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特許7199802図書保管設置用のトレイ、及びトレイを備えた図書保管装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】図書保管設置用のトレイ、及びトレイを備えた図書保管装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
B65G1/00 531
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017212204
(22)【出願日】2017-11-01
(65)【公開番号】P2019085196
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】辻 研章
(72)【発明者】
【氏名】西野 文博
(72)【発明者】
【氏名】樟 和典
(72)【発明者】
【氏名】吉野 圭一
(72)【発明者】
【氏名】山下 淳平
(72)【発明者】
【氏名】井本 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】橋野 里香
(72)【発明者】
【氏名】北方 美津子
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-118812(JP,A)
【文献】特開2003-072915(JP,A)
【文献】特開2010-173748(JP,A)
【文献】特開平10-114321(JP,A)
【文献】実開平07-033673(JP,U)
【文献】特開昭56-149904(JP,A)
【文献】実開昭57-192230(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0078284(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
図書を収容するとともに、所定の保管設置部に搬入出可能に設置される保管設置用のトレイであって、
図書を載置する図書載置面と、
該図書載置面の後部のみの上方を覆う上壁と、を備え、
前記図書載置面の前端部は、前記図書が前記前端部上を前記図書載置面に沿って前後方向に滑らせて移動させることが可能に設けられ、
前記保管設置部と、前記図書を搬入出する際の受け渡し口となり、前記図書載置面が進入出可能な開口部が形成された搬入出部と、の間で搬入出可能に設けられ、
前記搬入出部の前記開口部に前記図書載置面を進入させた状態で、前記図書が前記図書載置面に対して上方から出し入れ可能に設けられ、かつ前記図書載置面を下にして配置した状態で、前記図書が前記図書載置面に対して前記図書の厚さ方向が高さ方向となる横向きに載置されることを特徴とする図書保管設置用のトレイ。
【請求項2】
前記図書載置面の互いに対向する外周縁のうち一方の第1辺に上方に立設される垂直壁が設けられ、
前記上壁は、前記垂直壁の上端から前記外周縁のうち他方の第2辺側に向けて延びていることを特徴とする請求項1に記載の図書保管設置用のトレイ。
【請求項3】
前記上壁の両端に側壁が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の図書保管設置用のトレイ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトレイと、前記トレイを搬入出可能に保管する保管設置部と、を備えていることを特徴とするトレイを備えた図書保管装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図書保管設置用のトレイ、及びトレイを備えた図書保管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に保管している図書を貸し出しする図書保管装置として、例えば特許文献1に示されるように、フォルダに図書を収納した状態で保管領域(格納部)に保管し、貸出し時にはフォルダを搬出口(取出口)まで搬送して、利用者がフォルダから図書を取り出す装置が知られている。このような図書保管装置では、利用者が搬出口においてフォルダから図書を取り出す必要があることから、使い勝手が悪くなっていた。
