(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】スコアリング装置、スコアリング方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/00 20120101AFI20221223BHJP
【FI】
G06Q50/00 300
(21)【出願番号】P 2018111414
(22)【出願日】2018-06-11
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】310001506
【氏名又は名称】株式会社クロスリング
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】村上 慶充
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/037592(WO,A1)
【文献】特表2018-530848(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0096388(US,A1)
【文献】特開2014-021889(JP,A)
【文献】特開2013-016136(JP,A)
【文献】特表2012-519336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーシャルメディア内のユーザーの他のユーザーに対する影響力をスコアリングするスコアリング装置であって、
前記ユーザーのリンク数と、前記ユーザーの前記リンク数と同一のリンク数を有する所定のユーザーからの前記ユーザーの発信情報に対する評価情報の数と、前記評価情報の数を前記ユーザーの前記リンク数で除して得られるエンゲージメント率と、前記発信情報毎に得られた前記エンゲージメント率を平均化した第1の平均エンゲージメント率と、を各ユーザーに対応して記憶する記憶手段と、
前記ユーザーの前記リンク数と、前記ユーザーの前記第1の平均エンゲージメント率とを前記記憶手段から取得する情報取得手段と、
前記他のユーザーの中から、前記所定のユーザーと、前記所定のユーザーの前記第1の平均エンゲージメント率とを前記記憶手段から抽出し、前記所定のユーザーの前記第1の平均エンゲージメント率を平均化した第2の平均エンゲージメント率を算出する抽出手段と、
下記一般式(II)を用いて基準影響力値を算出する算出手段と、を含み、
前記基準影響力値は、前記ユーザーの前記他のユーザーに対する前記影響力を表すスコアリング値であることを特徴とするユーザーの影響力をスコアリングするスコアリング装置。
【数1】
(式中、F(X,Y)は前記基準影響力値を示し、x
1は前記第1の平均エンゲージメント率を示し、y
1は前記第2の平均エンゲージメント率を示し、x
2は0~1.0の範囲の女性比を示し、y
2は0.5を示し、ω
1、ω
2は0~1000のバイアス変数を示す。)
【請求項2】
前記一般式(II)の前記バイアス変数を算出する変数特定手段をさらに有する請求項1に記載のスコアリング装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記基準影響力値に前記リンク数を掛けることにより、前記ユーザーに支払われるべき対価となる値を算出する請求項1または2に記載のスコアリング装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記基準影響力値に所定の調整値を掛けることで、前記ユーザーの前記他のユーザーに対する調整された影響力を表すスコアリング値を算出する請求項1ないし3のいずれかに記載のスコアリング装置。
【請求項5】
前記調整された影響力を表す前記スコアリング値から前記ユーザーをランク付けするランク付け手段をさらに有する請求項4に記載のスコアリング装置。
【請求項6】
請求項1ないし
5のいずれかに記載のスコアリング装置
の、ソーシャルメディア内のユーザーの他のユーザーに対する影響力をスコアリングするスコアリング方法であって、
前記ユーザーのリンク数と、前記ユーザーの前記リンク数と同一のリンク数を有する所定のユーザーからの前記ユーザーの発信情報に対する評価情報の数と、前記評価情報の数を前記ユーザーの前記リンク数で除して得られるエンゲージメント率と、前記発信情報毎に得られた前記エンゲージメント率を平均化した第1の平均エンゲージメント率と、を各ユーザーに対応して前記記憶手段に記憶する工程と、
前記ユーザーの前記リンク数と、前記ユーザーの前記第1の平均エンゲージメント率とを前記記憶手段から取得する工程と、
前記他のユーザーの中から、前記所定のユーザーと、前記所定のユーザーの前記第1の平均エンゲージメント率とを前記記憶手段からを抽出する工程と、
前記所定のユーザーの前記第1の平均エンゲージメント率を平均化した第2の平均エンゲージメント率を算出する工程と、
下記一般式(II)を用いて基準影響力値を算出する工程と、を含み、
前記基準影響力値は、前記ユーザーの前記他のユーザーに対する前記影響力を表すスコアリング値であることを特徴とするユーザーの影響力をスコアリングするスコアリング方法。
【数2】
(式中、F(X,Y)は前記基準影響力値を示し、x
1は前記第1の平均エンゲージメント率を示し、y
1は前記第2の平均エンゲージメント率を示し、x
2は0~1.0の範囲の女性比を示し、y
2は0.5を示し、ω
1、ω
2は0~1000のバイアス変数を示す。)
【請求項7】
前記一般式(II)の前記バイアス変数を算出する工程をさらに有する請求項6に記載のスコアリング方法。
【請求項8】
前記基準影響力値に前記リンク数を掛けることにより、前記ユーザーに支払われるべき対価となる値を算出する工程をさらに含む請求項6または7に記載のスコアリング方法。
【請求項9】
