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特許7199530自動車ランプ用光学装置、自動車照明装置及び自動車
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】自動車ランプ用光学装置、自動車照明装置及び自動車
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/24 20180101AFI20221223BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20221223BHJP
   F21S 41/16 20180101ALI20221223BHJP
   F21S 41/25 20180101ALI20221223BHJP
   F21S 41/32 20180101ALI20221223BHJP
   F21S 41/37 20180101ALI20221223BHJP
   F21V 7/04 20060101ALI20221223BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20221223BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20221223BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20221223BHJP
   F21S 41/40 20180101ALI20221223BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20221223BHJP
   F21W 102/155 20180101ALN20221223BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221223BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20221223BHJP
【FI】
F21S41/24
F21S41/143
F21S41/16
F21S41/25
F21S41/32
F21S41/37
F21V7/04 500
F21V7/00 510
F21V7/28 210
F21S41/663
F21S41/40
F21S2/00 495
F21S2/00 492
F21S2/00 491
F21W102:155
F21Y115:10
F21Y115:30
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021522082
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 CN2019097932
(87)【国際公開番号】W WO2020232826
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】201910420690.9
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520372939
【氏名又は名称】▲華▼域▲視▼▲覺▼科技(上▲海▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】祝 ▲賀▼
(72)【発明者】
【氏名】仇 智平
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲聰▼
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102010023360(DE,A1)
【文献】特開2019-023997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/24
F21S 41/143
F21S 41/16
F21S 41/25
F21S 41/32
F21S 41/37
F21V 7/04
F21V 7/00
F21V 7/28
F21S 41/663
F21S 41/40
F21S 2/00
F21W 102/155
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ランプ用光学装置であって、左ハンドル光学素子(1)及び右ハンドル光学素子(2)を備え、
前記左ハンドル光学素子(1)は、左ハンドル入光部(101)、及び前記左ハンドル入光部(101)に設けられる出光端領域に用いられ、且つ出光方向に沿って延在する左ハンドル伝搬部(102)を備え、前記左ハンドル伝搬部(102)の出光端に左ハンドルカットオフラインを形成可能な左ハンドルカットオフ部(103)が設けられ、
前記右ハンドル光学素子(2)は、右ハンドル入光部(201)、及び前記右ハンドル入光部(201)に設けられる出光端領域に用いられ、且つ出光方向に沿って延在する右ハンドル伝搬部(202)を備え、前記右ハンドル伝搬部(202)の出光端に右ハンドルカットオフラインを形成可能な右ハンドルカットオフ部(203)が設けられ
前記左ハンドルカットオフ部(103)は左ハンドルカットオフ部水平線部セクション(1031)、左ハンドルカットオフ部エルボー点部(1032)及び左ハンドルカットオフ部斜線部セクション(1033)を備え、前記右ハンドルカットオフ部(203)は右ハンドルカットオフ部水平線部セクション(2031)、右ハンドルカットオフ部エルボー点部(2032)及び右ハンドルカットオフ部斜線部セクション(2033)を備え、
前記左ハンドルカットオフ部水平線部セクション(1031)及び前記右ハンドルカットオフ部水平線部セクション(2031)は水平凹構造であることを特徴とする自動車ランプ用光学装置。
