(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】発光装置、及びそれを備える移動体
(51)【国際特許分類】
H01L 33/64 20100101AFI20221223BHJP
F21S 41/141 20180101ALI20221223BHJP
F21S 45/47 20180101ALI20221223BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221223BHJP
【FI】
H01L33/64
F21S41/141
F21S45/47
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2018174388
(22)【出願日】2018-09-19
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木本 良平
【審査官】大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-204442(JP,A)
【文献】特開2012-028068(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0117451(KR,A)
【文献】特開2017-139133(JP,A)
【文献】特開2017-123282(JP,A)
【文献】特開2017-033762(JP,A)
【文献】特開2017-016803(JP,A)
【文献】特開2017-010773(JP,A)
【文献】特開2016-031923(JP,A)
【文献】特開2015-115532(JP,A)
【文献】特開2013-008940(JP,A)
【文献】特開2012-209537(JP,A)
【文献】特表2008-537344(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1866835(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0161190(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1101241(KR,B1)
【文献】特開2022-173319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
B60Q 1/00 - 1/56
F21K 9/00 - 9/90
F21S 2/00 - 45/70
F21V 1/00 - 99/00
F21W 102/00 -131/411
F21Y 101/00 -115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の第1面に実装される光源と、
前記基板の第2面に実装される複数の電子部品を含み、電源から前記光源に供給される電力を制御する電力制御回路と、を備え、
前記基板には、前記基板の厚さ方向に延在する複数のビアホールが設けられ、
前記第1面の少なくとも一部を被覆するように配置され、前記光源と直接又は金属材料で構成される他の部位を介して間接的に接触する接触均熱体と、
前記各ビアホールの内周面を被覆するように配置され、前記接触均熱体と直接又は金属材料で構成される他の部位を介して間接的に接触するホール内均熱体と、
前記第2面の少なくとも一部を被覆するように配置され、前記ホール内均熱体と直接又は金属材料で構成される他の部位を介して間接的に接触する付加均熱体と、を更に備え
、
前記基板は、長手方向と幅方向とを決定できる形状を有し、
前記複数のビアホールは、前記電力制御回路に対して前記幅方向に間隔をおいた状態で配置され、
前記光源は、前記幅方向と前記厚さ方向を含むと共に前記基板の長手方向が二等分される平面に交差する位置に存在し、
前記電力制御回路は、前記平面に交差する位置に存在する電圧制御部を含み、
前記電力制御回路は、前記基板と異なる他の基板に配線を接続するのに用いられる配線接続部と、前記電源からの電力を受電する受電端子部を含み、
前記配線接続部は、前記平面における前記長手方向の一方側に位置し、前記受電端子部は、前記平面における前記長手方向の他方側に位置する、発光装置。
【請求項2】
前記受電端子部と前記平面との距離が、前記配線接続部と前記平面との距離よりも短い、請求項
