(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】手術ナビゲーションシステムのためのポジショニングアーム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/30 20160101AFI20221223BHJP
B25J 9/10 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
A61B34/30
B25J9/10 A
(21)【出願番号】P 2018155888
(22)【出願日】2018-08-23
【審査請求日】2021-08-11
(32)【優先日】2017-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(73)【特許権者】
【識別番号】521274223
【氏名又は名称】シナプティヴ メディカル インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】バイリー, ブレント アンドュリュー
(72)【発明者】
【氏名】デル, トュレヴォール ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルツィーレンベルグ, バート
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ, アダム
(72)【発明者】
【氏名】ドーリング, ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス, ロバート
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-502396(JP,A)
【文献】特開2009-072909(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0366546(US,A1)
【文献】特表2009-525098(JP,A)
【文献】特表2012-501866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30-34/37
B25J 9/02-9/22
B25J 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療処置のための動作補助ポジショニングアームであって、ポジショニングアームは、
ベース、
アームであって、アームは、
第1のアーム端部から第2のアーム端部まで延在し、第1のアーム端部でベースに結合された複数のアームセグメントと、
複数のアームセグメントの各アームセグメントは、隣接するアームセグメントに連結される事を可能にする複数のアームセグメントを連結するための複数の関節と、を含むアームと、
複数の関節における少なくとも1つの関節による動作に基づいてタスク座標空間において6自由度で操作可能となるように、第2のアーム端部に結合されたエンドエフェクタ
であって、前記エンドエフェクタに作用する力またはトルクを特定するための力覚センサを含む、エンドエフェクタと、
前記複数の関節および前記エンドエフェクタに結合されたプロセッサと、
前記プロセッサに結合
され、プロセッサ実行可能命令が記憶されたメモリであって、メモリは実行されると前記プロセッサに、
前記力覚センサによりエンドエフェクタに作用する力またはトルクを決定し、
入力インターフェースからの入力に基づいて、前記タスク座標空間における前記エンドエフェクタの動作を制限するための
、自由動作モード、ロールモード、並進モード、スタンドオフモード、および軌道モード、のうちの少なくとも1つを含む手術モードを決定し、
決定された
、エンドエフェクタに作用する力またはトルクと、エンドエフェクタをタスク座標空間内で動かすための手術モードとに基づいて、エンドエフェクタ速度を決定するステップと、そして
エンドエフェクタ速度に基づいて複数の関節内に少なくとも1つの関節空間運動を適用する、メモリと、
を含む、ポジショニングアーム。
【請求項2】
前記複数の関節の各関節は、前記複数の関節のそれぞれの関節によって接続された隣接するアームセグメント間の移動を容易にするアクチュエータを含む、請求項1に記載のポジショニングアーム。
【請求項3】
前記複数の関節の各関節は、関節位置を決定する関節エンコーダを含む、請求項1に記載のポジショニングアーム。
【請求項4】
前記関節位置が角度位置である、請求項
3に記載のポジショニングアーム。
【請求項5】
前記プロセッサ実行可能命令は、実行されると、前記プロセッサに、前記エンドエフェクタを前記タスク座標空間内で移動させるための逆アームキネマティックスを使用して前記複数の関節における少なくとも1つの関節空間移動をさらに特定させる、請求項1に記載のポジショニングアーム。
【請求項6】
前記エンドエフェクタは、撮像装置または手術ツールのうちの少なくとも1つを受容するように構成されている、請求項1に記載のポジショニングアーム。
【請求項7】
プロセッサにエンドエフェクタ速度を決定させる前記プロセッサ実行可能命令において、プロセッサ実行可能命令は、
手術モードに基づいて、エンドエフェクタ速度を決定するためにエンドエフェクタに作用する力またはトルクのサブセットを特定する工程と、
手術モードに基づいて、エンドエフェクタ速度を決定する際にエンドエフェクタに作用する残りの力またはトルクを破棄する工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のポジショニングアーム。
【請求項8】
前記手術モードが自由動作モードである場合、プロセッサにエンドエフェクタ速度を決定させる前記プロセッサ実行可能命令は、エンドエフェクタに作用する全体的なトルクと全体的な力に基づいてエンドエフェクタ速度を決定するプロセッサ実行可能命令を含む、請求項
1に記載のポジショニングアーム。
【請求項9】
前記手術モードがロールモードである場合、前記エンドエフェクタ速度を決定する前に、前記プロセッサ実行可能命令は、さらに前記プロセッサに、
エンドエフェクタのロール軸を決定する工程と、
エンドエフェクタに作用する決定された力またはトルクからロール軸周りのロールトルクを決定する工程と、を含み、
前記プロセッサに前記エンドエフェクタ速度を決定させる前記プロセッサ実行可能命令において、プロセッサ実行可能命令は、
エンドエフェクタに作用するロールトルクに基づいてエンドエフェクタ速度を決定する一方で、エンドエフェクタに作用する決定された力またはトルクの他の力またはトルクを破棄する、
事を特徴とする、請求項
1に記載のポジショニングアーム。
【請求項10】
前記手術モードが前記並進モードである場合、エンドエフェクタ速度を決定する前記プロセッサ実行可能命令は、
エンドエフェクタに作用するトルクを破棄しながらエンドエフェクタに作用する力の総和に基づいてエンドエフェクタ速度を決定し、エンドエフェクタ速度がエンドエフェクタをx軸、y軸、エンドエフェクタのタスク座標空間におけるx軸、y軸またはz軸方向の回転を排除しながら、軸方向、z軸またはz軸方向に移動する、
事を特徴とする、請求項
1に記載のポジショニングアーム。
【請求項11】
前記手術モードが前記スタンドオフモードであるとき、前記エンドエフェクタ速度を決定する前に、前記プロセッサ実行可能命令は、さらに前記プロセッサに、
エンドエフェクタのスタンドオフ軸を決定する工程を含み、
前記プロセッサに前記エンドエフェクタ速度を決定させる前記プロセッサ実行可能命令において、プロセッサ実行可能命令は、
スタンドオフ軸に沿って作用しない他の力を破棄し、エンドエフェクタに作用するトルクを破棄しながら、スタンドオフ軸に沿ってエンドエフェクタに作用する力に基づいてエンドエフェクタ速度を決定する、
事を特徴とする、請求項
1に記載のポジショニングアーム。
【請求項12】
前記手術モードが前記軌道モードにあるとき、前記エンドエフェクタ速度を決定する前に、前記プロセッサ実行可能命令は、さらに前記プロセッサに、
関心点を特定する工程と、
エンドエフェクタのスタンドオフ軸方向にある半径方向の距離をエンドエフェクタから関心点まで特定する工程と、
半径方向の距離に基づいて関心のある点に中心を合わせた球形のボリュームを定義する工程と、
前記球形ボリュームの表面に接しており、前記スタンドオフ軸方向に垂直である軌道平面を画定する工程と、を含み、
前記プロセッサに前記エンドエフェクタ速度を決定させる前記プロセッサ実行可能命令において、プロセッサ実行可能命令は、
エンドエフェクタに作用する他の力またはトルクを破棄しながら、半径方向距離を維持するために軌道面に入射する力またはトルクのサブセットに基づいてエンドエフェクタ速度を決定する、
事を特徴とする、請求項
1に記載のポジショニングアーム。
【請求項13】
前記手術モードが前記軌道モードにあるとき、前記エンドエフェクタ速度を決定する前に、前記プロセッサ実行可能命令はさらに、プロセッサに、
関心点を特定する工程と、
エンドエフェクタのスタンドオフ軸方向にある半径方向の距離をエンドエフェクタから関心点まで特定する工程と、
半径方向の距離に基づいて関心のある点に中心を合わせた球形のボリュームを定義する工程と、
前記タスク座標空間は球座標空間であり、前記軌道平面は前記球座標空間に定義されている、前記球形のボリュームの表面に接して前記スタンドオフ軸方向に垂直な軌道平面を画定する工程と、を含み、
前記プロセッサに前記エンドエフェクタ速度を決定させる前記プロセッサ実行可能命令において、プロセッサ実行可能命令は、
エンドエフェクタに作用するスタンドオフ軸方向の周りのトルクを捨て、
半径方向距離を維持するためにエンドエフェクタに作用する前記軌道面に入射する力のサブセットを決定し、力のサブセットは前記球座標空間で定義され、そして
力のサブセットに基づいてエンドエフェクタ速度を決定する、
事を特徴とする、請求項
12に記載のポジショニングアーム。
【請求項14】