【請求項2】
前記左ハンドル入光部(101)及び前記右ハンドル入光部(201)はいずれも光源接続部及びランプカバーを備え、前記光源接続部は凹弧状空洞部であり、前記ランプカバーは、光源に近い端から、光源から離れた端へ徐々に増大するラッパ状の集光カップであることを特徴とする請求項1に記載の自動車ランプ用光学装置。
【請求項3】
前記左ハンドル入光部(101)及び前記左ハンドル伝搬部(102)は一体的に形成され、且つ透明な構造であり、前記右ハンドル入光部(201)及び前記右ハンドル伝搬部(202)は一体的に形成され、且つ透明な構造であり、前記左ハンドル伝搬部(102)及び前記右ハンドル伝搬部(202)は独立して設けられ、
前記左ハンドルカットオフ部(103)及び前記右ハンドルカットオフ部(203)の厚さは≧0.5mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車ランプ用光学装置。
【請求項4】
前記左ハンドル伝搬部(102)及び前記右ハンドル伝搬部(202)はいずれも中空密閉構造であり、前記左ハンドル入光部(101)の出光端は前記左ハンドル伝搬部(102)の中空密閉構造内に位置し、前記右ハンドル入光部(201)の出光端は前記右ハンドル伝搬部(202)の中空密閉構造内に位置することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の自動車ランプ用光学装置。
【請求項5】
前記左ハンドル入光部(101)及び前記左ハンドル伝搬部(102)は独立して設けられ、前記右ハンドル入光部(201)及び前記右ハンドル伝搬部(202)は独立して設けられ、前記左ハンドル伝搬部(102)、前記左ハンドルカットオフ部(103)、前記右ハンドル伝搬部(202)及び前記右ハンドルカットオフ部(203)は一体的に形成され、且つ厚さ≦2mmの板状構造であり、
前記左ハンドルカットオフ部斜線部セクション(1033)と前記右ハンドルカットオフ部斜線部セクション(2033)は交差し、前記左ハンドルカットオフ部エルボー点部(1032)と前記右ハンドルカットオフ部エルボー点部(2032)との距離は≦2mmであることを特徴とする請求項又はに記載の自動車ランプ用光学装置。
【請求項6】
前記左ハンドル伝搬部(102)及び前記右ハンドル伝搬部(202)の上面にアルミニウムメッキ層が設けられ、前記アルミニウムメッキ層の反射率は≧0.8であることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の自動車ランプ用光学装置。
【請求項7】
前記左ハンドル入光部(101)、前記左ハンドル伝搬部(102)、前記右ハンドル入光部(201)及び前記右ハンドル伝搬部(202)は一体的に形成され、且つ透明な構造であり、前記左ハンドルカットオフ部(103)及び前記右ハンドルカットオフ部(203)の厚さは≧0.5mmであることを特徴とする請求項又はに記載の自動車ランプ用光学装置。
【請求項8】
前記左ハンドル伝搬部(102)及び前記右ハンドル伝搬部(202)はいずれも中空密閉構造であり、前記左ハンドル入光部(101)の出光端は前記左ハンドル伝搬部(102)の中空密閉構造内に位置し、前記右ハンドル入光部(201)の出光端は前記右ハンドル伝搬部(202)の中空密閉構造内に位置し、前記左ハンドル伝搬部(102)と前記右ハンドル伝搬部(202)との接続部に、上部が狭く下部が広く且つ上下両端が開放した楔状キャビティ(3)が形成され、
前記左ハンドルカットオフ部斜線部セクション(1033)、前記左ハンドルカットオフ部エルボー点部(1032)、前記右ハンドルカットオフ部斜線部セクション(2033)及び前記右ハンドルカットオフ部エルボー点部(2032)は前記楔状キャビティ(3)の出光端に設けられることを特徴とする請求項1、2、又は7に記載の自動車ランプ用光学装置。
【請求項9】
自動車照明装置であって、レンズ及び請求項1~のいずれか一項に記載の光学装置を備え、前記左ハンドル入光部(101)には、左ハンドル光源が対応して設けられ、前記右ハンドル入光部(201)には、右ハンドル光源が対応して設けられることを特徴とする自動車照明装置。
【請求項10】
前記左ハンドル入光部(101)内に前記左ハンドル光源が設けられ、前記右ハンドル入光部(201)内に前記右ハンドル光源が設けられることを特徴とする請求項に記載の自動車照明装置。
【請求項11】
前記左ハンドル光源及び前記右ハンドル光源は独立して設けられ、且つ別々にアドレッシング可能であり、それによりそれぞれ個別に点灯及び消灯が可能であることを特徴とする請求項9又は10に記載の自動車照明装置。
【請求項12】
前記左ハンドル光源及び前記右ハンドル光源は1つ又は複数設けられるLED光源又はレーザ光源であることを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載の自動車照明装置。
【請求項13】
前記左ハンドルカットオフ部(103)及び前記右ハンドルカットオフ部(203)は前記レンズの焦点領域に位置することを特徴とする請求項9~12のいずれか一項に記載の自動車照明装置。
【請求項14】
請求項9~13のいずれか一項に記載の自動車照明装置を備えることを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車照明の技術分野に関し、具体的には、自動車ランプ用光学装置、自動車照明装置及び自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車ランプの技術分野では、左ハンドルと右ハンドルの違いのため、国や地域別の法規要件が一致せず、この違いがロービームカットオフラインに反映される場合、左ハンドル車両のロービームカットオフラインの形状は右側が高く左側が低いが、右ハンドル車両のロービームカットオフラインの形状は左側が高く右側が低い。自動車工業及び国際経済の発展に伴って、自動車産業の国際化程度が日々高まっており、自動車ランプは自動車の照明装置として、自動車の現在及び将来の不可欠かつ重要な部品である。国際市場のニーズを満たすために、自動車照明装置は国や地域別の照明ニーズを満たす必要がある。
