(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具
(51)【国際特許分類】
A61G 5/14 20060101AFI20221223BHJP
A47C 7/02 20060101ALI20221223BHJP
A47C 9/00 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
A61G5/14 711
A47C7/02 D
A47C9/00 Z
(21)【出願番号】P 2022107260
(22)【出願日】2022-07-01
【審査請求日】2022-07-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391006809
【氏名又は名称】阿多 實孝
(74)【代理人】
【識別番号】100102738
【氏名又は名称】岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】阿多 實孝
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-307129(JP,A)
【文献】特開2003-019055(JP,A)
【文献】特開2002-253348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 5/14
A47C 3/027
A47C 7/02
A47C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、上下方向に整列する複数の凸部を側部に有する一対の縦部材であって、一方の複数の凸部と、他方の複数の凸部とを横方向に所定間隔を隔てて対向配置した一対の縦部材と、
利用者が着座する着座部を支持する横部材であって、横部材の中心が該一対の縦部材間に位置するように該一対の縦部材間を跨ぐように前後方向に延びる横部材と、
それぞれ、該横部材の中心に関して互いに反対側に配置され、該横部材に対して上下方向に交差するように設けられ、横部材を縦部材に対して支持する、一対の係止部材と、
該一対の係止部材それぞれを対応する縦部材の複数の凹部各々に向かって付勢する第1付勢手段と、を有し、
該一対の係止部材それぞれは、対応する縦部材の複数の凹部各々に対して、利用者の自重を受ける係止位置と、係止解除位置との間で、横部材に対する連結点を中心に、揺動可能に設けられ、
凸部は、最引っ込み部から最突出縁まで延びる第1係合部と、最引っ込み部から
最突出縁まで上方に傾斜する第2係合部とを有する鋸刃状をなす、自重利用型立ち上がり補助具であって、
一対の縦部材間から露出する平面部を有し、一対の縦部材に沿って上下方向に摺動可能なベース部材を有し、
さらに、横部材に上方から連結される、横部材とベース部材とを連結する連結部材が設けられ、
ベース部材には、
一対の係止部材それぞれにおいて、一方の係止部材の上端の他方の係止部材に向かう傾きを押し戻す傾き押し戻し手段と、
傾き押し戻し手段の押し戻し機能のオンオフを行う切り替え手段と、
傾き押し戻し手段の押し戻しを制限するストッパーと、が設けられ、
ストッパーは、横部材の前後方向の傾斜の際の上側の一方の係止部材の下端が、
最突出縁から他方の係止部材寄りの離間位置となる位置で、傾き押し戻し手段の押し戻しを止めるように、ベース部材上で位置決めされ、
切り替え手段をオンとすることにより、横部材の前後方向の傾斜により、第1付勢手段の付勢力に抗して、一対の係止部材各々の上端が対応する凸部から離間する向きに傾斜する際、傾き押し戻し手段は、その係止部材の下端が対応する第1係合部から離間する位置となるように、上端を逆向きに押し出すように構成される下降調整部品をさらに有し、
それにより、着座部の下降の際は、切り替え手段をオンとすることにより、着座部に着座する利用者が、着座部に対する体重のかけ方を前後方向に繰り返し移動させることにより、係止部材の下端が係止する凸部を、一対の係止部材間で交互に変えることを通じて、係止部材の下端が第2係合部に案内されながら、第1係合部まで凸部を一段づつ円滑に下降し、
着座部の上昇の際は、切り替え手段をオフとすることにより、着座部に着座する利用者が、着座部に対する体重のかけ方を着座部保持部の延び方向に繰り返し移動させることにより、係止部材の下端が係止する凸部を、一対の係止部材間で交互に変えることを通じて、着座部の昇降を可能とされ、
前記横部材は、上下面が左右方向に間隔を隔てた対向した一対の板材で構成され、各上下面の対向内面により構成されるスペース内に、前記一対の縦部材および前記係止部材が収容され、二組の一対の板材が、前記上下面に直交する向きに所定間隔を隔てて配置され、前記着座部が、二組の一対の板材間に跨って配置され、
前記着座部の前後方向の中央部が前記横部材の上面に対して支持される中央支持部と、前記着座部の前後方向の前後端部それぞれが横部材の上面に向かって延びる前端荷重伝達部材および後端荷重伝達部材とが設けられ、
前記着座部が前記中央支持部を介して前記横部材の上面に対して水平に保持される場合、前記前端荷重伝達部材および前記後端荷重伝達部材それぞれの下端は、前記横部材の上面に対して、所定間隔を隔て、
それにより、前記着座部に着座する利用者が前記着座部の前部に体重をかけることにより、前記着座部は前記前端荷重伝達部材が前記横部材の上面に当たるまで、前記中央支持部を始点として、前記着座部の前記前部が下方に傾斜し、一方、前記着座部に着座する利用者が前記着座部の後部に体重をかけることにより、前記着座部は前記後端荷重伝達部材が前記横部材の上面に当たるまで、前記中央支持部を始点として、前記着座部の前記後部が下方に傾斜する、前記着座部の傾斜により、前記横部材の傾斜が助長される、
ことを特徴とする下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項2】
前記着座部の前後端それぞれは、前記横部材の前後端に対し、前方および後方に張り出し、前記前端荷重伝達部材は、前記着座部の前端から前記横部材の前端に向かって、前記着座部の後方斜め下方に延び、前記後端荷重伝達部材は、前記着座部の後端から前記横部材の後端に向かって、前記着座部の前方斜め下方に延びる、請求項1に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項3】
前記一対の板材の上部間に跨って、面材が設けられ、
前記中央支持部は、前記着座部の下面から前記面材の上面に向かって突起する突起部を有し、
前記突起部は、前記面材の上面に当たるように曲面状に形成され、
前記面材の前記上面には、前記突起部に対して前方および後方それぞれに所定間隔を隔てて、前記着座部の前後方向移動制限用ストッパーが設けられる、請求項2に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項4】
前記一対の板材の上部間に跨って、面材が設けられ、
前記中央支持部は、前記面材の上面から前記着座部の下面に向かって突起する突起部を有し、
前記突起部は、前記着座部の下面に当たるように曲面状に形成され、
前記着座部の下面には、前記突起部に対して前方および後方それぞれに所定間隔を隔てて、前記着座部の前後方向移動制限用ストッパーが設けられる、請求項2に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項5】
前記一対の板材の上部間に跨って、面材が設けられ、
前記中央支持部は、前記面材の上面から前記着座部の下面に向かって突起する第1突起部と、前記着座部の下面から前記面材の上面に向かって突起する第2突起部とを有し、
前記第1突起部と、前記第2突起部とは、前後方向に直交する向きに延びる回転枢軸を介して、ピン結合される、請求項2に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項6】
前記一対の板材の上部間に跨って、面材が設けられ、
前記中央支持部は、前記着座部の下面から前記面材の上面に向かって突起する突起部と、前記面材の上面に設けられた、前記突起部を受ける突起受け部とを有し、
前記突起部は、その下端部が、前記突起受け部の上面に当たるように、下に凸の第1曲率半径の円弧状に形成され、
前記突起受け部の上面は、第1曲率半径より大きい第2曲率半径の、上に凸の円弧状に形成され、
前記突起受け部の前記上面の前端および後端それぞれには、前記突起部に対して前方および後方それぞれに所定間隔を隔てて、前記着座部の前後方向移動制限用ストッパー部が形成される、請求項2に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項7】
前記突起部は、前記着座部の左右方向全体に亘って延び、前記着座部の前後方向中央位置に設けられ、前記突起部受け部は、前記着座部の左右方向全体に亘って延び、前記横部材の前後方向中央位置に設けられる、
請求項6に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項8】
前記中央支持部は、利用者の自重による繰り返し負荷に対して耐久性を確保可能なように、中実状の金属製、樹脂製、木製である、請求項1に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項9】
前記着座部は、後部に背もたれ部、前部に足載せ部を有し、該足載せ部は、前部から斜め下方に延びる部材の下端部に設けられる、請求項1に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項10】
前記中央支持部は、前記面材の前記上面と脱着可能とされ、前記面材の前記上面には、汎用的な着座部が載置可能である、請求項3ないし請求項6のいずれか1項に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項11】
前記前端荷重伝達部材および前記後端荷重伝達部材それぞれの下端と、前記横部材の上面との前記所定間隔は、上下方向に隣接する前記凸部の間隔に応じて、設定される、請求項1に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項12】
前記前端荷重伝達部材の前記後方斜め下方角度、および前記後端荷重伝達部材の前記前方斜め下方角度が調整可能なように、前記前端荷重伝達部材および前記後端荷重伝達部材それぞれは、前記着座部に対して連結される、請求項2に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項13】
一対の縦部材それぞれは、前後方向に沿う正面部と、左右方向に沿う側面部とに構成されるL字状横断面の部材であり、正面部の側縁同士が、左右方向に所定間隔を隔てて固定配置され、側縁に形成される複数の凸部同士が、左右方向にオフセット配置され、
下降調整部品は、平面部が対向する平板状をなし、一対の縦部材に対して、一対の係止部材および横部材を組付けた状態で、一対の縦部材に対して斜めに左右方向所定間隔に挿入組付け可能である、請求項2に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項14】
前記傾き押し戻し手段は、平面部の各々において、係止部材の上端より上方で、ベース部材に設けられ、係止部材への係合位置と、非係合位置との間で揺動可能な第1揺動部材と、
該第1揺動部材を係合位置に向かって付勢する第2付勢手段と、を有する、請求項1に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項15】
第2付勢手段は、係止部材の対応する凸部と反対側の平面部の部分において、上下方向に延在し、上端が固定された片持ち梁状の棒バネであり、下端部が第1揺動部材に係合可能である、請求項14に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項16】
切り替え手段は、平面部の各々において、第1付勢手段の付勢力に抗して、第1揺動部材を非係合位置に移動させる第1揺動部材移動部材を有し、
さらに、該第1揺動部材移動部材の上端部に係止して、第1揺動部材を非係合位置に保持する非係合位置保持手段と、
該非係合位置保持手段による該第1揺動部材移動部材の上端部への係止を解除する係止解除手段と、
を有する、請求項14に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項17】
平面部の各々において、ストッパーは、対応する係止部材の上方に固定配置され、
第1揺動部材には、ストッパーに当たるストッパー当てが対応する係止部材側の縁部に設けられ、
