(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】自動的な時間及び/又は日付の修正
(51)【国際特許分類】
G04C 9/00 20060101AFI20221223BHJP
G04C 3/00 20060101ALI20221223BHJP
G04R 60/14 20130101ALI20221223BHJP
【FI】
G04C9/00 301A
G04C3/00 C
G04R60/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021088982
(22)【出願日】2021-05-27
【審査請求日】2021-05-27
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・ラゴルゲット
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-257956(JP,A)
【文献】特開2004-271194(JP,A)
【文献】特開2008-191049(JP,A)
【文献】特開2005-337880(JP,A)
【文献】特開昭58-168986(JP,A)
【文献】特表2019-502904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 1/00 - 99/00
G04G 3/00 - 99/00
G04R 20/00 - 60/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己修正式の携行型時計(100)
により表示された時間を修正する方法(500)であって、
前記自己修正式の携行型時
計は、
時間および日付のアナログディスプレイと、少なくとも1つの受信要素(130)と、少なくとも1つの検出要素(
180)と、及び前記方
法を実行するための少なくとも1つの処理ユニット(150)とを備え、
前記方法(500)は、
前記日
付の現在時刻である少なくとも1つの
時間のデータ(131)を前記少なくとも1つの受信要素(130)によって受信する受信ステップ(510)と、
モーター(160)を有する前記少なくとも1つの検出要
素によって
、第1の期間(101)
と第2の期間(102)の間の
与えられた時間
において前記時計により表示された時間の変遷を検出する検出ステップ(520)と、
前記
与えられた時間と
、前記受信した時間データであってその受信から前記与えられた時間において前記時計により表示された時間の前記変遷の前記検出まで増分された時間データとの間の差を計算する計算ステップ(530)と、及び
前記差(530)の
前記計算の機能として、前記時計により表示された前記時間を前記少なくとも1つの処理ユニット(150)によって修正する修正ステップ(540)と
、のうちの少なくとも1つのステップを含
み、
前記時間の変遷の前記検出(520)は、前記モータ(160)のトルクの変化(527)により前記時計の前記アナログディスプレイにおいて日付(525)の変更を検出すること(520)を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの
時間のデータ(131)は、24時間制の
現在時
刻を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法(500)。
【請求項3】
前記第
2の期間(
102)は、夜の12時(境界を含む)から正午(境界を含まず)まで、すなわち、12:00 AM(境界を含む)から12:00 PM(境界を含まず)までであり、か
つ
前記第
1の期間(
101)は、正午(境界を含む)から夜の12時(境界を含まず)まで、すなわち、12:00 PM(境界を含む)から00:00 AM(境界を含まず)までである
ことを特徴とする請求
項2に記載の方法(500)。
【請求項4】
自己修正式の携行型時計(100)であって、
受信要素(130)と
、検出要素(
180)と
、処理ユニット(150)と
、を備え、
前
記受信要素(130)は、前記少なくとも1つの
時間のデータ(131)を受信するように構成しており、
前
記検出要
素は、前記第1の期間(101)と前記第2の期間(102)の間の
前記与えられた時間において前記時計により表示された時間の変遷を検出(520)するように構成しており、
前
記処理ユニット(150)は、前記
与えられた時間と
、前記受信した
時間のデータ(131)
であってその受信から前記与えられた時間において前記時計により表示された時間の前記変遷の前記検出まで増分されたデータとの間の
前記差(530)を計算して
、請求項1~
3のいずれか一項に記載の
前記時計により表示された前記時間の前記修正方法を実行する
ために前記モーター(160)をアクチュエートするように構成
されている
ことを特徴とする携行型時計(100)。
【請求項5】
前
記受信要素(130)は、電磁波及び/又は光波を受けるように構成している
ことを特徴とする請求項
4に記載の携行型時計(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子式の携行型時計(例、腕時計、懐中時計)に関し、特に、日付を表示するクオーツ式の携行型時計に関する。
【背景技術】
【0002】
市販のアナログ式クオーツ携行型時計は、ユーザーのみによって設定される。しかし、ユーザーは自分が設定している時間が午前なのか午後なのかをわかっていないことがあり、このために、日付が不適切に変更されてしまう。
【0003】
複数のセンサーを用いる手法はあるが、このような手法では、製造コストを上げ、製造時間を長くし、故障の確率を高くしてしまう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような状況で、本発明においては、自己修正式の携行型時計の修正方法によって、前記課題のすべて又は一部を克服することを提案する。前記自己修正式の携行型時計は、時間および日付のアナログディスプレイと、少なくとも1つの受信要素と、少なくとも1つの検出要素と、及び前記方法を実行するための少なくとも1つの処理ユニットとを備え、前記方法は、
