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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/076 20060101AFI20221223BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20221223BHJP
   F21V 7/08 20060101ALI20221223BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
B60Q1/076
F21V19/00 170
F21V19/00 150
F21V7/08 100
F21V5/04 550
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021519473
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 JP2020019196
(87)【国際公開番号】W WO2020230837
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2019092385
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019092386
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】田島 計一
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-052359(JP,A)
【文献】実開昭60-158602(JP,U)
【文献】特開2009-040266(JP,A)
【文献】実開昭54-163449(JP,U)
【文献】特開平07-223484(JP,A)
【文献】特開2012-156018(JP,A)
【文献】特開2008-123855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/076
F21V 19/00
F21V 7/08
F21V 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向と異なる方向に平行移動可能な出力軸を有するアクチュエータと、
揺動可能に支持される灯具ユニットと、
前記出力軸及び前記灯具ユニットに連結される伝達部材と、
を備え、
前記伝達部材は、シャフトによって支持され、前記出力軸が移動することで前記シャフトを軸として揺動する
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記シャフトの延在方向から見る場合に、前記伝達部材における前記灯具ユニットと接続される第1接続部と、前記伝達部材における前記出力軸と接続される第2接続部と、前記シャフトとが、所定の直線上に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記シャフトの延在方向から見る場合に、前記第1接続部及び前記第2接続部は、前記シャフトの中心軸を中心とする所定の円周上に位置する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記伝達部材は、先端部に前記第1接続部を有する柱状のアーム部を含み、
前記アーム部には、前記第1接続部から当該アーム部の延在方向に沿って孔が形成される
ことを特徴とする請求項2または3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記伝達部材における前記灯具ユニットと接続される第1接続部と、前記伝達部材における前記出力軸と接続される第2接続部と、前記シャフトとが、前記シャフトの延在方向と垂直な所定の平面と交わる
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記伝達部材は、前記シャフトの延在方向から見る場合に、前記伝達部材における前記灯具ユニットと接続される第1接続部と前記シャフトを結ぶ所定の線分を基準とする一方側から前記所定の線分を越えて他方側まで窪む凹部を有する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記アクチュエータが固定されるブラケットを更に備え、
前記ブラケットは、前記シャフトを支持する軸受部を有する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記ブラケットが固定されるブラケット固定部材を更に備え、
前記ブラケットは、前記ブラケット固定部材に固定される少なくとも2つの固定部を有し、
前記軸受部の少なくとも一部は、前記少くとも2つの固定部を通る特定の直線と垂直かつ前記少くとも2つの固定部のうち特定の固定部を通る第1平面と、前記第1平面と平行かつ前記少くとも2つの固定部のうち前記特定の固定部と異なる前記固定部を通る第2平面との間に位置する
ことを特徴とする請求項に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記ブラケットが固定されるブラケット固定部材を更に備え、
前記シャフトは、前記軸受部に形成される孔に挿入されて当該軸受部に支持され、
前記ブラケット固定部材は、前記シャフトの延在方向から見る場合に前記孔の少なくとも一部と重なり前記シャフトが前記孔から抜けることを止める抜け止め部を有する
ことを特徴とする請求項またはに記載の車両用灯具。
【請求項10】
軸方向と異なる方向に平行移動可能な出力軸を有するアクチュエータと、
揺動可能に支持される灯具ユニットと、
前記出力軸及び前記灯具ユニットに連結され、前記出力軸の移動方向と平行な方向に沿って移動可能な伝達部材と、
を備え、
前記出力軸の軸は、水平方向に延在し、
前記伝達部材における前記灯具ユニットと接続される第1接続部は、前記出力軸の軸を含み前記出力軸の移動方向に沿った面内方向を有する第1平面から離隔している
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項11】
前記出力軸の移動方向と平行な方向に延在し、前記伝達部材を支持するシャフトを更に備え、
前記第1接続部は、前記第1平面と平行で前記シャフトを通る第2平面を基準とする一方側に位置し、
前記伝達部材における前記出力軸と接続される第2接続部は、前記第2平面を基準とする他方側に位置する
ことを特徴とする請求項10に記載の車両用灯具。
【請求項12】
前記第1接続部と前記第2平面との距離は、前記第2接続部と前記第2平面との距離よりも大である
ことを特徴とする請求項11に記載の車両用灯具。
【請求項13】
前記第1接続部は、前記出力軸の軸方向と垂直かつ前記シャフトの中心軸を含む第3平面と交わる
ことを特徴とする請求項11または12に記載の車両用灯具。
【請求項14】
前記伝達部材は、前記出力軸の軸方向と垂直な方向に延在する板状部材とされ、
前記伝達部材には、前記出力軸が挿入される孔が厚さ方向に沿って形成される
ことを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項15】
前記出力軸の移動方向と平行な方向に延在し、前記伝達部材を支持するシャフトを更に備え、
前記伝達部材は、前記シャフトよりも前記第1接続部側に、前記シャフトの延在方向における幅が前記伝達部材における前記シャフトが挿入される孔が形成される部位の幅より小である幅狭部を含む
ことを特徴とする請求項14に記載の車両用灯具。
【請求項16】
前記伝達部材は、先端部に前記第1接続部を有する柱状の支柱部を含み、
前記支柱部には、前記第1接続部から当該支柱部の延在方向に沿って孔が形成される
ことを特徴とする請求項10から15のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具として出射する光の方向を変更できる機能を有するものが知られており、下記特許文献1にはこの機能を有する車両用灯具が開示されている。
【0003】
下記特許文献1に記載の車両用灯具は、軸方向と異なる方向に平行移動可能な出力軸を有するアクチュエータと、揺動可能に支持される灯具ユニットと、出力軸及び灯具ユニットに連結される伝達部材と、を備える。下記特許文献1には、この伝達部材が出力軸の移動方向と平行な方向に延在するシャフトによって当該シャフトに沿って移動可能に支持される形態が記載されている。この形態の車両用灯具では、アクチュエータの出力軸が移動することによって出力軸に接続される伝達部材が移動し、灯具ユニットが揺動される。そして、この形態の車両用灯具から出射する光の方向が変更される。
【0004】
また、下記特許文献1には、伝達部材が出力軸の移動方向と平行な方向に沿って移動可能とされる別の形態も記載されている。この別の形態では、伝達部材における灯具ユニットと接続される接続部は、出力軸の軸を含み出力軸の移動方向に沿った面内方向を有する平面と交わっている。この別の形態の車両用灯具では、アクチュエータの出力軸が移動することによって出力軸に接続される伝達部材が移動し、灯具ユニットが揺動され、車両用灯具から出射する光の方向が変更される。
【0005】
【文献】特開2018-052359号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様による車両用灯具は、軸方向と異なる方向に平行移動可能な出力軸を有するアクチュエータと、揺動可能に支持される灯具ユニットと、前記出力軸及び前記灯具ユニットに連結される伝達部材と、を備え、前記伝達部材は、シャフトによって支持され、前記出力軸が移動することで前記シャフトを軸として揺動することを特徴とする。
【0007】
第1の態様のこの車両用灯具では、アクチュエータの出力軸が移動することで出力軸に接続される伝達部材がシャフトを軸として揺動し、伝達部材が接続される灯具ユニットが揺動される。その結果、車両用灯具から出射する光の方向が変更される。ここで、一般的に、シャフトによって揺動可能に支持される部材を揺動する際に生じるシャフトと部材と間における摩擦のエネルギーは、シャフトによって当該シャフトに沿って移動可能に支持される部材を移動させる際に生じるシャフトと部材との間に摩擦のエネルギーよりも小さくなる傾向にある。第1の態様のこの車両用灯具では、上記のように、伝達部材はシャフトによって揺動可能に支持される。このため、伝達部材がシャフトによって当該シャフトに沿って移動可能に支持される場合と比べて、灯具ユニットを揺動する際に生じるシャフトと伝達部材との間における摩擦のエネルギーを小さくし得る。従って、アクチュエータにおける出力軸を移動させる駆動力を小さくし得、アクチュエータを小型化して車両用灯具を小型化し得る。このように、第1の態様のこの車両用灯具は、出射する光の方向を変更可能としつつ小型化し得る。