該ストッパー当ては、ストッパーに当たる位置の下方に、対応する係止部材の上下方向移動範囲をカバーする上下方向長さを有する、請求項16に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項18】
第1揺動部材移動手段は、ベース部材の平面部に中間部が枢着され、該中間部を中心に揺動可能な上下方向に延在する第2揺動部材であり、
該第2揺動部材の上端部は、非係合位置保持手段により係止可能であり、該第2揺動部材の下端部は、第2付勢手段により、係止位置に向かって付勢される、請求項16に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項19】
非係合位置保持手段は、ベース部材の上面に設けられる上下回転軸を中心として、横方向に揺動可能な第1手動レバーであり、
該第1手動レバーは、各端部が、対応する第2揺動部材の上端に係合するように設けられ、
係止解除手段は、上下方向に揺動可能な第2手動レバーであり、該第2手動レバーは、下端縁に、第1手動レバーが係止可能な凹部を有し、
該第1手動レバーは、第2揺動部材により、第2付勢手段の付勢力を通じて、係止解除位置に向かって付勢され、
第2手動レバーを上方に揺動することにより、第1手動レバーは、係止解除位置に移動し、第1手動レバーを凹部に係止させるまで揺動させることにより、第1手動レバーは、係止位置に保持される、請求項18に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【請求項20】
利用者が自重を利用して着座部を傾斜することにより、傾斜下方側の一方の係止部材が、傾斜下方側の一方の縦部材の対応する凸部の最引っ込み部に係止されつつ、傾斜上方側の他方の係止部材が傾斜上方側の他方の縦部材の対応する凸部の第2係合部に案内されながら上方に移動する際、横部材の傾斜下方側への横ずれにより、一方の係止部材の係止離脱を防止する、着座部の落下防止治具が、横部材に設けられる、請求項1に記載の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具に関し、より詳細には、着座部を下降または上昇させる際、利用者、特に高齢者への負担を軽減しつつ、自重を利用して、着座感を損なうことなく、円滑な下降および立ち上がりが可能な下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高齢者向けの介護具が種々開発されている。
特に、高齢者は、脚力が弱り、椅子に座った状態で、自力で立ち上がるのが困難であるところ、座位状態の高齢者を立位状態に立ち上げる際に用いられる介護具が開発されている。
【0003】
第1のタイプは、たとえば、特許文献1および特許文献2に開示されているように、駆動装置を用い、座位状態の高齢者を立位状態に立ち上げるタイプである。
より詳細には、特許文献1に開示の立ち上がり補助装置は、土台となるベースと、使用者の体を支持する支持部を先端に備え、ベースに回動可能に固定される第一アームと、第一アームの内側に沿ってスライド可能な第二アームと、ベース内部に収納され第一アーム及び第二アームを駆動する駆動装置とを備え、駆動装置はモータとそれと同軸上に設けられたウォームギヤと、ウォームギヤと噛合し水平軸まわりに回転するウォームホイールと、ウォームホイールと同軸上に設けられたピニオンと、ピニオンと噛合するギヤと、ギヤと噛合するシャフトと、シャフトに取付けられた、かさ歯車と遊星歯車機構を構成する太陽歯車とを備えて構成し、かさ歯車の駆動により第一アームを、太陽歯車の駆動により第二アームを駆動する。
以上の構成によれば、第一アームは円の動きを第二アームは直線の動作をそれぞれ担当している。この第一アーム及び第二アームの描く円と直線を組み合わせた円弧の軌跡は、人が立ち上がる自然な動作と一致するため、立ち上がり補助装置を使用することで要介護者にとって自然な動作での立ち上がり補助を行なうことが可能となる。
【0004】
特許文献2に開示の起立補助装置は、着座するための座部と、座部を着座位置から離座位置まで移動させるための駆動手段と、を備え、駆動手段は、座部を着座位置から離座位置まで移動させる際に、座部を、前方傾動させつつ、前方移動させた後、上昇移動させつつ、斜め後方移動させ、座部は、第1の孔と、第2の孔と、を有し、駆動手段は、座部を昇降させるための昇降駆動手段と、支柱と、支柱を回動させるための回動駆動手段と、を有し、昇降駆動手段は、第1の孔において座部と連結され、支柱の一端は、回動駆動手段に回動自在に軸支され、支柱の他端は、第2の孔において座部と連結されてなる。
以上の構成によれば、便座などから起立するときの足裏の浮きや臀部の滑り落ちを軽減して、起立しやすくすることができる。
【0005】
第2のタイプは、たとえば、特許文献3に開示されているように、手摺補助具である。
より詳細には、この手摺補助具は、ベッドからの起き上がりや歩行に不安を覚えた高齢者等に、起立や歩行の障害の程度を日常的に把握できるように、各種のセンサを設けた起立補助型スマート手すり装置であり、この起立補助型スマート手すり装置から得られたデータをもとに、生活自立度( 筋力バランス) を評価する起立動作観察・分析システム、その評価を家族や施設などの関係者に送付する起立動作・分析・支援システムであり、ベッドサイドに置いた起立補助型スマート手すり装置を利用して、高齢者等が起き上がる動作を行ったときに手すりに生ずる力の方向と大きさ、および、床面にかかる荷重の大きさ、分布などを日々継続して取得することにより、立ち上がり動作の変化を観察して、見守りと必要な対処方法の提示に役立てるものである。
起立補助型スマート手すり装置の基本構造は、底板の左右に支柱を取り付け、支柱の上部に手すり部を設けている。支柱の基部は高さが調整できるように調整手段を設けることができる。支柱の上部に水平バーを有する手すり部を装着している。支柱の中間部には水平の中間バーを設けている。手すり部に手すりを把持したときにかかる負荷を計測するセンサを設けているので、手すり部を支柱に対して装着するタイプとしている。
【0006】
しかしながら、両タイプには、以下のような技術的問題点が存する。
第1のタイプにおいては、駆動装置、たとえば、駆動モーター、駆動機構等を要することから高価であり、重量物であり移動に不便であるとともに、高齢者は完全に体重を預けて、立ち上げられるものであり、高齢者自身の体力を用いるものではなく、このような介護ロボットまがいに頼るほど、高齢者は、日々体力、特に足を弱らせる原因となる。
【0007】
第2のタイプにおいては、第1のタイプとは異なり、駆動装置を用いず、軽量で持ち運び容易であり、高齢者自身の体力、特に腕力を利用するものではあるが、脚力のみならず腕力が弱っている高齢者には、利用が困難である。
さらに、椅子に座っている高齢者であれば、腕力があれば、立ち上がりの補助に用いることは可能であるが、たとえば、入浴中に浴槽から立ち上がる場合には、利用困難である
また、高齢者が座位姿勢から完全に立ち上がって足で踏ん張れる姿勢となるまでは、手で自身の体を支える他なく、途中の姿勢状態から座位高さまでストンと臀部を落としてしまるリスクもある。
加えて、高齢者が手摺補助具に掴まって、座位レベルの途中の所望高さまで体を支えながら下降するのも同様に困難である。
以上のように、いずれのタイプも、高齢者の状況に応じて、椅子に座っている場合、正座している場合、浴槽につかっている場合等多方面で、自身の体力を利用することで体力維持を確保しつつ活用可能なように、軽量で持ち運び可能な昇降具になっていない。
この点について、本出願人は、軽量で持ち運び便利であるとともに、着座姿勢の利用者の体重および体の動きを利用して、介護不要に、利用者のリハビリも可能としつつ、着座位置を自動的に昇降可能な自重利用型立ち上がり補助具を提案している。
この自重利用型立ち上がり補助具は、それぞれ、上下方向に整列する複数の凸部を側部に有する一対の縦部材であって、一方の複数の凸部と、他方の複数の凸部とを横方向に所定間隔を隔てて対向配置した一対の縦部材と、利用者が着座する着座部を支持する横部材であって、横部材の中心が一対の縦部材間に位置するように一対の縦部材間を跨ぐように横方向に延びる横部材と、それぞれ、横部材の中心に関して互いに反対側に配置され、横部材に対して上下方向に交差するように設けられ、横部材を縦部材に対して支持する、一対の係止部材と、一対の係止部材それぞれを対応する縦部材の複数の凹部各々に向かって付勢する第1付勢手段と、を有し、一対の係止部材それぞれは、対応する縦部材の複数の凹部各々に対して、利用者の自重を受ける係止位置と、係止解除位置との間で、横部材に対する連結点を中心に、揺動可能に設けられる。
しかしながら、このような自重利用型立ち上がり補助具には、着座部に着座する利用者が上る際には、便利であるが、着座部に着座する利用者が下る際、以下のような技術的問題点を有する。
すなわち、凸部は、最引っ込み部から最突出縁35まで延びる第1係合部と、最引っ込み部から最突出縁35まで上方に傾斜する第2係合部とを有する鋸刃状をなすところ、一対の係止部材それぞれが対応する凸部に対して、第1付勢手段により常時押し付けられた状態でも、利用者が着座部における前後の体重のかけ方を交互に繰り返すことにより、上昇する際は、第2係合部の傾斜面に沿って上昇し、第1係合部の最引っ込み部に押し付けられながらでに上昇可能であるところ、下降する際は、第1係合部の最引っ込み部から最突出縁35まで他方の係止部材に向かって引き出されて、第2係合部の傾斜面に沿って下降する必要があることから、一対の係止部材の下端部の凸部による支持を外すことにより着座部を支持する横部材を縦部材に対して手動でフリーとするなら別段、第1付勢手段による凸部への常時押付状態では、一段ずつ凸部を下降するのは困難である。
【0008】
この点、本願発明者は、以上の技術的問題を解決するために、特許文献4において、自重利用型立ち上がり補助具を提案している。
この下降調整部品は、それぞれ、上下方向に整列する複数の凸部を側部に有する一対の縦部材であって、一方の複数の凸部と、他方の複数の凸部とを横方向に所定間隔を隔てて対向配置した一対の縦部材と、利用者が着座する着座部を支持する横部材であって、横部材の中心が該一対の縦部材間に位置するように該一対の縦部材間を跨ぐように前後方向に延びる横部材と、それぞれ、該横部材の中心に関して互いに反対側に配置され、該横部材に対して上下方向に交差するように設けられ、横部材を縦部材に対して支持する、一対の係止部材と、該一対の係止部材それぞれを対応する縦部材の複数の凹部各々に向かって付勢する第1付勢手段と、を有し、該一対の係止部材それぞれは、対応する縦部材の複数の凹部各々に対して、利用者の自重を受ける係止位置と、係止解除位置との間で、横部材に対する連結点を中心に、揺動可能に設けられ、凸部は、最引っ込み部から最突出縁まで延びる第1係合部と、最引っ込み部から最突出縁まで上方に傾斜する第2係合部とを有する鋸刃状をなす、自重利用型立ち上がり補助具に適用可能な下降調整部品であって、一対の縦部材間から露出する平面部を有し、一対の縦部材に沿って上下方向に摺動可能なベース部材を有し、さらに、横部材に上方から連結される、横部材とベース部材とを連結する連結部材が設けられ、ベース部材には、一対の係止部材それぞれにおいて、一方の係止部材の上端の他方の係止部材に向かう傾きを押し戻す傾き押し戻し手段と、傾き押し戻し手段の押し戻し機能のオンオフを行う切り替え手段と、傾き押し戻し手段の押し戻しを制限するストッパーと、が設けられ、ストッパーは、横部材の前後方向の傾斜の際の上側の一方の係止部材の下端が、最突出縁35から他方の係止部材寄りの離間位置となる位置で、傾き押し戻し手段の押し戻しを止めるように、ベース部材上で位置決めされ、切り替え手段をオンとすることにより、横部材の前後方向の傾斜により、第1付勢手段の付勢力に抗して、一対の係止部材各々の上端が対応する凸部から離間する向きに傾斜する際、傾き押し戻し手段は、その係止部材の下端が対応する第1係合部から離間する位置となるように、上端を逆向きに押し出すように構成され、それにより、着座部の下降の際は、切り替え手段をオンとすることにより、横部材の前後方向の傾斜の際の下側の一方の係止部材の下端が、対応する凸部の第2係合部に沿って下方に移動し最引っ込み部に達したとき、他方の係止部材の下端が、対応する凸部の第1係合部の最引っ込み部から一方の係止部材寄りの離間状態となる位置となるようにし、着座部に着座する利用者が、着座部に対する体重のかけ方を前後方向に繰り返し移動させることにより、係止部材の下端が係止する凸部を、一対の係止部材間で交互に変えることを通じて、着座部を複数の凸部に沿って一段ずつ下降可能である、構成としている。
