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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】推力昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 7/06 20060101AFI20221223BHJP
   B25J 9/02 20060101ALI20221223BHJP
   B66F 7/12 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
B66F7/06 F
B25J9/02 Z
B66F7/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020521519
(86)(22)【出願日】2018-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 FR2018052562
(87)【国際公開番号】W WO2019077254
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-10-06
(31)【優先権主張番号】1759740
(32)【優先日】2017-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518171133
【氏名又は名称】セラピド フランス
【氏名又は名称原語表記】SERAPID - FRANCE
【住所又は居所原語表記】ZI bleu Louis Delaporte,76370 Rousmesnil-Bouteilles,France
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セニュール,イヴァン
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-269751(JP,A)
【文献】特開2004-018163(JP,A)
【文献】特開2014-234904(JP,A)
【文献】特開2013-216475(JP,A)
【文献】特開2015-218005(JP,A)
【文献】特開2000-191289(JP,A)
【文献】米国特許第01916517(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0261629(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 7/00 - 7/28
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷を持ち上げるための推力を伝達することができる推力昇降装置(1)であって、
・少なくとも1つの噛合部(20)、および前記噛合部(20)から上方に向けられた少なくとも1つのアーム(21)が設けられた少なくとも1つの連結式昇降カラム(2)であって、前記昇降カラム(2)は、複数のリンク(22)から構成され、前記上方に向けられたアーム(21)の上端部における前記リンクはランク1であり、現在の前記リンクはランクnであり、前記nは、2~Nの範囲の前記昇降カラム(2)のリンク(22)の数である、少なくとも1つの連結式昇降カラム(2)と、
・少なくとも1つの回転式ピニオン(3)であって、前記ピニオン(3)と前記噛合部(20)との噛合によって前記昇降カラム(2)を駆動させる、少なくとも1つの回転式ピニオン(3)と、
・前記上方に向けられたアーム(21)の反対側の少なくとも1つのアーム(4)であって、載置された複数の前記リンク(22)から形成され、前記載置されたリンク(22)は、前記ピニオン(3)の回転によって、前記噛合部(20)に移動した後に、前記上方に向けられたアーム(21)に移動する、少なくとも1つのアーム(4)と、
・前記上方に向けられたアーム(21)に沿って移動可能な少なくとも1つの可動式スタビライザ(5)と、
を備え
前記可動式スタビライザ(5)の各々は、前記昇降カラム(2)ごとに1つのリング(55)と、前記リング(55)を堅固に接続するフレーム(50)と、を備え、
前記リング(55)は、対応する前記昇降カラム(2)に対して摺動する摺動部材(56)と、前記可動式スタビライザ(5)を駆動させるスタビライザフィンガ(57)と、を備え、
前記スタビライザフィンガ(57)は、対応する前記昇降カラム(2)に当接可能である、
推力昇降装置。
【請求項2】
前記摺動部材(56)は、2つの前記リンク(22)と接触するリンクガイドを形成する、
請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記摺動部材(56)は、前記リンク(22)のローラ(25)のガイドを形成する、
請求項記載の装置。
【請求項4】
前記摺動部材(56)は、少なくとも3つのローラ(25)と接触する前記リンク(22)のローラ(25)のガイドを形成する、
請求項記載の装置。
【請求項5】
前記摺動部材(56)は、2列の前記ローラ(25)の間に配置されるか、前記ローラ(25)の列のいずれか一方の側に配置される、
請求項記載の装置。
【請求項6】
前記摺動部材(56)は、前記リンク(22)のチークガイドを形成し、前記摺動部材(56)は、2つの前記リンク(22)のそれぞれの高さの一部にわたって、2つの前記リンク(22)またはカラムパッドガイドと接触し、パッドは、前記リンク(22)またはリンクバー(24)に固定される、
請求項または記載の装置。
【請求項7】
前記可動式スタビライザ(5)の各々は、前記昇降カラム(2)ごとに1つの緩衝器(63)を備え、前記緩衝器(63)は、前記スタビライザフィンガ(57)が前記昇降カラム(2)と接触したときの前記可動式スタビライザの加速度を低減させ、前記可動式スタビライザが低い位置になったときの前記可動式スタビライザの加速度を低減させる、
