(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】スクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法
(51)【国際特許分類】
B41F 15/00 20060101AFI20221226BHJP
B41C 1/14 20060101ALI20221226BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20221226BHJP
B41F 15/12 20060101ALI20221226BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
B41F15/00 A
B41C1/14
B41F15/08 301C
B41F15/12 A
B41J2/01 129
(21)【出願番号】P 2020523634
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(86)【国際出願番号】 JP2019020728
(87)【国際公開番号】W WO2019235265
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2018110516
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008833
【氏名又は名称】東伸工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一ノ▲瀬▼ 孝一
(72)【発明者】
【氏名】土肥 克己
(72)【発明者】
【氏名】松下 俊宏
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-051062(JP,A)
【文献】特開2015-169840(JP,A)
【文献】米国特許第5878662(US,A)
【文献】特開昭60-096459(JP,A)
【文献】登録実用新案第3170603(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0140715(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/00 - 15/46
B41C 1/00 - 3/08
B41D 1/00 - 99/00
B41J 2/01 - 2/215
B05C 5/00 - 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地を搬送する搬送機構と、
布地の搬送経路上に配置されるスクリーン版により布地にスクリーン印刷を施すスクリーン印刷部と、
前記スクリーン印刷部の上方位置に設けられ、スクリーン原版のスクリーンに対してインクヘッドを移動させて前記スクリーンにインクジェット印刷を施してスクリーン版を作る製版部と、を備えるスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記製版部のインクヘッドは、
光硬化性インクを前記スクリーンに向けて吐出するノズル部と、
前記スクリーンに向けて前記光硬化性インクを硬化させる光を照射する光照射部と、を備える請求項1に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
前記製版部のインクヘッドは、前記ノズル部を挟んで両側に前記光照射部が設けられている請求項2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
前記製版部は、前記インクヘッドを前記スクリーン上を直交する2方向へ移動させる移動機構を備える請求項1~3のいずれかに記載のスクリーン印刷装置。
【請求項5】
前記スクリーン印刷部と前記製版部との組が布地の搬送経路に沿って複数組間隔を空けて配置されており、
各組の製版部は、前記各スクリーンにインクジェット印刷を施すことで、幅がそれぞれ等しい製版領域を、隣り合う組の前記製版領域の間の距離が前記製版領域の幅の整数倍となるように作成する、請求項1~4のいずれかに記載のスクリーン印刷装置。
【請求項6】
布地の搬送経路上にスクリーン原版を配置する準備工程と、
前記スクリーン原版のスクリーンに対してインクヘッドを移動させて前記スクリーンにインクジェット印刷を施してスクリーン版を作る製版工程と、
