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特許7199430複数のビームを用いて画像形成可能材を書き込むための方法および装置
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  • 特許-複数のビームを用いて画像形成可能材を書き込むための方法および装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】複数のビームを用いて画像形成可能材を書き込むための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20221223BHJP
【FI】
G03F7/20 505
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020518568
(86)(22)【出願日】2018-06-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 EP2018065040
(87)【国際公開番号】W WO2018228922
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】2019051
(32)【優先日】2017-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】519435898
【氏名又は名称】ザイコン・プレプレス・ナームローゼ・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Xeikon Prepress N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】バルト・マルク・ルク・ワッティン
(72)【発明者】
【氏名】ディルク・ルド・ユリエン・デ・ラウ
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0130946(US,A1)
【文献】特開2004-109680(JP,A)
【文献】特開2002-321333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24、9/00-9/02
B41C 1/00-3/08
B41D 1/00-99/00
B41J 2/385-2/415、2/43-2/465
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビーム等の複数のビームを用いて画像形成可能材を書き込む方法であって、ここでN本のビームが利用可能であり、Nは少なくとも4であり、
N個のピクセル位置のY行をそれぞれ有する、一連のパターンを準備し、ここで前記一連のパターンは第1および第2のパターンを含んでおり、前記第1および第2のパターンはO列およびY行のピクセル位置からなる重複エリアで互いに重複しており、Oは少なくとも2であってNより小さく、
前記第1のパターンの各行iにMi1個のピクセル位置を選択し、
前記第2のパターンの各行iにMi2個のピクセル位置を選択し、
各行iについて前記Mi1個の選択されたピクセル位置を、N本のビームを高速走査方向に前記画像形成可能材に対して移動させることによって同時に書き込み、次に、前記N本のビームを前記画像形成可能材に対して低速走査方向に(N-O)個のピクセル位置を超えて移動させ、
各行iに前記Mi2個の選択されたピクセル位置を、N本のビームを高速走査方向に前記画像形成可能材に対して移動させることによって、同時に書き込み、
前記選択は、以下の条件の少なくとも1つが満たされるようなものであり、
(1)前記第1のパターンの前記Mi1個のピクセル位置は、各行iについて、その少なくとも1つの選択されたピクセル位置(11)が隣接して選択されたピクセル位置(12)から、前記重複エリアに位置する少なくとも1つの非選択のピクセル位置(21)によって離間するように選択されており、前記第2のパターンの前記Mi2個のピクセル位置は、前記行iについて、前記第1のパターンの前記非選択のピクセル位置が前記第2のパターンで選択されるように選択されており、前記第1のパターンの異なる行は、前記重複エリアの異なる列に選択されたピクセル位置を含んでおり、
(2)前記第1のパターンの前記Mi1個のピクセル位置は、数Mi1が少なくとも2個の異なる行について異なっており、且つ、前記第1のパターンの任意の非選択のピクセル位置は前記第2のパターンで選択されるように選択され
前記Mi1およびMi2は、各行iについて、Nより小さい、固定値または最大値であり、
前記書き込みを実行するために、全出力が前記N本のビームに利用可能であり、前記第1のパターンおよび前記第2のパターンそれぞれの前記書き込みの間、同時に書き込まれるべき前記Mi1本のビームおよび前記Mi2本のビームのそれぞれについて前記利用可能な出力は、前記全出力をMi1およびMi2それぞれに与えられる前記固定値または前記最大値で除算したものに概ね対応する、複数のビームを用いて画像形成可能材を書き込む方法。
【請求項2】
前記Mi1およびMi2は、不等式N-2*O≦Mi1,Mi2≦Nを満たす、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各行iについて、前記Mi1は、N-2*OとNとの間の範囲の値からランダムに選択され、隣接するパターンに重複していない前記第1のパターンのエリアに位置する任意のピクセル位置は、常に選択される、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1および第2のパターンの前記選択されたピクセル位置は、規則的なパターンであって、請求項1の条件(2)を満たす、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記Mi1およびMi2は、各行iについて、N-1より小さい、固定値または最大値である、
請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
コンピュータプログラムであって、
前記プログラムがコンピュータ上で実行されるとき、請求項1~5のいずれか1つに記載の前記方法を実行しまたは制御するコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1つに記載の前記方法のいずれか1つのステップを実施または制御するための命令の機械実行可能プログラムをコード化する、デジタルデータ記憶媒体。
【請求項8】
複数のビームを用いて画像形成可能材を書き込むシステムであって、
N本のビームを生成するように構成された画像形成装置と、ここでNは少なくとも4であり、
コントローラとを備え、
前記コントローラは、
N個のピクセル位置のY行をそれぞれ有する、一連のパターンを準備し、前記一連のパターンは第1および第2のパターンを含んでおり、前記第1および前記第2のパターンはO列およびY行のピクセル位置からなる重複エリアで互いに重複しており、前記Oは少なくとも2でありNより小さく、
前記第1のパターンの各行iにMi1個のピクセル位置を選択し、
前記第2のパターンの各行iにMi2個のピクセル位置を選択するように、構成されており、
前記選択は、以下の条件の少なくとも1つが満たされるようなものであり、
