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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】釣糸切断具
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/00 20060101AFI20221223BHJP
   B26F 3/08 20060101ALI20221223BHJP
   B26D 7/10 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
A01K97/00 M
A01K97/00 Z
B26F3/08
B26D7/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019006376
(22)【出願日】2019-01-17
(65)【公開番号】P2020114184
(43)【公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000179373
【氏名又は名称】山田電器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 健太
(72)【発明者】
【氏名】大田 益夫
【審査官】川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0202060(US,A1)
【文献】特開2008-136433(JP,A)
【文献】特開2008-263924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 97/00
B26D 7/00-11/00
B26F 1/00- 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
前記電源から受けた電流を基にした熱溶融により釣糸を切断するための切断部を有する発熱体と、
前側が開口し、奥側において前記切断部が露出するように前記発熱体を保持するとともに、前記開口から入ってきた釣糸を前記切断部に案内する案内部を有する固定ユニットとを備え
前記発熱体は、熱溶融により釣糸の先端部に溶融こぶを形成するための面状のこぶ生成部を備え、
前記案内部には、前記こぶ生成部の表面が露出するように開口が形成されている
ことを特徴とする釣糸切断具。
【請求項2】
請求項1に記載の釣糸切断具において、
前記切断部は、前記案内部の案内方向に沿う平板状に形成されている
ことを特徴とする釣糸切断具。
【請求項3】
請求項1に記載の釣糸切断具において、
前記案内部において、前記切断部の周りに該切断部を保護するための壁面が形成されている
ことを特徴とする釣糸切断具。
【請求項4】
請求項1に記載の釣糸切断具において、
前記案内部の開口は、前側に向かって広がるように形成されている
ことを特徴とする釣糸切断具。
【請求項5】
請求項に記載の釣糸切断具において、
前記切断部と前記こぶ生成部は、同一平板上に形成されている
ことを特徴とする釣糸切断具。
【請求項6】
請求項に記載の釣糸切断具において、
前記切断部の電路の断面積は、前記こぶ生成部の電路の断面積よりも小さい
ことを特徴とする釣糸切断具。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載の釣糸切断具において、
光源と、
前記光源の出射光を前記釣糸切断具の外側から視認できるように導く導光レンズとを備え、
前記導光レンズの外表面は、前記光源の出射光の一部を前記切断部に向かう方向に反射させるように構成されている
ことを特徴とする釣糸切断具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱溶融式の釣糸切断具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電熱線を利用した熱溶融式の釣糸切断具が知られている。
【0003】
例えば、非特許文献1の釣糸切断具は、本体の先端からU字状に電熱線(例えば、ニクロム線)を露出させた構成を有し、その電熱線に電流を流して発熱させた状態で釣糸を電熱線に接触させて切断するものである。以下、非特許文献1のような釣糸切断具を「電熱線式の切断具」という場合がある。
【0004】