前記タスク座標空間は3次元デカルト座標空間であることを特徴とする請求項1に記載のポジショニングアーム。
【請求項15】
前記エンドエフェクタ速度は、大きさ及び方向を含む、請求項1に記載のポジショニングアーム。
【請求項16】
前記エンドエフェクタは、エンドエフェクタ操作の検出を可能にするエンドエフェクタ係合スイッチを含む、請求項1に記載のポジショニングアーム。
【請求項17】
医療処置が、手術ナビゲーション、ロボット手術、ロボット支援手術、眼科手順、または内視鏡手順を含むリストから選択される、請求項1に記載のポジショニングアーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して手術ナビゲーションシステムに関し、特に、手術ナビゲーションシステムのためのポジショニングアームに関する。
【背景技術】
【0002】
手術ナビゲーションシステムは、顕微鏡、切削器具、プローブ、光源などのような手術用器具をポジショニングおよび操作するためのフレームおよび構造を含み得る。いくつかのシナリオでは、手術用器具を正確に配置することは、手術的処置を首尾よく行うために重要であり得る。一般的な手術ナビゲーションシステムのフレームおよび構造は、手術的処置全体にわたって医療器具のポジショニングおよび再ポジショニングを容易にし得る。しかしながら、このような既存のフレームおよび構造を使用する医療機器のポジショニングおよび再ポジショニングは、手作業で複雑なユーザ入力を必要とする。
【発明の概要】
【0003】
1つの態様では、本出願は、医療処置のための動作補助ポジショニングアームを記載する。ポジショニングアームは、ベースと、アームであって、第1アーム端部から第2アーム端部まで延び、第1アーム端部でベースに結合された複数のアームセグメントと、複数のアームセグメントを連結するための複数の関節とを備え、複数のアームセグメントの各アームセグメントは、複数の関節によって隣接するアームセグメントに連結されるアームと、複数の関節における少なくとも1つの関節による動作に基づいてタスク座標空間において6自由度で操作可能となるように、第2のアーム端部に結合されたエンドエフェクタと、複数の関節および前記エンドエフェクタに結合されたプロセッサと、プロセッサに結合され、プロセッサが読み取り可能な命令を格納するメモリと、を含む。プロセッサ可読の命令は、プロセッサに、エンドエフェクタの操作を検出させ、エンドエフェクタに作用する力またはトルクを特定させ、タスク座標空間におけるエンドエフェクタの動きを制限するための手術モードを決定し、特定された力またはトルクと、エンドエフェクタをタスク座標空間内で動かすための手術モードとに基づいて、エンドエフェクタ速度を決定し、エンドエフェクタ速度に基づいて複数の関節内に少なくとも1つの関節空間運動を適用する。
【0004】
別の態様では、本出願は、実行時に、本明細書で説明される1つ以上の動作を実行するようにプロセッサを構成するプロセッサ可読の命令を記載する。この点において、プロセッサという用語は、プログラム命令を実行することができるすべてのタイプの処理回路またはチップを含むことが意図されている。
【0005】
本出願の他の態様および特徴は、添付の図面と併せて以下の実施例の説明を検討することにより、当業者に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
ここで、例として、本出願の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照する。
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による、手術ナビゲーションシステムの構成要素を示す。
【
図2】
図2は、
図1の本出願の一実施形態による、手術ナビゲーションシステムのブロック図を示す。
【
図3】
図3は、本願の一実施形態による、手術ナビゲーションシステム用のポジショニングアームの斜視図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態による、エンドエフェクタのポジショニング方法をフローチャート形式で示す。
【
図5】
図5A、
図5B、
図5Cおよび
図5Dは、本出願の一実施形態による、
図3のポジショニングアームに連結されたエンドエフェクタの動きを抑制する例示的な手術モードを示す。
【
図6】
図6は、本出願の一実施形態による、軌道モードが使用可能にされているときのエンドエフェクタのポジショニング方法をフローチャート形式で示す。
【
図7】
図7A、
図7B、
図7Cおよび
図7Dは、本出願の一実施形態による、並進モードにおけるポジショニングアームの配置を示す。
【
図8】
図8Aおよび
図8Bは、、本出願の一実施形態による、スタンドオフモードにおけるポジショニングアームの配置を示す。
【
図9】
図9A、
図9Bおよび
図9Cは、本出願の一実施形態による、軌道モードにおけるポジショニングアームの配置を示す。
【
図10】
図10Aおよび
図10Bは、本願の一実施形態による、ロールモードにおけるポジショニングアームの配置を示す。
【0008】
類似の構成要素を示すために、異なる図面において類似の参照番号を使用している場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本出願の様々な例および態様は、以下に説明する詳細を参照して説明される。以下の説明および図面は、本出願の例示であり、本出願を限定するものとして解釈されるべきではない。様々な実施形態の完全な理解を提供するために、多くの詳細が記載されている。しかしながら、ある場合には、本出願の実施形態の簡潔な議論を提供するために、周知または従来の詳細は記載されていない。
【0010】
本明細書で使用される用語「含む」および「構成される」は、包括的かつ開放的であり、排他的ではないと解釈されるべきである。具体的には、明細書および特許請求の範囲で使用される場合、用語「含む」および「構成される」およびその変形は、指定された特徴、ステップまたは構成要素が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップ、または構成要素の存在を排除するものと解釈されるべきではない。
【0011】
本明細書で使用される「例示的な」という用語は、「例、事例、または実例として機能する」を意味し、本明細書に開示される他の構成よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。
【0012】
本明細書で使用される「約」、「およそ」および「実質的に」という用語は、特性、パラメータおよび寸法の変動などの値の範囲の上限および下限に存在し得る変形を包含することを意味する。非限定的な例において、「約」、「およそ」および「実質的に」という用語は、プラスマイナス10パーセント以下を意味し得る。
【0013】
本明細書で使用される「術中」という語句は、医療処置の少なくとも一部の間に起こるか、または実行される作用、プロセス、方法、事象またはステップを指す。本明細書で定義される術中は、手術的処置に限定されず、他のタイプの医療処置を指してもよい。
【0014】
本出願において、「および/または」という用語は、リストされた要素のすべての可能な組合せおよび部分的な組み合わせを包含することを意図しており、それらは列挙された要素のいずれか1つ、任意の部分的組合せ、または要素のすべてを含み、必ずしも追加要素を排除するものではない。
【0015】
本出願において、「少なくとも1つの...または...」という語句は、列挙された要素のうちの1つ以上をカバーすることを意図しており、それらは任意の追加の要素を排除することなく、必ずしもすべての要素を必要とすることなく、列挙された要素のいずれか1つ、任意の部分的な組み合わせ、またはすべての要素を含むものである。
【0016】
医療専門家は従来的に、顕微鏡、切削器具、プローブ、光源などの医療機器のポジショニングや操作に、自身の目および自身の手に頼ってきた。技術の進歩に伴い、手術ナビゲーションシステムは、医療専門家によって医療処置を行うのを支援するために術中画像機能を提供するためにますます使用されてきている。例えば、手術ナビゲーションシステムは、手術関心点または手術用オリフィスに隣接して撮像装置をポジショニングするためのアームを含み得る。これらの撮像装置によって捕捉された画像は、手術関心点がより容易に検査され得るように、ディスプレイ上に投影され得る。
【0017】
手術関心点または手術用オリフィスは一般に密閉された空間の近くまたは内部に位置するため、ポジショニングアームに取り付けられた撮像装置のような手術用器具のポジショニングは、複雑な努力を必要とすることがあり、手術関心点に隣接する組織に損傷を与える。したがって、ポジショニングアームに取り付けられた手術用器具を操作しポジショニングすることは、複雑な努力を必要とすることがある。ポジショニングアームに取り付けられた手術用器具の動きに制約を加えることができる動作補助ポジショニングアームを提供することが望ましい場合がある。上記の例では、撮像装置をポジショニングアームに固定することを説明しているが、プローブまたは切断器具などの他の手術用器具も、手術中にポジショニングアームによって保持され、操作されてもよい。
【0018】
いくつかの手術ナビゲーションシステムは、固定焦点距離レンズを有する撮像装置を含む得る。そのような手術ナビゲーションシステムの構成では、撮像装置レンズと手術関心点との間の焦点距離を維持することが望ましい場合がある。しかし、医療専門家が異なる見通しまたは視点から手術関心点の視野を望む場合、(1)撮像装置は、撮像装置レンズと手術関心点との間の焦点距離を以前の距離に維持するように配置されつつ、(2)撮像装置は、異なる視点から関心のある手術用ポイントを取り込むように、ポジショニングアームを再配置することは面倒で時間がかかる場合がある。それに応じて、上述した撮像装置のような手術用器具の動きを、手術用器具を再ポジショニングまたは操作するための特定の移動経路に制限することが望ましい場合がある。