請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
荷を持ち上げるための推力を伝達することができる推力昇降装置(1)であって、
・少なくとも1つの噛合部(20)、および前記噛合部(20)から上方に向けられた少なくとも1つのアーム(21)が設けられた少なくとも1つの連結式の昇降カラム(2)であって、前記昇降カラム(2)は、複数のリンク(22)から構成され、前記上方に向けられたアーム(21)の上端部における前記リンクはランク1であり、現在の前記リンクはランクnであり、前記nは、2~Nの範囲の前記昇降カラム(2)のリンク(22)の数である、少なくとも1つの連結式昇降カラム(2)と、
・少なくとも1つの回転式ピニオン(3)であって、前記ピニオン(3)と前記噛合部(20)との噛合によって前記昇降カラム(2)を駆動させる、少なくとも1つの回転式ピニオン(3)と、
・前記上方に向けられたアーム(21)の反対側の少なくとも1つのアーム(4)であって、載置された複数の前記リンク(22)から形成され、前記載置されたリンク(22)は、前記ピニオン(3)の回転によって、前記噛合部(20)に移動した後に、前記上方に向けられたアーム(21)に移動する、少なくとも1つのアーム(4)と、
・前記上方に向けられたアーム(21)に沿って移動可能な少なくとも1つの可動式スタビライザ(5)と、
を備え、
前記昇降カラム(2)の各々は、前記可動式スタビライザ(5)ごとに1つのタペット(23)を備え、前記タペット(23)は、スタビライザフィンガ(57)に当接することで前記可動式スタビライザ(5)を支持することができ、前記タペット(23)は、少なくとも2つの前記リンク(22)の軸によって支持され、特に前記タペット(23)の各々は、少なくとも2つの前記昇降カラム(2)の場合、同一の前記可動式スタビライザ(5)に対して同一のランクの前記リンク(22)に固定される、
推力昇降装置。
【請求項9】
前記昇降カラム(2)の各々は、少なくとも2つのタペット(23)を備え、各昇降カラム(2)の前記タペット(23)は、第1のタペット(23)が第2のフィンガ(57)を通過した後の第1のフィンガ(57)を支持し、第2のタペット(23)が第2のフィンガ(57)を支持するように、水平面内でずらされて配置される、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記可動式スタビライザ(5)の各々は、前記昇降装置(1)のプラットフォームの少なくとも1つのガイドレールによってガイドされる、
請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
下側の1対のシザー支持体と、上側の1対のシザー支持体と、を備え、前記可動式スタビライザ(5)は、前記対のシザー支持体の間に取り付けられる、
請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記上方に向けられたアーム(21)の反対側の少なくとも1つのアーム(4)を備え、前記少なくとも1つのアーム(4)は、載置された複数のリンク(22)から形成され、前記リンク(22)は、前記ピニオン(3)の回転によって、前記噛合部(20)に移動した後に、前記上方に向けられたアーム(21)に移動し、前記アーム(4)は、直線的または巻かれた状態で、前記載置されたリンク(22)を収容する、
請求項1~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記リンク(22)の各々は、全体的に長方形の形状を有する少なくとも1つのチーク部(26)を備え、前記チーク部(26)は、その主面に対して垂直に、実質的に一定の厚さを有し、前記チーク部(26)は、
・重ね合わされた単純な平板から形成され、または
・プレス加工された厚さ方向でずらされた平板から形成され、または
・機械加工された部材から形成される、
請求項1~12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
・少なくとも2つの連結式昇降カラム(2)であって、前記昇降カラムの各々には、少なくとも1つの噛合部(20)、および前記噛合部(20)から上方に向けられた少なくとも1つのアーム(21)が設けられ、前記昇降カラム(2)の各々は、複数のリンク(22)から構成され、前記上方に向けられたアーム(21)の上端部における前記リンクはランク1であり、現在の前記リンクはランクnであり、前記nは、2~Nの範囲の前記昇降カラム(2)の前記リンク(22)の数である、少なくとも2つの連結式昇降カラム(2)と、
・少なくとも2つの回転式ピニオン(3)であって、前記噛合部(20)と前記ピニオン(3)との噛合によって対応する前記昇降カラム(2)を駆動させる、少なくとも2つの回転式ピニオン(3)と、
・前記上方に向けられたアームの反対側の少なくとも2つのアーム(4)であって、前記少なくとも2つのアームは、載置された複数の前記リンク(22)から形成され、前記載置されたリンク(22)は、前記ピニオン(3)の回転によって、前記噛合部に移動した後に、前記上方に向けられたアームに移動することができる、少なくとも2つのアーム(4)と、
・前記上方に向けられたアームに沿って移動可能な少なくとも1つの可動式スタビライザ(5)と、
を備える、
請求項1~13のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推力により荷を持ち上げる機械に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの用途において、特にケーブルや昇降式のベルトコンベアなどの牽引による持ち上げを行うことができなくても、荷の持ち上げが要求される。持ち上げは、推力によって実施される。また、シリンダのストロークの2倍以上あるシリンダの大きさによって、様々な状況においてその適用が望ましくない場合または不可能な場合がある。
