(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】サンプルの物理的特性を決定する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/04 20180101AFI20221223BHJP
G01N 23/083 20180101ALI20221223BHJP
G01N 23/10 20180101ALI20221223BHJP
G01T 1/17 20060101ALI20221223BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
G01N23/04
G01N23/083
G01N23/10
G01T1/17 E
G01T1/20 F
(21)【出願番号】P 2019568186
(86)(22)【出願日】2018-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2018064974
(87)【国際公開番号】W WO2018224580
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2020-01-30
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519434411
【氏名又は名称】ディテクション テクノロジー エスエーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ガポリオ ボリッセンコ エレナ
(72)【発明者】
【氏名】ペリオン ディディエ
【審査官】今浦 陽恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/006059(WO,A1)
【文献】特開2011-024773(JP,A)
【文献】特開2010-091483(JP,A)
【文献】特開2011-257288(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10305105(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00 - 23/2276
G01T 1/17 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つのチャネルを備えた複数のチャネルであって所与のエネルギー帯域で受けとった放射線の量を測定するチャネルを有する分光検出器(20)を使用して試験サンプル(14)の物理的特性を決定する方法であって、
・複数の較正サンプルの各々の
較正サンプルの測定を前記複数のチャネルの各々のチャネルにおいて実行するステップと、
・前記較正サンプルの各々の変数を計算するステップであって、各々の変数は、前記チャネルの組み合わせに前記較正サンプルで実行された測定値を組み合わせることによって形成される変数計算ステップと、
・回帰法を使用して、前記較正サンプルに関連する前記変数を前記較正サンプルの物理的特性の期待値にリンクさせることにより、重み付けとバイアスのマトリックス(30)を定義するマトリックス定義ステップと、
・前記較正サンプル(40)に関連する前記変数に前記重み付けとバイアスのマトリックス(30)を適用して取得した前記較正サンプルの前記物理的特性の計算値(46)と、前記較正サンプルの前記物理的特性の前記期待値(44)との間の平均二乗誤差(MSE)を計算するMSE計算ステップと、
・前記平均二乗誤差(MSE)が所望の値に達している場合、前記重み付けとバイアスのマトリックス(30)を確定するステップと、
・前記平均二乗誤差(MSE)が所望の値に達していない場合、前記チャネルの前記組み合わせの少なくとも1つを変更することで前記変数を変更する変数変更ステップと、
・前記重み付けとバイアスのマトリックス(30)が確定するまで、前記変数計算ステップ、前記マトリックス定義ステップ、前記MSE計算ステップ、および前記変数変更ステップを繰り返すステップと、
・前記試験サンプル
に対して前記チャネルの各々で測定を実行するステップと、
・前記試験サンプルの前記変数を計算するステップであって、各々の変数は、前記チャネルの前記組み合わせに前記試験サンプルで実行された測定値を組み合わせることによって形成されるステップと、
・前記重み付けとバイアスのマトリックス(30)を前記試験サンプルの
前記変数を計算するステップで計算された前記変数に適用し、前記試験サンプルの前記物理的特性を決定するステップと、
を含むことを特徴とする、試験サンプルの物理的特性を決定する方法。
【請求項2】
前記変数が「変数ベクトル」を形成し、前記重み付けとバイアスのマトリックス(30)に前記変数ベクトルを適用すると、結果ベクトルが得られ、その成分が調査した物理的特性の値であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変数は、前記サンプルにより減衰された放射線の有用な測定値と前記サンプルにより減衰されていない放射線の空の測定値との比を使用して正規化されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記変数は、前記比の対数を使用して正規化されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