1に記載の発光装置。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の発光装置を備える移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置と、それを備える移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光装置としては、特許文献1に記載されているものがある。この発光装置では、複数の発光素子が基板の一方側面に実装され、基板には、厚さ方向から見たとき各発光素子に重なる位置に、発光素子毎に数個のスルーホールが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出力が大きな光源を有する発光装置では、光源が大熱量の熱を放出するが、その熱を費用をかけずに効率的に放熱できれば好ましい。
【0005】
そこで、本開示の目的は、光源が発する熱を、費用をかけずに効率的に放熱し易い発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示の発光装置は、基板と、基板の第1面に実装される光源と、基板の第2面に実装される複数の電子部品を含み、電源から光源に供給される電力を制御する電力制御回路と、を備え、基板には、基板の厚さ方向に延在すると共に光源の周囲部に密集した状態で配置される複数のビアホールが設けられ、第1面の少なくとも一部を被覆するように配置され、光源と接触する接触均熱体と、各ビアホールの内周面を被覆するように配置され、接触均熱体と接触するホール内均熱体と、第2面の少なくとも一部を被覆するように配置され、ホール内均熱体と接触する付加均熱体と、を更に備える。
【0007】
なお、本明細書では、上記光源の周囲部を、次のように定義する。詳しくは、光源を基板の厚さ方向から見たときの光源の平面視における平面図形において、その平面図形に含まれる最も長い直線を決定する。上記光源の周囲部は、その直線の中心を中心とし、その直線の長さの5倍の長さの直径を有する円に囲まれた領域に基板の厚さ方向に重なる領域として定義する。
【0008】
具体例を用いて説明すると、例えば、
図4に示すように、光源117の平面視における平面図形118が矩形である場合には、平面図形118に含まれる最も長い直線119が、対角線となる。そして、その直線119の中心120を中心とし、その直線119の長さの5倍の長さの直径を有する円が参照番号121で示す円となる。よって、光源117の周囲部は、円121に囲まれた領域に基板の厚さ方向であるZ方向に重なる領域となる。
【0009】
また、
図5に示すように、光源217の平面視における平面図形218が楕円である場合には、平面図形218に含まれる最も長い直線219が、長軸となる。そして、その直線219の中心220を中心とし、その直線219の長さの5倍の長さの直径を有する円が参照番号221で示す円となる。よって、光源217の周囲部は、円221に囲まれた領域に基板の厚さ方向であるZ方向に重なる領域となる。
【0010】
また、複数のビアホールが密集した状態を、次のように定義する。詳しくは、複数のビアホールの内で開口面積が最も大きい最大ビアホールに関して、その最大ビアホールを基板の厚さ方向から見たときの最大ビアホールの平面視における平面図形において、その平面図形に含まれる最も長い直線を決定する。上記複数のビアホールが密集した状態は、全ての隣り合う2つのビアホールの組において、一方のビアホールの縁と他方のビアホールの縁との最短距離が、上記最大ビアホールの上記直線の3倍の長さよりも短くなっている状態として定義する。なお、ビアホールが円筒孔のとき、最も長い直線は、円形の開口の直径となる。また、複数のビアホールが、全て円筒孔であるとき、複数のビアホールは、直径が異なる2以上のビアホールを含んでもよく、この場合、最大ビアホールは、最も大きな直径を有するビアホールとなる。なお、ビアホールの開口の形状は、円に限らず如何なる形状でもよく、例えば、楕円、又は矩形等でもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、光源が発する熱を、費用をかけずに効率的に放熱し易い発光装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態に係る発光装置の第1基板における第2面側の平面図である。
【
図2】上記第1基板の第1面側における光源周辺部分をZ方向から見たときの部分拡大平面図であり、
図1に領域Rで示す領域における部分拡大平面図である。
【
