IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本金銭機械株式会社の特許一覧

特許7199336コイン洗浄ユニットおよびそれが組み込まれたコイン洗浄装置
<>
  • 特許-コイン洗浄ユニットおよびそれが組み込まれたコイン洗浄装置 図1
  • 特許-コイン洗浄ユニットおよびそれが組み込まれたコイン洗浄装置 図2
  • 特許-コイン洗浄ユニットおよびそれが組み込まれたコイン洗浄装置 図3
  • 特許-コイン洗浄ユニットおよびそれが組み込まれたコイン洗浄装置 図4
  • 特許-コイン洗浄ユニットおよびそれが組み込まれたコイン洗浄装置 図5
  • 特許-コイン洗浄ユニットおよびそれが組み込まれたコイン洗浄装置 図6
  • 特許-コイン洗浄ユニットおよびそれが組み込まれたコイン洗浄装置 図7
  • 特許-コイン洗浄ユニットおよびそれが組み込まれたコイン洗浄装置 図8
  • 特許-コイン洗浄ユニットおよびそれが組み込まれたコイン洗浄装置 図9
  • 特許-コイン洗浄ユニットおよびそれが組み込まれたコイン洗浄装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】コイン洗浄ユニットおよびそれが組み込まれたコイン洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20221223BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20221223BHJP
   B08B 1/02 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
G07D9/00 C
B08B3/04 B
B08B1/02
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019206422
(22)【出願日】2019-11-14
(65)【公開番号】P2021081801
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000230858
【氏名又は名称】日本金銭機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174816
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 貴久
(74)【代理人】
【識別番号】100192692
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】松田 篤政
(72)【発明者】
【氏名】新谷 直也
【審査官】葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-071043(JP,A)
【文献】特開昭48-006799(JP,A)
【文献】特開2004-086468(JP,A)
【文献】特開2004-086454(JP,A)
【文献】特開平06-086865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
B08B 1/00- 1/04
B08B 3/00- 3/14
B08B 5/00-13/00
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コインをガイドレールに沿って通過させながら洗浄するコイン洗浄ユニットであって、
少なくとも水または洗浄液を用いながら、前記コインに付着している汚れを除去する第1の除去手段と、
前記第1の除去手段を通過したコインに残存している汚れを除去する第2の除去手段と、
前記第2の除去手段を通過したコインを乾燥させる乾燥手段と、
前記乾燥手段を通過したコインを払拭する払拭手段とを備え、
前記第1の除去手段、前記第2の除去手段、前記乾燥手段、および前記払拭手段は、順に下方から上方に傾斜するように配置されており、
前記第1の除去手段では、前記コインの進行方向に沿って先細り形状に配置される少なくとも一群のブラシを備える複数のブラシユニットにより、前記コインの両面側から当該コインを挟むように当該一群のブラシが当接することによって前記コインに付着している汚れを除去し、
前記少なくとも一群のブラシは、前記コインに対向するように配置される際には、互いにずれて配置され、
前記複数のブラシユニットは、前記一群のブラシが挿入可能な孔が設けられている取付部材に取り付けられており、前記少なくとも一群のブラシは、前記取付部材の前記孔から突出した状態であることを特徴とする、コイン洗浄ユニット。
【請求項2】
前記複数のブラシユニットは上下方向に対向するように配置されており、下側に配置されたブラシユニットに取り付けられた取付部材は、前記コインが通過するための前記ガイドレールが設けられており、前記ガイドレールには前記孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコイン洗浄ユニット。
【請求項3】
前記乾燥手段は、前記コインに気流を送るためのダクトを含み、前記第2の除去手段を通過したコインに対して送風することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のコイン洗浄ユニット。
【請求項4】
前記ダクトは、前記第2の除去手段側にも気流が送られるように構成されていることを特徴とする、請求項に記載のコイン洗浄ユニット。
【請求項5】
前記ダクトは、前記払拭手段側にも気流が送られるように構成されていることを特徴とする、請求項または請求項に記載のコイン洗浄ユニット。
【請求項6】
前記ダクトには、前記コインが通過する開口部が設けられており、当該開口部を介して当該ダクト内から前記第2の除去手段側および/または前記払拭手段側に気流が送られることを特徴とする、請求項乃至請求項のいずれかに記載のコイン洗浄ユニット。
【請求項7】
前記第2の除去手段は、前記第1の除去手段に含まれるブラシよりもきめ細かい除去部材で構成されることを特徴とする、請求項1乃至請求項のいずれかに記載のコイン洗浄ユニット。
【請求項8】
前記第2の除去手段は、前記コインの両面側から当該コインを挟むように、それぞれ前記除去部材が当接することによって当該コインに残存している汚れを除去することを特徴とする、請求項に記載のコイン洗浄ユニット。
【請求項9】
前記除去部材は、前記コインと同一方向に走行する無端ベルトで構成されることを特徴とする、請求項または請求項に記載のコイン洗浄ユニット。
【請求項10】
前記無端ベルトが走行する速度は、前記コインが走行する速度よりも遅いことを特徴とする、請求項に記載のコイン洗浄ユニット。
【請求項11】
前記無端ベルトの回転において、所定位置には、前記除去部材を挟み込む狭窄部が備えられていることを特徴とする、請求項10に記載のコイン洗浄ユニット。