(1)前記第1のパターンの前記Mi1個のピクセル位置は、各行iについて、その少なくとも1つの選択されたピクセル位置(11)が隣接して選択されたピクセル位置(12)から前記重複エリアに位置する少なくとも1つの非選択のピクセル位置(21)によって離間するように選択され、前記第2のパターンの前記Mi2個のピクセル位置は、前記行iについて、前記第1のパターンの前記非選択のピクセル位置が前記第2のパターンで選択されるように選択され、前記第1のパターンの異なる行は、前記重複エリアの異なる列に選択されたピクセル位置を含み、
(2)前記第1のパターンの前記Mi1個のピクセル位置は、数Mi1が少なくとも2つの異なる行について異なっており、且つ、前記第1のパターンの任意の非選択のピクセル位置が前記第2のパターンで選択されるように選択され、
前記コントローラは、各行iについて、前記Mi1個の選択されたピクセル位置を、前記N本のビームを前記画像形成可能材に対して高速走査方向に移動させることによって同時に書き込み、次に、前記N本のビームを前記画像形成可能材に対して低速走査方向に(N-O)個のピクセル位置を超えて移動させて、その後、各行iについて、前記Mi2個の選択されたピクセル位置を、前記N本のビームを前記画像形成可能材に対して前記高速走査方向に移動させることによって同時に書き込むように、前記画像形成装置を制御するように構成されており、
前記コントローラは、各行iについて、Mi1およびMi2がNより小さい固定値または最大値を有するように、ピクセル位置を選択するように構成されており、
前記書き込みを実行するために、全出力が前記N本のビームに利用可能であり、前記コントローラは、前記第1のパターンおよび前記第2のパターンそれぞれの前記書き込みの間に同時に書き込まれるべき前記Mi1本のビーム及び前記Mi2本のビームのそれぞれについて前記利用可能な出力が前記全出力をMi1およびMi2それぞれの前記固定値または前記最大値で除算したものに概ね対応するように、駆動を制御するように構成されている、複数のビームを用いて画像形成可能材を書き込むシステム。
【請求項9】
前記Mi1およびMi2は、不等式N-2*O≦Mi1,Mi2≦Nを満たす、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記画像形成装置は、レーザ画像形成装置である、
請求項8および9のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、各行iに、N-2*OおよびNの間の範囲の値からランダムにMi1を選択するように構成されており、隣接するパターンに重複しない前記第1のパターンのエリアに位置する任意のピクセル位置は、常に選択される、
請求項8~10のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記第1および第2のパターンの前記選択されたピクセル位置が規則的なパターンにしたがい、請求項7の条件(2)を満たすように、ピクセル位置を選択するように構成されている、
請求項8~10のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラは、各行iについて、Mi1およびMi2がN-1より小さい固定値または最大値を有するように、ピクセル位置を選択するように構成されている、
請求項8~12のいずれか1つに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、特にフレキソ印刷におけるアブレーティブ画像形成に関し、特に、複数のビームを用いてアブレーションまたは感熱性の画像形成可能材を書き込む方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野は、複数の露光ビームを用いて画像形成可能材を露光することに関し、特に、複数のビーム、例えば複数のレーザビームで、コンピュータトゥプレートのアブレーション画像形成のためのデータを処理することに関する。
【0003】
フレキソ印刷ではアブレーション画像形成が使用される。ゴム又はフォトポリマー版等のフレキソ版は、インクが付与されるべきゾーンに対応するレリーフエリアと、インクが付与されないゾーンに対応する床エリアとを備えている。フレキソ版を、アニロックスローラーのようなインキ着けローラーと接触させることにより、フレキソ版にインキを付与する。インクが付与されたフレキソ版は、被印刷物に接触して、被印刷物上に所望の画像を生成する。
【0004】
版上にトラック群を同時に形成する複数のビームによって版が露光されると、複数のトラックが同時に配置される高速走査方向と、高速走査方向に対して実質的に垂直な低速走査方向との両方において、版と複数のビームとの間で相対運動が生じる。複数のビーム法によるアブレーション画像形成によって被印刷物上に画像形成データを転写することは、しばしば、個々の複数のビーム群の間のエリアにおける視認可能なステッチングラインを生じ、その結果、人間の目に対する画像形成の外観の均一性を妨げるステッチング状人口物が生じる。
したがって、人間の目によって検出可能なそのようなステッチング状人口物を防止するための、複数のビームを用いて版を露光する方法および装置に対する必要性が存在する。
【0005】
この問題は、以前から認識されている。米国特許第5,818,498号は、同時に書き込まれたチャネルの1つのグループが第2グループのチャネルに会うポイントにおいて、視認可能な境界を回避するために、少なくとも1つのトラックの重複を使用することによってステッチングを回避する方法を記載している。重複エリアは、同一のデータで2度書き込まれる。このアプローチは、より多くのビームが画像形成の進行に必要とされるよりも多く使用されるという欠点を有する。さらに、アブレーション媒体上の同じデータを有するトラックを二重-画像形成することにより、一度だけ画像形成されたトラックと比較して、そのようなトラックの外観が異なってしまう可能性がある。
【0006】
米国特許第7,193,641号は、ビーム群を互いにシフトさせることを開示しており、各ピクセルは一度だけ画像形成される。シフト機構は、グループ間のラインを”ばらばらにし”又は不規則にする。このようにして、グループ間のラインは人間の目に見えにくくなる。シフトは、低速走査方向にシフトすることを含む。低速走査方向におけるシフト後の走査は、Lで示される整数について高速走査方向においてである。さらに、シフトされていない走査は、次のシフトの前に、Kで示された整数個のピクセルについて高速走査方向において継続する。このように、少なくともN本のトラックを同時に画像形成するようにデザインされた画像形成システムでは、N個のピクセルのK組が高速走査方向にK個のピクセルの進行で画像形成され、N個のピクセルのL組がピクセルのMで示される数の低速走査方向におけるオフセットで画像形成される。シフトされおよびシフトされない組は、媒体の高速走査方向における全長に至るまで交互に生じる。一実施形態では、画像形成装置は、少なくともM+N個の変調ビームを媒体上に同時に向けることができ、低速走査方向のシフトは、N個のピクセルを同時に画像形成するために、少なくともN+M個の可能性のあるチャネルのうちN個のチャネルの適切なサブセットを選択することによって実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第5818498号明細書
