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特許7199744薬による副作用を含む治療に関連して発症する症状を軽減するためのシステム、装置、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】薬による副作用を含む治療に関連して発症する症状を軽減するためのシステム、装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 70/40 20180101AFI20221226BHJP
【FI】
G16H70/40
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020566372
(86)(22)【出願日】2019-01-16
(86)【国際出願番号】 JP2019001085
(87)【国際公開番号】W WO2020148822
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】516305053
【氏名又は名称】株式会社CureApp
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 晃太
(72)【発明者】
【氏名】相島 雅樹
【審査官】玉木 宏治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-3864(JP,A)
【文献】特許第6347008(JP,B1)
【文献】特許第6339298(JP,B1)
【文献】特許第6116769(JP,B2)
【文献】特開2011-155516(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0219931(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0371464(US,A1)
【文献】朽木 誠一郎,AF Another Field 2 医療とApple 異例の「治療」アプリがもたらす医療ビジネスの拡張性,Mac Fan,2017年07月01日,第25巻, 第7号,pp.146-147
【文献】CureApp 日本初、治療アプリの治験がスタート 「アプリ」を処方、新時代の医療へ,月刊事業構想,2018年01月01日,通巻第64号,pp.22-23
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ及びユーザ端末を備え、薬による副作用を含む治療に関連してユーザに発症する症状を軽減するためのシステムであって、
前記サーバは、薬に関連する情報を含むユーザ履歴情報に基づいて、2以上の症状の各々について、ユーザに提示する優先度を示す症状スコアを決定し、
前記ユーザ端末は、
ユーザが現在発症している症状をユーザに選択させるために、前記決定された症状スコアが高い順に症状を示す情報を提示し、
前記提示された症状を示す情報に基づいてユーザによって選択された症状を示すユーザ選択を受け付け、
前記サーバは、ユーザ選択及びユーザ履歴情報に基づいて、前記選択された症状を軽減するための対処法を示す対処法情報を決定し、
前記ユーザ端末は、前記決定された対処法情報に基づいて前記症状を軽減するための対処法を提示する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記症状スコアを決定することは、ユーザ履歴情報に基づいて決定されるユーザの状態を示す状態情報に基づいて、2以上の症状の各々について症状スコアを決定することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記サーバが、ユーザの状態の各々に対して予め決定された各症状のための症状スコアを示すスコアテーブルを記憶し、
前記症状スコアを決定することは、前記状態情報に基づいて前記スコアテーブルからユーザのための各症状の症状スコアを選択する、ことを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記サーバは、ユーザ選択に基づいて前記予め決定された各症状のための症状スコアを変更する、ことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記対処法情報を決定することは、ユーザ履歴情報に基づいて決定されるユーザの状態を示す状態情報に基づいて、2以上の対処法の各々について予想される効果の高さを示す対処法スコアを決定し、最も対処法スコアの高い対処法を示す対処法情報を選択することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記サーバが、ユーザの状態の各々に対して予め決定された各症状に対する各対処法のための対処法スコアを示すスコアテーブルを記憶し、
前記対処法情報を決定することは、前記ユーザ選択及び前記状態情報に基づいて前記スコアテーブルからユーザのための対処法スコアが最も高い対処法を選択する、ことを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記サーバは、ユーザによって実行された対処法による効果を示す効果確認情報に基づいて前記予め決定された各症状に対する各対処法のための対処法スコアを変更する、ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記症状スコアを決定することは、ユーザ履歴情報に基づいて決定されるユーザの行動の有無に基づいて、2以上の症状の各々について症状スコアを決定することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記対処法情報を決定することは、ユーザ履歴情報に基づいて決定されるユーザの行動の有無に基づいて、2以上の対処法の各々について予想される効果の高さを示す対処法スコアを決定し、最も対処法スコアの高い対処法を示す対処法情報を選択することを含む、請求項1または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ユーザ履歴情報は、属性情報、既往歴情報、処方薬情報、生体情報及びユーザによって実行された行動を示す行動履歴情報のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記生体情報は、一酸化炭素濃度測定器によって測定された、ユーザの呼気一酸化炭素濃度を含む、ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記対処法情報は、更に、ユーザに処方された薬の種類及び量を示す処方薬情報に基づいて決定される、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
薬による副作用を含む治療に関連してユーザに発症する症状を軽減するためのサーバであって、
薬に関連する情報を含むユーザ履歴情報に基づいて、2以上の症状の各々について、ユーザに提示する優先度を示す症状スコアを決定し、
前記症状スコアの高い順に症状を示す情報を提示するために、前記症状スコアをユーザ端末に送信し、
前記提示された症状を示す情報に基づいてユーザによって選択された症状を示すユーザ選択を前記ユーザ端末から受信し、
ユーザ選択及びユーザ履歴情報に基づいて、前記選択された症状を軽減するための対処法を示す対処法情報を決定し、
前記ユーザ端末に前記対処法情報を送信する、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項14】
薬による副作用を含む治療に関連してユーザに発症する症状を軽減するためのユーザ端末であって、
薬に関連する情報を含むユーザ履歴情報に基づいて決定された、2以上の症状の各々についての、ユーザに提示する優先度を示す症状スコアをサーバから受信し、
ユーザが現在発症している症状をユーザに選択させるために、前記決定された症状スコアが高い順に症状を示す情報を提示し、
前記提示された症状を示す情報に基づいてユーザによって選択された症状を示すユーザ選択を受け付け、