- 前記日付の少なくとも1つの時間を含む少なくとも1つのデータを前記少なくとも1つの受信要素によって受信する受信ステップと、
- 前記少なくとも1つの検出要素によって第1の期間と第2の期間の間の与えられた時間において前記時計により表示された時間の変遷を検出する検出ステップと、
- 前記与えられた時間と、受信した前記日付の時間であってその受信から前記与えられた時間において前記時計により表示された時間の前記変遷の前記検出まで増分された時間との間の差を計算する計算ステップと、及び
- 前記差の前記計算の機能として、前記時間を前記少なくとも1つの処理ユニットによって修正する修正ステップと、のうちの少なくとも1つのステップ
を含み、前記時間の変遷の前記検出は、前記時計の前記アナログディスプレイにおいて日付の変更を検出することを含む。
【0005】
この構成のおかげで、前記自己修正式の携行型時計の日付及び/又は時間を修正することができる。
【0006】
一実施形態において、前記少なくとも1つの時間のデータは、24時間制の時間を含む。
【0007】
一実施形態において、前記第2の期間は、夜の12時(境界を含む)から正午(境界を含まず)まで、すなわち、12:00 AM(境界を含む)から12:00 PM(境界を含まず)までであり、かつ前記第1の期間は、正午(境界を含む)から夜の12時(境界を含まず)まで、すなわち、12:00 PM(境界を含む)から00:00 AM(境界を含まず)までである。
【0008】
このような構成の1つのおかげで、前記少なくとも1つのデータは、標準的なシステムにおける、日における時間を示す。
【0012】
前記日付の変更を検出することのおかげで、夜の12時を通過する表示された時間の変遷、を検出することができる。
【0013】
一実施形態において、前記日付の変更は、前記時計の前記アナログディスプレイを駆動するモーターのトルクの変化によって検出される。
【0014】
この構成のおかげで、日付の変更を検出することができる。
【0019】
本発明は、自己修正式の携行型時計にも関連し、これは、受信要素と、検出要素と、及び処理ユニットとを備え、
前記受信要素は、前記少なくとも1つの時間のデータを受信するように構成しており、
前記検出要素は、前記第1の期間と前記第2の期間の間の前記与えられた時間において前記時計により表示された時間の変遷を検出するように構成しており、
前記処理ユニットは、前記与えられた時間と、前記受信した時間のデータであってその受信から前記与えられた時間において前記時計により表示された時間の前記変遷の前記検出まで増分されたデータとの間の差を計算して、前記モーターをアクチュエートし、かつ、本発明に係る前記時計により表示された前記時間の修正方法を実行するように構成している。
【0020】
この構成のおかげで、前記自己修正式の携行型時計により表示された前記時間を修正することができる。
【0021】
一実施形態において、前記少なくとも1つの受信要素は、電磁波及び/又は光波を受けるように構成している。
【0022】
この構成のおかげで、前記少なくとも1つのデータを受信することができる。
【0023】
以下、例として与えられる添付の図面を用いて本発明について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】一実施形態に係る自己修正式の携行型時計100を示している。
【
図2】一実施形態に係る自己修正式の携行型時計100の修正方法500を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
前記のような事象は、電池を交換したとき、又は携行型時計が省電力モードを離脱するときであって、ユーザーが携行型時計の時間を設定しなければならないが、設定されている時間109が午前(AMとして知られている)なのか午後(PMとして知られている)なのかわからないときに、再現される。
【0026】
出願人は、少なくとも1つの受信要素130と、少なくとも1つの検出要素180と、及び修正方法500を実行するように構成している少なくとも1つの処理ユニット150とを備える自己修正式の携行型時計100を用いて、前記の課題のすべて又は一部を克服することを提案する。
【0027】
特に、本発明に係る方法の目的の1つは、前記自己修正式の携行型時計100の動作の初期の時間帯に、設定されている時間109が、前記自己修正式の携行型時計100が設定又は更新された時間に対応するものであることを検証することである。
【0028】
逆に、設定された時間109が日における時間に対応していない場合は、時間を進めたり(542)、戻したり(541)することで修正する。
【0029】
例えば、正午に日付の変更(527)が検出(520)された場合、前記修正方法500は、その日の正午又は翌日の夜の12時に、時間を12時間戻す(541)。
【0030】
逆に、前記修正方法500が夜の12時において変更を検出(520)しない場合、前記修正方法500は、夜の12時に時間を12時間進ませて(542)、日付の変更(527)を発生させる。
【0031】
このために、前記自己修正式の携行型時計100が再び電源オンになると、前記少なくとも1つの受信要素130は、電磁波及び/又は光波によって、第1の期間101及び第2の期間102から選択される少なくとも1つの(日における)期間を含む少なくとも1つのデータ131を受信する(510)。
【0032】
特に、前記少なくとも1つの処理ユニット150によって実行される前記修正方法500は、前記少なくとも1つの受信要素130を介して前記少なくとも1つのデータ131を受信する(510)。前記少なくとも1つの処理ユニット150は、例えば、電池交換後に、前記修正方法500の実行をトリガーすることができる。