布地の搬送経路上を搬送されてきた布地に、前記スクリーン版によりスクリーン印刷を施すスクリーン印刷工程と、を有するスクリーン印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布地にスクリーン印刷を施すためのスクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法に関し、詳しくは、スクリーン原版が配置された位置で製版を行うことが可能なスクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スクリーン版を用いて印刷を行うスクリーン印刷装置として、例えば特許文献1が提供されている。特許文献1に記載のスクリーン印刷装置は、布地を搬送するエンドレスベルトと、エンドレスベルトを駆動させる駆動ローラと、布地の表面に位置決めされるスクリーン版と、スキージを有する印刷ユニットを備えている。スクリーン版にはインクが遮蔽される領域とインクが通過する孔とからなる製版領域が形成されている。スクリーン版上にインクを流し、スキージをスクリーン版の表面で移動させることにより、インクがスクリーン版の孔を通過し、スクリーン版下の布地に印刷が施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明で用いられるスクリーン版は、アルミニウム等の版枠に高い張力でスクリーンが固定され、このスクリーンに製版領域が形成されたものである。製版領域の形成は、以下の手順により行われる。コーティング機によりスクリーンに感光膜をコーティングし、乾燥させる。次に、製版装置により、感光膜上に布地への印刷図柄に応じて遮蔽インクをインクジェット印刷する。露光機によりスクリーンに光を照射すると、遮蔽インクで遮蔽されていない感光膜が硬化する。水洗機で遮蔽インク及び感光膜を洗い流すと、硬化した感光膜のみがスクリーン上に残ってインクが遮蔽される領域となり、洗い流された感光膜が位置していた領域がインクが通過する孔となる。
【0005】
このような工程で作られるスクリーン版は、スクリーン印刷装置とは別の場所に設置された製版装置により作られた後、スクリーン印刷装置まで運ばれて、作業者が布地の搬送経路上に設置する。しかし、スクリーン版をスクリーン印刷装置まで持ち運ぶ際に、持ち運び時の衝撃で版枠が変形したり、スクリーンの張力が変化する場合がある。このようなスクリーン版を用いて印刷を行うと、印刷される図柄が布地の所望の印刷位置からずれ、印刷精度が悪くなるという問題がある。
【0006】
また、スクリーン版をスクリーン印刷装置の布地の搬送経路上の所定位置に配置する際、布地への印刷ずれを防ぐためには、スクリーン版を正確に位置決めしなくてはならないが、作業者が手作業で位置決めするのはきわめて難しい。
【0007】
特に、スクリーン印刷装置で多色のスクリーン印刷を行う場合、スクリーン版を布地の搬送方向に複数並べ、各スクリーン版に異なる色のインクを置く。そして、布地を各スクリーン版によって印刷される印刷領域の幅(印刷ピッチ)ずつ間欠的に移動させ、布地の搬送方向の上流側に位置したスクリーン版により印刷した布地上の領域に、次のスクリーン版により印刷を行うことで多色の印刷を行う。
【0008】
上流側に位置したスクリーン版により印刷した布地上の領域に、下流側に位置するスクリーン版による印刷を正確に重ねるには、隣り合うスクリーン版の製版領域の間の距離が正確に印刷ピッチの整数倍となるように各スクリーン版を正確に位置決めする必要があり、許容される位置決めの誤差は0.1mm程度と言われている。しかし、作業者が手作業でスクリーン版を精度良く位置決めして配置するのは極めて難しい。スクリーン版が所定の位置に配置されていない場合には、前のスクリーン版による布地への印刷領域に次のスクリーン版による印刷が正確に重ならず、印刷がずれ、印刷精度が悪くなるという問題がある。
【0009】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、印刷精度の高いスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるスクリーン印刷装置は、布地を搬送する搬送機構と、布地の搬送経路上に配置されるスクリーン版により布地にスクリーン印刷を施すスクリーン印刷部と、前記スクリーン印刷部の上方位置に設けられ、スクリーン原版のスクリーンに対してインクヘッドを移動させて前記スクリーンにインクジェット印刷を施してスクリーン版を作る製版部とを備える。
【0011】
本発明のスクリーン印刷装置は製版部を備えており、布地の搬送経路上にスクリーン原版を配置して製版部によりスクリーン版を作り、そのスクリーン版によりスクリーン印刷部により布地に対してスクリーン印刷を行う。このため、スクリーン版を持ち運んで設置する必要がなく、持ち運び時の衝撃で版枠が変形したりスクリーンの張力が変化して印刷精度が悪くなることを防ぐことができる。
【0012】
複数のスクリーン版を用いて多色のスクリーン印刷を行う場合には、隣合うスクリーン版の製版領域の距離を正確に印刷ピッチの整数倍とする必要があるが、本発明のスクリーン印刷装置は、製版部においてインクヘッドを移動させてスクリーン原版のスクリーンにインクジェット印刷してスクリーン版を作るため、スクリーン上の所望の位置に製版領域を形成することができる。このため、従来技術のように作業者が手作業でスクリーン版を正確に位置決めしなくても、製版領域を形成する位置を調整することで、隣合うスクリーン版の製版領域の位置を正確に印刷ピッチの整数倍とすることができ、精度良くスクリーン印刷を行うことができる。
【0013】
好ましい実施形態においては、前記製版部のインクヘッドは、光硬化性インクを前記スクリーンに向けて吐出するノズル部と、前記スクリーンに向けて前記光硬化性インクを硬化させる光を照射する光照射部と、を備える。
