(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】弾性部材および弾性装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/40 20060101AFI20221223BHJP
F16F 1/02 20060101ALI20221223BHJP
F16F 1/32 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
H01L23/40 E
F16F1/02 Z
F16F1/32
(21)【出願番号】P 2022089903
(22)【出願日】2022-06-01
【審査請求日】2022-06-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000176833
【氏名又は名称】三菱製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】光井 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】帖佐 智彦
(72)【発明者】
【氏名】広兼 徹
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/122215(WO,A1)
【文献】実開昭52-074953(JP,U)
【文献】実開平07-025533(JP,U)
【文献】特開平11-288641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/40
F16F 1/02
F16F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の弾性部材であって、
平面上に並べて設けられた複数の皿ばねと、
前記平面上、且つ、前記複数の皿ばねの周囲において、前記複数の皿ばねと一体に設けられ、前記複数の皿ばねを支持する支持部と
を備え
、
前記支持部は、
枠状の基部を有し、当該基部の枠内で、前記複数の皿ばねを保持する
ことを特徴とする弾性部材。
【請求項2】
前記基部は、
長方形の枠状を有する
ことを特徴とする請求項
1に記載の弾性部材。
【請求項3】
前記複数の皿ばねは、
前記支持部の前記基部の枠内において、前記基部の長手方向に沿って並べて設けられている
ことを特徴とする請求項
2に記載の弾性部材。
【請求項4】
板状の弾性部材であって、
平面上に並べて設けられた複数の皿ばねと、
前記平面上、且つ、前記複数の皿ばねの周囲において、前記複数の皿ばねと一体に設けられ、前記複数の皿ばねを支持する支持部と
を備え、
前記支持部は、
直線状の基部を有し、当該基部の両外側で、前記複数の皿ばねを保持する
ことを特徴とすることを特徴とす
る弾性部材。
【請求項5】
前記複数の皿ばねは、
前記支持部の前記基部の両外側において、前記基部の長手方向に沿って並べて設けられている
ことを特徴とする請求項
4に記載の弾性部材。
【請求項6】
互いに重ねて設けられる、2つの、請求項1から
5のいずれか一項に記載の弾性部材を備える
ことを特徴とする弾性装置。
【請求項7】
2つの前記弾性部材のうちの一方の前記弾性部材が備える複数の皿ばねの各々の頂部と、2つの前記弾性部材のうちの他方の前記弾性部材が備える複数の皿ばねの各々の頂部とが互いに対向するように、2つの前記弾性部材が互いに重ねて設けられる
ことを特徴とする請求項
6に記載の弾性装置。
【請求項8】
2つの前記弾性部材の間に配置される中間板を備える
ことを特徴とする請求項
7に記載の弾性装置。
【請求項9】
2つの前記弾性部材のうちの一方の前記弾性部材が備える複数の皿ばねの各々の頂部と、2つの前記弾性部材のうちの他方の前記弾性部材が備える複数の皿ばねの各々の頂部とが同じ向きになるように、2つの前記弾性部材が互いに重ねて設けられる
ことを特徴とする請求項
6に記載の弾性装置。
【請求項10】
2つの前記弾性部材の間に配置される中間板を備える
ことを特徴とする請求項
9に記載の弾性装置。
【請求項11】
変位量が0から第1の値となるまでの第1の荷重特性と、
変位量が前記第1の値から第2の値となるまでの第2の荷重特性と
を有し、
前記第1の荷重特性は、前記第2の荷重特性よりも、荷重の増加率が大きい
