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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】可搬式衣類印刷プラテン
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/02 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
B41J11/02
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018225335
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2019098751
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2021-08-31
(31)【優先権主張番号】15/732,624
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518427580
【氏名又は名称】レオ・マルティネス・ジュニア
【氏名又は名称原語表記】LEO MARTINEZ, JR.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レオ・マルティネス
(72)【発明者】
【氏名】レオ・マルティネス・ジュニア
【審査官】前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-221228(JP,A)
【文献】特開2013-252923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00 - 11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に延在する衣類受けアームを少なくとも1つ有する衣類印刷機のための機構であって、
前記衣類受けアーム上のプラテン支持部と、
前記プラテン支持部から自由に取り外し可能な可搬式プラテンとを備え、
前記可搬式プラテンは、平坦で水平な上向きの支持面を有する、水平に延在する衣類載置部を含み、
前記衣類載置部は、その上に位置付けられた衣類の少なくとも印刷受け部を前記可搬式プラテンに対して移動不能にし、かつ、前記衣類の前記印刷受け部を付勢して前記可搬式プラテンの前記上向きの支持面に接触させるための装置をさらに含み、
前記可搬式プラテンおよび前記プラテン支持部は合わせて、接合する少なくとも1つの垂直に延在する突出部および少なくとも1つの垂直に延在する凹部の位置決めセットを少なくとも1つ有し、
前記突出部および前記凹部は、前記可搬式プラテンが前記プラテン支持部上に接触して存在しているとき、垂直に互いに摺動可能かつ互いに係合可能であり、
前記突出部および前記凹部は、前記可搬式プラテンが前記プラテン支持部よりも上方に上昇しているとき、互いに係合解除するように垂直に摺動可能であり、
前記可搬式プラテンが前記プラテン支持部上に存在するとき、各位置決めセットにおける前記突出部が各位置決めセットにおける前記凹部内に延在することによって、前記可搬式プラテンは、前記プラテン支持部に対して垂直運動以外のすべての運動ができなくなるように移動不能となり、
前記可搬式プラテンが前記プラテン支持部よりも上方に上昇したとき、各位置決めセットにおける前記突出部および前記凹部は互いに係合解除して、前記可搬式プラテンが自由に移動可能になり、前記プラテン支持部から完全に分離される、機構。
【請求項2】
嵌合する突出部および凹部の複数の位置決めセットをさらに備える、請求項1に記載の機構。
【請求項3】
前記突出部は、前記プラテンから垂下する複数の位置決めピンとして形成され、
前記凹部は、前記プラテン支持部において設けられた、対応する複数の位置決め穴として形成されている、請求項2に記載の機構。
【請求項4】
上向きの静止作業面上で用いられるマスター衣類装填/取出しステーションをさらに備え、
前記マスターステーションは、平坦上面および下面を有する組立台と、前記作業面の上方に離隔して前記組立台を保持するために前記組立台の前記下面に固定されたマスター支持部とを含み、
前記組立台には、前記プラテンの前記位置決めピンを受け入れる位置決め穴が設けられ、
衣類装填/取出し位置において前記プラテンは前記組立台上に支持されており、前記位置決めピンが前記組立台における前記位置決め穴に係合することによって、前記プラテンは前記組立台に対して水平運動不能になり、
前記位置決めピンと前記位置決め穴とが互いに係合解除しているとき、前記プラテンは前記マスターステーションに対して自由に独立して移動可能である、請求項3に記載の機構。
【請求項5】
前記位置決めピンおよび前記位置決め穴は、すべて断面が円形である、請求項3に記載の機構。
【請求項6】
前記衣類はさらに前方部と後方部とを含み、それらの間に前記印刷受け部が位置しており、前記衣類はさらに捕捉部を含み、
前記衣類載置部はさらに、
下面と、前記衣類のうちの少なくとも前記印刷受け部を支持するための上面とを有する剛性ベースプレートと、
前記剛性ベースプレート上に固定された台座と、
平坦で剛性の印刷パネル支持プレートとを含み、
前記印刷パネル支持プレートは、底面と、前記平坦で水平な上向きの支持面を形成する頂面とを有し、
前記印刷パネル支持プレートの前記底面が前記台座上に固定されており、
前記印刷パネル支持プレートは、前記印刷パネル支持プレートの前記底面と前記ベースプレートの前記上面との間に対向する第1の隙間および第2の隙間を形成するように前記台座の上に張り出しており、それによって前記第1の隙間は前記衣類の前記捕捉部を受け入れるようになっており、前記衣類載置部はさらに、
前記衣類の前記前方部を付勢して前記ベースプレートの前記平坦上面に接触させるように前記衣類の前記前方部に係合可能な衣類押圧機構を含み、前記衣類載置部はさらに、
前記衣類の前記後方部に取り外し可能に係合可能な伸張装置を含み、前記伸張装置は、前記衣類の前記後方部を前記対向する隙間のうちの前記第2の隙間に付勢し、それによって前記衣類の前記印刷受け部を前後方向に伸張し、前記印刷受け部を付勢して前記印刷パネル支持プレートの前記平坦で水平な上向きの支持面に接触させることが可能である、請求項1に記載の機構。
【請求項7】
前記ベースプレートは、前後方向に延在する、横方向に離隔した1対の第1の側端縁および第2の側端縁を備えて形成されており、
前記衣類押圧機構は、
近位端および遠位端を有する押さえバーと、
前記ベースプレートの前記側端縁のうちの前記第1の側端縁に位置する連結式ダブルヒンジジョイントとを備えて形成されており、前記連結式ダブルヒンジジョイントは、水平回転軸および垂直回転軸の両方を中心とする前記押さえバーの回転を許容するように前記押さえバーの前記近位端に固定されており、前記衣類押圧機構はさらに、
前記ベースプレートの前記側端縁のうちの前記第2の側端縁に位置する押さえバー留め具を備えて形成されており、
前記押さえバーは、展開位置および収納位置まで回転可能であり、
前記展開位置では、前記押さえバーは、前記ベースプレートの前記上面の上方において前記ベースプレートから離隔して前記ベースプレートにわたって延在し、かつ、前記衣類の前記前方部を前記ベースプレートの前記上面に押し付けるように前記押さえバー留め具に係合可能であり、
前記収納位置では、前記押さえバーは、前記ベースプレートの前記側端縁のうちの前記第1の側端縁に沿って延在する、請求項6に記載の機構。
【請求項8】
ブルヒンジ装置および前記押さえバー留め具はともに、前記ベースプレートの前記上面の高さ以下の位置まで移動可能である、請求項7に記載の機構。
【請求項9】
前記プラテン支持部は、前記衣類印刷機の前記衣類受けアームから分離可能であり、
前記プラテン支持部の下面には垂下位置決めデバイスが設けられ、前記垂下位置決めデバイスは、前記プラテン支持部が前記衣類受けアーム上に支持されているとき、前記衣類印刷機の前記衣類受けアーム上の対応する位置決めレセプタクルに嵌合することによって、前記衣類受けアームに対する前記プラテン支持部の水平運動を防止する、請求項1に記載の機構。
【請求項10】
前記垂下位置決めデバイスおよび前記対応する位置決めレセプタクルのうちの少なくとも一部は、前記プラテン支持部が前記衣類受けアームに対して水平運動することを抑止するが、自由に垂直運動することは許容する、請求項9に記載の機構。
【請求項11】
プラテン支持部が固定されて水平に延在する衣類受けアームを少なくとも1つ有する衣類印刷機のための、プラテンおよび前記プラテン支持部の機構であって、
前記プラテンは前記プラテン支持部から自由に取り外し可能であり、
前記プラテンは、水平に延在する衣類載置部を含み、前記衣類載置部は、外縁のある平坦で水平な上向きの衣類支持面を有し、
前記衣類載置部は、その上に位置付けられた衣類の少なくとも印刷受け部を前記プラテンに対して移動不能にし、かつ、前記衣類の前記印刷受け部を付勢して前記プラテンの前記水平で上向きの衣類支持面に接触させるための装置をさらに含み、
前記プラテンおよび前記プラテン支持部は合わせて、接合する少なくとも1つの垂直に延在する突出部および少なくとも1つの垂直に延在する凹部を有し、
前記突出部および前記凹部は、前記プラテンが前記プラテン支持部上に接触して存在しているとき、垂直方向に互いに摺動可能に係合可能であり、
前記突出部および前記凹部は、前記プラテンが前記プラテン支持部よりも上方に上昇して前記プラテン支持部から垂直方向に離隔しているとき、垂直方向に互いに摺動可能に係合解除可能であり、
前記プラテンが前記プラテン支持部上に存在するとき、前記突出部が前記凹部内に延在することによって、前記プラテンは、前記プラテン支持部に対して垂直運動以外のすべての運動ができなくなるように移動不能となり、
前記プラテンが前記プラテン支持部よりも上方に上昇したとき、前記突出部および前記凹部は互いに係合解除して、前記プラテンが前記プラテン支持部から自由に完全に分離される、機構。
【請求項12】
前記プラテン支持部は、前記衣類印刷機の前記衣類受けアームから分離可能であり、
前記プラテン支持部の下面には垂下位置決めデバイスが設けられ、前記垂下位置決めデバイスは、前記衣類印刷機の前記衣類受けアーム上の対応するレセプタクルに嵌合することによって、前記衣類受けアームに対する前記プラテン支持部の垂直方向以外の運動を防止する、請求項11に記載の機構。
【請求項13】
前記垂下位置決めデバイスの少なくとも一部の断面は長さに沿って均一であり、それによって、前記衣類受けアームに対する前記プラテン支持部の垂直運動が制御可能である、請求項12に記載の機構。
