td1の始点までが期間T4であり、反転期間Td1の終点から回生期間である第2期間T2の始点までが期間T3となる。
【0099】
ところで、制御回路6は、第1回路1及び第2回路2の各々における過電流又は過電圧等の異常を検出する検出部を有していることが好ましい。そして、制御回路6は、検出部により第1回路1又は第2回路2における異常を検出した場合に、第1スイッチング素子Q11~Q16及び第2スイッチング素子Q21,Q22の少なくとも一方のオフタイミングと、第3スイッチング素子Q31~Q34のオフタイミングとを異ならせることが好ましい。
【0100】
具体的には、制御回路6は、例えば、検出部により第1回路1の過電圧又は過電流を検出した場合、第1スイッチング素子Q11~Q16をオフする。このとき、第2回路2の第2スイッチング素子Q21,Q22についてはオフしてもよいし、オフしなくてもよい。またこのとき、制御回路6は、第3回路3の第3スイッチング素子Q31~Q34のPWM制御を継続する。
【0101】
また、制御回路6は、例えば、検出部により第2回路2の過電圧又は過電流を検出した場合、第2スイッチング素子Q21,Q22をオフする。このとき、第1回路1の第1スイッチング素子Q11~Q16についてはオフしてもよいし、オフしなくてもよい。またこのとき、制御回路6は、第3回路3の第3スイッチング素子Q31~Q34のPWM制御を継続する。
【0102】
そして、制御回路6は、第1スイッチング素子Q11~Q16、及び第2スイッチング素子Q21,Q22の少なくとも一方をオフしてから所定時間が経過した後に、第3スイッチング素子Q31~Q34をオフする。
【0103】
この場合、第1回路1又は第2回路2からの回生エネルギをコンデンサC1に回生させることができ、その結果、回生エネルギによって第3スイッチング素子Q31~Q34にかかるストレスを低減することができる。
【0104】
(3.2)シミュレーション結果
次に、本実施形態に係る電力変換システム10のシミュレーション結果について、
図5A~
図8Cを参照して説明する。
【0105】
図5A~
図5Cは、第2回路2の出力電力が5kW、第3回路3の出力電力(放電電力)が5kW、第1回路1の出力電力(放電電力)が10kWの場合のシミュレーション結果である。
図5Aは電流の波形図であり、
図5Bは電圧の波形図であり、
図5Cは電力の波形図である。ここで、蓄電池80の両端電圧Vbatが320V、太陽電池70の両端電圧Vpvが300V、端子P1,N1間の電圧Vlinkが380Vである。また、トランス33の一次巻線331と二次巻線332との巻数比は1:1.2である。なお、
図5Bにおける端子P1,N1間の電圧Vlinkは平均値である。
図5Cによれば、第1回路1の出力電力(放電電力)は10kWであり、第2回路2の出力電力は5kWであり、第3回路3の出力電力(放電電力)は5kWであり、設定通りに電力の伝達が行われている。
【0106】
図6A~
図6Cは、第2回路2の出力電力が5kW、第3回路3の出力電力(充電電力)が-10kW、第1回路1の出力電力(充電電力)が-5kWの場合のシミュレーション結果である。
図6Aは電流の波形図であり、
図6Bは電圧の波形図であり、
図6Cは電力の波形図である。ここで、蓄電池80の両端電圧Vbatが320V、太陽電池70の両端電圧Vpvが300V、端子P1,N1間の電圧Vlinkが380Vである。また、トランス33の一次巻線331と二次巻線332との巻数比は1:1.2である。なお、
図6Bにおける端子P1,N1間の電圧Vlinkは平均値である。
図6Cによれば、第1回路1の出力電力(充電電力)は-5kWであり、第2回路2の出力電力は5kWであり、第3回路3の出力電力(放電電力)は-10kWであり、設定通りに電力の伝達が行われている。
【0107】
図7は、
図8A~
図8Cに示す、本実施形態に係る電力変換システム10のインバータモードにおける一部分の動作拡大波形図である。
図8A~
図8Cは、第2回路2の出力電力が10kW、第3回路3の出力電力が0kW、第1回路1の出力電力(放電電力)が10kWの場合のシミュレーション結果である。
図8Aは電流の波形図であり、
図8Bは電圧の波形図であり、
図8Cは電力の波形図である。ここで、蓄電池80の両端電圧Vbatが320V、太陽電池70の両端電圧Vpvが300V、端子P1,N1間の電圧Vlinkが380Vである。また、トランス33の一次巻線331と二次巻線332との巻数比は1:1.2である。なお、
