(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】原子燃料集合体用のデブリフィルタおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
G21C 3/30 20060101AFI20221223BHJP
【FI】
G21C3/30 130
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018155156
(22)【出願日】2018-08-22
【審査請求日】2021-08-20
(32)【優先日】2017-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】301068310
【氏名又は名称】グローバル・ニュークリア・フュエル・アメリカズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(74)【代理人】
【識別番号】100186831
【氏名又は名称】梅澤 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン・ピー・スミス
(72)【発明者】
【氏名】カールトン・ダブリュー・クラーク
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・シー・ロングレン
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド・エム・ラター
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-117921(JP,A)
【文献】特開2006-189434(JP,A)
【文献】特表2014-519032(JP,A)
【文献】特開昭61-120993(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0279642(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉で使用可能なデブリフィルタ(200)であって、
下部セクション(202)であって、
横方向に交互する複数の山(231)および谷(232)を有する第1のプレートと、
横方向に交互する複数の山(231)および谷(232)を有する第2のプレートとを
含み、
前記第1のプレートの前記山(231)は、前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に複数のチャンネル(250)を形成するように、前記第2のプレートの前記谷(232)に接触し、
前記第1のプレートと前記第2のプレートとのうちの少なくとも1つが、流体冷却材が前記チャンネル(250)間を流れ、デブリを捕捉することを可能にする切り欠き形状(241、242)を含む、
下部セクション(202)と、
上部セクション(201)であって、
横方向に交互する複数の山(231)および谷(232)を有する第3のプレートと、
横方向に交互する複数の山(231)および谷(232)を有する第4のプレートとを含み、
前記第3のプレートの前記山(231)は、前記第3のプレートと前記第4のプレートとの間に複数のチャンネル(250)を形成するように、前記第4のプレートの前記谷(232)に接触する、上部セクション(201)と、
隙間セクション(211)内の前記上部セクション(201)と前記下部セクション(202)との間に垂直に延びる複数のリガメント(210)であって、前記リガメント(210)は、それらの輪郭に捻れ(212)を含み、軸方向に延びると回転し、前記捻れ(212)は、前記上部セクション(201)と前記下部セクション(202)との間の流体冷却剤の流れに渦巻きを与える、リガメント(210)と、
を備える、デブリフィルタ(200)。
【請求項2】
前記切り欠き形状(241、242)は、前記チャンネル(250)の最低末端縁部から各々切り欠かれた複数のノッチ(241)と、前記チャンネル(250)の下半分から各々切り欠かれた複数の窓(242)とのうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載のデブリフィルタ(200)。
【請求項3】
前記ノッチ(241)の各々は、前記山(231)の各々と前記谷(232)の各々との間に単一のノッチ(241)または単一の窓(242)のいずれかを用いて前記窓(242)の各々と交互する、請求項2記載のデブリフィルタ(200)。
【請求項4】
前記切り欠き形状(241、242)は
、前記チャンネルへの延在
がな
い、請求項1記載のデブリフィルタ(200)。
【請求項5】
