(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】小型の回転シャフトトランスミッション装置、及び関連の方法
(51)【国際特許分類】
F16H 1/12 20060101AFI20221226BHJP
F16H 1/06 20060101ALI20221226BHJP
F16H 1/14 20060101ALI20221226BHJP
B64C 13/28 20060101ALN20221226BHJP
【FI】
F16H1/12
F16H1/06
F16H1/14
B64C13/28
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017011739
(22)【出願日】2017-01-26
【審査請求日】2020-01-20
(32)【優先日】2016-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ベー, クワン-ホウ
(72)【発明者】
【氏名】パーチャー, ケネス エル.
(72)【発明者】
【氏名】マーフィ, ロバート エム.
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04188833(US,A)
【文献】特表2016-500788(JP,A)
【文献】実開昭60-180847(JP,U)
【文献】特開2004-167679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/12
F16H 1/06
F16H 1/14
B64C 13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型の回転シャフトトランスミッション装置であって、
出力軸方向(70)に延在する回転可能な出力シャフト(50)と入力軸方向(80)に延在する回転可能な入力シャフト(60)とを連結するように構成されたオフセットギアボックスアセンブリ(150)と、
前記出力シャフト(50)を回転するため、前記出力シャフト(50)に連結され、また、出力ギア軸(250)を中心として駆動方向(85)に回転可能となるように前記オフセットギアボックスアセンブリ(150)に取り付けられた出力ギア(200)と、
前記出力ギア(200)に直接連結され、また、前記出力ギア(200)と連係してアイドラーギア軸(350)を中心として回転可能となるように前記オフセットギアボックスアセンブリ(150)に取り付けられたアイドラーギア(300)と、
前記アイドラーギア(300)に連結され、また、前記アイドラーギア(300)と連係して入力ギア軸(450)を中心として回転可能となるように前記オフセットギアボックスアセンブリ(150)に取り付けられた入力ギアアセンブリ(400)とを備え、前記入力ギアアセンブリ(400)は、前記入力シャフト(60)の回転が、前記入力ギアアセンブリ(400)と前記アイドラーギア(300)を介して、前記出力ギア(200)の前記駆動方向(85)の回転を引き起こすように、前記入力シャフト(60)に連結されるように配置されており、前記入力ギアアセンブリ(400)は、前記入力シャフト(60)の前記入力軸方向(80)が前記出力シャフト(50)の前記出力軸方向(70)に対して非平行であるように連結された前記入力シャフト(60)を有し、また、前記入力ギアアセンブリ(400)は、前記入力軸方向(80)に延在する前記入力シャフト(60)に連結された入力ベベロイドギアを備え、前記入力ギア軸(450)は、前記アイドラーギア軸(350)に対して非平行であり、前記出力ギア軸(250)は、前記アイドラーギア軸(350)に対して平行であ
り、
前記入力ギアアセンブリ(400)は、前記入力ギア軸(450)に対して非平行に延在する歯を有する前記入力ベベロイドギア、及び前記入力ベベロイドギアに連結され、連動して回転可能な入力ベベルギアを備え、前記入力ベベルギアは、前記入力軸方向(80)に延在する前記入力シャフト(60)に連結される、装置。
【請求項2】
前記出力ギア(200)は、前記出力ギア軸(250)に対して平行に延在する歯を有する出力スパーギアである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記アイドラーギア(300)は、前記アイドラーギア軸(350)に対して平行に延在する歯を有するアイドラースパーギアである、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記入力ギアアセンブリ(400)の前記入力ベベロイドギアと前記入力ベベルギアは一体に連結される、請求項
