(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】逆流のある心臓弁の弁尖を少なくとも部分的に支持するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20221223BHJP
【FI】
A61F2/24
(21)【出願番号】P 2019508209
(86)(22)【出願日】2017-08-15
(86)【国際出願番号】 US2017046912
(87)【国際公開番号】W WO2018035105
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-06-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-17
(32)【優先日】2016-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504291867
【氏名又は名称】ザ クリーヴランド クリニック ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】THE CLEVELAND CLINIC FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】ナヴィア,ジョゼ エル.
(72)【発明者】
【氏名】カパディア,サミール
(72)【発明者】
【氏名】ベラーダ,マルワン
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】安井 寿儀
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0204662(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0030176(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆流のある心臓弁の弁尖を少なくとも部分的に支持するための装置であって、
前記装置は、少なくとも1つの弁下デバイスを含み、前記少なくとも1つの弁下デバイスは、縦方向軸線
を有し、且つ、弁下支持部と、アンカー部と、コネクタネック部とを含み、
前記弁下支持部は、対向する下部支持体表面に対して縦方向に間隔を置いて配置された弁尖接触の上部支持体表面と、前記上部支持体表面と前記下部支持体表面との間に縦方向に延在するとともに、前記上部支持体表面及び前記下部支持体表面と一体的に且つ連続的に形成された支持体周壁とを含み、前記支持体周壁の少なくとも一部は、前記心臓弁に隣接する弁下心臓壁と接触し、
前記アンカー部は、前記上部支持体表面に対して、隣接するとともに、縦方向に間隔を置いて配置され、前記アンカー部は、対向する上部アンカー表面に対して縦方向に間隔を置いて配置された弁尖接触の下部アンカー表面と、前記上部アンカー表面と前記下部アンカー表面との間に縦方向に延在するとともに、前記上部アンカー表面及び前記下部アンカー表面と一体的に且つ連続的に形成されたアンカー周壁とを含み、
前記コネクタネック部は、前記上部支持体表面と前記下部アンカー表面との間に縦方向に挿入されているとともに、前記上部支持体表面及び前記下部アンカー表面に直接接続され、前記コネクタネック部は、製造された穿刺部位において、前記弁尖の基部と前記心臓弁の輪のうちの少なくとも一方を縦方向に貫通し、
前記装置は、弁尖組織を除去すること、腱索を短縮、転置又は入れ替えることなく、後弁尖を押し又は前進させて後弁尖と前弁尖との間の接合を促進することにより、心臓弁逆流を減少または解消可能であることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記弁下支持部、前記アンカー部及び前記コネクタネック部は、ともに囲んで単一の連続する内部空間を形成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記弁下デバイスは、トップカバーとボトムカバーのうちの少なくとも一方を含み、前記トップカバーと前記ボトムカバーは、それぞれ前記上部アンカー表面と前記下部支持体表面より
、前記縦方向
のうち、前記コネクタネック部から
離れる方向へ突出することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記弁下支持部と前記アンカー部は、いずれも実質的に織りメッシュストランドから形成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記弁下支持部と前記アンカー部は、いずれもバルーンであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記弁下支持部と前記アンカー部のうちの一方は実質的に織りメッシュストランドから形成され、前記弁下支持部と前記アンカー部のうちの他方はバルーンであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記弁下支持部と前記アンカー部のうちの少なくとも一方は、実質的に、前記縦方向軸線に対して径方向に配置され、縦方向に配向された複数のストラットから形成され、それぞれのストラットの本体部分は、選択的に前記縦方向軸線から径方向外へ湾曲することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記上部支持体表面と前記下部支持体表面は、実質的に平面であり、且つ互いに平行となることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記上部支持体表面と前記下部支持体表面は、いずれもその径方向
に沿って縦方向に変化する輪郭を含み、前記上部支持体表面及び前記下部支持体表面の前記輪郭は、径方向に配向された1つの平面に対して互いに鏡像になっており、且つ、前記上部支持体表面、前記下部支持体表面及び前記支持体周壁は、ともに実質的にトーラス形状をなす弁下支持部を形成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記アンカー部は第1アンカー部であり、前記弁下デバイスは前記第1アンカー部に対して径方向に間隔を置いて配置された少なくとも1つの他のアンカー部を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記弁下支持部と前記アンカー部のうちの少なくとも一方はバルーンであり、前記弁下デバイスは、前記弁下デバイスの大部分の外表面に取り付けられて単独で提供される被覆材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記アンカー部の最大の径方向寸法は、前記弁下支持部の最大の径方向寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記アンカー部の最大の径方向寸法は、前記弁下支持部の最大の径方向寸法よりも大きいか、又は前記弁下支持部の最大の径方向寸法と実質的に等しいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記弁下支持部と前記アンカー部は、いずれも前記コネクタネック部に対して円対称であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記弁下支持部と前記アンカー部のうちの少なくとも一方は、前記コネクタネック部に対して円対称ではないことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願)
本願は2016年8月15日に出願された出願番号62/375,146である米国臨時出願の権利を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、逆流のある心臓弁の弁尖を少なくとも部分的に支持するための装置及び方法に関し、より具体的に、逆流のある僧帽心臓弁の弁尖を少なくとも部分的に支持する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
機能性僧帽弁逆流(FMR)及び続発性三尖弁逆流(STR)は、虚血、梗塞、左側心疾患、又は肺動脈高血圧症によって引き起こされる心臓の形状の解剖学的拡張から生じる病症である。FMR及びSTRは、心臓弁尖又は弁自体に影響を及ぼす疾患ではなく、むしろ心室拡張、変形及び/又は変位を伴い、これによって、腱索が弁尖を縛り、正常な弁尖接合(coaptation)を誤配置させるため、血流が左心房又は右心房に逆流することを可能にする(即ち、逆流)。逆流の原因が異なるが、多くの医学的介入は、依然として人口弁又は弁尖操作(弁尖の切除、折り畳み及び縫合を含める)、弁尖組織を一緒に引っ張るためのグリップ及び人口腱索により、弁を交換又は修復する。しかしながら、これまで、これらの方法はいずれも所望の弁下治療効果を有していなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、逆流のある心臓弁の弁尖を少なくとも部分的に支持するための装置が開示されている。当該装置は、少なくとも1つの弁下デバイスを含み、当該弁下デバイスは縦方向軸線を規定するとともに、弁下支持部を含み、当該弁下支持部は弁尖接触(leaflet-contacting)の上部支持体表面を含み、当該上部支持体表面は、対向する下部支持体表面に対して縦方向に間隔を置いて配置されている。支持体周壁は、上部支持体表面と下部支持体表面との間に縦方向に延在するとともに、上部支持体表面及び下部支持体表面と一体的に且つ連続的に形成されている。支持体周壁の少なくとも一部は、心臓弁に隣接する弁下心臓壁に接触する。アンカー部は、上部支持体表面に隣接し、縦方向に間隔を置いて配置されている。アンカー部は、弁尖接触(leaflet-contacting)の下部アンカー表面を含み、当該下部アンカー表面は、対向する上部アンカー表面に対して縦方向に間隔を置いて配置されている。アンカー周壁は、上部アンカー表面と下部アンカー表面との間に縦方向に延在するとともに、上部アンカー表面及び下部アンカー表面と一体的に且つ連続的に形成されている。コネクタネック部は、上部支持体表面と下部アンカー表面との間に縦方向に挿入されているとともに、上部支持体表面及び下部アンカー表面に直接接続されている。コネクタネック部は、製造された穿刺部位において弁尖の基部と心臓弁の輪のうちのの少なくとも一方を縦方向に貫通する。
【0005】