前記基準影響力値に所定の調整値を掛けることで、前記ユーザーの前記他のユーザーに対する調整された影響力を表すスコアリング値を算出する工程をさらに含む請求項6ないし8のいずれかに記載のスコアリング方法。
【請求項10】
前記調整された影響力を表す前記スコアリング値から前記ユーザーをランク付けする工程をさらに有する請求項9に記載のスコアリング方法。
【請求項11】
ソーシャルメディア内のユーザーの他のユーザーに対する影響力をスコアリングするためのプログラムであって、
前記ユーザーのリンク数と、前記ユーザーの前記リンク数と同一のリンク数を有する所定のユーザーからの前記ユーザーの発信情報に対する評価情報の数と、前記評価情報の数を前記ユーザーの前記リンク数で除して得られるエンゲージメント率と、前記発信情報毎に得られた前記エンゲージメント率を平均化した第1の平均エンゲージメント率と、を各ユーザーに対応して記憶するステップと、
前記ユーザーの前記リンク数と、前記ユーザーの前記第1の平均エンゲージメント率とを取得するステップと、
前記他のユーザーの中から、前記所定のユーザーと、前記所定のユーザーの前記第1の平均エンゲージメント率とを抽出するステップと、
前記所定のユーザーの前記第1の平均エンゲージメント率を平均化した第2の平均エンゲージメント率を算出するステップと、
下記一般式(II)を用いて基準影響力値を算出するステップと、をコンピュータに実行させ、
前記基準影響力値は、前記ユーザーの前記他のユーザーに対する前記影響力を表すスコアリング値であることを特徴とするユーザーの他のユーザーに対する影響力をスコアリングするプログラム。
【数3】
(式中、F(X,Y)は前記基準影響力値を示し、x
1は前記第1の平均エンゲージメント率を示し、y
1は前記第2の平均エンゲージメント率を示し、x
2は0~1.0の範囲の女性比を示し、y
2は0.5を示し、ω
1、ω
2は0~1000のバイアス変数を示す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スコアリング装置、スコアリング方法およびプログラムに関し、特に、インフルエンサーのスコアリング装置、インフルエンサーのスコアリング方法およびプログラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ソーシャルメディアにおいて、人々に強い影響力を有するインフルエンサーを活用してマーケティングを行うインフルエンサーマーケティングが注目されている。このインフルエンサーは、一般に、自身のソーシャルメディアのフォロワー数や自身の投稿に対するいいね数等により評価されている。
【0003】
しかしながら、自身の評価を上げるために、フォロワー数やいいね数を購入するインフルエンサーがいる。一方で、フォロワー数は少ないが、人々に対して絶大な影響力を有するインフルエンサーがいる。
【0004】
このような状況の下、インフルエンサーマーケティングを行う者にとって、質のよいインフルエンサーを見極めることは困難である。また、インフルエンサーにとって、マーケティングのために良い投稿をしようとするモチベーションの低下につながっている。そこで、公平かつ明確にインフルエンサーを評価する方法が求められている。
【0005】
他方、ソーシャルメディアに書き込まれた情報の影響度を算出する方法が知られている(例えば、特許文献1)。しかしながら、このような方法は、インフルエンサー自体を評価するものではない。したがって、依然として、インフルエンサーを正しく評価する方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、インフルエンサーを公平かつ明確に評価することができるスコアリング装置を提供することにある。また、本発明の別の目的は、インフルエンサーを公平かつ明確に評価することができるスコアリング方法およびそれを実行するためのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)~(13)の本発明により達成される。
【0009】
(1)ソーシャルメディア内のユーザーの他のユーザーに対する影響力をスコアリングするスコアリング装置であって、
前記ユーザーのリンク数と、前記ユーザーの発信情報に対する評価情報の数および前記リンク数から得られる前記ユーザーの第1の平均エンゲージメント率とを取得する情報取得手段と、
前記他のユーザーの中から、前記ユーザーの前記リンク数と同一のリンク数を有する所定のユーザーを抽出し、前記所定のユーザーの発信情報に対する評価情報の数および前記同一のリンク数から得られる前記所定のユーザーの第2の平均エンゲージメント率を取得する抽出手段と、
下記一般式(I)を用いて基準影響力値を算出する算出手段と、を含むことを特徴とするユーザーの影響力をスコアリングするスコアリング装置。
【0010】
【数1】
(式中、F(X,Y)は前記基準影響力値を示し、iは0以上の整数を示し、nは1以上の整数を示し、φ(x
i,y
i)は各種算出要素の計算式を示し、ω
iは前記φ(x
i,y
i)に対してのバイアス変数を示し、前記バイアス変数は0~1000の値である。)
【0011】
(2)前記一般式(I)は、下記一般式(II)で表される上記(1)に記載のスコアリング装置。
【0012】
【数2】
(式中、x
1は前記第1の平均エンゲージメント率を示し、y
1は前記第2の平均エンゲージメント率を示し、x
2は0~1.0の範囲の女性比を示し、y
2は0.5を示し、ω
1、ω
2は0~1000のバイアス変数を示す。)
【0013】
(3)前記ユーザーの単価の所定の範囲と、前記一般式(II)とを用いて前記バイアス変数を特定する変数特定手段をさらに有する上記(2)に記載のスコアリング装置。
【0014】
(4)前記算出手段は、前記基準影響力値に前記リンク数を掛けることにより、前記ユーザーの対価を算出する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のスコアリング装置。