【0003】
現在、左、右ハンドルを一体化した自動車照明装置を実現する従来技術は、特許文献1を参照でき、該特許は汎用型LEDヘッドライトを開示しており、左ハンドル及び右ハンドル車両に適用でき、左ハンドル及び右ハンドル車両の要件を同時に満たすために、該技術が採用する技術的解決手段として、LED光源、反射器及び遮光機構を設け、該遮光機構は左ハンドルロービームパターンを形成するための第1遮光シート、右ハンドルロービームパターンを形成する第2遮光シート、上記第1遮光シート及び第2遮光シートを横転させてハイビームパターンを形成するように駆動する駆動機構、第1遮光シートと第2遮光シートの使用状態を切り替えるための切り替え機構、及び対応する取り付けブラケット等を備える。パターン切り替えは切り替え機構によって第1遮光シートと第2遮光シートを反対方向に反転させて、それにより2種の異なるロービームパターンを切り替える。左ハンドルを実現する動作原理として、ダイヤルレバーの自由端を上へ動かして、第1遮光シートに上方反転の動作を形成させ、それによりヘッドライトの配光作用を果たし、対応するLED光源をオンにし、光が第1遮光シートの配光により左ハンドルのロービーム照射を形成する。右ハンドルを実現する動作原理として、ダイヤルレバーの自由端を下へ動かして、第1遮光シートに下方反転の動作を形成させ、それにより第2遮光シートがヘッドライトの配光作用を果たし、光が第2遮光シートの配光により右ハンドルのロービーム照射を形成する。類似する技術手段を採用する従来技術の引例は、さらに特許文献2、特許文献3を参照できる。上記技術的解決手段は3つの欠点がある。(1)左、右ハンドルパターンを実現する第1光学素子は反射器であり、このような光学素子は通常、光の15%のエネルギー損失をもたらし、システムの光学効率をさらに向上させる必要がある。(2)左、右ハンドルパターンの切り替えは遮光シート及び互いに協働する一連の駆動装置によって、このような構造は構成が非常に複雑であるため、対応する照明装置の体積が大きく、コストが高い。(3)左、右ハンドルの切り替え時、一連の構造の反転運動は、一定の機構運動ノイズを招くとともに、長時間反転後、機構の摩耗を引き起こし、さらに照射パターンの精度を損なってしまう。
【0004】
従来技術には光効率向上、システム構成の簡素化及びノイズ低減等の点で欠点があり、本技術分野ではこれらの技術的課題を解決する新たな技術的解決手段を提供することが急務である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国特許第CN105135317B号
【文献】中国実用新案出願第202598352U号
【文献】中国特許第102529796B号
【発明の概要】
【0006】
従来技術の欠点を克服するために、まず、本発明が解決しようとする基本的な技術的課題は自動車ランプ用光学装置を提供することであり、該装置は左ハンドル自動車ランプのパターン及び右ハンドル自動車ランプのパターンを形成する機能を兼ね備えるとともに、光学効率が高く、光学系の構成が簡単で、ノイズがない利点を有する。
【0007】
本発明は該自動車ランプ用光学装置を備えた自動車照明装置及び該自動車照明装置を備えた自動車をさらに提供する。
【0008】
上記目的を実現するために、本発明の第1態様は自動車ランプ用光学装置を提供し、左ハンドル光学素子及び右ハンドル光学素子を備え、前記左ハンドル光学素子は左ハンドル入光部、及び前記左ハンドル入光部に設けられる出光端領域に用いられ、且つ出光方向に沿って延在する左ハンドル伝搬部を備え、前記左ハンドル伝搬部の出光端に左ハンドルカットオフラインを形成可能な左ハンドルカットオフ部が設けられ、前記右ハンドル光学素子は右ハンドル入光部、及び前記右ハンドル入光部に設けられる出光端領域に用いられ、且つ出光方向に沿って延在する右ハンドル伝搬部を備え、前記右ハンドル伝搬部の出光端に右ハンドルカットオフラインを形成可能な右ハンドルカットオフ部が設けられる。
【0009】
好ましくは、前記左ハンドル入光部及び前記右ハンドル入光部はいずれも光源接続部及びランプカバーを備え、前記光源接続部は凹弧状空洞部であり、前記ランプカバーは、光源に近い端から、光源から離れた端へ徐々に増大するラッパ状の集光カップである。
【0010】
好ましくは、前記左ハンドルカットオフ部は左ハンドルカットオフ部水平線部セクション、左ハンドルカットオフ部エルボー点部及び左ハンドルカットオフ部斜線部セクションを備え、前記右ハンドルカットオフ部は右ハンドルカットオフ部水平線部セクション、右ハンドルカットオフ部エルボー点部及び右ハンドルカットオフ部斜線部セクションを備える。
【0011】
好ましくは、前記左ハンドルカットオフ部水平線部セクション及び前記右ハンドルカットオフ部水平線部セクションは水平凹構造である。
【0012】
好ましくは、前記左ハンドル入光部及び前記左ハンドル伝搬部は一体的に形成され、且つ透明な構造であり、前記右ハンドル入光部及び前記右ハンドル伝搬部は一体的に形成され、且つ透明な構造であり、前記左ハンドル伝搬部及び前記右ハンドル伝搬部は独立して設けられされ、前記左ハンドルカットオフ部及び前記右ハンドルカットオフ部の厚さは≧0.5mmである。
【0013】