ことを特徴とする請求項
6に記載の弾性装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性部材および弾性装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、半導体装置において、半導体モジュールを、ヒートシンクとばね性を有する押さえ板との間で挟み込むことにより、半導体モジュールの放熱面をヒートシンクに押し当てた状態で、半導体モジュールをヒートシンクに固定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、単なる薄い金属板を押さえ板として用いているため、ヒートシンクに対して、半導体モジュールを強く押し上げることができない。このため、特許文献1の技術は、半導体モジュールにガタツキが生じたり、半導体モジュールの冷却効率が低下したりする虞がある。
【0005】
また、近年、半導体モジュール等の各種デバイスの小型化を実現するために、狭い隙間内に配置可能であり、且つ、高荷重を付与することが可能な弾性部材が求められているが、特許文献1の押さえ板では、狭い隙間内に配置できたとしても、高荷重を付与することができない。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するため、狭い隙間内で高荷重を付与することが可能な弾性部材を提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、一実施形態に係る弾性部材は、板状の弾性部材であって、平面上に並べて設けられた複数の皿ばねと、平面上、且つ、複数の皿ばねの周囲において、複数の皿ばねと一体に設けられ、複数の皿ばねを支持する支持部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
一実施形態に係る弾性部材によれば、狭い隙間内で高荷重を付与することが可能な弾性部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】一実施形態に係る弾性装置の他の構成例を示す分解斜視図
【
図4】一実施形態に係る弾性装置の他の構成例を示す一部拡大側面図である。
【
図5】一実施形態に係る弾性装置の荷重特性の解析結果を示す表
【
図6】一実施形態に係る弾性装置の荷重特性の解析結果を示すグラフ
【
図7】一実施形態に係る弾性部材の一使用例を示す図
【
図8】一実施形態に係る弾性部材の一変形例を示す図
【
図9】一実施形態に係る弾性装置の一変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0011】
(弾性装置10の構成)
図1は、一実施形態に係る弾性装置10の分解斜視図である。
図2は、一実施形態に係る弾性装置10の一部拡大側面図である。
【0012】
図1に示すように、一実施形態に係る弾性装置10は、全体的に薄型且つ平面状を有する。弾性装置10は、2枚の弾性部材100(弾性部材100-1,100-2)と、中間板20とを備える。弾性装置10は、2枚の弾性部材100の間に中間板20が挟み込まれた積層構造を有する。なお、2枚の弾性部材100は、互いに同一の部品であるが、互いに表裏が反転した状態で用いられている。
【0013】
なお、本実施形態では、便宜上、弾性装置10の厚さ方向を上下方向(Z軸方向)とし、弾性装置10の長手方向を左右方向(X軸方向)とし、弾性装置10の短手方向を前後方向(Y軸方向)とする。
【0014】
弾性部材100は、平面視にて、左右方向(X軸方向)を長手方向とする長方形状の外形状を有する、金属製且つ平板状の部材である。弾性部材100は、複数の皿ばね110と、支持部120とを有する。
【0015】
複数の皿ばね110は、支持部120の基部121の枠内、且つ、同一平面上において、左右方向(X軸方向)に一列に並べて設けられている。
【0016】
皿ばね110は、中央に円形の開口部111を有し、且つ、上下方向(Z軸方向)に弾性を有する、円盤状の部材である。皿ばね110は、外周部から内周部に向かうにつれて徐々に上下方向(Z軸方向)に隆起した形状を有する。すなわち、皿ばね110は、中央に頂部を有する、円錐台形状を有する。これにより、皿ばね110は、その頂部(すなわち、開口部111が設けられている中央部)が押圧されることによって上下幅が小さくなるように、上下方向(Z軸方向)に弾性変形可能である。また、皿ばね110は、自身の弾性力によって、当該皿ばね110が押し当てられる対象物に対して、高荷重を付与することができる。