ユーザ選択及びユーザ履歴情報に基づいて、前記選択された症状を軽減するための対処法を示す対処法情報を決定するために、前記サーバに前記ユーザ選択を送信し、
前記サーバから決定された前記対処法情報を受信し、
前記対処法情報に基づいて前記症状を軽減するための対処法を提示する、
ことを特徴とするユーザ端末。
【請求項15】
薬による副作用を含む治療に関連してユーザに発症する症状を軽減するための一以上のコンピュータによって実行される方法であって、
薬に関連する情報を含むユーザ履歴情報に基づいて、2以上の症状の各々について、ユーザに提示する優先度を示す症状スコアを決定し、
ユーザが現在発症している症状をユーザに選択させるために、前記決定された症状スコアが高い順に副作用を示す情報を提示し、
前記提示された症状を示す情報に基づいてユーザによって選択された副作用を示すユーザ選択を受け付け、
ユーザ選択及びユーザ履歴情報に基づいて、前記選択された症状を軽減するための対処法を示す対処法情報を決定し、
前記決定された対処法情報に基づいて前記症状を軽減するための対処法を提示する、
ことを含む方法。
【請求項16】
薬による副作用を含む治療に関連してユーザに発症する症状を軽減するためのサーバによって実行される方法であって、
薬に関連する情報を含むユーザ履歴情報に基づいて、2以上の症状の各々について、ユーザに提示する優先度を示す症状スコアを決定し、
前記症状スコアの高い順に症状を示す情報を提示するために、前記症状スコアをユーザ端末に送信し、
前記提示された症状を示す情報に基づいてユーザによって選択された症状を示すユーザ選択を前記ユーザ端末から受信し、
ユーザ選択及びユーザ履歴情報に基づいて、前記選択された症状を軽減するための対処法を示す対処法情報を決定し、
前記ユーザ端末に前記対処法情報を送信する、
ことを含む方法。
【請求項17】
薬による副作用を含む治療に関連してユーザに発症する症状を軽減するためのユーザ端末によって実行される方法であって、
薬に関連する情報を含むユーザ履歴情報に基づいて決定された、2以上の症状の各々についての、ユーザに提示する優先度を示す症状スコアをサーバから受信し、
ユーザが現在発症している症状をユーザに選択させるために、前記決定された症状スコアが高い順に症状を示す情報を提示し、
前記提示された症状を示す情報に基づいてユーザによって選択された症状を示すユーザ選択を受け付け、
ユーザ選択及びユーザ履歴情報に基づいて、前記選択された症状を軽減するための対処法を示す対処法情報を決定するために、前記サーバに前記ユーザ選択を送信し、
前記サーバから決定された前記対処法情報を受信し、
前記対処法情報に基づいて前記症状を軽減するための対処法を提示する、
ことを含む方法。
【請求項18】
請求項15~17のいずれか1項に記載の方法を一以上のコンピュータに実行させるための一組のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬による副作用を含む治療に関連して発症する症状を軽減するためのシステム、装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の医療において、薬の副作用を含む治療に関連して発症する症状についての対処法を知るためには、医療従事者による事前の説明ないし受診時での相談に限られていた。近年の情報通信技術の発展に伴い、被処方者が所有するスマートホンなどの情報端末を用いて、自身に処方されている治療薬の副作用及び対処法について、被処方者が自分で情報端末を用いて調べることができるようになってきた。例えば、先行文献1は、薬歴から想定しうる副作用疾患をリスク精査表として提示するためのシステムを開示する。このシステムを用いれば、副作用疾患がどの処方された薬剤から生じているのか特定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-147463
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
情報端末は多くの情報を扱っている一方でユーザに情報を提示する画面の大きさは限られている。被処方者は様々な文脈の中で限られた大きさの画面から瞬時に必要な情報を取得することは困難である。特に、副作用やその他の治療に関連して発症する症状の影響で判断力が低下していたり、しびれ等により入力操作等が十分に行えない場合には情報端末を用いた対処法についての情報取得は非常に困難である。すなわち、被処方者は情報端末を用いて容易に症状と対処法を知得するに際して、技術的な困難性が存在する。
【0005】
先行文献1記載のシステムは、被処方者に応じて、どの症状が被処方者に優先的に提示されるべきかを判定し、その結果、制約ある環境であっても効果的な対処法を取得するための解決手段を提供するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、以下のような特徴を有している。すなわち、本発明の一実施態様におけるシステムは、サーバ及びユーザ端末を備え、薬による副作用を含む治療に関連してユーザに発症する症状を軽減するためのシステムであって、前記サーバは、薬に関連する情報を含むユーザ履歴情報に基づいて、2以上の症状の各々について、ユーザに提示する優先度を示す症状スコアを決定し、前記ユーザ端末は、ユーザが現在発症している症状をユーザに選択させるために、前記決定された症状スコアが高い順に症状を示す情報を提示し、前記提示された症状を示す情報に基づいてユーザによって選択された症状を示すユーザ選択を受け付け、前記サーバは、ユーザ選択及びユーザ履歴情報に基づいて、前記選択された症状を軽減するための対処法を示す対処法情報を決定し、前記ユーザ端末は、前記決定された対処法情報に基づいて前記症状を軽減するための対処法を提示する。
【0007】
前記症状スコアを決定することは、ユーザ履歴情報に基づいて決定されるユーザの状態を示す状態情報に基づいて、2以上の症状の各々について症状スコアを決定することを含む、ことができる。
【0008】
前記サーバが、ユーザの状態の各々に対して予め決定された各症状のための症状スコアを示すスコアテーブルを記憶し、前記症状スコアを決定することは、前記状態情報に基づいて前記スコアテーブルからユーザのための各症状の症状スコアを選択する、ことを含む、ようにしてもよい。
【0009】
前記サーバは、ユーザ選択に基づいて前記予め決定された各症状のための症状スコアを変更することができる。
【0010】
前記対処法情報を決定することは、ユーザ履歴情報に基づいて決定されるユーザの状態を示す状態情報に基づいて、2以上の対処法の各々について予想される効果の高さを示す対処法スコアを決定し、最も対処法スコアの高い対処法を示す対処法情報を選択することを含んでもよい。
【0011】
前記サーバが、ユーザの状態の各々に対して予め決定された各症状に対する各対処法のための対処法スコアを示すスコアテーブルを記憶し、前記対処法情報を決定することは、前記ユーザ選択及び前記状態情報に基づいて前記スコアテーブルからユーザのための対処法スコアが最も高い対処法を選択する、ことを含むことができる。
【0012】
前記サーバは、ユーザによって実行された対処法による効果を示す効果確認情報に基づいて前記予め決定された各症状に対する各対処法のための対処法スコアを変更してもよい。
【0013】
前記症状スコアを決定することは、ユーザ履歴情報に基づいて決定されるユーザの行動の有無に基づいて、2以上の症状の各々について症状スコアを決定することを含んでもよい。
【0014】
前記対処法情報を決定することは、ユーザ履歴情報に基づいて決定されるユーザの行動の有無に基づいて、2以上の対処法の各々について予想される効果の高さを示す対処法スコアを決定し、最も対処法スコアの高い対処法を示す対処法情報を選択することを含んでもよい。
【0015】
前記ユーザ履歴情報は、属性情報、既往歴情報、処方薬情報、生体情報及びユーザによって実行された行動を示す行動履歴情報のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0016】