【0008】
また、第1の態様の車両用灯具では、前記シャフトの延在方向から見る場合に、前記伝達部材における前記灯具ユニットと接続される第1接続部と、前記伝達部材における前記出力軸と接続される第2接続部と、前記シャフトとが、所定の直線上に位置することとしてもよい。
【0009】
このような構成にすることで、出力軸を移動させる駆動力を灯具ユニットに効果的に伝達させ得る。このため、出力軸を移動させる駆動力を小さくし得、アクチュエータをより小型化して車両用灯具をより小型化し得る。
【0010】
この場合、前記シャフトの延在方向から見る場合に、前記第1接続部及び前記第2接続部は、前記シャフトの中心軸を中心とする所定の円周上に位置することとしてもよい。
【0011】
このような構成にすることで、出力軸を移動させる駆動力と概ね同じ力で灯具ユニットを揺動させ得る。
【0012】
また、第1の態様の車両用灯具では、前記伝達部材における前記灯具ユニットと接続される第1接続部と、前記伝達部材における前記出力軸と接続される第2接続部と、前記シャフトとが、前記シャフトの延在方向と垂直な所定の平面と交わることとしてもよい。
【0013】
このような構成にすることで、伝達部材に当該伝達部材がねじれるような力が作用することを抑制し得、出力軸を移動させる駆動力を灯具ユニットに効果的に伝達させ得る。このため、出力軸を移動させる駆動力を小さくし得、アクチュエータをより小型化して車両用灯具をより小型化し得る。
【0014】
また、第1の態様の車両用灯具では、前記伝達部材は、前記シャフトの延在方向から見る場合に、前記伝達部材における前記灯具ユニットと接続される第1接続部と前記シャフトを結ぶ所定の線分を基準とする一方側から前記所定の線分を越えて他方側まで窪む凹部を有することとしてもよい。
【0015】
また、第1の態様の上記車両用灯具は、前記アクチュエータが固定されるブラケットを更に備え、前記ブラケットは、前記シャフトを支持する軸受部を有することとしてもよい。
【0016】
第1の態様のこの車両用灯具では、ブラケットはシャフトを支持する軸受部を兼ねるため、部品点数が多くなることを抑制できる。
【0017】
また、第1の態様の車両用灯具がブラケットを備える場合、当該車両用灯具は、前記ブラケットが固定されるブラケット固定部材を更に備え、前記ブラケットは、前記ブラケット固定部材に固定される少なくとも2つの固定部を有し、前記軸受部の少なくとも一部は、前記少くとも2つの固定部を通る特定の直線と垂直かつ前記少くとも2つの固定部のうち特定の固定部を通る第1平面と、前記第1平面と平行かつ前記少くとも2つの固定部のうち前記特定の固定部と異なる前記固定部を通る第2平面との間に位置することとしてもよい。
【0018】
シャフトを支持する軸受部はシャフトから力を受けるため、ブラケットにおける軸受部の周辺は変形しやすい傾向にある。しかし、上記のような構成にすることで、ブラケットにおける軸受部周辺の剛性を向上させてブラケットが変形することを抑制し得る。
【0019】
また、第1の態様の車両用灯具がブラケットを備える場合、当該車両用灯具は、前記ブラケットが固定されるブラケット固定部材を更に備え、前記シャフトは、前記軸受部に形成される孔に挿入されて当該軸受部に支持され、前記ブラケット固定部材は、前記シャフトの延在方向から見る場合に前記孔の少なくとも一部と重なり前記シャフトが前記孔から抜けることを止める抜け止め部を有することとしてもよい。
【0020】
第1の態様のこの車両用灯具では、ブラケット固定部材はシャフトが孔から抜けることを止める抜け止め部を兼ねるため、部品点数が多くなることを抑制できる。
【0021】
本発明の第2の態様による車両用灯具は、軸方向と異なる方向に平行移動可能な出力軸を有するアクチュエータと、揺動可能に支持される灯具ユニットと、前記出力軸及び前記灯具ユニットに連結され、前記出力軸の移動方向と平行な方向に沿って移動可能な伝達部材と、を備え、前記伝達部材における前記灯具ユニットと接続される第1接続部は、前記出力軸の軸を含み前記出力軸の移動方向に沿った面内方向を有する第1平面から離隔していることを特徴とする。
【0022】
第2の態様のこの車両用灯具では、アクチュエータの出力軸が移動することで出力軸に接続される伝達部材が出力軸の移動方向と平行な方向に沿って移動し、伝達部材が接続される灯具ユニットが揺動される。その結果、車両用灯具から出射する光の方向が変更される。また、第2の態様のこの車両用灯具では、上記のように、第1接続部は出力軸の軸を含み出力軸の移動方向に沿った面内方向を有する第1平面から離隔している。このため、上記特許文献1に記載の別の形態の車両用灯具のように第1接続部がこの第1平面と交わっている場合と比べて、アクチュエータに対する第1接続部の位置の制約が少ない。従って、この場合と比べて、アクチュエータの配置の自由度を向上し得、車両用灯具の設計の自由度を向上し得る。
【0023】
また、第2の態様の車両用灯具では、前記出力軸の軸は、水平方向に延在することとしてもよい。
【0024】
また、第2の態様の上記車両用灯具は、前記出力軸の移動方向と平行な方向に延在し、前記伝達部材を支持するシャフトを更に備え、前記第1接続部は、前記第1平面と平行で前記シャフトを通る第2平面を基準とする一方側に位置し、前記伝達部材における前記出力軸と接続される第2接続部は、前記第2平面を基準とする他方側に位置することとしてもよい。
【0025】
このような構成にすることで、シャフトに当該シャフトが湾曲するような力が作用することを抑制し得、出力軸を移動させる駆動力を灯具ユニットに効果的に伝達させ得る。このため、出力軸を移動させる駆動力を小さくし得、アクチュエータを小型化して車両用灯具を小型化し得る。
【0026】
また、第2の態様の車両用灯具がシャフトを備える場合、前記第1接続部と前記第2平面との距離は、前記第2接続部と前記第2平面との距離よりも大であることとしてもよい。
【0027】
このような構成にすることで、伝達部材における第2接続部とシャフトとの間の部位がたわむことを抑制し得る。このため、第2の態様のこの車両用灯具は、出力軸を移動させる駆動力がシャフトに作用することを抑制でき、駆動力を灯具ユニットに効果的に伝達させ得る。
【0028】
また、第2の態様の車両用灯具がシャフトを備える場合、前記第1接続部は、前記出力軸の軸方向と垂直かつ前記シャフトの中心軸を含む第3平面と交わることとしてもよい。
【0029】
このような構成にすることで、第1接続部が第3平面と交わらない場合と比べて、伝達部材における第1接続部とシャフトとの間の部位がたわむことを抑制し得る。従って、第2の態様のこの車両用灯具は、出力軸を移動させる駆動力を灯具ユニットに効果的に伝達させ得る。
【0030】
また、第2の態様の車両用灯具では、前記伝達部材は、前記出力軸の軸方向と垂直な方向に延在する板状部材とされ、前記伝達部材には、前記出力軸が挿入される孔が厚さ方向に沿って形成されることとしてもよい。
【0031】
このような構成にすることで、出力軸の軸方向における伝達部材の幅を小さくし得、車両用灯具を小型化し得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1実施形態における車両用灯具を示す図である。
図2】アクチュエータ、ブラケット、及び伝達部材を示す斜視図である。
図3図2に示すアクチュエータ、ブラケット、及び伝達部材の分解斜視図である。
図4図2に示すアクチュエータ、ブラケット、及び伝達部材の正面図である。
図5図4のV-V線における断面図である。
図6図4のVI-VI線における断面図である。
図7】第1ベアリング保持部材の断面図である。
図8】アクチュエータの出力軸が前方に移動した車両用灯具の状態を図1と同様の方法で示す図である。
図9】アクチュエータの出力軸が後方に移動した車両用灯具の状態を図1と同様の方法で示す図である。
図10】本発明の第2実施形態における車両用灯具を概略的に示す正面図である。
図11図10のXI-XI線における断面図である。
図12図10のXII-XII線における断面図である。
図13】アクチュエータ、ブラケット、及び伝達部材を示す斜視図である。
図14図13に示すアクチュエータ、ブラケット、及び伝達部材の正面図である。
図15図13に示すアクチュエータ、ブラケット、及び伝達部材の分解斜視図である。
図16図13に示すアクチュエータを拡大して示す図である。
図17図13に示すアクチュエータ、ブラケット、及び伝達部材の側面図である。
図18図17のXVIII-XVIII線における断面図である。
図19図13に示すブラケットを拡大して示す図である。
図20図14のXX-XX線における断面図である。
図21】第1ベアリング保持部材の断面図である。
図22】アクチュエータの出力軸が前方に移動した車両用灯具の状態を図12と同様の方法で示す図である。
図23】アクチュエータの出力軸が後方に移動した車両用灯具の状態を図12と同様の方法で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る車両用灯具を実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更、改良することができる。なお、以下で参照する図面では、理解を容易にするために、各部材の寸法を変えて示したり、参照符号を省略したりする場合がある。
【0034】
(第1実施形態)
本発明の第1の態様としての第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態における車両用灯具を示す図であり、車両用灯具の鉛直方向の断面を概略的に示す図である。本実施形態の車両用灯具1は車両の前方に向けて光を出射する車両用前照灯とされる。図1に示すように、本実施形態の車両用灯具1は、筐体10と、灯具ユニット20と、アクチュエータ50と、ブラケット70と、伝達部材80と、を主な構成として備える。
【0035】
本実施形態の筐体10は、ランプハウジング11とフロントカバー12とを備える。ランプハウジング11は、前後方向に延在する筒状の枠壁13と当該枠壁13の後方側の開口を塞ぐ後壁14とによって、前方に1つの開口を有する箱状に構成される。このランプハウジング11の開口を塞ぐようにフロントカバー12が枠壁13に固定されている。ランプハウジング11と当該ランプハウジング11の前方の開口を塞ぐフロントカバー12とによって形成される空間は灯室Rであり、この灯室R内に灯具ユニット20、アクチュエータ50、ブラケット70、及び伝達部材80が収容される。
【0036】
灯具ユニット20は、筐体10に揺動可能に支持され光を出射するように構成される。本実施形態の灯具ユニット20は、光を出射する光出射部21及び支持部40を主な構成として備える。本実施形態の光出射部21は、光源22、ヒートシンク24、リフレクタ27、投影レンズ28、及びレンズホルダ30を主な構成として備える。
