(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】車両空気ブレーキ充填システム用の放出物処理装置
(51)【国際特許分類】
B60T 17/00 20060101AFI20221223BHJP
B60T 15/04 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
B60T17/00 B
B60T15/04 B
B60T17/00 Z
(21)【出願番号】P 2020518476
(86)(22)【出願日】2018-10-01
(86)【国際出願番号】 US2018053677
(87)【国際公開番号】W WO2019070547
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-08-25
(32)【優先日】2017-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506137365
【氏名又は名称】ベンディックス コマーシャル ビークル システムズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン ホーウェ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド ダブリュ. ペリー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー アール アシュリー
(72)【発明者】
【氏名】フレッド ダブリュ ホフマン
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】実用新案登録第2592875(JP,Y2)
【文献】米国特許第06129775(US,A)
【文献】特表2009-539014(JP,A)
【文献】実開昭51-007540(JP,U)
【文献】特開2005-066470(JP,A)
【文献】国際公開第2015/033414(WO,A1)
【文献】実公昭59-016099(JP,Y2)
【文献】仏国特許出願公開第02224211(FR,A1)
【文献】特表2014-522317(JP,A)
【文献】特許第5928110(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 17/00
B60T 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両空気ブレーキ充填システム用の放出物処理装置であって、
空気乾燥器のパージ弁からの放出物を受け入れ可能な流入ポートと、
流出ポートと、
前記流入ポートと前記流出ポートとの間を流体連通して接続する放出物流通チャンバを画定する二次曲面であって、放出物流が前記流入ポートから前記二次曲面に沿って前記流出ポートまで流れるときに、該放出物流から汚染物質を抽出するために設けられた前記二次曲面と、
ろ物を収容するための、前記二次曲面の底端部に配置された分離溜めであって、抽出された汚染物質を該分離溜めから除去できるまでの間、該抽出された汚染物質を受け入れて保持するために設けられており、底部パネルにドレン開口部を有する該底部パネルを含む、分離溜めと、
前記分離溜めにスナップ固定でき、前記底部パネルの前記ドレン開口部を保護するバッフルシステムと、
を備える、車両空気ブレーキ充填システム用の放出物処理装置。
【請求項2】
前記二次曲面は、反転された放物面、1枚のシート状の双曲面、2枚のシート状の双曲面、円錐面、楕円放物面、円錐台面、放物面、および円筒面から選択された1つの少なくとも一部分の湾曲表面を含む、請求項1記載の放出物処理装置。
【請求項3】
前記二次曲面の汚染物質抽出効率を高めるために、細密メッシュ、スポンジ、および合体媒体から選択された1つまたは複数が前記二次曲面に被覆または接着されている、請求項1記載の放出物処理装置。
【請求項4】
前記ろ物を収容する前記分離溜めは、該分離溜めをユニットとして取り外し、別の分離溜めと交換できるように、カートリッジとして取り外し可能である、請求項
1記載の放出物処理装置。
【請求項5】