【請求項14】
前記衣類載置部は、
上面および下面を有する平坦ベースプレートと、
前記上向きの衣類支持面を形成する平坦上面を有する印刷パネル支持プレートと、
前記印刷パネル支持プレートと前記ベースプレートの前記上面との間に少なくとも1つの隙間を形成するように前記ベースプレートと前記印刷パネル支持プレートとの間に介在するスペーシング機構とを含み、前記衣類載置部はさらに、
前記ベースプレートの前記下面に固定された、長手方向に延在する互いに平行な1対のガイド片を含み、
前記プラテン支持部は互いに平行な側端縁を有し、前記プラテン支持部の幅は長さに沿って均一であり、
前記プラテンが前記プラテン支持部上へ降下したとき、前記ガイド片は、前記プラテン支持部の前記側端縁に沿って存在することによって、前記プラテンの前記ベースプレートと前記プラテン支持部との間の横方向の相対運動を防止する、請求項11に記載の機構。
【請求項15】
接合する前記少なくとも1つの垂直に延在する突出部は、前記衣類載置部から垂下しており、
少なくとも1つの垂直に延在する凹部が設けられた組立台を含むマスター衣類装填/取出しステーションをさらに備え、前記少なくとも1つの垂直に延在する凹部は、前記少なくとも1つの垂直に延在する突出部を受け入れて当該突出部と接合して係合するように構成されており、
前記組立台に対する前記ベースプレートの横方向運動を防止するように、前記組立台は、前記プラテン支持部の前記幅と等しい均一な距離だけ互いに離隔する側端縁を有し、
前記組立台には、少なくとも1つの位置決め凹部が設けられるとともに、横方向に延在する窓が前記組立台を貫通して設けられており、
横方向に延在する回転軸を中心として回転し、前記組立台の前記横方向に延在する窓を通って突き出るように前記マスターステーションに装着された円柱状ローラをさらに備え、
前記プラテンの前記ベースプレートにも、横方向に延在する窓が貫通して設けられており、
前記プラテンが前記組立台上に位置付けられ、前記垂直に延在する突出部が前記組立台における前記垂直に延在する凹部と接合して係合して存在するとき、前記ローラは、前記組立台の前記窓および前記ベースプレートの前記窓を通って突き出るようになっている、請求項14に記載の機構。
【請求項16】
前記印刷パネル支持プレートは、外縁を有し、前記スペーシング機構は、前記ベースプレートにおける前記窓から長手方向に離れて位置する、横方向に延在するスペーシング片を含み、
前記衣類の少なくとも前記印刷受け部を移動不能にするための前記装置は、前記印刷パネル支持プレート上に取り外し可能に位置付けられたフレームを含み、前記フレームは、前記上向きの衣類支持面の前記外縁の上方に存在して前記外縁を下向きに押圧する、請求項15に記載の機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、衣類上に画像を印刷するための機械の改良、および、衣類上に印刷するための改良された方法に関する。本発明の改良は、デジタル印刷機および手動スクリーン印刷機の両方に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
先行技術の説明
シャツ、スカーフ、およびズボンなどの衣類上に画像を印刷するための手動式の機械が、かなり長い間使用されてきた。単色のデザインをプリントする簡易なバージョンでは、機械は、スクリーンがプラテンの上方に位置する状態でプラテンを支える単一のアームを有する。シャツなどの衣類は、プラテン上に手動で装填され、プラテン上の予め定められた位置に手動で位置付けられる。スクリーンが衣類上へ降下し、スクリーンを通してインクが塗布される。スクリーンはマスクを有する。このマスクにより、マスクの無い1または複数の位置においてのみインクが衣類に転写される。インクが塗布されると、スクリーンが持ち上げられる。衣類がプラテンから取り除かれ、デザインを施すべき次の衣類がプラテンに手動で装填される。印刷済みの衣類はコンベア上に置かれ、インクを乾燥させる加熱機に通される。
【0003】
複数の色のデザインを施す場合には、より複雑なタイプの衣類印刷機が必要である。衣類上に多色デザインを印刷するための典型的な従来型手動スクリーン印刷機には、多数のアームが中央ハブ上に取付けられたデバイスが使用され得る。各アームは1つのスクリーンを保持する。ハブまたはターンテーブルが回転することによって、各スクリーンは、印刷対象の衣類を載置するプラテンと順次アライメントされる。プラテンとアライメントされた印刷スクリーンは、印刷ステーションで衣類に接触するように降下する。各スクリーンはマスクを含む。このマスクにより、スクリーンの真下に位置する1または複数の一定の領域においてのみインクが塗布される。各ステーションでは、インクがスクリーン上に広がり、インクはマスクの無い1または複数の位置において衣類上にプリントされる。各スクリーンを通して、衣類上にさまざまな色のインクが塗布される。
【0004】
各回転アーム上のスクリーンは順次進み、スクリーン毎に使用される色のインクを塗布する。スクリーン毎にマスクが異なっているため、衣類が載置されたプラテン上でスクリーンが一巡し終わると、衣類上には異なる色のデザインがプリントされている。最後のスクリーンの後に衣類が取り除かれて、未印刷の新たな衣類がプラテン上に装填される。次の衣類上への印刷のために再びスクリーンが進むのは、印刷済みの衣類がプラテンから取出され、かつ、印刷対象の新たな衣類がプラテン上に載置された後である。各衣類が完成すると、衣類は最後のスクリーンの後にプラテンから手動で取り除かれ、コンベア上に置かれる。このコンベアは、インクを乾燥させるために加熱装置に衣類を通すものである。
【0005】
デジタル印刷機も考案されており、現在、商業用に広く使用されている。それらの機械は、コンピュータから紙上に単語やデザインを印刷するためのインクジェット印刷機とやや似た方法で動作する。デジタル衣類印刷機には、当該機械における単一の印刷ステーションに対して伸展および後退する単一の衣類受けアームが設けられている。印刷対象の衣類を載せるためのプラテンは、印刷ステーションに対して伸展および後退する衣類受けアームの端部に固定されている。
【0006】
デジタル印刷では、アームが伸展しているときに、デジタル印刷機の衣類受けアームの端部のプラテン上に、衣類が手動で装填される。印刷対象の次の衣類がその上に載置されると、印刷ステーションにおいて、コンピュータ化され予め選択されたデザインを衣類に印刷するために、アームが機械内に後退する。デジタル印刷では、インクジェットは、印刷対象の衣類にかなり近づくが、接触はしない。印刷が完了すると、衣類受けアームが印刷ステーションから延び、衣類をプラテンから手動で取り除くことができる。依然としてプラテンがデジタル型印刷機の衣類受けアームに固定されて適所に位置している状態で、印刷対象の新たな未印刷の衣類がプラテン上に装填される。衣類に印刷する周期的な処理が繰り返される。
【0007】
従来の衣類印刷機では、衣類印刷機アームに取付けられた印刷プラテンにおいて衣類を装填し、取出すのにかなりの時間が費やされる。従来の装置を用いると、印刷済みの衣類をプラテンから取り除いて印刷対象の次の衣類に交換する間、取出しおよび再装填が行われるべきプラテンは印刷機の衣類受けアームに取付けられて静止したままである。従来のプラテンでは、取出しおよび再装填を行なうのにおよそ16秒かかる。この間は、印刷は行なわれない。印刷を再開することができるのは、新たな衣類がプラテン上に配置された後である。印刷処理自体にはおよそ30秒かかる。したがって、プラテンにおいて取出しおよび再装填を行ない、かつ衣類に印刷を施す全サイクルには、およそ46秒かかる。
【0008】
しかしながら、本発明では、印刷済みの衣類を載せたプラテンを印刷機から取り除き、印刷対象の新たな衣類が載置された同一のプラテンと交換するのに必要な時間は、わずか約4秒である。別のプラテン上に前に装填された衣類上に印刷機が画像を印刷している間に、印刷機の近傍の衣類取出し/装填ステーションでは、印刷済みの衣類がプラテンから取出され、印刷対象の新たな衣類が当該プラテンに再装填される。したがって、印刷対象の各衣類について印刷機が停止している時間は、16秒に代えてわずか約4秒である。このことは、衣類取出しおよび再装填の効率が400%向上したことを表わしている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
衣類印刷機における衣類の取出しおよび再装填の大幅な効率の向上は、可搬式衣類印刷プラテンを設けることによって可能になる。実際には、複数の同一の可搬式衣類印刷プラテンが採用される。本発明のプラテンは、衣類印刷機の衣類受けアーム上の位置に留まるのではなく、そこから自由に取り外し可能である。ただし、本発明のプラテンは、実際の印刷処理の際には印刷位置にしっかりと保持され、衣類受けアームに対する如何なる水平運動も抑止される。
【0010】
印刷済みの衣類を載せたプラテンが印刷機によってステーションまで運ばれび、そこで衣類が取り除かれる際に、衣類だけなく、当該衣類が載置されているプラテン全体が衣類印刷機のプラテン受けアームから取り除かれ、別のプラテンと素早く交換される。この別のプラテンには、新たな衣類が既に予め装填され、印刷用に載置されている。印刷位置に配置された衣類上に機械が印刷している間、同時に操作者は、近傍のマスター取出し/装填ステーションにおいて、ちょうど印刷機から取り除かれたばかりのプラテンから印刷済みの衣類を取出し、次いで、そのプラテンを印刷対象の新たな衣類が載った別のプラテンに置き換える。これは、機械の衣類受けアームに配置されたプラテンに載置された衣類上に機械がまだ印刷している間に、同時に行なわれる。印刷済みの衣類を取出し、マスターステーションにおいて印刷対象の次の衣類でプラテンを再装填する処理が要する時間は、機械が行なう実際の印刷処理が要する時間よりも短い。したがって、前の衣類の印刷が完了する前に、印刷対象の次の衣類が予め装填されたプラテンが印刷機の衣類受けアーム上に既に移されている。結果として、印刷の後に衣類受けアームが伸展した際、新たに印刷された衣類を載せたプラテンは操作者によって取り除かれるように機械によって配置されている。印刷済みの衣類が載置されたプラテンを取り除くとすぐに、新たに装填されたプラテンを衣類受けアーム上に載置することが可能である。衣類を載せたプラテン同士の交換にかかる時間は、わずかおよそ4秒である。
【0011】
