(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】ブラシレスモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/278 20220101AFI20221223BHJP
H02K 1/22 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
H02K1/278
H02K1/22 A
(21)【出願番号】P 2019070001
(22)【出願日】2019-04-01
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】大堀 竜
(72)【発明者】
【氏名】塩田 直樹
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-093845(JP,A)
【文献】実開平06-084761(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
H02K 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向内側に沿って形成されたティースを有するステータコアと、該ステータコアに巻装された巻線と、を備えるステータと、
前記ティースの径方向内側に配置され
、前記ステータコアに対して回転するシャフトと、前記シャフトに一体的に固定されたロータコアと、を備える支持体と、
を有するブラシレスモータであって、
前記支持体は、
前記ティースと対向する面に磁極を発生させる極配向であり、かつ周状に設けられたマグネットを備える磁性材料からなり、
前記マグネットは、
ボンド磁石からなり、前記マグネットの周方向に間隔をおいて前記支持体の軸方向に連なるよう形成され、かつ径方向内側に突出され、前記支持体と当接する複数の凸部
と、隣接する前記凸部の間に前記ロータコアの外周面に対して非接触に形成される凹部と、を備え、
前記複数の凸部の幅寸法は一定に形成され、前記複数の凸部の先端面は前記ロータコアの外周面に倣うように形成され、前記複数の凸部の先端面は前記ロータコアの外周面に当接し、前記凹部と前記ロータコアの外周面とにより形成される空間を有する、
ことを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項2】
請求項1
に記載のブラシレスモータにおいて、
前記複数の凸部は、3個であることを特徴とするブラシレスモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブラシレスモータとして、例えば、モータ軸に回転子コアが固着された回転軸に円筒形磁石(リング磁石)が外嵌固着されたロータが知られている。円筒形磁石は、極異方性磁石等の極配向磁石により円筒形に形成された極配向マグネットである。
極配向マグネットは、ステータとの対向面である外周面にのみN極とS極の磁極が等間隔に現れるように着磁されており、その外周面においてトルクの発生に最も寄与する磁極中心部分の磁束密度は高くなっている。
よって、例えば、N極とS極の磁極が外周面と内周面共に現れるように着磁されるラジアル配向マグネットと比べて、モータを高トルクにでき、マグネットを小型にすることによりモータの小型化を図ることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のブラシレスモータのロータは、回転軸の回転子コアに極配向マグネットが外嵌固着されることにより、磁性部材である回転子コアに極配向マグネットが接触されている。このため、極配向マグネットの内周部において磁束漏れが発生して有効磁束が減少するおそれがある。
この対策として、極配向マグネットの内周部と接触する部材を非磁性部材にすることにより磁束漏れを抑えることが考えられる。しかし、ブラシレスモータの回転軸に機能上の強度が要求される場合、回転軸に鉄系部材を使用する必要がある。このように、回転軸に鉄系部材を使用した場合に、極配向マグネットを備えたロータにおいて磁束漏れを抑えることが難しいとされていた。
【0005】
そこで、この発明は、極配向マグネットの磁束漏れを抑制できるブラシレスモータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係るブラシレスモータは、径方向内側に沿って形成されたティースを有するステータコアと、該ステータコアに巻装された巻線と、を備えるステータと、前記ティースの径方向内側に配置され、前記ステータコアに対して回転するシャフトと、前記シャフトに一体的に固定されたロータコアと、を備える支持体と、を有するブラシレスモータであって、前記支持体は、前記ティースと対向する面に磁極を発生させる極配向であり、かつ周状に設けられたマグネットを備える磁性材料からなり、前記マグネットは、ボンド磁石からなり、前記マグネットの周方向に間隔をおいて前記支持体