(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】買物カゴ
(51)【国際特許分類】
B65D 25/28 20060101AFI20221223BHJP
B65D 1/38 20060101ALI20221223BHJP
A45C 3/04 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
B65D25/28 105A
B65D1/38
A45C3/04 A
(21)【出願番号】P 2018187074
(22)【出願日】2018-10-02
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】岩田 貴雄
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-346622(JP,A)
【文献】特開平11-105879(JP,A)
【文献】実開平06-071442(JP,U)
【文献】米国特許第10077137(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/28
B65D 1/38
A45C 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カゴ本体と、
前記カゴ本体に設けられた回動構成部と、
前記回動構成部によって前記カゴ本体に回動自在に連結され、該カゴ本体に倒れた状態と起立した状態とに変位する把手と、
前記把手に設けられ、該把手が前記カゴ本体に倒れた状態に変位したときに、該把手と該カゴ本体との間に空間を形成する空間形成部とを備え、
前記把手は、
前記空間形成部が設けられた把持部と、
前記把持部から延出したアーム部と、
前記アーム部に形成され、前記回動構成部に連結される被回動構成部とを備え、
前記空間形成部は、前記把手が前記カゴ本体に倒れた状態に変位したときに、上方へ凹んだ状態にな
る凹部であることを特徴とす
る買物カゴ。
【請求項2】
カゴ本体と、
前記カゴ本体に設けられた回動構成部と、
前記回動構成部によって前記カゴ本体に回動自在に連結され、該カゴ本体に倒れた状態と起立した状態とに変位する把手と、
前記把手に設けられ、該把手が前記カゴ本体に倒れた状態に変位したときに、該把手と該カゴ本体との間に空間を形成する空間形成部と、
前記把手に設けられ、該把手が前記カゴ本体に倒れた状態に変位したときに、該カゴ本体側の側端から上方へ突き出したグリップ部と、
一対の前記把手とを備えることを特徴とす
る買物カゴ。
【請求項3】
前記一対の把手にそれぞれ設けられた第1当接部と、
前記グリップ部であって、前記一対の把手が前記カゴ本体から起立した状態に変位したときに、前記第1当接部よりも下方向側に位置する第2当接部とを備え、
前記一対の把手が前記カゴ本体から起立した状態に変位したときに、該一対の把手の前記第1当接部同士及び前記第2当接部同士が当接し、更に、一方の把手の該第1当接部と該第2当接部の間において、他方の把手の該第1当接部が該一方の把手に当接可能である、又は、該他方の把手の該第1当接部と該第2当接部の間において、該一方の把手の該第1当接部が該他方の把手に当接可能であることを特徴とする請求項
2に記載の買物カゴ。
【請求項4】
カゴ本体と、
前記カゴ本体に設けられた回動構成部と、
前記回動構成部によって前記カゴ本体に回動自在に連結され、該カゴ本体に倒れた状態と起立した状態とに変位する把手と、
前記把手に設けられ、該把手が前記カゴ本体に倒れた状態に変位したときに、該把手と該カゴ本体との間に空間を形成する空間形成部と、
前記カゴ本体に設けられ、下方へ凹
む凹部を備え、
前
記凹部は、前記把手が前記カゴ本体に倒れた状態に変位したときに、該把手の前記空間形成部に上下方向で対向することを特徴とす
る買物カゴ。
【請求項5】
前記カゴ本体に設けられ、前記買物カゴが他の買物カゴに積み重ねられたときに、該買物カゴを該他の買物カゴから上下方向で所定距離離間させる当接リブを備え、
前記所定距離は、前記把手が前記カゴ本体に倒れた状態に変位したときの、該カゴ本体の前