【0037】
光源22は光を出射する発光素子であり、本実施形態の光源22は白色の光を出射するLED(Light Emitting Diode)とされ、基板23に実装されている。なお、光源22の種類は特に限定されるものではない。光源22として、例えば、LD(Laser Diode)、OLED(Organic Light-Emitting Diode)等を用いることができる。また、光源22の数や光源22から出射する光の色も特に限定されるものではない。
【0038】
ヒートシンク24は、概ね水平方向に延在する金属製の主板25を有し、当該主板25の下方の面側には複数の放熱フィン26が主板25と一体に設けられている。ヒートシンク24における主板25の上面には基板23が搭載される。光源22が発する熱の一部は基板23を介してヒートシンク24に伝わり、ヒートシンク24から放出される。
【0039】
リフレクタ27は曲面状の板状部材から成り、上方側から光源22に被さるようにしてヒートシンク24に固定される。リフレクタ27における光源22側の面が光源22から出射する光を反射する反射面27rとされる。この反射面27rは、光源22側と反対側に凹状となるように湾曲し、光源22から出射する光の少なくとも一部を投影レンズ28側へ反射するように構成される。本実施形態では、反射面27rは、回転楕円曲面を基調とし、この楕円曲面の第1焦点が光源22の出射面上またはその近傍に位置する曲面とされる。つまり、このような位置関係となるように、光源22とリフレクタ27とが配置される。
【0040】
投影レンズ28は光源22及びリフレクタ27よりも前方側に位置し、光源22から出射してリフレクタ27で反射した光の少なくとも一部が投影レンズ28を透過し、光出射部21から光が出射する。本実施形態の投影レンズ28は非球面平凸レンズとされ、リフレクタ27で反射した光が入射する側の面である入射面は平面状とされ、この光が出射する側の面である出射面はこの光の出射方向に膨らむ凸面状とされる。投影レンズ28の外周にはフランジ29が形成されている。また、投影レンズ28は、リフレクタ27側の焦点がリフレクタ27の反射面27rの第2焦点或いはその近傍に位置するよう配置されている。つまり、本実施形態の光出射部21は、PES(Projector Ellipsoid System)光学系とされている。そして、光出射部21から出射する光は、フロントカバー12を介して車両の前方に照射される。
【0041】
レンズホルダ30は投影レンズ28を保持する部材である。本実施形態では、投影レンズ28のフランジ29がレンズホルダ30の一端部に固定され、レンズホルダ30の投影レンズ28側と反対側の端部はヒートシンク24及びリフレクタ27に固定される。
【0042】
支持部40は光出射部21を支持する部材である。本実施形態の支持部40は、上下方向及び左右方向に延在する板状部材とされる。この支持部40には、当該支持部40よりも投影レンズ28が前方側に位置するようにヒートシンク24が固定される。このようにヒートシンク24が支持部40に固定されることで、光出射部21が支持部40に固定される。支持部40のうち光出射部21よりも上方側には貫通孔が形成され、当該貫通孔に第1ベアリング保持部材41が嵌め込まれる。この第1ベアリング保持部材41に後述する伝達部材80の第1接続部が接続される。
【0043】
また、支持部40のうち光出射部21よりも下方側には貫通孔が形成され、当該貫通孔に筒状の第2ベアリング保持部材42が嵌め込まれる。この第2ベアリング保持部材42にスクリュー支持部材43が接続される。本実施形態のスクリュー支持部材43は、前後方向に延在する本体部43aと、この本体部43aの後端部から下方に向かって延在する当接部43bとを備える。当接部43bは筐体10のランプハウジング11における枠壁13に当接しており、スクリュー支持部材43は枠壁13の内周面上に載置されている。また、本体部43aの前端部は、球体の一部が平面により切り取られた部分球状に形成され、この切り取られた球体の一部の平面部分が本体部43aの前端面とされている。上記の筒状の第2ベアリング保持部材42のうち支持部40よりも後方側に位置する後端部における内周面は、本体部43aの前端部の部分球状に対応する曲面とされる。そして、第2ベアリング保持部材42の後端部に本体部43aの前端部が嵌められ、第2ベアリング保持部材42とスクリュー支持部材43とが互いに接続される。この第2ベアリング保持部材42は、スクリュー支持部材43に対して本体部43aの前端部を支点として所定の範囲で揺動する。このため、支持部40は、スクリュー支持部材43における本体部43aの前端部を支点として所定の範囲で揺動するように、スクリュー支持部材43に支持される。
【0044】
また、本体部43aには、前後方向に貫通するねじ孔が形成され、このねじ孔にはエイミングスクリュー44が螺合している。このエイミングスクリュー44は筒状の第2ベアリング保持部材42の内部空間を通っており、当該エイミングスクリュー44の一端は第2ベアリング保持部材42よりも前方に位置している。また、このエイミングスクリュー44の他端である頭部45は灯室R外に露出している。そして、このエイミングスクリュー44は、ランプハウジング11における後壁14に、軸中心に回転可能かつ軸方向に移動できないように支持される。このため、エイミングスクリュー44を回転させることで、スクリュー支持部材43は、筐体10に対して、エイミングスクリュー44の軸方向である前後方向に移動する。ここで、上記のように、支持部40は、スクリュー支持部材43における本体部43aの前端部を支点として所定の範囲で揺動するように、スクリュー支持部材43に支持され、この支持部40に光出射部21が固定されている。このため、灯具ユニット20は筐体10に揺動可能に支持されており、この灯具ユニット20の揺動支点の位置を前後方向に変更できる。
【0045】
アクチュエータ50は、出力軸60と駆動部51とを備える。なお、図1では、駆動部51の内部構造の記載は省略されている。本実施形態では、アクチュエータ50は支持部40よりも後方側に配置される。また、駆動部51は後述するブラケット70に固定され、出力軸60には後述する伝達部材80が接続される。
【0046】
図2は、アクチュエータ50、ブラケット70、及び伝達部材80を示す斜視図であり、これらを前方側かつ上方側から見る斜視図である。図3は、図2に示すアクチュエータ50、ブラケット70、及び伝達部材80の分解斜視図である。なお、図3では、ランプハウジング11の一部も記載されている。図4は、図2に示すアクチュエータ50、ブラケット70、及び伝達部材80の正面図であり、これらを前方側から見る正面図である。
【0047】
図2から図4に示すように、駆動部51は、筐体52と図示しない駆動機構とを備える。筐体52は、筐体本体53と蓋部材54とを備える。筐体本体53は、概ね四角筒状の枠壁55と当該枠壁55の一方の開口を塞ぐ底壁56とによって1つの開口を有する箱状に構成される。底壁56は枠壁55の延在方向と概ね垂直な平板状に形成される。また、枠壁55には、外側に向かって突出する一対の被取付片53a,53aが設けられる。一対の被取付片53a,53aには、枠壁55の延在方向と概ね平行な方向に貫通する貫通孔が形成される。
【0048】
蓋部材54は、筐体本体53の開口を塞ぐ板状部材であり、ロック機構によって枠壁55に固定される。このため、蓋部材54には上記ロック機構の一部が形成され、枠壁55には上記ロック機構の他の一部が形成される。筐体本体53と当該筐体本体53の開口を塞ぐ蓋部材54とによって形成される空間内に上記駆動機構が収容される。蓋部材54には、枠壁55に固定されときに被取付片53a,53aと重なる被取付片54a,54aが設けられる。被取付片54a,54aには、枠壁55の延在方向と概ね平行な方向に貫通する貫通孔が形成され、当該貫通孔は被取付片53a,53aの貫通孔と重なる。
【0049】
また、蓋部材54は、筐体本体53の底壁56と概ね平行に延在する平坦領域54bを有し、当該平坦領域54bには厚さ方向に貫通して出力軸60を挿入可能な貫通孔54hが形成されている。本実施形態の貫通孔54hは、長方形における一対の短辺が外側へ湾曲する円弧とされたオーバルトラック状に形成される。つまり、貫通孔54hの径は所定の方向に長尺とされている。この貫通孔54hは、一方の被取付片54aよりも他方の被取付片54a側かつ当該他方の被取付片54aよりも一方の被取付片54a側に位置している。
【0050】
図5は、図4のV-V線における断面図であり、出力軸60の軸60aに沿った断面図であり、後述する伝達部材80を支持するシャフト85の延在方向と垂直な断面である。なお、図5では、駆動部51の内部構造の記載は省略され、支持部40に取り付けられる第1ベアリング保持部材41も記載されている。図3図5に示すように、出力軸60は、一端部に接続用凸部61を有する。本実施形態では、出力軸60の軸60aに沿った断面における接続用凸部61の形状は、軸60aと概ね垂直な方向に長尺な長方形の一対の短辺が外側へ湾曲する円弧とされたオーバルトラック状とされる。この出力軸60は、接続用凸部61とは反対側の他端部が筐体52の内部空間に位置するように、蓋部材54の貫通孔54hに挿入され、少なくとも接続用凸部61を含む部位が貫通孔54hから駆動部51の外方へ突出している。また、出力軸60の軸60aと蓋部材54の平坦領域54bとは概ね垂直とされている。
【0051】
駆動機構は、この出力軸60に動力を伝達して当該出力軸60を貫通孔54hの径の長手方向に沿って平行移動させるように構成される。上記のように、出力軸60は、軸60aと蓋部材54の平坦領域54bとが概ね垂直となるように貫通孔54hに挿入される。従って、駆動機構は、貫通孔54h内において出力軸60を軸60a方向と概ね垂直な方向に平行移動させると理解でき、アクチュエータ50は、軸60a方向と異なる方向に平行移動可能な出力軸60を有すると理解できる。このような駆動機構として、例えば、モータと、モータの駆動力を複数のギア等によって出力軸60に伝達する動力伝達機構とを備える構成が挙げられる。また、本実施形態では、駆動部51における軸60a方向の幅は、当該駆動部51における軸60a方向と垂直な方向の幅よりも小とされており、アクチュエータ50における軸60a方向の幅は、当該アクチュエータ50における軸60a方向と垂直な方向の幅よりも小とされている。
【0052】
