(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】創傷洗浄および生物膜制御のために加圧流体を提供するための洗浄装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20221223BHJP
【FI】
A61M1/00 140
A61M1/00 171
(21)【出願番号】P 2020544324
(86)(22)【出願日】2018-10-05
(86)【国際出願番号】 US2018054737
(87)【国際公開番号】W WO2019094136
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-08-04
(32)【優先日】2017-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520160510
【氏名又は名称】スティール ボーエン ジェームズ
(73)【特許権者】
【識別番号】520160521
【氏名又は名称】スティール アール カート
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティール ボーエン ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】スティール アール カート
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特表昭62-501752(JP,A)
【文献】特開昭48-025737(JP,A)
【文献】特開2008-093331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷部位の洗浄用の医療装置であって、洗浄溶液を受け入れるように適合された近位部分、ノズルを有する遠位部分、および溶液を輸送するための中間部分を有するチューブを含み、前記チューブは、創傷部位に対して前記装置を配置するための操作可能なバレル部分を有し、前記ノズルは、半球状の第1の空間構造を提示する遠位に延びるチャネルと、半球状の末端と交差する第2の空間構造を提示する本体に形成された近位に延びる開口部とで形成された本体を有し、前記ノズルから創傷への対応する噴霧パターンを決定する前記ノズルの有効径を定義する
ように構成され、
ハンドピースがプラスチックであり、球状成型形状で細長く、前記チューブの遠位先端で前記チューブおよび前記ノズルを捕捉し、前記チューブおよび前記ノズル間の相対運動を防止する、装置。
【請求項2】
前記近位に向かって延びる開口部は、前記本体内のくさび、円錐、四面体または星形の形成から選択される形状を有する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ノズルが前記チューブの遠位先端上の固定位置にある請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記チューブは、ハンドピースに対する前記チューブの回転を防止する前記ハンドピース内に捕捉される請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ハンドピースは、前記チューブの前記バレルに取り付けられ、
前記ハンドピースおよび前記バレル間の相対運動を防止する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
ハンドピースが、前記チューブの前記バレルに取り付けられた一体のハンドグリップで形成され、
前記ハンドピースおよび前記バレル間の相対運動を防止する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
創傷部位の洗浄用の医療装置であって、洗浄溶液を受け入れるように適合された近位部分、ノズルを有する遠位部分、および溶液を輸送するための中間部分を有するチューブを含み、前記チューブは、創傷部位に対して前記装置を配置するための操作可能なバレル部分を有し、前記ノズルは、半球状の第1の空間構造を提示する遠位に延びるチャネルと、半球状の末端と交差する第2の空間構造を提示する本体に形成された近位に延びる開口部とで形成された本体を有し、前記ノズルから創傷への対応する噴霧パターンを決定する前記ノズルの有効径を定義するように構成され、
ハンドピースが、前記チューブの遠位先端で前記ノズルを捕捉し、
前記チューブおよび前記ノズル間の相対運動を防止する相補的な回転防止構造を含む
、装置。
【請求項8】
前記ハンドピースがプラスチックであり、球状成型形状で細長く、前記チューブの遠位先端で前記チューブおよび前記ノズルを捕捉し、前記チューブおよび前記ノズル間の相対運動を防止する請求項7に記載の装置。
【請求項9】
創傷部位の洗浄用の医療装置であって、洗浄溶液を受け入れるように適合された近位部分、ノズルを有する遠位部分、および溶液を輸送するための中間部分を有するチューブを含み、前記チューブは、創傷部位に対して前記装置を配置するための操作可能なバレル部分を有し、前記ノズルは、半球状の第1の空間構造を提示する遠位に延びるチャネルと、半球状の末端と交差する第2の空間構造を提示する本体に形成された近位に延びる開口部とで形成された本体を有し、前記ノズルから創傷への対応する噴霧パターンを決定する前記ノズルの有効径を定義するように構成され、
ハンドピースが、前記チューブの遠位先端で前記ノズルを捕捉し、前記ノズルはプラスチックで作られ、接着剤または超音波溶接によって前記先端およびハンドピースに結合され、
前記チューブおよび前記ノズル間の相対運動を防止する
、装置。
【請求項10】
前記ノズルが金属製であり、ねじ込みまたは圧着接続を使用して、遠位先端でハンドピースに機械的に固定されている請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記ノズルが、前記ノズルの前記本体に前記近位方向に延びる、概ねくさび形の構成を有し、前記チャネルの半球形末端と交差する頂端空間部分を提供する請求項2記載の装置。
【請求項12】
前記ノズルは、前記ノズルの前記本体に前記近位方向に通じる概ね円錐の形成を有し、前記円錐が、前記チャネルの半球形末端と交差する頂端空間構造を提示する請求項2記載の装置。
【請求項13】
前記ノズルは、射出成形プラスチック材料で作られ、前記チューブは押出プラスチック材料で作られる請求項1記載の装置。
【請求項14】
創傷部位の洗浄用の医療装置であって、洗浄溶液を受け入れるように適合された近位部分、ノズルを有する遠位部分、および溶液を輸送するための中間部分を有するチューブを含み、前記チューブは、創傷部位に対して前記装置を配置するための操作可能なバレル部分を有し、前記ノズルは、半球状の第1の空間構造を提示する遠位に延びるチャネルと、半球状の末端と交差する第2の空間構造を提示する本体に形成された近位に延びる開口部とで形成された本体を有し、前記ノズルから創傷への対応する噴霧パターンを決定する前記ノズルの有効径を定義するように構成され、
前記チューブは、ハンドピースに対する前記チューブの回転を防止する前記ハンドピース内に捕捉され、
前記チューブが多角形断面で押し出され、前記ハンドピースとノズルが相補的な多角形断面でそれぞれ射出成形され、
前記ハンドピースとノズル間の相対運動を防止する
、装置。
【請求項15】
前記ノズルの有効直径によって決定される前記噴霧パターンが、前記チャネルの軸に対して概ね垂直に近づく平坦化パターンである請求項1記載の装置。
【請求項16】
前記チャネルの軸に対して概ね平坦な前記噴霧パターンの入射角は、約30度未満である請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記チャネルの軸に対する有効直径によって決定される前記噴霧パターンの入射角は、一般に約60度と約90度未満との間で矢形をしている請求項1記載の装置。
【請求項18】
前記ノズルの有効直径によって決定される、前記チャネルの軸に対する前記噴霧パターンの形状および入射角は、
円錐形状であり、約30度から約60度の間である請求項1記載の装置。
【請求項19】
創傷部位の洗浄用の医療装置であって、洗浄溶液を受け入れるように適合された近位部分、ノズルを有する遠位部分、および溶液を輸送するための中間部分を有するチューブを含み、前記チューブは、創傷部位に対して前記装置を配置するための操作可能なバレル部分を有し、前記ノズルは、半球状の第1の空間構造を提示する遠位に延びるチャネルと、半球状の末端と交差する第2の空間構造を提示する本体に形成された近位に延びる開口部とで形成された本体を有し、前記ノズルから創傷への対応する噴霧パターンを決定する前記ノズルの有効径を定義するように構成され、
前記チューブは、ハンドピースに対する前記チューブの回転を防止する前記ハンドピース内に捕捉され、
ユーザーが洗浄液の流れを手動で調整するために、前記ハンドピースと前記チューブに通気孔が形成されている
、装置。
【請求項20】
創傷洗浄アセンブリであって、洗浄液の供給源と接続するための近位入口と、出口を持つ遠位先端を備えた押出プラスチックチューブ、チューブのバレルを捕捉するハンドピース、出口の内径と位置合わせされ、
ノズルおよびチューブ間の相対運動を防止するようにハンドピースによって捕捉され