【0015】
(5)前記算出手段は、前記基準影響力値に所定の調整値を掛けることで、前記ユーザーの影響力値を算出する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のスコアリング装置。
【0016】
(6)前記影響力値から前記ユーザーをランク付けするランク付け手段をさらに有する上記(5)に記載のスコアリング装置。
【0017】
(7)ソーシャルメディア内のユーザーの他のユーザーに対する影響力をスコアリングするスコアリング方法であって、
前記ユーザーのリンク数と、前記ユーザーの発信情報に対する評価情報の数および前記リンク数から得られる前記ユーザーの第1の平均エンゲージメント率とを取得する工程と、
前記他のユーザーの中から、前記ユーザーの前記リンク数と同一のリンク数を有する所定のユーザーを抽出する工程と、
前記所定のユーザーの発信情報に対する評価情報の数および前記同一のリンク数から得られる前記所定のユーザーの第2の平均エンゲージメント率を取得する工程と、
下記一般式(I)を用いて基準影響力値を算出する工程と、を含むことを特徴とするユーザーの影響力をスコアリングするスコアリング方法。
【0018】
【数3】
(式中、F(X,Y)は前記基準影響力値を示し、iは0以上の整数を示し、nは1以上の整数を示し、φ(x
i,y
i)は各種算出要素の計算式を示し、ω
iは前記φ(x
i,y
i)に対してのバイアス変数を示し、前記バイアス変数は0~1000の値である。)
【0019】
(8)前記一般式(I)は、下記一般式(II)で表される上記(7)に記載のスコアリング方法。
【0020】
【数4】
(式中、x
1は前記第1の平均エンゲージメント率を示し、y
1は前記第2の平均エンゲージメント率を示し、x
2は0~1.0の範囲の女性比を示し、y
2は0.5を示し、ω
1、ω
2は0~1000のバイアス変数を示す。)
【0021】
(9)前記ユーザーの単価の所定の範囲と、前記一般式(II)とを用いて前記バイアス変数を特定する工程をさらに有する上記(8)に記載のスコアリング方法。
【0022】
(10) 前記基準影響力値に前記リンク数を掛けることにより、前記ユーザーの対価を算出する工程をさらに含む上記(7)ないし(9)のいずれかに記載のスコアリング方法。
【0023】
(11)前記基準影響力値に所定の調整値を掛けることで、前記ユーザーの影響力値を算出する工程をさらに含む上記(7)ないし(9)のいずれかに記載のスコアリング方法。
【0024】
(12)前記影響力値から前記ユーザーをランク付けする工程をさらに有する上記(11)に記載のスコアリング方法。
【0025】
(13)ソーシャルメディア内のユーザーの他のユーザーに対する影響力をスコアリングするためのプログラムであって、
前記ユーザーのリンク数と、前記ユーザーの発信情報に対する評価情報の数および前記リンク数から得られる前記ユーザーの第1の平均エンゲージメント率とを取得するステップと、
前記他のユーザーの中から、前記ユーザーの前記リンク数と同一のリンク数を有する所定のユーザーを抽出するステップと、
前記所定のユーザーの発信情報に対する評価情報の数および前記同一のリンク数から得られる前記所定のユーザーの第2の平均エンゲージメント率を取得するステップと、
下記一般式(I)を用いて基準影響力値を算出するステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とするユーザーの他のユーザーに対する影響力をスコアリングするプログラム。
【0026】
【数5】
(式中、F(X,Y)は前記基準影響力値を示し、iは0以上の整数を示し、nは1以上の整数を示し、φ(x
i,y
i)は各種算出要素の計算式を示し、ω
iは前記φ(x
i,y
i)に対してのバイアス変数を示し、前記バイアス変数は0~1000の値である。)
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、インフルエンサーを公平かつ明確に評価することができるスコアリング装置を提供することができる。また、インフルエンサーを公平かつ明確に評価することができるスコアリング方法およびそれを実行するためのプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態にかかるスコアリング装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すスコアリング装置の記憶手段に記憶されているユーザー情報テーブルである。
【
図3】
図3は、
図1に示すスコアリング装置の記憶手段に記憶されるユーザー情報テーブルである。
【
図4】
図4は、
図1に示すスコアリング装置の記憶手段に記憶されるランクテーブルである。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態にかかるスコアリング装置の制御手段を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す制御手段の抽出手段によって抽出されたユーザーの情報を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態にかかるスコアリング装置の動作処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明のスコアリング装置を含むスコアリングシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明のスコアリング装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0030】
1.スコアリング装置
図1は、本発明の実施形態にかかるスコアリング装置の構成を示すブロック図、