また、メインラインとリーダーとの結束作業において、あらかじめ端糸の先端に焼きを入れて溶融こぶ(溶融玉)を作ることで抜け止めができ、結束強度を確保できることが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Pure Fishing, Inc.、“Hot Line Cutter”、[online]、Pure Fishing, Inc.、[平成31年1月11日検索]、インターネット〈http://www.berkley-fishing.com/berkley-tools-and-equipment-line-management-berkley-fishingear/berkley-hot-line-cutter/1285865.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電熱線式の切断具は、電熱線が曲がったり、折れたりしやすいので、使い勝手が悪く、耐久性が十分ではないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決した釣糸切断具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る釣糸切断具は、電源と、前記電源から受けた電流を基にした熱溶融により釣糸を切断するための切断部を有する発熱体と、前側が開口し、奥側において前記切断部が露出するように前記発熱体を保持するとともに、前記開口から入ってきた釣糸を前記切断部に案内する案内部を有する固定ユニットとを備えていることを特徴とする。
【0009】
上記構成によると、案内部の開口の奥側において切断部を露出させ、そこに釣糸を案内するように構成しているので、従来の釣糸切断具よりも切断部が変形しにくい。
【0010】
前記釣糸切断具において、前記発熱部は、前記案内部の案内方向に沿う平板状に形成されていてもよい。
【0011】
切断部を平板状に形成することで、案内方向に対する強度を確保し、切断部の変形をより確実に防ぐことができる。
【0012】
前記釣糸切断具において、前記案内部において、前記切断部の周りに該切断部を保護するための壁面が形成されていてもよい。
【0013】
これにより、案内部の前側の開口以外から切断部への外的負荷がより加わりにくくなり、切断部の変形をより確実に防ぐことができる。さらに、切断部の周りに壁面を設けることで、発熱部の熱を壁部の内側に滞留させることができる。すなわち、効率よく発熱させることができるとともに、発熱状態を相対的に長時間維持させることができる。
【0014】
前記釣糸切断具において、前記案内部の開口は、前側に向かって広がるように形成されていてもよい。
【0015】
これにより、使用者が釣糸を案内部に案内しやすくすることができる。
【0016】
前記発熱体は、熱溶融により釣糸の先端部に溶融こぶを形成するための面状のこぶ生成部を備えていていもよい。
【0017】
これにより、1台で、釣糸の切断作業とともに、「溶融こぶ」を生成する作業をすることができ、釣糸切断具の利便性を高めることができる。
【0018】
前記釣糸切断具において、前記切断部と前記こぶ生成部は、同一平板上に形成されていてもよい。
【0019】
このように、切断部とこぶ生成部とを同一平板状に形成することで、製造容易性が向上する。
【0020】
前記釣糸切断具において、前記切断部の電路の断面積は、前記こぶ生成部の電路の断面積よりも小さくしてもよい。
【0021】
このような構成にすることで、同じ電流が流された場合に、こぶ生成部よりも切断部を高い温度で発熱させることができる。これにより、切断部において、釣糸を切断しやすくすることができる。また、こぶ生成部では、釣糸が相対的にゆっくりと溶けるようになり、溶融こぶの生成作業がしやすくなる。
【0022】
前記釣糸切断具において、光源と、前記光源の出射光を前記釣糸切断具の外側から視認できるように導く導光レンズとを備え、前記導光レンズの外表面は、前記光源の出射光の一部を前記切断部及び前記こぶ生成部に向かう方向に反射させるように構成されていてもよい。
【0023】
これにより、使用者は、通電状態の確認をすることができるとともに、釣糸の切断時に手元が明るくなるので、作業時の視認性が向上する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の釣糸切断具は、従来の釣糸切断具と比較して、切断部が変形しにくく、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】釣糸切断具の一部分解斜視図
図2】ヒーターユニットの斜視図
図3】ヒーターユニットの分解斜視図
図4】ヒーターユニットの正面図
図5図4のV-V線断面図
図6】釣糸切断具の変形例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用範囲あるいはその用途を制限することを意図するものではない。
【0027】
本開示の釣糸切断具は、発熱体を保持する固定ユニットの前側に開口を設け、その開口から入ってきた釣糸を奥側に配置した発熱体の切断部に案内するように構成し、切断部が変形しにくいようにした点に特徴がある。
【0028】