そこで、挟むことで図書を保持するフォルダを用いない別の図書保管装置の形態として、図書を載置させたトレイを保管領域から取り出し口まで搬送する装置も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-088641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の図書保管装置では、以下のような問題があった。
すなわち、図書を載置させたトレイを搬送する装置では、上述した特許文献1のフォルダを用いた場合に比べると図書の取り出しは容易となるが、利用の多い図書では本全体が膨れ上がって厚さ方向の高さが大きくなっている場合があり、このような膨れて高さが大きくなった図書がトレイの所定の高さを超えてしまうことがあった。そのような図書をトレイに載置させて搬送すると周囲の部材に膨れたページが引っ掛かり、搬送中に図書がトレイから落下するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、搬送時の図書の落下を防止できる図書保管設置用のトレイ、及びトレイを備えた図書保管装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る図書保管設置用のトレイは、図書を収容するとともに、所定の保管設置部に搬入出可能に設置される保管設置用のトレイであって、図書を載置する図書載置面と、該図書載置面の後部のみの上方を覆う上壁と、を備え、前記図書載置面の前端部は、前記図書が前記前端部上を前記図書載置面に沿って前後方向に滑らせて移動させることが可能に設けられ、前記保管設置部と、前記図書を搬入出する際の受け渡し口となり、前記図書載置面が進入出可能な開口部が形成された搬入出部と、の間で搬入出可能に設けられ、前記搬入出部の前記開口部に前記図書載置面を進入させた状態で、前記図書が前記図書載置面に対して上方から出し入れ可能に設けられ、かつ前記図書載置面を下にして配置した状態で、前記図書が前記図書載置面に対して前記図書の厚さ方向が高さ方向となる横向きに載置されることを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係るトレイを備えた図書保管装置は、上述したトレイと、前記トレイを搬入出可能に保管する保管設置部と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
本発明では、トレイの図書載置面の少なくとも一部の上方を覆う上壁が設けられているので、図書を図書載置面と上壁の間に押し込んだ状態で載置させることができる。そのため、利用が多く膨れ上がって厚さ方向の高さが大きくなった図書であっても、上壁によって図書載置面との間で厚さ方向に押し潰された状態で配置させることができ、その図書の高さをトレイの高さ以下とすることができる。
したがって、図書を載置したトレイを搬送する際に、周囲の部材に膨れた図書のページが引っ掛かかって、搬送中に図書がトレイから落下することを防止できる。
【0009】
また、本発明に係る図書保管設置用のトレイは、前記図書載置面の互いに対向する外周縁のうち一方の第1辺に上方に立設される垂直壁が設けられ、前記上壁は、前記垂直壁の上端から前記外周縁のうち他方の第2辺側に向けて延びていることが好ましい。
【0010】
この場合には、トレイの垂直壁が設けられる側を利用者の奥側に配置することで、上壁は垂直壁から手前に配置される。利用者が図書をトレイに載置させる際には、図書を図書載置面の奥側の垂直壁に押し付けるだけで上壁が図書の上側に位置し、図書が図書載置面と上壁の間に押し込まれた状態で載置される。そのため、利用者は図書の載置位置を気にすることなく載置することができ、上述したように膨れ上がった図書の場合であっても、上壁と図書載置面との間で厚さ方向に押し潰された状態で、図書の高さをトレイの高さ以下とすることができ、トレイの搬送時に周囲の部材に膨れた図書のページが引っ掛かかることを防止することができる。
【0011】
また、本発明に係る図書保管設置用のトレイは、前記上壁の両端に側壁が設けられていることを特徴としてもよい。
【0012】
