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  • 特許-照光式スイッチ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】照光式スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/06 20060101AFI20221223BHJP
   H01H 13/02 20060101ALI20221223BHJP
   H01H 13/14 20060101ALI20221223BHJP
   H01H 13/52 20060101ALI20221223BHJP
   H01H 9/04 20060101ALI20221223BHJP
   H01H 9/16 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
H01H13/06 B
H01H13/02 A
H01H13/14 Z
H01H13/52 F
H01H9/04 D
H01H9/16 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019004189
(22)【出願日】2019-01-15
(65)【公開番号】P2020113460
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100128071
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 孝弘
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-157434(JP,A)
【文献】特開2006-310004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/06
H01H 13/02
H01H 13/14
H01H 13/52
H01H 9/04
H01H 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一固定接点と、前記第一固定接点と電気的に絶縁している第二固定接点とを上面に備える回路基板と、
前記第一固定接点と所定の部位で導通するように、前記回路基板に実装された発光素子と、
前記回路基板の上面の周縁に設けられた環状部材と、
前記回路基板の上面であって前記環状部材の内側に設けられ、押圧されて前記第一固定接点と前記第二固定接点を導通する弾性導体部材と、
光透過性と弾性を有し、押圧されると前記弾性導体部材を押圧する押圧部材と、前記押圧部材を囲むように前記押圧部材と一体に成形された枠部材とを備え、前記環状部材の上に設けられたカバー部材と、
を有する照光式スイッチ。
【請求項2】
請求項1において、
前記枠部材の底面の少なくとも一部が前記環状部材に接着されている照光式スイッチ。
【請求項3】
請求項1において、
前記環状部材と前記弾性導体部材を上から覆う保護部材と、
前記保護部材の上面の周縁に設けられた環状の接着部材と、
をさらに有し、
前記枠部材の底面の少なくとも一部が前記接着部材に接着されている照光式スイッチ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかにおいて、
前記押圧部材がシリコーン樹脂から構成される照光式スイッチ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかにおいて、
前記回路基板が長方形の板形状を備え、
前記回路基板の離れた一対の側面のみにスルーホールが形成されており、
前記枠部材の対向する一対の底面に前記押圧部材の原料が通過した凹部が形成されており、
前記スルーホールと前記凹部が上下で重ならないように前記カバー部材が配置されている照光式スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水性と防塵性に優れる照光式スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント回路基板と、プリント回路基板上に設けられ、発光素子が電気的に接続された内側の固定接点と、プリント回路基板上に設けられた外側の固定接点と、発光素子が通過できる孔が中心に形成され、外側の固定接点上に設けられ、押圧されると内側と外側の固定接点を導通する開閉接点と、弾性プラスチックから構成され、開閉接点を押圧する押しボタンと、硬質プラスチックから構成され、押しボタンを押圧する作動面を備える電気スイッチが知られている(特許文献1)。この電気スイッチは、内部に汚染物質が入るのを抑えるため、プリント回路基板と押しボタンの接合部の周囲を覆う金属製のカバーをさらに備えている。そして、このカバーの下部は、プリント回路基板の下面に設けられた切欠に装着されている。
【0003】
しかしながら、プリント回路基板の下面の切欠にカバーの下部を装着しなければならないので、この電気スイッチを製造するのに手間がかかる。また、押しボタンと作動面が別々の部材から構成されており、押しボタンと作動面の接合部に隙間があるため、この電気スイッチは防水性と防塵性に劣る。また、プリント回路基板と押しボタンの接合部と、金属製のカバーの間にも隙間があり、この点でもこの電気スイッチは防水性と防塵性に劣る。