好ましくは、前記左ハンドル伝搬部及び前記右ハンドル伝搬部はいずれも中空密閉構造であり、前記左ハンドル入光部の出光端は前記左ハンドル伝搬部の中空密閉構造内に位置し、前記右ハンドル入光部の出光端は前記右ハンドル伝搬部の中空密閉構造内に位置する。
【0014】
好ましくは、前記左ハンドル入光部及び前記左ハンドル伝搬部は独立して設けられ、前記右ハンドル入光部及び前記右ハンドル伝搬部は独立して設けられ、前記左ハンドル伝搬部、前記左ハンドルカットオフ部、前記右ハンドル伝搬部及び前記右ハンドルカットオフ部は一体的に形成され、且つ厚さ≦2mmの板状構造であり、前記左ハンドルカットオフ部斜線部セクションと前記右ハンドルカットオフ部斜線部セクションは交差し、前記左ハンドルカットオフ部エルボー点部と前記右ハンドルカットオフ部エルボー点部との距離は≦2mmである。
【0015】
好ましくは、前記左ハンドル伝搬部及び前記右ハンドル伝搬部の上面にアルミニウムメッキ層が設けられ、前記アルミニウムメッキ層の反射率は≧0.8である。
【0016】
好ましくは、前記左ハンドル入光部、前記左ハンドル伝搬部、前記右ハンドル入光部及び前記右ハンドル伝搬部は一体的に形成され、且つ透明な構造であり、前記左ハンドルカットオフ部及び前記右ハンドルカットオフ部の厚さは≧0.5mmである。
【0017】
好ましくは、前記左ハンドル伝搬部及び前記右ハンドル伝搬部はいずれも中空密閉構造であり、前記左ハンドル入光部の出光端は前記左ハンドル伝搬部の中空密閉構造内に位置し、前記右ハンドル入光部の出光端は前記右ハンドル伝搬部の中空密閉構造内に位置し、前記左ハンドル伝搬部と前記右ハンドル伝搬部との接続部に、上部が狭く下部が広く且つ上下両端が開放した楔状キャビティが形成され、前記左ハンドルカットオフ部斜線部セクション、前記左ハンドルカットオフ部エルボー点部、前記右ハンドルカットオフ部斜線部セクション及び前記右ハンドルカットオフ部エルボー点部は前記楔状キャビティの出光端に設けられる。
【0018】
本発明の第2態様は自動車照明装置を提供し、レンズ及び上記自動車ランプ用光学装置を備え、前記左ハンドル入光部には、左ハンドル光源が対応して設けられ、前記右ハンドル入光部には、右ハンドル光源が対応して設けられる。
【0019】
好ましくは、前記左ハンドル入光部内に前記左ハンドル光源が設けられ、前記右ハンドル入光部内に前記右ハンドル光源が設けられる。
【0020】
好ましくは、前記左ハンドル光源及び前記右ハンドル光源は独立して設けられ、且つ別々にアドレッシング可能であり、それによりそれぞれ独立して点灯及び消灯が可能である。
【0021】
好ましくは、前記左ハンドル光源及び前記右ハンドル光源は1つ又は複数設けられるLED光源又はレーザ光源である。
【0022】
好ましくは、前記左ハンドルカットオフ部及び前記右ハンドルカットオフ部は前記レンズの焦点領域に位置する。
【0023】
本発明の第3態様は上記自動車照明装置を備える自動車を提供する。
【0024】
上記技術的解決手段によって、本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0025】
1.本発明の自動車ランプ用光学装置は、光学効率が高く、一方では、左ハンドル及び右ハンドルのパターン切り替えは、左ハンドル入光部内の光源及び右ハンドル入光部内の光源が相互に独立して点灯又は消灯することによって行われるため、特定のパターンの場合、不要なパターン部分に対応する光源が消灯し、このようにして、光源の利用効率を向上させ、他方では、光源から発したパターンを遮光構造によって遮蔽して対応するパターンを形成するのではなく、左ハンドル入光部内の光源又は右ハンドル入光部内の光源が点灯する時に対応するパターンを形成し、それにより光学効率を向上させ、最後に、左ハンドル光学素子及び右ハンドル光学素子にそれぞれ入光部及び伝搬部が設けられるため、光源から発した光がより多く入光部に収集、コリメートされ、パターンが伝搬部内を伝搬した後、カットオフ部のカットオフ作用によりカットオフライン付きの自動車ランプパターンを形成し、このようにして、光の利用効率をさらに向上させる。
【0026】
2.本発明の自動車ランプ用光学装置は、光学系の構成が簡単で、左ハンドル光学素子及び右ハンドル光学素子にそれぞれ入光部、伝搬部及びカットオフ部が設けられることで、左ハンドル自動車ランプパターン又は右ハンドル自動車ランプパターンを形成し、構成が相対的に簡単であり、複雑な構造の遮光板、回転機構や電磁弁等が不要であり、それにより光学系の構成が簡単で、取り付けが容易である。
【0027】
3.本発明の自動車ランプ用光学装置は、左ハンドル入光部内の光源及び右ハンドル入光部内の光源が相互に独立して点灯又は消灯することによって左ハンドル及び右ハンドルのパターン切り替えを行うことで、回転機構及び電磁弁の機構ノイズを回避し、ノイズ無し切り替えを実現できる。
【0028】
本発明のほかの特徴及び利点について、後述する具体的な実施形態では詳しく説明する。
【0029】
以下の図面は本発明をさらに理解するためのものであり、明細書の一部として組み込まれ、後述する具体的な実施形態とともに本発明を解釈することに用いられるが、本発明の保護範囲は以下の図面及び具体的な実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】左ハンドルロービームパターンの模式図である。
図2】右ハンドルロービームパターンの模式図である。
図3】本発明における自動車ランプ用光学装置の具体的な実施例の構造模式図であり、図中、左ハンドル入光部、左ハンドル伝搬部、右ハンドル入光部、及び右ハンドル伝搬部がそれぞれ独立して設けられる。
図4図3に示される自動車ランプ用光学装置の平面図である。
図5図3に示される自動車ランプ用光学装置の正面図である。
図6図3に示される自動車ランプ用光学装置の下面図である。
