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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】矯正器具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/02 20060101AFI20221223BHJP
【FI】
A61F5/02 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022098062
(22)【出願日】2022-06-17
【審査請求日】2022-06-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512298063
【氏名又は名称】ヒュー キュー
【氏名又は名称原語表記】Hugh Kieu
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】ヒュー キュー
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-137448(JP,A)
【文献】国際公開第2020/234244(WO,A1)
【文献】特表2021-506538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/02
A61F 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体幹を囲って装着される外殻部と、前記体幹に当接する当接パッドと、前記外殻部に設けられる支持手段と、を備え、
前記外殻部は、可撓性を有し、前記体幹を囲う外殻部本体と、密着手段と、を有し、
前記外殻部本体は、その一部が、上下方向全長に亘って開放され、
前記密着手段は、前記外殻部本体の開放された領域を狭めることで、前記当接パッドの前記体幹への密着度合いを調整可能に構成され、
前記当接パッドは、可撓性を有し、前記体幹の周方向に沿って延びる面状体であり、
前記支持手段は、前記当接パッドを、前記外殻部の外周面よりも内側で支持する支持手段本体を有し、
前記支持手段本体は、前記当接パッドの一端を前記外殻部に固定支持可能な端部支持部と、前記当接パッドの他端側に設けられ、前記密着手段と別体に構成された牽引手段と、を含み、
前記牽引手段は、前記当接パッドの他端側を、前記周方向に沿って、前記外殻部本体と独立して牽引可能に構成されている、矯正器具。
【請求項2】
前記外殻部、前記当接パッド、及び前記支持手段は、互いに分解可能である、請求項1に記載の矯正器具。
【請求項3】
前記当接パッド及び前記支持手段は、上下方向に沿って摺動可能に構成されている、請求項1に記載の矯正器具。
【請求項4】
前記当接パッド及び前記支持手段は、上下方向に沿って複数設けられている、請求項1に記載の矯正器具。
【請求項5】
前記支持手段は、前記周方向に沿って延び、前記体幹に当接する補助アームを有し、
前記補助アームは、前記体幹を挟んで前記当接パッドに対向して設けられている、請求項1に記載の矯正器具。
【請求項6】
前記外殻部本体は、前記体幹の上部を囲う一対の上部外殻部と、前記体幹の下部を囲う一対の下部外殻部と、上下方向に延び、前記各上部外殻部及び前記各下部外殻部を連結する一対の連結外殻部と、上下方向に延び、前記患者の背部に当接する背面支持部と、を含み、
前記補助アームは、その一端が前記背面支持部に連結され、その他端が前記連結外殻部に連結されている、請求項5に記載の矯正器具。
【請求項7】
前記支持手段本体は、前記当接パッドの外側に設けられ、前記周方向に沿って延びる支持アームと、連結部と、を含み、
前記支持アームには、前記周方向に沿って延びる、スリット状の貫通孔が設けられ、
前記連結部は、前記貫通孔を介して、前記当接パッドと前記支持アームとを連結する、請求項1に記載の矯正器具。
【請求項8】
前記牽引手段には、その一端が前記当接パッドに取付けられ、前記周方向に沿って延びる調整ベルトと、前記外殻部に取付けられ、前記調整ベルトが前記周方向に沿って摺動可能に挿通される調整バックルと、が設けられ、
前記調整ベルトは、その他端が自由端として、前記当接パッドの他端に向かって延び、
前記調整バックルは、前記調整ベルトを締結可能に構成されている、請求項1に記載の矯正器具。
【請求項9】
前記調整ベルトの外側面には、略一定の間隔で凹凸を繰返す波状面が形成され、
前記調整ベルトは、前記調整バックルにより、前記波状面の凹凸間隔に合わせて段階的に、前記周方向に沿って摺動可能に構成されている、請求項8に記載の矯正器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脊椎側湾症を患っている患者の脊椎を矯正するための、矯正器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脊椎側湾症とは、脊椎を正面から見た場合に、側方(左右)に曲がっている状態のことである。
この症状を患った患者には、外見上の異常や心理的な負担、腰や背中の痛み、脊髄麻痺、肺活量の減少といった様々な症状が引き起こされる。
【0003】
