(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】ロービーム光学モジュール、ロービーム照明モジュール、車両用灯具及び車両
(51)【国際特許分類】
F21S 41/29 20180101AFI20221223BHJP
F21S 41/37 20180101ALI20221223BHJP
F21S 41/43 20180101ALI20221223BHJP
F21S 41/20 20180101ALI20221223BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20221223BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20221223BHJP
F21S 41/47 20180101ALI20221223BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221223BHJP
F21W 102/155 20180101ALN20221223BHJP
【FI】
F21S41/29
F21S41/37
F21S41/43
F21S41/20
F21V5/04 650
F21S41/143
F21S41/47
F21Y115:10
F21W102:155
(21)【出願番号】P 2021536811
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(86)【国際出願番号】 CN2021071518
(87)【国際公開番号】W WO2021147733
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】202020137854.5
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520372939
【氏名又は名称】▲華▼域▲視▼▲覺▼科技(上▲海▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】祝 ▲賀▼
(72)【発明者】
【氏名】仇 智平
(72)【発明者】
【氏名】桑 文慧
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-212037(JP,A)
【文献】特開2013-152895(JP,A)
【文献】特開2014-216159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/29
F21S 41/37
F21S 41/43
F21S 41/20
F21V 5/04
F21S 41/143
F21S 41/47
F21Y 115/10
F21W 102/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロービーム光学モジュールであって、
レンズ(3)、遮光板及び少なくとも1つの集光部(2)を含み、前記遮光板は遮光板本体(1)を含み、前記遮光板本体(1)の前端の上縁にロービームカットオフライン構造(11)が形成され、前記遮光板本体(1)の前端面(12)と後端面(13)は透明であり、前記集光部(2)は前記遮光板の後端に接続され、前記レンズ(3)は前記遮光板の前方に設けられ、少なくとも1つの前記集光部(2)の外輪郭面が前記遮光板本体(1)の下面に接合され、
使用時に前記集光部(2)は、受信した光線を屈折させた後、一部分の光線を前記レンズ(3)に出射、レンズ(3)によって屈折された後、ロービームカットオフライン(a)の下方に位置するロービームパターンとなり、他の一部分の光線を前記遮光板本体(1)
に出射して、
前記前端面(12)から前記レンズ(3)に屈折され、次に、投射してロービームIIIゾーンパターンを形成するようにする、ことを特徴とするロービーム光学モジュール。
【請求項2】
前記遮光板本体(1)の上面(14)には、増反射コーティング又は増反射膜が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のロービーム光学モジュール。
【請求項3】
前記増反射コーティングはアルミめっき層である、ことを特徴とする請求項2に記載のロービーム光学モジュール。
【請求項4】
前記遮光板本体(1)の前端面(12)は後凹弧面である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のロービーム光学モジュール。
【請求項5】
少なくとも1つの前記集光部(2)の下部には、前記遮光板本体(1)の下面に凸出したロービームIIIゾーン形成構造(4)が設けられる、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のロービーム光学モジュール。