図3】上記第1基板の厚さ方向を含むと共に一つのビアホールを通過する切断面における第1基板周辺の拡大模式断面図である。
【
図4】光源の周囲部の定義について説明する平面図である。
【
図5】光源の周囲部の定義について説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。
【0014】
また、以下では、基板が、長手方向と幅方向とを決定できる形状を有する場合を例に説明を行う。基板は、平面視が矩形の平面形状を有するもの、矩形の板形状の基板から角部を面取りしたもの、矩形基板の一部に局所的に凹部が設けられたもの等があるが、これらのいずれの基板でも、長手方向、幅方向を決定できる。X方向は、基板の長手方向を示す。また、Y方向は、直交方向の一例であり、基板の幅方向を示す。また、Z方向は、基板の厚さ方向を示す。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する。なお、理解を容易にするため、
図4、及び
図5にも、X方向、Y方向、及びZ方向を記載している。
【0015】
また、上述のように、実施例の説明において、上記光源の周囲部を、次のように定義する。詳しくは、光源を基板の厚さ方向から見たときの光源の平面視における平面図形において、その平面図形に含まれる最も長い直線を決定する。上記光源の周囲部は、その直線の中心を中心とし、その直線の長さの5倍の長さの直径を有する円に囲まれた領域に基板の厚さ方向に重なる領域として定義する。
【0016】
また、実施例の説明において、複数のビアホールが密集した状態を、次のように定義する。詳しくは、複数のビアホールの内で開口面積が最も大きい最大ビアホールに関して、その最大ビアホールを基板の厚さ方向から見たときの最大ビアホールの平面視における平面図形において、その平面図形に含まれる最も長い直線を決定する。上記複数のビアホールが密集した状態は、全ての隣り合う2つのビアホールの組において、一方のビアホールの縁と他方のビアホールの縁との最短距離が、上記最大ビアホールの上記直線の3倍の長さよりも短くなっている状態として定義する。なお、ビアホールが円筒孔のとき、最も長い直線は、円形の開口の直径となる。また、複数のビアホールが、全て円筒孔であるとき、複数のビアホールは、直径が異なる2以上のビアホールを含んでもよく、この場合、最大ビアホールは、最も大きな直径を有するビアホールとなる。なお、ビアホールの開口の形状は、円に限らず如何なる形状でもよく、例えば、楕円、又は矩形等でもよい。
【0017】
図1は、発光装置1の第1基板10における第2面側の平面図である。なお、
図1では、第2面の裏側の第1面に実装されて実際には視認できない光源11を点線で示す。発光装置1は、移動体の一例としての図示しない二輪車(オートバイ)の前照灯(ヘッドライト)に搭載される。発光装置1には、電源の一例としてのバッテリ(図示せず)から電力が供給される。
【0018】
発光装置1は、第1基板10と、他の基板としての第2基板(図示せず)を備える。第1基板10及び第2基板の夫々は、例えば、プリント基板で構成される。第1基板10及び第2基板の夫々は、如何なる硬さを有してもよく、リジット基板、フレキシブル基板、及びリジットフレキシブル基板のうちのいずれの基板で構成されてもよい。また、第1基板10及び第2基板の夫々は、如何なる組成を有してもよく、例えば、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板、テフロン(登録商標)基板、アルミナ(セラミックス)基板、又はコンポジット基板等で構成される。第1基板10及び第2基板として、ガラスエポキシ基板を採用すると好ましい。
【0019】
第1基板10には、電力制御回路12が、第2面側に設けられ、1つの光源11が、第2面側とは反対側の第1面に実装される。電力制御回路12は、バッテリから光源11に供給される電力を制御する。電力制御回路12は、第2面に実装される複数の電子部品13を有する。また、複数の電子部品13は、光源11に供給される電力の電圧を制御する電圧制御部14、上記第2基板に配線を接続するのに用いられる配線接続部15、及びバッテリからの電力を受電する受電端子部16を含む。
【0020】
本実施例では、例えば、光源11は、LED(Light Emitting Diode)チップで構成され、電圧制御部14は、コイルで構成され、配線接続部15は、2極コネクタで構成され、受電端子部16は、6極コネクタで構成される。しかし、光源、電圧制御部、配線接続部、及び受電端子部の夫々は、それら以外の電子部品で構成されてもよい。