・調査した物理的特性の決定は、少なくとも1つのパラメータを必要とし、
・前記少なくとも1つのパラメータは、所定の厚さを有し、かつ少なくとも1つの調査した物理的特性が既知である基準サンプルの前記チャネルの各々で行われる測定を支援する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
・前記基準サンプルの前記測定は、試験サンプルの測定と同時に行われ、
・前記パラメータは、試験されるサンプルの調査した物理的特性を決定する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
・前記少なくとも1つのパラメータは、所定の異なる厚さを有する2つの基準サンプルの前記チャネルの各々で行われる測定を支援し、これによって、前記調査した物理的特性のうちの1つの同じ測定を提供でき、
・前記パラメータは、前記2つの基準サンプルで共有されて調査した物理的特性を有する第一の材料の同等の基準サンプルの厚さに応じて、2つの別個の値を有することもある、請求項5または6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電離放射線、特にX線またはγ線による材料分析の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
X線またはγ線の用途は、非破壊検査およびセキュリティの分野で、例えば、爆発物の検出などで開発されてきた。非破壊検査の分野では、複数の用途があり、例えば、肉の脂肪レベルを測定することであった。
【0003】
このような用途では、マルチエネルギー測定が行われる。より具体的には、分析されるべき物体は、多色スペクトル源とマルチエネルギー検出器の間に配置される。このマルチエネルギー検出器は、例えば、異なるエネルギー帯域を定義する複数のフィルターに関連付けられた分光検出器またはシンチレーション検出器である。
【0004】
例えば、2つのエネルギー帯域から、各エネルギー帯域の入射放射線の減衰係数を測定することができる。減衰係数の比較ベースを定義できる基準材料を使用する。次いで、試験材料の減衰係数により、この比較ベースに当該試験材料を配置して、試験材料の特性、例えば、脂肪レベルを見い出すことができる。
【0005】
より具体的には、物体の透過は、数学的に相互作用なしに物体を通過する光子の量、つまり、所与のエネルギー帯域内の物体の後の光子束と物体の前の光子束の比率を特徴付ける。
【0006】
X線撮影による材料の識別は、材料がX線またはγ線と相互作用する方法に関連している。材料によるX線またはγ線の吸収の可能性(または有効な相互作用セクション)は、その有効原子番号(Zeff)とX線またはγ線のエネルギーに依存する。有効原子番号は、X線またはγ線と相互作用する電子雲内の電子の数を反映している。純粋な化学元素(炭素、鉄、金など)の場合、有効原子番号は化学元素の原子番号Z(Zeff=Z)に等しい。化合物の場合、有効原子番号は、体積単位あたりの平均電子数で近似される。
【0007】
各材料は、その独自の減衰スペクトルによって特徴付けられる。減衰スペクトルは、光子の材料との相互作用の可能性を光子のエネルギーの関数として表す関数である。基本的に、3つの物理現象が、X線またはγ線と材料との間の相互作用を示すものであると識別されている。この3つとは、光電効果、レイリー拡散または弾性拡散、コンプトン拡散または非弾性拡散である。これらの3つの現象では、原子番号とX光子のエネルギーが異なる強度で干渉する。
【0008】
材料の識別は、この材料を、1つまたは複数の物理的特性によって、例えば、有効原子番号Zeff、密度、ある材料中に含まれるの他の材料の量(または割合)などによって特徴付けることから成る。
【0009】
例えば、特許文献1に記載されているような既知の方法を使用して、試験サンプルで行われたマルチエネルギー測定がどのように分解されるかを決定することができる。2つを超える材料に基づくと、その結果は、常に、測定値が試験サンプルの測定を構成する2つの材料のみを考慮した確率分布になる。したがって、この方法では、例えば、脂肪レベルを測定するために機能し得るが、多数の材料の中から有効原子番号を見い出すことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許出願公開第2013/0110438号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
さらに、特定の材料の場合、この減衰は使用するサンプルの厚さに依存する。厚ければ厚いほど、減衰が強くなる。既知の方法はこのパラメータに非常に適しておらず、材料を認識するためには、一般に所定の厚さのサンプルを使用する必要がある。この制約のため、検査されるべき物体の寸法がその性質上不明である荷物の検査には適していない。
