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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】箱詰め装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 5/08 20060101AFI20221226BHJP
   B65B 43/18 20060101ALI20221226BHJP
   B25J 11/00 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
B65B5/08
B65B43/18
B25J11/00 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018111139
(22)【出願日】2018-06-11
(65)【公開番号】P2019214389
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】横田 祐嗣
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07644558(US,B1)
【文献】特開平08-183517(JP,A)
【文献】実開平04-007403(JP,U)
【文献】特開2017-159933(JP,A)
【文献】特開平06-298205(JP,A)
【文献】特開2012-232380(JP,A)
【文献】特開平07-076303(JP,A)
【文献】実開昭55-024205(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第105173202(CN,A)
【文献】特開2007-176492(JP,A)
【文献】特開平09-240634(JP,A)
【文献】特開2016-175649(JP,A)
【文献】特開2010-274928(JP,A)
【文献】特開2016-036863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 5/08
B65B 43/18
B25J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する第1コンベアと、
前記第1コンベア上の前記物品を把持し、上部開口を有する箱の中に運び入れるパラレルリンクロボットと、
前記箱のフラップであって前記上部開口の周りにある複数の蓋フラップの少なくとも一部を、前記上部開口の外側に折り広げるフラップ折り機構と、
を備え、
前記フラップ折り機構は、前記上部開口の外側に折り広げられた場合に前記第1コンベアに最も近い位置にある前記蓋フラップであるコンベア側蓋フラップを、前記上部開口の外側に折り広げ、
前記パラレルリンクロボットは、折り広げられた前記蓋フラップの上方、かつ、折り広げられていない他の前記蓋フラップの上端よりも下方の高さ位置において、把持した前記物品を通過させて、前記箱の中に運び入れ
前記フラップ折り機構によって折り広げられた前記コンベア側蓋フラップの鉛直方向の位置が、前記第1コンベアによって搬送されている前記物品の鉛直方向の位置より下方になるように、前記箱を搬送する第2コンベアをさらに備え、
前記第1コンベアは、前記物品が載せられる搬送面を有し、
前記第2コンベアは、前記コンベア側蓋フラップが前記搬送面の下方に位置するように、前記箱を搬送する、
箱詰め装置。
【請求項2】
前記フラップ折り機構は、さらに、前記コンベア側蓋フラップの両隣にある2つの前記蓋フラップの少なくとも一方を、前記上部開口の外側に折り広げる、
請求項1に記載の箱詰め装置。
【請求項3】
前記フラップ折り機構によって折り広げられた前記蓋フラップが、鉛直方向に対して90度以上、前記上部開口の外側に折り広げられている状態を維持する第1フラップ規制部材をさらに備える、
請求項1又は2に記載の箱詰め装置。
【請求項4】
前記上部開口の外側に折り広げられた場合に前記第1コンベアから最も遠い位置にある前記蓋フラップが、鉛直方向に対して30度以上折り広げられる状態を防止する第2フラップ規制部材をさらに備える、
請求項1からのいずれか1項に記載の箱詰め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱の中に物品を運び入れる箱詰め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンベア等によって搬送されてきた物品を、ロボットを用いて箱の中に運び入れる箱詰め装置が用いられている。物品を箱の中に運び入れるロボットとして、例えば、特許文献1(特開2012-232380号公報)に開示されているようなパラレルリンクロボットが用いられる。パラレルリンクロボットは、複数のパラレルリンクアームを備える。各パラレルリンクアームの下端は、物品を吸着把持するための吸着パッドに連結されている。パラレルリンクロボットは、パラレルリンクアームを制御して、吸着パッドを水平方向及び鉛直方向に移動させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、パラレルリンクロボットにおいて、吸着パッドの鉛直方向における移動速度及び移動範囲は、水平方向における移動速度及び移動範囲と比べて小さい。そのため、パラレルリンクロボットを用いる箱詰め装置では、吸着把持された物品の鉛直方向における移動速度及び移動範囲が制限されるため、物品の箱詰め能力を向上させることが難しいことがある。
【0004】
本発明の目的は、パラレルリンクロボットを用いて物品を箱の中に効率的に運び入れることができる箱詰め装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る箱詰め装置は、第1コンベアと、パラレルリンクロボットと、フラップ折り機構とを備える。第1コンベアは、物品を搬送する。パラレルリンクロボットは、第1コンベア上の物品を把持し、上部開口を有する箱の中に運び入れる。フラップ折り機構は、箱のフラップであって上部開口の周りにある複数の蓋フラップの少なくとも一部を、上部開口の外側に折り広げる。
【0006】
この箱詰め装置では、パラレルリンクロボットによって把持された物品を、外側に折り広げられている蓋フラップの上方を通過させて箱の中に運び入れることができる。そのため、パラレルリンクロボットによって把持された物品を、外側に折り広げられていない蓋フラップの上方を通過させて箱の中に運び入れる場合と比べて、パラレルリンクロボットに把持された物品の鉛直方向のストロークが抑えられる。従って、この箱詰め装置は、パラレルリンクロボットを用いて物品を箱の中に効率的に運び入れることができる。