前記切り欠き形状(241、242)のいずれも、前記山(231)または谷(232)のいずれにも存在せず、前記山(231)および谷(232)はすべて、前記フィルタ(200)の垂直終端部で中実かつ連続している、請求項1記載のデブリフィルタ(200)。
【請求項6】
原子炉用の燃料集合体であって、
少なくとも1つの燃料棒(14)と、
前記少なくとも1つの燃料棒(14)を受け取るように構成された下部タイプレート(10)とを備え、前記下部タイプレート(10)は、
流体冷却材が前記燃料集合体に流入し、通過することを可能にするように構成された冷却材入口(11)と、
請求項1に記載の前記フィルタ(200)とを含
む、原子炉用の燃料集合体。
【請求項7】
前記切り欠き形状(241、242)は、前記チャンネル(250)の下半分から各々切り欠かれた複数の窓(242)を含み、前記切り欠き形状(241、242)はさらに、前記チャンネル(250)の最低末端縁部において、前記チャンネル(250)から各々切り欠かれた複数のノッチ(241)を含む、請求項
6記載の燃料集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子燃料集合体用のデブリフィルタ、その使用方法、および原子燃料集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来技術に係る原子燃料下部タイプレート10の斜視図である。
図1において見られるように、下部タイプレート10は、燃料集合体の底部において原子燃料棒を支持して固定するために、原子燃料棒の下部軸終端に、原子燃料棒を受け入れるためのいくつかの開口部17を含むことができる。下部タイプレート10は、運転中に原子炉冷却材41が流入できる流体入口11を備えた下部ノズルを含む。下部ノズルおよび流体入口11は、原子炉炉心内におけるすべての燃料集合体を支持する燃料支持構造に嵌合するように成形され得る。下部タイプレート10は、一般に、中空であるか、または少なくとも内部流路を含み、流体冷却材41が、燃料棒間の空間において、下部タイプレート10および流れ出口15を上方に流れ、燃料集合体内を上方に流れることができる。デブリフィルタ2は、設置時に下部タイプレート10にフィルタ2を保持するシーリングプレート18を備えたコンソール位置などの内部流路に設置することができる。
【0003】
図2は、タイプレート10の開口部17内に着座した複数の燃料棒14を有する燃料集合体に設置された下部タイプレート10の側断面図である。外部チャンネル12は、すべての燃料棒14を取り囲み、流体が、燃料棒14間を、燃料集合体内を上方に流れるように導く。1つまたは複数のスペーサ19は、様々な軸方向位置において燃料棒14を位置決めおよび整列させることができる。燃料棒14は、下部タイプレート10に着座し、燃料棒14を下部タイプレート10と軸方向および径方向に位置決めする下部エンドプラグ16を含むことができる。さらなる開口部または流れ出口15は、流体冷却材が、下部タイプレート10を出た後、燃料棒14間を、燃料集合体内を上方に流れることを可能にする。
【0004】
図2において見られるように、流体冷却材41は、下部流体入口11を介して下部タイプレート10へ流入し、下部タイプレート10に設置されたフィルタ2を通過する内部流れ42となる。したがって、冷却材流れ42は、燃料棒14に達する前に、濾過され得る。流れ42内のデブリは、デブリが、燃料棒14に損傷を与える可能性がある、燃料棒14またはスペーサ19への流入がないように、フィルタ2によってブロックされ得、フィルタ2に保持され得る。フィルタ2は、一般に、完全に閉鎖された流れチャンネルを有する均質の固体金属フィルタであり、流体冷却材およびその中のデブリを濾過する。原子燃料集合体では、原子炉循環ポンプなどによって、流体冷却材41が下部タイプレート10を介して上昇されるので、フィルタ2の閉鎖されたチャンネルのサイズが制限されていることにより、デブリが、冷却材とともに燃料集合体内を流れることを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2014/0056397号明細書
【発明の概要】
【0006】