【文献】米国特許第7193641号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の態様の目的は、ステッチング状人口物をさらに改善し、複数のビームを用いて画像形成可能材の高速露光を可能にする、方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の側面によれば、N本のビームが利用可能であり、Nが少なくとも4である、レーザビームのような複数のビームを用いて、画像形成可能材を書き込む方法が提供される。本方法は、以下の工程を含んでおり、
-N個のピクセル位置をY行それぞれ有する一連のパターンを準備し、上記一連のパターンは、第1および第2のパターンを含み、前記第1および第2のパターンは、O列およびY行のピクセル位置からなる重複エリアにおいて互いに重複しており、上記Oは少なくとも2でありNより小さく、
-上記第1のパターンのそれぞれのi行に、Mi1個のピクセル位置を選択し、
-上記第2のパターンのそれぞれのi行に、Mi2個のピクセル位置を選択し、
-上記画像形成可能材に対して高速走査方向にN本のビームを移動させることによって、各行iに上記Mi1個の選択されたピクセル位置を同時に書き込み、次に(N-O)個のピクセル位置を超えて低速走査方向に上記画像形成可能材に対してN本のビームを移動させ、
-上記画像形成可能材に対して高速走査方向にN本のビームを移動させることによって、各行iに上記選択されたMi2個のピクセル位置を同時に書き込み、
-前記選択は、以下の条件のうちの少なくとも1つが満たされるようなものであり、
(1)i行について、その少なくとも1つの選択されたピクセル位置が、隣接して選択されたピクセル位置から重複エリアに位置する少なくとも1つの非選択のピクセル位置によって分離されるように、上記第1のパターンのMi1個のピクセル位置が選択され、上記i行について、第1のパターンの上記非選択のピクセル位置が第2のパターンで選択されるように、上記第2のパターンの上記Mi2個のピクセル位置が選択され、第1のパターンの異なる行は、重複エリアの異なる列に選択されたピクセル位置を含んでおり、
(2)上記第1のパターンの上記Mi1個のピクセル位置は、数Mi1が異なる行に対して異なる行に関して異なるように、且つ、第1のパターンの任意の非選択のピクセル位置が第2のパターンで選択されるように、選択される。
【0010】
本発明の態様は、一連のパターン間の重複エリアが、異なるパターンの選択されたピクセル位置の間の直線エッジが回避されるように、書き込まれるべきピクセル位置を選択することを可能にするという見識にとりわけ基づいている。
具体的には、第1のパターンおよび第2のパターン間の重複エリアにおける第1のパターンに”孔”(非選択のピクセル位置)を残し、その”孔”を第2のパターンでそのピクセル位置を選択することによって埋めることによって、第1および第2のパターンの良好な混合を実現することができる。
同様の結果は、第1のパターンにおける行ごとに選択されるピクセルの数Mi1を変化させ、第2のパターンにおける任意の非選択のピクセル位置を選択することによって、達成することができる(条件(2))。
このようにして、ステッチング問題を回避又は大幅に制限することができる。
【0011】
本発明の文脈において、”ピクセル位置を書き込む”という用語は、そのピクセル位置に対する画像形成データの機能において、例えばビームを変調することにより設定されるビームによって、そのピクセル位置を露光することをいう。
【0012】
第1のパターンおよび第2のパターンは、重複エリアにおいて同じピクセル位置を含んでもよく、その結果、ピクセル位置が2回書き込まれることに留意されたい。
しかし、好ましい態様では、第1および第2のパターンは、全てのピクセル位置が一度だけ書き込まれるように、重複エリアに同じピクセル位置を含まない。
【0013】
例示的な態様では、Mi1およびMi2は、不等式:N-2*O≦Mi1,Mi2≦Nを満たす。
各行iについて、可能な態様によれば、Mi1はN-2*OとNとの間の範囲の値からランダムに選択され、隣接するパターンに重複しない第1のパターンのエリアに位置する任意のピクセル位置は常に選択される。
Mi1をランダムに選択することによって、N本のビームの第1パス中に書き込まれたゾーンとN本のビームの第2パス中に書き込まれたゾーンとの間の不規則なエッジが得られ、その結果、ゾーン間に人間の目では”感知できない”のエッジが生じる。
可能な態様によれば、第1および第2のパターンにおける選択されたピクセル位置は、規則的なパターンに従っており、上記設定された少なくとも条件(2)が満たされる。
例えば、第1のパターンは、M11=M31=M51=mおよびM21=M41=M61=m+1等を有してもよく、第2のパターンは、M12=M32=M52=m+1およびM22=M42=M62=m等を有してもよい。
このようなパターンを選択することによって、N本のビームの第1パス中に書き込まれたゾーンと第2パス中に書き込まれたゾーンとの間の折れエッジが得られ、その結果、ステッチング効果が低減する。
【0014】
好ましい態様では、Mi1およびMi2は、各行iについて、Nより小さい、より好ましくはN-1より小さい、固定値または最大値を有している。
書き込みの実施について、全出力PがN本のビームに利用可能であると仮定して、第1のパターンおよび第2のパターンの書き込みそれぞれの間、同時に書き込まれるべきMi1本のビームおよびMi2本のビームの各ビームに利用可能な出力は、Mi1およびMi2それぞれに与えられた固定値又は最大値で全出力を除算したものに概ね対応してもよい。
このようにして、より多くの出力がビーム毎に利用可能であり、その結果、より早い蒸発に至るので、より高い処理速度を使用することが可能になる。
【0015】
本発明の他の側面によれば、複数のビームを用いて画像形成可能材を書き込むためのシステムが提供される。本システムは、少なくとも1つの画像形成装置と、少なくとも1つの画像形成装置を制御するコントローラとを備える。少なくとも1つのうち画像形成装置の画像形成装置は、N本のビームを生成するように構成されており、Nは少なくとも4である。
コントローラは、
-それぞれN個のピクセル位置のY行を有する一連のパターンを準備し、上記一連のパターンは第1および第2のパターンを含んでおり、第1および第2のパターンはO列およびY行のピクセル位置からなる重複エリアで互いに重複しており、Oは少なくとも2でありNより小さく、
-上記第1のパターンの各行iにMi1個のピクセル位置を選択し、上記第2のパターンの各行iにMi2個のピクセル位置を選択するように構成されている。
選択は、以下の条件の少なくとも1つが満たされるようなものであり、
(1)上記第1のパターンの上記Mi1個のピクセル位置は、各行iについて、その少なくとも1つの選択されたピクセル位置が重複エリアに位置する少なくとも1つの被選択のピクセル位置によって隣接して選択されたピクセル位置(12)から分離されるように選択され、上記第2のパターンのMi2個のピクセル位置は、各行iについて、第1のパターンの上記非選択のピクセル位置が第2のパターンで選択されるように選択されており、第1のパターンの異なる行は、重複エリアの異なる列の選択されたピクセル位置を含んでおり、
(2)上記第1のパターンの上記Mi1個のピクセル位置は、数Mi1が、少なくとも2つの行について異なるように、且つ、第1のパターンの任意の非選択のピクセル位置が第2のパターンで選択されるように、選択される。