【0007】
また、パラレルリンクロボットは、折り広げられた蓋フラップの上方、かつ、折り広げられていない他の蓋フラップの上端よりも下方の高さ位置において、把持した物品を通過させて、箱の中に運び入れることが好ましい。
【0008】
この箱詰め装置では、パラレルリンクロボットに把持された物品の鉛直方向の移動範囲が制限されるので、パラレルリンクロボットに把持された物品の鉛直方向のストロークが抑えられる。
【0009】
また、フラップ折り機構は、コンベア側蓋フラップを、上部開口の外側に折り広げることが好ましい。コンベア側蓋フラップは、上部開口の外側に折り広げられた場合に第1コンベアに最も近い位置にある蓋フラップである。
【0010】
この箱詰め装置では、第1コンベアに最も近い位置にある蓋フラップが外側に折り広げられている。そのため、パラレルリンクロボットによって把持された物品を、第1コンベアに最も近い位置にある蓋フラップの上方を通過させることで、パラレルリンクロボットに把持された物品の鉛直方向のストロークが抑えられる。
【0011】
また、フラップ折り機構は、さらに、コンベア側蓋フラップの両隣にある2つの蓋フラップの少なくとも一方を、上部開口の外側に折り広げることが好ましい。
【0012】
この箱詰め装置では、パラレルリンクロボットによって把持された物品を、第1コンベアに最も近い位置にある蓋フラップの隣にある蓋フラップの上方を通過させることができるので、パラレルリンクロボットに把持された物品の水平方向のストロークが抑えられる。
【0013】
また、箱詰め装置は、第2コンベアをさらに備えることが好ましい。第2コンベアは、フラップ折り機構によって折り広げられたコンベア側蓋フラップの鉛直方向の位置が、第1コンベアによって搬送されている物品の鉛直方向の位置と同じ、又は、より下方になるように、箱を搬送する。
【0014】
この箱詰め装置では、第1コンベア上の物品と、第2コンベア上の箱との鉛直方向の距離を制限することで、パラレルリンクロボットに把持された物品の鉛直方向のストロークが抑えられる。
【0015】
また、第1コンベアは、物品が載せられる搬送面を有し、第2コンベアは、コンベア側蓋フラップが搬送面の下方に位置するように、箱を搬送することが好ましい。
【0016】
この箱詰め装置では、第1コンベア上の物品と、第2コンベア上の箱との水平方向の距離を制限することで、パラレルリンクロボットに把持された物品の水平方向のストロークが抑えられる。
【0017】
また、箱詰め装置は、第1フラップ規制部材をさらに備えることが好ましい。第1フラップ規制部材は、フラップ折り機構によって折り広げられた蓋フラップが、鉛直方向に対して90度以上、上部開口の外側に折り広げられている状態を維持する。
【0018】
この箱詰め装置では、折り広げられた蓋フラップの先端の高さ位置を低くすることで、パラレルリンクロボットに把持された物品の鉛直方向のストロークが抑えられる。
【0019】
また、箱詰め装置は、第2フラップ規制部材をさらに備えることが好ましい。第2フラップ規制部材は、上部開口の外側に折り広げられた場合に第1コンベアから最も遠い位置にある蓋フラップが、鉛直方向に対して30度以上折り広げられる状態を防止する。
【0020】
この箱詰め装置では、パラレルリンクロボットが物品を箱の中に運び入れている際に、パラレルリンクロボットから物品が外れて放り出されても、第1コンベアに最も遠い位置にある蓋フラップに、放り出された物品が当たって箱の中に落ちることがある。これにより、物品が箱の外まで放り出される不具合の発生が抑制される。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る箱詰め装置は、パラレルリンクロボットを用いて物品を箱の中に効率的に運び入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態である箱詰め装置100の平面図である。
図2】箱詰め装置100の側面図である。
図3】製函用シートFBの側面図である。
図4】製函用シートFBの側面図である。
図5】ダンボール箱Bの斜視図である。
図6】ダンボール箱Bを底蓋BCから見た平面図である。
図7】角筒TBの斜視図である。
図8】箱詰め部60の構成を概略的に示した斜視図である。
図9】箱詰め部60の構成を概略的に示した平面図である。
図10】箱詰め部60の構成を概略的に示した側面図である。
図11】箱詰め部60の構成を概略的に示した側面図である。
図12】パラレルリンクロボット30による箱詰め動作の状態遷移図である。
図13】コンベア側蓋フラップF1が折り広げられたダンボール箱Bの斜視図である。
図14】変形例Aにおいて、ダンボール箱Bの中に運び入れられる物品Cの水平方向における移動経路を説明するための図である。
図15】変形例Bにおいて、箱詰め部60の構成を概略的に示した平面図である。
図16】変形例Cにおいて、第1フラップ規制部材を説明するための図である。
図17】変形例Dにおいて、第2フラップ規制部材を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明される実施形態は、本発明の具体例の一つであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0024】
(1)箱詰め装置100の全体構成
図1は、本発明の一実施形態である箱詰め装置100の概略的な平面図である。図2は、箱詰め装置100の概略的な側面図である。箱詰め装置100は、例えば、食品工場の生産ラインに設置され、物品Cを所定の数量ずつダンボール箱Bに箱詰めして、箱詰め後のダンボール箱Bを封緘する装置である。物品Cは、例えば、ポテトチップス等の食品が所定の重量ずつ袋詰めされた包装物である。箱詰め装置100は、第1コンベア10と、第2コンベア20と、パラレルリンクロボット30と、フラップ折り機構40とを有する。
【0025】
箱詰め装置100が設置される食品工場の生産ラインでは、箱詰め装置100の上流側に設置される製袋包装機(図示せず)によって物品Cが生産され、重量検査及び異物混入検査等を経て、箱詰め装置100の第1コンベア10に載せられる。箱詰め装置100では、パラレルリンクロボット30によって、第1コンベア10上を搬送されている物品Cが、第2コンベア20上を搬送されているダンボール箱Bの中に運び込まれる。箱詰め装置100の下流側には、封緘後のダンボール箱Bの重量を検査する重量チェッカ(図示せず)が設置されている。フラップ折り機構40は、物品Cが運び込まれる前のダンボール箱Bのフラップを折り広げる。
【0026】