同一に構成された互換性のある複数のプラテンを用いることによって、説明したような取出しおよび再装填の処理の時間節約を達成することができる。各プラテンは特殊な組み立てを必要とせず、印刷機の変更を必要としない設計となっている。むしろ、印刷機に嵌合するように構成されたマスタープラテン支持部が設けられている。また、マスタープラテン支持部は、その内部に落とし込まれる各プラテンを受け入れるように構成されている。各プラテンはマスタープラテン支持部に嵌合し、さらに従来の衣類印刷機の既存の衣類受けアームに嵌合する。デジタル印刷またはスクリーン印刷のいずれにおいても、従来の衣類印刷機の変更は必要ない。むしろ、マスタープラテン支持部によって、本発明に従って構成された可搬式プラテンは、従来の衣類印刷機のさまざまな機種に使用されるように適合される。
【0012】
本発明の1つの広い局面は、水平に延在する衣類受けアームを少なくとも1つ有する衣類印刷機のための機構であるとみなされ得る。機構は、衣類受けアーム上のプラテン支持部と、プラテン支持部から自由に取り外し可能な可搬式プラテンとを備える。プラテンは、平坦で水平な上向きの支持面を有する、水平に延在する衣類載置部を含む。載置部は、その上に位置付けられた衣類の少なくとも印刷受け部をプラテンに対して移動不能にするための装置をさらに含む。この装置は、衣類の印刷受け部を付勢してプラテンの上向きの支持面に接触させる。プラテンおよびプラテン支持部は合わせて、接合する少なくとも1つの垂直に延在する突出部および少なくとも1つの垂直に延在する凹部の位置決めセットを少なくとも1つ有する。突出部および凹部は、プラテンがプラテン支持部上に接触して存在しているとき、垂直に互いに摺動可能かつ互いに係合可能である。各セットの突出部および凹部は、プラテンがプラテン支持部よりも上方に上昇しているとき、互いに係合解除するように垂直に摺動可能である。プラテンがプラテン支持部上に支持されるとき、突出部が凹部内に延在することによって、プラテンは、プラテン支持部に対して垂直運動以外のすべての運動ができなくなるように移動不能となる。プラテンがプラテン支持部よりも上方に上昇したとき、各セットにおける突出部および凹部は互いに係合解除して、プラテンが自由に移動可能になり、プラテン支持部から完全に分離される。
【0013】
単一の突出部と単一の凹部とを含む単一の位置決めセットを用いてシステムを動作可能にしてもよい。そのような実施形態では、突出部および凹部の各々は、接合する非円形の断面を有するように構成されなければならない。たとえば、突出部および凹部はともに、接合する多角形または長円形の断面を有してもよい。凹部の断面寸法は、突出部の断面寸法よりもほんのわずかに大きい。それにより、突出部は凹部に滑らかに嵌合するが、凹部に対する垂直方向以外の如何なる運動も防止される。突出部がプラテンから下向きに延在するように形成され、凹部がプラテン支持部に形成されてもよい。逆に、凹部がプラテンに形成され、突出部がプラテン支持部から上向きに延在してもよい。そのようなすべての変形例が本発明の範囲内に包含される。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、プラテンおよびプラテン支持部には突出部および凹部の位置決めセットが複数設けられており、突出部および凹部はすべて、接合する円形の断面を有する。また、好ましくは、突出部はプラテンから下向きに延在するように形成され、接合する凹部はプラテン支持部に形成されている。
【0015】
別の広い局面において、本発明は、プラテン支持部が固定されて水平に延在する衣類受けアームを少なくとも1つ有する衣類印刷機のための、可搬式プラテンおよびプラテン支持部の組み合わせであるとみなされ得る。可搬式プラテンはプラテン支持部から自由に取り外し可能である。可搬式プラテンは、水平に延在する衣類載置部を含み、衣類載置部は、外縁のある平坦で水平な上向きの衣類支持面を有する。載置部は、その上に位置付けられた衣類の少なくとも印刷受け部を可搬式プラテンに対して移動不能にし、かつ、衣類の印刷受け部を付勢して可搬式プラテンの水平で上向きの衣類支持面に接触させるための装置をさらに含む。可搬式プラテンおよびプラテン支持部は合わせて、接合する少なくとも1つの垂直に延在する突出部および少なくとも1つの垂直に延在する凹部を有する。突出部および凹部は、可搬式プラテンがプラテン支持部上に接触して存在しているとき、垂直方向に互いに摺動可能に係合可能である。突出部および凹部は、可搬式プラテンがプラテン支持部よりも上方に上昇してプラテン支持部から垂直方向に離隔しているとき、垂直方向に互いに摺動可能に係合解除可能である。可搬式プラテンがプラテン支持部上に存在するとき、突出部が凹部内に延在することによって、可搬式プラテンは、プラテン支持部に対して垂直運動以外のすべての運動ができなくなるように移動不能となる。可搬式プラテンがプラテン支持部よりも上方に上昇したとき、突出部および凹部は互いに係合解除して、可搬式プラテンがプラテン支持部から自由に完全に分離される。
【0016】
本発明は、前方部と、後方部と、それらの間に位置する印刷受け部と、捕捉部とを有する柔軟性のある衣類上に印刷する際に使用する可搬式プラテンとしても説明され得る。可搬式プラテンは、剛性ベースプレートと、剛性ベースプレート上に固定された台座と、平坦で剛性の印刷パネル支持プレートと、ベースプレートの下面から垂直に垂下する複数の位置決め突出部と、衣類押圧機構と、伸張挿入部とを含む。平坦で剛性の印刷パネル支持プレートは、底面および平坦頂面を有し、印刷パネル支持プレートの底面が台座上に固定されている。印刷パネル支持プレートは、印刷パネル支持プレートの底面とベースプレートの上面との間に対向する第1および第2の隙間を形成するように台座の上に張り出している。第1の隙間は衣類の捕捉部を受け入れる。衣類押圧機構はベースプレートに取付けられている。衣類押圧機構は、衣類の前方部を付勢してベースプレートの平坦上面に接触させるように衣類の前方部に係合可能である。伸張挿入部は、衣類の後方部に取り外し可能に係合可能であり、かつ、対向する隙間のうちの第2の隙間に挿入可能である。伸張挿入部は、衣類の後方部を対向する隙間のうちの第2の隙間に押し込み、それによって衣類の印刷受け部を前後方向に伸張する。これにより、衣類の印刷受け部が付勢されて印刷パネル支持プレートの平坦頂面に接触する。
【0017】
印刷が施される衣類の大多数は、Tシャツおよびスウェットシャツなどのシャツである。帽子などの他のタイプの衣類にも、本明細書で前述したタイプの従来のスクリーン印刷機およびデジタル印刷機を用いてデザイン、ロゴ、および文字がプリントされる。本発明は、シャツ、帽子だけでなく、ショートパンツ、ズボン、スカーフ、および他のすべてのタイプの衣類を含む、事実上如何なるタイプの衣類にも適用可能である。
【0018】
帽子への印刷は、他のタイプの衣類への印刷の際には直面しない困難を伴う。なぜなら、帽子は、本質的には、デザイン、ロゴ、および文字の印刷が容易な平坦面にすることが容易ではないからである。本発明は、帽子の前額領域およびひさし領域またはバイザー領域の両方に印刷することを容易にする特有の構成を有する可搬式プラテンを提供する。
【0019】
帽子上への印刷に特に適用可能である本発明の可搬式プラテンは、前パネル包囲ロックシステムを採用する。これにより、帽子の迅速な装填および取出しが容易になるような態様で、印刷機操作者は印刷パネル支持プレートの平坦頂面上に帽子を押し込んで固定することができる。さらに、帽子のひさしの上部が平らにされるため、従来の衣類印刷機の印刷機構を妨げることなく、かつ、鮮明な印刷が可能になる。
【0020】
本発明のプラテンは、スクリーン印刷機およびデジタル印刷機の両方に用いられ得る。プラテンは、図版または他の印刷物が衣類の適切な位置に正確に印刷されるように、衣類をしっかりと適所に保持する。多くの従来の衣類印刷システムとは異なり、本発明のプラテンは、衣類をプラテンの印刷受け支持面に対して移動不能に保持するためのクランプもクリップも使用しない。
【0021】
さらに別の広い局面において、本発明は、印刷受け部を有する衣類を受けるように適合された複数のプラテンを用いて衣類にプリントする方法である。各プラテンは、平坦頂面と、好ましくは、少なくとも1つの位置決め突出部が垂直に垂下する下面と、衣類の印刷受け部を付勢してプラテンの平坦頂面に接触させるように衣類に係合可能な衣類押圧機構とを備える。本発明の方法は、印刷対象の衣類をプラテンのうちの第1のプラテン上に載置するステップと、衣類押圧機構を用いて、衣類の印刷受け部を付勢してプラテンの平坦頂面に接触させるステップと、印刷機の衣類受けアームに取付けられたプラテン支持部から複数のプラテンのうちの第2のプラテンを垂直に上向きに持ち上げることによって、印刷機によって既にインクでプリントが施された衣類が載置された第2のプラテンを取り除くステップと、第1のプラテンを衣類支持部上に置くことによってプラテンを交換し、第1のプラテンを、プラテン支持部に対して垂直運動以外はすべて移動不能にするステップとを含む。プラテンの下面から垂下する位置決めピンが設けられている場合には、位置決めピンがプラテン支持部における対応する穴に嵌合することによって、この機能が果たされる。本発明の印刷処理は、第1のプラテン上に載置された衣類の印刷受け部上にインクをプリントするように印刷機を作動させるステップによって続行される。その後、第1のプラテンをプラテン支持部から垂直に上向きに持ち上げることによって、プラテン支持部から第1のプラテンが取り除かれる。次いで、第1のプラテン上に載置された衣類が第1のプラテンから取り除かれる。
【0022】
本発明は、添付の図面を参照することによって、より明確かつ特定的に説明され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図面の説明
図1】水平に延在する1つの衣類受けアームと、衣類受けアームに取付けられた本発明に従うプラテン支持部とを有するデジタル型衣類印刷機であって、他の点では従来のデジタル型衣類印刷機の斜視図である。
図2】本発明に従って構成され、印刷対象の帽子を載置した可搬式プラテンを、プラテン支持部上に配置した状態で示す、図1のデジタル型衣類印刷機の斜視図である。
図3図2に示す可搬式プラテンの一部を、載置した帽子を除いた状態で示す上面図である。
図4図3における線4-4に沿った側面図である。
図5図3に示す可搬式プラテンの一部の側面図である。
図6図4の可搬式プラテンを、その下に設置して使用されるマスター衣類取出し/装填ステーションとともに示す、分解断面図である。
図6A図6における線6A-6Aに沿った、マスター衣類取出し/装填ステーションの組立台の上面図である。
図7】衣類押圧機構の係合前に、図4に示すプラテンに印刷対象の帽子を載置した状態の上面図である。