また、従来より、メインラインとリーダーとの結束作業において、あらかじめ端糸の先端に焼きを入れて「溶融こぶ(溶融玉)」を作ることで抜け止めができることが知られており、釣糸の切断作業とともに、この「溶融こぶ」を生成する作業が行われる場合がある。
【0029】
以下の実施形態で説明する釣糸切断具は、1台の釣糸切断具において、釣糸の切断作業とともに、上記「溶融こぶ」を生成する作業をすることができるように構成されている点にも特徴がある。
【0030】
以下において、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0031】
-釣糸切断具の構成-
図1に示すように、本実施形態の釣糸切断具1は、細長い略円柱形状をしており、筒状の本体ケース2と、本体ケース2の長手方向の先端部に取り付けられたヒーターユニット3と、本体ケース2に収容された基板ユニット5とを備えている。なお、本実施形態では、釣糸切断具1の延びる方向を長手方向と呼ぶものとする。また、説明の便宜上、本体ケース2に対してヒーターユニット3が取り付けられている方の端を先端、先端と反対方向の端を後端と呼ぶものとする。
【0032】
本体ケース2は、先端側ケース21と後端側ケース22とに分かれており、互いの対向する端部同士を嵌合させた状態で互いをねじ止め(図示省略)により固定され、一体的に構成されている。そして、先端側ケース21と後端側ケース22とのねじ止めを解除すると、互いを長手方向に引き外すことができ、本体ケース2に収容された基板ユニット5を露出させたり、基板ユニット5に実装されたバッテリ51(電源に相当)を取り出して交換したりすることができるようになっている。先端側ケース21の先端部211は、筒状であり、先端が開口していて、その開口部にねじ孔が形成されたボス部212が設けられ、後述するヒーターユニット3のベース部31の後端を嵌め込んで、ねじ止め固定ができるように構成されている。
【0033】
基板ユニット5は、例えば、プリント基板50と、プリント基板50に実装されたバッテリ51とを有している。バッテリ51からの供給電流は、プリント基板50の先端側に設けられた電源端子53を介してヒーターユニット3に供給される。電源端子53の形状は、特に限定されないが、例えば、図1に示すように、長手方向に沿って延びる矩形筒状に形成されている。52は、バッテリ51と電源端子53とを接続する配線である。
【0034】
さらに、プリント基板50の先端部には、長手方向の先端側に向かって光を出射する光源55(例えば、LED)が設けられている。また、プリント基板50の後端部には、後端側ケース22の後端側に形成された開口(図示省略)と対応する位置に、バッテリ51の充電時に使用する電源ケーブル(例えば、USBケーブル、図示省略)用のコネクタ57が設けられている。
【0035】
先端側ケース21の表面には、押しボタン式の操作部25が設けられ、操作部25の操作により、バッテリ51からの供給電流のオン/オフを切り替えることができるようになっている。また、操作部25の操作に基づいて、バッテリ51からヒーターユニット3への供給電流量を段階的(例えば、2段階)に調整できるように構成してもよい。そうすることで、切断対象となる釣糸の径や、気象環境等に応じて温度の使い分けができるので、使用者の利便性が向上する。
【0036】
さらに、釣糸切断具1は、先端側ケース21のヒーターユニット3及び操作部25の外側を覆うように、本体ケース2の先端側から長手方向に嵌め込むことができるように構成された筒状のキャップ27を備えている。
【0037】
なお、基板ユニット5に関し、バッテリ51からの電源供給回路、操作部25の操作に応じた電流調整回路、バッテリ51の充電回路、光源55の駆動回路には、従来から知られている技術を適用することができるので、ここではその詳細説明を省略する。
【0038】
-ヒーターユニットの構成-
図2から図5を参照しつつ、ヒーターユニットの構成について説明する。
【0039】
ヒーターユニット3は、ベース部31と、平板状の発熱体33と、板状のヒーターカバー35と、導光レンズ37とを備えている。
【0040】
発熱体33は、平行に延びる細長い平板状の一対の電極331と、一対の電極の先端部間に形成され、後述する案内部の案内方向に沿って延びる平板状の発熱部332とにより構成されている。
【0041】
発熱部332は、押し当てられた釣糸を熱溶融により切断するための切断部335と、同じく熱溶融により押し当てられた釣糸の先端に玉状の「溶融こぶ」を作るためのこぶ生成部336とを備えている。
【0042】
切断部335は、一方の電極331の先端から先端方向に向かって突出するように円弧状に、該円弧の直径方向の反対側まで延びている。そして、切断部335の先端が、切断部335の奥側に配置された円板状のこぶ生成部336の辺に接続されている。こぶ生成部336では、切断部335の先端との接続位置と直径方向に対向する(反対側の)辺に、こぶ生成部336の内側を円弧状に延びる配線338を介して他方の電極331が接続されている。換言すると、一方の電極331から供給された電流は、切断部335及びこぶ生成部336を通って他方の電極331に流れるようになっている。