図2は、
図1に示すスコアリング装置の記憶手段に記憶されているユーザー情報テーブル、
図3は、
図1に示すスコアリング装置の記憶手段に記憶されるユーザー情報テーブル、
図4は、
図1に示すスコアリング装置の記憶手段に記憶されるランクテーブルである。以下、スコアリング装置1の各部の構成を順に説明する。
【0031】
本発明のスコアリング装置1は、ソーシャルメディアにおいて、ユーザーの他のユーザーに対する影響力をスコアリングする装置である。スコアリング装置1は、例えば、携帯電話端末、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレットなどで構成される。このようなスコアリング装置1は、
図1に示すように、入力手段11と、記憶手段12と、制御手段13と、表示手段14と、通信手段15とを備える。これらの各部は、データバスによって相互に通信可能に接続されている。
【0032】
ここで、ソーシャルメディアは、例えば、Twitter(登録商標)、Instagram(登録商標)等のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を含む。また、インフルエンサーとは、他人に影響力のある人、特にインターネットの消費者発信型メディアにおいて他の消費者に大きな影響を与える人のことをいう。また、ユーザーは、特にインフルエンサーを含むが、ソーシャルメディアを使用する全ての者を含む。
【0033】
<入力手段>
入力手段11は、ユーザーがデータの入力を行うための入力デバイスである。入力手段11は、ユーザーがデータを入力することができれば如何なる様態でもよく、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力デバイス、USBバスや赤外線ポート等のデータ受信モジュールであってもよい。ユーザーが入力手段11を介してスコアリング装置1にユーザー情報、発信情報などのデータを入力することにより、記憶手段12内に記憶されている情報を変更、追加、削除することができる。
【0034】
<記憶手段>
記憶手段12は、読み取り専用の記憶領域であるROMと、書き換え可能な記憶領域であるRAMとを有している。記憶手段12は、例えば、フラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性記憶装置によって実現される。記憶手段12は、入力手段11からの入力情報等を記憶する機能を有する。また、記憶手段12は、図示しない端末装置から通信手段15を介して取得した入力情報を記憶する機能を有する。そのような入力情報は、ユーザー情報、発信情報および評価情報などを含む。
【0035】
ユーザー情報は、ソーシャルメディアを使用するための登録情報を含む。この登録情報は、名前、性別、生年月日、国籍、ID番号、パスワードなどの個人情報を含む。また、ユーザー情報は、ソーシャルメディア上で自身がフォローする他のユーザーの数(フォロー数)、ソーシャルメディア上で自身をフォローしている他のユーザーの数(フォロワー数またはリンク数)などの情報を含む。その他、ユーザー情報は、自身の投稿、フォロワーの女性比d、他のユーザーによる評価(すなわち、「いいね」等)および発信情報に関連する写真や文章などを含む。
【0036】
ここで、女性比dは、0.0~1.0の範囲である。そのユーザーの全てのフォロワーが女性であれば、女性比dは1.0(100%)を示す。一方、その全てのフォロワーが男性であれば、女性比dは0.0(0%)となる。したがって、女性比dが大きい程、そのユーザーをフォローする他のユーザーの女性率が高いことを意味する。
【0037】
記憶手段12は、ユーザー毎にユーザー情報を記憶する。すなわち、記憶手段12は、
図2に示すように、制御手段13が取得したユーザー情報をユーザー情報テーブルにまとめて記憶する。このユーザー情報テーブルは、ユーザーが発信情報を提供したとき、他のユーザーから評価情報を受けたときにアップデートされる。
【0038】
図2を参照すると、例えば、ユーザー番号00001に対応して、名前、性別、フォロワー数、投稿数、女性比d等の情報を記憶する。このユーザー情報テーブルにおいて、ユーザー番号00001の○○さんは、女性で、フォロワー数1000、フォロワーの女性比が1.0(すなわち、女性率100%)、投稿数10を有することを示している。
【0039】
発信情報は、ユーザーがソーシャルメディアに提供した情報、いわゆる投稿情報である。この投稿情報は、
図2のユーザー情報テーブルの「投稿数」に関連付けて保存されている。また、評価情報は、他のユーザーがユーザーの投稿情報に応答したエンゲージメント情報である。例えば、評価情報は、いわゆる「いいね」の数や投稿に対するコメント数などのエンゲージメント数を含む。
【0040】
例えば、記憶手段12は、ユーザーの投稿情報毎に、評価情報を関連付けて記憶する。すなわち、記憶手段12は、
図3に示すように、制御手段13が取得した投稿情報に対して、他のユーザーからの評価情報と、エンゲージメント率とをエンゲージメントテーブルにまとめて記憶する。このエンゲージメントテーブルは、ユーザーが投稿情報を発信する毎に、他のユーザーから評価情報を受ける毎にアップデートされる。
【0041】
図3を参照すると、例えば、ユーザー番号00001の全ての投稿に対応して、全てのユーザーからのエンゲージメント数(第1のエンゲージメント数)と、同じフォロワー数を有するユーザーからのエンゲージメント数(第2のエンゲージメント数)と、エンゲージメント率とを記憶する。具体的に、
図3は、1000人のフォロワー数(
図2)を有するユーザー00001が投稿1を発信したとき、全てのユーザーから20個の評価情報を受けたことを示している。そして、20個の評価情報のうち、同一のフォロワー数(1000人)を有するユーザーから10個の評価情報を受けたことを示している。