るノズル、下部患者側層と上部装置受容層を含み、患者側は創傷に対応するサイズの開窓を有する概ね管状の構造を有するプラスチックの封じ込めおよび収集バッグ、および、反対面が傷に合わせて患者の体に貼り付けられるとき、片面が側方流動バリアを形成する開窓の外側の境界に沿って患者側の層に接着される両面粘着テープを有し、バッグの上面は、ノズルがバッグ内の無菌操作領域に入るアクセスポイントで形成可能とされ、ノズルは、対応する噴霧パターンをノズルから創傷に決定するノズルの有効直径を定義する、半球状の第1の空間構造を提示する遠位に延びるチャネルと、半球状の末端と交差する第2の空間構造を提示する本体に形成された近位に延びる開口部とで形成される本体を有するアセンブリ。
【請求項21】
前記バッグが、収集および廃棄のために前記バッグ内の流出物を固化する殺生物性凝集材料をさらに含む請求項20記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記バッグが長方形の形状を規定し、胴部創傷洗浄処置に対応するすべての側で切断およびシールされ、前記開窓が、テープダムによって患者の身体に接着される前記バッグの長手方向側の中間に形成される請求項20記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記バッグは3つの側でカットおよびシールされており、上部または下部の体端が入り、洗浄するための開口部があり、開口部側は、四肢とテープダムの周りをテープまたはギャザーで固定され、収集と廃棄のために前記バッグ内の排水の横方向の流れを抑制する請求項20記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記ノズルは、前記ノズルの本体に近位方向に延びる概ねくさび形の構成を有し、前記チャネルの半球形末端と交差する頂端空間部分を提供する請求項20記載のアセンブリ。
【請求項25】
前記ノズルが、前記ノズルの本体に近位方向に延びるほぼ円錐の形成を有し、前記円錐が、前記チャネルの半球形末端と交差する頂端空間構造を呈する請求項20記載のアセンブリ。
【請求項26】
創傷の輪郭と一致するほぼ平坦な噴霧パターンを
ノズルの有効直径が決定する請求項20記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、患者の創傷洗浄のための洗浄装置、および特に、吸引が必要とされないか、または容易に利用できない外来患者設定のために、加圧洗浄溶液を創傷部位に送達するためのそのような装置を利用するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
創傷洗浄は、慢性の開放創、褥瘡、血管潰瘍、および創傷破壊の治療における臨床管理の顕著な特徴と考えられている。この方法の重要な要素は、送達、液体の量、および溶液添加剤である。送達には、電動ポンプ、機械式ポンプ、圧力キャニスター、親指操作のバルブシリンジ、ピストンシリンジ、ノズルからのスプレー用に手で圧搾されたペットボトル、および単純に腎臓盆地から液体を注ぐことを含む。重要な考慮事項は、高流量および脈動洗浄システムのスプラッター効果から生じる可能性があるエアロゾル化粒子である。これにより、患者や医療従事者が空気中の汚染物質にさらされる可能性がある。文書化された研究では、皮膚と粘膜の播種の45%が通常は連邦政府の義務付けられた眼の保護の不適切な使用に起因して目に起こることが示されている。目の結膜の汚染は、スプラッシュ効果によるHIVウイルスとC型肝炎感染で十分に文書化されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高流量は、細菌および細菌によって生成されたバイオマスフィルムを取り除くために重要であると考えられているため、流体の流れの最適な圧力および速度は議論の余地がある。高圧は15~35PSIの範囲と見なされる。このレベルの力はバクテリアを取り除くのに十分であると考えられているが、軟部組織の損傷、免疫反応の障害、そして破片を創傷の奥深くに押し込むことは危険である。専門家は、8~12PSIの液圧でバクテリアを除去し、他の影響を排除するのに十分であると結論付けている。脈動洗浄と他のフロータイプの有効性を比較した研究は決定的ではないが、ある研究では、感染したウサギの創傷における黄色ブドウ球菌の除去において、脈動流は、他の少なくとも1つのタイプの流れと比較して明らかに効果が低い(本明細書に記載の発明に関して解明される)ことが示された。液体洗浄の最適な量も決定的ではないが、大きく開いた傷口で最大10リットルの液体の洗浄が推奨されている。
【0004】
添加剤には、過酸化水素、グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)、次亜塩素酸ナトリウム、パラクロロオキシレノールなどのさまざまな防腐剤が含まれているが、FDAの認可は、より高い濃度を使用した場合の最終的な利点の欠如と局所宿主細胞への毒性の可能性により制限されている。ポビドンヨードと次亜塩素酸ナトリウムを用いた細胞および組織培養の研究では、殺菌活性を排除することなく、組織毒性の影響を軽減するのに十分に希釈できることが示されている。ただし、これらの希釈濃度は、臨床診療で通常使用される濃度よりも大幅に低かった。過酸化水素と酢酸を使用した同様の希釈試験では、組織の毒性を失う前に殺菌活性を失うことが示されている。創傷の創面切除とクレンジングのために現在FDAの認可を受けている唯一の消毒剤は、医療機器内の滅菌水と0.05%CHGを含む洗浄溶液である。メチイリン耐性黄色ブドウ球菌を含む選択的グラム陽性およびグラム陰性外科分離株に対する洗浄溶液として、滅菌水を含む0.05%CHGの使用に関する最近の研究では、1分間および5分間でのバクテリア回収率が5~6lоgの減少が明らかになった。さらに、4つの異なる生物医学装置の表面からの細菌の回収率が大幅に低下(P値が<.05から<.01の範囲)したのは、同じ洗浄溶液にさらされた場合である。創傷閉鎖前にこの組み合わせで洗浄を行うと、手術部位感染のリスクに大きな影響を与える可能性がある。
【0005】
外科的創傷創面切除において、バッテリー式の、無菌で使い捨ての手持ち式装置を用いて外科領域に送達することができるミニピストンポンプの使用を中心に著名な産業が発達した。ポンプは、1つのピストンシリンダーを備えたシンプルな容積式装置であり、ポンプサイクル全体で圧力が変化する。流体流入の吸引サイクルにより圧力が低下する。この特性は、創傷の創面切除を行い、細菌によって生成された外来のバイオマスを除去するように提唱されてきた、流体の周期的な脈動流を駆動する。
【0006】
重要な考慮事項は、これらの脈動システムが作動する流体力学の物理学を理解することである。バッテリー駆動のミニピストンポンプは、ドライブシャフトがあるピストンシステムと同じように機能する。この場合は、バッテリーパックを搭載した小さな電気モーターによって駆動される。ピストンシステムは、リザーバシステムから流体を受動的に引き込み、次に、この流体を下流側のポンプチャネルに送り込む。このシステムでは、ポンドは平方インチあたりのポンドで測定できる最大変位力を生成するように動力が供給される。これは、15PSIの上限を持つようにFDAガイドラインによって確立された。したがって、ポンプの速度や1分あたりの回転数に関係なく、ポンプの圧力はピストンの変位力によって固定されたままになる。性能の変数は、ポンプの回転数と流速によって決定される流量によって変更できる。流速は、流体が通過してポンプの先端で出て創傷にスプレーされるチューブの内側の面積によって決まる。
【0007】
考慮すべき他の要因は、脈動流によって拡大されるスプラッタ効果である。この場合も、ピストンポンプの圧力は一定であり、RPMが低くても同じスプラッタ効果が発生する。脈動流の影響は、RPMが低い場合の蠕動ポンプではほとんど見られず、RPMが高い場合では消失する。流体は非圧縮性であるため、流体ローラーの後ろに波を引く流体で圧力がわずかに低下する。これにより、パルスストリームと比較してバイオマスの除去に効果的であると信じられている、チップからの流体の安定した連続ストリームフローが可能になる。繰り返すが、ポンプ圧力はピストンポンプが動作する高速と低速とで同じままであるが、ポンプが移動する流体の量は、ポンプ速度または1分あたりの回転数の関数として変化する。実際の運用では、可能なピストンRPMの量に制限がある場合がある。
【0008】
ポンプ、チュービングおよびハンドルが創傷部位に隣接する手術領域と接触し、それによりこれらの要素は非滅菌になるので、拍動性洗浄システムは使い捨てである。これは、手術で劇的に起こる。手術では、複合吸引洗浄器具は、手術部位への継続的な自由なアクセスを可能にする一方で、使用済みの洗浄液を吸い上げることに依存するが、外科的創傷部位が囲まれていないため、手術室のスタッフのかなりの飛び散りが残っている(ほとんどの人が顔面シールド付きのヘッドギアを装着している)。シールドエンクロージャが術後に外来で使用される場合でも、洗浄器具はエンクロージャによって定義された手術領域内で汚染されるため、1回の使用後に廃棄する必要がある。ピストンポンプは器具と流体連通しており、処置中に使用済みの洗浄液にさらされるが、ポンプが洗浄器具内または洗浄器具に隣接しているかどうかに関係なく、これも廃棄する必要がある。実際、脈動銃につながるホースを切断することにより、吸引機能が無効になることがよくあるが、脈動性の洗浄吸引銃は、すぐ下のセクションで説明するように、外来の手順でエンクロージャーバッグと組み合わせて使用されている。さらに、市場に出回っている主な脈動銃モデルは、銃内のポンプ加圧流体を制御するフィンガートリガーによって作動する。