【0017】
なお、皿ばね110の数および配置は、
図1に示すものに限らない。例えば、
図1に示す例では、弾性部材100は、6個の皿ばね110を有する。但し、これに限らず、弾性部材100は、5個以下、または、7個以上の皿ばね110を有してもよい。また、
図1に示す例では、弾性部材100は、複数の皿ばね110が、一列で長手方向(X軸方向)に並べて設けられているが、これに限らず、弾性部材100は、複数の皿ばね110が、複数列で長手方向(X軸方向)に並べて設けられてもよい。
【0018】
また、
図1に示す例では、弾性部材100は、複数の皿ばね110が、一直線上に並べて設けられているが、これに限らず、弾性部材100は、隣り合う2つの皿ばね110が、短手方向(Y軸方向)にオフセットして配置されてもよい。この場合、弾性部材100は、長手方向(X軸方向)におけるより短い範囲内に、同数の皿ばね110を配置することが可能となる。
【0019】
支持部120は、平板状且つ矩形枠状の部分である。支持部120は、複数の皿ばね110と同一平面上、かつ、複数の皿ばね110の周囲において、複数の皿ばね110と一体に設けられ、複数の皿ばね110を支持する。支持部120は、枠状の基部121を有し、当該基部121の枠内で、複数の皿ばね110を支持する。具体的には、支持部120は、基部121の枠内において、複数の皿ばね110の各々に対し、基部121と皿ばね110とを連結する連結部122を有する。
図1に示す例では、支持部120は、皿ばね110を基部121のY軸正側の部分に連結する連結部122と、皿ばね110を基部121のY軸負側の部分に連結する連結部122とが、左右方向(X軸方向)に交互に設けられている。
【0020】
なお、
図1に示す例では、基部121は、左右方向(X軸方向)を長手方向とする長方形の枠状を有する。但し、これに限らず、基部121は、長方形以外の形状(例えば、正方形、円形、等)の枠状を有してもよい。また、基部121は、枠状以外の形状(例えば、直線状)を有してもよい。
【0021】
弾性部材100は、任意の金属素材(例えば、ステンレス)が用いられて形成される。なお、弾性部材100は、1枚の金属板をプレス加工することにより、複数の皿ばね110および支持部120を有するものに、一括して形成可能である。例えば、本実施形態では、弾性部材100は、一例として、厚さ0.5[mm]のステンレス板がプレス加工されることによって、複数の皿ばね110および支持部120を有するものに、一括して形成されている。また、1枚の金属板をプレス加工することにより、複数の弾性部材100を一括して製造することも可能である。
【0022】
中間板20は、平面視にて、左右方向(X軸方向)を長手方向とする長方形状を有する、平板状の部材である。中間板20は、任意の金属素材(例えば、ステンレス)が用いられて形成される。
【0023】
図1および
図2に示すように、弾性装置10は、上側(Z軸正側)に設けられている弾性部材100-1が、全ての皿ばね110の頂部が下向きとなるように配置される。一方、弾性装置10は、下側(Z軸負側)に設けられている弾性部材100-2が、全ての皿ばね110の頂部が上向きとなるように配置される。
【0024】
そして、弾性装置10は、中間板20が、
図2に示すように、上側(Z軸正側)に設けられている下向きの複数の皿ばね110の頂部と、下側(Z軸負側)に設けられている上向きの複数の皿ばね110の頂部との間に挟みこまれるように、2枚の弾性部材100の間に配置される。
【0025】
一実施形態に係る弾性部材100は、6個の皿ばね110を有するため、全体的に薄型でありながらも、1つの皿ばね110によって得られる荷重の6倍の荷重を得ることができる。
【0026】
また、一実施形態に係る弾性部材100は、全体的に薄型且つ平面状を有するため、狭い隙間内に設置可能であるとともに、当該隙間内の広範囲に亘って、高荷重を均等に付与することができる。
【0027】
また、一実施形態に係る弾性部材100は、複数の皿ばね110を有するため、皿ばね110の数、配置、形状、外径、内径等を調整することで、全体として得られる荷重の調整を容易に行うことができる。なお、