コントローラは、各行iに上記Mi1個の選択されたピクセル位置を、N本のビームを上記画像形成可能材に対して高速走査方向に移動させることによってを同時に書き込み、次に上記N本のビームを上記画像形成可能材に対して(N-O)個のピクセル位置を超えて低速走査方向に移動させ、その後に、各行iに上記Mi2個の選択されたピクセル位置を、N本のビームを上記画像形成可能材に対して高速走査方向に移動させることによって同時に書き込むように、上記画像形成装置を制御するようにさらに構成されている。
【0016】
コントローラは、1つの一体型コントローラであってもよいし、システム内に互いに距離を置いた複数の部分を備えていてもよいことに留意されたい。
【0017】
好ましい態様では、画像形成装置はレーザ画像形成装置である。レーザ画像形成装置は、レーザ画像形成装置のビームによってピクセル位置を露光するように制御され、このビームは、例えばビームをそのピクセル位置用の画像形成データの関数に変調することによって設定される。
【0018】
可能な態様では、コントローラは、各行iについて、Mi1を、N-2*OとNの間の範囲の値からランダムに選択するように構成されており、隣接するパターンと重複しない第1のパターンのエリアに位置する任意のピクセル位置が常に選択される。他の可能な態様では、コントローラは、第1および第2のパターンの選択されたピクセル位置が規則的なパターンに従い、且つ、上記策定された条件(2)が満たされるようにピクセル位置を選択するように構成されている。
【0019】
好ましい態様では、コントローラは、各行iについて、Mi1およびMi2がNより、小さいより好ましくはN-1より小さい、固定値または最大値を有するように、ピクセル位置を選択するように構成されている。書き込みを実施するために全出力がN本のビームについて利用可能であると仮定すると、好ましくは、コントローラは、Mi1本のビームおよびMi2本のビームの各ビームについて同時に書き込まれるべき利用可能な出力がMi1およびMi2それぞれの固定値または最大値で全出力を除算したものにそれぞれ概ね対応するように、第1のパターンおよび第2のパターンの書き込みそれぞれの間の駆動(動力供給)を制御するように構成されている。このようにして、(N本のビームで全出力を分割する場合に比して)より多くの出力が、ビームごとに利用可能であり、その結果、より早い蒸発に至るので、より高い処理速度を使用することが可能になる。
【0020】
本発明のさらなる側面によれば、上記のいずれかの態様のいずれかのステップのいずれかにしたがって、コンピュータ上でプログラムが実行されたときに、この方法を実行または制御するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0021】
本発明のさらなる側面によれば、上述の方法のいずれか1つの態様のいずれかの1つ以上のステップを実行または制御するようにプログラムされたコンピュータデバイスまたは他のハードウェアデバイスが提供される。他の側面によれば、上記開示された方法のいずれか1つの態様のいずれか1つ以上のステップを実行するように、機械読み取り可能かつ機械実行可能な形態でプログラムをコード化するデータ記憶装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】N=8およびO=4で、複数のビームを用いて画像形成可能材を書き込む方法の例示的な実施形態を概略的に示す。
図2】N=12およびO=4で、複数のビームを用いて画像形成可能材を書き込む方法の例示的な実施形態を概略的に示す。
図3】N=5およびO=2であって行ごとに固定数の選択されたピクセル位置で、複数のビームを用いて画像形成可能材を書き込む方法の例示的な実施形態を概略的に示す。
図4】N=4およびO=2で、規則的な選択パターンを使用して、複数のビームを用いて画像形成可能材を書き込む方法の例示的な実施形態を概略的に示す。
図5】複数のビームを用いて画像形成可能材を書き込むシステムの例示的な実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付の図面は、本発明の装置の現在好ましい非限定的な例示的な実施形態を示すために使用される。添付図面と併せて読んで以下の詳細な説明から、本発明の特徴および物体の上記および他の利点はより明確になり、本発明はよりよく理解される。
【0024】
図1は、N本の複数のビームを用いて、画像形成可能材を書き込む方法の第1の例示的な実施形態を示す。例ではNは8である。上記N本のビームを用いて、ピクセル位置のN本のトラックが同時に書き込まれてもよく、N本のビームは高速走査方向FSに移動する。ビームは、低速走査方向SSに隣接して広がっている。
【0025】
例示的な方法は、N個のピクセル位置のY行をそれぞれ有する一連のパターンを準備することを含む。一連のパターンは、第1のパターン(j=1)と、第2のパターン(j=2)と、第3のパターン(j=3)とを含んでいる。この例では、第1、第2および第3のパターンの前後で、1以上のパターンが利用可能であると仮定する。第1および第2のパターンは、O列およびY行のピクセル位置からなる重複エリアOV1で互いに重複しており、Oは4である。同様に、第2及び第3のパターンは、O列およびY行のピクセル位置からなる重複エリアOV2で互いに重複しており、Oは4である。
【0026】
第1のパターンの各行iについて、N本のビームの第1パス中に書き込まれるべきMi1個のピクセル位置が選択される。選択されたピクセル位置は、ハッチングで示されている。第1行(i=1)では、3個のピクセル位置10,11,12が第1パス中に書き込まれるのに選択されている:M11=3。第2行(i=2)では、4個のピクセル位置が選択されている:M21=4。第3行(i=3)では、4個のピクセル位置が選択されている:M31=4。第1のパターンは、”空”のピクセル位置、すなわちビームの第1パス中に書き込まれるべきでないピクセル位置を有していることに留意されたい。”空”のピクセル位置は、第1のパターンの前のパターン(図1において空で示されている)または次のパターン(図1における第2のパターンであり、”+”で示されている)のいずれかにおいて選択される。
【0027】
第2のパターンの各行iについて、N本のビームの第2パス中に書き込まれるべきMi2個のピクセル位置が選択される。選択されたピクセル位置はプラスの符号”+”で示されている。第1行(i=1)では、6個のピクセル位置20,21,22,23,24,25が選択されている:M12=6。第2行(i=2)では、4個のピクセル位置が選択されている:M22=4。第3行(i=3)では、3個のピクセル位置が選択されている:M32=3。第2のパターンは、第2のパターンの前のパターン(図1においてハッチングで示されている)または次のパターン(図1における第3のパターンであり、”・”で示されている)のいずれかにおいて選択される”空”のピクセル位置を有していることに留意されたい。
【0028】
第3のパターンの各行iについて、N本のビームの第3パス中に書き込まれるべきMi3個のピクセル位置が選択される。選択されたピクセル位置はドット符号”・”で示されている。第1行(i=1)では、5個のピクセル位置30,31,32,33,34が選択されている:M13=5。第2行(i=2)では、4個のピクセル位置が選択されている:M23=4。第3行(i=3)では、5個のピクセル位置が選択されている:M33=3。第3のパターンは、第3のパターンの前の第2のパターン(図1において”+”で示されている)または次のパターン(図1における空)のいずれかにおいて選択される”空”のピクセル位置を有していることに留意されたい。
【0029】