【0019】
図1を参照すると、本出願の一実施形態による、手術ナビゲーションシステム100の構成要素が示されている。 手術用ナビゲーションシステム100は、機器タワー110、追跡検出器120、ディスプレイ130、およびポジショニングアーム140を含み得る。
図1に示すように、機器タワー110は、ポジショニングアーム140に隣接して配置されてもよい。本明細書で説明するように、機器タワー110は、手術ナビゲーションシステム用の制御および処理ユニットを含み得る。いくつかの例では、機器タワー110は、医療専門家からの入力を受信するための、または手術ナビゲーションシステム100の操作に関連する情報を医療専門家に提供するための、機器タワーディスプレイ112を含み得る。
【0020】
追跡検出器120は、手術室環境内の基準マーカーまたはランドマーク特徴を検出するための追跡カメラ、ビデオカメラ、三次元スキャナ、または任意の他の適切な撮像装置などの光学追跡装置を含み得る。ディスプレイ130は、手術部位/関心点の画像を医療専門家に表示するように設定されてもよく、その結果、手術部位/関心点は、見やすくするために拡大されてもよい。追跡検出器120およびディスプレイ130は、機器タワー110と通信し得る。
【0021】
ポジショニングアーム140は、基部142およびアーム144を含み得る。アーム144は、第1アーム端部から第2アームまで延びる複数のアームセグメントを含み得る。アーム144は、第1のアーム端で基部142に結合され得る。アーム144はまた、アームセグメントを接続するための複数の関節を含み得る。複数のアームセグメントの各アームセグメントは、複数の関節部における一つの関節によって隣接するアームセグメントに接続されてもよい。
【0022】
ポジショニングアーム140は、第2のアーム端部に結合されたエンドエフェクタ146を含み得る。エンドエフェクタ146は、複数の関節における少なくとも1つの関節による動きに基づいて、タスク座標空間において6自由度で操作可能であり得る。いくつかの実施形態では、タスク座標空間は、手術室環境におけるエンドエフェクタの移動および位置を追跡するための3次元デカルト座標空間であり得る。例えば、原点位置(0,0,0)は、タスク座標空間内の所定の位置であってもよく、エンドエフェクタの移動及び位置は、原点位置に対して相対的であってもよい。例示的なタスク座標空間におけるエンドエフェクタ146の移動は、x軸方向、y軸方向、またはz軸方向のうちの少なくとも1つの軸の動きを含むことができ、x軸方向、y軸方向、またはz軸方向のうちの少なくとも1つの軸の回転を含むことができる。本出願では三次元デカルト座標空間が一例として提供されるが、他のタイプの座標空間がタスク座標空間に対して実装されてもよい。
【0023】
エンドエフェクタ146は、エンドエフェクタ146に作用する力およびトルクを特定するための力覚センサを含み得る。すなわち、医療専門家がエンドエフェクタ146を押してエンドエフェクタ146を原点位置に向かってまたは原点位置から離すと、力モーメントセンサは、エンドエフェクタ146が操作されていることを検出し、エンドエフェクタ146に作用する力およびトルクを特定し得る。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ146に付与される力およびトルクは、エフェクタ座標空間に関連付けられてもよい。エフェクタ座標空間はエンドエフェクタ146に関連付けられてもよく、一方、エンドエフェクタ146は追跡されてもよく、タスク座標空間内の異なる位置を移動してもよい。すなわち、エフェクタ座標空間は、エンドエフェクタ146に作用する力および/またはトルクを追跡するための座標空間であってもよい。いくつかの例では、エフェクタ座標空間はデカルト座標空間であってもよい。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、他の座標空間を使用してもよい。
【0024】
例えば、エンドエフェクタ146に付与された特定された力及びトルクは、エフェクタ座標空間のx軸、y軸又はz軸方向の少なくとも1つに大きさ及び方向を有する並進力を含み得る。特定されたトルクは、エフェクタ座標空間のピッチ、ヨーまたはロールの向きの少なくとも1つの方向においてエンドエフェクタを回転させるためのトルクを含み得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ146は、そこに貼り付けられた1つ以上の基準マーカを含むことができ、手術ナビゲーションシステム100は、追跡座標検出器120を使用して、タスク座標空間におけるエンドエフェクタ146の位置または移動を追跡し得る。例えば、タスク座標空間が3次元デカルト座標空間である場合、手術ナビゲーションシステム100は、エンドエフェクタのx、y、およびz座標および向きに従ってエンドエフェクタ146の位置を識別するように設定されてもよい。いくつかの他の実施形態では、手術ナビゲーションシステム100は、様々な画像認識方法を使用してエンドエフェクタ146の位置および向きを追跡し得る。
【0026】
エンドエフェクタ146は、撮像装置または手術用ツールなどの手術用器具を受容するように設定されてもよい。すなわち、ポジショニングアーム140は、撮像装置または手術用ツールをタスク座標空間内の所定の位置および向きにポジショニングするように設定され得る。例えば、撮像装置は、顕微鏡またはデジタルスチルカメラを含むことができ、撮像装置は、手術部位または手術関心点に隣接してエンドエフェクタ146によってポジショニングされて、画像を医療専門家とサポートスタッフに見せるために、ディスプレイ130上に表示してもよい。広視野カメラ、顕微鏡及びOCT(Optical Coherence Tomography)装置、ビデオカメラ、三次元スキャナ、又は他の撮像機器を含む他の撮像装置をエンドエフェクタ146に取り付けてもよい。手術用ツールは、手術的処置の一部の間に静止位置に保持され、手術中に様々な時間に調整され得るプローブまたは切削ツールを含み得る。
【0027】
手術ナビゲーションシステム100は、
図1に示されたものよりも多いまたは少ない数の構成要素を含み得る。例えば、手術ナビゲーションシステムは、異なる撮像装置またはそれに結合された器具を有する2つ以上のポジショニングアームを含み得る。エンドエフェクタ146は、第2アーム端部に連結されていると説明し得るが、いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ146を第2アーム端部でアームセグメントに一体化し得る。すなわち、エンドエフェクタ146は、アームセグメントとは独立した別個の特徴である必要はない。
【0028】
図2を参照すると、本発明の一実施形態による、
図1の手術ナビゲーションシステム100の例示的な構成要素のブロック図を示されている。手術ナビゲーションシステム100は、制御および処理ユニット200を含み得る。いくつかの例では、制御および処理ユニット200は、機器タワー110(
図1に示す)内に含み得る。制御および処理ユニット200は、1つまたは複数のプロセッサ202、メモリ204、システムバス206、入力/出力インタフェース208、および通信インタフェース210を含み得る。
【0029】
制御および処理ユニット200は、いくつかの例では
図1の追跡検出器120であってもよい追跡検出器221を含む外部装置とインターフェースし得る。制御および処理ユニット200はまた、データ記憶装置242とインターフェースし得る。データ記憶装置242は、記憶装置および/またはデータベースを有する、ハードドライブ、デジタルメディア装置、または自身に記憶及び/又はデータベース機能を有するサーバー装置などのローカルまたはリモートメモリ装置を含み得る。
図2に示すように、データ記憶装置242は、手術器具260を識別するためのデータなどの識別データ250を含むことができる。データ記憶装置242はまた、手術ナビゲーションシステム100のための設定データ252を含むことができる。データ記憶装置242は、術前画像データ254および医療処置計画データ256を含む。術前画像データ254は、前に取得された患者または術前画像を含み得る。データ記憶装置242は、
図2では集合装置として示されているが、いくつかの例では、複数のデータタイプは、
図2に示すように、複数のデータ記憶装置にわたって提供されてもよい。
【0030】
制御および処理ユニット200はまた、外部入力/出力装置244とインターフェースし得る。例示すると、制御および処理ユニット200は、周辺装置220とインターフェースし得る。例示的な周辺装置220は、外部撮像装置222、照明装置224、1つ以上のアーム205(いくつかの例では
図1のポジショニングアーム140であってもよい)、投影装置228、3次元スキャナ209、またはディスプレイ211(いくつかの例では、
図1のディスプレイ130であってもよい)を含む。いくつかの例では、3次元スキャナ209は、コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、超音波、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)、または構造化光画像プローブ装置などの術前または術中の撮像装置を含み得る。いくつかの例では、外部撮像装置222または3次元スキャナ209は、エンドエフェクタ146(
図1に示す)に取り付けられ、アーム205によってタスク座標空間に配置または操作され得る物理的形状係数を有し得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、制御および処理ユニット200は、周辺装置220および他の外部装置からの入力に基づいて、エンドエフェクタ146(