前記放出物流通チャンバ内に配置された一端部と、前記流出ポートに接続された反対側の端部とを有する直立管をさらに備え、前記直立管は、前記二次曲面の中心軸線と同心の長手方向中心軸線を有する、請求項1記載の放出物処理装置。
【請求項6】
前記放出物流通チャンバ内に配置された前記直立管の前記一端部の近くに配置され、前記直立管の前記長手方向中心軸線および前記二次曲面の前記中心軸線に沿って中心に置かれた渦誘導突起をさらに備える、請求項
5記載の放出物処理装置。
【請求項7】
前記放出物処理装置全体がプラスチック材料から成る、請求項1記載の放出物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本出願は、車両空気ブレーキ充填システムに関し、特に、トラック空気ブレーキ充填システムなどの車両空気ブレーキ充填システム用の放出物処理装置に向けられている。
【0002】
トラック空気ブレーキ充填システムは、空気ブレーキシステム用に空気圧を増大させる車両空気コンプレッサを含む。コンプレッサは通常、エンジン油の供給によって潤滑されている。ガバナは、供給リザーバ内の空気圧を監視することにより、システム空気圧を事前設定された最大圧力レベルと最小圧力レベルとの間に制御する。供給リザーバの空気圧がガバナの事前設定された「カットアウト」調節点の空気圧よりも大きくなると、ガバナはコンプレッサを制御してコンプレッサの空気増圧を停止するとともにコンプレッサの下流の空気乾燥器もパージモードにする。供給リザーバの空気圧がガバナの事前設定された「カットイン」調節点まで低下すると、ガバナはコンプレッサを空気増圧に戻すとともに、空気乾燥器を空気乾燥モードに戻す。
【0003】
空気乾燥器は、コンプレッサから出た後のコンプレッサの吐出空気から水蒸気および油滴の両方を除去するインラインろ過システムである。この結果、より浄化され、より乾燥した空気が空気ブレーキシステムに供給され、これは、冬の天候で空気ラインおよび構成部品の凍結防止に役立つ。空気乾燥器は通常、デシカント材および油分離器を収容する交換可能なカートリッジを使用する。空気が空気乾燥器に入ると、ほとんどの油滴が油分離器によって除去される。その後、空気はデシカント材を通って移動し、該デシカント材は水蒸気のほとんどを除去する。
【0004】
供給リザーバ内の空気圧がガバナの事前設定されたカットアウト調節点に達すると、ガバナはコンプレッサに空気増圧を停止させるとともに、空気乾燥器の「パージサイクル」の開始を可能にする。パージサイクル中、デシカント材は、飽和プロセスの逆転によって再生される(すなわち、水を除去する能力が復活する)。少量の乾燥空気がデシカント材を通過して戻り、収集された水も油分離器によって収集されたいかなる油滴もパージ弁を通して大気にパージされる。パージ弁からパージされた空気には油滴が含まれているため、トラックによって道路に油が付着する。したがって、当業者は、パージ弁からパージされた空気を浄化する研究開発努力を続けている。
【0005】
発明の概要
一実施形態に従って、車両空気ブレーキ充填システム用の放出物処理装置が提供される。放出物処理装置は、空気乾燥器のパージ弁からの放出物を受け入れ可能な流入ポートと、流出ポートとを備える。放出物処理装置は、流入ポートと流出ポートとの間を流体連通して接続する放出物流通チャンバを画定する二次曲面をさらに備える。二次曲面は、放出物流が流入ポートから二次曲面に沿って流出ポートまで流れるときに、該放出物流から汚染物質を抽出するために設けられている。
【0006】
別の実施形態に従って、車両空気ブレーキ充填システム用の放出物処理装置が提供される。放出物処理装置は、空気乾燥器のパージ弁からの放出物を受け入れ可能な流入開口部と、流入開口部よりも小さい流出開口部とを備える。放出物処理装置は、流入開口部と流出開口部との間に延びる放出物流通チャンバを画定する表面をさらに備える。該表面は、放出物流が流入開口部から該表面に沿って流出開口部まで流れるときに、該放出物流から汚染物質を抽出するために設けられている。
【0007】
