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特許7199432半導体製造装置のための、浅角、多波長、マルチレシーバ、調整可能な感度のアライナセンサ
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  • 特許-半導体製造装置のための、浅角、多波長、マルチレシーバ、調整可能な感度のアライナセンサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】半導体製造装置のための、浅角、多波長、マルチレシーバ、調整可能な感度のアライナセンサ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20221223BHJP
【FI】
H01L21/68 F
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020520599
(86)(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 US2018057497
(87)【国際公開番号】W WO2019084260
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-13
(31)【優先権主張番号】62/576,791
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505413587
【氏名又は名称】アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】バゲット,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ベノワ,ビリー
(72)【発明者】
【氏名】フェラーラ,ジョー
(72)【発明者】
【氏名】テリー,ブライアン
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-165655(JP,A)
【文献】特開2009-121920(JP,A)
【文献】特開平05-206250(JP,A)
【文献】特開2014-086578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースアライメントシステムであって、
支持軸を有するワークピースサポートと、
発光装置と、
受光装置と、
コントローラと、を備えており、
上記ワークピースサポートは、ワークピース平面に沿ってワークピースを選択的に支持するように構成されており、
上記発光装置は、上記ワークピース平面の第1面に向かう経路に沿って、1つ以上の波長の光ビームを導くように構成されており、
上記光ビームは、リボン状であり、かつ、当該光ビームに関連する幅を有しており、
上記経路は、上記ワークピースの周辺領域に関連しており、
上記経路は、上記ワークピース平面に対して浅角を成しており、
上記受光装置は、上記経路に沿って配置されており、かつ、上記ワークピース平面の第2面において上記光ビームを受光するように構成されており、
上記第2面は、上記第1面とは反対側に位置しており、
上記受光装置は、複数のセンサセルを備えており、
上記複数のセンサセルは、上記光ビームの上記幅に沿って上記光ビームの複数の部分のそれぞれを受光するように構成されており、
上記複数のセンサセルは、上記光ビームの上記複数の部分のそれぞれに関連する複数の受信信号を規定するように構成されており、
上記コントローラは、上記ワークピースが上記経路と交差する場合における、上記複数の受信信号の差異に少なくとも部分的に基づいて、上記支持軸に対する上記ワークピースのエッジを決定するように構成されており、
上記コントローラは、上記ワークピースの透過率に基づいて、上記受光装置の感度を制御するように構成されている、ワークピースアライメントシステム。
【請求項2】
上記ワークピースサポートに動作可能に接続されており、かつ、上記ワークピースサポートを上記支持軸の回りに選択的に回転させるように構成された回転装置をさらに含み、
上記ワークピースは、上記ワークピースの上記エッジに関連するエッジ形状を有しており、
上記コントローラは、上記エッジ形状が上記経路と交差する場合における、上記ワークピースサポートの回転位置と上記複数の受信信号の上記差異とに基づいて、上記支持軸に対する上記ワークピースの位置を決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項3】
上記コントローラは、波形を決定するようにさらに構成されており、
上記波形は、上記ワークピースサポートの複数の回転位置において、上記受光装置により受光される上記光ビームの上記複数の部分によって規定され、
上記コントローラは、上記波形に基づいて、上記支持軸に対する上記ワークピースの上記位置を決定するようにさらに構成されている、請求項2に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項4】
上記コントローラは、上記ワークピースの上記透過率に基づいて、上記波形を調整するようにさらに構成されている、請求項3に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項5】
上記浅角は、上記ワークピース平面に対して約5°である、請求項1に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項6】
上記発光装置は、上記1つ以上の波長の上記光ビームを送出するように構成されたレーザを含んでいる、請求項1に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項7】
上記コントローラは、上記光ビームの上記幅の外側範囲から内側範囲までを観察した場合における、上記複数の受信信号の第1ブロッケージを決定するように構成され、
上記コントローラは、上記第1ブロッケージを越えて規定された任意の上記複数の受信信号を選択的に無視するように構成されている、請求項1に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項8】
ワークピースアライメントシステムであって、
発光装置と、
受光装置と、
ワークピースサポートと、
回転装置と、
コントローラと、を備えており、
上記発光装置は、ワークピースに関連するワークピース平面の第1面に向かう経路に沿って、1つ以上の波長の光ビームを導くように構成されており、
上記経路は、上記ワークピースの周辺領域に関連しており、
上記経路は、上記ワークピース平面に対して浅角を成しており、
上記受光装置は、上記経路に沿って配置されており、かつ、上記ワークピース平面の第2面において上記光ビームを受光するように構成されており、
上記第2面は、上記第1面とは反対側に位置しており、
上記ワークピースサポートは、上記ワークピース平面に沿って上記ワークピースを選択的に支持するように構成されており、
上記回転装置は、上記ワークピースサポートと動作可能に接続されており、かつ、上記ワークピースサポートを支持軸の回りに選択的に回転させるように構成されており、
上記コントローラは、上記ワークピースサポートを介して上記ワークピースが回転させられる場合に、上記ワークピースが上記経路と交差するときに上記受光装置によって受光される上記光ビームの量に少なくとも部分的に基づいて、上記支持軸に対する上記ワークピースの位置を決定するように構成されており、