図7図3に示される自動車ランプ用光学装置の左ハンドル伝搬部及び左ハンドルカットオフ部の構造模式図である。
図8図7のA部位の部分拡大図である。
図9図3に示される自動車ランプ用光学装置の右ハンドル伝搬部及び右ハンドルカットオフ部の構造模式図である。
図10図9中のB部位の部分拡大図である。
図11図3に示される自動車ランプ用光学装置の右ハンドル光学素子の構造模式図である。
図12図11に示される右ハンドル光学素子の光方向の模式図である。
図13図12中のC部位の部分拡大図である。
図14】本発明における左ハンドル光学素子の具体的な実施例の構造模式図であり、図中、左ハンドル入光部及び左ハンドル伝搬部が一体的に形成される。
図15図14中のD部位の部分拡大図である。
図16】本発明における右ハンドル光学素子の具体的な実施例の構造模式図であり、図中、右ハンドル入光部及び右ハンドル伝搬部が一体的に形成される。
図17図16中のE部位の部分拡大図である。
図18】本発明における自動車ランプ用光学装置の別の具体的な実施例の構造模式図であり、図中、左ハンドル伝搬部及び右ハンドル伝搬部が一体的に形成される。
図19図18中のF部位の部分拡大図である。
図20図18に示される自動車ランプ用光学装置の平面図である。
図21図18に示される自動車ランプ用光学装置の左ハンドル伝搬部及び右ハンドル伝搬部の構造模式図である。
図22】本発明における自動車ランプ用光学装置の第3種の具体的な実施例の構造模式図であり、図中、左ハンドル入光部、左ハンドル伝搬部、右ハンドル入光部、及び右ハンドル伝搬部が一体的に形成される。
図23図22に示される自動車ランプ用光学装置の下面図1である。
図24図22に示される自動車ランプ用光学装置の下面図2である。
図25図22に示される自動車ランプ用光学装置の下面図3である。
図26図22に示される自動車ランプ用光学装置の側面図である。
図27】補助ロービームパターンの模式図である。
図28】本発明の左ハンドルカットオフ部のパターンと補助ロービームパターンとを重ね合わせたパターンの模式図である。
図29】本発明の右ハンドルカットオフ部のパターンと補助ロービームパターンとを重ね合わせたパターンの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を詳しく説明し、なお、ここで説明される具体的な実施形態は単に本発明を説明及び解釈するためのものであり、本発明の保護範囲は後述する具体的な実施形態に限定されない。
【0032】
なお、本発明の説明では、用語「上」、「下」、「前」、「後」等で指示される方位又は位置関係は図示に基づく方位又は位置関係であり、本発明を簡単に説明するためのものであり、係る装置又は素子が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構成や操作されたりすることを指示又は暗示しないため、本発明を限定するものではないと理解すべきである。本発明では、技術的特徴の説明に用いられる「入光部」、「伝搬部」、「カットオフ部」等の名詞は構造特徴の説明よりもよく対応する技術的特徴を限定及び説明することができ、且つ構造特徴での説明よりも簡潔かつ明瞭であり、当業者が唯一で疑うことなく決定できるものでもある。
【0033】
なお、本発明の説明では、出光端又は出光方向とは、光の主要な伝搬方向の出光端又は出光方向である。「カットオフライン」は本分野の汎用用語であり、カットオフラインは左右に高さの差があり且つV軸位置にエルボー点を有するパターン上境界であり、エルボー点を経た後、斜線が上向きに上方境界と接続する。図1は左ハンドル車両に対応する自動車ランプのロービームのパターンであり、上端境界がカットオフラインであり、図1からわかるように、上下方向において、左ハンドルカットオフラインaの右側が左側よりも高く、これは左ハンドル車両の場合、右側パターンが路面上の本車線及び本車線の右側を照射し、パターンが高く、路面上に照射すると、照射輝度がさらに明るく、照射距離がさらに遠くなるが、左側パターンが低く、法規要件によれば、左側パターンの境界線が一般に-0.57°にあり、路面上の本車線の左側を対応して照射し、多くの場合、対向車を対応して照射し、応用では右側よりも照射輝度が低く、距離が近いからであり、図2は右ハンドル車両に対応する自動車ランプのロービームのパターンであり、図示からわかるように、左ハンドルカットオフラインaに比べて、右ハンドルカットオフラインbの形状は逆であり、上下方向に左側が高く、右側が低い。
【0034】
本発明の第1態様に係る自動車ランプ用光学装置は、図3図13に示すように、左ハンドル光学素子1及び右ハンドル光学素子2を備え、左ハンドル光学素子1は、左ハンドル入光部101、及び左ハンドル入光部101に設けられる出光端領域に用いられ、且つ出光方向に沿って延在する左ハンドル伝搬部102を備え、左ハンドル伝搬部102の出光端に、左ハンドルカットオフラインを形成可能な左ハンドルカットオフ部103が設けられ、右ハンドル光学素子2は、右ハンドル入光部201、及び右ハンドル入光部201に設けられる出光端領域に用いられ、且つ出光方向に沿って延在する右ハンドル伝搬部202を備え、右ハンドル伝搬部202の出光端に右ハンドルカットオフラインを形成可能な右ハンドルカットオフ部203が設けられる。
【0035】