図8Bにおける端子P1,N1間の電圧Vlinkは平均値である。
図8Cによれば、第1回路1の出力電力(放電電力)は10kWであり、第2回路2の出力電力は10kWであり、第3回路3の出力電力は0kWであり、設定通りに電力の伝達が行われている。ここで着目すべき点は、
図7によれば、第3回路3の出力電流I3の時間平均値は0Aであり、第3回路3の出力電力は0kWとなっている。このように、第3回路3の出力が0kWの状態でも、矩形波状の出力電圧VTを出力することができ、接続部7に平滑用のコンデンサが設けられてなくても、第1回路1と第2回路2との間で電力の伝達を行うことができる。
【0108】
(4)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態1の変形例を列挙する。
【0109】
本開示における電力変換システム10は、例えば、制御回路6に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における電力変換システム10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0110】
また、電力変換システム10の複数の構成要素が、1つの筐体内に収容されていることは電力変換システム10に必須の構成ではなく、電力変換システム10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。電力変換システム10の一部の機能、例えば、制御回路6の機能は、サーバシステム又はクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0111】
(4.1)変形例1
実施形態1では、第3回路3がセンタータップ方式のコンバータ回路であるが、第3回路3は、
図9A及び
図9Bに示すように、一次側回路31の代わりに、一次側回路31A又は一次側回路31Bを有していてもよい。さらに、第3回路3は、
図10に示すように、二次側回路32の代わりに、二次側回路32Aを有していてもよい。つまり、第3回路3は、一次側回路31,31A,31Bのいずれかと、二次側回路32,32Aのいずれかと、を有していればよい。言い換えると、第3回路3は、一次側回路31,31A,31Bのいずれかと、二次側回路32,32Aのいずれかと、を組み合わせることができる。以下、変形例1に係る電力変換システム10について、
図9A、
図9B及び
図10を参照して説明する。なお、変形例1に係る電力変換システム10は、第3回路3以外の構成については実施形態1に係る電力変換システム10と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0112】
変形例1に係る電力変換システム10は、第1回路1と、第2回路2と、第3回路3と、を備えている。また、電力変換システム10は、フィルタ回路4と、スナバ回路5と、制御回路6と、接続部7と、を更に備えている。また、電力変換システム10は、2つの第1直流端子T11,T12と、2つの第2直流端子T21,T22と、3つの交流端子T31,T32,T33と、を更に備えている。
【0113】
第3回路3の一次側回路31Aは、
図9Aに示すように、4つの第3スイッチング素子Q35~Q38と、巻線L35と、を有している。
【0114】
第3スイッチング素子Q35~Q38の各々は、例えば、デプレッション型のnチャネルMOSFETである。高電位側の第3スイッチング素子Q35は、コンデンサC1の両端間において、低電位側の第3スイッチング素子Q36と電気的に直列に接続されている。高電位側の第3スイッチング素子Q37は、コンデンサC1の両端間において、低電位側の第3スイッチング素子Q38と電気的に直列に接続されている。つまり、コンデンサC1の両端間には、第3スイッチング素子Q35,Q36の直列回路と、第3スイッチング素子Q37,Q38の直列回路とが、電気的に並列に接続されている。
【0115】
第3スイッチング素子Q35~Q38の各々は、寄生ダイオードを含んでいる。各第3スイッチング素子Q35~Q38の寄生ダイオードは、アノードが対応する第3スイッチング素子Q35~Q38のソースに電気的に接続され、カソードが対応する第3スイッチング素子Q35~Q38のドレインに電気的に接続されている。
【0116】