例示的な実施形態は、デブリフィルタを通過する流体を濾過するために、燃料集合体下部タイプレートにおけるように、原子炉において使用可能なデブリフィルタを含む。例示的なフィルタは、プレートからプレートまで整列された極小値および極大値を有するいくつかのプレートを含み、これらプレートをともに接合することができる。このように、2つのプレートの間に流路またはチャンネルが画定され得、2つ以上のプレートを使用して、複数のこのような流路が、フィルタにわたって形成され得る。プレートは、デブリが流体冷却材とともにチャンネルへ入ると、デブリを捕捉するために、チャンネルに沿ってプレート内を垂直に延びるディボットまたはホールのような小さなサブトラクションを有し不規則状であってもよい。欠落部分は、大部分、流体がフィルタに最初に到達するフィルタの下部縁部または下部部分であり得る。プレートが接近または接触してチャンネルを画定する場合、プレートは、単一の切り欠き形状が、極小値と極大値との間のチャンネルの壁面上にあるように、中実であってもよい。このように、例示的な実施形態のフィルタにおける各チャンネルは、複数の交互する切り欠きを有することができる。例示的な実施形態のプレートは、チャンネル内へ延在する余分なピースまたはフレアを伴わずに打ち抜きによって形成され得る。各プレートは、任意の切り欠き形状および入口/出口を除いて、閉鎖されたチャンネルを形成するように、連続して接合されてもよいし、または、直接隣接するプレートに付勢さえされてもよい。例示的な実施形態のフィルタでは、各ステージについて異なるチャンネルを備えた複数の垂直ステージが使用され得る。プレートから打ち抜かれた一連のリガメントは、各ステージを次のステージへ固定することができ、相互混合を可能にするために、ステージ間に隙間を有することができる。
【0007】
例示的な実施形態は、添付図面を詳細に説明することにより、より明らかになるであろう。添付図面では、同一要素は、同一参照番号によって示されているが、これらは単に例示のみとして与えられており、これらが描写する用語を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】従来技術のフィルタを備えた原子燃料下部タイプレートの斜視図である。
【
図2】従来技術のフィルタを備えた原子燃料下部タイプレートの断面図である。
【
図3】原子燃料集合体に使用可能な例示的な実施形態のデブリフィルタの側面図である。
【
図4】例示的な実施形態のデブリフィルタの断面図である。
【
図5】例示的な実施形態のデブリフィルタの断面の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
これは特許文献であるので、一般に、本書を読むときには広い解釈のルールが適用されるべきである。この文献に説明され、図示されているすべては、以下に添付される特許請求の範囲内に入る主題の例である。本明細書に開示された任意の特定の構造的および機能的詳細は、単に例を作成および使用する方法を説明するためのものに過ぎない。本明細書において具体的に開示されていないいくつかの異なる実施形態および方法は、特許請求の範囲に含まれ得るので、特許請求の範囲は、多くの代替形態で具体化されてもよく、本明細書に記載された例のみに限定されると解釈されるべきではない。
【0010】
「第1」、「第2」などの序文用語は、本明細書では様々な要素を説明するために使用することができるが、これら要素はこれら用語によるいかなる順序にも限定されるべきではないことが理解される。これら用語は、ある要素を別の要素と区別するためのみに使用され、「第2」以上の序数がある場合、必ずしも差異や他の関係がなくても、多数の要素が存在していなければならない。たとえば、第1の要素は第2の要素と称され得、同様に、第2の要素は、例示的な実施形態または方法の範囲から逸脱することなく、第1の要素と称され得る。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連付けられた列挙された項目のうちの1つまたは複数のすべての組合せを含む。「など」の使用は、「エトセトラ」として定義され、先行する項目の同じグループに属する他のすべての要素の包含を、任意の「および/または」の組合せで示す。
【0011】
ある要素が、別の要素に「接続されている」、「接合されている」、「結合されている」、「取り付けられている」、「固定されている」などと称される場合、ある要素は、他の要素へ直接接続され得るか、または介在要素が存在してもよいことが理解されるであろう。対照的に、ある要素が、別の要素に「直接接続されている」、「直接接合されている」などと称される場合、介在要素は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の用語は、同様の手法で(たとえば、「の間に」対「の間に直接的に」、「隣接する」対「直接隣接する」など)解釈されるべきである。同様に、「通信可能に接続された」などの用語は、無線で接続されているか否かに関わらず、介在するデバイス、ネットワークなどを含む2つの電子デバイス間の情報交換およびルーティングのすべてのバリエーションを含む。