図8図7に示すプラテンおよび帽子の上面図であって、帽子の前方部が付勢されてプラテンベースプレートの平坦上面に接触するように衣類押圧機構が係合した状態を示す図である。
図9図6に示すマスター衣類取出し/装填ステーション上にプラテンが配置されている、図8の線9-9に沿った断面図である。
図10図1に示すプラテン支持部上にプラテンが配置されている、図8の線9-9に沿った断面図である。
図11図1に示すプラテン支持部を分離して示す上面図である。
図12図11に示すプラテン支持部の底面図である。
図13図11に示すプラテン支持部の側面図である。
図14】帽子が装填されたプラテンを、図1および図10に示すプラテン支持部の上方に持ち上げた状態で示す側面図である。
図15図1に示す衣類受けアームを、プラテン支持部を取り除いた状態で示す斜視図である。
図16図15に示す衣類受けアームの上面図である。
図17図8に示す可搬式プラテンの上面図であって、図1および図2に示す衣類印刷機によって帽子上にデザインがプリントされた後、その帽子が載置されている状態を示す図である。
図18図1および図2に示すデジタル型衣類印刷機を用いてプリントを施すシャツを受けるのに好適な、本発明に従って構成されたプラテンの底面図である。
図19】手動または自動のスクリーン印刷機の衣類受けアームに取付けるのに好適なプラテン支持部の上面図である。
図20図19に示すプラテン支持部の底面図である。
図21図19に示すプラテン支持部の端面図である。
図22図19に示すプラテン支持部上に取付けられた、図3に示すプラテンの上面図である。
図23図14に示すプラテンを、帽子が装填され、図19図21に示すプラテン支持部上に配置された状態で示す断面図である。
図24図22に示すプラテンおよびプラテン支持部をスクリーン印刷機の衣類受けアームに取付けた状態で示す、従来の手動スクリーン印刷機の斜視図である。
図25】本発明に従って構成された可搬式プラテンの代替的な実施形態の分解斜視図である。
図26図25に示す可搬式プラテンの底面図である。
図27図25に示す可搬式プラテンの上面図である。
図28】本発明に従って構成されたマスター衣類取出し/装填ステーションの他の実施形態の上方に位置する、図25の可搬式プラテンを示す分解側面図である。
図29図28に示すプラテンおよびマスター衣類取出し/装填ステーションの分解断面図である。
図30図28における線30-30に沿った上面図である。
図31図28における線31-31に沿った上面図である。
図32】シャツが装填され、図28のマスター取出し/装填ステーション上に係合しているプラテンを示す側断面図である。
図33A】シャツが装填されているプラテンの一部を拡大して詳細に示す、図32において33Aで表示される図である。
図33B】シャツが装填されているプラテンの一部を拡大して詳細に示す、図32において33Bで表示される図である。
図34】衣類押圧フレームを取付ける前の、図25に示すプラテンの上面図である。
図35】シャツが装填された図25のプラテンの断面図であって、当該プラテンがプラテン支持部の代替的な実施形態(図25のプラテンを受けるように構成され、図1および図2に示すデジタル印刷機で使用されるように適合されている)の上方に位置し、かつ、当該プラテン支持部から係合解除した状態の図である。
図36図35の装填プラテンの断面図であって、装填プラテンが図35に示すプラテン支持部上へ降下してそこに係合した状態を示しており、図1および図2のデジタル印刷機の衣類受けアームを想像線で示している。
図37図35における線37-37に沿ったプラテン支持部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施形態の説明
図1は、水平に延在する衣類受けアーム12を有する従来のデジタル型印刷機10を示す。本発明に従って構成されたプラテン支持部14が、水平に延在する衣類受けアーム12の突出端部に載置されている。衣類受けアーム12は、衣類印刷機10のコンソール11から離れる方向に外側に向かって延在しており、作業台13の上方に存在している。デジタル型印刷機10は、たとえばブラザーGT381であってもよい。ただし、本発明は多くの市販のデジタル型衣類印刷機で利用され得る。
【0025】
本明細書全体における参照用として、前方向、後方向、および長手方向は、印刷機10上の衣類受けアーム12のアライメントに平行であるとみなされるべきである。前方はコンソール11に向かう方向を指し、後方はコンソール11から離れる方向を指す。また、前方はデジタル型印刷機10のコンソール11に最も近い位置も指す。一方、後方および後部はそれぞれ、デジタル型印刷機10のコンソール11から最も離れる方向および位置を指す。横方向は、衣類受けアーム12のアライメントに垂直の方向またはアライメントを指す。
【0026】
衣類受けアーム12は、衣類印刷機コンソール11に対して後方または後方向に延在しているとみなしてもよい。また、本発明の機構は、可搬式プラテン16も含む。図2および図10に示すように、可搬式プラテン16はプラテン支持部14から自由に取り外し可能であり、プラテン支持部14に係合可能でもある。
【0027】
図4図7に示すように、可搬式プラテン16は、平坦剛性ベースプレート20を含む、水平に延在する衣類載置部18を含む。平坦剛性ベースプレート20は、概ね不規則な六角形の形状をしており、下面24と、上面22と、幅の狭い互いに平行な1対のガイド片26とを有する。ベースプレート20の長さは約6 1/2インチであり、幅は約7 1/4インチである。ガイド片26は、下面24の横方向端部において下面24から垂下しており、前後方向に延在している。長手方向に延在するガイド片26は、矩形断面を有しており、ちょうどプラテン支持部14の幅を収容するようにガイド片26同士が離れている。ガイド片26の目的は、衣類受けアーム12の後端に固定されたプラテン支持部14上の横方向中央にベースプレート20が配置されることを確実にすることである。
【0028】
載置部18は、衣類(図2図7図10に示すように、帽子32であってもよい)の少なくとも印刷受け部30を移動不能にするための装置をさらに含む。また、この移動不能化装置は、帽子32の印刷受け部30を付勢して、可搬式プラテン16の上向きの支持面42に接触させる。
【0029】
図14に最もよく示されるように、帽子32は、前方部34(帽子32のひさしまたはバイザー)、印刷受け部30、後方部36、および、帽子32の印刷受け部30と前方ひさし部34との間に位置する捕捉部38を有する。図17に最もよく示されるように、印刷受け部30は、帽子32の頭頂部の前面の前額領域、帽子のひさし34の後方部、またはそれらの両方を含んでもよい。
【0030】
プラテン16の移動不能化装置は、剛性ベースプレート20の上面22上に固定された台座40と、底面44および平坦な上部印刷受け支持面46を有する平坦で剛性の印刷パネル支持プレート42とを含む。印刷パネル支持プレート42は、その底面44が台座40上に固定されている。印刷パネル支持プレート42は、対向する第1および第2の隙間48および50を形成するように台座40上に張り出している。隙間48および50は、印刷パネル支持プレート42の底面44とベースプレート20の上面22との間に位置する。
【0031】
図10に示すように、第1の隙間48は、その内部に帽子32の捕捉部38を受け入れる。移動不能化装置は、衣類押圧機構52も含む。衣類押圧機構52はベースプレート20に取付けられており、帽子32の前方ひさし部34と係合することによって、帽子32の前方ひさし部34をベースプレート20の平坦上面22に接触するように付勢することが可能である。移動不能化装置は、帽子32の後方部36に係合可能な伸張挿入部54(図6および図7図10に図示)をさらに含む。伸張挿入部54は、好ましくは平坦で略矩形の薄板状プラスチックの形状である。帽子32の後方部36の生地に伸張挿入部54が押し付けられることによって、伸張挿入部54は対向する隙間48および50のうちの第2の隙間(具体的には、隙間50)内に挿入し、帽子34の後方部36を隙間50内に押し込むことができる。これにより、帽子32の印刷受け部30が前後方向に伸張し、印刷パネル支持プレート42の水平かつ上向きの平坦な頂面46に接触するように付勢される。
【0032】
図2図10に示す可搬式プラテン16の実施形態では、印刷パネル支持プレート42は、図3に示すように上方から見たときに横長形であり、前後方向の長さが約4インチであり、最大横方向寸法の幅が約7インチ以下である。第1および第2の隙間48および50は、垂直方向の幅が約3/16インチ以下であることが好ましい。これらの寸法は、単語、ロゴ、および他の画像が印刷される最も一般的なサイズの帽子を収容するのに好適である。
【0033】
ベースプレート20は、横方向に離隔した1対の第1および第2の側端縁60および62(図3に図示)を備えて形成されている。側端縁60および62は前後方向に延在する。衣類押圧機構52は、近位端66と遠位端68とを有する押さえバー64を備えて形成されている。衣類押圧機構52は、ベースプレート20の第1の側端縁60に位置する連結式ダブルヒンジジョイント70を有する。ダブルヒンジジョイント70は、押さえバー64が水平回転軸72および垂直回転軸74の両方を中心として回転可能となるように、押さえバー64の近位端66に固定されている。押さえバー留め具76は、ベースプレート20の第2の側端縁62における前方先端に位置する。したがって、押さえバー64は、ベースプレート20の上面22から上方に離隔してベースプレート20にわたって延在する展開位置まで回転可能である。図8図10に示すように、押さえバー64は、帽子32の前方ひさし部34をベースプレート20の上面22に押し付けるように、押さえバー留め具76に係合可能である。また、図7に示すように、押さえバー64は第1の側端縁60に沿って延在する収納位置まで回転可能である。
【0034】
ダブルヒンジジョイント70は、水平に突出したヒンジブロック80によって形成されている。ヒンジブロック80は、ベースプレート20の側端縁60においてガイド片26から横方向外側に向かって突き出ており、その内部を通る垂直回転軸74を規定する。また、ダブルヒンジジョイント70は、垂直に突出したヒンジブロック82も含む。ヒンジブロック82は、その下端が、横方向に延在するヒンジブロック80の前方端に固定されている。垂直に突出したヒンジブロック82の上端は、1対の耳部86を備えて形成されている。1対の耳部86は水平回転軸72を規定する。また、1対の耳部86は、当該耳部86同士の間に載置されて水平軸72を中心として回転するスイベルブロック88を受ける。