1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記入力シャフト(60)に連結される入力シャフト(60)ベベルギアを更に備え、前記入力シャフトベベルギアは、前記入力シャフト(60)の回転が前記入力ギアアセンブリ(400)を回転
させるように、前記入力ギアアセンブリの前記入力ベベルギアに連結されている、請求項
1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記出力ギア(200)は出力ベベロイドギアであり、また、前記アイドラーギア(300)はアイドラーベベロイドギアである、請求項
1に記載の装置。
【請求項7】
前記出力シャフト(50)は、前記出力軸方向(70)が前記出力ギア軸(250)に一致するように、前記出力ギア(200)に連結されている、請求項1から3又は
6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
小型の回転シャフトトランスミッション装置の製造方法であって、
出力軸方向(70)に延在する回転可能な出力シャフト(50)と入力軸方向(80)に延在する回転可能な入力シャフト(60)とを連結するように構成されたオフセットギアボックスアセンブリ(150)内で、連結された前記出力シャフト(50)を回転するため、出力ギア(200)は出力ギア軸(250)を中心として駆動方向(85)に回転可能であるように、前記出力ギア(200)を取り付けること、
アイドラーギア(300)は前記出力ギア(200)に直接連結され、前記出力ギア(200)と連係してアイドラーギア軸(350)を中心として回転可能であるように、前記アイドラーギア(300)を前記オフセットギアボックスアセンブリ(150)に取り付けること、及び、
入力ギアアセンブリ(400)は前記アイドラーギア(300)に連結され、前記アイドラーギア(300)と連係して入力ギア軸(450)を中心として回転可能であるように、前記入力ギアアセンブリ(400)を前記オフセットギアボックスアセンブリ(150)に取り付けることを含み、前記入力シャフト(60)の回転が、前記入力ギアアセンブリ(400)と前記アイドラーギア(300)を介して、前記出力ギア(200)の前記駆動方向(85)への回転を引き起こすように、前記入力ギアアセンブリ(400)は前記入力シャフト(60)に連結されており、前記入力シャフト(60)の前記入力軸方向(80)が前記出力シャフト(50)の前記出力軸方向(70)に対して非平行であるように、前記入力ギアアセンブリ(400)は連結された前記入力シャフト(60)を有し、また、前記入力ギアアセンブリ(400)は、前記入力軸方向(80)に延在する前記入力シャフト(60)に連結された入力ベベロイドギアを備え、前記入力ギア軸(450)は、前記アイドラーギア軸(350)に対して非平行であり、前記出力ギア軸(250)は、前記アイドラーギア軸(350)に対して平行であ
り、
入力ギアアセンブリ(400)を取り付けることは、前記入力ギア軸(450)に対して非平行に延在する歯を有する前記入力ベベロイドギアと、前記入力ベベロイドギアに連結され、連動して回転可能な入力ベベルギアと、を前記オフセットギアボックスアセンブリ(150)に取り付けることであって、前記入力軸方向(80)に延在する前記入力シャフト(60)に前記入力ベベルギアが連結されるように取り付けることを含む、製造方法。
【請求項9】
出力ギア(200)を取り付けることは、前記出力ギア軸(250)に対して平行に延在する歯を有する出力スパーギアを取り付けることを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
アイドラーギア(300)を取り付けることは、前記アイドラーギア軸(350)に対して平行に延在する歯を有するアイドラースパーギアを取り付けることを含む、請求項
8又は
9に記載の方法。
【請求項11】
入力ギアアセンブリ(400)を取り付けることは、前記入力ギア軸(450)に対して非平行に延在する歯を有する
前記入力ベベロイドギアと、前記入力ベベロイドギアに一体連結され、連動して回転可能な
前記入力ベベルギアと、を前記オフセットギアボックスアセンブリ(150)に取り付けることであって、前記入力軸方向(80)に延在する前記入力シャフト(60)に前記入力ベベルギアが連結されるように取り付けることを含む、請求項
8から