【0003】
この場合、圧縮状態で動作するように設計された1つまたは複数の推力チェーンが提供される。これにより、弓状変形(bowing)に抵抗することができる。このような推力チェーンは、ホールの装飾や配置を再構成するために劇場に適用され、または数万人を収容することができ、且つスポーツ、音楽や社会活動などの用途の間で迅速に切り替えを行う必要があるスタジアムに適用される。
【0004】
さらに、本出願人は、推力チェーンの技術的限界、特に推力チェーンによって支持された一般的にはプラットフォームのような要素の低い位置と高い位置との間の高さに対応するストロークについて考慮している。
【0005】
弓状変形は、圧縮力を受けると圧縮軸に垂直な方向に曲がる傾向がある構造物の不安定性に関する現象である。オイラーの公式は、推力チェーンの最大荷重が、推力チェーンの二次モーメントにおける推力チェーンの材料のヤング率に比例し、圧縮下のチェーンの長さの2乗に反比例するとしている。材料のヤング率は、定義された環境条件の下では比較的安定したパラメータである。一般的に、推力チェーンにおいて高い応力を受ける部分は、鋼から形成される。
【0006】
二次モーメントが増加すると、チェーンの大きさが増加する。その結果、低い位置における装置全体の大きさが増加する。また、二次モーメントが増加すると、チェーンの質量の増加、組み立てに要する時間の増加、駆動機構の必要性、および高額なチェーンをもたらす。
【0007】
実際、所与の推力チェーンの場合、これらの制約により、ストロークが増加すると負荷が急速に減少する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事項を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、荷を持ち上げるための推力を伝達することができる推力昇降装置を提供する。該装置は、少なくとも1つの噛合部、および噛合部から上方に向けられた少なくとも1つのアームが設けられた少なくとも1つの連結式昇降カラムを備える。昇降カラムは、複数のリンクから構成される。上方に向けられたアームの上端部におけるリンクはランク1であり、現在のリンクのランクはnである。ここで、nは、2~Nの範囲の昇降カラムのリンクの数である。また、該装置は、少なくとも1つの回転式ピニオンを備える。ピニオンは、噛合部とピニオンとの噛合によって昇降カラムを駆動させる。また、該装置は、上方に向けられたアームの反対側の少なくとも1つのアームを備える。該アームは、載置された複数のリンクから形成される。載置されたリンクは、ピニオンの回転によって、噛合部に移動した後に、上方に向けられたアームに移動する。また、該装置は、上方に向けられたアームに沿って移動可能な少なくとも1つの可動式スタビライザを備える。可動式スタビライザは、可動式スタビライザが位置する高さにおいて、水平面内での昇降カラムの位置を決定する。これにより、昇降カラムの自由長および結果的に弓状変形が減少する。
【0010】
一実施形態において、可動式スタビライザは、水平面内における位置および向きにおいて昇降カラムを安定にする。つまり、スタビライザが昇降カラムに作用する領域において、昇降カラムが公称位置およびゼロに等しい位置の公称微分を有する。したがって、この領域において昇降カラムは、所望の位置に配置され、昇降カラムの軸方向に向けられる。
【0011】
一実施形態において、可動式スタビライザの各々は、昇降カラムごとに1つのリングと、リングを堅固に接続するフレームと、備える。このように、単一のスタビライザまたは複数のスタビライザは、装置の昇降カラムを安定にする。これらの相対位置は、水平面内で局所的に固定される。
【0012】
一実施形態において、リングは、対応する昇降カラムに対して摺動する摺動部材と、可動式スタビライザを駆動させるスタビライザフィンガと、を備える。スタビライザフィンガは、対応する昇降カラムに当接可能である。このように、摺動の自由度および駆動力が提供される。摺動の自由度は、単一のスタビライザの場合には総ストロークの少なくとも半分、総ストロークの3分の1の間隔をあけた2つのスタビライザの場合には総ストロークの3分の1に相当するストロークの一部にわたって、自由に摺動することができる。
【0013】
スタビライザが昇降カラムによって駆動されるため、追加のモータを省略することができる。
【0014】
一実施形態において、摺動部材は、2つのリンクと接触するリンクガイドを形成する。このように、連続した2つのリンクが水平面の2つの軸で安定化され、その結果、位置および向きが安定する。つまり、スタビライザは、相互作用する2つのリンクの公称位置と、ランクnのリンクおよびランクn+1に対して、リンクの軸とZ軸との平行度を提供する。
【0015】
一実施形態において、摺動部材は、リンクのローラのガイドを形成する。したがって、摺動部材は、例えばリンクを接続するバーの端部に配置されたリンクローラと協働することができる。自由に回転するローラの場合、摩擦が低減される。好ましくは、摺動部材は、少なくとも3つのローラと接触する。
【0016】
一実施形態において、摺動部材は、摺動部材の反対側の面に接触する2列のローラの間に配置される。
【0017】
別の実施形態において、摺動部材は、特に1列のローラの場合、ローラの列のいずれかの側に、例えば2つの対向する面を介して配置される。
【0018】
一実施形態において、摺動部材は、リンクのチークガイドを形成する。摺動部材は、2つのリンクのそれぞれの高さの一部にわたって、2つのリンクと接触することができる。
【0019】
別の実施形態において、摺動部材は、カラムパッドガイドを形成する。パッドは、リンクまたはリンクのバーに固定される。パッドは、リンクバーを越えて突出することができる。