【0021】
詳述しないが、第2基板には、2つの光源が互いに離間された状態で実装されると共に、配線接続部も実装される。例えば、第2基板に実装される各光源は、LEDチップ等で構成され、配線接続部は、2極コネクタ等で構成される。バッテリは、受電端子部16、配線接続部15、配線接続部15と第2基板の配線接続部を電気的に接続する配線、及び第2基板の配線接続部を介して第2基板に実装される各光源に電力を供給する。
【0022】
第1基板10に実装される光源11は、二輪車の前照灯のハイビーム用の光源として用いられることができ、第2基板に実装される2つの光源は、二輪車の前照灯のロービーム用の光源として用いられることができる。例えば、第1基板10及び第2基板は、所定位置に配置された状態で、二輪車の高さ方向に垂直な水平方向に延在する。より詳しくは、第1基板10は、光源11が実装された第1面を上側にした状態で上記所定位置に配置され、第2基板は、2つの光源が実装された面を下側にした状態で上記所定位置に配置される。
【0023】
光源11から高さ方向上側に出射された光は、例えば、図示しないリフレクタ等でY方向一方側に反射されて二輪車の前方側かつ上側に出射される。また、第2基板の各光源から高さ方向下側に出射された光は、例えば、図示しないリフレクタ等でY方向一方側に反射されて二輪車の前方側かつ下側に出射される。本実施例では、Y方向が二輪車の前後方向に一致する。なお、本実施例では、第1基板10が、二輪車のハイビーム用の光源11が実装された基板である場合について説明を行い、第1基板10に1つのみの光源が実装されている場合について説明を行う。しかし、本願で開示される基板は、移動体の前照灯に組み込まれなくてもよく、本開示の第1基板に2以上の光源が実行されてもよい。また、本開示の発光装置は、1つのみの基板を備えてもよく、3以上の基板を備えてもよい。
【0024】
図1に示すように、電力制御回路12は、Y方向に偏って配置され、直交方向の一例であるY方向の一方側端部に存在しない。また、光源11は、電力制御回路12に対してY方向に間隔をおいた状態で電力制御回路12よりもY方向一方側に位置している。本実施例では、Y方向一方側を、二輪車の前方側とすることができる。
【0025】
図2は、第1基板10の第1面側における光源11周辺部分をZ方向から見たときの部分拡大平面図であり、
図1に領域Rで示す領域における部分拡大平面図である。
図2に示すように、第1基板10には、複数の略同一のビアホール18が設けられる。複数のビアホール18は、Z方向に延在すると共に光源11の周囲部33に密集した状態で配置され、ビアホール18は、第1基板10における光源11の周囲部33の外側領域に存在しない。複数のビアホール18は、電力制御回路12に対してY方向に間隔をおいた状態で電力制御回路12よりもY方向の一方側に配置される。本実施例では、ビアホール18が、光源11と電力制御回路12とのY方向の間に存在しない。各ビアホール18は、如何なる方法で第1基板10に設けられてもよく、例えばドリルを用いて第1基板10に設けられる。
【0026】
図3は、Z方向を含むと共に一つのビアホール18を通過する切断面における第1基板10周辺の拡大模式断面図である。
図3に示すように、発光装置1は、接触均熱体51、ホール内均熱体52、及び付加均熱体53を備える。接触均熱体51は、第1面20の少なくとも一部を被覆するように配置され、光源11(
図1参照)と接触する。ここで、この接触は、直接接触でもよいし、他の部位を介した間接的な接触でもよくて熱的な接触でもよい。また、間接的な接触の場合、他の部位は、例えば、放熱ジェル、金属材料、又は熱伝導率が高い樹脂材料で構成されてもよい。
【0027】
上記放熱ジェルは、例えば、ベース材と、そのベース材に略均一に分散された金属又は金属酸化物の粒子(フィラー)を含んでもよい。ベース材は、絶縁性を確保し、微細な隙間を隙間なく埋めるために用いられる。他方、フィラーは、熱伝導性が高い粒子で構成され、伝熱性を向上させるために用いられる。ベース材は、例えば、常温からある程度の高温まで粘度変化が少ないシリコーン等のジェル(グリス)で構成される。また、フィラーは、銅、銀、アルミ、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、又は、それらの混合物等で構成され、それらの単体、又は混合物が、ベース材に、粒子径に見合った分散方法で分散される。また、熱伝導率が高い上記樹脂材料は、例えば、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、又はポリフェニレンエーテル樹脂等でもよい。
