(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】果菜ドリンク
(51)【国際特許分類】
A23L 2/60 20060101AFI20221223BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20221223BHJP
A23L 2/02 20060101ALI20221223BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20221223BHJP
A23L 27/00 20160101ALN20221223BHJP
【FI】
A23L2/60
A23L2/00 E
A23L2/02 B
A23L2/00 G
A23L27/00 F
A23L27/00 101Z
A23L27/00 101A
(21)【出願番号】P 2021530752
(86)(22)【出願日】2018-08-10
(86)【国際出願番号】 KR2018009197
(87)【国際公開番号】W WO2020032299
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン,テチョル
(72)【発明者】
【氏名】イム,ヘジン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ボンチャン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨンイン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,イル
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンミ
【審査官】川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/081667(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00- 2/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルロース、イソマルトオリゴ糖および果菜汁を含む果菜ドリンクであって、
前記アルロースおよびイソマルトオリゴ糖が固形分含有量を基準として1:4~
1.995:1重量比で含まれ
、
前記アルロースは、果菜ドリンク固形分総重量100%を基準として0.1~20重量%で含まれ、
前記イソマルトオリゴ糖は、イソマルトオリゴ糖混合糖形態で添加され、
前記果菜汁は、柑橘類の抽出物または液汁であり、
加熱臭およびボディ感が改善されている、低糖類果菜ドリンク(fruit-vegetable drink)。
【請求項2】
前記アルロースがシロップまたは粉末形態で添加される、請求項1に記載の果菜ドリンク。
【請求項3】
前記イソマルトオリゴ糖が
、混合糖の固形分100重量%を基準としてイソマルトオリゴ糖を10~55重量%で含む混合糖である、請求項1に記載の果菜ドリンク。
【請求項4】
前記イソマルトオリゴ糖混合糖が、混合糖固形分100重量%を基準としてDP(degree of polymerization、重合度)10以上の糖類を20~40重量%で含む、請求項
1に記載の果菜ドリンク。
【請求項5】
前記イソマルトオリゴ糖混合糖が、混合糖固形分100重量%を基準として、DP3の糖類10~20重量%、DP4~DP9の糖類5~15重量%およびDP10以上の糖類20~40重量%を含む、請求項
1に記載の果菜ドリンク。
【請求項6】
前記イソマルトオリゴ糖混合糖が、希少糖を除いたDP1糖類を1~10重量%で含み、DP2糖類を1~20重量%で含む、請求項
1に記載の果菜ドリンク。
【請求項7】
前記果菜ドリンクが、砂糖、果糖、水飴、ブドウ糖、アルロースを除いた希少糖、イソマルトオリゴ糖を除いたオリゴ糖、糖アルコール、およびデキストリンからなる群より選ばれた1種以上の糖類をさらに含む、請求項1に記載の果菜ドリンク。
【請求項8】
前記果菜ドリンクが、高甘味甘味料、酸味料、香料、色素および保存料からなる群より選ばれた1種以上をさらに含む、請求項1に記載の果菜ドリンク。
【請求項9】
アルロース、イソマルトオリゴ糖および果菜汁を混合する段階を含
み、
前記アルロースおよびイソマルトオリゴ糖が固形分含有量を基準として1:4~1.995:1重量比で含まれ、