記凹部から該把手の前記空間形成部までの上下方向の距離よりも長いことを特徴とする請求項
4に記載の買物カゴ。
【請求項6】
前記カゴ本体の色と前記把手の色とが異なることを特徴とする請求項1乃至請求項
5のいずれか一つに記載の買物カゴ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カゴ本体と、カゴ本体に回動自在に連結された把手とを備える買物カゴに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、カゴ本体と、カゴ本体に回動自在に連結された把手とを備える買物カゴに関し、種々の技術が提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に記載のスーパー用買物かごは、把手がカゴ本体の上端部であるフランジに接するように倒れた状態にある。従って、使用者は、スーパー用買物かごを手に取る際は、把手をカゴ本体の上端部から起立させた状態とし、その状態の把手を握る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カゴ本体の上端部から起立させる際の把手は、カゴ本体の上端部であるフランジに接するように倒れた状態にあるので、ハンドリング性が悪かった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、取り上げられる際のハンドリング性に優れた買物カゴを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、買物カゴであって、カゴ本体と、カゴ本体に設けられた回動構成部と、回動構成部によってカゴ本体に回動自在に連結され、該カゴ本体に倒れた状態と起立した状態とに変位する把手と、把手に設けられ、該把手がカゴ本体に倒れた状態に変位したときに、該把手と該カゴ本体との間に空間を形成する空間形成部とを備え、把手は、空間形成部が設けられた把持部と、把持部から延出したアーム部と、アーム部に形成され、前記回動構成部に連結される被回動構成部とを備え、空間形成部は、把手がカゴ本体に倒れた状態に変位したときに、上方へ凹んだ状態になる凹部であることを特徴とする。
【0009】
この課題を解決するためになされた請求項2に係る発明は、買物カゴであって、カゴ本体と、カゴ本体に設けられた回動構成部と、回動構成部によってカゴ本体に回動自在に連結され、該カゴ本体に倒れた状態と起立した状態とに変位する把手と、把手に設けられ、該把手がカゴ本体に倒れた状態に変位したときに、該把手と該カゴ本体との間に空間を形成する空間形成部と、把手に設けられ、把手がカゴ本体に倒れた状態に変位したときに、カゴ本体側の側端から上方へ突き出したグリップ部と、一対の把手とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の買物カゴであって、一対の把手にそれぞれ設けられた第1当接部と、グリップ部であって、一対の把手がカゴ本体から起立した状態に変位したときに、第1当接部よりも下方向側に位置する第2当接部とを備え、一対の把手がカゴ本体から起立した状態に変位したときに、一対の把手の第1当接部同士及び第2当接部同士が当接し、更に、一方の把手の第1当接部と第2当接部の間において、他方の把手の第1当接部が一方の把手に当接可能である、又は、他方の把手の第1当接部と第2当
接部の間において、一方の把手の第1当接部が他方の把手に当接可能であることを特徴とする。
【0011】
この課題を解決するためになされた請求項4に係る発明は、買物カゴであって、カゴ本体と、カゴ本体に設けられた回動構成部と、回動構成部によってカゴ本体に回動自在に連結され、該カゴ本体に倒れた状態と起立した状態とに変位する把手と、把手に設けられ、該把手がカゴ本体に倒れた状態に変位したときに、該把手と該カゴ本体との間に空間を形成する空間形成部と、カゴ本体に設けられ、下方へ凹む凹部を備え、凹部は、把手がカゴ本体に倒れた状態に変位したときに、把手の空間形成部に上下方向で対向することを特徴とする。
【0012】