【請求項12】
前記払拭手段は、前記コインに残存する水分を払拭する払拭部材で構成されることを特徴とする、請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のコイン洗浄ユニット。
【請求項13】
前記払拭手段は、前記コインの両面側から当該コインを挟むように、それぞれ前記払拭部材が当接することによって当該コインに残存している水分を払拭することを特徴とする、請求項12に記載のコイン洗浄ユニット。
【請求項14】
前記払拭部材は、前記コインと同一方向に走行する無端ベルトで構成されることを特徴とする、請求項12または請求項13に記載のコイン洗浄ユニット。
【請求項15】
前記無端ベルトが走行する速度は、前記コインが走行する速度よりも遅いことを特徴とする、請求項14に記載のコイン洗浄ユニット。
【請求項16】
前記無端ベルトの回転において、所定位置には、前記払拭部材を挟み込む狭窄部が備えられていることを特徴とする、請求項15に記載のコイン洗浄ユニット。
【請求項17】
前記第2の除去手段と前記払拭手段とは同一の構成であることを特徴とする、請求項1乃至請求項16のいずれかに記載のコイン洗浄ユニット。
【請求項18】
請求項1乃至請求項17のいずれかに記載のコイン洗浄ユニットが組み込まれたコイン洗浄装置。
【請求項19】
前記払拭手段を通過したコインを、当該コインが使用される他の装置へ導く連結ガイドをさらに備える、請求項18に記載のコイン洗浄装置。
【請求項20】
コインをガイドレールに沿って通過させながら洗浄するコイン洗浄ユニットによって実行されるコイン洗浄方法であって、
少なくとも水または洗浄液を用いながら、前記コインに付着している汚れを除去する第1の除去ステップと、
前記第1の除去ステップの後、前記コインに残存している汚れを除去する第2の除去ステップと、
前記第2の除去ステップの後、前記コインを乾燥させる乾燥ステップと、
前記乾燥ステップの後、前記コインを払拭する払拭ステップとを含み、
前記第1の除去ステップでは、前記コインの進行方向に沿って先細り形状に配置される少なくとも一群のブラシを備える複数のブラシユニットにより、前記コインの両面側から当該コインを挟むように当該一群のブラシが当接することによって前記コインに付着している汚れを除去し、
前記少なくとも一群のブラシは、前記コインに対向するように配置される際、互いにずれて配置され、
前記複数のブラシユニットは、前記一群のブラシが挿入可能な孔が設けられている取付部材に取り付けられており、前記少なくとも一群のブラシは、前記取付部材の前記孔から突出した状態であることを特徴とする、コイン洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コインを洗浄するコイン洗浄ユニットおよびそれが組み込まれたコイン洗浄装置に関し、より特定的には、コインを搬送しながら当該コインを洗浄するコイン洗浄ユニットおよびそれが組み込まれたコイン洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、スロットマシン等の遊技機、自動販売機、硬貨識別(選別)機、および金融機関等に設置されている現金自動預け払い機(ATM)等、コインを投入し、それらを蓄蔵したり、返却したりするコイン処理装置がある。
【0003】
このようなコイン処理装置において繰り返し使用されるコインは、汚れたり、傷が付いたりし、また、傷が付いた箇所には、さらに汚れが蓄積するものである。このため、これらのコインを洗浄するコイン洗浄装置がある。
【0004】
従来のコイン洗浄装置は、水で濡らした一対のロールブラシ間にコインを通過させ、当該ロールブラシのブラシ毛で当該コインを研磨しながら、当該コインの表面に付着した汚れを取り除いている。
【0005】
例えば、特許文献1には、連続的に送られてくるコインの表面を濡れたブラシ毛で擦ることによって当該コインの表面を研磨する研磨部と、研磨後のコインの表面の水分を除去する水分除去部とを有するコイン研磨装置が開示されている。さらに、当該コイン研磨装置は、研磨部で使用された水およびコインから剥離されたゴミを回収し、ロール状布ベルトに吸水付着させて、これらを乾式に回収するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3196398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されているコイン研磨装置では、ブラシ毛を水で濡らして、当該濡れたブラシ毛を繰り返して使用しているため、当該濡れたブラシ毛で研磨されるコインの表面には微量の水分が残り、当該水分の影響もあって、コインの表面に汚れまたはゴミが微量に残ってしまうという問題がある。
【0008】
それ故に、本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的の1つは、コインを洗浄する際に、当該コインの表面に水分が残ることを軽減することによって、コインの表面に汚れが残ることを防止し、当該コインをよりきれいに洗浄することができるコイン洗浄ユニットおよびそれが組み込まれたコイン洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも以下のような構成を備え、もしくは手順を実行する。なお、以下の説明において、本発明の理解を容易にするために図面に示されている符号等を付記する場合があるが、本発明の各構成要素は、図面に示されているものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0010】
本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、コインをガイドレールに沿って通過させながら洗浄するコイン洗浄ユニットであって、少なくとも水または洗浄液を用いながら、前記コインに付着している汚れを除去する第1の除去手段と、前記第1の除去手段を通過したコインに残存している汚れを除去する第2の除去手段と、前記第2の除去手段を通過したコインを乾燥させる乾燥手段と、前記乾燥手段を通過したコインを払拭する払拭手段とを備え、前記第1の除去手段、前記第2の除去手段、前記乾燥手段、および前記払拭手段は、順に下方から上方に傾斜するように配置されていることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、コインを洗浄する際に、第1の除去手段および第2の除去手段によって汚れを除去し、乾燥手段によって乾燥させ、さらに、払拭手段によって払拭する。その結果、当該コインの表面に水分が残ることを軽減し、コインの表面に汚れが残ることを防止し、当該コインをよりきれいに洗浄することができる。