前記アルロースは、果菜ドリンク固形分総重量100%を基準として0.1~20重量%で含まれ、
前記イソマルトオリゴ糖は、イソマルトオリゴ糖混合糖形態で添加され、
前記果菜汁は、柑橘類の抽出物または液汁であり、
加熱臭およびボディ感が改善されている、果菜ドリンクの製造方法。
【請求項10】
前記イソマルトオリゴ糖が、果菜ドリンクの加熱臭またはボディ感の改善剤として添加される、請求項1に記載の果菜ドリンク。
【請求項11】
砂糖を含まない、請求項1に記載の果菜ドリンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルロースを含有した果菜ドリンクおよび製造方法であって、アルロースを用いて糖類含有量を顕著に低減化しながらもボディ感が補正されて健康でかつ官能的に優れた果菜ドリンクに用いられる。
【背景技術】
【0002】
市中に出回っている果菜ドリンクは単糖類または二糖類のような糖類を多量含んでおり、過量摂取すると齲蝕症、肥満症と糖尿病などの成人病を誘発し得る問題がある。国民の健康のために政府でも政策的に食飲料組成物の「糖類低減化」の施行を奨励している。食品衛生法の機器分析法による「糖類」とは、食品内に存在する単糖類と二糖類との全てを含むのを意味し、単糖類としては果糖、ブドウ糖、二糖類としては砂糖、麦芽糖、乳糖がある。食飲料内で前記のような糖類低減化を達成するためには特に砂糖の代替は避けられない実情である。
【0003】
砂糖は、スクロースを主成分とするものとして、飲食物に添加して甘味を出す代表的な甘味料の一つである。砂糖は優れた甘味度を有するため過去から様々な飲食物、加工食品などに添加され、飲食物の味を良くし、食欲をそそる最も好まれる甘味料と考えられてきた。しかし、最近、砂糖の有害性が相次いで明らかになるに伴い問題が提起されている。具体的には、砂糖の過剰摂取は、齲蝕症はもちろんのこと、肥満、糖尿病など各種生活習慣病の大きな原因として指摘されており、これに代わるだけの甘味料開発の必要性が世界的に台頭している実情である。最近、多様な甘味素材が開発されているが、甘味度および甘味質を考慮して、砂糖とこれらの甘味素材、食物繊維など多様な機能性素材を混合して製品化が行われている。
【0004】
前記砂糖に代わる甘味料として使用されるアルロースは、果糖の3番炭素のエピマーとして、果糖の70%に該当する甘味度を有しており、血糖調節、虫歯予防および肝臓での脂肪合成を阻害する機能性糖である。砂糖の代替甘味料として多く使用されている糖アルコール類には、一定量以上摂取すると下痢を誘発するなどの副作用があるが、アルロースは知られている副作用がない。そのため、アルロースの甘味料としての関心が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、糖類を低減した低糖類果菜ドリンクおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、単糖類または二糖類を少ない量で含みながらも、甘味が良くボディ感に優れる官能特性を有する果菜ドリンクおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アルロースを含む果菜ドリンクおよびその製造方法に関し、アルロースを使用することにより糖類低減化が可能で、かつ官能的に優れた組成およびその製造方法を提供する。
【0007】
本発明の一例は、アルロース、イソマルトオリゴ糖、および果菜汁を含む低糖類果菜ドリンクを提供する。
【0008】
本発明の果菜ドリンクは、糖類としてアルロースおよびイソマルトオリゴ糖を含み、低い水準の単糖類(希少糖は除く)または二糖類を含む低カロリー果菜ドリンクを提供することができる。また、アルロース使用により果菜ドリンクのボディ感が低下し得るが、イソマルトオリゴ糖を使用してボディ感を高い水準に維持し、アルロースの清涼感特性および風味改善効果によって、果汁濃縮過程中に発生する果菜の加熱臭が改善されて豊富な官能特性を有する果菜ドリンクを提供することができる。
【0009】
例えば、前記アルロースおよびイソマルトオリゴ糖は、固形分含有量を基準として1:4~4:1、好ましくは1:3~3:1の重量比で含み得る。
【0010】