【0009】
以上の構成を有する下降調整部品によれば、一対の係止部材それぞれが対応する凸部に対して、付勢手段により常時押し付けられた状態でも、利用者が着座部における前後の体重のかけ方を交互に繰り返すことにより、上昇する際は、第2係合部の傾斜面に沿って上昇し、第1係合部の水平面の奥に押し付けられながら上昇するところ、下降する際は、第1係合部の水平面の奥から他方の係止部材に向かって引き出されて、第2係合部の傾斜面に沿って下降する必要があることから、一段ずつ凸部を下降するのは困難であるところ、下降調整部品により、このような一段ずつ凸部の下降、特に円滑な下降が可能となる。
これにより、たとえば、入浴時、浴槽につかる際、着座しやすいように、着座部を湯面の直下位置あたりに位置決めした状態で、入浴者が着座部に着座し、下降調整部品により、このような一段ずつ凸部の下降、特に円滑な下降をすることにより、介護者による介護なしに、胸下まで湯舟につかることが可能となり、浴槽から出る際は、逆に、一段ずつ凸部の上昇をして、浴槽から出ることが可能となる。
【0010】
このように、一方の係止部材の係止位置に基づいて、他方の係止部材の係止位置を、係止解除位置、かくして、上方の凸部の係止位置に移動し、利用者が上体の前後の動きを繰り返すことにより、利用者のリハビリも兼ねつつ、横部材、つまり横部材が支持する着座部は、前部および後部を交互に下方に移動させ、以て着座部を下方に移動させ、利用者の下降および立ち上がりが可能を補助することが可能となる。
【0011】
しかしながら、上記下降調整部品によれば、利用者の体重を活用することにより、下降および立ち上がりを補助することが可能であるが、利用者の体重を活用するためには、利用者は、着座部上で体重を前部および後部にかけるために、利用者の上半身を前後に繰り返し傾斜させる必要があり、そのために、利用者の腹筋および背筋を働かせる必要があり、高齢者にとっては、負担となるものであり、一回の体重移動、たとえば、着座の前部に体重をかけることにより、着座部を支持する横部材と、凸部を設けた縦部材とを連結する係止部材の凸部に対する係止位置を上に隣接する凸部に移動し、その際、上下方向に隣接する凸部の間隔を狭めることにより、凸部を1段上がるまたは下がるのに必要な体の負担は軽減可能であるとしても、上半身の前後への傾斜運動の繰り返し回数がその分増大することになり、高齢者への体の負担としては軽減とはなりにくい。
【文献】特開2014-8341
【文献】特開2009-297461
【文献】特開2021-62123
【文献】特許第7030405号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、着座部を下降または上昇させる際、利用者、特に高齢者への負担を軽減しつつ、自重を利用して、着座感を損なうことなく、円滑な下降および立ち上がりが可能な下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具は、
それぞれ、上下方向に整列する複数の凸部を側部に有する一対の縦部材であって、一方の複数の凸部と、他方の複数の凸部とを横方向に所定間隔を隔てて対向配置した一対の縦部材と、
利用者が着座する着座部を支持する横部材であって、横部材の中心が該一対の縦部材間に位置するように該一対の縦部材間を跨ぐように前後方向に延びる横部材と、
それぞれ、該横部材の中心に関して互いに反対側に配置され、該横部材に対して上下方向に交差するように設けられ、横部材を縦部材に対して支持する、一対の係止部材と、
該一対の係止部材それぞれを対応する縦部材の複数の凹部各々に向かって付勢する第1付勢手段と、を有し、
該一対の係止部材それぞれは、対応する縦部材の複数の凹部各々に対して、利用者の自重を受ける係止位置と、係止解除位置との間で、横部材に対する連結点を中心に、揺動可能に設けられ、
凸部は、最引っ込み部から最突出縁まで延びる第1係合部と、最引っ込み部から最突出縁35まで上方に傾斜する第2係合部とを有する鋸刃状をなす、自重利用型立ち上がり補助具であって、
一対の縦部材間から露出する平面部を有し、一対の縦部材に沿って上下方向に摺動可能なベース部材を有し、
さらに、横部材に上方から連結される、横部材とベース部材とを連結する連結部材が設けられ、
ベース部材には、
一対の係止部材それぞれにおいて、一方の係止部材の上端の他方の係止部材に向かう傾きを押し戻す傾き押し戻し手段と、
傾き押し戻し手段の押し戻し機能のオンオフを行う切り替え手段と、
傾き押し戻し手段の押し戻しを制限するストッパーと、が設けられ、
ストッパーは、横部材の前後方向の傾斜の際の上側の一方の係止部材の下端が、最突出縁35から他方の係止部材寄りの離間位置となる位置で、傾き押し戻し手段の押し戻しを止めるように、ベース部材上で位置決めされ、
切り替え手段をオンとすることにより、横部材の前後方向の傾斜により、第1付勢手段の付勢力に抗して、一対の係止部材各々の上端が対応する凸部から離間する向きに傾斜する際、傾き押し戻し手段は、その係止部材の下端が対応する第1係合部から離間する位置となるように、上端を逆向きに押し出すように構成される下降調整部品をさらに有し、
それにより、着座部の下降の際は、切り替え手段をオンとすることにより、着座部に着座する利用者が、着座部に対する体重のかけ方を前後方向に繰り返し移動させることにより、係止部材の下端が係止する凸部を、一対の係止部材間で交互に変えることを通じて、係止部材の下端が第2係合部に案内されながら、第1係合部まで凸部を一段づつ円滑に下降し、
着座部の上昇の際は、切り替え手段をオフとすることにより、着座部に着座する利用者が、着座部に対する体重のかけ方を着座部保持部の延び方向に繰り返し移動させることにより、係止部材の下端が係止する凸部を、一対の係止部材間で交互に変えることを通じて、着座部の昇降を可能とされ、
前記横部材は、上下面が左右方向に間隔を隔てた対向した一対の板材で構成され、各上下面の対向内面により構成されるスペース内に、前記一対の縦部材および前記係止部材が収容され、二組の一対の板材が、前記上下面に直交する向きに所定間隔を隔てて配置され、前記着座部が、二組の一対の板材間に跨って配置され、
前記着座部の前後方向の中央部が前記横部材の上面に対して支持される中央支持部と、前記着座部の前後方向の前後端部それぞれが横部材の上面に向かって延びる前端荷重伝達部材および後端荷重伝達部材とが設けられ、
前記着座部が前記中央支持部を介して前記横部材の上面に対して水平に保持される場合、前記前端荷重伝達部材および前記後端荷重伝達部材それぞれの下端は、前記横部材の上面に対して、所定間隔を隔て、
それにより、前記着座部に着座する利用者が前記着座部の前部に体重をかけることにより、前記着座部は前記前端荷重伝達部材が前記横部材の上面に当たるまで、前記中央支持部を始点として、前記着座部の前記前部が下方に傾斜し、一方、前記着座部に着座する利用者が前記着座部の後部に体重をかけることにより、前記着座部は前記後端荷重伝達部材が前記横部材の上面に当たるまで、前記中央支持部を始点として、前記着座部の前記後部が下方に傾斜する、前記着座部の傾斜により、前記横部材の傾斜が助長される、構成としている。
【0014】
以上の構成を有する下降調整部品を具備する自重利用型立ち上がり補助具によれば、一対の係止部材それぞれが対応する凸部に対して、付勢手段により常時押し付けられた状態でも、利用者が着座部における前後の体重のかけ方を交互に繰り返すことにより、上昇する際は、第2係合部の傾斜面に沿って上昇し、第1係合部の水平面の奥に押し付けられながら上昇するところ、下降する際は、第1係合部の水平面の奥から他方の係止部材に向かって引き出されて、第2係合部の傾斜面に沿って下降する必要があることから、一段ずつ凸部を下降するのは困難であるところ、下降調整部品により、このような一段ずつ凸部の下降、特に円滑な下降が可能となる。
これにより、たとえば、入浴時、浴槽につかる際、着座しやすいように、着座部を湯面の直下位置あたりに位置決めした状態で、入浴者が着座部に着座し、下降調整部品により、このような一段ずつ凸部の下降、特に円滑な下降をすることにより、介護者による介護なしに、胸下まで湯舟につかることが可能となり、浴槽から出る際は、逆に、一段ずつ凸部の上昇をして、浴槽から出ることが可能となる。
その際、横部材が係止部材を介して縦部材に支持され、係止部材が弾性手段を介して縦部材の凸部に係合し、利用者の着座部に対する体重のかけ方を前後方向に繰り返すことにより、横部材の傾斜を介して、係止部材が係合する凸部を上方に移動させることにより、着座部が下降および上昇するところ、着座部の前後方向の中央部が横部材の上面に対して支持される中央支持部と、着座部の前後方向の前後端部それぞれが横部材の上面に向かって延びる前端荷重伝達部材および後端荷重伝達部材とが設けられ、着座部が中央支持部を介して横部材の上面に対して水平に保持される場合、前端荷重伝達部材および後端荷重伝達部材それぞれの下端は、横部材の上面に対して、所定間隔を隔てることから、着座部に着座する利用者が着座部の前部に体重をかけることにより、着座部は前端荷重伝達部材が横部材の上面に当たるまで、中央支持部を始点として、着座部の前部が下方に傾斜し、一方、着座部に着座する利用者が着座部の後部に体重をかけることにより、着座部は後端荷重伝達部材が横部材の上面に当たるまで、中央支持部を始点として、着座部の後部が下方に傾斜し、総じて、着座部の傾斜により、横部材の傾斜が助長される結果、利用者、特に高齢者への負担を軽減しつつ、自重を利用して、着座状態の利用者の下降および立ち上がりを補助することが可能となる。
【0015】
また、前記着座部の前後端それぞれは、前記横部材の前後端に対し、前方および後方に張り出し、前記前端荷重伝達部材は、前記着座部の前端から前記横部材の前端に向かって、前記着座部の後方斜め下方に延び、前記後端荷重伝達部材は、前記着座部の後端から前記横部材の後端に向かって、前記着座部の前方斜め下方に延びるのがよい。
さらに、前記一対の板材の上部間に跨って、面材が設けられ、
前記中央支持部は、前記着座部の下面から前記面材の上面に向かって突起する突起部を有し、
前記突起部は、前記面材の上面に当たるように曲面状に形成され、
前記面材の前記上面には、前記突起部に対して前方および後方それぞれに所定間隔を隔てて、前記着座部の前後方向移動制限用ストッパーが設けられるのがよい。
さらにまた、前記一対の板材の上部間に跨って、面材が設けられ、
前記中央支持部は、前記面材の上面から前記着座部の下面に向かって突起する突起部を有し、
前記突起部は、前記着座部の下面に当たるように曲面状に形成され、
前記着座部の下面には、前記突起部に対して前方および後方それぞれに所定間隔を隔てて、前記着座部の前後方向移動制限用ストッパーが設けられるのがよい。
【0016】
加えて、前記一対の板材の上部間に跨って、面材が設けられ、
前記中央支持部は、前記面材の上面から前記着座部の下面に向かって突起する第1突起部と、前記着座部の下面から前記面材の上面に向かって突起する第2突起部とを有し、
前記第1突起部と、前記第2突起部とは、前後方向に直交する向きに延びる回転枢軸を介して、ピン結合されるのがよい。
また、前記一対の板材の上部間に跨って、面材が設けられ、
前記中央支持部は、前記着座部の下面から前記面材の上面に向かって突起する突起部と、前記面材の上面に設けられた、前記突起部を受ける突起受け部とを有し、
前記突起部は、その下端部が、前記突起受け部の上面に当たるように、下に凸の第1曲率半径の円弧状に形成され、
前記突起受け部の上面は、第1曲率半径より大きい第2曲率半径の、上に凸の円弧状に形成され、
前記突起受け部の前記上面の前端および後端それぞれには、前記突起部に対して前方および後方それぞれに所定間隔を隔てて、前記着座部の前後方向移動制限用ストッパー部が形成されるのがよい。
【0017】
さらに、前記突起部は、前記着座部の左右方向全体に亘って延び、前記着座部の前後方向中央位置に設けられ、前記突起部受け部は、前記着座部の左右方向全体に亘って延び、前記横部材の前後方向中央位置に設けられるのがよい。
さらにまた、前記中央支持部は、利用者の自重による繰り返し負荷に対して耐久性を確保可能なように、中実状の金属製、樹脂製、木製であるのがよい。
加えて、前記着座部は、後部に背もたれ部、前部に足載せ部を有し、該足載せ部は、前部から斜め下方に延びる部材の下端部に設けられるのがよい。
また、前記中央支持部は、前記面材の前記上面と脱着可能とされ、前記面材の前記上面には、汎用的な着座部が載置可能であるのがよい。
さらに、前記前端荷重伝達部材および前記後端荷重伝達部材それぞれの下端と、前記横部材の上面との前記所定間隔は、上下方向に隣接する前記凸部の間隔に応じて、設定されるのがよい。