【0012】
本発明は、任意のサンプル厚さに適合できる分光検出器を使用してサンプルの物理的特性を決定するための新たな方法を提案することにより、前述の問題のすべてまたは一部を解消しようとするものである。また、本発明は、この決定の精度改善を試みるものであり、例えば、この方法で、ある材料中の別の材料の割合を求めるときの精度改善を試みる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このために、本発明は、少なくとも3つのチャネルを備えた分光検出器を使用して、試験サンプルの物理的特性を決定する方法に関し、この方法は、
・試験サンプルの各チャネルで測定を実行するステップと、
・異なるチャネルの測定値の組み合わせからそれぞれ形成される変数を計算するステップと、
・重み付けとバイアスのマトリックスを変数に適用し、試験サンプルの調査した物理的特性の値を決定できるようにするステップであって、これらの値が連続的に変化し得る、ステップからなる。
【発明の効果】
【0014】
有利なことに、変数は「変数ベクトル」を形成し、変数ベクトルへの重み付けとバイアスのマトリックスの適用によって、結果ベクトルが得られ、その成分は調査される物理的特性の値である。
【0015】
有利なことに、変数は、サンプルによって減衰された放射線の有用な測定値とサンプルによって減衰されていない放射線の空の測定値との間の比を使用して正規化される。これらの変数は、比率の対数を使用して正規化できる。
【0016】
有利なことに、この方法は、さらに、
・さまざまな厚さを有し、さまざまな材料の複数の較正サンプルの各チャネルで測定を実行するステップと、
・各較正サンプルの変数を計算するステップと、
・第一の較正のステップの間に、回帰法を使用して、重み付けとバイアスのマトリックスを定義することによって、較正サンプルに関連する変数を較正サンプルの調査した特性の期待値にリンクするステップからなる。
【0017】
有利なことに、この方法は、さらに、
・第二の較正ステップ中に、較正サンプルの特性の計算値を取得するために、較正サンプルに関連する変数に重み付けとバイアスのマトリックスを適用して、較正サンプルの特性の計算値と、較正サンプルの特性の期待値との間の偏差に対する平均二乗誤差が最小となるように計算するステップと、
・平均二乗誤差の値が所定の閾値以下である場合、重み付けとバイアスのマトリックスを検証し、
・平均二乗誤差の値が閾値を超える場合、異なる変数の測定の組み合わせを変更し、平均二乗誤差の値が閾値以下になるまで第一と第二の較正ステップを繰り返すステップとからなる。
【0018】
有利なことに、この方法は、さらに、
・第二の較正ステップ中に、較正サンプルの特性の計算値を取得するために、較正サンプルに関連する変数に重み付けとバイアスのマトリックスを適用して、較正サンプルの特性の計算値と、較正サンプルの特性の期待値との間の偏差に対する平均二乗誤差が最大となるように計算するステップと、
・平均二乗誤差の値が所定の閾値以上である場合、重み付けとバイアスのマトリックスを検証し、
・平均二乗誤差の値が閾値未満である場合、異なる変数の測定の組み合わせを変更し、平均二乗誤差の値が閾値以下になるまで第一と第二の較正ステップを繰り返すステップとからなる。
【0019】
有利なことに、調査される物理的特性の決定は、少なくとも1つのパラメータを必要とし、その少なくとも1つのパラメータは、所定の厚さを有し、かつ少なくとも1つの調査した特性が既知である基準サンプルの各チャネルで行われる測定を支援するのに適している。
【0020】
有利なことに、基準サンプルの測定は、試験サンプルの測定と同時に行われ、パラメータは、試験されるサンプルの調査した物理的特性を決定するのに適している。
【0021】
有利なことに、この少なくとも1つのパラメータは、2つの基準サンプルの各チャネルで行われる測定を支援するのに適しており、これによって、調査される特性のうちの1つの同じ測定を提供でき、所定の別個の厚さを有する。パラメータは、2つの基準サンプルで共有されて調査される特性を有する第一の材料の同等の厚さに応じて、2つの別個の値を有することもある。
【0022】
一例として提供される一実施形態の詳細な説明から、本発明は、よりよく理解され、その他の利点が明らかになるであろう。この説明は、以下の添付の図面によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、荷物内の材料の特定の検出を可能にする例示的なシステムを示す。
【
図2】
図2は、
図1のシステムで使用可能な本発明による方法を示す。
【
図4】
図4は、試験サンプルでスキャンされた基準サンプルを使用する本発明による適応を示す。
【
図5】
図5は、
図4に示す適応の2つの実施形態を特定している。
【
図6】
図6は、
図4に示す適応の2つの実施形態を特定している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