さらに別の実施形態に従って、車両空気ブレーキ充填システム用の放出物処理装置が提供される。放出物処理装置は、空気乾燥器のパージ弁からの放出物を受け入れ可能な流入ポートと、流出ポートとを備える。放出物処理装置は、パージ弁からの放出物流を渦流に導いて、放出物流が流入ポートから流出ポートまで流れるときに、該放出物流から汚染物質を抽出する導き手段をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に従って構成された放出物処理装置を含む車両空気ブレーキ充填システムの概略図である。
【
図2】
図1に示した車両空気ブレーキ充填システムにおいて実施し得る例示的な放出物処理装置の斜視図である。
【
図3A】
図2に示す3-3線にほぼ沿った断面立面図であり、放出物処理装置における二次曲面の詳細を示している。
【
図3B】
図2に示す3-3線にほぼ沿った断面立面図であり、放出物処理装置における二次曲面の詳細を示している。
【
図3C】
図2に示す3-3線にほぼ沿った断面立面図であり、放出物処理装置における二次曲面の詳細を示している。
【
図3D】
図2に示す3-3線にほぼ沿った断面立面図であり、放出物処理装置における二次曲面の詳細を示している。
【
図3E】
図2に示す3-3線にほぼ沿った断面立面図であり、放出物処理装置における二次曲面の詳細を示している。
【
図4A】
図2の放出物処理装置において実施し得る他の例示的な二次曲面の図である。
【
図4B】
図2の放出物処理装置において実施し得る他の例示的な二次曲面の図である。
【
図4C】
図2の放出物処理装置において実施し得る他の例示的な二次曲面の図である。
【
図4D】
図2の放出物処理装置において実施し得る他の例示的な二次曲面の図である。
【
図5】
図3Aに示した二次曲面に沿った例示的な放出物流通パターンを示す速度流線図である。
【
図6】
図2と同様の斜視図であり、別の例示的な放出物処理装置を示している。
【
図7】
図6の放出物処理装置の、
図6に示す矢印「7」の方向にほぼ見た正面図である。
【
図8】
図6の放出物処理装置の、
図6に示す矢印「8」の方向にほぼ見た背面図である。
【
図9】
図8に示す9-9線にほぼ沿った断面立面図であり、放出物処理装置における二次曲面の詳細を示している。
【
図10】
図6と同様の斜視図であり、別の例示的な放出物処理装置を示している。
【
図11】
図10の放出物処理装置の、
図10に示す矢印「11」の方向にほぼ見た、壁の一部分を除去した図である。
【
図13】
図10に示す13-13線にほぼ沿った断面立面図であり、放出物処理装置における二次曲面の詳細を示している。
【0009】
詳細な説明
図1には、一実施形態に従って構成された放出物処理装置200を含む車両空気ブレーキ充填システム100の概略図が図示されている。車両空気ブレーキ充填システム100は、従来の方式で圧縮空気を生成する空気コンプレッサ102を含む。空気コンプレッサの構造および動作は既知であるため、説明しない。
【0010】
第1の吐出ライン109は、コンプレッサ102と空気乾燥器108との間を空気圧的に接続する。第2の吐出ライン110は、空気乾燥器108と供給リザーバ112との間を空気圧に接続する。空気供給ライン114は、供給リザーバ112と車両の空気ブレーキシステムおよび空気付属品(図示せず)との間を空気圧的に接続する。
【0011】
ガバナ120は、供給リザーバ112からの空気圧制御ライン122内の空気圧を監視することにより、システム空気圧を事前設定された最大圧力レベルと最小圧力レベルとの間に制御する。供給リザーバ112の空気圧がガバナ120の事前設定された「カットアウト」調節点の空気圧よりも大きくなると、ガバナは空気圧制御ライン124を介してコンプレッサ102を制御してコンプレッサの空気増圧を停止する。ガバナ120はまた、空気圧制御ライン128を介してパージ弁126を制御し、パージモードで空気乾燥器108から空気をパージする。供給リザーバ112の空気圧がガバナ120の事前設定された「カットイン」調節点まで低下すると、ガバナはコンプレッサ102を空気増圧に戻すとともに、空気乾燥器108を空気乾燥モードに戻す。
【0012】
図2には、