上記の脊椎側湾症を治療するための発明として、例えば、特許文献1には、人体に容易に装着することができる矯正器具に関する発明が記載されている。
【0004】
この矯正器具は、体幹に装着される支持体と、体幹に当てられる押圧パッドと、支持体に取付けられる押圧力付与部と、を有している。
そして、押圧力付与部には、流体が供給されることで膨張する変形押圧部が設けられており、この変形押圧部の膨張でもって、押圧パッドが体幹に向けて押圧される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-36894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の押圧パッドは、変形押圧部により、体幹を一方向に向けて押圧する構成であるため、特許文献1に記載の矯正器具は、脊椎の3次元的な捻じれを効果的に矯正することが困難である、という問題があった。
【0007】
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、脊椎側湾症の治療に用いられ、簡易な構成でもって、脊椎の捻じれを効果的に矯正可能な矯正器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、患者の体幹を囲って装着される外殻部と、前記体幹に当接する当接パッドと、前記外殻部に設けられる支持手段と、を備え、
前記当接パッドは、可撓性を有し、前記体幹の周方向に沿って延びる面状体であり、
前記支持手段は、前記当接パッドを、前記外殻部の外周面よりも内側で支持する支持手段本体を有し、
前記支持手段本体は、前記当接パッドの一端を前記外殻部に固定支持可能な端部支持部と、前記当接パッドの他端側に設けられる牽引手段と、を含み、
前記牽引手段は、前記当接パッドの他端側を、前記周方向に沿って牽引可能に構成されている。
【0009】
本発明によれば、可撓性を有する当接パッドは、端部支持部により、その一端が外殻部に固定支持された状態で、牽引手段により、他端側を周方向に沿って牽引されることで、平面視で時計回り、或いは反時計回りにやや回転しながら、本矯正器具の内側に向かって移動することとなる。
即ち、当接パッドは、上記動作態様でもって体幹を押圧することで、本矯正器具を装着した患者の脊椎を、その捻じれを減少させるようにして押圧・矯正する。
このような、当接パッドによる減捻効果により、矯正器具を装着し続けた患者の、三次元的に湾曲した脊椎が、湾曲していない自然な状態に矯正される。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記当接パッド及び前記支持手段は、上下方向に沿って摺動可能に構成されている。
【0011】
このような構成とすることで、患者や施術者は、患者の脊椎の湾曲状態に応じた適切な位置に、当接パッド及び支持手段を配置することが可能となり、本矯正器具の利便性が向上する。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記当接パッド及び前記支持手段は、上下方向に沿って複数設けられている。
【0013】
このような構成とすることで、体幹(及び脊椎)の複数箇所に対して、当接パッドの減捻効果を付与することができるため、複雑な湾曲状態を呈している脊椎に対しても、効果的な施術が可能となり、本矯正器具の利便性が向上する。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記支持手段は、前記周方向に沿って延び、前記体幹に当接する補助アームを有し、前記補助アームは、前記体幹を挟んで前記当接パッドに対向して設けられている。
【0015】
このような構成とすることで、当接パッドによる押圧力を補助アームにより受ける態様で、減捻効果がより効果的に付与され、本矯正器具の装着時の違和感を軽減することが可能となる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記支持手段本体は、前記当接パッドの外側に設けられ、前記周方向に沿って延びる支持アームと、連結部と、を含み、前記支持アームには、前記周方向に沿って延びる、スリット状の貫通孔が設けられ、前記連結部は、前記貫通孔を介して、前記当接パッドと前記支持アームとを連結する。
【0017】
このような構成とすることで、当接パッドが、外殻部の外周面よりも内側で安定的に支持されると共に、牽引手段を用いた動作態様が、安定的に実行される。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記外殻部は、可撓性を有し、前記体幹を囲う外殻部本体と、密着手段と、を有し、前記外殻部本体は、その一部が、上下方向全長に亘って開放され、前記密着手段は、前記外殻部本体の開放された領域を狭めることで、前記当接パッドの前記体幹への密着度合いを調整可能に構成されている。
【0019】