高電位側の第3スイッチング素子Q35,Q37のドレインは、高電位側の第2直流端子T21に電気的に接続されている。低電位側の第3スイッチング素子Q36,Q38のソースは、低電位側の第2直流端子T22に電気的に接続されている。高電位側の第3スイッチング素子Q35のソースは、低電位側の第3スイッチング素子Q36のドレインに電気的に接続されている。高電位側の第3スイッチング素子Q37のソースは、低電位側の第3スイッチング素子Q38のドレインに電気的に接続されている。
【0117】
巻線L35の第1端は、第3スイッチング素子Q35,Q36の接続点に電気的に接続され、巻線L35の第2端は、第3スイッチング素子Q37,Q38の接続点に電気的に接続されている。
【0118】
また、第3回路3の一次側回路31Bは、
図9Bに示すように、2つの第3スイッチング素子Q39,Q40と、コンデンサC31と、巻線L35と、を有している。
【0119】
第3スイッチング素子Q39,Q40の各々は、例えば、デプレッション型のnチャネルMOSFETである。高電位側の第3スイッチング素子Q39は、コンデンサC1の両端間において、低電位側の第3スイッチング素子Q40と電気的に直列に接続されている。つまり、コンデンサC1の両端間には、第3スイッチング素子Q39,Q40の直列回路が電気的に接続されている。
【0120】
第3スイッチング素子Q39,Q40の各々は、寄生ダイオードを含んでいる。各第3スイッチング素子Q39,Q40の寄生ダイオードは、アノードが対応する第3スイッチング素子Q39,Q40のソースに電気的に接続され、カソードが対応する第3スイッチング素子Q39,Q40のドレインに電気的に接続されている。
【0121】
高電位側の第3スイッチング素子Q39のドレインは、高電位側の第2直流端子T21に電気的に接続されている。低電位側の第3スイッチング素子Q40のソースは、低電位側の第2直流端子T22に電気的に接続されている。高電位側の第3スイッチング素子Q39のソースは、低電位側の第3スイッチング素子Q40のドレインに電気的に接続されている。
【0122】
巻線L35の第1端は、第3スイッチング素子Q39,Q40の接続点に電気的に接続され、巻線L35の第2端は、コンデンサC31を介して低電位側の第2直流端子T22に電気的に接続されている。
【0123】
第3回路3の二次側回路32Aは、
図10に示すように、4つの第3スイッチング素子Q41~Q44と、巻線L36と、を有している。
【0124】
第3スイッチング素子Q41~Q44の各々は、例えば、デプレッション型のnチャネルMOSFETである。高電位側の第3スイッチング素子Q41は、端子P1,N1間において、低電位側の第3スイッチング素子Q42と電気的に直列に接続されている。高電位側の第3スイッチング素子Q43は、端子P1,N1間において、低電位側の第3スイッチング素子Q44と電気的に直列に接続されている。つまり、端子P1,N1間には、第3スイッチング素子Q41,Q42の直列回路と、第3スイッチング素子Q43,Q44の直列回路とが、電気的に並列に接続されている。
【0125】
第3スイッチング素子Q41~Q44の各々は、寄生ダイオードを含んでいる。各第3スイッチング素子Q41~Q44の寄生ダイオードは、アノードが対応する第3スイッチング素子Q41~Q44のソースに電気的に接続され、カソードが対応する第3スイッチング素子Q41~Q44のドレインに電気的に接続されている。
【0126】
高電位側の第3スイッチング素子Q41,Q43のドレインは、高電位側の端子P1に電気的に接続されている。低電位側の第3スイッチング素子Q42,Q44のソースは、低電位側の端子N1に電気的に接続されている。高電位側の第3スイッチング素子Q41のソースは、低電位側の第3スイッチング素子Q42のドレインに電気的に接続されている。高電位側の第3スイッチング素子Q43のソースは、低電位側の第3スイッチング素子Q44のドレインに電気的に接続されている。
【0127】
巻線L36の第1端は、第3スイッチング素子Q41,Q42の接続点に電気的に接続され、巻線L36の第2端は、第3スイッチング素子Q43,Q44の接続点に電気的に接続されている。
【0128】
これらの一次側回路31A,31B、及び二次側回路32Aを用いた場合でも、平坦部W12に相当する直流電圧を端子P1,N1間に発生させることができる。したがって、この場合においても、平滑用のコンデンサを用いることなく第1回路1と第2回路2とを直流側で電気的に接続することができる。
