(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】焼却炉および焼却炉の制御方法
(51)【国際特許分類】
F23G 5/50 20060101AFI20221223BHJP
F23G 5/44 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
F23G5/50 H ZAB
F23G5/44 F
F23G5/50 C
F23G5/50 N
(21)【出願番号】P 2019096574
(22)【出願日】2019-05-23
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】重政 祥子
(72)【発明者】
【氏名】古林 通孝
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-167353(JP,A)
【文献】特開2017-096517(JP,A)
【文献】特開2004-239509(JP,A)
【文献】特開2006-275502(JP,A)
【文献】特開2008-057935(JP,A)
【文献】特開2006-242562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/50
F23G 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却炉であって、
前側から後側に向かって配列される複数の火格子部を有する一次燃焼室と、
前記一次燃焼室から連続し、前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れる二次燃焼室と、
前記複数の火格子部を介して前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する火格子部ガス供給部と、
前記一次燃焼室において前記複数の火格子部よりも上方に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する中間ガス供給部と、
前記二次燃焼室に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記二次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する二次燃焼室ガス供給部と、
所定のセンサを用いて得られる測定値に基づいて前記火格子部ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を制御するとともに、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が減少する場合に前記中間ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を増加させ、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が増加する場合に前記中間ガス供給部における前記酸素供給量を減少させる制御部と、
を備え
、
前記複数の火格子部において、前記前側から前記後側に向かって乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に配列され、
前記一次燃焼室が、前記二次燃焼室の下端から前記後側に広がって前記燃焼火格子部の少なくとも一部の上方を覆う天井部をさらに有し、
前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記天井部または前記後側の壁部に設けられ、
前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、
下段ノズルと、
前記下段ノズルよりも上方に位置する上段ノズルと、
を含むことを特徴とする焼却炉。
【請求項2】
請求項
1に記載の焼却炉であって
、
前記二次燃焼室ガス供給部の前記ノズル部が、前記前側から前記後側に向かう方向に前記燃焼用ガスを噴出するノズルを含むことを特徴とする焼却炉。
【請求項3】
焼却炉であって、
前側から後側に向かって配列される複数の火格子部を有する一次燃焼室と、
前記一次燃焼室から連続し、前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れる二次燃焼室と、
前記複数の火格子部を介して前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する火格子部ガス供給部と、
前記一次燃焼室において前記複数の火格子部よりも上方に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する中間ガス供給部と、
前記二次燃焼室に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記二次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する二次燃焼室ガス供給部と、
所定のセンサを用いて得られる測定値に基づいて前記火格子部ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を制御するとともに、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が減少する場合に前記中間ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を増加させ、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が増加する場合に前記中間ガス供給部における前記酸素供給量を減少させる制御部と、
を備え、
前記複数の火格子部において、前記前側から前記後側に向かって乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に配列され、
前記一次燃焼室が、前記二次燃焼室の下端から前記前側または前記後側の一方側に広がって前記燃焼火格子部の少なくとも一部の上方を覆う天井部をさらに有し、
前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記天井部または前記一方側の壁部に設けられ、
前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、
再循環排ガスを含むガスを前記燃焼用ガスとして噴出する第1ノズルと、
前記第1ノズルが噴出するガスよりも酸素濃度が高いガスを前記燃焼用ガスとして噴出する第2ノズルと、
を含み、
前記制御部が、前記第2ノズルにおけるガス流速を前記第1ノズルよりも優先的に変更することにより、前記中間ガス供給部における前記燃焼用ガスの供給量を制御することを特徴とする焼却炉。
【請求項4】
焼却炉であって、
前側から後側に向かって配列される複数の火格子部を有する一次燃焼室と、
前記一次燃焼室から連続し、前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れる二次燃焼室と、
前記複数の火格子部を介して前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する火格子部ガス供給部と、
前記一次燃焼室において前記複数の火格子部よりも上方に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する中間ガス供給部と、
前記二次燃焼室に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記二次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する二次燃焼室ガス供給部と、
所定のセンサを用いて得られる測定値に基づいて前記火格子部ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を制御するとともに、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が減少する場合に前記中間ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を増加させ、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が増加する場合に前記中間ガス供給部における前記酸素供給量を減少させる制御部と、
を備え、
前記複数の火格子部において、前記前側から前記後側に向かって乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に配列され、
前記一次燃焼室が、前記二次燃焼室の下端から前記前側または前記後側の一方側に広がって前記燃焼火格子部の少なくとも一部の上方を覆う天井部をさらに有し、
前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記天井部または前記一方側の壁部に設けられ、
前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、
前記燃焼用ガスを噴出口から噴出する第1ノズルと、
前記第1ノズルよりも大きい噴出口から前記燃焼用ガスを噴出する第2ノズルと、
を含み、
前記制御部が、前記第2ノズルにおけるガス流速を前記第1ノズルよりも優先的に変更することにより、前記中間ガス供給部における前記燃焼用ガスの供給量を制御することを特徴とする焼却炉。
【請求項5】
焼却炉であって、
前側から後側に向かって配列される複数の火格子部を有する一次燃焼室と、
前記一次燃焼室から連続し、前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れる二次燃焼室と、
前記複数の火格子部を介して前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する火格子部ガス供給部と、
前記一次燃焼室において前記複数の火格子部よりも上方に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する中間ガス供給部と、
前記二次燃焼室に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記二次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する二次燃焼室ガス供給部と、
所定のセンサを用いて得られる測定値に基づいて前記火格子部ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を制御するとともに、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が減少する場合に前記中間ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を増加させ、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が増加する場合に前記中間ガス供給部における前記酸素供給量を減少させる制御部と、