図1に示した車両空気ブレーキ充填システム100において実施し得る例示的な放出物処理装置200の斜視図が図示されている。放出物処理装置200は、以下で説明するように、流入ポート部分202、流出ポート部分204、二次曲面部分206、および分離溜め部分208を含む。放出物処理装置200の例示的な全体的物理的寸法は、直径が約2インチ(5.1センチメートル)~10インチ(25.4センチメートル)であり、高さが約10インチ(25.4センチメートル)以下である。
【0013】
図3Aには、
図2に示す3-3線にほぼ沿った断面立面図が図示されている。特に、
図3Aは、放出物処理装置200における例示的な二次曲面207の詳細を示している。
図3Aに示した例示的な二次曲面207は反転された放物面である。二次曲面(quadric surface)207は、対応する二次方程式によって表される「二次式曲面(quadratic surface)」と呼ばれることもある。二次曲面とそれに対応する二次方程式との関係は既知であるため、説明しない。
【0014】
二次曲面207は、流入ポート202と流出ポート204との間を流体連通して接続する放出物流通チャンバ218を画定する。空気乾燥器108(
図1)のパージ弁126からの放出物は、流入ポート202において接線方向に取り入れられる。二次曲面207は中心軸線222を有する。二次曲面207は、放出物流が流入ポート202から二次曲面207に沿って流出ポート204まで流れるときに、該放出物流から汚染物質を抽出するために設けられている。放出物流中の汚染物質には、エアロゾル中の水蒸気および油滴が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、二次曲面207の汚染物質抽出効率を高めるために、細密メッシュ、スポンジ、および合体媒体(coalescing media)から選択された1つまたは複数が二次曲面207に被覆および/または接着される。
【0015】
図3Aに示すように、放出物流通チャンバ218への流入開口部224が設けられており、該流入開口部224を通して空気乾燥器108のパージ弁126からの放出物を受け入れることができる。流入開口部224は、放出物流通チャンバ218の一端部に位置する。空気進入部226は、流入ポート202と流入開口部224とを相互接続し、放出物の流れ方向を流入ポート202での垂直流から流入開口部224での水平流に変える。流入開口部224よりも小さい流出開口部228が、放出物流通チャンバ218の反対側の端部に設けられている。したがって、放出物流が放出物流通チャンバ218を通って流れるとき、該放出物流は、比較的大きい流入開口部224から比較的小さい流出開口部228に流れる。
【0016】
また、
図3Aに示すように、直立管230は、放出物流通チャンバ218内に配置された一端部と、流出ポート204に接続された反対側の端部とを有する。直立管230は、二次曲面207の中心軸線222と同心である長手方向中心軸線232を有する。
【0017】
分離溜め208は、該分離溜め208において小円「220」として示されるろ物を収容する。ろ物220を収容する分離溜め208は、流出開口部228の近くに配置される。
図3Aに示すように、分離溜め208は、二次曲面207および直立管230の下方に配置される。分離溜め208は、放出物流通チャンバ218とろ物220を収容する分離溜め208の容積部との間の流体連通を可能にするいくつかの床開口部214を備えた床212を有する。
【0018】
ろ物220を収容する分離溜め208は、抽出された汚染物質を分離溜め208から除去するまでの間、該抽出された汚染物質を受け入れて保持するために設けられている。いくつかの実施形態では、ろ物220はスポンジ材料を含む。いくつかの実施形態では、ろ物220は、一般的な疎水性材料を含む。いくつかの実施形態では、ろ物220を収容する分離溜め208は、分離溜め208をユニットとして取り外し、別の分離溜めと交換できるように、カートリッジとして取り外し可能である。
【0019】
分離溜め208は、底部パネル221全体に分散配置されたいくつかのドレン開口部223を有する底部パネル221を有する。バッフルシステム225は、ドレン開口部223を保護する。バッフルシステム225は、スナップオン機構227を使用して分離溜め208に固定されている。