の軸方向に連なるよう形成され、かつ径方向内側に突出され、前記支持体と当接する複数の凸部と、隣接する前記凸部の間に前記ロータコアの外周面に対して非接触に形成される凹部と、を備え、前記複数の凸部の幅寸法は一定に形成され、前記複数の凸部の先端面は前記ロータコアの外周面に倣うように形成され、前記複数の凸部の先端面は前記ロータコアの外周面に当接し、前記凹部と前記ロータコアの外周面とにより形成される空間を有する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るブラシレスモータにおいて、前記複数の凸部は、3個であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、マグネットの周方向に間隔をおいて複数の凸部を形成した。これにより、極配向マグネットの磁束漏れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る第1実施形態における減速機付きモータを示す断面図。
【
図4】第1実施形態におけるロータの磁束の流れを説明する概念図。
【
図5】第1実施形態におけるマグネットの有効磁束を説明するグラフ。
【
図6】(a)は、第1実施形態におけるマグネットをロータコアに嵌入する例を説明する側面図、(b)は、第1実施形態におけるマグネットをロータコアの途中まで嵌入した状態を説明する側面図。
【
図7】(a)は、第1実施形態におけるマグネットをロータコアに外嵌固着した状態を説明する側面図、(b)は、第1実施形態におけるマグネットをロータコアに外嵌固着した状態を説明する正面図。
【
図8】本発明に係る第2実施形態におけるモータ部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態に係るブラシレスモータについて、図面を参照して説明をする。実施形態においてはブラシレスモータをモータ部として減速機付きモータに適用する例について説明するが、ブラシレスモータを他のモータに適用することも可能である。
(第1実施形態)
(減速機付きモータ)
図1は、第1実施形態における減速機付きモータ1を示す断面図である。
図1に示すように、減速機付きモータ1は、モータ部2と、モータ部2の回転を減速して出力する減速部3と、を備えている。
なお、以下の説明において、単に軸方向という場合は、モータ部2のシャフト21の回転軸線方向をいい、単に周方向という場合は、シャフト21の周方向をいい、単に径方向という場合は、シャフト21の径方向をいうものとする。
【0013】
モータ部2は、モータケース5と、モータケース5内に収納されている略円筒状のステータ6と、ステータ6の径方向内側に設けられ、ステータ6に対して回転可能に設けられたロータ8と、を備えている。モータ部2は、ステータ6に電力を供給する際にブラシを必要としない、いわゆるブラシレスモータである。
【0014】
(ステータ)
図2は、
図1のII-II線に沿う断面図である。
図2に示すように、ステータ6は、ステータコア10と、コイル(巻線)14とを備えている。ステータコア10は、径方向に沿う断面形状が略円形となる筒状のコア部11と、コア部11から径方向内側に沿って形成された複数(例えば、第1実施形態では9つ)のティース12と、が一体成形されている。
ステータコア10は、複数の金属板を軸方向に積層することにより形成されている。なお、ステータコア10は、複数の金属板を軸方向に積層して形成する場合に限られるものではなく、例えば、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよい。
【0015】
ティース12は、コア部11の内周面11aから径方向に沿って内側に突出するティース本体12aと、ティース本体12aの径方向内側端から周方向に沿って形成された鍔部12bと、が一体成形されたものである。鍔部12bは、ティース本体12aから周方向両側に沿って形成されている。そして、周方向で隣り合う鍔部12bの間に、スロット16が形成されている。
【0016】
また、コア部11の内周面11a、及びティース12は、樹脂製のインシュレータ17によって覆われている。このインシュレータ17の上から各ティース12にコイル14が巻装(巻回)されている。各コイル14は、電源からの給電により、ロータ8を回転させるための磁界を生成する。
【0017】
(ロータ)
ロータ8は、ステータ6の径方向内側に微小隙間を介して回転自在に設けられている。ロータ8は、減速部3を構成するウォーム軸33(
図1参照)と一体成形されたシャフト21と、シャフト21に外嵌固定された円筒状のロータコア(支持体)22と、ロータコア22の外周面に設けられたマグネット23と、を備えている。