【0028】
また、ホール内均熱体52は、各ビアホール18の内周面を被覆するように配置され、接触均熱体51と接触する。ここで、この接触は、直接接触でもよいし、他の部位を介した間接的な接触でもよくて熱的な接触でもよく、間接的な接触の場合、他の部位は、上記列挙した材料で構成されると好ましい。また、付加均熱体53は、第2面30の少なくとも一部を被覆するように配置され、ホール内均熱体52と接触する。ここで、この接触は、直接接触でもよいし、他の部位を介した間接的な接触でもよく熱的な接触でもよく、間接的な接触の場合、他の部位は、上記記載の材料で構成されると好ましい。
【0029】
接触均熱体51、ホール内均熱体52、及び付加均熱体53の夫々は、熱伝導に優れる材質で構成される膜や箔で好適に構成され、金属箔、例えば、銀箔、銅箔、又はアルミ箔等で構成されると好ましい。第1基板10における第1面20は、接触均熱体51の外側から絶縁材料からなる絶縁膜55で被覆され、第2面30は、付加均熱体53の外側から絶縁材料からなる絶縁膜56で被覆される。したがって、実際には、接触均熱体51及び付加均熱体53を視認できないが、理解を容易にするため、付加均熱体53の存在領域を、
図1に一点鎖線のハッチングで示す。
【0030】
図1に示すように、付加均熱体53は、電力制御回路12の形成領域の外縁60に対して僅かな隙間を介して対向する。また、付加均熱体53は、Z方向から見たとき、電力制御回路12に重ならない領域の大部分に設けられる。図示しないが、接触均熱体51は、Z方向から見たとき、付加均熱体53に重なる領域に設けられてもよく、平面視における接触均熱体51の形成面積は、平面視における付加均熱体53の形成面積の大きさと略同一の大きさを有してもよい。
【0031】
なお、付加均熱体は、厚さ方向から見たとき、電力制御回路に重なる重なり領域に設けられてもよい。但し、この場合、付加均熱体を、導電性材料で構成すると、重なり領域において、電気的に接続されてはならない2以上のサブ領域においては、均熱体を2以上に分断して2以上のサブ均熱体を離散的に配置する必要がある。そして、各サブ均熱体が、他のサブ均熱体に電気的に接続しないようにする必要がある。また、接触均熱体は、基板の厚さ方向から見たとき付加均熱体に重ならない領域を含んでもよい。そして、平面視における接触均熱体の形成面積が、平面視における付加均熱体の形成面積の大きさと異なる大きさを有してもよい。
【0032】
再度、
図1を参照して、光源11は、Y方向とZ方向を含むと共に第1基板10のX方向が二等分される平面Pに交差する位置に存在する。また、電力制御回路12は、平面Pに交差する位置に存在する電圧制御部14を含む。また、配線接続部15は、平面PにおけるX方向一方側に位置し、受電端子部16は、平面PにおけるX方向の他方側に位置する。受電端子部16の質量は、配線接続部15の質量よりも大きい。受電端子部16と平面Pとの距離aは、配線接続部15と平面Pとの距離bよりも短くなっている。
【0033】
以上、発光装置1は、第1基板10と、第1基板10の第1面20に実装される光源11と、第1基板10の第2面30に実装される複数の電子部品を含み、バッテリから光源11に供給される電力を制御する電力制御回路12を備える。また、第1基板10には、第1基板10の厚さ方向(Z方向)に延在すると共に光源11の周囲部33に密集した状態で配置される複数のビアホール18が設けられる。また、発光装置1は、第1面20の少なくとも一部を被覆するように配置されて光源11と接触する接触均熱体51と、各ビアホール18の内周面を被覆するように配置されて接触均熱体51と接触するホール内均熱体52を備える。また、発光装置1は、第2面30の少なくとも一部を被覆するように配置されてホール内均熱体52と接触する付加均熱体53を備える。
【0034】
したがって、光源11から接触均熱体51に伝導した熱を、各ビアホール18のホール内均熱体52を介して付加均熱体53に効率的に伝導させることができる。よって、光源11で生じる熱を、発光装置1における光源11側の表面から効率的に放熱できるだけでなく、発光装置1における光源11側とは逆側の表面からも効率的に放熱でき、両面を用いたより広範囲で均一な放熱を実現できる。
【0035】