上記コントローラは、上記ワークピースの透過率に基づいて、上記受光装置の感度を制御するように構成されている、ワークピースアライメントシステム。
【請求項9】
上記浅角は、上記ワークピース平面に対して約5°である、請求項8に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項10】
上記発光装置は、上記1つ以上の波長の上記光ビームを送出するように構成されたレーザを含んでいる、請求項8に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項11】
上記発光装置は、当該発光装置の所定の幅に亘って、複数の波長の上記光ビームを送出するように構成されている、請求項8に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項12】
上記ワークピースの上記位置は、上記ワークピース平面に沿った、上記支持軸からの上記ワークピースの中心の2次元オフセットを含んでいる、請求項8に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項13】
上記ワークピースの上記位置は、上記支持軸の回りの、上記ワークピースの回転位置をさらに含んでいる、請求項12に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項14】
上記ワークピースは、エッジ形状を有しており、
上記コントローラは、上記ワークピースが上記ワークピースサポートを介して回転させられる場合に、上記エッジ形状が上記経路と交差するときに上記受光装置によって受光される上記光ビームの量に少なくとも部分的に基づいて、上記支持軸に対する上記ワークピースの回転位置を決定するように構成されている、請求項13に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項15】
上記コントローラは、波形を決定するように構成されており、
上記波形は、上記ワークピースサポートの複数の回転位置において上記受光装置によって受光される上記光ビームの少なくとも一部によって規定され、
上記コントローラは、上記波形に基づいて、上記支持軸に対する上記ワークピースの上記位置を決定するようにさらに構成されている、請求項8に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項16】
上記コントローラは、上記ワークピースの上記透過率に基づいて、上記波形を調整するようにさらに構成されている、請求項15に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項17】
上記受光装置は、複数のセンサセルを備えており、
上記複数のセンサセルは、上記光ビームの幅に沿って、上記光ビームの複数の部分のそれぞれを受光するように構成されており、
上記複数のセンサセルは、上記光ビームの複数の部分のそれぞれに関連する複数の受信信号を規定するように構成されており、
上記コントローラは、上記複数の受信信号のうちの1つ以上を選択的に無視することによって、上記ワークピースのエッジを決定するように構成されている、請求項8に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項18】
上記コントローラは、上記光ビームの上記幅の外側範囲から内側範囲までを観察した場合における、上記複数の受信信号の第1ブロッケージを決定するように構成されており、
上記コントローラは、上記第1ブロッケージを越えて規定された任意の上記複数の受信信号を選択的に無視するように構成されている、請求項17に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項19】
ワークピースを位置合わせするための方法であって、
ワークピースサポート上にワークピースを配置する工程と、
上記ワークピースの第1面に向かう経路に沿って複数の波長の光ビームを導く工程と、を含んでおり、
上記経路は、上記ワークピースの平面に対して浅角を成しており、
上記方法は、
支持軸の回りに上記ワークピースを回転させる工程と、
上記ワークピースの回転に伴い、上記ワークピースの第2面に向かうように上記ワークピースへと送出された上記光ビームを受光する工程と、
(i)上記支持軸の回りの上記ワークピースの回転位置と、(ii)受光された上記光ビームと、(iii)上記ワークピースのエッジの検出と、(iv)上記光ビームの制御された感度と、に少なくとも部分的に基づいて、上記支持軸に対する上記ワークピースの位置を決定する工程と、を含んでいる、方法。
【請求項20】
上記支持軸に対する上記ワークピースの上記位置を決定する工程は、
(i)上記支持軸の回りの上記ワークピースの回転位置、および、(ii)上記支持軸からの上記ワークピースの中心の2次元オフセット、のうちの1つ以上を決定する工程を含んでいる、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の参照]
本出願は、2017年10月25日に出願された、「SHALLOW ANGLE, MULTI-WAVELENGTH, MULTI-RECEIVER, ADJUSTABLE SENSITIVITY ALIGNER SENSOR FOR SEMICONDUCTOR MANUFACTURING EQUIPMENT」というタイトルが付された米国仮出願No.62/576,791の利益を主張する米国非仮出願である。当該米国仮出願の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[分野]
本開示は、概して、ワークピースを処理するためのワークピース処理システムおよびワークピース処理方法に関する。本開示は、より具体的には、変化する光透過特性を有するワークピースを取り扱い(ハンドリングし)、かつ、当該ワークピースを位置合わせ(アライメント)するためのシステムおよび方法に関する。
【0003】
[背景]
半導体処理においては、多くの操作(オペレーション)が単一のワークピースまたは半導体ウェハ上において実行されうる。多くの処理操作では、ワークピースを適切に処理または取り扱うために、ワークピースの特定の向き(方位)(orientation)、および/または、ワークピースホルダに対するワークピースの位置についての知識(情報)が必要とされる。例えば、(i)搬送キャリアまたは保管カセットと処理システムとの間におけるワークピースの交換、および、(ii)1つ以上のロードロックチャンバを介した、大気環境から処理システムのプロセスチャンバの排気環境(真空環境)へのワークピースの輸送、などの動作には、適切なワークピースの取扱いおよび処理のために、(1つ以上の)特定の向きまたはワークピースの空間位置についての知識が必要とされる場合がある。
【0004】
光存在センサを用いて、ワークピースの方向付け(例えば、ノッチアライメント)が、排気環境内または大気環境内において実行されてもよい。この場合、光ビームが光出射器(light emitter)によって出射される。光ビームは、当該光ビームに対するワークピースの回転に伴って、当該ワークピースに向けて導かれる。次に、受光器によって受光された光の変化(variation)が使用され、光がどのように完全にまたは部分的に受光されたかに応じて、ワークピース内に画定されるノッチの位置および/またはワークピースの位置の偏心が決定される。このようなシステムの1つが、Hiroaki Saekiの米国特許No.5,740,034に開示されている。当該システムでは、ワークピースのノッチおよび/または偏心位置を決定するために、受光信号に関連する波形が利用される。