を備え、
前記複数の火格子部において、前記前側から前記後側に向かって乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に配列され、
前記一次燃焼室が、前記二次燃焼室の下端から前記前側または前記後側の一方側に広がって前記燃焼火格子部の少なくとも一部の上方を覆う天井部をさらに有し、
前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記天井部または前記一方側の壁部に設けられ、
前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、
前記燃焼用ガスを噴出口から噴出する第1ノズルと、
前記第1ノズルよりも小さい噴出口から前記燃焼用ガスを噴出する第2ノズルと、
を含み、
前記制御部が、前記第2ノズルにおけるガス流速を前記第1ノズルよりも優先的に変更することにより、前記中間ガス供給部における前記燃焼用ガスの供給量を制御することを特徴とする焼却炉。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれか1つに記載の焼却炉であって、
前記一方側が前記後側であり、
前記二次燃焼室ガス供給部の前記ノズル部が、前記前側から前記後側に向かう方向に前記燃焼用ガスを噴出するノズルを含むことを特徴とする焼却炉。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の焼却炉であって、
前記制御部が、前記一次燃焼室内における空気比が所定範囲内となるように、前記火格子部ガス供給部における前記燃焼用ガスの供給量に基づいて前記中間ガス供給部における前記燃焼用ガスの供給量を制御することを特徴とする焼却炉。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1つに記載の焼却炉であって、
前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、水平方向または水平方向よりも上方に向かって前記燃焼用ガスを噴出することを特徴とする焼却炉。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1つに記載の焼却炉であって、
前記二次燃焼室ガス供給部の前記ノズル部が、前記二次燃焼室における前記排ガスの流路に沿って設けられる複数のノズルを含むことを特徴とする焼却炉。
【請求項10】
焼却炉の制御方法であって、
前記焼却炉が、
前側から後側に向かって配列される複数の火格子部を有する一次燃焼室と、
前記一次燃焼室から連続し、前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れる二次燃焼室と、
前記複数の火格子部を介して前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する火格子部ガス供給部と、
前記一次燃焼室において前記複数の火格子部よりも上方に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する中間ガス供給部と、
前記二次燃焼室に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記二次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する二次燃焼室ガス供給部と、
を備え、
前記複数の火格子部において、前記前側から前記後側に向かって乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に配列され、
前記一次燃焼室が、前記二次燃焼室の下端から前記後側に広がって前記燃焼火格子部の少なくとも一部の上方を覆う天井部をさらに有し、
前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記天井部または前記後側の壁部に設けられ、
前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、
下段ノズルと、
前記下段ノズルよりも上方に位置する上段ノズルと、
を含み、
前記焼却炉の制御方法が、
a)所定のセンサを用いて得られる測定値に基づいて前記火格子部ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を制御する工程と、
b)前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が減少する場合に前記中間ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を増加させ、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が増加する場合に前記中間ガス供給部における前記酸素供給量を減少させる工程と、
を備えることを特徴とする焼却炉の制御方法。
【請求項11】
焼却炉の制御方法であって、
前記焼却炉が、
前側から後側に向かって配列される複数の火格子部を有する一次燃焼室と、
前記一次燃焼室から連続し、前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れる二次燃焼室と、
前記複数の火格子部を介して前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する火格子部ガス供給部と、
前記一次燃焼室において前記複数の火格子部よりも上方に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する中間ガス供給部と、
前記二次燃焼室に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記二次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する二次燃焼室ガス供給部と、
を備え、
前記複数の火格子部において、前記前側から前記後側に向かって乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に配列され、
前記一次燃焼室が、前記二次燃焼室の下端から前記前側または前記後側の一方側に広がって前記燃焼火格子部の少なくとも一部の上方を覆う天井部をさらに有し、
前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記天井部または前記一方側の壁部に設けられ、
前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、
再循環排ガスを含むガスを前記燃焼用ガスとして噴出する第1ノズルと、
前記第1ノズルが噴出するガスよりも酸素濃度が高いガスを前記燃焼用ガスとして噴出する第2ノズルと、
を含み、
前記焼却炉の制御方法が、
a)所定のセンサを用いて得られる測定値に基づいて前記火格子部ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を制御する工程と、
b)前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が減少する場合に前記中間ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を増加させ、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が増加する場合に前記中間ガス供給部における前記酸素供給量を減少させる工程と、
を備え、
前記b)工程において、前記第2ノズルにおけるガス流速を前記第1ノズルよりも優先的に変更することにより、前記中間ガス供給部における前記燃焼用ガスの供給量が制御されることを特徴とする焼却炉の制御方法。
【請求項12】
焼却炉の制御方法であって、
前記焼却炉が、
前側から後側に向かって配列される複数の火格子部を有する一次燃焼室と、
前記一次燃焼室から連続し、前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れる二次燃焼室と、
前記複数の火格子部を介して前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する火格子部ガス供給部と、
前記一次燃焼室において前記複数の火格子部よりも上方に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する中間ガス供給部と、
前記二次燃焼室に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記二次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する二次燃焼室ガス供給部と、
を備え、
前記複数の火格子部において、前記前側から前記後側に向かって乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に配列され、
前記一次燃焼室が、前記二次燃焼室の下端から前記前側または前記後側の一方側に広がって前記燃焼火格子部の少なくとも一部の上方を覆う天井部をさらに有し、
前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記天井部または前記一方側の壁部に設けられ、
前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、
前記燃焼用ガスを噴出口から噴出する第1ノズルと、
前記第1ノズルよりも大きい噴出口から前記燃焼用ガスを噴出する第2ノズルと、
を含み、
前記焼却炉の制御方法が、
a)所定のセンサを用いて得られる測定値に基づいて前記火格子部ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を制御する工程と、
b)前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が減少する場合に前記中間ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を増加させ、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が増加する場合に前記中間ガス供給部における前記酸素供給量を減少させる工程と、
を備え、
前記b)工程において、前記第2ノズルにおけるガス流速を前記第1ノズルよりも優先的に変更することにより、前記中間ガス供給部における前記燃焼用ガスの供給量が制御されることを特徴とする焼却炉の制御方法。
【請求項13】
焼却炉の制御方法であって、
前記焼却炉が、
前側から後側に向かって配列される複数の火格子部を有する一次燃焼室と、
前記一次燃焼室から連続し、前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れる二次燃焼室と、
前記複数の火格子部を介して前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する火格子部ガス供給部と、