図1に示す)または手術用器具260の位置および向きを追跡するように設定され得る。例えば、追跡検出器221は、1つ以上の基準マーカが取り付けられたエンドエフェクタ146に関するデータを検出して取得するように設定され得る。制御および処理ユニット200は、検出されたエンドエフェクタ146をタスク座標空間の基準フレームに登録するように設定され得る。すなわち、追跡検出器221がエンドエフェクタ146に取り付けられた1つ以上の基準マーカを検出すると、制御および処理ユニット200は、検出されたエンドエフェクタ146の位置および向きをタスク座標空間に登録し得る。いくつかの例では、エンドエフェクタ146に取り付けられた1つまたは複数の基準マーカに関連付けられた識別データ250は、タスク座標空間内の手術器具260を識別するために使用され得る。
【0032】
本明細書で説明される例示的な方法は、少なくとも部分的に、例えば、メモリ204に格納されるかまたは上述のデータ記憶装置242に格納される、プロセッサ実行可能命令によって実現され得る動作を含む。いくつかの例では、制御および処理ユニット200は、処理エンジン270を含み得る。処理エンジン270は、指定されたタスクのための専用の処理リソースであってもよい。例えば、処理エンジン270は、ユーザインターフェースエンジン272、追跡エンジン274、モータコントローラエンジン276、画像処理エンジン278、画像登録エンジン280、医療処置計画エンジン282、ナビゲーションエンジン284、および背景解析エンジン286を含む。処理エンジン270は、別個の処理エンジンとして示し得る。しかしながら、いくつかの例では、プロセッサ202は処理エンジン資源を動的に割り当て得る。
【0033】
図3を参照すると、本発明の一実施形態による、
図1の手術ナビゲーションシステム100のためのポジショニングアーム300の斜視図が示されている。ポジショニングアームは、医療処置のための動作補助ポジショニングアームであり得る。いくつかの実施形態では、医療処置は、手術ナビゲーション、ロボット手術、ロボット支援手術、眼科手順、または内視鏡手順のうちのいずれか1つを含み得る。上記は例示的な手順のリストを記載しているが、動作補助ポジショニングアームは、他のタイプの医療処置のためのものであってもよい。
【0034】
図3に示すように、ポジショニングアーム300は手術ベンチ302に隣接していてもよく、手術ベンチ302は医療処置の期間中に患者をポジショニングするためのものであってもよい。例えば、手術ベンチ302は、手術室のテーブルであってもよく、患者は、医療処置の期間、手術室のテーブル上に配置されてもよい。
図3では、患者または手術部位は、医療処置が実行される例示的な患者を表すトレーニング装置320として示されている。いくつかの例では、手術部位は、ポジショニングアーム300の1つ以上の手術モードのための基準点として使用され得る関心点であり得る。ポジショニングアーム300の手術モードがここで説明される。
【0035】
ポジショニングアーム300は、基部304を含み得る。説明すると、基部304は、直立カラムと、直立カラムに垂直であり直立カラムに結合された水平支持体と、を含み得る。いくつかの例では、基部304は、本明細書で説明するアームを支持するのに適した任意の他の形状または構成であってもよい。
【0036】
ポジショニングアーム300は、アームを含むことができ、アームは、複数のアームセグメントを含む。
図3に示す例のように、複数のアームセグメントは、第1のアームセグメント312a、第2のアームセグメント312b、第3のアームセグメント312c、第4のアームセグメント312d、および第5のアームセグメント312eを含む。
図3には5つのアームセグメントについて示されているが、他の例では、ポジショニングアーム300は、より少ないまたはより多いアームセグメントを含み得る。複数のアームセグメントは、第1のアーム端部から第2のアーム端部まで延び得る。アームは、第1アーム端でベース304に結合され得る。具体的には、
図3に示すように、複数のアームセグメントは、第1アームセグメント312aから第5アームセグメント312eまで延びている。第1のアームセグメント312aは、第1のアーム端にあり得る。第5アームセグメント312eは、第2アーム端部にあり得る。
【0037】
アームは、複数のアームセグメントを連結するための複数の関節を含み得る。複数の関節は、第1関節314a、第2関節314b、第3関節314c、第4関節314d、第5関節314e、及び第6関節314fを含み得る。
図3には6つの関節について示されているが、ように、他の例では、ポジショニングアーム300は、より少ないまたはより多い関節を含んでもよい。複数のアームセグメントの各アームセグメントは、複数の接合部における接合部によって隣接するアームセグメントに接続されてもよい。例えば、第2の関節314bは、第1のアームセグメント312aを第2のアームセグメント312bに接続してもよい。
【0038】
アームは、撮像装置330または手術用ツールを受け入れるように設定され得るエンドエフェクタ316も含み得る。例示的な撮像装置330は、顕微鏡、デジタルビデオカメラ、投影装置、三次元スキャナなどを含み得る。手術ツールは、切断ツール、プローブツールなどを含み得る。
図3に示すように、第1関節314aは第1アームセグメント312aをベース304に連結し、第6関節314fは第5アームセグメント312eをエンドエフェクタ316に連結する。
【0039】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ316は、エンドエフェクタ316に作用する力およびトルクを特定する力覚センサを含み得る。力覚センサは、1つまたは複数のプロセッサ202(
図2に示す)に結合されてもよく、その結果、手術ナビゲーションシステム100
図1に示す)は、エンドエフェクタ316の操作を検出し、エンドエフェクタ316に作用する力およびトルクを特定する動作を実装することができる。例えば、特定された力は、3次元デカルト座標空間のx軸、y軸、またはz軸の移動に関連する特定された大きさおよび方向を含み得る。特定されたトルクは、タスク座標空間におけるx軸、y軸、またはz軸方向に関する回転に関連する特定された大きさおよび方向を含み得る。
【0040】
エンドエフェクタ316はまた、医療専門家からの入力を受け取るためのハンドルを含み得る。医療専門家は、エンドエフェクタ316に取り付けられた撮像装置330が、異なる見通しまたは視点から手術部位の画像を取り込むように再ポジショニングを望むことがある。したがって、医療専門家は、エンドエフェクタハンドルを把持し、エンドエフェクタ316をタスク座標空間内の別の位置または向きに移動しようとすることがある。手術ナビゲーションシステム100は、エンドエフェクタ316が操作されていることを検出し、エンドエフェクタ316に作用する力またはトルクを特定し得る。本明細書で説明するように、手術ナビゲーションシステム100は、特定された力およびトルクに基づいてエンドエフェクタ速度を決定し、タスク座標空間内に新しいエンドエフェクタの位置を定義するための手術モードを決定し得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ316は、エンドエフェクタ操作の検出を可能にするための係合スイッチ(
図3に示されていない)を含み得る。例えば、係合スイッチはタッチセンサであってもよく、エンドエフェクタ316は、タッチセンサがユーザの存在を検出したときにエンドエフェクタにおける動きの検出を可能にするように設定されてもよい。別の例では、係合スイッチは係合ボタンであってもよく、係合ボタンが押されたときにエンドエフェクタの動きを検出できるようにエンドエフェクタ316を設定してもよい。すなわち、医療専門家がエンドエフェクタハンドルを把持したときに係合ボタンを押し下げることができる。エンドエフェクタの係合スイッチは、ポジショニングアームがエンドエフェクタとの偶然の接触ではなく、エンドエフェクタ316の意図的な操作を確実に検出することを保証するのに有用であり得る。例えば、医療専門家が誤ってエンドエフェクタに突き当たった場合、ポジショニングアーム300は、係合スイッチが係合されていない限り、偶発的な入力を無視するように設定し得る。
【0042】
説明したように、アームは、アームセグメントを接続するための複数の関節を含み得る。各関節は、回転関節、プリズム関節、またはフレキシブル関節のうちの少なくとも1つを含み得る。例えば、回転関節は、基準軸を中心に回転または回転する関節であってもよい。プリズム関節は、2つのセグメントまたは本体間を直線方向に移動させ得る。フレキシブル関節は、整列していない2つのセグメントまたはボディを連結し得る。例えば、フレキシブル関節は、ソフトロボティクスで利用される関節を含み得る。
【0043】
図3に示すように、第1関節314aは回転関節であり、第1アームセグメント312aは第1関節314aを介してベース304に連結され、第1アームセグメント312aは第1軸382を中心に回転する。別の例では、第2の関節314bは、第1のアームセグメント312aが第2のアームセグメント312bに対して回転軸384の周りを回転または回転運動することを可能にする回転関節であってもよい。
図3に示すように、第1の関節314aに関連する第1の軸382は、第2の関節314bに関連する回転軸384に対して垂直であり得る。
【0044】
図3に示す複数の関節は、ポジショニングアーム300のために使用され得る関節の例を意図する。しかしながら、複数の関節の各々は、第2のアーム端部に連結されたエンドエフェクタ316が少なくとも複数の関節のうちの1つの関節の運動に基づいてタスク座標空間内の6自由度で操作可能であるように選択および設定され得る事が理解されよう。
【0045】
複数の関節の各関節は、複数の関節の各々によって接続された隣接するアームセグメントの間の動きを容易にするためのアクチュエータ(示されていない)を含み得る。すなわち、各アクチュエータは、それぞれのアクチュエータの関節によって接続された隣接するアームセグメント間の動作を独立して促進し得る。