箱詰め装置100では、第1コンベア10によって物品Cが搬送される方向は、第2コンベア20によってダンボール箱Bが搬送される方向と同じである。以下において、「搬送方向」とは、物品C又はダンボール箱Bが搬送される方向を意味する。また、「上流」及び「下流」とは、それぞれ、搬送方向における上流及び下流を意味する。図1及び図2では、搬送方向が、白抜きの矢印で示されている。図1に示されるように、箱詰め装置100では、第1コンベア10及び第2コンベア20は、搬送方向に沿って並列に配置されている。
【0027】
(2)箱詰め装置100の詳細構成
箱詰め装置100は、主として、製函部50と、箱詰め部60とから構成される。製函部50は、ダンボール箱Bの成形を行う。箱詰め部60は、製函部50によって成形されたダンボール箱Bに、所定の数量の物品Cを詰め込む。製函部50及び箱詰め部60の各動作は、制御部(図示せず)によって制御される。制御部は、例えば、製函部50及び箱詰め部60の各機構を制御するマイクロコンピュータである。
【0028】
(2-1)製函部50
図3及び図4は、製函用シートFBの側面図である。図4は、図3の矢印IVの方向から見た図である。製函用シートFBは、環状に連結された4つの側面TPと、各側面TPの両端と連結している計8つのフラップFとを有する。図5は、物品Cが詰め込まれる前のダンボール箱Bの斜視図である。ダンボール箱Bは、4つの側面TPと、底蓋BCと、4つの蓋フラップF1~F4とを有する。4つの蓋フラップF1~F4は、底蓋BCを下にしてダンボール箱Bを上方から見た場合に、時計回りに配置されている。4つの蓋フラップF1~F4は、ダンボール箱Bの矩形状の上部開口TCの周りに位置している。図5に示されるように、蓋フラップF1及び蓋フラップF3は、上部開口TCの長辺側に設けられ、蓋フラップF2及び蓋フラップF4は、上部開口TCの短辺側に設けられる。図6は、ダンボール箱Bを底蓋BCから見た平面図である。
【0029】
製函部50は、製函用シートFBからダンボール箱Bを成形する製函動作を行う。具体的には、製函部50は、畳まれた状態の製函用シートFBを展開して、各側面TPの同じ側にある4つのフラップFを内側に折り込む。製函部50によって折り込まれる4つのフラップFは、矩形状の底蓋BCを形成する4つの底フラップF5~F8である。4つの底フラップF5~F8は、底蓋BCを下にしてダンボール箱Bを上方から見た場合に、時計回りに配置されている。図5及び図6に示されるように、底フラップF5及び底フラップF7は、底蓋BCの長辺側に設けられ、底フラップF6及び底フラップF8は、底蓋BCの短辺側に設けられる。製函部50は、最初に、底フラップF6及び底フラップF8を折り込み、次に、底フラップF5及び底フラップF7を折り込む。そのため、図6に示されるように、底フラップF5及び底フラップF7は、底フラップF6及び底フラップF8よりも外側に位置している。
【0030】
一方、製函部50によって折り込まれなかった4つのフラップFは、4つの蓋フラップF1~F4となる。ダンボール箱Bが成形された時点において、蓋フラップF1~F4は、各側面TPと略平行の立ち上がった状態にある。図5及び図6では、ダンボール箱Bの外観を分かりやすく説明するために、蓋フラップF1~F4が上部開口TCの外側に向かって傾斜している状態が示されている。
【0031】
製函部50は、主として、シート積層機構51と、移送機構52と、製函機構53とを有する。シート積層機構51は、多数の製函用シートFBを積層させる。移送機構52は、シート積層機構51に積層された複数の製函用シートFBのうちの一枚を、吸盤等によって吸着して後続の製函用シートFBから引き離し、上方へ移送して製函機構53に引き渡す(図2の矢印D1参照)。
【0032】
製函機構53は、移送機構52から引き渡された製函用シートFBを展開して、図7に示されるような角筒TBを形成する。言い換えると、製函機構53は、移送機構52から渡された板状の製函用シートFBを、筒状に変形させる(図2の矢印D2参照)。次に、製函機構53は、角筒TBの4つのフラップFから底蓋BCを作ることで、ダンボール箱Bを成形する(図2の矢印D3参照)。次に、製函機構53は、ダンボール箱Bの形状を維持するための粘着テープを底蓋BCに貼付し、下方に向かって移動させる。ダンボール箱Bは、その後、所定の下降開始位置より下方に形成された箱詰め部60に移動(落下)する(図2の矢印D4参照)。下降開始位置とは、ダンボール箱Bを下方へ搬送する場所である。
【0033】
(2-2)箱詰め部60
図8は、箱詰め部60の構成を概略的に示した斜視図である。図9は、箱詰め部60の構成を概略的に示した平面図である。図10及び図11は、箱詰め部60の構成を概略的に示した側面図である。図10は、図9の矢印Xから見た側面図である。図11は、図9の矢印XIから見た側面図である。
【0034】
箱詰め部60は、前段装置コンベアAPから搬送される物品Cを、製函部50によって成形されたダンボール箱Bの中に詰め込み、所定の数量の物品Cが詰め込まれたダンボール箱Bを後段装置コンベアASへ引き渡す(図1参照)。箱詰め部60は、主として、商品検査部61と、商品取扱部62と、箱取扱部63とを有する。
【0035】
(2-2-1)商品検査部61
商品検査部61は、箱詰め部60の上流側に設けられている。商品検査部61は、前段装置コンベアAPによって搬送されてきた物品Cの検査を行う。具体的には、商品検査部61は、物品Cの重量、物品Cに貼付されたシールの状態、及び、異物混入の有無等を検査する。商品検査部61は、所定の検査に合格した物品Cを商品取扱部62に引き渡し、所定の検査に合格しなかった物品Cを生産ラインから排出する。
【0036】
(2-2-2)商品取扱部62
商品取扱部62は、主として、第1コンベア10と、パラレルリンクロボット30とを有する。第1コンベア10は、商品検査部61から引き渡された物品Cを搬送方向に搬送する。パラレルリンクロボット30は、第1コンベア10によって搬送されてきた物品Cを、ダンボール箱Bの中に運び入れる。
【0037】
(2-2-2-1)第1コンベア10
商品検査部61から引き渡された物品Cは、第1コンベア10の上に載置される。図10に示されるように、第1コンベア10は、第1駆動ローラ11及び第1従動ローラ12に、第1無端ベルト13を掛け渡したベルトコンベアである。第1コンベア10によって搬送される物品Cは、第1無端ベルト13の上面に載せられる。
【0038】
モータ等の駆動装置(図示せず)によって第1駆動ローラ11が回転することで、第1従動ローラ12及び第1無端ベルト13が駆動し、第1無端ベルト13に載せられた物品Cが搬送方向に搬送される。第1コンベア10は、第1無端ベルト13の上に複数の物品Cが搬送方向に沿って一列に並んだ状態で、複数の物品Cを搬送する。第1駆動ローラ11は、第1従動ローラ12よりも、搬送方向において上流側に位置している。
【0039】