【0009】
手術フィールドを囲む透明なバッグなどのバリアを提供することによって、灌流された創傷部位から発生するバックスプラッシュを封じ込めようとすることもある。しかしながら、これらのバリアは複雑で、高価であり、および/または主に、また使用されるシステムでは不十分である。これらは依然として脈動洗浄の問題を未解決のままにしている。
【0010】
先行技術
米国特許第5,624,419号(エルセック等)は、「閉鎖可能で使い捨ての創傷治療システム」と題され、患者を密閉するための接着部分を有する透明な容器を開示している。容器は、シリンジなどの噴霧または灌注部材とともに流体を保持するためのバッグである。これにより、創傷洗浄処置を閉鎖系で実行することができる。完了すると、容器は完全にシールされ、必要に応じて廃棄されて、介護者の侵食を防ぐ。
【0011】
米国特許第5,178,162号(ボース)は、「スプラッシュおよびスピル耐性の四肢灌注および創面切除外科用ドレープ」と題され、損傷した四肢を隔離して、灌注および創面切除が行われる自己閉鎖システムを作り出そうとしている。ドレープは、損傷した四肢を体の残りの部分や外科チームから隔離し、汚染された血液や外科用洗浄液の飛散や流出を防ぐための流体スプラッシュバリアを作成する。穴あき開窓は、オペレーターの手と使用する器具へのアクセスを提供する。
【0012】
米国特許第8,636,709号(ハーシュ)は、「流体封じ込め装置」と題され、加圧された灌注流体が(ホーム)入口に供給され、吸引が(ホーム)出口に供給される二重ホーン上部封じ込め構造を示している。流体は、封じ込め構造の開いた下面と、創傷部位の切り欠きがある包帯の上部にある関節リング内を循環する(セグメントA、BおよびCで示される)。この封じ込めアセンブリは、汚染された洗浄液の封じ込めを提供しながら、制御されていない設定で創傷のパルス洗浄を可能にし、患者および患者の近くの表面が感染性物質にさらされるのを防ぐと言われている。
【0013】
米国特許第5,848,998号(マラスコ・ジュニア)は、「組織デブリブリング装置」と題され、その子孫特許/出願とともに、脈動洗浄ガンで使用されるプラスチック製の囲い袋を含むアプローチを一般的に説明しており、パルスケア・メディカルLLCによってノースアンドーバー、マサチューセッツ州("PulseCare")の継続的拍動洗浄("CPI")として推進されている。使用されるプラスチックCPIバッグは、廃液を収集し、接続されたバッグの配置を作成することにより、乾いた手術場を育成することを目的としている。創傷洗浄バッグは、患者と空気を洗浄プロセスから乾燥させておく閉鎖システムのようなテントを可能にする。1つまたは複数のポートが配置されており、近位側縁が取り除かれ、拍動性の洗浄銃が洗浄のために挿入されることを可能にしている。次に、介護者は、3リットルの生理食塩水を開いた創傷に注ぎ、創傷表面を洗浄、創面切除、水分補給する。脈動洗浄器の力は15PSIよりわずかに低く設定されており、United States Food and Drug Administration(FDA)は、創傷肉芽組織に損傷を与えない安全な洗浄力と見なしている。
【0014】
PulseCare CPIシステムは、洗浄バッグから収集リザーバまで延びるチャネルを備えた2つの異なるバッグを使用する。プラスチックの厚さは、創傷バッグの場合は2.0MIL、リザーババッグの場合は2.5MILであり、システムに適切であるように見える。使用時、バッグは、重力によって流出物が洗浄バッグから収集バッグに流れ込むように配置される。収集バッグでは、3Lの生理食塩水を凝固させるために活性化される凝集顆粒が提供される。次に、収集バッグを折りたたみ、ゴミ箱または他の所定の医療廃棄物コンテナに廃棄する。これは、洗浄液中の生物学的物質を殺す殺生物剤が含まれているために行われる。このシステムは、場合によっては、ゴミ捨て場で処分するための生物学的な「赤いバッグ」ではないと考えられている。
【0015】
負の問題には、現在32ドル(USD)で小売可能でさらに無菌で供給されるPulseCare CPIバッグの単価、およびCPIバッグシステムがカスタムの多段階製造プロセスを必要とするという事実が含まれる。本発明は、簡素化および改善することを提案する。バッグはすべての端を手で密封する必要がある。次に、オープンチャネルを作成するために二重シールを必要とする洗浄チャネルの配置がある。コレクションリザーバには、合計8つの二重シール用の二重シールも必要である。さらに、バッグを折り畳んでパッケージングする追加のステップが残っている。
【0016】
先行技術では、水などの流体の脈動流の使用が身体組織の汚染物質を浄化するために利用されることが知られている。米国特許第3,227,158号(Mattingly)は、「口腔衛生のための方法および装置」と題され、手術部位を洗浄することができる流体ジェット洗浄流を生成するシステムを記載している。本発明は、ピストンポンプを利用し、ストロボスコープによって測定された脈動流を約1150サイクル/分の頻度で作成し、ピストンのストロークは7/16インチ、オリフィス.038インチであり、全圧力曲線は圧力がゼロで、約90ポンド/平方インチ("PSI")でピークに達する。この吐出圧力は、ポンプの吐出側のバイパスチャネルを10PSLのレベルに調整することによって慎重に制御できる。ポンプの排気ストロークの開始時のジェット洗浄の波形は急激に上昇し、衝撃特性があることを示している。このデバイスは、歯の口腔洗浄用に設計されており、患者はより高いレベルの力の適用で明確な歯肉痛を経験した。
【0017】
米国特許第6,022,329号(アーネット他)は、「パルシングポンプ内蔵の洗浄ハンドピース」と題され、手術領域での使用のために滅菌されたハンドピースに収納された、バッテリー駆動のモーターを備えたミニピストンポンプによる脈動洗浄を説明している。このデバイスは自己完結型であり、電源や圧縮空気への接続を必要とせず、洗浄用液体ソースの外部接続のみを必要とする。パルス洗浄の擁護者は、液滴の影響が細菌の除去、バイオマスの破壊、破片の除去に有利であると信じているが、患者や医療従事者を空気中の汚染物質にさらす潜在的なスプラッター効果とエアロゾル化粒子の懸念がある。文書化された研究では、皮膚と粘膜の播種の45%が目に発生することが示されている。これは通常、連邦政府が義務付けた眼の保護の不適切な使用が原因である。眼結膜の汚染は、スプラッシュ効果によるHIVウイルスとC型肝炎感染で十分に文書化されている。
【0018】
米国特許第6,830,556号(ハーモンら)は、「創傷からの死んだ、失活した、または汚染された組織の除去のための灌注および機械的スクラビングを提供するデブリドマン拡張」と題され、整形外科手術のように、深部創傷などを治療するための長い銃拡張を記載している。先端エクステンションを備えた手動で作動する銃は、除去する創傷組織を機械的に創面切除する。エクステンションには、灌注液を加圧するポンプを備えた手動作動ガンを介して供給される吸引ポートと灌注ポートがある。
【0019】
米国特許第9,326,665号(スレンカーら)は、「生物膜除去のための外科用器具、システム、および方法」と題され、器具内の灌注ダクトから、先端を通って細菌生物膜の層に向かって加圧洗浄溶液を分配するように適合されている。器具は、患者の鼻咽頭の通路および腔の輪郭に対応するように成形され得る細長い導入器を有する。コントローラは、器具へのおよび器具からの吸引および灌注の流れを調整し、あるいは、システムのユーザによってフットペダルによって操作されてもよい。複数のバッグは、ガンに配置されたポンプが流体を加圧し、トリガーによって手動で作動するガンにそれを送達する供給チューブに引き込まれる異なる流体を注入する場合がある。器具は生物膜の蓄積を視覚化する内視鏡として機能し、圧力下で洗浄液を生物膜部位に送り、器具によって除去するために吸引カニューレを通して緩んだ生物膜を吸引する。
【0020】
2つの競合する吸引洗浄製品は、整形外科手術で使用するために設計されている。ブランド機器の1つは、インディアナ州ワルシャワのZimmer, Inc.(登録商標)によって製造および販売されているPulsaVae(登録商標)である。もう1つの有名なブランドは、ミシガン州カラマズーのStrykerInstruments(登録商標)によって製造および販売されているInterpulse(登録商標)である。どちらも長年にわたってかなりの成功を収めてきた。
【0021】
代替の灌注送達、および本発明の主題は、蠕動ポンプの使用によって達成することができる。ポンプは非滅菌であり、手術領域からある程度の距離を置いて配置される。ただし、洗浄溶液が手術領域に送られるチューブセットは、「閉鎖」滅菌システムである。2つ以上のローラーが、チューブの一部を含む周縁にチューブを押し付けることにより、流体を前進させる。蠕動ポンプの低RPMでは何らかの特徴のない不均一な流れが存在する可能性があるが、通常のRPMでは、流れは実質的に直接かつ連続的である。
【0022】