本発明の果菜汁は、果物および/または野菜の抽出物および/または液汁をいい、追加的に果物または野菜の果肉の断片を含み得る。前記果菜汁は例えば、柑橘類、リンゴ、ブドウ、桃、パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、パパイヤ、パッションフルーツ、梅、梨、あんず、スモモ、ザクロ、ベリー、イチゴ、メロン、キウイ、トマト、ニンジン、ケール、カリフラワー、キュウリ、セリ、キャベツ、カボチャ、サラリー、レタス、パセリ、アシタバ、ホウレンソウ、フダンソウ、ピーマン、ブロッコリー、レッドビート、ダイコン、ナガイモ、およびタマネギからなる群より選ばれた1種以上の抽出物および/または液汁であり得るが、これに限定されない。前記果菜汁は、果物または野菜の抽出物および/または液汁を加熱による濃縮処理をして製造され、前記加熱する過程で果菜汁固有の加熱臭が発生し得るが、本発明は果菜汁をアルロースおよびイソマルトオリゴ糖と共に使用することにより前記加熱臭がマスキングされて官能特性に優れる。
【0011】
本発明において「低糖類(low-sugar)」とは、製造する同一食品類型の製品を比較してその含有量が10%以上減少した場合を意味する。より具体的には、「低糖類」は、果菜ドリンク100g当たり5g未満または果菜ドリンク100ml当たり2.5g未満であり、「糖類含有量」を低くしたものをいい、前記「糖類含有量」は、果糖、ブドウ糖、砂糖、麦芽糖、および乳糖5種類の糖類重量の総和を意味する。
【0012】
前記アルロースは、化学的合成、またはアルロースエピマー化酵素を利用した生物学的方法で遂行することができ、好ましくは生物学的方法、例えば微生物または酵素反応により製造される。例えば、前記アルロースは、混合糖またはこれから得られるものであり、前記混合糖は、アルロースエピマー化酵素、前記酵素を生産する菌株の菌体、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記破砕物または培養物の抽出物からなる群より選ばれた1種以上を含むアルロース生産用組成物を果糖-含有原料と反応させて製造された混合糖またはこれから得られるものであり得る。
【0013】
本発明の果菜ドリンクに含まれるアルロースは、シロップまたは粉末形態であり得る。前記アルロースシロップは、アルロースを用いて多様な濃度に製造した溶液であり得る。例えば、前記アルロースシロップ内の固形分アルロースは、アルロースシロップ重量100%を基準として10~100重量%で含み得、好ましくは70~99.99重量%、さらに好ましくは90~99.99重量%で混合して製造される。前記アルロース粉末を使用する場合、アルロース粉末固形分は、全体組成物粉末、例えば純度90%以上のアルロース、例えばアルロースを90~99.99重量%、さらに好ましくは95~99.99重量%で含むアルロース粉末を使用し得る。
【0014】
前記アルロースシロップは、前記アルロース単独または混合糖から分離、精製および濃縮工程によって得られたものであり得る。本発明の一例において、分離および精製工程を経たアルロースシロップは、電気伝導度1~50μS/cmであり、無色または微黄色の甘味を有する液状アルロースシロップであり得る。
【0015】
本発明のアルロース製造のための一例として、アルロースエピマー化酵素を高い発現率と安定性で生産できる発現システム、それを用いたGRAS(Generally recognized as safe)微生物、および前記発現システムを利用した微生物および酵素を含むアルロース生産方法などは、韓国登録特許第10-1318422号および第10-1656063号などに詳細に記載されている。
【0016】
前記アルロースは、アルロース単独または追加の他の糖類を含む混合糖であり得、混合糖の例は、全体混合糖の固形分含有量100重量%を基準として1~99.9重量%のアルロースを含有し得、追加的に果糖およびブドウ糖からなる群より選ばれた1種以上をさらに含み得る。アルロース混合糖が果糖および/またはブドウ糖を含む場合、前記混合糖は果糖1~90重量%および/またはブドウ糖1~50重量%を含み得る。
【0017】
前記アルロース含有混合糖の具体的な例は、混合糖の全体固形分含有量100重量部を基準として、アルロース5~30重量部、果糖20~50重量部およびブドウ糖20~55重量部、およびオリゴ糖1~10重量部を含むものであり得、オリゴ糖は含まなくてもよい。前記アルロース、果糖およびブドウ糖は、好ましくはすべてD型-異性体である。
【0018】
本発明の果菜ドリンクに含まれるアルロースは、果菜ドリンク固形分総重量100%を基準として0.1~20重量%、好ましくは0.5~15重量%、さらに好ましくは0.5~10重量%で含まれ得る。
