(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】リハビリ機能付き創外固定器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/64 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
A61B17/64
(21)【出願番号】P 2019211036
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】516263616
【氏名又は名称】ヤマウチマテックス・エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230124763
【氏名又は名称】戸川 委久子
(72)【発明者】
【氏名】山内 隆嗣
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104840241(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103356274(CN,A)
【文献】特開2004-167062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手指関節の屈伸運動を補助するリハビリ機能付き創外固定器であって、
前記手指の骨に固定されたピンを装着するためのピン装着部(11a)を備えた第一副木部材(11)と、同じくピン装着部(12a)を備えた第二副木部材(12)とを有し、これら第一副木部材(11)と第二副木部材(12)とをヒンジ連結して構成された創外固定器本体(1)と;
前記第一副木部材(11)の側方に固定された軸受部(21)と、前記第二副木部材(12)の側方に固定されたナット部(22)と、前記軸受部(21)に端部が装着され、中間部に前記ナット部(22)が装着されたネジ部材(23)とから構成された送りネジ機構(2)と;を含んで成り、
前記送りネジ機構(2)のネジ部材(23)の正逆回転により前記軸受部(21)とナット部(22)の間隔を調節して、ヒンジ部(13)を中心とした第一副木部材(11)と第二副木部材(12)の角度調節が可能となっていることを特徴とするリハビリ機能付き創外固定器。
【請求項2】
第一副木部材(11)と軸受部(21)が固定用凹部(H)と固定用凸部(C)の嵌合手段または係止手段によりそれぞれ脱着自在に固定されていることを特徴とする請求項1記載のリハビリ機能付き創外固定器。
【請求項3】
送りネジ機構(2)において、軸受部(21)の外側に二股状の枢支部(24)が設けられると共に、当該枢支部(24)に固定用凸部(C)がネジ部材(23)の軸方向と垂直方向に回動自在に装着されていることを特徴とする請求項2記載のリハビリ機能付き創外固定器。
【請求項4】
創外固定器本体(1)において、
更に第ニ副木部材(12)とナット部(22)が固定用凹部(H)と固定用凸部(C)の嵌合手段または係止手段により脱着自在に固定され、第一副木部材(11)のピン装着部(11a)
及び第二副木部材(12)のピン装着部(12a)がそれぞれ
の長さ方向にスライド自在に設けられると共に、軸受部(21)の固定用凹部(H)が前記ピン装着部(11a)のスライドに追従する部位に形成され
、ナット部(22)の固定用凹部(H)が前記ピン装着部(12a)のスライドに追従する部位に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載のリハビリ機能付き創外固定器。
【請求項5】
送りネジ機構(2)において、ネジ部材(23)の軸受部(21)側の端部と反対側の端部にハンドル(23a)が設けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載のリハビリ機能付き創外固定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創外固定器の改良、詳しくは、簡単な操作で手指の屈伸運動を補助して安全にリハビリを行うことができるリハビリ機能付き創外固定器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、手指を骨折した際には、骨折部位を正常な位置で安定化させるために骨折部位の前後にそれぞれ固定用のピンを挿通し、これらのピンを棒状または板状の創外固定器に固定して治療する方法が知られている。また骨折箇所が関節(PIP関節等)付近にある場合、その関節を跨いで創外固定器が装着される。