前記生体情報は、一酸化炭素濃度測定器によって測定された、ユーザの呼気一酸化炭素濃度を含んでもよい。
【0017】
前記対処法情報は、更に、ユーザに処方された薬の種類及び量を示す処方薬情報に基づいて決定されてもよい。
【0018】
本発明の一つの態様における薬による副作用を含む治療に関連してユーザに発症する症状を軽減するためのサーバは、薬に関連する情報を含むユーザ履歴情報に基づいて、2以上の症状の各々について、ユーザに提示する優先度を示す症状スコアを決定し、前記症状スコアの高い順に症状を示す情報を提示するために、前記症状スコアをユーザ端末に送信し、前記提示された症状を示す情報に基づいてユーザによって選択された症状を示すユーザ選択を前記ユーザ端末から受信し、ユーザ選択及びユーザ履歴情報に基づいて、前記選択された症状を軽減するための対処法を示す対処法情報を決定し、前記ユーザ端末に前記対処法情報を送信する。
【0019】
また、本発明の一つの態様における薬による副作用を含む治療に関連してユーザに発症する症状を軽減するためのユーザ端末は、薬に関連する情報を含むユーザ履歴情報に基づいて決定された、2以上の症状の各々についての、ユーザに提示する優先度を示す症状スコアをサーバから受信し、ユーザが現在発症している症状をユーザに選択させるために、前記決定された症状スコアが高い順に症状を示す情報を提示し、前記提示された症状を示す情報に基づいてユーザによって選択された症状を示すユーザ選択を受け付け、ユーザ選択及びユーザ履歴情報に基づいて、前記選択された症状を軽減するための対処法を示す対処法情報を決定するために、前記サーバに前記ユーザ選択を送信し、前記サーバから決定された前記対処法情報を受信し、前記対処法情報に基づいて前記症状を軽減するための対処法を提示する。
【0020】
さらに、本発明の一つの態様における薬による副作用を含む治療に関連してユーザに発症する症状を軽減するための一以上のコンピュータによって実行される方法は、薬に関連する情報を含むユーザ履歴情報に基づいて、2以上の症状の各々について、ユーザに提示する優先度を示す症状スコアを決定し、ユーザが現在発症している症状をユーザに選択させるために、前記決定された症状スコアが高い順に副作用を示す情報を提示し、前記提示された症状を示す情報に基づいてユーザによって選択された副作用を示すユーザ選択を受け付け、ユーザ選択及びユーザ履歴情報に基づいて、前記選択された症状を軽減するための対処法を示す対処法情報を決定し、前記決定された対処法情報に基づいて前記症状を軽減するための対処法を提示する、ことを含む。
【0021】
さらにまた、本発明の一つの態様における薬による副作用を含む治療に関連してユーザに発症する症状を軽減するためのサーバによって実行される方法は、薬に関連する情報を含むユーザ履歴情報に基づいて、2以上の症状の各々について、ユーザに提示する優先度を示す症状スコアを決定し、前記症状スコアの高い順に症状を示す情報を提示するために、前記症状スコアをユーザ端末に送信し、前記提示された症状を示す情報に基づいてユーザによって選択された症状を示すユーザ選択を前記ユーザ端末から受信し、ユーザ選択及びユーザ履歴情報に基づいて、前記選択された症状を軽減するための対処法を示す対処法情報を決定し、前記ユーザ端末に前記対処法情報を送信する、ことを含む。
【0022】
本発明の一つの態様における薬による副作用を含む治療に関連してユーザに発症する症状を軽減するためのユーザ端末によって実行される方法は、薬に関連する情報を含むユーザ履歴情報に基づいて決定された、2以上の症状の各々についての、ユーザに提示する優先度を示す症状スコアをサーバから受信し、ユーザが現在発症している症状をユーザに選択させるために、前記決定された症状スコアが高い順に症状を示す情報を提示し、前記提示された症状を示す情報に基づいてユーザによって選択された症状を示すユーザ選択を受け付け、ユーザ選択及びユーザ履歴情報に基づいて、前記選択された症状を軽減するための対処法を示す対処法情報を決定するために、前記サーバに前記ユーザ選択を送信し、前記サーバから決定された前記対処法情報を受信し、前記対処法情報に基づいて前記症状を軽減するための対処法を提示する。
【0023】
本発明の一つの態様として、前述の方法を一以上のコンピュータに実行させるための一組のプログラムとすることもできる。
【発明の効果】
【0024】
本発明を用いることにより、治療に関連して発症している症状をユーザが容易に選択し、選択された症状を軽減するために効果のあると考えられる対処法を実行することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係るユーザ端末及びサーバのハードウェア構成図である。
図3】本発明の一実施形態に係るユーザ端末及びサーバの機能ブロック図である。
図4A】本発明の一実施形態に係るユーザ履歴と状態の相関図の一例である。
図4B】本発明の一実施形態に係るユーザ履歴と状態の相関図の一例である。
図5】本発明の一実施形態に係るフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係るユーザ端末画面の一例である。
図7】本発明の一実施形態に係るユーザ端末画面の一例である。
図8】本発明の一実施形態に係るユーザ端末画面の一例である。
図9】本発明の一実施形態に係るユーザ端末画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は本発明のシステム構成図の一例を示す。システム100は治療によって生じる症状を軽減するために使用されるものであり、ネットワーク110、これに接続されるユーザ端末120及びサーバ130を備える。
【0027】
図2は本発明の一実施形態によるユーザ端末120及びサーバ130のハードウェア構成を示すブロック図である。ユーザ端末120は、プロセッサ121、表示装置122、入力装置123、記憶装置124及び通信装置125を備える。これらの各構成装置はバス128によって接続される。なお、バス128と各構成装置との間には必要に応じてインタフェースが介在しているものとする。本実施形態において、ユーザ端末120はスマートホンである。ただし、ユーザ端末120は、上記の構成を備えるものであれば、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、タッチパッドなどの情報端末とすることができる。
【0028】
サーバ130もまた同様に、プロセッサ131、表示装置132、入力装置133、記憶装置134及び通信装置135を備える。これらの各構成装置はバス138によって接続される。なお、バス138と各構成装置との間には必要に応じてインタフェースが介在しているものとする。本実施形態においてサーバ130はコンピュータによって実現される。
【0029】
プロセッサ121、131は、ユーザ端末120ないしサーバ130全体の動作を制御するものであり、例えばCPUである。プロセッサ121、131は、記憶装置124、134に格納されているプログラムやデータを読み込んで実行することにより、様々な処理を実行する。1つの例では、プロセッサ121、131は、複数のプロセッサから構成される。
【0030】
表示装置122、132は、プロセッサ121、131の制御に従って、アプリケーション画面などをユーザ端末120のユーザ(患者)ないしサーバ130のユーザ(管理者)に表示する。好ましくは液晶ディスプレイであるが、有機ELを用いたディスプレイやプラズマディスプレイ等であってもよい。
【0031】
入力装置123、133は、ユーザ端末120及びサーバ130に対するユーザからの入力を受け付けるユーザインタフェースであり、例えば、タッチパネル、タッチパッド、キーボード、又はマウスである。本実施形態においてユーザ端末120はスマートホンであるため、ユーザ端末120は入力装置123としてタッチパネルを備え、タッチパネルは表示装置122としても機能し、表示装置122と入力装置123は一体となった構造である。表示装置122と入力装置123は、別の位置に配置される別個の形態であってもよい。サーバ130はコンピュータであるため、入力装置としてキーボード及びマウスを備え、表示装置として液晶ディスプレイを備えるものとする。