一態様では、逆流のある心臓弁の弁尖を少なくとも部分的に支持するための方法が提供される。ガイドワイヤが患者の心臓内に配置される。ガイドワイヤは、縦方向に前進して、弁尖の基部と心臓弁の輪のうちの少なくとも一方を通る。ガイドワイヤは、製造された穿刺部位が形成されるように、弁尖の基部と心臓弁の輪のうちの少なくとも一方を完全に貫通する。弁下デバイスが提供される。前記弁下デバイスは弁下支持部を含み、前記弁下支持部は弁尖接触(leaflet―contacting)の上部支持体表面を含み、当該上部支持体表面は、対向する下部支持体表面に対して縦方向に間隔を置いて配置されている。支持体周壁は上部支持体表面と下部支持体表面との間に縦方向に延在するとともに、上部支持体表面及び下部支持体表面と一体的に且つ連続的に形成されている。アンカー部は、上部支持体表面に対して、隣接するとともに、縦方向に間隔を置いて配置されている。アンカー部は弁尖接触の下部アンカー表面を含み、当該下部アンカー表面は、対向する上部アンカー表面に対して縦方向に間隔を置いて配置されている。アンカー周壁は、上部アンカー表面と下部アンカー表面との間に縦方向に延在するとともに、上部アンカー表面及び下部アンカー表面と一体的に且つ連続的に形成されている。コネクタネック部は、上部支持体表面と下部アンカー表面との間に縦方向に挿入されているとともに、上部支持体表面と下部アンカー表面に直接接続されている。弁下デバイスは心臓に進む。アンカー部は、進んで製造された穿刺部位を通って弁尖の上側の所定のアンカー位置に達する。アンカー部は、当該所定のアンカー位置に配置される。製造された穿刺部位で弁尖の基部と心臓弁の輪のうちの少なくとも一方を縦方向に貫通するコネクタネック部により弁下デバイスが保持される。弁下支持部は、弁尖の下側の位置に、製造された穿刺部位に縦方向に隣接して配置され、支持体周壁の少なくとも一部は、弁に隣接する弁下心臓壁に接触する。弁尖の基部と心臓弁の輪のうちの少なくとも一方がアンカー部と弁下支持部との間に縦方向に挿入されていることにより、弁に対して弁下デバイスが操作位置に位置決めされる。当該弁下デバイスで、心臓手術中に弁尖の動きに抵抗して当該弁尖を実質的に支持する。
【0006】
一態様では、逆流のある僧帽心臓弁の後弁尖を少なくとも部分的に支持するための装置が提供される。当該装置は少なくとも1つの弁下デバイスを含み、当該弁下デバイスは弁下支持部を含み、当該弁下支持部は弁尖接触(leaflet―contacting)の上部支持体表面を含み、当該上部支持体表面は、対向する下部支持体表面に対して縦方向に間隔を置いて配置されている。上部支持体表面と下部支持体表面のうちの少なくとも一方は、凸状の外縁及び凹状の内縁を含む。支持体周壁は、上部支持体表面と下部支持体表面との間に縦方向に延在するとともに、上部支持体表面及び下部支持体表面と一体的に且つ連続的に形成されている。後弁尖と共に延在する凹状の内縁により、支持体周壁の少なくとも一部は、僧帽心臓弁に隣接する弁下心臓壁に接触する。アンカー機能は、弁下支持部を心臓組織に永久的に取り付けることにより、弁下支持部が心機能中の後弁尖の移動を実質的に防止する。
【0007】
一態様では、逆流のある僧帽心臓弁の後弁尖を少なくとも部分的に支持するための装置が提供される。当該装置は、少なくとも1つの弁下デバイスを含み、当該弁下デバイスは弁下支持部を含み、当該弁下支持部は弁尖接触(leaflet―contacting)の上部支持体表面を含み、当該上部支持体表面は、対向する下部支持体表面に対して縦方向に間隔を置いて配置されている。上部支持体表面と下部支持体表面のうちの少なくとも一方は、凸状の外縁と凹状の内縁を含む。支持体周壁は、上部支持体表面と下部支持体表面との間に縦方向に延在するとともに、上部支持体表面及び下部支持体表面と一体的に且つ連続的に形成されている。上部支持体表面と下部支持体表面と支持体周壁のうちのそれぞれの少なくとも一部は、径方向に延在する複数のストラットから形成され、これらのストラットは、その長さの少なくとも一部に沿って互いに実質的に平行に延在する。後弁尖と共に延在する凹状の内縁により、支持体周壁の少なくとも一部は、僧帽心臓弁に隣接する弁下心臓壁に接触する。第1アンカー部は、上部支持体表面に隣接して縦方向に間隔を置いて配置されている。第1アンカー部は、弁尖接触(leaflet―contacting)の下部第1アンカー表面を含み、当該下部第1アンカー表面は、対向する上部第1アンカー表面に対して縦方向に間隔を置いて配置されている。第1アンカー周壁は、上部第1アンカー表面と下部第1アンカー表面との間に縦方向に延在するとともに、上部第1アンカー表面及び下部第1アンカー表面と一体的に且つ連続的に形成されている。第1コネクタネック部は、上部支持体表面と下部第1アンカー表面との間に縦方向に挿入されているとともに、上部支持体表面と下部第1アンカー表面に直接接続されている。第1コネクタネック部は、前方弁接合部位に隣接する製造された穿刺部位において、後弁尖の基部と僧帽心臓弁の輪のうちの少なくとも一方を縦方向に貫通する。第2アンカー部は上部支持体表面に対して隣接するとともに、上部支持体表面に対して縦方向に間隔を置いて配置されている。第2アンカー部は、第1アンカー部と径方向に間隔を置いて配置されている。第2アンカー部は、弁尖接触(leaflet―contacting)の下部第2アンカー表面を含み、当該下部第2アンカー表面は、対向する上部第2アンカー表面に対して縦方向に間隔を置いて配置されている。第2アンカー周壁は、上部第2アンカー表面と下部第2アンカー表面との間に縦方向に延在するとともに、上部第2アンカー表面及び下部第2アンカー表面と一体的に且つ連続的に形成されている。第2コネクタネック部は、上部支持体表面と下部第2アンカー表面との間に縦方向に挿入されているとともに、上部支持体表面と下部第2アンカー表面に直接接続されている。第2コネクタネック部は、後方弁接合部位に隣接する製造された穿刺部位において後弁尖の基部と僧帽心臓弁の輪のうちの少なくとも一方を縦方向に貫通する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
より良く理解するために、添付の図面を参照してもよい。
【0009】
【
図1】本発明の一態様の模式的な上面斜視図である。
【0010】
【0011】
【
図3】
図1における線3-3に沿った断面図である。
【0012】
【
図4】
図1に示す態様の各種の例示の配置の模式的な側面図である。
【
図5】
図1に示す態様の各種の例示の配置の模式的な側面図である。
【
図6】
図1に示す態様の各種の例示の配置の模式的な側面図である。
【
図7】
図1に示す態様の各種の例示の配置の模式的な側面図である。
【
図8】
図1に示す態様の各種の例示の配置の模式的な側面図である。
【
図9】
図1に示す態様の各種の例示の配置の模式的な側面図である。
【
図10】
図1に示す態様の各種の例示の配置の模式的な側面図である。
【0013】
【0014】
【
図12】
図1に示す態様の1つの例示の配置の一連の操作手順を示す図である。
【
図13】
図1に示す態様の1つの例示の配置の一連の操作手順を示す図である。
【
図14】
図1に示す態様の1つの例示の配置の一連の操作手順を示す図である。
【0015】
【
図15】本発明の例示的な態様の種々の特徴を文字で説明する図である。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【
図22】例示的な使用環境の内部と外部における、本発明の一態様の部分側面斜視図である。
【0023】
【
図23】例示的な使用環境の内部と外部における、
図22に示す態様の部分上面斜視図である。
【0024】
【
図24】例示的な使用環境の内部と外部における、
図22に示す態様の部分上面斜視図である。
【0025】
【
図25】例示的な使用環境の内部と外部における、
図22に示す態様の部分底面斜視図である。
【0026】
【
図26】例示的な使用環境の内部と外部における、
図22に示す態様の部分側面斜視図である。
【0027】
【
図27】例示的な使用環境の内部と外部における、
図22に示す態様の部分上面斜視図である。
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【
図32】例示的な使用環境の内部と外部における、本発明の一態様の部分上面斜視図である。
【0033】
【
図33】例示的な使用環境の内部と外部における、
図32に示す態様の部分底面斜視図である。
【0034】
【
図34】例示的な使用環境の内部と外部における、
図32に示す態様の部分側面斜視図である。
【0035】
【
図35】例示的な使用環境の内部と外部における、
図32に示す態様の部分側面斜視図である。
【0036】
【
図36】本発明の任意の態様の使用手順を例示するフローチャートである。
【
図37】本発明の任意の態様の使用手順を例示するフローチャートである。
【0037】
【
図38】
図36~37に対応するフローチャートの例示的なステップを模式的に示す図である。
【
図39】
図36~37に対応するフローチャートの例示的なステップを模式的に示す図である。
【
図40】
図36~37に対応するフローチャートの例示的なステップを模式的に示す図である。
【
図41】
図36~37に対応するフローチャートの例示的なステップを模式的に示す図である。
【
図42】
図36~37に対応するフローチャートの例示的なステップを模式的に示す図である。
【
図43】
図36~37に対応するフローチャートの例示的なステップを模式的に示す図である。
【
図44】
図36~37に対応するフローチャートの例示的なステップを模式的に示す図である。
【
図45】
図36~37に対応するフローチャートの例示的なステップを模式的に示す図である。
【
図46】
図36~37に対応するフローチャートの例示的なステップを模式的に示す図である。
【
図47】
図36~37に対応するフローチャートの例示的なステップを模式的に示す図である。
【
図48】
図36~37に対応するフローチャートの例示的なステップを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が所属する分野の当業者が通常理解する意味と同じ意味を有する。
【0039】
本明細書で使用されるように、用語「被験体」は用語「患者」と交換可能に使用されてもよく、そして、ヒト、ブタ、ラット、マウス、イヌ、ヤギ、羊、馬、猿、類人猿、ウサギ、牛、農場動物、家畜などを含むがこれらに限定されない任意の温血動物を指す。
【0040】