一連のパターン間の重複ゾーンOV1,OV2において、ピクセル位置が異なるパターンの選択されたピクセル位置の間に直線エッジが回避されるように、書き込まれるように選択される。具体的には、例えば第1のパターンと第2のパターンとの間の重複エリアOV1におけるピクセル位置20,21を参照して、第1のパターンに”孔”(非選択のピクセル位置)を残し、当該”孔”を第2のパターンでそのピクセル位置を選択することにより埋めることによって、第1および第2のパターンの良好な混合を達成することができる。同様の結果が、例えば孔がない重複エリアOV2における第1行(後述する図4の実施形態も参照)を参照して、第1のパターンの行ごとに選択されるピクセルの数Mi1を変化させ、任意の非選択のピクセル位置を第2のパターンで選択することによって、達成することができる。その場合、パターンに”孔”を有することは要求されない。もちろん、第1および第2の技術は組み合わされてもよく、つまり、パターンは孔を有してもよく、パターンにおける行ごとに選択されるピクセルの数は異なってもよい。このようにして、ステッチング問題は回避され、または大幅に制限することができる。
【0030】
Mi1,Mi2およびMi3は、不等式N-2*O≦Mi1,Mi2,Mi3≦N、つまり0≦Mij≦8を満たす必要があり、jは一連のパターンに対応する指標である。さらに、Mi1,Mi2およびMi3は、全ての後続のパターンと前のパターンとを併合するとき、全てのピクセル位置が選択されるようなものである。図1の実施形態では、全てのピクセル位置が一度だけ書き込まれるように、第1、第2および第3のパターンは重複エリアにいかなる共通のピクセル位置を有していない。しかしながら、第1、第2および第3のパターンは、重複エリアに1つ以上の共通のピクセル位置を有してもよく、その結果、特定のピクセル位置が2度書き込まれることに留意されたい。
【0031】
図1の実施形態では、可能性に応じて、一連のパターンにおけるピクセル位置をランダムに選択してもよいが、全てのピクセル位置が一連のパターンの1つで選択されるようにする。例えば、選択は、0≦Mij≦8でランダムとしてもよい。しかしながら、2≦Mij≦6であることを確かにすることも可能である。このようにして、8本のビームのうち最大6本のビームのみが同時に駆動(動力供給)されなければならないので、ビームを供給するための利用可能な出力は8の代わりに6で除算することができる。ビームごとの利用可能な出力を増大させることによって、蒸発が早くなるので、より高い走査速度を可能とし、その結果より早い処理をもたらす。
【0032】
変数しだいで、Mijを4に固定としてもよく、第1のパターンの各行について、最初の4個のピクセル位置のうち2個のピクセル位置がランダムに選択され、最後の4個のピクセル位置のうち2個のピクセル位置がランダムに選択され、隣接するパターンにおいて、”空”のピクセル位置が選択される。その場合、全利用可能出力を4で除算することができ、その結果よりいっそう早い蒸発をもたらす。
【0033】
好ましくは、選択は、以下の条件のうちの少なくとも1つが満たされるようなものである。
-第1のパターン(j=1)のMi1個のピクセル位置は、行iについて、その少なくとも1つの選択されたピクセル位置11が隣接して選択されたピクセル位置12から重複エリアOV1に位置する少なくとも1つの非選択のピクセル位置20,21によって分離されるように選択され、上記第2のパターンのMi2個のピクセル位置は、上記行iについて、第1のパターン(j=1)の非選択のピクセル位置20,21が第2のパターン(j=2)で選択されるように選択され、第1のパターンの異なる行は、重複エリアOV1の異なる列で選択されたピクセル位置を含み、これは、例えば、異なるピクセル位置が第1のパターンの行1および2について選択される行1および2において見ることができる。同じ原理が、重複エリアOV2において重複する第2および第3のパターンについて適用可能である。このようにして、不規則なパターンが、ステッチング状人口物を回避するように、重複エリアに得られる。
-第1のパターンのMi1個のピクセル位置は、数Mi1が異なる行について異なり、且つ、第1のパターンの非選択のピクセル位置が第2のパターンで選択されるように、選択されてもよい。同じ原理が、第2および第3のパターンについて適用可能である。選択されたピクセル位置のこのパターンもまた、ステッチング状人口物が回避されるように、重複エリアに不規則なパターンをもたらす。
【0034】
一連のパターンを準備した後、ピクセル位置が画像データにしたがって書き込まれてもよい。書き込みは、各行iについて、上記Mi1個の選択されたピクセル位置をN本のビームを高速走査方向FSに移動させて、選択されたピクセル位置および選択されたピクセル位置に書き込まれるべき画像データにしたがって、ビームを駆動することによって、同時に書き込むことを第1ステップに有している。第2ステップでは、N本のビームが上記画像形成可能材に対して低速走査方向SSに、(N-O)個のピクセル位置を超えて、例では4個のピクセル位置を超えて、移動させられる。第3のステップでは、各行iについて、Mi2個の選択されたピクセル位置が、N本のビームを高速走査方向FSに移動させて、選択されたピクセル位置と選択されたピクセル位置に書き込まれるべき画像データとに基づいてビームを駆動することによって、同時に書き込まれる。図1の例では、FS方向における8本のビームの第1パス(J=1)中に、ピクセル位置10,11および12が第1行(i=1)等に書き込まれる。次に、8本のビームが4個のピクセル位置を超えてSS方向に移動させられる。FS方向における8本のビームの第2パス(j=2)中に、ピクセル位置20,21,22,23,24および25が第1行(i=1)等に書き込まれる。選択されたピクセル位置の一連のパターンは、ビームが書き込まれるべき画像の端に到達したとき、全てのピクセル位置が画像データにしたがって書き込まれるようなものである。
【0035】
図2は、N本の複数のビームを用いて、画像形成可能材を書き込む方法の第2の例示的な実施形態を示している。例ではNは12である。上記N本のビームを用いて、ピクセル位置のN本のトラックが同時に書き込まれてもよく、N本のビームは高速走査方向FSに移動する。12本のビームは、低速走査方向SSに隣接して広がっている。この実施形態では、重複エリアOV1,OV2は、4個のピクセル位置の広さ、すなわちO=4となるように選択されている。
【0036】
例示的な方法は、N個のピクセル位置のY行それぞれ有する一連のパターンを準備することを含んでいる。一連のパターンは、第1のパターン(j=1)、第2のパターン(j=2)および第3のパターン(j=3)を含んでいる。例では、1つ以上のパターンが、第1、第2および第3のパターンの前後で利用可能であると仮定されている。第1および第2のパターンは重複エリアOV1で互いに重複している。第2および第3のパターンは重複エリアOV2で互いに重複している。
【0037】
第1のパターンの各行iについて、Mi1個のピクセル位置が選択されている。選択されたピクセル位置は、ハッチングで示されている。第1行(i=1)には、7個のピクセル位置が選択されている:M11=7。第2行(i=2)には、8個のピクセル位置が選択されている:M21=8、他。第1のパターンの前のパターン(図2において空で描かれている)または次のパターン(図2の第2のパターンであり”+”で示されている)のいずれか選択される、”空”または非選択のピクセル位置を、第1のパターンが有することに留意されたい。
【0038】