尚、把手の空間形成部は、カゴ本体の凹部と上下方向で対向する際において、カゴ本体の凹部の真上方向にある必要はなく、カゴ本体の凹部の真上方向からずれていてもよい。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の買物カゴであって、カゴ本体に設けられ、買物カゴが他の買物カゴに積み重ねられたときに、買物カゴを他の買物カゴから上下方向で所定距離離間させる当接リブを備え、所定距離は、把手がカゴ本体に倒れた状態に変位したときの、カゴ本体の第2凹部から把手の空間形成部までの上下方向の距離よりも長いことを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の買物カゴであって、カゴ本体の色と把手の色とが異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1,2,4に係る発明の買物カゴでは、把手がカゴ本体に倒れた状態に変位すると、把手の空間形成部によって、カゴ本体の側面視又は正面視で、把手とカゴ本体との間に空間が形成される。そのため、使用者は、その指を、カゴ本体と把手との間に比較的深くまで差し入れ易い。これにより、請求項1,2,4に係る発明の買物カゴは、取り上げられる際のハンドリング性に優れる。
【0016】
請求項1に係る発明の買物カゴでは、把手がカゴ本体に倒れた状態に変位すると、把手の空間形成部である凹部が、上方へ凹んだ状態になる。よって、カゴ本体の側面視又は正面視で、把手の凹部とカゴ本体との間に空間が形成される。そのため、使用者は、その指を、カゴ本体と把手との間に比較的深くまで差し入れ易い。これにより、請求項1に係る発明の買物カゴは、取り上げられる際のハンドリング性に優れる。
【0017】
請求項2に係る発明の買物カゴでは、把手がカゴ本体に倒れた状態にあるときのグリップ部が、把手において、カゴ本体側の側端から上方へ突き出している。よって、一対の把手がカゴ本体から起立した状態に変位すると、各グリップ部は、一対の把手の下端からカゴ本体の内方へ突き出すので、対向する状態となる。そのため、カゴ本体から起立した状態にある一対の把手を、使用者が握ると、各グリップ部によって、使用者の手(のひら)と把手との接触面積が広がる。これにより、請求項2に係る発明の買物カゴは、取り上げられる際のグリップ性に優れる。
【0018】
それゆえ、請求項2に係る発明の買物カゴでは、使用者の手(のひら)で握り易くするためのカバー部材を把手に取り付ける必要がないので、その取り付けの手間を省くことが可能である。
【0019】
請求項3に係る発明の買物カゴでは、例えば、カゴ本体から起立した状態の一対の把手を使用者が握り持ち上げた状態において、カゴ本体に商品が入れられると、商品の重みによって、買物カゴ(つまり、カゴ本体及び一対の把手)が傾いて、把手同士が上下方向でずれる場合がある。そのような場合に、一方の把手の第1当接部と第2当接部の間において、他方の把手の第1当接部が一方の把手に当接可能である、又は、他方の把手の第1当
接部と第2当接部の間において、一方の把手の第1当接部が他方の把手に当接可能である。これにより、請求項3に係る発明の買物カゴでは、カゴ本体が傾いた状態にあっても、使用者は、一対の把手を安定して握ることが可能である。
【0020】
更に、請求項3に係る発明の買物カゴでは、一対の把手がカゴ本体から起立した状態にあると、第1当接部よりも下方向側に位置する第2当接部が、グリップ部である。そのため、カゴ本体から起立した状態にある一対の把手を、使用者が握ると、各グリップ部によって、使用者の手(のひら)と把手との接触面積が広がる。これにより、請求項3に係る発明の買物カゴは、取り上げられる際のグリップ性が一層優れる。
【0021】
請求項4に係る発明の買物カゴにおいて、把手がカゴ本体に倒れた状態にあると、空間形成部と、下方へ凹んだ状態のカゴ本体の凹部とが、上下方向で対向する。よって、カゴ本体の側面視又は正面視で、把手の空間形成部とカゴ本体の凹部との間に形成される空間によって、把手とカゴ本体との間が広く確保される。そのため、使用者は、その指を、カゴ本体と把手との間に比較的深くまで差し入れ易い。これにより、請求項4に係る発明の買物カゴは、取り上げられる際のハンドリング性が一層優れる。