【0014】
上記の実施形態においては、前記製版部のインクヘッドは、前記ノズル部を挟んで両側に前記光照射部が設けられている。
【0015】
好ましい実施形態においては、前記製版部は、前記インクヘッドを前記スクリーン上を直交する2方向へ移動させる移動機構を備える。
【0016】
好ましい実施形態においては、前記スクリーン印刷部と前記製版部との組が布地の搬送経路に沿って複数組間隔を空けて配置されており、各組の製版部は、前記各スクリーンにインクジェット印刷を施すことで、幅がそれぞれ等しい製版領域を、隣り合う組の前記製版領域の間の距離が前記製版領域の幅の整数倍となるように作成する。
【0017】
本発明を方法の観点から規定すると、本発明によるスクリーン印刷方法は、布地の搬送経路上にスクリーン原版を配置する準備工程と、前記スクリーン原版のスクリーンに対してインクヘッドを移動させて前記スクリーンにインクジェット印刷を施してスクリーン版を作る製版工程と、布地の搬送経路上を搬送されてきた布地に、前記スクリーン版によりスクリーン印刷を施すスクリーン印刷工程と、を有する。
【0018】
布地の搬送経路上にスクリーン原版を配置してスクリーン版を作り、そのスクリーン版により布地に対してスクリーン印刷を行っているため、スクリーン版を移動させずにスクリーン印刷を行うことができ、持ち運び時の衝撃で版枠が変形したりスクリーンの張力が変化して印刷精度が悪くなることを防ぐことができる。
【0019】
また、複数のスクリーン版を用いて多色のスクリーン印刷を行う場合には、隣合うスクリーン版の製版領域の距離を正確に印刷ピッチの整数倍とする必要があるが、製版工程においてインクヘッドを移動させてスクリーン原版のスクリーンにインクジェット印刷してスクリーン版を作るため、スクリーン上の所望の位置に製版領域を形成することができる。このため、従来技術のように作業者が手作業でスクリーン版を正確に位置決めしなくても、製版領域を形成する位置を調整することで、隣合うスクリーン版の製版領域の位置を正確に印刷ピッチの整数倍とすることができ、精度良くスクリーン印刷を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、印刷精度の高いスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係るスクリーン印刷装置の全体構成を示す概略平面図である。
【
図2】スクリーン印刷装置の全体構成を示す概略正面図である。
【
図3】スクリーン印刷装置の要部を示す概略平面図である。
【
図4】
図3のA-A線から見たスクリーン印刷部の断面図である。
【
図5】
図3のB-B線から見た製版部の断面図である。
【
図7】(A)はプリントヘッドの構成の説明図、(B)はスクリーン版の平面図である。
【
図8】布地に対するスクリーン版の配置の説明図である。
【
図9】(A)(B)は製版部の動作の説明図である。
【
図10】(A)(B)は製版部の動作の説明図である。
【
図11】(A)(B)は製版部の動作の説明図である。
【
図12】(A)~(C)は布地へのスクリーン印刷の印刷領域の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(全体構成)
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1~12は、本発明の一実施形態のスクリーン印刷装置10を示す。
図1、
図2に示すように、スクリーン印刷装置10は、基台17上に布地Cを搬送する搬送機構12と、布地Cの搬送経路上に配置されるスクリーン版15により布地Cにスクリーン印刷を施すスクリーン印刷部13と、スクリーン印刷部13の上方位置に設けられ、スクリーン原版19のスクリーン100に対してインクヘッド50を移動させてスクリーン100にインクジェット印刷を施してスクリーン版15を作る製版部14と、各部の動作を制御するための制御装置18とを備えている。本実施形態においては、スクリーン版15、スクリーン印刷部13、及び製版部14の組が、搬送経路上に所定の間隔を空けて複数(本実施形態では3組)配置されている。なお、
図1、
図2はスクリーン印刷装置10の概略を示したものであり、基台17の一部や布地C、搬送機構12等の構成を省略して図示している。
【0023】
各組のスクリーン版15、スクリーン印刷部13、及び製版部14を区別する必要があるときは、それぞれスクリーン版15A、15B、15C、スクリーン印刷部13A、13B、13C、及び製版部14A、14B、14Cという。以下の説明では、
図1、
図2において左右方向をX方向といい、特に矢印A1に示す左から右へ向かう方向を布地Cの搬送方向といい、左側を上流側、右側を下流側という。また、
図1においてX方向に直交する方向を布地Cの幅方向又はY方向という。本明細書において、「スクリーン原版19」とは、スクリーン100が版枠101に張設され、製版領域Pが形成されていない状態のものをいい、「スクリーン版15」とは、スクリーン原版19のスクリーン100上に製版領域Pが形成されたものをいう。