図1に示す例では、複数の皿ばね110を互いに同一形状および同一サイズとしているが、これに限らず、複数の皿ばね110を互いに異なる形状および異なるサイズとしてもよい。
【0028】
また、一実施形態に係る弾性部材100は、複数の皿ばね110が支持部120によって支持されているため、複数の皿ばね110が所定の位置に配置された状態を維持することができ、複数の皿ばね110がばらばらになることがないため、複数の皿ばね110の取り扱いを容易化することができる。
【0029】
また、一実施形態に係る弾性装置10は、2枚の弾性部材100が重ねて設けられているため、各皿ばね110の高さ寸法を小さくしつつ、全体の撓み量を2倍にすることができる。なお、一実施形態に係る弾性装置10は、各皿ばね110の高さ寸法を小さくすることで、皿ばね110を反転し難くすることができる。
【0030】
また、一実施形態に係る弾性装置10は、上側(Z軸正側)の弾性部材100-1の複数の皿ばね110の各々の頂部と、下側(Z軸正側)の弾性部材100-2の複数の皿ばね110の各々の頂部とが互いに対向するように、2つの弾性部材100を重ねて設けている。このため、一実施形態に係る弾性装置10は、全体として得られる荷重を、1枚の弾性部材100によって得られる荷重と等しくしつつ、全体の撓み量を2倍にすることができる。
【0031】
また、一実施形態に係る弾性装置10は、全体的に薄型且つ平面状を有するため、狭い隙間内に設置可能であるとともに、当該隙間内の広範囲に亘って、高荷重を均等に付与することができる。
【0032】
また、一実施形態に係る弾性装置10は、2枚の弾性部材100の間に中間板20を備えるため、中間板20の表面に対して、各皿ばね110の頂部を確実且つ均等に押しつけることができ、すなわち、中間板20によって各皿ばね110からの荷重を確実に受け止めることができる。
【0033】
また、一実施形態に係る弾性装置10は、2枚の弾性部材100の間に中間板20を設けているため、中間板20の厚さを調整することで、全体の厚さを容易に調整することができる。
【0034】
なお、一実施形態に係る弾性装置10は、上側(Z軸正側)の弾性部材100-1の複数の皿ばね110の各々の底部と、下側(Z軸正側)の弾性部材100-2の複数の皿ばね110の各々の底部とが互いに対向するように、2つの弾性部材100を重ねて設けてもよい。この場合も、一実施形態に係る弾性装置10は、全体として得られる荷重を、1枚の弾性部材100によって得られる荷重と等しくしつつ、全体の撓み量を2倍にすることができる。
【0035】
また、一実施形態に係る弾性装置10は、上側(Z軸正側)の弾性部材100-1の複数の皿ばね110の各々の底部と、下側(Z軸正側)の弾性部材100-2の複数の皿ばね110の各々の頂部とが互いに対向するように、2つの弾性部材100を重ねて設けてもよい。この場合、一実施形態に係る弾性装置10は、全体として得られる荷重を、1枚の弾性部材100によって得られる荷重の2倍としつつ、全体の撓み量を2倍にすることができる。
【0036】
反対に、一実施形態に係る弾性装置10は、上側(Z軸正側)の弾性部材100-1の複数の皿ばね110の各々の頂部と、下側(Z軸正側)の弾性部材100-2の複数の皿ばね110の各々の底部とが互いに対向するように、2つの弾性部材100を重ねて設けてもよい。この場合も、一実施形態に係る弾性装置10は、全体として得られる荷重を、1枚の弾性部材100によって得られる荷重の2倍としつつ、全体の撓み量を2倍にすることができる。
【0037】
(弾性装置10の他の構成例)
図3は、一実施形態に係る弾性装置10の他の構成例を示す分解斜視図である。
図4は、一実施形態に係る弾性装置10の他の構成例を示す一部拡大側面図である。
【0038】
図3および
図4に示す弾性装置10は、最上部(弾性部材100-1の上側)と最下部(弾性部材100-2の下側)との各々に、平板状の剛体30を備える。すなわち、
図4に示す弾性装置10は、
図1に示す弾性装置10が、2枚の剛体30(剛体30-1,30-2)の間に挟み込まれた構成を有する。
【0039】