このような構成とすることで、図書載置面と上壁との間に配置された図書の両側に側壁が設けられているので、その図書が図書載置面の左右方向の外側に張り出すことを抑制することができ、上壁の下方に配置される図書を確実に載置することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の図書保管設置用のトレイ、及びトレイを備えた図書保管装置によれば、図書の取り出しにかかる動作を容易に行うことができ、かつ搬送時の図書の落下を防止できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態による図書保管装置を斜め正面から見た斜視図である。
図2図1に示す図書保管装置の操作室を斜め正面から見た斜視図であって、スライド蓋が退避位置にある図である。
図3図1に示す図書保管装置の操作室を斜め正面から見た斜視図であって、スライド蓋が閉止位置にある図である。
図4】図書保管装置の内部構造を示す斜め後方から見た斜視図である。
図5図4の内部構造を後方から見た側面図である。
図6図3に示す操作室の側面図である。
図7】操作室の搬入出部を上方から見た平面図である。
図8】(a)~(c)は、移載ユニットから搬入出部にトレイを移動させる動作を示す側面図である。
図9】トレイを斜め前方から見た斜視図である。
図10】トレイを斜め下方から見た斜視図である。
図11】トレイを左右方向から見た側面図である。
図12】トレイを後方から見た側面図であって、搬入出部に進入させた状態を示す図である。
図13】図書検知センサとトレイの配置状態を示した斜視図であって、図9に対応する図である。
図14】(a)、(b)は、トレイに収納された図書を図書検知センサを使用して検出する状態を示す縦断面図である。
図15】(a)~(c)は、移動装置によって収納スペースからトレイを移動する動作を説明するための平面図である。
図16】(a)~(c)は、図15(c)に続く移動装置によって搬入出部にトレイを移動する動作を説明するための平面図である。
図17】膨れ上がった図書をトレイに収納する状態を示した縦断面図である。
図18】変形例によるトレイを斜め前方から見た斜視図であって、図9に対応する図である。
図19図18に示すA-A線断面図である。
図20図18に示すB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態による図書保管設置用のトレイ、及びトレイを備えた図書保管装置について、図面に基づいて説明する。
【0016】
図1に示す本実施形態による図書保管装置1は、図書M(図2参照)を搬入出する際に、簡単な操作により予め予約されていた図書Mを貸し出ししたり、借りていた図書Mを返却するための箱型の装置である。つまり、本を借りる利用者は、操作パネル30を操作することにより、図書保管装置1内の収納スペース11A(図4参照)に保管されている所望の図書Mを操作口にある図2に示す搬入出部12に搬出させて、借りることができ、返却する図書Mを元の収納スペース11Aに戻して収納することができる。
【0017】
図1乃至図5に示すように、図書保管装置1は、図書Mを収容保管する収納棚11(保管設置部)と、所定の図書Mを搬入出する際の受け渡し口となる搬入出部12と、収納棚11と搬入出部12との間で図書Mを収容するためのトレイ4(図書保管設置用のトレイ)を移動させる移動装置2と、搬入出部12を上方に間隔をあけた位置から覆う閉止位置P1(図3参照)と、搬入出部12の上方を開放する退避位置P2(図2参照)との間でスライド可能に設けられたスライド蓋3と、スライド蓋3の前面に設けられ、図書Mの搬入出を操作するための操作パネル30と、を備えている。
これら収納棚11、移動装置2、及びスライド蓋3は、外装カバー体13内に装備されている。
【0018】
ここで、本実施の形態では、図書保管装置1において、正面から見た横方向を左右方向X1といい、上方から見た平面視で、左右方向X1に直交する方向を前後方向X2という。前後方向X2において、搬入出部12で図書Mの搬入出を操作する利用者の手前側を前方、前側といい、その反対側を後方、後側という。
【0019】
図1乃至図3に示すように、搬入出部12は、図書保管装置1の前壁132の左右方向X1の中間部分に開口する操作室15内に設けられている。操作室15は、外装カバー体13の前壁132から後側に向けて凹む凹空間を形成しており、天板を構成する操作台121を構成する前記搬入出部12と、搬入出部12を開閉するスライド蓋3と、スライド蓋3を駆動する蓋駆動部32(図6参照)と、を備えている。操作室15は、搬入出部12の左右両側に位置する側壁151、151と、側壁151、151の奥側に位置する後壁152と、を有している。