【請求項6】
前記遮光板本体(1)の厚さが0.5~2mmである、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のロービーム光学モジュール。
【請求項7】
前記集光部(2)と前記遮光板は一体化部品に形成されている、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のロービーム光学モジュール。
【請求項8】
前記集光部(2)、前記レンズ(3)及び前記遮光板は一体に設けられる、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のロービーム光学モジュール。
【請求項9】
前記レンズ(3)の両側は、それぞれ接続板(31)を介して前記集光部(2)の両側に接続される、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のロービーム光学モジュール。
【請求項10】
前記レンズ(3)は凸レンズ又はフレネルレンズである、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のロービーム光学モジュール。
【請求項11】
前記集光部(2)は集光カップであり、前記集光カップの外輪郭面が後端から前端に向かうにしたがって開口径が徐々に増大する曲面構造であり、又は
前記集光部(2)は前記遮光板本体(1)の後端面(13)に対して後へ凸出した凸起構造である、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のロービーム光学モジュール。
【請求項12】
ロービーム照明モジュールであって、
請求項1~11のいずれか1項に記載のロービーム光学モジュール及び光源(5)を含み、各前記集光部(2)に対応して前記光源(5)が設けられる、ことを特徴とするロービーム照明モジュール。
【請求項13】
請求項12に記載のロービーム照明モジュールを含む、ことを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2020年01月20日に提出された中国特許出願202020137854.5の権利を主張し、該出願の内容は引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本発明は、車両照明装置に関し、具体的には、ロービーム光学モジュールに関する。また、本発明は、さらに該ロービーム光学モジュールを含むロービーム照明モジュール、車両用灯具及び車両に関する。
【背景技術】
【0003】
IIIゾーンパターンはロービームパターンのうちの重要な構成部分であり、
図1の点線枠の領域に示すように、該IIIゾーンパターンは水平0度線の上方に位置し、主に、運転者が看板などの情報を把握できるように、看板など路面の上方にある物体を照明することに使用される。該IIIゾーンパターンの最小角度範囲は、水平方向-8~+8度、垂直方向0~+4度であり、看板などの物体の反射率やコントラストがともに高いため、該IIIゾーン領域の照度に対する要件が極めて低く、少量の光線だけで看板を視認する目的を達成でき、また、対向車の視線に影響することをできるだけ回避する。
【0004】
従来技術では、ロービーム光学素子は、一般には、通光部1’と、前記通光部1’の後端に設けられた集光構造2’とを含み、
図2及び
図3に示すように、ロービームIIIゾーン形成構造3’は一般には、通光部1’の下面に設けられ、従来の通光部1’に比べて、ロービームIIIゾーン形成構造3’を設けることによって、光線の一部の反射光路を変え、この部分の光線の最終的な照射領域に影響を与え、すなわち、最終的に形成されるロービームパターンに一定の影響を与える。
【0005】
従来技術では、遮光板は不透明遮光板であり、前端の上縁には、ロービームカットオフラインを形成するためのロービームカットオフライン構造が設けられ、ロービームカットオフラインを有するロービームパターンとすることにのみ使用され、ロービームIIIゾーン形成構造は他の部品に設けられる。しかも、この不透明遮光板は後端の一次光学素子と別に設けられるので、占有空間が大きくなる。
【0006】
また、自動車産業の発展が徐々に成熟して安定化するに伴い、車両用灯具は軽量化している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一態様が解決しようとする課題は、ロービームパターンに影響を与えることなく、ロービームIIIゾーンパターンを形成することができ、また、軽量化を可能とするロービーム光学モジュールを提供することである。
【0008】
本発明の別の態様が解決しようとする課題は、ロービームパターンに影響を与えることなく、ロービームIIIゾーンパターンを形成することができ、また、軽量化を可能とするロービーム照明モジュールを提供する。