さらに、前記第1の除去手段、前記第2の除去手段、前記乾燥手段、および前記払拭手段は、順に下方から上方に傾斜しているため、水または洗浄液は下方において収集することができ、乾燥したコインが再び濡れてしまうことを防止することができる。
【0011】
また、好ましくは、前記第1の除去手段は、前記コインの両面側から当該コインを挟むように、それぞれブラシが当接することによって当該コインに付着している汚れを除去することを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、前記コインの両面側から当該コインを挟むように、それぞれブラシが当接するため、前記第1の除去手段にコインを通過させることによって、当該コイン両面に付着している汚れを除去することができる。
【0012】
また、好ましくは、前記第1の除去手段は、前記コインの進行方向に沿って先細り形状に配置される少なくとも一群のブラシで構成されることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、一群のブラシが前記コインの進行方向に沿って先細り形状に配置されるため、コインの進行を妨害することなく、当該コインをよりきれいに洗浄することができる。
【0013】
また、好ましくは、前記少なくとも一群のブラシは、前記コインの両面側から対向するように配置される際には、互いにずれて配置されることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、前記コインの両面側からの押圧力によってコインの進行を妨害することなく、当該コインをよりきれいに洗浄することができる。また、前記コインの両面側に配置する部材は、一種の共通の部材を適用することができるため、生産性の効率化および低コスト化が可能となる。
【0014】
また、好ましくは、前記乾燥手段は、前記コインに気流を送るためのダクトを含み、前記第2の除去手段を通過したコインに対して送風することを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、効率よくコインを乾燥させることができる。
【0015】
また、好ましくは、前記ダクトは、前記第2の除去手段側にも気流が送られるように構成されていることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、仮にコインに水分が付着していたとしても、当該水分を下方に収集させることができる。
【0016】
また、好ましくは、前記ダクトは、前記払拭手段側にも気流が送られるように構成されていることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、仮にコインに付着していた水分を払拭手段で払拭し、当該払拭手段が濡れている状態であったとしても、当該払拭手段を乾燥させることができる。
【0017】
また、好ましくは、前記ダクトには、前記コインが通過する開口部が設けられており、当該開口部を介して当該ダクト内から前記第2の除去手段側および/または前記払拭手段側に気流が送られることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、前記コインが通過する開口部に気流が送られるため、別途、気流を送るための開口部を設ける必要がなく、さらに、生産性の効率化および低コスト化が可能となる。
【0018】
また、好ましくは、前記第2の除去手段は、前記第1の除去手段に含まれるブラシよりもきめ細かい除去部材で構成されることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、前記第1の除去手段で除去し切れなかった残存する細かい汚れを除去することができる。
【0019】
また、好ましくは、前記第2の除去手段は、前記コインの両面側から当該コインを挟むように、それぞれ前記除去部材が当接することによって当該コインに残存している汚れを除去することを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、前記コインの両面側から当該コインを挟むように、それぞれ除去部材が当接するため、前記第2の除去手段にコインを通過させることによって、当該コイン両面に残存している汚れを除去することができる。
【0020】
また、好ましくは、前記除去部材は、前記コインと同一方向に走行する無端ベルトで構成されることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、前記除去部材のうち前記コインに当接する箇所が変更されるため、当該除去部材のうち一部が局所的に消耗および汚れることを軽減することができる。
また、コインと同一方向に走行するため、コインの走行を阻害しないようにすることができる。
【0021】
また、好ましくは、前記無端ベルトが走行する速度は、前記コインが走行する速度よりも遅いことを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、コインに残存している汚れを確実に除去しつつ、コインの走行に影響を与えないようにすることができる。
【0022】
また、好ましくは、前記無端ベルトの回転において、所定位置には、前記除去部材を挟み込む狭窄部が備えられていることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、前記除去部材に吸収された水分を絞り出して排出することができるとともに、当該排出される水分と一緒に当該除去部材に蓄積された汚れも排出することができる。
【0023】
また、好ましくは、前記払拭手段は、前記コインに残存する水分を払拭する払拭部材で構成されることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、コインに残存する水分を、より確実に払拭することができる。
【0024】
また、好ましくは、前記払拭手段は、前記コインの両面側から当該コインを挟むように、それぞれ前記払拭部材が当接することによって当該コインに残存している水分を払拭することを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、前記コインの両面側から当該コインを挟むように、それぞれ払拭部材が当接するため、前記払拭手段にコインを通過させることによって、当該コイン両面に残存している水分を払拭することができる。
【0025】
また、好ましくは、前記払拭部材は、前記コインと同一方向に走行する無端ベルトで構成されることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、前記払拭部材のうち前記コインに当接する箇所が変更されるため、当該払拭部材のうち一部が局所的に消耗および汚れることを軽減することができる。