第2のパターンの各行iについて、Mi2個のピクセル位置が選択されている。選択されたピクセル位置は、プラス符号”+”で示されている。第1行(i=1)には、7個のピクセル位置が選択されている:M12=7。第2行(i=2)には、8個のピクセル位置が選択されている:M22=8、他。第2のパターンの前のパターン(図2においてハッチングで示されている第1のパターン)または次のパターン(図2における第3のパターンであり、”・”で示されている)のいずれか選択される”空”のピクセル位置を、第2のパターンが有することに留意されたい。
【0039】
同様にして、第3のパターンの各行iについて、Mi3個のピクセル位置が選択されている。選択されたピクセル位置は、ドット符号”・”で示されている。
【0040】
Mi1、Mi2およびMi3は不等式N-2*O≦Mij≦N、すなわち4≦Mij≦12を満たさなければならず、Jは一連のパターンに対応する指標である。パターンの各行について、行のうち4個のピクセル位置が隣接するパターンに重複していないので、Mijは少なくとも4でなければならない。さらに、全てのMijについての値は、全ての一連のパターンを併合するときに、全てのピクセル位置が選択されるようなものである。
【0041】
図2の実施形態において、可能性しだいで、一連のパターンのピクセル位置をランダムに選択してもよいが、全てのピクセル位置が一連のパターンの1つで選択されるようにする。例えば、選択は、4≦Mij≦12でランダムとしてもよい。しかしながら、7≦Mij≦9を確かにすることも可能である。このようにして、12本のビームのうち最大9本のビームが同時に駆動されなければならないので、ビームを供給するための利用可能な出力を12の代わりに9で除算することができる。変数しだいで、Mijを8に固定してもよく、第1のパターンの各行について、最初の4個のピクセル位置のうち2個のピクセル位置がランダムに選択され、中間の4個のピクセル位置のうち4個のピクセル位置が常に選択され、最後の4個のピクセル位置のうち2個のピクセル位置がランダムに選択され、隣接するパターンにおいて、非選択のピクセル位置が選択される。
【0042】
好ましくは、選択は、以下の条件のうち少なくとも1つが満たされるようなものである。
-第1のパターン(j=1)のMi1個のピクセル位置が、行iについて、その少なくとも1つの選択されたピクセル位置11が隣接して選択されたピクセル位置12から重複エリアOV1に位置する少なくとも1つの非選択のピクセル位置20によって分離するように選択され、上記第2のパターンのMi2個のピクセル位置が、上記行iについて、第1のパターン(j=1)の少なくとも1つの非選択のピクセル位置20が第2のパターン(j=2)で選択されるように選択され、第1のパターンの異なる行は、重複エリアOV1の異なる列の選択されたピクセル位置を含み、これは、例えば異なるピクセル位置が第1のパターンに選択される行1および2において見られる。同じ原理が、重複エリアOV2で重複する第2および第3のパターンに適用可能である。このようにして、不規則なパターンが、ステッチング状人口物を回避するように、重複エリアに得られる。
-第1のパターンのMi1個のピクセル位置は、数Mi1が異なる行について異なっており、且つ、第1のパターンの任意の非選択のピクセル位置が第2のパターンで選択されるように、選択されてもよい。例えば、図2において、M11=7であり、M21=8である。同じ原理が、第2および第3のパターンに適用可能である。また、選択されたピクセル位置のそのようなパターンによって、ステッチング状人口物が回避されるように重複エリアに不規則なパターンが生じる。
【0043】
一連のパターンを準備した後、ピクセル位置は、画像データにしたがって書き込まれてもよい。書き込みは、各行iについて、上記Mi1個の選択されたピクセル位置を、12本のビームをFS方向に移動させて、選択されたピクセル位置と選択されたピクセル位置に書き込まれるべき画像データとにしたがって、ビームを駆動することによって同時に書き込むことを、第1ステップに有している。第2ステップでは、12本のビームが上記画像形成可能材に対してSS方向に8個のピクセル位置を超えて移動させられる。第3ステップでは、各行iについて、Mi2個の選択されたピクセル位置が、12本のビームをFS方向に移動させて、選択されたピクセル位置と選択されたピクセル位置に書き込まれるべき画像データとにしたがって、ビームを駆動することによって同時に書き込まれる。
【0044】
図2の実施形態においても、Mijは所定の範囲内、例えば6≦Mij≦10(例1)であることを確かにすることが可能であり、または固定されるべきMij、例えばMij=8(例2)を選択することが可能である。このようにして、12のうち最大10または8のみの移動するビームが同時に駆動されなければならないので、ビームを供給するための利用可能な出力は、12の代わりに10(例1)または8(例2)で除算することができる。ビームごとに利用可能な出力を増大させることによって、乾燥がより早くなり、より高い走査速度を可能にし、その結果より早いプロセスをもたらす。
【0045】
図3は、N本の複数のビームを用いて、画像形成可能材を書き込む方法の第3の例示的な実施形態を示している。例ではNは5である。上記5本のビームを用いて、ピクセル位置の5本のトラックが高速走査方向FSに同時に書き込まれてもよい。5本のビームは低速走査方向SSに隣接して広がっている。この実施形態では、重複エリアOV1,OV2が、2つのピクセル位置の幅であるように選択されており、すなわちO=2である。
【0046】
例示的な方法は、5個のピクセル位置のY行をそれぞれ有する一連のパターンを準備することを有している。一連のパターンは、第1のパターン(j=1)、第2のパターン(j=2)および第3のパターン(j=3)を含んでいる。この例では、1つ以上のパターンが第1、第2および第3のパターンの前後で利用可能であることが仮定される。第1および第2のパターンは、重複エリアOV1で互いに重複している。第2および第3のパターンは、重複エリアOV2で互いに重複している。
【0047】
第1のパターンの各行iについて、Mi1個のピクセル位置が選択されている。選択されたピクセル位置は、ハッチングで示されている。第2のパターンの各行iについて、Mi2個のピクセル位置が選択されている。第2のパターンの選択されたピクセル位置は、プラス符号”+”で示されている。同様にして、第3のパターンの各行iについて、Mi3個のピクセル位置が選択されている。選択されたピクセル位置は、ドット符号”・”で示されている。
【0048】
図3の実施形態では、行ごとに3個の選択されたピクセル位置に固定されるように選択され、第1のパターンの各行について、最初の2個のピクセル位置のうち1個のピクセル位置がランダムにまたは不規則なパターンにしたがって選択され、中間のピクセル位置が常に選択され、最後の2個のピクセル位置のうち1個のピクセル位置がランダムにまたは不規則なパターンにしたがって選択されており、隣接するパターンにおいて非選択のピクセル位置が選択される。このようにして、選択が、以下の条件が満たされるようなものである。第1のパターン(j=1)のMi1個のピクセル位置が、行iについて、その少なくとも1つの選択されたピクセル位置11が隣接して選択されたピクセル位置12から重複エリアOV1に位置する少なくとも1つの非選択のピクセル位置20によって分離されるように選択され、上記第2のパターンのMi2個のピクセル位置が、上記行iについて、第1のパターン(j=1)の少なくとも1つの非選択のピクセル位置20が第2のパターン(J=2)で選択されるように選択され、第1のパターンの異なる行は重複エリアOV1の異なる列に選択されたピクセル位置を含んでおり、これは例えば異なるピクセル位置が第1のパターンに選択される行1および2において見られる。同じ原理が、重複エリアOV2で重複する、第2および第3のパターンに適用可能である。このようにして、不規則なパターンが、ステッチング状人口物が回避されるように、重複エリアに得られる。さらに、Mijが固定され、例えばMij=3であることを確かにすることが可能である。このようにして、5本のビームのうち最大3本のみが同時に駆動されるので、ビームを供給するための利用可能な出力を5の代わりに3で除算することができる。ビームごとに利用可能な出力を増大させることによって、乾燥がより早くなり、より高い走査速度を可能とし、より早いプロセスをもたらす。