2枚の剛体30の各々は、内側を向き、複数の皿ばね110と対向する第1表面31と、外側を向き、当該弾性装置10から荷重が付与される対象物と対向する、第1表面の裏側の第2表面32とを有する。2枚の剛体30の各々は、任意の金属素材が用いられて、弾性変形し難いように一定の厚さに形成される。
【0040】
図4に示す弾性装置10は、2枚の剛体30を備えることにより、複数の皿ばね110から加わる荷重を、2枚の剛体30の各々の第1表面31全体で受け止めて、当該荷重を、2枚の剛体30の各々の第2表面全体によって、対象物に均等に付与することができる。
【0041】
(弾性装置10の荷重特性)
図5は、一実施形態に係る弾性装置10の荷重特性の解析結果を示す表である。
図6は、一実施形態に係る弾性装置10の荷重特性の解析結果を示すグラフである。
【0042】
なお、本解析結果に係る弾性装置10は、長手方向(X軸方向)の長さが、135[mm]であり、短手方向(Y軸方向)の幅が、35[mm]である。
【0043】
また、本解析結果に係る弾性装置10は、非押圧時の厚さが2.72[mm]であり、極めて薄型に構成されている。
【0044】
また、本解析結果に係る弾性装置10は、下記要求性能(1)および(2)を満たすことができるように、各皿ばね110の高さ、外径、および内径が調整されている。
【0045】
・変位量0.3[mm]において荷重930[N]が得られること・・・(1)
・変位量0.82[mm]において荷重1300[N]が得られること・・・(2)
【0046】
図5および
図6に示すように、本解析結果に係る弾性装置10は、押圧時の厚さが2.42[mm](すなわち、変位量が0.3[mm])のとき、極めて高い930[N]の荷重を得ることができ、要求性能を満たすことができるものであることが確認された。
【0047】
また、
図5および
図6に示すように、本解析結果に係る弾性装置10は、押圧時の厚さが1.9[mm](すなわち、変位量が0.82[mm])のとき、極めて高い1300[N]の荷重を得ることができ、要求性能を満たすことができるものであることが確認された。
【0048】
なお、
図5および
図6に示すように、本解析結果に係る弾性装置10は、変位量が0から0.3[mm](「第1の値」の一例)となるまでの第1の荷重特性と、変位量が0.3[mm]から0.82[mm](「第2の値」の一例)となるまでの第2の荷重特性とを有し、第1の荷重特性は、第2の荷重特性よりも、荷重の増加率が大きい。すなわち、本解析結果に係る弾性装置10は、押圧が開始されてから、比較的少ない変位量で、高荷重を得ることができる。
【0049】
(弾性部材100の一使用例)
図7は、一実施形態に係る弾性部材100の一使用例を示す図である。
図7に示すように、一実施形態に係る弾性部材100は、複数の皿ばね110が支持部120によって連結されているため、長手方向(X軸方向)における中間位置で折り曲げることにより、3つの皿ばね110と、他の3つの皿ばね110とを重ねることができ、全体の厚さを2倍にして使用することができる。
【0050】
(弾性部材100の一変形例)
図8は、一実施形態に係る弾性部材100の一変形例である弾性部材100Aを示す図である。
【0051】
弾性部材100Aは、平面視にて、左右方向(X軸方向)を長手方向とする、金属製且つ平板状の部材である。弾性部材100Aは、第1の皿ばね列L1と、第2の皿ばね列L2と、支持部120Aとを有する。
【0052】
第1の皿ばね列L1および第2の皿ばね列L2は、支持部120Aを間に挟んで、並列に設けられている。第1の皿ばね列L1は、支持部120AよりもY軸正側に設けられている。第2の皿ばね列L2は、支持部120AよりもY軸負側に設けられている。
【0053】
第1の皿ばね列L1および第2の皿ばね列L2の各々は、同一平面上において、左右方向(X軸方向)に一列に並べて設けられた、複数の皿ばね110を有する。弾性部材100Aが備える皿ばね110は、弾性部材100が備える皿ばね110と同一である。
【0054】
なお、第1の皿ばね列L1および第2の皿ばね列L2において、皿ばね110の数は、
図8に示すものに限らない。例えば、
図8に示す例では、第1の皿ばね列L1および第2の皿ばね列L2は、5個の皿ばね110を有する。但し、これに限らず、第1の皿ばね列L1および第2の皿ばね列L2は、4個以下、または、6個以上の皿ばね110を有してもよい。
【0055】
また、