10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、相互間でトルクを伝達するように、向かい合う非交差の回転可能なシャフトを連結するための、小型の(low-profile)回転シャフトトランスミッション装置を対象としている。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、オフセットギアボックス1は、非交差の(すなわち、オフセットされた)回転可能なシャフト間でトルクの伝達が必要な場合に実装され、そこでは入力シャフトは異なる方向に延在しうる。例えば、航空機の翼フラップの駆動機構に関連して、このような状況に遭遇することがあり、駆動機構のアクチュエータ2は胴体内に配設されうる。このような場合、フラップの操作に欠かせない回転シャフト3は、延在してフラップと係合するため、胴体から離れて、翼の構造的特徴の周囲に向けられなければならない。しかしながら、このような航空機の翼構造の内部を通る場合、アクチュエータ及び駆動機構を実装するための空間や通過領域(clearance area)が限られていることも多い。
【0003】
場合によっては、このようなオフセットギアボックス1は、例えば、
図2に示すように、個々のスパーギアの配置(すなわち、ベベルギアギアボックス10)に連動して装着される従来のベベルギアの配置を実装してもよい。このような場合には、ベベルギアギアボックス10とスパーギアギアボックス20とは、ベベルギアギアボックスの出力とスパーギアギアボックスの入力との間の個々の回転シャフト30を経由し、所望のオフセットを提供する共働ギアボックス10、20によって接続されてもよい。
【0004】
しかしながら、従来のオフセットギアボックスの設置面積、サイズ(容積)、及び/又は重量は用途によっては良い結果をもたらさないため、具体的な用途が限られた空間や狭い通過領域に関係するときには、このような従来のオフセットギアボックスは実装が困難となりうる。更に、限られた空間や狭い通過領域ではシャフトとギアボックスの複雑な配置が必要となりうるため、適用にあたたっては、例えば、効率性、重量及びコストの課題も示されることがある。
【0005】
そのため、設置面積、サイズ(容積)、重量、構成要素の複雑性と数量、伝達効率、設定要件、及びコストなどの問題に対処する回転シャフトトランスミッション装置が必要となるが、これは従来のオフセットギアボックスを使用する従来の配置には欠けていることがある。
【発明の概要】
【0006】
1つの態様において、小型の回転シャフトトランスミッション装置を提供する、本開示の態様によって上述及びその他の要求が満たされる。このような装置は、回転可能な入力シャフトと回転可能な出力シャフトとを連結するように構成されたオフセットギアボックスアセンブリ、出力軸方向に延在する出力シャフト、及び入力軸方向に延在する入力シャフトを備えうる。出力ギアは、出力シャフトに連結され、出力シャフトを回転するため出力ギア軸を中心として駆動方向に回転可能であるように、オフセットギアボックスアセンブリに取り付けられる。アイドラーギアは、出力ギアに連結され、出力ギアと連係してアイドラーギア軸を中心として回転可能であるように、オフセットギアボックスアセンブリに取り付けられる。入力ギアアセンブリは、アイドラーギアに連結され、アイドラーギアと連係して入力ギア軸を中心として回転可能であるように、オフセットギアボックスアセンブリに取り付けられる。入力ギアアセンブリは、入力シャフトの回転が、入力ギアアセンブリとアイドラーギアを介して、出力ギアの駆動方向への回転を引き起こすように、入力シャフトに連結されるように配置される。入力ギアアセンブリは、入力シャフトの入力軸方向が出力シャフトの出力軸方向に対して非平行になるように、連結された入力シャフトを有する。
【0007】
本開示の別の態様は、小型の回転シャフトトランスミッション装置の製造方法を提供する。このような方法は、回転可能な入力シャフトと回転可能な出力シャフトを連結するように構成されたオフセットギアボックスアセンブリに出力ギアを取り付けることを含み、その結果、連結された出力シャフトを回転するため、出力ギアは出力ギア軸を中心にして駆動方向に回転可能で、出力シャフトは出力軸方向に延在し、入力シャフトは入力軸方向に延在する。アイドラーギアは、アイドラーギアが出力ギアに連結され、出力ギアと連係してアイドラーギア軸を中心にして回転可能であるように、オフセットギアボックスアセンブリに取り付けられる。入力ギアアセンブリは、入力ギアアセンブリがアイドラーギアに連結され、アイドラーギアと連係して入力ギア軸を中心にして回転可能であるように、オフセットギアボックスアセンブリに取り付けられ、入力シャフトの回転が、入力ギアアセンブリとアイドラーギアを介して、出力ギアの駆動方向への回転を引き起こすように、入力ギアアセンブリは入力シャフトに連結されており、また、入力シャフトの入力軸方向が出力シャフトの出力軸方向に対して非平行であるように、入力ギアアセンブリは連結された入力シャフトを有する。