ロータコア22は、ティース12の径方向内側に配置されている。ロータコア22は、シャフト21に外嵌固定された状態においてシャフト21を軸心C1とする円筒状の部材である。ロータコア22は、複数の金属板を軸方向に積層することにより形成される磁性部材である。なお、ロータコア22は、複数の金属板を軸方向に積層して形成する場合に限られるものではなく、例えば、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよい。ロータコア22は、磁性を備えた材料で形成されることにより機能上の強度を備えている。
【0018】
また、ロータコア22の径方向略中央には、軸方向に貫通する貫通孔が形成された取付部22aが備えられている。この取付部22aに、シャフト21が圧入されている。なお、取付部22aに対してシャフト21を挿入とし、接着剤等を用いてシャフト21にロータコア22を外嵌固定してもよい。シャフト21は、鉄系の磁性材料で形成されることにより機能上の強度を備えている。
【0019】
さらに、ロータコア22の外周面22bには、マグネット23が外嵌固着されている。すなわち、マグネット23は、ロータコア22の外周面22bの全周にわたり周状に形成されている。マグネット23は、極異方性磁石等の極配向磁石により円筒状(リング状)に形成された極配向マグネットである。マグネット23は、ティース12の径方向内側に配置されることにより、ティース12と対向する面に磁極が発生して磁束が矢印A方向に流れる。
【0020】
マグネット23は、磁粉と樹脂が結合したプラスチック・ボンド系のボンド磁石である。ボンド磁石は、フェライト磁石などの磁石を砕いてゴムやプラスチックに練り込んだ柔軟性のある磁石である。例えば、ネオジム磁石やサマリウム鉄窒素磁石を用いたボンド磁石は、通常の焼結型フェライト磁石と比較して磁力が強く、複雑な形状に加工でき、特に、小型モータ等に適用される。
【0021】
図3は、
図2のIII部を拡大した断面図である。
図3に示すように、マグネット23は、内周面23aに形成された複数の凸部(ブリッジ部)25と、隣接する凸部25の間に形成された凹部26と、を有する。複数の凸部25は、マグネット23の内周面23aにおいて周方向へ向けて等間隔に配置されている。複数の凸部25は、ロータコア22の外周面22bに当接した状態において、外周面22bに沿って軸方向に連なるよう形成されている。実施形態においては、複数の凸部25として3つの個数を例に説明するが、複数の凸部25を他の個数に選択することも可能である。
また、複数の凸部25をマグネット23の内周面23aにおいて周方向へ向けて等間隔に配置する例について説明するが、複数の凸部25を等間隔に配置しないことも可能である。
【0022】
凸部25は、マグネット23の内周面23aからロータコア22の外周面22bに向けて径方向内側に突出されている。凸部25は、幅寸法が一定に形成され、先端面25aがロータコア22の外周面22bに倣うように形成されている。
第1実施形態では、凸部25の幅寸法を一定に形成する例について説明するが、凸部25の形状は、これに限らない。凸部25の他の形状として、例えば、凸部25を基端から先端に向けて先細りに形成することも可能である。
【0023】
マグネット23の内周面23a、及び隣接する凸部25により、隣接する凸部25間に凹部26が形成されている。すなわち、凹部26の底部が、マグネット23の内周面23aで形成される。凹部26の底部(すなわち、マグネット23の内周面23a)が、ロータコア22の外周面22bに対して径方向外側に一定の間隔をおいて、外周面22bに沿って凹状湾曲に形成されている。
【0024】
マグネット23の複数の凸部25がロータコア22に嵌入され、複数の凸部25の先端面25aがロータコア22の外周面22bに接触する。複数の凸部25が接着剤41(
図7(b)参照)等によりロータコア22の外周面22bに固着されている。これにより、複数の凸部25とロータコア22とが一体化(当接)されている。
この状態において、マグネット23の凹部26が、ロータコア22の外周面22bに対して非接触に配置されている。凹部26とロータコア22の外周面22bとの間に空間28が湾曲状に形成されている。
【0025】
(減速部)
図1に戻って、減速部3は、モータケース5が取り付けられているギヤケース31と、ギヤケース31内に収納されるウォーム減速機構32と、を備えている。ウォーム減速機構32は、ウォーム軸33と、ウォーム軸33に噛合されるウォームホイール34と、により構成されている。ウォーム軸33は、モータ部2のシャフト21と同軸上に配置されている。そして、ウォーム軸33は、両端がギヤケース31に設けられた軸受36,37を介して回転自在に支持されている。
【0026】
ウォーム軸33のモータ部2側の端部は、軸受36を介してギヤケース31の開口部に至るまで突出している。この突出したウォーム軸33の端部とモータ部2のシャフト21との端部が接合され、ウォーム軸33とシャフト21とが一体化されている。なお、ウォーム軸33とシャフト21は、1つの母材からウォーム軸部分と回転軸部分とを成形することにより一体として形成してもよい。
【0027】