【0020】
一実施形態において、可動式スタビライザの各々は、昇降カラムごとに少なくとも1つの緩衝器を備える。緩衝器は、スタビライザフィンガが昇降カラムと接触したときのスタビライザの加速度を低減させる。
【0021】
一実施形態において、可動式スタビライザの各々は、スタビライザが低い位置になったときのスタビライザの加速度を低減させる緩衝器を少なくとも1つ備える。したがって、装置のストロークの大部分にわたって実質的に一定の速度で動作することができる。スタビライザが昇降カラムによって上方に移動されたり低い位置に置かれたりしたときに、上向きであっても下向きであっても速度を低下させる必要がない。また、スタビライザフィンガが昇降カラムと接触したときおよびスタビライザが低い位置になったときに、同様の緩衝器を使用することができる。
【0022】
一実施形態において、昇降カラムの各々は、可動式スタビライザごとに1つのタペットを備える。タペットは、スタビライザフィンガを介して可動式スタビライザを支持することができる。
【0023】
一実施形態において、タペットは、少なくとも2つのリンクバーによって支持される。複数の昇降カラムの場合、タペットの各々は、同一の可動式スタビライザに対して同一のランクのリンクに固定され得る。タペットは、チーク部の間から、水平面内で第1の方向に垂直な第2の方向に突出しながら、リンクチーク部の間に第1の方向に配置された2つのリンクバーによって支持され得る。このように、タペットのないリンクは、スタビライザフィンガから一定の距離を保つことができる。スタビライザリングに近づくタペットは、スタビライザを持ち上げ、スタビライザフィンガを支持する。
【0024】
一実施形態において、昇降カラムの各々は、少なくとも2つのタペットを備える。各昇降カラムのタペットは、第1のタペットが第2のフィンガを通過した後の第1のフィンガを支持し、第2のタペットが第2のフィンガを支持するように、水平面内でずらされて配置される。第1のタペットおよび第2のタペットは、例えばランクN/3のリンクとランク2N/3のリンクに関連して、昇降カラムの異なる位置に配置される。
【0025】
一実施形態において、可動式スタビライザの各々は、昇降装置のプラットフォームの少なくとも1つのガイドレールによってガイドされる。ガイドレールは、装置のプラットフォームをガイドするためおよび可動式スタビライザをガイドするために提供される。可動式スタビライザには、ガイドレールと協働するパッドまたはローラが設けられ得る。スタビライザは、その持ち上げられている位置に関わらず、所定のXおよびY位置にある。
【0026】
別の実施形態において、装置は、下側の1対のシザー支持体と、上側の1対のシザー支持体と、を備え、可動式スタビライザは、対のシザー支持体の間に取り付けられる。このように、可動式スタビライザは、昇降カラムの速度によって決定される速度で移動し、安定にしながら、昇降カラムの速度の半分に実質的に等しい速度で移動する。
【0027】
一実施形態において、装置は、上方に向けられたアームの反対側の少なくとも1つのアームを備える。少なくとも1つのアームは、載置された複数のリンクから形成される。載置されたリンクは、ピニオンの回転によって、噛合部に移動した後に、上方に向けられたアームに移動することができる。対向アームは、直線的または巻かれた状態で、載置されたリンクを収容する。
【0028】
一実施形態において、リンクは、全体的に長方形の形状を有する2つの対称チーク部を備える。チーク部は、軸を形成するリンクバーによって接続される。
【0029】
一実施形態において、チーク部は、
・ 厚さ方向で重ね合わされた単純な平板、または
・ プレス加工された厚さ方向でずらされた平板、または
・ 機械加工された部材
である。
【0030】
一実施形態において、昇降装置は、少なくとも2つの連結式昇降カラムを備える。カラムの各々には、少なくとも1つの噛合部、および噛合部から上方に向けられた少なくとも1つのアームが設けられる。昇降カラムの各々は、複数のリンクから構成される。上方に向けられたアームの上端部におけるリンクはランク1であり、現在のリンクはランクnである。ここで、nは、2~Nの範囲の昇降カラムのリンクの数である。昇降装置は、少なくとも2つの回転式ピニオンを備える。ピニオンの各々は、噛合部とピニオンのうちの1つとの噛合によって、昇降カラムのうちの1つを駆動させる。また、昇降装置は、上方に向けられたアームの反対側の少なくとも2つのアームを備える。アームは、載置された複数のリンクから形成される。載置されたリンクは、ピニオンの回転によって、噛合部に移動した後に、上方に向けられたアームに移動することができる。また、昇降装置は、上方に向けられたアームに沿って移動可能な少なくとも1つの可動式スタビライザを備える。
【0031】
一実施形態において、可動式スタビライザの各々は、昇降装置の高い位置において、ランクB/(p+1)またはランクB/(p+1)の倍数のリンクの近傍に配置される。ここで、Bは、昇降装置の高い位置における上方に向けられたアームのリンクの数であり、pは、好ましくは1、2、または3に等しい可動式スタビライザの数である。
【0032】
したがって、昇降装置のストロークの高さを2倍、3倍、または4倍にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の他の特徴、詳細、および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面から明らかになるであろう。
図1】本発明の一態様による昇降装置の高い位置における斜視図である。
図2】本発明の一態様による昇降装置の中間位置における斜視図である。
図3】本発明の一態様による昇降装置の低い位置における斜視図である。
図4】昇降カラムの一部がスタビライザリングを通る状態を示す正面立面図である。