【0129】
(4.2)変形例2
電力変換システム10は、スナバ回路5の代わりに、スナバ回路5A~5Dのいずれかを備えていてもよい。以下、変形例2に係る電力変換システム10について、
図11A~
図11Dを参照して説明する。なお、変形例2に係る電力変換システム10は、スナバ回路5A~5D以外の構成については実施形態1に係る電力変換システム10と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0130】
変形例2に係る電力変換システム10は、第1回路1と、第2回路2と、第3回路3と、を備えている。また、電力変換システム10は、フィルタ回路4と、スナバ回路5A~5Dのいずれかと、制御回路6と、接続部7と、を更に備えている。また、電力変換システム10は、2つの第1直流端子T11,T12と、2つの第2直流端子T21,T22と、3つの交流端子T31,T32,T33と、を更に備えている。
【0131】
スナバ回路5Aは、
図11Aに示すように、ダイオードD1と、抵抗R1と、コンデンサC51と、を有している。ダイオードD1は、端子P1,N1間において、コンデンサC51と電気的に直列に接続されている。ダイオードD1のアノードは、端子P1に電気的に接続され、ダイオードD1のカソードは、コンデンサC51を介して端子N1に電気的に接続されている。抵抗R1は、ダイオードD1のアノードとカソードとの間に電気的に接続されている。スナバ回路5Aでは、コンデンサC51に蓄積された電気エネルギが抵抗R1で消費される。
【0132】
スナバ回路5Bは、
図11Bに示すように、ダイオードD1と、抵抗R1と、コンデンサC51と、スイッチング素子Q51と、を有している。ダイオードD1は、端子P1,N1間において、コンデンサC51と電気的に直列に接続されている。ダイオードD1のアノードは、端子P1に電気的に接続され、ダイオードD1のカソードは、コンデンサC51を介して端子N1に電気的に接続されている。抵抗R1の第1端は、ダイオードD1及びコンデンサC51の接続点に電気的に接続され、抵抗R1の第2端は、スイッチング素子Q51を介して端子N1に電気的に接続されている。スナバ回路5Bでは、スイッチング素子Q51をオンすることによって、コンデンサC51に蓄積された電気エネルギが抵抗R1で消費される。
【0133】
スナバ回路5Cは、
図11Cに示すように、複数(
図11Cでは2つ)のダイオードD1,D2と、インダクタL51と、複数(
図11Cでは2つ)のコンデンサC51,C52と、複数(
図11Cでは2つ)のスイッチング素子Q51,Q52と、を有している。ダイオードD1は、端子P1,N1間において、コンデンサC51と電気的に直列に接続されている。ダイオードD2は、端子P1,N1間において、コンデンサC52と電気的に直列に接続されている。ダイオードD1のアノードは、端子P1に電気的に接続され、ダイオードD1のカソードは、コンデンサC51を介して端子N1に電気的に接続されている。ダイオードD2のアノードは、コンデンサC52を介して端子N1に電気的に接続され、ダイオードD1のカソードは、端子P1に電気的に接続されている。つまり、ダイオードD1とダイオードD2とは、端子P1,N1間において互いに逆向きに接続されている。インダクタL51の第1端は、スイッチング素子Q51を介してダイオードD1及びコンデンサC51の接続点に電気的に接続され、インダクタL51の第2端は、ダイオードD2及びコンデンサC52の接続点に電気的に接続されている。スイッチング素子Q52は、スイッチング素子Q51及びインダクタL51の接続点と端子N1との間に電気的に接続されている。スナバ回路5Cでは、スイッチング素子Q51,Q52及びインダクタL51により降圧チョッパ回路を構成している。スナバ回路5Cでは、スイッチング素子Q51,Q52をオン/オフすることによってコンデンサC1の両端電圧を降圧し、降圧後の両端電圧に相当する電気エネルギがコンデンサC52に蓄積される。
【0134】
スナバ回路5Dは、
図11Dに示すように、複数(
図11Dでは2つ)のダイオードD1,D2と、抵抗R1と、複数(