明確にするために、同様の要素には、さまざまな図で同様の参照番号を付している。
【0025】
図1は、例示的な荷物検査システム10を示し、これは、例えば、空港で使用することができるものである。システム10は、危険物と考えられる物質、例えば、爆発性物質を検出するために提供される。システム10は、検査される荷物14が置かれるコンベヤベルト12を含む。X線発生器16は、荷物14がコンベヤベルト12上を循環する領域の片側に配置される。本発明は、他のタイプの電離放射線、例えば、γ線にも使用することができる。発生器16は、荷物14を通過する入射放射線18を放出する。検出器20は、荷物14を通過することによって変更された放射線18を受けるために、領域の別の側に配置される。透過放射線と呼ばれる変更された放射線には、参照番号22が付されている。検出器は、検出器20から来る情報を分析し、荷物14の内容を表す画像を表示するように構成されたコンピュータ24に接続される。この画像では、荷物14に含まれる材料が識別される。放射線がコンベヤベルト12を通過するのを防ぐために、システム10の構成要素を異なって配置することもできる。
【0026】
本発明は、材料の識別、例えば、原子番号、またはより一般的には試験サンプルの物理的性質の識別をしたいと望む他の分野への適用も可能であることが理解される。例えば、本発明を使用して、ある材料に含まれる別の種類の材料の含有量、例えば、肉の脂肪レベルを決定することができる。
【0027】
特性は、透過または反射されたX線またはγ線の分析を使用して検出される。以下で、透過放射線の解析モデルについて説明する。このモデルは、反射放射の分析に適合させることができる。
【0028】
より一般的には、試験サンプルは、電離放射線(X線またはγ線)16を受ける。コンピュータ24は、試験サンプルを通過する電離放射線の減衰に基づいて、試験サンプルに含まれる材料の物理的特性を決定する。発生器16は、拡張されたエネルギー範囲で放射線を放出するように構成される。このタイプの放射線は、多色放射線と呼ばれる。一例として、20~200keVのエネルギー範囲でX線を使用することができる。
【0029】
検出器20は、受け取った光子のエネルギーを識別するように構成される。言い換えれば、検出器20は、複数のチャネルを有する分光検出器であり、各チャネルは、所与のエネルギー帯域で受け取った放射線の量を測定することを可能にし、異なるエネルギー帯域では分離することも重畳することもできる。マルチエネルギーシンチレーション検出器を実装することもできる。このタイプの検出器には、それぞれが特定のエネルギー帯域に敏感な複数のシンチレータがある。各シンチレータに関連付けられた検出器は、各シンチレータからの信号をフィルタリングして、整形できる処理チャネルを含む。シンチレーション検出器は積分モードで動作し、光子によって蓄積されたエネルギーの平均に応じて信号を測定するため、この測定はスペクトルの硬化効果に敏感になる。硬化効果は、通過する材料の性質と厚さの関数として変化するので、ノイズが増加し、分析が複雑になる。
【0030】
あるいは、個々の光子を検出し、そのエネルギーを定量化できるようにする分光検出器を実装することができるが、これは、これらの光子をヒストグラムで分類して、エネルギースペクトルを構築するためである。X光子は、入射光子によって蓄積されたエネルギーを電気信号に変換する検出器によって検出される。そのような検出器は、例えば、光子から受け取ったエネルギーを電荷増幅器によって測定された電荷パケットに変換するように構成された結晶を含む。
【0031】
本発明を実施するために、検出器20は、少なくとも3つのチャネルを有する。試験は、64チャネルを有する分光検出器を使用して正常に行われた。
【0032】
各チャネルで行われた測定値から変数が計算され、それぞれが異なるチャネルの測定値の組み合わせによって形成される。これらの組み合わせは、複数のチャネルで行われた測定値の加算または減算など、どのような種類のものでも可能である。チャネル間の他の演算子を使用して、例えば、乗算または除算、累乗などの組み合わせを実行できる。
【0033】
表(1)は、V1からV8で示される8つの変数の例を示すが、これらは、Sで示される合計と、1から55まで番号付けされたチャネルで行われた測定値の合計間の比を使用して取得されたものである。例えば、変数V1は、チャネル2~7で行われた測定の合計によって形成される。
【0034】
【0035】
各チャネルの測定値は、正規化することができる。より具体的には、試験サンプルを通過した光子束の測定値を、サンプルを通過していない同じ光子束の測定値で割ることにより、正規化を行うことができる。あるいは、正規化せずに、各チャネルの測定値を保持することもできる。
【0036】
計算を単純化するために、例えば、合計Sに対して次の式1を使用して、変数の計算で正規化を実行することができる。
【数1】
・dおよびfは、合計の開始チャネル番号および終了チャネル番号を表す。
・N0cは、チャネルcで検出器が受け取った入射放射線の光子数を表す。N0c、または空の測定値は、サンプルがない状態で検出器によって測定できる。