また、コインと同一方向に走行するため、コインの走行を阻害しないようにすることができる。
【0026】
また、好ましくは、前記無端ベルトが走行する速度は、前記コインが走行する速度よりも遅いことを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、コインに残存している水分を確実に払拭しつつ、コインの走行に影響を与えないようにすることができる。
【0027】
また、好ましくは、前記無端ベルトの回転において、所定位置には、前記払拭部材を挟み込む狭窄部が備えられていることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、前記払拭部材に吸収された水分を絞り出して排出することができる。
【0028】
また、好ましくは、前記第2の除去手段と前記払拭手段とは同一の構成であることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、一種の共通の部材を適用することができるため、生産性の効率化および低コスト化が可能となる。
【0029】
また、本発明の一局面に係るコイン洗浄装置は、上述したコイン洗浄ユニットが組み込まれていることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄装置は、上述したコイン洗浄ユニットが組み込まれているため、コインを洗浄する際に、第1の除去手段および第2の除去手段によって汚れを除去し、乾燥手段によって乾燥させ、さらに、払拭手段によって払拭する。その結果、当該コインの表面に水分が残ることを軽減し、コインの表面に汚れが残ることを防止し、当該コインをよりきれいに洗浄することができる。
さらに、前記第1の除去手段、前記第2の除去手段、前記乾燥手段、および前記払拭手段は、順に下方から上方に傾斜しているため、水または洗浄液は下方において収集することができ、乾燥されたコインが再び濡れてしまうことを防止することができる。
【0030】
また、好ましくは、本発明の一局面に係るコイン洗浄装置は、前記払拭手段を通過したコインを、当該コインが使用される他の装置へ導く連結ガイドをさらに備える。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットは、洗浄されたコインを当該コインが使用される他の装置へ直接導くことができる。その結果、コイン洗浄装置によって洗浄されたコインを取り出して、当該コインが使用される他の装置へ別途搬送するという工数を軽減することができる。
【0031】
また、本発明の一局面に係るコイン洗浄方法は、コインをガイドレールに沿って通過させながら洗浄するコイン洗浄ユニットによって実行されるコイン洗浄方法であって、少なくとも水または洗浄液を用いながら、前記コインに付着している汚れを除去する第1の除去ステップと、前記第1の除去ステップの後、前記コインに残存している汚れを除去する第2の除去ステップと、前記第2の除去ステップの後、前記コインを乾燥させる乾燥ステップと、前記乾燥ステップの後、前記コインを払拭する払拭ステップとを含む。
かかる構成により、本発明の一局面に係るコイン洗浄方法は、コインを洗浄する際に、当該コインの表面に水分が残ることを軽減することによって、コインの表面に汚れが残ることを防止し、当該コインをよりきれいに洗浄することができる。
【0032】
さらに、上述した本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットおよびコイン洗浄装置が行うそれぞれの処理は、一連の処理手順を与えるコイン洗浄方法として捉えることができる。この方法は、一連の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムの形式で提供される。このプログラムは、所定のサーバからダウンロードする形態で、プログラムが格納された所定のサーバにインターネット経由でアクセスする形態で、もしくはコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録された形態で、コンピュータに導入されてもよい。また、上述した本発明の一局面に係るコイン洗浄ユニットを構成する一部又は全部の機能ブロックは、集積回路であるLSI(Large-Scale Integration)等として実現されてもよい。
【発明の効果】
【0033】
以上のように、本発明によれば、コインを洗浄する際に、当該コインの表面に水分が残ることを軽減することによって、コインの表面に汚れが残ることを防止し、当該コインをよりきれいに洗浄することができるコイン洗浄ユニットを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態に係るコイン洗浄装置10の外観および内部構造の概略を示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るコイン洗浄装置10の内部構造の概略を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100の概略を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100の各機能を示す機能ブロック図である。
図5】本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100が実行するコイン洗浄方法500を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100の内部構造を示す平面図および正面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100における第1の除去手段110を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100における第1の除去手段110の詳細を示す展開斜視図である。
図9】本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100における第1の除去手段110を構成する第1のブラシユニット111(第2のブラシユニット114)を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100における乾燥手段130の詳細を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、あくまで、本発明を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本発明を限定的に解釈させるものではない。
【0036】
<コイン洗浄装置の概要>