【0008】
本明細書に記載される態様、機能及び利点は、様々な例示的実装/態様において個別に実現されてもよく、又は、更なる詳細が以下の説明及び図面を参照して理解されうる、更に別の例示的実装/態様において組み合わされてもよい。
【0009】
本開示は、ここまで一般論として説明されており、これから添付の図面を参照するが、それらは必ずしも正しい縮尺で描かれている訳ではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】航空機の翼フラップ駆動機構に実装される回転シャフトトランスミッション装置を概略的に示す。
【
図2】先行技術による従来のオフセットギアボックス配置を概略的に示す。
【
図3】本開示の一態様による、小型の回転シャフトトランスミッション装置の断面図を概略的に示す。
【
図4】本開示の一態様による、小型の回転シャフトトランスミッション装置の3次元図を概略的に示す。
【
図5】本開示の別の態様による、小型の回転シャフトトランスミッション装置を概略的に示す。
【
図6】本開示の更に別の態様による、小型の回転シャフトトランスミッション装置を概略的に示す。
【
図7】本開示の一態様による、小型の回転シャフトトランスミッション装置を形成する方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示のすべてとは限らないが幾つかの態様が示される添付の図面を参照して、本開示は以下でより詳しく説明されることになる。実際、本開示は、多くの異なる形態で実施可能であり、本明細書に明記された態様に限定されると解釈すべきではなく、むしろ、本開示が包括的かつ完全なものになるように、かつ当業者に本開示の範囲が十分に伝わるように、そして適用可能な法的必要条件を満たすように、これらの態様が提供されている。類似の番号は、全体を通じて類似の要素を指す。明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つの(a、an、the)」は、文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0012】
図3~
図6に概略的に示されているように、本開示の様々な態様は小型の回転シャフトトランスミッション装置100を提示する。このようなトランスミッション装置100は、ギアボックスハウジング又はケーシングを含みうるオフセットギアボックスアセンブリ150を含んでもよい。オフセットギアボックスアセンブリ150は、例えば、トルクが回転可能なシャフト50と60との間で伝達されうるように、回転可能な入力シャフト60と回転可能な出力シャフト50を連結するように構成されてもよい。一般的に、出力シャフト50は出力軸方向70に延在し、入力シャフト60は入力軸方向80に延在し、シャフト50とシャフト60のそれぞれの端部は交差しない(すなわち、オフセットギアボックスアセンブリ150に係合するシャフト50とシャフト60の端部は相互にオフセットされている)。
【0013】
図3及び
図4に示すように、出力ギア200は、出力シャフト50に連結され、出力シャフト50を回転するため出力ギア軸250を中心として駆動方向85に(すなわち、所望の方向で、駆動方向85であってもよい)回転可能であるように、オフセットギアボックスアセンブリ150に取り付けられている。アイドラーギア300は、出力ギア200に連結され、出力ギア200と連係してアイドラーギア軸350を中心として回転可能であるように、オフセットギアボックスアセンブリ150に取り付けられている。駆動方向85に回転する出力ギア200に関しては、係合するアイドラーギア300は駆動方向85とは反対の方向に回転する。入力ギアアセンブリ400は、アイドラーギア300に連結され、アイドラーギア300と連係して入力ギア軸450を中心として回転可能であるように、オフセットギアボックスアセンブリ150に取り付けられている。より具体的には、入力ギアアセンブリ400は、入力シャフト60の回転が、入力ギアアセンブリ400とアイドラーギア300を介して、出力ギア200の駆動方向への回転を引き起こすように、入力シャフト60に連結されるように構成されている。したがって、入力ギアアセンブリ400、アイドラーギア300と出力ギア200との間の連結関係を踏まえると、入力ギアアセンブリ400は、アイドラーギア300と出力ギア200を順に駆動するように、駆動方向85に回転するように配置されている。出力シャフト50のオフセット端部と入力シャフト60のオフセット端部を連結するオフセット配置を形成して提供するため、入力ギアアセンブリ400は、入力シャフト60の入力軸方向80が出力シャフト50の出力軸方向70に対して非平行であるように、連結された入力シャフト60を有する。