本明細書で使用されるように、用語「治療」は、FMR及びSTRの症状を治療的に調節、予防、改善、緩和及び/又は軽減することを指すことができる。従って、治療は、FMR及びSTR又は少なくともそれらに関連する症状が完全に抑制されることを含み、例えば、被験体がFMR及びSTR又は少なくともそれらに関連する症状に罹患しないように、その発生を防止し、又は停止(例えば、終了)させる。
【0041】
本明細書で使用されるように、上下の文脈に別途明確に説明されない限り、単数形の「1つ」、「前記」及び「当該」は複数形も含むことができる。本明細書で使用される用語「備える(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」は、述べられた特徴、ステップ、操作、要素及び/又は部材の存在を特定することができるが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、操作、要素、部材及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないが、さらに理解されるであろう。
【0042】
本明細書で使用されるように、用語“及び/又は”は1つ又は複数の関連する項目のうちの任意、全ての組み合わせを含むことができる。
【0043】
本明細書で使用されるように、例えば「XとYの間」及び「およそXとYの間」などのフレーズは、XとYを含むと解釈することができる。
【0044】
本明細書で使用されるように、例えば「XとYの間」などのフレーズは、「およそXとおよそYの間」と示すことができる。
【0045】
本明細書で使用されるように、例えば「およそXからYまで」などのフレーズは、「およそXからおよそYまで」と示すことができる。
【0046】
ある要素が他の要素の「上」に位置し、又は他の要素に「接続される」、「連結される」、「結合される」、「接触される」と記述される場合、それが当該他の要素の上に直接位置し、又は当該他の要素に直接取り付けられ、接続され、結合され、又は接触し、又は介在要素が存在することが理解されるであろう。対照的に、ある要素が例えば他の要素に「直接位置し」、「直接接続され」、「直接連結され」、「直接結合され」又は「直接接触する」と記述される場合、介在要素が存在しない。当業者にさらに理解されるように、「直接隣接する」他の特徴に対して配置される構造又は特徴の参照は、隣接する特徴と重複、又は隣接する特徴の下に位置する部分を有することができるが、「隣接する」他の特徴に対して配置される構造又は特徴は、隣接する特徴と重複、又は隣接する特徴の下に位置する部分を有しないことがある。
【0047】
本明細書では、1つの要素又は特徴と図に示す他の要素又は特徴との関係を容易に説明するために、例えば、「下方」、「の下」、「下」、「上方」、「上」などの空間的に相対的な用語を使用することができる。理解されるように、図に示す向きを除き、空間的に相対的な用語は、使用又は操作中のデバイスの異なる向きをさらに含む。例えば、図におけるデバイスが反転されている場合、他の要素又は特徴の「下方」にある要素は、当該他の要素又は特徴の「上方」に向けられるようになる。
【0048】
理解されるように、本明細書では、用語「第1」、「第2」などで各種の要素を説明することができるが、これらの要素はこれらの用語に限定されるべきではない。これらの用語はある要素を他の要素と区別するためにのみ使用されている。従って、本開示の教示から逸脱しない場合、以下記述される「第1」要素は「第2」要素と称されてもよい。別途明記されていない限り、操作(又はステップ)の順番は、特許請求の範囲または図面に示す順番に限定されない。
【0049】
本発明は、以下の特徴、以下の特徴からなる、又は本質的に以下の特徴からなる、任意の組み合わせの形式を含む。本明細書では僧帽弁を使用環境の例示として使用しているが、当業者は、本明細書の教示に基づき、三尖弁及び/又は大動脈弁に用いられるのに適するデバイスを提供することができる。
【0050】
提案される発明の態様は、FMRとSTRを抱える患者を経皮的に治療するための少なくとも1つの経カテーテルデバイスを含み、それは、心室の解剖学的構造の逆リモデリングをもたらす逆流を低減または解消する目的で心臓弁尖を接合(co-apting)ための支持システムを含み、それは弁下位置における腱索の後ろに位置し、弁尖(これに限定されないが、後弁尖であってもよい)を心臓弁の弁下位置から心室中隔及び前弁尖へ押す。開示された発明は、弁尖組織を除去すること、弁輪を固定又は変形させること、人工腱索移植すること又は天然腱索を入れ替えることなく、FMR及びSTRの「転換点(tipping point)」機構を修正することに焦点を当てる。弁尖ではなく心室の解剖学的構造の不良を特徴とするFMR及びSTRについて、直接弁尖接合の欠如が特に関連し、逆流の根本的原因である可能性がある。当該デバイスの1つの機能は、弁尖を支持することにより弁尖の係留に対抗することができる。
【0051】
本発明によるデバイスは、低侵襲手術で機械的または電磁的作用によって固定または調節可能であり、或いはエコー図及び/又は蛍光透視によるガイドで経カテーテルにより、又は経皮的な方法により固定又は調節可能であり、患者のニーズに応じて単一又は複数の方式で提供することができる。本発明の1つの目的は、弁尖の組織を除去することに代えて弁の機能を回復すること(切除よりも尊重)にあり、本明細書に示された上記のデバイスを用いて弁尖を解縛させ、又は弁尖を支持し、従って、弁下支持デバイスを心室側からの治療効果を有する補綴物として用いることで逆流のある心臓弁の弁尖接合を促進する。
【0052】
当該デバイスは、少なくとも部分的に、可鍛性ニチノール(Nitinol)又は他の形状記憶合金材料、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び/又は延伸PTFE(ePTFE)、或いは任意の他の材料又は材料の組み合わせ(ほとんどの材料の使用は生体適合性であるべきであると考えられるが)で製造することができ、それは、弁下デバイスの柔らかい変形又は再成形を可能にする。本発明のほとんどの使用環境では、デバイスは、移植されて通常の生理的応力を受けるときに、さらなる変形に耐えることができるように、十分に堅いである。
【0053】
経カテーテル又は経皮的な経路の心エコー図及び/又は蛍光透視によるガイドで、柔軟な機械的調節カテーテルを用いて経中隔的に(transeptally)又は経大腿的に(transfemorally)、経心房的、経心尖的、経大動脈的、経頸動脈的、及び/又は経鎖骨下動脈の経路により、開胸手術(open-heart surgery)により、ロボット支援手術、及び/又は直接視覚化による低侵襲外科手術により、前記デバイスを導入及び配達することができる。
【0054】
十分な支持を提供するために、縫合糸、フック、とげ、ねじ、可撓性ディスク、ループ部材、バンド、リング、接着剤又は任意の他の所望の固定構造又は技術により、デバイスを弁輪に固定することができ、デバイスがこれらの固定機構に対してスライド又は他の方式で移動するようにしてもよく、しなくてもよい。このシステムは、また、任意の上記構造にサスペンションされた1つ又は複数の追加のアンカー機構により支持することができる。デバイスは、少なくとも部分的に金属、プラスチック、エルジロイ(elgiloy)、ニチノール、ステンレススチール、チタン、熱分解炭素(pyrrolitic carbon)、任意の他の所望の材料及び/又はそれらの任意の組み合わせで作製することができ、合成的、生物的及び/又は生体適合性の材料で覆うことができる。デバイスが膨張可能なバルーンを含む場合、そのバルーンは任意の所望の材料で作製することができ、生理食塩水、ポリマー、時間とともに硬化して固定構造を生成する生理学的に誘発される材料、任意の他の適切な材料及び/又はそれらの任意の組み合わせで膨張することができる。デバイスは、また、即時及び/又は遅延的に薬剤を周囲の組織へ提供するために、1種又は複数種の薬理学的及び/又は生物学的薬剤で塗布及び/又は含浸することができる。
【0055】
本発明によるデバイスは、弁尖の形状及び機能を正常化して改造することに用いることができ、弁尖の移動性を補正し、心臓収縮期間の弁尖の閉鎖運動を改善することにより、接合を行い、弁尖接合の不均衡角度及び弁の逆流の弁下装置位置を補正し、弁尖組織を除去すること、腱索を短縮、転置又は入れ替えること、弁輪を静めること、及び変形すること、あるいは他の手術技術又は煩雑なプロセスを用いることなく、弁を正常に動作させる。通常の補正を得るために、解剖学的な弁尖及び弁下デバイスの配置に応じて、デバイスは調節可能であり、エコー誘導により柔軟なカテーテルで機械的または電磁気的に調節を行う。このような調節は、例えば経カテーテル又は経皮的な経路の心エコー図及び/又は蛍光透視によるガイドで、柔軟な機械的調節カテーテルを用いて経中隔的に又は経大腿的に、経心房的、経心尖的、経大動脈的、経頸動脈的、及び/または経鎖骨下動脈の経路により、ロボット支援手術、及び/又は直接視覚化による低侵襲外科手術により、行う。
【0056】
以下に記載される少なくとも1つの弁下僧帽弁スペーサーデバイスを含む本発明のデバイスは、独立した単一のデバイスとしてP1、P2及び/又はP3僧帽弁弁尖のレベルで、及び前部三尖弁弁尖、中隔三尖弁弁尖及び/又は後部三尖弁弁尖の類似の位置に移植してアンカーされることができる。単独の外科手術において、最初の移植外科手術と異なる時間にデバイスを調整、取り外し及び/又は他のデバイスで置き換えることができることも考えられる。
【0057】
以下は、埋込み型デバイスの説明であり、当該埋込み型デバイスは、弁下空間内に配置されているとともに、虚血性事象によって休止し、且つ縛られた僧帽弁弁尖を機械的に支持する。当該デバイスは、後弁尖の心室表面と左心室後壁位置との間に、即ち、心室空間における弁尖の下且つ後壁位置に配置されている。経大腿逆行性経路を利用することができ、これにより、アクセスが大腿動脈を通り、デバイスが左心室における大動脈弁を横切ってナビゲートされる。当該デバイスはアンカー機構を有してもよく、単一及び/又は複数のアンカーは、心室から心房までの方向にP1、P2及び/又はP3のレベルで僧帽弁輪を貫通する。
【0058】
当該装置は弁輪にアンカーすることができ、配置され、そして鼓動する心臓内で機能的に試験することができる。弁のサイズ、存在する逆流の量、又は如何なる其它所需因素、任意の他の所望の要因に応じて、ユーザは特定の患者に対して単一または複数のデバイスを配置することを選択することができる。当該デバイスは、後弁尖と前弁尖との間の接合表面を増大させることに寄与するために、異なる形状を有することを可能にする調整機構を備えるように構成されてもよい。当該デバイスは、患者の寿命全体にわたって残るように設計されてもよい。当該デバイスは、以下の特徴を有する。