・Nc、または有用な測定値は、同じチャネルcの試験サンプルを通過した後に透過した放射線の光子数を表す。
式1で対数を使用することは、必須ではない。しかしながら、対数を使用すると、試験サンプルの厚さに応じて、変数の線形変動に近づけることができる。実際、透過減衰アプローチは、厚さの指数関数である。
【0037】
図1を使用して説明したシステムでは、コンベヤベルト12のスクロールにより、測定は、所与の取得方向に互いに続いている。検出器20は、線形検出器である。それは、透過放射線22に敏感な画素によって形成される。検出器20の画素は、例えば、取得方向に垂直に延びる。本発明は、他の形態の検出器とともに使用することもできる。線形検出器は、特に試験サンプルの形状、または線形もしくは角度であり得る取得方向を考慮するために、円弧または他のタイプの線に沿って延びることができる。敏感な画素が二次元に広がる検出器を使用することもできる。例えば、検出器の第一の寸法は、コンベヤベルト12のスクロール方向に垂直に延び、検出器の第二の寸法は、コンベヤベルト12のスクロール方向に延びる。
【0038】
検出器20による光子18の入射光子束の測定または空の測定は、荷物14を通過することなく、光子束を受け取る検出器20の横方向画素を使用して行うことができる。検出器20を使用して入射光子束を測定することは、荷物14がこの光子束の通過する領域に到達する前、および/または荷物14がこの領域を出た後にできる。入射流子束18の測定および透過流子束22の測定、または有用な測定は、同じ環境条件下で同じ検出器20によって行われる。より具体的には、使用中に、X線発生器16は温度に関して変化する可能性があり、それが生成する光子束は変化し得る。同様に、検出器20は、特に温度とともに変化することのできる光束の測定値を提供することもできる。同じ環境条件で、光束の測定18および22を実行すると、値の計算で変動が生じないように保護できる。空の測定値を使用した有用な測定値の補正は、正規化中に実行でき、これは、例えば、N0cが空の測定値を表し、Ncが有用な測定値を表す式1を使用して説明したとおりである。
【0039】
正規化された変数を計算した後に、重み付けとバイアスのマトリックス30が変数に適用され、試験サンプルの調査される物理的特性の値を決定することが可能になる。
【0040】
重み付けとバイアスのマトリックス30は、変数と同じ数の行と、調査した物理的特性と同じ数の列を有する。マトリックスは、その成分が変数であるベクトルに適用される。この要素は「可変ベクトル」と呼ばれる。可変ベクトルにマトリックスを適用すると、「結果ベクトル」が得られ、その結果の成分は調査した物理的特性の値である。これらの物理的特性の値は、値の範囲内で連続的に変化し得る。結果ベクトルのさまざまな成分は、互いに独立して分析でき、各成分は調査した特性の1つを表す。
【0041】
図2は、デバイス10によってスキャンされたサンプルへのこのマトリックスの適用を示す。2つの混合材料の割合を試験サンプルで調査する。これには、例えば、肉に含まれる脂肪レベルの調査が含まれ得る。検出器20は、複数の敏感な画素を含む線形検出器である。各画素により、X線のスペクトルを測定できる。より具体的には、画素ごとに、光子束の測定値が各チャネルで取得される。所与の瞬間に、透過放射線22は試験サンプルの一部を通過する。このサンプルは、コンベヤベルト12上を移動する。各画素によって行われるスペクトル測定は、試験サンプルのさまざまなセクションの一連の測定値と取得方向を取得するために、ステップで繰り返される。
【0042】
変数を計算した後、試験サンプルの三次元画像32を取得する。線形検出器のさまざまな画素は、第一の次元を形成する。計算された変数は第二の次元を形成し、取得方向は第三の次元を形成する。二次元検出器を使用すると、収集方向に沿って瞬時に測定を実行できる。画像32では、この方向は、次に検出器によって行われた測定値を読み取るのに必要なライン時間に対応する。二次元検出器を使用して、例えば、コンベヤベルト12上で試験サンプルの動きを提供することもできる。そうすると、測定方向は、取得方向に沿って延びる複数の画素によって冗長になる。さまざまな冗長測定値の平均を計算して、測定ノイズを減らすことができる。
【0043】
マトリックス30をこの画像32に適用して、2つの調査した特性のそれぞれの値、すなわち調査した各材料の材料の量にそれぞれ対応する2つの二次元画像34および36を得る。より一般的には、マトリックス30を適用すると、調査した物理的特性の数に等しい数の画像を取得することが可能になる。2つの画像34および36について、線形検出器の異なる画素は第一の次元を形成し、取得方向は第2の次元を形成する。例えば、画像34の各点は、光子束の方向に沿って存在する第一の材料の厚さの値をもたらす。同じことが、第二の材料の画像36にも当てはまる。
【0044】
別の材料中のある材料のレベル、例えば脂肪レベルを調査するとき、各画像34および36の対応するポイントについて、経験的に定義された係数による加重平均を、例えば、脂肪レベルが別の潜在的に破壊的な方法、例えば、抽出方法によって決定される複数の実際のサンプルから計算できる。