歴史的に、蠕動ポンプは、1881年にユージーン・アレンによって特許を取得し、1932年にマイケル・デバキー博士によって一般化された。「蠕動洗浄ポンプシステム」と題されたブライト他の米国特許第7,273,359号は、外科的使用のための灌注および拡張ポンプシステムの代表である。多くのシステム設計が、ポンプで使用されるチューブをさまざまなアプリケーション(関節鏡検査、腹腔鏡洗浄など)に適合した外科用チューブセットに構成できることを知っていると言われている。チューブセットは、それらが設計されている手順を識別するようにコード化することができ、ポンプおよび他の構成要素と比較的容易に係合することができる。
【0023】
これらの蠕動ポンプには多くの用途があるが、流体力学の研究により、特定のパラメータを臨床診療で使用するために最適化できることが明らかになっている。創傷清拭における蠕動ポンプの使用は、これらのシステムがどのように機能するかに関しては十分に解明されていない。つまり、ポンプヘッドの圧力、流量、および流速は、臨床的有効性と安全性のために分類されていない。ピストンポンプとの重要な違いは、蠕動ポンプの流量が一定であり、圧力がRPM’sによって決定されることである。この制御は、システムによって生成される力を決定する。ポンプのRPMが増加すると、流量が増加し、システムの圧力が増加する。ピストンポンプと比較すると、所与のRPMで流量が一定のままである一方で、圧力が可変になる。本発明の実施により理解されるように、ベルヌーイ効果により、内管の寸法領域が先端での速度を決定する。この機能は、異なる流量で異なる流体を供給する理由がある場合に役立つ。この議論は、本発明の実施によって教示されるパラメータの選択と併せて、以下に続けられる。
【0024】
上述した他の手法は、一般に、従来使用されている拍動洗浄方法に固有の問題を克服するものではなく、これらは蠕動ポンプを採用しようとするものでもなかった。
【0025】
脈動ポンプを使用する他の前述のアプローチは、洗浄器具への洗浄溶液の連続流の提供、および脈動ポンプ以外の創傷洗浄の他の手段を使用する改善の機会に十分に対処しない。他のこれらのアプローチは、手術野において、脈動送達システムによるスプラッタを減少させていない。
【0026】
創傷部位を包囲することによって拍動性洗浄スプラッタを封じ込めようとする他の人のアプローチは、創傷洗浄液の送達中に、単純で経済的かつ効果的な封じ込めをもたらさなかった。
【0027】
外来の創傷の創面切除、洗浄および生物膜の除去のための連続的な蠕動洗浄装置およびシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の一態様によれば、患者の創傷部位を洗浄するための医療装置が提供される。装置は、洗浄溶液を受け入れるように適合された近位部分、ノズルを有する遠位部分、および溶液を輸送するための中間部分を有するチューブを含む。チューブには、ユーザーが操作して創傷部位に対して装置を配置できるバレル部分がある。特徴的なノズルは、半球状の第1の空間構造を示す遠位に延びるチャネルと、半球状の終端と交差する第2の空間構造を示す本体に形成された近位につながる開口部とで形成される本体を有する。この形状は、以下で説明する流れの力学の原理から導き出されるように、ノズルの「有効直径」として説明されるものを定義する。
【0029】
ノズルから創傷への対応する噴霧パターンおよび他の流れ特性を決定するのは、この数値、すなわち値の範囲である。次に、上記の装置のいくつかの好ましい実施形態を、その特徴のさまざまな配置の組み立てに関連して説明する。ノズルはまた、好ましくは、チューブの遠位先端上の固定位置にあり、これはまた、ハンドピースに対するチューブの回転を同時に防止するハンドピース内に捕捉されることが好ましく、より好ましくは、ハンドピースは、チューブのバレルに固定され、それらの間の相対運動を防止する。装置は、好ましくは、チューブのバレルに取り付けられた一体型フィンガーグリップで形成されたハンドピースを有し、それらの間の相対運動を防止する。または、ハンドピースはプラスチックであり、球状の成形形状で細長く、チューブとノズルをチューブの遠位先端で捉え、それらの間の相対運動を防止する。ハンドピースが、それらの間の相対運動を防止する相補的な回転防止構造を含む、チューブの遠位先端でノズルを構造的に捕捉することも好ましい。
【0030】
あるいは、ハンドピースは、チューブの遠位先端でノズルを捕捉し、ノズルはプラスチックで作られ、接着剤または超音波溶接によって先端とハンドピースに結合され、それらの間の相対運動を防止する。代替として、ノズルは、真鍮またはステンレス鋼などの金属材料であり、ノズルチャネルを遠位先端の内径と整列させるねじまたは圧着接続を使用して、遠位先端でハンドピースに機械的に固定されてもよい。ハンドピースとチューブには通気孔が形成されており、装置のユーザーが洗浄溶液の流れを手動で調整できるようになっている。
【0031】
次に、ノズルの様々な好ましい構成について説明する。装置は、好ましくは、本体のくさび、円錐、四面体または星形の形成から選択された空間形状で形成されたその近位に先行する開口を有するノズルを含む。ノズルは、より好ましくは、ノズルの本体に近位方向に延びる概ねくさび形の構成を有し、チャネルの半球形末端と交差する頂端空間部分を提供する。代替として、ノズルは、ノズルの本体において近位に延びる概ね円錐形の形成を有することが好ましく、チャネルの半球状の末端と交差する先端の空間構造を示すコーン、ファイルノズルは、コストと設計によるがPVCまたはそれに類似するプラスチック材料を射出成形することにより作製され得、チューブは、押し出しプラスチック材料(PVCも可)でできている。チューブは、多角形断面で押し出され、ハンドピースとノズルはそれぞれ補完的な多角形断面で射出成形され、それらの間の相対運動を防止する。
【0032】
次に、様々な好ましい性能属性について説明する。ノズルの有効直径によって決定される好ましい噴霧パターンは、一般的にチャネルの軸に対して垂直に近づく平坦なパターンであり、これは典型的な創傷のプロファイルと比率に対応する。チャネル軸に対して概ね平坦な噴霧パターンの入射角は、ゼロよりも大きいが、約30度未満である。あるいは、有効径によって決定される、チャネル軸に対する噴霧パターンの入射角は、約60度より大きく約90度より小さい矢形であり得る。また、形状やスプレーの入射角ノズルの有効直径によって決定される、チャネル軸に対するパターンは、一般的に円錐形であり、約30度と約60度の間であり得る。
【0033】
本発明の別の態様によれば、創傷洗浄アセンブリは、洗浄溶液の供給源と接続するための近位入口と、出口を有する遠位先端とを有する押出プラスチックチューブを備えた装置を含む。ハンドピースは、チューブのバレルを捕捉する。ノズルは、チューブ出口の内径と位置合わせされ、ハンドピースによって捕捉され、その間の相対運動を防止する。一般に管状の構造を持つプラスチック製の収納バッグは、下部患者側層と上部装置受容層を備えている。患者側の層は、創傷に対応するサイズの開窓と、該開窓の外側の境界に沿って片側が患者側の層に接着される両面粘着テープとを備えている。テープは、テープの反対側が創傷に合わせて患者の体に接着されると、側方流動バリアを形成する。バッグの上側にはランダムなアクセスポイントがあり、これは装置のノズルをバッグ内の無菌操作領域を通すときに、小さな切り込みを入れるためにーがユーザが選択できるものである。ノズルは、半球状の第1の空間構造を提示する遠位側に延びるチャネルと、半球形の終端と交差する2番目の空間構造を提示する本体に形成された近位に延びる開口部とで形成された本体を有する。この関係は、ノズルから創傷への対応する噴霧パターンを決定するノズルの有効直径を定義する。
【0034】
アセンブリのバッグは、収集および廃棄をより容易にするために、バッグ内の流出物を固化する殺生物性凝集材料を含むことが好ましい。アセンブリのバッグは、好ましくは長方形の形状を規定し、対向する長手方向側の折り目で(すなわち、巻き取り方向で)密封され、バッグブランクの端部で切断されてインパクトシールされる。この構成は、胴の創傷洗浄処置に理想的に適応し、開窓は、テープダムによって患者の身体に接着されるバッグの長手方向の側面と端の中間に形成される。あるいは、バッグは、3つの側面が閉じられるように、片方の端だけがカットおよびシールされる。したがって、一端に開口部があり、その上の創傷を洗浄するために上肢または下肢を進入させることができる。作業完了前にバッグが外れないように、開口側はテープで固定されるか、四肢の周りにギャザーが付いている。テープダムは、胴バッグの設計と同様に、収集と廃棄のためのバッグ内の排水の横方向の流れを抑制する。アセンブリのノズルは、ノズル本体に交互に好ましい近位方向に延びる概ねくさび形の構成を有し、噴霧パターンを決定するためにチャネルの半球形末端と交差する頂端の空間部分を提示する。あるいは、アセンブリノズルは、ノズルの本体に、近位に通じる一般的な円錐形状の構成を有し、円錐は、チャネルの半球形の終端と交差する頂端の空間構造を示す。
【0035】
ここで、外来創傷の洗浄用のシステムについて説明する。バレル部分を備えた入口と出口を備えたチューブと、バレルの周りの固定位置に取り付けられた細長いハンドピースを含む装置がある。ノズルは、ノズル、チューブ、ハンドピース間に相対的な動きなしに、チューブとハンドピースの遠位部分に取り付けられる。バッグの周囲の少なくとも3つから4つすべての側を有するほぼ長方形の透明なプラスチック製の管状の封じ込めおよび収集バッグは、アセンブリに関して上述したように切断され、密封される。両面テープダムで縁取られたバッグの患者側下部に開窓が形成される。両面テープダムは、患者にも付着すると、横方向の流出液をバッグ内のスペースに閉じ込め、廃液を収集してバッグを廃棄する。開窓および対応するテープダムの周囲を所定の創傷部位に依存し、概ね丸い又は多角形から選択される。