ブラケット70は、上記アクチュエータ50が固定される部材である。ブラケット70を構成する材料として、例えば樹脂が挙げられる。本実施形態のブラケット70は、取付板71と、支持板72とを備える。取付板71は、筐体52の蓋部材54よりも筐体本体53側と反対側において蓋部材54に沿うように延在する。取付板71は、蓋部材54側に突出して被取付片54a,54aに当接するボス73,73を有する。ボス73,73の先端部には端面からボス73,73に沿って延在するねじ孔が形成されている。このねじ孔は、当該ねじの延在方向から見る場合に、被取付片53a,54aに形成される貫通孔の外周縁よりも内側かつ被取付片54a,54aに形成される貫通孔の外周縁よりも内側に位置している。また、取付板71には、厚さ方向に貫通する貫通孔71hが形成され、出力軸60の軸60a方向から見る場合に、貫通孔71hの外周縁よりも内側に、蓋部材54の貫通孔54hが位置している。本実施形態の貫通孔71hは、貫通孔54hの径の長手方向と概ね平行な方向に長尺な概ね長方形に形成されている。また、取付板71には、蓋部材54側に突出して蓋部材54の平坦領域54bに当接するリブ77が設けられる。
【0053】
支持板72は、取付板71から蓋部材54側と反対側に所定の長さ延在し、取付板71と一体に形成される。支持板72は、貫通孔54hの径の長手方向と概ね平行な方向において、貫通孔54hの中心を基準とする一方側に位置している。支持板72と取付板71との接続部の一部は、取付板71に形成される貫通孔71hの外周縁の一部に沿っており、支持板72の一部によって貫通孔71hの一部が規定されている。支持板72には、厚さ方向に貫通する一対の貫通孔72h1,72h1が形成されている。本実施形態の一対の貫通孔72h1,72h1は、出力軸60の軸60aと垂直な所定の平面と交わっている。また、支持板72おける貫通孔72h1,72h1の近傍には、厚さ方向に貫通する別の貫通孔72h2,72h2が形成されている。本実施形態では、一方の貫通孔72h2は概ね円形に形成され、他方の貫通孔は所定の方向に長尺なオーバルトラック状に形成されている。また、詳細については後述するが、支持板72における出力軸60側には、後述するシャフト85を支持する軸受部74が設けられる。
【0054】
図3に示すように、ブラケット70には、上記アクチュエータ50がボルト17a、17aによって固定される。具体的には、アクチュエータ50の駆動部51における被取付片53a,53a及び被取付片54a,54aの貫通孔にボルト17aを挿入して当該ボルト17aを取付板71におけるボス73,73のねじ孔に螺入することで、アクチュエータ50がブラケット70に固定にされる。ここで、上記のように、取付板71には、蓋部材54の平坦領域54bに当接するリブ77が設けられている。このため、アクチュエータ50は、一対の被取付片54a,54a及び平坦領域54bの一部がブラケット70に接触する状態、つまり、3箇所が接触する状態でブラケット70に支持される。
【0055】
伝達部材80は、アクチュエータ50の出力軸60及び灯具ユニット20に連結される部材である。伝達部材80を構成する材料として、例えば樹脂が挙げられる。本実施形態の伝達部材80は、ベース部81と、第1接続部83を有する柱状のアーム部82と、第2接続部84と、を有する。
【0056】
ベース部81は、所定の方向に長尺な板状部材とされ、厚さ方向に貫通する貫通孔81hが形成されている。また、ベース部81における貫通孔81hよりも一端側には、当該一端から延在方向に沿って所定の長さまで幅方向に切り欠かれた幅狭部81aが設けられている。この幅狭部81aにおける幅は、貫通孔81hが設けられる部位における幅よりも小とされる。
【0057】
アーム部82は、ベース部81の一端部である幅狭部81aの貫通孔81h側とは反対側の端部からベース部81の幅方向と概ね平行でベース部81が切り欠かれた側に向かって延在する柱状の部材であり、ベース部81と一体に形成される。このため、伝達部材80おけるベース部81の幅狭部81a及びアーム部82から成る部位は概ね略L字状に形成されており、伝達部材80は、ベース部81の幅方向に窪む凹部80aを有している。また、アーム部82は、先端部に概ね球状の第1接続部83を有する。このアーム部82には、アーム部82の先端部である第1接続部83からアーム部82の延在方向に沿って孔82hが形成されている。
【0058】
第2接続部84は、アーム部82と同様に、ベース部81と一体に形成される。第2接続部84は、ベース部81の他端部からベース部81の延在方向と平行な方向に延在する円筒状の枠壁84aと当該枠壁84aのベース部81側の開口を塞ぐ底壁84bとから成る。このため、第2接続部84の枠壁84aには、ベース部81側と反対側に開口84hが形成されている。また、枠壁84aの内径は出力軸60の接続用凸部61における最大径と概ね同じとされる。
【0059】
このような伝達部材80は、ベース部81の貫通孔81hに挿入されるシャフト85によって、当該シャフト85を軸として揺動するように支持される。このシャフト85は、ブラケット70の支持板72に設けられる軸受部74によって支持される。つまり、伝達部材80は、シャフト85を軸として揺動するようにブラケット70に支持される。
【0060】
図6は、図4のVI-VI線における断面図であり、シャフト85に沿った断面図であり、出力軸60の軸60aと垂直な断面である。なお、図6では、ランプハウジング11の一部も記載されている。図6に示すように、本実施形態では、軸受部74は、支持板72から出力軸60が位置する側にそれぞれ突出する第1受け部75及び第2受け部76から成る。第1受け部75と第2受け部76とは、出力軸60の移動方向と概ね垂直な方向に、伝達部材80のベース部81の厚さと概ね同じ間隔離隔している。第1受け部75には、出力軸60の移動方向と概ね垂直な方向に貫通する貫通孔75hが形成される。第2受け部76には、第1受け部75側の表面から出力軸60の移動方向と概ね平行な方向に延在し、出力軸60の移動方向と概ね垂直な方向において第1受け部75の貫通孔75hと重なる孔76hが形成される。そして、シャフト85は、第1受け部75の貫通孔75h、伝達部材80のベース部81の貫通孔81h、第2受け部76の孔76hの順にこれら孔に挿入されて、ブラケット70に支持される。このようにブラケット70に支持されるシャフト85は、出力軸60の移動方向及び出力軸60の軸60a方向と概ね垂直な方向に延在する。従って、伝達部材80は、シャフト85によって出力軸60の移動方向と概ね平行な方向に揺動するように支持される。
【0061】
また、伝達部材80の第1接続部83は、支持部40に取り付けられる第1ベアリング保持部材41に接続される。図7は、第1ベアリング保持部材41の断面図であり、第1ベアリング保持部材41の水平方向の断面図である。なお、図7では、伝達部材80の一部も記載されている。図7に示すように、第1ベアリング保持部材41は、第1接続部83と嵌合する本体部46と、取り付け部47とを有する。本体部46は一対の側壁46aと底壁46bとから成り、当該本体部46の水平断面の形状は略コ字状とされる。平板状の底壁46bの左右両側の縁に当該底壁46bに対して概ね垂直に側壁46aが接続されている。それぞれの側壁46aにおける底壁46b側と反対側の端部には、当該端部から内側かつ底壁46b側に向かって突出する当接片46cが設けられる。また、底壁46bの側壁46a側の面には、第1接続部83の先端部に対応する凹部が形成されている。取り付け部47は、本体部46の底壁46bから側壁46a側と反対側に延在する筒状に形成される。この取り付け部47が支持部40の貫通孔に光出射部21側と反対側から嵌め込まれることで、第1ベアリング保持部材41が支持部40に取り付けられる。
【0062】
また、本体部46の一対の側壁46aの間には、底壁46b側と反対側の開口から概ね球状の第1接続部83が挿入される。この際、第1接続部83は当接片46cを撓ませながら一対の側壁46aの間に押し込まれ、第1接続部83の先端部が底壁46bに設けられる凹部に嵌る。このように第1接続部83が本体部46に挿入された状態において、当接片46cの先端は、概ね球状の第1接続部83のうち当該第1接続部83の中心よりも底壁46b側と反対側の部位に当接する。つまり、当接片46cは、第1接続部83が本体部46に挿入される際に上記のようになるように形成される。このような本体部46では、当接片46cによって第1接続部83が抜けることが抑制され、第1ベアリング保持部材41と伝達部材80とが互いに接続され、伝達部材80が灯具ユニット20に接続される。なお、このように伝達部材80に接続された第1ベアリング保持部材41は、伝達部材80に対して第1接続部83を支点として所定の範囲で揺動できる。
【0063】
また、図5に示すように、伝達部材80の第2接続部84における円筒状の枠壁84aには、出力軸60の接続用凸部61が挿入され、この枠壁84aの内周面に接続用凸部61の一部が当接する。接続用凸部61の外周面は、出力軸60の軸60a方向に沿って外側に凸となるように弧状に湾曲しており、伝達部材80は、出力軸60に対して接続用凸部61を支点として所定の範囲で揺動できる。
【0064】
ここで、図5は、伝達部材80を支持するシャフト85の延在方向と垂直な断面であるため、図5は、シャフトの延在方向から見る図でもある。本実施形態では、図5に示すように、シャフト85の延在方向から見る場合に、伝達部材80における灯具ユニット20と接続される第1接続部83と、伝達部材80における出力軸60と接続される第2接続部84と、シャフト85とは、第1直線L1上に位置している。なお、これら部材は第1直線L1上に位置していなくてもよい。また、シャフト85の延在方向から見る場合に、第1接続部83及び第2接続部84は、シャフト85の中心軸を中心とする円周C1上に位置している。なお、第1接続部83及び第2接続部84は、円周C1上に位置していなくてもよい。また、第1接続部83、第2接続部84、及びシャフト85は、シャフト85の延在方向と垂直な平面と交わっている。なお、これら部材は、シャフト85の延在方向と垂直な平面と交わっていなくてもよい。また、シャフト85の延在方向から見る場合に、伝達部材80の凹部80aは、第1接続部83とシャフト85との間に位置している。この凹部80aは、第1接続部83とシャフト85とを結ぶ線分SL1を基準とする一方側から当該線分SL1を越えて他方側まで窪んでいる。本実施形態では、凹部80aは第1接続部83に隣接しており、第1ベアリング保持部材41の一部は、凹部80aに位置している。
【0065】