なお、本発明では、左ハンドル入光部101、左ハンドル伝搬部102、左ハンドルカットオフ部103、右ハンドル入光部201、右ハンドル伝搬部202及び右ハンドルカットオフ部203は、それぞれ独立して設けられる部材を組み立てて固定されるようにしてもよく、そのうちの2つ以上の部材が一体的に形成され、ほかの部材と組み立てて固定されるようにしてもよい。本発明の上記基本的な技術的解決手段に係る自動車ランプ用光学装置によれば、使用時、左ハンドル入光部101及び右ハンドル入光部201内にそれぞれ互いに独立する光源が設けられ、左ハンドル入光部101内の光源がオンすると、左ハンドル入光部101が該光源から発した光を収集してコリメートし、次に左ハンドル入光部101から射出した光が左ハンドル伝搬部102の前後延在方向に沿って左ハンドルカットオフ部103に収束し、光が左ハンドルカットオフ部103によってカットオフされて左ハンドルパターンの構造を形成した後に射出し、右ハンドル入光部201内の光源がオンすると、右ハンドル入光部201が該光源から発した光を収集してコリメートし、次に右ハンドル入光部201から射出した光線が右ハンドル伝搬部202の前後延在方向に沿って右ハンドルカットオフ部203に収束し、光が右ハンドルカットオフ部203によってカットオフされて左ハンドルパターンの構造を形成した後に射出し、左ハンドル入光部101及び右ハンドル入光部201内の光源は独立して設けられ、且つ別々にアドレッシング可能であり、それぞれ独立して点灯及び消灯が可能であり、左ハンドル入光部101内の光源が点灯するが、対応する右ハンドル入光部201内の光源が消灯する場合、左ハンドル車両に対応して使用される自動車ランプパターンを実現し、右ハンドル入光部201内の光源が点灯するが、対応する左ハンドル入光部101内の光源が消灯する場合、右ハンドル車両に対応して使用される自動車ランプパターンを実現する。
【0036】
なお、ここでは、「収集、コリメート」とは、入光部内の光源から発した光が最初に入る構造であり、光が屈折して入光部に入り、外郭により反射された後、光がカットオフ部に向けて照射する過程であり、「カットオフ部に収束する」とは、入光部から入った光が伝搬部により直接又は伝搬部により反射された後、集光してカットオフ部に照射することであり、カットオフ部の位置は光学素子の出光面に相当し、カットオフ後、カットオフライン形状を有するパターンを形成する。
【0037】
本発明の一好ましい実施例では、左ハンドル入光部101及び右ハンドル入光部201はいずれも光源接続部及びランプカバーを備え、好ましくは、光源接続部は凹弧状空洞部であり、ランプカバーは光源に近い端から、光源から離れた端へ徐々に増大するラッパ状の集光カップである。使用時、光源が凹弧状空洞部により囲んだ空間の対応する位置に設けられることで、ランプカバーは対応する光源から発した光を効果的に収集してコリメートすることができ、光源をよりよく利用でき、光の利用効率を向上させることができる。
【0038】
本発明の一実施例では、図3図11に示すように、左ハンドルカットオフ部103は左ハンドルカットオフ部水平線部セクション1031、左ハンドルカットオフ部エルボー点部1032及び左ハンドルカットオフ部斜線部セクション1033を備え、右ハンドルカットオフ部203は右ハンドルカットオフ部水平線部セクション2031、右ハンドルカットオフ部エルボー点部2032及び右ハンドルカットオフ部斜線部セクション2033を備える。左ハンドルカットオフ部水平線部セクション1031、左ハンドルカットオフ部エルボー点部1032及び左ハンドルカットオフ部斜線部セクション1033によって、左ハンドルカットオフ部103でカットオフ後に形成されるパターンは左ハンドルカットオフライン形状を有するパターンであり、右ハンドルカットオフ部水平線部セクション2031、右ハンドルカットオフ部エルボー点部2032及び右ハンドルカットオフ部斜線部セクション2033によって、右ハンドルカットオフ部203でカットオフ後に形成されるパターンは右ハンドルカットオフライン形状を有するパターンである。
【0039】
なお、左ハンドルカットオフ部103又は右ハンドルカットオフ部203の水平線部セクション、エルボー点部及び斜線部セクションが対応するカットオフラインの形状設定を有することで、カットオフ後に形成されるパターンが対応するカットオフラインの形状を有するが、光学素子の下面の形状を限定せず、2つの面を連結する屈曲面であってもよく、異型曲面であってもよく、カットオフ部に対応するカットオフラインの形状を形成すればよい。「水平」は、左右方向に延在する傾向として理解すべきであり、すなわち、前から後へみると、該線分は水平又は略水平の形状を有し、厳密な水平関係に限定される。
【0040】
本発明の一好ましい実施例では、左ハンドルカットオフ部水平線部セクション1031及び右ハンドルカットオフ部水平線部セクション2031は水平凹構造である。左ハンドル光学素子1又は右ハンドル光学素子2とレンズとを組み合わせて使用する場合、レンズの焦点は1つの線又は面ではなく、カットオフ部は光学素子の出光部として、水平凹構造を利用することで、両側のビームの収差を補正して、さらに鮮明な自動車ランプパターンを形成することができる。ここで、「凹」とは、中間に近い位置が両側よりもレンズから遠く、ここでは、厳密な凹の線種に限定されず、具体的には、凹弧線、又は不規則な曲線のような該当形状を有する線種としてもよく、左ハンドルカットオフ部水平線部セクション1031及び右ハンドルカットオフ部水平線部セクション2031が上面視で凹状の線種を有する限り、同様な技術的効果を図ることができる。具体的には、左ハンドルカットオフ部水平線部セクション1031及び右ハンドルカットオフ部水平線部セクション2031は半径R≧80mmの内凹弧線形構造としてもよい。
【0041】