【0035】
押さえバー留め具76は、留め具取付ブロック90で構成されている。留め具取付ブロック90は、ベースプレート20の側端縁62の前端に位置するガイド片26から水平方向かつ横方向に突出している。留め具取付ブロック90は、上方に突出した中央取付フランジ92を有する。中央取付フランジ92は、前側および後側が平らな柱として形成されている。中央取付フランジ92には、押さえバークレードル94が長手方向かつ水平方向の回転軸96を中心として回転するように取付けられている(図3に図示)。クレードル94の中央には、V字形の据付部98が設けられている。据付部98は、クレードル94が回転して上向きに延在するとき、かつ押さえバー64が図8に示す展開位置に移動したときに、押さえバー64の遠位端68を受け入れる。また、押さえバー留め具76は留め具保持装置100も含む。留め具保持装置100は、図3に示すように横方向に延在する水平回転軸102を中心として回転するようにヒンジで連結されている。留め具保持装置100は、回転軸102から離れた端部において、歯104を有する。この歯104は、押さえバー64が図8図10に示す展開位置に移動したときに、押さえバー64の遠位端68を捕捉する。図8図10に示すように、押さえバー64が展開位置にあり、かつ歯104によって留め具機構76に係合しているとき、押さえバー64は、帽子のひさし34を下方に付勢してベースプレート20の上面22に密着させる働きをする。
【0036】
図8に示す展開位置から図3に示す収納位置に押さえバー64を移動させるために、留め具保持装置100は、図9に示す位置から図6の100′の想像線で示す係合解除位置に時計回りに回転する。図6の想像線100′で示す係合解除位置では、留め具保持装置100は、横方向に突出したスタッド105(図4に図示)上で後方に倒れている。代替的には、まず図6の100′の想像線で示す位置に時計回りに留め具保持装置が回転した後、クレードル94が回転軸96を中心として上向きに垂直方向に回転してもよい。これにより、留め具保持装置100が図4に示す懸垂位置で略垂直に下向きに垂下するまで前方(図6に示す反時計回り)に回転するための間隙が提供される。その後、クレードル94は、図4に示すように再び下方に向かって反対方向に回転し、留め具取付ブロック90上に支持される。
【0037】
100′の想像線で示される係合解除位置、または図4および図6において100で示される懸垂位置のいずれかに留め具保持装置100が移動すると、押さえバー64の遠位端68が解放される。その結果、垂直に突出したヒンジブロック82は、図8に示す位置から図7に示す位置へ、垂直回転軸74を中心として時計回りに回転する。そうすると、スイベルブロック88が後方に回転する。これにより、押さえバー64が後方に揺動してベースプレート20の側端縁60におけるガイド片26に沿ったものとなり、図3および図7に示す位置に到達する。次いで、押さえバー64は、ベースプレート20の側端縁60におけるガイド片26に取付けられた据付ブロック106に形成された据付部内に移動する。据付ブロック106は、印刷対象の次の衣類の装填を妨げないように、ベースプレート20に沿った押さえバー64にラッチをかける。
【0038】
図1および図2に示すデジタル印刷機10を用いて帽子32上に印刷する際には、通常、図6において100′で表示される係合解除位置に留め具保持装置100が移動することによって、押さえバー64が解放される。これは、図17に示す印刷済みの帽子32を可搬式プラテン16から取出し、図8に示すように印刷対象の次の帽子34を可搬式プラテン16に再度装填するのに必要な時間を最小限に抑えるのに役立つ。
【0039】
プラテン16およびプラテン支持部14には、接合する少なくとも1つの垂直に延在する突出部および少なくとも1つの垂直に延在する凹部の位置決めセットが少なくとも1つ設けられている。本発明の機構においては、同一かつ互換性のある複数の可搬式プラテン16が採用され、接合する突出部および凹部がプラテンおよびプラテン支持部毎に複数セット設けられることが好ましい。また、突出部は、各プラテン16のベースプレート20の下面24から垂下する複数の位置決めピン108として形成されることが好ましい。図11および図12に示すように、凹部は、プラテン支持部14の構造によって規定された、対応する複数の位置決め穴110として形成されることが好ましい。位置決めピン108および位置決め穴110の断面は、すべて均一な円形であることが好ましい。
【0040】
また、本発明は、図6および図9に示すマスター取出し/装填ステーション114を採用することが好ましい。図6および図9に示すように、マスター取出し/装填ステーション114は、上向きの静止作業面116上に支持されるように設計されている。マスター取出し/装填ステーション114は、平坦上面120と下面122とを有する組立台118を含む。マスター支持部124が組立台118の下面122に固定されることによって、組立台118は作業面116の上方に離隔して保持されている。マスター支持部は、断面が正方形のアルミニウム筒で形成されており、上壁126と、底壁128と、上壁126および底壁128の間に延在する支持側壁130とを有する。組立台118は、組立台118とマスター支持部124の上壁126とを通って延在するボルトまたはねじ132によって、マスター支持部124に固定されている。好ましくは、マスター支持部124は、119で表示されるボルトによって作業面116に固定される。
【0041】
組立台118は、プラテン16の位置決めピン108を受け入れるための位置決め穴134(図6Aに図示)を備える。位置決め穴134は、位置決めピン108と同じ間隔で離隔しており、その内部に位置決めピン108を摺動可能に受け入れるように規定された直径を有する。装填台118における位置決め穴134は、図11に示すプラテン支持部14における位置決め穴110と同じ直径および相対間隔を有する。
【0042】
マスター取出し/装填ステーション114の組立台118上にプラテン116が支持された状態である衣類装填/取出し位置(図9に図示)において、プラテン16の位置決めピン108は組立台118における位置決め穴134を通って突出する。これにより、位置決めピン108が位置決め穴134に係合することによって、プラテン116がマスター支持部114に対して水平運動できなくなる。しかしながら、図6に示すようにマスター取出し/装填ステーション114から垂直に上向きにプラテン116を持ち上げると、位置決めピン108と位置決め穴134とが互いから係合解除するため、プラテン116はマスター取出し/装填ステーション114に対して自由に独立して移動可能である。
【0043】
プラテン支持部14における穴110は、組立台118における穴134と直径および離隔間隔が等しい。プラテン支持部14は、図11図14に詳細に示されている。プラテン支持部14は、衣類印刷機10の衣類受けアーム12から完全に分離可能である。プラテン支持部14は、プラテン16のベースプレート20の下面24と幅が等しい平坦な略矩形のプレキシガラス厚板140で形成されている。プラテン支持部14は、中央支柱142を有する。中央支柱142は略円柱状であるが、止めねじ146を受け入れるように適合されるとともに垂直に方向付けられた平坦領域144を有する。
【0044】
止めねじ146は、図15および図16に示す連結機構148の部品であり、従来のデジタル印刷機10の部品を構成するものである。プラテン支持部14は、アライメントフランジ147も有する。アライメントフランジ147は、厚板140の下面から垂下し、ボルト149によって当該下面に固定されている。アライメントフランジ147は、厚板140の下面において横方向中央に位置しており、そこから約5/16インチの距離だけ前方に突出している。アライメントフランジ147は、衣類受けアーム12上に位置するブラケット152に設けられた切欠き150に嵌合するように構成されている。ブラケット152は、デジタル型印刷機の連結機構148の部品を構成する。
【0045】
典型的な従来の連結機構148は、図15および図16に詳細に示されている。連結機構148は、衣類受けアーム12の後方延在端に位置する。連結機構148は、本発明のプラテン支持部14に代わる従来のプラテン支持部の高さを調節するように設計された高さ調節機構160を含む。本発明のプラテン支持部14は、高さ調節機構160と相互に作用し、かつ協働する。これにより、デジタル型印刷機10において、プラテン16がプリントジェットに対して近づいたり遠ざかったりすることが可能になる。
【0046】
より具体的には、従来の高さ調節機構160はカップ162を備え、このカップ162内には、中央に位置し、軸方向かつ垂直方向の円柱状受け口172が形成されている。カップ162は、レバー164によって、衣類受けアーム12に対して回転可能である。カップ162内には、3セットの螺旋状階段が設けられている。これらの螺旋状階段は、カップ162内で上昇してゆく高さに設けられたランディング166を有する。本発明のプラテン支持部14は、厚板140の下面から垂下する、3つの対応する略円柱状のペグ168を含む。中央支柱142からのペグ168の半径方向距離は、カップ162における螺旋状階段ランディング166の半径方向距離と等しい。中央支柱142の直径は、高さ調節機構160の中央受け口172内にぴったりとフィットする。
【0047】
ペグ168の下端はすべて、3セットの螺旋状階段の各々において同じ高さのランディング166で支持される。ペグ168を支持する特定のランディング166は、取っ手164によるカップ162の回転によって決定される。プラテン支持部14はカップ162の回転によって上昇および降下し得るが、受け口172内の中央支柱142、および、フランジ147と切欠き150との係合によって提供される制約により、如何なる水平移動または回転運動も防止される。
【0048】
プラテン支持部14の厚板140の下面から垂下する位置決めペグ168は、対応する位置決めレセプタクル、つまり、衣類印刷機10の衣類受けアーム12上のカップ162内のランディング166に嵌合する。プラテン支持部14が衣類受けアーム12上に支持されたときに、位置決めペグ168とランディング160との間で相互作用することによって、かつ、フランジ147の突出部が衣類受けアーム12上のブラケット152における切欠き150に嵌まることにより位置制限が提供されことによって、プラテン支持部14、ひいてはプラテン16の水平運動が防止される。しかしながら、取っ手174の反時計回りの回転によって止めねじ146が解放されると、衣類支持部14は衣類受けアーム12に対して自由に垂直に移動可能であり、衣類受けアーム12に対する高さが調節され得る。