図11Dでは2つ)のコンデンサC51,C52と、スイッチング素子Q51と、を有している。ダイオードD1は、端子P1,N1間において、コンデンサC51と電気的に直列に接続されている。ダイオードD2は、端子P1,N1間において、コンデンサC52と電気的に直列に接続されている。ダイオードD1のアノードは、端子P1に電気的に接続され、ダイオードD1のカソードは、コンデンサC51を介して端子N1に電気的に接続されている。ダイオードD2のアノードは、コンデンサC52を介して端子N1に電気的に接続され、ダイオードD1のカソードは、端子P1に電気的に接続されている。つまり、ダイオードD1とダイオードD2とは、端子P1,N1間において互いに逆向きに接続されている。抵抗R1の第1端は、ダイオードD1及びコンデンサC51の接続点に電気的に接続され、抵抗R1の第2端は、スイッチング素子Q51を介してダイオードD2及びコンデンサC52の接続点に電気的に接続されている。スナバ回路5Dでは、スイッチング素子Q51をオンすることによって、コンデンサC51に蓄積された電気エネルギが抵抗R1を介してコンデンサC52に蓄積される。
【0135】
スナバ回路5A~5Dの場合でも、端子P1,N1間のバス電圧Vbusが第1クランプ値Vclp1を超えると、端子P1,N1から第1クランプ値Vclp1を超える分の電気エネルギを吸収し、バス電圧Vbusの上限値を第1クランプ値Vclp1にクランプする。また、スナバ回路5C,5Dの場合には、バス電圧Vbusが第2クランプ値Vclp2(<Vclp1)を下回ると、端子P1,N1に電気エネルギを注入(回生)することにより、バス電圧Vbusの下限値を第2クランプ値Vclp2にクランプする。
【0136】
したがって、電力変換システム10が、スナバ回路5の代わりに、スナバ回路5A~5Dのいずれかを備えている場合には、電力変換システム10に発生するリンギング又はサージ電圧を抑制することができる。
【0137】
(4.3)変形例3
以下、実施形態1のその他の変形例を列挙する。
【0138】
実施形態1では、主にインバータモードでの動作について説明したが、コンバータモードでの動作についても同様に対応することができる。
【0139】
また、実施形態1では、電力変換システム10がインバータモードとコンバータモードとの2つの動作モードを有しているが、この構成は電力変換システム10に必須の構成ではない。電力変換システム10は、動作モードとしてインバータモードのみを有していてもよいし、コンバータモードのみを有していてもよい。つまり、電力変換システム10は、双方向に電力の変換を行う構成に限らず、単方向に電力の変換を行う構成であってもよい。
【0140】
また、第1スイッチング素子Q11~Q16、第2スイッチング素子Q21,Q22、及び第3スイッチング素子Q31~Q34の各々は、寄生ダイオードに代えて、外付けのダイオードが接続されていてもよい。また、第1スイッチング素子Q11~Q16、第2スイッチング素子Q21,Q22、及び第3スイッチング素子Q31~Q34の各々は、MOSFETに限らず、例えば、npn型の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ等であってもよい。この場合、ダイオードは、スイッチング素子がオンされているときにスイッチング素子に流れる電流とは逆向きの電流を流す向きで、エミッタ及びコレクタ間に電気的に接続される。
【0141】
また、制御回路6は、マイクロコンピュータに限らず、例えば、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で実現されてもよい。
【0142】
また、第1期間T1の始点から反転期間Td1の始点までの期間T4の長さである第1時間長は、反転期間Td1の終点から第1期間T1の終点までの期間T3の長さである第2時間長と等しくてもよい。
【0143】
また、スナバ回路5,5A,5B,5C,5Dについては省略してもよい。さらに、実施形態1では、スナバ回路5が端子P1,N1と第1回路1との間に接続されているが、スナバ回路5,5A,5B,5C,5Dは、例えば、第2回路2と端子P1,N1との間に接続されてもよいし、第3回路3と端子P1,N1との間に接続されてもよい。
【0144】
また、実施形態1では、第2回路2は、同期整流型の昇圧チョッパ回路であるが、非同期整流型の昇圧チョッパ回路であってもよい。さらに、第2回路2は、絶縁型の昇圧チョッパ回路であってもよい。
【0145】
また、接続部7は、平滑用のコンデンサを含んでいてもよい。
【0146】