【0012】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、明示的にそうではないことを示さない限り、単数形および複数形の両方を含むことが意図される。「a」や「an」のような不定冠詞は、以前に紹介されたものと、紹介されていないものとの両方である、任意の修正された用語を紹介または称する一方、「the」のような定冠詞は、以前に紹介された同じ用語を称する。「備える」、「備えている」、「含む」、および/または「含んでいる」という用語は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、特性、ステップ、動作、要素、および/または、構成要素の存在を特定するが、それら自身が、1つまたは複数の他の特徴、特性、ステップ、動作、要素、構成要素、および/または、それらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されるであろう。
【0013】
以下に議論される構造および動作は、図面において記載および/または言及された順序外で生じることがある。たとえば、連続して図示された2つの動作および/または図面は、実際には同時に実行されることがあってもよく、または、関係する機能/動作に応じて、逆の順序で実行されてもよい。同様に、以下に説明する例示的な方法内の個々の動作は、以下に説明する単一の動作以外のループまたは他の一連の動作を提供するように、個別にまたは逐次的に繰り返し実行されてもよい。任意の実施可能な組合せで、以下に説明される特徴および機能を有する任意の実施形態または方法は、例示的な実施形態の範囲内に入ると推測されるべきである。
【0014】
発明者らは、従来の原子燃料フィルタが、流体冷却材中のデブリがそこを流れることを防ぐために、より大きなフローチャンネルを使用し、それにより、幾何学的制約、および/または、チャンネルへの運動量の変化によって、流れから大きなデブリ破片を保持することを確認した。発明者らは、このような大きなチャンネルは、より大きなデブリの破片に対して有効であるが、ミリメートルまたはそれよりも小さなスケールの金属および他の剛性材料からなる、より小さな小片およびスクラップを濾過しないことを発見した。これらのより小さな破片は、燃料棒に引っ掛かり、燃料棒を腐食させる可能性が最も高い。発明者らは、これら新たに認識された問題および他の問題を克服するために、以下に説明する例示的な実施形態および方法を開発し、例示的な実施形態によって有効化されるユニークな解決手段を用いて、発明者によって認識されたこれら問題および他の問題に対処する。
【0015】
本発明は、デブリフィルタおよび原子燃料集合体およびそれらの使用方法である。本発明とは対照的に、以下で議論されるいくつかの例示的な実施形態および例示的な方法は、本発明としておよび/または本発明に関連して使用することができる様々な異なる構成の単なる一部を例示する。
【0016】
図3は、フィルタ2の代わり、または、フィルタ2と組み合わせた、下部タイプレート10(
図1および
図2)におけるような、原子燃料集合体に使用可能な例示的な実施形態のデブリフィルタ200の側面図である。
図3に図示されるように、例示的な実施形態のデブリフィルタ200は、隙間セクション211内のリガメント210によって接合された上部セクション201および下部セクション202を含む。上部セクション210は、各々が、交互する一連の山231および谷232を形成する波形、段階状、または波状の断面を有する複数のプレートを含むことができる。上部セクション201内のプレートは、1つのプレートの谷232が、横方向に(
図3のページ内に)次のプレートの山231に直接接触し、複数のチャンネル250を形成するように、互いに隣接して配置されてもよい。たとえば、上部セクション201は、デブリフィルタに関するElkinsらに共同所有された米国特許出願公開第2006/0283790号公報のデブリフィルタと同様の構成を有することができ、その全体が参照により本明細書に援用される。さらなる例として、上部セクション201は、援用された’790号公報における第2のフィルタ204と同じであってもよい。
【0017】
下部セクション202はまた、開放または閉鎖された流体チャンネル250を形成するいくつかの隣接するプレートから形成されてもよい。プレートは、山231および谷232と、これらの間に形成され、上部セクション201のチャンネルの角度とは異なり得る1つの角度で延在するチャンネル250とを有することができる。たとえば、下部セクション202における山231と谷232との角度220は、上部セクション201と下部セクション202との間の軸線の周りに鏡映されてもよい。あるいは、チャンネル250がセクション間で平行および/または連続するように、角度220はセクション間で連続され得る。1つのセクションにおけるチャンネル250は、1対1ベースで他のチャンネルと整列してもよく、または、1つのチャンネルが、別のセクション内の複数のチャンネルへ開いていてもよい。下部セクション202と上部セクション201は、直接接合されていてもよいし、または、