本発明の一好ましい実施例では、図14図17に示すように、左ハンドル入光部101と左ハンドル伝搬部102は一体的に形成され、且つ透明な構造であり、右ハンドル入光部201及び右ハンドル伝搬部202は一体的に形成され、且つ透明な構造であり、左ハンドル伝搬部102及び右ハンドル伝搬部202は独立して設けられ、左ハンドルカットオフ部103及び右ハンドルカットオフ部203の厚さは≧0.5mmであり、それにより、入光部と伝搬部との間の構造の安定性を向上させるとともに、透明な構造によって、入光部により収集、コリメートされた光が伝搬部内を全反射伝搬され、ほかの構造の光学素子に比べて、光損失が小さい。左ハンドル又は右ハンドル自動車ランプパターンカットオフ部の上下角度が約0.57°であることに加えて、製造プロセスの要件に合わせて、対応する光学素子の厚さが小さすぎてはならなく、製造精度の点で0.5mm未満の厚さを確保することが困難であるため、左ハンドルカットオフ部103及び右ハンドルカットオフ部203の厚さを≧0.5mmとすることで、製造プロセスの精度要件を満たすことができるだけでなく、パターンカットオフ部の角度>0.57°を可能にし、ロービーム拡張パターンと重ね合わせた後、ロービームパターン全体の要件を満たし、ロービーム拡張パターンとは、カットオフ部パターンを除くロービームパターンのパターンである。
【0042】
図14及び図16に示すように、左ハンドル伝搬部102及び右ハンドル伝搬部202はいずれも中空密閉構造であり、左ハンドル入光部101の出光端は左ハンドル伝搬部102の中空密閉構造内に位置し、右ハンドル入光部201の出光端は右ハンドル伝搬部202の中空密閉構造内に位置する。このような構造の利点は、左、右ハンドルパターンの光学素子を独立して設けるとともに、左ハンドル入光部101又は右ハンドル入光部201から射出される光が密閉した伝搬部内を伝搬可能であり、さらに光学効率の向上に有利である。
【0043】
本発明の一好ましい実施例では、図18図21に示すように、左ハンドル入光部101及び左ハンドル伝搬部102は独立して設けられ、右ハンドル入光部201及び右ハンドル伝搬部202は独立して設けられ、左ハンドル伝搬部102、左ハンドルカットオフ部103、右ハンドル伝搬部202及び右ハンドルカットオフ部203は一体的に形成され、且つ厚さ≦2mmの板状構造であり、左ハンドルカットオフ部斜線部セクション1033と右ハンドルカットオフ部斜線部セクション2033は交差し、左ハンドルカットオフ部エルボー点部1032と右ハンドルカットオフ部エルボー点部2032との距離は≦2mmである。該構造によって、左ハンドル伝搬部102、左ハンドルカットオフ部103、右ハンドル伝搬部202及び右ハンドルカットオフ部203が一体的に形成され、光学装置を組み立てる際に、左ハンドル入光部101、右ハンドル入光部201と固定して接続すればよく、それにより光学装置全体の取り付けが容易であり、構造の安定性が高い。製造プロセス、光学素子の重量及び生産コストに合わせて、左ハンドル伝搬部102、左ハンドルカットオフ部103、右ハンドル伝搬部202及び右ハンドルカットオフ部203を厚さ≦2mmの板状構造とし、具体的には、厚さ0.5mmの薄板構造としてもよく、それにより製造プロセスの精度要件を満たすことができるだけでなく、さらにパターンに対する光学素子の重量の影響を軽減させるとともに、生産コストを低減させることができる。
【0044】
さらに、左ハンドル伝搬部102及び右ハンドル伝搬部202の上面にアルミニウムメッキ層が設けられ、アルミニウムメッキ層の反射率が≧0.8であり、それにより、伝搬部の表面は強い光反射作用を有し、伝搬部による光の集光、収束を強化し、光学効率を向上させる。
【0045】
本発明の一好ましい実施例では、図22図26に示すように、左ハンドル入光部101、左ハンドル伝搬部102、右ハンドル入光部201及び右ハンドル伝搬部202は一体的に形成され、且つ透明な構造であり、左ハンドルカットオフ部103及び右ハンドルカットオフ部203の厚さは≧0.5mmである。このとき、左ハンドル入光部101、左ハンドル伝搬部102、右ハンドル入光部201及び右ハンドル伝搬部202が一体的に形成されることで、別途組み立てる必要がなく、光学装置全体の組み立てが簡単になるとともに、構造の安定性が高い。左ハンドルカットオフ部103及び右ハンドルカットオフ部203の厚さが≧0.5mmであることで、パターンの角度要件を満たすだけでなく、製造プロセスの精度要件を満たすことができる。
【0046】
さらに、図23図26に示すように、左ハンドル伝搬部102及び右ハンドル伝搬部202はいずれも中空密閉構造であり、左ハンドル入光部101の出光端は左ハンドル伝搬部102の中空密閉構造内に位置し、右ハンドル入光部201の出光端は右ハンドル伝搬部202の中空密閉構造内に位置し、左ハンドル伝搬部102と右ハンドル伝搬部202との接続部に、上部が狭く下部が広く且つ上下両端が開放した楔状キャビティ3が形成され、左ハンドルカットオフ部斜線部セクション1033、左ハンドルカットオフ部エルボー点部1032、右ハンドルカットオフ部斜線部セクション2033及び右ハンドルカットオフ部エルボー点部2032は楔状キャビティ3の出光端に設けられる。該構造によって、左ハンドル伝搬部102及び右ハンドル伝搬部202が一体的に形成されたうえで、光が密閉した伝搬部内を伝搬でき、光学効率の向上に有利であるとともに、楔状キャビティ3が設けられることで、左、右ハンドルのパターンを効果的に分け、左ハンドルと右ハンドルの伝搬部が融合しない。左ハンドルカットオフ部斜線部セクション1033、左ハンドルカットオフ部エルボー点部1032、右ハンドルカットオフ部斜線部セクション2033及び右ハンドルカットオフ部エルボー点部2032が楔状キャビティ3の出光端に設けられ、左ハンドル伝搬部102及び右ハンドル伝搬部202の水平出光端に対して一定の距離で後退することで、左ハンドル伝搬部102及び右ハンドル伝搬部202が一体成形された後、より高い構造強度を有する。
【0047】