また、第1回路1の第1外側端子に電気的に接続される交流電源又は交流負荷は単相であってもよい。この場合、第1回路1は、ブリッジ接続された4つの第1スイッチング素子にて構成される。
【0147】
(実施形態2)
実施形態1に係る電力変換システム10では、1つの第1回路1及び1つの第2回路2に対して1つの第3回路3が接続されているが、例えば、
図12及び
図13に示すように、2つの第1回路1A,1B及び2つの第2回路2A,2Bに対して1つの第3回路3が接続されてもよい。以下、実施形態2に係る電力変換システム10Aについて、
図12及び
図13を参照して説明する。なお、実施形態2に係る電力変換システム10Aの第1回路1A,1B、第2回路2A,2B及び第3回路3の各々については、実施形態1に係る電力変換システム10の第1回路1、第2回路2及び第3回路3の各々と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。また、
図12及び
図13では、図示を簡略化するために、スナバ回路5及び制御回路6の図示を省略している。
【0148】
実施形態2に係る電力変換システム10Aは、
図12及び
図13に示すように、複数(ここでは2つ)の第1回路1A,1Bと、複数(ここでは2つ)の第2回路2A,2Bと、1つの第3回路3と、を備えている。また、電力変換システム10Aは、複数(ここでは2つ)のフィルタ回路4A,4Bと、複数のスナバ回路5と、制御回路6と、接続部7と、を更に備えている。複数の第1回路1A,1Bと複数の第2回路2A,2Bと複数のフィルタ回路4A,4Bと複数のスナバ回路5とは一対一に対応している。
【0149】
複数の第2回路2の各々の一端側には、第1機器71又は第2機器72が電気的に接続されている。第1機器71及び第2機器72の各々は、例えば、太陽電池、蓄電池、及び燃料電池のいずれかである。また、第1機器71及び第2機器72の各々は、例えば、直流電圧源となり得るコンバータ回路等で構成されてもよい。さらに、第1機器71及び第2機器72の各々は、直流を入力とする電気回路、負荷機器、電動機等であってもよい。
【0150】
複数の第2回路2の他端側には、接続部7を介して複数の第1回路1が電気的に接続されている。つまり、実施形態2に係る電力変換システム10Aでは、複数の第2回路2と複数の第1回路1とが同一の接続部7に電気的に接続されている。複数の第1回路1における第2回路2と反対側の端部には、複数のフィルタ回路4が電気的に接続されている。複数のフィルタ回路4の各々には、第3機器91又は第4機器92が電気的に接続されている。第3機器91及び第4機器92の各々は、例えば、交流系統である。また、第3機器91及び第4機器92の各々は、交流を入力とする電気回路、負荷機器、電動機等であってもよい。
【0151】
第3回路3の一端側には、直流電圧源81が電気的に接続されている。直流電圧源81は、例えば、太陽電池、蓄電池、及び燃料電池のいずれかである。また、直流電圧源81は、例えば、直流電圧源となり得るコンバータ回路等で構成されてもよい。第3回路3の他端側は、接続部7に電気的に接続されている。つまり、実施形態2に係る電力変換システム10Aでは、複数の第1回路1と複数の第2回路2と1つの第3回路3とが同一の接続部7に電気的に接続されている。
【0152】
実施形態2に係る電力変換システム10Aでは、上述のように、2つの第1回路1A,1Bと2つの第2回路2A,2Bと1つの第3回路3とが同一の接続部7に電気的に接続されている。第3回路3は、出力電圧VTのうち平坦部W12に相当する直流電圧を接続部7(端子P1,N1)に発生させることができる。これにより、平滑用のコンデンサを用いることなく複数の第1回路1A,1Bと複数の第2回路2A,2Bとを直流側で電気的に接続することができる。
【0153】
なお、実施形態2では、第1回路1A,1B及び第2回路2A,2Bの各々の個数が2つであるが、第1回路及び第2回路の各々の個数は3つ以上であってもよい。