【0020】
放出物処理装置200の動作中、空気乾燥器108のパージ弁126からの放出物(すなわち、液体およびエアロゾルの形態の油および水を含む空気)は、流入ポート202を通して垂直に、次いで空気進入部226を通して水平に放出物流通チャンバ218内に押し込まれる。空気乾燥器108のパージ弁126からの放出物は、空気乾燥器108の排気部と放出物処理装置200の流入ポート202との間に接続される一本の管または他の部材を介して受け入れてもよい。この一本の管は、空気乾燥器108からの放出物の流速が放出物処理装置200に到達する前に既に増加しているように、減少する直径を有することができる。次に、放出物は、放出物流通チャンバ218内に下向きに流れて二次曲面207に衝突する。二次曲面207に対する放出物流の下向き衝突は、より重いエアロゾルおよび液滴を二次曲面207に付着させ、該放出物流から分離させる。
【0021】
液体が放出物流から分離すると、液体は二次曲面207の壁を流れ落ち、床212の床開口部214を通って、ろ物220を収容する分離溜め208の容積部内に排出される。ろ物220は、分離された液体に含まれる油汚染物質を保持し、分離された液体に含まれる水汚染物質は、底部パネル221のドレン開口部223を通って排出され得る。ろ物220は、ろ物220または分離溜め208、あるいはその両方が交換されるまで、油汚染物質を保持する。汚染物質(すなわち、油および水)が除去された放出物流は、次に、直立管230を通って上向きに流れ、流出ポート204を通って大気に流出する。
【0022】
図5には、流入ポート202から二次曲面207に沿って分離溜め208に至るまでの例示的な放出物流通パターンを示す流線
図500が図示されている。一般に、流線は、実線の矢印で示される方向に流れ、流入ポート202で始まり、二次曲面207に沿って通過し、分離溜め208で終わる。
図5に示す流線の速度範囲は、最も遅い場合の約0.15ミリメートル/秒~最も速い場合の約33.1メートル/秒である。流線が流入ポート202から2次曲面207に沿って分離溜め208まで流れるとき、異なる速度の流線は互いに交差する。
【0023】
上記の説明は、
図3Aに示す大きさの空間を有する放出物流通チャンバ218を説明しているが、チャンバ218内の滞留空間(dead air space)は除去できると考えられる。例えば、
図3Bに示すように、二次曲面207に幾何学的に類似する挿入片209が、滞留空間を除去するためにチャンバ218内に設けられる。チャンバ218内の滞留空間を除去することにより、滞留空気を加速することにより生じる速度損失が回避される。
【0024】
二次曲面207は、
図3Aに示した反転された放物面以外の形状を有することも考えられる。例えば、
図3Cに示すように、二次曲面207は、円錐台の形状を有してもよい。
図3Dの別の例に示すように、二次曲面207は放物面の形状を有してもよい。
図3Eのさらに別の例に示すように、二次曲面207は、円筒の形状を有してもよい。
【0025】
図4A、
図4B、
図4C、および
図4Dには、
図2の放出物処理装置200において実施し得る他の例示的な二次曲面の図が図示されている。より具体的には、
図4Aは、湾曲表面412を有する1枚のシート状の双曲面410を示している。
図4Bは、湾曲表面422を有する2枚のシート状の双曲面420を示している。
図4Cは、湾曲表面432を有する円錐430を示している。
図4Dは、湾曲表面442を有する楕円放物面440を示している。これらは、対応する湾曲表面を持つ例示的な2次曲面にすぎない。他の二次曲面も可能である。
【0026】
放出物流通チャンバ218への放出物流の下向き流れが二次曲面207に向けられることにより、放出物流からの汚染物質の抽出を増加させる渦流が発生することは明らかであろう。また、床212の床開口部214を通る油および水の排出により、放出物流中の汚染物質を、分離溜め208の分離容積部内のろ物220により効率的に付着させることが可能になることも明らかであろう。その結果、より浄化された空気が大気に排出され、道路に付着し蓄積する油が少なくなる。