【0019】
前記イソマルトオリゴ糖は、糖質原料をブドウ糖分子が分枝結合の基本構造を有するように酵素を作用させて得た糖液または糖質原料を酵素処理して得た糖液を、濾過、精製、および/または濃縮した液状または粉末状の混合糖を意味する。イソマルトオリゴ糖は、単糖類(希少糖は除く)、スクロースおよびマルトースなどの2糖類、DP4(4糖類)以上の直鎖糖、およびDP8(8糖類)以上の成分を除いた、2糖類以上の分岐糖混合物として、イソマルトース(Isomaltose;2糖類)、コージビオース(Kojibiose;2糖類)、ニゲロース(Nigerose;2糖類)、パノース(Panose;3糖類)、イソマルトトリオース(Isomaltotriose;3糖類)、イソマルトテトラオース(Isomaltotetraose;4糖類)、イソマルトペンタオース(Isomaltopentaose;5糖類)、イソマルトヘキサオース(Isomaltohexaose;6炭糖)、およびイソマルトヘプタオース(Isomaltoheptaose;7糖類)などの分岐糖からなる群より選ばれた1種以上を含む混合糖形態であり得る。
【0020】
例えば、前記イソマルトオリゴ糖は混合糖形態で添加され得、混合糖の固形分重量を基準としてイソマルトオリゴ糖を10重量%以上、例えば10~55重量%、10~50重量%、20~55重量%、または10~40重量%で添加され得る。
【0021】
前記イソマルトオリゴ糖混合糖は、混合糖総固形分100重量%を基準としてDP(degree of polymerization、重合度)10以上の糖類を20~40重量%含み得る。具体的には、前記イソマルトオリゴ糖混合糖は、混合糖総固形分100重量%を基準としてDP(degree of polymerization、重合度)3の糖類(3糖類)10~20重量%、好ましくは10~15重量%、DP4~DP9の糖類5~15重量%、好ましくは8~12重量%、およびDP10以上の糖類20~40重量%、好ましくは28~40重量%で含み得る。
【0022】
イソマルトオリゴ糖を含む混合糖組成物(またはイソマルトオリゴ糖含有混合糖)は、既存の混合糖と比較し、ブドウ糖、果糖、ショ糖などの単糖類と二糖類の含有量が低減されてイソマルトオリゴ糖含有量が高く粘度が顕著に増加したことを特徴とし、例えばイソマルトオリゴ糖混合糖全体固形分100重量%を基準としてDP1の単糖類(希少糖は除く)を10重量%以下、例えば1~10重量%、好ましくは8重量%以下、例えば3~8重量%で含み、DP2の二糖類を20重量%以下、例えば1~20重量%、5~20重量%または10~20重量%、好ましくは10重量%以下、例えば1~10重量%または10~15重量%で含み得る。
【0023】
本発明の果菜ドリンクは、甘味は優れながらも、単糖類(DP1,希少糖は除く)および/または二糖類(PD2)の含有量が顕著に低減されて、肥満、糖尿、心血管系疾患、その他各種成人病の発生危険性を下げると同時に、代謝性症候群を病んでいる人の摂取に適した水準の糖を含む果菜飲料を提供することができる。例えば、イソマルトオリゴ糖混合糖は単糖類および二糖類の合計重量として、混合糖全体固形分100重量%を基準として10~30重量%、好ましくは10~25重量%で含み得る。
【0024】
また、前記果菜ドリンクは、砂糖、果糖、水飴、ブドウ糖、アルロースを除いた希少糖、糖アルコール、オリゴ糖およびデキストリンからなる群より選ばれた1種以上の糖類をさらに含み得る。前記追加で混合される1種以上の糖類は、全体果菜ドリンク重量100%を基準として0.01~20重量%、好ましくは0.1~15重量%または0.1~10重量%で含むか、または追加糖類を含まなくてもよい。
【0025】
前記アルロースを除いた希少糖は、タガトース、アロースおよびアルトロースからなる群より選ばれた1種以上を含み得る。また、前記オリゴ糖は、グルコース、フルクトース、またはガラクトースなどの単糖類がグリコシド結合によって脱水および縮合され、単糖類2個~5個程度が結合された底粘度の糖類を総称する。前記オリゴ糖は、糖質原料から得た糖液を加工したものとして、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖などがあり、オリゴ糖は、原料(基質)の種類によって、澱粉質を利用したマルトオリゴ糖またはイソマルトオリゴ糖、乳糖を利用したガラクトオリゴ糖、および砂糖を利用したフラクトオリゴ糖を使用し得る。
【0026】