【0005】
[概要]
本開示は、様々な透過率を有するワークピースの位置を正確に決定するためのシステム、装置、および方法を提供することによって、従来技術の制限(限界)を有利に克服する。その結果、精度を改善し、システムに関連する所有コスト(costs of ownership)を最小化できる。より詳細には、本開示は、様々な偏光フィルタを利用して複屈折ワークピースの位置を有利に決定するためのシステムおよび方法を提供する。従って、本開示は、基板の様々なコーティングまたは特性にかかわらず、ほぼ(実質的に)任意の基板材料および厚さに応じた位置決めの解決策(ソリューション)を提供する。
【0006】
従って、以下では、本発明の一部の態様についての基本的な理解を提供するために、本開示の簡略化された概要を提示する。本概要は、本発明の広範な概観ではない。本概要は、本発明の主要または重要な要素を特定することも意図していないし、かつ、本発明の範囲を規定(delineate)することも意図していない。本概要の目的は、後述するさらに詳細な説明の前置きとして、本開示の一部のコンセプトを簡略化された形式で提示することである。
【0007】
本開示の1つの例示的な態様によれば、ワークピースアライメントシステムが提供される。上記ワークピースアライメントシステムは、例えば、発光装置を備える。上記発光装置は、ワークピースに関連するワークピース平面の第1面に向かう経路に沿って、1つ以上の波長の光ビームを導くように構成されている。上記経路は、例えば、上記ワークピースの周辺領域に関連している。上記経路は、上記ワークピース平面に対して浅角(浅い角度)(shallow angle)を成している。
【0008】
受光装置は、例えば、上記第1経路に沿って配置されている。上記受光装置は、上記ワークピース平面の第2面において上記光ビームを受光するように構成されている。上記第2面は、上記第1面とは概ね反対側に位置している。ワークピースサポートが、さらに提供される。上記ワークピースサポートは、上記ワークピース平面に沿って上記ワークピースを選択的に支持するように構成されている。一例として、回転装置が、上記ワークピースサポートに動作可能に接続されている。上記回転装置は、上記ワークピースサポートを、当該上記ワークピースサポートに関連する支持軸の回りに選択的に回転させるように構成されている。
【0009】
一例によれば、コントローラがさらに提供される。上記コントローラは、上記ワークピースが上記経路と交差する場合における、上記ワークピースを通過して上記受光装置によって受光された上記光ビームの量に基づいて、上記ワークピースの位置を決定するように構成されている。上記コントローラは、上記ワークピースの透過率に基づいて、上記受光装置の感度を制御するようにさらに構成されている。上記コントローラは、上記ワークピースが上記ワークピースサポートによって支持されており、かつ、回転させられている場合における、上記ワークピースサポートに対する上記ワークピースの位置を決定するようにさらに構成されている。例えば、上記ワークピースの上記位置の決定は、(i)上記ワークピースサポートの回転位置、(ii)上記ワークピースサポートの上記回転位置に関連する、上記受光装置によって受光された上記光ビームの少なくとも一部、(iii)上記ワークピースの透過率、(iv)上記ワークピースのエッジの検出、および、(v)上記受光装置の制御された上記感度に、少なくとも部分的に基づいている。
【0010】
一例によれば、上記発光装置は、所定の幅に亘って、複数の波長の上記光ビームを送出(transmit)するように構成されている。別の例では、上記発光装置は、上記複数の波長の上記光ビームを送出するように構成されたレーザである。
【0011】
例えば、上記ワークピースの上記位置は、上記ワークピース平面に沿った、上記支持軸からの上記ワークピースの中心の2次元オフセットを含んでいてよい。別の例では、上記ワークピースの上記位置は、上記支持軸の回りの、上記ワークピースの回転位置を含んでいる。
【0012】
別の例では、上記支持軸の回りの、上記ワークピースの上記回転位置は、上記ワークピースのエッジ形状(エッジ特徴)(edge feature)に関連している。例えば、上記コントローラは、上記ワークピースの上記エッジ形状に基づいて、上記支持軸に対する上記ワークピースの上記位置を決定するように、さらに構成されていてもよい。
【0013】
例えば、上記コントローラは、波形を決定(determine)するように、さらに構成されていてもよい。上記波形は、上記ワークピースサポートの複数の回転位置において、上記受光器により受光される上記光ビームの少なくとも1つの部分によって規定される(defined)。上記コントローラは、上記波形に基づいて、上記支持軸に対する上記ワークピースの上記位置を決定するように、さらに構成されていてもよい。一例として、上記コントローラは、上記ワークピースの上記透過率に基づいて、上記波形を調整(整形)(proportion)するように、さらに構成されている。
【0014】
別の例では、上記コントローラは、上記受光装置の幅に沿って、1つ以上の信号を無視することによって、上記ワークピースの上記エッジを決定するように構成されてよい。例えば、上記コントローラは、上記受光装置の上記幅に沿って、感知された上記光のブロッケージ(遮断,阻止,妨害)(blockage)を越える1つ以上の信号を無視するように構成されている。
【0015】
別の例によれば、ワークピースを位置合わせするための方法が提供される。例えば、上記方法は、ワークピースサポート上にワークピースを配置する工程と、上記ワークピースの第1面に向けて、第1経路に沿って複数の波長の光ビームを導く工程と、を含んでいる。上記経路は、上記ワークピースの平面に対して浅角を成している。上記ワークピースは、支持軸の回りに回転させられる。そして、上記ワークピースの回転に伴い、上記ワークピースに向けて送出された上記光ビームは、上記ワークピースの第2面において受光される。さらに、上記支持軸に対する上記ワークピースの位置は、(i)上記支持軸の回りの上記ワークピースの回転位置と、(ii)受光された上記光ビームと、(iii)上記ワークピースのエッジの検出と、(iv)上記光ビームの制御された感度と、に少なくとも部分的に基づいて、決定される。
【0016】
上述の概要は単に、本開示の一部の実施形態についての一部の構成に関する簡潔な概覧を与えることを意図したものであり、他の実施形態は、上述の構成に対して付加的な構成および/または異なる構成を含んでもよい。特に、本概要は、本出願の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。したがって、上述の目的および関連する目的を達成するために、本開示は、以下に記載され、特に特許請求の範囲において摘示される特徴を含んでいる。以下の説明および添付の図面は、本開示の特定の例示的な実施形態を詳細に開示する。しかしながら、これらの実施形態は、本開示の原理が採用され得る様々な方法のうちの一部を示している。本開示の他の目的、利点、および新規な構成は、以下の本開示の詳細な説明を図面と併せて考慮することによって明らかになるであろう。
【0017】
[図面の簡単な説明]
図1は、本開示の一態様に係る例示的なワークピースアライメントシステムのブロック図を示す。