【0022】
請求項5に係る発明の買物カゴにおいて、カゴ本体に設けられた当接リブは、買物カゴが他の買物カゴに積み重ねられたときに、買物カゴ(上段側の買物カゴ)を、他の買物カゴ(下段側の買物カゴ)から上下方向で所定距離離間させる。その所定距離は、把手がカゴ本体に倒れた状態に変位したときにおいて、カゴ本体の凹部から把手の空間形成部までの上下方向の距離よりも長い。そのため、請求項5に係る発明の買物カゴでは、買物カゴ(上段側の買物カゴ)が他の買物カゴ(下段側の買物カゴ)に積み重ねられた際において、買物カゴ(上段側の買物カゴ)が他の買物カゴ(下段側の買物カゴ)の把手を押し潰すことがないので、把手の破損を防止することが可能である。
【0023】
請求項6に係る発明の買物カゴでは、カゴ本体の色と把手の色とが異なるので、把手の視認性が向上している。よって、使用者は、その指が差し入れられる空間であって、把手とカゴ本体との間に形成される空間を、色によって、認識することが可能である。これにより、請求項6に係る発明の買物カゴは、取り上げられる際のハンドリング性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態の買物カゴが表された斜視図である。
【
図3】同買物カゴの一部が拡大された斜視図である。
【
図4】中心線Aよりも左側は同買物カゴが表された側面図であり、中心線Aよりも右側は同買物カゴの断面が表された図である。
【
図5】中心線Bよりも左側は同買物カゴが表された正面図であり、中心線Bよりも右側は同買物カゴの断面が表された図である。
【
図7】中心線Aよりも左側は同買物カゴが表された側面図であり、中心線Aよりも右側は同買物カゴの断面が表された図である。
【
図8】中心線Bよりも左側は同買物カゴが表された正面図であり、中心線Bよりも右側は同買物カゴの断面が表された図である。
【
図9】同買物カゴのグリップ部が表された側面図(同グリップ部の部分断面図)である。
【
図10】同買物カゴの断面が表された側面図である。
【
図11】同買物カゴのグリップ部が表された側面図(同グリップ部の部分断面図)である。
【
図12】段積み状態の同買物カゴが表された斜視図である。
【
図13】段積み状態の同買物カゴの断面が表された図である。
【
図14】中心線Aよりも左側は同買物カゴの変更例が表された側面図であり、中心線Aよりも右側は同変更例の買物カゴの断面が表された図である。
【
図15】段積み状態の同変更例の買物カゴが表された斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る買物カゴについて、具体化した本実施形態に基づき、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
(1)買物カゴ1の概要
図1乃至
図3に表されたように、買物カゴ1は、カゴ本体2、及び一対の把手3を備えている。カゴ本体2、及び一対の把手3は、ポリプロピレン等の樹脂を材料とした金型成形によって作られている。カゴ本体2、及び一対の把手3は、異なる色である。カゴ本体2は、一対の長辺側側面部20、及び一対の短辺側側面部30等を備えている。更に、カゴ本体2は、後述する
図4等に表された底面部10を備えている。
【0027】
尚、
図1乃至
図3において、符号D1の方向は、上下方向(つまり、買物カゴ1の高さ方向)を示している。符号D2の方向は、底面部10、及び一対の長辺側側面部20の幅方向を示している。符号D3の方向は、一対の短辺側側面部30の幅方向を示している。各方向D1,D2,D3は、互いに直交する関係にある。これらの点は、後述する他の図においても、同様である。
【0028】
(2)カゴ本体2の概要
底面部10は、略矩形状をなし、相対する一対の長辺12、及び相対する一対の短辺14を備えている。底面部10の各長辺12からは、各長辺側側面部20が上方向へ延出している。底面部10の各短辺14からは、各短辺側側面部30が上方向へ延出している。これにより、カゴ本体2は、底面部10より広い上面が開放された逆四角錐台状に形作られている。従って、一方の買物カゴ1のカゴ本体2に、例えば、その開放上面の上方から、他方の買物カゴ1のカゴ本体2を嵌め入れることによって、双方の買物カゴ1を積み重ねることが可能である。