【0003】
そして、従来、上記関節を跨いで装着可能な創外固定器として、複数の副木部材をヒンジ部で連結したもの(例えば、特許文献1参照)が公知となっており、この種の角度調節型の創外固定器は、骨折した手指の関節の角度に合わせて副木部材同士の角度を調節することができるため、手指に沿って創外固定器を装着することができる。
【0004】
一方、上記手指の骨折が治癒した後は、手指の関節のリハビリが必要となるが、そのようなリハビリの方法としては、従来、創外固定器を一旦取り外した後、補助者が患者の手指の屈伸運動を手で補助しながら行っていたため、創外固定器の取り外し作業が必要となるだけでなく、完全治癒していない場合には創外固定器を付け直す必要があった。
【0005】
一方、上記特許文献1に記載されているようなヒンジ部を備えた創外固定器を、手指に装着した状態で手指のリハビリに利用する場合、補助者が創外固定器に対して適正な方向に適当な力を加えて角度調節を行うことが難しかったため、患者の手指に余計な負担が掛かり易く、安全性の面でリハビリ器具としての使用は難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、創外固定器を装着したままで手指の屈伸運動を補助してリハビリを行うことができ、更にリハビリ作業時にかかる患者の負担も軽減できる安全性に優れたリハビリ機能付き創外固定器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0009】
即ち、本発明は、手指関節の屈伸運動を補助するリハビリ機能付き創外固定器であって、前記手指の骨に固定されたピンを装着するためのピン装着部11aを備えた第一副木部材11と、同じくピン装着部12aを備えた第二副木部材12とを有し、これら第一副木部材11と第二副木部材12とをヒンジ連結して構成された創外固定器本体1と;前記第一副木部材11の側方に固定された軸受部21と、前記第二副木部材12の側方に固定されたナット部22と、前記軸受部21に端部が装着され、中間部に前記ナット部22が装着されたネジ部材23とから構成された送りネジ機構2と;を含んで成り、前記送りネジ機構2のネジ部材23の正逆回転により前記軸受部21とナット部22の間隔を調節して、ヒンジ部13を中心とした第一副木部材11と第二副木部材12の角度を調節可能に構成した点に特徴がある。
【0010】
また上記第一副木部材11と軸受部21については、固定用凹部Hと固定用凸部Cの嵌合手段または係止手段によってそれぞれ脱着自在に固定することで、創外固定器本体1単体でも使用することができる。
【0011】
また上記送りネジ機構2については、軸受部21の外側に二股状の枢支部24を設けると共に、当該枢支部24に固定用凸部Cをネジ部材23の軸方向と垂直方向に回動自在に装着することによって、送りネジ機構2の脱着を容易に行うことができる。
【0012】
また上記創外固定器本体1に関しては、更に第ニ副木部材(12)とナット部(22)が固定用凹部(H)と固定用凸部(C)の嵌合手段または係止手段により脱着自在に固定し、第一副木部材11のピン装着部11a及び第二副木部材(12)のピン装着部(12a)をそれぞれの長さ方向にスライド自在に設けると共に、軸受部21の固定用凹部Hを前記ピン装着部11aのスライドに追従する部位に形成し、ナット部(22)の固定用凹部(H)を前記ピン装着部(12a)のスライドに追従する部位に形成することによって、患者の手指の長さが異なる場合であっても手指間に送りネジ機構2を問題なく装着することができる。
【0013】
また上記送りネジ機構2に関しては、ネジ部材23の軸受部21側の端部と反対側の端部にハンドル23aを設けることで、送りネジ機構2の手動操作で簡単にリハビリを行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、創外固定器本体を二つの副木部材と、それらを連結するヒンジ部とから構成すると共に、それらに送りネジ機構を設けて、送りネジの回転操作によって副木部材同士の角度調節を行えるようにしたことにより、創外固定器を患者の手指に装着したままの状態で手指の屈伸運動を補助することが可能となる。
【0015】
そのため、創外固定器の取り外し作業や付け直し作業が不要となるため、患者にかかる負担も小さく、またリハビリの準備にかかる時間や手間も改善できる。しかも、本発明では、送りネジ機構の回転操作の力の入れ具合や回転量によって手指にかかる負荷を調節できるため、患者に余計な負担がかかる心配もない。