【0024】
(搬送機構12)
搬送機構12は、布地Cを搬送するためのエンドレスベルト20と、基台17の搬送方向の両端に設けられエンドレスベルト20が掛け渡される駆動ローラ21A、21Bと、駆動ローラ21Aに連結され駆動ローラ21Aを駆動するための駆動モータ(図示せず)等とを備えている。布地Cは、図示しないロールから巻き出され、ガイドローラ22を通り、エンドレスベルト20上に導かれる。エンドレスベルト20の布地Cを載置する面は粘着剤で処理されており、布地Cが張り付けローラ23により、エンドレスベルト20の表面に押し付けられて貼り付けられる。搬送機構12の搬送経路上で布地Cにスクリーン印刷が施された後、搬送方向の下流側において、布地Cはエンドレスベルト20から引き剥がされてガイドローラ24を通って図示しないロールに巻き取られる。エンドレスベルト20は水洗装置16に導かれて洗浄される。
【0025】
(スクリーン版15)
アルミニウム等の金属からなる矩形状の版枠101に、例えばポリエステル製の糸を織って形成されたスクリーン100を張設してスクリーン原版19を作成する。
図7(B)及び
図8に示すように、このスクリーン原版19のスクリーン100上に製版部14により矩形状の製版領域Pを形成することでスクリーン版15が作成される。製版領域Pを囲みスクリーン100上の版枠101に近い周辺領域は、インクジェット印刷が施されない非製版領域NPである。なお、スクリーン版15は、スクリーン版上下移動機構(図示せず)により布地Cに対して上下方向に移動可能である。
【0026】
(スクリーン印刷部13)
スクリーン印刷部13は、
図3、
図4に示すように、スクリーン版15上の一対のスキージ32の間にインクを投入した状態で、スキージ32を布地Cの幅方向に沿って往復動させることで、布地Cに印刷を施すものである。
【0027】
スクリーン印刷部13は、基台17に支持され、スクリーン版15を挟んで布地Cの幅方向に延びる2本のガイドフレーム30と、この各ガイドフレーム30にガイドされ幅方向に往復動する一対のスキージキャリア31と、一対のスキージキャリア31間に亘って延びて両端がスキージキャリア31に支持され、往動および復動時にスクリーン100にスキージ圧を作用させて布地Cに印刷を行う往動および復動用の2つのスキージ32とを備えている。
【0028】
(スキージキャリア31)
図4に示すように、スキージキャリア31は、それぞれ、キャリアケース33と、キャリアケース33に昇降可能に取り付けられ、スキージ32を取り外し可能に支持する一対のスキージ支持ホルダー34と、スクリーン版15へのスキージ圧を調整する一対の加圧調整機構35とを備えている。加圧調整機構35は、例えば、スキージ支持ホルダー34のねじ孔に挿入されるボールネジや、ボールネジの先端に取り付けられる加圧調整ハンドル等を含み、作業者が加圧調整ハンドルを回転させることで、ボールネジが回転して各スキージ支持ホルダー34を昇降動作させ、スクリーン版15へのスキージ圧を調整する。2つのスキージ32を保持するために、一対のスキージ支持ホルダー34及び一対の加圧調整機構35の組が、布地Cの幅方向に間隔を空けて2組設けられている。
【0029】
キャリアケース33は、断面U次形状のガイドフレーム30の内側に収容されている。キャリアケース33の上下面にはスライド部材36が設けられており、このスライド部材36に形成された溝に、ガイドフレーム30、30の内壁に設けられ溝に対応する形状のレール37が嵌り、ガイドフレーム30に沿ってキャリアケース33が摺動可能である。
【0030】
キャリアケース33の往復動は、それぞれ、キャリアケース33に連結されガイドフレーム30内に収容されるタイミングベルト38により行われ、タイミングベルト38は、駆動モータ39の出力軸に連結されたタイミングプーリ40によって駆動される。
【0031】
2つのスキージ32は、
図4に示すように、それぞれ、基端側が各スキージ支持ホルダー34に支持される一対のスキージブラケット41と、スキージブラケット41の先端側に取り付けられるスキージホルダー42と、スキージホルダー42に保持されるスキージゴム43とを備える。スキージゴム43は天然ゴム、合成ゴム等から構成され、スクリーン印刷用のインクをスクリーン版上で押し広げる。
【0032】
(製版部14)
製版部14は、
図3、
図5、
図6に示すように、スクリーン100にインクジェット印刷を施すインクヘッド50と、インクヘッド50を布地Cの幅方向に移動させる第1移動機構51と、インクヘッド50を布地Cの搬送方向に移動させる第2移動機構52と、インクヘッド50を上下方向に移動させる上下移動機構53とを備える。なお、
図6においては、製版部14の構成のみを図示しており、基台17等は図示していない。製版部14は、スクリーン印刷部13に跨るようにスクリーン印刷部13の上方位置に設けられている。製版部14がスクリーン印刷部13の上方位置に設けられるとは、スクリーン印刷装置10を側面から見た場合において、製版部14の少なくとも第2移動機構52が、スクリーン印刷部13のスキージ32よりも上下方向の上方位置に設けられることを意味している。