【0042】
エンゲージメント率は、第2のエンゲージメント数をフォロワー数で除した率である。そのため、
図3において、投稿1に対するエンゲージメント率は、(第2のエンゲージメント数10/フォロワー数1000)×100で、1%であることを示している。さらに、エンゲージメントテーブルは、全ての投稿情報に対するエンゲージメント率を平均した平均エンゲージメント率を記憶する。すなわち、ユーザー00001の平均エンゲージメント率は、(全てのエンゲージメント率の和/投稿情報数)×100で、5%であることを示している。記憶手段12は、このエンゲージメントテーブルをユーザー毎に記憶し、他のユーザーから評価情報を受ける毎にアップデートしている。
【0043】
また、記憶手段12は、インフルエンサーの影響力値の範囲と、ランクとを対応して記憶する。すなわち、記憶手段12は、
図4に示すように、ランクS~Dと、制御手段13が算出した影響力値の範囲と、影響力値の基準式と、影響力値の範囲に含まれるユーザーの割合とをランクテーブルに記憶する。
図4を参照すると、ランクBは、影響力値が300~380であるユーザーが分類されている。ランクテーブルは、ランクBに、全てのユーザーの40%のユーザーが分類されていることを示している。なお、記憶手段12は、このランクテーブルもユーザーがランクされる毎にアップデートする。
【0044】
その他、記憶手段12は、投稿に関連して写真情報やテキスト情報を記憶する。また、記憶手段12は、後述する一般式、それに関連する変数および抽出したユーザーの平均エンゲージメント率などを記憶する。
【0045】
<制御手段>
次に、制御手段13について説明する。
図5は、本発明の実施形態にかかるスコアリング装置の制御手段を示すブロック図、
図6は、
図5に示す制御手段の抽出手段によって抽出されたユーザーの情報を示す図である。
【0046】
制御手段13は、スコアリング装置1を制御する機能を有する。制御手段13は、スコアリング装置1を制御するための制御プログラムを保存するROMと、データを一時保存するためのRAMと、ROM内の制御プログラムを実行するCPUとを備える。制御手段13は、必要に応じて、ROM内の制御プログラムを実行することにより、スコアリング装置1の各部を制御する。このような制御手段13は、情報取得手段131と、抽出手段132と、変数特定手段133と、算出手段134と、ランク付け手段135とを有する。
【0047】
(情報取得手段)
情報取得手段131は、各種情報を取得する機能を有しており、特に、前述したようなユーザーのユーザー情報、投稿情報、評価情報などを取得する機能を有する。また、情報取得手段131は、ユーザーからの指示入力を受けることにより、記憶手段12に記憶されているユーザー情報テーブルから、特定のユーザー(インフルエンサー)の情報を取得する。例えば、ユーザー番号00001の入力を受けると、情報取得手段131は、
図2のユーザー情報テーブルからユーザー00001のフォロワー数および女性比dを取得する。さらに、情報取得手段131は、
図3のエンゲージメントテーブルから平均エンゲージメント率(第1の平均エンゲージメント率)を取得する。
【0048】
(抽出手段)
抽出手段132は、情報取得手段131が取得したインフルエンサーのフォロワー数と同じ数のフォロワー数を有するユーザーを抽出する。具体的に、抽出手段132は、
図2に示すユーザー情報テーブルから、特定のインフルエンサーのフォロワー数と同じ数のフォロワー数を有する全てのユーザーを抽出する。例えば、情報取得手段131がユーザー番号00001のユーザー情報を取得した場合、当該ユーザーのフォロワー数は1000人であるから、抽出手段132は、1000人のフォロワー数を有するユーザー番号00003の△△さんのユーザー情報を抽出する。このとき、抽出手段132は、抽出した全てのユーザーのエンゲージメントテーブルも抽出する。
【0049】
また、抽出手段132は、抽出したエンゲージメントテーブルから各ユーザーの平均エンゲージメント率を取得する。そして、抽出手段132は、抽出した全てのユーザーと、取得した全ての平均エンゲージメント率とをまとめて一時的に保存する。具体的に、
図6に示すように、抽出手段132がユーザー番号00003、00062、00099、00258、10001のユーザーと、それら各ユーザーの平均エンゲージメント率とを対応させて一時的に保存する。この時、抽出手段132は、得られた複数の平均エンゲージメント率を平均化して、平均エンゲージメント率の平均値(第2の平均エンゲージメント率)を算出する。
図6の場合では、平均エンゲージメント率の平均値は、5%を示している。
【0050】
(変数特定手段)
変数特定手段133は、下記一般式(I)を用いて、バイアス変数を特定する機能を有する。この一般式(I)は、インフルエンサーをスコアリングする際に考慮する項目の総乗により基準影響力値を算出する式となる。
【0051】
【数6】
(式中、F(X,Y)は前記基準影響力値を示し、iは0以上の整数を示し、nは1以上の整数を示し、φ(x
i,y
i)は各種算出要素の計算式を示し、ω
iは前記φ(x
i,y
i)に対してのバイアス変数を示す。)
【0052】
例えば、上記各種算出要素をインフルエンサーのエンゲージメント率と女性比とした場合、下記一般式(II)が得られる。
【0053】
【数7】
(式中、x
1は第1の平均エンゲージメント率を示し、y
1は第2の平均エンゲージメント率を示し、x
2は0~1.0の範囲の女性比を示し、y
2は0.5を示し、ω
1、ω
2はバイアス変数を示す。)
【0054】
変数特定手段133は、一般式(II)のω1、ω2のバイアス変数を算出する機能を有する。ここで、一般式(II)の簡略化のために、下記の変数を使用する。
【0055】
【0056】