【0016】
したがって、本発明により、骨折した手指に創外固定器を装着した患者に対し、治療後のリハビリを安全かつ迅速に行うことができるリハビリ機能付き創外固定器を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第一実施形態におけるリハビリ機能付き創外固定器を分解した状態を表す分解斜視図である。
【
図2】本発明の第一実施形態におけるリハビリ機能付き創外固定器を分解した状態を表す分解斜視図である。
【
図3】本発明の第一実施形態におけるリハビリ機能付き創外固定器の使用状態を表す状態説明図である。
【
図4】本発明の第一実施形態における創外固定器本体を表す全体側面図および全体上面図である。
【
図5】本発明の第一実施形態におけるピン装着部のスライド機能を表す説明図である。
【
図6】本発明の第一実施形態における送りネジ機構を表す全体側面図である。
【
図7】本発明の第一実施形態における送りネジ機構の機能を表わす説明図である。
【
図8】本発明の第二実施形態におけるリハビリ機能付き創外固定器を分解した状態を表す分解斜視図である。
【
図9】本発明の第二実施形態におけるリハビリ機能付き創外固定器を分解した状態を表す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
『第一実施形態』
本発明の第一実施形態について、
図1~
図7に基いて説明する。なお同図において、符号1で指示するものは、創外固定器本体であり、符号2で指示するものは、送りネジ機構である。また符号Aで指示するものは、リハビリ機能付き創外固定器である。
【0019】
「リハビリ機能付き創外固定器の構成」
[1]リハビリ機能付き創外固定器の基本構成について
本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、第一副木部材11と第二副木部材12がヒンジ部13を介して回動自在に連結された創外固定器本体1に対し、送りネジ機構2を付設してリハビリ機能付き創外固定器Aを構成している。また創外固定器本体1の第一副木部材11及び第二副木部材12には、手指の骨に固定されたピンを装着するためのピン装着部11a・12aをそれぞれ設けている。
【0020】
一方、上記送りネジ機構2については、
図2に示すように上記第一副木部材11の側方に軸受部21を、また上記第二副木部材12の側方にナット部22をそれぞれ固定した状態で、ネジ部材23の中間部に装着されたナット部22を、端部が軸受部21に固定されたネジ部材23の正逆回転によってネジ部材23の軸方向に位置調節できるように構成している(詳しくは後述する)。
【0021】
これにより、創外固定器Aの第一副木部材11を手指の基節骨に、第二副木部材12を手指の中節骨にそれぞれピンで固定した状態で、送りネジ機構2のナット部22と軸受部21の間隔を調節することにより、
図3に示すように、手指のPIP関節の側方に配置されたヒンジ部13を中心として第一副木部材11と第二副木部材12の角度を調節し、それに手指を追従させることで手指関節の屈伸運動を補助することができる。
【0022】
[2]創外固定器本体について
[2-1]第一副木部材及び第二副木部材
次に上記リハビリ機能付き創外固定器Aの各構成要素について説明する。まずリハビリ機能付き創外固定器Aの第一副木部材11及び第二副木部材12については、
図4(a)(b)に示すように、本実施形態では、複数のプラスチック製の部品と金属製の部品を組み合わせた構成としているが、第一副木部材11及び第二副木部材12の形態を、ピン装着部11a・12aとなる複数の孔が所定間隔で形成された棒体として構成することもできる。
【0023】
[2-2]ピン装着部
また上記第一副木部材11のピン装着部11aについては、本実施形態では、
図4(a)に示すように、ピンPが内側に配置される挟持部材11b・11cと、挟持部材11b・11cを内側方向に締め付ける締結ネジS
1及び締結ナットN
1とから構成しており、ピンPを挟持部材11b・11cの内側に差し込んだ状態で、挟持部材11b・11cを締結ネジS
1で締め付けることによってピンPをしっかりと固定することができる。
【0024】
一方、上記第二副木部材12のピン装着部12aについても、
図4(a)に示すように、ピンPが内側に配置される挟持部材12b・12cと、挟持部材12b・12cを内側方向に締め付ける締結ネジS