【0014】
幾つかの態様では、
図3及び
図4に示すように、出力ギア200は、出力ギア軸250に対して平行に延在する歯を有する出力スパーギア210であってもよい。更に、アイドラーギア300は、アイドラーギア軸350に対して平行に延在する歯を有するアイドラースパーギア310であってもよい。このような態様では、入力ギアアセンブリ400は、入力ギア軸450に対して平行に延在する歯を有する入力スパーギア410、及び入力スパーギア410に連結され、連動して回転可能な入力ベベルギア420を備え、入力ベベルギア420は次に、入力軸方向80に延在する入力シャフト60に連結される。すなわち、入力スパーギア410は、入力スパーギア410と入力ベベルギア420が互いに隣り合って配置(すなわち、1つのユニットとして回転可能に固定)されるように、入力ギアアセンブリ400の入力ベベルギア420に(すなわち、接続シャフトなしで)装着又は固定されうる。場合によっては、入力スパーギア410と入力ベベルギア420は一体形成されてもよく、或いは隣り合う位置関係で連結され、一体のユニットを形成してもよい。したがって、出力ギア200、アイドラーギア300と、入力ギアアセンブリ400との間の配置は、交差しない或いは係合しない出力シャフト50と入力シャフト60との間のオフセットに対処し、一方、入力スパーギア410は、出力シャフト50がオフセットギアボックスアセンブリ150に係合する角度と比較して、異なる角度で(すなわち、非平行に)オフセットギアボックスアセンブリ150に係合する入力シャフト60に対処する。
【0015】
場合によっては、入力シャフトベベルギア65は入力シャフト60に連結されうる。入力シャフトベベルギア65は更に、入力シャフト60の回転が、入力シャフトベベルギア65と入力ベベルギア420との間の係合を介して、入力ギアアセンブリ400を回転するように、入力ギアアセンブリ400の入力ベベルギア420に連結又は係合されてもよい。より具体的には、入力シャフトベベルギア65(すなわち、その歯)は、入力シャフト60の回転が入力スパーギア410を含む入力ギアアセンブリ400の駆動方向85への回転を引き起こすように、入力ベベルギア420(すなわち、その歯)に係合するように構成されてもよい。
【0016】
代替的な態様では、
図5に示すように、入力ベベルギア420に装着された又はこれと一体形成された入力スパーギア410を備える入力ギアアセンブリ400に代わって、入力ギアアセンブリ400は、例えば、入力軸方向80に延在する入力シャフト60に連結された、円錐ベベルギアなどの入力ベベロイドギア430を備える。すなわち、このような場合には、入力ベベロイドギア430は、その歯がアイドラースパーギア310の歯と一致する又は係合するように、構成及び配置されてもよく、その結果、入力ベベロイドギア430の回転の中心となる入力ベベロイドギア軸435は、アイドラーギア軸350に対して非平行となる。したがって、入力シャフト60は入力ベベロイドギア430と直接係合してもよく、同様に、入力シャフト60の入力軸方向80は入力ベベロイドギア軸435に一致してもよい。したがって、このような場合には、入力ベベロイドギア軸435のような入力軸方向80は、アイドラーギア軸350に対して非平行で、出力ギア軸250又は出力軸方向70に対しても非平行である。幾つかの態様では、必要に応じて又は要求に応じて、入力シャフトベベロイドギア(図示せず)は入力シャフト60に係合され、入力ベベロイドギア430に連結され、相互作用するように構成されうる。したがって、このような態様では、入力軸方向80は必ずしも入力ベベロイドギア軸435に一致しなくてもよいが、出力軸方向70に対して非平行になりうる。
【0017】
更に別の態様では、