図3に図示されるように、下部セクション202と上部セクション201が分離していてもよい。たとえば、隙間セクション211は、セクション201とセクション202との間に開放された流れ空間を提供することができる。
図3における切れ目は、隙間セクション211を形成する例示的な構造を例示する
図4の斜視図を例示する。
【0018】
図4は、下部セクション202の単一のプレートの終端部から見た断面図である。
図4において見られるように、1つまたは複数のリガメント210は、下部セクション202を形成する任意のプレートの末端縁部および/または上部セクション201のプレートの末端縁部に形成され得る(
図3)。たとえば、リガメントは、隣接する部分のプレートを打ち抜き、成形し、下部セクション202および上部セクション201の間にリガメント210を保持している間に形成された下部セクション202および上部セクション201と連続し得る(
図3)。リガメント210は、山231と谷232との間の変曲点において、たとえば、下部セクション202および上部セクション201の各山231と谷232との間の各変曲点において、形成され得る(
図3)。このように、リガメント210は、下部セクション202の1つのチャンネルが、上部セクション201の複数のチャンネルへ開いているように、セクション間の1対1の関係と、互い違いの関係との両方で、チャンネル250を整列させることができる(
図3)。
【0019】
リガメント210は、それらの輪郭に捻れ212を有し、軸方向に延びると回転する。そのような捻れ212は、隙間211内のセクション201とセクション202との間の流れに、渦巻き、または、ある乱気流を与え、デブリがフィルタセクション間の流れを残すことを可能にする。隙間セクション211内のフィルタセクション間に異なる角度が使用される場合、下部セクション202と上部セクション201における流れの間の運動量の変化はさらに、捻れ212によって引き起こされるわずかな流れの外乱と組み合わされて、隙間セクション211におけるフィルタ間でデブリを排出させる。さもなければ、リガメント210は、セクション201とセクション202とを堅固に接合している間に、例示的な実施形態のフィルタを介して、流れチャンネル250を塞ぐことがないように、および/または、圧力降下を引き起こさないように、小さくてもよく、チャンネル250にさらに突出していなくてもよい。
【0020】
下部セクション202は、隣接するプレート間にチャンネル250を形成する山231および谷232を有する上部セクション201に類似し得る。しかしながら、
図3に図示されるように、下部セクション202は、下部セクション202の縁部および下部部分に、複数の切り欠き形状を含むことができる。たとえば、チャンネル250内に開口部を形成するために、下部セクション202は、チャンネル250内の下部縁部に複数のノッチ241、および/または、プレート内に窓242を含むことができる。
図3に図示するように、1つのノッチ241は、山231の一方の側の下部セクション202の最底末端縁部にあってもよく、たとえば、1つの窓は、山231の他方側の下部セクション202の下半分を中心に配置されてもよい。このように、窓242およびノッチ241は、山231および谷232のいずれかの側に交互に、および、離れて、各チャンネル250に存在し得る。窓242およびノッチ241は、各プレート上の下部セクション202の底縁部全体にわたって連続的に形成され、各チャンネル250に2つのノッチ241および2つの窓242を形成する。ノッチ241および窓242は、下部部分において、および、下部セクション202の最低縁部において図示されているが、セクション202の中央部分および上部部分、ならびに、セクション202の最高縁部を含む他の場所に配置されてもよいことが理解される。
【0021】
下部セクション202の下面に直交する軸方向上向きに見えるように、
図3における視線は、
図5の底部斜視図を例示する。
図5において見られるように、複数のチャンネル250が、隣接する山231と谷232との間に形成され、角度220のような角度で、垂直方向へ(ページ内へ)進む(
図3)。複数のノッチ241が、チャンネル250の最低位置または入口位置において提示される。窓242はさらに、チャンネル250間に開口部を提供するチャンネル250内に見られる。ノッチ241および窓242は、ノッチ241および窓242に遭遇したデブリを捕捉するために、最長寸法で1cm未満のダイヤモンド形状のような予期されたデブリサイズに厳密に一致するような大きさとされ得る。窓242およびノッチ241は、圧力降下または閉塞に対する効果を制限するために、任意のチャンネル250に横方向に延在することはできない。
【0022】