【0018】
図2は、例示的なアライメント機構のワークピースサポート上における例示的なワークピースの平面図である。
【0019】
図3は、本開示の別の例示的な態様に係る、ワークピースの検出された位置とワークピースサポートの回転位置との対応のプロットである。
【0020】
図4は、図1のワークピースアライメントシステムを含む例示的なワークピースハンドリングシステムを示す。
【0021】
図5は、本開示の一態様に係る例示的なワークピースアライメントシステムの斜視図を示す。
【0022】
図6は、本開示の一態様に係る、ワークピースのそばを通過する例示的な光ビームの側面図を示す。
【0023】
図7は、本開示の一態様に係る、ワークピースのエッジを部分的に通過する光ビームを示す、例示的なワークピースアライメントシステムの平面図を示す。
【0024】
図8は、本開示の一態様に係る例示的なセンサ配置のブロック図を示す。
【0025】
図9A図9Cは、本開示の様々な態様に係る様々なセンサ出力信号を示す図である。
【0026】
図10は、本開示の別の例示的な態様に係る、ワークピースを位置合わせするための例示的な方法を示すブロック図である。
【0027】
[詳細な説明]
半導体処理においては、多くの操作が単一のワークピースまたは半導体ウェハ上において実行されうる。一般的に、ワークピース上における各処理操作は、典型的には特定の順序によって実行される。この場合、各動作は、先行する動作の完了まで待機する。多くの処理操作では、ワークピースを適切に処理または取り扱うために、ワークピースの特定の向き、および/または、ワークピースホルダに対するワークピースの位置についての知識が必要とされる。例えば、(i)搬送キャリアまたは保管カセットと処理システムとの間におけるワークピースの交換、および、(ii)1つ以上のロードロックチャンバを介した、大気環境から処理システムのプロセスチャンバの排気環境へのワークピースの輸送、などの動作には、適切なワークピースの取扱いおよび処理のために、(1つ以上の)特定の向きまたはワークピースの空間位置についての知識が必要とされる場合がある。
【0028】
光存在センサを用いて、ワークピースの方向付け(例えば、ノッチアライメント)が、排気環境内または大気環境内において実行されてもよい。この場合、光ビームが光出射器によって出射される。光ビームは、当該光ビームに対するワークピースの回転に伴い、当該ワークピースに向けて導かれる。次に、受光器によって受光された光の変化が使用され、光がどのように完全にまたは部分的に受光されたかに応じて、ワークピース内に画定されているノッチの位置および/またはワークピースの位置の偏心が決定される。
【0029】
光存在センサを用いたこのような位置決めは、出射された光に対して不透明であるワークピースの位置を正確に決定するために適切であった(従来のシリコン基板の場合に、このことが認識されている)。しかしながら、処理を受ける基板またはワークピースが互いに材料的に異なる場合(例えば、シリコンとシリコンカーバイドとの場合)、従来の光存在センサおよびアライナを使用すると、位置決めにおいて様々なエラー(誤差)がもたらさせる可能性がある。特に、基板が出射された光に対して部分的に透明である場合、当該エラーがもたらされる可能性がある。例えば、ウェハにおける透過率(透過性)の差は、従来のアライメントシステムおよびアライメント方法を使用する位置決めにおいて、著しいエラーをもたらす可能性がある。透過率および放射率は、特定のワークピース上に配置されたコーティングまたはデバイスにより、ワークピース毎に変化し得る。
【0030】
従来の半導体ウェハを位置合わせするためのシステムは、シリコンウェハ向けに開発されている。このため、当該システムは、光源とセンサとの間における光の通過を遮断(ブロック)するシリコンウェハに依存している。シリコンウェハは、光波長光源に対して不透明である。しかしながら、不透明ではないウェハ、すなわち、シリコンカーバイド(炭化ケイ素,SiC)からなるウェハは、光波長における光を透過する。従って、当該ウェハは、従来の光源に対して透明または半透明である。このような透明性(透過性)は、シリコンウェハの検知および位置合わせのために以前に(過去に)設計されたシステムを使用して、シリコンカーバイドウェハを検知および位置合わせする場合に、困難をもたらし得る。さらに、本開示では、シリコンカーバイドウェハ上において様々な処理ステップが実行されると、当該シリコンカーバイドウェハは、膜、デバイス、または金属線によって密に覆われうると理解されている。そして、このことにより、様々な透明性のレベルが存在し、結果として実質的な信号変動が潜在的にもたらされると理解されている。
【0031】
このように、本開示は、一般的には、半導体プロセスのためのワークピースハンドリングシステムを対象としている。より詳細には、本開示は、様々な光透過特性を有するワークピースを特定する(特徴付ける)(characterize)および/または位置合わせするように構成されたアライメント装置を対象としている。
【0032】
以下、図面を参照して本発明を説明する。本明細書において、同様の参照番号は、全体を通して同様の要素(部材)を指すために使用されてもよい。これらの態様の説明は単に例示的なものであり、限定的な意味で解釈されるべきではないことを理解されたい。以下の説明では、説明のために、本発明の完全な理解を提供すべく、様々な特定の詳細が開示されている。当業者であれば、本発明は、これらの特定の詳細がなくとも実施できることが明らかであろう。さらに、本発明の範囲は、添付の図面を参照して以下に説明される実施形態または実施例によって限定されることを意図していない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることを意図している。
【0033】
また、図面は、本開示の実施形態の一部の態様の例示を与えるために提供されている。従って、図面は、概略的なものに過ぎないと見なされるべきであることも留意されたい。特に、図面に示されている各部材は、必ずしも互いにスケール(縮尺)通りではない。図面における様々な部材の配置は、それぞれの実施形態についての明確な理解を提供するように選択されている。当該配置は、本発明の実施形態に係る実施例(implementations)における様々な部材の実際の相対位置を表現したものであると必ずしも解釈されるべきではない。さらに、本明細書において説明される様々な実施形態および実施例の構成は、特に断りのない限り、互いに組み合わせることができる。
【0034】
また、以下の説明では、図面に示されている、または本明細書において説明されている、機能ブロック、装置、コンポーネント、回路素子、または他の物理的または機能的ユニット間の任意の直接的な接続または結合は、間接的な接続または結合によって実施され得ることを理解されたい。さらに、図面に示される機能ブロックまたはユニットは、一実施形態では個別の構成または回路として実装(実現)されてよい。あるいは、機能ブロックまたはユニットは、別の実施形態では、共通の構成または回路によって完全にまたは部分的に実装されてもよいことを理解されたい。例えば、複数の機能ブロックは、共通のプロセッサ(例:信号プロセッサ)上において実行されるソフトウェアとして実装されてもよい。さらに、以下の記載において有線ベースとして説明されている任意の接続は、特に断りのない限り、無線通信として実装されてもよいことが理解されるべきである。
【0035】