前記一次燃焼室において前記複数の火格子部よりも上方に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する中間ガス供給部と、
前記二次燃焼室に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記二次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する二次燃焼室ガス供給部と、
を備え、
前記複数の火格子部において、前記前側から前記後側に向かって乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に配列され、
前記一次燃焼室が、前記二次燃焼室の下端から前記前側または前記後側の一方側に広がって前記燃焼火格子部の少なくとも一部の上方を覆う天井部をさらに有し、
前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記天井部または前記一方側の壁部に設けられ、
前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、
前記燃焼用ガスを噴出口から噴出する第1ノズルと、
前記第1ノズルよりも小さい噴出口から前記燃焼用ガスを噴出する第2ノズルと、
を含み、
前記焼却炉の制御方法が、
a)所定のセンサを用いて得られる測定値に基づいて前記火格子部ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を制御する工程と、
b)前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が減少する場合に前記中間ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を増加させ、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が増加する場合に前記中間ガス供給部における前記酸素供給量を減少させる工程と、
を備え、
前記b)工程において、前記第2ノズルにおけるガス流速を前記第1ノズルよりも優先的に変更することにより、前記中間ガス供給部における前記燃焼用ガスの供給量が制御されることを特徴とする焼却炉の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却炉および焼却炉の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、焼却炉では、二次燃焼室から排出される排ガスの酸素濃度に基づいて、燃焼室内に供給する空気の量を制御することが行われている。例えば、特許文献1の焼却炉では、ストーカ越しに一次空気が供給されるとともにストーカの上方で二次空気が供給される主燃焼室(一次燃焼室)と、主燃焼室から流出する排ガスの燃焼を完結させる再燃焼室(二次燃焼室)とが設けられる。再燃焼室または再燃焼室と連続する放射室には酸素濃度計が設けられ、酸素濃度計の測定値に基づいて主燃焼室内に供給される二次空気の量が調整される。
【0003】
特許文献2の焼却炉では、乾燥火格子部および燃焼火格子部の下方から主燃焼室(一次燃焼室)内に一次空気を供給する一次空気供給系と、二次燃焼室内に二次空気を供給する二次空気供給系とが設けられる。二次空気供給系は、二次燃焼室に設けられた吹込口から主二次空気を二次燃焼室へ送り込む二次空気主供給系と、一次空気供給系の管路から分岐して一次空気の一部を二次燃焼室の吹込口から二次燃焼室へ副二次空気として吹き込む二次空気副供給系とを備える。二次燃焼室の排出口には酸素濃度計が設けられ、排ガスの酸素濃度が所定範囲内に収まるように、二次空気副供給系の副二次空気の供給量が増減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-77597号公報
【文献】特開2013-257063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、焼却炉では、火格子部を介して一次燃焼室内に供給する空気の供給量を、ボイラにおける発生蒸気量等に応じて増減する制御が行われる。このような制御において、一次燃焼室に投入されるごみのごみ質が高く(例えば、単位重量当たりの発生熱量が高く)、発生蒸気量が大きくなる場合には、火格子部を介して供給される空気の量が減少され、一次燃焼室から二次燃焼室に流入する排ガスにおいて未燃ガスの濃度が高くなる。この場合、二次燃焼室に配置されたノズル部から噴出される空気により、二次燃焼室へと到達した未燃ガスが一気に燃焼し、当該ノズル部近傍において高温域が形成される。その結果、二次燃焼室から排出される排ガスにおけるNOx濃度が上昇してしまう。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、二次燃焼室から排出される排ガスにおけるNOx濃度の上昇を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、焼却炉であって、前側から後側に向かって配列される複数の火格子部を有する一次燃焼室と、前記一次燃焼室から連続し、前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れる二次燃焼室と、前記複数の火格子部を介して前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する火格子部ガス供給部と、前記一次燃焼室において前記複数の火格子部よりも上方に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する中間ガス供給部と、前記二次燃焼室に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記二次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する二次燃焼室ガス供給部と、所定のセンサを用いて得られる測定値に基づいて前記火格子部ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を制御するとともに、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が減少する場合に前記中間ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を増加させ、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が増加する場合に前記中間ガス供給部における前記酸素供給量を減少させる制御部とを備え、前記複数の火格子部において、前記前側から前記後側に向かって乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に配列され、前記一次燃焼室が、前記二次燃焼室の下端から前記後側に広がって前記燃焼火格子部の少なくとも一部の上方を覆う天井部をさらに有し、前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記天井部または前記後側の壁部に設けられ、前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、下段ノズルと、前記下段ノズルよりも上方に位置する上段ノズルとを含む。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の焼却炉であって、前記二次燃焼室ガス供給部の前記ノズル部が、前記前側から前記後側に向かう方向に前記燃焼用ガスを噴出するノズルを含む。
【0011】
請求項3に記載の発明は、焼却炉であって、前側から後側に向かって配列される複数の火格子部を有する一次燃焼室と、前記一次燃焼室から連続し、前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れる二次燃焼室と、前記複数の火格子部を介して前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する火格子部ガス供給部と、前記一次燃焼室において前記複数の火格子部よりも上方に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する中間ガス供給部と、前記二次燃焼室に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記二次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する二次燃焼室ガス供給部と、所定のセンサを用いて得られる測定値に基づいて前記火格子部ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を制御するとともに、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が減少する場合に前記中間ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を増加させ、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が増加する場合に前記中間ガス供給部における前記酸素供給量を減少させる制御部とを備え、前記複数の火格子部において、前記前側から前記後側に向かって乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に配列され、前記一次燃焼室が、前記二次燃焼室の下端から前記前側または前記後側の一方側に広がって前記燃焼火格子部の少なくとも一部の上方を覆う天井部をさらに有し、前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記天井部または前記一方側の壁部に設けられ、前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、再循環排ガスを含むガスを前記燃焼用ガスとして噴出する第1ノズルと、前記第1ノズルが噴出するガスよりも酸素濃度が高いガスを前記燃焼用ガスとして噴出する第2ノズルとを含み、前記制御部が、前記第2ノズルにおけるガス流速を前記第1ノズルよりも優先的に変更することにより、前記中間ガス供給部における前記燃焼用ガスの供給量を制御する。
【0012】