【0032】
記憶装置124、134は、揮発性メモリであるRAM及び不揮発性メモリであるROMを含む、一般的なスマートホンないしコンピュータが備える記憶装置である。記憶装置124、134は、外部メモリを含むこともできる。例えば記憶装置124は、本実施形態を実施するためのユーザアプリケーションを記憶し、記憶装置134はサーバアプリケーションを記憶する。ユーザアプリケーションは、症状軽減のためのユーザプログラム及び該ユーザプログラム実行時に参照する各種データを含む。ユーザプログラムは、ユーザ端末120に対するユーザの操作に応じて起動され、ユーザ端末120が予め実装するオペレーティングシステム(OS)上で実行される。サーバ用アプリケーションはクライアントである各ユーザ端末120においてユーザからの入力の受付及びユーザに対する情報の提示がユーザプログラムによって適切に実行されるようにするための機能及び各種データを含む。
【0033】
1つの例では、記憶装置124、134は、主記憶装置及び補助記憶装置を含む。主記憶装置は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、プロセッサ121、131が情報を処理する際の記憶領域及び作業領域として用いられる。補助記憶装置は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してプロセッサ121、131が使用するデータを格納する。補助記憶装置は、例えばハードディスク装置であるが、情報を格納できるものであればいかなる不揮発性ストレージ又は不揮発性メモリであってもよく、着脱可能なものであっても構わない。補助記憶装置は、例えば、オペレーティングシステム(OS)、ミドルウェア、アプリケーションプログラム、これらのプログラムの実行に伴って参照され得る各種データなどを格納する。
【0034】
通信装置125、135は、ネットワーク110(図2においては省略)を介して他の装置との間でデータの授受を行う。例えば通信装置125、135は、移動体通信や無線LAN等の無線通信を行い、ネットワーク110へ接続する。ユーザ端末120は通信装置125を用いることで、ネットワークを介してサーバ130と通信を行う。通信装置125、135は、イーサネット(登録商標)ケーブル等を用いた有線通信を行ってもよい。
【0035】
図3は、本発明のユーザ端末120及びサーバ130の機能ブロック図の一例を示す。ユーザ端末120は、入力部321、表示部322、通信部323、制御部324及び記憶部325を備え、サーバ130は入力部331、表示部332、通信部333、制御部334、症状スコア決定部335、対処法決定部336及び記憶部337を備える。入力部321、331はユーザからの入力を受け付ける機能を有する。表示部322、332は情報をユーザが視認できるように表示する機能を有する。通信部323、333は他の装置との情報の送受信を行う機能を有する。制御部324、334は情報処理等の制御を実行する機能を有するものである。記憶部325、337はテーブルやデータ等を記憶する機能を有する。制御部324、334は、記憶部325、337へのデータの格納および更新を行う。症状スコア決定部335は各症状をユーザに提示する優先度の高さを示すスコアを決定する機能を有する。対処法決定部336はユーザに効果が高いと考えられる対処法を決定する機能を有する。本実施形態においては、図1に記載された処理装置121、131において記憶装置124、134に格納されたプログラムが実行され、各ハードウェアとソフトウェアとが協働して動作することにより、これらの機能が実現されるが、各機能を実現するための電子回路等を構成することにより実現することも可能である。
【0036】
本実施形態においては、医療従事者による指導のもと、禁煙治療のために治療薬を服薬している患者をユーザとする場合を例にとって説明するが、どのような疾患に対する場合であってもかまわないし、複数の疾患を同時に治療している場合であってもよい。疾患は、腎機能障害、高血圧や精神疾患など医学的な疾患に加えて、身体的に好ましくない状態であれば、医学的な意味での疾患である必要はない。治療は予防医療を含む。患者とは本発明を用いて、治療に関連して発症する症状の軽減を試みる者をいい、必ずしも医療従事者の指導のもと疾患の治療を行っている患者である必要はない。治療に関連して発症する症状は、薬による副作用、離脱症状及び患っている疾患による体調不良など、治療に関連して発症する症状であればどのようなものであってもよい。
【0037】
本実施形態においては、ユーザの履歴に関するユーザ履歴情報をサーバの記憶部337に記憶するものとするが、その一部または全部をユーザ端末120の記憶部325に記憶してもよい。ユーザの履歴に関するユーザ履歴情報は、治療に関連してユーザに発症する症状を推測するために用いることができるユーザの治療に関連する履歴情報であり、ユーザの行動以外の履歴を示す情報及び行動履歴を示す情報を含む。ユーザの行動以外の履歴を示す情報は、薬に関連する情報を含む。薬に関連する情報は処方薬データを含む。処方薬データは必ずしも医療従事者によって処方された薬に限られず、ユーザ自身の選択により薬局等で購入した薬についての情報を含む。ユーザの行動以外の履歴を示す情報はさらに、ユーザ(患者)の属性データ、及び既往歴データを含むことができる。これらのデータは例えば表1~3に示す情報を含み、ユーザが医療従事者である医師の外来に訪れて、禁煙治療を開始した際に、医師が使用するパーソナルコンピュータ(図示せず)を用いて入力され、サーバの記憶部337に記憶することができる。
【0038】
【表1】
【0039】
ユーザ属性データは表1に示したように、ユーザの氏名、生年月日、年齢及び治療開始日を含む。これらの情報がユーザIDに関連付けて記憶される。年齢は、生年月日に基づいて所定のタイミングで更新してもよい。開始日は、治療を開始した日であり、例えば、ユーザが初めて外来に訪れた日とすることができる。
【0040】
【表2】
【0041】
患者の既往歴データは、既往歴データID、疾患ID、疾患名、ユーザID、アクティブ及びタイムスタンプを含む。これらの情報がデータIDに関連付けて記憶される。疾患IDは、疾患毎に割り当てられたIDであり、ここでは省略するが、別途、疾患テーブルを予め用意して、疾患IDと疾患名を関連付けて記憶する。例えば、医師が疾患テーブルを参照して、当該患者が患っている疾患を選択して入力することで、既往歴データとして記憶部337に記憶される。「アクティブ」は、その疾患を現在も患っている(アクティブ)のか、治癒している(非アクティブ)のかを示している。「1」は現在も患っていることを意味し、「0」は治癒していることを意味している。タイムスタンプは当該情報を入力した日、または、更新した日とすることができる。特に言及がない限りは、他のデータについてのデータID及びタイムスタンプは同様である。
【0042】
【表3】
【0043】
処方薬データは、データID、薬ID、処方薬名、ユーザID、量及びタイムスタンプを含む。薬IDは、各薬に割り当てられたIDであり、ここでは省略するが、別途、薬テーブルを予め用意して、薬IDと薬名とを関連付けて記憶する。例えば、医師が薬テーブルを参照して、当該患者に処方した薬を選択して入力することで、処方薬データとして記憶部に記憶される。本明細書においては理解のために薬名の後に括弧で薬の説明を記載したがデータに含める必要はない。薬の量は、処方した薬の量を示している。
【0044】
サーバの記憶部337はさらに行動テーブルを記憶する。行動テーブルは患者であるユーザが行いうる行動のリストであり、行動とその種類を定義するものである。例えば、表4に示した情報を含むことができる。
【0045】
【表4】
【0046】