上記一般式(II)に、上記変数を代入すると、下記一般式(III)を得ることができる。これは、基準影響力値を示している。
【0057】
【数9】
(式中、Δe=x
1-x
2を示し(x
1は第1の平均エンゲージメント率を示し、x
2は第2の平均エンゲージメント率を示す)、dは0~1.0の範囲の女性比を示し、xおよびyはバイアス変数を示す。)
【0058】
バイアス変数は、インフルエンサーの単価を調整する値である。従来のインフルエンサーマーケティングにおいて、インフルエンサーに対価を支払う場合、一般的に、その対価は、フォロワー単価1円(約0.01ドル)で計算されている。最低単価で対価を計算すると、インフルエンサーは、依頼に対してのモチベーションが低下し、依頼を断る可能性がある。一方、最大単価で対価を計算すると、インフルエンサーマーケティングを行う者の利益を損ねる可能性がある。そのため、バイアス変数は、最大単価と最低単価を調整する値となっている。
【0059】
ここで、
図2のユーザー情報テーブルと、
図3のエンゲージメントテーブル、
図6のテーブルから、経験側上、Δeは以下のような範囲にあると求められる。
【0060】
【0061】
また、一般に、インフルエンサーの単価は、0~100円(約0~1ドル)、好ましくは0~50円(約1~0.5ドル)、より好ましくは、0.1~10円(約0.001~0.1ドル)、最も好ましくは0.1~3円(約0.001~0.03ドル)である。変数特定手段133は、これらの情報から、上記一般式(III)を用いてバイアス変数x、yを求める。まず、変数特定手段133は、上記一般式と、上記Δeの範囲と、上記dの範囲と、インフルエンサーの単価の範囲(例えば、0.5~3.0円(約0.005~0.03ドル))とから、以下の式(1)を導く。
【0062】
【0063】
変数特定手段133は、上記式(1)を単純化し、下記式(2)を導く。そして、変数特定手段133は、この式(2)を連立不等式から連立方程式に変換する。
【0064】
【0065】
すなわち、変数特定手段133は、連立方程式を表す下記式(3)および(4)を求める。そして、変数特定手段133は、この式(3)および(4)を解く。
【0066】
【0067】
変数特定手段133は、上記式(3)および(4)により、x=13.12、y=1.42として、バイアス変数を特定する。
【0068】
変数特定手段133は、得られたxとyの値を上記一般式(III)に代入し、基準影響力値を算出するための下記一般式(IV)を作成する。
【0069】
【数14】
(式中、Δe=x
1-x
2を示し(x
1は第1の平均エンゲージメント率を示し、x
2は第2の平均エンゲージメント率を示す)、dは0~1.0の範囲の女性比を示す。)
【0070】
なお、バイアス変数は、変数特定手段133が使用したΔeの範囲やdの範囲を変更することによって異なる値である。このようなバイアス変数xは、0~1000が好ましく、0~100がより好ましく、0~50が最も好ましい。また、バイアス変数yは、0~1000が好ましく、0~100がより好ましく、0~50が最も好ましい。このようなバイアス変数の範囲により、バイアス変数が適度の値になり、客観的かつ公平性のある基準影響力を得ることができる。なお、バイアス変数x、yは、0を含まない。
【0071】
このように、変数特定手段133がバイアス変数を特定することで、ユーザー情報とエンゲージメント率とから基準影響力値を得る一般式(IV)を得ることができる。このような一般式(IV)により、後述する算出手段134がインフルエンサーの影響力を正確かつ明確に算出することができる。なお、上記一般式(IV)はこれに限定されず、変数特定手段133が使用したΔeの範囲やdの範囲を変更することによって、xとyとが上記算出された値と異なる数式であってもよい。
【0072】
(算出手段)
算出手段134は、一般式(I)ないし(IV)のいずれか、特に一般式(IV)を用いて、基準影響力値を算出する機能を有する。具体的に、算出手段134は、情報取得手段131が取得したインフルエンサーの平均エンゲージメント率x1および女性比dと、抽出手段132が算出した平均エンゲージメント率y1とを上記一般式(IV)に代入することによって、基準影響力値を算出する。この基準影響力値は、インフルエンサーの根本的な影響力を示す値である。
【0073】
例えば、1000人のフォロワー数を有するユーザー00001の基準影響力値を算出する。この場合、
図2から当該ユーザーの女性比dは1.0であり、
図3から当該ユーザーの平均エンゲージメント率は5%である。また、
図6から、ユーザー00001のフォロワー数と同じフォロワー数を有する他のユーザーの平均エンゲージメント率の平均値は5%である。そのため、一般式(IV)のΔeはx
1-x
2=5-5=0で、女性比dは1.0である.したがって、ユーザー00001の基準影響力値は、(1+0/13.12)(1+0.5/1.42)=1.352となる。これにより、インフルエンサーとしてのユーザー00001の影響力が基準影響力値1.352と評価される。
【0074】
また、算出手段134は、下記一般式(V)により、インフルエンサーの対価を算出する機能を有する。具体的に、上記一般式(I)の基準影響力値にフォロワー数fを掛けた一般式(V)を用いて、インフルエンサーの対価を算出することができる。
【0075】
【数15】
(式中、fはフォロワー数を示し、iは0以上の整数を示し、nは1以上の整数を示し、φ(x
i,y
i)は各種算出要素の計算式を示し、ω
iは前記φ(x
i,y
i)に対してのバイアス変数を示す。)
【0076】
また、上記一般式(IV)を利用すれば、一般式(IV)の基準影響力値にフォロワー数fを掛けた下記一般式(VI)を用いて、インフルエンサーの対価を算出することができる。
【0077】
【数16】
(式中、fはフォロワー数、Δe=x
1-x
2を示し(x