このような構成とすることで、本矯正器具の患者への着脱作業が簡素化されると共に、患者や施術者は、本矯正器具を、患者の体格に合わせて、当接パッドの押圧力が確実に体幹(及び脊椎)に伝わる装着状態とすることができ、本矯正器具の利便性が向上する。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記牽引手段には、その一端が前記当接パッドに取付けられ、前記周方向に沿って延びる調整ベルトと、前記外殻部に取付けられ、前記調整ベルトが前記周方向に沿って摺動可能に挿通される調整バックルと、が設けられ、前記調整ベルトは、その他端が自由端として、前記当接パッドの他端に向かって延び、前記調整バックルは、前記調整ベルトを締結可能に構成されている。
【0021】
このような構成とすることで、患者や施術者は、簡易な構成でもって、当接パッドの減捻効果の程度を、患者の体格や、脊椎の側弯状態に応じて、簡便に調整することが可能となる。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記調整ベルトの外側面には、略一定の間隔で凹凸を繰返す波状面が形成され、前記調整ベルトは、前記調整バックルにより、前記波状面の凹凸間隔に合わせて段階的に、前記周方向に沿って摺動可能に構成されている。
【0023】
このような構成とすることで、患者や施術者は、患者の体格や脊椎の側弯状態に応じた当接パッドの減捻効果の程度を、微調整することが可能となり、本矯正器具の利便性が向上する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、脊椎側湾症の治療に用いられ、簡易な構成でもって、脊椎の捻じれを効果的に矯正可能な矯正器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る矯正器具を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る外殻部本体を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る当接パッド、支持手段及び端部支持部を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る牽引手段の構成説明図である。
図5】本発明の実施形態に係る牽引手段の動作説明図である。
図6】本発明の実施形態に係る外殻部本体に支持アームを取付ける流れを説明するための図である。
図7】本発明の実施形態に係る外殻部本体に支持アームを取付けた状態の図であって、(a)部分拡大斜視図、(b)QQ´線断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る当接パッドに支持手段本体を取付ける流れを説明するための図である。
図9】本発明の実施形態に係る外殻部に、当接パッド及び支持手段本体を取付ける流れを説明するための図である。
図10】本発明の実施形態に係る当接パッドの動作説明図である。
図11】本発明の実施形態に係る当接パッド及び支持手段の動作説明図である。
図12】本発明の実施形態に係る矯正器具の使用態様の説明図である。
図13】本発明の実施形態に係る矯正器具の使用態様の説明図である。
図14】本発明の実施形態に係る矯正器具における外殻部本体の変更例を示す斜視図である。
図15】本発明の実施形態に係る矯正器具における、当接パッド及び支持手段の配置態様の変更例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る矯正器具について説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。
また、これらの図において、符号Xは、本実施形態に係る矯正器具を示す。
【0027】
図1に示すように、矯正器具Xは、患者P(図12等参照)の体幹P1(図12参照)を囲って装着される外殻部1と、体幹P1に当接する当接パッド2と、支持手段3と、を備えている。
【0028】
外殻部1は、体幹P1を囲う外殻部本体11と、密着手段12と、を有している。
【0029】
外殻部本体11は、特に図2に示すように、体幹P1の上部を囲う一対の上部外殻部11aと、体幹P1の下部を囲う一対の下部外殻部11bと、上下方向に延び、上部外殻部11a及び下部外殻部11bを連結する一対の連結外殻部11cと、上下方向に延び、患者Pの背部に当接する背面支持部Bと、を含む。
また、外殻部本体11は、合成樹脂等により形成されることで、全体として可撓性を有している。
【0030】
各上部外殻部11aは、背面支持部Bの側方に連接されることで、背面支持部Bと共に、全体として、平面視で略C字状を呈するように構成されている。
【0031】
各下部外殻部11bも、各上部外殻部11aと同様に、背面支持部Bの側方に連接されることで、背面支持部Bと共に、全体として、底面視で略C字状を呈するように構成されている。
また、各下部外殻部11bは、体幹P1における、臀部に向かうに伴う広がりに適応させるために、下方に向かうに伴って漸次拡径していくように構成されている。
【0032】
各連結外殻部11cは、その端部が、上部外殻部11a及び下部外殻部11bの平面視或いは底面視での各端部と滑らかに連接されている。
これにより、外殻部本体11は、その一部(各連結外殻部11cの間)が、上下方向全長に亘って開放されて構成されている。
また、各連結外殻部11cには、それぞれ、上下方向に沿って設けられた、貫通スリットh1が設けられている。