【0059】
場所の「管理」のための配送システムであって、当該素子は、所望の位置にナビゲートするために、医師をアシストし、心室から心房に向かうベクトルで向ける。配送システムは管腔であり、当該管腔は、必要に応じて他のデバイスをナビゲートすることができる。例えば、予備的又は「寸法特定器具(sizer)」デバイス(例えばコンプライアントバルーンであるが、これに限定されない)は、移植の前に所望のアンカー位置を位置決めし、及び/又は移植の前に効果を評価するために、弁膜下部位に膨張または他の方式で配置することができる。
【0060】
穿刺機構であって、カテーテルは、弁輪に逆流又は著しい裂傷を生じることなく、心室から心房側へ移動するために、穿刺機構を含むことができる。
【0061】
アンカー管理であって、当該素子は、アンカーが配送システムを通ってナビゲートされ、心室側に位置する他の構造との接続により心房側に配置されることに寄与する。デバイスを永久的にアンカーする前に、医師がその位置に満足するまで、アンカーを一時的に位置決めすることができる。アンカー機構は身体に対して非外傷性であってもよい。
【0062】
本発明のデバイスにより、縛られた後弁尖を押し、又は前進させて、後弁尖と前弁尖との間の弁尖接合の表面を増大させることにより、心臓弁逆流を減少または解消することに寄与することができる。この目的を達成するために、再配置可能かつ回収可能なサブ弁構造(sub-valvular structure)を僧帽弁輪の特定の解剖学的構造、例えばP1、P2及び/又はP3弁尖スカラップレベル(leaflet scallop levels)にアンカーすることができる。
【0063】
「再配置可能」と「回収可能」属性は以下のように理解され得る。再配置可能性は、デバイスの位置をその場で調整することにより、その解剖位置を調整して増加した弁尖表面の共同接合を図るための所望の特徴であってもよい。再配置可能な特徴は、通常任意の永久的又は半永久的にアンカー機構が配置される前に実行され、「粗い再配置」と考えることができる。
【0064】
アンカーが配置されると、デバイスは、所望の機能を達成するための最後のインサイチュー(in situ)調節として「細かい再配置」を行う能力を有することができる。
【0065】
回収可能性は、心室からデバイスを取り出すための所望の特徴である。移植中に、デバイスが予定の通りに動作していない場合、すぐにつぶれて(collapsed)取り出すことができる。移植後の機能試験では、デバイスのサイズが適切ではなく、且つ所望の性能に達成しなかった場合、アンカーが配置された後、それを取り出すことができる。このような場合、可能であれば、構造体を取り出して、アンカーを安全に除去し、又はアンカーを「安全に隠す」。慢性的に、又は長期的に追跡する期間、及び/又は極めて緊急な条件で、外科的または経皮的にデバイスを除去することが可能である。
【0066】
本発明によるデバイスのいくつかの例示的な特徴は、以下のものを含む。
【0067】
経大腿的アクセスを介して逆行的に配送される能力であって、カテーテルは拍動する大動脈弁を通り抜け、僧帽弁輪の心室側に向かって曲がる。
【0068】
多くの使用環境について、カテーテルの外形寸法は、少なくとも約8French(Fr)であり、また、好ましくは、約18French(Fr)である。
【0069】
ステント構造は、例えば、編成されたニチノールワイヤから構成される。当該ステント構造は、所望の径方向力を生成するように配置することができる(構造の種類に関係なく)。径方向力が維持されている場合、デバイスは、「フリーサイズ(one―size―fits―all)」である。別の選択肢として、例えば小型、中型、及び大型などの様々なサイズのデバイスを提供することができる。
【0070】
デバイスは、PTFEコーティングされてもよく、又はヘパリンベースのコーティングなどの何らかの抗血栓コーティングで覆われてもよい。
【0071】
デバイスの設計は、デバイスの周囲のせん断応力を最小にし、任意の蓄積又は血液プールの位置を回避することにより、血栓を減少させる。
【0072】
デバイスは、P1、P2及び/又はP3にアンカーされることができる。
【0073】
デバイスは、以下の1つまたは複数、又は他の適切な図像様式及び/又は任意の他の適切な結像技術を用いて配置することができる。蛍光透視であって、それは、デバイスをアンカーする前のカテーテルナビゲーションとデバイス配置に役立つ。経食道心エコー図またはTEEであって、アンカーをアシストする。心腔内心エコー図(ICE)である。
【0074】
デバイスは、任意の所望の方式で配置、及び再配置することができ、(1)最初にデバイスを配置し(アンカーなしで)、そして第1アンカーを配置する前に、機能的性能を評価する。臨床性能が悪い場合、デバイスを回収し処置を中止することができること、(2)最初に、アンカーを配置し、そしてデバイスを配置することを含むが、これらに限定されない。性能が悪い場合、デバイスを回収し、最初に配置されたアンカーを残すか、又は最初に配置されたアンカーを回収することができる。
【0075】
最初の移植手順の間に、デバイスは、移植手順終わりに医師によって解放されるまで回収可能である。好ましくは、デバイスは、後の外科手術において、回収可能及び/又は再配置可能である。
図面を参照した本発明の態様の説明
【0076】
図1~15は、心臓弁尖を少なくとも部分的に支持する装置100の第1実施例を示し、前記心臓弁尖は、例えば逆流のある僧帽心臓弁の後弁尖である。
図1-3に示すように、装置100は、少なくとも1つの弁下デバイス102を含み、弁下デバイス102は、縦方向軸線Lを規定し、弁下支持部104と、アンカー部106(例えば、心房に位置するアンカー部106)と、コネクタネック部108とを含む。用語「縦方向」は、本明細書では、例えば少なくとも
図2と
図3の向きにおける垂直方向などの縦方向軸線Lに実質的に垂直な方向を示す。
【0077】
図2を参照すると、弁下支持部104は、対向する下部支持体表面212に対して縦方向に間隔を置いて配置された弁尖接触(leaflet-contacting)の上部支持体表面210を含む。支持体周壁214は、上部支持体表面210と下部支持体表面212との間に縦方向に延在する。支持体周壁214と、上部支持体表面210及び下部支持体表面212は、一体的に且つ連続的に形成されている。本明細書で使用されているように、用語「……と一体的に且つ連続的に形成されている」ことは、このような状況を示し、そこで説明された構造は、サブ部材から組み立てられるのではなく、単体として製造・使用される。弁下デバイス102は、心臓弁に対して操作位置にあるとき、支持体周壁214の少なくとも一部は、心臓弁輪に隣接する弁下心臓壁に接触する。
【0078】
当業者は、上部支持体表面210、下部支持体表面212及び支持体周壁214が、任意の所望の寸法と形状を有し得ることを理解するのであろう。
図1-3に示す弁下デバイス102では、支持体周壁214は、ある程度で上部支持体表面210及び下部支持体表面212(これらの表面の相対曲率のため)と連続的に延在する。装置100の特定の使用環境について、支持体周壁214が非常に狭く、ほぼ線形であり、弁下支持部104の側面輪郭に沿って上部支持体表面210と下部支持体表面212との間に変曲点を規定することができると考えられる。
【0079】
アンカー部106は、上部支持体表面210に隣接し、上部支持体表面210と縦方向に間隔を置いて配置されている。アンカー部106は、対向する上部アンカー表面216に対して縦方向に間隔を置いて配置された弁尖接触の下部アンカー表面218を含む。アンカー周壁220は、上部アンカー表面216と下部アンカー表面218との間に縦方向に延在する。アンカー周壁220は、上部アンカー表面216及び下部アンカー表面218と一体的に且つ連続的に形成されている。
【0080】
当業者は、上部アンカー表面216、下部アンカー表面218及びアンカー周壁220が任意の所望の寸法と形状を有し得ることを理解するのであろう。
図1~3に示す弁下デバイス102では、アンカー周壁220はある程度で上部アンカー表面216及び下部アンカー表面218(これらの表面の相対曲率のため)連続的に延在する。装置100の特定の使用環境について、アンカー周壁220が非常に狭く、ほぼ線形であり、アンカー部106の側面輪郭に沿って上部アンカー表面216と下部アンカー表面218との間に変曲点を規定することができると考えられる。
【0081】
コネクタネック部108は、上部支持体表面210と下部アンカー表面218との間に縦方向に挿入され、上部支持体表面210及び下部アンカー表面218に直接接続されている。弁下デバイス102が心臓弁に対して操作位置にあるとき、コネクタネック部108は、製造された穿刺部位において弁輪(例えば、僧帽弁輪)及び/又は後弁尖の基部を縦方向に貫通する。用語「製造された穿刺部位」は本明細書で患者組織で人工的に作られ、天然に存在せず(先天的又はその他)装置100と組み合わせて形成・使用される開口を指すために用いられる。
【0082】
図3に示すように、弁下支持部104、アンカー部106及びコネクタネック部108は囲んで、単一の連続する内部空間322を形成することができる。これは、弁下デバイス102の少なくとも一部がバルーンである場合、特に望ましいことがある。
【0083】
図1~3に示すように、弁下デバイス102は、トップカバー124とボトムカバー326のうちの少なくとも一方を含むことができる。存在するとき、トップカバー124とボトムカバー326は、それぞれ上部アンカー表面218と下部支持体表面212から縦方向にコネクタネック部108から離間して突出してもよく、或いはこれらの表面に凹陥されてもよい。弁下デバイス102が少なくとも部分的に編成構造から構成されるとき、トップカバー124及び/又はボトムカバー326は、当該編成構造をその終点で一緒に保持することに用いることができる。トップカバー124及びボトムカバー326は、任意の所望の構造を有することができ、任意の所望の理由で提供することができ、例えば、1つ又は複数の装置100の配送と配置に役立つ構造に選択的に取り付けられることを含むが、これに限定されない。例えば、弁下デバイス102がバルーンを含む場合、トップカバー124及び/又はボトムカバー326は、膨張流体源(inflation fluid source)に選択的に接続されるように配置することができる。好ましくは、トップカバー124及び/又はボトムカバー326は、「マーカーバンド」機能を果たすことができ、これらのカバーが放射線不透過性である場合、それらがデバイスの配置をアシストすることができるためである。1つ又は複数の他の放射線不透過性マーカー(図示せず)は、、その所望の配置を達成ることをアシストするために、装置100に対して任意の所望の位置に配置することができると考えられる。