【0029】
底面部10、一対の長辺側側面部20、及び一対の短辺側側面部30には、複数の穴4が形成されている。一対の長辺側側面部20及び一対の短辺側側面部30の各上辺には、カゴ本体2の外方へ張り出したフランジ5が設けられている。一対の短辺側側面部30には、その幅方向D3の両側において、一対の当接リブ6が、フランジ5の下面に連なるようにして立設されている。
【0030】
一対の長辺側側面部20には、その幅方向D2の中央領域において、短辺側側面部30の幅方向D3で対向する一対の回動軸7が、フランジ5の上面に設けられている。一対の回動軸7には、把手3が軸支されている。これにより、把手3は、カゴ本体2のフランジ5に倒れた状態(つまり、
図2及び
図3に表された状態)と、カゴ本体2のフランジ5から起立した状態(つまり、
図1に表された状態)に変位することが可能である。
【0031】
一対の長辺側側面部20のフランジ5の上面は、回動軸7から回動軸7側の反対側(つまり、短辺側側面部30側)に向かうに連れて下方向へ湾曲している。一対の短辺側側面部30のフランジ5の上面には、凹んだ状態の第2凹部32が設けられている。第2凹部32は、短辺側側面部30の幅方向D3の中央に向かうに連れて下方向へ入り込んでいる。
【0032】
尚、把手3は、カゴ本体2のフランジ5に倒れた状態にあると、回動軸7から回動軸7側の反対側(つまり、短辺側側面部30側)に向かうに連れて下方向へ湾曲している。これにより、把手3は、一対の長辺側側面部20のフランジ5の上面に沿う形状になっている。
【0033】
(3)把手3の概要
把手3は、使用者が手で持つことができる把持部3Aと、把持部3Aの両端から延出した一対のアーム部3Bと、アーム部3Bの先端に形成された回動軸受け部3Cとを有する。回動軸受け部3Cは、カゴ本体2の回動軸7に取り付けられる。これにより、把手3は、カゴ本体2に回動可能に支持されている。以下、カゴ本体2のフランジ5に倒れた状態にある把手3について、
図4乃至
図6を加えて説明する。
【0034】
把手3がカゴ本体2のフランジ5に倒れた状態に変位すると、各アーム部3Bは、長辺側側面部20のフランジ5の上面に沿うように位置する。これに対して、把持部3Aは、短辺側側面部30のフランジ5の上方向側に位置する。把持部3Aには、湾曲状の第1凹部40が設けられている。第1凹部40の下方には、カゴ本体2の第2凹部32が位置する。これにより、把持部3Aの第1凹部40は、カゴ本体2の第2凹部32と上下方向D1で対向する。第1凹部40は、上方へ凹んだ状態にあり、短辺側側面部30の幅方向D3の中央に向かうに連れて上方向へ入り込む。これにより、
図5に表された短辺側側面部30の正面視(つまり、方向D2)で買物カゴ1を視ると、把手3の第1凹部40とカゴ本体2の第2凹部32との間には、空間50が形成される。空間50は、短辺側側面部30の幅方向D3の中央部が端部よりも、上下方向D1で広くなっている。
【0035】
アーム部3Bと把持部3Aとの境界部3Dがなす角度は、90度よりも大きくなっている。これにより、把手3は、略C字状に形成されている。尚、境界部3Dは、R面取りされている。
【0036】
第1凹部40の上面には、カゴ本体2側の側端において、上方へ突き出したグリップ部42が設けられている。従って、グリップ部42は、短辺側側面部30のフランジ5の上方向側に位置する。
【0037】
次に、カゴ本体2のフランジ5から起立した状態にある把手3について、
図7乃至
図11を加えて説明する。一対の把手3がカゴ本体2のフランジ5から起立した状態に変位すると、カゴ本体2の上方にて、一対の把手3の第1凹部40同士が当接する。その際、各把手3のグリップ部42は、第1凹部40の下端からカゴ本体2の内方へ向いた状態になる。
【0038】
図9に表されたように、第1凹部40同士の当接は、一対の把手3に設けられた第1当接部44同士と、更に、一対の把手3に設けられた第2当接部46同士とで行われる。第2当接部46は、第1当接部44よりも下方向側に位置するグリップ部42である。