なお、貫通スリットh1は、各連結外殻部11cの堅牢性を担保するために、図示するよりも短いスリットが所定の間隔を空けて複数設けられることで構成されていても良い。
【0033】
ここで、以下説明の便宜上、上記開放された領域を、開放領域Vとし、矯正器具Xにおいて、開放領域Vが設けられている側を前方、背面支持部Bが設けられている側を後方と称する。
また、周方向dに沿って延びる部材について、背面支持部Bが設けられている側を一端、開放領域Vが設けられている側を他端と称する。
また、図1において、矯正器具X全体として、当接パッド2が2つ設けられている側を左方と称し、当接パッド2が1つ設けられている側を右方と称する。
【0034】
背面支持部Bの構成については、図6及び図7を用いて後述する。
【0035】
密着手段12は、特に図3(a)に示すように、後述する補助アーム31の前方側に設けられた締結ベルト12aと、後述する支持アームS1の前方側に設けられ、締結ベルト12aが挿通される挿通リング12bと、を含む。
【0036】
締結ベルト12aは、その一端が補助アーム31に、ハトメ金具等により軸支されており、その外側面に、雄面ファスナーf1及び雌面ファスナーf2が隣接して形成されている。
【0037】
挿通リング12bは、略長方形状のリング本体12b1と、リング本体12b1を支持するリング支持部12b2と、により構成されている。
リング本体12b1は、その一長辺がリング支持部12b2に挿通支持されることで、この一長辺を軸として回動可能に構成されている。
リング支持部12b2は、支持アームS1に、ハトメ金具等により軸支されている。
【0038】
当接パッド2は、体幹P1の周方向dに沿って延びる、略長方形状の面状体である。
また、当接パッド2には、特に図3(b)に示すように、その他端側に、周方向に沿って形成された一対のスリット状のスライド孔21と、後述する連結部S2が挿通される連結孔22と、その一端に形成され、後述する端部支持部S3が挿通される一対の挿通孔23と、後述する連結部材j5が挿通される挿通孔t5と、が設けられている。
さらに、当接パッド2は、合成樹脂等により形成されることで、全体として可撓性を有している。
【0039】
支持手段3は、当接パッド2を、外殻部1の外周面よりも内側で支持する支持手段本体Sと、周方向dに沿って延び、体幹P1に当接する補助アーム31と、を有している。
【0040】
支持手段本体Sは、当接パッド2の外側に設けられ、周方向dに沿って延びる支持アームS1と、当接パッド2と支持アームS1とを連結する連結部S2と、当接パッド2の一端を背面支持部Bに固定支持可能な端部支持部S3と、当接パッド2の他端側に設けられる牽引手段Wと、を含む。
なお、後述する図4及び図5を除いて、牽引手段Wは、概略的に図示されている。
【0041】
支持アームS1には、特に図3(a)に示すように、その一端に形成され、背面支持部Bと連結するための連結部材j1が挿通される挿通孔t1と、その他端に形成され、連結外殻部11cと連結するための連結部材j2が挿通される挿通孔t2と、周方向に沿って形成され、連結部S2が挿通される、スリット状のスライド孔S1aと、が設けられている。
また、支持アームS1は、合成樹脂等により形成されることで、全体として可撓性を有している。
【0042】
連結部S2は、特に図3(c)に示すように、雄ネジ部及び平坦な円盤状の頭部からなるネジ本体S2aと、雄ネジ部が螺合する雌ネジ部が形成された筒状体及び平坦な円盤状の頭部からなるブラケットS2bと、により構成された、一般的な、所謂組ネジである。
なお、ネジ本体S2aの頭部表面には、ドライバー等を用いた締結・緩めのための、マイナス或いはプラスの切り込みが形成されている。
【0043】
端部支持部S3は、連結部S2と同様に、ネジ本体S3aとブラケットS3bとにより構成された組ネジであり、背面支持部Bの厚みに合わせて、その全長が連結部S2よりも長く構成されている。
【0044】
ここで、上記した連結部材j1、j2や、後述する連結部材j3~j6についても、連結部S2及び端部支持部S3と同様の組ネジであり、適用箇所に応じて、その全長が適宜変更されて良い。
このように、連結部S2や端部支持部S3、連結部材j1~j6を、各頭部が平坦な組ネジとすることで、矯正器具Xが患者Pに装着され、体幹P1に各頭部が接触した場合であっても、患者Pに違和感を与えないため、快適な装着状態が維持される。
【0045】
補助アーム31には、特に図3(a)に示すように、その一端に形成され、背面支持部Bと連結するための連結部材j3が挿通される挿通孔t3と、その他端に形成され、連結外殻部11cと連結するための連結部材j4が挿通される挿通孔t4と、が設けられている。
また、補助アーム31は、合成樹脂等により形成されることで、全体として可撓性を有している。
なお、図3(a)において、挿通孔t4は、締結ベルト12aに覆われているため、点線で図示されている。
【0046】
以下、図4を用いて、牽引手段Wの構成について説明する。
なお、牽引手段Wは、全体として、特にスノーボードのバインディングに設けられ、ブーツの締付けに用いられる一般的なラチェット機構と、略同様の構成である。
【0047】
牽引手段Wには、図4に示すように、その一端が当接パッド2に取付けられ、周方向dに沿って延びる調整ベルトW1と、外殻部1に取付けられ、調整ベルトW1が周方向dに沿って摺動可能に挿通される調整バックルW2と、が設けられている。