上記のようにアクチュエータ50が取り付けられるとともに伝達部材80を支持するブラケット70は、アクチュエータ50の出力軸60の移動方向が前後方向となるように支持部40よりも後方側に配置され、ランプハウジング11に固定される。つまり、ランプハウジング11は、ブラケット70が固定されるブラケット固定部材であり、アクチュエータ50はブラケット70を介してランプハウジング11に固定される。具体的には、図3図6に示すように、ランプハウジング11の後壁14には、前方側に向かって突出する一対のボス15,15及び抜け止め部16が設けられている。このボス15,15の先端部には端面からボス15,15に沿って延在するねじ孔15a,15aが形成されている。また、ボス15,15には、端面からボス15,15の延在方向と概ね平行な方向に突出する位置決めリブ15b,15bが設けられる。この位置決めリブ15b,15bをブラケット70の支持板72の貫通孔72h2,72h2に挿入するとともに、支持板72の貫通孔72h1,72h1にボルト17b,17bを挿入して当該ボルト17b,17bをボス15,15のねじ孔15a,15aに螺入することで、ブラケット70がランプハウジング11に固定にされる。この際、ブラケット70のうちランプハウジング11に固定される部位である固定部は、支持板72におけるボルト17b,17bの頭と当接する部位であり、貫通孔72h1,72h1の周縁部72a,72aである。本実施形態では、図6に示すように、この周縁部72a,72aを通る第2直線L2と垂直かつ一方の周縁部72aを通る第1平面P1と、この第1平面P1と平行かつ他方の周縁部72aを通る第2平面P2との間に、シャフト85を支持する軸受部74の全体が位置している。
【0066】
上記の抜け止め部16の先端部は、軸受部74の第1受け部75の近傍に位置している。また、この抜け止め部16の先端部は、シャフト85の延在方向から見る場合に軸受部74における貫通孔75h及び孔76hの少なくとも一部と重なっている。また、抜け止め部16のうち上記のように貫通孔75h及び孔76hの少なくとも一部と重なる部位と第1受け部75の貫通孔75hの抜け止め部16側の開口との距離は、第2受け部76の孔76hの深さよりも小とされる。このため、シャフト85が軸方向に移動する場合、シャフト85は第2受け部76の孔76hから抜ける前に抜け止め部16に当接する。つまり、抜け止め部16は、シャフト85が軸受部74の孔76hから抜けることを止める。
【0067】
次に、車両用灯具1における光の出射方向を上下に調節するレベリング調節の動作について説明する。
【0068】
このレベリング調節は、アクチュエータ50の出力軸60が移動することによって行われ、アクチュエータ50における出力軸60を移動させる駆動力は伝達部材80を介して灯具ユニット20に伝達される。ここで、図1に示される車両用灯具1は、アクチュエータ50の出力軸60が前後方向に移動してない初期状態である。この初期状態からアクチュエータ50の出力軸60が前方に移動すると、図8に示すように、伝達部材80は、シャフト85を軸として揺動し、第2接続部84が前方に移動するとともに第1接続部83が後方に移動する。第1接続部83が後方に移動することで、支持部40がスクリュー支持部材43における本体部43aの前端部を支点として後方側に傾倒するように揺動し、光出射部21の光の出射方向が初期状態よりも上向きに変更される。
【0069】
一方、初期状態からアクチュエータ50の出力軸60が後方に移動すると、図9に示すように、伝達部材80は、シャフト85を軸として揺動し、第2接続部84が後方に移動するとともに第1接続部83が前方に移動する。第1接続部83が前方に移動することで、支持部40がスクリュー支持部材43における本体部43aの前端部を支点として前方側に傾倒するように揺動し、光出射部21の光の出射方向が初期状態よりも下向きに変更される。
【0070】
ところで、一般的に、灯具ユニットを揺動させるためのアクチュエータは、出力軸を移動させるためのモータ等を有する駆動部を備えるため、ある程度の大きさを有する。このため、上記特許文献1に記載の車両用灯具のように、アクチュエータを備える車両用灯具は、大型化する傾向にある。
【0071】
そこで、本実施形態の車両用灯具1は、軸60a方向と異なる方向に平行移動可能な出力軸60を有するアクチュエータ50と、揺動可能に支持される灯具ユニット20と、出力軸60及び灯具ユニット20に連結される伝達部材80と、を備える。伝達部材80は、シャフト85によって支持され、出力軸60が移動することでシャフト85を軸として揺動する。
【0072】
本実施形態の車両用灯具1では、アクチュエータ50の出力軸60が移動することで出力軸60に接続される伝達部材80がシャフト85を軸として揺動し、伝達部材80が接続される灯具ユニット20が揺動される。その結果、車両用灯具1から出射する光の方向が変更される。ここで、一般的に、シャフトによって揺動可能に支持される部材を揺動する際に生じるシャフトと部材と間における摩擦のエネルギーは、シャフトによって当該シャフトに沿って移動可能に支持される部材を移動させる際に生じるシャフトと部材との間に摩擦のエネルギーよりも小さくなる傾向にある。本実施形態の車両用灯具1では、上記のように、伝達部材80はシャフト85によって揺動可能に支持される。このため、伝達部材80がシャフト85によって当該シャフト85に沿って移動可能に支持される場合と比べて、灯具ユニット20を揺動する際に生じるシャフト85と伝達部材80との間における摩擦のエネルギーを小さくし得る。従って、アクチュエータ50における出力軸60を移動させる駆動力を小さくし得、アクチュエータ50を小型化して車両用灯具1を小型化し得る。このように、本実施形態の車両用灯具1は、出射する光の方向を変更可能としつつ小型化し得る。
【0073】
また、本実施形態の車両用灯具1では、シャフト85の延在方向から見る場合に、伝達部材80における灯具ユニット20と接続される第1接続部83と、伝達部材80における出力軸60と接続される第2接続部84と、シャフト85とが、第1直線L1上に位置する。このため、出力軸60を移動させる駆動力を灯具ユニット20に効果的に伝達させ得る。このため、出力軸60を移動させる駆動力を小さくし得、アクチュエータ50をより小型化して車両用灯具1をより小型化し得る。
【0074】
また、本実施形態の車両用灯具1では、シャフト85の延在方向から見る場合に、第1接続部83及び第2接続部84は、シャフト85の中心軸を中心とする円周C1上に位置する。このため、出力軸60を移動させる駆動力と概ね同じ力で灯具ユニット20を揺動させ得る。なお、シャフト85の中心軸を中心として第1接続部83を通る円周C1の外側に第2接続部84が位置する場合、出力軸60を移動させる駆動力よりも大きな力で灯具ユニット20を揺動させ得る。一方、シャフト85の中心軸を中心として第1接続部83を通る円周C1の内側に第2接続部84が位置する場合、灯具ユニット20を所定の角度揺動させるための出力軸60の移動距離を短くし得る。
【0075】
また、本実施形態の車両用灯具1では、第1接続部83と、第2接続部84と、シャフト85とが、シャフト85の延在方向と垂直な平面と交わっている。このため、伝達部材80に当該伝達部材80がねじれるような力が作用することを抑制し得、出力軸60を移動させる駆動力を灯具ユニット20に効果的に伝達させ得る。このため、出力軸60を移動させる駆動力を小さくし得、アクチュエータ50をより小型化して車両用灯具1をより小型化し得る。
【0076】
また、本実施形態の車両用灯具1は、アクチュエータ50が取り付けられるブラケット70を更に備える。このブラケット70は、シャフト85を支持する軸受部74を有する。本実施形態の車両用灯具1では、ブラケット70はシャフト85を支持する軸受部74を兼ねるため、部品点数が多くなることを抑制できる。
【0077】
また、本実施形態の車両用灯具1は、ブラケット70が固定されるブラケット固定部材としてのランプハウジング11を更に備える。ブラケット70は、2つの貫通孔72h1,72h1の周縁部72a,72aがランプハウジング11に固定される。つまり、ブラケット70は、ランプハウジング11に固定される2つの固定部を有していると理解できる。そして、この固定部としての2つの周縁部72a,72aを通る第2直線L2と垂直かつ一方の周縁部72aを通る第1平面P1と、この第1平面P1と平行かつ他方の周縁部72aを通る第2平面P2との間に、シャフト85を支持する軸受部74の全体が位置している。シャフト85を支持する軸受部74はシャフト85から力を受けるため、ブラケット70における軸受部74の周辺は変形しやすい傾向にある。しかし、上記のような構成にすることで、ブラケット70における軸受部74の周辺の剛性を向上させてブラケット70が変形することを抑制し得る。なお、ブラケット70が変形することを抑制する観点では、第1平面P1と第2平面P2との間に、軸受部74の少なくとも一部が位置していればよい。しかし、上記のように、第1平面P1と第2平面P2との間に、軸受部74が位置していることが好ましい。
【0078】
また、本実施形態の車両用灯具1では、シャフト85は、軸受部74に形成される貫通孔75h及び孔76hに挿入されて当該軸受部74に支持される。ブラケット70が固定されるブラケット固定部材としてのランプハウジング11は、シャフト85の延在方向から見る場合に貫通孔75h及び孔76hの少なくとも一部と重なりシャフト85が孔76h孔から抜けることを止める抜け止め部16を有している。従って、ランプハウジング11はシャフト85が孔76hから抜けることを止める抜け止め部16を兼ねるため、部品点数が多くなることを抑制できる。
【0079】
以上、本発明の第1の態様について、第1実施形態を例に説明したが、本発明の第1の態様はこれに限定されるものではない。
【0080】
例えば、第1実施形態では、灯具ユニット20の揺動支点は、光出射部21よりも下方側に位置していた。しかし、第1の態様では、灯具ユニット20は揺動可能に支持されていればよい。例えば、灯具ユニット20の揺動支点は、光出射部21よりも上方側に位置していてもよい。なお、この場合は、伝達部材80は光出射部21よりも下方側において灯具ユニットと連結されることが好ましい。
【0081】
また、第1実施形態では、光の出射方向を上下方向に変更可能とされた車両用灯具1を例に説明した。しかし、第1の態様としての車両用灯具1における光の出射方向の変更方向は特に限定されるものではなく、例えば車両用灯具1は左右方向に変更可能な構成とされてもよい。このような車両用灯具として、例えば、第1実施形態の車両用灯具1における第1ベアリング保持部材41及び第1接続部83が光出射部21よりも左右方向の一方側に配置され、第2ベアリング保持部材42及びスクリュー支持部材43が光出射部21よりも左右方向の他方側に配置される構成が挙げられる。
【0082】
また、第1実施形態では、ブラケット70は、2つのボルト17b,17bによってランプハウジング11に固定されていた。しかし、第1の態様では、ブラケット70をランプハウジング11に固定する構成は、特に限定されるものではなく、ブラケット70におけるランプハウジング11に固定される部位である固定部は、3つ以上であってもよく、1つであってもよい。この固定部が3つ以上の場合、ブラケット70が変形することを抑制する観点では、軸受部74の少なくとも一部は、少くとも2つの固定部を通る特定の直線と垂直かつ少くとも2つの固定部のうち特定の固定部を通る第1平面と、この第1平面と平行かつ少くとも2つの固定部のうち特定の固定部と異なる固定部を通る第2平面との間に位置することが好ましい。また、ブラケット70が固定されるブラケット固定部材は特に限定されるものではなく、ブラケット70は車両の他の部材に固定されてもよい。