一般的に、アライナは、光出射器と光受信器とを備える。この場合、光出射器は、ワークピースのエッジ(端部)に向かうように、光ビームを導く。そして、アライナは、ワークピースが回転軸の回りに回転させられるときに、光受信器への到達が遮断された出射光の量をさらに決定する。例えば、ワークピースの中心がアライナの回転軸からオフセットされている場合、当該ワークピースが回転させられているときに、当該ワークピースが出射光の可変的な量をブロックすることにより、受光器によって受光される光の量に変動が生じるであろう。ブロックされた光の量は例えば、放出された全ての光のパーセンテージ(割合)として表される。続いて、受光された光の量および変動は、ワークピースに関連する寸法(例:オフセット)に変換される。この場合、一例として、ワークピースの中心において当該ワークピースを回収するために、寸法がエンドエフェクタによって利用される。
【0036】
続いて、図面を参照する、図1は、本開示の1つ以上の態様に係る、例示的なワークピースアライメントシステム100を示す。ワークピースアライメントシステム100は、例えば、ワークピースサポート(ワークピース支持体)102を備える。ワークピースサポート102は、ワークピース平面106に沿って、ワークピース104を選択的に支持するように構成されている。ワークピースサポート102は、例えば、ワークピース104を選択的に支持するように動作可能である任意の数の支持機構(例:ピン、プレート、または他の機構)を有していてよい。
【0037】
例示的な一態様において、発光装置108は、ワークピース平面106の第1面(first side)110および第2面(second side)112のうちの一方の上に配置される。発光装置は、経路116に沿って、ビーム光(光のビーム)114を導くように構成されている。経路116は、例えば、ワークピース104の周辺部(periphery)118(例えば、周辺領域またはエッジ)に関連している。
【0038】
さらに、回転装置120は、ワークピースサポート102に動作可能に接続(連結)されている。回転装置は、ワークピースサポートを支持軸124の回りに選択的に回転させる(例えば、矢印122によって図示されている)ように構成されている。支持軸124は、例えば、ワークピース平面106に対して垂直である。
【0039】
1つの特定の例では、発信装置(出射装置,エミッション装置)108(例えば、光発信装置(光出射装置,発光装置)とも称される)は、複数の波長の光を出射するように構成されている。例えば、発信装置108によって出射される光の複数の波長のうちの1つ以上は、ワークピース104の構成要素(constituency)に基づいて決定されてよい。さらに、受信装置(レシーバ装置)126(例えば、受光装置(光レシーバ装置)とも称される)が設けられている。受信装置126は、支持軸124の回りのワークピースサポート102の回転に伴い、光ビーム114を受光(受信)するように構成されている。
【0040】
本開示の複数の態様において、ワークピースアライメントシステム100は、コントローラ128をさらに備える。コントローラは、(i)光ビーム114の初期送信130(例えば、送信量)と、(ii)光ビームに関連する受信信号132と、に基づいて、ワークピースサポート102に対するワークピース104の位置および向きのうちの1つ以上を決定するように構成されている。当該受信信号は、受光装置126によって受光された(例えば、ワークピースのそばを通過した、および/または、ワークピース内を通過した)光ビームである。例えば、光ビーム114の受信信号132は、(i)ワークピース104の材料構成、(ii)当該ワークピース上に形成された1つ以上の層(不図示)、(iii)当該ワークピース上に形成された1つ以上のデバイス(不図示)、および、(iv)当該ワークピース上において以前に実行された1つ以上の操作(例:当該ワークピース上における以前のイオン注入、または、当該ワークピース上において以前に実行された他の半導体プロセス)、のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいている。
【0041】
別の例によれば、コントローラ128は、支持軸124に対するワークピース104の位置134を決定するように、さらに構成されている。コントローラ128は、例えば、処理システム(プロセスシステム)の様々なコンポーネントに関連する複数の個別のコントローラ(不図示)を備えていてもよい。あるいは、コントローラ128は、システム全体のための単一のコントローラであってもよい。こうしたコントローラは全て、本開示の範囲内に含まれていると考慮されていることに留意されたい。
【0042】
例えば、ワークピース104の位置134は、コントローラ128によって決定されてよい。この場合、図2に示されるように、コントローラは、ワークピースサポート102の支持軸124に対するワークピース104の中心136を決定するように構成される。例えば、図1に示されるように、支持軸124に対するワークピース104の位置134の決定は、(i)ワークピースサポート102の回転位置138と、(ii)受光装置126によって受光された光ビーム114の部分(一部)140を示す受光信号132とに、少なくとも部分的に基づいている。
【0043】
受光装置126によって受光される光ビーム114の部分140は、例えば、ワークピースサポート102の回転位置138に関連している。一例として、図2に示されるように、コントローラ128によって決定されるワークピース104の位置134は、ワークピース平面106に沿った、支持軸124からのワークピースの中心136の2次元オフセット(2次元的なずれ)を含む。ワークピース104の位置134は、支持軸124の回りにおける、ワークピース104またはワークピースサポート102の回転位置138をさらに含んでいてもよい。支持軸の回りにおけるワークピースの回転位置は、当該ワークピースのエッジ形状142に関連している。図1のコントローラ128は、ワークピースのエッジ形状に基づいて、支持軸に対する当該ワークピースの位置を決定するように、さらに構成されている。図2のエッジ形状142は、例えば、ワークピース104の周縁部118に関連するノッチ(窪み、切り目)、フラット(平坦部)、または他の形状を含んでいてもよい。
【0044】
図3は、例えば、(i)回転位置162と、(ii)図1の受光装置126からの出力164と、の対応を表すプロット160を示す。回転位置162は、例えば、図1の回転装置120に関連するサーボモータまたは他の装置によって提供される。ワークピース104の中心136は、(i)光ビーム114によるエッジ形状142の通過(例えば、図3では、位置168において示されている)を示す出力信号曲線166(受信信号132に由来する)と、(ii)エッジ形状の寸法についての知識(情報)から、外挿(推定)(extrapolated)されてよい。
【0045】
従って、図1のコントローラ128は、ワークピース104の中心136に関連するオフセットベクトル値を決定できる。当該オフセットベクトル値は、図4のワークピースハンドリングシステム172内に示されているロボット170に供給されてよい。ロボット170は、例えば、オフセットベクトル値に基づいて、ワークピースサポート102からワークピース104をピックアップする(回収する,拾い上げる)ように構成されてよい。この場合、ワークピースが図1のワークピースアライメントシステム100から回収(ピック)されるとき、当該ワークピースは、支持部材174に対してほぼ中心に位置決めされる。ワークピースがロボット170によってピックアップされ、1つ以上のステーション176(例:プロセスチャンバ、ロードロックチャンバ、搬送(移送)システム、またはワークピースの処理に利用される他の装置)に搬送されることに先立ち、当該ワークピースをワークピースアライメントシステム100に対して回転方向に位置合わせするために、ワークピース104の回転位置がさらに利用されてよい。