図1は、本発明の一実施形態に係るコイン洗浄装置10の外観および内部構造の概略を示す正面図である。図1(A)において、コイン洗浄装置10は、通常、使用時には、カバーが装着されているため、内部は保護され、当該内部構造は外部から視認できないようになっている。図1(B)において、コイン洗浄装置10は、カバーが取り外されて、内部構造が視認できるようになっており、例えば、部品交換時および異常時には、内部を容易に確認することができる。
【0037】
図2は、本発明の一実施形態に係るコイン洗浄装置10の内部構造の概略を示す斜視図である。図2において、コイン洗浄装置10は、カバーが取り外されており、コイン洗浄ユニット100が組み込まれていることが確認できる。コイン洗浄ユニット100は、コイン取込口101からコイン排出口102に向かって上方に傾斜するように配置されている。
【0038】
図3は、本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100の概略を示す斜視図であり、図4は、本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100の各機能を示す機能ブロック図である。コイン洗浄ユニット100は、第1の除去手段110と、第2の除去手段120と、乾燥手段130と、払拭手段140とを備える。
【0039】
コイン洗浄ユニット100のコイン取込口101から1枚ずつ順にコインが取り込まれ、ガイドレールに導かれる。典型的には、多数のコインを回転盤を用いて1枚ずつ取り込みながら、確実に1枚ずつ送出するように、いわゆるコインホッパーからコイン取込口101を介してガイドレールに導かれる。ガイドレールにはコインが1枚ずつ送り込まれるため、コインは、次に送り込まれるコインに押されるようにして、順にガイドレールに沿って走行する。
【0040】
第1の除去手段110は、コイン取込口101から取り込まれたコインを少なくとも水または洗浄液を用いながら、当該コインに付着している汚れを除去する。ここでは、主に、コインの両面側から当該コインを挟むように、それぞれブラシが当接することによって当該コインに付着している汚れを除去する。さらに、タンクに貯水された水または洗浄液をチューブポンプを介してブラシおよび/またはコインを濡らすことによって、コインに付着している汚れを除去し易くしている。
【0041】
第2の除去手段120は、第1の除去手段110を通過したコインに残存している汚れを除去する。ここでは、主に、コインの両面側から当該コインを挟むように、それぞれ除去部材が当接することによって当該コインに残存している汚れを除去する。なお、第2の除去手段120を構成する除去部材としては、第1の除去手段110に含まれるブラシよりもきめ細かいものが用いられ、例えば、柔らかくて毛細いブラシまたはスポンジ素材等がある。
【0042】
スポンジ素材を除去部材として用いると、第1の除去手段110で除去しきれず残存している汚れを除去できるとともに、第1の除去手段110の際に用いた水または洗浄液がコインに付着していたとしても吸収することができる。
【0043】
乾燥手段130は、第2の除去手段120を通過したコインを乾燥させる。具体的には、コインに対して送風することによって、当該コインを乾燥させる。
【0044】
第1の除去手段110において水または洗浄液を用いているため、第2の除去手段120でコインに付着した水分を吸収したとしても、特に、コインの凹凸部分等には、当該水分の全てを吸収しきれずに、残存している可能性もある。このような残存する水分がコインの劣化を誘発し、汚れが蓄積したり、ゴミが付着し易くなったりする原因となる場合がある。
【0045】
乾燥手段130では、コインに残存している水分を乾燥させて取り除くことによって、コインの劣化を防止し、コインに汚れが蓄積したり、ゴミが付着し易くなったりすることを軽減している。
【0046】
払拭手段140は、乾燥手段130を通過したコインを払拭する。上述したように、コインに水分が残存することは、コインの劣化を誘発し、汚れおよびゴミが蓄積される原因となるため、徹底的に取り除くことが好ましい。払拭手段140は、例えば、乾燥しているスポンジまたは布を用いてコインを払拭することによって、水分を徹底的に取り除くとともに、一連のコイン洗浄の仕上げをしている。
【0047】
そして、コイン排出口102から1枚ずつコインが排出される。
【0048】
上記一連のコイン洗浄方法は、コイン取込口101から取り込まれたコインが、ガイドレールに沿って、第1の除去手段110、第2の除去手段120、乾燥手段130、および払拭手段140を順に通過して、コイン排出口102に排出されることによって実行される。
【0049】
図5は、本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100が実行するコイン洗浄方法500を示すフローチャートである。図5において、コイン洗浄方法500は、第1の除去ステップ510と、第2の除去ステップ520と、乾燥ステップ530と、払拭ステップ540とを含み、上述した第1の除去手段110、第2の除去手段120、乾燥手段130、および払拭手段140によって順に実行される。
【0050】
ここで、第1の除去手段110、第2の除去手段120、乾燥手段130、および払拭手段140は、下方から上方に傾斜するように配置されており、水または洗浄液は下方において収集することができ、乾燥されたコインが再び濡れてしまうことを防止している。より具体的には、第1の除去手段110(第1の除去ステップ510)で用いた水または洗浄液がコインに付着したまま、第2の除去手段120(第2の除去ステップ520)、乾燥手段130(乾燥ステップ530)、または払拭手段140(払拭ステップ540)に持ち越されたとしても、第1の除去手段110、第2の除去手段120、乾燥手段130、および払拭手段140は、下方から上方に傾斜するように配置されているため、コイン排出口102側に留まる可能性は低く、例えば、第1の除去手段110近傍に配置された排水タンクに収集される。
【0051】
以上のように、本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100、それが組み込まれたコイン洗浄装置10、およびコイン洗浄方法500によれば、コインを洗浄する際に、第1の除去手段110および第2の除去手段120によって汚れを除去し、乾燥手段130によって乾燥させ、さらに、払拭手段140によって払拭するため、当該コインの表面に水分が残ることを軽減し、コインの表面に汚れが残ることを防止し、当該コインをよりきれいに洗浄することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、コインホッパーからコイン取込口101に1枚ずつコインを送出していたが、これに限定されるものではなく、ガイドレールを2列以上にして、当該複数のガイドレールにそれぞれコインを送出するような構成であっても構わない。