第1コンベア10は、商品取扱部62の上流側から、パラレルリンクロボット30のピックアップ有効範囲まで物品Cを搬送方向に搬送する。ピックアップ有効範囲とは、パラレルリンクロボット30が第1コンベア10から物品Cを取り上げることができる、第1コンベア10の第1無端ベルト13上の範囲である。
【0040】
(2-2-2-2)パラレルリンクロボット30
パラレルリンクロボット30は、第1コンベア10から物品Cを取り上げて、箱取扱部63によって搬送されてきたダンボール箱Bの中に運び入れる箱詰め動作を行うための装置である。図12は、パラレルリンクロボット30による箱詰め動作の状態遷移図である。図12は、図11と同じ方向から見た側面図である。図12(a)、図12(b)及び図12(c)の順に、箱詰め動作の状態が遷移する。
【0041】
パラレルリンクロボット30は、図8及び図12に示されるように、3組のリンクを有する。パラレルリンクロボット30は、主として、ベース32と、3本のパラレルリンクアーム34と、吸着把持部38とを備える。
【0042】
ベース32は、図9に示されるように、第1コンベア10の上方に配置される。ベース32は、箱詰め装置100のフレーム等に固定されている。3本のパラレルリンクアーム34は、それぞれ、別々のサーボモータ(図示せず)によって駆動される。3本のパラレルリンクアーム34の各上端は、それぞれ、サーボモータの各出力軸に連結されている。3本のパラレルリンクアーム34の各下端は、共通の1つの吸着把持部38に連結されている。このように、3本のパラレルリンクアーム34は、それぞれ、サーボモータの出力軸から吸着把持部38へ延びている。
【0043】
パラレルリンクロボット30は、サーボモータの各出力軸の回転量及び回転の向きを制御して、3本のパラレルリンクアーム34の各下端を水平方向及び鉛直方向に移動させることができる。これにより、パラレルリンクロボット30は、所定の三次元空間内の任意の位置に吸着把持部38を移動させることができる。
【0044】
吸着把持部38は、複数の吸着パッド(図示せず)を有している。吸着パッドは、吸着把持部38の下部に取り付けられ、真空ポンプ及び真空ブロア(図示せず)から延びている吸引チューブ36に接続されている。吸着把持部38は、吸着パッドによる物品Cの吸着把持状態及び吸着解除状態を切り替えることで、物品Cを掴んだり離したりすることができる。
【0045】
パラレルリンクロボット30は、第1コンベア10上の物品Cを吸着把持部38によって吸着して掴み、物品Cを掴んだ吸着把持部38を3本のパラレルリンクアーム34によって持ち上げて平面移動させる。その後、パラレルリンクロボット30は、第2コンベア20の上方で吸着把持部38による物品Cの吸着を解除して、第2コンベア20上を搬送されているダンボール箱Bの中に物品Cを運び入れる。パラレルリンクロボット30は、ダンボール箱Bの上部開口TCから、ダンボール箱Bの中に物品Cを運び入れる。なお、パラレルリンクロボット30は、物品Cを1つずつダンボール箱Bの中に運び入れるが、物品Cを所定の数量ずつダンボール箱Bの中にまとめて運び入れてもよい。
【0046】
パラレルリンクロボット30のピックアップ有効範囲は、吸着把持部38が移動できる範囲であるロボット可動範囲に含まれている。パラレルリンクロボット30は、ロボット可動範囲に存在する物品Cを掴んだり離したりすることができる。パラレルリンクロボット30は、第1コンベア10上のピックアップ有効範囲にある物品Cを吸着把持部38によって掴むことができ、吸着把持部38によって掴んだ物品Cを第2コンベア20上の箱詰め有効範囲にあるダンボール箱Bの中に運び入れることができる。
【0047】
(2-2-3)箱取扱部63
箱取扱部63は、主として、第2コンベア20と、フラップ折り機構40とを有する。第2コンベア20は、製函部50から引き渡されたダンボール箱Bを搬送方向に搬送する。フラップ折り機構40は、ダンボール箱Bの4つの蓋フラップF1~F4の少なくとも一部を折り広げる。
【0048】
(2-2-3-1)第2コンベア20
製函部50から引き渡されたダンボール箱Bは、底蓋BCを下にした状態で、第2コンベア20の上に載置される。図10に示されるように、第2コンベア20は、第2駆動ローラ21及び第2従動ローラ22に、第2無端ベルト23を掛け渡したベルトコンベアである。第2コンベア20によって搬送されるダンボール箱Bは、第2無端ベルト23の上面に載せられる。
【0049】
モータ等の駆動装置(図示せず)によって第2駆動ローラ21が回転することで、第2従動ローラ22及び第2無端ベルト23が駆動し、第2無端ベルト23に載せられたダンボール箱Bが搬送方向に搬送される。第2コンベア20は、第2無端ベルト23の上に複数のダンボール箱Bが搬送方向に沿って一列に並んだ状態で、複数のダンボール箱Bを搬送する。第2駆動ローラ21は、第2従動ローラ22よりも、搬送方向において下流側に位置している。
【0050】
第2コンベア20によって搬送されるダンボール箱Bは、上部開口TCの周りに4つの蓋フラップF1~F4を有している。図9に示されるように、第2コンベア20上を搬送されるダンボール箱Bでは、上部開口TCの長手方向が、搬送方向に沿って平行となり、かつ、上部開口TCの短手方向が、搬送方向に直交している。
【0051】
第2コンベア20は、パラレルリンクロボット30の箱詰め有効範囲から、箱取扱部63の下流側までダンボール箱Bを搬送方向に搬送する。箱詰め有効範囲とは、パラレルリンクロボット30が第1コンベア10から取り上げた物品Cを第2無端ベルト23に載せることができる、第2コンベア20の第2無端ベルト23上の範囲である。
【0052】
図10及び図11に示されるように、第2コンベア20の第2無端ベルト23の載置面は、第1コンベア10の第1無端ベルト13の載置面より低い高さ位置にある。
【0053】
(2-2-3-2)フラップ折り機構40
フラップ折り機構40は、ダンボール箱Bの4つの蓋フラップF1~F4の少なくとも一部を折り広げる。具体的には、フラップ折り機構40は、4つの蓋フラップF1~F4のうちの一つであるコンベア側蓋フラップF1を、ダンボール箱Bの上部開口TCの外側に向かって折り広げる。コンベア側蓋フラップF1とは、上部開口TCの外側に折り広げられた場合に、第1コンベア10に最も近い位置にある蓋フラップF1~F4である。以下において、蓋フラップF1~F4の上端とは、蓋フラップF1~F4の向き及び角度に依らず、蓋フラップF1~F4の端であって、上部開口TC側の端とは反対側の端を意味する。
【0054】
図10に示されるように、4つの蓋フラップF1~F4を上部開口TCの外側に折り広げた場合、蓋フラップF1の上端は、蓋フラップF2~F4の上端よりも、第1コンベア10により近い位置にある。そのため、コンベア側蓋フラップF1は、蓋フラップF1である。