【0018】
さらにまた、前記前端荷重伝達部材の前記後方斜め下方角度、および前記後端荷重伝達部材の前記前方斜め下方角度が調整可能なように、前記前端荷重伝達部材および前記後端荷重伝達部材それぞれは、前記着座部に対して連結されるのがよい。
加えて、一対の縦部材それぞれは、前後方向に沿う正面部と、左右方向に沿う側面部とに構成されるL字状横断面の部材であり、正面部の側縁同士が、左右方向に所定間隔を隔てて固定配置され、側縁に形成される複数の凸部同士が、左右方向にオフセット配置され、
下降調整部品は、平面部が対向する平板状をなし、一対の縦部材に対して、一対の係止部材および横部材を組付けた状態で、一対の縦部材に対して斜めに左右方向所定間隔に挿入組付け可能であるのがよい。
また、前記傾き押し戻し手段は、平面部の各々において、係止部材の上端より上方で、ベース部材に設けられ、係止部材への係合位置と、非係合位置との間で揺動可能な第1揺動部材と、
該第1揺動部材を係合位置に向かって付勢する第2付勢手段と、を有するのがよい。
【0019】
さらに、第2付勢手段は、係止部材の対応する凸部と反対側の平面部の部分において、上下方向に延在し、上端が固定された片持ち梁状の棒バネであり、下端部が第1揺動部材に係合可能であるのがよい。
さらにまた、切り替え手段は、平面部の各々において、第1付勢手段の付勢力に抗して、第1揺動部材を非係合位置に移動させる第1揺動部材移動部材を有し、
さらに、該第1揺動部材移動部材の上端部に係止して、第1揺動部材を非係合位置に保持する非係合位置保持手段と、
該非係合位置保持手段による該第1揺動部材移動部材の上端部への係止を解除する係止解除手段と、
を有するのがよい。
【0020】
加えて、平面部の各々において、ストッパーは、対応する係止部材の上方に固定配置され、
第1揺動部材には、ストッパーに当たるストッパー当てが対応する係止部材側の縁部に設けられ、
該ストッパー当ては、ストッパーに当たる位置の下方に、対応する係止部材の上下方向移動範囲をカバーする上下方向長さを有するのがよい。
また、第1揺動部材移動手段は、ベース部材の平面部に中間部が枢着され、該中間部を中心に揺動可能な上下方向に延在する第2揺動部材であり、
該第2揺動部材の上端部は、非係合位置保持手段により係止可能であり、該第2揺動部材の下端部は、第2付勢手段により、係止位置に向かって付勢されるのがよい。
さらに、非係合位置保持手段は、ベース部材の上面に設けられる上下回転軸を中心として、横方向に揺動可能な第1手動レバーであり、
該第1手動レバーは、各端部が、対応する第2揺動部材の上端に係合するように設けられ、
係止解除手段は、上下方向に揺動可能な第2手動レバーであり、該第2手動レバーは、下端縁に、第1手動レバーが係止可能な凹部を有し、
該第1手動レバーは、第2揺動部材により、第2付勢手段の付勢力を通じて、係止解除位置に向かって付勢され、
第2手動レバーを上方に揺動することにより、第1手動レバーは、係止解除位置に移動し、第1手動レバーを凹部に係止させるまで揺動させることにより、第1手動レバーは、係止位置に保持されるのがよい。
【0021】
さらにまた、利用者が自重を利用して着座部を傾斜することにより、傾斜下方側の一方の係止部材が、傾斜下方側の一方の縦部材の対応する凸部の最引っ込み部に係止されつつ、傾斜上方側の他方の係止部材が傾斜上方側の他方の縦部材の対応する凸部の第2係合部に案内されながら上方に移動する際、横部材の傾斜下方側への横ずれにより、一方の係止部材の係止離脱を防止する、着座部の落下防止治具が、横部材に設けられるのがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る下降調整部品付自重利用型立ち上がり補助具の第1実施形態を図面を参照しながら、自重利用型立ち上がり補助具自体を利用者の着座具として活用する場合を例に、以下に詳細に説明する。
図1ないし
図6に示すように、自重利用型立ち上がり補助具10は、利用者が着座する着座部12と、着座部12を支持する着座部支持部14とから構成され、着座部支持部14は、直立体重受け部20と、着座部保持部22とから概略構成され、利用者が、着座部12に着座して上体を前後に繰り返し傾斜することにより、着座部12を上方に移動して、前部から立ち上がるようにしている。
着座部12は、通常の椅子の着座面と同様であり、矩形状着座面で、クッション性を有する、たとえば、中実のウレタン状であり、その上面が、臀部が収まり可能な中央部が窪んだ湾曲状である。これにより、着座部12に着座状態の利用者が上体を前後に傾斜させる際、着座部12の上面で前後へのずれを引き起こさないようにしている。
【0023】
着座部支持部14は、それぞれ、上下面46が間隔を隔てて対向した一対の横部材15を有し、着座部12が跨るように、一対の横部材15の上面に51、53で着座部の底部を支持する。なお、着座部12は、着座部支持部14に対して着脱自在が好ましい。
着座部支持部14は、上下面が間隔を隔てた対向した一対の板材で構成され、各上下面の対向内面により構成されるスペース21内に、直立体重受け部および係止部材32が収容され、二組の一対の板材が、上下面に直交する向きに所定間隔を隔てて配置され、着座部12が、二組の一対の板材間に跨って配置される。
着座部保持部22は、それぞれ、一対の直立体重受け部20間にかけ渡され、互いに連結され一体に揺動可能であり、一方の横部材15は、一方の直立体重受け部20に支持され、他方の横部材15は、他方の直立体重受け部20に支持され、横方向(前後方向)に移動可能に、一対の直立体重受け部20により二点支持されている。
着座部保持部22は、一対の直立体重受け部20に支持され、上下方向に揺動可能な横部材15を構成する。
後に詳細に説明するように、着座部12に着座する利用者が、着座部12に対する体重のかけ方を着座部保持部22の延び方向(前後方向)に移動させることにより、係止部材32の下端を係止する凸部18を、一対の係止部材32間で交互に変えることを通じて、着座部12の昇降を可能とする。
横部材15の傾斜角度は、5°ないし30°に設定されるのが好ましい。5°より小さいと、着座部12を同じ高さに亘って上げるのに、利用者の上体の前後方向の傾斜運動の繰り返し数が多くなりすぎ、一方、30°より大きいと、このような繰り返し数は低減可能であるが、一回の利用者の傾斜運動がきつくなるからである。
着座部支持部14は、例えば、床面に対して安定保持可能なコの字断面のフレーム状スタンド42を有し、対向するフレーム部44それぞれに、一対の直立体重受け部20の一つが固定支持され、対向配置される。フレーム部44は、たとえば、パイプ状の一体物がよい。
【0024】
図3に示すように、直立体重受け部20は、一対の縦部材17により構成され、側部16同士を、所定間隔Dを隔てて対向配置される。
より詳細には、所定間隔Dは、横部材15の必要な傾斜角度を制限する観点から、尻幅20センチを超えないのが好ましい。
縦部材17は、前後方向に沿う正面部68と、左右方向に沿う側面部70とに構成されるL字状横断面の部材であり、一対の縦部材17の上下それぞれの間にスペーサ85をかまして、正面部68の側縁同士が、左右方向に所定間隔を隔てて固定配置され、側縁に形成される複数の凸部18同士が、左右方向にオフセット配置される。
各側部16には、互いに高さ方向に所定間隔hを隔てた複数の凸部18が設けられている。
図4に示すように、凸部18は、最引っ込み部39から最突出縁3535まで延びる第1係合部34と、最引っ込み部39から最突出縁3535まで上方に傾斜する第2係合部38とを有する鋸刃状をなし、係止部材32を介して、利用者の自重を受ける第1係合部34に対して、その下方の第2係合部38まわりの張り出し部が補強部を構成するとともに、第2係合部38が係止部材32の下端の案内面を形成する一方、最引っ込み部39が、係止部材32に対する係止位置となる。
利用者が、自重を利用して着座部保持部22を傾斜させることにより、係止部材32の下端部30が係止されている凸部18から係止解除されるようにしてある。
第1係合部34は、最引っ込み部39から最突出縁3535まで、第2係合部38の上方傾斜角度Θ4より小さい傾斜角度Θ3で、下方に傾斜する。
たとえば、Θ4は、係止部材32の下端部30が第2係合部に案内される観点から、45° ないし75°、Θ3は、係止部材32の下端部30が第1係合部に係合する観点から、5° ないし30°が好ましい。
変形例として、凸部18は、係止部材32の第2係合部38に沿う上方への移動により、引っ込み可能に可動である一方、係止部材32の第1係合部34に対する下方への移動により、固定保持されるのでもよい。
【0025】
高さ方向に隣接する凸部18の間隔hは、利用者が上体を前後に繰り返し傾斜させる際の体力への負担を考慮し、0.5センチないし2センチ、側部16同士の間隔Dは、2センチないし5センチであるのが好ましい。
変形例として、
図7に示すように、対応する複数の凸部18は、高さが互い違いに配置されているが、そろっていてもよく、一方の側の凸部18の間隔hと、他方の側の凸部18の間隔hとが異なっていてもよく、互い違いの高さとの組み合わせでもよい。
これにより、後に説明するように、利用者の状況により、たとえば、高齢者で体力が弱っている場合には、凸部18の間隔hは、1センチで互い違いとして、凸部18を一段づつ少しづつ上がっていき、たとえば、高齢者で体力がある場合には、凸部18の間隔hは、2センチでそろえて、凸部18を数段飛び前提に、上がっていくのでもよい。
変形例として、凸部18は、横部材15の上方への移動により引っ込み可能に可動であり、横部材15の下方の移動により固定状態となるよう構成でもよい。
Rの範囲は、着座状態から立ち上がり状態までをカバーする範囲であり、通常、20センチないし40センチであり、着座具として用いる場合、最低レベル(着座レベル)は、30センチないし40センチである。
【0026】
次に、着座部12を横部材200に対して揺動可能に支持する着座部用支持部400について、説明する。
図1および
図14に示すように、着座部12は、後部に背もたれ部102、前部に足載せ部104を有し、足載せ部104は、前部から斜め下方に延びる部材106の下端部に設けられる。これから説明する着座部用支持部400は、利用者が足載せ部104に足を載せ、着座部12の前部に体重をかけ、背もたれ部102に背を当てて、着座部12の後部に体重をかけると便利である。
図8に示すように、着座部用支持部400は、着座部12の前後方向の中央部が面材405の上面406に対して支持される中央支持部401を有する。中央支持部401は、利用者の自重による繰り返し負荷に対して耐久性を確保可能なように、中実状の金属製、樹脂製、木製である。
【0027】
より詳細には、横部材200を構成する一対の板材の上部間に跨って、面材405が設けられ、中央支持部401は、着座部12の下面403から面材405の上面406に向かって突起する突起部408を有し、突起部408の下面412は、面材405の上面406に当たるように、下方に凸の曲面状に形成され、面材405の上面406には、突起部408に対して前方および後方それぞれに所定間隔d2を隔てて、着座部12の前後方向移動制限用ストッパー410が設けられる。所定間隔d2は、利用者が着座部12に着座しているときの安定的な着座感の観点から決定すればよい。前後方向移動制限用ストッパー410は、物理的な障害として突起部408の前後方向移動を制限すればよく、中空状、または中実状の金属製、樹脂製、木製でよい。所定間隔d2は、たとえば、数ミリ以内がよい。
さらに、着座部用支持部400には、着座部12の前後方向の前後端部450、452それぞれから面材405の上面406に向かって延びる前端荷重伝達部材402および後端荷重伝達部材404とが設けられる。
【0028】
着座部12が中央支持部401を介して面材405の上面406に対して水平に保持される場合、前端荷重伝達部材402および後端荷重伝達部材404それぞれの下端454、456は、面材405の上面406に対して、所定間隔d1を隔て、それにより、着座部12に着座する利用者が着座部12の前部に体重をかけることにより、着座部12は前端荷重伝達部材402が面材405の上面406に当たるまで、中央支持部401を始点として、着座部12の前部が下方に傾斜し、一方、着座部12に着座する利用者が着座部12の後部に体重をかけることにより、着座部12は後端荷重伝達部材404が面材405の上面406に当たるまで、中央支持部401を始点として、着座部12の後部が下方に傾斜する、着座部12の傾斜により、横部材200の傾斜が助長されるようにしている。所定間隔d1は、このような観点から定めるのがよく、たとえば、数ミリないし数センチの範囲がよい。