【0043】
ここで、切断部335の電路(電流が通過する面)の断面積は、電極331及びこぶ生成部の電路(電流が通過する面)の断面積よりも小さくなっている。これにより、電極331、切断部335及びこぶ生成部336に同じ電流が流された場合に、切断部335を最も高い温度で発熱させることができ、釣糸を切断しやすくすることができる。一方で、こぶ生成部336では、電路の断面積を広く確保することで、温度の上昇を抑えて切断部335よりも低温になるようにしている。これにより、釣糸が相対的にゆっくりと溶けるようになり、溶融こぶの生成作業がしやすくなる。また、切断部335及び配線338を相対的に幅狭にしてかつ円弧状に引くことで、熱溶融に必要な熱を得るための電流を低減させることができ、1回の充電に対するバッテリ51の使用時間を長くすることができる。
【0044】
なお、発熱部335の形状は、図2に示す形状に限定されるものではなく、熱溶融により釣糸を切断するための切断部と、熱溶融により釣糸の先端部に溶融こぶを生成するための面状のこぶ生成部とを備える他の形状であってもよい。例えば、発熱部332の外形が矩形状に形成され、切断部335が矩形状に延び、こぶ生成部336が矩形状に形成されていてもよい。また、例えば、切断部335とこぶ生成部336とを共通化した構成としてもよい。ただし、前述のとおり、図2のような構成にすることで、釣糸の切断作業と「溶融こぶ」の生成作業の両作業において、作業性に優れた構成とすることができる。また、発熱部332の厚さ、及び素材は、特に限定されるものではないが、例えば、厚さが0.1mm程度の略円形状のニクロム板を好適に使用することができる。また、電極331と発熱部332とは、同じ素材で作成されていてもよいし、別々の素材で形成されていてもよい。
【0045】
ベース部31は、その後端部311が、先端側ケース21の先端部211の開口よりも若干小さい円柱状に形成されており、後端部311が先端側ケース21の先端部211に嵌合され、ねじ止め固定されることで、ヒーターユニット3と本体ケース2とが一体的に構成される。ベース部31には、後端部311の後端面から長手方向の後端側に向かって一対の棒状電極34が突設されている。棒状電極34は、ベース部31の後端部311が先端側ケース21の先端部211に嵌合されると、プリント基板50の電源端子53に差し込まれるように構成されている。これにより、棒状電極34と電源端子53とが電気的に接続されるようになっている。
【0046】
また、ベース部31は、その先端部313が鋭角形状になるように傾斜する傾斜面312を有している。そして、ベース部31の先端部313は、先端形状が略U字状になるように切り欠かれている。図2に示すように、このベース部31先端の切欠は、先端側(前側)に向かって広がるように形成されている。換言すると、ベース部31は、先端側(前側)が開口し、その開口の先端側から入ってきた釣糸を、切り欠きの奥側に配置された切断部335に案内する案内部としての機能を有している。そして、図2に示すように、その案内部の開口は、前側に向かって広がるように形成されていてもよく、それにより、使用者が案内部内に釣糸を挿入しやすくすることができる。
【0047】
ベース部31の傾斜面312には、棒状電極34と対応する位置が筒状に開口していて、そこに発熱体33の電極331を差し込むことで、発熱体33と棒状電極34とが電気的に接続されるように構成されている。
【0048】
さらに、傾斜面312には、傾斜面を正面から見た正面視において、その中央付近から先端の間において、略矩形状に凹む凹部315が形成されている。この凹部315の正面視における中央部分には、略円柱形状で、凹部315の深さと略同じくらいの高さの突起314が突設されている。突起314は、こぶ生成部336と対応する位置に設けられていて、こぶ生成部336に釣糸の先端が押し当てられたときに、こぶ生成部336の撓みやへこみを防止する支持部としての機能を有している。また、ベース部31における凹部315の後端側には、導光レンズ37を挿通するための挿通孔318が長手方向に沿って貫通形成されている。
【0049】
ヒーターカバー35は、その外形形状が、傾斜面312の外形形状と同じであり、挿通孔318と対応する位置に、導光レンズ37を挿通するための挿通孔351が貫通形成されている。また、ヒーターカバー35は、先端部353が開口した略U字形状に形成されている。これにより、ヒーターカバー35の中央部分には、先端方向及び厚さ方向に開口する開口部352が形成されており、この開口部352から切断部335及びこぶ生成部336が露出するようになっている(図3図4参照)。すなわち、ヒーターカバー35は、ベース部31とともに、案内部としての機能を有している。そして、ベース部31及びヒーターカバー35が、固定ユニットに相当する。