【0046】
例えば、第2の関節314bは、第1のアームセグメント312aと第2のアームセグメント312bとの間の回転運動を回転軸384の周りに引き起こすためのアクチュエータを含み得る。複数の関節の各関節は、それぞれの関節によって接続された隣接するアームセグメントの間の動きを容易にするアクチュエータを含むので、ポジショニングアーム300は、動作補助ポジショニングアームであってもよく、それによってエンドエフェクタ316に与えられる力およびトルクは、エンドエフェクタ316に与えられた特定された力およびトルクに従ってエンドエフェクタ316のアクチュエータ支援の動作をもたらし得る。
【0047】
複数の関節の各関節は、関節の位置を決定するための関節エンコーダもを含む得る。例えば、第2の関節314bが回転関節であり得るため、第2の関節314bの関節エンコーダは、第2のアームセグメント312bに対する第1のアームセグメント312aの回転軸384周りの角度位置を決定するように設定され得る。別の例では、第6関節314fについて、第6関節314fの関節エンコーダは、第5アームセグメント312e上の「0度」基準点に対するエンドエフェクタ316の角度位置を決定するように設定され得る。
【0048】
関節エンコーダは、関節エンコーダからの関節位置情報に応答して、エンドエフェクタ316をタスク座標空間内の更新された位置にポジショニングするための複数の関節における少なくとも1つの関節空間の動作を決定するために、手術ナビゲーションシステム100(
図1に示す)が動作を実装し得るように、1つまたは複数のプロセッサ202に結合され得る。したがって、いくつかの実施形態では、ここに記載されているように、手術ナビゲーションシステム100は、エンドエフェクタ316に作用する力およびトルクに関するデータまたは情報を周期的に受信し、それぞれの関節エンコーダからの関節角度位置を含むパラメータの他のポジショニングを周期的に受け取れ得る。
【0049】
したがって、手術ナビゲーションシステムは、(1)複数の関節の各関節は、動作を容易にするためのアクチュエータと、関節エンコーダとを含み得る複数の関節と、(2)エンドエフェクタ316の操作を検出し、エンドエフェクタ316に作用する力およびトルクを特定する力覚センサを含み得るエンドエフェクタ316と、に連結された1つ以上のプロセッサを含み得る。エンドエフェクタ316に作用する特定された力およびトルクに基づいて、ポジショニングアーム300は、タスク座標空間でエンドエフェクタの更新された位置を定義するためのエンドエフェクタに作用する特定された力およびトルクに基づいて、エンドエフェクタの速度を決定し得る。いくつかの実施形態では、手術ナビゲーションシステム100は、エフェクタ座標空間を参照してエンドエフェクタ316に作用する特定された力およびトルクを特定または追跡することができる。上述したように、エフェクタ座標空間は、エンドエフェクタ316に関連付けられてもよく、エンドエフェクタ316がタスク座標空間を移動するときに、タスク座標空間内で移動してもよい。
【0050】
さらに、ポジショニングアーム300は、エンドエフェクタをタスク座標空間の新しい位置にポジショニングするための逆アームキネマティックスを使用して、複数の関節における少なくとも1つの関節空間の動きを特定することができる。逆アームキネマティックスは、複数の関節の少なくとも1つの関節における動きを容易にするための関節パラメータを特定するための運動学的方程式であってもよい。1つまたは複数のプロセッサ202は、エンドエフェクタ316がタスク座標空間内の更新された位置に移行されるように、各関節内のアクチュエータに決定された関節パラメータを各関節内で送信して、各関節における動きを容易にし得る。アクチュエータはアームセグメントの間に動作を与え得るので、アームセグメントの任意の動作は、アクチュエータによって動作補助されてもよい。
【0051】
図4を参照すると、本出願の一実施形態による、
図3のエンドエフェクタ316をポジショニングする方法400をフローチャート形式で示されている。方法400は、手術ナビゲーションシステム100(
図1に示す)またはポジショニングアーム300(
図3に示す)によって一般的に実行され得る動作を含み得る。方法400は、例えば、少なくとも部分的に、データ記憶装置242(
図2に示す)に記憶されたプロセッサ実行可能命令を介して、実装することができる。例えば、プロセッサ実行可能命令は、プロセッサ202(
図2に示す)によって実行され得る。いくつかの例では、1つ以上の動作は、メモリ204(
図2に示す)または他のデータ記憶装置に記憶されたプロセッサ実行可能命令を介して実施され得る。以下の説明において説明を容易にするために、タスク座標空間は三次元デカルト座標空間であり得る。しかしながら、本出願の実施形態は、タスク座標空間のための他の任意のタイプの座標空間を組み込み得る。
【0052】
動作410において、プロセッサ202は、エンドエフェクタ316の操作を特定し得る。プロセッサ202は、エンドエフェクタ316の位置がx軸、y軸、またはz軸のいずれかの方向にシフトされた場合に、エンドエフェクタ316が操作されたと特定し得る。さらに、プロセッサ202は、エンドエフェクタ316の向きが、ピッチ、ヨー、またはロールのいずれかの向きに変更された場合、エンドエフェクタ316が操作されたと特定し得る。
【0053】
例えば、医療専門家がエンドエフェクタ316を把持し、エンドエフェクタ316をタスク座標空間内の現在のエンドエフェクタ位置から変位させる場合、プロセッサ202は、エンドエフェクタ316に作用する力またはトルクを特定し得る。例えば、エンドエフェクタ316がその現在の位置から変位したとき、プロセッサ202は、エンドエフェクタ316をタスク座標空間内の更新されたエンドエフェクタ位置に移動させるためにエンドエフェクタ316に作用する力を特定し得る。力は大きさおよび方向を含み得る。さらに、エンドエフェクタ316がその現在の向きからずれると、プロセッサ202は、エンドエフェクタ316をタスク座標空間内の更新された向きに移動させるためのトルクを特定し得る。
【0054】
例示すると、ポジショニングアーム300は、手術室の環境のタスク座標空間の原点位置でエンドエフェクタ316によって初期化され得る。例えば、原点位置は、タスク座標空間における所定の位置であり得る。エンドエフェクタ316の操作を検出すると、プロセッサ202は、エンドエフェクタ316に作用する力またはトルクを特定することができる。力は、エンドエフェクタ316を変位させること、またはタスク座標空間内の特定の方向にエンドエフェクタ316を移動させることに関連する大きさおよび方向を含み得る。例示的な例として、力は、エンドエフェクタ316を、タスク座標空間内のx軸に沿って3ユニット、y軸に沿って2ユニット、およびz軸に沿って5ユニットであり得る位置に変位させ得る。したがって、力は、エンドエフェクタ316をタスク座標空間内の座標(3,2,5)によって規定される位置に移動させ得る。さらに、この力は、エンドエフェクタ316を更新されたエンドエフェクタ方向に向けさせ得る。例えば、トルクは、エンドエフェクタ316をピッチ方向、ヨー方向、またはロール方向の少なくとも1つの方向において回転変位させ得る。したがって、動作420において、プロセッサ202は、エンドエフェクタ316に作用する力またはトルクを特定し得る。上述のように、特定された力またはトルクは、タスク座標空間におけるエンドエフェクタ316の動作を決定するために利用されてもよく、その移動の結果は、エンドエフェクタ316をタスク座標空間内の新しい位置に移動させ得る。
【0055】
動作430において、プロセッサ202は、タスク座標空間におけるエンドエフェクタの動作を制限するための手術モードを決定し得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ202は、入力インターフェースからの入力に基づいて手術モードを決定し得る。例えば、機器タワーディスプレイ112(
図1)は、タッチスクリーンディスプレイであってもよい。医療専門家は、タッチスクリーンディスプレイを介して、タスク座標空間におけるエンドエフェクタの動作を抑制するための望ましい手術モードを提供し得る。いくつかの他の例では、医療専門家は、ポインティングデバイス、トラックパッドデバイス、キーボードデバイス、音声コマンド入力などの他の入力デバイスを介して望ましい手術モードを提供し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、手術モードは、自由動作モード、ロールモード、並進モード、スタンドオフモード、および軌道モードを含み得る。いくつかの例では、自由動作モードは、エンドエフェクタ316があらゆる方向およびあらゆる方向に自由に動くことを可能にし得る。すなわち、タスク座標空間における更新されたエンドエフェクタ位置は、エンドエフェクタ316で特定された力およびトルクの全体に基づいている。ロールモードは、エンドエフェクタ316のロール軸の周りの向きの変更を可能にしながら、タスク座標空間におけるエンドエフェクタ位置を固定し得る。平行移動モードは、タスク座標空間内での位置変更を可能にしながら、タスク座標空間内でエンドエフェクタ316の向きを固定し得る。例えば、プロセッサ202は、エンドエフェクタ316のピッチ、ヨーまたはロールの向きを維持しながら、x軸、y軸、またはz軸方向に沿った移動を可能にし得る。スタンドオフモードは、エンドエフェクタ316をタスク座標空間内に固定する一方で、エンドエフェクタ316をスタンドオフ軸に沿って予め定義された関心点に近づけたり離れたりすることを可能にする。軌道モードは、エンドエフェクタの位置または向きを固定して、エンドエフェクタ316が予め定められた関心点を中心に一定の距離だけ移動し得る。したがって、軌道モードは、エンドエフェクタ316が、概念的な球形のボリュームの表面に沿って軌道を移動することを可能にし得る。例示的な手術モードのさらなる説明は、本明細書の説明に続く。