【0036】
システムは、安全性および有効性の観点から、グルコン酸クロルヘキシジンなどの防腐剤を含む使い捨てワイプを備えた無菌パケットを含むことが好ましい。別の代替の防腐剤は、効果的な細菌生物膜処理を示した次亜塩素酸であるが、この消毒剤の当局の承認は、創傷洗浄手術と比較して進行中である。
【0037】
重要なことに、上記の装置、アセンブリ、およびシステムは、洗浄溶液の供給源およびチューブの入口にそれぞれ接続された蠕動ポンプをさらに利用する。ポンプは、15PSIの一定圧力で毎分約800ミリリットルから毎分約2550ミリリットルの流量を供給する。ここで、ノズルの有効直径は約1.1ミリメートルから1.93ミリメートルで、さらに有効直径は2.14ミリメートルである。2.14ミリメートルは、毎分2550ミリリットルの最適な流量のために、10PSIの遠位端流れ圧力を作成する。これにより、わずか数分で3リットル袋の洗浄液が排出される。
【0038】
本発明の利点は、完全に無菌の装置が無菌の手術領域に入るということである。本発明のフットペダルにより操作される流体隔離蠕動ポンプは、無菌操作領域の外側から残っている無菌洗浄溶液を創傷部位に遠隔輸送し、そこではポンプのチューブおよび流出物のみが使い捨てとなる。
【0039】
本発明の別の利点は、洗浄溶液の連続的な流れを最適な状態で迅速かつ円滑に送達できるポンプである。つまり、1回の使用で廃棄する必要がある拍動ポンプによって駆動される手動式の銃で経験されるようなエアロゾル化された生物膜の飛散を伴わない、創傷部位へのフラットスプレーである。
【0040】
本発明のさらに別の利点は、耐久性のあるポンプおよびフットペダル制御装置によって駆動される安価なチューブセットであり、多数の信頼できる操作で長いライフサイクルで再利用できることが示されている。
【0041】
本発明のさらに別の利点は、創傷部位から空気中に生じる同伴された生物膜ではなく、本発明による手順によって生成された流出物における生物膜の除去である。
【0042】
本開示の特徴および利点は、以下の説明に記載され、部分的にはその説明から明らかになるか、または過度の実験なしに本開示を実施することによって知ることができる。本開示の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘される装置および組み合わせによって実現および取得され得る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、患者(矢印)に適用するための胴バッグの底面図である。胴バッグは、両端がインパクトシールされ、スプールされた透明なプラスチックフィルムチューブストックからカットされており(
図3A~3B)、このバッグは、傷口を覆うためにバッグの患者側で行われる開窓、好ましくは、上面が開窓を囲むバッグに接着され、下面がバッグ内の廃液の重力流を抑制するために患者(
図9~10)に接着される両面テープで作られた一般的に多角形の創傷部位バリアまたはダムの後の処分のための手順の間に廃液を回収しながら、創傷洗浄システムによって洗浄溶液で患者に実行される手順の間に発生する生物膜からユーザーを保護するため、本発明の創傷洗浄システムによって利用される。
【
図2】
図2は、
図1のバッグの底面図であり、本発明のバリアテープ構造を示しており、卵形パターンなどの別の好ましい一般的な輪郭形状が示されている。
【
図3A】
図3Aは、本発明のバッグを製造するための装置の側面図であり、スプールされたプラスチックフィルムチューブ素材が、装置の下に積み重ねて表示されている、共通のエッジまたはカットゾーンに沿ったカットによって形成された隣接するバッグの端をシールするか、またはシールせずにチューブ素材を長さに切断するインパクトシーラーを通過して展開されているところを示す。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aのインパクトシーラーの正面図である。袋が長さ方向にカットされた状態を示す。袋の一端が封じ込め用に密封され、反対側の端が開いて患者の四肢の通過のために開封され(
図9~10)、開いた端にしっかりと集まっている。
図4ー8のように患者の四肢(たとえば、下肢)を洗浄する前に、伸縮性のある面ファスナー(Velero(登録商標))および/または両面テープで四肢の周りを囲む。本発明によると、患者の胴(
図11~12)の創傷の洗浄に使用するために(
図1~2)両端を密閉する。
【
図4】
図4は、患者の傾斜した下肢に対してバッグの患者側が所定の位置に準備されている四肢バッグ(
図9~10)の側面図である。本発明によると、好ましくは、あらかじめ包装されたグルコン酸クロルヘキシジン消毒用ワイプ(「Irrisept」など)で拭いて生物膜を殺した後、また、後で廃棄するために収集された流出物(
図5)を固化する殺生物凝集材料(Zappatecなど)をバッグの閉じた端に入れた後、バッグを所定の位置にしっかりと固定し、制御された動作設定を必要としない、すなわち吸引装置を用いた外来ベースの創傷を洗浄溶液で治療するためにバッグ内に装置を配置するための創傷の準備する前、にスリットがユーザーによってバッグの上側に(たとえばハサミで)切り込まれ、そこからユーザーが傷口にアクセスして治療できる。
【
図5】
図5は、
図4の側面図であり、無菌領域を規定する下肢の周りにしっかりと保持されたバッグを順に示している。無菌領域では、本発明による好ましい細長い洗浄装置(
図21~32)は、
図4のスリット、選択されたパターンで洗浄溶液が開窓を通して露出し、好ましい卵形ダムによって制約された創傷部位に噴霧する好ましいノズル構造(
図15~20および29)を有する装置の末端出口を通してユーザ(図示せず)によって導入される。本発明によれば、廃液は流出物を排出するために外科的吸引を行う必要がなく、制御された設定なしで外来患者ベースでの治療を可能にする創傷部位から流れ出て非無菌の収集ゾーンに流入する。
【
図6】
図6は、流体隔離ローラーポンプ(蠕動ポンプとしても知られている)をさらに含む、無菌領域に突き出ている
図5と関連して参照される本発明の装置を使用する好ましい創傷洗浄システムの側面図である。フレキシブルチューブが、スパイクハンギングコンテナーから無菌領域の外側のポンプのローラーに通されて、無菌フィールド内のノズルで終了する、好ましい細長い洗浄装置まで通過し、チューブは、好ましくは無菌洗浄溶液(例:生理食塩水)を運ぶ)から、吊り下げられたコンテナからポンプまで、ここで溶液はチューブ内で加圧され、好ましい洗浄装置に送られ、そのノズルから独特のパターンで創傷部位に噴霧される。それにより、溶液がノズルから出るときに溶液がノズルから出るときに、溶液が無菌の供給源から非無菌の設定を介して無菌領域に流れ込むため、チューブの外側の溶液とポンプ構造との直接の接触を回避して、ユーザーを保護するバッグで無菌のまま(図示せず)本発明に従って、エアロゾル化された生物膜からであり、バッグの収集ゾーンで固化される非滅菌使用済み溶液内に生物膜を含む。
【
図7】
図7は、
図6の側面図であり、部分的に拡大されて蠕動ポンプおよびチューブセットをより詳細に示し、傾斜した患者を取り囲むように伸ばされ、さらに、本発明のシステムのユーザ(図示せず)によるその速度(RPM)の動作制御のための、好ましいフットコントロールペダルがポンプに電気的に接続されていることを示している (
図13~14A~14B)。
【
図8】
図8は、
図6~7の正面図である。本発明による、バッグ内の対象装置(
図9~10)から無菌領域の患者の創傷部位に進む無菌洗浄溶液を示すために部分的に拡大した。
【
図9】
図9は、反対側の端部の1つが両面テープおよび/または開口部に沿った他の閉鎖具で密封されていない他端で密封および切断されており、前述のように、袋の封印されていないマージンと、開窓を囲むテープダムが好ましい卵形の形状をしている端部バッグ(
図4~8)の平面図である。
【
図10】
図10は、
図1~2のバッグの底面図である。バッグの患者側に貼られたテープを示す。
【
図11】
図11は、本発明の装置、特にアセンブリ、より具体的には創傷洗浄システム(
図4~8)によって治療されている後胴部創傷を露出している腹臥位患者の側面図である。本発明によれば、胴の傷に適応したシステムで、胴のバッグ内の廃液を下流で収集するために、無菌の洗浄液を、創傷部位を取り囲む無菌領域に輸送するチューブセットと共に無菌操作領域の外側で蠕動ポンプを操作するフットペダルをさらに含む。
【
図12】
図12は、
図11の平面図であり、部分的に切り取られており、処理の終了時に流出物をコンパクトに処分するために流出物をゼラチン状の状態に固める凝集性材料によってバッグ内に収集するために、創傷組織を清拭し、廃液と共に持ち去られる生物膜を破壊するための本発明の装置、アセンブリおよびシステムの特徴的な洗浄スプレーを示す。
【
図13】
図13は、本システムの蠕動ポンプを操作する好ましいペダル、すなわち、蠕動ポンプ速度(RPM)を増加または減少させるためのアナログまたはデジタル信号のいずれかを生成する可変フットペダルのためのオプションの制御の概略図である。
【
図14A】
図14Aは、抵抗変化がポテンショメータを回転または変換してポンプ速度に影響を与える1つのオプションのアナログペダル制御設定をさらに明瞭にする概略図である。
【