【0055】
蓋フラップF1~F4を折り広げる動作とは、蓋フラップF1~F4の上端が上部開口TCの外側にくるように、蓋フラップF1~F4と側面TPとの連結部を折り曲げる動作である。図13は、コンベア側蓋フラップF1が折り広げられたダンボール箱Bの斜視図である。図13では、コンベア側蓋フラップF1は、ダンボール箱Bの底蓋BCと略平行になるように折り広げられている。また、図13では、コンベア側蓋フラップF1以外の蓋フラップF2~F4は、折り広げられておらず、側面TPと略平行の立ち上がっている状態にある。
【0056】
フラップ折り機構40は、所定の蓋フラップF1~F4を折り広げることができる任意の構成を有する。例えば、フラップ折り機構40は、第2コンベア20上を搬送されるダンボール箱Bが所定の位置を通過するタイミングで動作して、所定の蓋フラップF1~F4を折り広げる金属製の部材である。箱取扱部63では、フラップ折り機構40は、コンベア側蓋フラップF1のみを折り広げる。フラップ折り機構40によってコンベア側蓋フラップF1のみが折り広げられたダンボール箱Bは、さらに下流側に搬送され、パラレルリンクロボット30によって物品Cが運び込まれる。
【0057】
(3)箱詰め装置100の動作
箱取扱部63では、フラップ折り機構40によって折り広げられたコンベア側蓋フラップF1が、第1コンベア10によって搬送されている物品Cの鉛直方向の位置と同じ、又は、第1コンベア10によって搬送されている物品Cの鉛直方向の位置より下方になるように、ダンボール箱Bが搬送される。具体的には、第2コンベア20は、折り広げられたコンベア側蓋フラップF1が、第1コンベア10の載置面(搬送面)の下方に位置するように、第2コンベア20の載置面におけるダンボール箱Bの位置を調整する。これにより、第2コンベア20によって搬送されるダンボール箱Bのコンベア側蓋フラップF1は、第1コンベア10の下方に位置している。そのため、箱詰め装置100を上方から平面視すると、第2コンベア20上を搬送されるダンボール箱Bのコンベア側蓋フラップF1は、第1コンベア10の載置面と重なっている。第2コンベア20は、コンベア側蓋フラップF1が第1コンベア10の載置面の下方に位置している状態で、ダンボール箱Bを搬送方向に搬送する。
【0058】
パラレルリンクロボット30は、折り広げられたコンベア側蓋フラップF1の上方、かつ、折り広げられていない他の蓋フラップF2~F4の上端よりも下方の高さ位置において、吸着把持した物品Cを通過させて、ダンボール箱Bの中に運び入れる。すなわち、パラレルリンクロボット30によって把持された物品Cは、コンベア側蓋フラップF1の上方を通過して、ダンボール箱Bの中に運び入れられる。このとき、パラレルリンクロボット30によって運び込まれる物品Cの高さ位置は、ダンボール箱Bの側面TPの上端よりも高く、かつ、立ち上がっている蓋フラップF2~F4の上端よりも低い。
【0059】
なお、箱詰め装置100は、パラレルリンクロボット30を用いて、第1コンベア10上を搬送されている物品Cを把持して、第2コンベア20上を搬送されているダンボール箱Bの中に運び入れることができる。しかし、箱詰め装置100は、所定の時間間隔で第1コンベア10及び第2コンベア20を停止させて、停止している間に、パラレルリンクロボット30を用いて、第1コンベア10上の物品Cを把持して、第2コンベア20上のダンボール箱Bの中に運び入れてもよい。
【0060】
(4)箱詰め装置100の特徴
(4-1)
箱詰め装置100は、第1コンベア10上を搬送されている物品Cを、パラレルリンクロボット30で把持して、第2コンベア20上を搬送されているダンボール箱Bの中に運び入れる。第2コンベア20上を搬送されているダンボール箱Bは、上部開口TCの周りに4つの蓋フラップF1~F4を有する。4つの蓋フラップF1~F4のうち、コンベア側蓋フラップF1は、上部開口TCの外側に折り広げられている。パラレルリンクロボット30は、第1コンベア10に最も近いコンベア側蓋フラップF1の側から、上部開口TCを介して、把持した物品Cをダンボール箱Bの中に運び入れる。
【0061】
箱詰め装置100では、第2コンベア20の載置面は第1コンベア10の載置面よりも下方に位置している。第2コンベア20上を搬送されているダンボール箱Bの折り広げられたコンベア側蓋フラップF1が、第1コンベア10の載置面よりも下方に位置するように、第1コンベア10及び第2コンベア20の高さ位置が予め調整されている。パラレルリンクロボット30は、把持した物品Cをダンボール箱Bの中に運び入れる際に、折り広げられたコンベア側蓋フラップF1の上方、かつ、折り広げられていない他の蓋フラップF2~F4の上端よりも下方の高さ位置において、把持した物品Cを平面移動させる。
【0062】
パラレルリンクロボット30は、第1コンベア10から物品Cを吸着把持した後、物品Cを持ち上げる必要があり、また、吸着把持した物品Cをダンボール箱Bの中に入れる際に、物品Cを降ろす必要がある。仮に、コンベア側蓋フラップF1が他の蓋フラップF2~F4と同様に折り広げられていない場合、すなわち、コンベア側蓋フラップF1が側面TPと略平行になるように立ち上がっている場合、パラレルリンクロボット30は、把持した物品Cの鉛直方向のストローク(1回の箱詰め動作の間の移動距離)を、ある程度確保する必要がある。具体的には、パラレルリンクロボット30は、第1コンベア10から吸着把持した物品Cを、上部開口TCの上方に移動させるために、少なくともコンベア側蓋フラップF1の鉛直方向の寸法分だけ物品Cを持ち上げる必要がある。同様に、パラレルリンクロボット30は、ダンボール箱Bの中(上部開口TCの内側)において物品Cの吸着把持を解除する際に、落下によって物品Cが受ける衝撃を抑えるため、少なくともコンベア側蓋フラップF1の鉛直方向の寸法分だけ物品Cを降ろす必要がある。
【0063】
このように、コンベア側蓋フラップF1の側から物品Cを運び入れる場合、コンベア側蓋フラップF1が立ち上がっていると、コンベア側蓋フラップF1の鉛直方向の寸法の分、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの鉛直方向のストロークが長くなる。しかし、箱詰め装置100では、ダンボール箱Bのコンベア側蓋フラップF1は上部開口TCの外側に折り広げられているので、コンベア側蓋フラップF1が立ち上がっている場合と比較して、鉛直方向においてコンベア側蓋フラップF1が占める範囲が抑えられている。そのため、パラレルリンクロボット30は、第1コンベア10から吸着把持した物品Cを、上部開口TCの上方に移動させるために、立ち上がっているコンベア側蓋フラップF1の鉛直方向の寸法の分だけ物品Cを持ち上げる必要がない。すなわち、フラップ折り機構40によってコンベア側蓋フラップF1を予め折り広げておくことにより、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの鉛直方向のストロークが低減される。