【0027】
放出物処理装置200が2つの処理段を備えることはさらに明らかであろう。二次曲面207は第1の処理段を備え、分離溜め208は第2の処理段を提供する。2つの処理段階により、放出物処理装置200は、パージ弁126(
図1)で最小の背圧を生じさせる。さらに、放出物処理装置200は加圧されないので、第1の処理段または第2の処理段のいずれか、あるいは両方は、プラスチック材料で製作された構成を有することができる。いくつかの実施形態では、放出物処理装置200全体がプラスチック材料から成る。
【0028】
放出物流が流入ポートから流出ポートに流れるときに、空気乾燥器のパージ弁からの放出物流を渦流に変換して汚染物質を該放出物流から抽出するための変換手段が設けられていることも明らかであろう。いくつかの実施形態では、この変換手段は、流入ポートと流出ポートとの間に配置され、放出物流から汚染物質を抽出するための二次曲面などの表面を含む。いくつかの実施形態では、二次曲面は、反転された放物面、1枚のシート状の双曲面、2枚のシート状の双曲面、円錐面、楕円放物面、円錐台面、および放物面から選択された1つの少なくとも一部分の湾曲表面を含む。
【0029】
図6には、別の例示的な放出物処理装置600の斜視図が図示されている。放出物処理装置600は、
図2および
図3Aに示した放出物処理装置200と同様である。したがって、同様の構成要素は、
図2および
図3Aに示した構成要素よりも400大きい同様の参照番号で図示する。
【0030】
図7は、
図6の放出物処理装置600を、
図6に示す矢印「7」の方向に見た上面図である。
図8は、
図6の放出物処理装置600を、
図6に示す矢印「8」の方向に見た底面図である。
図9は、
図8に示す9-9線に沿った断面立面図である。特に、
図9は、放出物処理装置600における例示的な二次曲面の詳細を示している。
【0031】
図6、
図7、および
図8に示すように、放出物処理装置600は、以下で説明するように、流入ポート部分602、流出ポート部分604、二次曲面607を有する二次曲面部分606、および分離溜め部分608を含む。
【0032】
図9に示すように、二次曲面607は、流入ポート602と流出ポート604との間を流体連通して接続する放出物流通チャンバ618を画定する。空気乾燥器108(
図1)のパージ弁126からの放出物は、流入ポート602で受け入れられる。二次曲面607は中心軸線622を有する。二次曲面607は、放出物流が流入ポート602から二次曲面607に沿って流出ポート604まで流れるときに、該放出物流から汚染物質を抽出するために設けられている。放出物流中の汚染物質には、エアロゾル中の水蒸気および油滴が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、二次曲面607の汚染物質抽出効率を高めるために、細密メッシュ、スポンジ、および合体媒体(coalescing media)から選択された1つが二次曲面607に被覆および/または接着される。
【0033】
放出物流通チャンバ618への流入開口部624が設けられており、該流入開口部624を通して空気乾燥器108のパージ弁126からの放出物を受け入れることができる。流入開口部624は、放出物流通チャンバ618の一端部に位置する。空気進入部626は、流入ポート602と流入開口部624とを相互接続する。流入開口部624よりも小さい流出開口部628が、放出物流通チャンバ618の反対側の端部に設けられている。
したがって、放出物流が放出物流通チャンバ618を通って流れるとき、該放出物流は、比較的大きい流入開口部624から比較的小さい流出開口部628に流れる。
【0034】
また、
図9に示すように、直立管630は、放出物流通チャンバ618内に配置された一端部と、流出ポート604に接続された反対側の端部とを有する。直立管630は、二次曲面607の中心軸線622と同心である長手方向中心軸線632を有する。
【0035】
分離溜め608は、分離溜め608において小円「620」として示されるろ物を収容する。ろ物620を収容する分離溜め608は、二次曲面607の底面に沿って配置される。分離溜め608は、放出物流通チャンバ618とろ物620を収容する分離溜め608の容積部との間の流体連通を可能にする壁開口部614を備えた壁612(