【0057】
動作440において、プロセッサ202は、(1)決定された力およびトルクに基づいて、また、(2)タスク座標空間における更新されたエンドエフェクタ位置を定義するための手術モードに基づいて、エンドエフェクタ速度を決定することができる。エンドエフェクタ速度は、大きさおよび方向を含み得る。いくつかの例では、エンドエフェクタ速度は、エンドエフェクタ316に作用する力とトルクとの組み合わせに基づいてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ速度を決定するために、プロセッサ202は、手術モードに基づいて、エンドエフェクタ速度を決定するためにエンドエフェクタに作用する力およびトルクのサブセットを特定し得る。さらに、エンドエフェクタ速度を決定するために、プロセッサ202は、エンドエフェクタ速度を決定する際に、エンドエフェクタに作用する残りの力およびトルクを手術モードに基づいて破棄し得る。
【0059】
動作440を例示するために、タスク座標空間におけるエンドエフェクタ316(
図3に示す)の動作を制限するための例示的な手術モードを示す
図5A、5B、5Cおよび5Dを参照する。
【0060】
特に、
図5Aは、本明細書に記載のロールモードを示す。ロールモードは、エンドエフェクタ316に作用する決定された力およびトルクに基づいてエンドエフェクタ316のロール軸の周りの向きの変更を許容しながら、タスク座標空間におけるエンドエフェクタ位置を固定し得る。ロールモードでは、プロセッサ202は、エンドエフェクタ516のロール軸502を決定し得る。例えば、
図5に示すエンドエフェクタ516は、
図3のポジショニングアーム300のエンドエフェクタ316に対応してもよい。
図5Aに示すように、エンドエフェクタ516のロール軸502は、関心のある手術点510と交差してもよい。
【0061】
ロールモードでは、プロセッサ202は、次に、エンドエフェクタ516に作用する決定された力およびトルクからロール軸502周りのロールトルクを決定し得る。例えば、プロセッサ202は、エンドエフェクタ516に作用するトルクが、タスク座標空間におけるロール姿勢でエンドエフェクタ516の向きを移動または調整する。
【0062】
したがって、プロセッサ202は、エンドエフェクタ516に作用するロールトルクに基づいてエンドエフェクタ速度を決定し、エンドエフェクタ516に作用する特定された力およびトルクの他のすべての力およびトルクを破棄する。すなわち、プロセッサ202は、ロール軸502の周りのエンドエフェクタ516のロール姿勢を調整するためのトルクを決定してもよく、エンドエフェクタを変位させる可能性のある力およびトルクを破棄しながら、他の任意の向きまたは方向に移動させ得る。例えば、プロセッサは、エンドエフェクタ516が手術関心点510に向かうかまたは離れるかようにする可能性がある任意の力を捨て得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ516が撮像カメラをそこに固定するように構成されている場合、ロールモードでは、エンドエフェクタ516は、撮像カメラと関心対象510との間の距離を維持し、取得された画像の視野を変更するためのものである。エンドエフェクタ516をタスク座標空間内の位置に固定することにより、閉じ込められた手術用オリフィス内のエンドエフェクタ516の不用意な動作が防止され、それにより、意図しない傷害または周囲組織への損傷が防止される。
【0064】
図5Bは、本明細書で説明される変換モードを示す。並進モードは、エンドエフェクタ516の向きを維持しながら、タスク座標空間の1つまたは複数の軸の周りの位置変化を可能にすることができる。例えば、
図5Aに示すロールモードとは対照的に、並進モードは、エンドエフェクタ516の向きを維持することができ、それにより、タスク座標空間におけるピッチ、ヨー、またはロールの動作を禁止する。しかし、平行移動モードは、タスク座標空間のx軸、y軸、またはz軸方向の1つまたはそれらの組み合わせにおける位置移動を可能にし得る。
【0065】
したがって、動作440において、プロセッサ202は、エンドエフェクタに作用するトルクの総量に基づいてエンドエフェクタ速度を決定し、エンドエフェクタに作用するトルクを破棄するように設定し得る。エンドエフェクタ516に関連するエンドエフェクタ速度は、エンドエフェクタ516のピッチ、ヨー、およびロールの動作を排除しながら、エンドエフェクタ516をx軸、y軸、またはz軸方向の少なくとも1つに移行させ得る。エンドエフェクタ516の向きを固定することは、医療専門家が、エンドエフェクタ516に取り付けられた撮像装置の向きを維持しながら、手術空間内の異なる点を見ることを望む場合に有用となり得る。例えば、翻訳モードは、手術関心点の「広角」またはパノラマタイプの視野を作成するために有用であり得る。
【0066】
図5Cは、本明細書に記載されたスタンドオフモードを示す。スタンドオフモードでは、エンドエフェクタ516のスタンドオフ軸に沿った位置変更を可能にしながら、エンドエフェクタ516の向きを維持し得る。スタンドオフモードでは、プロセッサ202は、エフェクタ516を含む。
図5Cに示すように、エンドエフェクタ516のためのスタンドオフ軸504は、例えば、手術関心点510とエンドエフェクタ516のエンドチップとに隣接する軸であり得る。すなわち、スタンドオフ軸は、手術関心点510と交差し得る。
【0067】
したがって、スタンドオフモードでは、プロセッサ202は、動作440において、スタンドオフ軸504に沿ってエンドエフェクタに作用する力に基づいてエンドエフェクタ速度を決定し、スタンドオフ軸504と、エンドエフェクタ516に作用する廃棄トルクとを含む。すなわち、プロセッサ202は、エンドエフェクタに作用する力に基づいてエンドエフェクタ速度を決定して、エンドエフェクタ516をスタンドオフ軸504方向に移動させるように設定し得る。さらに、プロセッサ202は、エンドエフェクタに作用するトルクを破棄または無視するように設定し得る。全体として、スタンドオフモードは、撮像カメラレンズと手術関心点510との間の距離を変更しながら、エンドエフェクタ516に取り付けられた撮像カメラが手術関心点510の画像を捕捉し続ける。エンドエフェクタ移動をスタンドオフ軸504に固定することは、医療専門家が、(1)手術用開口部の狭い開口部内で撮像カメラを操作する場合、(2)撮像カメラレンズと関心のある外科手術用ポイント510との間の距離を手動で調整することによって、撮像された画像のズームを調整する場合、また、(3)他の外科用器具が外科用オリフィスの狭い開口部に挿入される必要がある場合、外科用オリフィスの狭い開口部から撮像カメラを引き込む場合、に有用であり得る。
【0068】
図5Dは、本明細書に記載の軌道モードを示す。軌道モードは、概念的球形ボリュームの表面に沿ったエンドエフェクタの動作を制限することができ、概念的球形ボリュームは、手術関心点510に中心が置かれる。例えば、撮像カメラがエンドエフェクタ316(
図3に示す)に取り付けられ、手術関心点510の画像を取得するように設定されている場合、撮像カメラは、結像カメラレンズと手術関心点510との間の焦点距離は同じまま、手術関心点510の画像を取得し得る。すなわち、撮像カメラは、撮像カメラが手術関心点510への焦点距離を維持するという制約に基づいて、手術関心点510の画像を取り込むための位置または向きを変更し得る。
【0069】
同時に
図6を参照すると、手術モードが軌道モードであるときのエンドエフェクタ516(
図5Dに示す)のポジショニング方法をフローチャート形式で示されている。動作610において、プロセッサは、手術関心点510を検証または特定し得る。手術関心点510は、外科医が医療処置を実施しているであろう器官または組織のクラスタであってもよい。いくつかの例では、プロセッサ202は、手術ナビゲーションシステムの入力装置を介して、手術関心点510(
図5Dに示す)を識別するための入力を受け取り得る。いくつかの他の例では、プロセッサ202は、画像認識方法に基づいて手術関心点510を識別し得る。いくつかの例では、プロセッサ202は手術関心点510としてレンズの視野内に現在存在する特徴を識別し、そのような特徴の識別データを記憶装置に保持し得る。
【0070】
動作620において、プロセッサ202は、エンドエフェクタ516から手術関心点510までの半径方向距離を特定し得る。いくつかの例では、プロセッサ202は、手術ナビゲーションシステムの入力装置を介して、エンドエフェクタ516から手術関心点510までの半径方向距離を特定するための入力を受け取り得る。すなわち、医療専門家は、所望の半径方向の距離に基づいて、軌道モードのための概念的な球体容積を定義し得る。いくつかの他の例では、プロセッサ202は、画像処理技術を用いて、エンドエフェクタ516の現在の位置に基づいて手術関心点510までの半径方向の距離を特定し得る。例えば、深度マップは、エンドエフェクタ516から関心のある手術関心点510までの半径方向の距離を特定するために利用されてもよい。
【0071】
軌道モードでは、エンドエフェクタ516の関心軸520が手術関心点510と交差し、エンドエフェクタと手術関心点510との間の距離は一定のままでよい。例えば、関心軸はタスク座標空間に対して記述され、関心軸は、エンドエフェクタ516がタスク座標空間内を移動するときに変化し得る。例えば、
図5Dに示すように、エンドエフェクタ516が第1の位置518aに向かって移動するとき、関心軸は変化し得る。タスク座標空間内の関心軸は変化し得るが、関心軸は、手術関心点510と交差し続けることができる。さらに、エンドエフェクタが第2の位置518bに向かってさらに移動するとき、関心軸はさらに変化し得る。再び、関心軸はさらに変化し得るが、関心軸は、手術関心点510と交差し続け得る。したがって、軌道モードでは、各それぞれのエンドエフェクタの位置は、異なる関心軸に関連付けられてもよい。いくつかのシナリオでは、第1のエンドエフェクタの位置の時に第1の軸を有するエンドエフェクタも、エンドエフェクタ516が概念球形ボリュームの反対側または反対側に配置されてる時に、同じ第1の軸を有することができることが理解されよう。