図5図4の線V-Vにおける断面図である。
図6図4および図5に対応する斜視図である。
図7】タペットおよびスタビライザフィンガの詳細斜視図である。
図8】別のタペットおよび別のスタビライザフィンガの詳細斜視図である。
図9】スタビライザリングを通る昇降カラムの水平面における断面斜視図である。
図10】別のタイプのスタビライザリングを示す、図9と同様の図である。
図11】緩衝器を有するスタビライザの部分断面斜視図である。
図12】昇降カラムによって支持されたスタビライザの図である。
図13】台座によって支持されたスタビライザの図である。
図14】シザー部によって支持されたスタビライザの図である。
図15】ケーブルによって支持されたスタビライザの図である。
図16】昇降カラムによって支持されたスタビライザの図である。
図17】昇降カラムによって支持された複数のスタビライザを有する装置の図である。
図18】低い位置におけるスタビライザの詳細斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
添付の図面および以下の説明には、本発明の特定の性質の要素が主に含まれる。したがって、これらは、本発明をよりよく理解するのに役立つだけでなく、その定義にも適宜貢献することができる。
【0035】
本発明は、特に、豪州特許出願第2010212303号、米国特許出願第2009/008615号、仏国特許出願第2573832号、仏国特許出願第2345626号、仏国特許出願第2786476号、または仏国特許出願第2780472号、および仏国特許出願第3043747号によるリンクを含む様々なタイプの昇降カラムに適用される。読者には、これらの文献を適宜参照されたい。
【0036】
高さのある状態での用途において、推力チェーンは、弓状に変形する傾向がある。弓状変形とは、実質的に鉛直な推力チェーンの横方向のずれである。チェーンリンクの軸に沿う弓状変形は、チェーンの要素を堅く調整することで制限することができる。チェーンは、1つのリンクから別のリンクへと折り畳まれやすいため、チェーンリンクの軸に垂直な弓状変形は重大である。
【0037】
出願人は、上記弓状変形に対抗するために、図示するような推力昇降装置1を開発した。昇降装置1は、荷を持ち上げるための推力を伝達することができる。
【0038】
図1図3に示す実施形態において、昇降装置1は、4つの連結式昇降カラム2と、昇降カラム2をそれぞれ駆動させる4つの回転式ピニオン3と、4つの対向アーム4と、可動式スタビライザ5と、を備える。昇降カラム2は、舞台のための台座のような台座6を支持する。昇降装置1は、ベースに載置される。
【0039】
昇降カラム2の各々には、少なくとも1つの噛合部20、および噛合部20から上方に向けられた少なくとも1つのアーム21が設けられる。昇降カラム2は、複数のリンク22から構成され、上方に向けられたアーム21の上端部におけるリンクはランク1であり、現在のリンクはランクnである。ここで、nは、2~Nの範囲の昇降カラム2のリンク22の数である。ランクnの現在のリンクは、持ち上げ中の昇降カラム2の位置に応じて、噛合部20の一部であるか、あるいは上方に向けられたアーム21の一部である。
【0040】
例えば、カラム2の低い位置において、ランク3のリンクは、噛合部20にあり、持ち上げ開始後に急速に上方に向けられたアーム21に移動する。カラム2の低い位置において、ランクN~ランク3のリンクは、対向アーム4にあり、噛合部20に移動した後に、持ち上げ終了間際で上方に向けられたアーム21に移動する。
【0041】
ピニオン3は、噛合部20と常に噛合接続状態にある。噛合部20は、例えば上方に向けられたアーム21上に整列した直線状のものであってもよいし、好ましくは、ピニオン3の形状に合わせて丸みを帯びたものであってもよい。ピニオン3は、任意選択で減速機付きの電動モータまたは油圧モータによって駆動される。
【0042】
上方に向けられたアーム21の反対側のアーム4は、載置された複数のリンク22から形成される。載置されたリンク22は、ピニオン3の回転によって、噛合部20に移動した後に、上方に向けられたアーム21に向けて、および持ち上げ方向に向けて移動する。アクティブなリンク22すなわち圧縮を受けるリンク22は、ピニオン3の回転によって、噛合部20に移動した後に、対向アーム4に向けて、および下降方向に向けて移動する。
【0043】
対向アーム4は、マガジン7内に収容される。より好ましくは、マガジン7は、横長である。4つのマガジン7が2つの平行部に配置され得る。第1のマガジン7の端部は、第2のピニオン3の反対側の第2のマガジン7の端部に対向する。マガジン7の各々は、載置されたリンク22を1列に、または好ましくは列の端部で折り返される複数の列を含むことができる。載置されたリンク22は、平坦な螺旋を形成することができる。動作高さが低い場合、載置されたリンク22は、直線状のセグメントを形成することができる。
【0044】
スタビライザ5は、上方に向けられたアーム21に沿って移動可能である。この可動式スタビライザ5は、水平面内の所定の位置で且つ水平方向に向けられた状態で、昇降カラム2を安定にすることができる。スタビライザ5は、間隔をあけたフレーム50の形態を有する。スタビライザ5は、機械的に溶接され得る。
【0045】
ここで、スタビライザ5は、2つの側方部材51と2つの横方向部材52とを有する長方形のフレーム50と、横方向部材52に平行且つ等間隔に配置された2つの中間スペーサ53と、4つの斜めの脚部54と、を備える。第1の脚部54は、横方向部材52から中間スペーサ53まで延在し、第2の脚部54は、反対側の横方向部材52の端部から反対側の中間スペーサ53まで延在し、第3および第4の脚部54は、2つの中間スペーサ53の間でX字状に交差する。2つの交差したV字形状が形成される。フレーム50は、フレームを構成する梁の高さによって定義される高さが低いサイズと低い質量とを有する。