ウォーム軸33に噛合されるウォームホイール34には、このウォームホイール34の径方向中央に出力軸38が設けられている。出力軸38は、ウォームホイール34の回転軸方向と同軸上に配置されており、ギヤケース31の軸受ボス(図示せず)を介してギヤケース31の外部に突出している。出力軸38の突出した先端には、不図示の電装品と接続可能なスプラインが形成されている。
【0028】
電装品としては、例えば、サンルーフ、パワーウインドウ、パワーシート等が挙げられる。すなわち、第1実施形態の減速機付きモータ1は、ブラシレスサンルーフモータ、ブラシレスパワーウインドウモータ、及びブラシレスパワーシートモータに適用され、加えて、その他のブラシレスモータ全般に適用することも可能である。
ここで、ロータコア22及びシャフト21は、磁性を備えた材料で形成されることにより、電装品を駆動する際に必要な機能上の強度を備えている。
【0029】
(ロータの磁束)
図4は、第1実施形態におけるロータ8の磁束の流れを説明する概念図である。
図4において、マグネット23の磁束の流れを矢印Aで示す。
図4に示すように、マグネット23は、内周面23aに複数の凸部25が形成されている。よって、マグネット23の凹部26とロータコア22の外周面22bとの間に空間28が湾曲状に形成されている。これにより、極配向に着磁したマグネット23の磁束の流れを空間28で遮断することができる。したがって、極配向に着磁したマグネット23の磁束漏れを低減するように抑制でき、磁石使用量に対する磁束量を増やすことができる。
【0030】
図5は、第1実施形態におけるマグネット23の1g当たりの有効磁束を説明するグラフである。
図5において、縦軸に1グラム当たりの有効磁束μwb/gを示す。
図5に示すように、比較例のマグネットは磁石1g当たりの有効磁束が小さい。比較例のマグネットは、マグネットの内周面に凸部及び凹部が形成されていない点で実施形態のマグネットと異なる。すなわち、比較例のマグネットは、内周面の全域がロータコア22の外周面22bの全域に接触されている。このため、マグネット23の磁束がロータコア22側に漏れてしまい磁石1g当たりの有効磁束が小さくなる。
【0031】
これに対して、実施形態のマグネット23は、内周面23aに複数の凸部25及び複数の凹部26が形成されている。マグネット23の凹部26とロータコア22の外周面22bとの間に空間28が形成され、空間28により磁束の流れを遮断するようにした。これにより、実施形態のマグネット23は、磁束漏れを低減するように抑制することにより、磁石1g当たりの有効磁束を比較例に比べて大きく確保できる。
【0032】
図3に戻って、マグネット23がロータコア22の外周面22bに接触する領域は、マグネット23の磁束漏れを抑える観点から考慮すると、なるべく少ない方が望ましい。一方、マグネット23をロータコア22に取り付けた状態において、マグネット23の外周面23b(
図2参照)とシャフト21との同軸度を確保する必要がある。
この観点から、マグネット23に備える複数の凸部25を、例えば3個に設定することが好ましい。複数の凸部25を3個に設定することにより、マグネット23の外周面23bとシャフト21との同軸度を確保した状態において、マグネット23の磁束漏れを好適に抑えることができる。なお、複数の凸部25の個数は3個に限定するものではない。
【0033】
以上説明したように、第1実施形態のモータ部2によれば、ロータコア22及びシャフト21は、磁性を備えた材料で形成されることにより、電装品を駆動する際に必要な機能上の強度を備えることができる。加えて、マグネット23の内周面23aに複数の凸部25を設けることにより、磁束漏れを低減するように抑制して、磁石使用量に対する磁束量を増やすことができる。
【0034】
(マグネットの組付け手順)
図6(a)は、第1実施形態におけるマグネット23をロータコア22に嵌入する例を説明する側面図である。
図6(b)は、第1実施形態におけるマグネット23をロータコア22の途中まで嵌入した状態を説明する側面図である。
図6(a)に示すように、ロータコア22の外周面22bに接着剤41を塗布する。この状態において、ロータコア22の外周面22bにマグネット23の複数の凸部25(
図3参照)を矢印Bの如く嵌入する。
【0035】
図6(b)に示すように、マグネット23の複数の凸部25をロータコア22の外周面22bに矢印Bの如く嵌入することにより、マグネット23の端面23cが接着剤41に当接する。この状態で、マグネット23を継続して矢印B方向へさらに嵌入する。
ここで、マグネット23の凹部26とロータコア22の外周面22bとにより複数の空間28(
図3参照)が形成されている。よって、複数の空間28に接着剤41を受け入れることができる。これにより、ロータコア22の外周面22bに塗布した接着剤41をマグネット23の端面23cで削ぎ落すことを抑制できる。
【0036】
図7(a)は、第1実施形態におけるマグネット23をロータコア22に外嵌固着した状態を説明する側面図である。