なお、図4(a)は、調整ベルトW1の斜視図、図4(b)は、調整バックルW2の分解斜視図、図4(c)は、調整バックルW2の組立て斜視図である。
【0048】
調整ベルトW1は、ゴム等の弾性素材により形成される細長薄板状体であり、その外側面には、一定の間隔で、断面略三角形状の凹凸が設けられた、波状面W11が形成されている。
また、調整ベルトW1の一端には、連結部材j5が挿通される挿通孔W12が設けられている。
【0049】
調整バックルW2は、第一レバーW21と、第二レバーW22と、抑え爪W23と、ベースプレートW24と、を含む。
また、調整バックルW2は、第一レバーW21の回動軸となる第一軸部K1と、第二レバーW22の回動軸となる第二軸部K2と、抑え爪W23の回動軸となる第三軸部K3と、を含む。
【0050】
さらに、調整バックルW2は、第一レバーW21を、図5に示す側面視で時計回りに付勢する一対の第一ねじりバネN1と、第二レバーW22を、図5に示す側面視で反時計回りに付勢する第二ねじりバネN2と、を含む。
なお、図4及び図5を用いた調整バックルW2の説明において、第一軸部K1が設けられている側を一端、第三軸部K3が設けられている側を他端と称する。
【0051】
第一レバーW21は、略薄板状体の第一レバー本体W21aと、第一レバー本体W21aの一端に連接されたラチェット部W21bと、ラチェット部W21bの内周面に形成され、第一軸部K1が挿通される軸孔部W21cと、により構成されている。
第一レバー本体W21aには、後述する第二レバー本体W22aが挿通される貫通孔gが設けられている。
ラチェット部W21bは、その先端が、波状面W11に当接可能な複数のラチェット歯によって構成されている。
【0052】
第二レバーW22は、上方且つ一端側に向かって湾曲しながら延びる第二レバー本体W22aと、第二レバー本体W22aの下端に連接され、第二軸部K2が挿通される軸孔部W22bと、第二レバー本体W22aの下部から他端側に向かって突設された第一突設部W22cと、第二レバー本体W22aの側部から一端側に向かって突設された第二突設部W22dと、により構成されている。
なお、図4(b)において、第二レバーW22、第二軸部K2及び第二ねじりバネN2は、組上げられた状態で示している。
【0053】
抑え爪W23は、第三軸部K3が挿通される抑え爪本体W23aと、抑え爪本体W23aの一端から突設され、第一突設部W22cの下面に当接する第三突設部W23bと、により構成されている。
抑え爪本体W23aの他端側の下部には、波状面W11と係合する係合爪部nが形成されている。
なお、図4(b)において、抑え爪W23及び第三軸部K3は、組上げられた状態で示している。
【0054】
ベースプレートW24は、連結外殻部11cに当接するベースプレート本体W24aと、ベースプレート本体W24aから立設された一対の壁部W24bと、一方の壁部W24bから、ベースプレート本体W24aと略同一の面方向に延設され、連結部材j6が挿通される挿通孔t6が形成された延設部W24cと、により構成されている。
各壁部W24bには、第一軸部K1~第三軸部K3がそれぞれ挿通される、一対の挿通孔k1~k3が形成されている。
挿通孔k1は、挿通孔k2及び挿通孔k3と比較して、斜め上方に延びる略小判型形状を呈している。
なお、延設部W24cは、当接パッド2の外殻部1への取付け位置等に応じて、図8図9等に示す牽引手段Wのように、他方の壁部W24bから延設されていても良い。
【0055】
各第一ねじりバネN1は、第一軸部K1の両端に挿通され、他端に向かって延びる線バネが、第二軸部K2の各端部に係止される。
【0056】
第二ねじりバネN2は、第二軸部K2の一方の端部に挿通され、他端に向かって延びる線バネが、第三軸部K3の端部に係止される。
【0057】
上記のように構成された調整バックルW2は、図4(c)に示すように組上げられる。
なお、第一軸部K1~第三軸部K3は、ハトメ金具等により、回動可能な状態で各壁部W24bに固定されても良い。
【0058】
以下、図5を用いて、牽引手段Wの動作態様について説明する。
なお、図5は、図4(c)に示す調整バックルW2に、調整ベルトW1を挿通した状態でのPP´線断面図を示しており、一方の壁部W24bを点線で示している。
【0059】
患者Pや施術者は、調整ベルトW1を他端側に摺動させる場合、第一レバーW21を、各第一ねじりバネN1の付勢力に抗して反時計回りに回動させる。
すると、ラチェット部W21bが波状面W11の凹凸に当接することで、調整ベルトW1が他端側に押圧され、抑え爪W23が、調整ベルトW1の摺動動作でもって、反時計回りに回動する。
これにより、牽引手段Wは、(a-1)から(a-2)に示す状態となる。
【0060】
また、患者Pや施術者は、さらに第一レバーW21を反時計回りに回動させることで、調整ベルトW1を、波状面W11における一の凹凸分の距離だけ移動させ、抑え爪本体W23aの係合爪部nを、再度、波状面W11の凹凸に係合させる。
これにより、牽引手段Wは、(a-2)から(a-3)に示す状態となる。
【0061】