【0029】
なお、後述のように、自重利用型立ち上がり補助具10として機能させるためには、利用者は着座部12に着座している間、横部材200は、縦部材300に設けた、前後方向に間隔を隔てた一対の複数の凸部18に対して、横部材200の前端が支持される前側の凸部18の高さと、横部材200の後端が支持される後側の凸部18の高さとは、異なっている、すなわち、着座部12は、前後のいずれかに傾斜しており、前部が下方に傾斜する際は、足載部104に足を載せ、後部が下方に傾斜する際は、背もたれ部102にもたれれば、着座部12は、前側が下方に傾斜する場合には、中央支持部401および前端荷重伝達部材402による2点支持、後側が下方に傾斜する場合には、中央支持部401および後端荷重伝達部材404による2点支持となるため、いずれにせよ、着座12が傾斜していることに伴う不安定感を軽減可能である。
【0030】
着座部用支持部400を構成する中央支持部401、前端荷重伝達部材402および後端荷重伝達部材404はいずれも、必ずしも着座部12の左右方向全体に亘って延びる必要はなく、たとえば、着座部12の左右端側それぞれに設け、それに応じて、突起部408、突起受け部416、および前後方向移動制限用ストッパー410も対応位置に設ければよい。
【0031】
着座部12の前後端450、452それぞれには、横部材200の前後端458、460それぞれに対して張り出し部(張り出し長さl)を設け、それに伴い、前端荷重伝達部材402および後端荷重伝達部材404それぞれが下方に傾斜するように設けているが、それに限定されることなく、張り出し部を設けずに、前端荷重伝達部材402および後端荷重伝達部材404それぞれの下端454、456の面材405の上面406に対する間隔d1が確保可能である限り、それに伴い、前端荷重伝達部材402および後端荷重伝達部材404それぞれが鉛直下方に延びるのでもよい。
あるいは、前端荷重伝達部材402および後端荷重伝達部材404の一方のみを張り出し、下方に傾斜させ、他方は、鉛直下方に延びるのでもよい。
【0032】
いずれにせよ、自重利用型立ち上がり補助具10として利用する際、横部材200が支持される左右の凸部18において、上下方向に隣接する凸部18の間隔以上に、横部材200を前部または後部のいずれかを傾斜させる必要があるところ、張り出し長さlをなるべく長くする一方、下方傾斜角度φを小さくする、および/または前端荷重伝達部材402および後端荷重伝達部材404それぞれの下端454、456の面材405の上面406に対する間隔d1を調整することにより、利用者の自重利用による着座部12の傾斜により、横部材200の傾斜を助長し、以て、利用者、特に高齢者の体への負担を軽減することが可能である。
【0033】
着座部12の前後端450、452それぞれは、横部材200の前後端458、460に対し、所定長さlに亘って前方および後方に張り出し、前端荷重伝達部材402は、着座部12の前端から横部材200の前端に向かって、着座部12の後方斜め下方に延び、後端荷重伝達部材404は、着座部12の後端から横部材200の後端に向かって、着座部12の前方斜め下方に延びる。所定長さlは、後述の角度φとの関係において、着座部12の前端450を下方に傾斜させることにより、前端荷重伝達部材402の下端454が面材405の前端458に当たる、および着座部12の後端452を下方に傾斜させることにより、後荷重伝達部材404の下端456が面材405の前端460に当たる観点から定めればよい。所定長さlは、たとえば、数センチないし十数センチであるのがよい。
突起部408は、着座部12の左右方向全体に亘って延び、着座部12の前後方向中央位置に設けられる。
【0034】
中央支持部401は、面材405の上面406と脱着可能とされ、面材405の上面406には、汎用的な着座部12が載置可能であるのがよい。これにより、比較的体力に余裕のある高齢者は、中央支持部401のない通常の着座部12を利用して、立ち上がり補助として利用すればよく、体力に余裕のない高齢者は、中央支持部401を利用しつつ、立ち上がり補助として利用すればよい。
前端荷重伝達部材402および後端荷重伝達部材404それぞれの下端454、456と、面材405の上面406との所定間隔d1は、上下方向に隣接する凸部18の間隔に応じて、設定されるのがよい。これにより、着座部用支持部400を立ち上がり補助に有効に活用することが可能となる。
この場合、前端荷重伝達部材402の後方斜め下方角度φ、および後端荷重伝達部材404の前方斜め下方角度φが調整可能なように、前端荷重伝達部材402および後端荷重伝達部材404それぞれは、着座部12と別体として、着座部12に対して連結されるのがよい。下方角度φは、たとえば、5°ないし30°の範囲であるのがよい。
【0035】
以上の構成によれば、着座部12に着座する利用者が、たとえば、上半身を前方に傾斜させることにより、体重が着座部12の前部に負荷され、着座部12は中央支持部401を始点として、前部が下方に、後部が上方に傾斜し、それにより、前端荷重伝達部材402の下端454が、面材405の前端458に当たり、面材405、すなわち、横部材200の前端が下方に押されることにより、利用者の上半身の前方への少しの傾斜により、横部材200の前端が有効に下方に傾斜するようにしている。
【0036】
変形例として、
図9に示すように、
図8とは逆に、一対の板材の上部間に跨って、面材405が設けられ、中央支持部401は、面材405の上面406から着座部12の下面403に向かって突起する突起部408を有し、
突起部408は、着座部12の下面403に当たるように上に凸の曲面状に形成され、
着座部12の下面403には、突起部408に対して前方および後方それぞれに所定間隔を隔てて、着座部12の前後方向移動制限用ストッパー410が設けられるのでもよい。
【0037】
変形例として、
図10に示すように、一対の板材の上部間に跨って、面材405が設けられ、
中央支持部401は、面材405の上面406から着座部12の下面403に向かって突起する第1突起部408と、着座部12の下面403から面材405の上面406に向かって突起する第2突起部408とを有し、
第1突起部408と、第2突起部408とは、前後方向に直交する向きに延びる回転枢軸414を介して、ピン結合されるのでもよい。これにより、着座部12の前後方向移動制限用ストッパー410が不要となる。
【0038】
変形例として、
図11に示すように、一対の板材の上部間に跨って、面材405が設けられ、
中央支持部401は、着座部12の下面403から面材405の上面406に向かって突起する突起部408と、面材405の上面406に設けられた、突起部408を受ける突起受け部416とを有し、
突起部408は、その下端部が、突起受け部416の上面418に当たるように、下に凸の第1曲率半径の円弧状に形成され、
突起受け部416の上面418は、第1曲率半径より大きい第2曲率半径の、上に凸の円弧状に形成され、
突起受け部416の上面418の前端および後端それぞれには、突起部408に対して前方および後方それぞれに所定間隔を隔てて、着座部12の前後方向移動制限用ストッパー410が形成されるのでもよい。突起部受け部416は、着座部12の左右方向全体に亘って延び、横部材200の前後方向中央位置に設けられる。
【0039】
図5および
図6に示すように、上端部26が第1付勢手段28を介して着座部保持部22に連結され、下端部30が複数の凸部18のいずれかに係止され、横部材15に対する連結点43を中心として、揺動可能に支持される係止部材32が設けられる。
係止部材32は、縦部材17に平行に配置される上板部60と、上板部60の下縁62から縦部材17に交差する向きに延びる底板部64と有する縦断面がL字状をなし、上板部60の上部が、第1付勢手段に連結され、底板部64の下面が、対応する凸部18への利用者の自重伝達部を構成するとともに、底板部64の上板部60の下縁62から延びる一方の縁部66が、対応する凸部18の第2係合部38に対する係合部を構成する。
左右それぞれに設けられる縦部材17に対して、内方(着座部12側)と外方とにそれぞれ、係止部材32A、32Bが設けられるところ、係止部材32Aの対応する横部材15に対する連結点43Aと、係止部材32Bの対応する横部材15に対する連結点43Bとは、横部材15の中心Cに関して、距離dを隔てて、対称に配置されており、距離dは、小さいほど好ましい。
【0040】
利用者が上体を前方に傾斜させることにより、着座部12の前部を下方に傾斜させる場合、一対の係止部材32のうち、前部側の一方の係止部材32の下端面が対応する凸部18の第1係合部34に対して支持された状態で横部材15と一体で移動する一方、後部側の他方の係止部材32が対応する連結点を中心として揺動しつつ対応する凸部18の第2係合部38に案内されながら上方に移動し、ついには、凸部18の第1係合部34に係合するところ、凸部18の第1係合部34の傾斜角度と、係止部材32の下端面と係止部材32の横部材15に対する連結点との距離とを調整することにより、両係止部材32の下端面がともに、対応する第1係合部34に面接触して、利用者の体重を安定的に面支持することが可能となり、凸部18を備えた縦部材17の材質を硬質樹脂製等軽量化が達成できる。これにより、持ち運びに便利であり、腐食性が低いことから、入浴の際、浴槽内に配置して活用するのに適する。軽量アルミ製でもよい。金属製であれば、凸部18は切削加工により形成すればよく、樹脂製であれば、凸部18は、成形加工により形成すればよい。なお、後に説明する落下防止治具40が付設されることから、計4つの係止部材それぞれが、対応する凸部18の第1係合部34に対して、面支持される必要はなく、点支持に近い形態でもよい。
【0041】
係止部材32が係合する一方の直立体重受け部20に対して、他方の直立体重受け部20に係止するように、着座部支持部14に対して、着座部12の落下防止治具40が設けられる。
より詳細には、落下防止治具40の側面81には、落下防止治具40が設けられる側と反対側の係止部材32が対応する凸部18の引っ込み部に係止され、そこを支点として、落下防止治具40が設けられる側の係止部材32が上方の凸部18に上がる際、側面に当たりながら、横方向への移動を制限しつつ、横部材15の傾斜を可能とするように、湾曲部83が形成される。湾曲部83の形状は、このような観点から定めればよい。
湾曲板は、同じ側の係止部材32が係止位置を支点として、他の側の係止部材32が上がる際、係止位置からずれて落下するのを防止し、反対方向への移動を促進する。
【0042】
利用者が自重を利用して着座部12を傾斜することにより、傾斜下方側の一方の係止部材32が、傾斜下方側の一方の縦部材17の対応する凸部18の最引っ込み部39に係止されつつ、傾斜上方側の他方の係止部材32が傾斜上方側の他方の縦部材17の対応する凸部18の第2係合部38に案内されながら上方に移動する際、横部材15の傾斜下方側への横ずれにより、他方の係止部材32の係止離脱を防止する、着座部12の落下防止治具が設けられる。
【0043】
第1付勢手段28は、係止部材32の下端部30を凸部18に向かって常時付勢するように構成される。第1付勢手段は、通常のコイルばねでよい。
連結部25と連結点43との距離l2 および下端部30と連結点43との距離l1 は、係止部材32の凸部18に対する付勢力にてこの原理を利用する観点、および真上に来るのに横部材15の横移動距離が短くて済む観点から、l2をl1より大きく設定するのが好ましい。
l1とl2とにより、てこの原理により、小さい付勢力を利用して、L字端の対応する凸部18への押し付け力を拡大可能である。
この意味で、第1付勢手段28は、1本または複数の輪ゴムでもよく、係止部材32と着座部保持部22との間にワンタッチで交換可能にかけ渡すのでもよい。複数の輪ゴムであれば、1本切れても、安全である。
【0044】
着座部12と、着座部支持部14と、一対の直立体重受け部20とは、利用者の体重を支持可能な硬質樹脂である。これにより、安全かつ持ち運び便利である。
l1と第1係合部34の傾斜角度Θ3の調整により、係止部材が対応する凹凸部18の第1係合部に対して支持される際、安定的に面支持可能である。
【0045】
最大傾斜角度調整手段41が、横方向部材の縦部材17の両脇に、上面に所定間隔Wを隔てて配置されている。より詳細には、上面に配置された矩形板材であり、矩形板材の縦部材17寄りの縁との縦部材17との所定間隔Wは、調整可能とされ、それにより、横部材15が傾斜する際、縦部材17の側部に当たり、これ以上、傾斜できないように制限する。傾斜角度調整手段は、横部材15の最大傾斜角度を調整するのであり、たとえば、所定間隔Wを凸部18の2段までに傾斜可能なように設定した場合、凸部18を1段ずつ傾斜させるように用いる場合には、傾斜角度調整手段は、機能しない。最大傾斜角度調整手段41は、所定間隔W調整可能としてもよいし、矩形板材の長さが異なるものを数種用意しておいてもよい。