図7(b)は、第1実施形態におけるマグネット23をロータコア22に外嵌固着した状態を説明する正面図である。
図7(a)に示すように、マグネット23をロータコア22の外周面22bの組付位置まで嵌入する。
【0037】
図7(b)に示すように、マグネット23がロータコア22の外周面22bの組付位置まで嵌入される。この状態において、ロータコア22の外周面22bに塗布した接着剤41が複数の空間28に受け入れられている。マグネット23の複数の凸部25の先端面25aがロータコア22の外周面22bに接触した状態で、接着剤41により固着される。また、マグネット23の複数の凹部26に受け入れられた接着剤41により、複数の凹部26がロータコア22の外周面22bに固着される。
【0038】
よって、マグネット23がロータコア22の外周面22bに接着剤41により、接着強度が高い状態で外嵌固着される。これにより、ロータコア22の外周面22bに対するマグネット23の接着強度を高くした状態に、ロータコア22の外周面22bにマグネット23を容易に組み付けることができる。
【0039】
また、ロータコア22の外周面22bに塗布した接着剤41をマグネット23の端面23cで削ぎ落さないようにできる。よって、削ぎ落された接着剤がはみ出すおそれがない。これにより、はみ出した接着剤のふき取り工程を不要にできる。さらに、接着剤41の垂れによる異物や設備の不具合等のリスクを回避することができる。
【0040】
ここで、比較例として、例えば、複数の凸部25を備えていないマグネットについて説明する。比較例のように、マグネットに複数の凸部25を備えていない場合、マグネットの内周面とロータコア22の外周面22bとの間に接着剤を介在させるクリアランスが必要である。このため、比較例は、ロータコア22に対するマグネットの同軸度を確保することが難しい。
これに対して、第1実施形態のマグネット23は、複数の凸部25を備えることにより、複数の凹部26に接着剤41を受け入れることができる。よって、複数の凸部25をロータコア22の外周面22bに好適に接触させることが可能になる。これにより、第1実施形態のモータ部2は、ロータコア22に対するマグネット23の同軸度を確保できる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のモータ部50について説明する。尚、第2実施形態において第1実施形態のモータ部2と同一、類似部材については各構成部材に同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
図8は、第2実施形態におけるモータ部50を示す断面図である。
図8に示すように、モータ部50は、第1実施形態のロータ8をロータ51に代えたものでその他の構成は、第1実施形態のモータ部2と同様のブラシレスモータである。
【0042】
ロータ51は、減速部3を構成するウォーム軸33(
図1参照)と一体成形されたシャフト(支持体)52と、シャフト52の外周面52aに外嵌固着されたマグネット54と、を備えている。シャフト52は、ティース12の径方向内側に配置されている。シャフト52は、鉄系の磁性材料で形成されることにより機能上の強度を備えている。
マグネット54は、シャフト52の外周面52aの全周にわたり周状(リング状)に形成され、内周面54aに複数の凸部(ブリッジ部)55が形成されている。複数の凸部55は、シャフト52の外周面52aに当接するように突出し、外周面52aに接触された状態で接着剤41(
図7(b)参照)により固着(一体化)されている。
【0043】
この状態において、マグネット54の凹部56が、シャフト52の外周面52aに対して非接触に配置されている。凹部56とシャフト52の外周面52aとの間に空間58が湾曲状に形成されている。すなわち、第2実施形態のモータ部50は、磁性材料で形成されたシャフト52の外周面52aにマグネット54の複数の凸部55が外嵌固着されたもので、その他の構成は、第1実施形態のモータ部2と同様である。
【0044】
第2実施形態のモータ部50においても、第1実施形態のモータ部2と同様の効果を得ることができる。すなわち、第2実施形態のモータ部50によれば、シャフト52は、磁性を備えた材料で形成されることにより、電装品を駆動する際に必要な機能上の強度を備えることができる。加えて、マグネット54の内周面54aに複数の凸部55が設けられることにより、磁束漏れを低減するように抑制して、磁石使用量に対する磁束量を増やすことができる。
【0045】
尚、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【符号の説明】
【0046】
1…減速機付きモータ、2,50…モータ部(ブラシレスモータ)、6…ステータ、10…ステータコア、12…ティース、14…コイル、21…シャフト、22…ロータコア(支持体)、23,54…マグネット、25,55…凸部、26,56…凹部、52…シャフト(支持体)