最後に、患者Pや施術者は、第一レバーW21に掛けている力を除荷することで、各第一ねじりバネN1の付勢力により、第一レバーW21を時計回りに回動させ、調整バックルW2を、(a-1)に示す状態に戻す。
これにより、牽引手段Wは、(a-3)から(a-4)に示す状態となる。
【0062】
このように、患者Pや施術者は、第一レバーW21の回動動作でもって、調整ベルトW1を、波状面W11の凹凸の間隔に合わせて、段階的に摺動させることができる。
【0063】
患者Pや施術者は、調整ベルトW1を調整バックルW2から取外す場合、第二レバーW22を時計回りに回動させることで、第一突設部W22cが、第三突設部W23bを下方に押圧する。また、このとき、第二突設部W22dが、第一レバー本体W21aの裏面に当接し、第一レバーW21を上方に押圧する。
すると、第二レバーW22が反時計回りに回動し、第一レバーW21が、挿通孔k1の延びる方向に沿って斜め上方に移動することで、調整ベルトW1が調整バックルW2に拘束されていない状態となる。
これにより、牽引手段Wは、(b-1)から(b-2)に示す状態となる。
【0064】
最後に、患者Pや施術者は、調整ベルトW1を調整バックルW2から引き抜く。
これにより、牽引手段Wは、(b-2)から(b-3)に示す状態となる。
【0065】
以下、図6及び図7を用いて、背面支持部Bの構成について説明する。
【0066】
背面支持部Bは、前後方向に所定の厚みを有する略四角柱状体であり、その左右には、支持アームS1や補助アーム31の一端が挿通される一対の長溝B1が、上下方向全長に亘って設けられている。
また、背面支持部Bには、その左右に設けられ、各長溝B1に連通する一対の貫通スリットh2と、各貫通スリットh2の内側に設けられた、一対の貫通スリットh3と、が設けられている。
【0067】
各貫通スリットh2及び各貫通スリットh3は、上下方向に延びて形成されており、本実施形態においては、各貫通スリットh2が、各貫通スリットh3よりも長く構成されているが、略同一の長さとしても良い。
また、各貫通スリットh2及び各貫通スリットh3は、貫通スリットh1と同様に、背面支持部Bの堅牢性を担保するために、図示するよりも短いスリットが所定の間隔を空けて複数設けられることで構成されていても良い。
【0068】
背面支持部Bと支持アームS1とは、図6から図7に示す流れで連結される。
即ち、まず、支持アームS1の一端が、一方の長溝B1の上端又は下端から挿通されることで、図6(a)から図6(b)に示すように、一方の貫通スリットh2と挿通孔t1とが連通する態様となる。
【0069】
そして、一方の貫通スリットh2と挿通孔t1とに連結部材j1が挿通され、締結されることで、図6(b)から図7(a)に示すように、背面支持部Bと支持アームS1とが連結される。
なお、図6及び図7においては、背面支持部Bと支持アームS1とを取付ける流れについて示したが、補助アーム31についても、背面支持部Bに対して、連結部材j3を用いることで同様の流れで取付けられる。
【0070】
ここで、図7(b)に示すように、矯正器具Xを患者Pに装着した状態で、連結部材j1を緩め、支持アームS1の上下動が可能となるように、連結部材j1は、ネジ本体j1aが外側に配置されるように、外殻部1に取付けられることが好ましい。
また、このような取付け態様は、連結部S2や端部支持部S3、連結部材j2~j6においても同様とすることが好ましい。
【0071】
以下、図8図10を用いて、当接パッド2と支持手段本体Sとを取付ける流れや、各構成の動作態様について説明する。
【0072】
当接パッド2と支持アームS1とは、図8(a)に示す態様で連結される。
即ち、支持アームS1が、スライド孔S1aと連結孔22とが連通されるように、当接パッド2の外側に配置され、スライド孔S1a及び連結孔22に連結部S2が挿通されることで、当接パッド2と支持アームS1とが連結される。
【0073】
当接パッド2と牽引手段Wとは、図8(b)に示す態様で連結される。
即ち、牽引手段Wが、その調整ベルトW1の挿通孔W12と挿通孔t5とが連通されるように、当接パッド2の外側に配置され、挿通孔W12及び挿通孔t5に連結部材j5が挿通されることで、当接パッド2と牽引手段Wとが連結される。
【0074】
上記のように連結された当接パッド2、支持アームS1及び牽引手段Wは、図9(a)に示す態様で、外殻部1に配置される。
即ち、当接パッド2と、支持アームS1の他端及び牽引手段W(調整バックルW2)と、の間に一方の連結外殻部11cが挿通され、当接パッド2の一端が、背面支持部Bの前面に当接するように、各構成が配置される。
なお、背面支持部Bと支持アームS1の一端とは、上記した図6から図7に示す流れで連結される。
【0075】
これにより、支持アームS1における挿通孔t2、及び当接パッド2における下方のスライド孔21が、貫通スリットh1と連通する。
また、調整バックルW2における挿通孔t6、及び当接パッド2における上方のスライド孔21が、貫通スリットh1と連通する。
さらに、当接パッド2における各挿通孔23が、貫通スリットh3と連通する。
【0076】
上記のように配置された当接パッド2、支持アームS1及び牽引手段Wは、図9(b)に示す態様で、外殻部1に連結される。