1及び締結ナットN
2とから構成しており、第一副木部材11と同様、ピンPを挟持部材12b・12cの内側に差し込んだ状態で、挟持部材12b・12cを締結ネジS
1で締め付けることによってピンPを固定することができる。
【0025】
また本実施形態では、
図4(a)に示すように、上記第一副木部材11の挟持部材11b・11cの内側面、及び第二副木部材12の挟持部材12b・12cの内側面に山部と谷部がジグザグ状に連続する凹凸部を形成しており、これによってピンPを挟持部材11b・11c(または12b・12c)間のどの位置に差し込んでも、挟持部材11b・11c(または12b・12c)の谷部間にピンPが配置されて横ズレしないように固定することができる。
【0026】
また本実施形態では、
図4(a)に示すように、上記挟持部材11b・11c(および12b・12c)間の締結ネジS
1の両側にピンPの差込みスペースをそれぞれ形成しているため、左右どちらのスペースに対してもピンPを差し込むことができる。また本実施形態では、上記挟持部材11b・11c(および12b・12c)に耐久性に優れた金属製の部品を使用しているが、高弾性のプラスチック製部品を使用することもできる。
【0027】
[2-3]ピン装着部のスライド機構
また本実施形態では、
図4(a)及び
図5に示すように、
上記第一副木部材11のピン装着部11aを第一副木部材11の長さ方向にスライド可能に構成し、第二副木部材12のピン装着部12aを第二副木部材12の長さ方向にスライド可能に構成している。具体的に第一副木部材11については、
図4(a)(b)に示すように、第一副木部材11に上下方向に貫通するガイド孔11dを形成して、このガイド孔11dに締結ネジS1を差し込むことにより、このガイド孔11dに沿って締結ネジS1を
図5に示すように横方向に移動させて、ピン装着部11aの位置をスライドさせることができる。
【0028】
また本実施形態では、第一副木部材11の本体部の下面とピン装着部11aの上面にそれぞれ山部と谷部がジグザグ状に連続する凹凸部11e・11fを形成しており、これらの凹凸部11e・11fを噛み合わせた状態で上記締結ネジS1を締め付けることにより、ピン装着部11aの位置をしっかりと固定できるようにしている。
【0029】
一方、上記第二副木部材12については、
図4(a)(b)に示すように、送りネジS
2を第二副木部材12の長さ方向に沿って取り付け、この送りネジS
2のボルト部に締結ナットN
2の上部を螺着して構成することにより、送りネジS
2の回転操作によって締結ネジS
1を
図5に示すように横方向に移動させて、ピン装着部12aの位置をスライドさせることが可能となっている。
【0030】
また本実施形態では、第二副木部材12の締結ネジS1を締結ナットN2の下部に螺着し、締結ネジS1で締結ナットN2(または送りネジS2)を上側に押し上げるように締め付け可能に構成することによって、ピン装着部12aの位置をしっかりと固定できるようにしている。そして、ピン装着部に上記スライド機構を採用することによって、患者の手指の長さに応じてピンPの装着位置の調整が行える。
【0031】
[2-4]ヒンジ部
また上記創外固定器本体1のヒンジ部13に関しては、本実施形態では、
図4(a)(b)に示すように、ネジ部材の回転操作でヒンジ部13のアガキ(摩擦抵抗)の調節が行えるようにしている。これにより、リハビリ機能付き創外固定器Aとして使用する際にはヒンジ部13のネジ部材を緩めて第一副木部材11と第二副木部材12が回動自在となるようにし、創外固定器本体1単体で使用する際には、ネジ部材を締めて第一副木部材11と第二副木部材12の角度を一定に保つことができる。
【0032】
[2-5]送りネジ機構の脱着機構
また本実施形態では、
図2に示すように、創外固定器本体1を単体でも使用できるように、創外固定器本体1と送りネジ機構2とを脱着自在に構成している。具体的には、
図2に示すように第一副木部材11と送りネジ機構2の軸受部21、及び第二副木部材12と送りネジ機構2のナット部22を、固定用凹部Hと固定用凸部Cの嵌合手段によってそれぞれ脱着自在に固定している。
【0033】
また本実施形態では、
図4に示すように、上記創外固定器本体1の固定用凹部Hをピン装着部11a・12aの下側にピン装着部11a・12aと一体に設けている。このようにピン装着部11a・12aのスライドに追従するように固定用凹部Hを設けることによって、ピン装着部11a・12aと嵌合凹部Hの間隔を一定に保ち、リハビリ時における手指の屈伸角度をより精確に調整することができる。