【0049】
一連のパターンを準備した後、ピクセル位置が画像データにしたがって書き込まれてもよい。書き込みは、各行iについて、上記3個の選択されたピクセル位置を、5本のビームをFS方向に移動させて、3個の選択されたピクセル位置と該3個の選択されたピクセル位置について書き込まれるべき画像データとにしたがってビームを駆動することによって、同時に書き込むことを、第1ステップに含んでいる。このような実施形態では、5本の移動するビームのうち3本のみが同時に駆動される必要があるので、ビーム用の利用可能な出力を3本のビームにわたって分散させてもよい。第2ステップでは、5本のビームが上記画像形成可能材に対してSS方向に2個のピクセル位置を超えて移動させられる。第3ステップでは、各行iについて、3個の選択されたピクセル位置が、5本のビームをFS方向に移動させて、3個の選択されたピクセル位置と選択されたピクセル位置に書き込まれるべき画像データとにしたがって、ビームを駆動することによって、同時に書き込まれる。
【0050】
図4は、N本の複数のビームを用いて、画像形成可能材を書き込む方法の第4の例示的な実施形態を示している。例ではNは4である。上記4本のビームを用いて、ピクセル位置の4本のトラックが高速走査方向FSに同時に書き込まれてもよい。4本のビームは、低速走査方向SSに隣接して広がっている。この実施形態では、重複エリアOV1,OV2は、2個のピクセル位置の幅、つまりO=2であるように選択されている。
【0051】
例示的な方法は、5個のピクセル位置のY行をそれぞれ有する一連のパターンを準備することを含む。一連のパターンは、第1のパターン(j=1)、第2のパターン(j=2)および第3のパターン(j=3)を含んでいる。例では、1つ以上のパターンが、第1、第2および第3のパターンの前後で利用可能である。第1および第2のパターンは重複エリアOV1で互いに重複している。第2および第3のパターンは重複エリアOV2で互いに重複している。
【0052】
第1のパターンの各行iについて、Mi1個のピクセル位置が選択されている。選択されたピクセル位置は、ハッチングで示されている。この実施形態では、Mi1は規則的なパターンにしたがっており、M11=3、M21=2、M31=3、M41=3、M51=2、M61=3他である。第2のパターンの各行iについて、Mi2個のピクセル位置が選択されている。第2のパターンの選択されたピクセル位置は、プラス符号”+”で示されている。同様に、Mi2は規則的なパターンにしたがっており、M12=2、M22=3、M32=2、M42=2、M52=3、M62=2他である。第3のパターンの各行iについても同様に、Mi3個のピクセル位置が選択されている。選択されたピクセル位置はドット符号”・”で示されている。Mi3も規則的なパターンにしたがっている。
【0053】
図4の実施形態では、選択は、以下の条件が満たされるようなものである。第1のパターンのMi1個のピクセル位置は、数Mi1が異なる行で異なっており、且つ、第1のパターンの任意の非選択のピクセル位置が第2のパターンで選択されるように、選択されている。例えば、図4では、M11=3であり、M21=2である。同じ原理が、第2および第3のパターンに適用可能である。図4の選択されたピクセル位置のパターンは、ステッチング状人口物が回避されるように、重複エリアOV1,OV2に不規則なパターンをもたらす。
【0054】
ピクセル位置は、画像データにしたがって書き込まれる。書き込みは、各行iについて、Mi1個の選択されたピクセル位置を、4本のビームをFS方向に移動させて、選択されたピクセル位置と該選択されたピクセル位置について書き込まれるべき画像データとにしたがってビームを駆動することによって、同時に書き込むことを、第1ステップに有している。第2のステップには、4本のビームが上記画像形成可能材に対してSS方向に2個のピクセル位置を超えて移動させられる。第3のステップでは、各行iについて、Mi2個のピクセル位置が、4本のビームをFS方向に移動させて、選択されたピクセル位置と該選択されたピクセル位置に書き込まれるべき画像データとにしたがってビームを駆動することによって、同時に書き込まれる。
【0055】
図5は、レーザビーム外部ドラム画像設定装置とも呼ばれる、複数のレーザビーム110を用いて画像形成可能材300を書き込むシステムの例示的な実施形態の簡単なブロック図として示している。システムは、N本のビーム110を生成するように構成された画像形成装置100と、画像形成装置100を制御するコントローラ200とを有しており、Nは少なくとも4である。任意に、N本のビームを生成するように構成されており、第1の画像形成装置100と同時に作動するようにコントローラ200によって制御される、第2の画像形成装置を備えてもよい。このようにして、画像形成可能材300の2つの部分が、並行して書き込まれてもよい。この実施形態では、第1の画像形成装置100は、図5に示されるように画像形成可能材300の左半分を書き込むように設けられてもよく、第2の画像形成装置(不図示)は画像形成可能材300の右半分を並行して書き込むように配置されてもよい。
【0056】
コントローラ200は、
-N個のピクセル位置のY行をそれぞれ有する一連のパターンを準備し、上記一連のパターンは第1および第2のパターンを含んでおり、第1および第2のパターンはO列およびY行のピクセル位置からなる重複エリアで互いに重複しており、Oは少なくとも2であってNより小さく、
-上記第1のパターンの各行iについて、Mi1個のピクセル位置を選択し、
-上記第2のパターンの各行iについて、Mi2個のピクセル位置を選択する
ように構成されている。
コントローラ200による選択は、以下の条件の少なくとも1つが満たされるようなものである。
(1)上記第1のパターンの上記Mi1個のピクセル位置は、行iについて、その少なくとも1つの選択されたピクセル位置が隣接して選択されたピクセル位置から重複エリアに位置する少なくとも1つの非選択のピクセル位置によって分離するように、選択されており、上記第2のパターンの上記Mi2個のピクセル位置は、上記行iについて、第1のパターンの上記非選択のピクセル位置が第2のパターンで選択されるように選択されており、第1のパターンの異なる行は重複エリアの異なる列に選択されたピクセル位置を含んでおり、
(2)上記第1のパターンのMi1個のピクセル位置は、数Mi1が異なる行について異なっており、且つ、第1のパターンの任意の非選択のピクセル位置が第2のパターンで選択されるように、選択されている。
【0057】