即ち、連結部材j2を、貫通スリットh1を介して挿通孔t2及び下方のスライド孔21に挿通し、連結部材j6を、貫通スリットh1を介して挿通孔t6及び上方のスライド孔21に挿通し、端部支持部S3を、貫通スリットh3を介して各挿通孔23に挿通し、それぞれを締結することで、上記各構成が、外殻部1に連結される。
【0077】
これにより、支持手段本体Sが、図1に示すように、外殻部1に取付けられる。
なお、補助アーム31についても、その他端の挿通孔t4と貫通スリットh1とを連通させ、連結部材j4を挿通・締結することで、図1に示すように、外殻部1に取付けられる。
【0078】
ここで、矯正器具Xには、図1に示すように、当接パッド2及び支持手段3が、上下方向に沿って3つ設けられている。
また、上記した、当接パッド2と支持手段3の各構成との取付けや、支持手段3の外殻部1への取付けについては、上方の当接パッド2及び支持手段3についてのみ示したが、中央の当接パッド2及び支持手段3、下方の当接パッド2及び支持手段3、それぞれについても、同様の流れで取付けが可能である。
【0079】
なお、中央の当接パッド2及び支持手段3は、上方の当接パッド2及び支持手段3と比較して、その配意関係が左右反転しており、当接パッド2が、やや上下方向に幅広に構成されている。このため、中央の当接パッド2には、支持アームS1を挟んで、上下に牽引手段Wが設けられている。
また、下方の当接パッド2及び支持手段3は、上方の当接パッド2及び支持手段3と同様の配置関係であるが、当接パッド2及び支持手段本体Sが、上方の当接パッド2及び支持手段本体Sと比較して、上下反転した態様で、外殻部1に取付けられている。
【0080】
以下、図10及び図11を用いて、当接パッド2及び支持手段本体Sの動作態様について説明する。
なお、図10は、矯正器具Xの上方部分の左方のみを示した平面図である。
また、図10では、外殻部本体11、当接パッド2、支持アームS1、端部支持部S3及び連結部材j1のみが示されており、外殻部本体11における上部外殻部11aは、点線で示されている。
【0081】
患者Pや施術者は、図5で説明した通り、調整バックルW2(第一レバーW21)を操作することで、調整ベルトW1を他端側に摺動させる。
これにより、図10に示すように、特に上方の当接パッド2は、平面視で反時計回りにやや回転しながら、矯正器具Xの内側に向かって移動していく(矢印a1)。
【0082】
患者Pや施術者は、連結部材j1、j2、j6及び端部支持部S3を緩めることで、図11(a)から図11(b)に示すように、当接パッド2及び支持手段本体Sを下方(或いは上方)に自在に摺動させることができる(矢印a2)
また、患者Pや施術者は、連結部材j3、j4を緩めることで、図11(a)から図11(b)に示すように、補助アーム31を下方(或いは上方)に自在に摺動させることができる(矢印a3)。
【0083】
なお、上記したように、当接パッド2及び支持手段本体Sと、補助アーム31と、はそれぞれ独立して上下動させることができるが、矯正器具Xは、当接パッド2と補助アーム31とが対向する配置態様として、患者Pに着用されることが好ましい。
また、患者Pや施術者が、牽引手段Wにより、当接パッド2の他端側を周方向dに沿って牽引可能であることは、図10にて説明した通りである(矢印a4)。
【0084】
以下、図12及び図13を用いて、矯正器具Xの使用態様について説明する。
なお、図12において、患者Pは点線で示しており、符号Aは、患者Pの脊椎を示してしている。
【0085】
図12に示すように、脊椎Aは、三次元的に湾曲しており、患者Pは、脊椎側弯症を患っている。
施術者は、このような患者Pの体幹P1に、矯正器具Xを装着する。
なお、矯正器具Xの装着や牽引手段Wの操作は、患者P自身で行われても良い。
【0086】
詳述すれば、施術者は、開放領域Vを介して、体幹P1を矯正器具Xに挿通させることで、外殻部1が体幹P1を囲って装着される。
また、施術者は、各締結ベルト12aを、対応する各挿通リング12bに通した後、各締結ベルト12aを引張りながら折返し、雄面ファスナーf1及び雌面ファスナーf2を係合させる。
これにより、開放領域Vが狭まることで、矯正器具X全体が体幹P1を締付け、特に、各当接パッド2と各補助アーム31とが体幹P1に当接し、矯正器具Xは、図12に示す装着態様となる。
【0087】
そして、施術者は、各調整バックルW2(第一レバーW21)を操作する。
すると、図10図11において示したように、各当接パッド2は、平面視で時計回り、或いは反時計回りにやや回転しながら、矯正器具Xの内側に向かって移動し、体幹P1を押圧する(矢印a5)。
【0088】
これにより、患者Pは、所定の期間、矯正器具Xを体幹P1に装着し続け、上記した、各当接パッド2の押圧力を継続して受けることで、三次元的に湾曲した脊椎Aが、湾曲していない自然な状態に矯正される。
【0089】
また、矯正器具Xにおいて、特に、左右側方や後方において最も外側に位置する構成が、上部外殻部11aや下部外殻部11b、支持アームS1、補助アーム31であり、これらは、その外側面が、全体的に平滑な面として構成されている。
このため、患者Pは、図13に示すように、矯正器具Xを装着し、その上から衣服Cを着用した場合であっても、外観上、大きな凹凸が生じず、他者に違和感を与えることがない。