【0033】
(第1移動機構51)
図3、
図5、
図6に示すように、第1移動機構51は、基台17に支持され、スクリーン印刷部13を挟んで布地Cの幅方向に延びる2本のガイドレール60と、第2移動機構52を支持しこのガイドレール60にガイドされて幅方向に往復動する一対の第2移動機構支持体61とを備える。
【0034】
図3に示すように、各ガイドレール60の上面には、第2移動機構支持体61を摺動させるためのレール部分63が長さ方向に沿って取り付けられており、レール部分63に平行にタイミングベルト62が配置されている。タイミングベルト62は、ガイドレール60の長さ方向の両端に取り付けられたローラ64によりガイドレール60の側面に沿うように向きを変えられ、ベルト保持金具、張力調整ボルト等により張力調整可能な状態で、ガイドレール60に固定されている。
【0035】
図5に示すように、第2移動機構支持体61には、第2移動機構支持体61のガイドレールのレール部分63と対向する下面にスライド部材65が取り付けられており、スライド部材65には断面形状が凹状の溝が形成されている。このスライド部材65の溝が、溝に対応する形状を有するガイドレール60のレール部分63に嵌ることで、ガイドレール60に沿って第2移動機構支持体61が摺動可能となっている。
【0036】
図3、
図6に示すように、第2移動機構支持体61の上面には、駆動モータ67が設けられ、駆動モータ67にはタイミングプーリ66が取り付けられている。タイミングプーリ66にはベルト押さえローラ68を介してタイミングベルト62が掛けられており、駆動モータ67がタイミングプーリ66を回転させることで、タイミングプーリ66がタイミングベルト62と噛み合って第2移動機構支持体61をレール部分63に沿って移動させる。
【0037】
(第2移動機構52)
図5、
図6に示すように、第2移動機構52は、一対の第2移動機構支持体61に亘って延び、脚部70を介して一対の第2移動機構支持体61に取り付けられる角筒状のガイドフレーム71と、ガイドフレーム71の一方の面に設けられ、ガイドフレーム71の上下方向の両端部に、ガイドフレーム71の長さ方向(X方向)に沿って延びる2本のガイドレール72と、このガイドレール72にガイドされてガイドフレーム71の長さ方向に往復動する上下移動機構支持板73とを備える。
【0038】
2本のガイドレール72の間には、上下移動機構支持板73に連結されたタイミングベルト76が設けられている。タイミングベルト76は、ガイドフレーム71の長さ方向の両端に設けられたタイミングプーリ74、75に掛け渡されている。タイミングプーリ74は、駆動モータ77の出力軸に連結されており、駆動モータ77がタイミングプーリ74を回転させることでタイミングベルト76が駆動し、上下移動機構支持板73がガイドフレーム71の長さ方向に移動する。
【0039】
上下移動機構支持板73のガイドフレーム71と対向する面には、ガイドレール72に対向する位置にスライド部材78が合計4つ取り付けられている。スライド部材78には断面形状が凹状の溝が形成されている。このスライド部材78の溝が、溝に対応する形状を有するガイドレール72に嵌ることで、ガイドレール72に沿って上下移動機構支持板73が摺動可能となっている。
【0040】
(上下移動機構53)
図5に示すように、上下移動機構53は、上下移動機構支持板73に設けられ、
図5における左右方向の両端部に上下方向に沿って延びる2本のガイドレール80と、このガイドレール80にガイドされて上下方向に往復動するインクヘッド支持部材81とを備える。2本のガイドレール80の間には、ボールネジ82が配置され、ボールネジ82の一端は駆動モータ83の出力軸に連結され、他端は上下移動機構支持板73に設けられたベアリング84により支持されている。また、ボールネジ82はインクヘッド支持部材81の上下移動機構支持板73と対向する面に設けられたナット部材85に貫通して螺合しており、駆動モータ83によりボールネジ82を回転させることで、インクヘッド50は上下方向に移動可能である。
【0041】
インクヘッド支持部材81の上下移動機構支持板73と対向する面には、ガイドレール80に対向する位置にスライド部材86が各2つずつ計4つ取り付けられている。スライド部材86には断面形状が凹状の溝が形成されている。このスライド部材86の溝が、溝に対応する形状を有するガイドレール80に嵌ることで、ガイドレール80に沿ってインクヘッド支持部材81が摺動可能となっている。
【0042】
(インクヘッド50)
インクヘッド支持部材81の下端には、インクヘッド50が設けられている。インクヘッド50は、第1移動機構51、第2移動機構52、上下移動機構支持板73により、スクリーン原版19のスクリーン100上を移動してインクジェット印刷を行う。
図7に示すように、インクヘッド50は、光硬化性インクをスクリーン100に向けて吐出するノズル部(図示せず)を有するプリントヘッド90と、スクリーン100に向けて光硬化性インクを硬化させる光を照射する光照射部91(91A、91B)とを有している。光照射部91は、プリントヘッド90を挟んでインクヘッド50の移動方向(