1は第1の平均エンゲージメント率を示し、x
2は第2の平均エンゲージメント率を示す)、dは0~1.0の範囲の女性比を示す。)
【0078】
例えば、前述したユーザー00001の基準影響力値は1.352であり、フォロワー数は1000人であるから、ユーザー00001の対価は、1000×1.352=1352円と算出される。この対価は、ユーザー00001がインフルエンサーマーケティングを行う者と契約したときに、ユーザー00001が受け取る対価となる。
【0079】
上記一般式(V)および一般式(VI)は、インフルエンサーへの対価を算出する点では非常に有用であるが、インフルエンサー個人を評価するという点では、正確性に欠けることもある。なぜなら、最近では、フォロワー数を購入することができるからである。そこで、上記一般式に所定の調整値を掛けることで、影響力値を算出する。すなわち、算出手段134は、下記一般式(VII)により、インフルエンサーの影響力値を算出する機能を有する。
【0080】
【数17】
(式中、iは0以上の整数を示し、nは1以上の整数を示し、φ(x
i,y
i)は各種算出要素の計算式を示し、ω
iは前記φ(x
i,y
i)に対してのバイアス変数を示し、単価上限は前述したインフルエンサーの単価の範囲の上限を示す。)
【0081】
また、上記一般式(IV)を利用すれば、一般式(IV)の基準影響力値に所定の調整値を掛けた下記一般式(VIII)を用いて、インフルエンサーの影響力値を算出することができる。この影響力値は、160~1000の範囲に含まれる。
【0082】
【数18】
(式中、Δe=x
1-x
2を示し(x
1は第1の平均エンゲージメント率を示し、x
2は第2の平均エンゲージメント率を示す)、dは0~1.0の範囲の女性比を示す。)
【0083】
上記一般式(VIII)では、調整値は、1000/3となっているが、単価上限が前述したインフルエンサーの単価の範囲内であれば、これに限定されない。調整値は、1000/5、1000/0.3や1000/3.5であってもよい。
【0084】
前述したように、ユーザー00001の基準影響力値は1.352であり、調整値は1000/3であるから、ユーザー00001の影響力値は、1.352×1000/3=450.7と算出される。この影響力値は、他のユーザーに対するユーザー00001の影響力を評価する際の指標となる。
【0085】
このように算出手段134によって算出された基準影響力値、対価、影響力値等は、記憶手段12に提供される。これにより、記憶手段12は、ユーザーと対応付けてこれらの値をユーザー情報テーブルに記憶する。この場合、ユーザー情報テーブルはアップデートされる。
【0086】
また、基準影響力値、対価、影響力値は、表示手段14にも提供される。これにより、表示手段14は、インフルエンサーの基準影響力値、対価、影響力値を表示することができる。したがって、ユーザーは自身の影響力を、また、スコアリング装置1を使用する者はインフルエンサーがどの程度の影響力を有するのかを、一見して正確に把握することができる。
【0087】
(ランク付け手段)
ランク付け手段135は、算出手段134によって算出されたユーザーの影響力値をランク付けする機能を有する。具体的に、ランク付け手段135は、記憶手段12に記憶されているランクテーブルを参照し、算出された影響力値が含まれる範囲に対応するランクにユーザーをランク付ける。この場合、ユーザー情報テーブルはアップデートされる。
【0088】
前述したように、ユーザー00001の影響力値は450.7であるから、ランク付け手段135は、
図4のランクテーブルを参照し、ユーザー00001の影響力をランクBとランク付ける。したがって、ユーザーは、自身の影響力を、数値で把握することができる。また、インフルエンサーマーケティングを行う者は、どのインフルエンサーがどの程度の影響力を有するかということを客観的かつ正確に把握することができる。
【0089】
<表示手段>
表示手段14は、制御手段13からの指令に基づいて、スコアリング装置1の利用者用の操作画面を表示する。また、表示手段14は、記憶手段12に記憶されている情報や基準影響力値等を表示することができる。表示手段14は、たとえば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等によって実現される。
【0090】
<通信手段>
通信手段15は、ネットワークを介して他の端末装置と通信を行う機能を有する。すなわち、通信手段15は、端末装置から送信される各種データや信号を受信する受信部としての機能と、制御手段13の指令に応じて各種データや信号を他の装置へ送信する送信部としての機能とを有している。通信手段15は、例えば、NIC、TCP/IP等の通信プロトコルを有するネットワークインターフェース等によって実現される。なお、本発明において、通信手段15は省略してもよい。
【0091】
また、通信手段15は、基準影響力値やスコア等を他の端末装置等に提供することもできる。これにより、通信手段15を介して、図示しない端末装置とユーザーの基準影響力値、対価、影響力値を共有することができる。
【0092】
以上説明したような本発明のスコアリング装置1は、インフルエンサーマーケティングを行う者、インフルエンサー、それらの仲介者等によって使用される。これらの者は、本発明のスコアリング装置1によって、インフルエンサーの影響力を客観的かつ正確に知ることができる。そのため、インフルエンサーマーケティングを行う者や前記仲介者は、影響力のあるインフルエンサーを簡単かつ正確に特定することができ、信頼性の高いマーケティングを行うことができる。一方、インフルエンサーは、自身の影響力を客観的に知ることができ、質の高い投稿を発信するようになる。
【0093】
2.スコアリング装置の動作処理
次に、本実施形態のスコアリング装置の動作処理について詳細に説明する。