【0020】
搬入出部12は、図6及び図7に示すように、操作台121を構成している。操作台121には、トレイ4の図書載置面41a(後述する)の一部が進入出可能な開口部122が形成されている。
開口部122には、左右両側に前後方向X2に延びるガイド123、123が設けられている(図8及び図12参照)。
【0021】
外装カバー体13は、図1に示すように、底盤131、前壁132、後壁133、前壁132と後壁133との間を塞ぐ一対の側壁134A,134Bと上壁135とにより上面視で長方形状をなし、その長手方向を左右方向X1に向けた形状となっている。
外装カバー体13内の前側には、図4及び図5に示すように、収納棚11が配置される収納領域R1と、搬入出部12が配置される搬入出領域R2と、が設けられている。そして、外装カバー体13内における収納領域R1及び搬入出領域R2の後方側には、搬送領域R3が設けられている。搬送領域R3には、収納領域R1と搬入出領域R2との間でトレイ4を移動させるための移動装置2が配置されている。
【0022】
搬入出領域R2は、正面視で外装カバー体13内の中央に位置している。収納領域R1は、搬入出領域R2の左右両側と上下の位置で周囲を搬入出領域R2を囲うように配置されている。
収納領域R1の収納棚11は、図書Mを収納可能なトレイ4を個別に収納する収納スペース11A、11A、…が複数の列で多段に形成されている。これら収納スペース11Aは、後方がトレイ4の出入口となり、それぞれの収納スペース11Aに対応したトレイ4が前後方向X2に進退移動可能に設けられている。
【0023】
搬送領域R3に配置される移動装置2は、トレイ4を収納棚11と搬入出部12との間で移送する移載ユニット21と、移載ユニット21を左右方向X1に移動させる横移動ガイド22と、横移動ガイド22を上下方向X3に昇降させる昇降ガイド23と、を備えている。
【0024】
移載ユニット21は、図8(a)~(c)に示すように、トレイ4を収容した状態で移動可能に設けられるとともに、収納棚11との間及び搬入出部12との間でトレイ4を受け渡しするためのものである。移載ユニット21は、板材を組み合わせて形成するフレーム24に必要な機材を一体に組み付けて構成されている。
【0025】
フレーム24は、平面視で長方形状の底板241と、底板241の各辺から立設した前板242、後板243、側板(図示省略)からなり、上方が開放され、上面視で少なくともトレイ4全体がフレーム24の内側に配置される箱形状を形成している。前板242は他の後板243、側板よりも低い高さに形成されている。
【0026】
底板241の下面241aには、図示しない横移動アングルが設けられている。この横移動アングルは、不図示の駆動モータ等の駆動手段によって後述する横移動ガイド22(図4及び図5参照)の横レール(不図示)に沿って左右方向X1に横移動される。
【0027】
フレーム24の前板242と後板243との間には、それぞれの前板242と後板243の下方部分において前後方向X2に沿って延びる棒状の摺動軸25が設けられている。摺動軸25には、摺動軸25に沿って前後方向X2に案内される押出し装置26が摺動自在に支持されている。
【0028】
押出し装置26は、不図示の駆動モータの駆動力によって例えばタイミングベルト等の伝達部材を介して摺動軸25に沿って移動される。押出し装置26には、前面26aに後述するトレイ4の後面42aに設けられる係止片43(後述する)に係止されるフック261が設けられている。フック261にトレイ4が係止された状態のときには、押出し装置26が摺動軸25に沿って摺動することで、トレイ4を前後方向X2に移動させることができる。押出し装置26が前方に移動したときには、トレイ4を移載ユニット21から前方に押し出すことができ、押出し装置26が後方に移動したときには、トレイ4をフレーム24内に引き込んで収容することができる。押出し装置26の最前端の位置は、トレイ4がフレーム24の前方外側となる位置である。そして、押出し装置26によって押し出されたトレイ4は、搬入出部12において、搬入出部12の開口122に一致するようになっている。