【0084】
図1~3の実施例に示すように、上部支持体表面210と下部支持体表面212はいずれもその径方向寸法に沿って縦方向に変化する輪郭を含むことができる。本明細書で記載されているように、「径方向」の方向は実質的に縦方向に垂直な方向であり、少なくとも
図2と
図3の向きにおける水平方向である。上部支持体表面210及び下部支持体表面212の輪郭は、互いに径方向に配向され平面Rに対して実質的に鏡像になっている。特に
図3に示すように、上部支持体表面210、下部支持体表面212及び支持体周壁214は、ともに1つの実質的にトーラス形状をなす弁下支持部104を規定することができる。本明細書で使用されるように、「トーラス」は、円と交差しない平面内にある軸の周りに円が回転することにより生成されるドーナツ状の表面である。発明者は、弁下デバイス102が操作位置にあるとき、ドーナツ状の弁下支持部104が特定の潜在的に望ましい機械的特性を示すことを発見した。例えば、特定の材料で製造されるとき、ドーナツ状の弁下支持部104は、圧力下で少なくとも部分的に可撓性から実質的に剛性に変形する傾向がある。従って、心臓が拍動しているときに、ドーナツ状の弁下支持部104は、それに関連する弁尖の動きに抵抗することに寄与することができる。従って、このようなドーナツ状の弁下支持部104は、「解縛」機能により、弁尖の順行性運動を改善することに役立つことにより、僧帽弁逆流を実質的に解消して十分な僧帽弁機能を作り出すことができる。
【0085】
しかしながら、弁下デバイス102及びその一部が任意の所望の配置を有すると考えられる。例えば、
図4-10における弁下デバイス102で示すように、上部支持体表面210と下部支持体表面212は、いずれも実質的に平面であり、且つ互いに平行してもよい。より具体的に、弁下支持部104が縦方向軸線Lに対して実質的に円対称であり得ると考えられる。用語「円対称」は、本明細書で任意の角度で回転でき、その自身にマッピングできる平面物体の1種の連続対称を指すために用いられる。径方向の方向から見たときに、弁下支持部104は、実質的に矩形(
図4)、楕円形(
図5)及び台形(
図6)のうちの少なくとも1種の形状をなす輪郭を有することができる。
【0086】
他の選択として、
図20~25に示すように、径方向の方向から見たときに、弁下支持部104は、実質的に矩形をなす輪郭を有することができるが、縦方向の方向から見たときに、弁下支持部104は、実質的に楕円形をなす輪郭を有することができる。従って、本発明の特定の使用環境について、弁下支持部104は楕円柱状に成形することができる。
【0087】
弁下支持部104及びアンカー部106は、絶対的および相対的な複数の異なる配置のうちのいずれか1種を有することができる。これらの例示的な配置のうちのいくつかが
図7~10に示され、これらの図は本願における全ての図と同様に、縮尺どおりに描かれていない。(アンカー部106及び弁下支持部104自体は、任意の所望の形状又は輪郭を有することができるが、例を挙げる目的として、それぞれディスク状と円柱状で示すと理解すべきである)。アンカー部106の有する最大の径方向寸法(即ち、径方向の方向Rにおける最大の測定値)は、弁下支持部104の最大の径方向寸法よりも大きいであってもよい。
図7に示すように、アンカー部106の有する最大の径方向寸法は、弁下支持部104の最大の径方向寸法と同じであってもよい。
図8~10に示すように、アンカー部106の有する最大の径方向寸法は、弁下支持部104の最大の径方向寸法よりも小さいであってもよい。
【0088】
弁下支持部104、コネクタネック部108及びアンカー部106は、径方向の方向において任意の所望の相対位置を有してもよい。例えば、
図1~6に示される弁下デバイス102で示すように、弁下支持部104とアンカー部106はいずれもコネクタネック部108に対して実質的に円対称となってもよい。逆に、
図7~10に示すように、弁下支持部104とアンカー部106のうちの少なくとも一方は、コネクタネック部108に対して円対称でなくてもよい。即ち、弁下支持部104及び/又はアンカー部106は、径方向の方向においてコネクタネック部108から「ずれ」てもよい。これは、特定の患者の心臓構造の配置にとって望ましい場合がある。装置100の多くの使用環境について、例えば、アンカー部106を心房壁に緊密に隣接させることが望ましい。装置100の所望の配置を達成するために、当業者は、任意の所望の縦方向と径方向の形状、寸法、相対設置又は他の配置方式で弁下支持部104、コネクタネック部108、及びアンカー部106を備える弁下デバイス102を容易に配置することができる。
【0089】
図11は、上記から採取された心臓の僧帽弁部分の標識解剖図であり、これらの構造は本明細書で参照される。
【0090】
図12~14に示すように、弁下支持部104(ここで示す)とアンカー部106のうちの少なくとも一方は、実質的に複数の縦方向で配向されたストラット1228から形成することができ、これらのストラット1228は、縦方向軸線Lに対して径方向に配置されている。弁下支持部104が輸送位置(T、
図14)から操作位置(O、
図14)まで変換する期間で、それぞれのストラット1228の本体部分は、選択的に縦方向軸線Lから径方向に外向きに湾曲する。例えば、
図12~13の順番に示すように、ストラット1228は、縦方向の方向における圧縮力Cに耐えることができる。ストラット1228の両端がアンカーされると、例えば、ハブ(hub)1230を介して中心軸1232にアンカーされ、ストラット1228の中心部分は、三次元構築を提供して、弁下支持部104とアンカー部106のうちの少なくとも一方の機能を果たすように、「カクテル傘(cocktail umbrella)」形の方式で外へ広がり、そこに「ロック」されることができる。。
【0091】
なお、
図12~13においてストラット1228が、縦方向軸線Lの周りをほぼ360°取り囲んで形成されるのと比べ、
図14に示す弁下支持部104の態様は、縦方向軸線Lの一部のみを取り囲むストラット1228を有する。従って、
図14は、弁下支持部104のもう1つの可能な非対称構造を示し、それは、この図に示されるストラット1228配置又は弁下支持部104の任意の他の構造又は実施例で達成することができる。
【0092】
図15は、必要に応じて(単独で又は組み合わせて)装置100の様々な使用環境に使用できる多くの異なるオプションを模式的に示す。
図15に示されるオプションは、網羅的又は排他的ではなく、本発明による装置100は、これらのオプションの任意の数、組み合わせ又は配置を含むことができる。本明細書で示され、及び/又は記載される装置100の任意の実施例又は部材と同様に、経カテーテル又は経皮的経路の心エコー図及び/又は蛍光透視によるガイドで、柔軟な機械的調節カテーテルを用いて経中隔的に又は経大腿的に、経心房的、経心尖的、経大動脈的、経頸動脈的、及び/又は経鎖骨下動脈の経路により、開胸手術により、ロボット支援手術、及び/又は直接視覚化による低侵襲外科手術により、
図15に示すデバイスを導入及び配送することができる。
【0093】
図16~21で心臓1634内、特に心臓1634の僧帽弁1636の位置に配置された例示的な装置100の様々な図を示す。
図16~21の装置100は複数の弁下デバイス102を含む。
図16~21における1つの弁下デバイス102Aでは、弁下支持部104とアンカー部106はいずれも実質的に織りメッシュストランドで形成されている。
図16~21におけるもう1つの弁下デバイス102Bでは、弁下支持部104とアンカー部106のうちの1つ(ここで、弁下支持部104である)は、実質的に織りメッシュストランドで形成され、弁下支持部104とアンカー部106のうちのもう1つ(ここで、アンカー部106である)はバルーンである。
図16~21における弁下デバイス102A及び102Bの弁下支持部104は、前述した「楕円柱」構造である。任意の所望の物理特性又はその組み合わせを有する任意の数及び種類の弁下デバイス102は、必要に応じて、弁尖を補強、支持又は「強化」することにより、全ての心臓弁に対して所望の逆流減少を達成するように、本発明の任意の実施例における単一の装置100に提供することができる。
【0094】
図22~31は装置100´の第2実施例を示す。
図22~31における装置100´は、
図1~21における装置100と類似する。従って、
図1~21を参照しながら説明された構造と同じ又は類似する
図22~31の構造に、同じ符号を付し、また「´」標識を追加する。第2実施例について、前述した第1実施例と類似する共通要素と操作の説明を繰り返さない。
【0095】
図22~31に、装置100´が示され、弁下支持部104´を有する少なくとも1つの弁下デバイス102´を含み、当該弁下支持部104´は、対向する下部支持体表面212´に対して縦方向に間隔を置いて配置された弁尖接触(leaflet-contacting)の上部支持体表面210´を有する。(
図22~31では、弁下デバイス102´は、記載されている形状と輪郭をよりよく示すために、それぞれの図において実質的に同じ向きで2回示され、1回はその自身であり、1回はインサイチュ(in situ)で心臓1634´内である)。上部支持体表面210´と下部支持体表面212´のうちの少なくとも一方は、凸状の外縁2238及び凹状の内縁2240を含み、また、これらの表面は、特定の使用環境のために示され、提供された弁下支持部104´の円形の輪郭のため、互いに厳密に区別して描かれていないと考えられる。
【0096】
支持体周壁214´は、上部支持体表面210´と下部支持体表面212´との間に縦方向に延在するとともに、上部支持体表面210´及び下部支持体表面212´と一体的に且つ連続的に形成されている。支持体周壁214´の少なくとも一部は、僧帽心臓弁1636´に隣接する弁下心臓壁2242と接触すると同時に、凹状の内縁2240は、後弁尖2244と共に延在する。即ち、凹状の内縁2240は、後弁尖2244の大部分(そうでない場合、自身全体である)と同じ長さと輪郭を有する。
【0097】
アンカー機能(2246で模式的に示される)は、弁下支持部104´が後弁尖2244の心臓機能期間における移動を実質的に防止するように、弁下支持部104´を心臓組織に永久的に接続する。例えば、特に装置100の第2実施例が
図22~27に示すシングルピースバルーン(single-piece balloon)である弁下支持部104´を含むとき、アンカー機能2246は、接着剤、組織内方成長促進剤、縫合糸(