【0064】
一般的なパラレルリンクロボットは、吸着パッドの鉛直方向における移動速度及び移動範囲は、水平方向における移動速度及び移動範囲と比べて小さい。そのため、パラレルリンクロボットでは、吸着パッドの鉛直方向のストロークが長くなるほど、物品の箱詰め能力を向上させることが難しくなる。しかし、箱詰め装置100では、物品Cをダンボール箱Bの中に運び入れる際に、フラップ折り機構40によって少なくともコンベア側蓋フラップF1が折り広げられているので、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの鉛直方向のストロークが低減される。従って、箱詰め装置100は、パラレルリンクロボット30を用いて物品Cをダンボール箱Bの中に効率的に運び入れることができる。
【0065】
(4-2)
箱詰め装置100は、フラップ折り機構40によって少なくともコンベア側蓋フラップF1を予め折り広げておくことで、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの鉛直方向のストロークを低減することができる。そのため、箱詰め装置100では、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの鉛直方向のストロークを低減するための他の機構が不要となる。そのような機構は、例えば、パラレルリンクロボット30の3本のパラレルリンクアーム34の各下端に取り付けられた上下位置変更機構である。上下位置変更機構は、物品Cを吸着把持しつつ、物品Cの鉛直方向の位置を変更するための機構である。しかし、上下位置変更機構は、モータ等の重量物を部品として有するため、上下位置変更機構の重量の分、パラレルリンクロボット30の許容ワーク重量が制限される。許容ワーク重量が制限されると、物品Cの重量が制限されたり、ダンボール箱Bの中に一度に運び入れることができる物品Cの個数が制限されたりして、物品Cの箱詰め能力が低下するおそれがある。
【0066】
しかし、箱詰め装置100は、パラレルリンクロボット30用の上下位置変更機構等を必要としない。その代わりに、箱詰め装置100は、フラップ折り機構40によって少なくともコンベア側蓋フラップF1を折り広げておくことで、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの鉛直方向のストロークを低減することができる。従って、箱詰め装置100は、フラップ折り機構40等の比較的単純な機構を用いて、パラレルリンクロボット30を用いて物品Cをダンボール箱Bの中に効率的に運び入れることができる。
【0067】
(4-3)
箱詰め装置100では、第2コンベア20は、コンベア側蓋フラップF1が第1コンベア10の載置面の下方に位置している状態で、ダンボール箱Bを搬送方向に搬送する。そのため、図9に示されるように、箱詰め装置100を上方から平面視した場合において、第2コンベア20上を搬送されるダンボール箱Bの上部開口TCを、第1コンベア10に近付けることができる。これにより、コンベア側蓋フラップF1が第1コンベア10の載置面の下方に位置していない状態と比較して、第1コンベア10上を搬送される物品Cと、第2コンベア20上を搬送されるダンボール箱Bとの間の水平方向の距離を短くすることができる。物品Cとダンボール箱Bとの間の水平方向の距離が短いほど、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの水平方向のストロークが低減される。従って、箱詰め装置100は、パラレルリンクロボット30を用いて物品Cをダンボール箱Bの中に効率的に運び入れることができる。
【0068】
(4-4)
箱詰め装置100では、フラップ折り機構40は、ダンボール箱Bのコンベア側蓋フラップF1のみを折り広げる。すなわち、第2コンベア20上を搬送されるダンボール箱Bにおいて、コンベア側蓋フラップF1以外の蓋フラップF2~F4は、折り広げられておらず、立ち上がっている状態にある。以下において、上部開口TCを挟んでコンベア側蓋フラップF1の反対側にある蓋フラップF3を、「反対側蓋フラップF3」と呼ぶ。
【0069】
箱詰め装置100では、パラレルリンクロボット30は、第1コンベア10上を搬送されている物品Cを吸着把持部38によって把持する。パラレルリンクロボット30に把持された物品Cは、水平方向において、第1コンベア10から第2コンベア20に向かって移動する。また、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの高さ位置は、コンベア側蓋フラップF1以外の蓋フラップF2~F4の上端よりも低い位置にある。
【0070】
物品Cの箱詰め能力を向上させるために、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの移動速度を増加させると、吸着把持部38に吸着されている物品Cが吸着把持部38から外れるおそれがある。しかし、物品Cが移動中に吸着把持部38から外れても、物品Cは、立ち上がっている反対側蓋フラップF3に向かって放り出されるため、放り出された物品Cは、反対側蓋フラップF3に当たってダンボール箱Bの中に落ちる可能性がある。また、吸着把持部38において物品Cの吸着の一部が外れた場合、物品Cが反対側蓋フラップF3に当たることで、吸着把持部38に物品Cが再吸着される可能性がある。従って、箱詰め装置100は、ダンボール箱Bの外に物品Cが落下したり、パラレルリンクロボット30から物品Cが外れたりする等の不具合の発生を抑えることができる。
【0071】
(5)変形例
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0072】
(5-1)変形例A
上記の実施形態では、箱詰め装置100は、フラップ折り機構40によって少なくともコンベア側蓋フラップF1を折り広げておくことで、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの鉛直方向のストロークを低減することができる。しかし、フラップ折り機構40は、コンベア側蓋フラップF1だけではなく、他の蓋フラップF2~F4もさらに上部開口TCの外側に折り広げてもよい。
【0073】
例えば、フラップ折り機構40は、さらに、コンベア側蓋フラップF1の両隣にある2つの蓋フラップF2,F4の少なくとも一方を折り広げてもよい。2つの蓋フラップF2,F4は、ダンボール箱Bの搬送方向に沿って並んでいる。以下において、搬送方向下流側の蓋フラップF2を「下流側蓋フラップF2」と呼び、搬送方向上流側の蓋フラップF2を「上流側蓋フラップF4」と呼ぶ。