【0090】
これにより、患者Pは、他者の目を気にすることなく、矯正器具Xによる矯正を受けながら、日常生活を送ることができる。
【0091】
以上より、上記構成の矯正器具Xは、以下のような効果を奏する。
【0092】
即ち、当接パッド2が、端部支持部S3により、その一端が外殻部1に固定支持された状態で、牽引手段Wにより、他端側を周方向dに沿って牽引されることで、平面視で時計回り、或いは反時計回りにやや回転しながら、矯正器具Xの内側に向かって移動する。
これにより、体幹P1(脊椎A)に対して、当接パッド2による減捻効果を生じさせ、矯正器具Xを装着し続けた患者Pの、三次元的に湾曲した脊椎Aを、湾曲していない自然な状態に矯正することが可能となる。
【0093】
また、当接パッド2及び支持手段3が、上下方向に沿って摺動可能に構成されていることで、患者Pの脊椎Aの湾曲状態に応じて、適切な位置に当接パッド2及び支持手段3を配置することができ、矯正器具Xの利便性が向上する。
【0094】
また、当接パッド2及び支持手段3が、上下方向に沿って複数設けられていることで、体幹P1(及び脊椎A)の複数箇所に対して、当接パッド2の減捻効果を付与することができるため、複数な湾曲状態を呈している脊椎Aに対しても、効果的な施術が可能となり、矯正器具Xの利便性が向上する。
【0095】
また、体幹P1を挟んで当接パッド2に対向して設けられている補助アーム31により、当接パッド2による押圧力を補助アーム31により受ける態様で、減捻効果をより効果的に付与し、矯正器具Xの装着時の違和感を軽減することが可能となる。
【0096】
また、連結部S2が、スライド孔S1aを介して、当接パッド2と支持アームS1とを連結することで、当接パッド2が、外殻部1の外周面よりも内側で安定的に支持されると共に、牽引手段Wを用いた牽引動作が、安定的に実行される。
【0097】
また、外殻部本体11及び密着手段12の構成により、矯正器具Xの患者Pへの着脱作業が簡素化されると共に、患者Pの体格に合わせて、当接パッド2の押圧力が確実に体幹P1(及び脊椎A)に伝わる装着状態とすることができ、矯正器具Xの利便性が向上する。
【0098】
また、牽引手段Wに、調整ベルトW1と、調整バックルW2と、が設けられていることで、簡易な構成でもって、当接パッド2の減捻効果の程度を、患者Pの体格や、脊椎Aの側弯状態に応じて、簡便に調整することが可能となる。
【0099】
また、調整ベルトW1及び調整バックルW2の構成により、患者Pの体格や脊椎Aの側弯状態に応じた当接パッド2の減捻効果の程度を、微調整することが可能となり、矯正器具Xの利便性が向上する。
【0100】
なお、上述の実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0101】
例えば、図14に示すように、背面支持部Bの構成は、患者Pの脊椎Aの湾曲形状に合わせて、任意に変更可能である。
即ち、図14(a)では、背面支持部Bは、正面視で略S字状に湾曲するように構成されている。
また、図14(b)では、背面支持部Bは、正面視で左方に向かってやや山なりに湾曲するように構成されている。
【0102】
なお、図14に示す背面支持部Bは、図1等に示す背面支持部Bと異なり、長溝B1や貫通スリットh2、h3が設けられていない、略平板状体として構成されている。
また、当接パッド2や支持手段3は、背面支持部Bにハトメ金具等で固定支持され、上下動させることができない構成となされている。このため、各連結外殻部11cには、貫通スリットh1が設けられていない。
【0103】
この他、上記した通り、外殻部1、当接パッド2、支持手段3は、互いに分解可能であるため、矯正器具Xは、患者Pの脊椎Aの状態に合わせて、その取付け態様を任意に変更可能である。
例えば、図15に示すように、左方の上部及び下部それぞれに、当接パッド2及び支持手段3を設け、右方の中央部に当接パッド2及び支持手段3を設けても良い(図1と左右対称の状態)。
また、矯正器具Xは、何れかの当接パッド2及び支持手段3が設けられない取付け態様とされても良い。
【符号の説明】
【0104】
X 矯正器具
1 外殻部
11 外殻部本体
12 密着手段
B 背面支持部
2 当接パッド
3 支持手段
S 支持手段本体
S1 支持アーム
S2 連結部
S3 端部支持部
W 牽引手段
31 補助アーム
P 患者
P1 体幹
A 脊椎
【要約】
【課題】脊椎側湾症の治療に用いられ、簡易な構成でもって、脊椎の捻じれを効果的に矯正可能な矯正器具を提供する。
【解決手段】患者Pの体幹P1を囲って装着される外殻部1と、体幹P1に当接する当接パッド2と、外殻部1に設けられる支持手段3と、を備え、当接パッド2は、可撓性を有し、体幹P1の周方向dに沿って延びる面状体であり、支持手段3は、当接パッド2を、外殻部1の外周面よりも内側で支持する支持手段本体Sを有し、支持手段本体Sは、当接パッド2の一端を外殻部1に固定支持可能な端部支持部S3と、当接パッド2の他端側に設けられる牽引手段Wと、を含み、牽引手段Wは、当接パッド2の他端側を、周方向dに沿って牽引可能に構成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15