図8)を有する。
【0036】
ろ物620を収容する分離溜め608は、抽出された汚染物質を分離溜め608から除去できるまでの間、抽出された汚染物質を受け入れて保持するために設けられている。いくつかの実施形態では、ろ物620はスポンジ材料を含む。いくつかの実施形態では、ろ物620は、一般的な疎水性材料を含む。いくつかの実施形態では、ろ物620を収容する分離溜め608は、分離溜め608をユニットとして取り外し、別の分離溜めと交換できるように、カートリッジとして取り外し可能である。
【0037】
再び
図9には、移行領域650は、放出物流通チャンバ618と分離溜め608の容積部とを流体的に相互接続する。より具体的には、移行領域650は、二次曲面607の壁653に形成されたいくつかのスリット652を含む。スリット652は、抽出された汚染物質の排出を可能にしながらも放出物の流れの乱れを防ぐほどに十分に小さい。スリット652は、幅が約0.8インチ(2.0センチメートル)であり、抽出された汚染物質のドレン通路として機能する。渦誘導突起654は、二次曲面607の一端部に配置されている。渦誘導突起654は、直立管630の長手方向中心軸線632および二次曲面607の中心軸線622に沿って中心に置かれている。
【0038】
放出物処理装置600の動作中、空気乾燥器108のパージ弁126からの放出物(すなわち、液体およびエアロゾルの形態の油および水を含む空気)は、流入ポート602を通して、次いで空気進入部626を通して押し進められる。放出物流は、移行領域650に衝突する。移行領域650に衝突する放出物流は、より重いエアロゾルおよび液滴を二次曲面607に付着させ、該放出物流から分離させる。
【0039】
液体は、二次曲面607の壁653に沿って流れ、壁653のスリット652を通って分離溜め608の容積部に排出される。ろ物620は、ろ物620または分離溜め608、あるいはその両方が交換されるまで、汚染物質(すなわち、油および水)を保持する。渦誘導突起654は、放出物流通チャンバ618を通って処理された放出物流(すなわち、汚染物質が除去された放出物)を横向きに直立管630内に変向させる表面を提供する。浄化された空気(すなわち、汚染物質が除去された放出物)は、その後、直立管630を通って横向きに流れ、流出ポート604を通って大気へと流出する。
【0040】
図6~
図9に示した放出物処理装置600が、
図2および
図3Aに示した放出物処理装置200の垂直配向/構成と比較して、水平配向/構成を有することは明らかであろう。これは、
図2および
図3Aの放出物処理装置200の分離溜め208が底部取付型であるのに対し、
図6~
図9に示した放出物処理装置600の分離溜め608は側面取付型であるからである。
図6~
図9に示した水平配向/構成では、放出物は、二次曲面607に沿って渦のより広い部分から渦のより狭い部分へと流れる。
【0041】
図6~
図9に示した放出物処理装置600の水平配向/構成は多くの利点をもたらす。分離溜め608が側面取付型であるので、1つの利点は、二次曲面607の経路を、高さの欠点なしにより長くできることである。別の利点は、側面取付型の分離溜め608をより長くできることである。より長い分離溜め608は、より多くのろ物220を収納することができ、また分離溜め608を介してより長い経路を提供する。これは、分離溜め608における分離効率を高める。さらに、
図6~
図9に示した放出物処理装置600の水平配向/構成が実施された場合、流出開口部604を通って排出される浄化された空気は、分離溜め608内の排出された汚染物質からさらに離間される。
【0042】
図10には、別の例示的な放出物処理装置1000の斜視図が図示されている。放出物処理装置1000は、
図6に示した放出物処理装置600と同様である。したがって、同様の構成要素は、
図6に示した構成要素よりも400大きい同様の参照番号で図示する。
【0043】
図11は、
図10の放出物処理装置の、
図10に示す矢印「11」の方向に見た、壁の一部分を除去した図である。