【0074】
本変形例では、例えば、フラップ折り機構40は、コンベア側蓋フラップF1、下流側蓋フラップF2及び上流側蓋フラップF4を折り広げてもよい。この場合、パラレルリンクロボット30は、把持した物品Cをダンボール箱Bの中に運び入れる際に、折り広げられたコンベア側蓋フラップF1、下流側蓋フラップF2及び上流側蓋フラップF4の上方の高さ位置において、把持した物品Cを通過させて、ダンボール箱Bの中に運び入れることができる。
【0075】
そのため、以下に説明するように、パラレルリンクロボット30は、下流側蓋フラップF2及び上流側蓋フラップF4の側からも、把持した物品Cをダンボール箱Bの中に運び入れることができる。具体的には、パラレルリンクロボット30は、搬送方向に直交する方向(コンベア側蓋フラップF1の側)から物品Cを運び入れるだけでなく、搬送方向に対して傾斜している方向(下流側蓋フラップF2及び上流側蓋フラップF4の側)からも物品Cを運び入れることができる。これにより、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの水平方向のストロークが抑えられることがある。
【0076】
図14は、図9と同様の平面図であって、ダンボール箱Bの中に運び入れられる物品Cの水平方向における移動経路を説明するための図である。図14には、ダンボール箱Bの位置に応じて、第1移動経路R1、第2移動経路R2及び第3移動経路R3が、物品Cの水平方向における移動経路として示されている。なお、図14において、パラレルリンクロボット30によって把持される、第1コンベア10上の物品Cの搬送方向の位置は、一定であるとする。
【0077】
以下において、図14に示されるように、ダンボール箱Bは、コンベア側蓋フラップF1、下流側蓋フラップF2及び上流側蓋フラップF4が折り広げられている。ダンボール箱Bが第2コンベア20の上流側にある場合、第1移動経路R1は、コンベア側蓋フラップF1及び下流側蓋フラップF2の上方を物品Cが通過する経路である。ダンボール箱Bが第2コンベア20の中間(より具体的には、ベース32の近傍)にある場合、第2移動経路R2は、コンベア側蓋フラップF1の上方を物品Cが通過する経路である。ダンボール箱Bが第2コンベア20の下流側にある場合、第3移動経路R3は、コンベア側蓋フラップF1及び上流側蓋フラップF4の上方を物品Cが通過する経路である。
【0078】
このように、コンベア側蓋フラップF1だけではなく、下流側蓋フラップF2及び上流側蓋フラップF4も折り広げておくことで、パラレルリンクロボット30は、下流側蓋フラップF2又は上流側蓋フラップF4の上方を通過する経路で、物品Cをダンボール箱Bの中に運び入れることができる。図14において、下流側蓋フラップF2及び上流側蓋フラップF4が折り広げられていない場合、パラレルリンクロボット30は、第1移動経路R1の代わりに第4移動経路R4に沿って物品Cを移動させ、第3移動経路R3の代わりに第5移動経路R5に沿って物品Cを移動させる必要がある。第4移動経路R4は、コンベア側蓋フラップF1の上方のみを通過する経路であり、第1移動経路R1よりも長い。第5移動経路R5は、コンベア側蓋フラップF1の上方のみを通過する経路であり、第3移動経路R3よりも長い。そのため、下流側蓋フラップF2及び上流側蓋フラップF4を折り広げておくことで、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの水平方向のストロークを抑えることができる。
【0079】
以上より、本変形例は、図14に示されるように、第2コンベア20によってダンボール箱Bを搬送方向に搬送しながら物品Cを運び入れる場合に、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの水平方向のストロークを抑えることができる。従って、箱詰め装置100は、パラレルリンクロボット30を用いて物品Cをダンボール箱Bの中により効率的に運び入れることができる。
【0080】
(5-2)変形例B
上記の実施形態では、箱詰め装置100では、第1コンベア10及び第2コンベア20は、搬送方向に沿って並列に配置されている。しかし、第1コンベア10及び第2コンベア20は、搬送方向に沿って並列に配置されていなくてもよい。例えば、第1コンベア10上の物品Cの搬送方向と、第2コンベア20上のダンボール箱Bの搬送方向とが、互いに交差するように、第1コンベア10及び第2コンベア20が配置されてもよい。
【0081】
図15は、本変形例における、箱詰め部60の構成を概略的に示した平面図である。図15では、第1コンベア10上の物品Cの搬送方向と、第2コンベア20上のダンボール箱Bの搬送方向とは、互いに直交している。パラレルリンクロボット30は、第1コンベア10上の物品Cを把持して、第2コンベア20によって搬送されてきたダンボール箱Bの中に運び入れる箱詰め動作を行う。
【0082】
第2コンベア20上のダンボール箱Bのコンベア側蓋フラップF1は、フラップ折り機構40によって、上部開口TCの外側に折り広げられている。また、折り広げられたコンベア側蓋フラップF1は、第1コンベア10の載置面の下方を通過する。具体的には、第2コンベア20がダンボール箱Bを搬送方向に搬送している間、ダンボール箱Bのコンベア側蓋フラップF1は、第1コンベア10の下方を通過する。
【0083】
本変形例においても、箱詰め装置100は、フラップ折り機構40によって少なくともコンベア側蓋フラップF1を折り広げておくことで、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの鉛直方向のストロークを低減することができる。また、箱詰め装置100は、コンベア側蓋フラップF1が第1コンベア10の載置面の下方を通過するようにダンボール箱Bを搬送することで、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの水平方向のストロークを低減することができる。従って、箱詰め装置100は、パラレルリンクロボット30を用いて物品Cをダンボール箱Bの中に効率的に運び入れることができる。
【0084】
なお、本変形例では、変形例Aに記載のように、フラップ折り機構40は、さらに、コンベア側蓋フラップF1の両隣にある2つの蓋フラップF2,F4の少なくとも一方を折り広げてもよい。これにより、箱詰め装置100は、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの水平方向のストロークをさらに低減できるので、パラレルリンクロボット30を用いて物品Cをダンボール箱Bの中により効率的に運び入れることができる。