【0009】
本発明の第3の態様が解決しようとする課題は、ロービーム照明モジュールがロービームパターンに影響を与えることなく、ロービームIIIゾーンパターンを形成することができ、また、軽量化を可能とする車両用灯具を提供する。
【0010】
本発明の第4の態様が解決しようとする課題は、ロービーム光学モジュールが、ロービームパターンに影響を与えることなく、ロービームIIIゾーンパターンを形成することができ、また、軽量化を可能とする車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、
レンズ、遮光板及び少なくとも1つの集光部を含み、前記遮光板は遮光板本体を含み、前記遮光板本体の前端の上縁にロービームカットオフライン構造が形成され、前記遮光板本体の前端面と後端面は透明であり、前記集光部は前記遮光板の後端に接続され、前記レンズは前記遮光板の前方に設けられ、少なくとも1つの前記集光部の外輪郭面が前記遮光板本体の下面に接合され、前記遮光板本体が前記集光部の出射光線を受光して、前端面から前記レンズに屈折され、次に、投射してロービームIIIゾーン光形を形成するようにするロービーム光学モジュールを提供する。
【0012】
好ましくは、前記遮光板本体の上面には、増反射コーティング又は増反射膜が設けられる。
【0013】
さらに好ましくは、前記増反射コーティングはアルミめっき層である。
【0014】
具体的には、前記遮光板本体の前端面は後凹弧面である。
【0015】
1つの好適な構造形態として、少なくとも1つの前記集光部の下部には、前記遮光板本体の下面に凸出したロービームIIIゾーン形成構造が設けられる。
【0016】
好ましくは、前記遮光板本体の厚さが0.5~2mmである。
【0017】
さらに好ましくは、前記集光部と前記遮光板は一体化部品に形成されている。
【0018】
さらに好ましくは、前記集光部、前記レンズ及び前記遮光板は一体に設けられる。
【0019】
具体的には、前記レンズの両側は、それぞれ接続板を介して前記集光部の両側に接続される。
【0020】
さらに、具体的には、前記レンズは凸レンズ又はフレネルレンズである。
【0021】
代表的には、前記集光部は集光カップであり、前記集光カップの外輪郭面が後端から前端に向かうにしたがって開口径が徐々に増大する曲面構造であり、又は
前記集光部は前記遮光板本体の後端面に対して後へ凸出した凸起構造である。
【0022】
本発明の第2の態様は、上記ロービーム光学モジュール及び光源を含み、各前記集光部に対応して前記光源が設けられるロービーム照明モジュールを提供する。
【0023】
本発明の第3の態様は、上記ロービーム照明モジュールを含む車両用灯具を提供する。
【0024】
本発明の第4の態様は、上記車両用灯具を含む車両を提供する。
【発明の効果】
【0025】
上記技術案によれば、本発明は以下の有益な効果を奏する。
【0026】
1、本発明に係るロービーム光学モジュールでは、遮光板本体の前端面と後端面は、透明とすることによって、光線が遮光板本体を透過してロービームIIIゾーンパターンを形成でき、また、ロービームカットオフラインの下方に位置するロービームパターンを形成する光線とロービームIIIゾーンパターンを形成する光線との境界線としても機能でき、以上の2つの場合では、ロービームカットオフラインの下方に位置するロービームパターンの光線とロービームIIIゾーンパターンを形成する光線は相手に影響を与えることがなく、いずれも、ロービームパターンに影響を与えることなく、ロービームIIIゾーンパターンを形成することができ、このように、他の部品にロービームIIIゾーン形成構造を設けることが不要になり、簡便に加工できる。
【0027】
2、本発明に係る遮光板本体は、集光部とともに、ロービームパターンを形成するための一体成形光学素子を構成することができ、従来技術のロービーム光学素子の中実通光部よりも、材料の使用量を大幅に減らし、軽量化を可能とし、産業の発展傾向に合う。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】車両用灯具のロービームパターンの模式図である。
【
図2】従来技術におけるロービームIIIゾーン形成構造を有するロービーム照明モジュールの構造模式図である。
【
図4】本発明の特定実施形態の遮光板本体の構造模式図である。
【
図6】本発明のロービーム照明モジュールの第1の実施形態の構造模式図である。
【
図8】本発明のロービーム照明モジュールの第1の実施形態の上面図である。
【
図10】本発明のロービーム照明モジュールの第2の実施形態の構造模式図である。
【
図12】本発明のロービーム照明モジュールの第2の実施形態の上面図である。
【
図14】本発明におけるロービーム光学モジュールの一実施形態の構造模式図である。
【