図22における「x」印で表される)、U形釘(staples)及び摩擦フィット(即ち、寸法がマッチングしないことによって、心臓組織が弁下支持部104´の動きに抵抗するのに十分な圧縮力を与える)のうちの少なくとも1種を含むことができる。
【0098】
次に、
図28~31に示す装置100´の第2実施例の配置を参照する。アンカー機能2246は、装置100の第1実施例に関して記述されたものと類似するアンカー部106´及びコネクタネック部108´を含む。実際に、
図28~31に示すように、アンカー部106´は第1アンカー部106´Aであり、弁下デバイス102´は、第1アンカー部106´Aに対して径方向に間隔を置いて配置された少なくとも1つの他のアンカー部(ここでは、第2アンカー部106´B)を含む。ここで、弁下支持部104´と少なくとも1つのアンカー部106´はいずれもバルーンであり、任意の所望の方式で配置及び膨張することができる。
【0099】
アンカー部106´のうちの少なくとも選択された1つは、僧帽弁1636の前方接合部位2848に位置してもよく、また、アンカー部106´のうちの少なくとも他の1つは、僧帽弁1636の後方接合部位2850に位置してもよい。例えば、
図28~31に示すように、第1アンカー部106´Aは、後方接合部位2850に位置し、第2アンカー部106´Bは前方接合部位2848に位置する。従って、
図20~31における弁下デバイス102´は、僧帽弁1636の前方接合部位2848と僧帽弁1636の後方接合部位2850との間の僧帽弁1636輪の下に連続的に延在することができる。
【0100】
第1アンカー部106´Aと第2アンカー部106´Bのうちの少なくとも一方は、実質的に織りメッシュストランドで形成することができる。第1アンカー部106´Aと第2アンカー部106´Bのうちの少なくとも一方は、バルーンであってもよい。第1アンカー部106´Aと第2アンカー部106´Bのうちの1つは、実質的に織りメッシュストランドで形成することができ、第1アンカー部106´Aと第2アンカー部106´Bのうちのもう1つはバルーンであってもよい。
【0101】
具体的に、
図31を参照すると、そこで示すように、弁下支持部104´とアンカー部106´のうちの少なくとも一方はバルーンである。
図31で例示として示す弁下デバイス102´は、弁下デバイス102´の大部分の外表面に接続され、単独で提供させる被覆材料(3152でメッシュ状材料として模式的に示される)を含む。この被覆材料3152は、任意の種類のものとすることができ、例えば、組織内方成長の促進又は抑制、及び/又は身体による装置100´に対する拒絶の防止など、だだしこれらに限定されない任意の所望の理由で提供することができる。
【0102】
図32~35は装置100´´の第3実施例を示す。
図32~35における装置100´´は、
図1~31における装置100、100´と類似する。従って、
図1~31を参照しながら説明された構造と同じ又は類似する
図32~35の構造に、同じ符号を付し、また「´´」標識を追加する。第3実施例について、前述した第1と第2実施例と類似する共通要素と操作の説明を繰り返さない。
【0103】
図32~35は、弁下支持部104´´を有する少なくとも1つの弁下デバイス102´´を含む装置100´´を示し、弁下支持部104´´は、対向する下部支持体表面212´´に対して縦方向に間隔を置いて配置された弁尖接触(leaflet-contacting)の上部支持体表面210´´を有する。(
図32~35では、弁下デバイス102´は、記載されている形状と輪郭をよりよく示すために、それぞれの図において実質的に同じ向きで2回示され、1回はその自身であり、1回はインサイチュ(in situ)で心臓1634´´内である。)。上部支持体表面210´´と下部支持体表面212´´のうちの少なくとも一方は、凸状の外縁2238´´及び凹状の内縁2240´´を含み、また、これらの表面は、特定の使用環境のために示され、提供された弁下支持部104´´の円形の輪郭のため、互いに厳密に区別して描かれていないと考えられる。
【0104】
上部支持体表面210´´、下部支持体表面212´´及び支持体周壁214´´のそれぞれの少なくとも一部は、径方向に延在する複数のストラット3254から形成され、これらのストラット3254は実質的に互いに平行に延在する。支持体周壁214´´の少なくとも一部は、僧帽心臓弁1636´´に隣接する弁下心臓壁2242´´と接触する同時に、凹状の内縁2240´´は後弁尖片と共に延在する。
【0105】
図28~31に示す装置100´の第2実施例と類似し、
図32~35に示す装置100´´の第3実施例は、後方接合部位2850に位置する第1アンカー部106´´Aを含み、また、第2アンカー部106´´Bは前方接合部位2848に位置する。従って、
図32~35における弁下デバイス102´´は、僧帽弁1636´´の前方接合部位2848´´と僧帽弁1636´´の後方接合部位2850´´との間の僧帽弁1636´´輪の下に連続的に延在する。
【0106】
第1アンカー部106´´Aと第2アンカー部106´´Bのうちの少なくとも一方は、実質的に織りメッシュストランドで形成することができる。第1アンカー部106´´Aと第2アンカー部106´´Bのうちの少なくとも一方はバルーンであってもよい。第1アンカー部106´´Aと第2アンカー部106´´Bのうちの1つは、実質的に織りメッシュストランドで形成することができ、第1アンカー部106´´Aと第2アンカー部106´´Bのうちの他の1つはバルーンであってもよい。
【0107】
任意の所望の理由で、弁下支持部104´´は、その大部分の外表面に接続され、単独で提供される被覆材料を含むことができる。
【0108】
次に、
図36~48を参照し、本発明の任意の態様又は実施例による装置100を用いて逆流のある心臓弁の弁尖を少なくとも部分的に支持又は解縛する方法を説明する。記述の便宜上、
図16~21に示す種類の弁下デバイス102は
図36~48で示されている。任意の数又は種類の弁下デバイス102は、以下に説明される方法で装置100に用いることができ、例えば
図1~35に示すものと、前述した任意の1つ又は複数の構造など、だたし、これらに限定されない。
【0109】
以下の説明を組み込んだ方法のフローチャートの例示は、
図36~37に示され、ここで、円で囲んだ「1」は、
図36から
図37までのフローチャートの続きを示す。
図36~37におけるフローチャートは、患者に本発明による装置100を提供するための1つの潜在的経路(経大腿の経路)を示す。以下に説明するように、
図38~48は、別の潜在的に関連する経路の例示を記述する。当業者は、特定の使用環境に用いるために、本発明に害を及ぼすことなく、適切な手術経路と対応する装置100を提供し、必要に応じて配置することができる。
【0110】
図38~40に示すように、寸法可変な寸法特定器(sizer)4164は、弁尖2244の下側における位置に製造された穿刺部位4060に隣接して配置することができる。寸法特定器4164は、例えばバルーンであってもよく、図に示すように、心臓1634に移植される、対応する弁下デバイス102の弁下支持部104の形状を模倣する形状を有する。
図39に示すように、寸法特定器4164の少なくとも1つの次元の寸法の弁尖2240に対する所定の効果の存在を確認するために、寸法特定器4164の少なくとも1つの次元の寸法は、変えることができる。そして、
図40に示すように、寸法特定器4164は、ガスを抜き、心臓1634から取り戻すことができる。
【0111】
より詳しくは、使用時に、2種の弁下僧帽弁スペーサデバイスの移植手段について、経大腿的、経上腕動脈的(transbrachial)又は経橈骨動脈的(transradial)に進入し、又は任意の他の所望の方式で逆行方式で寸法特定器4164を配送することができる。左心室後壁によって取り囲まれた心室弁下空間位置における僧帽弁弁尖2244の下に配置するために、寸法特定器4164は、拍動する大動脈弁を通過し、僧帽弁1636輪の心室側に向かって湾曲することができる。医師は、寸法特定器4164が所望の位置(例えば、P1、P2及び/又はP3弁尖スカラップレベル)に達するまで、蛍光透視及び/又はTEEガイダンス(例えばカテーテル3858を介するなど)により、寸法特定器4164を弁下空間内にナビゲートすることができる。寸法特定器4164は、予め選択された解剖位置で膨張することができる。例えば2D又は3Dリアルタイム心エコー図、ただしこれに限定されない任意の所望の結像手段を用いて、医師は、寸法特定器4164により縛られた後弁尖2244を押し、又は前方に移動させて、僧帽弁逆流の減少又は解消を評価することができる。この「試験」寸法特定器4164の膨張は、少なくとも半永久的な弁下デバイス102の移植の前に後弁尖2244と前弁尖との間の弁尖2244の接合の表面を示すことに役立つことができる。寸法特定器4164の膨張の寸法も、必要に応じて生理食塩水体積が小から中、大、又はさらに特大の寸法まで増加することで測定することができる。従って、操作者は、寸法特定器4164を用いることで、所望の僧帽弁1636機能を達成するのに適切な最終の弁下デバイス102の寸法、及び当該弁下デバイス102の正確な位置決めを評価、較正することができる。
【0112】
ガイドワイヤ3856は、手術中の任意の所望の時点で患者の心臓1634に配置されてもよく、ここで、それは、本明細書に記載される大部分の方法の全体の手順で残る。本明細書に示され、記載される例示的な手順では、寸法特定器4164が使用された後、ガイドワイヤ3856は、
図41~43の順番で配置、使用されるように示されている。しかしながら、必要に応じて、ガイドワイヤ3856は寸法特定器4164と併せて又は、代わりに使用することができると考えられる。
【0113】
しかしながら、外科手術中にいつ導入されるかにかかわらず、ガイドワイヤは、例えば、低侵襲外科手術技術など、ただしこれに限定されない任意の適切な方式で配置することができる。カテーテル3858は、ガイドワイヤ3856を介して患者の心臓1634にガイドされることができる。そして、カテーテル3858は、一時的又は永久的に位置決めするため、装置100の取り付けに関連する様々な構造を心臓1634に導入することに用いることができる。例えば、ガイドワイヤ3856及び/又は弁下デバイス102は、前進してカテーテル3858を通って心臓1634に進入することができる。
【0114】