【0085】
(5-3)変形例C
箱詰め装置100は、第1フラップ規制部材をさらに備えてもよい。第1フラップ規制部材は、フラップ折り機構40によって折り広げられた蓋フラップF1~F4が、鉛直方向に対して90度以上、上部開口TCの外側に折り広げられている状態を維持するための部材である。
【0086】
図16は、第1フラップ規制部材の効果を説明するための図である。図16では、蓋フラップF2,F4は省略されている。図16において、第1フラップ規制部材は、第2コンベア20上を搬送されているダンボール箱Bのコンベア側蓋フラップF1が折り広げられている状態を維持する。図16は、搬送方向に沿ってダンボール箱Bを視た図である。コンベア側蓋フラップF1は、上部開口TCの外側に向かって折り広げられている。図16において、第1折り曲げ角度FA1は、点線で示されている鉛直方向と、コンベア側蓋フラップF1との間の角度である。第1フラップ規制部材は、第1折り曲げ角度FA1が90度以上となるように、コンベア側蓋フラップF1の位置を規制する。
【0087】
本変形例では、第1フラップ規制部材によって、コンベア側蓋フラップF1の上端の高さ位置は、上部開口TCと同じか、上部開口TCよりも低い位置にある。そのため、フラップ折り機構40によって一旦折り広げられたコンベア側蓋フラップF1が元に戻って、コンベア側蓋フラップF1の上端が上部開口TCよりも上方になることが防止される。コンベア側蓋フラップF1の上端が上部開口TCよりも上方になると、コンベア側蓋フラップF1の鉛直方向の寸法の分、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの鉛直方向のストロークが長くなる。従って、本変形では、箱詰め装置100は、第1フラップ規制部材によって、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの鉛直方向のストロークを効果的に低減することができる。
【0088】
また、本変形例では、第1フラップ規制部材は、必要に応じて、第1フラップ規制部材以外の蓋フラップF2~F4が上部開口TCの外側に折り広げられている状態を維持するための部材であってもよい。例えば、変形例Aにおいて、下流側蓋フラップF2及び上流側蓋フラップF4が折り広げられている状態を維持するための第1フラップ規制部材が用いられてもよい。
【0089】
なお、第1フラップ規制部材の具体的な構成は、特に限定されない。例えば、コンベア側蓋フラップF1が折り広げられている状態を維持するための第1フラップ規制部材は、コンベア側蓋フラップF1の上端部を押さえるための、搬送方向に延びる棒状部材であってもよい。
【0090】
(5-4)変形例D
箱詰め装置100は、第2フラップ規制部材をさらに備えてもよい。第2フラップ規制部材は、反対側蓋フラップF3が、鉛直方向に対して30度以上折り広げられる状態を防止するための部材である。反対側蓋フラップF3は、上部開口TCの外側に折り広げられた場合に第1コンベア10から最も遠い位置にある蓋フラップF3であり、上部開口TCを挟んでコンベア側蓋フラップF1の反対側にある蓋フラップF3である。
【0091】
図17は、第2フラップ規制部材の効果を説明するための図である。図17では、蓋フラップF2,F4は省略されている。図17において、第2フラップ規制部材は、第2コンベア20上を搬送されるダンボール箱Bの反対側蓋フラップF3が鉛直方向に対して30度以上折り広げられている状態を防止する。図17は、搬送方向に沿ってダンボール箱Bを視た図である。反対側蓋フラップF3は、上部開口TCの外側に向かって30度以上折り広げられていない。図17において、第2折り曲げ角度FA2は、点線で示されている鉛直方向と、反対側蓋フラップF3との間の角度である。第2フラップ規制部材は、第2折り曲げ角度FA2が30度以上とならないように、反対側蓋フラップF3の位置を規制する。
【0092】
本変形例では、第2フラップ規制部材によって、反対側蓋フラップF3は、実質的に常に立ち上がっている状態にある。反対側蓋フラップF3が折り広げられて鉛直方向に対して30度以上傾斜している場合、以下に説明する不具合が発生するおそれがある。
【0093】
物品Cの箱詰め能力を向上させるために、パラレルリンクロボット30に把持された物品Cの移動速度を増加させると、吸着把持部38に吸着されている物品Cが吸着把持部38から外れるおそれがある。しかし、このような場合でも、反対側蓋フラップF3が立ち上がっていると、吸着把持部38から外れた物品Cは、第1コンベア10から第2コンベア20に向かって放り出され、反対側蓋フラップF3に当たってダンボール箱Bの中に落ちる可能性がある。また、反対側蓋フラップF3が立ち上がっていると、吸着把持部38において物品Cの吸着の一部が外れた場合、物品Cが反対側蓋フラップF3に当たることで、吸着把持部38に物品Cが再吸着される可能性がある。従って、本変形例では、箱詰め装置100は、第2フラップ規制部材によって反対側蓋フラップF3の角度を規制することで、ダンボール箱Bの外に物品Cが落下したり、パラレルリンクロボット30から物品Cが外れたりする等の不具合の発生を抑えることができる。
【0094】
なお、第2フラップ規制部材の具体的な構成は、特に限定されない。例えば、反対側蓋フラップF3が立ち上がっている状態を維持するための第2フラップ規制部材は、反対側蓋フラップF3の上端部を押さえるための、搬送方向に延びる棒状部材であってもよい。また、第2フラップ規制部材によって限定される第2折り曲げ角度FA2の具体的な数値範囲は、特に限定されない。例えば、第2フラップ規制部材は、第2折り曲げ角度FA2が15度以上とならないように、反対側蓋フラップF3の位置を規制してもよい。
【0095】
(5-5)変形例E
上記の実施形態では、第1コンベア10は、連続的に物品Cを搬送し、第2コンベア20は、連続的にダンボール箱Bを搬送する。しかし、箱詰め装置100は、様々な条件に応じて、第1コンベア10によって物品Cを間欠的に搬送してもよく、第2コンベア20によってダンボール箱Bを間欠的に搬送してもよい。様々な条件とは、例えば、第1コンベア10に単位時間当たりに供給される物品Cの数及び寸法である。
【符号の説明】
【0096】
10 第1コンベア
30 パラレルリンクロボット
40 フラップ折り機構
100 箱詰め装置
B ダンボール箱(箱)
C 物品
F1~F4 蓋フラップ
TC 上部開口
【先行技術文献】
【特許文献】
【0097】
【文献】特開2012-232380号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17