【0046】
半導体処理に使用されるシリコンカーバイド(SiC)ウェハは半透明であるので、従来のアライナセンサ(例:オムロンによって製造された10mmセンサ)は、非一貫的な(矛盾する)(inconsistent)結果をもたらす可能性がある。このため、従来のアライナセンサでは、ウェハの取り扱いエラーおよびアライナの不具合(故障,機能不全)が生じる。これらの問題は、ウェハがより透明である場合に、デバイスウェハではより顕著である。SiCは半透明であるため、従来のセンサから発せられた650nm光は、材料のバルクを通過することができる。その結果、従来の受信器には、非一貫的な結果が提供される。このような不具合は、デバイスがウェハ上に形成されている場合、あるいは当該デバイスがウェハ上に存在している場合に、より頻繁に発生する。デバイスは光の一部をブロックするが、当該デバイスが存在していないウェハの部分は光を通過させるからである。このことは、信号におけるリードバックに実質的な変動を生じさせる。このため、従来のアライナを用いて、フィットカーブおよびアルゴリズムによって、ウェハの中心および方向を発見(導出)することが困難となる。
【0047】
本開示は、エッジ検出スキームと関連とともに、位置合わせセンサ(アライニングセンサ)を利用する。位置合わせセンサは、幅広かつ多波長の光ビームを発生させるように構成されている。さらに、位置合わせセンサの感度は、調整可能である。さらに、位置合わせセンサは、ワークピースに対してほぼ浅角を成すように方向付けられている。その結果、本開示の位置合わせセンサにおいて、信号リードバックの安定性を増大させることができる。
【0048】
そこで、本開示は、透明または半透明な材料を含むワークピースに応じて、調整可能な感度を有する多波長エッジ検出センサを提供する。当該センサは、交差長(intersect length)を長くするために、ワークピースに対して浅角を成すように取り付けられる。例えば、図1の発光装置108は、複数の波長の光(例:複数の波長のレーザ光)を出射するように構成されている。この場合、複数の波長は、単一の波長の光に対して不透明または透明であるワークピース104の材料の一貫性に関連する問題を改善する。従って、受光装置126(例:1つ以上の受光器)は、(i)複数の波長の光を受光し、(ii)発光装置108のエッジからワークピース104のエッジ部または周辺部118までの距離を決定し、かつ、(iii)ワークピースを通過して受光装置によって受光される任意の光を無視するように、構成されている。
【0049】
従って、ワークピース104の様々な透過率に対しても、本開示によって安定したリードバックが提供される。例えば、透明な物体(例:ワークピース104)のエッジは、当該物体のバルクまたは残余部に比べて、低い透光特性を有している場合がある。従って、(i)ワークピース104のエッジまたは周辺部118を特定(識別)し、かつ、(ii)バルクまたは残りの内部部分を無視できるように、受光装置の感度が調整または制御されてよい。これにより、エッジ検出に関連する、さらに安定した信号が得られる。さらに、ワークピース104に対して浅角を成すように、受光装置126(例:センサ)を配置することによって、光114(例:レーザ光)は、ワークピースのより長い長さまたは断面を通過するように送出される。その結果、受光装置126へと到達する光をより少なくできる。従って、有利であることに、(i)光114がワークピースの準透明部分(quasi-transparent portion)を通過する場合と、(ii)光がワークピースと交差しない場合とで、信号強度差が増大する。このため、ワークピースの位置を特定するための、より高精度かつ反復可能な機構が提供される。
【0050】
そこで、図5に例示されている通り、本開示は、多波長であり、マルチ受信器(マルチレシーバ)であり、調節可能な感度の、アライメント装置200を提供する。この場合、発信装置108および受信装置126は、ワークピース104(ウェハとも称される)に対して浅角202を成すように取り付けられる。このため、図6に例示されている通り、浅角202に起因して、ワークピース104のより大きな厚さによって光114をブロックできる。その結果、信号のリードバックがスムーズかつ一貫性があるものとなる。光114の複数の波長のそれぞれは、例えば、アライメント装置200の発信装置108によって出射され、かつ、当該アライメント装置200の受信装置126によって受光される。例えば、様々な材料は、当該材料の特性に基づいて、光114の様々な波長に対して透明である。複数の波長を使用することによって、特定の材料が単一の波長に対して完全に透明である可能性は、アライメント装置200によって出射および受光される光114の残りの波長によって低減される。複数の波長は、例えば、光114が異なる波長に対してどのように受光されるかの変化を決定するために使用される。
【0051】
従って、複数の波長の光が発信装置108および受信装置126によって出射(送信)および受光(受信)され、複数の波長に亘る光強度の変化(例:受光された光のパーセンテージ)が特定される。複数の波長を検査(試験)し、強度値が変化する波長を特定することによって、たとえ他の強度が一定のままであっても、材料が特定の波長に対して不透明であるか否かについて判定を行うことができる。
【0052】
本開示は、有益であることに、ワークピース104のワークピース平面106に対して浅角202を成すように、発信装置108および受信装置126を提供する。本開示は、光がワークピース平面に対してほぼ60~90°を成すようにウェハを通過する従来のセンサとは対照的である。浅角202は、例えば、ワークピース平面106に対して約30°未満であってよい。図6に示される浅角202を設けることによって、(例えば、ワークピース平面106に対してほぼ5°の角度を成して、ワークピース104と交差する)光114は、当該光がワークピース平面106に対して垂直に方向付けられた場合よりも、有意に大きいワークピースの長さ204を通過する。例えば、ワークピース104が、発信装置108によって出射される光114に対して10~30%の透過率を有していた場合であっても、当該光が通過するワークピースの長さ204を長くすることにより、装置200の感度を有利に向上させることができる。
【0053】
また、(i)光114の複数の波長と、(ii)発信装置108および受信装置126(総称的にセンサと称する)の位置に応じた浅角202と、に併せて、エッジ検出機構(エッジ検出機能,エッジ検出特徴)(edge detection feature)をさらに利用することができる。エッジ検出機構は、例えば、図7に示される光ビーム114の所定の幅206に亘る信号の最初の低下(第1の低下)を識別(特定)する。続いて、当該エッジ検出機構は、過ぎ越したまたは下流の任意の光(例えば、ワークピース104の中心136により近い光)が、ワークピース104によってブロックされたとみなす(仮定する)(assume)。さらに、光114の一部(部分)208がワークピース104の材料のバルク210を通過した場合であっても、本開示のエッジ検出機構は、光の当該部分を無視するように構成されてよい。図5図7に示されるように、本例では、発信装置108によって形成され、かつ、受信装置によって受光される光ビーム114は、概ねリボン状である。