請求項4に記載の発明は、焼却炉であって、前側から後側に向かって配列される複数の火格子部を有する一次燃焼室と、前記一次燃焼室から連続し、前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れる二次燃焼室と、前記複数の火格子部を介して前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する火格子部ガス供給部と、前記一次燃焼室において前記複数の火格子部よりも上方に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する中間ガス供給部と、前記二次燃焼室に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記二次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する二次燃焼室ガス供給部と、所定のセンサを用いて得られる測定値に基づいて前記火格子部ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を制御するとともに、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が減少する場合に前記中間ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を増加させ、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が増加する場合に前記中間ガス供給部における前記酸素供給量を減少させる制御部とを備え、前記複数の火格子部において、前記前側から前記後側に向かって乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に配列され、前記一次燃焼室が、前記二次燃焼室の下端から前記前側または前記後側の一方側に広がって前記燃焼火格子部の少なくとも一部の上方を覆う天井部をさらに有し、前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記天井部または前記一方側の壁部に設けられ、前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記燃焼用ガスを噴出口から噴出する第1ノズルと、前記第1ノズルよりも大きい噴出口から前記燃焼用ガスを噴出する第2ノズルとを含み、前記制御部が、前記第2ノズルにおけるガス流速を前記第1ノズルよりも優先的に変更することにより、前記中間ガス供給部における前記燃焼用ガスの供給量を制御する。
【0013】
請求項5に記載の発明は、焼却炉であって、前側から後側に向かって配列される複数の火格子部を有する一次燃焼室と、前記一次燃焼室から連続し、前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れる二次燃焼室と、前記複数の火格子部を介して前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する火格子部ガス供給部と、前記一次燃焼室において前記複数の火格子部よりも上方に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する中間ガス供給部と、前記二次燃焼室に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記二次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する二次燃焼室ガス供給部と、所定のセンサを用いて得られる測定値に基づいて前記火格子部ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を制御するとともに、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が減少する場合に前記中間ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を増加させ、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が増加する場合に前記中間ガス供給部における前記酸素供給量を減少させる制御部とを備え、前記複数の火格子部において、前記前側から前記後側に向かって乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に配列され、前記一次燃焼室が、前記二次燃焼室の下端から前記前側または前記後側の一方側に広がって前記燃焼火格子部の少なくとも一部の上方を覆う天井部をさらに有し、前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記天井部または前記一方側の壁部に設けられ、前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記燃焼用ガスを噴出口から噴出する第1ノズルと、前記第1ノズルよりも小さい噴出口から前記燃焼用ガスを噴出する第2ノズルとを含み、前記制御部が、前記第2ノズルにおけるガス流速を前記第1ノズルよりも優先的に変更することにより、前記中間ガス供給部における前記燃焼用ガスの供給量を制御する。
請求項6に記載の発明は、請求項3ないし5のいずれか1つに記載の焼却炉であって、前記一方側が前記後側であり、前記二次燃焼室ガス供給部の前記ノズル部が、前記前側から前記後側に向かう方向に前記燃焼用ガスを噴出するノズルを含む。
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の焼却炉であって、前記制御部が、前記一次燃焼室内における空気比が所定範囲内となるように、前記火格子部ガス供給部における前記燃焼用ガスの供給量に基づいて前記中間ガス供給部における前記燃焼用ガスの供給量を制御する。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の焼却炉であって、前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、水平方向または水平方向よりも上方に向かって前記燃焼用ガスを噴出する。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の焼却炉であって、前記二次燃焼室ガス供給部の前記ノズル部が、前記二次燃焼室における前記排ガスの流路に沿って設けられる複数のノズルを含む。
【0016】
請求項10に記載の発明は、焼却炉の制御方法であって、前記焼却炉が、前側から後側に向かって配列される複数の火格子部を有する一次燃焼室と、前記一次燃焼室から連続し、前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れる二次燃焼室と、前記複数の火格子部を介して前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する火格子部ガス供給部と、前記一次燃焼室において前記複数の火格子部よりも上方に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する中間ガス供給部と、前記二次燃焼室に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記二次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する二次燃焼室ガス供給部とを備え、前記複数の火格子部において、前記前側から前記後側に向かって乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に配列され、前記一次燃焼室が、前記二次燃焼室の下端から前記後側に広がって前記燃焼火格子部の少なくとも一部の上方を覆う天井部をさらに有し、前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記天井部または前記後側の壁部に設けられ、前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、下段ノズルと、前記下段ノズルよりも上方に位置する上段ノズルとを含み、前記焼却炉の制御方法が、a)所定のセンサを用いて得られる測定値に基づいて前記火格子部ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を制御する工程と、b)前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が減少する場合に前記中間ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を増加させ、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が増加する場合に前記中間ガス供給部における前記酸素供給量を減少させる工程とを備える。
請求項11に記載の発明は、焼却炉の制御方法であって、前記焼却炉が、前側から後側に向かって配列される複数の火格子部を有する一次燃焼室と、前記一次燃焼室から連続し、前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れる二次燃焼室と、前記複数の火格子部を介して前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する火格子部ガス供給部と、前記一次燃焼室において前記複数の火格子部よりも上方に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する中間ガス供給部と、前記二次燃焼室に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記二次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する二次燃焼室ガス供給部とを備え、前記複数の火格子部において、前記前側から前記後側に向かって乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に配列され、前記一次燃焼室が、前記二次燃焼室の下端から前記前側または前記後側の一方側に広がって前記燃焼火格子部の少なくとも一部の上方を覆う天井部をさらに有し、前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記天井部または前記一方側の壁部に設けられ、前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、再循環排ガスを含むガスを前記燃焼用ガスとして噴出する第1ノズルと、前記第1ノズルが噴出するガスよりも酸素濃度が高いガスを前記燃焼用ガスとして噴出する第2ノズルとを含み、前記焼却炉の制御方法が、a)所定のセンサを用いて得られる測定値に基づいて前記火格子部ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を制御する工程と、b)前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が減少する場合に前記中間ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を増加させ、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が増加する場合に前記中間ガス供給部における前記酸素供給量を減少させる工程とを備え、前記b)工程において、前記第2ノズルにおけるガス流速を前記第1ノズルよりも優先的に変更することにより、前記中間ガス供給部における前記燃焼用ガスの供給量が制御される。