【0154】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る電力変換システム(10;10A)は、第1回路(1)と、第2回路(2)と、を備え、第1回路(1)の第1内側端子(111,112)と第2回路(2)の第2内側端子(211,212)との間で直流電力の伝達を行う。第1回路(1)は、第1内側端子(111,112)及び第1外側端子(113~115)を有し、第1外側端子(113~115)に交流電源又は交流負荷が電気的に接続される。第2回路(2)は、少なくとも第2内側端子(211,212)を有する。電力変換システム(10;10A)は、第3回路(3)を更に備える。第3回路(3)は、第3内側端子(341,342)及び第3外側端子(343,344)を有する。電力変換システム(10;10A)では、第1内側端子(111,112)と第2内側端子(211,212)と第3内側端子(341,342)とが同一の接続部(7)に電気的に接続されている。第3回路(3)は、スイッチング素子(Q31~Q34)、及びスイッチング素子(Q31~Q34)に電気的に接続されるトランス(33)を有する。第3回路(3)は、スイッチング素子(Q31~Q34)及びトランス(33)を介してトランス(33)の二次巻線(332)の両端間に出力電圧(VT)を出力する。二次巻線(332)は第3内側端子(341,342)に電気的に接続されている。出力電圧(VT)の波形(W1)は、立ち上がり部(W11)と、立ち下がり部(W13)と、平坦部(W12)と、を含む。立ち上がり部(W11)では、出力電圧(VT)が第1電位(VT1)から第1電位(VT1)よりも高い第2電位(VT2)に変化する。立ち下がり部(W13)では、出力電圧(VT)が第2電位(VT2)から第1電位(VT1)に変化する。平坦部(W12)では、出力電圧(VT)が第1電位(VT1)又は第2電位(VT2)に維持される。
【0155】
この態様によれば、第3回路(3)のトランス(33)の二次巻線(332)の両端間に発生する出力電圧(VT)のうち平坦部(W12)に相当する直流電圧を接続部(7)に発生させることができる。そのため、平滑用のコンデンサを用いることなく複数の回路(第1回路1及び第2回路2)を直流側で接続することができる。
【0156】
第2の態様に係る電力変換システム(10;10A)では、第1の態様において、接続部(7)は、平滑用のコンデンサを含まない。
【0157】
この態様によれば、接続部(7)が平滑用のコンデンサを含む場合に比べて電力変換システム(10;10A)の小型化が可能である。
【0158】
第3の態様に係る電力変換システム(10;10A)は、第1又は2の態様において、接続部(7)に電気的に接続されるスナバ回路(5;5A;5B;5C;5D)を更に備える。
【0159】
この態様によれば、電力変換システム(10;10A)に発生するリンギング又はサージ電圧を抑制することができる。
【0160】
第4の態様に係る電力変換システム(10;10A)では、第1~3のいずれかの態様において、第1回路(1)は、スイッチング素子としての第3スイッチング素子(Q31~Q34)とは異なる第1スイッチング素子(Q11~Q16)を有する。第2回路(2)は、第1スイッチング素子(Q11~Q16)及び第3スイッチング素子(Q31~Q34)とは異なる第2スイッチング素子(Q21,Q22)を有する。第1回路(1)は、第1スイッチング素子(Q11~Q16)のオン/オフを制御することによって矩形波状の第1出力電流(I1)を第1内側端子(111)に出力するように構成されている。第2回路(2)は、第2スイッチング素子(Q21,Q22)のオン/オフを制御することによって矩形波状の第2出力電流(I2)を第2内側端子(211)に出力するように構成されている。
【0161】
この態様によれば、トランス(33)の漏れインダクタンスに伴う残留電流を低減することができる。
【0162】
第5の態様に係る電力変換システム(10;10A)では、第4の態様において、第1駆動信号(Sig5~Sig10)、第2駆動信号(Sig11,Sig12)、及び第3駆動信号(Sig1~Sig4)が同期している。第1駆動信号(Sig5~Sig10)は、第1スイッチング素子(Q11~Q16)をオン/オフするための信号である。第2駆動信号(Sig11,Sig12)は、第2スイッチング素子(Q21,Q22)をオン/オフするための信号である。第3駆動信号(Sig1~Sig4)は、第3スイッチング素子(Q31~Q34)をオン/オフするための信号である。
【0163】
この態様によれば、第3スイッチング素子Q31~Q34は、負荷電流によらず常に安定したスイッチングが行えるゼロ電流スイッチング(ソフトスイッチング)が可能である。
【0164】
第6の態様に係る電力変換システム(10;10A)では、第5の態様において、第1スイッチング素子(Q11~Q16)のオンタイミング及びオフタイミングの一方と、第2スイッチング素子(Q21,Q22)のオンタイミング及びオフタイミングの一方と、が同期している。