図7においては矢印A2の方向)の両側に設けられている。光硬化性インクは、例えばUV硬化インクを含み、光重合開始剤の作用により紫外線(UV)照射時に重合して硬化するものである。また、このUV硬化インクは、インクジェット印刷により印刷可能なものである。光照射部91は、光硬化性インクを硬化可能な光を照射するものであり、例えば、紫外線を照射する光源である。
【0043】
図示しないが、プリントヘッド90は、脱気モジュールを介してチューブによりインクタンクと接続されている。インクタンクには光硬化性インクが充填されており、この光硬化性インクがプリントヘッド90に供給される。脱気モジュールは、光硬化性インク中に含まれる気体を取り除くものである。
【0044】
プリントヘッド90から吐出された光硬化性インクS1には、インクヘッド50の方向に対して後続の光照射部91から光が照射される。
図7(A)において、インクヘッド50が左から右へ向かう矢印A2の方向に移動する場合、左側の光照射部91Aから光が照射される。これにより、プリントヘッド90から吐出された光硬化性インクが硬化して光硬化性インクS2となる。インクヘッド50が
図7(A)において右から左へ向かう方向、すなわち矢印A2と逆の方向に移動する場合、右側の光照射部91Bから光を照射することで、プリントヘッド90からスクリーン100上に吐出された光硬化性インクを硬化させる。なお、
図7(A)においては、説明のためにスクリーン100の上に光硬化性インクS1、S2が示されているが、実際には、スクリーン100の上に光硬化性インクS1、S2が位置するのではなく、光硬化性インクS1、S2がスクリーン100の糸に絡みつくように糸と糸との間に入り込む。
【0045】
このようにインクヘッド50によりスクリーン原版19のスクリーン100上にインクジェット印刷が行われることで、
図7(B)に示す製版領域Pが形成され、スクリーン版15が作られる。製版領域Pは、布地用インクの通過が遮蔽される遮蔽領域P1と布地用インクが通過する孔P2からなる。遮断領域P1は、硬化した光硬化性インクS2により形成され、スクリーン印刷の際に布地用インクの布地Cへの通過が遮断される領域であり、孔P2は、光硬化性インクS1が印刷されず、スクリーン100上で光硬化性インクS2が存在していない領域であり、布地用インクが通過する領域である。
【0046】
(制御装置18)
搬送機構12の駆動モータ、スクリーン印刷部13のスキージキャリア31、31、スクリーン版上下移動機構、製版部14の第1移動機構51、第2移動機構52、上下移動機構53、インクヘッド50等の各部は、ケーブル(図示せず)を介して制御装置18に接続されており、制御装置18により動作が制御される。制御装置18は、図示しないが、制御部、記憶部、インターフェース部を含んでいる。制御部は、例えばCPUやワークエリアとなるメモリなどから構成されており、記憶部に記憶されているプログラムを実行することにより、各部の動作を制御する。記憶部は、例えばフラッシュメモリや不揮発性メモリなどの記憶装置から構成され、制御部により実行されるプログラムを記憶している。インターフェース部は、信号を取り込む入力ポートや信号を送信する出力ポート、A/D変換回路などから構成され、各部と制御信号の送受信を行っているが、各部のそれぞれが通信部を備えて無線で制御信号の送受信を行ってもよい。また、制御装置18にはモニタなどの表示部やキーボード等の入力部が接続され、スクリーン印刷装置10を動作させるための設定項目に対する値、印刷する図柄などを作業者が入力することが可能となっている。
【0047】
(複数のスクリーン版15の配置)
図8に示すように、各製版部14A~14Cが作成するスクリーン版15A~15Cの製版領域PA~PCは、幅L1、すなわち製版領域PA~PCのX方向の長さがそれぞれ等しく、隣り合う製版領域PA~PCの間の距離L2が各製版領域PA~PCの幅L1の整数倍となるように作成する。言い換えれば、各製版部14が作成するスクリーン版15A~15Cの製版領域PA~PCは、隣り合う製版領域PA~PCの間の距離L2が各製版領域PA~PCの幅L1の整数倍となるようにスクリーン版15A~15Cに対して形成される位置が調整され、例えばスクリーン版15Bの製版領域PBは、スクリーン版15BのX方向の中央部より上流側にずれている。なお、
図8は説明の便宜上、布地Cと、布地Cの搬送経路上に配置される複数のスクリーン版15A~15Cのみを示している。
【0048】
(スクリーン印刷方法)
次に、上記の実施形態のスクリーン印刷装置10を用いたスクリーン印刷方法について説明する。
【0049】
(準備工程)
まず、準備工程が行われる。準備工程においては、スクリーン原版19をスクリーン印刷部13の2本のガイドフレーム30の間の所定位置に配置する。各スクリーン100には、予め、非製版領域NPにマスキングテープ等を貼り付けるなどの処理が行われている。準備工程においては、スクリーン印刷部13にはスキージ32は取り付けられていない。また、製版部14のインクヘッド50は、
図3及び
図9(A)に示すように、版枠101の外側の準備位置にある。準備工程と次の製版工程においては、布地Cはエンドレスベルト20に配置されていない。なお、