ノッチ241および/または窓242は、たとえば、下部部分202の下部領域または入口領域に配置されている場合、このような切り欠き形状をデブリと幾何学的に一致させ、チャンネル250に押し込まれた流体と、より密度が高く、したがってリダイレクトが遅くなるデブリとの間の運動量の差を利用することによって、デブリを冷却材流体から効果的に捕捉し得る。下部セクション202への入口では、デブリは、それらが生成する流れの外乱、および/または、デブリおよび流れがチャンネル250においてともに変わることなく移動する時間を有していないために、下部ノッチ241および/または窓242に接触して、溜まる可能性がより高くなる。ノッチ241および/または窓242は、たとえば、下部セクション202を形成する個々のプレートから、打ち抜きまたは切り欠きによって形成することができる。ノッチ241および/または窓242は、チャンネル250の流路内に延在またはフレアがない打ち抜き中のサブトラクションによって形成され得るため、冷却材流体の過度の圧力降下または乱れを生じさせず、ロバストであるが濾過された、燃料集合体への冷却材流入および通過を可能にする。
【0023】
直接隣接するプレート上の隣接する山231および谷232は、接合点235において接触するが、これは
図5において、これらの存在を例示するために、誇張して図示されている。接合点235におけるスポット溶接、接着剤、ろう付け、浸漬などを用いて、隣接するプレートを接合することができる。連続溶接または浸漬接着剤のような連続接合が使用される場合、またはバイアス付ボルト締め、またはスポット溶接が使用される場合、接合点235が、チャンネル250を閉鎖させ、(使用され得るあらゆる窓242を超えた)異なるチャンネル250間における流体流れを許容しない。あるいは、離散的な接合点235、または、いくつかの山および谷のみでの使用は、山および谷における小さな分離によって、チャンネル250間で流体が流れることを可能にすることができる。
【0024】
例示的な実施形態のデブリフィルタ200が、互いに異なり、隙間セクション211によって分離される単一の上部セクション201および単一の下部セクション202を用いて図示されているが、これらセクションは、異なる組合せで使用され得ることが理解される。たとえば、2つの同一の下部セクション202は、2つの下部セクション202間で異なる角度220のみで使用され得、隙間セクション211なしで直接接合され得る。同様に、下部セクション202のみを有するシングルステージフィルタが使用され得る。さらに、3つ以上の上部セクション201が、隙間セクション211、および、各ステージ間のリガメント210とともに繰り返されるマルチステージフィルタが使用され得る。
【0025】
例示的な実施形態のデブリフィルタ200は、実質的に放射性になり、溶融し、脆くなり、および/または、放射性粒子を保持/吸着するなど、物理的特性を実質的に変化させることなく原子炉環境に適合する弾性材料で製作され得る。たとえば、オーステナイト系ステンレス鋼304または316、XM-19、ジルコニウム合金、ニッケル合金、合金600などを含むいくつかの公知の構造材料が、例示的な実施形態のデブリフィルタの構成要素の任意の要素のために選択され得る。接合構造および直接接触要素は、汚れを避けるために、異なる適合材料から選択され得る。上部セクションおよび下部セクションに及ぶ各プレート、さらには例示的な実施形態のデブリフィルタ200全体でさえも、打ち抜き、鋳造、および/または塑造などによるような単一部品として製造され得、複雑さを低減する。さらに、例示的な実施形態のデブリフィルタは、各構成要素を最も簡単な中央構成要素から順次構築し、追加の外側構成要素を中央構成要素へ溶接することによって、付加的な製造によって製造され得る。
【0026】
例示的な実施形態のデブリフィルタ200は、動作後に、関連するデブリフィルタ2を交換できるなどのように、既存の下部タイプレート10(
図1)に、または同じ手法で、新たな燃料集合体に設置され得る。動作後、例示的な実施形態のデブリフィルタ200は、シーリングプレート18を除去することによって下部タイプレート10から除去され、新たなフィルタ200と交換されることが可能である。このようにして、燃焼済みの燃料集合体は、各サイクルで新たなフィルタ200を使用することができ、捕捉されたデブリを収容できる古いフィルタ200が、安全に廃棄され、このように、原子炉からそのようなデブリを除去する。代替的に、例示的な実施形態の燃料フィルタは、非モジュール式であってもよく、燃料集合体または他の原子炉冷却材流れ空間内に永久に封止され得る。
【0027】