【0053】
次に、上述した本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100を構成する第1の除去手段110、第2の除去手段120、乾燥手段130、および払拭手段140について、それぞれより具体的に詳細を説明する。
【0054】
図6は、本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100の内部構造を示す平面図および正面図である。図6において、順に、第1の除去手段110、第2の除去手段120、乾燥手段130、および払拭手段140が配置されており、第1の除去手段110、第2の除去手段120、および払拭手段140については、コインが通過するガイドレールを挟んで上下に同様の部材が配置されている。
【0055】
また、モーター150が配置されており、モーター150は、後述する第2の除去手段120における無端ベルトおよび払拭手段140における無端ベルトの回転を制御している。
【0056】
<第1の除去手段110の具体的構成>
図7は、本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100における第1の除去手段110を示す図であり、図8は、本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100における第1の除去手段110の詳細を示す展開斜視図である。第1の除去手段110は、第1のブラシユニット111と、第1の取付部材112と、第2の取付部材113と、第2のブラシユニット114とを含む。
【0057】
第1のブラシユニット111は、下方に延びるブラシを備えており、第1の取付部材112は、当該ブラシの配置(形状)に対応するように孔が設けられている。ブラシが孔に嵌まり込むことによって、当該ブラシが下方に突出する状態で、第1のブラシユニット111は、第1の取付部材112に取り付けられる。第1のブラシユニット111と第1の取付部材112とは、典型的には、ネジ等によって固定されて取り付けられる。
【0058】
第2のブラシユニット114は、上方に延びるブラシを備えており、第2の取付部材113は、当該ブラシの配置(形状)に対応するように孔が設けられている。ブラシが孔に嵌まり込むことによって、当該ブラシが上方に突出する状態で、第2のブラシユニット114は、第2の取付部材113に取り付けられる。第2のブラシユニット114と第2の取付部材113とは、典型的には、ネジ等によって固定されて取り付けられる。
【0059】
図7に示すように、第1のブラシユニット111は第1の取付部材112に取り付けられてブラシの一部(先端部)が下方に突出しており、第2のブラシユニット114は第2の取付部材113に取り付けられてブラシの一部(先端部)が上方に突出している。そして、第1のブラシユニット111におけるブラシと第2のブラシユニット114におけるブラシとが対向し、その空隙に形成された搬送路103をコインが通過する。
【0060】
第1の除去手段110では、コインの両面側から当該コインを挟むように、それぞれブラシが当接することによって当該コインに付着している汚れを除去する。
【0061】
なお、ここでは、第1のブラシユニット111と第2のブラシユニット114とは、同一の構成であり、このように一種の共通する部材においてブラシ部分が対向するように配置される。一種の共通の部材を適用することができるため、生産性の効率化および低コスト化が可能となる。
【0062】
図9は、本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100における第1の除去手段110を構成する第1のブラシユニット111(第2のブラシユニット114)を示す図である。図9(A)正面図に示すように、一群のブラシ111Aがコインの進行方向に沿って先細り形状に配置されている。ここでは、一群のブラシ111Aと同様のブラシ群が全部で3つ、コインの進行方向に沿って配置されている。
【0063】
一群のブラシ111Aは、左右のブラシ群によって構成されており、当該左右のブラシ群は、コインの進行方向に沿って左右対称となるように構成されていても構わないが、ここでは、コインの進行方向にずれて(段違いに)配置されている。
【0064】
このように、一群のブラシ111Aがコインの進行方向に沿って先細り形状に配置されるため、コインが搬送路103を通過する際に、コインがブラシに引っ掛かって進行を妨害される可能性が軽減される。
【0065】
第1のブラシユニット111と第2のブラシユニット114とは同一の構成であり、当該同一の構成の部材を、通過するコインの両面側から当該コインを挟むように対向させて配置すれば、一群のブラシ111Aのうち左右のブラシ群がコインの進行方向にずれて配置されているため、上下方向においては、ブラシが互いにずれて配置されることになる。換言すれば、コインが搬送路103を通過する際には、上下方向からそれぞれブラシが当接することになるが、ブラシが上下方向において一致せず、ずれて配置されていることになり、上下方向の位置において、コインの一方側だけブラシが当接していることになる。
【0066】
その結果、コインの両面側からの押圧力によってコインの進行を妨害する可能性をさらに軽減している。
【0067】
なお、ここで用いられるブラシは、図9に示すように、一定の長さであるが、これに限定されるものではなく、コインの進行を妨害せず、コインに付着している汚れを除去できる構成であれば、例えば、コインの大きさ、形状、および材質に応じて、およびブラシの配置位置に応じて、異なる長さのブラシを用いても構わない。また、ブラシの硬さも同一であっても構わないし、配置位置に応じて異なる硬さのブラシを用いても構わない。
【0068】
<第2の除去手段120の具体的構成>
第2の除去手段120は、第1の除去手段110によって除去し切れなかった残存する細かい汚れを除去する。より具体的には、第1の除去手段110では、水または洗浄液を用いながらブラシによってコインに付着した汚れを除去したが、ブラシでは除去しきれない汚れが残存していたり、第1の除去手段110で使用した水または洗浄液がコインに付着していたりする場合がある。第2の除去手段120では、第1の除去手段110に含まれるブラシよりもきめ細かい除去部材を用いることにより、第1の除去手段110によって除去し切れなかった残存する細かい汚れを除去する。
【0069】
第2の除去手段120は、コインの両面側から当該コインを挟むように、それぞれ除去部材が当接することによって当該コインに残存している汚れを除去する。なお、第2の除去手段120を構成する除去部材としては、例えば、柔らかくて毛細いブラシまたはスポンジ素材等がある。
【0070】