行動データは、行動ID、行動及び種類を含む。「行動」はユーザが行いうる行動の内容を示し、「種類」はその行動の種類を示し、これらの情報が行動IDに関連付けて記憶される。本実施形態において、行動の種類は、基本行動、治療対象行動、服薬、症状及び対処を含む。基本行動は、行動ID=6の「眠りにつく」や、行動ID=7の「起きる」のように人間がとる基本的な行動である。「治療対象行動」は、ユーザが治療を行っている対象となっている行動である。本実施形態においては、ユーザが行っている治療が禁煙治療であるから、「タバコを吸う」が治療対象行動である。「服薬」は薬を飲む行動である。ここでは、薬名D(禁煙補助薬2)、薬名B(禁煙補助薬1)、薬名A(制吐剤)及び薬名C(抗うつ薬)を服薬する行動それぞれに対して行動ID=8、9、10及び20を割り当てている。「症状」は、治療に関連して発症する症状を意味し、薬による副作用を含む。例えば、行動ID=16として「吐き気がする」という症状が定義されている。「対処」は症状が生じた際の対処法としてユーザにとらせる行動を意味する。例えば、ユーザに発症している症状に対して、ユーザは服薬をやめるべきと判断される場合には行動ID=1が指定され、ユーザに「服薬をやめるよう指導をうける」という対処法を実行させることにより、服薬をやめるという対処法となる行動をとることが期待される。
【0047】
ユーザの行動履歴を示す情報は、生体情報データ及び行動履歴データを含む。表5及び表6に本実施形態に用いるこれらの一例としてのデータを示す。
【0048】
【表5】
【表6】
【0049】
生体情報データは、ユーザの生体情報を示すデータである。表5に示すように、生体情報データはデータID、ユーザID、生体情報、スケール及びタイムスタンプを含む。「生体情報」は生体情報の種類を示し、本実施形態においては、一酸化炭素(CO)濃度測定器によって測定された、患者の呼気に含まれるCO濃度とするが、血糖値や血圧など他の情報を含んでもよい。スケールは測定値を示しており、例えばデータID=2においてはCO濃度=15.0ppmであることを示している。
【0050】
行動履歴データは、ユーザがとった行動の履歴を示すデータであり、ユーザID、行動ID、行動及びタイムスタンプがデータIDに関連付けて記憶される。ユーザ端末またはサーバが、生体情報データに基づいてユーザがとったと推定される行動を決定し、行動履歴データに追加することもできる。例えば、一酸化炭素(CO)濃度測定器によって、ユーザが呼気に含まれるCO濃度を測定し、所定の閾値(例えば、8.0ppm)以上のCO濃度が測定された場合には、行動履歴データに行動ID=5、行動=「タバコを吸う」を追加することができる。この場合は、CO濃度を測定した時間を行動履歴におけるタイムスタンプとすることができる。
【0051】
状態リストテーブルはユーザのとりうる状態のリストであり、例えば、表7に示した情報を含むことができる。
【0052】
【表7】
【0053】
表7において「状態」はユーザがとりうる状態を示し、「継続時間」はその状態に至ってからその状態が維持されうる継続時間である。「0」は継続時間を使用しないことを意味する。すなわち、経過時間で非アクティブとしない。状態は、図4に示すように、属性、既往歴、処方歴などの行動以外の履歴や行動履歴によって遷移するものである。例えば、図4Aに示すように、ある既往歴によって「状態1」となったユーザが「行動1」をとることによって「状態2」に遷移する。さらに、「状態2」において次にとられる行動によってユーザの状態は「状態3」~「状態5」の異なる状態に遷移することができる。また、図4Bに示すように、行動履歴にはユーザによって実行された行動及びユーザに発症した症状が含まれる。また、生体情報に基づいてユーザによって実行された行動を決定することもできる。ユーザの状態は属性、既往歴、処方歴や行動履歴を含むユーザ履歴に基づいて決定することができ、状態に基づいて次にユーザがとる行動を予想することができる。「予想される行動」はユーザの意思によってとられる行動に限られず、例えば、「イライラする」、「吐き気がする」のような治療に関連して発症する症状も含まれる。ユーザの状態が決まれば、次にユーザがとる行動を絞り込んで予想することができる。
【0054】
本実施形態においてサーバの記憶部はさらに、履歴対状態テーブルを記憶する。履歴対状態テーブルは、ユーザ履歴情報に基づいてユーザの現在の状態を決定するためのテーブルである。履歴対状態テーブルの一例を表8に示す。
【0055】
【表8】
【0056】
本実施形態における履歴対状態テーブルは、状態ID、状態、履歴ID及び履歴を含む。「状態ID」は状態のIDであり、「状態」は状態の内容を示している。「履歴ID」は、既往歴データ、処方薬データ及び行動履歴データに含まれるIDによってユーザの治療に関する履歴を特定するためのIDであり、疾患ID、薬ID及び行動IDのいずれかである。「履歴」は「履歴ID」によって特定された履歴の内容である。そして、状態IDに対して履歴IDを関連付けることにより、履歴IDによって特定される履歴があった場合に状態IDによって特定される状態に至ることを示している。一つの状態IDに対して複数の履歴IDを対応付けることもできる。本実施形態においては、対応付けられた複数の履歴IDのうちの一つの履歴IDによって特定される行動等が行われることでその状態に至ったと判定するものとするが、履歴IDによって特定される行動等のすべてが実行された場合にその状態に至ったと判定することもできる。
【0057】
例えば、行動ID=5である「タバコを吸う」という行動を行うと、状態ID=1である「喫煙している」という状態に至ることが分かる。また、薬ID=2である「薬名B(禁煙補助薬1)」に対しては状態ID=6の「薬名B(禁煙補助薬1)を保持している」が関連付けられている。これは処方薬データにおいて薬ID=2、すなわち薬名B(禁煙補助薬1)が処方されていることが示されていれば、ユーザは薬名B(禁煙補助薬1)を保持していることを示している。
【0058】
本実施形態においてサーバの記憶部はさらに、行動対状態スコアテーブルを記憶する。行動対状態スコアテーブルは、ユーザの状態に基づいて各行動に対して与えられるスコアを定義するものである。本実施形態において用いる行動対状態スコアテーブルを表9に示す。
【0059】
【表9-1】
【表9-2】
【0060】
表9においては、データIDに対して行動及び状態が関連付けられており、行動及び第1~第3状態の各々についてID及びスコアを含む。一つの行動に関連付けられる状態は同じである必要はない。表9内のIDの欄の一部にそのIDに対応する行動及び状態を説明のために記載した。例えば、データID=1の行動IDは16であり、行動テーブル(表4)によれば、これに対応する行動は「吐き気がする」であるから、これを行動IDの欄に説明のために記入した。第1~3状態のスコアは、ユーザが各状態IDに対応する状態にあるか否かを示している。スコア=1はその状態にあることを意味し、スコア=0はその状態にないことを意味する。本実施形態においては、スコアは0または1とするが、0~9やその他の値をとるものとすることができる。例えば、状態ID=16で「高いストレスに晒されている」という状態について、ストレスの高さの程度を示す0~9の値とすることができる。各行動に対して常に3つの状態が割り当てられる必要はない。例えば、データID=1~8については3つの状態が関連付けられているが、データID=9については2つの状態しか関連付けられていない。
【0061】
各行動のスコアは対応する第1~第3状態であるときのその行動の優先度の高さを示している。その行動が「症状」であるときにはその症状をユーザに提示する優先度を示している。優先度は、その症状が生じる可能性が高い場合には高く設定される。ユーザに生じている可能性が高い症状が優先的に提示されるから、ユーザは容易に自己に生じている症状を選択することができる。さらに、しびれやめまいなど症状を選択するためのユーザの能力を制限するような症状や、生命の危険があるようなリスクの高い症状が発生する可能性がある場合にはこれらに対して高いスコアを与えるようにしてもよい。ユーザが症状を選択する能力が制限されている場合であっても、容易に症状を選択して、適切な対処法についての情報を取得することを可能とすることができる。その行動の種類が「対処」である場合にはその対処法の予想される効果が高いものにより高いスコアを与えることができる。
【0062】