【0039】
図10に表された長辺側側面部20の側面視(つまり、方向D3)において、カゴ本体2に入れられた商品の重み等によって、カゴ本体2が右方向へ向かうに連れて下方向へ傾斜する場合には、第1凹部40同士の当接が変化する。そのような場合には、
図11に表されたように、右方の把手3の第1当接部44と第2当接部46(つまり、グリップ部42)との間において、左方の把手3の第1当接部44が右方の把手3に当接する。
【0040】
これに対して、
図7に表された長辺側側面部20の側面視(つまり、方向D3)において、カゴ本体2が左方向へ向かうに連れて下方向へ傾斜する場合には、図示はしないが、左方の把手3の第1当接部44と第2当接部46(つまり、グリップ部42)との間において、右方の把手3の第1当接部44が左方の把手3に当接する。
【0041】
尚、
図4及び
図7において、中心線Aよりも右側の断面は、一対の短辺側側面部30の幅方向D3の中心を示す中心線B(
図5、
図8参照)で、買物カゴ1を切断した断面である。また、
図10の断面は、一対の短辺側側面部30の幅方向D3の中心を示す中心線B(
図5、
図8参照)で、買物カゴ1を切断した断面である。これに対して、
図5及び
図8において、中心線Bよりも右側の断面は、一対の長辺側側面部20の幅方向D2の中心を示す中心線A(
図4、
図7参照)で、買物カゴ1を切断した断面である。
【0042】
(4)買物カゴ1の積み重ね
図12及び
図13に表されたように、複数の買物カゴ1は、把手3がカゴ本体2に倒れた状態にあると、把手3がカゴ本体2の開放上面の上方に存在しないことから、上下に積み重ねられることが可能である。複数の買物カゴ1が上下に積み重ねられた状態では、下段側の買物カゴ1の把手3に対して、上段側の買物カゴ1の当接リブ6が載置される。更に、下段側の買物カゴ1のカゴ本体2の(長辺側側面部20及び短辺側側面部30)の内面に対して、上段側の買物カゴ1のカゴ本体2の(長辺側側面部20及び短辺側側面部30)の外面が積み重ねられる。
【0043】
これにより、上段側の買物カゴ1は、下段側の買物カゴ1に対して、上下方向D1で、所定距離L1離れた状態になる。所定距離L1は、把手3がカゴ本体2に倒れた状態に変位したときにおいて、カゴ本体2の第2凹部32から把手3の第1凹部40までの上下方向D1の距離L2よりも長い。そのため、下段側の買物カゴ1の把手3に対して、上段側の買物カゴ1の当接リブ6が載置されても、上段側のカゴ本体2の第2凹部32の下面が、下段側の把手3の第1凹部40の上面に突き当たることがない。
【0044】
尚、
図13の断面は、一対の短辺側側面部30の幅方向D3の中心を示す中心線(つまり、
図5、
図8に表された中心線B)で、複数の買物カゴ1を切断した断面である。
【0045】
(5)まとめ
以上詳細に説明した通り、本実施形態の買物カゴ1では、把手3がカゴ本体2に倒れた状態に変位すると、把手3の第1凹部40が上方へ凹んだ状態になるので、カゴ本体2の(方向D2の)正面視で、把手3とカゴ本体2との間に空間50が形成される。そのため、使用者は、その指を、カゴ本体2と把手3との間に比較的深くまで差し入れ易い。これにより、本実施形態の買物カゴ1は、取り上げられる際のハンドリング性に優れる。
【0046】
尚、上述したハンドリング性は、カゴ本体2に対して1個の把手3のみが設けられた場合でも発揮される。
【0047】
本実施形態の買物カゴ1では、把手3がカゴ本体2に倒れた状態にあるときのグリップ部42が、把手3の第1凹部40において、カゴ本体2側の側端から上方へ突き出している。よって、一対の把手3がカゴ本体2から起立した状態に変位すると、各グリップ部42は、一対の把手3の第1凹部40の下端からカゴ本体2の内方へ突き出すので、対向する状態となる。そのため、カゴ本体2から起立した状態にある一対の把手3を、使用者が握ると、各グリップ部42によって、使用者の手(のひら)と把手との接触面積が広がる。これにより、本実施形態の買物カゴ1は、取り上げられる際のグリップ性に優れる。
【0048】