【0049】
図10に示すようにプラテン16が衣類支持部14上に据え付けられると、プラテン16は衣類支持部14に対して垂直運動以外のすべての方向に移動不能である。プラテン16は、前後方向にも横方向にも移動できない。プラテン16は、プラテン支持部14に対して垂直軸を中心として回転することもできない。したがって、帽子34も同様に、垂直運動以外のすべての方向に移動不能である。このため、デジタル型印刷機10の印刷ステーションにおいて、インクジェットの真下に正確に帽子34を位置付けることができる。
【0050】
しかしながら、プラテン16は垂直方向には自由に移動可能である。したがって、図17に示すように帽子32にプリントが施されると、帽子32を保持するプラテン16を自由に垂直に持ち上げ、プラテン支持部14から取り除くことができる。次いで、図8に示すように印刷対象の次の帽子32が予め装填された別の同一のプラテン16が、プラテン支持部14上に置かれる。厚板140の長手方向両側に沿ってガイド片26を中央に位置付けることによって、かつ、位置決め突出ピン108がプラテン支持部14の厚板140における位置決め穴110に垂直にアライメントされるまで次の帽子32をプラテン16の前方または後方に動かすことによって、次の帽子32を正確に位置付けることができる。その結果、帽子32の印刷受け部30上にプリントが施されるように帽子32を正確に位置付けるように、プラテン16を容易に適切な位置に置くことができる。
【0051】
本発明の可搬式プラテン16の使用の時系列の順序を、以下のように説明することができる。動作の開始時、プラテン支持部14はまず、高さ調節機構160を調節し、かつ止めねじ146をプラテン支持部14の中央支柱142の平坦部144に対してロックすることによって、デジタル型印刷機10の衣類受けアーム12に対して生産運転のための位置に位置付けられる。
【0052】
取っ手164を回転させてペグ168を所望の高さまで上昇または降下させると、止めねじ取っ手174の時計回り回転によって止めねじ146をロックすることができる。取っ手174によって止めねじ146が中央支柱142の平坦部144に対してをロックされると、図14に示すように、プラテン支持部14は、デジタル型印刷機10の衣類受けアーム12の長手方向突出端部に固定された連結機構148に対して、完全に移動不能になる。これにより、プラテン支持部14は、衣類支持アーム12に対して垂直方向以外のすべての方向に移動不能になる。
【0053】
しかしながら、本発明のプラテン16は可搬式であり、図14に示すように衣類受けアーム12が伸展しているときには、プラテン16をプラテン支持部14から素早く容易に取り除くことができる。
【0054】
印刷運転を開始するためには、図6に示すように単純にプラテン16をマスター衣類移動取出し/装填ステーション114の上方に配置し、図9に示すようにプラテン16をマスター衣類移動取出し/装填ステーション114上へ降下させることによって、装填されていないプラテン16を、まずはマスター衣類移動取出し/装填ステーション114上に載置する。可搬式プラテン16をマスター衣類移動取出し/装填ステーション114上へ降下させる際には、装填台118に対して可搬式プラテン16を横方向中央に位置付けるように、装填台118の側端縁に沿ってガイド片26を下方に摺動させる。次いで、位置決め突出ピン108を装填台118における位置決め穴134内に滑らかに摺動させる。これにより、図9に示すように、マスター移動取出し/装填ステーション114に対して可搬式プラテン16が水平運動できなくなる。
【0055】
印刷対象の最初の帽子134については、図6に示すように可搬式プラテン16は初めは空である。しかしながら、後続のすべての帽子については、図9に示すように可搬式プラテン16は印刷済みの帽子32を載せている。プラテン支持部14から取り除かれたばかりの可搬式プラテン16上の帽子には、たとえば図17の177で表示されるようなプリントが施される。
【0056】
図8に示される帽子32はプラテン16上に装填されており、印刷受け領域30へのインクのプリントが可能な状態である。マスター取出し/装填ステーション114からプラテン16が取り除かれ、プラテン支持部14上に置かれる。図17に示すプリントの後、プラテン16がプラテン支持部から取り除かれ、マスター取出し/装填ステーション114に戻される。
【0057】
図9に示すように可搬式プラテン16がマスター移動取出し/装填ステーション114上に据え付けられると、留め具保持装置100は、図9の100で表示される位置から図6の100′で表示される想像線の位置まで、図6および図9に示すように時計回りに回転する。その結果、押さえバー64が解放され、スイベルブロック88は、ヒンジブロック80の耳部86を通るように規定された水平回転軸72を中心として回転する。これにより、押さえロッド64は、図8に示す位置から、可搬式プラテン16の側端縁62から離れて上向きに移動する。次いで、押さえロッド64は下向きかつ外向きに移動し、可搬式プラテン16の側端縁60から離れて横方向に出っ張る。次いで、ヒンジブロック82は、図7に示す位置まで垂直軸74を中心として時計回りに回転する。次いで、押さえバー64が据付ブロック106内に押し込まれることによって、押さえバー64がベースプレート20の側端縁60に沿った状態でラッチをかけられる。これにより、印刷済みの帽子32の取出しおよび印刷対象の次の帽子32の装填が押さえバー64によって妨げられることがない。
【0058】
押さえバー64が図7に示す位置に置かれた状態で、図3に示す帽子32無しの位置まで伸張挿入部54を後方に引き抜くことによって、印刷済みの帽子32を可搬式プラテン16から取り除く。次いで、印刷済みの帽子32を引っ張って印刷パネル支持プレート42およびベースプレート20から解放する。次いで、印刷済みの帽子32を可搬式プラテン16から完全に取り除くことによって取出す。
【0059】
次いで、可搬式プラテン16が衣類移動取出し/装填ステーション114上に据え付けられたままの状態で、印刷対象の次の帽子32を可搬式プラテン16上に装填する。帽子32の装填は、まずは帽子のひさし34をベースプレート20の前部の上に配置し、次いで帽子32の捕捉部38(帽子の頭頂部の最も前方部およびハットバンドの前部)を、ベースプレート20と印刷パネル支持プレート42との間の前方に開口した第1の隙間48内に押し込むことによって行なわれる。次いで、帽子32の印刷受け領域30を印刷パネル支持プレート42上で後方かつ下方に引っ張る。次いで、伸張挿入部54を帽子32の生地に押し付け、図6に示す後向きの第2の隙間50内に印刷受け部30の後部を押し込む。これによって、図9に示すように、後方部36のうちの、帽子32の印刷受け領域30のすぐ後ろの部分も第2の隙間50に押し込まれる。次いで、押さえバー64を持ち上げて据付ブロック106から解放する。次いで、ヒンジブロック82が、図3に示す位置から垂直回転軸74を中心として反時計回りに回転する。次いで、スイベルブロック88が水平回転軸72を中心として回転することによって、押さえバー64を図8に示す係合位置まで揺動させる。この係合位置では、押さえバー64の遠位端68がクレードル94におけるV字形据付部98に据え付けられ、図8に示すように、留め具保持装置100の歯104の係合によって適所に保持される。
【0060】
図8に示すように印刷対象の次の帽子32が可搬式プラテン16上に装填されると、可搬式プラテン16が取出し/装填ステーション114から持ち上げられ、図14に示すようにプラテン支持部14の真上の位置まで戻る。次いで、印刷対象の帽子32が装填された可搬式プラテン16は、図14に示す位置から図10に示す位置まで、プラテン支持部14上へ降下する。プラテン16がプラテン支持部14上へ降下する際、図10に示すように、ガイド片26はプラテン支持部14の側面に沿って下方へ摺動するとともに、位置決め突出ピン108は厚板140における位置決め穴110内に垂直に摺動する。図10に示すように可搬式プラテン16がプラテン支持部14上に位置付けられると、帽子32がプリントを施されることが可能な状態になる。デジタル型印刷機10の操作者は、従来のコンソール11上のアーム後退ボタンを押下すればよい。そうすると、衣類受けアーム12が後退し、衣類印刷機10のインクジェットの真下の印刷位置に来るように前方に引き込まれる。
【0061】
印刷済みの帽子32が載った可搬式プラテン16をプラテン支持部14から取出し、それを衣類移動取出し/装填ステーション114の隣に配置し、次の帽子32が予め装填された第2のプラテン16を衣類移動取出し/装填ステーション114から持ち上げ、それをプラテン支持部14上まで移動させる処理の全体が要するのは、わずか約4秒である。
【0062】
すなわち、衣類受けアーム12が後方に移動して印刷済みの帽子32を図2に示す位置まで持ってきた時から、印刷対象の次の帽子32が載った第2の同様の可搬式プラテン16が図2に示す位置に来るまでの時間は、わずか約4秒である。
【0063】
印刷済みの帽子32が載ったプラテンをマスター取出し/再装填ステーション114上に配置し、その可搬式プラテン16から印刷済みの帽子32を取り除き、印刷対象の次の帽子32を装填するのに約16秒かかる。しかしながら、従来の衣類印刷システムとは異なり、印刷機10はその間停止しているわけではない。むしろ、操作者が衣類移動取出し/装填ステーション114における1つの可搬式プラテン16上で印刷済みの帽子を印刷対象の次の帽子に交換している間、印刷機10は、印刷機10内の同一のプラテン16上に位置する帽子32上に画像を印刷する処理をしている。この印刷処理自体には、およそ30秒かかる。したがって、印刷済みの帽子32が載った可搬式プラテン16を取り除くために印刷機10が印刷アーム12を伸張させるよりも前に、互換性のあるプラテン16のうちの1つにプリント対象の次の帽子32が置かれ、その装填済み可搬式プラテン16をプラテン支持部14に配置することが可能な状態になる。
【0064】
達成される時間節約は、1個の帽子32につきおよそ12秒である。したがって、帽子1000個の印刷運転の場合、時間節約は3時間を優に超える約200分である。ゆえに、本発明は、衣類印刷の効率において大幅な節約を提供する。
【0065】