【0165】
この態様によれば、トランス(33)の漏れインダクタンスによって発生するリンギング電圧を小さくすることができる。その結果、電力損失が抑制される。
【0166】
第7の態様に係る電力変換システム(10;10A)では、第4~6のいずれかの態様において、第1回路(1)及び第2回路(2)の各々は、トランス(33)の一次巻線(331)に印加される電圧の極性が反転する反転期間(Td1)を含む第1期間(T1;T1a;T1b)に、第3回路(3)との間で電力の伝達を行わないように構成されている。
【0167】
この態様によれば、第3回路(3)が負荷電流によらず常に安定したスイッチングを行える、ゼロ電流スイッチングを行うことができ、スイッチング損失を低減することができる。
【0168】
第8の態様に係る電力変換システム(10;10A)では、第7の態様において、第1時間長は、第2時間長以上である。第1時間長は、第1期間(T1)の始点から反転期間(Td1)の始点までの期間の長さである。第2時間長は、反転期間(Td1)の終点から第1期間(T1)の終点までの期間の長さである。
【0169】
この態様によれば、第1時間長を長くすることができるので、残留電流(裾引き電流)が反転期間(Td1)に当たりにくく、トランス(33)の偏磁が起こりにくくなる。
【0170】
第9の態様に係る電力変換システム(10;10A)は、第4~8のいずれかの態様において、制御回路(6)を更に備える。制御回路(6)は、第1回路(1)と第2回路(2)との一方において異常を検知した場合に、第1スイッチング素子(Q11~Q16)及び第2スイッチング素子(Q21,Q22)の少なくとも一方をオフしてから所定時間が経過した後に第3スイッチング素子(Q31~Q34)をオフする。
【0171】
この態様によれば、第1スイッチング素子(Q11~Q16)及び第2スイッチング素子(Q21,Q22)をオフするタイミングで第3スイッチング素子(Q31~Q34)をオフする場合に比べて、回生エネルギによって第3スイッチング素子(Q31~Q34)にかかるストレスを低減することができる。
【0172】
第10の態様に係る電力変換システム(10A)は、第1~9のいずれかの態様において、第1回路(1A,1B)及び第2回路(2A,2B)の各々を複数備える。複数の第1回路(1A,1B)の各々の第1内側端子(111,112)と複数の第2回路(2A,2B)の各々の第2内側端子(211,212)と第3回路(3)の第3内側端子(341,342)とが接続部(7)に電気的に接続されている。
【0173】
この態様によれば、平滑用のコンデンサを用いることなく複数の第1回路(1A,1B)と複数の第2回路(2A,2B)とを直流側で電気的に接続することができる。
【0174】
第11の態様に係る仮想直流電圧生成回路(3)は、第1~10のいずれかの態様に係る電力変換システム(10;10A)に第3回路として用いられる。
【0175】
この態様によれば、仮想直流電圧生成回路(3)のトランス(33)の二次巻線(332)の両端間に発生する出力電圧(VT)のうち平坦部(W12)に相当する直流電圧を接続部(7)に発生させることができる。そのため、平滑用のコンデンサを用いることなく複数の回路(第1回路1及び第2回路2)を直流側で接続することができる。
【0176】
第2~10の態様に係る構成については、電力変換システム(10;10A)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0177】
1 第1回路
111,112 第1内側端子
113~115 第1外側端子
Q11~Q16 第1スイッチング素子
2 第2回路
211,212 第2内側端子
213,214 第2外側端子
Q21,Q22 第2スイッチング素子
3 第3回路(直流電圧生成回路)
33 トランス
341,342 第3内側端子
343,344 第3外側端子
Q31~Q34 第3スイッチング素子(スイッチング素子)
5,5A,5B,5C,5D スナバ回路
6 制御回路
7 接続部
10,10A 電力変換システム
I1 第1出力電流
I2 第2出力電流
T1 第1期間
Td1 反転期間
VT 出力電圧
VT1 第1電位
VT2 第2電位
W1 出力電圧の波形
W11 立ち上がり部
W12 平坦部
W13 立ち下がり部