更には、複数のビアホール18を、光源11の周囲のみに局在化して配置している。したがって、光源11で発生する熱を複数のビアホール18を用いて効率的に裏側に伝導でき、その結果、複数のビアホールを基板全体に大局的に設ける場合との比較で、ビアホール18の数を低減できる。よって、光源11で発生する熱を効率的に放熱できるだけでなく、発光装置1の製造コストも低減できる。
【0036】
また、Z方向に直交する直交方向であって、電力制御回路12がその直交方向の一方側端部に存在しないような直交方向(Y方向)が存在してもよい。また、複数のビアホール18が、電力制御回路12に対して直交方向に間隔をおいた状態で電力制御回路12よりも直交方向の一方側に配置されてもよい。
【0037】
上記構成によれば、光源11で発生する熱のうちでホール内均熱体52を介して裏側に伝導する熱が、電力制御回路12に伝導することを抑制できる。よって、電力制御回路12の熱劣化を抑制できる。なお、本構成は、採用されると好ましいが、採用されなくてもよい。詳しくは、Z方向に直交する直交方向であって、電力制御回路がその直交方向の一方側端部に存在しないような直交方向が存在しなくてもよい。また、光源の周囲部に密集して配置される複数のビアホールは、基板の厚さ方向から見たとき、電力制御回路に重なる位置に配置される1以上のビアホールを含んでもよい。
【0038】
また、第1基板10は、長手方向(X方向)と幅方向(Y方向)とを決定できる形状を有して、直交方向は、幅方向に一致してもよい。また、光源11は、幅方向と厚さ方向(Z方向)を含むと共に第1基板10の長手方向が二等分される平面Pに交差する位置に存在してもよい。また、電力制御回路12は、平面Pに交差する位置に存在する電圧制御部14を含んでもよい。
【0039】
発光装置1が、移動体、特に二輪車に設置される場合、発光装置1は、移動体の走行中に振動を受け易い。また、電圧制御部14は、重量部品である。このような背景において、本構成によれば、重量部品である電圧制御部14が、第1基板10の中央部に配置されているので、発光装置1の重心を第1基板10の中央部に位置させ易い。したがって、第1基板10が振動を受けた際の第1基板10の挙動を小さくできて安定させることができ、振動に対する発光装置1の耐久性を良好なものにし易い。更には、光源11が、上記平面Pに交差する位置に存在して第1基板10の中央部に実装されているので、所望の配光も実現し易い。なお、本構成は、採用されると好ましいが、採用されなくてもよい。詳しくは、光源及び電圧制御部の少なくとも一方は、上記平面Pに交差する位置に存在しなくてもよく、更に述べると、基板は、上述の平面Pが存在しない形状でもよい。
【0040】
また、電力制御回路12は、他の基板に配線を接続するのに用いられる配線接続部15と、電源(バッテリ)からの電力を受電する受電端子部16を含んでもよい。また、配線接続部15は、平面Pにおける長手方向(X方向)の一方側に位置し、受電端子部16は、平面Pにおける長手方向の他方側に位置してもよい。
【0041】
配線接続部15、及び受電端子部16は、重量部品である。上記構成によれば、配線接続部15、及び受電端子部16が、平面Pを境として互いに逆側の領域に位置する。したがって、配線接続部15、及び受電端子部16の重心を、第1基板10の中央部に近づけ易く、振動に対する発光装置1の耐久性を更に良好なものにし易い。なお、本構成は、採用されると好ましいが、採用されなくてもよい。詳しくは、配線接続部、及び受電端子部は、上記平面Pを境とした場合に、同じ側の領域に位置してもよい。
【0042】
また、受電端子部16と平面Pとの距離aが、配線接続部15と平面Pとの距離bよりも短くてもよい。
【0043】
受電端子部16は、配線接続部15よりも重いことが多い。上記構成によれば、配線接続部15、及び受電端子部16の重心を、第1基板10の中央部に更に近づけ易い。よって、振動に対する発光装置1の耐久性を更に良好なものにできる。なお、本構成は、採用されると好ましいが、採用されなくてもよい。詳しくは、受電端子部と上記平面Pとの距離は、配線接続部と上記平面Pとの距離と一致してもよく、又は配線接続部と上記平面Pとの距離よりも長くてもよい。更には、発光装置が、1つの基板のみを有する場合、配線接続部は存在しなくてもよい。
【0044】
なお、本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。
【0045】