また、プリント回路基板の下面に切欠を形成しなければならないので、プリント回路基板が、すなわち電気スイッチ自体が厚くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4716988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、内部に水分や塵が入るのを抑えられ、簡易に製造でき、薄型化できる照光式スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の照光式スイッチは、第一固定接点と、第一固定接点と電気的に絶縁している第二固定接点とを上面に備える回路基板と、第一固定接点と所定の部位で導通するように、回路基板に実装された発光素子と、回路基板の上面の周縁に設けられた環状部材と、回路基板の上面であって環状部材の内側に設けられ、押圧されて第一固定接点と第二固定接点を導通する弾性導体部材と、光透過性と弾性を有し、押圧されると弾性導体部材を押圧する押圧部材と、押圧部材を囲むように押圧部材と一体に成形された枠部材とを備え、環状部材の上に設けられたカバー部材を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の照光式スイッチでは、押圧部材と枠部材が一体に成形されている。このため、押圧部材と枠部材の接合部に隙間がなく、照光式スイッチの内部に水分や塵が入るのを抑えられる。また、本発明の照光式スイッチでは、回路基板の上面に設けられた環状部材の上にカバー部材が設けられている。このため、回路基板の上にカバー部材が容易に設置でき、照光式スイッチが簡易に製造できる。また、本発明の照光式スイッチでは、回路基板の上面に設けられた環状部材を介して、カバー部材が回路基板の上に設けられている。このため、下面に切欠を形成した回路基板と比べて、回路基板が薄型化でき、照光式スイッチの小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一実施形態の照光式スイッチの分解斜視図。
図2】第一実施形態の照光式スイッチを構成するカバー部材の底面斜視図。
図3】第一実施形態の照光式スイッチの断面図。
図4】第二実施形態の照光式スイッチの分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の照光式スイッチについて、図面を参照しながら各実施形態に基づいて説明する。なお、図面は、照光式スイッチ、照光式スイッチの構成部材、および照光式スイッチの周辺部材を模式的に表したものであり、これらの実物の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、特にことわらない限り、便宜上、図3に示す照光式スイッチの向きを基準に、上下などの方向を表す。なお、ある部材の上とは、その部材の上面だけでなく、その部材の上面に設けられた一つ以上の他の部材の上面、すなわちその部材の上方を含む。重複説明は適宜省略し、同一部材には同一符号を付与することがある。
【0010】
図1は、本発明の第一実施形態に係る照光式スイッチ10を分解した状態で示している。照光式スイッチ10は、回路基板12と、発光素子である発光ダイオード14と、環状部材である接着シート16と、弾性導体部材18と、カバー部材20を備えている。回路基板12は、長方形(正方形を含む。以下同じ)の板形状を備え、本体22と、本体22の上面に形成された第一固定接点24および第二固定接点26を備えている。すなわち、回路基板12は、第一固定接点24と第二固定接点26を上面に備えている。
【0011】
本体22は、長方形の板状部材で、ガラスエポキシ樹脂、セラミックス、またはガラス等の絶縁体から構成されている。また、本体22の離れた一対の側面22a,22bのみに、計6個所のスルーホール28が形成されている。この6個所のスルーホール28の側面には、導体層30が形成されている。第一固定接点24は、本体22の上面の中央に形成されている。第二固定接点26は、本体22の上面であって第一固定接点24の周囲に、第一固定接点24と電気的に絶縁されるように、環状に形成されている。図面には現れていないが、第一固定接点24は、6個所の導体層30の一部のある個所と導通しており、第二固定接点26は、6個所の導体層30の残部の他の個所と導通している。
【0012】
発光ダイオード14は、第一固定接点24と所定の部位で導通してその機能が発揮できるように、回路基板12に実装されている。接着シート16は、回路基板12の上面であって、第二固定接点26の外側である周縁に設けられている。本実施形態では、接着シート16が、ポリイミド樹脂の薄板である本体層と、本体層の上下両面に設けられたアクリル系接着層を備えている(不図示)。すなわち、回路基板12と接着シート16は、接着シート16の下面に設けられたアクリル系接着層によって接着されている。
【0013】
弾性導体部材18は、金属製の薄板状部材であって、図1に示すように、中央に孔部18aを備えている。発光ダイオード14からの出射光は孔部18aを通過する。弾性導体部材18は、回路基板12の上面であって接着シート16の内側に置かれている。このとき、弾性導体部材18は、周縁で第二固定接点26と導通しており、第一固定接点24と電気的に絶縁している。上から押圧されると弾性導体部材18は弾性変形する。そして、弾性導体部材18が上から押圧されている間、孔部18aの周囲が下方に移動し、第一固定接点24と接触する。こうして、第一固定接点24と第二固定接点26が導通する。上からの押圧が解除されると、弾性導体部材18は、元の形状に戻り、第一固定接点24と第二固定接点26を電気的に絶縁状態にする。
【0014】
図2は、カバー部材20の底面を示している。図3は、本体22の側面22a,22bの中央にそれぞれ形成された一対のスルーホール28,28の中心を通るように、照光式スイッチ10の中央を上下方向に切断した断面を示している。カバー部材20は、押圧部材40と枠部材42を備えている。カバー部材20は、接着シート16の上に設けられている。このため、回路基板12の上にカバー部材20が容易に設置でき、照光式スイッチが簡易に製造できる。本実施形態では、カバー部材20の枠部材42の底面の少なくとも一部が、接着シート16の上面に接着されている。