このように、例示的な実施形態および方法が説明されたが、例示的な実施形態は、以下の特許請求の範囲内にありながら、ルーチン的な実験によって変形および置換され得ることが、当業者によって理解されるであろう。たとえば、波形状のプレートを有するデブリフィルタが図示されているが、例示的な実施形態の適切な形成によって、階段状、波状、または格子状のプレートが簡単に使用され得、特許請求の範囲内にある。そのような変形は、これら特許請求の範囲から逸脱していると見なされるべきではない。
【0028】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
原子炉で使用可能なデブリフィルタ(200)であって、
横方向に交互する複数の山(231)および谷(232)を有する第1のプレートと、
横方向に交互する複数の山(231)および谷(232)を有する第2のプレートとを備え、
前記第1のプレートの前記山(231)は、前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に複数のチャンネル(250)を形成するように、前記第2のプレートの前記谷(232)に接触し、
前記第1のプレートと前記第2のプレートとのうちの少なくとも1つが、流体冷却材が前記チャンネル(250)間を流れ、デブリを捕捉することを可能にする切り欠き形状(241、242)を含む、デブリフィルタ(200)。
[実施態様2]
前記切り欠き形状(241、242)は、前記チャンネル(250)の最低末端縁部から各々切り欠かれた複数のノッチ(241)を含む、実施態様1記載のデブリフィルタ(200)。
[実施態様3]
前記切り欠き形状(241、242)は、前記チャンネル(250)の下半分から各々切り欠かれた複数の窓(242)を含む、実施態様1記載のデブリフィルタ(200)。
[実施態様4]
前記切り欠き形状(241、242)は、前記チャンネル(250)の最低末端縁部において前記チャンネル(250)から各々切り欠かれた複数のノッチ(241)をさらに含む、実施態様3記載のデブリフィルタ(200)。
[実施態様5]
前記ノッチ(241)の各々は、前記山(231)の各々と前記谷(232)の各々との間に単一のノッチ(241)または単一の窓(242)のいずれかを用いて前記窓(242)の各々と交互する、実施態様4記載のデブリフィルタ(200)。
[実施態様6]
前記切り欠き形状(241、242)は、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートを打ち抜き、前記チャンネル(250)への延在なく材料を除去することによって形成される、実施態様4記載のデブリフィルタ(200)。
[実施態様7]
前記切り欠き形状(241、242)のいずれも、前記山(231)または谷(232)のいずれにも存在せず、前記山(231)および谷(232)はすべて、前記フィルタの垂直終端部で中実かつ連続している、実施態様1記載のデブリフィルタ(200)。
[実施態様8]
前記複数のチャンネル(250)は、前記切り欠き形状(241、242)の上方の垂直位置で横方向に閉鎖され、流体冷却材は、前記切り欠き形状(241、242)を越えて前記チャンネル(250)間を流れることができない、実施態様1記載のデブリフィルタ(200)。
[実施態様9]
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートは、下部セクション(202)に配置され、前記デブリフィルタ(200)はさらに、
前記下部セクション(202)へ接合された上部セクション(201)を備え、前記上部セクション(201)は、
横方向に交互する複数の山(231)および谷(232)を有する第3のプレートと、
横方向に交互する複数の山(231)および谷(232)を有する第4のプレートとを含み、前記第3のプレートの前記山(231)は、前記第3のプレートと前記第4のプレートとの間に複数のチャンネル(250)を形成するように、前記第4のプレートの前記谷(232)に接触する、実施態様1記載のデブリフィルタ(200)。
[実施態様10]
前記上部セクション(201)は、隙間セクション内の前記第1のセクションと前記第2のセクションとの間に垂直に延びる複数のリガメント(210)によって、前記下部セクション(202)へ接合される、実施態様9記載のデブリフィルタ(200)。
[実施態様11]
前記複数のリガメント(210)は、前記上部セクション(201)および前記下部セクション(202)の前記プレートのうちの少なくとも1つから打ち抜かれる、実施態様10記載のデブリフィルタ(200)。
[実施態様12]
原子燃料集合体下部タイプレート(10)のコンソールに嵌合するように成形されたデブリフィルタ(200)であって、前記デブリフィルタ(200)は、流体冷却材が前記フィルタを通過して前記原子燃料集合体へ流入することを可能にするように構成され、前記デブリフィルタ(200)は、