図12は、
図10の放出物処理装置の、
図10に示す矢印「12」の方向に見た図である。
図13は、
図10に示す13-13線に沿った断面立面図である。特に、
図13は、放出物処理装置1000における例示的な二次曲面の詳細を示している。
【0044】
図10、
図11、および
図12に示すように、放出物処理装置1000は、以下で説明するように、流入ポート部分1002、流出ポート部分1004、二次曲面1007を有する二次曲面部分1006、および分離溜め部分1008を含む。
【0045】
また、
図13に示すように、直立管1030は、放出物流通チャンバ1018内に配置された一端部と、流出ポート1004に接続された反対側の端部とを有する。直立管1030は、二次曲面1007の中心軸線1022と同心である長手方向中心軸線1032を有する。
【0046】
分離溜め1008は、分離溜め608において小円「1020」として示されるろ物を収容する。ろ物1020を収容する分離溜め1008は、二次曲面1007の一側面に沿って配置される。分離溜め1008は、出口スロット1062を備えた壁1060(
図12)を有する。バッフル1070は、分離溜め1008の壁1060の出口スロット1062を保護する。
【0047】
ろ物1020を収容する分離溜め1008は、抽出された汚染物質を分離溜め1008から除去できるまでの間、抽出された汚染物質を受け入れて保持するために設けられている。いくつかの実施形態では、ろ物1020はスポンジ材料を含む。いくつかの実施形態では、ろ物1020は、一般的な疎水性材料を含む。いくつかの実施形態では、ろ物1020を収容する分離溜め1008は、分離溜め1008をユニットとして取り外し、別の分離溜めと交換できるように、カートリッジとして取り外し可能である。
【0048】
移行領域1050は、二次曲面1007の壁1053に形成されたいくつかのスリット1052を含む。スリット1052は、抽出された汚染物質の排出を可能にしながらも放出物の流れの乱れを防ぐほどに十分に小さい。スリット1052は、幅が約0.8インチ(2.0センチメートル)であり、抽出された汚染物質のドレン通路として機能する。
【0049】
放出物処理装置1000の動作中、空気乾燥器108(
図1)のパージ弁126からの放出物(すなわち、液体およびエアロゾルの形態の油および水を含む空気)は、流入ポート1002を通して押し進められる。放出物流は、移行領域1050に衝突する。移行領域1050に衝突する放出物流は、より重いエアロゾルおよび液滴を二次曲面1007に付着させ、該放出物流から分離させる。
【0050】
液体は、二次曲面1007の壁1053に沿って流れ、壁1053のスリット1052を通って分離溜め1008の容積部内に排出される。ろ物1020は、ろ物1020または分離溜め1008、あるいはその両方が交換されるまで、汚染物質(すなわち、油および水)を保持する。渦誘導突起1054は、放出物流通チャンバ1018を通って処理された放出物流(すなわち、汚染物質が除去された放出物)を横向きに直立管1030内に変向させる表面を提供する。浄化された空気(すなわち、汚染物質が除去された放出物)は、その後、直立管1030を通って横向きに流れ、流出ポート1004を通って大気へと流出する。
【0051】
上記の説明は、放出物処理装置200,600,1000をトラックなどの大型車両で使用することを説明しているが、放出物処理装置200,600,1000は、例えばバスなどの他のタイプの大型車両で使用してもよいことが考えられる。
【0052】
本発明は、例示的な処理およびシステム構成部品の説明によって例示されており、また様々な処理および構成部品が詳細に説明されているが、出願人は、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限またはいかなる形でも限定する意図はない。追加の修正も当業者には容易に明らかになるであろう。したがって、本発明は、その最も広い態様において、図示され説明された特定の詳細、実施、または例示的な例に限定されない。したがって、出願人の一般的な発明概念の精神または範囲から逸脱することなく、そのような詳細からの逸脱がなされてもよい。