【0029】
図4及び図5に示すように、横移動ガイド22及び昇降ガイド23は、図1に示す外装カバー体13の内側で底盤131上に立設された門型形状の補強枠14に支持されている。補強枠14は、左右方向X1に対向し底盤131上に立設する一対の縦枠141、141と、縦枠141、141の上端同士を接続する上枠142と、を有している。縦枠141は、板状をなし、その板面の面方向を前後方向X2に向けている。
【0030】
昇降ガイド23は、補強枠14の各縦枠141の内面において、上下方向X3に沿って延在する二本の上下レール231、321を備えている。
【0031】
横移動ガイド22は、縦材221、221、横材222、222を長方形の枠状に組み立てた構成であり、長辺方向を左右方向X1に向けて配置され、長辺が収納領域R1の後面の全幅相当に設定されている。各縦材221には、昇降ガイド23の上下レール231に沿って摺動する摺動ブロック(図示省略)が設けられている。前記摺動ブロックは、不図示の駆動モータ等の駆動手段によって上下レール231に沿って移動され、これにより横移動ガイド22が水平を維持して上下に昇降される。各横材222には、横レール(図示省略)が設けられている。
【0032】
次に、トレイ4について図9図12等を用いて詳細に説明する。
トレイ4は、図書Mが載置可能であり、上述した移動装置2によって収納スペース11Aと搬入出部12との間で移動される。トレイ4は、図書Mを載置させる平板状の載置板41と、載置板41の後部に設けられる収納保持壁42と、収納保持壁42の後面42aに設けられる係止片43と、を備えている。
【0033】
載置板41は、平面視で前後方向X2に長い長方形状をなしており、上面が図書載置面41aをなし、前端41bの下面部分から前方に向けて突出する前突片44が左右方向X1に間隔をあけて設けられている。載置板41は、トレイ4が搬入出部12に進入されたときに、前端41bが操作台121の開口部122に当接することで、前方への移動が停止される。一対の前突片44は、図11に示すように、載置板41の前端41bが搬入出部12の操作台121の開口部122に当接したときに、操作台121の下面121a側に係止する。
【0034】
載置板41の下面41cには、左右方向X1の両側寄りのそれぞれの位置に前後方向X2に間隔をあけて複数(ここでは4つ)のガイドピン45、45、…が配列されている。ガイドピン45は、載置板41の下面41cに対して、低い円柱形状でトレイ4と一体をなしている。トレイ4は、左右方向X1で載置板41の側辺よりも内側に配置され、搬入出部12においてトレイ4を前後方向X2に移動させる際に、列毎の複数のガイドピン45が操作台121の開口部122に設けられている一対のガイド123、123(図8(a)~(c)参照)に案内される。つまり、ガイド123の内側面123a(図12参照)に沿ってガイドピン45が移動する。
【0035】
収納保持壁42は、前側が開放され、かつ載置板41の後部上方を覆うように設けられている。収納保持壁42は、載置板41の左右の側辺から立設する一対の横板421、421と、横板421、421の上端同士を連結する上板422と、載置板41、一対の横板421、421、及び上板422に囲まれた後側開口を塞ぐ後板423と、を有している。
【0036】
係止片43は、収納保持壁42における後壁423の後面42aに設けられている。係止片43は、後面42aの左右方向X1及び上下方向X3のそれぞれ中央の位置において、後方に突出しかつ下向きに延出する鍵形状をなし、下向きに開口する凹部43aを形成している。係止片43の凹部43aには、移載ユニット21の押出し装置26のフック261が下方から係止される。係止片43にフック261が係止した状態で連結された状態となるため、押出し装置26が摺動軸25に案内されて前後方向X2に摺動することで、トレイ4を前後方向X2に移動させることができる。
【0037】
収納保持壁42の上板422には、後板243寄りの位置に左右方向に延びる第1長穴46が形成されている。載置板41には、第1長穴46に対して上下方向に対向する位置に第2長穴47が形成されている(図13、及び図14(a)、(b)参照)。これら第1長穴46と第2長穴47は、双方に同時に光電センサ(後述する図書検知センサ48)の光が通過することが可能な大きさ、形状に設定されている。
【0038】