【0083】
また、第1実施形態では、アクチュエータ50は2つのボルト17a,17aによってブラケット70に固定されていた。しかし、第1の態様では、アクチュエータ50をブラケット70に固定する構成は、特に限定されるものではない。また、第1実施形態では、ブラケット70がランプハウジング11に固定されることでアクチュエータ50がランプハウジング11に固定されていた。しかし、アクチュエータ50がブラケット70を介さずにランプハウジング11に固定されてもよく、アクチュエータ50はブラケット70を介さずに車両の他の部材に固定されてもよい。
【0084】
また、第1実施形態では、アクチュエータ50は出力軸60を軸60a方向と概ね垂直な方向に平行移動させていた。しかし、第1の態様では、アクチュエータ50は出力軸60を軸60a方向と異なる方向に平行移動させればよい。
【0085】
また、第1実施形態では、概ね球状の第1接続部83と断面形状が略コ字状の本体部46とが連結することで伝達部材80と灯具ユニット20とが連結されていた。また、底を有する筒状に構成される第2接続部84と断面形状がオーバルトラック状の接続用凸部61とが連結することで伝達部材80と出力軸60とが連結されていた。しかし、第1の態様では、これらの部材同士は、所定の範囲で揺動可能に連結されていればよく、部材同士を連結する構成は特に限定されるものではない。
【0086】
また、第1実施形態では、伝達部材80は凹部80aを有していた。しかし、第1の態様では、伝達部材80の形状は特に限定されるものではなく、伝達部材80は凹部80aを有していなくてもよい。
【0087】
また、第1実施形態では、光出射部21は、PES光学系とされていた。しかし、第1の態様では、光出射部21の構成は特に限定されるものではない。また、灯具ユニット20は、複数の光出射部21を備えていてもよい。
【0088】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の態様としての第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。第2実施形態では、アクチュエータ50の配置が第1実施形態での配置と異なる。また、第2実施形態における車両用灯具1は、第1実施形態におけるブラケット70及び伝達部材80に替わって、ブラケット170及び伝達部材180を備える。
【0089】
図10は、本実施形態における車両用灯具を概略的に示す正面図である。図11は、図10のXI-XI線における断面図である。図12は、図10のXII-XII線における断面図である。
【0090】
本実施形態では、支持部40のうち光出射部21よりも上方側かつ左側には貫通孔が形成され、当該貫通孔に第1ベアリング保持部材41が嵌め込まれる。なお、本明細書では、車両の進行方向に向かって右側が右とされ、左側が左とされる。この第1ベアリング保持部材41に後述する伝達部材180の第1接続部が接続される。
【0091】
本実施形態では、支持部40のうち光出射部21よりも下方側の左右には貫通孔が形成され、当該貫通孔に筒状の第2ベアリング保持部材42,42が嵌め込まれる。左側の第2ベアリング保持部材42は、上記第1ベアリング保持部材41の概ね下方に位置している。これら第2ベアリング保持部材42,42にスクリュー支持部材43,43が接続される。そして、支持部40は、スクリュー支持部材43,43における本体部43aの前端部を支点として所定の範囲で揺動するように、スクリュー支持部材43,43に支持される。
【0092】
本実施形態では、それぞれのスクリュー支持部材43,43の本体部43aには、前後方向に貫通するねじ孔が形成され、それぞれのねじ孔にはエイミングスクリュー44,44が螺合している。これらエイミングスクリュー44,44は、ランプハウジング11における後壁14に、軸中心に回転可能かつ軸方向に移動できないように支持される。このため、エイミングスクリュー44,44を回転させることで、スクリュー支持部材43,43は、筐体10に対して、エイミングスクリュー44,44の軸方向である前後方向に移動する。ここで、上記のように、支持部40は、スクリュー支持部材43,43における本体部43a,43aの前端部を支点として所定の範囲で揺動するように、スクリュー支持部材43,43に支持され、この支持部40に光出射部21が固定されている。このため、灯具ユニット20は筐体10に揺動可能に支持されており、この灯具ユニット20の揺動支点の位置を前後方向に変更できる。
【0093】
本実施形態では、アクチュエータ50は支持部40よりも後方側かつ光出射部21よりも左側に配置される。また、駆動部51は後述するブラケット70に固定され、出力軸60には後述する伝達部材180が接続される。
【0094】
図13は、アクチュエータ50、ブラケット170、及び伝達部材180を示す斜視図であり、これらを上方側かつ後方側から見る斜視図である。図14は、図13に示すアクチュエータ50、ブラケット170、及び伝達部材180の正面図であり、これらを前方側から見る正面図である。図15は、図13に示すアクチュエータ50、ブラケット170、及び伝達部材180の分解斜視図である。なお、図15では、ランプハウジング11の一部も記載されている。図16は、図13に示すアクチュエータ50を拡大して示す図である。図17は、図13に示すアクチュエータ50、ブラケット170、及び伝達部材180の側面図であり、これらを光出射部21側から見る側面図である。図18は、図17のXVIII-XVIII線における断面図であり、出力軸60の軸60aに沿った断面図である。なお、図18では、駆動部51の内部構造及びブラケット170の記載は省略されている。
【0095】
本実施形態のブラケット170は、第1実施形態のブラケット70と同様に、上記アクチュエータ50が固定される部材である。ブラケット70を構成する材料として、例えば樹脂が挙げられる。図19は、図13に示すブラケット170を拡大して示す図である。図15図19に示すように、本実施形態のブラケット170は、本体部171と、第1固定部172と、第2固定部173と、摺動部材固定部174とを備える。本体部171は、概ね四角筒状の部材である。具体的には、本体部171は、平板状の底壁171aと、当該底壁171aと対向する平板状の頂壁171bと、底壁171aの縁及び頂壁171bの縁に接続して互いに対向する平板状の一対の側壁171c,171dとから成る。底壁171aと頂壁171bとは概ね平行であり、一対の側壁171c,171dは底壁171aと概ね垂直である。また、底壁171a及び頂壁171b間の距離は、一対の側壁171c,171d間の距離よりも小とされる。このため、本体部171の両端部の開口は概ね長方形とされている。この本体部171は、筐体52の蓋部材54よりも筐体本体53側と反対側において、底壁171aが蓋部材54に対向して出力軸60の移動方向である貫通孔54hの径の長手方向と垂直な方向に沿って延在するように配置される。
【0096】
底壁171aには、厚さ方向に貫通する貫通孔171hが形成され、出力軸60の軸60a方向から見る場合に、貫通孔171hの外周縁よりも内側に、蓋部材54の貫通孔54hが位置している。本実施形態では、一対の側壁171c,171dによって貫通孔171hの一部が規定されており、出力軸60の軸60a方向から見る場合に、この貫通孔171hの大部分は頂壁171bによって覆われている。また、詳細については後述するが、本体部171には、後述するシャフト185を支持する軸受部が設けられる。
【0097】
また、図14に示すように、底壁171aは、蓋部材54側に突出して被取付片54a,54aに当接するボス175,175を有する。ボス175,175の先端部には端面からボス175,175に沿って延在するねじ孔が形成されている。このねじ孔は、当該ねじの延在方向から見る場合に、被取付片53a,54aに形成される貫通孔の外周縁よりも内側かつ被取付片54a,54aに形成される貫通孔の外周縁よりも内側に位置している。また、側壁171dの頂壁171b側と反対側の端は、蓋部材54の平坦領域54bに当接している。
【0098】
図15図19に示すように、第1固定部172は、本体部171の一端部における底壁171aから蓋部材54側に突出し、本体部171と一体に形成される。第1固定部172には、出力軸60の移動方向と概ね平行な方向に貫通する2つの貫通孔172h1,172h2が形成されている。第2固定部173は、本体部171の他端における側壁171cから本体部171の延在方向に沿うように突出し、本体部171と一体に形成される。この第2固定部173は底壁171aに接続している。第2固定部173には、出力軸60の移動方向と概ね平行な方向に貫通する2つの貫通孔173h1,173h2が形成されている。
【0099】
摺動部材固定部174は、延在方向と垂直な断面の形状が略コ字状の部材である。具体的には、摺動部材固定部174は、平板状の底壁174aと、底壁174aの両側縁に当該底壁174aに対して概ね垂直に接続される平板状の側壁174b,174bとから成る。この摺動部材固定部174は、本体部171の一端部から外方に向かって出力軸60の移動方向と概ね平行な方向に延在し、本体部171と一体に形成される。具体的には、底壁174aは本体部171の底壁171aと概ね垂直であり、本体部171の側壁171dの縁に接続されている。また、側壁174b,174bは本体部171の底壁171aと概ね平行であり、一方の側壁174bは底壁171aに接続されている。また、それぞれの側壁174b,174bの底壁174a側と反対側の端部には、底壁174a側に開口して摺動部材固定部174の延在方向に沿って延在する嵌合凹部174c,174cが形成されている。
【0100】
この摺動部材固定部174には、摺動部材176が取り付けられる。本実施形態の摺動部材176は、延在方向と垂直な断面の形状が略コ字状の部材である。具体的には、摺動部材176は、平板状の底壁176aと、底壁176aの両側縁に当該底壁176aに対して概ね垂直に接続される平板状の側壁176b,176bとから成る。それぞれの側壁176b,176bには、互いに対向するように開口して摺動部材176の延在方向に沿って延在する嵌合凹部176c,176cが形成されている。このような摺動部材176は、それぞれの側壁176b,176bにおける底壁176a側と反対側の端部が摺動部材固定部174の嵌合凹部174c,174cに挿入されることで、摺動部材固定部174に取り付けられる。ここで、上記のように、摺動部材固定部174は、本体部171の一端部から外方に向かって出力軸60の移動方向と概ね平行な方向に突出している。このため、摺動部材固定部174に取り付けられた摺動部材176における嵌合凹部176c,176cは、出力軸60の移動方向と概ね平行な方向に延在している。