それゆえ、本実施形態の買物カゴ1では、使用者の手(のひら)で握り易くするためのカバー部材を把手3の第1凹部40に取り付ける必要がないので、その取り付けの手間を省くことが可能である。
【0049】
本実施形態の買物カゴ1では、例えば、カゴ本体2から起立した状態の一対の把手3を使用者が握り持ち上げた状態において、カゴ本体2に商品が入れられると、商品の重みによって、買物カゴ1(つまり、カゴ本体2及び一対の把手3)が傾いて、把手3同士が上下方向D1でずれる場合がある。そのような場合に、一方の把手3の第1当接部44と第2当接部46の間において、他方の把手3の第1当接部44が一方の把手3に当接可能である、又は、他方の把手3の第1当接部44と第2当接部46の間において、一方の把手3の第1当接部44が他方の把手3に当接可能である。これにより、本実施形態の買物カゴ1では、カゴ本体2が傾いた状態にあっても、使用者は、一対の把手3を安定して握ることが可能である。
【0050】
更に、本実施形態の買物カゴ1では、一対の把手3がカゴ本体2から起立した状態にあると、第1当接部44よりも下方向側に位置する第2当接部46が、グリップ部42である。そのため、カゴ本体2から起立した状態にある一対の把手3を、使用者が握ると、各グリップ部42によって、使用者の手(のひら)と把手との接触面積が広がる。これにより、本実施形態の買物カゴ1は、取り上げられる際のグリップ性が一層優れる。
【0051】
本実施形態の買物カゴ1において、把手3がカゴ本体2に倒れた状態にあると、第1凹部40と、下方へ凹んだ状態のカゴ本体2の第2凹部32とが、上下方向D1で対向する。よって、カゴ本体2の(方向D2の)正面視で、把手3の第1凹部40とカゴ本体2の第2凹部32との間に形成される空間50によって、把手3とカゴ本体2との間が広く確保される。そのため、使用者は、その指を、カゴ本体2と把手3との間に比較的深くまで差し入れ易い。これにより、本実施形態の買物カゴ1は、取り上げられる際のハンドリング性が一層優れる。
【0052】
本実施形態の買物カゴ1では、カゴ本体2の色と把手3の色とが異なるので、把手3の視認性が向上している。よって、使用者は、その指が差し入れられる空間50であって、把手3とカゴ本体2との間に形成される空間50を、色によって、認識することが可能である。これにより、本実施形態の買物カゴ1は、取り上げられる際のハンドリング性に優れる。
【0053】
上述したハンドリング性やグリップ性は、上下に積み重ねられた複数の買物カゴ1のうち、最上段の買物カゴ1が取り上げられる際においても発揮される。
【0054】
本実施形態の買物カゴ1において、カゴ本体2に設けられた当接リブ6は、買物カゴ1が他の買物カゴ1に積み重ねられたときに、他の買物カゴ1に載置される。これにより、上段側の買物カゴ1は、下段側の買物カゴ1から上下方向D1で所定距離L1離間する。その所定距離L1は、把手3がカゴ本体2に倒れた状態に変位したときにおいて、カゴ本体2の第2凹部32から把手3の第1凹部40までの上下方向D1の距離L2よりも長い。そのため、本実施形態の買物カゴ1では、上段側の買物カゴ1が下段側の買物カゴ1に積み重ねられた際において、上段側の買物カゴ1が下段側の買物カゴ1の把手3を押し潰すことがないので、把手3の破損を防止することが可能である。
【0055】
(6)変更例
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、本実施形態の変更例として、
図14に表された買物カゴ1Aがある。以下の説明では、上記実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0056】
買物カゴ1Aにおいて、一対の把手103は、使用者が手で持つことができる把持部103Aと、把持部103Aの両端から延出した一対のアーム部103Bと、アーム部103Bの先端に形成された回動軸受け部103Cとを有する。アーム部103Bと把持部103Aとの境界部103Dがなす角度は、90度よりも大きくなっている。これにより、把手103は、略C字状に形成されている。尚、境界部103Dは、R面取りされている。