【0054】
一例として、図7に示される発信装置108および受信装置126は、外側範囲(外側の広がり,外側エクステント)(outboard extent)210から内側範囲(内側の広がり,内側エクステント)(inboard extent)212まで(例えば、28mmの間隔)の、光ビーム114の幅206をもたらすように構成されている。例えば、発信装置108は、光ビームの幅206に亘り、外側範囲210から内側範囲212まで、送信信号(送出信号)214(例えば、全信号強度または100%信号)として、光ビーム114を受信装置126に向けて送出するように構成されている。受信装置126は、所定の増分(例:1mmの増分)によって、外側範囲210から内側範囲212までの光ビーム114を受光するように構成されている。その結果、受信信号(受光信号)216は、上記所定の増分のそれぞれに関連付けられる。
【0055】
本例では、受信装置126によって受光される光114のビームの受信信号216は、外側範囲210からワークピース104の周辺部118に関連するエッジ位置218まで(例えば、0~18mm)の第1信号214(例:全信号強度)にほぼ等しい。光ビーム114が、エッジ位置218から内側範囲212まで(例:18mm~28mm)ワークピース104と交差する場合、そのことに応じて、当該ワークピース104のバルク210を通過する光114の部分208は、受信信号216を減少させる(例えば、ワークピース104の透過率に関連して、信号強度が、80%、60%等にステップダウン(逓減)する)。
【0056】
一例として、発信装置108および受信装置126は、調整可能な感度を有している。当該調整可能な感度は、所望のトリガポイント(トリガ点)に対する調整が可能となるように設定される。例えば、光ビーム114に関連する受信信号216が、外側範囲210から18mmの位置において、送信信号214の100%から当該送信信号の50%に減少した場合(例えば、受信信号における「ステップ」)、ワークピース104のエッジまたは周縁部118に関連するエッジ位置218は、外側範囲210から18mmの位置であると決定されてよい。さらに、装置200を較正するために、エッジ位置218に関連する、このような受信信号216が利用されてよい。これにより、エッジ位置から内側範囲212まで(例えば、外側範囲210から18mm~28mm)の任意の受信信号が、ワークピース104によってブロックまたは遮断(妨害)されていると見なすことができる。従って、光ビーム114がワークピース104の材料のバルク210を通過し、送信信号214の50%で受信されたとしても、当該送信信号に関連する受信信号216は、当該ワークピースによってブロックされており、無視できると見なすことができる。
【0057】
別の例によれば、ワークピース104が回転させられた場合、エッジ位置218が変化しうる。この場合、受信信号216は、ワークピースサポート102上のワークピースの位置(例:図2におけるワークピースサポートの支持軸124に対するワークピースの中心136)に基づいて変化しうる。そこで、図1のコントローラ128は、図7のエッジ位置218および/またはワークピース104の中心136を決定するように構成されてよい。さらに、ワークピース104のエッジ118を検出するために、受信装置126は、複数の受信器(レシーバ)を含んでいてよい。当該複数の受信器はそれぞれ、当該複数の受信器に受光された光ビーム114のパーセンテージを決定するように構成されている。この場合、光ビーム114の幅206に沿って受光信号216を変化させる(差異を付ける,差別化する)こと(differentiating)によって、エッジ位置218が決定される。例えば、(i)受信装置126の複数の受信器のうちの第1の5つの受信器が、送信信号214の100%での受信信号216を生じさせ、かつ、(ii)当該複数の受信機のうちの第6の受信器が、送信信号のパーセンテージを減少させている場合、ワークピース104のエッジ118は、複数の受信器のうちの第6の受信器と関連する位置において検出されていると決定されてよい。さらに、内側範囲212に向かう任意の受信信号が、ワークピースによってブロックされていると見なすことができる。
【0058】
図8は、さらに別の例を示している。図8の例では、センサ装置230は、発信装置108および受信装置126を備える。例では、受信装置126は、アレイ234内に配置された複数のセンサセル232を含んでいる。当該センサセルは、複数の信号236のそれぞれを供給するように構成されている。図9A図9Cは、図8の様々なワークピース104(様々な透過率を有している)に関連する複数の信号236の例を示す。当該複数の信号は、矢印238の方向に進行する場合に観察される(viewed)(例えば、センサ装置230は静止している。当該センサ装置は、28mmのスパンにて配置された複数のセンサセル232A~232nを有している。nは、任意の正の整数である。)。
【0059】
図9Aは、図8のワークピース104に応じた複数の信号236の一例を示す。本例では、当該ワークピースは不透明である(例:光は当該ワークピースを透過しない)。本例では、ワークピース104のエッジ118は、センサセル232A…232nのアレイ234の間の半分(中間)(half)の位置240に存在しているものと示されている。この場合、センサセルの半分は「オン」(例示のために斜線無で示されているセンサセル)であり、残り半分は「オフ」(例示のために斜線有で示されているセンサセル)である。
【0060】
図9Bは、図8の別のワークピース104に応じた複数の信号236の一例を示す。本例では、当該ワークピースは、様々な透過性を有する1つ以上の透明材料によって構成されている。当該ワークピースは、例えば、当該ワークピース上に形成された様々なデバイスを含む、シリコンカーバイド(SiC)ワークピースである。例えば、センサセル232B(例:斜線無)は、開状態にある(open)(例:センサセル232Bは、「ブロックされていない」(unblocked)。この場合、光114はワークピースを透過し、センサセル232Bによって受光される)。一方、センサセル232A(例:斜線有)は、閉状態にある(closed)(例:センサセル232Aは、「ブロックされている」(blocked)。この場合、光は、センサセル232Aによって受光されないように、ワークピースによって実質的に妨げられる)。従って、例えば、図8のワークピース104は、光ビーム114の一部を遮断する一方で、様々なラジアル位置(半径方向の位置)において光ビームの一部を通過させる。このため、ワークピース104が一定の位置(固定された位置)に存在しうる場合においても、異なる(様々な)パーセンテージの光ビーム114が、センサセル232A…232nのアレイ234に沿って受光される(このことは、例えば、ワークピース上のデバイスが、当該ワークピースを通ろうとする光の透過を遮断することに起因している)。
【0061】
別の例によれば、センサ出力値は、(i)センサセル232の総数と、(ii)光ビーム114から信号を受信するセルの数と、の比率である。例えば、図9Aでは、20個のセンサセル232A~232nが存在している。そして、これらのセンサセルのうち、10個がブロックされており、残り10個が信号を受信する。従って、10を20(センサーセル232の総数)によって除算すると、図8の全送信信号240のうち50%が受信されていることとなる。