前記糖アルコール類は、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、イノシトールおよびソルビトールからなる群より選ばれた1種以上であり得る。前記食物繊維類は水溶性食物繊維であり得、水溶性食物繊維はポリデキストロース、難消化性マルトデキストリンおよびペクチンからなる群より選ばれた1種以上であり得る。前記オリゴ糖類はフラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、マルトオリゴ糖およびガラクトオリゴ糖からなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0027】
本発明の果菜ドリンクは、高甘味甘味料、酸味料、香料、色素、酸度調整剤および保存料からなる群より選ばれた1種以上をさらに含み得る。
【0028】
前記高甘味甘味料は、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、サイクラミン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、スクラロース、ステビア甘味料(ステビオール配糖体、酵素処理ステビア)、ズルチン、タウマチン、トマチン、ネオテーム、レバウディオサイド(例えば、レバウディオサイドA、レバウディオサイドD,およびレバウディオサイドM)およびモネリンからなる群より選ばれる1種以上であり得る。前記高甘味甘味料は、全体果菜ドリンク重量100%を基準として0.0001~0.5重量%、好ましくは0.001~0.2重量%で含まれ得る。高甘味甘味料、例えばスクラロースは、後味で甘味が長く持続するため好ましくない甘味質である甘味の後引き感(aftertaste)が発生し得、ステビオール配糖体、酵素処理ステビアまたはレバウディオサイドAのような高甘味甘味料は、後味に甘味の後引き感とともに苦味が発生し得るが、本発明のドリンクはアルロースを使用してドリンク内の高甘味甘味料の後味の甘味の後引き感および苦味をマスキングする効果がある。
【0029】
前記香料は、アップルミント香、モヒート香、オレンジ香、ライム香、レモン香、ミント香、リンゴ香、ブドウ香、ラズベリー香、ブルーベリー香、マンゴー香、キウイ香およびイチゴ香からなるからなる群より選ばれた1種以上を含み得、前記色素はカロテノイド系、フラボノイド系、ピロール系、キノン系天然色素およびタール色素からなる群より選ばれた1種以上を含み得るが、これに限定されない。
【0030】
例えば、前記タール色素は、化学構造上アゾ系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、インジゴイド系色素などを含み得、例えば前記タール色素には食用色素緑色第3号、食用色素緑色第3号アルミニウムレーキ、食用色素赤色第2号、食用色素赤色第2号アルミニウムレーキ、食用色素赤色第3号、食用色素青色第1号、食用色素青色第1号アルミニウムレーキ、食用色素青色第2号、食用色素青色第2号アルミニウムレーキ、食用色素黄色第4号、食用色素黄色第4号アルミニウムレーキ、食用色素黄色第5号、食用色素黄色第5号アルミニウムレーキ、食用色素赤色第40号、食用色素赤色第40号アルミニウムレーキ、食用色素赤色第102号、食用タール色素アルミニウムレーキなどがある。
【0031】
前記酸味剤は、通常使用される多様な有機酸であり得、好ましくはクエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酢酸、乳酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムおよび酒石酸からなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0032】
前記酸度調整剤は、通常使用される酸度調整剤として、例えばクエン酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムおよびグルコノ-δ-ラクトンからなる群より選ばれた1種以上を含み得るが、これに限定されない。
【0033】
本発明の果菜ドリンクは、炭酸を含むか、または含まなくてもよいが、好ましくは炭酸を含まない無炭酸果菜ドリンクである。
【0034】
本発明のまた他の一例として、アルロース、イソマルトオリゴ糖および果菜汁を混合する段階を含む果菜ドリンクの製造方法を提供する。
【0035】