【0034】
なお上記創外固定器本体1と送りネジ機構2の脱着機構に関しては、本実施形態では凹凸による嵌合手段を採用しているが、それ以外にもツメ付きの突起を用いた係止手段や、ネジ部材とナット部材を用いた締結手段などを採用することもできる。また脱着機構(嵌合手段、係止手段、締結手段)における凹部(または雌ネジ)は、創外固定器本体1単体でも使用し易いように創外固定器本体1側に形成することが望ましい。
【0035】
[3]送りネジ機構について
[3-1]ハンドル
一方、上記送りネジ機構2については、本実施形態では、
図6及び
図7に示すように、軸受部21とナット部22、ネジ部材23とから構成すると共に、ネジ部材23の軸受部21側の端部と反対側の端部にハンドル23aを設けて構成している。これにより、送りネジ機構2のハンドル23aを手動操作してナット部22の位置を動かすことができるため、簡単にリハビリを行うことができ、また力の入れ具合で患者に過度の痛みが生じないように手指の屈伸運動を行うことができる。
【0036】
[3-2]固定用凸部
また本実施形態では、
図6に示すように上記軸受部21の外側に二股状の枢支部24・24を設けると共に、この枢支部24・24に軸受部21の固定用凸部Cをネジ部材23の軸方向と垂直方向に回動自在に装着している。これにより
図7に示すように、軸受部21の固定用凸部Cをナット部22の固定用凸部Cと同じ向きに揃えることができる。
【0037】
しかも、上記構成を採用したことにより、送りネジ機構2を装着する際に軸受部21の固定用凸部Cを先に第一副木部材11の固定用凹部Hに装着した状態で、ナット部22の位置調節をしながらナット部22の固定用凸部Cを第二副木部材12の固定用凹部Hの位置に合わせて装着することができるため、創外固定器本体1に対する送りネジ機構2の装着作業も容易となる。
【0038】
[3-3]ネジ部材
また上記送りネジ機構2のネジ部材23については、ネジ山のピッチによってネジ部材23を一回転させた際のナット部22の移動距離と、ネジ部材23にかける力の大きさを調節することができる。具体的には、ネジ山のピッチを大きくする程、一回転でのナット部22の移動距離は大きくなるが、ネジ部材23を回転させるのに必要な力も大きくなる。一方、ネジ山のピッチを小さくする程、一回転でのナット部22の移動距離は小さくなるが、ネジ部材23を回転させるのに必要な力も小さくなる。
【0039】
『第二実施形態』
「送りネジ機構の脱着機構」
本発明の第二実施形態について
図8及び
図9に基いて説明する。本実施形態では、
図8に示すように第二副木部材12と送りネジ機構2の脱着機構として、第二副木部材12にC型の固定用止め輪部Rを設けると共に、送りネジ機構2のナット部22の外周面に周方向の固定用溝部Dを設けている。
【0040】
これにより、
図9に示すように第二副木部材12の固定用止め輪部Rを、送りネジ機構2のナット部22の固定用溝部Dに嵌め込んで装着することにより、第二副木部材12とナット部22とを脱着自在に取り付けることができる。なおこの種の止め輪を用いた係止手段を、第一副木部材11と送りネジ機構2の軸受部21の脱着機構に適用することもできる。
【0041】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、本発明は図示の実施形態に限定されるものではなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、創外固定器本体1及び送りネジ機構2の材質は、金属材料やプラスチック材料から適宜選択して使用することができる。また創外固定器本体1を、基節骨と中節骨でなく中節骨と末節骨に使用することもでき、何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0042】
1 創外固定器本体
11 第一副木部材
11a ピン装着部
11b・11c 挟持部材
11d ガイド孔
11e・11f 凹凸部
12 第二副木部材
12a ピン装着部
12b・12c 挟持部材
13 ヒンジ部
2 送りネジ機構
21 軸受部
22 ナット部
23 ネジ部材
23a ハンドル
24 枢支部
P ピン
C 固定用凸部
H 固定用凹部
S1・S2 締結ネジ
N1・N2 締結ナット
R 固定用止め輪部
D 固定用溝部
A リハビリ機能付き創外固定器