本発明に従う可搬式衣類印刷プラテンを用いて、帽子以外の衣類に印刷してもよい。図18は、デジタル型衣類印刷機10を用いてプリントすべきシャツを装填および載置するのに好適なプラテン216の下面を示す。プラテン16と同様に、プラテン216は1対の位置決めピン208を含む。これらの位置決めピン208は、プラテン支持部14における対応する位置決め穴110に嵌合する。プラテン216には、印刷対象のシャツが前もって装填された同一のプラテン216が上述の方法でプラテン支持部14上に既に据え付けられている状態で、印刷対象の次のシャツが装填されてもよい。
【0066】
本発明の可搬式プラテン16は、衣類デジタル型印刷機だけでなく、衣類スクリーン印刷機にも用いられ得る。図19図21は、上述の可搬式プラテン16を受けて据え付けるように適合されたプラテン支持部214を示す。図19に示すプラテン支持部214は、図11に示すプラテン支持厚板140と同一の外周を有するプラテン支持厚板240を有する。また、図19に示すプラテン支持厚板214における位置決め穴210は、図11に示すプラテン支持厚板140におけるプラテン位置決めピン穴110と同じ間隔だけ離隔し、同じ対応位置にある。
【0067】
しかしながら、スクリーン印刷機の衣類受けアームはデジタル型衣類印刷機10の衣類受けアームとは設計が異なるため、プラテン支持部214を固定するための取付機構がやや異なる。図24は、可搬式プラテン16を載置し得る衣類受けアーム312を有する典型的なスクリーン印刷機310を示す。手動衣類印刷機310は、たとえば、Workhorse社のOdyssey0-4100B、または、M&R社のSidewinder手動回転スクリーン印刷機であってもよい。しかしながら、本発明の装置および方法は、事実上すべての従来の市販の手動スクリーン印刷機で用いることができる。
【0068】
スクリーン印刷機310は異なるスクリーンを有しており、そのうちの3つが314、316、および318で表示されている。これら3つは各々、スクリーン保持アーム320上に取付けられている。アーム320はハブまたはターンテーブル321上に取付けられており、図24に示す位置からプラテン16に向かって下向きに独立して回転可能である。スクリーン314、316、および318の各々は順次プラテン214とアライメントされ、プラテン16上に載置されている衣類に接触するように下向きに回転する。これにより、ターンテーブル321が特定の色を前に出して衣類受けアーム312とアライメントさせたときに、その色で衣類にプリントが施される。スクリーン印刷機310の動作は従来から行なわれているため、詳述の必要はないであろう。
【0069】
図24は、プラテン支持部214上に取り外し可能に位置付けられた可搬式プラテン16を示す。前述のように、プラテン支持部214は、可搬式プラテン16を受けるための据付配置がプラテン支持部14と同じである。しかしながら、衣類受けアーム312へのプラテン支持部214の接続は、典型的なスクリーン印刷機310の接続配置に適合するものである。
【0070】
より具体的には、図21および図23に示すように、外側に曲がった側方フランジ222を有するU字形断面のチャネル220が、プラテン支持厚板240の下面に固定されている。厚板240の下面へのフランジ222の取付けは、ボルトまたはねじ224によってなされる。これにより、チャネル220は、その中央部と厚板240の下面との間に開放空間を画定する。この開放空間によって、プラテン支持部214を衣類受けアーム312に取付けることが可能になる。チャネル220におけるねじ付き穴には、止めねじ226が螺合可能に係合している。止めねじ226は、締付けノブ228の回転によって前進または後退することが可能である。図23に示すように、締付けノブ228を用いてクランプねじ226を締付けることによって、プラテン支持部214は、衣類受けアーム312の長さに沿った適切な位置にクランプされる。これによってプラテン支持部214は適切な位置に配置され、マスクの無い位置でスクリーン314、316、および318を通してプリントのインクを受けることができる。可搬式プラテン16は、プラテン16およびプラテン支持部14に関して説明したのと同じ方法で、衣類取出し/装填ステーション114において取出しおよび装填され、プラテン支持部214から持ち上げられ、取り替えられてプラテン支持部214上に置かれる。
【0071】
なお、プラテン16を図24に示すスクリーン印刷機310に用いる場合には、押さえバー64は図8に示すように係合するのではなく、図24に示す係合解除位置に移動する。さらに、留め具100は図6の100′′の想像線で表示された単純な係合解除位置に移動するのではなく、図4および図6の100で表示された、完全に降下した懸垂位置に移動する。
【0072】
押さえロッド64を展開しない理由、および、留め具100がベースプレート20の頂面よりも上方に突出しないように留め具100を降下させる理由は、デジタル型印刷機10でのインクジェットの使用とは異なり、スクリーン314、316、および318は衣類の印刷受け面に直接接触するように降下するからである。したがって、可搬式プラテン16の構造のうちの、印刷パネル支持プレート42以外の如何なる部分も、ベースプレート20の上面22よりも上方に突出するべきではない。そのように上方に突出した場合、印刷スクリーンが印刷受け面30に完全に接触できない虞がある。
【0073】
シャツへの印刷に好適に用いられるプラテンであって、多少構成が異なるものの同じ原理で動作するプラテンも、本発明の範囲内である。たとえば、図25図31は、本発明に従って構成されたプラテン416であるが、印刷対象として帽子ではなくシャツを保持するのに好適であるプラテン416を示す。衣類載置部418は、長さ約16インチ、幅約14インチの平坦で略矩形のプレキシガラスベースプレート420を含む。ベースプレート420は、平坦上面422と下面424とを有する。また、衣類載置部418は、上向きの衣類支持面を構成する平坦上面446を有する印刷パネル支持プレート442も含む。衣類載置部418はさらに、横方向に延在するスペーシング片440としてのスペーシング機構を含む。このスペーシング機構は、後方端においてベースプレート420と印刷パネル支持プレート442との間に介在している。スペーシング片440は、印刷パネル支持部442とベースプレート420の上面422との間に隙間450を形成する。衣類載置部418はさらに、長手方向に延在する互いに平行な1対のガイド片426を含む。ガイド片426は、ベースプレート420の下面424に固定されている。
【0074】
プラテン支持部414は図35図37に示される。プラテン支持部414は、長さおよそ12インチ、幅およそ10インチの、略矩形の上板または厚板418を有する。プラテン支持部414の上板418は互いに平行な側端縁415を有し、プラテン支持部414の幅は長さに沿って均一である。したがって、プラテン416がプラテン支持部414上へ降下したときに、ガイド片426は、プラテン支持部414の上板418の側端縁415に沿って存在する。これにより、プラテン416とプラテン支持部414との間の横方向の相対運動が防止される。プラテン16の場合と同様に、1対の位置決めピン408が、プラテン支持ベースプレート420の下面から突出する。これらの位置決めピン408は、プラテン支持部414のプラテン上面載置板または厚板418に設けられた位置決め穴410のうちの少なくとも2つの内部にぴったりと嵌合する。
【0075】
可搬式プラテン16の場合と同様に、図28図29、および図32に示すように、プラテン416にはマスター衣類装填/取出しステーション514が設けられている。マスター衣類装填/取出しステーション514は、組立台518を含む。組立台518は、少なくとも1つ(図示の実施形態では、1対)の垂直に延在する凹部を含む。これらの垂直に延在する凹部は、組立台518に設けられた穴510である。穴510は、プラテンベースプレート420の下面から垂下する垂直延在突出ピン408を受け入れて、突出ピン408と接合して係合するように構成されている。
【0076】
組立台518は、プラテン支持部414の上板または厚板418の幅と等しい均一な距離だけ離隔した側端縁を有しており、組立台518に対するプラテン416のベースプレート420の横方向運動が防止されるようになっている。横方向運動が防止される理由は、ベースプレート420の下面から垂下するガイド片426が組立台518の外側端縁515に対してぴったりと設けられ、その結果、ガイド片426同士が組立台518の側端縁515を摺動可能に囲み、組立台518に対してプラテン416を横方向中央に位置付けるためである。プラテン416は、垂直延在突出ピン408が組立台518における対応する穴510に落とし込まれるまで、必要に応じて前方または後方に動かされる。その結果、プラテン416がマスター衣類装填/取出しステーション514上に据え付けられる。
【0077】
マスター装填/取出しステーション514は、略矩形の横方向に細長い窓521を有する。窓521は、組立台518を貫通して設けられている。水平かつ横方向に延在する回転軸525を中心として回転する円柱状ローラ523が、マスター装填/取出しステーション514に装着されている。ローラ523の一部は、横方向に延在する窓521を通って上方に突き出ており、マスター装填/取出しステーション514に対して自由に回転可能である。
【0078】
可搬式プラテン416は、可搬式プラテン16にはない別の特徴を有する。プラテンベースプレート420においても、略矩形の横方向に細長い窓421が貫通して設けられている。プラテン416がマスター装填/取出しステーション514上に据え付けられたときに、窓421は組立台518における窓521と垂直に位置合わせされ、ぴったりとアライメントされている。プラテン416が組立台518上に位置付けられ、かつ、プラテンベースプレート420の下面から突出する、垂直に延在する突出部408が組立台518における垂直延在穴510に接合して係合しているときに、ローラ523は、ベースプレート420の窓421および組立台518の窓521を通って突き出ている。
【0079】
横方向に延在するスペーシング片440はプラテン416の後端に位置するため、ベースプレート420における窓421からは離れている。図28および図29に示すように、印刷パネル支持部442は、スペーシング片440の上部に片持ちでプラテンベースプレート420の上方に保持される。結果として、図29に示すように可搬式プラテン416がマスター装填/取出しステーション514から取り除かれたときに、重力によって、印刷パネル支持部442の前方端が沈下してベースプレート420の上面422に接触する。
【0080】