例えば、第1基板10が、長手方向(X方向)と幅方向(Y方向)とを決定できる形状を有し、直交方向が、幅方向(Y方向)に一致する場合について説明した。しかし、基板が、長手方向と幅方向とを決定できる形状を有し、直交方向が、長手方向に一致してもよい。又は、基板は、長手方向と幅方向とを決定できない形状でもよく、基板は、平面視で正方形の形状や円形状を有してもよい。
【0046】
また、第1基板10が長手方向(X方向)と幅方向(Y方向)とを決定できる形状を有する場合に、第1基板10が所定位置に設置されている状態で、幅方向が、移動体の前後方向(進行方向)に一致する場合について説明した。しかし、基板が長手方向と幅方向とを決定できる形状を有する場合に、基板が所定位置に設置されている状態で、幅方向が、移動体の高さ方向に延在してもよく、移動体の幅方向に延在してもよい。
【0047】
また、複数のビアホール18が、光源11の周囲を全周に亘って取り囲まないように配置される場合について説明したが、複数のビアホールは、光源の周囲を全周に亘って取り囲むように配置されてもよい。
【0048】
また、発光装置1が、二輪車に搭載される場合について説明した。しかし、発光装置は、二輪車以外の移動体に搭載されてもよく、二輪車以外の車両、例えば、軽自動車、普通車、又はトラック等に搭載されてもよい。又は、発光装置は、車両以外の移動体に搭載されてもよく、例えば、航空機、船舶、又はホバークラフト等に搭載されてもよい。又は、発光装置は、移動体に搭載されなくてもよく、例えば、家庭用の照明装置等に搭載されてもよく、この場合、電源は、バッテリでなくて、家庭用の商用交流電源を直流電源に変換する電源装置等でもよい。
【0049】
また、基板に複数の光源が実装される場合、複数のビアホールは、少なくとも1つの光源の周囲部に密集された状態で配置されればよい。また、1の光源の周囲部に配置されるビアホールの数は、10以上でもよく、15以上でもよく、20以上でもよい。
【0050】
また、光源11が、LEDチップで構成される場合について説明したが、光源は、半導体レーザ素子のチップ等で構成されてもよく、LEDチップ以外の半導体発光素子のチップで構成されてもよい。又は、光源は、有機EL(Electro Luminescence)素子もしくは無機EL素子等の固体発光素子のチップで構成されてもよい。また、光源は、例えば、SMD(Surface Mount Device)構造のLEDモジュールに含まれてもよく、基板にLEDチップが直接実装されたCOB(Chip On Board)構造のLEDモジュールに含まれてもよい。
【0051】
また、光源を基板の厚さ方向から見たときの光源の平面視における平面図形において、その平面図形に含まれる最も長い直線を決定したとする。そのとき、1の光源の周囲部に配置される複数のビアホールの全ては、その直線の中心を中心とし、その直線の長さの5倍の長さの直径を有する円に囲まれた領域に基板の厚さ方向に重なる領域に存在すればよい。しかし、1の光源の周囲部に配置されて基板の厚さ方向に延在する複数のビアホールの全ては、その直線の4倍の長さの直径を有する円の内部にあってもよく、その直線の長さの3倍の長さの直径を有する円の内部にあってもよい。
【0052】
また、複数のビアホールの内で開口面積が最も大きい最大ビアホールに関して、その最大ビアホールを基板の厚さ方向から見たときの最大ビアホールの平面視における平面図形において、その平面図形に含まれる最も長い直線を決定したとする。そのとき、1の光源の周囲部に配置される複数のビアホールに関し、隣り合う2つのビアホールの全ての組において、一方のビアホールの縁と他方のビアホールの縁との最短距離が、上記最大ビアホールの上記直線の3倍の長さよりも短くなっていればよい。しかし、上記隣り合う2つのビアホールの全ての組において、上記一方のビアホールの縁と上記他方のビアホールの縁との最短距離は、上記最大ビアホールの上記直線の2.5倍の長さよりも短くなっていてもよく、上記最大ビアホールの上記直線の2倍の長さよりも短くなっていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 発光装置、 10 第1基板、 11 光源、 12 電力制御回路、 13 電子部品、 14 電圧制御部、 15 配線接続部、 16 受電端子部、 18 ビアホール、 20 第1面、 30 第2面、 33 光源の周囲部、 51 接触均熱体、 52 ホール内均熱体、 53 付加均熱体、 a 受電端子部と平面との距離、 b 配線接続部と平面との距離、 P 幅方向と厚さ方向を含むと共に長手方向が二等分される平面、 X方向 基板の長手方向、 Y方向 基板の幅方向(直交方向) Z方向 基板の厚さ方向。