図16】本発明におけるロービーム光学モジュールの別の実施形態の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の特定実施形態を詳細に説明する。なお、ここで説明する特定実施形態は本発明を説明して解釈するために過ぎず、本発明を制限するものではない。
【0030】
なお、用語「前」とは、本発明の車両用灯具モジュールの光線出射方向を指し、用語「後」とは、「前」と反対の方向である。用語「上」、「下」により示される方位又は位置関係は、本発明のロービーム光学モジュール、ロービーム照明モジュール又は車両用灯具が車両に装着された後、車両の正常走行状態での方位によって示される方位又は位置関係に基づくものである。
【0031】
なお、本発明の説明において、別に明確な規定や限定がない限り、用語「装着」、「接続」は広義に理解すべきであり、たとえば、固定して接続してもよく、取り外し可能に接続してもよく、又は一体に接続してもよいし、直接接続してもよく、中間媒体を介して間接的に接続してもよく、2つの構成要素の内部が連通するか、又は2つの構成要素が相互作用関係を持つようにしてもよい。当業者にとっては、具体的な状況に応じて、本発明における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0032】
図4~
図5に示すように、本発明の遮光板は遮光板本体1を含み、前記遮光板本体1の前端の上縁にロービームカットオフライン構造11が形成され、前記ロービームカットオフライン構造11は前記遮光板本体1の上面の前縁に位置し、前記ロービームカットオフライン構造11は、
図1に示すロービームカットオフラインaを形成することに用いられる。前記遮光板本体1の前端面12と後端面13は透明である。ロービームカットオフライン構造11を境界に、前記遮光板本体1の上方を経る光線は、ロービームカットオフラインaの下方に位置するロービームパターンを形成し、前記遮光板本体1中又は下方を経る光線は、ロービームIIIゾーンパターンを形成することに用いられる。
【0033】
本発明の遮光板は、ロービーム光学モジュールがロービームパターンに影響を与えることなく、ロービームIIIゾーンパターンbを形成するようにするものであり、具体的には、遮光板本体1の前端面12と後端面13は、光線が遮光板本体1を透過してロービームIIIゾーンパターンbを形成するように透明なものとし、また、ロービームカットオフラインaの下方に位置するロービームパターンを形成する光線とロービームIIIゾーンパターンbを形成する光線との境界線として機能してもよく、以上の2つの場合では、ロービームカットオフラインaの下方に位置するロービームパターンを形成する光線とロービームIIIゾーンパターンbを形成する光線、いずれも、ロービームパターンに影響を与えることなく、ロービームIIIゾーンパターンbを形成することができ、このように、他の部品にロービームIIIゾーン形成構造を設けることが不要になり、簡便に加工できる。
【0034】
前記遮光板本体1は、PC、PMMA又はガラスのうちの1種又は複数種の材料で製造され、前端面12及び後端面13以外の端面に遮光コーティングが塗布されるか、又は他の端面が全反射面とされ、このようにして、光線はほぼ他の端面から出射することはなく、それにより、光線が前端面12と後端面13のみから入射して出射することができる。
【0035】
本発明では、前記遮光板本体1の上面14に増反射コーティング又は増反射膜が設けられてもよく、増反射コーティング及び増反射膜は、光線が前記遮光板本体1の上面14に放射されたときの反射率を向上するものであり、たとえば、前記増反射コーティングはアルミめっき層や透明塗料などである。同様に、遮光板本体1の内部を透過した光線が遮光板本体1の下面に放射されたときの反射率又は遮光板本体1の下方から遮光板本体1の下面に放射された光線の反射率を向上させるために、遮光板本体1の下面にも、増反射コーティング又は増反射膜が設けられてもよい。
【0036】
本発明の好適な実施形態としては、前記遮光板本体1の前端面12は後凹弧面であり、それにより、前端面12を透過した光線がレンズ3に集中し、ロービームIIIゾーンのパターンの効果を確保しながら、ロービームカットオフラインaを明瞭にする。
【0037】
本発明の第2の態様は、ロービーム光学モジュールを提供し、該ロービーム光学モジュールは、少なくとも1つの集光部2、レンズ3及び遮光板を含み、前記集光部2は前記遮光板の後端に接続され、前記レンズ3は前記遮光板の前方に設けられる。
【0038】
前記集光部2は集光カップであり、前記集光カップの外輪郭面が、後端から前端に向かうにしたがって開口径が徐々に増大する曲面構造であり、又は、前記集光部2は、前記遮光板本体1の後端面13に対して後へ凸出した凸起構造であり、いずれの場合にも、光線を集める役割を果たせる。
【0039】