請求項12に記載の発明は、焼却炉の制御方法であって、前記焼却炉が、前側から後側に向かって配列される複数の火格子部を有する一次燃焼室と、前記一次燃焼室から連続し、前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れる二次燃焼室と、前記複数の火格子部を介して前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する火格子部ガス供給部と、前記一次燃焼室において前記複数の火格子部よりも上方に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する中間ガス供給部と、前記二次燃焼室に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記二次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する二次燃焼室ガス供給部とを備え、前記複数の火格子部において、前記前側から前記後側に向かって乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に配列され、前記一次燃焼室が、前記二次燃焼室の下端から前記前側または前記後側の一方側に広がって前記燃焼火格子部の少なくとも一部の上方を覆う天井部をさらに有し、前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記天井部または前記一方側の壁部に設けられ、前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記燃焼用ガスを噴出口から噴出する第1ノズルと、前記第1ノズルよりも大きい噴出口から前記燃焼用ガスを噴出する第2ノズルとを含み、前記焼却炉の制御方法が、a)所定のセンサを用いて得られる測定値に基づいて前記火格子部ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を制御する工程と、b)前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が減少する場合に前記中間ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を増加させ、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が増加する場合に前記中間ガス供給部における前記酸素供給量を減少させる工程とを備え、前記b)工程において、前記第2ノズルにおけるガス流速を前記第1ノズルよりも優先的に変更することにより、前記中間ガス供給部における前記燃焼用ガスの供給量が制御される。
請求項13に記載の発明は、焼却炉の制御方法であって、前記焼却炉が、前側から後側に向かって配列される複数の火格子部を有する一次燃焼室と、前記一次燃焼室から連続し、前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れる二次燃焼室と、前記複数の火格子部を介して前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する火格子部ガス供給部と、前記一次燃焼室において前記複数の火格子部よりも上方に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記一次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する中間ガス供給部と、前記二次燃焼室に配置されるノズル部を有し、前記ノズル部から前記二次燃焼室内に酸素を含む燃焼用ガスを供給する二次燃焼室ガス供給部とを備え、前記複数の火格子部において、前記前側から前記後側に向かって乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に配列され、前記一次燃焼室が、前記二次燃焼室の下端から前記前側または前記後側の一方側に広がって前記燃焼火格子部の少なくとも一部の上方を覆う天井部をさらに有し、前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記天井部または前記一方側の壁部に設けられ、前記中間ガス供給部の前記ノズル部が、前記燃焼用ガスを噴出口から噴出する第1ノズルと、前記第1ノズルよりも小さい噴出口から前記燃焼用ガスを噴出する第2ノズルとを含み、前記焼却炉の制御方法が、a)所定のセンサを用いて得られる測定値に基づいて前記火格子部ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を制御する工程と、b)前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が減少する場合に前記中間ガス供給部における前記一次燃焼室内への酸素供給量を増加させ、前記火格子部ガス供給部における前記酸素供給量が増加する場合に前記中間ガス供給部における前記酸素供給量を減少させる工程とを備え、前記b)工程において、前記第2ノズルにおけるガス流速を前記第1ノズルよりも優先的に変更することにより、前記中間ガス供給部における前記燃焼用ガスの供給量が制御される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、二次燃焼室から排出される排ガスにおけるNOx濃度の上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】火格子部ガス供給部および中間ガス供給部の制御の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る焼却炉1の構成を示す図である。後述するように、焼却炉1は、複数の火格子部(ストーカ)により廃棄物であるごみを搬送しつつ燃焼させるストーカ式の焼却炉である。
【0020】
焼却炉1は、ごみ供給部21と、一次燃焼室3と、二次燃焼室4と、排出路22と、火格子部ガス供給部5と、中間ガス供給部6と、二次燃焼室ガス供給部7と、制御部10とを備える。制御部10は、例えば、CPU等を備えるコンピュータであり、焼却炉1の全体制御を担う。ごみ供給部21は、投入ホッパ211と、プッシャ212とを備える。投入ホッパ211には、図示省略のごみピットからごみが投入される。プッシャ212は、給塵装置であり、投入ホッパ211の底部から一次燃焼室3内にごみを供給する。ごみ供給部21における給塵装置として、スクリューフィーダ等の他の機構が採用されてもよい。
【0021】
一次燃焼室3には、複数の火格子部31,32,33と、供給口34と、排出口35とが設けられる。供給口34は、投入ホッパ211の底部に接続する開口部であり、供給口34を介してごみ供給部21から一次燃焼室3内にごみが供給される。排出口35は、投入ホッパ211から離れた位置に配置される。複数の火格子部31,32,33は、供給口34と排出口35との間に配列される。各火格子部31,32,33は、複数の火格子の集合である。複数の火格子部31,32,33における周知の搬送動作により、供給口34側から排出口35に向かってごみが搬送される。後述するように、火格子部ガス供給部5により火格子部31,32,33上のごみに対して燃焼用ガスが供給され、ごみが燃焼する。燃焼後のごみ(主として灰)は排出口35を介して一次燃焼室3外に排出される。本明細書では、一次燃焼室3において供給口34側を前側と規定し、排出口35側を後側と規定する。
【0022】
複数の火格子部31,32,33において、最も前側に配置される火格子部31は、乾燥火格子部であり、最も後側に配置される火格子部33は、後燃焼火格子部である。乾燥火格子部31と後燃焼火格子部33との間に配置される火格子部32は、燃焼火格子部である。このように、一次燃焼室3では、前側から後側に向かって乾燥火格子部31、燃焼火格子部32および後燃焼火格子部33が順に配列される。乾燥火格子部31には、ごみ供給部21によりごみが供給され、乾燥火格子部31において主としてごみの乾燥が行われる。燃焼火格子部32では、主としてごみの燃焼が行われ、後燃焼火格子部33では、主としてごみの後燃焼が行われる。
【0023】
図1に示す乾燥火格子部31および燃焼火格子部32のそれぞれでは、前側から後側に向かうに従って低くなるように複数の火格子が階段状に傾斜して配列される。これにより、ごみを容易に後側に搬送することが可能となる。
図1の紙面に垂直な方向(前側から後側に向かう方向に垂直かつ水平な方向であり、以下、「幅方向」という。)に沿って見た場合において、当該複数の火格子の配列の水平方向に対する傾斜角は、例えば0度以上20度以下である。後燃焼火格子部33では、複数の火格子が水平方向に配列される。もちろん、乾燥火格子部31および燃焼火格子部32と同様に、後燃焼火格子部33において複数の火格子が傾斜して配列されてもよい。また、乾燥火格子部31および燃焼火格子部32のそれぞれにおいて、複数の火格子が水平方向に配列されてもよい。
【0024】
一次燃焼室3は、複数の火格子部31,32,33に加えて、複数の壁部および天井部を備える。具体的には、一次燃焼室3は、前天井部36と、後天井部37と、後壁部38と、一対の側壁部とを備える。前天井部36は、供給口34の上端から後側に向かうに従って高くなるように傾斜し、二次燃焼室4の後述の前壁部41に接続する。好ましくは、前天井部36は、乾燥火格子部31の全体の上方を覆う。前天井部36は、燃焼火格子部32の前側端部の上方も覆う。後壁部38は、排出口35の後端から鉛直方向上方に向かって広がる。後天井部37は、後壁部38の上端から前側に向かうに従って高くなるように傾斜し、二次燃焼室4の後述の後壁部42に接続する。好ましくは、後天井部37は、後燃焼火格子部33の全体の上方を覆う。後天井部37は、燃焼火格子部32の後側端部の上方も覆う。
【0025】
一対の側壁部は、幅方向において複数の火格子部31,32,33を挟むように配置される。各側壁部は、
図1の紙面に平行に広がり、前天井部36、後天井部37および後壁部38と接続する。焼却炉1では、前天井部36の後端と後天井部37の前端との間に、一次燃焼室3の出口、すなわち、一次燃焼室3と二次燃焼室4との連通口39が形成される。幅方向に沿って見た場合において、前天井部36および後天井部37のそれぞれの水平方向に対する傾斜角は、例えば15度以上60度以下であり、好ましくは30度以下であり、より好ましくは25度以下である。
【0026】
二次燃焼室4は、一次燃焼室3から連続し、一次燃焼室3から排出される排ガス(燃焼ガス)の流路を形成する。二次燃焼室4は、前壁部41と、後壁部42と、一対の側壁部とを備える。前壁部41は、前天井部36の後端、すなわち、連通口39の前端から上方に向かって広がる。好ましくは、前壁部41は、乾燥火格子部31よりも後側に位置する。後壁部42は、後天井部37の前端、すなわち、連通口39の後端から上方に向かって広がる。好ましくは、後壁部42は、後燃焼火格子部33よりも前側に位置する。一対の側壁部は、幅方向において互いに離間して配置される。各側壁部は、一次燃焼室3の側壁部から連続して
図1の紙面に平行に広がり、前壁部41および後壁部42と接続する。二次燃焼室4は、一次燃焼室3から直接的に連続するとともに、一次燃焼室3の床面積に比べて十分に小さい流路面積となって上方に向かう空間を形成する。
【0027】