図1に示す外装カバー体13の前壁132に設けられる操作室15には、図6図13、及び図14(a)、(b)に示すように、搬入出部12の開口部122に配置されたトレイ4の収納保持壁42の上方に、トレイ4に収容される図書Mの有無を検知する一対の図書検知センサ48が設けられ、収納保持壁42の下方に各図書検知センサ48に対応する一対の受光センサ49が設けられている。図書検知センサ48として、光電センサが採用されている。図書検知センサ48及び受光センサ49は、図書検知センサ48で発光される光Lがトレイ4の第1長穴46と第2長穴47を通過し、その光Lを受光センサ49で受光される位置に設けられている。
【0039】
また、図6に示すように、外装カバー体13の前壁132に設けられる取出し口には、スライド蓋3が退避位置P2に位置したときに、搬入出部12を点灯させるライト16(照明部)が設けられている。
【0040】
スライド蓋3は、図2及び図3に示すように、表面3aにタッチパネル式のディスプレイからなる操作パネル30を装備した板状部材からなり、操作パネル30に対する入力操作に応じて開閉される。スライド蓋3は、前後方向X2にスライドし、搬入出部12における後側上方が退避位置P2となり、退避位置P2で操作パネル30が前側を向いている。スライド蓋3は、搬入出部12を覆うように閉じた閉止位置P1において、操作パネル30が位置する表面3aの面方向が斜め上向きであり、退避位置P2において前記表面3aの面方向が略垂直となる向きである。退避位置P2のスライド蓋3は、操作室15の後壁152の前面側に配置される。
【0041】
操作台121の前面に立つ利用者は、スライド蓋3の全閉状態、全開状態に拘らず、操作パネル30に表示される操作メッセージ等を確認しながら、操作パネル30に表示されるタッチパネルを押して操作することができる。
また、本実施の形態のスライド蓋3には、操作パネル30の下側にカードの読み取りが可能なカードリーダ31(図1参照、図2及び図3等では省略している)が設けられている。
【0042】
スライド蓋3は、図2図3、及び図6に示すように、操作室15の後壁152に設けられている蓋駆動部32によってスライド移動される。スライド蓋3の前端部3b側には左右両側に向けて突出するスライドピン33が形成されている。
【0043】
蓋駆動部32は、図6に示すように、駆動モータ321と、駆動モータ321に接続されたベルト322と、ベルト322に接続された連結ヒンジ323と、を備えている。駆動モータ321は、後壁152の下側部分で、トレイ4の進入領域よりも上に設けられている。駆動モータ321に接続されているベルト322は、後壁152の上部に設けられたプーリ324に巻き掛けられて連結ヒンジ323に接続されている。連結ヒンジ323は、プーリ324を挟んで駆動モータ321より前側に配置され、スライド蓋3の上端に回転自在に連結されている。連結ヒンジ323に連結されたスライド蓋3の上端部分は、駆動モータ321の正逆回転駆動により後壁152の前面に沿って上下方向X3に移動可能に設けられている。
【0044】
退避位置P2に配置されるスライド蓋3は、駆動モータ321のワイヤ巻出し方向の回転駆動によって連結ヒンジ323が下降するとともに、スライド蓋3の前端部3bのスライドピン33が案内溝34に沿って前方に移動して閉止位置P1に配置される。また、閉止位置P1に配置されるスライド蓋3は、駆動モータ321のワイヤ巻取り方向の回転駆動によって連結ヒンジ323が上昇するとともに、スライド蓋3の前端部3bのスライドピン33が案内溝34に沿って後方に移動して退避位置P2に配置される。
【0045】
操作室15の両側壁151には、スライド蓋3の前端部に設けられるスライドピン33を案内する案内溝34が前後方向X2に延びて設けられている。案内溝34は、前側から後方に向けて高くなる曲線状に延在している。具体的には、手前側で前方から後方に向けて急峻に上昇する第1前方溝部34Aと、前方溝部34Aの後端に連設され略水平又は第1前方溝部34Aよりも緩やかに上昇する中間溝部34Bと、中間溝部34Bの後端に連設され中間溝部34Bよりも急峻に上昇する後方溝部34Cと、を有している。そして、案内溝34の中間溝部34Bがトレイ4の高さより上方に位置している。