コントローラ200は、各行iについて、上記Mi1個の選択されたピクセル位置を、N本のビームを上記画像形成可能材に対して高速走査方向FSに移動させることによって同時に書き込み、次に、上記N本のビームを上記画像形成可能材に対して低速走査方向SSに(N-O)個のピクセル位置を超えて移動させて、その後、各行iについて、上記Mi2個の選択されたピクセル位置を、N本のビームを上記画像形成可能材に対して高速走査方向FSに移動させることによって同時に書き込むように、画像形成装置100を制御するように構成されている。
【0058】
画像形成装置100は、複数のレーザビームを形成するレーザビーム源と、複数のレーザビームを受光し、関連するパターンから画像形成データと選択されたピクセルデータとにしたがってビームを変調し、変調されたレーザビームを焦点スポット120の行に集束させるように配置された画像形成ヘッドと、を含んでおり、行は、画像形成可能材300、例えば版または版/スリーブの組み合わせが高速走査方向FSに回転するような、表面上にトラックを形成するフレキソ版または版/スリーブの組み合わせ、の表面上に低速走査方向SSに配向されている。画像形成ヘッドは、例えばレーザビーム源からのレーザビームを偏向器に向けるための例えば反射器を含んでもよい。レーザビームは、偏向器を通過して、関連するパターンから画像形成データおよび選択されたピクセルデータにしたがってビームを変調する多チャンネルAOMに至る。各ビームについて、レーザビームの源、偏向器および変調器を設けてもよい。当該技術分野において知られているように、個別のレーザが、例えばレーザアレイから各ビームについて設けられてもよく、または全てのビームが、ビームスプリッタまたは複数のビーム偏向器と共に単一のレーザから設けられてもよい。
【0059】
高速走査方向FSにおける動きは、画像形成可能材300が固定されたドラム500をコントローラ200により制御されるモータ550を用いて回転させることによって達成されてもよい。低速走査方向における動きは、コントローラ200により制御される任意の適切な移動機構(不図示)によって達成されてもよい。
【0060】
コントローラ200は、マイクロプロセッサの形式のプログラム可能なマイクロコントローラと、マイクロプロセッサのための指示を含むメモリとを有してもよい。画像データ400は、コントローラ200に入力されて、コントローラ200は、画像データについて選択されたピクセル位置と共に一連のパターンを生成する。第1のパターンにしたがって、N本のビーム110を用いて、N個のピクセル位置のY行を書き込むとき、選択されたピクセル位置についてのピクセルデータのみが書き込まれる。換言すると、第1のパターンの行iについて、Mi1個のピクセル位置用のピクセルデータのみが、レーザビームを変調するのに使用される。
【0061】
好適な実施形態において、コントローラ200は、Mi1およびMi2が、各行iについて、Nより小さくより好ましくはN-1より小さい、固定値または最大値を有するように、ピクセル位置を選択するように構成されている。書き込みを実施するため、典型的には固定された全出力がN本のビームに利用可能である。コントローラ200は、それから、第1のパターンおよび第2のパターンをそれぞれ書き込む間、駆動を制御するようにさらに構成されてもよく、それによって同時に書き込まれるべきMi1本のビームおよびMi2本のビームの各ビームについて利用可能な出力がMi1およびMi2それぞれの固定値または最大値で全出力を除算したものに概ね対応する。個別のレーザが各ビームに設けられるとき、そのビームの出力は調整されてもよい。N本のビームがビームスプリッタまたは複数のビーム偏向器と共に、単一のレーザで提供されるとき、ビームスプリッタまたは偏向器はMi1およびMi2に依存して調整されてもよい。
【0062】
図5に示される画像装置は、外部ドラム画像装置であることに留意されたい。ここに説明される方法およびシステムはまた、平らなベッドの画像形成装置または内部ドラム画像形成装置においても、容易に実施される。
【0063】
主要な適用はアブレーション感光性媒体を露光するものであるが、本方法およびシステムはレーザ画像形成装置を用いる、任意のアブレーションまたは感熱性記録媒体の任意の画像形成にも適用可能であることに、さらに留意されたい。
【0064】
当業者は、上述した様々な方法のステップがプログラムされたコンピュータ、すなわちコントローラによって実行可能であることを容易に認識するであろう。ここに、一部の実施形態は、プログラム記憶装置、例えばデジタルデータ記憶媒体をカバーすることも意図しており、このプログラム記憶媒体は、機械またはコンピュータ読み取り可能であり、機械で実行可能またはコンピュータで実行可能な命令のプログラムをコード化するものであり、上記命令は、上述した方法のステップの一部または全てを実行する。プログラム記憶装置は、例えばデジタルメモリ、磁気ディスクおよび磁気テープ等の磁気記憶メディア、ハードドライブまたは光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶メディアであってもよい。実施形態は、上述した方法の上記ステップを実行するようにプログラムされたコンピュータをカバーすることも意図されている。
【0065】
”コントローラ”としてラベル付けされた任意の機能ブロックを含む、図に示された様々な要素の機能は、専用ハードウェアならびに適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行可能なハードウェアを使用して提供されてもよい。コントローラによって提供されるとき、機能は単一の専用プロセッサによって、または単一の共有プロセッサによって、または一部が共有されてもよい複数の個々のプロセッサによって提供されてもよい。さらに、用語”コントローラ”の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアを排他的に参照するように解釈されるべきではなく、限定するものではないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および不揮発性記憶装置を暗に含んでもよい。他のハードウェア、従来のおよび/または慣習のものも含めてもよい。同様に、図に示される任意のスイッチは、概念的なものにすぎない。それらの機能は、プログラムロジックの作動を介して、または専用ロジックを介して、またはプログラム制御と専用ロジックの相互作用を介して、または手動でさえも実行されてもよく、個々の技術は、内容からより具体的に理解されるように、実施者によって選択可能である。
【0066】
本明細書中の任意のブロック図は、本発明の原理を具体化する例示的な回路の概念図を示していることが、当業者に理解されるべきである。同様に、任意のフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コード等は、コンピュータ読み取り可能メディアに実質的に表されていてもよく、コンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、コンピュータまたはプロセッサによって実行されてもよい様々なプロセスを表していることが、理解される。
【0067】
本発明の原理は、特定の実施形態に関連して上述されてきたが、この説明は例としてなされたものにすぎず、添付の特許請求の範囲によって決定される保護範囲の限定としてではないことを、理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5