排出路22は、二次燃焼室4と煙道29とを接続する。煙道29は、排出路22と煙突(図示省略)とを接続し、排出路22から排出される排ガスを煙突へと導く。排出路22には、排ガスを熱源とするボイラ23が設けられる。ボイラ23から排出される蒸気の量(以下、「ボイラ発生蒸気量」という。)は、蒸気量センサ231により測定される。当該蒸気は、例えば発電等に利用される。排出路22には、酸素濃度センサ24の測定部241がさらに設けられる。測定部241は、演算部242に接続される。演算部242では、測定部241からの出力値に基づいて二次燃焼室4から排出される排ガスの酸素濃度の測定値が得られる。酸素濃度の測定値は、制御部10に出力される。排出路22、煙道29および煙突において、NOx濃度センサ、SOx濃度センサ、CO濃度センサ、酸素濃度センサ等が設けられてよい。
【0028】
火格子部ガス供給部5は、複数の風箱51と、燃焼用ガス供給管56とを備える。燃焼用ガス供給管56には、予め加熱された高温の燃焼用ガスが供給される。火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスは、酸素を含むガスであり、典型的には空気(酸素濃度21%)である。当該燃焼用ガスは、再循環排ガスまたは酸素富化ガス等であってもよく、また、いずれかのガスと空気との混合ガスであってもよい。ここで、再循環排ガスは、例えば、煙道29に設けられるバグフィルタ(図示省略)を通過した排ガスである。酸素富化ガスは、空気よりも酸素濃度が高いガスである。
【0029】
複数の風箱51は、乾燥火格子部31、燃焼火格子部32および後燃焼火格子部33の下方にそれぞれ設けられる。燃焼用ガス供給管56の端部は複数の分岐管57に分岐し、複数の分岐管57が複数の風箱51にそれぞれ接続される。燃焼用ガス供給管56から複数の分岐管57に流入する燃焼用ガスは、複数の風箱51を介して乾燥火格子部31、燃焼火格子部32および後燃焼火格子部33に供給される。
【0030】
各分岐管57には、ダンパ571および流量計572が設けられる。制御部10が、流量計572の出力値に基づいてダンパ571を制御することにより、各分岐管57を流れる燃焼用ガスの流量、すなわち、各火格子部31~33に供給される燃焼用ガスの流量が調整される。火格子部ガス供給部5が、複数の火格子部31~33を介して一次燃焼室3内に燃焼用ガスを供給することにより、複数の火格子部31~33上のごみが燃焼するとともに、当該ごみに由来して発生した未燃ガスの一部が燃焼する。典型的には、未燃ガスは、炭素または/および水素を主成分とするガスである。
【0031】
中間ガス供給部6は、ノズル部61と、燃焼用ガス供給管66とを備える。ノズル部61は、一次燃焼室3において複数の火格子部31~33よりも上方に配置される。詳細には、ノズル部61は、上段ノズル611と、下段ノズル612とを備える。上段ノズル611は、下段ノズル612よりも上方に位置する。上段ノズル611および下段ノズル612は、後天井部37または後壁部38に取り付けられる。
図1の例では、上段ノズル611および下段ノズル612の双方が、後天井部37に取り付けられる。上段ノズル611および下段ノズル612の双方が、後壁部38に取り付けられてもよく、上段ノズル611および下段ノズル612が、それぞれ後天井部37および後壁部38に取り付けられてもよい。上段ノズル611および下段ノズル612の噴出口は前側を向いており、上段ノズル611および下段ノズル612は、前側に向かってガスを噴出する。
【0032】
燃焼用ガス供給管66には、予め加熱された高温の燃焼用ガスが供給される。中間ガス供給部6における燃焼用ガスは、酸素を含むガスであり、例えば空気である。当該燃焼用ガスは、再循環排ガスまたは酸素富化ガス等であってもよく、また、いずれかのガスと空気との混合ガスであってもよい。再循環排ガスのみの場合、燃焼用ガスの酸素濃度は1~3%程度になる。燃焼用ガスの酸素濃度は、例えば1~30%である。ここでは、燃焼用ガスの酸素濃度は一定である。後述するように、燃焼用ガスの酸素濃度が変動してもよい。中間ガス供給部6における燃焼用ガスの組成は、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスと異なっていてもよい。
【0033】
燃焼用ガス供給管66の端部は複数の分岐管67に分岐されることが好ましい。例えば、燃焼用ガス供給管66の端部は2つの分岐管67に分岐し、2つの分岐管67が上段ノズル611および下段ノズル612にそれぞれ接続される。各分岐管67には、ダンパ671および流量計672が設けられる。制御部10が、流量計672の出力値に基づいてダンパ671を制御することにより、各分岐管67を流れる燃焼用ガスの流量、すなわち、上段ノズル611および下段ノズル612のそれぞれから噴出される燃焼用ガスの流速が調整される。各分岐管67に設けられた各ダンパ671は、人の手で開度を調整する手動制御が少なくとも1つ含まれており、その他のダンパ671は機械によって開度を調整する機械制御であることが好ましい。このように、開度を調整する頻度が低いダンパ671を手動制御とすることで、製造コストを下げることができる。
【0034】
中間ガス供給部6では、ノズル部61から一次燃焼室3内に燃焼用ガスが供給される。実際には、ノズル部61から燃焼用ガスが高速に噴出されるため、ノズル部61の噴出口近傍における圧力が低下し、
図1中に矢印A1で示すように、燃焼火格子部32および後燃焼火格子部33の近傍に存在するガスの大部分がノズル部61に引き寄せられる。そして、後天井部37と後燃焼火格子部33との間の空間において、当該ガスに含まれる未燃ガスが燃焼する。当該空間で燃焼したガスを含む排ガス(未燃ガスを含んでもよい。)は、ノズル部61から噴出された燃焼用ガスの流れに運ばれて後天井部37に沿って二次燃焼室4へと導かれる。以上のように、中間ガス供給部6では、連通口39から離れたノズル部61に未燃ガスを引き寄せることにより、当該未燃ガスを一次燃焼室3内で時間をかけて燃焼させることができ、二次燃焼室4に流入する排ガスにおける未燃ガスの濃度を低くすることが可能となる。
【0035】
幅方向に沿って見た場合において、ノズル部61における燃焼用ガスの噴出方向と後天井部37とがなす角度は、例えば35度以下であり、好ましくは20度以下である。一次燃焼室3内における火炎の乱れを防止しつつ、燃焼火格子部32および後燃焼火格子部33の近傍に存在するガスをノズル部61に適切に引き寄せるという観点では、ノズル部61が、水平方向または水平方向よりも上方に向かって燃焼用ガスを噴出することが好ましい。一方、ノズル部61における燃焼用ガスの噴出方向が過度に上方を向くと、燃焼用ガスが後天井部37と衝突し、排ガスを後天井部37に沿って適切に二次燃焼室4へと導くことが困難となる。このような観点では、ノズル部61における燃焼用ガスの噴出方向と後天井部37とがなす角度は、好ましくは5度以上であり、より好ましくは10度以上である。
【0036】
図1では、1つの上段ノズル611および1つの下段ノズル612を図示しているが、幅方向における一次燃焼室3のサイズに応じて、複数の上段ノズル611が幅方向に配列され、複数の下段ノズル612が幅方向に配列されてよい。複数の上段ノズル611が設けられる場合、幅方向における上段ノズル611間の間隔は、例えば1000~1500mmである(複数の下段ノズル612において同様)。ノズル部61では、上段ノズル611および下段ノズル612の二段配置に限定されず、一段配置、または、三段以上の多段配置が採用されてもよい。
【0037】
二次燃焼室ガス供給部7は、ノズル部71と、燃焼用ガス供給管76とを備える。ノズル部71は、二次燃焼室4に配置される。詳細には、ノズル部71は、前上段ノズル711と、前下段ノズル712と、後上段ノズル713と、後下段ノズル714とを備える。前上段ノズル711および前下段ノズル712は、二次燃焼室4の前壁部41に取り付けられる。前下段ノズル712は、連通口39の近傍に位置し、前上段ノズル711は、前下段ノズル712よりも上方に位置する。前上段ノズル711および前下段ノズル712は、前側から後側に向かう噴出方向にガスを噴出する。ここでは、当該噴出方向は、ほぼ水平である。前上段ノズル711および前下段ノズル712のガスの噴出方向は、水平方向に対して傾斜してもよい(後上段ノズル713および後下段ノズル714において同様)。
【0038】
後上段ノズル713および後下段ノズル714は、二次燃焼室4の後壁部42に取り付けられる。後下段ノズル714は、連通口39の近傍に位置し、後上段ノズル713は、後下段ノズル714よりも上方に位置する。後上段ノズル713および後下段ノズル714は、後側から前側に向かう噴出方向にガスを噴出する。ここでは、当該噴出方向は、ほぼ水平である。
図1の例では、前上段ノズル711および後上段ノズル713が互いに同じ高さに配置され、前下段ノズル712および後下段ノズル714が互いに同じ高さに配置される。
【0039】
燃焼用ガス供給管76には、予め加熱された高温の燃焼用ガスが供給される。二次燃焼室ガス供給部7における燃焼用ガスは、酸素を含むガスであり、例えば空気である。当該燃焼用ガスは、再循環排ガスまたは酸素富化ガス等であってもよく、また、いずれかのガスと空気との混合ガスであってもよい。二次燃焼室ガス供給部7における燃焼用ガスの組成は、中間ガス供給部6における燃焼用ガスと同じであってもよく、この場合、燃焼用ガス供給管76と燃焼用ガス供給管66とが共通の供給源に接続されてもよい。二次燃焼室ガス供給部7における燃焼用ガスの組成は、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガス、および、中間ガス供給部6における燃焼用ガスと異なっていてもよい。
【0040】
燃焼用ガス供給管76の端部は、2つの第1分岐管77に分岐する。一方の第1分岐管77は2つの第2分岐管に分岐し、当該2つの第2分岐管は、前上段ノズル711および後上段ノズル713にそれぞれ接続される。他方の第1分岐管77は2つの第2分岐管に分岐し、当該2つの第2分岐管は、前下段ノズル712および後下段ノズル714にそれぞれ接続される。
【0041】
各第1分岐管77には、ダンパ771および流量計772が設けられる。制御部10が、流量計772の出力値に基づいてダンパ771を制御することにより、各第1分岐管77を流れる燃焼用ガスの流量が調整される。これにより、前上段ノズル711および後上段ノズル713に供給される燃焼用ガスの流量が調整可能であり、前下段ノズル712および後下段ノズル714に供給される燃焼用ガスの流量も調整可能である。
図1の例では、第1分岐管77と各ノズル711~714との間の第2分岐管にも、ダンパ781が設けられる。これにより、前上段ノズル711と後上段ノズル713とに対する燃焼用ガスの分配比が調整可能であり、前下段ノズル712と後下段ノズル714とに対する燃焼用ガスの分配比も調整可能である。すなわち、各ノズル711~714から噴出される燃焼用ガスの流速が調整可能である。
【0042】
既述のように、二次燃焼室4には、一次燃焼室3内で発生した排ガス(未燃ガスを含んでもよい。)が流入する。二次燃焼室ガス供給部7が、ノズル部71から二次燃焼室4内に燃焼用ガスを供給することにより、二次燃焼室4へと導かれた未燃ガスが燃焼する。