図9~
図11において、スクリーン印刷部13の図示を省略している。
【0050】
(製版工程)
次に、製版部14による製版工程が行われる。製版工程においては、制御装置18は、予め記憶された印刷画像データや、製版を実施するにあたり必要な設定項目に対する値に基づき、インクヘッド50を制御してスクリーン原版19のスクリーン100にインクジェット印刷を行い、製版領域Pを作成する。なお、設定項目に対する値や印刷画像データは予め記憶部に記憶されていてもよいが、作業者が入力してもよい。
【0051】
詳細には、制御装置18は、製版部14の第1移動機構51を制御してインクヘッド50をY方向に移動させるとともに、第2移動機構52を制御してインクヘッド50をX方向に移動させ、インクヘッド50をスクリーン原版19のスクリーン100へのインクジェット印刷開始位置の上方位置まで移動させる(
図9(B))。制御装置18は上下移動機構53を制御してインクヘッド50を印刷可能な位置まで下降させる(
図10(A))。
【0052】
次に、制御装置18はインクジェット印刷を行う。制御装置18は、第2移動機構52を制御してインクヘッド50をX方向に沿って移動させつつ、インクヘッド50のノズル部から光硬化性インクを吐出させ、インクヘッド50の進む方向に対して後続の光照射部91からスクリーン100に吐出された光硬化性インクに光を照射させる。例えば、
図7の実施形態においては、インクヘッド50は
図7(A)における左から右に向かう矢印A2の方向に移動し、左側の光照射部91Aから光が照射される。インクヘッド50が印刷終了位置まで達すると、第1移動機構51を制御してインクヘッド50をインクジェット印刷の印刷ピッチ分だけY方向に移動させる。そして、第2移動機構52を制御して前回とは逆方向にインクヘッド50を移動させ、インクヘッド50のノズル部から光硬化性インクを吐出させる。このとき、前回とは反対側の光照射部91からスクリーン100に吐出された光硬化性インクに光を照射させる(
図10(B))。例えば、インクヘッド50は
図7(A)における左から右に向かう矢印A2とは逆方向に移動し、右側の光照射部91Bから光が照射される。
【0053】
制御装置18は、上記の動作を繰り返して、スクリーン原版19のスクリーン100上のインクジェット印刷を行う予定の全ての領域にインクヘッド50を往復動させてインクジェット印刷を行い、製版領域Pを作成する。これによりスクリーン版15が作られる。インクジェット印刷が完了すると、制御装置18は、上下移動機構53を制御してインクヘッド50を上昇させ(
図11(A))、第1移動機構51及び第2移動機構52を制御して、インクヘッド50を準備位置に戻す(
図11(B))。
【0054】
(スクリーン印刷工程)
次に、スクリーン印刷工程が行われる。まず、エンドレスベルト20に布地Cが搬送される。次に、作業者により各スクリーン印刷部13の一対のスキージ支持ホルダー34に、スキージ32が取り付けられる。このとき、スクリーン版15は布地Cに対して上方位置にあり、布地Cと接触していない。また、スキージ32のスキージゴム43はスクリーン版15の上面と接触していない。
【0055】
作業者は、図示しないモニタなどを介して、スキージ加圧量、速度など、スクリーン印刷工程を実施するにあたり必要な設定項目に対する値を制御装置18に入力する。なお、このパラメータは予め記憶部に記憶されていてもよい。
【0056】
次に、作業者により各スクリーン印刷部13のスクリーン版15上の一対のスキージ32の間に布地用インクが投入される。
図3において、上方向をスキージキャリア31が往動する方向、下方向をスキージキャリア31が復動する方向とすると、制御装置18は、往動時には下側の往動用のスキージ32を下降させてスクリーン版15に接触させ、上側の復動用のスキージ32を上昇させてスクリーン版15から離して、スキージ32を移動させる。これにより、布地用インクがスクリーン版15に形成された孔P2に入る。次に、制御装置18は、スクリーン版15をスクリーン版上下移動機構により下降させて布地Cと接触させ、上側の復動用のスキージ32を下降させてスクリーン版15に接触させるとともに下側の往動用のスキージ32を上昇させてスクリーン版15から離す。制御装置18は、復動用のスキージ32をスクリーン版15を加圧するように復動させる。これにより、スクリーン版15の孔P2に入った布地用インクが布地Cに移りスクリーン印刷が施され、布地Cには、スクリーン版15の製版領域Pに対応した印刷領域が形成される。
【0057】
本実施形態では、布地Cの搬送経路上に3つのスクリーン印刷部13A~13Cが設けられている。各スクリーン印刷部13には異なる色のインクが投入される。搬送機構12は、スクリーン版15A~15Cの製版領域PA~PCの幅L1に相当する距離毎に布地Cを間欠的に搬送する。隣り合う製版領域PA~PCの間の距離L2は各製版領域PA~PCの幅L1の整数倍としているため、搬送機構12が布地Cを間欠搬送することで、上流側のスクリーン版15Aまたは15Bにより印刷が施された布地上の印刷領域Q1またはQ2が、後続のスクリーン版15の製版領域Pの下方位置に正確に搬送されるため、印刷領域Q1またはQ2の上に、後続のスクリーン印刷部13による印刷が正確に重なり、印刷精度が良い。