前記果菜ドリンクに関する事項は、果菜ドリンクの製造方法に同様に適用される。
【0036】
前記製造方法は、アルロース、イソマルトオリゴ糖および果菜汁を混合する段階以前の前処理として、果物および野菜からなる群より選ばれた1種以上の抽出物、液汁または果汁を得る段階;および、前記抽出物、液汁または果汁を加熱して濃縮する段階をさらに含み得、加熱して濃縮する過程で果菜汁の加熱臭が発生し得るが、本発明の組成によって前記加熱臭がマスキングされて官能的に優れた果菜ドリンクを製造することができる。
【0037】
前記製造方法は、濾過、殺菌、脱色および冷却工程からなる群より選ばれた1種以上の追加工程を含み得る。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、アルロース、イソマルトオリゴ糖および果菜汁を含む果菜ドリンクに関し、低い含有量の糖類を含み、ボディ感が改善された低カロリーの果菜ドリンクを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0039】
下記例示的な実施例を挙げて本発明をより詳しく説明するが、本発明の保護の範囲を下記実施例に限定する意図ではない。
【0040】
製造例1.アルロースシロップの製造
アルロースは、韓国登録特許第10-16173797号に記載された製造方法と実質的に同様の生物学的方法で果糖基質からアルロースシロップを製造した。
前記シロップとして、40ブリックスの95重量%果糖から、ブドウ糖:果糖:アルロース:オリゴ糖=6:67:25:2である24~26(w/w)%アルロースシロップを収得した。
得られたアルロースシロップを、有色およびイオン成分などの不純物を除去するために、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂および陽イオンと陽イオン交換樹脂が混合された樹脂で充填された常温のカラムに時間当りイオン交換樹脂2倍体積の速度で通液させて処理した。その次、カルシウム(Ca2+)タイプのイオン交換樹脂で充填されたクロマトグラフィーを用いて、高純度のアルロース分画を得た。前記アルロース分画をイオン精製および濃縮し、糖シロップ組成物の固形分含有量100重量%を基準としてアルロース95重量%、果糖5重量%で構成されたアルロースシロップを製造した。
前記アルロース含有量95重量%のアルロースシロップのpH、色価、電気伝導度を測定して、下記表1に示した。
【0041】
【0042】
実施例1ないし4.果菜ドリンクの製造
製造例1で製造されたアルロースシロップ(サムヤン社、70Bx、95%アルロース)を含む下記表2の組成(w/w%)を混合して果菜ドリンクを製造し、糖類として砂糖(比較例1)、イソマルトオリゴ糖(比較例2)またはアルロース(比較例3)のみを含む組成で果菜ドリンクを製造した。
【0043】
【0044】
前記イソマルトオリゴ糖は、下記表3の組成(混合糖固形分100重量%を基準)を有するイソマルトオリゴ糖混合糖を使用した。
【0045】
【0046】
実験例3.官能評価
実施例1~4および比較例1~3の果菜ドリンクについて官能評価を実施した。香り、甘味、酸味、苦味、ボディ感、新鮮さ、加熱臭および全般的な満足度の評価項目について下記評価基準に従い評価し、その評価結果を下記表に示した。20~50代の成人男女パネル14人を対象に5点尺度法により官能評価を行った。
[評価基準]
香り: 香り強度が非常に低い(0点)-香り強度が非常に強い(5点)
甘味: 甘味が全くない(0点)-甘味が非常に強い(5点)
酸味: 酸味が全くない(0点)-酸味が非常に強い(5点)
苦味: 苦味が全くない(0点)-苦味が非常に強い(5点)
ボディ(body)感: ボディ感が全くない(0点)-ボディ感が非常に大きい(5点)
新鮮さ: 新鮮さが全くない(0点)-新鮮さが非常に高い(5点)
加熱臭: 加熱臭が全くない(0点)-加熱臭が非常に高い(5点)
調和感: 調和感が全くない(0点)-調和感が非常に良い(5点)
【0047】
【0048】
前記結果から確認できるように、実施例1~4は砂糖のみを含む比較例1の水準で甘味は良いながらも優れたボディ感を付与することができ、低い熱量/糖類を含んでも優れた水準の官能特性を有する果菜ドリンクを製造できることを確認した。また、果菜の加熱臭が改善されただけでなく、特に実施例4の組成の場合、甘味が良くボディ感に優れ、加熱臭が少ないため全般的な満足度が顕著に優れることを確認した。