図1の焼却炉1では、乾燥火格子部31と二次燃焼室4との間の距離が短く、また、前下段ノズル712が燃焼用ガスを高速に噴出する。したがって、
図1中に矢印A2で示すように、乾燥火格子部31の近傍に存在するガス(主として未燃ガス)は前下段ノズル712に引き寄せられる。
【0043】
中間ガス供給部6のノズル部61と同様に、幅方向における二次燃焼室4のサイズに応じて、複数の前上段ノズル711が幅方向に配列され、複数の後上段ノズル713が幅方向に配列されてよい。この場合、前上段ノズル711からのガス流と後上段ノズル713からのガス流との干渉を避けるため、複数の前上段ノズル711と、複数の後上段ノズル713とが幅方向に沿って千鳥状に(すなわち、幅方向の異なる位置に)配置されることが好ましい。同様に、複数の前下段ノズル712が幅方向に配列され、複数の後下段ノズル714が幅方向に配列されてよく、この場合、複数の前下段ノズル712と、複数の後下段ノズル714とが幅方向に沿って千鳥状に配置されることが好ましい。ノズル部71では、上段ノズル711,713および下段ノズル712,714の二段配置に限定されず、一段配置、または、三段以上の多段配置が採用されてもよい。
【0044】
焼却炉1では、酸素濃度センサ24の測定値が所定の目標酸素濃度の近傍(例えば、3~5%の酸素濃度)となるように、二次燃焼室ガス供給部7における二次燃焼室4内への単位時間当たりの燃焼用ガスの供給量(以下、単に「二次燃焼室ガス供給部7における燃焼用ガスの供給量」という。)が制御される。具体的には、酸素濃度センサ24の測定値が目標酸素濃度よりも小さい場合に、二次燃焼室ガス供給部7における燃焼用ガスの供給量が増加される。これにより、二次燃焼室4から排出される排ガスにおけるCO濃度の上昇、および、ダイオキシン類の発生を抑制することが可能となる。また、酸素濃度センサ24の測定値が目標酸素濃度よりも大きい場合に、二次燃焼室ガス供給部7における燃焼用ガスの供給量が減少される。これにより、二次燃焼室4から排出される排ガスの流量を小さくすることが可能となる。なお、二次燃焼室4から排出される排ガスにおけるCO濃度の上昇をより確実に抑制するため、二次燃焼室ガス供給部7における燃焼用ガスの供給量の下限値が設定されてもよい。
【0045】
次に、
図2を参照して、制御部10による火格子部ガス供給部5および中間ガス供給部6の制御について説明する。
図2中のステップS11,S12の処理は、焼却炉1が稼働している間、常時行われる。制御部10では、ボイラ発生蒸気量に基づいて、火格子部ガス供給部5における一次燃焼室3内への単位時間当たりの燃焼用ガスの供給量(以下、単に「火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量」という。)が制御される(ステップS11)。具体的には、蒸気量センサ231の測定値が所定の目標蒸気量よりも大きい場合に、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量が減少される。また、蒸気量センサ231の測定値が目標蒸気量よりも小さい場合に、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量が増加される。
【0046】
このように、蒸気量センサ231の測定値に基づいて火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量を制御することにより、ごみ質の変動等が生じる場合でも、ボイラ発生蒸気量を安定させることが可能となる。本処理例では、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの酸素濃度が一定であるため、燃焼用ガスの供給量の増減は、酸素供給量の増減と等価である(中間ガス供給部6において同様)なお、蒸気量センサ231の測定値に基づいて、複数の火格子部31,32,33におけるごみの搬送速度や、ごみ供給部21におけるごみの供給速度が制御されてもよい。
【0047】
また、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量に基づいて、中間ガス供給部6における一次燃焼室3内への単位時間当たりの燃焼用ガスの供給量(以下、単に「中間ガス供給部6における燃焼用ガスの供給量」という。)が制御される(ステップS12)。具体的には、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量が減少する場合に、中間ガス供給部6における燃焼用ガスの供給量が増加される。また、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量が増加する場合に、中間ガス供給部6における燃焼用ガスの供給量が減少される。このとき、制御部10では、一次燃焼室3内における空気比(以下、「一次燃焼室空気比」という。)が所定範囲内となるように、中間ガス供給部6における燃焼用ガスの供給量が決定されることが好ましい。
【0048】
一次燃焼室空気比は、例えば数1により算出される。
【0049】
【0050】
火格子部ガス供給部5、中間ガス供給部6および二次燃焼室ガス供給部7における燃焼用ガスがいずれも空気である場合、数1中の火格子下空気比および後燃天井空気比は、数2および数3によりそれぞれ求められる。
【0051】
【0052】
【0053】
数2および数3において、炉出口O2濃度は、酸素濃度センサ24の測定値である。火格子下空気量は、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量である。後燃天井空気量は、中間ガス供給部6における燃焼用ガスの供給量である。総流入空気量は、火格子下空気量、後燃天井空気量、および、二次燃焼室ガス供給部7における燃焼用ガスの供給量の合計である。
【0054】
一例では、数1により求められる一次燃焼室空気比が0.95~1.10となるように、酸素濃度センサ24の測定値、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量、および、二次燃焼室ガス供給部7における燃焼用ガスの供給量に基づいて、中間ガス供給部6における燃焼用ガスの供給量が制御される。これにより、ごみ質の変動等が生じる場合でも、一次燃焼室3内における酸素不足による不完全燃焼が抑制される。その結果、一次燃焼室3から二次燃焼室4に流入する排ガスにおける未燃ガスの濃度(特に、CO濃度)の上昇や、ダイオキシン類の発生をより確実に抑制することが可能となる。また、一次燃焼室3から二次燃焼室4に流入する排ガスの流量を小さくすることも可能となる。なお、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量が過度に小さい場合に、中間ガス供給部6のノズル部61におけるガス流速が過度に大きくなって一次燃焼室3内におけるガスの流れが不安定になることを避けるため、ノズル部61におけるガス流速の上限値が設定されてもよい。
【0055】
ここで、中間ガス供給部6における燃焼用ガスの供給量が、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量とは独立して制御される比較例の焼却炉について述べる。比較例の焼却炉では、一次燃焼室3に投入されるごみのごみ質が高く、ボイラ発生蒸気量が大きくなることにより、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量が減少する場合に、一次燃焼室3から二次燃焼室4に流入する排ガスにおいて未燃ガスの濃度が高くなる。この場合、二次燃焼室ガス供給部7のノズル部71から噴出される空気により、二次燃焼室4へと到達した未燃ガスが一気に燃焼し、ノズル部71(特に、前下段ノズル712および後下段ノズル714)の近傍において高温域が形成される。その結果、二次燃焼室4から排出される排ガスにおけるNOx濃度が上昇してしまう。
【0056】
これに対し、
図1の焼却炉1では、制御部10の制御により、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量が減少する場合に、中間ガス供給部6における燃焼用ガスの供給量が増加する。これにより、一次燃焼室3において高い燃焼効率を維持し、一次燃焼室3から二次燃焼室4に流入する排ガスにおいて未燃ガスの濃度を低くすることができる。その結果、比較例の焼却炉のように、二次燃焼室4へと到達した未燃ガスが一気に燃焼することを抑制することができ、二次燃焼室4から排出される排ガスにおけるNOx濃度の上昇を抑制することができる。また、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量が増加する場合に、中間ガス供給部6における燃焼用ガスの供給量が減少する。これにより、一次燃焼室3から二次燃焼室4に流入する排ガスの流量が過度に大きくなることを防止することが可能となる。
【0057】
一次燃焼室3では、後壁部38の上部から前側に広がって二次燃焼室4に接続するとともに、燃焼火格子部32の一部の上方を覆う後天井部37が設けられる。また、中間ガス供給部6のノズル部61が、後天井部37または後壁部38に設けられる。ノズル部61からの燃焼用ガスの噴出により、燃焼火格子部32上において多く発生する未燃ガスをノズル部61に引き寄せることができる。これにより、一次燃焼室3内において後天井部37の下方の大きな空間を未燃ガスの燃焼に有効に利用し、一次燃焼室3から二次燃焼室4に流入する排ガスにおける未燃ガスの濃度をより確実に低くすることが可能となる。その結果、二次燃焼室4から排出される排ガスにおけるNOx濃度の上昇をより確実に抑制することができる。なお、
図1の例では、前天井部36に中間ガス供給部6のノズルが設けられず、中間ガス供給部6から一次燃焼室3内に供給される燃焼用ガスの全てが、後天井部37または後壁部38に設けられるノズル部61から噴出される。したがって、当該ノズル部61において、排ガスを引き寄せるための流速を確保することが容易に可能となる。
【0058】
焼却炉1では、二次燃焼室ガス供給部7のノズル部71が、二次燃焼室4における排ガスの流路に沿って設けられる複数のノズル711~714を含む。これにより、二次燃焼室4内における局所的な燃焼を緩和して、二次燃焼室4から排出される排ガスにおけるNOx濃度の上昇をさらに抑制することができる。
【0059】
図1の中間ガス供給部6における上段ノズル611および下段ノズル612では、燃焼用ガスを噴出する噴出口のサイズ(直径)が、互いに異なっていてもよく、同じであってもよい。また、上段ノズル611および下段ノズル612のうち、一方のノズル(以下、「大口径ノズル」という。)における噴出口のサイズが、他方のノズル(以下、「小口径ノズル」という。)よりも大きい場合に、大口径ノズルにおけるガス流速と小口径ノズルにおけるガス流速とが相違してもよい。
【0060】