【0058】
図12を参照すると、スクリーン版15Aにより印刷が施された布地C上の印刷領域Q1(
図12(A))は、搬送機構12によりスクリーン版15Bの製版領域PBの下方位置に正確に搬送される。印刷領域Q1に、スクリーン版15Bによる印刷が重なるように布地Cへスクリーン印刷が施されることにより、布地上に
図12(B)に示す印刷領域Q2が形成される。この印刷領域Q2は、搬送機構12によりスクリーン版15Cの製版領域PCの下方位置に正確に搬送される。印刷領域Q2に、スクリーン版15Cによる印刷が重なるように布地Cへスクリーン印刷が施されることにより、布地上に
図12(C)に示す印刷領域Q3が形成され、布地上の所定の領域におけるスクリーン印刷が完了する。搬送機構12が布地Cを間欠搬送することで、布地にスクリーン印刷が連続して施される。
【0059】
上記の実施形態によれば、スクリーン印刷装置10は製版部14を備えており、布地の搬送経路上にスクリーン原版19を配置して製版部14によりスクリーン版15を作り、そのスクリーン版15によりスクリーン印刷部13により布地Cに対してスクリーン印刷を行う。スクリーン版15を移動させずにスクリーン印刷を行うことができるため、スクリーン版15を持ち運ぶ必要がなく、持ち運び時の衝撃で版枠101が変形したりスクリーン100の張力が変化して印刷精度が悪くなることを防ぐことができる。
【0060】
また、製版部14においては、スクリーン100上の所望の領域にインクジェット印刷を施して製版領域Pを作ることができる。布地Cへの所望の印刷領域の上方の位置となるようにスクリーン100を配置し、製版部14により、布地Cへの印刷領域と平面視において一致するスクリーン100上の領域にインクジェット印刷を施して製版領域Pを作ることで、スクリーン100への製版領域Pの作成位置を調整することができる。作業者が手作業でスクリーン100を所定位置に正確に配置する手間を省くことができ、スクリーン印刷の精度が向上する。
【0061】
また、本実施形態においては、光硬化性インクをスクリーン100に印刷し、光照射部91により光を照射して硬化させることで製版しているため、従来技術における製版のようにスクリーン100に感光膜をコーティングする工程や、感光膜を洗い流す工程がなく、工程が少なくなるとともに、コーティング機や水洗機などの設備が不要になる。
【0062】
さらに、従来のように、スクリーン版15をスクリーン印刷装置10とは別の場所で作っている場合には、製版してからスクリーン印刷を行うまでに時間が経過してしまい、版枠101に固定されたスクリーン100の張力が低下してスクリーン印刷時に印刷ずれが生じて印刷精度に影響を及ぼすことがある。しかし、本実施形態においては、スクリーン印刷装置10内で製版するため、製版後すぐにスクリーン印刷を行うことができ、スクリーン100の張力の変化によって印刷精度が悪くなるのを防ぐことができる。
【0063】
本実施形態においては、スクリーン版15、スクリーン印刷部13、及び製版部14の組は搬送経路上に所定の間隔を空けて複数配置されているが、1つの組のみが配置されていてもよい。
【0064】
また、製版部14の第1移動機構51、第2移動機構52、上下移動機構53は本実施形態の構成に限定されず、インクヘッド50をX,Y方向及び上下方向に移動させることができればどのような構成であってもよい。また、本実施形態では、インクヘッド50はX方向に沿って移動しながら光硬化性インクを吐出しているが、Y方向に沿って移動しながら光硬化性インクを吐出してもよい。この場合、光照射部91はプリントヘッド90を挟んでY方向の両側に設けられる。
【0065】
また、本実施形態では、インクヘッド50は移動方向に沿って往復動しながら光硬化性インクを吐出しているが、往動時または復動時にのみ光硬化性インクを吐出してもよい。この場合、プリントヘッド90の光硬化性インクの吐出時の進行方向に対して後続側に1つの光照射部91が設けられる。
【0066】
また、スクリーン版15及びスクリーン印刷部13の複数の組と、1つの製版部14を備えていてもよい。この場合、スクリーン印刷装置10は、製版部14を布地Cの搬送方向に沿って移動させる移動機構をさらに備える。製版工程においては、準備工程において所定位置に配置された複数の版枠101に固定されたスクリーン100に対して、移動機構により製版部14を順次移動させて製版を行う。
【0067】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 スクリーン印刷装置
12 搬送機構
13(13A、13B、13C) スクリーン印刷部
14(14A、14B、14C) 製版部
15(15A、15B、15C) スクリーン版
19 スクリーン原版
32 スキージ
50 インクヘッド
51 第1移動機構
52 第2移動機構
53 上下移動機構
90 プリントヘッド
91 光照射部
100 スクリーン
C 布地
P 製版領域