図41~43の順番で示すように、ガイドワイヤ3856は、縦方向に前進して弁に隣接する心臓組織を通ることができ、ここで、後弁尖2244の基部と僧帽弁1636の輪のうちの少なくとも一方として示され、説明されている。しかしながら、類似する技術を用いて、心臓1634の三尖弁及び/又は大動脈弁に関連して装置100を取り付けることができる。
【0115】
具体的に、
図41~42を参照し、ガイドワイヤ3856及び/又は任意の他の所望の外科手術器具は、後弁尖2244の基部と僧帽弁1636の輪のうちの少なくとも一方を完全に貫通し、製造された穿刺部位4060を形成することができる。ガイドワイヤ3856は、心臓組織自体を通して供給することができ、又は別の手術器具を用いて心臓組織を突き刺すのをアシストすることができる。例えば、製造された穿刺部位4060は、物理的に鋭い穿刺デバイス4062(図示された針のように)を用いて機械的に心臓組織を切開して貫通すること、及び/又は電動切断デバイスにより(例えば、Bovieナイフ又は焼灼プローブ、又は局所RFエネルギーの応用)心臓組織を電動的に切断して貫通することにより形成することができる。製造された穿刺部位4060が形成されると、穿刺デバイス4062又は他の部材/構造(存在する場合)は、例えばカテーテル3858(存在する場合)を介して身体から撤去することができる。
【0116】
図38~48に示す方法に戻る。次に、寸法特定器4164が使用されるかどうかにかかわらず、例えば本明細書に図示及び記載される任意の弁下デバイス、又は当業者が本願の教示を参考して構成した任意の他の弁下デバイス102が提供される。好ましくは、寸法特定器4164が使用されるとき、寸法特定器4164の少なくとも1つの次元の寸法の変化に応じて、複数の提供される弁下デバイスから移植用の特定の弁下デバイス102を選択することができる。例えば、ユーザが、寸法特定器4164が「中」サイズまで膨張することによって、僧帽弁1636の逆流の所望の減少をもたらすことを発見すると、「中」寸法の弁下デバイス102を選択して患者に用いることができる。
【0117】
図44に示すように、弁下デバイス102は心臓1634に前進することができる。アンカー部106は、製造された穿刺部位4060を通って、後弁尖2244の基部と僧帽弁1636の輪のうちの少なくとも一方の上側における所定のアンカー位置に前進することができる。そして、
図44に示すように、アンカー部106をこの所定のアンカー位置に配置することができる。
【0118】
弁下デバイス102が維持され、ここで、コネクタネック部108が製造された穿刺部位4060において後弁尖2244の基部と僧帽弁1636の輪のうちのうちの少なくとも一方を縦方向に貫通する。そして、
図45~48に示すように、弁下支持部104は、弁尖2244の下側における位置で製造された穿刺部位4060に縦方向に隣接して配置され、支持体周壁214の少なくとも一部は、弁1636に隣接する弁下心臓壁2242に接触する。
図46~48に示すように、弁下デバイス102を弁1636に対して操作位置に位置決めするため、後弁尖2244の基部と僧帽弁1636の輪のうちの少なくとも一方は、アンカー部106と弁下支持部104との間に縦方向に挿入されている。
【0119】
アンカー部106及び/又は弁下支持部104の配置は、任意の適切な方法で行えるが、それらの構成要素の性質に依存する。例えば、アンカー部106及び/又は弁下支持部104が、メッシュ状に織ったストランド構造を含むとき、配置は、この織ったメッシュストランド構造を拡張することを含み、このメッシュストランド構造は、アンカー部106の少なくとも一部及び/又は弁下支持部104を含む。他の場合、アンカー部106及び/又は弁下支持部104の配置は、アンカー部106の少なくとも一部及び/又は弁下支持部104を含むバルーンを膨張させること、又は、縦方向に配向された複数のストラットのそれぞれのストラットの本体部分を互いに径方向に外へ湾曲させることを含むことができ、前記ストラットはアンカー部106の少なくとも一部及び/又は弁下支持部104を含む。
【0120】
しかしながら、アンカー部106及び/又は弁下支持部104が配置される正確な性質にかかわらず、弁下デバイス102が操作位置に配置されると、弁尖2244の移動が心臓手術中に抵抗されることにより、実質的に弁尖を支持する。外科手術中に、弁下デバイス102を操作位置に維持したまま、弁1636の機械的機能を試験することができると考えられる。弁下デバイス102の位置と弁下デバイス102の少なくとも1つの寸法のうちの少なくとも一方を調節することができ、例えば、弁下デバイス又は他の部材を配置することにより、機械的機能試験の結果により完全に反応する。その結果、弁1636の逆流特性について所望の結果を達成するため、ユーザは装置100を「微調整」することができる。
【0121】
図47~48の順番を参照し、ガイドワイヤ3856は、大多数の場合、ガイドワイヤ3856が外科手術の最後の終了時に取り外すことができると考えるが(選択的に、そこから装置100の少なくとも一部を解放することを含む)、外科手術中の任意の所望の時点で患者の心臓1634から取り外すことができる。その後、手術の切開部を閉じて既知の方法で外科手術を終了することができる。
図38~48に示す方法は、装置100を含む単一の弁下デバイス102の提供及び配置を含むが、同じ外科手術中に複数の弁下デバイス102を同様に取り付けると考えられ、この場合、ガイドワイヤ3856は、全ての弁下デバイス102がユーザが満足できるように配置されるまで、心臓1634に残る可能性がある。
【0122】
本開示の各態様は、上記の例示の態様を参照して具体的に示され説明されてきたが、様々な他の態様が考えられることが当業者によって理解されるのであろう。例えば、この装置を使用するための上記の具体的な方法は単なる例示である。当業者であれば、上述の装置、またはその構成要素を本明細書に示し説明したものと実質的に同様の位置に配置するための任意の数のツール、ステップ順番又は他の手段/選択肢を容易に決定することができる。図面を明確にするために、示された重複する構成要素のうちのいくつかは具体的に番号が付けられていないが、当業者は、番号が付けられた構成要素に基づいて、番号が付けられていない要素に関連する要素の番号を理解するのであろう。同様の構成要素間の区別は、図中の要素番号の有無によってのみ意図され又は暗示されない。任意の上述した構造と部材は、全体として、単一の部材又は一体の部材に形成され、或いは独立のサブ部材から構成されることができ、これらの形成過程のいずれかは任意の適切な原料又は特注部材及び/又は任意の適切な材料又は材料の組み合わせを含む。しかしながら、選択された材料は多くの用途に対して生体適合性であるべきである。特定の使用環境の需要に応じて、任意の上述した構造及び部材は、使い捨て又は再利用可能である。任意の部材に、この部材に関連する材料、配置、少なくとも1つの寸法などを示すためのユーザ認識可能な標識を提供することができ、ユーザが認識可能な標識は、ユーザが特定の使用環境に対して類似する部材のアレーから1つの部材を選択することに役立つことができる。「所定の」状態は、操作されている構造が実際にある状態に達する前の任意の時点で決定されてもよく、「所定」は、遅くとも構造が所定の状態に達する直前に行われる。用語「実質的に」は、本明細書で、大きな程度であるが、必ずしも完全ではない特性を示し、「実質的に」という特性は、一部の非特性項目を比較的に少なく含む可能性を認める。本明細書で記載された一部の部材は特定の幾何学的形状を有すると示されるが、本開示のすべての構造は任意の適切な形状、寸法、配置、相対関係、断面積、又は特定の応用に必要な任意の他の物理的特性を有することができる。本明細書で論じる各態様と配置が全ての他の態様と配置に関して、論じるすべてのオプションを有すると記載することは現実的ではないため、一態様又は配置を参考して記載する任意の構造又は特徴は、単独で、或いは他の構造又は特徴と組み合わせて任意の他の態様又は配置に提供することができる。任意のこれらの特徴を含むデバイス又は方法は、特許請求の範囲及び任意の均等物に基づいて決定される本開示範囲内に含まれると理解されるべきである。
【0123】
他の態様、目的、および利点は、図面、開示内容、および添付の特許請求の範囲の検討から得ることができる。
A.逆流のある心臓弁の弁尖を少なくとも部分的に支持するための方法であって、
ガイドワイヤを患者の心臓に配置することと、
前記ガイドワイヤを前進させて弁尖を縦方向に通すことと、
弁尖の基部と心臓弁の輪のうちの少なくとも一方を完全に貫通して、製造された穿刺部位を形成することと、
弁下支持部と、アンカー部と、コネクタネック部とを含む弁下デバイスを提供することと、
前記弁下デバイスを心臓内に前進させることと、
前記アンカー部を、前記製造された穿刺部位を通して前記弁尖の上側の所定のアンカー位置まで前進させることと、
前記所定のアンカー位置に前記アンカー部を配置することと、
製造された穿刺部位において、弁尖の基部と心臓弁の輪のうちの少なくとも一方のコネクタネック部を縦方向に通すことにより、前記弁下デバイスを保持することと、
弁尖の下側の位置において製造された穿刺部位に縦方向隣接して弁下支持部を配置することにより、支持体周壁の少なくとも一部を弁に隣接する弁下心臓壁に接触させることと、
弁尖の基部と心臓弁の輪のうちの少なくとも一方をアンカー部と弁下支持部との間に縦方向に挿入することにより、弁下デバイスを弁に対して操作位置に位置決めすることと、
弁下デバイスを用いて、心臓手術中に弁尖の移動に抵抗して前記弁尖を実質的に支持することとを含み、
前記弁下支持部は、対向する下部支持体表面に対して縦方向に間隔を置いて配置された弁尖接触の上部支持体表面と、上部支持体表面と下部支持体表面との間に縦方向に延在するとともに、上部支持体表面と下部支持体表面と一体的に且つ連続的に形成された支持体周壁とを含み、
前記アンカー部は、上部支持体表面に隣接して縦方向に間隔を置いて配置され、前記アンカー部は、対向する上部アンカー表面に対して縦方向に間隔を置いて配置された弁尖接触の下部アンカー表面と、上部アンカー表面と下部アンカー表面との間に縦方向に延在するとともに、上部アンカー表面と下部アンカー表面と一体的に且つ連続的に形成されたアンカー周壁とを含み、
前記コネクタネック部は、上部支持体表面と下部アンカー表面との間に縦方向に挿入されているとともに、上部支持体表面及び下部アンカー表面に直接接続されている。
A1.態様Aの方法において、前記心臓弁は僧帽弁であり、前記弁尖は後部僧帽弁弁尖である。
A2.態様Aの方法において、前記心臓弁は、三尖弁である。
A3.態様Aの方法において、
寸法可変な寸法特定器を、前記製造された穿刺部位に隣接させて前記弁尖の下側の位置に配置することと、