例えば、データID=1においては、行動ID=16、スコア=0.8である。これは、第1状態である「薬名B(禁煙補助薬1)を使用している」(状態ID=3)という状態にあり(スコア=1)、第2状態である「喫煙している」(状態ID=1)という状態にあり(スコア=1)、第3状態である「高いストレスにさらされている」(状態ID=16)という状態にある(スコア=1)ときの、「吐き気がする」(行動ID=16)という行動(症状)の優先度を示すスコアが0.8であることを意味する。そして、データID=2においては、データID=1の場合と異なり、「喫煙をしている」という状態にないとき(スコア=0)の「吐き気がする」という行動のためのスコアが0.4であることを示す。すなわち、データID=2に関連付けられた状態のときの方が、「吐き気がする」という行動(症状)の優先度が低いことを意味している。
【0063】
さらに、データID=9においては、行動ID=17、スコア=0.6である。これは、第1状態である「薬名B(禁煙補助薬1)を使用している」(状態ID=3)という状態にあり(スコア=1)、第2状態である「喫煙している」(状態ID=1)という状態にある(スコア=1)ときの、「頭痛がする」という行動の優先度の高さを示すスコアが0.6であることを意味する。したがって、「薬名B(禁煙補助薬1)を使用している」(状態ID=3)という状態にあり(スコア=1)、第2状態である「喫煙している」(状態ID=1)という状態にあり(スコア=1)、第3状態である「高いストレスにさらされている」(状態ID=16)という状態にある(スコア=1)ときは、「吐き気がする」(行動ID=16)という行動の優先度の方が「頭痛がする」(行動ID=17)という行動の優先度よりも高いことを意味する。
【0064】
行動のタイプが「対処」であるときも同様である。例えば、吐き気がしており(状態ID=12、スコア=1)、薬名A(制吐剤)を保持しており(状態ID=7、スコア=1)、薬名A(制吐剤)を服用している(状態ID=4、スコア=1)ときの行動(対処)としては、「薬名A(制吐剤)を飲むように指導をうける」(テーブルID=14、行動ID=14)のスコアは0.0であり、「服薬をやめるよう指導をうける」(テーブルID=17、行動ID=1)のスコアは0.7である。したがって、吐き気がしているが、すでに薬名A(制吐剤)を服用している状態においては「服薬をやめるよう指導をうける」という対処の方が「薬名A(制吐剤)を飲むように指導をうける」という対処よりも効果があると予想されることを意味する。また、吐き気がする場合であっても、腎機能障害がある場合(状態ID=17)、薬名A(制吐剤)を飲むことを避けるべきである可能性があるため、データID=26に示すように、「医師に相談するよう指導をうける」(行動ID=18)のスコアを高く設定して、医師への相談を促すが、データID=27に示すように、腎機能障害がない場合には、「医師に相談するよう指導をうける」(行動ID=18)のスコアを低く設定して、「薬名A(制吐剤)を飲むように指導をうける」という対処が優先して選択されるようにする。
【0065】
本実施形態においては、状態は第1~3状態としたが、4つ以上の状態を含めてもよいし、2つ以下の状態のみに限定してもよい。
【0066】
本実施形態においては、第1~3状態にあるときの優先度が高いと思われる症状である行動及び効果が高いと思われる対処法に対してより高いスコアを割り当てるように医師等によって行動対状態スコアテーブルが予め用意されるものとするが、機械学習によって作成されたモデルを使用したり、行動対状態スコアテーブルを作成できればいかなる方法によって作成してもかまわない。また、ユーザによる症状の選択に基づいて症状である行動のスコアを変更させたり、確認された効果に基づいて対処である行動のスコアを変更させてもよい。
【0067】
次に、本実施形態におけるシステムの動作について図5を参照しながら説明する。本実施形態においては、説明のために1つのユーザ端末120の動作について説明するが、2以上のユーザ端末120を含んでもよい。
【0068】
ここでは、患者であるユーザは山田太郎とし、禁煙患者であり、医療従事者への外来診療の際にユーザID=1として、表1及び2に示すように属性データ、既往歴データが登録された。さらに、外来診療の際に、薬名A(制吐剤)及び薬名B(禁煙補助薬1)がそれぞれ12錠、24錠処方され、処方薬データ(表3)として登録された。ユーザは、本実施形態を実施するために必要なアプリを自己のユーザ端末120にダウンロードして、インストールする。この際、アプリを介して自己のユーザIDを入力して、ユーザ端末の記憶部325に記憶させる。その後、ユーザは、毎日、所定の時間に呼気CO濃度測定器を用いて、呼気CO濃度を測定すると、測定値を示す情報がユーザIDとともにサーバ130へ送信されて、当該ユーザのための生体情報データ(表5)に登録される。
【0069】
ユーザは、治療に関連して薬の副作用等によって体調が悪くなると症状選択要求を入力し、ユーザ端末120の入力部321がこれを受け付ける(S501)。症状選択要求は、対処法のための情報を取得するために、ユーザが治療に関連して発症している症状を選択することを希望していることを示す入力である。アプリ画面の一例を図6に示す。アプリを起動するとナースコールボタン61、キャラクタ62及びキャラクタの発言を示す吹き出し63が表示部322に表示される。ユーザはキャラクタ62との対話を通じて自分に生じている症状の対処法についての情報を取得することができる。ユーザは体調が悪くなると、ナースコールボタン61をタッチすることにより、症状選択要求入力が入力部321を介してユーザ端末120によって受け付けられる。
【0070】
ユーザ端末120は症状選択要求を受け付けると、通信部323を介してユーザIDとともにこれをサーバ130へ送信する(S502)。サーバ130は、通信部333を介して症状選択要求を受信すると、これに含まれるユーザIDに基づいてユーザを特定し、症状スコア決定部335が当該ユーザのための症状スコアを決定する(S504)。症状スコアの決定は、そのユーザのためのユーザ履歴情報に基づいて決定される。本実施形態においては、まず、サーバ130の症状スコア決定部335が、ユーザ履歴情報に基づいてユーザの現在の状態を示す状態情報であるユーザ状態テーブルを作成して記憶部337に記憶する。ユーザ状態テーブルの一例を表10に示す。
【0071】
【表10】
【0072】
ユーザ状態テーブルは、各ユーザに関連付けて作成され、状態ID、状態及びアクティブを含む。アクティブはその状態がアクティブであるか否か、すなわち、そのユーザがその状態であるか否かを示すものであり、1であればその状態にあり(アクティブ)、0であればその状態にない(非アクティ)ことを意味する。例えば、表10に示すユーザ状態テーブルはユーザID=1のユーザのためのものであり、当該ユーザは状態ID=1、状態=「喫煙している」についてアクティブ情報が1であるから、喫煙している状態にあることを示している。
【0073】
ユーザ状態テーブルは、ユーザ履歴情報に基づいて、履歴対状態テーブル(表8)を参照して生成される。履歴対状態テーブルにおいて状態IDに対して疾患IDが割り当てられている場合には既往歴データ(表2)を参照し、薬IDが割り当てられている場合には処方薬データ(表3)を参照し、行動IDが割り当てられている場合には、行動履歴データ(表6)を参照する。そして、状態IDに対して割り当てられた履歴IDについてユーザ履歴情報を参照し、各状態IDによって特定される状態にユーザがあるか否かを判定する。状態テーブルに示されている継続時間を過ぎている場合にはその状態は解消しているからアクティブとはされない。
【0074】