【0062】
図9Bでは、光の一部がワークピースを透過する。このため、矢印238の方向に進むと、10個のセンサセル232K~232Tについて信号が受信されており、次いで、センサセル232Kが遮断されており、次いで、センサセル232I等において信号が受信されている。ワークピースが同じ位置に存在していたとしても、デバイス、フィルム(膜)、またはわずかに透明度が低いワークピースの一部などによって、20個の受信器のうちの6個がブロックされている。図9Cは、ワークピースを通る部分的な送信を表す、センサセル232A~232nの別の例を示す。本例では、20個のセンサセルのうちの5個がブロックされている。
【0063】
矢印238と同じ方向に観察する場合、上述のエッジ検出スキームは、ブロックされた第1センサセル232を決定する。この場合、ブロックされたセルを越えて進行するさらなる複数のセンサセルも、ブロックされていると見なされる。光の一部が、第1のブロックされたセンサセル232を越えてワークピースを透過したとしても、上述のような複数のセンサセルも同様にブロックされていると、自動的に見なされる。但し、例えば、図1のワークピース104が回転されられた場合、エッジ118の位置が変化しうる。しかしながら、エッジ118は、少なくとも光114の一部を遮断する。
【0064】
そこで、本開示はさらに、センサ(例:発信装置108および受信装置126)に関して、(i)図6に示される浅角202を提供するとともに、(ii)光114の複数の波長と、(iii)ワークピース104のエッジ118をより正確に決定するためのセンサの調整可能な感度と、を提供する。図8におけるブロックされるべき第1センサセル232は、(i)ワークピース104上に形成されたデバイス、(ii)当該ワークピースの透明材料もしくは基板、または、(iii)エッジ118に、起因しうる。例えば、透明な材料でさえも、100%透明でない場合がある。この場合、透過性の下限(low end of transmission)においてさえ、材料は、依然として少量の光をブロックしうる。しかしながら、センサセル232の感度を調整することにより、所定量の光(例:出射された光の80%)が受光されない限り、センサセルを「メーク」させない(機能させない)または活性化(有効可)させないように、コマンド(命令)を与えることができる。そこで、ワークピース104の材料が半透明であり、光の50%が透過する場合であっても、感度は、光の80%(センサセルを活性化するために必要とされる光の量)に調整されてよい。これにより、50%がブロックされた場合、そのセンサセルはブロックされたと見なす(考慮する)ことができる。
【0065】
このように、本開示は、ワークピースのエッジを決定するために、浅角センサと可変感度と複数の波長の光との組み合わせを提供する。
【0066】
別の例示的な態様に従って、図10では、ワークピースを位置合わせするために、方法300が提供されている。例示的な方法は、一連のアクト(行為)またはイベント(事象)として本明細書において図示および説明されているが、本開示は当該アクトまたは当該イベントの例示された順序に限定されないことに留意されたい。一部のステップは、本開示に従って、本明細書において図示および説明されたステップとは別の他のステップと、異なる順序で、および/または同時に、起こり得るためである。さらに、本開示に係る方法を実施するために、図示されたすべてのステップが必要とされるわけではない。さらに、当該方法は、本明細書において図示および説明されたシステムに関連して実施されてもよいし、あるいは、説明されていない他のシステムとも関連して実施されてもよいと理解されるであろう。
【0067】
図10に図示されるように、方法300は、アクト302から始まる。アクト302では、ワークピースは、ワークピースサポート上に配置される。アクト304では、1つ以上の波長の光ビームが、第1経路に沿って、ワークピースの第1面に向けて導かれる。例えば、光ビームは、ワークピースに対して浅角を成すように送出される。これにより、光は、ワークピースの厚さよりも著しく大きい、当該ワークピースの量(amount)を通過する。さらに、光ビームは、ワークピースの周辺部に向かうように導かれる。アクト306において、ワークピースは、支持軸の回りに回転させられる。さらに、アクト308において、ワークピースの回転に伴い、光ビームが受光される。アクト310において、光ビームの感度は、所望の信号を供給するように、制御または調整される。さらに、アクト312において、支持軸に対するワークピースの位置が決定される。アクト312におけるワークピースの位置の決定は、支持軸の回りにおけるワークピースの回転位置と受光された光ビームとに少なくとも部分的に基づいている。この場合、光ビームは、センサの制御された感度およびワークピースの透過率に応じて調整(整形)される。
【0068】
本開示は、1つ以上の特定の好適な実施形態に関して図示および説明されているが、本明細書および添付の図面を読んで理解した当業者であれば、同等の変更および修正が想起されることは明らかである。特に、上述のコンポーネント(アセンブリ、装置、回路など)によって実行される様々な機能に関して、当該コンポーネントを説明するために使用されるターム(「手段」(means)への言及を含む)は、特段の指定がない限り、本開示に示されている例示的な実施形態において、特定の機能を実行する開示される構造と構造的に同等ではないにもかかわらず、説明されるコンポーネントの上記機能を実行する(すなわち、機能的に同等である)任意のコンポーネントに対応することが意図されている。加えて、本開示の特定の構成は、複数の実施形態のうちの1つのみに関して開示されているが、そのような構成は任意の所与または特定のアプリケーションに関して、望ましくかつ有益であるように、他の実施形態の1つ以上の他の構成と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】本開示の一態様に係る例示的なワークピースアライメントシステムのブロック図を示す。
図2】例示的なアライメント機構のワークピースサポート上における例示的なワークピースの平面図である。
図3】本開示の別の例示的な態様に係る、ワークピースの検出された位置とワークピースサポートの回転位置との対応のプロットである。
図4図1のワークピースアライメントシステムを含む例示的なワークピースハンドリングシステムを示す。
図5】本開示の一態様に係る例示的なワークピースアライメントシステムの斜視図を示す。
図6】本開示の一態様に係る、ワークピースのそばを通過する例示的な光ビームの側面図を示す。
図7】本開示の一態様に係る、ワークピースのエッジを部分的に通過する光ビームを示す、例示的なワークピースアライメントシステムの平面図を示す。
図8】本開示の一態様に係る例示的なセンサ配置のブロック図を示す。
図9A】本開示の様々な態様に係る様々なセンサ出力信号を示す図である。
図9B】本開示の様々な態様に係る様々なセンサ出力信号を示す図である。
図9C】本開示の様々な態様に係る様々なセンサ出力信号を示す図である。
図10】本開示の別の例示的な態様に係る、ワークピースを位置合わせするための例示的な方法を示すブロック図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10