【0045】
より具体的には、脂肪レベルの場合、または第二の材料中の第一の材料の割合の場合、以下の式を使用することができる。
【数2】
式2において、
・厚さ1および厚さ2は、2つの材料それぞれの同等の厚さを表し、
・ρ1およびρ2は、2つの材料それぞれの質量密度または密度を表し、
・パラメータ1およびパラメータ2は、経験的に定義されたパラメータである。
【0046】
肉の脂肪レベル測定では、2つの材料は脂肪と赤身の肉であり得る。あるいは、脂肪レベルの測定であっても、脂肪と赤身以外の事前定義された材料の厚さに応じて測定値を分類することができる。式2によって、これら2つの材料で決定された厚さから脂肪レベルを計算できる。
【0047】
第一の材料と第二の材料のレベルを決定するために、この方法を、例えば、2つの純材料のそれぞれで、または異なる既知の比率で形成された較正サンプルを使用して方法を較正することによって較正することができる。例えば、肉の脂肪レベルの場合、異なる既知の脂肪含有量を有する2つの肉を使用することができる。
【0048】
あるいは、調査される材料を代表する他の材料を使用することもできる。例えば、脂肪レベルを測定するために、同等の脂肪レベルが49%であるポリオキシメチレン(POM)と、同等の脂肪レベルが2%である水を使用することができる。これら2つの材料の使用には、組成の安定性、したがって、調査した材料に比べた安定性という利点がある。
【0049】
本発明によって、較正サンプルの実際または同等の脂肪レベル間で任意の中間脂肪レベル値を決定することが可能になる。較正サンプルで定義された間隔以外で値を外挿することもできる。より一般的には、結果ベクトルの各成分は、ある範囲内で連続的に変化し得る。
【0050】
さらに、調査した物理的特性の数、すなわち、結果ベクトルの成分の数は、較正サンプルの数と異なる場合がある。例えば、ここでは、唯一の調査した物理的特性を形成する脂肪レベルを決定するために、少なくとも2つの較正サンプルが使用される。
【0051】
材料の厚さは、測定に影響する。より具体的には、厚さが厚いほど、透過する光子の数が減少する。ある材料の別の材料中のレベルを決定するために、試験サンプルについて、その試験サンプルと同じ厚さを有する較正サンプルで、それ自体をベースにすることが可能である。しかしながら、これには、試験サンプルの厚さに基づいて新しい較正サンプルで、この方法を再較正するか、試験すべきサンプルに正確な厚さを課す必要があり、これは、非常に制約がある。
【0052】
本発明によって、異なる厚さならびに異なる材料、例えばポリエチレン(PE)およびポリ塩化ビニル(PVC)を有する較正サンプルから較正を実行することで、この制約を克服することができる。本発明は、2つの異なる特性に限定されない。調査される特性の数は、較正材料の数とは関係がない。識別できる特性の数は、検出器の物理的制限と使用する放射線の種類に依存する。
【0053】
図3は、そのような較正の例示的な実施形態を示す。各較正材料および複数の厚さについて、すべてのチャネルで測定を行う。例えば、第一の較正材料では、異なる厚さのM個のサンプルを作成し、第二の較正材料では、異なる厚さのN個のサンプルを作成する。第一の材料の各サンプルを、第二の材料の各サンプルにスタックする。各スタックについて、各チャネルで測定を行い、チャネルごとにN×M個の測定値を得る。次に、各スタックについて、変数を計算する。これらのすべての計算の結果を較正入力マトリックス40にグループ化する。
【0054】
さらに、較正出力マトリックスと呼ばれるマトリックス44を定義し、N×M個の測定のそれぞれについての調査した特性のそれぞれの期待値をグループ化することができる。肉の脂肪含有量を決定できる上記の例では、ポリエチレンとポリ塩化ビニルの2つの較正材料を使用する。マトリックス44は、それぞれが2つの較正材料のスタックに対応するN×M個の行と、各スタックの等価脂肪レベルを定義する1つの列とを含む。より一般的には、マトリックス44は、調査される特性の数と同じ数の列を含む。期待値は、理論値または別の方法で測定された値であり得る。
【0055】
回帰法42を使用して、マトリックス40に存在する変数の値を、マトリックス44の調査した特性にリンクさせる。
【0056】
したがって、回帰法によって、重み付けとバイアスのマトリックス30を取得することが可能になる。マトリックス40からマトリックス44に移行するために使用できる回帰法は、例えば、非線形人工ニューラル・ネットワーク法である。この方法は、英語の文献を参照し、その頭文字ANNで知られ、1995年に発行されたMohamad H.Hassounによる文献「Fundamentals of Artificial Neural Networks(MIT Press)に記載されている。
【0057】