制御部10における制御の一例では、大口径ノズルにおけるガス流速を小口径ノズルよりも優先的に変更することにより、中間ガス供給部6における燃焼用ガスの供給量(双方のノズルによる供給量の和)が制御される。詳細には、小口径ノズルにおけるガス流速が一定とされ、大口径ノズルにおけるガス流速が、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量に応じて増減される。小口径ノズルでは、一次燃焼室3内におけるノズル部61への排ガスの引き寄せに必要なガス流速(例えば、35m/s以上の流速)を、比較的小さいガス噴出量にて実現することが可能となる。また、中間ガス供給部6における燃焼用ガスの供給量の制御を、大口径ノズルにおけるガス流速の調整のみにより、容易に行うことができる。
【0061】
上記の制御において、各ノズルにおけるガス流速の下限値が設定されている場合には、大口径ノズルにおけるガス流速が下限値に到達する際に、小口径ノズルにおけるガス流速を減少させることが好ましい。これにより、大口径ノズルにおけるガス流速を下限値を超えて減少させた場合に発生する、大口径ノズルの焼損を防止することができる。なお、一次燃焼室3内において排ガスを連通口39からより離れた位置に(より後側に)引き寄せるという観点では、下段ノズル612が一定量の燃焼用ガスを噴出することが好ましい(以下同様)。
【0062】
また、小口径ノズルにおけるガス流速を大口径ノズルよりも優先的に変更することにより、中間ガス供給部6における燃焼用ガスの供給量が制御されてもよい。詳細には、大口径ノズルにおけるガス流速が一定とされ、小口径ノズルにおけるガス流速が、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量に応じて増減される。大口径ノズルでは、小口径ノズルと比べて、ノズル噴流の貫通力が大きいので、一次燃焼室3内におけるノズル部61への排ガスの引き寄せ効果が大きく、排ガスの引き寄せがより確実に実現される。また、中間ガス供給部6における燃焼用ガスの供給量の制御を、小口径ノズルにおけるガス流速の調整のみにより、容易に行うことができる。本制御例においても、小口径ノズルにおけるガス流速が下限値に到達する際に、大口径ノズルにおけるガス流速を減少させ、小口径ノズルの焼損を防止することが好ましい。
【0063】
図1の中間ガス供給部6では、上段ノズル611および下段ノズル612に対して、1つの燃焼用ガス供給管66が接続されるが、上段ノズル611および下段ノズル612に対して個別の燃焼用ガス供給管66が接続されてもよい。この場合に、好ましい焼却炉1では、上段ノズル611および下段ノズル612の一方に対して、再循環排ガスを含むガス(以下、「低酸素濃度ガス」という。)が燃焼用ガスとして供給される。低酸素濃度ガスは、例えば、再循環排ガスのみを含むガスである。低酸素濃度ガスは、再循環排ガスと空気等との混合ガスであってもよい。また、上段ノズル611および下段ノズル612の他方に対して、低酸素濃度ガスよりも酸素濃度が高いガス(以下、「高酸素濃度ガス」という。)が燃焼用ガスとして供給される。高酸素濃度ガスは、例えば空気または酸素富化ガスである。高酸素濃度ガスは、再循環排ガスと空気または酸素富化ガスとの混合ガスであってもよい。
【0064】
制御部10における制御では、例えば、低酸素濃度ガスを噴出する一方のノズルにおけるガス流速が一定とされる。これにより、一次燃焼室3内におけるノズル部61への排ガスの引き寄せを、より確実に実現することができる。また、高酸素濃度ガスを噴出する他方のノズルにおけるガス流速が、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量に応じて増減される。ここでは、一次燃焼室3内における実際の酸素量と、一次燃焼室3内のごみの燃焼に必要な理論酸素量との比(比の値)が所定範囲内となるように、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量に基づいて、当該他方のノズルにおけるガス流速が制御されることが好ましい。これにより、一次燃焼室3から二次燃焼室4に流入する排ガスにおいて未燃ガスの濃度を、より確実に低くすることができる。また、中間ガス供給部6における燃焼用ガスの供給量の制御を、当該他方のノズルにおけるガス流速の調整のみにより、容易に行うことができる。
【0065】
なお、各ノズルにおけるガス流速の下限値が設定されている場合には、高酸素濃度ガスを噴出する他方のノズルにおけるガス流速が下限値に到達する際に、低酸素濃度ガスを噴出する一方のノズルにおけるガス流速を減少させることが好ましい。これにより、当該他方のノズルにおけるガス流速を下限値を超えて減少させた場合に発生する、当該他方のノズルの焼損を防止することができる。
【0066】
以上のように、制御部10では、高酸素濃度ガスを噴出するノズルにおけるガス流速を、低酸素濃度ガスを噴出するノズルよりも優先的に変更することにより、中間ガス供給部6における燃焼用ガスの供給量が制御される。これにより、低酸素濃度ガスを噴出するノズルにより、一次燃焼室3内におけるノズル部61への排ガスの引き寄せをより確実に実現しつつ、高酸素濃度ガスを噴出するノズルにより、一次燃焼室3内における実際の酸素量を容易に調整することが可能となる。
【0067】
中間ガス供給部6と同様に、二次燃焼室ガス供給部7においても、前上段ノズル711および後上段ノズル713(以下、単に「上段ノズル711、713」ともいう。)と、前下段ノズル712および後下段ノズル714(以下、単に「下段ノズル712、714」ともいう。)とに対して、個別の燃焼用ガス供給管76が接続されてもよい。また、上段ノズル711、713および下段ノズル712、714の一方に対して、低酸素濃度ガスが燃焼用ガスとして供給され、他方に対して高酸素濃度ガスが燃焼用ガスとして供給される場合に、高酸素濃度ガスを噴出するノズルにおけるガス流速を、低酸素濃度ガスを噴出するノズルよりも優先的に変更する制御が行われてもよい。さらに、上段ノズル711,713および下段ノズル712,714の一方を小口径ノズルとし、他方を大口径ノズルとして、小口径ノズルおよび大口径ノズルの一方におけるガス流速を他方よりも優先的に変更する制御が行われてもよい。
【0068】
上記焼却炉1では様々な変形が可能である。
【0069】
上記実施の形態では、火格子部ガス供給部5および中間ガス供給部6において燃焼用ガスの供給量が制御されるが、燃焼用ガスの酸素濃度が制御されてもよい。例えば、再循環排ガスと空気との混合ガスが燃焼用ガスとして利用される場合等に、両者の混合比を変更することにより、燃焼用ガスの酸素濃度を変更することが可能である。ここでは、燃焼用ガスの供給量が一定であるため、燃焼用ガスの酸素濃度の増減は、酸素供給量の増減と等価である。
【0070】
火格子部ガス供給部5では、例えば、蒸気量センサ231の測定値が目標蒸気量よりも大きい場合に、火格子部31,32,33を介して一次燃焼室3内に供給する燃焼用ガスの酸素濃度が減少され、蒸気量センサ231の測定値が目標蒸気量よりも小さい場合に、燃焼用ガスの酸素濃度が増加される。このように、蒸気量センサ231の測定値に基づいて火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの酸素濃度を制御することにより、ボイラ発生蒸気量を安定させることが可能となる。
【0071】
一方、中間ガス供給部6では、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの酸素濃度が減少する場合に、ノズル部61を介して一次燃焼室3内に供給する燃焼用ガスの酸素濃度が増加される。また、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの酸素濃度が増加する場合に、中間ガス供給部6における燃焼用ガスの酸素濃度が減少される。火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの供給量が制御される場合に、中間ガス供給部6における燃焼用ガスの酸素濃度が制御されてもよく、火格子部ガス供給部5における燃焼用ガスの酸素濃度が制御される場合に、中間ガス供給部6における燃焼用ガスの供給量が制御されてもよい。また、中間ガス供給部6および火格子部ガス供給部5において、燃焼用ガスの供給量および酸素濃度の双方が制御されてもよい。
【0072】
以上のように、制御部10では、蒸気量センサ231の測定値に基づいて火格子部ガス供給部5における一次燃焼室3内への酸素供給量(単位時間当たりの酸素供給量)が制御される。また、火格子部ガス供給部5における酸素供給量が減少する場合に中間ガス供給部6における一次燃焼室3内への酸素供給量(単位時間当たりの酸素供給量)が増加され、火格子部ガス供給部5における酸素供給量が増加する場合に中間ガス供給部6における酸素供給量が減少される。これにより、火格子部ガス供給部5における酸素供給量が減少した場合でも、二次燃焼室4へと到達する未燃ガスの濃度を低くすることができる。その結果、二次燃焼室ガス供給部7のノズル部71近傍において高温域が形成されることを防止し、二次燃焼室4から排出される排ガスにおけるNOx濃度の上昇を抑制することができる。
【0073】
焼却炉1では、一次燃焼室3内における実際の酸素量と理論酸素量との比が所定範囲内となるように、火格子部ガス供給部5における酸素供給量に基づいて中間ガス供給部6における酸素供給量が制御されることが好ましい。これにより、一次燃焼室3から二次燃焼室4に流入する排ガスにおいて未燃ガスの濃度を、より確実に低くすることができる。
【0074】
火格子部ガス供給部5における酸素供給量は、蒸気量センサ231以外のセンサを用いた測定値に基づいて制御されてもよい。例えば、一次燃焼室3内に設けられた温度センサの測定値、酸素濃度センサ24の測定値、体積センサを用いて得られる焼却量の測定値、一次燃焼室3の内部および燃焼火格子部32の下方に設けられる2つの圧力センサを用いて得られるごみ層厚の測定値、または、熱画像センサを用いて得られるごみの燃え切り位置の測定値等が利用可能である。以上のように、火格子部ガス供給部5における酸素供給量は、所定のセンサを用いて得られる様々な測定値に基づいて制御することが可能である。
【0075】
上記実施の形態では、二次燃焼室4の下端(連通口39)から後側に広がる後天井部37または後壁部38に中間ガス供給部6のノズル部61が設けられるが、焼却炉1の構造によっては、二次燃焼室4の下端から前側に広がる前天井部36にノズル部61が設けられてもよい。また、前天井部36の前端から下方に広がる前壁部が設けられ、当該前壁部にノズル部61が設けられてもよい。一次燃焼室3では、二次燃焼室4の下端から前側または後側の一方側に広がって、燃焼火格子部32の少なくとも一部の上方を覆う天井部が設けられ、当該天井部または当該天井部に接続する当該一方側の壁部に、中間ガス供給部6のノズル部61が設けられることが好ましい。
【0076】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0077】
1 焼却炉
3 一次燃焼室
4 二次燃焼室
5 火格子部ガス供給部
6 中間ガス供給部
7 二次燃焼室ガス供給部
10 制御部
31 乾燥火格子部
32 燃焼火格子部
33 後燃焼火格子部
37 後天井部
38 後壁部
61 (中間ガス供給部の)ノズル部
71 (二次燃焼室ガス供給部の)ノズル部
231 蒸気量センサ
611 上段ノズル
612 下段ノズル
711~714 (二次燃焼室ガス供給部の)ノズル
S11,S12 ステップ