シャツ432などの衣類がプラテン416上に載置されると、印刷パネル支持部442を沈下させる重力によって、プラテン416に対してシャツ432が移動不能になる傾向にある。しかしながら、プラテン416がマスター装填/取出しステーション514上に位置付けられると、ローラ523が、ベースプレート420を貫通して設けられた窓421を通って突き出て印刷パネル支持部442の下面を上向きに押すことになる。それにより、印刷パネル支持部442の前方端がわずかに持ち上がり、ベースプレート420と接触しなくなる。これによって、シャツ432をプラテン416に装填することが容易になる。
【0081】
より具体的には、図32に示すように、シャツ432の胸部431に画像を印刷する場合に、シャツにおける反対側の背部433は、スペーシング片440とは逆側のプラテン416の前方端において、ベースプレート420と印刷パネル支持部442との間に挿入される。プラテン416がマスター衣類装填/取出しステーション514上に据え付けられているとき、シャツの胸部431は印刷パネル支持部442上に存在し、シャツ432の背部433は、印刷パネル支持部442とベースプレート420との間に位置する。シャツ432の胸部431が印刷パネル支持部442上に存在している状態で、シャツ432の背部433の後尾領域が印刷パネル支持部442とベースプレート420との間で後方に引っ張られる。
【0082】
図32に示すように、このようにシャツ432を右から左へ引っ張る動作によって、シャツ432がスペーシング片440に向かって後方に引っ張られるため、ローラ523は図29および図32に示すように反時計回りに回転する。プラテン416が装填/取出しステーション514から持ち上げられると、印刷パネル支持部442の下面に対するローラ523の押上げ力が除去される。その結果、印刷パネル支持部442の前方端が降下し、それによってシャツ生地の背部433に圧力が加わる。この圧力は、シャツ432がプラテン416上で移動することを防止する傾向にある。
【0083】
プラテン416の一部を形成する開放フレーム425を用いることによって、より確実にシャツ432を移動不能にすることができる。フレーム425は、印刷パネル支持部442上の位置まで降下し得る。フレーム425は、図25図29図32図35、および図36に示される。フレーム425は、その内部に設けられた大きな中央窓開口427と、L字形の断面を有する外縁リム429とを有する。外縁リム429は、印刷パネル支持部442のうちの外縁430のみの上方に存在する。図25図28、および図29に示すように、印刷支持パネル442の外縁430は、印刷パネル支持部442のうちの大きな中央領域から垂直に凹んでいる。したがって、フレーム425のリム429は、印刷パネル支持部442の外縁430のみに対して衣類背部433の生地を押し付ける。
【0084】
したがって、フレーム425の構造は、印刷支持パネル442の中央領域以下の高さに垂直に延在する。したがって、フレーム425は衣類432の上向き面に対して移動不能にする力を及ぼすが、衣類432の印刷受け面よりも上方に突出することはない。ゆえに、フレーム425は印刷パネル支持部442の頂面よりも上方に突出することはない。したがって、図24に示すスクリーン印刷機で可搬式プラテン416を使用する場合に、シャツ432の印刷受け胸部431に対する印刷スクリーン314、316、および318の接触がフレーム425によって妨げられることがない。同様に、プラテン416をデジタル型印刷機10で使用する場合に、印刷ステーションにおいて、衣類432の印刷受け面部431とインクジェットとの間の垂直方向の間隔調節がフレーム425によって妨げられることがない。
【0085】
可搬式プラテン416は、図33図37に示すプラテン支持部414とともに用いられる。プラテン支持部414は、穴410としてのピン受け凹部を有する。プラテン支持部14と同様に、プラテン支持部414は、その下面から垂下する位置決めペグ168を有する。ペグ168は、プラテン支持部14に関して前述した方法で、図15および図16に示す高さ調節機構160と協働する。同様に、プラテン支持部414は、図15および図16に示す連結機構148と協働する中央支柱142およびフランジ147を有する。
【0086】
プラテン416とプラテン支持部414とを用いてシャツ432の装填および取出しを行なうステップは、プラテン16の装填および取出しに採用されるステップと非常に似ている。具体的には、まず、1つのプラテン414を衣類載置ステーション514上に位置付ける。プリントを施すべきシャツの部分431を印刷パネル支持プレート442上で引っ張りながら、シャツ432の部分433をプラテンベースプレート420と印刷パネル支持プレート442との間で引っ張る。図32に示すように、シャツ432の装填は右から左である。
【0087】
動作の開始時に、まず、高さ調節機構160を調節することによって、かつ、プラテン支持部414の中央支柱142の平坦部144に対して止めねじ146をロックすることによって、生産運転のためにプラテン支持部414をデジタル型印刷機10の衣類受けアーム12に対して位置決めする。
【0088】
取っ手164を回転させてペグ168を所望の高さまで上昇または降下させると、止めねじ取っ手174の時計回り回転によって止めねじ146をロックすることができる。取っ手174によって止めねじ146が中央支柱142の平坦部144に対してをロックされると、図14に示すように、プラテン支持部414は、デジタル型印刷機10の衣類受けアーム12の長手方向突出後端に固定された連結機構148に対して、完全に移動不能になる。これにより、プラテン支持部414は、衣類支持アーム12に対して垂直方向以外のすべての方向に移動不能になる。
【0089】
しかしながら、本発明のプラテン416は可搬式であり、図2図15、および図16に示すように衣類受けアーム12が伸展しているときには、プラテン416をプラテン支持部414から素早く容易に取り除くことができる。
【0090】
印刷運転を開始するためには、図29に示すように単純にプラテン416をマスター衣類移動取出し/装填ステーション514の上方に配置し、プラテン416をマスター衣類移動取出し/装填ステーション414上へ降下させることによって、装填されていないプラテン416を、まずはマスター衣類移動取出し/装填ステーション514上に配置する。可搬式プラテン416をマスター衣類移動取出し/装填ステーション514上へ降下させる際には、装填台518に対して可搬式プラテン416を横方向中央に位置付けるように、装填台518の側端縁に沿ってガイド片426を下方に摺動させる。次いで、位置決め突出ピン508を装填台518における位置決め穴510内に滑らかに摺動させる。これにより、図32に示すように、マスター移動取出し/装填ステーション514に対して可搬式プラテン416が水平運動できなくなる。
【0091】
印刷対象の最初のシャツ432については、可搬式プラテン416は初めは空である。しかしながら、後続のすべてのシャツについては、可搬式プラテン416は印刷済みのシャツ432を載せている。プラテン支持部414から取り除かれたばかりの可搬式プラテン16上のシャツ432には、プリントが施される。
【0092】
可搬式プラテン416がマスター移動取出し/装填ステーション514上に据え付けられると、フレーム425が上向きに持ち上げられて、印刷済みのシャツ432および印刷パネル支持プレート442から離れる。次いで、図32に示すように、印刷済みのシャツ432を左から右へプラテン416から引き剥がすことによって、当該シャツ432を印刷パネル支持プレート442およびベースプレート420から解放する。図32に示すようにローラ425を時計回りに回転させることによって、印刷済みのシャツ432の取出しを容易にすることができる。次いで、印刷済みのシャツ432を可搬式プラテン416から完全に取り除き、シャツ432を乾燥装置に通すコンベアにシャツ432を移動させることによって、シャツ432を取出す。
【0093】
次いで、可搬式プラテン416が衣類移動取出し/装填ステーション514上に据え付けられたままの状態で、印刷対象の次のシャツ432を可搬式プラテン416上に装填する。図32に示すように、シャツは右から左へ印刷パネル支持プレート442上に広げられる。印刷対象のシャツの部分431は印刷パネル支持プレート442上に存在し、反対の部分433は印刷パネル支持プレート442とベースプレート420との間に挟まれている。図32に示すようにローラ425を反時計回りに回転させることによって、シャツ432の装填を容易にすることができる。シャツ432を装填すると、移動不能化フレーム425を胸領域431の印刷受け部の外縁上の位置へ降下させる。フレーム425のリム429は、シャツ生地および印刷パネル支持プレート442の外縁430を下向きに押さえ付ける。
【0094】
図32に示すように印刷対象の次のシャツ432が可搬式プラテン416上に装填されると、可搬式プラテン416が取出し/装填ステーション514から持ち上げられ、図35に示すようにプラテン支持部414の真上の位置まで戻る。次いで、印刷対象のシャツ432が装填された可搬式プラテン416は、図35に示す位置から図36に示す位置まで、プラテン支持部414上へ降下する。プラテン416がプラテン支持部414上へ降下する際、図10に示すように、ガイド片426はプラテン支持部414の側面端縁415に沿って下方へ摺動するとともに、図36に示すように、位置決め突出ピン408は上部厚板418における位置決め穴410内に垂直に摺動する。図36に示すように可搬式プラテン416がプラテン支持部414上に位置付けられると、シャツ432がプリントを施されることが可能な状態になる。デジタル型印刷機10の操作者は、従来のコンソール11上のアーム後退ボタンを押下すればよい。そうすると、衣類受けアーム12が前方に引き寄せられて、衣類印刷機10のコンソール11においてインクジェットの真下の印刷位置に来る。
【0095】
印刷済みのシャツ432が載った可搬式プラテン416をプラテン支持部414から取出し、それを衣類移動取出し/装填ステーション514上に配置し、印刷済みのシャツ432を取出して取り除き、印刷対象の次のシャツ432を可搬式プラテン416に再装填し、衣類移動取出し/装填ステーション514からプラテン416を持ち上げ、それをプラテン支持部414に戻す処理の全体が要するのは、わずか約4秒である。
【0096】
衣類印刷の当業者にとって、本発明の数多くの変形例および変更例が容易に明らかになることは明白である。したがって、本発明の範囲は、図示された特定の実施形態および説明された実現例の方法に限定されると解釈すべきではなく、添付の特許請求の範囲によって規定されるものである。
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