重み付けとバイアスのマトリックス30の第一の決定の後に、このマトリックスを検証することが有利である。検証は、これをマトリックス40に存在する変数に適用することで実行できる。こうして、各スタックについて、調査した特性の計算値を取得する。これらの計算値は、期待値のマトリックス44と同じサイズを有するマトリックス46に格納される。次いで、例えば、平均二乗誤差MSEを定義することによって、マトリックス44と46を比較することが可能になる。このMSEは、最小化されるべきで、式3によって以下のように定義される。
【数3】
【0058】
平均二乗誤差が所定の閾値以下である場合、例えば、脂肪含有量に対して1%以下である場合、重み付けとバイアスのマトリックス30を有効であると見なす。平均二乗誤差の値が所定の閾値を超える場合、異なるチャネルの測定の組み合わせを、所望の平均二乗誤差の値に達するまで、変数の計算で変更する。換言すれば、変数を定義するチャネル間で最適な組み合わせが求められ、平均二乗誤差を最小化することができる。
【0059】
あるいは、最大化する平均二乗誤差を定義することもできる。最大化と最小化の選択は、計算が最大の単純さに基づいて行う。平均二乗誤差を最大化する場合(例えば、測定値と期待値の間の尤度を最大化するMSE、または式3に関して逆因子)、平均二乗誤差が所与の閾値以上であれば、マトリックス30を検証する。逆に、平均二乗誤差の値が所与の閾値未満であれば、異なるチャネルの測定の組み合わせを、所望の平均二乗誤差の値に達するまで、変数の計算で変更する。
【0060】
較正は、システム10の製造中に工場で行うことができる。使用中に、システムはわずかに変化する可能性があるので、較正は定期的にやり直すことができる。システムによって行われる測定の変化は、システムのさまざまなコンポーネントの加熱、特に発電機16の加熱を引き起こす激しい使用から生じる可能性がある。長期にわたって測定の安定性を良好に保ちながら、上述のような較正を完全にやり直すことを避けることは可能である。そのため、1つまたは複数の基準材料から作成された1つまたは複数の基準サンプルを使用して測定値を補正し、試験サンプルでスキャンする。基準材料(複数可)は、既知の組成(複数可)および厚さを有する。基準材料(複数可)は、較正材料と同じにすることもできるが、そうである必要はない。
【0061】
図1に示すシステムでは、試験サンプルを通過する光子の経路上にない検出器20の横方向画素の反対側に、試験サンプルの隣に基準材料のサンプルを配置することができる。これによって、有用な同時測定、すなわち、試験サンプルの測定と、基準サンプル(複数可)を介した基準測定を同時に実行できる。この構成により、基準材料のサンプルをデバイス10に組み込むことも可能になる。逆に、これには、試験サンプルが配置されている有効領域の長さよりも長い検出器20が必要となる。さらに、有用な測定と基準測定は、検出器の同じ画素では行われない。
【0062】
あるいは、基準サンプル(複数可)を取得方向の試験サンプルの上流または下流に配置することもできる。この代替案は
図4に示されており、この
図4は、画像32に類似した三次元画像50を示し、この三次元画像には、2つの基準サンプル51および52が示されている。この2つのサンプルを、肉の脂肪レベルを決定するために使用される基準材料のうちの1つ、すなわち、既知の脂肪レベルで所定の厚さを有する2つの肉のうちの1つ、または水とポリオキシメチレンなどの他の同等の材料のうちの1つからそれぞれ作成する。
【0063】
測定が同じ画像に属する場合、試験サンプルと2つの基準サンプルの測定は、同時にまたは実質的に同時に行われるものと見なされる。あるいは、試験サンプルの測定と基準サンプルの測定を時間的にシフトすることもできる。時間シフトは、システムで観測された時間的安定性の関数として定義される。例えば、複数の試験サンプルの通過後に、定期的に基準サンプルを配置することができる。
【0064】
各較正材料について複数の厚さが分析される完全な較正方法とは異なり、この補正方法では、1つの基準材料のみを実施することができる。単一の厚さを有する単一の基準サンプルのみ、または異なる厚さを有する同じ材料で作られた複数の基準サンプルを提供することができる。基準サンプルの数の選択は、調査した特性の決定における所望の精度に基づいて行われる。
【0065】
マトリックス30を画像50に適用して、それぞれが2つの較正材料のうちの1つの出力値に対応する2つの二次元画像54および56を取得する。画像54および56は、上述の画像34および36に類似している。画像54および56において、2つの基準サンプル51および52に対応する値を見出す。これら2つの画像54および56を使用して、式2のパラメータを適合させることができる。
【0066】
図5は、2つの異なる材料で作成されたRef1とRef2で表される2つの基準サンプルを使用して行われたパラメータの適応を示す。
【0067】
三次元画
像を、試験サンプル(画像61)と2つの基準サンプル(画像62)に対して作成する。実際には、2つの画像を1つにグループ化できる。次に、チャネルを組み合わせて、前述の変数を取得する。こうして、試験サンプルの三次元画像6
3と、2つの基準サンプルの三次元画像64を取得する。
図4では、画像50は2つの画像63および64をグループ化している。重み付けとバイアスのマトリックスを用いて、2つの二次元画