図6に示すように、トランスミッション装置100は、出力ギア200が出力ベベロイドギア220で、アイドラーギア300がアイドラーベベロイドギア320で、また、入力ギア400が入力軸方向80に延在する入力シャフト60に連結された入力ベベロイドギア440であるように、構成されてもよい。より具体的には、出力ベベロイドギア220、アイドラーベベロイドギア320、及び入力ベベロイドギア440はそれぞれ円錐ベベロイドギアとして構成されてもよく、出力ベベロイドギア軸225がアイドラーベベロイドギア軸325に対して平行になるように、出力ベベロイドギア220の配向とアイドラーベベロイドギア320の配向は互いに反転されている。このような場合、入力ベベロイドギア440は、その歯がアイドラーベベロイドギア320の歯と一致する又は係合するように、構成及び配置されてもよく、その結果、入力ベベロイドギア440の回転の中心となる入力ベベロイドギア軸445は、アイドラーベベロイドギア軸325に対して非平行となる。したがって、入力シャフト60は入力ベベロイドギア440と直接係合してもよく、同様に、入力シャフト60の入力軸方向80は入力ベベロイドギア軸445に一致してもよい。したがって、このような場合には、入力ベベロイドギア軸445のような入力軸方向60は、アイドラーベベロイドギア軸325に対して非平行で、出力ベベロイドギア軸225又は出力軸方向70に対しても非平行である。幾つかの態様では、必要に応じて又は要求に応じて、入力シャフトベベロイドギア(図示せず)は入力シャフト60に係合され、入力ベベロイドギア440に連結され、相互作用するように構成されうる。したがって、このような態様では、入力軸方向80は必ずしも入力ベベロイドギア軸445に一致しなくてもよいが、出力軸方向70に対して非平行になりうる。
【0018】
本明細書に開示のトランスミッション装置100の態様に関して、幾つかの場合には、出力シャフト50は、出力軸方向70が出力ギア軸250に一致するように、出力ギア200に連結されるように構成されてもよい。更に、出力ギア200は、出力ギア軸250がアイドラーギア軸350に対して平行であるように、アイドラーギア300に連結されるように構成されてもよい。また、当業者であればわかるように、本明細書に開示のトランスミッション装置100の態様は、オフセットギアボックスアセンブリ150へのギアの取り付けに欠かせない他の要素、例えば、シャフト、ベアリング、シム、ファスナなどを含みうる。そのため、本明細書に開示のトランスミッション装置100の様々な態様は、上記の他の要素がこれらの態様と関連して明示的に記載されていない場合でも、これらの態様に関連する目的と機能を実現するためには、トランスミッション装置100に必要とされる他の要素の任意の組み合わせを含むことが理解されよう。
【0019】
図7は、小型の回転シャフトトランスミッション装置を製造する方法を概略的に示している。このような方法は、出力ギアが出力シャフトに連結され、出力シャフトを回転するように、回転可能な入力シャフトと回転可能な出力シャフトを連結するように構成されたオフセットギアボックスアセンブリに出力ギアを取り付けることを含み、出力シャフトは出力軸方向に延在し、また、入力シャフトは入力軸方向に延在し、駆動方向に回転可能である(ブロック500)。アイドラーギアは、アイドラーギアが出力ギアに連結され、連係して回転可能であるように、オフセットギアボックスアセンブリに取り付けられている(ブロック520)。入力ギアアセンブリは、入力ギアアセンブリがアイドラーギアに連結され、連係して回転可能であるように、オフセットギアボックスアセンブリに取り付けられており、入力ギアアセンブリは、入力シャフトの駆動方向への回転が、入力ギアアセンブリ、アイドラーギア、及び出力ギアを介して、出力シャフトの駆動方向への回転を引き起こすように、入力シャフトに連結されており、また、入力ギアアセンブリは、入力シャフトの入力軸方向が出力シャフトの出力軸方向に対して非平行であるように、連結された入力シャフトを有する(ブロック540)。小型の回転シャフトトランスミッション装置を製造する方法の他の態様及び/又はステップは、本明細書で取り上げられる小型の回転シャフトトランスミッション装置の様々な実施形態及び態様の開示に関連して開示される。
【0020】
したがって、本開示の態様は、相互間でトルクを伝達するように、向かい合う非交差の回転可能なシャフトを連結するための、小型の回転シャフトトランスミッション装置、並びに関連する方法を提供する。これにより、従来のオフセットギアボックス装置にあった問題に対する改善点、例えば、小さな設置面積、小さなサイズ(容積)、軽量、複雑さの軽減、及び/又は構成要素数の低減、トルク伝達効率の向上、設定要件の軽減、及び/又はコスト低減、従来のオフセットギアボックスを使用する従来の配置では欠けていた事柄などを実現することができる。
【0021】