例えば、状態ID=1については、履歴対状態テーブルにおける状態ID=1を参照すると、履歴IDとして行動ID=5が割り当てられているから、行動履歴テーブルを参照して、当該ユーザが行動ID=5を行っているか否かを判定する。表6に示されているとおり、このユーザはタイムスタンプ=「2018/12/12 12:12:01」と「2018/12/14 12:12:00」の2回のタイミングで「タバコを吸う」という行動を行っていることが分かる。そして、状態リストテーブルを参照すると、状態ID=1には72時間の継続時間が定義されている。したがって、最後の「タバコを吸う」に対するタイムスタンプである「2018/12/14 12:12:00」から72時間を経過しているか否かを判定し、経過していなければ、「タバコを吸っている」という状態にあると決定し、アクティブ=1とし、72時間以上経過していれば0とする。
【0075】
履歴対状態テーブルにおいて薬IDが割り当てられている場合には、継続時間に加えて、ユーザが保持している薬の量に基づいて状態を判定することができる。例えば、処方薬データにおいてデータID=1によって特定されるユーザID=1のユーザは薬名A(制吐剤)を2018/10/1に12錠処方された。当該ユーザの行動履歴を参照して、薬名A(制吐剤)を服用した回数をカウントし、薬名A(制吐剤)の推定される残量を計算し、推定残量が0となっている場合には、状態ID=7の「薬名A(制吐剤)を保持している」という状態はアクティブとは判定しない。
【0076】
本実施形態においては、ユーザ属性データを用いなかったが、これを用いてもよいし、その他の情報を用いることもできる。例えば、ユーザの年齢や体重に基づいて状態の継続可能時間を変更してもよい。また、ユーザ端末においてユーザ履歴情報を格納し、ユーザ端末においてユーザ状態テーブルを作成して、症状選択要求とともにサーバへ送信してもよい。
【0077】
次に、ユーザ状態テーブルに基づいて行動テーブル及び行動対状態スコアテーブルを参照して、当該ユーザのための症状スコアテーブルを作成する。まず、行動テーブルを参照して、種類が「症状」である行動を抽出する。表4においては行動ID=11~17、19が症状であるから、これらを選択する。そして、これらの行動IDについて行動対状態スコアテーブルを参照して、症状である各行動のスコアを抽出する。その際には、各症状に関連付けられている状態IDに基づいてユーザ状態テーブル参照して当該ユーザの現在の状態を取得して、各症状のスコアの中からユーザ状態に対応する症状のスコアを決定して、症状スコアテーブルを生成する。
【0078】
例えば、行動ID=16、行動=「吐き気がする」という症状についてのスコアを決定するために行動対状態スコアテーブルにおいて行動ID=16であるデータID=1~8を参照する。行動ID=16に関連付けられる状態は、状態ID=1(喫煙している)、状態ID=3(薬名B(禁煙補助薬1)を使用している)及び状態ID=16(高いストレスにさらされている)であるから、ユーザ状態テーブルを参照してこれらの状態を取得する。表10を参照すると当該ユーザの状態は、状態ID=1(喫煙している)は1(アクティブ)、状態ID=3(薬名B(禁煙補助薬1)を使用している)は1(アクティブ)、状態ID=16(高いストレスにさらされている)は1(アクティブ)であるから、これに対応するデータID=1のスコア=0.8が行動ID=16のスコアとして決定される。他の症状についても同様に決定し、このユーザについての各症状についてのスコアを含む症状スコアテーブルを作成する。症状スコアテーブルの一例を表11に示す。
【0079】
【表11】
【0080】
症状スコアテーブルは、症状である行動の行動ID、行動及びスコアを含む。例えば、テーブルID=1においては、行動ID=11である「眠気がある」という症状についてのスコアが0.1であることを示している。
【0081】
サーバ130は症状スコアテーブルを作成すると、これを症状情報としてユーザ端末120へ送信する(S506)。ユーザ端末120は症状情報を受信すると、スコアテーブルに示されたスコアが高い順に優先的に表示部に症状である行動を提示する(S508)。ユーザは提示された症状の中から自分に現在発症している症状に対応すると考えられるものを選択する。ユーザへの提示は、音声による提示とすることもできる。
【0082】
図7及び8に、ユーザに発症している可能性のある候補となる症状を表示する、本実施形態の画面の一例を示す。候補となる症状のうちディスプレイに表示可能な数の症状、ここではスコアの高い順に3つの症状をディスプレイに表示する。例えば、症状スコアが最も高い3つの症状である「吐き気がする」(スコア=0.8)、「吸いたい」(スコア=0.7)、「頭痛がする」(スコア=0.6)に対応するボタン(70~72)が表示される。ユーザに発症している症状がこれらのいずれでもない場合には次の候補症状を表示するようにユーザがユーザ端末120を操作する。本実施形態においてはユーザ端末120はスマートホンであるから、タッチパネルにおいてスワイプ操作を行うことにより次の候補症状のためのボタン(73~75)を表示させることができる。スコアの高い順に候補となる症状として順番に表示される。そして、自分に発症している症状に対応するボタンを見つけた場合にはそのボタンをタッチすることで、選択することができる。
【0083】
情報端末においてはユーザに情報を提示する画面の大きさは限られているから、すべての候補となる症状を一度に提示することはできない。したがって、候補症状の一部のみを表示するとともに、ユーザのスクロール操作等によって表示される候補症状を変更しなければならない。しかしながら、治療に関連する症状が発症して体調が悪いときに、多数の候補症状の中から自分に現在発症している症状を探して選択することは必ずしも容易ではない。特に、複数の疾患を患っている患者や、複数の薬を服薬している患者がユーザである場合には候補となる症状は極めて多数となる。また、発症している症状が手のしびれであったり、めまいであるような場合には、スクロール操作をしながら症状を選択することはさらに困難となる。
【0084】
本実施形態を用いることにより、ユーザに現在発症している可能性の高い症状や症状を選択するためのユーザの能力を制限するような症状、生命の危険があるようなリスクの高い症状を優先的に提示するため、画面の大きさが限られている場合であっても、スクロール操作等の必要性を減少させることができ、ユーザが自分に発症している症状をより容易に選択することを可能とする。
【0085】
ユーザ端末が十分大きなディスプレイを備える場合にはすべての候補症状が一度に表示されてもかまわない。その場合においては、例えば、スコアの高い順に上から順に表示することができる。この場合であっても、ユーザは上から順に症状を参照することで、自分に発症している症状をいち早く選択することができる。
【0086】
ユーザ端末120はユーザによる症状の選択を受け付けると(S510)、これをサーバ130へ送信する(S512)。サーバ130はユーザ選択を受信すると、これに基づいてユーザの行動履歴を更新する(S514)。例えば、ユーザによって選択された症状が「吐き気がする」であった場合には、行動履歴データ(表6)に新たなデータIDを追加するとともに、これに関連付けて、ユーザID=1、行動ID=16、行動=「吐き気がする」、タイムスタンプ=現在時刻を登録する。
【0087】
さらに、ユーザ選択に基づいて、行動対状態スコアテーブルにおける症状のスコアを更新してもよい。例えば、ユーザによって選択された症状のスコアを上昇させ、選択されなかった症状のスコアを減少させてもよい。これによって、症状に対するスコアに自動的に調整してより現実に即した値とすることを可能とする。
【0088】
そして、サーバ130の対処法決定部336はユーザが現在発症している症状を軽減するための対処法を決定するために対処法スコアを決定する(S516)。本実施形態においては、まず、更新した行動履歴データに基づいてユーザ状態テーブルを更新する。ユーザ状態テーブルの更新は前述のユーザ状態テーブルの作成と同様の処理で実行可能である。そして、更新されたユーザ状態テーブルに基づいて、行動テーブル及び行動対状態スコアテーブルを参照して、対処である各行動のスコアを決定する。すなわち、行動テーブルを参照して種類が「対処」となっている行動の行動IDを抽出し、行動対状態スコアテーブルにおいて対処である行動の行動IDに関連付けられたデータIDの中から、更新されたユーザ状態テーブルに基づいてユーザの現在の状態に対応するデータIDを選択し、その行動のスコアを選択する。