【0046】
可動式スタビライザ5の各々は、昇降カラム2ごとに1つのリング55を備える。フレーム50は、リング55を堅固に接続する。リング55の各々は、対応する昇降カラム2に対して摺動する摺動部材56と、可動式スタビライザ5を駆動させるスタビライザ5のフィンガ(差込部)57と、を備える。
【0047】
スタビライザフィンガ57は、図1に示す位置、すなわち最も上昇した位置において、対応する昇降カラム2に当接する。スタビライザフィンガ57は、図3に示す位置、すなわち低い位置において、非アクティブである。
【0048】
図2に示す中間ストローク位置において、スタビライザ5が低い位置にある間に、スタビライザフィンガ57は、対応する昇降カラム2と接触する。図2および図3に示す位置において、可動式スタビライザ5は、ピニオン3を支持するフレーム上に載置される。このように、上昇ストロークの前半部分の間に、可動式スタビライザ5は低い位置に留まり、上昇ストロークの後半部分の間に、可動式スタビライザ5は台座6と同じ速度で上昇する。
【0049】
図示する実施形態において、スタビライザ5は、昇降カラム2のストロークの前半において静止した状態にあり、ストロークの後半においてランクN/2±1のリンクの近傍で支持される。
【0050】
フィンガ57は、非対称のバーを有する逆T字形状を有する。T字部の足部58は、ここではねじによってリング55に固定される。T字部のバーの大きい部分59は、圧縮力を直接伝達できるようにしながらリング55の下を通る。これにより、ねじの負担が軽減される。T字部のバーの大きい部分59は、バー24から距離をおいて、バー24の軸に垂直な方向に沿ってリンク22のチーク26の間に突出する。T字部のバーの大きい部分59は、大きい部分とバー24の軸に沿ったタペット23のそれぞれの位置に応じて、タペット23と干渉する。
【0051】
図7を参照すると、T字部のバーの大きい部分59は、設置中に任意のタペット23と実質的に干渉するように、リンク22の内側チーク部(側部)とチーク部との間の空間を実質的に占有する。図8を参照すると、T字部のバーの大きい部分59は、設置中に対応するタペット23と干渉するように、および図7のタペット23のような別のスタビライザのための非干渉タペット23を通るように、リンク22の内側チーク部の間の空間の半分を実質的に占有する。
【0052】
T字部のバーの小さい部分60は、数ミリメートルだけ突出している(図5参照)。T字部のバーの小さい部分60は、リング55のフランジ62の下端部に直接圧縮力を伝達するように、フランジ62の厚み部から突出する。
【0053】
摺動部材56は、摩擦係数の低い材料から形成された複数のパッド61を備えることができる。
【0054】
摺動部材56は、2つのリンク22と接触するリンク22のシースまたはガイドを形成する。摺動部材56の高さは、リンク22の高さよりも大きい。これにより、XおよびY内で2つのリンク22の位置と角度(X^Z)および(Y^Z)とを提供することができる。つまり、2つのリンク22の水平面における位置および鉛直方向の向きを示している。摺動部材56と協働する2つのリンク22は、1つのスタビライザの場合はランクN/2±1であり、2つのスタビライザの場合はランクN/3±1および2N/3±1等である。
【0055】
リング55は、昇降カラム2の上方に向けられたアーム21を四方で囲む。リング55は、上方に向けられたアーム21の反対側の折り畳まれたフランジ62を備える。フランジ62は、水平になっている。フランジ62には、フレーム50を固定するための穴が設けられる。リング55は、2つのリンク22の高さよりも大きい高さにわたって延在する(図5参照)。より詳細には、リング55は、ランクnのリンクの中段のバー24からランクn+2のリンクの下段のバー24まで延在する。
【0056】
昇降カラム2は、ローラ25が設けられたバー24上に連結された複数のリンク22から形成される(図4図6参照)。ローラ25は、ピニオン3と接触するように設けられる。リンク22は、中央平面に対して対称に配置された複数のチーク部26を備える。チーク部26は、互いに同一である。チーク部26は、その主面に対して垂直に、実質的に一定の厚さを有する。
【0057】
ここで、チーク部26は、回転軸に向けて丸みを帯びた角部を有する全体的に長方形の形状を有する平板の形態を有する。チーク部26は、厚さ方向で重ね合わされた単純な平板から形成される。代替的に、チーク部26は、プレス加工された厚さ方向でずらされた平板から形成される。または、チーク部26は、機械加工された部材である。
【0058】
平板には、バーを取り付けるための穴と切り欠きが形成される。チーク部26は、2列の外側チーク部と2列の内側チーク部とが接触するように配置される。チーク部26は、カラム2に垂直な端部において互いに当接する。チーク部26には、回転軸の側方において2つの穴と、回転軸の反対側において2つの切り欠きと、が設けられる。2つの重ね合わされたチーク部の2つの切り欠きは、バー24が通ることができる穴に相当する部分を形成する。バー24は、横から見たときに離間するように配置される(図5参照)。外側チーク部は、内側チーク部に対してチーク部の半分の高さにおいて、ずらされて配置される。
【0059】
ローラ25は、リンク22を越えてバー24の端部に配置され得る。摺動部材56は、好ましくは少なくとも3つのローラ25と接触して、リンクローラガイドを形成する。ローラ25の回転の自由度は、対応するピニオン3と協働するためだけでなく、対応する摺動部材56とも協働するために利用される。
【0060】
摺動部材56は、2列のローラ25の間に配置されるか、ローラ25の列のいずれか一方の側に配置される(図9参照)。
【0061】