スポンジ素材を除去部材として用いると、第1の除去手段110で除去しきれず残存している汚れを除去できるとともに、第1の除去手段110の際に用いた水または洗浄液がコインに付着していたとしても吸収することができる。第1の除去手段110における水および洗浄液の効果で浮き上がった汚れをスポンジにより拭き取っているとも言える。
【0071】
なお、第2の除去手段120における除去部材は、第1の除去手段110で除去しきれず、コインに残存している汚れを除去するとともに、水または洗浄液も吸収する。このため、除去部材には汚れおよび水分が蓄積してしまうことがあり、このように汚れおよび水分が蓄積された除去部材を継続して使用していると、コインを洗浄できず、逆に、コインを汚してしまうおそれもある。
【0072】
そこで、第2の除去手段120における除去部材は、図6に示すように無端ベルトで構成され、当該無端ベルトは、コインの走行方向と同一方向に走行する。その結果、コインに当接する箇所が一か所に留まらないため、除去部材のうち一部が局所的に消耗および汚れることを軽減することができる。また、コインと同一方向に走行させて、コインの走行を阻害しないようしている。
【0073】
さらに、無端ベルトの走行は、典型的には、モーター150によって駆動され制御されており、無端ベルトが走行する速度は、コインが走行する速度よりも遅く設定する。これにより、コインに残存している汚れを確実に除去しつつ、コインの走行に影響を与えないようにすることができる。
【0074】
なお、無端ベルトが走行する方向および速度は、これに限定されるものではなく、例えば、コインの大きさ、形状、および材質に応じて、速度を早くしても構わないし、コインが走行する方向と逆方向にしても構わない。無端ベルトが走行する方向をコインが走行する方向と逆方向にすれば、除去部材とコインとの摩擦が大きくなり、コインに残存している汚れおよび水分をより確実に除去することができる。
【0075】
また、無端ベルトの回転において、所定位置には、除去部材を挟み込む狭窄部121が備えられている。狭窄部121は、除去部材を挟み込むことによって、除去部材に吸収された水分を絞り出しているため、継続して除去部材を使用する中で、当該除去部材が吸収した水分が蓄積されないようにしているとともに、絞り出される水分と一緒に当該除去部材に吸収された汚れも排出することができる。
【0076】
なお、図6に示すように、第2の除去手段120における除去部材の構成は、コインの(表裏側)上下側において同様の構成であることは言うまでもない。
【0077】
<乾燥手段130の具体的構成>
図10は、本発明の一実施形態に係るコイン洗浄ユニット100における乾燥手段130の詳細を示す斜視図である。図10において、乾燥手段130は、例えば、ブロワー等によって発生する気流をコインに送るためのダクト131を備えており、コインは、当該ダクト131のコイン入口部131Aからダクト131内に侵入し、ダクト131内を通過して、反対側のコイン出口部131Bから出ていく。
【0078】
ダクト131内では、通過するコインには、ブロワーから送られてくる気流によって風が吹き付けられ、または滞留している気流によって風が当たり、当該コインを乾燥させる。上述したように第2の除去手段120におけるスポンジ等の除去部材によって、コインに付着している水分を吸収したが、乾燥手段130では、風を当てることによってコインに残存している水分を取り除く。
【0079】
第2の除去手段120で吸収できずに、仮に、コインに水分が残存していたとしても、風を当てることによって、効率よくコインを乾燥させることができる。
【0080】
さらに、ダクト131には、コインが侵入してくるコイン入口部131Aが設けられているため、当該コイン入口部131Aから第2の除去手段120に向かって風が出力される。これにより、仮に、コインに水分が付着していた場合であっても、当該風の流れに沿って第2の除去手段120に向かって水分が流れ、当該水分を下方に収集させることができる。
【0081】
一方、ダクト131には、コインが出ていくコイン出口部131Bが設けられているため、当該コイン出口部131Bから払拭手段140に向かって風が出力される。これにより、仮に、払拭手段140がコインに付着していた水分を払拭した後、濡れた状態になってしまったとしても、当該払拭手段140を乾燥させることができる。
【0082】
なお、ダクト131に送り込まれてきた気流をより効率よくコインに当てることによって、当該コインに付着している水分をより効率よく飛ばすことができるように、ダクト131の内部には、気流調整手段131Cが備えられている。また、当該気流調整手段131Cは、ダクト131内部からコイン入口部131Aおよびコイン出口部131Bに向かって風をより効率よく出力できるようにも構成されている。
【0083】
ここでは、ダクト131から気流が出力される開口部として、コイン入口部131Aおよびコイン出口部131Bを利用しているため、別途、気流を送るための開口部を設ける必要がなく生産性の効率化および低コスト化が可能となる。ただし、コイン入口部131Aおよびコイン出口部131B以外に、気流が出力されて所望の方向に風を送る場合および風の量を調整する場合には、別途、開口部を設けても構わない。
【0084】
<払拭手段140の具体的構成>
上述したように、コインに付着した水分は、第2の除去手段120および乾燥手段130で取り除かれ、ダクト131から出ていく際には、ほとんど水分は残存していないと考えられる。しかしながら、万が一、コインに微量の水分が残っていたとすれば、最後に、払拭手段140においてコインを払拭することによって、より確実に当該水分を取り除いて仕上げる。
【0085】
払拭手段140では、コインに残存する水分を払拭する払拭部材を用いることにより、第2の除去手段120および乾燥手段130によって取り除くことができなかった残存する水分を払拭する。
【0086】
払拭手段140は、コインの両面側から当該コインを挟むように、それぞれ払拭部材が当接することによって当該コインに残存している水分を払拭する。なお、払拭手段140を構成する払拭部材としては、例えば、柔らかくてきめ細やかなスポンジ素材または布素材等があり、本実施形態は、スポンジ素材を用いてコインに残存している水分を吸収して払拭している。
【0087】
なお、払拭手段140における払拭部材は、第2の除去手段120における除去部材と同様に水分を吸収するため、それらが蓄積してしまう可能性があり、一旦、水分を吸収して濡れた状態になると、汚れおよびゴミが付着し易くなる。このように汚れおよび水分が蓄積された払拭部材を継続して使用していると、コインを洗浄できず、逆に、コインを汚してしまうおそれもある。
【0088】
そこで、払拭手段140における払拭部材は、図6に示すように無端ベルトで構成され、当該無端ベルトは、コインの走行方向と同一方向に走行する。その結果、コインに当接する箇所が一か所に留まらないため、払拭部材のうち一部が局所的に消耗および汚れることを軽減することができる。また、コインと同一方向に走行させて、コインの走行を阻害しないようしている。