【0057】
回動軸受け部103Cは、カゴ本体2の回動軸7に取り付けられる。これにより、一対の把手103は、カゴ本体2に回動可能に支持されている。
【0058】
更に、アーム部103Bは、湾曲部110を形成しており、カゴ本体2の回動軸7から回動軸7側の反対側(つまり、短辺側側面部30側)に向かうに連れて上方向へ傾斜している。
【0059】
これにより、買物カゴ1Aでは、使用者が一対の把手103を握らない状態、つまり、把手103がカゴ本体2のフランジ5の一部に倒れた状態に変位すると、把手103の湾曲部110によって、把手103の回動軸7側よりも把手103の回動軸7側の反対側(つまり、短辺側側面部30側)が上方に位置するので、把手103の回動軸7側の反対側が上方を向く。そのため、使用者は、把手103の回動軸7側の反対側を取り易い。これにより、買物カゴ1Aは、取り上げられる際のハンドリング性に優れる。
【0060】
尚、把持部103Aには、張出部140が設けられている。張出部140の大部分は、フランジ5の外方へ張り出している。これにより、張出部140が位置する側の下方には、カゴ本体2の第2凹部32が位置する。張出部140は、把持部103Aの全体がカゴ本体2の外方へ突き出したような湾曲形状になっている。張出部140の下面には、カゴ本体2側の側端において、下方へ突き出したグリップ部142が設けられている。従って、グリップ部142は、カゴ本体2よりも外方側に位置する。加えて、長辺側側面部20の上端部及び長辺側側面部20の上端部に設けられたフランジ5は、中心線Aから外方へ向かうに連れて下方向へ湾曲状に傾斜した傾斜部(以下、「長辺側側面部20の傾斜部」という。)となっている。そのため、使用者は、把手103の回動軸7側の反対側(つまり、短辺側側面部30側)を取り易い。これらにより、買物カゴ1Aは、取り上げられる際のハンドリング性をより一層高めることができる。
【0061】
尚、長辺側側面部20の傾斜部は、上記実施形態の第2凹部32の変形例である。
【0062】
また、複数の買物カゴ1Aは、
図15に表されたように、上下方向D1に段積みすることが可能である。複数の買物カゴ1Aが段積みされると、上段側の買物カゴ1Aの当接リブ6は、下段側の買物カゴ1Aの把手103の内方側を通過した状態で、下段側の買物カゴ1Aのフランジ5に載置される。
【0063】
尚、
図14において、中心線Aよりも右側の断面は、一対の短辺側側面部30の幅方向D3の中心を示す中心線B(
図5、
図8参照)で、買物カゴ1Aを切断した断面である。
【0064】
また、本実施形態の第1凹部40及び第2凹部32は、上述した正面視で、略全体的に湾曲状に形成されているが、部分的に湾曲状に形成されていてもよいし、角張ったクランク状に形成されていてもよい。変更例の湾曲部110は、上述した側面視で、略全体的に湾曲状に形成されているが、部分的に湾曲状に形成されていてもよいし、角張ったクランク状に形成されていてもよいし、傾斜状に形成されてもよい。変更例の長辺側側面部20の傾斜部は、直線状に傾斜したものでもよい。
【0065】
また、把手3,103においては、アーム部3B,103Bの先端に、回動軸7が設けられてもよい。そのような場合には、カゴ本体2の一対の長辺側側面部20には、その幅方向D2の中央領域において、回動軸受け部3C,103Cが設けられる。
【0066】
ちなみに、本実施形態において、回動軸7は、「回動構成部」の一例である。回動軸受け部3C,103Cは、「被回動構成部」の一例である。第1凹部40、アーム部103B(湾曲部110)は、「空間形成部」の一例である。上段側の買物カゴ1は、「買物カゴ」の一例である。下段側の買物カゴ1は、「他の買物カゴ」の一例である。
【符号の説明】
【0067】
1,1A 買物カゴ
2 カゴ本体
3,103 把手
3A,103A 把持部
3B,103B アーム部
3C,103C 回動軸受け部
6 当接リブ
7 回動軸
32 第2凹部
40 第1凹部
42 グリップ部
44 第1当接部
46 第2当接部
50 空間
110 湾曲部
L1 所定距離
L2 カゴ本体の凹部から把手の湾曲部までの上下方向の距離
D1 上下方向