前記集光部2の後端には、キャビティ21が設けられてもよいし、キャビティ21が設けられなくてもよいが、光線全体の利用効率を高めるために、本発明の一実施例では、前記集光部2の後端には、光線受光開口を有するキャビティ21が設けられている。つまり、
図9又は
図13に示すように、該ロービーム光学モジュールが使用される際に、前記キャビティ21の開口は光源5の方向に対向するようになる。キャビティ21の底部には、光線をより効果的に集めて、照明効果を向上させるために、レンズ3から離れた一側に凸設された凸部22が設けられる。前記集光部2は、後端にキャビティが設けられない場合、入光面が平面、凸曲面又は凹曲面としてもよい。
【0040】
パターンの効果を確保するために、前記レンズ3は凸レンズ(
図15参照)又はフレネルレンズ(
図16参照)である。
【0041】
本発明のロービーム光学モジュールの一実施例として、
図6~
図9に示すように、前記遮光板は上記遮光板であり、少なくとも1つの前記集光部2の外輪郭面が前記遮光板本体1の下面に接合され、前記集光部2の出射光線の一部が前記遮光板本体1の後端面13から前記遮光板本体1の内部に入り、前記遮光板本体1の前端面12によって前記レンズ3に屈折され、レンズ3によって投射されてロービームIIIゾーンパターンを形成するようにする。該実施例では、遮光板本体1の厚さは0.5~5mmであり、配光中の光学面の調整によって光線の方向を決定し、ロービームIIIゾーン領域に放射されるか否かを決定できる。
【0042】
正常な場合、ロービームパターン中心領域cの輝度を高めるために、好ましくは、ロービーム中心領域パターンを形成する集光部2のサイズを、他の集光部2のサイズよりも大きくし、それにより、より多くの光線を集めてロービームパターン中心領域cに照射することができる。該ロービーム光学モジュールの実施形態では、遮光板本体1の下面がロービーム中心領域パターンを形成する集光部2の外輪郭面に接合され、該集光部2から出射される光線のうち、一部は遮光板本体1の上方を経た後、レンズ3に入り、このうち、遮光板本体1のロービームカットオフライン構造11に放射された光線は、レンズ3によって屈折されてロービームカットオフライン光線となり、一部は遮光板本体1の上面14によってレンズ3に反射され、上記の2つの部分の光線は、レンズ3から出射された後、ロービーム中心領域パターンとなり、もう一部は遮光板本体1の透明な後端面13から遮光板本体1の内部に入り、この部分の光線も2本に分けられ、一方は直接遮光板本体1の前端面12に放射され、他方は遮光板本体1によって反射された後、前端面12から出射され、2つの部分の光線はレンズ3に入り、レンズ3から出射された後、ロービームIIIゾーンパターンbとなり、他の集光部2から出射された光線は遮光板本体1の上方からレンズ3に直接放射されるとともに、遮光板本体1の上面14によってレンズ3に反射され、レンズ3によって屈折されて、ロービーム拡幅領域パターンとなる。ロービーム中心領域パターンとロービーム拡幅領域パターンは重なってロービームカットオフラインaの下方に位置するロービームパターンとなる。
【0043】
もちろん、ロービームパターン中心領域を形成する集光部2のサイズが他の集光部2のサイズと同じであり、遮光板本体1の下面がロービーム中心領域パターンを形成する集光部2の外輪郭面に接合されたままである場合、遮光板本体1の下面は、他の集光部2の外輪郭面に接合されても、接合されなくてもよい。接合されない場合、他の集光部2の下部がロービーム中心領域パターンを形成する集光部2の下部よりもわずかに高く、このような場合、光線の出光方式も上記のものと同じであり、接合している場合、出光方式は上記のものとほぼ同じであるが、他の集光部2でも、一部の光線が遮光板本体1から出射されてロービームIIIゾーンパターンbを形成し、このような場合、ロービームIIIゾーンパターンbの輝度が他の方式の輝度よりも高い。ただし、前記のように、看板などの物体の反射率とコントラストがともに高いため、ロービームIIIゾーン領域の照度に対する要件がきわめて低く、少量の光線だけで看板を視認する目的を達成することができ、また、ロービームパターン中心領域cの照度を確保するために、ロービーム中心領域パターンを形成する集光部2のサイズが、他の集光部2のサイズよりも大きく、遮光板本体1の下面がロービーム中心領域パターンを形成する集光部2の外輪郭面に接合される形態は好ましい。
【0044】
上記実施例では、ロービームIIIゾーンパターンbを形成する光線は遮光板本体1を透過すると、ロービームパターンに影響を与えることがないだけでなく、光線の損失が少なく、ロービームIIIゾーンパターンbの出光効果が良好である。
【0045】
本発明のロービーム光学モジュールの別の実施例として、
図10~