【0033】
好ましくは、スマートフォン999を用いて、24時間制又は12時間制における時間、すなわち、標準的なシステムにおける分と秒によって構成する時間及び/又は少なくとも1つの日付、を含む前記少なくとも1つのデータ131を送信することができる。
【0034】
ユーザーは、時針110及び/又は分針120を所望の時間に動かすことによって、少なくとも1つの設定要素140を用いて時間101を設定することができる。このように、ユーザーは、前記時針110によっておおまかにインデックス「3」を示し、より正確にはインデックス「3」と「4」の間の空間を示し、そして、前記分針120によってインデックス「50」を示す。しかし、設定時間109が「3:50 AM」であるのか「3:50 PM」であるのかをユーザーが区別することは不可能である。ここで、「3:50 AM」は、例えば、夜の12時から正午までの間又は「12:00 AM」から「12:00 PM」よりも前までの時間である第2の期間102に属する時間であり、「3:50 PM」は、例えば、正午から夜の12時までの間又は「12:00 PM」から「12:00 AM」よりも前までの時間である第1の期間101に属する時間である。
【0035】
時間が変遷するにしたがって(511)、メモリー170に記憶されている前記少なくとも1つのデータ131は、変遷した時間とともに増分され、設定時間109は回転する(519)。すなわち、前記少なくとも1つのデータ131と設定時間109は、同様な形態で、時間とともに変わる(519)。
【0036】
前記第1の期間101と前記第2の期間102の間で時間が変遷するときに、前記修正方法500は、モーター160による前記日付ディスクの駆動(525)に起因するトルク変化(527)を、伝統的なデバイダーブリッジの形態であることができる前記少なくとも1つの検出要素180を介して検出し(520)、したがって、前記少なくとも1つの検出要素180に接続された前記少なくとも1つの処理ユニット150は、前記モーター160の消費電力を通してトルク変化(527)を検出する(520)。
【0037】
特に、前記自己修正式の携行型時計100が日付を変えるときに(527)、前記少なくとも1つの検出要素180は、前記第1の期間101と前記第2の期間102の間の前記設定時間109の前記変遷、好ましくは、前記第1の期間101から前記第2の期間102までの時間の前記変遷、を検出する(520)。温度のような特定の環境条件に応じて、前記少なくとも1つの処理ユニット150によって、極端な条件下においては、夜の12時を経過する前記変遷が40分も遅れて検出される(520)ことがある。
【0038】
したがって、日中から夜間への前記変遷、好ましくは夜の12時の前記変遷、が検出され(520)、前記少なくとも1つの処理ユニット150は、差を計算する(530)。すなわち、受信した前記少なくとも1つのデータ131から、ユーザーによって設定された前記時間109を減算する。
【0039】
前記差(530)がゼロである場合、ユーザーによって設定された前記時間109は、受信した前記少なくとも1つのデータ131に対応し、前記少なくとも1つの処理ユニット150によって何のアクションも行われない、又は前記設定時間109に「0」が加算される。特に、ユーザーによって設定された時間109は、前記少なくとも1つのデータ131に対して、数秒又は数分異なることがある。この場合、設定時間109の時間の単位量と、前記少なくとも1つのデータ131の時間の単位量との差が重要である。ゼロであるのは、この差(530)である。
【0040】
逆に、前記差(530)がゼロでない場合、前記少なくとも1つの処理ユニット150は、前記差(530)の結果に応じて前記時間を修正する(540)。すなわち、ユーザーによって設定された前記設定時間109が「3:50 PM」であり前記少なくとも1つの受信データ131が「3:50 AM」を示している場合、第2の変遷中又はその後に、前記修正(540)は、前記差(530)、すなわち、「-12時間」、を前記設定時間に加算する(545)。より正確には、前記少なくとも1つの処理ユニット150は、前記モーター160を反時計回りに回転させて(541)、夜の12時、すなわち、「12:00 AM」、ではなく、正午、すなわち、「12:00 PM」を示す。
【0041】
本発明によって第2のケースも提供される。前記差(530)がゼロではなく、ユーザーによって設定された前記時間109が「3:50 AM」であり、前記少なくとも1つの受信データ131が「3:50 PM」を示している場合、前記修正(540)は、第2の変遷中又はその後に、前記差(530)、すなわち、「+12時間」、を再び前記時間に加算(545)するためである。より正確には、前記少なくとも1つの処理ユニット150は、正午、すなわち、「12:00 PM」の代わりに、夜の12時、すなわち、「12:00 AM」を示すように、前記モーター160を時計回りに回転させる(542)。このようにして、時間が自動的に修正される。
【0042】
これらの修正(540)は、ユーザーに迷惑をかけないように日中又は夜間に後で行うことができ、前記差の計算(530)は、メモリーに格納された前記少なくとも1つのデータ131と、時間の変遷(519)にしたがって進展する設定時間109の間で行うことができることを忘れてはならない。結果は同じである。
【0043】
このように、本発明によって、電池交換後やタイムゾーン変更時に、スマートフォン999を介して前記少なくとも1つのデータ131を受信することができ、ユーザーの使い勝手が向上する。
【符号の説明】
【0044】
100 自己修正式の携行型時計
101 第1の期間
102 第2の期間
109 設定時間
130 受信要素
131 データ
140 設定要素
150 処理ユニット
160 モーター
170 メモリー
180 検出要素
999 スマートフォン