上記の説明及び関連する図面に提示された教示の利益を有するこれらの開示に関連する、本明細書に記載された開示の多くの修正例及び他の態様が、当業者には想起されよう。例えば、本明細書に記載のトランスミッション装置100の様々な態様の1つの要素は、「出力ギア」(例えば、出力ギア200)と称され、別の要素は「入力ギアアセンブリ」(例えば、入力ギアアセンブリ400)と称されているが、トランスミッション装置100の配置は、トルク伝達が必要に応じて又は要求に応じて、反転可能であることを証明している。すなわち、幾つかの態様では、トルク出力又は出力ギアは「入力ギアアセンブリ400」によって代表され、一方、トルク入力又は入力ギアアセンブリは「出力ギア200」によって代表されうる。別の実施例では、
図4に示すように、トランスミッション装置100は複数の出力ギアを含みうる。より具体的には、例えば、入力ギアアセンブリ400は、第2の出力軸方向70Aに延在する第2の出力シャフト50Aに係合する第2の出力ギア200Aに係合するように、また、アイドラーギア300によって駆動される出力ギア200に加えて、第2の出力ギア200Aを駆動するように、構成されうる。したがって、本開示は、開示された特定の態様に限定されるものでなく、均等物、修正例、及び他の態様は、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図しているものと理解されたい。本明細書では特定の用語が用いられているが、それらは、一般的かつ説明的意味でのみ使用されており、限定を目的とするものではない。
【0022】
条項1. 小型の回転シャフトトランスミッション装置であって、
出力軸方向に延在する回転可能な出力シャフトと入力軸方向に延在する回転可能な入力シャフトとを連結するように構成されたオフセットギアボックスアセンブリと、
前記出力シャフトを回転するため、前記出力シャフトに連結され、また、出力ギア軸を中心として駆動方向に回転可能となるように前記オフセットギアボックスアセンブリに取り付けられた出力ギアと、
前記出力ギアに連結され、また、前記出力ギアと連係してアイドラーギア軸を中心として回転可能となるように前記オフセットギアボックスアセンブリに取り付けられたアイドラーギアと、
前記アイドラーギアに連結され、また、前記アイドラーギアと連係して入力ギア軸を中心として回転可能となるように前記オフセットギアボックスアセンブリに取り付けられた入力ギアアセンブリとを備え、前記入力ギアアセンブリは、前記入力シャフトの回転が、前記入力ギアアセンブリと前記アイドラーギアを介して、前記出力ギアの前記駆動方向の回転を引き起こすように、前記入力シャフトに連結されるように配置されており、また、前記入力ギアアセンブリは、前記入力シャフトの前記入力軸方向が前記出力シャフトの前記出力軸方向に対して非平行であるように連結された前記入力シャフトを有する装置。
【0023】
条項2. 前記出力ギアは、前記出力ギア軸に対して平行に延在する歯を有する出力スパーギアである、条項1に記載の装置。
【0024】
条項3. 前記アイドラーギアは、前記アイドラーギア軸に対して平行に延在する歯を有するアイドラースパーギアである、条項1又は2に記載の装置。
【0025】
条項4. 前記入力ギアアセンブリは、前記入力ギア軸に対して平行に延在する歯を有する入力スパーギア、及び前記入力スパーギアに連結され、連動して回転可能な入力ベベルギアを備え、前記入力ベベルギアは、前記入力軸方向に延在する前記入力シャフトに連結される、条項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【0026】
条項5. 前記入力スパーギアと前記入力ギアアセンブリの前記入力ベベルギアは一体に連結される、条項4に記載の装置。
【0027】
条項6. 前記入力シャフトに連結される入力シャフトベベルギアを更に備え、前記入力シャフトベベルギアは、前記入力シャフトの回転が前記入力ギアアセンブリを回転するように、前記入力ギアアセンブリの前記入力ベベルギアに連結されている、条項4又は5に記載の装置。
【0028】
条項7. 前記入力ギアアセンブリは、前記入力軸方向に延在する前記入力シャフトに連結された入力ベベロイドギアを備える、条項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【0029】
条項8. 前記出力ギアは出力ベベロイドギアで、前記アイドラーギアはアイドラーベベロイドギアで、また、前記入力ギアは前記入力軸方向に延在する前記入力シャフトに連結された入力ベベロイドギアである、条項1から3、又は7のいずれか一項に記載の装置。
【0030】
条項9. 前記出力シャフトは、前記出力軸方向が前記出力ギア軸に一致するように、前記出力ギアに連結されている、条項1から3、7又は8のいずれか一項に記載の装置。
【0031】