摺動部材56は、リンクチークガイドを形成する(図10参照)。摺動部材56は、2つのリンク22のそれぞれの高さの一部にわたって、2つのリンク22と接触する。
【0062】
代替的に、摺動部材56は、カラムパッドガイドと接触する。パッドは、リンク22またはリンクバー24に固定される。
【0063】
図11に示す実施形態において、可動式スタビライザ5は、昇降カラム2ごとに1つの緩衝器63を備える(図11参照)。緩衝器63は、スタビライザフィンガ57と摺動部材56との間に配置される。フィンガ57は、摺動部材56に対してZ軸方向に摺動可能であるように取り付けられる。フィンガ57の摺動は、レール68に沿って実施される。レール68は、リング55に取り付けられる。レール68は、Z軸に沿って取り付けられる。レール68は、リング55の高さの範囲内に配置される。緩衝器63は、フィンガ57と平行に配置される。
【0064】
緩衝器63は、摺動部材56の上部領域におけるフィンガ57に取り付けられたブラケット64を介して、フィンガ57に接続される。ブラケット64は、緩衝器63を覆い、緩衝器63の上端部に固定される。緩衝器63の下端部は、摺動部材56に固定される。ブラケット64およびフィンガ57は、摺動可能に取り付けられる。ブラケット64とフィンガ57との間、例えばブラケット64とフィンガ57に形成された止まり穴内には、ばね70が配置される。スタビライザ5の駆動位置において、ばね70は圧縮される。スタビライザ5の低い位置において、フィンガ57はタペット23から離れた位置にあり、ばね70は緩んでいる。
【0065】
タペット23がその上面30でフィンガ57と接触したときに、フィンガ57は、摺動部材56によって移動され得る。その際に、緩衝器63がその移動を減衰させる。
【0066】
複数の可動式スタビライザが設けられる場合、昇降カラム2ごとにおよび可動式スタビライザ5ごとに、1つの緩衝器63が設けられる。緩衝器63は、スタビライザフィンガ57が昇降カラム2と接触したときのスタビライザ5の加速度を低減させる。これにより、昇降カラム2およびピニオン3における力および機械的な振動、ならびに騒音が低減される。
【0067】
このような緩衝器がない場合、フィンガ57は、リング55に恒久的に固定される。
【0068】
可動式スタビライザ5の各々は、低い位置の近傍において少なくとも1つのアクティブ緩衝器を備える。低い位置にある緩衝器は、スタビライザが低い位置になったときのスタビライザ5の加速度を低減させる。これにより、機械的な振動および騒音が低減される。
【0069】
図示するように、スタビライザ5が低い位置にあるときにも、緩衝器63が機能する。このため、フレーム50には、下向きの下側緩衝器71が設けられる(図18参照)。緩衝器71は、装置1の固定部に対応する表面と協働するように設けられる。表面は、水平であり得る。表面は、上方に向けられたアームから形成され得る。緩衝器71は、フレーム50に固定(例えば螺合)されたプレート72と接続され得る。緩衝器71は、エラストマ材料のブロックから形成され得る。タペット23がスタビライザ5を持ち上げるためにフィンガ57を駆動させると、緩衝器71は、固定面から分離される。スタビライザ5が下降している間に、緩衝器71は、固定面を緩衝させる。タペット23は、フィンガ57から離れる方向に移動する。スタビライザ5の質量は、緩衝器71にかかる。カラム2は、スタビライザ5の質量とは関係がない。スタビライザ5の下向きのドッキングが減衰される。
【0070】
昇降カラム2の各々は、可動式スタビライザ5ごとに1つのタペット23を備える。タペット23は、特にスタビライザフィンガ57に当接することで、可動式スタビライザ5を支持することができる。タペット23は、昇降カラム2の上方に向けられたアーム21と一体化する。タペット23は、少なくとも1つのリンクの軸に固定される。
【0071】
図4図8に示すように、タペット23は、同列に属する2つのリンクバー24によって支持される。バー24の列は、リンクの回転軸に隣接する。タペット23の各々は、少なくとも2つの昇降カラム2の場合、同一の可動式スタビライザ5に対して同一のランクのリンク22に固定される。
【0072】
タペット23は、高さ方向に主寸法と、バー24の軸方向に第2寸法と、バー24の軸に垂直な方向に第3寸法とを有する一般的な直方体の形状を有する。この場合、リンクの回転軸から遠位の他の列のバーに対向する水平縁には、面取り部が設けられる。
【0073】
タペット23は、平面XYに平行な上面30を有する。上面30は、鋭利な縁部すなわち小さい接続フィレット半径を有し、タペット23の表面は、リンク22の縁部と平らになっている。上面30は、低い位置以外の位置においてスタビライザ5のための支持体を形成する。
【0074】
タペット23は、リンクバー24がそれぞれ通る2つの貫通穴27を有する。タペット23は、2つのリンクチーク部26の間に配置される。タペット23は、リンクチーク部の縁部と平らになっており、昇降カラム2が必要とするサイズを確保する。タペット23は、ピニオン3の反対側の昇降カラム2の側に取り付けられる。
【0075】
ここで、タペット23は、タペット23と係合する2つのバー24の軸を通る平面によって分離された2つの類似の形状を有する部分28を備える。部分28は、平面を介して接触する。部分28は、2つのバー24の間で、バー24をそれぞれ越えて接触する。部分28は、互いに保持される。部分28は、該部分の一方に設けられた滑らかな貫通穴を通り且つ他方の部分に設けられたねじ穴に係合する少なくとも1つのねじ29によって、締め付けられる。
【0076】
図7に示す実施形態において、これらの部分のうちの一方は、バー24の軸方向において、他方の部分よりも小さい幅を有する。これにより、図7のタペット23は、スタビライザフィンガの形状と協調して、図7のフィンガ57を持ち上げて、図8のフィンガ57の横を通ることができる。2つのスタビライザの場合、図7のタペット23は、下側のスタビライザのフィンガ57において非アクティブ状態を維持することができ、また、上側のスタビライザのフィンガ57を持ち上げることができる。2つのスタビライザ5は、低い位置において重ね合わされ、高い位置において間隔をあけて配置される。