【0089】
例えば、更新された行動履歴に基づいて、ユーザ状態テーブルにおける状態ID=12(吐き気がしている)の状態を1(アクティブ)に更新する。そして、行動テーブル(表4)を参照して種類=「対処」となっている行動ID=1~4、18を抽出し、これに対応するデータID=13~20を行動対状態スコアテーブルにおいて抽出する。そして、ユーザ状態テーブルを参照して、状態ID=12(吐き気がしている)、状態=1(アクティブ)、状態ID=7(薬名A(制吐剤)を保持している)、状態=1、状態ID=4(薬名A(制吐剤)を服用している)、状態=0に対応するデータID=13の行動ID=4(薬名A(制吐剤)を飲むように指導をうける)の行動スコア=0.8及びデータID=18(服薬をやめるよう指導をうける)の行動スコア=0.1を抽出する。
【0090】
各行動のスコアを示す対処法スコアテーブルの一例を表12に示す。対処法スコアテーブルは行動ID、行動及びスコアを含む。
【0091】
【表12】
【0092】
そして、サーバ130は対処法スコアテーブルを参照して、最もスコアの高いテーブルIDに対応する行動IDを選択し、選択された行動IDに対応して記憶部337に記憶されている対処法情報をユーザ端末120へ送信する(S520)。ユーザ端末120はこれを受信すると、対処法を示す情報をユーザに提示する。
【0093】
図9に、ユーザに提示される対処法の情報を提示するためのユーザ端末の画面の一例を示す。サーバ130においては表12に示された対処法スコアテーブルに基づいてスコアの最も高い行動ID=4に対応する「薬名A(制吐剤)を飲むよう指導をうける」という対処法をユーザに実行させることを決定する。サーバ130は対処法に関連付けられた対処法情報を取得する。対処法情報はユーザに対して対処法を示すための情報を含む。ここでは、サーバ130は、決定された対処法に対応する対処法情報として「薬名A(制吐剤)を飲んでください。」を取得し、これをユーザ端末120へ送信する。ユーザ端末120はこれを受信して、図9に示すように、ディスプレイにこれを表示して(S522)、「薬名A(制吐剤)を飲むよう指導をうける」という行動を実行させる。ユーザへの提示は、音声による提示としてもよい。
【0094】
ユーザ端末120は対処法情報をユーザに提示すると、対処法実行確認情報をサーバ130に送信する(S524)。サーバ130は、これを受信すると対処法を実行したことを示すように、ユーザの行動履歴データを更新する(S526)。
【0095】
さらに、ユーザ端末120は、対処を示す情報をユーザに提示してから所定時間経過後に、対処法において指導をうけた行動を実行したか否かの確認をユーザに促し、ユーザがまだ行動を実行していない場合には実行することを促す情報をユーザに提示する。実行したことを示す入力を受け付けた場合には、行動実行確認情報をサーバ130へ送信する(S528)。サーバ130はこれを受信すると、実行された行動を示すために行動履歴データを更新する(S530)。更新された行動履歴データの一例を表13に示す。
【0096】
【表13】
【0097】
ユーザ端末120は行動実行確認(S528)において、ユーザが対処法として指導された行動を実行したことが確認された場合には、さらに所定時間経過後に、その行動によって症状が軽減されたか否かを確認するユーザ入力を促す。所定時間は、実行された行動に基づいて決定することができる。例えば、効果がすぐに現れる場合には所定時間を5分後とし、効果が12時間経過しなければ現れない場合には所定時間を13時間とする。ユーザ端末120は、ユーザ入力を受け付けると効果確認情報をサーバ130へ送信する(S532)。サーバ130は受信した効果確認情報に基づいて行動対状態スコアテーブルを更新することができる(S534)。例えば、効果があったとされた対処法についての行動対状態スコアテーブルにおけるスコアを上昇させ、効果がなかったとされた対処法のスコアを減少させることができる。また、スコアはユーザ毎に定義して、効果に基づくスコアの更新もまたユーザ毎にのみ行うこともできる。
【0098】
本実施形態を用いることにより、治療に関連して発症している症状をユーザが容易に選択することを可能とし、選択された症状を軽減するために効果のあると考えられる対処法を実行することを可能とする。
【0099】
本実施形態においては各種のテーブルをサーバ130の記憶部に記憶するものとしたが、これらのうちの一部または全部をユーザ端末120の記憶部に記憶させてもよい。
【0100】
本実施形態においては、治療に関連して発症する症状は、治療に関連して発症する症状として薬による副作用以外の症状も含むものとしたが、薬による副作用に限定した態様とすることもできるし、薬による副作用を含まない治療に関連して発症する症状のみとすることもできる。
【0101】
本実施形態においては、症状及び対処を行動として行動対状態テーブル等のテーブルを共通のテーブルとして管理するものとしたが、症状及び対処のそれぞれについてテーブルを作成しても同様の情報処理で実行することができる。
【0102】
変形例として、行動対状態スコアテーブルに代えて、行動対行動スコアテーブルを用いて症状や対処法を決定してもよい。ユーザの状態についての管理は行わずに、行動履歴のみを管理するだけで実現することが可能となる。前述の実施形態における状態に関連する処理が不要となること及び行動に対して状態ではなく行動が関連付けられることを除き、同様の処理により実現することが可能である。行動対状態スコアテーブルに代えて、例えば、以下のような行動対行動スコアテーブルを用いることができる。
【0103】
【表14】
【0104】
表14においては、データIDに対して第1行動~第4行動を対応付けて記憶する。第2~第4行動のスコアは各IDによって特定される行動がユーザによって実行されている場合には1とし実行されていない場合には0とする。第1行動のスコアは、第2~第4の行動のスコアによって示される場合において第1行動IDについてのスコアを示し、行動の種類が症状である場合にはその行動をユーザに提示する優先度の高さを示し、対処である場合には予想される効果の高さを示している。
【0105】
各ユーザについての症状スコアテーブルの決定に際しては、行動履歴データに基づいて各行動が実行されているか否かを決定することができる。行動履歴データにおけるタイムスタンプから所定の時間以上経過している場合には行動が実行されていないものとすることができる。その他の処理は前述の実施形態と同様である。
【0106】
もう一つの変形例として、前述の実施形態においては、ユーザ端末120及びサーバ130という2つのコンピュータを用いるものとしたが、1つのコンピュータ、例えば、ユーザ端末120がすべての機能を有することで、サーバ130を用いることなく、ユーザ端末120においてすべての処理を実行してもよい。この場合、サーバ130との情報の送受信処理を省略することができる。その他の処理は、前述の実施形態と同様である。
【0107】
以上に説明した処理又は動作において、あるステップにおいて、そのステップではまだ利用することができないはずのデータを利用しているなどの処理又は動作上の矛盾が生じない限りにおいて、処理又は動作を自由に変更することができる。また以上に説明してきた各実施例は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0108】
100 :システム
110 :ネットワーク
120 :ユーザ端末
121 :処理装置
122 :表示装置
123 :入力装置
124 :記憶装置
125 :通信装置
128 :バス
130 :サーバ
131 :処理装置
132 :表示装置
133 :入力装置
134 :記憶装置
135 :通信装置
138 :バス
321 :入力部
322 :表示部
323 :通信部
324 :制御部
325 :記憶部
331 :入力部
332 :表示部
333 :通信部
334 :制御部
335 :症状スコア決定部
336 :対処法決定部
337 :記憶部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9