【0101】
図15に示すように、ブラケット170には、上記アクチュエータ50がボルト17a、17aによって固定される。具体的には、アクチュエータ50の駆動部51における被取付片53a,53a及び被取付片54a,54aの貫通孔にボルト17aを挿入して当該ボルト17aを本体部171におけるボス175,175のねじ孔に螺入することで、アクチュエータ50がブラケット170に固定にされる。ここで、上記のように、側壁171dの頂壁171b側と反対側の端は、蓋部材54の平坦領域54bに当接している。このため、アクチュエータ50は、一対の被取付片54a,54a及び平坦領域54bの一部がブラケット70に接触する状態、つまり、3箇所が接触する状態でブラケット170に支持される。
【0102】
本実施形態の伝達部材180は、第1実施形態のブラケット70と同様に、アクチュエータ50の出力軸60及び灯具ユニット20に連結される部材である。伝達部材180を構成する材料として、例えば樹脂が挙げられる。図20は、図14のXX-XX線における断面図であり、出力軸60の軸60aと概ね垂直な断面図であり、後述するシャフト185の中心軸に沿った断面図である。なお、図20には、支持部40に取り付けられる第1ベアリング保持部材41及びランプハウジング11の一部も記載されている。図15図20に示すように、伝達部材180は、ベース部181と、第1接続部83を有する柱状のアーム部182と、第2接続部184と、を有する。
【0103】
ベース部181は、所定の方向に長尺な板状部材とされ、厚さ方向と概ね垂直かつベース部181の幅方向と概ね平行な方向に貫通する貫通孔181hが形成されている。なお、ベース部181の幅方向とは、ベース部181の長手方向と垂直な方向である。また、ベース部181における貫通孔181hよりも一端側には、当該一端から延在方向に沿って所定の長さまで幅方向に切り欠かれた幅狭部181aが設けられている。この幅狭部181aにおける幅は、ベース部181の貫通孔181hが設けられる部位における幅よりも小とされる。
【0104】
アーム部182は、ベース部181と平行な板状部材とされる。アーム部182は、ベース部181の一端部である幅狭部181aの貫通孔181h側とは反対側の端部からベース部181の幅方向と概ね平行でベース部181が切り欠かれた側と反対側に向かって延在し、ベース部181と一体に形成される。このため、伝達部材180おけるベース部181及びアーム部182から成る部位は概ね略L字状に形成されている。また、アーム部182の先端には、アーム部182の延在方向に突出する概ね円柱状の支柱部182aが設けられ、この支柱部182aは先端部に概ね球状の第1接続部83を有する。この支柱部182aには、支柱部182aの先端部である第1接続部83から支柱部182aの延在方向に沿って孔182hが形成されている。また、図14図15に示すように、アーム部182におけるベース部181の縁には、当該縁に沿って直線状に延在しアーム部182の板厚方向の両側に突出するリブ182b,182bが形成されている。それぞれのリブ182b,182bの延在方向は、ベース部181における貫通孔181hの延在方向と概ね平行である。
【0105】
図15図20に示すように、第2接続部184は、ベース部181の他端部からベース部181の板厚方向と平行な方向に延在する円筒状の部材とされ、ベース部181と一体に形成される。この第2接続部184の両端は開口している。このため、伝達部材180のベース部181には、第2接続部184によって規定されベース部181の板厚方向に貫通する貫通孔184hが形成されていると理解できる。また、第2接続部184の内径である貫通孔184hの径は出力軸60の接続用凸部61における最大径と概ね同じとされる。
【0106】
このような伝達部材180は、少なくともベース部181における第2接続部184側の部位がブラケット170の本体部171の内部空間に位置するように、本体部171に挿入される。また、伝達部材180は、ベース部181の貫通孔181hに挿入されるシャフト185によって、当該シャフト185に沿って平行移動可能に支持される。このシャフト185は、ブラケット170の本体部171に設けられる軸受部によって支持される。つまり、伝達部材180は、シャフト185に沿って平行移動するようにブラケット170に支持される。そして、このように伝達部材180がブラケット170に支持されることで、伝達部材180の板状のベース部181及びアーム部182は、出力軸60の軸60a方向と垂直な方向に延在する。ここで、伝達部材180の大部分は板状のベース部181及びアーム部182から成り、ベース部181に出力軸60が挿入される貫通孔184hが形成されている。このため、伝達部材180は、出力軸60の軸60a方向と垂直な方向に延在する板状部材であり、このような伝達部材180に出力軸60が挿入される貫通孔184hが形成されていると理解できる。
【0107】
図20に示すように、本実施形態のブラケット170は、シャフト185を支持する軸受部として、ブラケット170の本体部171における一方の側壁171cから外方へ突出する第1受け部178と、他方の側壁171dから外方へ突出する第2受け部179とを有する。第1受け部178には、出力軸60の移動方向と概ね平行な方向に貫通する貫通孔178hが形成される。第2受け部179には、第1受け部178側の表面から出力軸60の移動方向と概ね平行な方向に延在する孔179hが形成される。この孔179hは、出力軸60の移動方向と概ね垂直な方向において、第1受け部178の貫通孔178hと重なる。そして、シャフト185は、第1受け部178の貫通孔178h、伝達部材180のベース部181の貫通孔181h、第2受け部179の孔179hの順にこれら孔に挿入されて、ブラケット170に支持される。このようにブラケット170に支持されるシャフト185は、出力軸60の移動方向と概ね平行な方向に延在する。従って、伝達部材180は、シャフト185によって出力軸60の移動方向と概ね平行な方向に平行移動するように支持される。
【0108】
また、本実施形態における伝達部材180の第1接続部83は、第1実施形態の第1接続部83と同様の構成であり、支持部40に取り付けられる第1ベアリング保持部材41に接続される。図21は、第1ベアリング保持部材41の断面図であり、第1ベアリング保持部材41の水平方向の断面図である。なお、図21では、伝達部材80の一部も記載されている。伝達部材180に接続された第1ベアリング保持部材41は、伝達部材180に対して第1接続部83を支点として所定の範囲で揺動できる。また、図18に示すように、伝達部材180における円筒状の第2接続部184には、出力軸60の接続用凸部61が挿入され、第2接続部84の内周面に接続用凸部61の一部が当接する。つまり、円筒状の第2接続部184によって規定される貫通孔184hに接続用凸部61が挿入される。接続用凸部61の外周面は、出力軸60の軸60a方向に沿って外側に凸となるように弧状に湾曲しており、伝達部材180は、出力軸60に対して接続用凸部61を支点として所定の範囲で揺動できる。なお、円筒状の第2接続部184における駆動部51側の端は、伝達部材180のベース部181よりも駆動部51側に位置するものの、駆動部51と離隔している。
【0109】
ここで、図20には、出力軸60の軸60aを含み当該出力軸60の移動方向に沿った面内方向を有する第1平面P11が記載されている。本実施形態では、この第1平面P11は蓋部材54の貫通孔54hの径の長手方向に沿って延在している。本実施形態の第1接続部83は、この第1平面P11から離隔しており、シャフト185も当該第1平面P11から離隔している。また、第1接続部83は、第1平面P11と平行でシャフト185を通る第2平面P12を基準とする一方側に位置し、第2接続部184は、第2平面P12を基準とする他方側に位置している。なお、第1接続部83及び第2接続部184は、第2平面P12を基準とする同じ側に位置していてもよい。また、第1接続部83と第2平面との距離は、第2接続部184と第2平面との距離よりも大とされている。なお、第1接続部83と第2平面との距離は、第2接続部184と第2平面P12との距離と同じとされてもよく、第2接続部184と第2平面との距離よりも小とされてもよい。なお、図20は、上記のように、出力軸60の軸60aと概ね垂直な断面図であり、シャフト185の中心軸に沿った断面図である。そして、この図20には第1接続部83の一部が示されている。このため、第1接続部83は、出力軸60の軸60a方向と垂直かつシャフト185の中心軸を含む第3平面と交わっていると理解できる。つまり、出力軸60の軸60a方向と垂直な方向において、第1接続部83とシャフト185の中心軸とが重なっている。なお、第1接続部83は、出力軸60の軸60a方向と垂直かつシャフト185の中心軸を含む第3平面と交わっていなくてもよい。つまり、出力軸60の軸60a方向と垂直な方向において、第1接続部83とシャフト185の中心軸とが重なっていなくてもよい。
【0110】
また、図14に示すように、伝達部材180のアーム部182におけるリブ182b,182bは、摺動部材176は、嵌合凹部176c,176cに挿入される。このため、伝達部材180における出力軸60の移動方向と垂直な方向へのがたつきが抑制される。
【0111】
上記のようにアクチュエータ50が取り付けられるとともに伝達部材180を支持するブラケット170は、出力軸60の軸60aが水平方向に延在するとともに当該出力軸60の移動方向が前後方向となるように支持部40よりも後方側に配置される。そして、このブラケット170はランプハウジング11に固定される。つまり、ランプハウジング11は、ブラケット170が固定されるブラケット固定部材であり、アクチュエータ50はブラケット170を介してランプハウジング11に固定される。具体的には、図12図15に示すように、ランプハウジング11の後壁14には、前方側に向かって突出する一対のボス15,15が設けられている。このボス15,15の先端部には端面からボス15,15に沿って延在するねじ孔が形成されている。また、ボス15,15には、端面からボス15,15の延在方向と概ね平行な方向に突出する位置決めリブが設けられる。一方の位置決めリブをブラケット170の本体部171における第1固定部172の貫通孔172h2に挿入し、他方の位置決めリブを第2固定部173の貫通孔173h2に挿入することで、ランプハウジング11に対してブラケット170が位置決めされる。そして、第1固定部172の貫通孔172h1及び第2固定部173の貫通孔173h1のそれぞれにボルト17b,17bを挿入して当該ボルト17b,17bをボス15,15のねじ孔に螺入することで、ブラケット170がランプハウジング11に固定にされる。つまり、一方のボス15におけるねじ孔及び位置決めリブは、第1固定部172の貫通孔172h1,172h2対応し、他方のボス15におけるねじ孔及び位置決めリブは、第2固定部173の貫通孔173h1,173h2に対応している。本実施形態では、第1固定部172の貫通孔172h1,172h2及び第2固定部173の貫通孔173h1は概ね円形に形成され、第2固定部173の貫通孔173h2は所定の方向に長尺なオーバルトラック状に形成されている。