【0072】
少なくとも手術関心点510と、エンドエフェクタ516から手術関心点510までの半径方向の距離に基づいて、プロセッサ202は動作630にて、手術関心点510を中心とする球形のボリュームを定義する事を
図5Dで示す。概念球形ボリュームは、ポジショニングアームが軌道モードにある間にエンドエフェクタ516の動作を拘束するための基準として使用し得る。
【0073】
動作640において、プロセッサ202は、(1)球形ボリュームの表面に接する、または、(2)関心軸(例えば、
図5Dに示す関心軸520)の方向に垂直である、軌道面を定義し得る。軌道面に作用しない力のみが、手術関心点510に中心を合わせられた規定の球形ボリュームの表面に沿ったエンドエフェクタの動作を抑制するのに、寄与し得ることが理解されよう。
【0074】
したがって、軌道モードでは、動作650(
図4に示す動作440に関連し得る)において、プロセッサ202は、軌道平面に入射する印加された力のサブセットに基づいてエンドエフェクタ速度を決定するように設定されてもよく、エンドエフェクタ516に作用する他の力またはトルクを破棄しながら、半径方向の距離を維持するために、軌道面に垂直なトルクを加える。すなわち、軌道モードでのエンドエフェクタ速度を決定するとき、プロセッサ202は、エンドエフェクタ516を概念球形ボリュームの表面から離れる方向に移動させる力またはトルクをゼロに設定するように設定し得る。エンドエフェクタ516がエンドエフェクタ516と手術関心点510との間の距離を増減させる可能性のある力またはトルク成分は、ゼロに設定し得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、プロセッサ202は、エンドエフェクタを関心軸の周りをゼロに回転させる力またはトルクを設定し得る。例えば、手術ナビゲーションシステムは、関心軸の周りのロール運動を制限するように設定されてもよい。関心軸の周りのロール運動は、手術ナビゲーションシステムの表示画面上で見ることが困難な場合がある。
【0076】
軌道モードでは、概念球形ボリュームの表面から離れたエンドエフェクタ516の動作は、
図3のポジショニング300によって制約される。手術関心点510を中心とする概念球形ボリュームの表面へのエンドエフェクタの動作を制限することは、医師が、エンドエフェクタ516と手術関心点510の焦点距離を維持しながら、手術関心点510の複数の斜視図を必要とする時に有用である。全体的に、エンドエフェクタの動作を制限することは、エンドエフェクタ516による手術部位への損傷または損傷を引き起こす機会を制限するために有用であり得る。特定の軸または方向へのエンドエフェクタの動作を制限することは、エンドエフェクタ516を制御された位置または方向に調整するために医療専門家が必要とする注意量を減らすためにも有用であり得る。
【0077】
軌道モードの別の実施形態では、動作650において、プロセッサ202は、代替の動作グループを使用してエンドエフェクタ速度を決定すし得る。この別の例では、タスク座標空間は球座標空間であり、球座標は手術関心点に対するものでり得る。プロセッサ202は、エンドエフェクタに作用している関心軸の周りのトルクを捨て得る。例えば、エンドエフェクタ速度を決定する場合、プロセッサ202は、関心軸の周りに加えられたトルクをゼロに設定し得る。
【0078】
動作650において、プロセッサ202は、径方向の距離を維持するためにエンドエフェクタに作用する軌道面に入射する力のサブセットを決定することもできる。この例では、力のサブセットは、球座標空間であるタスク座標空間として定義することができる。したがって、プロセッサ202は、エンドエフェクタ516と対象の手術関心点510との間の半径方向距離を維持するために軌道面に入射する力を決定し得る。プロセッサ202は、半径方向距離を維持するために軌道面に入射しない力を無視する事に基づいてエンドエフェクタ速度を決定し得る。
【0079】
図5A、
図5B、
図5Cおよび
図5Dに関連する説明は、
図3に示すポジショニングアーム300の手術モードのいくつかの例を示す。タスク座標空間内のエンドエフェクタの移動は、
図3に示すポジショニングアーム300の手術モードに基づいて制限され得る。さらに、エンドエフェクタの動作は、本明細書に記載の方法に従って、特定されたエンドエフェクタ速度に基づいて特定されてもよい。したがって、(例えば、医療専門家またはポジショニングアームのユーザによる)エンドエフェクタの操作に応答して、エンドエフェクタは、タスク座標空間における更新された移動方向を定義し得る。エンドエフェクタ速度を決定し、エンドエフェクタ速度に基づく方向の動作を生成することによって、エンドエフェクタは、(1)エンドエフェクタの検出された操作、または、(2)手術モードに基づく動作への制約、に基づいて移動し得る。エンドエフェクタの更新された位置は、プロセッサ202がエンドエフェクタの操作を検出しなくなったときに特定される。
【0080】
タスク座標空間におけるエンドエフェクタの移動のために、動作450(
図4に示す)において、プロセッサ202は、エンドエフェクタ速度に基づいて、複数の関節に少なくとも1つの関節空間移動を適用し得る。上述したように、エンドエフェクタ速度は、(1)動作制約を定義する手術モード(例えば、
図5A、5B、5C、5Dを参照して説明した手術モード)、および/または、(2)動作制約を考慮した後の力またはトルク、に基づいてエンドエフェクタ運動を引き起こすことがある。
【0081】
いくつかの実施形態では、プロセッサ202は、逆アームキネマティックスを使用して、複数の関節における関節空間運動を特定し得る。決定されたエンドエフェクタ速度が、タスク座標空間内の所望のエンドエフェクタ移動に基づく場合、決定されたエンドエフェクタ速度に基づいて新しい関節位置を生成するために、逆キネマティックスを利用し得る。例えば、逆アームキネマティックスは、運動学的連鎖と関連していてもよい。運動学的連鎖は、複数の関節のそれぞれの関節によって接続された複数のアームセグメントを表すことができる。従って、
図3に示すポジショニングアーム300は、タスク座標空間におけるエンドエフェクタ316(
図3に示す)の位置および向きが、複数の関節における各関節のそれぞれの関節位置に関連付けられてもよいように、例えば、運動学的連鎖によってモデル化されてもよい。
【0082】
プロセッサ202は、手術モードおよびエンドエフェクタ316に作用する特定された力またはトルクに基づいてエンドエフェクタ速度を決定するとき、プロセッサ202は、複数の関節の必要な関節空間の動作を決定して、エンドエフェクタ316を更新されたエンドエフェクタ位置に移動させる。プロセッサ202は、関節エンコーダから複数の関節の関節位置を決定することができるので、関節空間パラメータを各アクチュエータおよび/または複数の関節の関節エンコーダに送信することによって関節空間移動を複数の関節に適用し得る。
【0083】
本出願の実施形態は、複数の関節のための少なくとも1つの関節空間運動を決定するために逆アームキネマティックスを利用し得る。しかしながら、本出願は、本明細書に記載のポジショニングアームを調整するための関節腔の動作を決定するための逆アームキネマティックスを利用することに限定される必要はない。手術ナビゲーションシステムのポジショニングームに結合されたエンドエフェクタをポジショニングするために、ポジショニングアームの関節空間移動を決定するための他の方法を利用し得る。
【0084】
図7A、
図7B、
図7Cおよび
図7Dを参照すると、平行移動モードにあるときのポジショニングアーム700の設定が示されている。
図7Aに示すように、ポジショニングアーム700は、タスク座標空間内の第1のエンドエフェクタ位置716Aなどの初期位置で開始し得る。例えば、
図7A、
図7B、
図7Cおよび
図7Dに示すように、タスク座標空間は三次元デカルト座標空間であり得る。
【0085】
ポジショニングアーム700のプロセッサは、エンドエフェクタを更新されたエンドエフェクタ位置に向かって移動させるための、
図4の例示的な方法400を実施することができる。手術モードが並進モードであるとき、プロセッサは、エンドエフェクタに作用するトルクを破棄しながら、エンドエフェクタ上の特定された力に基づいてエンドエフェクタ速度を決定し得る。プロセッサは、エンドエフェクタ速度に基づいて、複数の関節内に少なくとも1つの関節空間運動を適用し得る。
【0086】
例えば、
図7Bに示すように、プロセッサは、エンドエフェクタの動作を第2のエンドエフェクタ位置716Bに平行移動させるために、複数の関節に少なくとも1つの関節空間運動を適用し得る。
図7Bに示すように、第2のエンドエフェクタ位置716Bに向かう動作は、(
図7Aの第1のエンドエフェクタ位置716Aに対して)エンドエフェクタがz軸方向に移動した結果であり得る。
【0087】
図7Cに示すように、プロセッサは、エンドエフェクタの動作を第3のエンドエフェクタ位置716Cに平行移動させるために、複数の関節に少なくとも1つの関節空間運動を適用し得る。
図7Cに示すように、第3のエンドエフェクタ位置716Cに向かう動作は、(
図7Aの第1のエンドエフェクタ位置716Aに対して)x方向のエンドエフェクタ移動の結果であり得る。
【0088】
図7Dに示すように、プロセッサは、エンドエフェクタの動作を第4のエンドエフェクタ位置716Dに平行移動させるために、複数の関節内に少なくとも1つの関節空間運動を適用し得る。
図716Dに示すように、第4のエンドエフェクタ位置716Dに向かう動作は、(
図7Aの第1のエンドエフェクタ位置716Aに対して)y軸方向のエンドエフェクタ移動の結果であり得る。