【0046】
以上より、利用者が上体を前後に繰り返し傾斜させることにより、着座状態から立ち上がり直前状態まで、着座部12を上昇させる際、着座状態および立ち上がり直前状態においては、着座部12は、横部材15を介して縦部材17に対して安定的に4点支持され、着座部12を上昇させている最中においては、着座部12は、落下防止治具40および最大傾斜角度調整手段41により、着座部12の落下の恐れなく、横部材15を介して縦部材17に対して安定的に2点支持される。
より詳細には、着座状態および立ち上がり直前状態の静的状態においては、左側の一対の係止部材32により、2点、右側の一対の係止部材32により、2点、計4点で、着座部12が支持され、利用者が着座する着座部12、着座部12を支持する横部材15、および横部材15および縦部材17間を連絡する係止部材32を介して、利用者の体重が、縦部材17の凸部18の第1係合部34に伝達される。
一方、着座部12を上昇させる動的状態においては、たとえば、利用者が上体を前かがみに傾斜させることにより、着座部12は、前部が下方に、後部が上方に傾斜するところ、左右側それぞれにおいて、前部側の係止部材32の底板部64が、第1付勢手段28の付勢力により、前部側の側面16の対応する凸部18の最引っ込み部39に押し付けられて、係止されながら、後部側の係止部材32の底板部64が、第1付勢手段28の付勢力により、後部側の側面16の対応する凸部18の第2係合部38に押し付けられ、第2係合部38に案内されながら、上方に移動し、一段上の凸部18の第1係合部34に係合するに至る。
【0047】
その際、利用者が上体を前かがみに傾斜させることにより、着座部12は、それに応じて、前部を下方に向きに傾斜するとともに、前後方向への横ずれが可能である。
それを前提に、前部側の係止部材32については、横部材15との連結点を中心に回動自在に連結されているが、係止部材32の下部が最引っ込み部39に押し付けられた状態で、かかる連結点が前方へ移動することから、前部側の係止部材32は横部材15と一体で動くところ、たとえば、利用者が着座部12上で上体を前方に傾斜させつつ尻部を後方にずらすことにより、横部材15が後方へ横ずれする可能性があるが、落下防止治具40により、側面81の湾曲部83が後部側の縦部材17の側面16に当たりつつ、前部側の係止部材32の第1係合部34に対する後方への係合解除を抑制しつつ、前部側の係止部材32の最引っ込み部39に対する係止位置を支点として、後部側の係止部材32の上方の移動を可能としている。
なお、最大傾斜角度制限手段により、着座部12、すなわち、横部材15の傾斜角度は最大傾斜角度以内に制限され、たとえば、利用者の上体の前部側、または後部側への1回の傾斜による着座部12の傾斜により、傾斜上方側の凸部18をどれだけ上昇可能かについて、最大傾斜角度制限手段41の縦部材17の側面との間隔調整により、1段に制限したり、3段まで可能とする等が可能である。この場合、たとえば、3段まで可能とする場合、落下防止治具40により、着座部12の落下を防止しつつ、利用者の上体の前部側、または後部側への1回の傾斜により、1段または2段上昇することは、当然に可能である。
【0048】
次に、下降調整部品200について説明すれば、
図2に示すように、下降調整部品200は、横部材15の上方に配置され、それぞれ一対の縦部材17間から露出する、対向する平面部204を有し、一対の縦部材17に沿って上下方向に摺動可能なベース部材202と、下降調整の切り替えを行う切り替え手段とを有する。平面部204に設けられる部品について、一方の平面部204には、横部材15に上方から連結される、横部材15とベース部材202とを連結する連結部材254が設けられる以外、対向する平面部204において共通であるので、一方の平面部204に設けられる部品についてのみ、以下、説明する。
連結部材254は、下端部258が横部材15の揺動中心位置に連結され、上端部256がベース部材202に連結される。
【0049】
ベース部材202は、一対の縦部材17により構成される内部スペースに収容され、各側面が対応する縦部材17の内側面に摺接し、厚みは縦部材17の内側面の幅に相当し、クリップ260により厚み方向のガタが抑制されている。
一対の係止部材32それぞれにおいて、一方の係止部材32の上端の他方の係止部材32に向かう傾きを押し戻す傾き押し戻し手段と、傾き押し戻し手段の押し戻し機能のオンオフを行う切り替え手段と、傾き押し戻し手段の押し戻しを制限するストッパー212と、が設けられ、ストッパー212は、横部材15の前後方向の傾斜の際の上側の一方の係止部材32の下端部30が、対応する凸部18の最突出縁35から他方の係止部材32寄りの離間位置となる位置で、傾き押し戻し手段の押し戻しを止めるように、ベース部材202上で位置決めされる。
傾き押し戻し手段は、平面部204の各々において、係止部材32の上端より上方で、ベース部材202に設けられ、係止部材32への係合位置と、非係合位置との間で揺動可能な第1揺動部材206と、第1揺動部材206を係合位置に向かって付勢する第2付勢手段218と、を有する。
第2付勢手段218は、係止部材32の対応する凸部18と反対側の平面部204の部分において、上下方向に延在し、上端221がフック部223により固定され、ねじ219より下方が片持ち梁状の棒バネ218であり、下端部220が第1揺動部材206に係合可能である。
第1揺動部材206は、ベース部材202にピン留めされ、ピン位置208を中心に左右に揺動可能であり、下端部210近傍に、棒バネ218の下端部220が係合し、棒バネ218の付勢力を第1揺動部材206に伝達する突出部216が設けられ、突出部216は、第2揺動部材244(後に説明)の下端部248にも係合し、棒バネ218の付勢力が第2揺動部材244にも伝達されるようにしてある。
平面部204の各々において、ストッパー212は、対応する係止部材32の上方に固定配置され、第1揺動部材206には、ストッパー212の側面213に当たるストッパー当て214が対応する係止部材32側の縁部に設けられ、ストッパー当て214は、ストッパー212に当たる位置の下方に、対応する係止部材32の上下方向移動範囲をカバーする上下方向長さhを有する。
【0050】
切り替え手段は、平面部204の各々において、棒バネ218の付勢力に抗して、第1揺動部材206を非係合位置に移動させる第1揺動部材移動部材244を有し、さらに、第1揺動部材移動部材244の上端部246に係止して、第1揺動部材206を非係合位置に保持する非係合位置保持手段と、非係合位置保持手段による第1揺動部材移動部材244の上端部246への係止を解除する係止解除手段と、を有する。
第1揺動部材移動部材244は、ベース部材202の平面部204に中間部250が枢着され、中間部250を中心に揺動可能な上下方向に延在する第2揺動部材244であり、第2揺動部材244の上端部246は、非係合位置保持手段により係止可能であり、第2揺動部材244の下端部248は、第2付勢手段218により、係止位置に向かって付勢される。
非係合位置保持手段は、ベース部材202の上面242に設けられる上下回転軸228を中心として、横方向に揺動可能な第1手動レバー222である。
【0051】
第1手動レバー222は、各端部224、226が、対応する第2揺動部材244の上端221に係合するように設けられ、係止解除手段は、上下方向に揺動可能な第2手動レバー230であり、第2手動レバー230は、下端縁に、第1手動レバー222が係止可能な凹部236を有し、より具体的には、第1手動レバー222の一端224は、凹部236の一方の端面237に係止可能となっている。
より詳細には、第2手動レバー230は、一端234を中心として、他端232が、上下付勢バネ231により下方に付勢されながら、一方の端部234を中心に、第1手動レバー係止解除レベルと第1手動レバー係止レベルとの間で、上下方向に揺動可能である。
【0052】
第1手動レバー222は、第2揺動部材244により、第2付勢手段218の付勢力を通じて、係止解除位置に向かって付勢され、第2手動レバー230を上方に揺動することにより、第1手動レバー222は、係止解除位置に移動し、第1手動レバー222を凹部236に係止させるまで揺動させることにより、第1手動レバー222は、係止位置に保持される。
第1手動レバー222および第2手動レバー230それぞれの手動操作部は、着座部に着座する利用者が操作しやすいように、着座部側(内側)に設けられる。
なお、下降調整部品200は、平面部204が対向する平板状をなし、一対の縦部材17に対して、一対の係止部材32および横部材15を組付けた状態で、一対の縦部材17に対して斜めに左右方向所定間隔に挿入組付け可能である。
ベース部材202は、一対の縦部材17に対して、クリップ260により、上下方向に摺動可能に、固定されている。
【0053】
切り替え手段205は、第1手動レバー222と、第2手動レバー230と、上下付勢バネ231と、手動レバー支持部材238と、第2揺動部材244とから概略構成される。
第1手動レバー222は、ベース部材202の上面242に設けられる鉛直回転軸228を中心に、下り可能位置と、下り不能位置との間で水平方向に揺動可能であり、第2付勢手段218により第2揺動部材244の上端246を通じて、端部224が凹部236の端面237に係止されることにより、下り不能位置に至るように構成されている。
【0054】
上下付勢バネ231は、第2手動レバー230の他方の端部232に設けられ、他方の端部232を下方に常時付勢する。
手動レバー支持部材238は、凹部236の上面より下方レベルにおいて、上面240により手動レバー222を下方から支持し、ベース部材202を挟んで、各側に設けられる。
手動レバー支持部材238はそれぞれ、ベース部材202の上面242に設けられたブラケット252に設けたネジ穴に向かってネジ止めされている。
【0055】
以上の構成を有する自重利用型立ち上がり補助具10について、その使用方法を含め、作用を
図7ないし
図18を参照しながら、以下に説明する。
まず、
図7の上側に示すように、切り替え手段をオフにして、着座部12を上昇可能準備状態とする。より詳細には、手動レバー222の内側の一端224を揺動して、凹部236の端面237に係止させ、下降調整部品200の第1揺動部材206を対応する係止部材32に対する非係合位置として、下降調整部品200が機能しない状態とする。
図13は、横部材15の前部が下方に傾斜している場合において、利用者が上体を後ろ側に倒すことにより、横部材15の後部を下方、前部を上方に傾斜させて、着座部12を上げる状況を示す。より詳細には、
図13(A)は、前部側の係止部材32の底板部64が対応する凸部18の第1係合部34に支持される一方、後部側の係止部材32の底板部64が、それより上の対応する凸部18の第1係合部34に支持されることにより、横部材15が前部側へ傾斜している状況を示し、
図13(B)は、後部側の係止部材32の底板部64が対応する凸部18の第1係合部34に支持されながら、前部側の係止部材32の底板部64が、対応する凸部18の第2係合部38に当たりながら、上方に案内されている状況を示し、
図13(C)は、後部側の係止部材32の底板部64が対応する凸部18の第1係合部34に支持されながら、前部側の係止部材32の底板部64が、1段上の凸部18の最突出縁3535まで達している状況を示し、
図13(D)は、後部側の係止部材32の底板部64が対応する凸部18の第1係合部34に支持され、一方、前部側の係止部材32の底板部64が、1段上の凸部18の第1係合部34に支持され、
図13(A)から前部側の係止部材32の底板部64が、1段上がった状況を示す。
【0056】
一方、
図14は、利用者が着座状態から立ち上がり状態までに着座部12のレベルが上がっていく状況を示し、
図14(A)は、利用者が着座状態の状況、
図14(B)は、利用者が上体を前後に繰り返し傾斜させることにより、着座部12のレベルが上がっていく途中の状況、
図14(C)は、利用者が立ち上がれる状態の状況を示す。
まず、
図14(A)に示すように、最大傾斜角度調整手段41において、間隔を調整しておいて、高齢者である利用者が着座する。
次いで、
図13(A)に示すように、利用者が着座位置から立ち上げようとする際、着座部12における利用者の体重のかけ方を変更する。