【0050】
また、図5に示すように、発熱部332(切断部335及びこぶ生成部336)の周囲を、ヒーターカバー35の開口部の内壁354(壁部に相当)で囲むように構成されている。さらに、発熱部332の裏側は、前述のベース部31の凹部315の底面と対向し、遮られている。これにより、発熱部332の熱を、この囲まれた空間に滞留させることができ、効率よく発熱させることができるとともに、発熱状態を相対的に長時間維持することができる。
【0051】
導光レンズ37は、ヒーターカバー35の挿通孔351及びベース部31の挿通孔318に挿通される円柱状の導光部371を有している。導光部371の後端には、光源55(例えば、LED)が配置されている。光源55は、操作部25が操作されてバッテリ51からの電流供給が行われると発光するように構成されている。そして、光源55が点灯すると、その出射光が導光部371により導光され、外側から通電状態が視認できるようになっている。また、導光レンズ37の外表面372は、緩やかな円弧状になっていて、光源55の出射光(後端から先端に向かう方向の光)の一部を折り返して、切断部335及びこぶ生成部336に向かう方向に反射させる反射面となっている(図5の仮想線参照)。これにより、使用者は、釣糸切断具1の通電状態を確認することができるとともに、切断及びこぶ生成時に手元が明るくなるので、作業時の視認性が向上する。
【0052】
図2に示すように、ヒーターユニット3を製造する際には、ベース部31の傾斜面312とヒーターカバー35の裏面とで発熱体33の切断部335やこぶ生成部336の周辺部分を挟み込み、その状態で、ベース部31とヒーターカバー35との間を接着剤等により固定することで、発熱体33を固定(位置決め)する。すなわち、案内部(固定ユニット)としてのベース部31及びヒーターカバー35先端の開口の奥側において切断部335が露出するように、ベース部31とヒーターカバー35とで発熱体33を保持している。さらに、発熱部332は、ベース部31の傾斜面312に沿うように配置されている、すなわち、前下がりに傾斜するように配置されている。
【0053】
以上のように、本実施形態の釣糸切断具1は、発熱体33を保持するように構成されたベース部31及びヒーターカバー35の前側に開口を設け、その開口から入ってきた釣糸をその開口の奥側において露出するように配置した切断部335に案内するように構成されている。これにより、従来の釣糸切断具を比較して切断部335が変形しにくい。
【0054】
さらに、発熱部332を平板状に形成しているので、電熱線式と比較して、発熱部332が曲がったり、折れたりしにくくなり、耐久性が高い。さらに、切断部335が発熱部332の先端部に設けられているので、釣糸の切断作業がやりやすい。
【0055】
また、発熱部332が、熱溶融により釣糸を切断するための切断部335と、熱溶融により釣糸の先端部に溶融こぶを生成するための面状のこぶ生成部336とを備えているので、1台で、釣糸の切断作業とともに、「溶融こぶ」を生成する作業をすることができる。これにより、釣糸切断具の利便性を高めることができる。
【0056】
なお、上記実施形態では、発熱部332は、切断部335とこぶ生成部336とを有し、平板状であるものとしたが、これに限定されない。例えば、図6に示すように、こぶ生成部336がなく、切断部335が線状に形成されているような構成であってもよい。具体的に、図6では、上記実施形態の発熱体33に代えて、平板状の一対の電極331の間に、螺旋状に延びる線状の切断部345を有する発熱体34を取り付けた例を示している。そして、ベース部31の傾斜面312とヒーターカバー35の裏面とで発熱体34の切断部345の周辺部分を挟み込んで保持している。図6の構成においても、ベース部31及びヒーターカバー35の前側が開口しており、その開口から入ってきた釣糸をその開口の奥側において露出するように配置した切断部345に案内するように構成されているので、上記実施形態と同様に、従来の電熱線式と比較して、発熱部332が変形しにくい。
【0057】
また、上記実施形態では、こぶ生成部336は、平面であるものとして説明したが、これに限定されない。例えば、こぶ生成部336が、凸条または凹状に湾曲する湾曲面であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る釣糸切断具は、従来技術と比較して使い勝手が良く、利便性が高いので極めて有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 釣糸切断具
332 発熱部
335 切断部
336 こぶ生成部
354 内壁(壁部)
37 導光レンズ
51 バッテリ(電源)
55 光源
図1
図2
図3
図4
図5
図6