図14B】
図14Bは、光学的または電気的信号を使用してエンコーダ内のティックをカウントすることによってデジタル信号を作成する別のオプションの制御設定をさらに明瞭にする概略図であり、信号は次いでシステムに入力され、アナログデジタルコンバーターまたはカウントマイクロプロセッサを介して0から1までのデジタルスケールに変換される。デジタルスケールは、ステッピングモーターのサイクル間の時間ステップを変更するために使用されるため、ステッピングモーターが位相を交互に切り替えると、次の相の各充電間のラグが変調される。デジタル信号によって、スケーリングされた入力信号(最小遅延/入力信号)の最小遅延を除算することによって時間遅延が変更され、入力信号が1から0に減少すると、モーターの速度が低下する。
【
図15】
図15は、本発明の代替の好ましい洗浄装置の側面図であり、代替のハンドルグリップによって取り囲まれている装置のチューブを通る洗浄溶液の流れを示している。溶液は創傷を洗浄する独特の平らな噴霧パターンを与える溶液が出る本発明の好ましいノズルを通って出る。
【
図16】
図16は、本発明によるそのハンドルの好ましい成形構造を示す、
図15の端面図である。
【
図17A】
図17Aは、本発明の代替のねじ付きノズルの拡大斜視図であり、
図29にさらに示されるVノッチを示す。
【
図18】
図18は、患者の所定の位置にある四肢バッグの側面図であり、本システムの無菌領域に入る本発明の装置を示し、楕円形のテープダムと放射状にあけた開窓で囲まれた創傷への装置のフラット噴霧パターンをさらに示す。
【
図19】
図19は、
図17A~Bのノズルの側面図であり、本発明によるチャネル(仮想線)およびVノッチを示している。
【
図21】
図21は、本発明の球根形状を有する好ましい装置の外観斜視図である。
【
図28】
図28は、本発明のハンドピースによって捕捉されたチューブを示す、
図24の装置の完全断面図である。
【
図29】
図29は、本発明による、外部トリム取付具用のプラグの断面図である。
【
図30】
図30は、
図21と同様の後部外部斜視図であり、装置の成形された半分を確実にスナップ留めするための好ましいロッキングタングを示す。
【
図31A】
図31Aは、本発明のチューブを捕捉するための装置の半分の対応するスナップ結合要素を示す、ノズル接合部で部分的に切り取られた一致する内部斜視図である。
【
図31B】
図31Bは、本発明のチューブを捕捉するための装置の半分の対応するスナップ結合要素を示す、ノズル接合部で部分的に切り取られた一致する内部斜視図である。
【
図32】
図32は、本発明による、装置の内側半分(点線)の嵌合要素を示す分解斜視図であり、特に、ノズルに対するチューブを示し、ノズルの固定バーブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の態様は、本発明の特定の実施形態に向けられた以下の説明および関連する図面に開示されている。本発明の精神または範囲から逸脱することなく、代替の実施形態を考案することができる。さらに、本発明の例示的な実施形態の周知の要素は、本発明の関連する詳細を不明瞭にしないように、詳細に説明されないか、または省略される。さらに、説明の理解を容易にするために、本明細書で使用されるいくつかの用語の議論は以下のとおりである。
【0045】
「例示的」という用語は、本明細書では、「例、事例、または例証としての役割を果たす」ことを意味するために使用される。本明細書で「例示的」として説明される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。同様に、「本発明の実施形態」、「実施形態」または「発明」という用語のいずれも、本発明のすべての実施形態が論じられた特徴、利点または動作モードを含むことを要求しない。
【0046】
実施形態は、創傷洗浄のために蠕動ポンプおよびチューブセットを利用するほぼすべての要素と協働するように、本明細書で教示されるように設計され得る。例えば、実施形態は、当業者によって理解されるように、本装置、アセンブリ、およびシステムの様々なスタイルおよび形状と協働するように設計され得る。
【0047】
それにもかかわらず、例示の目的で、非限定的な様式で、少なくとも1つの例示的な実施形態が、装置ノズルに関して本明細書で説明される。直前の装置ノズルの代替である少なくとも別の実施形態が提供される。それに対するさらに別の代替実施形態がさらに提供される。
【0048】
本発明の1つの態様によれば、
図5~12および
図15~32に一般的に示されている医療装置10は、患者の創傷部位12の創面切除および洗浄用である。装置10は、概して20で示されるリザーバから洗浄溶液18を受け取るように適合された近位部分16、特有のノズル24を有するチューブ14の遠位部分22、溶液を輸送するための中間部分26を備えているチューブ14を含む。チューブ14は、ユーザー30が操作できるバレル28を備えている(
図4の装置の入口スリットを切り開いて示す)。創傷部位12に対して装置10を配置する。ノズル24は、半球状の第1の空間構造36を呈する遠位に延びるチャネル34と、Vノッチ40で半球状の末端36と交差する第2の空間構造38を呈する本体に形成された近位に延びる開口とで形成された本体32を有する(
図29)。この形状は、以下で説明する流れの力学の原理から導き出されるように、ノズルの「有効直径」として説明されるものを定義する。ノズル24から創傷12への対応する噴霧パターンおよび他の流れ特性を決定するのはこの数値、すなわち値の範囲である。
【0049】
次に、装置10のいくつかの好ましい実施形態を、その特徴の様々な配置の組み立てに関連して説明する。ノズル24はまた、好ましくは、チューブ14の遠位先端または部分22上の固定位置にある。これはまた、ハンドピースに対するチューブ14の回転を同時に防止する、その代替形態(
図5~8および
図15)で一般に42で示されるハンドピース内に捕捉されることが好ましく、より好ましくは、ハンドピースはそれらの間の相対的な動きを防ぐバレル28に取り付けられる。装置10は、好ましくは、バレル28に取り付けられたピン等47(
図15)によって一緒に保持された横半分45からなる一体型フィンガーグリップ43が形成されたハンドピース42を有し、それらの間の相対運動を防止する。
【0050】
あるいは、ハンドピース42はプラスチックであり、44で示される球状成形形状で細長く、チューブの遠位先端22でチューブ14およびノズル24を捕捉し、それらの間の相対運動を防止する。ハンドピース42が、それらの間の相対運動を防止する相補的な回転防止構造(図示せず)を含む、遠位先端22でノズル24を構造的に捕捉することも好ましい。あるいは、ハンドピース42は、遠位先端22でノズル24を捕捉し、ノズルは、射出成形プラスチックで作られ、代替的に、接着剤または超音波溶接(図示せず)によってそれぞれ先端およびハンドピースに結合され、それらの間の相対運動を防止する。あるいは、ノズル24は、真ちゅうまたはステンレス鋼などの金属材料であってもよく、遠位先端22の内径(矢印48)にチャネル34を合わせるねじ付き46またはクリンプ(図示せず)ファスナーを使用して、遠位先端22でハンドピース42に機械的に固定されてもよい。通気孔50は、ハンドピース42およびバレル28に形成され、ユーザー30による洗浄溶液18の流れの手動調節を可能にする。
【0051】
次に、ノズル24の様々な好ましい構成について説明する。装置10は、好ましくは、本体32内の図示のくさび形状、円錐形状(議論されているが図示されていない)、四面体または星型(図示されていない)構成36から選択された空間形状で形成されたその近位前開口を有するノズル24を含む。ノズル24は、より好ましくは、近位に延びる、概ねくさび形の構成36(
図17A~Bおよび19~20A~B)を有する。本体32は、チャネル34の半球形末端38と交差するVノッチ40などの頂端空間部分36を提示する。図には具体的には示されていないが、ノズルが本体の近位方向に延びるほぼ円錐形の形成を有し、コーンが上記で説明したくさび形の実施形態のVノッチに関して図示および説明したものと同様のチャネルの半球形の末端と交差する先端の空間構造を示すことが好ましい。ノズル24は、コストおよび成形性の設計に応じて、PVCなどの射出円錐成形プラスチック材料で構成することができ、一方、チューブ14は、おそらくはPVCである押出プラスチック材料で作られる。
【0052】
図には示されていないが、チューブは多角形断面で押し出し成形され、ハンドピースとノズルはそれぞれ適切な方法で相互間の相対運動を防止する相補的な多角形断面で射出成形されてもよい。
【0053】
次に、様々な好ましい性能属性について説明する。ノズル24の有効直径によって決定される望ましい噴霧パターンは、一般にチャネル34の軸に垂直に近づく平坦なパターンであり、これは、示されている典型的な創傷12のプロファイルと比率に対応する(
図5~8、11、12、18)。チャネル34(
図29)の軸49(
図15)に対して概ね平坦な噴霧パターンの入射角52は、好ましくはゼロよりも大きいが約30度未満である。あるいは、有効直径によって決定される、チャネル34の軸に対する噴霧パターンの入射角52は、約60度より大きく約90度より小さい一般に矢形であってもよい。あるいは、ノズル24の有効直径によって決定される、チャンネル34の軸に対する噴霧パターンの形状および入射角52は、概ね円錐形であり、約30度と約60度の間であり得る。より鋭角な入射角の2つの範囲は示されていない。また、本体に形成された円錐プロファイルも示されていないが、パフォーマンスの目的に応じて、本発明の可能な実施形態として以下に説明されている。