より詳細には、
図12(A)に示すように、着座部12に着座する利用者が、たとえば、上半身を前方に傾斜させることにより、体重が着座部12の前部に負荷され、着座部12は中央支持部401を始点として、前部が下方に、後部が上方に傾斜する。
【0057】
より具体的には、着座部12の下面403から面材405の上面406に向かって突起する突起部408は、突起部408の下面412は、面材405の上面406に当たるように、下方に凸の曲面状に形成されるところ、突起部408の上面406への当たり位置を支点として、着座部12は、前部を下方、後部を上方の形態で揺動する。それにより、前端荷重伝達部材402の下端454が、面材405の前端458に当たり、面材405、すなわち、横部材200の前端が下方に押されることにより、利用者の上半身の前方への少しの傾斜により、横部材200の前端が有効に下方に傾斜するようにしている。この場合、体重が着座部12の前部に負荷されることにより、突起部408、すなわち、着座部12は、面材405に対して、若干前方に摺動するが、これは、面材405の上面406には、突起部408に対して前方に所定間隔d2を隔てて、着座部12の前後方向移動制限用ストッパー410が設けられており、この前後方向移動制限用ストッパー410が前方への摺動を制限する。
このように、利用者が着座部12上で体重のかける位置を前部に移動するだけで、着座部12の前部の下方への傾斜を介して、着座部支持部14が前部が下方に傾く。
それにより、低レベルに位置する後部側の一方の係止部材32の下端部が凸部18の受け面から係止解除される一方、高レベルに位置する前部側の他方の係止部材32の下端部が凸部18の受け面に係止される。
その間、落下防止治具40により、着座部12が落下するのを防止することが可能である。最大傾斜角度調整部材41により、横部材200の傾斜角度が制限されている。
【0058】
なお、後述のように、
図12(B)に示すように、着座部12に着座する利用者が、たとえば、上半身を後方に傾斜させることにより、体重が着座部12の後部に負荷され、着座部12が中央支持部401を始点として、後部が下方に、前部が上方に傾斜し、それにより、着座部支持部14が後部が下方に傾く場合も、上述と同様な形態で、着座部12の後部の下方への傾斜を介して、着座部支持部14が後部が下方に傾く。
以上により、低レベルに位置する一方の係止部材32の下端部が凸部18の受け面から係止解除される一方、高レベルに位置する他方の係止部材32の下端部が凸部18の受け面に係止される。
その間、落下防止具により、着座部12が落下するのを防止することが可能である。最大傾斜角度調整手段41により、横部材15の傾斜角度が制限される。
【0059】
次いで、
図13(B)に示すように、着座部に着座状態の利用者が上体を後ろ側に傾斜させることにより、体重をさらに後部側に負荷させることにより、横部材15の前部側が上方、後部側が下方の向きにさらに傾斜しながら、後部側に横ずれすると、後部側の係止部材32については、底板部の一方の縁部が対応する凸部19に対して、第1付勢手段28の付勢力により押し付けられて最引っ込み部39に対して係止しつつ、後部側の係止部材32の横部材15への連結点が後部側に横ずれすることにより、係止部材32は横部材15に対して連結点を中心に回動自在に連結されているが、横部材15と一体で図面上右方向に傾斜し、前部側の係止部材32については、横部材15は、後部側の係止部材32により支持されながら、底板部の一方の縁部が対応する凸部19に対して、第1付勢手段28の付勢力により押し付けられて第2係合部に案内されつつ、第2係合部を上方に移動する。
次いで、
図13(C)に示すように、たとえば、前部側を下方に傾斜させる際、横部材15は縦部材17に対して前部側に横方向に若干移動するが、その際、落下防止治具40の左側面が縦部材17の側面19に当接することにより、前部側へのそれ以上の横方向の移動を制限しつつ、縦部材17に関して落下防止治具40と反対側に位置する一方の係止部材32のL字下端部が対応する凸部18の引っ込み部に係止され支持されつつ、縦部材17に関して落下防止治具40と同じ側で後部側に位置する他方の係止部材32が対応する凸部18の傾斜面に対して、第1付勢手段28により押し付けられながら上方に案内されるところ、落下防止治具40の左側面、特に下部が前部側に凸に湾曲状に形成されていることにより、このような一方の係止部材32を支点とする他方の係止部材32の上方への動きが可能となる。
次いで、
図13(D)に示すように、着座部に着座状態の利用者が上体を後ろ側に傾斜させることにより、体重をさらに後部側に負荷させることにより、横部材15の前部側が上方、後部側が下方の向きにさらに傾斜しながら、落下防止治具40により、側面の湾曲部83が前部側の縦部材17の側面に当たりながら、横部材15の前部側への横ずれを防止しつつ、横部材15は、後部側の係止部材32により支持されながら、前部側の係止部材32の底面部が、
図13(A)に比べ、一段上の凸部の第1係合部により支持され、これにより、利用者の後ろ側への一回の傾斜により、横部材15の前部側が上方に移動する。
なお、着座部12を元の着座レベルに戻すには、一対の係止具それぞれの対応する直立体重受け部の凸部18に対する係止を解除することにより、着座部12をフリーにして、着座レベルまで落下させ、その位置の凸部18に再度係止させればよい。
【0060】
着座中は、着座部12は水平でもよい。
以上、
図14(B)に示すように、着座レベルから立ち上がりレベルまで昇る間は、横部材15は、前後方向に移動可能としつつ、たとえば、前部側に体重をかけて、着座部12の前部を下方に傾斜させる一方、着座部12の後部を上方に傾斜する際、前部側の一方の係止部材32は連結点が前部側に移動しつつ第1付勢手段28により下部が対応する凸部18に押し付けられながら、着座部12と一体で回転することで、第1係合部34 を支点に、他方の係止部材32は、第2係合部38に案内されつつ、上方の凸部18の第1係合部34レベルに至る。その間、前部側へ横方向に移動しつつ、移動制限することにより、一方の係止部材32がずれ落ちるのを防止する。なお、最大傾斜角度調整手段41により、着座部12の傾斜角度は、一定限度に制限される。
他方の係止部材32が、上方の凸部18の第1係合部34レベルに至る際、着座部12は、両方の係止部材32により、対応する凸部18の第1係合部34に対して面支持され、利用者の体重が、安定的に支持される。
【0061】
図14(C)に示すように、この繰り返しにより、立ち上がりレベルに達する際、膝下に対して大腿部のなす角度が鈍角になり、前側に踏ん張りやすいように、2段飛びがよい。
【0062】
次に、下降調整部品200を利用して、凸部18を一段ずつ下降する場合の作用について、以下に図面を参照しながら詳細に説明する。
一対の係止部材32それぞれが対応する凸部18に対して、第1付勢手段28により常時押し付けられた状態でも、利用者が着座部12における前後の体重のかけ方を交互に繰り返すことにより、上昇する際は、第2係合部38の傾斜面に沿って上昇し、第1係合部34の最引っ込み部39に押し付けられながら上昇するところ、下降する際は、第1係合部34の最引っ込み部39から他方の係止部材32に向かって引き出されて、第2係合部38の傾斜面に沿って下降する必要があることから、一段ずつ凸部18を下降するのは困難であるところ、下降調整部品200により、このような一段ずつ凸部18の下降、特に円滑な下降が可能となる。
これにより、たとえば、入浴時、浴槽につかる際、着座しやすいように、着座部12を湯面の直下位置あたりに位置決めした状態で、入浴者が着座部12に着座し、下降調整部品200により、このような一段ずつ凸部18の下降、特に円滑な下降をすることにより、介護者による介護なしに、胸下まで湯舟につかることが可能となり、浴槽から出る際は、逆に、一段ずつ凸部18の上昇をして、浴槽から出ることが可能となる。
【0063】
図15ないし
図18を参照しながら、以下に、下降調整部品200により、このような一段ずつ凸部18の下降、特に円滑な下降が可能となる点を詳細に説明する。
図15は、利用者が横部材15の前部側(図面上右側)に体重を移動することにより、横部材15の前部側が下降完了する直前の状況を示す図、
図16は、利用者が横部材15の前部側(図面上右側)に体重を移動することにより、横部材15の前部側が下降完了した状況を示す図、
図17は、利用者が横部材15の後部側(図面上左側)に体重を移動することにより、横部材15の後部側が下降している途中の状況を示す図、
図18は、利用者が横部材15の後部側(図面上左側)に体重を移動することにより、横部材15の後部側が下降完了した状況を示す図である。
まず、
図7の下側に示すように、切り替え手段をオンにして、着座部12を下降可能準備状態とする。より詳細には、手動レバー230の一端232を上方に揺動して、手動レバー222の一端224の凹部236の端面237に対する係止を解除し、下降調整部品200の第1揺動部材206を対応する係止部材32に対する係合可能位置として、下降調整部品200が機能する状態とする。
これにより、一対の係止部材32それぞれ、横部材15を前後に傾斜させる際、対応する凸部18から離間する向き(他方の係止部材32に向かう方向)への傾斜角度が一定限度に制限されるように下降可能準備状態となる。
【0064】
図15に示すように、利用者が横部材15の前部側(図面上右側)に体重を移動することにより、横部材15の前部側が下降完了する直前の状況の場合、横部材15の後部側(図面上左側)の係止部材32は、部分拡大図で示すように、対応する凸部18の最引っ込み部39に位置する一方、横部材15の前部側の係止部材32は、対応する凸部18の第2係合部38の傾斜面に沿って下降し、最引っ込み部39に至る直前となる。
次いで、
図16に示すように、横部材15の前部側の係止部材32の下端部30が、対応する凸部18の第1係合部34の最引っ込み部39に到達する際、横部材15の後部の係止部材32の上端部26は、下降調整部品200の働きにより押し戻され、横部材15に対する連結点43を中心として揺動し、対応する凸部18に近づく向きに傾斜する。
より詳細には、横部材15の後部の係止部材32の上端部26の角が、他方の係止部材32に向かう方向に傾斜することにより、棒バネ218により、他方の係止部材32に向かう方向と逆向きに付勢される第1揺動部材206の縁のストッパー片214に当たり、棒バネ218の付勢力により押し戻される。なお、棒バネ218の付勢力による押し戻しを制限するのに、ストッパー212が設けられ、第1揺動部材206の縁がストッパー212に当たることにより、その位置が係止部材32の押し戻し位置の限界位置となる。
この押し戻し傾斜位置は、係止部材32がなるべく直立姿勢となる位置が好ましく、直立姿勢に近いほど、係止部材32の下端部30が凸部18の第2係合部38に沿って下降する際、最突出縁35から第2係合部38に沿う動きに円滑に導くことが可能である。
そのために、係止部材32の横部材15への連結点43、横部材15の縦部材17に対する前後方向の相対位置を設定すればよい。
【0065】
これにより、利用者が着座部12において、後部側に体重をかけることにより、横部材15の後部を下方に、前部を上方に傾斜させる際、横部材15の後部の係止部材32の下端部30は、対応する凸部18の第1係合部34の他方の係止部材32に向かう延長近接位置(押し戻し傾斜位置)に位置決めされることから、横部材15の前部側の係止部材32の下端部30が、対応する凸部18の第1係合部34に対して、対応する第1付勢手段28により押し付けられた状態で、係止保持されながら、横部材15の後部側の係止部材32の下端部30が、対応する凸部18より下方に隣接する凸部18の第2係合部38の傾斜面に沿って、円滑に下方に移動することが可能となる。
係止部材32が、このような押し戻し傾斜位置となるように、第1に、第2付勢手段218のバネ力、第2に、ストッパー212の係止部材32に対する相対位置を設定する必要がある。
【0066】
次いで、
図17に示すように、利用者が着座部12において、後部側に体重をかけることにより、横部材15の後部を下方に、前部を上方に傾斜させる。
これにより、横部材15の前部側の係止部材32の下端部30は、対応する凸部18の第1係合部34に対して、対応する第1付勢手段28により押し付けられた状態で、係止保持されながら、横部材15の後部側の係止部材32の下端部30は、対応する凸部18の第2係合部38の傾斜面に対して、第1付勢手段28により押し付けられながら傾斜面に沿って下方に移動する。
【0067】
次いで、