【0089】
エンドエフェクタの動作は、
図7A、
図7B、
図7C及び
図7Dに示されているように、1つの軸での動作として示されているが、平行移動モードにおけるエンドエフェクタの動作は、タスク座標空間の2つ以上の軸における同時の動作を含み得る。いくつかの例では、複数の関節における少なくとも1つの関節空間運動は、様々な更新されたエンドエフェクタ位置にエンドエフェクタをポジショニングするための逆アームキネマティックスに基づくことができる。
【0090】
図8Aおよび8Bを参照すると、スタンドオフモードの間のポジショニングアーム800の設定が示されている。
図8Aに示すように、ポジショニングアーム800は、タスク座標空間内の第1のエンドエフェクタ位置816Aなどの初期位置で開始し得る。
【0091】
ポジショニングアーム800のプロセッサは、
図4の例示的な、エンドエフェクタを更新されたエンドエフェクタ位置に向かって移動させるための方法400を実現し得る。
図8Aおよび
図8Bに示すように、手術モードがスタンドオフモードである場合、プロセッサは、エンドエフェクタのスタンドオフ軸804を決定し得る。さらに、プロセッサは、スタンドオフ軸に沿って作用しない他の力を破棄し、エンドエフェクタに作用するトルクを破棄しながら、スタンドオフ軸804に沿ってエンドエフェクタに作用する力に基づいてエンドエフェクタ速度を決定し得る。プロセッサは、エンドエフェクタ速度に基づいて、複数の関節内に少なくとも1つの関節空間運動を適用し得る。
【0092】
例えば、
図8Bに示すように、プロセッサは、エンドエフェクタを第2のエンドエフェクタ位置816Bに向かって移動させるために、複数の関節に少なくとも1つの関節空間移動を適用し得る。
図8Bに示すように、第2のエンドエフェクタ位置816Bは、(
図8Aの第1のエンドエフェクタ位置816Aに対して)スタンドオフ軸804に沿った下方方向のエンドエフェクタ移動の結果であり得る。いくつかの例では、複数の関節における少なくとも1つの関節空間運動は、スタンドオフ軸804に沿って更新されたエンドエフェクタ位置にエンドエフェクタをポジショニングするための逆アームキネマティックスに基づくことができる。
【0093】
図9A、
図9B及び
図9Cを参照すると、軌道モードにおけるポジショニングアーム900の設定が示されている。
図9Aに示すように、ポジショニングアーム900は、タスク座標空間内の第1のエンドエフェクタ位置916Aなどの初期位置で開始し得る。
【0094】
ポジショニング900のプロセッサは、
図8の、エンドエフェクタを更新されたエンドエフェクタ位置にポジショニングするための、例示的な方法400を実装することができる。
図9A、
図9Bおよび
図9Cを参照すると、手術モードが軌道モードにあるとき、プロセッサは、半径方向距離908に基づいて、手術関心点を中心とする概念球形ボリューム906を画定し得る。
図9A、
図9Bおよび
図9Cを参照すると、半径方向の距離908に基づいて手術関心点を中心とする半球が示されている。しかし、いくつかの実施形態では、ポジショニング900は、完全な概念球形ボリュームの表面に沿った任意の位置にある更新されたエンドエフェクタ位置に向かってエンドエフェクタを移動し得る。
【0095】
ポジショニングアーム900のプロセッサは、球形ボリュームに接しており、スタンドオフ軸方向に垂直である軌道面(
図9A、9B、9Cには明示されていない)を画定し得る。プロセッサは、エンドエフェクタに作用する他の力またはトルクを破棄しながら、半径方向距離908を維持するために軌道面に入射する力またはトルクのサブセットに基づいてエンドエフェクタ速度をさらに決定し得る。
【0096】
例えば、
図9Bに示すように、プロセッサは、エンドエフェクタを第2のエンドエフェクタ位置916Bに向かって移動させるために、ポジショニングアーム900の複数の関節に少なくとも1つの関節空間移動を適用することができる。
図9Bに示すように、第2のエンドエフェクタ位置916Bは、概念球面ボリューム906の表面に沿ったエンドエフェクタ移動の結果でり得る。
【0097】
図9Cに示すように、プロセッサは、エンドエフェクタを第3のエンドエフェクタ位置916Cに向かって移動させるために、ポジショニングアーム900の複数の関節にさらなる関節空間移動を適用し得る。
図9Cに示すように、第3のエンドエフェクタ位置916Cは、概念球面ボリューム906の表面に沿ったさらなるエンドエフェクタ移動の結果であり得る。
【0098】
図10Aおよび
図10Bを参照すると、ロールモードにあるときのポジショニングアーム1000の設定が示されている。
図10Aに示すように、ポジショニングアーム1000は、エンドエフェクタをタスク座標空間の第1のエンドエフェクタ位置1016Aにポジショニングし得る。
【0099】
ポジショニング1000のプロセッサは、
図2の、エンドエフェクタを更新されたエンドエフェクタ位置にポジショニングするための、例示的な方法400を実施することができる。
図10Aおよび
図10Bに示すように、プロセッサは、エンドエフェクタのロール軸1002を決定し得る。
図10Aおよび
図10Bに示すように、ロール軸1002は、手術関心点に隣接する軸であっても、エンドエフェクタの端部先端であってもよい。例えば、ロール軸1002は、エンドエフェクタの長手方向の中心を通る軸であってもよく、手術関心点と交差してもよい。プロセッサは、エンドエフェクタに作用する特定された力またはトルクからロール軸周りのロールトルクを決定し得る。プロセッサは、エンドエフェクタに作用するロールトルクに基づいてエンドエフェクタ速度を決定する一方、エンドエフェクタに作用する特定された力またはトルクの他の力またはトルクを破棄する。プロセッサは、エンドエフェクタ速度に基づいて、複数の関節内に少なくとも1つの関節空間運動を適用し得る。
【0100】
例えば、プロセッサは、エンドエフェクタを第2のエンドエフェクタ位置1016Bに向かって移動させるための少なくとも1つの関節空間移動を適用し得る。第2のエンドエフェクタ位置1016Bは、エンドエフェクタの回転の結果であり得る。
図10Bにおいて、エンドエフェクタハンドルは、第2のエンドエフェクタ位置1016Bに向かって回転している。例えば、エンドエフェクタハンドルは、ポジショニングアームの第2アーム端部で回転関節によって回転されているが、他の関節の位置は変化していなくてもよい(例えば、
図10Aと
図10Bを比較する)。いくつかの例では、エンドエフェクタを第1のエンドエフェクタ位置1016Aから第2のエンドエフェクタ位置1016Bに向かって回転させるための関節空間運動は、エンドエフェクタをロール軸1002の周りの更新されたエンドエフェクタ位置に配置するための逆アームキネマティックスに基づくことができる。
【0101】
本明細書の様々な図面に記載され図示されているように、ポジショニングアームの手術モードに基づいて、エンドエフェクタ速度を決定するために移動制限を適用し得る。エンドエフェクタ速度を使用して、タスク座標空間内の更新されたエンドエフェクタ位置を定義し得る。ポジショニングアームの複数の関節における少なくとも1つの関節空間移動は、タスク座標空間内の更新されたエンドエフェクタ位置にエンドエフェクタをポジショニングする逆アームキネマティックスに基づくことができる。
【0102】
図11A、
図11Bおよび
図11Cを参照すると、本出願の実施形態による、メモリモードにされるポジショニングアーム1100の設定が示されている。
図11Aに示すように、ポジショニングアーム1100は、エンドエフェクタをタスク座標空間内の第1のエンドエフェクタ位置1116Aにポジショニングすることができる。タスク座標空間内の第1のエンドエフェクタ位置1116Aにおけるエンドエフェクタの位置は、ポジショニングアーム1100によってメモリに格納されてもよい。後述するように、第1のエンドエフェクタ位置1116Aは、手術モードがメモリモードである場合に呼び出される。
【0103】
図11Bに示すように、ポジショニングアーム1100は、エンドエフェクタをタスク座標空間内の第2のエンドエフェクタ位置1116Bに向かって移動させ得る。
図11Aに示すように、第1のエンドエフェクタ位置1116Aと比較して、第2のエンドエフェクタ位置1116Bは、タスク座標空間内の異なる位置および/または向きになるように配置され得る。さらに、第2のエンドエフェクタ位置1116Bのエンドエフェクタは、第1のエンドエフェクタ位置1116Aのエンドエフェクタとは異なる手術関心点から離れていてもよい。いくつかの例では、
図11Bの手術関心点は
図11Aのと異なる場合がある。
【0104】
手術モードがメモリモードである場合、プロセッサは、第1のエンドエフェクタ位置1116Aなど、メモリに格納されたエンドエフェクタ位置に向かってエンドエフェクタを移動させるためのエンドエフェクタ速度を決定することができる。したがって、手術モードがメモリモードである場合、プロセッサは、
図11Cに示すように、エンドエフェクタ速度に基づいて複数の関節内に少なくとも1つの関節空間運動を適用してエンドエフェクタを第1のエンドエフェクタ位置1116Aに戻すことができる。すなわち、ポジショニングアーム1100の構成と、
図11Aのエンドエフェクタの位置と方向とは、
図11Cのと同じである。したがって、メモリモードでは、ポジショニンアーム1100は、複数の関節における各関節の関節位置を保存することができ、その結果、タスク座標空間におけるエンドエフェクタの位置を後で取り出し得る。メモリモードにあるとき、プロセッサは、エンドエフェクタが第1のエンドエフェクタ位置1116Aに戻るように、ポジショニンアーム1100を保存された関節位置に戻すためのエンドエフェクタ速度を決定することができる。
【0105】
記載された実施形態の特定の適応および変更を行い得る。したがって、上記の実施形態は例示的なものであり、限定的なものではないと考えられよう。