図13に示すように、少なくとも1つの前記集光部2の下部に、遮光板の下面から凸出したロービームIIIゾーン形成構造4が設けられる。この実施形態では、遮光板は、本発明の上記の遮光板本体1を用いることができ、この場合、遮光板本体1の厚さが前述した実施例におけるロービーム光学モジュールの厚さよりも薄く(厚さは0.5~2mmであってもよく)、集光部2により集光された光線のうち、一部は遮光板本体1の上方を経た後、レンズ3に入り、このうち、遮光板本体1のロービームカットオフライン構造11に放射された光線は、レンズ3によって屈折された後、ロービームカットオフラインaとなり、一部は遮光板本体1の上面14からレンズ3に反射され、上記の2つの部分の光線は、レンズ3から出射された後、ロービームカットオフラインaの下方に位置するロービームパターンを形成し、もう一部はロービームIIIゾーン形成構造4から出射され、遮光板本体1の下方を経た後、レンズ3に入り、レンズ3から出射された後、ロービームIIIゾーンパターンbとなり、また、きわめて少量の光線は薄い遮光板本体1内に入る。ただし、遮光板本体1が極めて薄いため、このような光線による影響は無視できるが、又は、遮光板本体1の前端面12に遮光コーティングが設けられてこのような光線の出射を避ける。
【0046】
本発明の好適な実施形態として、前記集光部2と前記遮光板本体1は一体化部品に形成されている。従来技術におけるロービーム光学素子の中実通光部1’に比べて、本発明の集光部2と遮光板本体1で形成された一体化部品は、より軽量化、小型化であり、自動車産業の軽量化への発展傾向に合う。
【0047】
より好ましくは、前記集光部2、前記レンズ3及び前記遮光板本体1は一体に設けられ、
図14~
図16に示すように、前記レンズ3の両側は、それぞれ接続板31を介して前記集光部2の両側に接続され、これにより、前記集光部2、前記レンズ3及び前記遮光板本体1を直接位置決めして接続することが可能になり、後で装着するにあたり、各部材同士に位置決め誤差が生じることはなく、それによって、各部材同士の位置決め精度及び装着可靠性を確保し、さらに車両用灯具の出光効果を良好なものとする。さらに接続強度を高めるために、2枚の接続板31の天面又は底面に、2枚の接続板31を接続する接続バーや接続補強板が設けられてもよい。
【0048】
本発明の第3の態様は、ロービーム照明モジュールを提供し、
図9~
図13に示すように、該ロービーム照明モジュールは、上記ロービーム光学モジュールと、光源5とを含み、各前記集光部2に対応して前記光源5が設けられる。光源5から発光する光線のうち、一部は集光部2のキャビティ21の凸部22によって屈折された後、集光部2の出光面から直接出射し、もう一部はキャビティ21の内側周面によって集光部2の外輪郭面に屈折され、次に、集光部2の外輪郭面によって反射された後、集光部2の出光面から出射され、上記の2つの部分の光線は、レンズ3によって屈折された後、ロービームカットオフラインaの下方に位置するロービームパターンとなり、このうち、遮光板本体1のロービームカットオフライン構造11に放射された光線は、レンズ3によって屈折された後、ロービームカットオフラインaとなり、少量の光線は、遮光板本体1の前端面12又はロービームIIIゾーン形成構造4から出射され、レンズ3によって屈折された後、ロービームIIIゾーンパターンbとなる。
【0049】
さらに、本発明の実施例は、上記各実施例によるロービーム光学モジュール又はロービーム照明モジュールを含む車両用灯具を提供する。
【0050】
また、本発明の実施例は、上記各実施例によるロービーム光学モジュール、ロービーム照明モジュール又は車両用灯具を含む車両をさらに提供する。
【0051】
以上、図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態の詳細に限定されず、本発明の技術的構想の範囲を逸脱することなく、本発明の技術案に対してさまざまな簡単な変形を行うことができ、このような簡単な変形はすべて本発明の特許範囲に属する。
【0052】
なお、上記特定実施形態で説明した各具体的な技術的特徴は、矛盾しない限り、任意の適切な方式で組み合わせることができ、不要な重複をしないように、本発明では、各種の可能な組み合わせ方式について再度言及しない。
【0053】
さらに、本発明の各種の異なる実施形態も任意に組み合わせることもでき、本発明の構想に違反しない限り、このような組み合わせも本発明の開示内容とみなすべきである。
【符号の説明】
【0054】
a ロービームカットオフライン
b ロービームIIIゾーンパターン
c ロービームパターン中心領域
1’ 通光部
2’ 集光構造
3’ ロービームIIIゾーン形成構造
1 遮光板本体
11 ロービームカットオフライン構造
12 前端面
13 後端面
14 上面
2 集光部
21 キャビティ
22 凸部
3 レンズ
31 接続板
4 ロービームIIIゾーン形成構造
5 光源