図8に示す例では、第1の皿ばね列L1および第2の皿ばね列L2は、複数の皿ばね110が、一直線上に並べて設けられているが、これに限らず、第1の皿ばね列L1および第2の皿ばね列L2は、隣り合う2つの皿ばね110が、短手方向(Y軸方向)にオフセットして配置されてもよい。この場合、第1の皿ばね列L1および第2の皿ばね列L2は、長手方向(X軸方向)におけるより短い範囲内に、同数の皿ばね110を配置することが可能となる。
【0056】
支持部120Aは、複数の皿ばね110と同一平面上、かつ、第1の皿ばね列L1と第2の皿ばね列L2との間において、複数の皿ばね110と一体に設けられ、複数の皿ばね110を支持する。支持部120Aは、左右方向(X軸方向)に直線状に延びる基部121を有し、当該基部121の両外側で、複数の皿ばね110を支持する。具体的には、支持部120Aは、基部121の両外側において、複数の皿ばね110の各々に対し、基部121と皿ばね110とを連結する連結部122を有する。
図8に示す例では、支持部120Aは、基部121よりも第1の皿ばね列L1側(Y軸正側)に、第1の皿ばね列L1が有する複数の皿ばね110を基部121に連結する複数の連結部122を有し、基部121よりも第2の皿ばね列L2側(Y軸負側)に、第2の皿ばね列L2が有する複数の皿ばね110を基部121に連結する複数の連結部122を有する。
【0057】
弾性部材100Aは、任意の金属素材(例えば、ステンレス)が用いられて形成される。なお、弾性部材100Aは、1枚の金属板をプレス加工することにより、複数の皿ばね110および支持部120Aを有するものに、一括して形成可能である。例えば、本実施形態では、弾性部材100Aは、一例として、厚さ0.5[mm]のステンレス板がプレス加工されることによって、複数の皿ばね110および支持部120Aを有するものに、一括して形成されている。また、1枚の金属板をプレス加工することにより、複数の弾性部材100Aを一括して製造することも可能である。
【0058】
一実施形態に係る弾性装置10は、弾性部材100の代わりに、弾性部材100Aを用いてもよい。この場合も、一実施形態に係る弾性装置10は、弾性部材100を用いた場合と同様の効果を奏することができる。
【0059】
(弾性装置10の一変形例)
図9は、一実施形態に係る弾性装置10の一変形例を示す図である。一実施形態に係る弾性装置10は、互いに同一の部品である2枚の弾性部材100が、互いに表裏を反転させずに重ねて設けられてもよい。
【0060】
例えば、
図9に示すように、一実施形態に係る弾性装置10は、上側(Z軸正側)の弾性部材100-1の複数の皿ばね110の各々の頂部が上向きとなり、下側(Z軸負側)の弾性部材100-2の複数の皿ばね110の各々の頂部も上向きとなるように、中間板20を間に挟んで、2枚の弾性部材100が重ねて設けられてもよい。
【0061】
この場合、一実施形態に係る弾性装置10は、全体として得られる荷重を、1枚の弾性部材100によって得られる荷重と等しくしつつ、全体の撓み量を2倍にすることができる。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0063】
例えば、弾性部材100,100Aは、単体で使用されてもよく、弾性装置10に組み込まれて使用されてもよい。
【0064】
また、弾性装置10は、3つ以上の弾性部材100,100Aが重ねて設けられた構成を有してもよい。この場合、弾性装置10は、互いに重なり合う2つの弾性部材100,100Aの間のそれぞれに、中間板20を有してもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 弾性装置
20 中間板
30,30-1,30-2 剛体
100,100-1,100-2,100A 弾性部材
110 皿ばね
111 開口部
120,120A 支持部
121 基部
122 連結部
【要約】 (修正有)
【課題】狭い隙間内で高荷重を付与する弾性部材及び弾性装置を提供する。
【解決手段】弾性装置10において、板状の弾性部材100-1、100-2は、平面上に並べて設けられた複数の皿ばね110と、平面上、且つ、複数の皿ばね110の周囲において、複数の皿ばね110と一体に設けられ、複数の皿ばね110を支持する支持部120と、を備える。
【選択図】
図1