【0054】
本発明の第2の態様によれば、創傷洗浄アセンブリ54が説明される。含まれるのは、洗浄溶液18のリザーバ20と遠位先端33を介した出口との接続のための入口16を有するチューブ14を備えた装置10であり、ハンドピース42はバレル28を捕捉する。
【0055】
ノズル24は、チューブ出口22の内径48と位置合わせされ、ハンドピース42によって捕捉され、それらの間の相対運動を防止する。また、アセンブリ54には、胴体創傷バージョン56と四肢創傷バージョン58の2つのバリエーションが示されている透明なプラスチック製の封じ込めおよび収集バッグが含まれている。バッグ56、58は、下部患者側層60および上部装置受容層62を含むスプール65(
図3A~B)から概ね管状のシート素材を伸ばして作られている(矢印63)。患者側層60は、創傷12に対応する大きさの開窓64と、片側68が開窓の外縁に沿って患者側層に接着された両面接着テープ66とを有する。テープ66は、テープの反対側72が創傷12と整列して患者の体74に接着されるとき、多角形(
図1)または丸みを帯びた(
図2)側方流動バリア70を形成する。バッグ56、58の上面62により、ユーザが選択したランダムアクセスポイントを、ハサミ74でバッグに入れられ、ノズル24が通過することにより、無菌溶液18が、所与のバッグ内で区切られた無菌操作フィールド76に輸送される。
図9では、卵形テープダム66が示され、
図5~8に示されるように、身体の四肢を挿入するための開放端59を有する四肢バッグ58が示されている。開放端59には、両面テープ67が設けられており、
図4~8に示されるように、フックおよびループ材料(Velcro(登録商標))で作られた伸縮性のあるギャザーを備えることもできる。ノズル24は、半球状の第1の空間構造38を呈する遠位につながるチャネル34と、半球状の末端と交差する第2の空間構造40を呈する本体に形成された近位につながる開口部36とで形成された本体32を有する。この関係は、創傷12への対応する噴霧パターンを決定するノズル24の有効直径を定義する。
【0056】
本洗浄システムの蠕動ポンプ77は、本発明のいくつかの例示された実施形態によって示されるスプレーノズル24の先端によって作成される噴霧パターンである重要な特徴を有する。このシステムは、創傷清拭およびデトリタスの除去のために、低圧(15PSI未満)下で創傷12の表面に向けられる洗浄流体の直接連続流を利用する。ポンプ79は、入口部分87および出口部分16を含むチューブセットと共に使用される。これは、脈動洗浄器とは異なる。
【0057】
前述のシステム、すなわち、ミニピストンポンプが、同じ圧力レベル(15PSI未満)を達成する流体流のピーク圧力まで流れを加速するパワーストロークを生成するシステム。脈動ポンプフローの主な特徴は、流体がチップ(図示せず)から排出されるときに作成される「スプラッシュ」効果である。先端の寸法を変更すると、脈動流が変化する可能性があるが、ピーク圧力での爆発的な放電により、エアロゾル化された噴霧が発生し、医療従事者や患者に健康被害をもたらす生物膜の破壊を引き起こす。
【0058】
蠕動洗浄結果の重要な決定は、まさにノズルスプレーがどのように見えるかである。オプションには、さまざまな角度の扇形、円錐形、四角形などがある。
図29の扇形スプレーノズルの図に続いて、スプレーフローを決定する2つの重要な要素がある。第1は、入口35からノズル先端まで延びる半球形の穴34である。半球のドーム38から先端表面までの距離は、噴霧パターンの幅を決定することにより、ファンスプレーに影響を与えることができる。ドーム38が表面に近ければ近いほど、「V」ノッチ40はより広くなり得、これはより広い噴霧パターンを可能にする。ドーム38が先端から離れるにつれて、「V」ノッチは狭くなり(図示せず)、これにより噴霧パターンが狭くなる。表示されていないが、コーンスプレーでも同様の効果が発生する可能性があり、コーンは先端から半球までドリルダウンされる。「V」ノッチは、半球表面(図示せず)を正確に中心とする遠位面における軸平面カットとして作成することができる。「V」カットのリムは、幅が広くても狭くてもよい。「四角形」の噴霧パターンを作成するには、半球を中心とし、最初のカットに垂直な2番目の「V」字型のカットを作成できる(図示せず)。よく知られているBeteカタログの57ページにある、標準フラットスプレーノズル;NF10-1/8"NPT15 PSI;Max Flow 0.61 GPM-同等のチップオリフィス径-0.080“スプレー角度30°、65°を参照してください。使用可能な材料は、真鍮、303ステンレス鋼、316ステンレス鋼、PVC(プラスチック)である。
【0059】
他の重要な考慮すべき事項は、ポンプのRPMが最大に達したときに許容される最大圧力(15PSI)に近似する蠕動ポンプ77のフローレートである。ノズルスプレー52の生成における微妙な違いは、材料の機械加工または成形プロセスに特有であるので、ノズル先端24の穴38の表面積は、所与の流量で圧力を決定する。従って、システム設計は、選択された圧力限界、所与のRPMでの蠕動ポンプ77によって決定される最大流量、および最終的な先端領域から逆に機能しなければならない。
【0060】
図13では、フットペダル79によって操作される蠕動ポンプの速度を調整するためのデジタル信号を作成するシステムが開示されている。このシステムは、光学式または光学式を使用してエンコーダのティックをカウントするステップと、電気信号とシステムに信号を入力するステップを含む。さらなるステップは、信号入力を、アナログ・デジタル変換器75または計数マイクロプロセッサのいずれかを介して、0から1のデジタル・スケールに変換することである。ステッパーモーター81が提供され、デジタルスケールは、ステッパーモーターのサイクル間の時間ステップを変更するために使用される。ステッピングモーター81の相は交互になっている。デジタル信号による位相の各電荷間の遅れが変調される。時間遅延83は、最小遅延/入力信号について、スケーリングされた入力信号85にわたる最小遅延を除算することによって変更される。
【0061】
図14Aは、フットペダル79制御システムの様々な電気的に制御される構成要素の基本的な配線図を示し、読者は、構成要素の設定に付随する説明ラベルから自明であると理解すべきである。
【0062】
図14Bは、抵抗の変化89がポテンショメータを回転または移動させてポンプ速度に影響を与える1つのオプションのアナログペダル79制御セットアップを示す。
【0063】
アセンブリ54のバッグ56、58は、収集および廃棄をより容易にするために、バッグ56内の流出物71を固化する殺生物性凝集材料55を含むことが好ましい。アセンブリ54のバッグ56、58は、好ましくは長方形の形状を規定し、対向する長手方向側(すなわち、巻き取り方向)の長手方向の折り目57でシールされ、バッグブランクの端部69で切断されインパクトシール(矢印61)される。この構成は、胴部創傷洗浄処置に理想的に対応し、開窓部64は、テープダム66によって患者の体74に接着されるバッグ56の長手方向の折り目57と端部(網掛けの細かい部分)の中間に形成される。バッグ58は、開口端部59の反対側の端部の1つだけで(図示のようにレバーの作用により)切断され、密封されるので、長方形の角のある袋のブランクの3つの側面が閉じられる。したがって、一端に開口部59があり、その上に創傷12を洗浄するために上体または下体の端部74を進入させることができる。開放側59は、手技の完了前にバッグ56が外れるのを防ぐために、テープおよび/またはギャザー67によって端部74の周りに固定されている。テープダム66は、胴バッグ56の設計と同様に、収集および廃棄のためにバッグ内の流出物71の横方向の流れを制限する。アセンブリ54のノズル24は、本体32に代替的に好ましい近位方向に延びる概ねくさび形の構成36を有し、噴霧パターン52を決定するためにチャネル34の半球形末端38と交差する頂端空間部分を提供する。図において、組立てノズルは、本体内に近位方向に延びる概ね円錐形状の形成を有し得、円錐は、チャネルの半球形の末端と交差する頂端空間構造を提示する。組立ノズルは、好ましくは、創傷12のプロファイルと一致するほぼ平坦な噴霧パターン52を決定する有効直径を有する。組立ノズルは、本体に近位方向に延びる概ね円錐形の形成を有してもよく、円錐は、チャネルの半球形の終端と交差する頂端空間構造を提示する。
【0064】
本発明の第3の態様によれば、外来創傷12の創面切除および洗浄用システムがここで説明される。装置10は、その間にバレル28を備えた入口16および出口先端24を有するチューブ14と、バレルの周りの固定位置に取り付けられたローブ44を備えた細長いハンドピース42とを含む。ノズル24は、それぞれノズル、チューブ、ハンドピース間の相対運動なしに、チューブ14とハンドピース42の遠位部分26に取り付けられている。アセンブリ54に関連して上述したように、バッグ周辺の少なくとも3つ(58)から4つ(56)すべての側を有する、概ね長方形の透明なプラスチックの管状の封じ込めおよび収集バッグは、シールされる。開窓64は、両面テープダム66に隣接するバッグの下部患者側62に形成される。患者74、流出物の収集およびバッグの廃棄のために、流出物71の横方向の流れをバッグ内の空間に制限する。開窓64および対応するテープダム66のプロファイルは、所与の創傷部位12に応じて、概ね丸みを帯びた形状または多角形の形状(