【0077】
図8に示す実施形態において、部分28は、バー24の軸方向に等しい幅を有する。タペット23は、単一のスタビライザ5または下側のスタビライザ5を支持するために提供される。
【0078】
昇降カラム2の各々は、少なくとも2つのタペット23を備える。各昇降カラム2のタペット23は、第1のタペット23が第2のフィンガ57を通過した後の第1のフィンガ57を支持し、第2のタペット23が第2のフィンガ57を支持するように、水平面内でずらされて配置される。
【0079】
昇降装置1は、台座6のガイドレール8を2つ備える。台座6のXおよびYにおける位置は、ガイドレール8によって決定される。代替的に、1つのガイドレール8で十分な場合もある。可動式スタビライザ5の各々は、少なくとも1つのガイドレール8によってガイドされる。可動式スタビライザ5の各々には、対応するガイドレール8と協働する例えばパッドの形態の部材を備える。
【0080】
図12に示す実施形態において、スタビライザ5は、スタビライザ5に搭載され且つピニオン3と同様のピニオン66に結合されたモータ65によって駆動さる。これにより、スタビライザ5は、昇降カラム2に沿って自律的に移動することができる。本実施形態において、例えばスタビライザ5を作業台として使用する場合などに、スタビライザ5の高さを台座6の高さとは別に調整することができる。
【0081】
図13に示す実施形態において、スタビライザ5は、台座6に固定された端部とスタビライザ5に固定された端部とを有する可撓性の接続部67によって駆動される。
【0082】
図14に示す実施形態において、昇降装置1は、下側の1対のシザー支持体9と上側の1対のシザー支持体10とを備える。可動式スタビライザ5は、これらの対のシザー支持体の間に取り付けられる。下側の1対のシザー支持体9は、可動式スタビライザ5とベースとの間に取り付けられる。上側の1対のシザー支持体10は、可動式スタビライザ5と台座6との間に取り付けられる。
【0083】
シザー支持体9、10の各対は、一方の下端部および一方の上端部においてその中央部にX字形状の連結部が設けられ、他方の下端部および他方の上端部において摺動が制限されて取り付けられる。台座6の動きは、上側の1対のシザー支持体10を駆動させ、後者が摺動するように当接すると、可動式スタビライザ5および下側の1対のシザー支持体9を駆動させる。シザー支持体9、10の対は、適切な間隔をおいて、良好な横方向の安定性を提供する。
【0084】
図15に示す実施形態において、昇降装置1は、可動式スタビライザ5を駆動させるプーリーおよびケーブル機構を備える。プーリーおよびケーブル機構は、台座6に着脱自在に取り付けられたプーリー11と、プーリー11を通り、一端が可動式スタビライザ5に固定され且つ他端がベースの近傍の昇降装置1の固定部分に固定されたケーブル12と、を備える。ケーブル12の長さは、台座6が高い位置にあるときに可動式スタビライザ5が中間の高さに位置するような長さを有する。代替的に、他端は、巻取りドラムに結合されたピニオン3のシャフトによって駆動される。
【0085】
図16に示す実施形態において、昇降装置1は、可動式スタビライザ5専用の少なくとも2つの追加の昇降カラム200を備える。可動式スタビライザ5は、台座6および台座6を支持する昇降カラム2から高さが独立している。可動式スタビライザ5のストロークが短く、質量が小さいため、昇降カラム200を、昇降カラム2のモデルよりも小さく構成することができる。有利には、昇降カラム2に対する昇降カラム200の向きは、良好な安定性を提供できるように選択される。
【0086】
図17に示す実施形態は、図14に示す実施形態と同様のものである。ここでは、昇降装置1は、2つの可動式スタビライザ5と、下側9、中間11および上側10の3対のシザー支持体を備える。可動式スタビライザ5の各々は、2対のシザー支持体の間に取り付けられる。高ストロークの移動を実現することができる。
【0087】
図示する実施形態において、昇降装置1は、少なくとも2つ、例えば4つの連結式昇降カラム2を備える。カラムの各々には、少なくとも1つの噛合部20、および噛合部20から上方に向けられた少なくとも1つのアーム21が設けられる。昇降カラム2の各々は、複数のリンク22から構成される。上方に向けられたアーム21の上端部におけるリンクはランク1であり、現在のリンクはランクnである。ここで、nは、2~Nの範囲の昇降カラムのリンク22の数である。また、昇降装置1は、少なくとも2つ、例えば4つの回転式ピニオン3を備える。ピニオン3の各々は、噛合部20とピニオン3との噛合によって、対応する昇降カラム2を駆動させる。また、昇降装置1は、上方に向けられたアームの反対側の少なくとも2つ、例えば4つのアーム4を備える。アーム4は、載置された複数のリンク22から形成される。載置されたリンク22は、対応するピニオン3の回転によって、噛合部に移動した後に、上方に向けられたアームに移動することができる。また、昇降装置1は、上方に向けられたアームに沿って移動可能な少なくとも1つの可動式スタビライザ5を備える。可動式スタビライザ5は、各昇降カラムによって駆動され得る。
【0088】
可動式スタビライザ5の各々は、昇降装置の高い位置において、ランクB/(p+1)またはB/(p+1)の倍数のリンクの近傍に配置される。ここで、Bは、昇降装置の高い位置における上方に向けられたアーム21のリンク22の数であり、pは、好ましくは1、2、または3に等しい可動式スタビライザの数である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18