図7は、本発明の実施形態にかかるスコアリング装置の動作処理を示すフローチャートである。
【0094】
まず、情報取得手段131は、ユーザーからの入力指示に基づき、特定のインフルエンサーのユーザー情報を取得する(S1)。このユーザー情報は、インフルエンサーのフォロワー数と、平均エンゲージメント率x
1と、女性比dとを含む。次に、抽出手段132は、特定のインフルエンサーのフォロワー数と同一のフォロワー数(リンク数)を有するユーザーを抽出する(S2)。それと同時に、抽出手段132は、
図3のエンゲージメントテーブルを参照して、抽出したユーザーの平均エンゲージメント率を取得する(S3)。抽出手段132は、
図6に示すように、抽出したユーザーと、平均エンゲージメント率とを対応させて、平均エンゲージメント率の平均値y
1を算出する(S4)。
【0095】
次に、変数特定手段133は、インフルエンサーの対価の範囲と、インフルエンサーの平均エンゲージメント率x1と、各ユーザーの平均エンゲージメント率の平均値y1と、女性比dと、一般式(I)ないし(III)のいずれかとを用いて、バイアス変数を算出する(S5)。これにより、例えば、算出されたバイアス変数を一般式(III)に代入した一般式(IV)が得られる。この一般式(IV)が、インフルエンサーの基準影響力値を算出する具体的な式となる。
【0096】
算出手段134は、情報取得手段131が取得した平均エンゲージメント率x1および女性比dと、抽出手段132が算出した平均エンゲージメント率の平均値y1とを一般式(IV)に代入し、インフルエンサーの基準影響力値を算出する(S6)。次に、算出手段134は、基準影響力値にインフルエンサーのフォロワー数を掛けるか否か判断する(S7)。算出手段134がフォロワー数を掛けると判断すると、算出手段134は、基準影響力値にユーザーのフォロワー数を掛け、インフルエンサーの対価を算出する(S8)。これにより、処理は終了する。
【0097】
一方、算出手段134がフォロワー数を掛けないと判断すると、処理はステップS9に進む。ステップS9において、算出手段134は、基準影響力値に調整値を掛けるか否か判断する。算出手段134が調整値を掛けないと判断すると、処理は終了する。一方、算出手段134が調整値を掛けると判断すると、算出手段134は、基準影響力値に調整値を掛け、影響力値を算出する(S10)。この影響力値は、インフルエンサーの影響力をスコアリングした値である。そして、ランク付け手段135は、当該影響力値に基づいて、インフルエンサーをランク付けする(S11)。これにより、処理は終了する。
【0098】
以上、前述の処理方法は、コンピュータで実行されるプログラムで作成可能である。このようなプログラムは、CPU、マイクロプロセッサ(micro processor)、GPU(graphic processing unit)、RAM、ROMなどによって実現される。
【0099】
3.スコアリング装置を含むシステム
次に、本実施形態のスコアリング装置を含むシステムについて詳細に説明する。
図8は、本発明のスコアリング装置を含むスコアリングシステムを示すブロック図である。
図8に示すように、スコアリングシステム10は、ネットワーク3を介して通信可能に接続された、複数のスコアリング装置1と、サーバー装置2とを有する。
【0100】
サーバー装置2は、システム管理者等がスコアリングシステム10を運営・管理する際に利用する情報処理装置である。このサーバー装置(スコアリング装置)2は、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータで構成される。サーバー装置2は、ネットワーク3を介して、スコアリング装置1から送信された各種コマンド(リクエスト)に応じて、スコアリング装置1に対して各種情報を配信することができる。本実施形態におけるサーバー装置2は、ネットワーク3を介してスコアリング装置1からインフルエンサーの情報の配信要求があった場合に、それに対応したインフルエンサーを提供することができる。
【0101】
サーバー装置2は、図示しない、入力部と、記憶部と、制御部と、表示部と、通信部とを備える。これらの各部は、データバスによって相互に通信可能に接続されている。この構成は、スコアリング装置1と同じであってもよい。したがって、サーバー装置2は、スコアリング装置1を兼ねていてもよい。
【0102】
ネットワーク3は、インターネットやLAN(Local Area Network)、VAN(Value Added Network)などで構成される。また、ネットワーク3は、有線ネットワーク、無線ネットワークまたはこれらの組み合わせのいずれであってもよい。ネットワーク3は、例えば、イーサネット(登録商標)や公衆電話回線網、無線通信網、携帯電話回線網などにより構築される。
【0103】
以上説明したようなスコアリングシステム10によれば、インフルエンサーマーケティングを行う者もインフルエンサーも、どこでも簡単かつ正確にインフルエンサーの影響力を知ることができる。そのため、インフルエンサーマーケティングを行う者は、正確なマーケティングを行うことができる。また、インフルエンサーは、投稿へのモチベーションを上げることができる。
【0104】
以上、本発明のスコアリング装置、スコアリング方法およびそのプログラムを、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の手段または構成物が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1…スコアリング装置 11…入力手段 12…記憶手段 13…制御手段 131…情報取得手段 132…抽出手段 133…変数特定手段 134…算出手段 135…ランク付け手段 14…表示手段 15…通信手段 2…サーバー装置 3…ネットワーク 10…スコアリングシステム