条項10. 前記出力ギアは、前記出力ギア軸が前記アイドラーギア軸に対して平行であるように、前記アイドラーギアに連結されている、条項1から3、7から9のいずれか一項に記載の装置。
【0032】
条項11. 小型の回転シャフトトランスミッション装置の製造方法であって、
出力軸方向に延在する回転可能な出力シャフトと入力軸方向に延在する回転可能な入力シャフトとを連結するように構成されたオフセットギアボックスアセンブリ内で、連結された前記出力シャフトを回転するため、出力ギアは出力ギア軸を中心として駆動方向に回転可能であるように、前記出力ギアを取り付けること、
アイドラーギアは前記出力ギアに連結され、前記出力ギアと連係してアイドラーギア軸を中心として回転可能であるように、前記アイドラーギアを前記オフセットギアボックスアセンブリに取り付けること、及び、
入力ギアアセンブリは前記アイドラーギアに連結され、前記アイドラーギアと連係して入力ギア軸を中心として回転可能であるように、前記入力ギアアセンブリを前記オフセットギアボックスアセンブリに取り付けることを含み、前記入力シャフトの回転が、前記入力ギアアセンブリと前記アイドラーギアを介して、前記出力ギアの前記駆動方向への回転を引き起こすように、前記入力ギアアセンブリは前記入力シャフトに連結されており、また、前記入力シャフトの前記入力軸方向が前記出力シャフトの前記出力軸方向に対して非平行であるように、前記入力ギアアセンブリは連結された前記入力シャフトを有する製造方法。
【0033】
条項12. 出力ギアを取り付けることは、前記出力ギア軸に対して平行に延在する歯を有する出力スパーギアを取り付けることを含む、条項11に記載の方法。
【0034】
条項13. アイドラーギアを取り付けることは、前記アイドラーギア軸に対して平行に延在する歯を有するアイドラースパーギアを取り付けることを含む、条項11又は12に記載の方法。
【0035】
条項14. 入力ギアアセンブリを取り付けることは、前記入力ギア軸に対して平行に延在する歯を有する入力スパーギアを取り付けることを含み、また、入力ベベルギアは、前記入力軸方向に延在する前記入力シャフトに前記入力ベベルギアが連結されるように、前記オフセットギアボックスアセンブリ内で、前記入力スパーギアに連結され、連動して回転可能である、条項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【0036】
条項15. 入力ギアアセンブリを取り付けることは、前記入力ギア軸に対して平行に延在する歯を有する入力スパーギアを取り付けることを含み、また、入力ベベルギアは、前記入力軸方向に延在する前記入力シャフトに前記入力ベベルギアが連結されるように、前記オフセットギアボックスアセンブリ内で、前記入力スパーギアに一体連結され、連動して回転可能である、条項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【0037】
条項16. 前記入力シャフトに入力シャフトベベルギアを連結することを更に含み、前記入力シャフトベベルギアは、前記入力シャフトの回転が前記入力ギアアセンブリを回転するように、前記入力ギアアセンブリの前記入力ベベルギアに連結されている、条項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【0038】
条項17. 入力ギアアセンブリを取り付けることは、入力ベベロイドギアをオフセットギアボックスアセンブリに取り付けることを含み、その結果、前記ベベロイドギアは前記入力軸方向に延在する入力シャフトに連結される、条項11から16のいずれか一項に記載の方法。
【0039】
条項18. 出力ギアを取り付けることは出力ベベロイドギアを前記オフセットギアボックスアセンブリに取り付けることを含み、アイドラーギアを取り付けることはアイドラーベベロイドギアを前記オフセットギアボックスアセンブリに取り付けることを含み、また、入力ギアを取り付けることは、前記入力ベベロイドギアが前記入力軸方向に延在する前記入力シャフトに連結されるように、入力ベベロイドギアを前記オフセットギアボックスアセンブリに取り付けることを含む、条項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【0040】
条項19. 前記出力ギア方向が前記出力ギア軸に一致するように、前記出力シャフトを前記出力ギアに連結することを含む、条項11から18のいずれか一項に記載の方法。
【0041】
条項20. 前記出力ギア軸が前記アイドラーギア軸に平行になるように、前記出力ギアを前記アイドラーギアに連結することを含む、条項11から19のいずれか一項に記載の方法。