この場合、案内溝34は前方で急峻に高くなるので、案内溝34に沿って移動するスライド蓋3の前端部3bの位置が、閉止位置P1から退避位置P2に移動して搬入出部12を開く開始時に直ぐに搬入出部12の面から急峻に上方に移動する軌跡を辿る。そのため、スライド蓋3の前端部3bが搬入出部12における搬入出領域を通過しない構成となっている。
【0046】
次に、上述した図書保管装置1を利用して図書の搬入出時における動作手順について、具体的に説明する。
図3に示すように、利用者が図書保管装置1を利用して図書Mを借りる貸し出し時において、利用者は、先ず操作室15前で閉止位置P1にあるスライド蓋3の操作パネル30を操作し、所定の図書Mを搬入出部12に搬出するように指示情報を入力する。
この指示情報が入力されると、図4及び図15(a)に示すように、移動装置2が作動し、移載ユニット21で収納棚11の指定された収納スペース11Aに存在するトレイ4を移載する動作が行われる。。ここで、収納スペース11Aにあるトレイ4には、予め設定されている図書Mが収容されている。
【0047】
具体的に移載ユニット21にトレイ4を移載する動作は、以下のように行われる。
先ず、トレイ4を搭載していない空の移載ユニット21を横移動ガイド22と昇降ガイド23を使用して上下方向X3及び横方向(左右方向X1)に移動させ、収納棚11のうち指定された収納スペース11Aの取出し口の後側の所定位置(第1停止位置S1)に位置させる。
続いて、図11及び15(b)、(c)に示すように、移載ユニット21の押出し装置26を摺動軸25(図8(a)参照)によって前方に移動し、その押出し装置26の前部に設けられるフック261をトレイ4の係止片43の凹部43aに係止する。その後、押出し装置26を後方に移動させることで、トレイ4を移載ユニット21のフレーム24(図8(a)参照)内に引き込み収容する。
【0048】
続いて、図4図8(a)及び図16(a)に示すように、図書Mが載置されたトレイ4とともに移載ユニット21を横移動ガイド22と昇降ガイド23を使用して上下方向X3及び横方向(左右方向X1)に移動させて、搬入出部12の後側の所定位置(第2停止位置S2)に停止させる。
【0049】
その後、図8(b)及び図16(b)に示すように、移載ユニット21の押出し装置26を摺動軸25によって前方に移動することで、図書Mを載置させたトレイ4を前方に移動させ、操作室15内の搬入出部12の開口部122に進入させる。このとき、トレイ4の載置板41の下面41cに設けられる複数のガイドピン45が開口部122の左右両側の位置で前後方向X2に延びるガイド123に沿って前方に案内される。そして、図8(c)及び図16(c)に示すように、前進されたトレイ4は、載置板41の前端41bが操作台121の開口部122に当接した位置で停止し、搬入出部12の所定の位置(搬入出位置S3)に配置される。
【0050】
その後、図2図3、及び図6に示すように、スライド蓋3が閉止位置P1から操作室15の奥側上方の位置となる退避位置P2へ移動して、搬入出部12にあるトレイ4の上方から退避した位置でスライド蓋3が開いた状態となる。具体的に閉止位置P1に配置されるスライド蓋3は、駆動モータ321のワイヤ巻取り方向の回転駆動によって連結ヒンジ323が上昇するとともに、スライド蓋3の前端部3bのスライドピン33が案内溝34に沿って後方に移動して退避位置P2に配置される。
このときスライド蓋3は、閉止位置P1から退避位置P2へ移動する開く動作(反対に閉じる動作も同様)の際のスライド蓋3の前端部3b(スライドピン33)がトレイ4の上方を避ける軌跡でスライドする。そのため、スライド蓋3の開閉動作によって、トレイ4及びトレイ4に配置される図書Mにスライド蓋3が接触しないようになっている。これにより、利用者は、搬入出部12においてトレイ4の図書載置面41にある図書Mを取り出すことができる。
【0051】
トレイ4から図書Mを取り出した後は、退避位置P2にあるスライド蓋3の操作パネル30を操作してスライド蓋3を閉止位置P1に移動させてもよいし、自動で移動するように制御してもよい。
なお、退避位置P2に配置されるスライド蓋3は、駆動モータ321のワイヤ巻出し方向の回転駆動によって連結ヒンジ323が下降するとともに、スライド蓋3の前端部3bのスライドピン33が案内溝34に沿って前方に移動して閉止位置P1に配置される。
【0052】