前記寸法特定器の少なくとも1つの次元の寸法を変えて、少なくとも1つの次元の寸法特定器の寸法に応じて前記弁尖に対する所定の効果の存在を確認することとを含む。
A4.態様A3の方法において、前記寸法特定器の少なくとも1つの次元の寸法の変化に応じて、複数の提供された弁下デバイスから弁下デバイスを選択することを含む。
A5.態様Aの方法において、前記アンカー部を配置することは、前記アンカー部の少なくとも一部を含むバルーンを膨張させることを含む。
A6.態様Aの方法において、前記アンカー部を配置することは、前記アンカー部の少なくとも一部を含む織りメッシュストランド構造を拡張することを含む。
A7.態様Aの方法において、前記弁下支持部を配置することは、前記弁下支持部の少なくとも一部を含むバルーンを膨張させることを含む。
A8.態様Aの方法において、前記弁下支持部を配置することは、前記弁下支持部の少なくとも一部を含む織りメッシュストランド構造を拡張することを含む。
A9.態様Aの方法において、前記弁下支持部を配置することは、前記弁下支持部の少なくとも一部を含む縦方向に配向された複数のストラットのうちのそれぞれのストラットの本体部分を互いに径方向に外へ湾曲させることを含む。
A10.態様Aの方法において、前記患者の心臓から前記ガイドワイヤを取り外すことを含む。
A11.態様Aの方法において、前記ガイドワイヤを前進させて前記弁尖を縦方向に通らせることと、前記弁下デバイスを心臓に前進させることのうちの少なくとも一方は、前記ガイドワイヤと弁下デバイスをそれぞれ前進させてカテーテルを通らせて前記心臓に進入させることにより行われる。
A12.態様Aの方法において、前記弁尖の基部と前記心臓弁の輪のうちの少なくとも一方を完全に貫通して、製造された穿刺部位を形成することは、
物理的に鋭い穿刺デバイスを用いて前記弁尖の基部と前記心臓弁の輪のうちの少なくとも一方の組織を機械的に切開することと、
電動切断デバイスを用いて前記弁尖の基部と前記心臓弁の輪のうちの少なくとも一方の組織を電気外科的に切開することのうちの少なくとも一方を含む。
A13.態様Aの方法において、操作位置に保持された弁下デバイスにより、前記弁の機械機能を試験することを含む。
A14.態様A13の方法において、前記機械機能試験の結果に応じて、前記弁下デバイスの位置と前記弁下デバイスの少なくとも1つの寸法を調整することのうちの少なくとも1つを含む。
B.逆流のある僧帽心臓弁の後弁尖を少なくとも部分的に支持するための装置であって、前記装置は少なくとも1つの弁下デバイスを含み、前記少なくとも1つの弁下デバイスは、弁下支持部と、アンカー特徴とを含み、
前記弁下支持部は、対向する下部支持体表面に対して縦方向に間隔を置いて配置された弁尖接触の上部支持体表面と、支持体周壁とを含み、
前記上部支持体表面と前記下部支持体表面のうちの少なくとも一方は、凸状の外縁及び凹状の内縁を含み、
前記支持体周壁は、前記上部支持体表面と前記下部支持体表面との間に縦方向に延在するとともに、前記上部支持体表面及び前記下部支持体表面と一体的に且つ連続的に形成され、
前記支持体周壁の少なくとも一部は、前記僧帽心臓弁に隣接する弁下心臓壁と接触し、同時に前記凹状の内縁は、後弁尖とともに延在し、
前記アンカー特徴は、前記弁下支持部を心臓組織に永久的に取り付けることにより、前記弁下支持部が、前記後弁尖の心臓機能中の移動を実質的に防止する。
B1.態様Bの装置において、前記アンカー特徴は、接着剤、組織内方成長促進剤、縫合糸、U形釘及び摩擦フィットのうちの少なくとも1つを含む。
B2.態様Bの装置において、前記アンカー特徴は、アンカー部と、コネクタネック部とを含み、
前記アンカー部は、前記上部支持体表面に隣接して縦方向に間隔を置いて配置され、前記アンカー部は、対向する上部アンカー表面に対して縦方向に間隔を置いて配置された弁尖接触の下部アンカー表面と、前記上部アンカー表面と前記下部アンカー表面との間に縦方向に延在するとともに、前記上部アンカー表面及び前記下部アンカー表面と一体的に且つ連続的に形成されたアンカー周壁とを含み、
前記コネクタネック部は、前記上部支持体表面と前記下部アンカー表面との間に縦方向に挿入されているとともに、前記上部支持体表面及び前記下部アンカー表面に直接接続され、前記コネクタネック部は、製造された穿刺部位において、前記後弁尖の基部と前記僧帽心臓弁の輪のうちの少なくとも一方を縦方向に貫通する。
B3.態様B2の装置において、前記弁下支持部、アンカー部和コネクタネック部は、ともに囲んでた単一の連続する内部空間を形成する。
B4.態様B2の装置において、前記弁下支持部と前記アンカー部は、いずれも実質的に織りメッシュストランドから形成される。
B5.態様B2の装置において、前記弁下支持部と前記アンカー部は、いずれもバルーンである。
B6.態様B2の装置において、前記弁下支持部と前記アンカー部のうちの1つは、実質的に織りメッシュストランドから形成され、前記弁下支持部と前記アンカー部のうちのもう1つはバルーンである。
B7.態様B2の装置において、前記弁下支持部と前記アンカー部のうちの少なくとも一方は、前記縦方向軸線に対して径方向に配置された縦方向に配向された複数のストラットから実質的に形成され、それぞれのストラットの本体部分は、選択的に前記縦方向軸線から外へ湾曲する。
B8.態様Bの装置において、前記弁下支持部は、実質的に織りメッシュストランドから形成される。
B9.態様Bの装置において、前記弁下支持部はバルーンである。
B10.態様Bの装置において、前記弁下支持部は、その大部分の外表面に取り付けられて単独で提供される被覆材料を含む。
B11.態様Bの装置において、前記弁下支持部は、前記縦方向軸線に対して径方向に配された縦方向に配向された複数のストラットから実質的に形成され、それぞれのストラットの本体部分は選択的に前記縦方向軸線から外へ湾曲する。
B12.態様Bの装置において、前記アンカー部は第1アンカー部であり、前記弁下デバイスは、前記第1アンカー部に対して径方向に間隔を置いて配置された少なくとも1つの他のアンカー部を含む。
B13.態様B12の装置において、少なくとも前記アンカー部のうちの選択された1つは、前記僧帽弁の前方接合部位に位置し、少なくとも前記アンカー部のうちの他の1つは、前記僧帽弁の後方接合部位に位置する。
B14.態様Bの装置において、前記弁下デバイスは、前記僧帽弁の前方接合部位と前記僧帽弁の後方接合部位との間の僧帽弁輪の下に連続的に延在する。
B15.態様Bの装置において、複数の弁下デバイスを含む。
B16.態様B15の装置において、前記複数の弁下デバイスは、前記僧帽弁の前方接合部位と前記僧帽弁の後方接合部位との間の僧帽弁輪の下に実質的に連続的にともに延在する。
C.逆流のある僧帽心臓弁の後弁尖を少なくとも部分的に支持するための装置であって、前記装置は、少なくとも1つの弁下デバイスを含み、前記少なくとも1つの弁下デバイスは、弁下支持部と、第1アンカー部と、第1コネクタネック部と、第2アンカー部と、第2コネクタネック部とを含み、
前記弁下支持部は、対向する下部支持体表面に対して縦方向に間隔を置いて配置された弁尖接触の上部支持体表面と、支持体周壁とを含み、
前記上部支持体表面と前記下部支持体表面のうちの少なくとも一方は、凸状の外縁及び凹状の内縁を含み、
前記支持体周壁は、前記上部支持体表面と前記下部支持体表面との間に縦方向に延在するとともに、前記上部支持体表面及び前記下部支持体表面と一体的に且つ連続的に形成され、
前記上部支持体表面と前記下部支持体表面のうちのそれぞれの少なくとも一部と前記支持体周壁は径方向に延在する複数のストラットから形成され、前記径方向に延在する複数のストラットは、その長さの少なくとも一部に沿って実質的に互いに平行に延在し、且つ
前記支持体周壁の少なくとも一部は、前記僧帽心臓弁に隣接する弁下心臓壁と接触し、同時に前記凹状の内縁は、後弁尖と共に延在し、
前記第1アンカー部は、前記上部支持体表面に隣接して縦方向に間隔を置いて配置され、前記第1アンカー部は、対向する上部第1アンカー表面に対して縦方向に間隔を置いて配置された接触弁尖の下部第1アンカー表面と、前記上部第1アンカー表面と前記下部第1アンカー表面との間に縦方向に延在するとともに前記上部第1アンカー表面及び前記下部第1アンカー表面と一体的に且つ連続的に形成された第1アンカー周壁とを含み、
前記第1コネクタネック部は、前記上部支持体表面と前記下部第1アンカー表面との間に縦方向に挿入されているとともに、前記上部支持体表面及び前記下部第1アンカー表面に直接接続され、前記第1コネクタネック部は、前方弁接合部位に隣接する、製造された穿刺部位において前記後弁尖の基部と前記僧帽心臓弁の輪のうちの少なくとも一方を縦方向に貫通し、
前記第2アンカー部は、前記上部支持体表面に隣接するとともに、前記上部支持体表面に対して縦方向に間隔を置いて配置され、前記第2アンカー部は、前記第1アンカー部に対して径方向に間隔を置いて配置され、前記第2アンカー部は、対向する上部第2アンカー表面に対して縦方向に間隔を置いて配置された接触弁尖の下部第2アンカー表面と、前記上部第2アンカー表面と前記下部第2アンカー表面との間に縦方向に延在するとともに前記上部第2アンカー表面及び前記下部第2アンカー表面と一体的に且つ連続的に形成された第2アンカー周壁とを含み、
前記第2コネクタネック部は、前記上部支持体表面と前記下部第2アンカー表面との間に縦方向に挿入されているとともに、前記上部支持体表面及び前記下部第2アンカー表面に直接接続され、前記第2コネクタネック部は、後方弁接合部位に隣接する、製造された穿刺部位において、前記後弁尖の基部と前記僧帽心臓弁の輪のうちの少なくとも一方を縦方向に貫通する。
C1.態様Cの装置において、前記第1アンカー部と前記第2アンカー部のうちの少なくとも一方は実質的に織りメッシュストランドから形成される。
C2.態様Cの装置において、前記第1アンカー部と前記第2アンカー部のうちの少なくとも一方はバルーンである。
C3.態様Cの装置において、前記第1アンカー部と前記第2アンカー部のうちの1つは実質的に織りメッシュストランドから形成され、前記第1アンカー部と前記第2アンカー部のうちの他の1つはバルーンである。
C4.態様Cの装置において、前記弁下支持部は、その大部分の外表面に取り付けられて単独で提供される被覆材料を含む。
C5.態様Cの装置において、前記弁下デバイスは、前記前方弁接合部位と前記後方弁接合部位との間の僧帽弁輪の下に連続的に延在する。
C6.態様Cの装置において、複数の弁下デバイスを含む。
C7.態様C6の装置において、前記多个弁下デバイスは、前記前方弁接合部位と前記後方弁接合部位との間の僧帽弁輪の下に実質的に連続的にともに延在する。