以上の説明からわかるように、本発明の自動車ランプ用光学装置の利点は、左ハンドル入光部101内の光源及び右ハンドル入光部201内の光源を相互に独立して点灯又は消灯することによって左ハンドル及び右ハンドルパターンの切り替えを行い、特定のパターンの場合、光源から発したパターンを遮光構造によって遮蔽して対応するパターンを形成するのではなく、不要なパターン部分に対応する光源が消灯し、このようにして、光源の利用効率を向上させるとともに、左ハンドル光学素子1及び右ハンドル光学素子2にそれぞれ入光部及び伝搬部が設置されることで、光源から発した光がより多く入光部に収集、コリメートされ、パターンが伝搬部内を伝搬した後、カットオフ部のカットオフ作用によりカットオフライン付きの自動車ランプパターンを形成し、このようにして、光の利用効率をさらに向上させ、また、該装置の構成が相対的に簡単で、複雑な構造の遮光板、回転機構や電磁弁等が不要であり、それにより、光学系の構成が簡単であり、取り付けが容易であり、左ハンドル入光部101内の光源及び右ハンドル入光部201内の光源が相互に独立して点灯又は消灯することによって左ハンドル及び右ハンドルのパターン切り替えを行うことで、回転機構及び電磁弁の機構ノイズを回避し、ノイズなし切り替えを実現できる。
【0048】
本発明の上記自動車ランプ用光学装置をもとに、本発明の第2態様は自動車照明装置を提供し、レンズ及び上記光学装置を備え、左ハンドル入光部101には左ハンドル光源が対応して設けられ、右ハンドル入光部201には右ハンドル光源が対応して設けられる。
【0049】
さらに、左ハンドル入光部101内に左ハンドル光源が設けられ、右ハンドル入光部201内に右ハンドル光源4が設けられ、左ハンドル光源及び右ハンドル光源4は独立して設けられ、且つ別々にアドレッシング可能であり、それによりそれぞれ独立して点灯及び消灯が可能である。左ハンドル光源がオンし、右ハンドル光源4がオフする場合、左ハンドル時の照明を実現するが、右ハンドル光源4がオンし、左ハンドル光源がオフする場合、右ハンドル時の照明を実現する。レンズは自動車照明装置の二次光学素子としての従来の構成であり、左ハンドル光源の出光面は左ハンドル入光部101を向き、右ハンドル光源4の出光面は右ハンドル入光部201を向き、光源は1つ又は複数設置されるLED光源又はレーザ光源である。さらに、左ハンドルカットオフ部103及び右ハンドルカットオフ部203はレンズの焦点領域に位置し、ここでは、カットオフ部が厳密にレンズの焦点に位置することに限定されず、僅かなずれが許容され、当業者は異なる設計状況に応じて調整可能であり、焦点に設置される場合は除外せず、このカットオフラインを形成するための構造がレンズの焦点と重なる位置に設置されることは、当業者にとって明らかである。
【0050】
本発明では、自動車照明装置には、補助ロービーム構造がさらに設置されてもよく、図27に示すように、補助ロービームパターンの模式図は、カットオフ部パターンと重ね合わせて完全なロービームパターンを形成する。左ハンドルカットオフ部103のパターンと補助ロービームパターンとを重ね合わせたパターンの模式図は図28に示され、符号cは「LHD Cutoff」であり、すなわち、左ハンドルロービームカットオフ部のパターン模式図であり、このパターンは本発明の対応する左ハンドル光学素子1によって実現され、右ハンドルカットオフ部203のパターンと補助ロービームパターンとを重ね合わせたパターンの模式図は図29に示され、符号dは「RHD Cutoff」であり、すなわち、右ハンドルロービームカットオフ部のパターン模式図であり、このパターンは本発明の対応する右ハンドル光学素子2によって実現される。補助ロービームの光学素子は限定されず、従来技術によって実現され、本発明の光学装置は同一の自動車照明装置内に設けられるが、別々に設置されてもよく、補助ロービーム及び左ハンドル光学素子1又は右ハンドル光学素子2によって形成されるパターンの重ね合わせは、一定の融合領域を有する重ね合わせであってもよく、境界で接合して重ね合わせるようにしてもよい。
【0051】
本発明の上記自動車照明装置をもとに、本発明の第3態様は自動車を提供し、上記自動車照明装置を備えるので、少なくとも上記自動車ランプ用光学装置の実施例の技術的解決手段によるすべての有益な効果を有し、ここでは重複説明を省略する。
【0052】
以上、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の技術的発想範囲を逸脱せずに、本発明の技術的解決手段に対して、各具体的な技術的特徴を任意の適切な方式で組み合わせるなどのような種々の簡単な変形を行うことができ、不要な重複を回避するために、本発明では、各種の可能な組み合わせ方式を別途説明しない。それにもかかわらず、これらの簡単な変形及び組み合わせは同様に本発明に開示されている内容としてみなすべきであり、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0053】
1 左ハンドル光学素子
2 右ハンドル光学素子
3 楔状キャビティ
4 右ハンドル光源
101 左ハンドル入光部
102 左ハンドル伝搬部
103 左ハンドルカットオフ部
201 右ハンドル入光部
202 右ハンドル伝搬部
203 右ハンドルカットオフ部
1031 左ハンドルカットオフ部水平線部セクション
1032 左ハンドルカットオフ部エルボー点部
1033 左ハンドルカットオフ部斜線部セクション
2031 右ハンドルカットオフ部水平線部セクション
2033 右ハンドルカットオフ部斜線部セクション
2032 右ハンドルカットオフ部エルボー点部
a 左ハンドルカットオフライン
b 右ハンドルカットオフライン
c 左ハンドルロービームカットオフ部のパターン
d 右ハンドルロービームカットオフ部のパターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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