像65および66を試験サンプルに対して計算すると、2つの較正材料のそれぞれの試験サンプルの同等の厚さが得られる。同じ操作を、2つの較正材料に対して行い、二次元画像67と68を取得すると、2つの較正材料それぞれの基準サンプルRef1とRef2の同等の厚さが得られる。
【0068】
次に、画像67と68について、測定ノイズを減らすために、取得を平均する。この取得の平均は、ボックス70で与えられる。検出器20の各画素について別個の同等の厚さの値を保ったまま、各画素に適合したパラメータを探すこともできる。あるいは、計算を簡素化するために、すべての画素にわたって平均を取り、次いで検出器20全体の共通パラメータを探すこともできる。
【0069】
基準サンプルRef1およびRef2のそれぞれの既知の特性から、式2から派生した式4および式5を解くことにより、パラメータを見つけることができる。
式4:
【数4】
式5:
【数5】
式4および式5において、
・厚さ1(Ref1)および厚さ1(Ref2)は、第一の較正材料の基準材料の同等の厚さの測定値であり、
・厚さ2(Ref1)および厚さ2(Ref2)は、第二の較正材料の基準材料の同等の厚さの測定値であり、
・ρ1およびρ2は、較正材料1および2の密度であり、
・Ref1(%)およびRef2(%)は、例えば、基準材料の脂肪レベルの推定値である。
【0070】
未知数がパラメータ1とパラメータ2である式4と式5を解くと、これらのパラメータを式2に再び導入して、試験サンプルの脂肪レベル、より一般的には、ある材料の別の材料中の割合を決定できる。
【0071】
図5を使用して示したパラメータの適応では、2つのパラメータは、各較正材料の同等の厚さの関数として変化しないと考えられる。しかしながら、実際には、ある材料の別の材料中の割合をより精度よく決定するためには、パラメータの値を、画像34および36を使用して決定された同等の厚さの関数として展開させると便利であることが観察された。
【0072】
図6に、このパラメータの値適応のために実施できる方法を示す。理解しやすくするために、パラメータの1つ(図の例ではパラメータ2)が固定されていると見なされる。当然、
図6の方法をすべてのパラメータについて適合させることができる。
【0073】
図6は、試験サンプルの画像61、63、65、および66を示す。特に、画像65は、第一の較正材料中の試験サンプルの同等の厚さを与えることが想起される。
図5を使用して示す方法とは異なり、
図6を使用して示す方法では、2つの基準サンプルは較正材料の1つになり得る同じ材料から作成されるが、必ずしもそうである必要はない。より一般的には、2つの基準サンプルは、共通で調査した特性の同じ測定値を示す。
図5とは異なり、
図6では、2つの基準サンプルは、所定の異なる厚さを有する。
図6は、2つの基準サンプルの三次元(画素、チャネル、取得)画像72と、第一の較正材料の各基準サンプルの同等の厚さを与える2つの基準サンプルの二次元(画素、取得)を示す。
【0074】
次に、画像77と88について、測定ノイズを減らすために、取得を平均する。この取得の平均は、ボックス80で与えられる。以前と同様に、検出器20の各画素について異なる同等の厚さ値を保つことも、すべての画素にわたって平均を取得し、次いで検出器20全体で共有されるパラメータを探すこともできる。
【0075】
Ref(%)で示される2つの基準サンプルで共有される特性から、2つの基準サンプルのそれぞれの2つの厚さのそれぞれに適応するパラメータの2つの値を見つけることができる。Ref1で示される第一の基準サンプルでは、厚さは厚さ1(Ref1)、厚さ2(Ref1)で示され、パラメータ(Ref1)で示されるパラメータは式6で計算される。
【数6】
【0076】
Ref2で示される第二の基準サンプルでは、厚さは厚さ1(Ref2)、厚さ2(Ref2)で示され、パラメータ(Ref2)で示されるパラメータは式7で計算される。
【数7】
【0077】
次に、2つのパラメーターパラメータ1(Ref1)とパラメータ1(Ref2)を式2で使用して、試験するサンプルについて、その脂肪レベルを、より一般的にはある材料中の他の材料の割合を決定する。
【0078】
第一の調査した材料の試験サンプルの同等の厚さを示す画像65から、厚さの閾値を定義できる。この厚さの閾値を下回ると、パラメータの値のうちの1つ、例えば、パラメータ1(Ref1)を使用し、上回ると、パラメータのもう一方の値、例えば、パラメータ1(Ref2)を使用する。厚さの閾値は、例えば、2つの基準サンプルRef1およびRef2の厚さの平均に等しくなる。
【0079】
パラメータの異なる2つの値をこのように使用することは、2つの値が隣接している場合に適切である。あるいは、画像65で定義された厚さの関数として、パラメータの値を線形に変化させることもできる。次いで、パラメータの変化は、パラメータの2つの値を使用して定義する。パラメータの値の変動則を定義するために、同じ材料で異なる厚さの3つ以上の基準サンプルを使用することも、回帰、例えば、回帰多項式を使用することもできる。