前記フィルタの面に垂直な垂直線から第1の角度で延びる複数のチャンネル(250)を画定する第1のセクションと、
前記垂直線から第2の角度で延びる複数のチャンネル(250)を画定する第2のセクションであって、前記第1の角度と前記第2の角度とは異なる、第2のセクションと、
前記第1のセクションと前記第2のセクションとを垂直に接合する隙間セクションとを備える、デブリフィルタ(200)。
[実施態様13]
前記第1のセクションおよび前記第2のセクションは各々、前記チャンネル(250)を画定する複数のプレートを含み、前記隙間セクションは、各々が前記下部セクション(202)における前記プレートのうちの少なくとも1つの間を、前記上部セクション(201)における前記プレートのうちの少なくとも1つへ延びる複数のリガメント(210)を含む、実施態様12記載のデブリフィルタ(200)。
[実施態様14]
前記下部セクション(202)の前記複数のプレートは、前記フィルタの面上のノッチ(241)、および、前記下部セクション(202)の前記チャンネル(250)間の窓(242)のうちの少なくとも1つを含む、実施態様13記載のデブリフィルタ(200)。
[実施態様15]
前記下部セクション(202)および前記上部セクション(201)における前記複数のプレートは、前記下部セクション(202)における前記プレートのうちの少なくとも1つ、前記上部セクション(201)における前記少なくとも1つのプレート、および前記リガメント(210)の間に、材料を連続して打ち込まれた、実施態様14記載のデブリフィルタ(200)。
[実施態様16]
前記ノッチ(241)および前記窓(242)が打ち抜きによって形成され、前記チャンネル(250)内に材料が延在しない、実施態様15記載のデブリフィルタ(200)。
[実施態様17]
原子炉用の燃料集合体であって、
少なくとも1つの燃料棒(14)と、
前記少なくとも1つの燃料棒(14)を受け取るように構成された下部タイプレート(10)とを備え、前記下部タイプレート(10)は、
流体冷却材が前記燃料集合体に流入し、通過することを可能にするように構成された冷却材入口(11)と、
複数の隣接するプレートを有するフィルタとを含み、前記複数のプレートの各々は、複数の交互する山(231)および谷(232)を有し、前記複数の隣接するプレートの第1のプレートの前記山(231)と、前記複数の隣接するプレートの隣接する第2のプレートの前記谷(232)とは、前記第1のプレートの各山(231)と、前記第2のプレートの関連付けられた谷(232)とが、閉鎖されたチャンネル(250)を画定するように平行して整列され、前記チャンネル(250)は、いずれのチャンネル(250)にも延在していない各チャンネル(250)の下部垂直終端部において、切り欠き形状(241、242)を有し、前記チャンネル(250)は、前記冷却材入口(11)の流路に対してある角度を成し、前記第1のフィルタは、前記流路からの前記冷却材が、前記フィルタの前記チャンネル(250)へ入り、前記フィルタの前記チャンネル(250)の前記角度で流れ、前記切り欠き形状(241、242)から垂直により高い位置で、前記第1のフィルタの前記チャンネル(250)間を流れず、前記第1のフィルタを出た後、前記少なくとも1つの燃料棒(14)を通過するように成形され、前記下部タイケーシング内に配置される、原子炉用の燃料集合体。
[実施態様18]
前記切り欠き形状(241、242)は、前記チャンネル(250)の下半分から各々切り欠かれた複数の窓(242)を含み、前記切り欠き形状(241、242)はさらに、前記チャンネル(250)の最低末端縁部において、前記チャンネル(250)から各々切り欠かれた複数のノッチ(241)を含む、実施態様17記載の燃料集合体。
[実施態様19]
前記ノッチ(241)の各々は、前記山(231)の各々と、前記谷(232)の各々との間に単一のノッチ(241)または単一の窓(242)のいずれかを用いて前記窓(242)の各々と交互する、実施態様18記載の燃料集合体。
[実施態様20]
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートは、前記山(231)および前記谷(232)において、中実かつ連続している、実施態様18記載の燃料集合体。
【符号の説明】
【0029】
2 デブリフィルタ
10 下部タイプレート
11 流体入口
14 燃料棒
15 流れ出口
16 エンドプラグ
17 開口部
18 シーリングプレート
19 スペーサ
41 冷却材
200 例示的な実施形態のデブリフィルタ
201 上部セクション
202 下部セクション
204 第2のフィルタ
210 リガメント
211 隙間セクション
212 捻れ
220 角度
231 山
232 谷
235 接合点
241 ノッチ
242 窓
250 チャンネル