図18に示すように、横部材15の後部側の係止部材32の下端部30が、対応する凸部18の第2係合部38の傾斜面に沿って下方に移動しきった状態、すなわち、対応する凸部18の第1係合部34の最引っ込み部39に到達し、凸部18を一段下降した状態となる。
【0068】
以上のように、このような利用者の着座部12における前後の体重のかけ方を交互に繰り返すことにより、横部材15、すなわち、利用者が着座する着座部12は、凸部18の第2係合部38の傾斜面に沿って、一段ずつ円滑に下降することが可能となる。
なお、昇る際に利用する最大傾斜角度制限手段50および落下防止治具40それぞれについて、前者については、下降調整部品200が働くように、対応する縦部材17との間隔を確保する、より詳細には、凸部18を一段下降するのに必要な間隔を確保する必要があり、後者については、横部材15の横ブレを抑制し、係止部材32の凸部18からの離脱を防止する観点から、下降調整部品200が働く際にも必要である。
【0069】
以上の構成を有する自重利用型立ち上がり補助具10によれば、着座部12に着座する利用者が、着座部12に対する体重のかけ方を前後に移動させることにより、着座部12保持部22が上下方向に揺動し、その際、着座部12保持部22は一対の直立体重受け部20により二点支持され、一対の直立体重受け部20の複数の凸部18のいずれかに係止部材32の下端248部30を係合するとともに、第1付勢手段28が、下端248部30を凸部18に向かって付勢するように構成されることから、係止部材32の下端248を支持する凸部18を左右交互に変えることを通じて、着座部12の昇降が可能であり、駆動モーター等駆動装置の必要なく、軽量で持ち運び便利であるとともに、着座姿勢の利用者の体重および体の動きを利用して、介護不要に、着座位置を自動的に昇降可能であるとともに、高齢者の体力維持に資することが可能である。
【0070】
以上の構成を有する自重利用型立ち上がり補助具によれば、利用者が上体を前方に傾斜して着座部12の前部に体重をかけることにより、横部材15は前部を下方に傾斜させつつ前方に移動する一方、後部を上方に傾斜させ、その際、横部材15の前部側の係止部材32は、第1付勢手段28により、対応する凸部18に対して係止位置に付勢保持されながら、つまり、横部材15はその位置を基点に支持されながら、後部側が上方に傾斜することを通じて、後部側の係止部材32は、第1付勢手段28により対応する凸部18に対する付勢力に抗して、対応する凸部18に対して係止位置から、係止解除位置、さらに、上方の凸部18に対する係止位置まで上方に移動し、横部材15は両側で支持されることが可能となる。
このように、一方の係止部材32の係止位置に基づいて、他方の係止部材32の係止位置を、係止解除位置、かくして、上方の凸部18の係止位置に移動し、利用者が上体の前後の動きを繰り返すことにより、利用者のリハビリも兼ねつつ、横部材15、つまり横部材15が支持する着座部12は、前部および後部を交互に上方に移動させ、以て着座部12を上方に移動させ、利用者の立ち上がりを補助することが可能となる。なお、横部材15の傾斜角度に応じて、凸部18を一段づつでなく、複数段上がることが可能であり、横部材15の両側での支持を係止解除することにより、元の着座レベルに戻すことが可能である。
その際、横部材200が係止部材32を介して縦部材300に支持され、係止部材32が弾性手段28を介して縦部材300の凸部18に係合し、利用者の着座部12に対する体重のかけ方を前後方向に繰り返すことにより、横部材200の傾斜を介して、係止部材32が係合する凸部を上方に移動させることにより、着座部12が下降および上昇するところ、着座部12の前後方向の中央部が横部材200の上面406に対して支持される中央支持部41と、着座部12の前後方向の前後端部それぞれが横部材200の上面406に向かって延びる前端荷重伝達部材402および後端荷重伝達部材404とが設けられ、着座部12が中央支持部41を介して横部材200の上面406に対して水平に保持される場合、前端荷重伝達部材402および後端荷重伝達部材404それぞれの下端は、横部材200の上面406に対して、所定間隔を隔てることから、着座部12に着座する利用者が着座部12の前部に体重をかけることにより、着座部12は前端荷重伝達部材402が横部材200の上面406に当たるまで、中央支持部41を始点として、着座部12の前部が下方に傾斜し、一方、着座部12に着座する利用者が着座部12の後部に体重をかけることにより、着座部12は後端荷重伝達部材404が横部材200の上面406に当たるまで、中央支持部41を始点として、着座部12の後部が下方に傾斜し、総じて、着座部12の傾斜により、横部材200の傾斜が助長される結果、利用者、特に高齢者への負担を軽減しつつ、自重を利用して、着座状態の利用者の下降および立ち上がりを補助することが可能となる。
【0071】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、本実施形態において、下降調整部品付自重利用型立ち上がり補助具として説明したが、それに限定されることなく、自重利用型立ち上がり補助具に対して、下降調整部品をパーツとして簡便に装着することにより、立ち上がりを補助だけでなく、下る際にも、円滑に着座部12を降ろすのに利用してもよい。
たとえば、本実施形態において、一対の直立体重受け部において、スペーサをかませて左右方向にオフセット配置させることにより、一対の直立体重受け部の凸部18が設けられる側部を左右方向にずらせて配置するものとして説明したが、それに限定されることなく、一対の直立体重受け部の凸部18が設けられる側部を左右方向にずらさずに、対向配置してもよい。
【0072】
たとえば、本実施形態において、利用者が着座部12を前後方向に繰り返し傾斜させることにより、着座部12を昇降させる場合、上下方向に隣接する凸部18を一段ずつ昇降するものとして説明したが、それに限定されることなく、利用者が着座部12を左右方向に傾斜させる傾斜角度を大きくすることにより、上下方向に隣接する凸部18を数段ずつ昇降するのでもよく、それにより、利用者が着座部12を左右方向に傾斜させるのに必要な上体の動かし回数を低減することが可能である。
【0073】
たとえば、本実施形態において、高さを調整可能な着座具に適用して、立ち上がりの補助としての自重利用型昇降具として説明したが、それに限定されることなく、本自重利用型昇降具を用いて、利用者が上体の前後への傾斜を繰り返すことにより、リハビリ専用具として活用するのでもよい。
たとえば、本実施形態において、高さを調整可能な着座具に適用して、単独の立ち上がりの補助としての自重利用型昇降具として説明したが、それに限定されることなく、従来の手摺具と併用して、本自重利用型昇降具を用いて、利用者が上体の前後への傾斜を繰り返すことにより、着座部12のレベルを一定高さに達した段階で、手摺具を用いて、足が踏ん張りやすい状況で手の力も利用して、立ち上がってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】本発明の実施形態による下降調整部品付自重利用型立ち上がり補助具を示す概略斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態による下降調整部品付自重利用型立ち上がり補助具の下降調整部品まわりを詳細に示す概略分解図である。
【
図3】本発明の実施形態による下降調整部品付自重利用型立ち上がり補助具の縦部材17を示す側面図である。
【
図5】本発明の実施形態による下降調整部品付自重利用型立ち上がり補助具において、横部材15の前部が降りきる直前の外側側面図である。
【
図6】本発明の実施形態による下降調整部品付自重利用型立ち上がり補助具において、横部材15の前部が降りきる直前の内側側面図である。
【
図7】本発明の実施形態による下降調整部品付自重利用型立ち上がり補助具において、切り替え手段により切り替えを示す部分平面図である。
【
図8】本発明の実施形態による自重利用型立ち上がり補助具の着座部12まわりの部分図である。
【
図9】本発明の実施形態による自重利用型立ち上がり補助具の着座部支持部401の変形例を示す
図8と同様な部分図である。
【
図10】本発明の実施形態による自重利用型立ち上がり補助具の着座部支持部401の変形例を示す
図8と同様な部分図である。
【
図11】本発明の実施形態による自重利用型立ち上がり補助具の着座部支持部401の変形例を示す
図8と同様な部分図である。
【
図12】
図8による着座部支持部401において、着座部12の前部が下方に傾斜する場合(A)、着座部12の後部が下方に傾斜する場合(B)を示す、
図8と同様な図である。
【
図13】本発明の実施形態による下降調整部品付自重利用型立ち上がり補助具の立ち上がりの際の作動状況を示す概略部分側面図である。
【
図14】本発明の実施形態による下降調整部品付自重利用型立ち上がり補助具において、着座姿勢の利用者が着座状態からたちあがり状態まで上がっていく様子を示す概略図である。
【
図15】本発明の実施形態による下降調整部品付自重利用型立ち上がり補助具の下る際の作動状況を示す概略部分側面図である。
【
図16】本発明の実施形態による下降調整部品付自重利用型立ち上がり補助具の下る際の作動状況を示す概略部分側面図である。
【
図17】本発明の実施形態による下降調整部品付自重利用型立ち上がり補助具の下る際の作動状況を示す概略部分側面図である。
【
図18】本発明の実施形態による下降調整部品付自重利用型立ち上がり補助具の下る際の作動状況を示す概略部分側面図である。
【符号の説明】
【0075】
h 上下方向に隣接する凸部間の間隔
C 横部材の中心
D 直立体重受け部間の間隔
d 中心Cと連結点との距離
Θ1 着座部の傾斜角度
Θ2 着座部の最終傾斜角度
Θ3 第1係合部の傾斜角度
Θ4 第2係合部の傾斜角度
l1 連結部と連結点との距離
l2 下端部と連結点との距離
R 凸部18の範囲
L 着座部12の前後方向長さ
CH 椅子
10 自重利用型立ち上がり補助具
12 着座部
14 着座部支持部
15 横部材
16 側部
17 縦部材
18 凸部
19 側面
20 直立体重受け部
21 スペース
22 着座部保持部
23 連結部
24 揺動部材
25 連結部
26 上端部
27 細長部材
28 第1付勢手段
30 下端部
31 L字部
32 係止部材
34 第1係合部
35 最突出縁
38 第2係合部
39 最引っ込み部
40 落下防止治具
41 側面
50 最大傾斜角度調整手段
51 板部材
53 板部材
55 上面
60 上板部
62 下縁
64 底板部
66 一方の縁部
68 正面部
70 側面部
81 側面
83 湾曲部
85 スペーサ
102 背もたれ部
104 足載せ部
106 斜め下方に延びる部材
200 下降調整部品
202 ベース部材
204 平面部
205 切り替え手段
206 第1揺動部材
208 ネジ
210 下端部
212 ストッパー
214 ストッパー当て
216 ネジ
218 棒バネ
220 下端部
222 第1手動レバー
224 一端
226 他端
228 上下回転軸
230 第2手動レバー
231 上下バネ
232 一端
234 他端
236 凹部
237 端面
238 第1手動レバー支持部材
240 上面
242 上面
244 第2揺動部材
246 上端
248 下端
250 中間部
252 ブラケット
254 連結部材
256 上端部
258 下端部
260 クリップ
200 横部材
300 縦部材
400 着座部用支持部
401 中央支持部
402 前端荷重伝達部材
403 下面
404 後端荷重伝達部材
405 面材
406 上面
408 突起部
412 下面
414 回転枢軸
416 突起受け部
450 前端部
452 後端部
454 下端
456 下端
458 前端
460 後端
【要約】 (修正有)
【課題】着座部を下降または上昇させる際、自重を利用して円滑な下降および立ち上がりが可能な自重利用型立ち上がり補助具を提供する。
【解決手段】一対の横部材200と、一対の縦部材および係止部材と、着座部12と、中央支持部と、前端荷重伝達部材および後端荷重伝達部材とを備え、着座部12に着座する利用者が着座部12の前部に体重をかけることにより、着座部12は前端荷重伝達部材が横部材200の上面に当たるまで、前記中央支持部を始点として、着座部12の前部が下方に傾斜し、一方、着座部12に着座する利用者が着座部12の後部に体重をかけることにより、着座部12は後端荷重伝達部材が横部材200の上面に当たるまで、中央支持部を始点として、着座部12の前記後部が下方に傾斜する、着座部の傾斜により、横部材200の傾斜が助長される。
【選択図】
図1