図1~2)から選択される。
【0065】
図21~32をさらに参照すると、本発明の球根状グリップ44を備えた好ましいプラスチック製ハンドピース42によってしっかりと囲まれた送達チューブ14を備えた装置10が示されている。次に、ハンドピース42との相対運動に抗してチューブ14を確実に捕捉するために、それらの嵌合半分を一緒にスナップ留めするためにハンドピース内に成形される様々な協働する締結部材について説明する。
図21~26は、人間工学に基づいたハンドピース42を示す、装置10の一連の直交する外面図である。共通の構造は、ノズル24およびVノッチ36、通気孔50、および細長い下向きテーパーネック37によって示される。
図27は、ネック37の遠位端41と連動する近位ノズルのバーブ39を示す。
図28は、Vノッチから離間した半球形末端38を備えたチャネル34に通じるノズルのボアと内径が整列したチューブ14の完全に捕捉された長さを示す。前述のように、ハンドピース42の隣接する構造は、チューブ14の通過に対して示されている。
図30は、ロッキングタング45を介して一緒にスナップ留めされた好ましい球状ハンドピース42の嵌合半分を示し、ネック37からノズル24につながる目に見えるモールドパーツラインも示す。
図31Aおよび31Bは、ロッキングタング45をさらに明らかにするために切り取られ、チューブ14は、
図31Bからペグ96を受け入れるためのリブ14とシート90を保持し、成形された両方の半分にある周辺位置合わせ溝92を嵌合する。
図31Aの102に着座する近位棘100上の鋸歯状の溝94は、装置10のハンドピース42の嵌合半分を分解した形で示している。
図32は、装置10のハンドピース42の嵌合半分を分解した形で示している。内部スナップイン構造は、
図31Aおよび
図31Bに関連して上で詳述したように、対向する成形された半分上で互いに対応する関係で示されている。
【0066】
システムは、安全性および有効性の観点から、グルコン酸クロルヘキシジン(「CHG」)などの防腐剤を含む使い捨てワイプ(図示せず)を備えた滅菌パケットを含むことが好ましい。別の代替の防腐剤は、効果的な細菌生物膜制御を示した次亜塩素酸であるが、消毒剤の規制承認は、創傷洗浄と比較して進行中である。次亜塩素酸は、光学的剤形で、現在OTC製品で入手可能である。
【0067】
重要なことに、装置アセンブリおよびシステム:上記の本発明の態様は、上述した通り、リザーバ20から洗浄溶液18が供給されるチューブセット(16;87)を取り付けた蠕動ポンプ77を使用する。蠕動ポンプシステムでポンプ圧力を計算するには、基本的な流れである速度とポンプチューブの内径を知る必要がある。ベルヌーイの公式を使用すると、比較のためのシステムの圧力を決定できる。
【0068】
P=(1/2)ρv2
1000kg/m3の定数としてρを有するベルヌーイ式。
【0069】
V=vA
流速とチューブ内径の面積の積からの体積流量。
【0070】
A=πD2(1/4)
チューブ内径の面積。
【0071】
P=(ρV2)/2A2
体積流量の代入。
【0072】
P=(8ρV2)/(π2D4)
面積の代入。
【0073】
ポンプは、15PSIの一定圧力で毎分約800ミリリットルから毎分約2550ミリリットルの間の流量を送達し、ここで、ノズル24の有効直径は約1.1ミリメートルと1.93ミリメートルとの間である。さらに有効直径が2.14ミリメートルの場合、毎分2550ミリリットルの最適流量のために16PSIの遠位端流れ圧力が生成される。これにより、3リットルのリザーバ20が溶液18を洗浄し、ほんの数分で排水される。毎分2550ミリリットルの流量で測定された最大設定が300BPMの蠕動ポンプで15PSIの流体圧力を実現する最適な遠位チューブ14の内径を計算するには、次の式を使用できる。
【0074】
P=(8ρV2)/(π2D4)
V=2550ml/min=0.0000425m3/sec
P=(8(1000kg/m3)×(0.0000425m3)2)/(π2D4)
P fоr 15PSI=103,421kg/meter sec2(パスカル)
D4=(0.00001445)m3/(1020724/m)
D=4√0.000000000014157=1.93mmまたは0.076インチ
【0075】
重きをおくべき他の要因は、このタイプの従来のデバイスの拍動流量によって拡大されるスプラッタ効果である。この場合も、ピストンポンプの圧力は一定であるため、RPMが低くても同じスプラッタ効果が発生する。不均一な流れの影響は、蠕動ポンプでかなり低いRPMで最小限に見られ、より高いRPMでは消失する。流体は圧縮性であるため、波は流体ローラの後に流体を引き寄せ、圧力はわずかに低下する。これにより、パルス状の流れと比較してバイオマスを除去するのにより効果的であると信じている装置の遠位端からの流体の定常的な連続的な流れが可能になる。
【0076】
蠕動ポンプ77の利点は、該ポンプが標準的なメンテナンスで何度も再利用できる耐久性のあるアイテムになることを含む。これにより、コストが削減される。ピストンポンプは無菌性を失い、バイオマス汚染の可能性があるため、1回の使用後に廃棄する必要がある。操作者は、蠕動ポンプ77のより低いRPMでより穏やかであり、より高いRPMでより活発で堅くなる蠕動ポンプ77で圧力制御を有する。これは、上の
図13および14A-14Bに関連して説明したように、手動ダイヤル、またはRPMを制御する電気的に作動する可変出力フットペダル79で行うことができる。
【0077】
中国常州のPrefluid Ltdによって製造された蠕動ポンプ、特に、.001-2700ml/minの流量範囲を持つモデルMP300-THI62が許容されている。MP300ラインのポンプの仕様は、2017年11月10日にwww.prefluid.net/medical-peristaltic-pump/MP300-peristaltic-pump.shtm1にアクセスされた。同様に、蠕動ポンプのPrefluid MP200ラインも特定の用途に許容されている。これらのMP200ポンプの流量は、 .001-560ml/minの範囲にあり、このポンプラインの詳細な仕様は2017年11月10日にwww.prefluid.net/medical-peristaltic pump/MP200-peristaltic-pump.shtm1.にアクセスされた。これらのMP200およびMP300ポンプは、メーカーから病院の外科的デブリードマンに適用できると言われている。
【0078】
現在の洗浄システム54における蠕動ポンプ77は、以下の特徴を有するいくつかの重要な特徴を有する。ポンプ77は、異なる洗浄排水の投与を可能にするオペレーターによって決定される可変流量を有する。通常の生理食塩水または水は、最大流量で許容される最大圧力で洗浄できますが、洗浄における0.05%グルコン酸クロルヘキシジン(Irrisept(登録商標))などの防腐剤溶液は、洗浄溶液18が創傷12に溜まるように非常に低い圧力で適用する必要がある。ポンプシステム77の独自の特徴は、異なる所望の圧力をかけられても異なる流体18、17を有する2つのバッグ19、20を示す同一のアセンブリ(
図5~8、11、12)の一部のままである、近位のチューブ洗浄チャネルに取り付けられた2つの個別の洗浄溶液18、17を有することである。別の重要な特徴は、本発明のいくつかの図示された実施形態(
図5~8、11、12、18)によって示されるスプレーノズル32の先端によって作成される噴霧パターンである。このシステムは、創傷郭清およびデトリタスの除去のために、低圧(15PSI未満)下で創傷12の表面に向けられる洗浄流体の直接連続流を利用する。経験的考察は、表面に対してある角度で向けられた流体による直接連続流は、表面に対して垂直に向けられた流れよりも効果的である可能性があることを示唆している。ポンプ77は、入口部分23Aおよび出口部分16を含むチューブセット16、23A~Cと組み合わせて使用される。
【0079】
前述の説明および添付の図面は、本発明の原理、好ましい実施形態および動作モードを示している。前述の説明および添付の図面は、本発明の原理、好ましい実施形態および動作モードを示している。これらは、制限的なものではなく例示的なものと見なされるべきである。しかしながら、本発明は、上述の特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態のさらなる変形が当業者によって理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明したように、本開示は、洗浄装置およびそのシステムについて有用である。
【符号の説明】
【0081】
10 装置
14 チューブ
16 近位部分
18 洗浄溶液
22 遠位部分
24 ノズル
28 バレル
34 チャネル
36 開口部
38 第1の空間構造
40 第2の空間構造
42 ハンドピース
43 フィンガーグリップ
49 軸
55 殺生物性凝集材料
56、57、58 バッグ
59 開口部
60 下部患者側層
62 上部装置受容層
64 開窓
66 テープダム
70 側方流動バリア
76 無菌操作領域
77 蠕動ポンプ
79 フットペダル
81 ステッピングモーター