【0112】
次に、車両用灯具1における光の出射方向を上下に調節するレベリング調節の動作について説明する。
【0113】
このレベリング調節は、アクチュエータ50の出力軸60が移動することによって行われ、アクチュエータ50における出力軸60を移動させる駆動力は伝達部材180を介して灯具ユニット20に伝達される。ここで、図11図12に示される車両用灯具1は、アクチュエータ50の出力軸60が前後方向に移動してない初期状態である。この初期状態からアクチュエータ50の出力軸60が前方に移動すると、図22に示すように、伝達部材180は、シャフト185に沿って前方へ平行移動する。伝達部材180が前方へ移動することで、第1接続部83が接続される第1ベアリング保持部材41が前方へ押される。そして、支持部40がスクリュー支持部材43における本体部43aの前端部を支点として前方側に傾倒するように揺動し、光出射部21の光の出射方向が初期状態よりも下向きに変更される。
【0114】
一方、初期状態からアクチュエータ50の出力軸60が後方に移動すると、図23に示すように、伝達部材180は、シャフト185に沿って後方へ平行移動する。伝達部材180が後方へ移動することで、第1接続部83が接続される第1ベアリング保持部材41が後方へ引っ張られる。そして、支持部40がスクリュー支持部材43における本体部43aの前端部を支点として後方側に傾倒するように揺動し、光出射部21の光の出射方向が初期状態よりも上向きに変更される。
【0115】
ところで、前述のように、一般的に、灯具ユニットを揺動させるためのアクチュエータは、ある程度の大きさを有する。このため、車両用灯具におけるアクチュエータの配置が車両用灯具の設計に与える影響は大きく、アクチュエータの配置の自由度を向上して車両用灯具の設計の自由度を向上したいという要請がある。
【0116】
そこで、本実施形態の車両用灯具1は、アクチュエータ50と、灯具ユニット20と、伝達部材180と、を備える。アクチュエータ50は、軸60a方向と異なる方向に平行移動可能な出力軸60を有する。灯具ユニット20は、揺動可能に支持される。伝達部材180は、出力軸60及び灯具ユニット20に連結され、出力軸60の移動方向と平行な方向に沿って移動可能である。伝達部材180における灯具ユニット20と接続される第1接続部83は、出力軸60の軸60aを含み出力軸60の移動方向に沿った面内方向を有する第1平面P11から離隔している。
【0117】
本実施形態の車両用灯具1では、アクチュエータ50の出力軸60が移動することで出力軸60に接続される伝達部材180が出力軸60の移動方向と平行な方向に沿って移動し、伝達部材180が接続される灯具ユニット20が揺動される。その結果、車両用灯具1から出射する光の方向が変更される。また、本実施形態の車両用灯具1では、上記のように、第1接続部83は出力軸60の軸60aを含み出力軸60の移動方向に沿った面内方向を有する第1平面P11から離隔している。このため、第1接続部83がこの第1平面P11と交わっている場合と比べて、アクチュエータ50に対する第1接続部83の位置の制約が少ない。従って、この場合と比べて、アクチュエータ50の配置の自由度を向上し得、車両用灯具1の設計の自由度を向上し得る。
【0118】
また、本実施形態の車両用灯具1は、出力軸60の移動方向と平行な方向に延在し、伝達部材180を支持するシャフト185を更に備える。第1接続部83は、第1平面P11と平行でシャフト185を通る第2平面P12を基準とする一方側に位置し、伝達部材180における出力軸60と接続される第2接続部184は、第2平面P12を基準とする他方側に位置する。このため、シャフト185に当該シャフト185が湾曲するような力が作用することを抑制し得、出力軸60を移動させる駆動力を灯具ユニット20に効果的に伝達させ得る。このため、出力軸60を移動させる駆動力を小さくし得、アクチュエータ50を小型化して車両用灯具1を小型化し得る。
【0119】
また、本実施形態の車両用灯具1は、第1接続部83と第2平面P12との距離は、第2接続部184と第2平面P12との距離よりも大である。このため、伝達部材180における第2接続部184とシャフト185との間の部位がたわむことを抑制し得る。従って、本実施形態の車両用灯具1は、出力軸60を移動させる駆動力がシャフト185に作用することを抑制でき、駆動力を灯具ユニット20に効果的に伝達させ得る。
【0120】
また、本実施形態の車両用灯具1は、前記第1接続部83は、出力軸60の軸60a方向と垂直かつシャフト85の中心軸を含む第3平面と交わる。このため、第1接続部が第3平面と交わらない場合と比べて、伝達部材180における第1接続部83とシャフト185との間の部位がたわむことを抑制し得る。従って、本実施形態の車両用灯具1は、出力軸60を移動させる駆動力を灯具ユニット20に効果的に伝達させ得る。
【0121】
また、本実施形態の車両用灯具1では、伝達部材180は、出力軸60の軸60a方向と垂直な方向に延在する板状部材とされ、伝達部材80には、出力軸60が挿入される貫通孔184hが厚さ方向に沿って形成される。このため、出力軸60の軸60a方向における伝達部材80の幅を小さくし得、車両用灯具1を小型化し得る。
【0122】
以上、本発明の第2の態様について、第2実施形態を例に説明したが、本発明の第2の態様はこれに限定されるものではない。
【0123】
例えば、第2実施形態では、アクチュエータ50は、光出射部21よりも左側に配置されていた。しかし、アクチュエータ50の配置は特に限定されるものではない。例えば、アクチュエータ50は、光出射部21よりも右側に配置されてもよく、光出射部21よりも上方側に配置されてもよく、光出射部21よりも下方側に配置されてもよく、前後方向において光出射部21と重なる位置に配置されてもよい。
【0124】
また、第2実施形態では、灯具ユニット20の揺動支点は、光出射部21よりも下方側に位置していた。しかし、灯具ユニット20は揺動可能に支持されていればよい。例えば、灯具ユニット20の揺動支点は、光出射部21よりも上方側に位置していてもよい。なお、この場合は、伝達部材80は光出射部21よりも下方側において灯具ユニットと連結されることが好ましい。
【0125】
また、第2実施形態では、光の出射方向を上下方向に変更可能とされた車両用灯具1を例に説明した。しかし、車両用灯具1における光の出射方向の変更方向は特に限定されるものではなく、例えば車両用灯具1は左右方向に変更可能な構成とされてもよい。このような車両用灯具として、例えば、第2実施形態の車両用灯具1における第1ベアリング保持部材41及び第1接続部83が光出射部21よりも左右方向の一方側に配置され、第2ベアリング保持部材42及びスクリュー支持部材43が光出射部21よりも左右方向の他方側に配置される構成が挙げられる。
【0126】
また、第2実施形態では、ブラケット170は、2つのボルト17b,17bによってランプハウジング11に固定されていた。しかし、ブラケット170をランプハウジング11に固定する構成は、特に限定されるものではなく、ブラケット170におけるランプハウジング11に固定される部位である固定部は、3つ以上であってもよく、1つであってもよい。また、ブラケット170が固定されるブラケット固定部材は特に限定されるものではなく、ブラケット170は車両の他の部材に固定されてもよい。
【0127】
また、第2実施形態では、アクチュエータ50は2つのボルト17a,17aによってブラケット70に固定されていた。しかし、アクチュエータ50をブラケット70に固定する構成は、特に限定されるものではない。また、第2実施形態では、ブラケット170がランプハウジング11に固定されることでアクチュエータ50がランプハウジング11に固定されていた。しかし、アクチュエータ50がブラケット170を介さずにランプハウジング11に固定されてもよく、アクチュエータ50はブラケット170を介さずに車両の他の部材に固定されてもよい。
【0128】
また、第2実施形態では、アクチュエータ50は出力軸60を軸60a方向と概ね垂直な方向に平行移動させていた。しかし、アクチュエータ50は出力軸60を軸60a方向と異なる方向に平行移動させればよい。
【0129】
また、第2実施形態では、概ね球状の第1接続部83と断面形状が略コ字状の本体部46とが連結することで伝達部材180と灯具ユニット20とが連結されていた。また、円筒状の第2接続部184と断面形状がオーバルトラック状の接続用凸部61とが連結することで伝達部材180と出力軸60とが連結されていた。しかし、これらの部材同士は、所定の範囲で揺動可能に連結されていればよく、部材同士を連結する構成は特に限定されるものではない。
【0130】
また、第2実施形態では、伝達部材180は、出力軸60の軸60a方向と垂直な方向に延在する板状部材とされていた。しかし、伝達部材180の形状は特に限定されるものではなく、板状部材でなくてもよい。なお、車両用灯具1を小型する観点では、上記のように、伝達部材180は、出力軸60の軸60a方向と垂直な方向に延在する板状部材とされることが好ましい。また、伝達部材180における出力軸60が挿入される孔は貫通孔でなくてもよい。つまり、貫通孔184hの出力軸60側と反対側の開口は閉塞されていてもよい。
【0131】
また、第2実施形態では、光出射部21は、PES光学系とされていた。しかし、光出射部21の構成は特に限定されるものではない。また、灯具ユニット20は、複数の光出射部21を備えていてもよい。
【0132】
本発明の第1の態様によれば、出射する光の方向を変更可能としつつ小型化し得る車両用灯具が提供され、本発明の第2の態様によれば、設計の自由度を向上し得る車両用灯具が提供され、自動車等の車両用灯具などの分野において利用可能である。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図14
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図22
図23