【0089】
さらに、無端ベルトの走行は、典型的には、モーター150によって駆動され制御されており、無端ベルトが走行する速度は、コインが走行する速度よりも遅く設定する。これにより、コインに残存している水分を確実に払拭しつつ、コインの走行に影響を与えないようにすることができる。
【0090】
なお、無端ベルトが走行する方向および速度は、これに限定されるものではなく、例えば、コインの大きさ、形状、および材質に応じて、速度を早くしても構わないし、コインが走行する方向と逆方向にしても構わない。無端ベルトが走行する方向をコインが走行する方向と逆方向にすれば、払拭部材とコインとの摩擦が大きくなり、コインに残存している水分をより確実に払拭することができる。
【0091】
また、無端ベルトの回転において、所定位置には、払拭部材を挟み込む狭窄部141が備えられている。狭窄部141は、払拭部材を挟み込むことによって、払拭部材に吸収された水分を絞り出しているため、継続して払拭部材を使用する中で、当該払拭部材が吸収した水分が蓄積されないようにしているとともに、絞り出される水分と一緒に当該払拭部材に吸収された汚れも排出することができる。
【0092】
なお、図6に示すように、払拭手段140における除去部材の構成は、コインの(表裏側)上下側において同様の構成であることは言うまでもない。
【0093】
上述したように、払拭手段140によれば、第2の除去手段120および乾燥手段130で取り除くことができなかった水分を、より確実に取り除いて仕上げることができる。
【0094】
ここで、払拭手段140は、コインに残存している水分を確実に拭き取る機能を果たすが、当該水分を拭き取った際に、払拭手段140が濡れた状態になってしまうことが考えられる。上述したように、狭窄部141によって吸収した水分を絞り出してはいるものの、狭窄部141では絞り出せない微量の水分が残存する可能性もある。
【0095】
払拭手段140は、最終段階でコインに微量の水分が残存していた場合に、それらを払拭して仕上げようとしている。払拭手段140そのものが濡れた状態で、逆にコインに水分を付着したり、汚れを誘発したりするようなことはあってはならず、払拭手段140には微量であっても水分は残さないようにする必要がある。
【0096】
そこで、上述したように、ダクト131には、コインが出ていくコイン出口部131Bが設けられており、当該コイン出口部131Bから払拭手段140に向かって風を出力することによって、当該払拭手段140を乾燥させている。さらに、払拭手段140における払拭部材は、無端ベルトであれば、1ヶ所ではなく、順に全体的に乾燥させることができている。
【0097】
なお、払拭手段140は、上述した第2の除去手段120と同一の構成であり、払拭手段140における払拭部材と第2の除去手段120における除去部材とも同様のスポンジ部材を用いている。このように、一種の共通の部材を適用することができるため、生産性の効率化および低コスト化が可能となる。
【0098】
また、第2の除去手段120および払拭手段140における無端ベルトを制御するモーター150も共通で用いている。それぞれの無端ベルトは、例えば、コインの大きさ、形状、および材質に応じて、同一の速度で制御しても構わないし、それぞれ介するギア等に応じて異なる速度で制御しても構わない。
【0099】
さらに、本実施形態では、モーター150を乾燥手段130の近傍に1つだけ配置したが、これに限定されるものではなく、例えば、第2の除去手段120および払拭手段140におけるそれぞれの無端ベルト用に2つのモーターを適用しても構わないし、配置される位置も電源の位置またはその他構成に応じて適切な位置に配置されても構わない。
【0100】
<他の装置との連結>
払拭手段140を通過してコイン排出口102に到達したコインは、綺麗に洗浄されて水分も徹底的に取り除かれた状態である。通常、当該コイン排出口102から排出されたコインは、その後、スロットマシン等の遊技機、自動販売機、硬貨識別(選別)機、および金融機関等に設置されている現金自動預け払い機(ATM)等に搬送されて使用されるが、当該コイン排出口102に連結ガイドを連結すれば、当該コインが使用されるこれらの他の装置へコインを直接導くことができる。
【0101】
このように、洗浄されたコインを当該コインが使用される他の装置へ直接導けば、コイン洗浄装置10によって洗浄されたコインを取り出して、当該コインが使用される他の装置へ別途搬送するという工数を軽減することができる。
【0102】
連結ガイドは、例えば、コイン排出口102に合わせて、単にビスで結合する構成であっても構わないし、取り外しを容易にするためにスライド機構等を利用する構成であっても構わない。
【0103】
なお、本実施形態では、コインを横臥状態でガイドレールに沿って通過させながら当該コインの表裏側(両面側)を洗浄しているが、これに限定されるものではなく、例えば、コインを立直状態または傾倒状態等、コインの表裏側(両面側)から洗浄できるのであれば、そのようにガイドレールを配置する構成であっても構わない。
【0104】
また、本実施形態では、洗浄対象としてコインを例に挙げて説明したが、ここでいうコインには、各国で流通している硬貨および記念硬貨、スロットマシン等の遊技機で使用されるメダル、およびカジノで使用されるチップ等も含み、広義に解釈されるべきものである。
【0105】
以上、本発明の各実施形態についての具体的な説明を行った。上記説明は、あくまで一実施形態としての説明であって、本発明の範囲はこの一実施形態に留まらず、当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、スロットマシン等の遊技機、自動販売機、硬貨識別(選別)機、および金融機関等に設置されている現金自動預け払い機(ATM)等に用いられるコイン(硬貨、メダル、チップ等を含む)を洗浄するコイン洗浄装置等に有用である。
【符号の説明】
【0107】
10 コイン洗浄装置
100 コイン洗浄ユニット
101 コイン取込口
102 コイン排出口
103 搬送路
110 第1の除去手段
111 第1のブラシユニット
111A 一群のブラシ
112 第1の取付部材
113 第2の取付部材
114 第2のブラシユニット
120 第2の除去手段
121 除去部材
130 乾燥手段
131 ダクト
131A コイン入口部
131B コイン出口部
131C 気流調整機構
140 払拭手段
141 払拭部材
150 モーター
500 コイン洗浄方法
510 第1の除去ステップ
520 第2の除去ステップ
530 乾燥ステップ
540 払拭ステップ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10