【0015】
押圧部材40は、上から押圧されると弾性導体部材18を上から押圧する。押圧部材40は、発光ダイオード14から出射され、押圧部材40を通過した光が視認できる光透過性を備えている。また、押圧部材40は、上からの押圧が解除されると、元の形状に戻る弾性を備えている。シリコーン樹脂は、光透過性と弾性のみならず、耐熱性も備えている。照光式スイッチ10の製造工程では、加熱が必要な場合もある。このため、押圧部材40は、シリコーン樹脂から構成されていることが好ましい。
【0016】
枠部材42は、押圧部材40を囲むように押圧部材40と一体に成形されている。このため、押圧部材40と枠部材42の接合部に隙間がなく、照光式スイッチ10の内部に水分や塵が入るのを抑えられる。カバー部材20は、例えば以下に示すような集合工法によって製造される。まず、カバー部材20に対応する大きさを備える複数の凹部と、これら複数の凹部を連通する通路を備える金型を用意する。この通路は、後述するように、押圧部材40の原料である液状のシリコーン樹脂原料が通過する。
【0017】
つぎに、これら複数の凹部に枠部材42をそれぞれ設置する。このとき、これら複数の凹部の底面と枠部材42の上面が接するように、枠部材42を設置する。図2に示すように、シリコーン樹脂原料が通過する凹部である一対の切欠部42a,42aが、枠部材42の対向する一対の底面にも形成されている。なお、枠部材42に形成されるシリコーン樹脂原料の通路の形状や数量などには特に制限がない。例えば、枠部材42の対向する一対の底面に二対の切欠部を設けてもよい。
【0018】
そして、押圧部材40となる液状のシリコーン樹脂原料を一つの凹部に注入する。シリコーン樹脂原料は、金型の通路と切欠部42a,42aを通過して、他の凹部にも注入される。こうして、金型の複数の凹部に、枠部材42とシリコーン樹脂原料がそれぞれ配置される。シリコーン樹脂原料が硬化した後、金型からシリコーン樹脂と複数の枠部材42の一体物を取り出し、カバー部材20の形状に切断すると、押圧部材40と枠部材42が一体に成形されたカバー部材20が得られる。
【0019】
図3に示すように、押圧部材40は、弾性導体部材18の孔部18aの周囲を上から押圧する円状の突出部40aを備えている。押圧部材40を上から指などで押せば、孔部18aの周囲が第一固定接点24と接触して、発光ダイオード14が点灯し、押圧部材40を上から指などを離せば、すなわち押圧部材40の上からの押圧を解除すれば、孔部18aの周囲が第一固定接点24から離れて、発光ダイオード14が消灯する。また、図3に示すように、照光式スイッチ10では、発光ダイオード14の周囲が密閉されている。このため、水分や塵などによって発光ダイオード14が劣化するのを抑えられる。
【0020】
図1および図3に示すように、照光式スイッチ10では、スルーホール28と切欠部42aがずれて重なるようにカバー部材20が配置されている。すなわち、スルーホール28と切欠部42aが上下に重なるカバー部材20の配置状態から、カバー部材20を面方向に90°回転したように、スルーホール28と切欠部42aが上下で重ならないようにカバー部材20が配置されている。このため、スルーホール28を用いて、基材に照光式スイッチ10をはんだ付けしたときに、切欠部42aから照光式スイッチ10の内部にフラックスが侵入するのを抑えられる。
【0021】
照光式スイッチ10は、例えば以下に示すような集合工法によって製造される。まず、複数の回路基板12を含む、すなわち第一固定接点24や第二固定接点26などが複数組描画された集合基板を用意する。この集合基板には、隣接する回路基板12同士の所定の境界に、円柱状のスルーホールが所定数量形成されている。つぎに、複数の回路基板12を備える集合基板の所定の位置に、複数の発光ダイオード14をリフロー実装する。リフロー実装に代えて、フリップチップ方式によって、集合基板に発光ダイオード14を実装してもよい。
【0022】
そして、集合基板の所定の位置に、複数の接着シート16を設置する。つぎに、接着シート16の中央の孔に、弾性導体部材18をそれぞれ設置する。そして、接着シート16の上面に枠部材42が配置されるように、接着シート16の上にカバー部材20を設置する。つぎに、集合基板と接着シート16、および接着シート16とカバー部材20を密着させながら加熱する。こうして、集合基板、接着シート16、および枠部材42が接着される。そして、集合基板を縦横に切断して、複数の照光式スイッチ10を得る。
【0023】
図4は、本発明の第二実施形態に係る照光式スイッチ50を分解した状態で示している。照光式スイッチ50は、照光式スイッチ10の構成部材に加えて、保護部材52と、接着部材54をさらに備えている。保護部材52は、弾性導体部材18を覆うシート状部材である。保護部材52は、弾性導体部材18の全てを覆ってもよいし、押圧部材40が押圧する弾性導体部材18の一部分を露出するように、弾性導体部材18を覆ってもよい。接着部材54は、保護部材52の上面の周縁に設けられた環状部材である。接着部材54は、保護部材52とカバー部材20を接着する。より具体的には、枠部材42の底面の少なくとも一部が接着部材54に接着されている。照光式スイッチ50が保護部材52と接着部材54を備えているため、照光式スイッチ50の防水性と防塵性がより向上する。
【符号の説明】
【0024】
10,50 照光式スイッチ
12 回路基板
14 発光ダイオード
16 接着シート
18 弾性導体部材
18a 孔部
20 カバー部材
22 本体
22a,22b 本体の離れた一対の側面
24 第一固定接点
26 第二固定接点
28 スルーホール
30 導体層
40 押圧部材
40a 突出部
42 枠部材
42a 切欠部
52 保護部材
54 接着部材
図1
図2
図3
図4