次に、利用者が図書保管装置1を利用して図書Mを返却する際には、基本的には上述した図書Mの貸し出しの動作の逆の動作となるので、貸出し時と異なる点について説明する。
利用者は、図2図3、及び図6に示すように、スライド蓋3が退避位置P2にあるときに、搬入出部12の開口部122に配置されているトレイ4の図書載置面41aの所定位置(本実施の形態では図書載置面41aの奥側)に図書Mを配置させる。具体的には、利用者が図書Mをトレイ4に載置させる際には、図書Mを図書載置面41aの奥側の後板423に押し付けるだけで上板422が図書Mの上側に位置し、図書Mが図書載置面41aと上板422の間に押し込まれた状態で載置する。このとき、図13及び図14(a)、(b)に示すように、トレイ4の図書載置面41aに載置する図書Mを後板423に押し付けた状態であることが図書検知センサ48と受光センサ49により検知される。利用者が図書Mを図書載置面41aに載置する際に、後板423に押し付けて載置することで図書検知センサ48の光Lが図書Mによって遮られることが検知され、図書Mが図書載置面41aの所定の位置に配置されたことを確認できる。
【0053】
トレイ4の所定位置に図書Mを載置した後、退避位置P2にあるスライド蓋3の操作パネル30を操作し、スライド蓋3を閉止位置P1に移動させる。そして、搬入出部12の上方をスライド蓋3で閉じた状態を確認されたら、第2停止位置S2の移載ユニット21の押出し装置26を後方に移動させて、トレイ4を移載ユニット21のフレーム24内に引き込み収容する。ここの動作は、図8(a)~(c)に示す動作の逆の動作になる。
【0054】
その後、図4及び図15(a)~(c)に示すように、トレイ4を搭載した移載ユニット21を横移動ガイド22と昇降ガイド23を使用して上下方向X3及び横方向(左右方向X1)に移動させて、収納棚11のうち指定された収納スペース11Aの取出し口の後側の所定位置(第1停止位置S1)に位置させる。押出し装置26を前方に移動することで、図書Mを載置させたトレイ4を前方に移動させ、収納スペース11A内に進入させる。そして、押出し装置26の前部に設けられるフック261をトレイ4の係止片43の凹部43aから取り外し、押出し装置26を後方に移動させる。
【0055】
次に、上述した図書保管設置用のトレイ4、及びトレイ4を備えた図書保管装置1の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本実施の形態では、トレイ4の図書載置面41aの少なくとも一部の上方を覆う上板422が設けられているので、図書Mを図書載置面41aと上板422の間に押し込んだ状態で載置させることができる。そのため、図17に示すように、利用が多く膨れ上がって厚さ方向の高さが大きくなった図書Mであっても、上板422によって図書載置面41aとの間で厚さ方向に押し潰された状態で配置させることができ、その図書の高さをトレイ4の高さ以下とすることができる。
したがって、図書Mを載置したトレイ4を搬送する際に、周囲の部材に膨れた図書Mのページが引っ掛かかって、搬送中に図書Mがトレイ4から落下することを防止できる。
【0056】
また、本実施の形態では、トレイ4の後板423が設けられる側を利用者の奥側に配置することで、上板422は後板423から手前に配置される。利用者が図書Mをトレイ4に載置させる際には、図書Mを図書載置面41aの奥側の後板423に押し付けるだけで上板422が図書Mの上側に位置し、図書が図書載置面41aと上板422の間に押し込まれた状態で載置される。そのため、利用者は図書Mの載置位置を気にすることなく載置することができ、上述したように膨れ上がった図書Mの場合であっても、上壁と図書載置面41aとの間で厚さ方向に押し潰された状態で、図書の高さをトレイ4の高さ以下とすることができ、トレイ4の搬送時に周囲の部材に膨れた図書のページが引っ掛かかることを防止することができる。
【0057】
また、本実施の形態では、図書載置面41aと上壁との間に配置された図書Mの両側に側壁が設けられているので、その図書が図書載置面41aの左右方向の外側に張り出すことを抑制することができ、上板422の下方に配置される図書を確実に載置することが可能となる。
【0058】
上述のように本実施の形態による図書保管設置用のトレイ、及びトレイを備えた図書保管装置では、図書の取り出しにかかる動作を容易に行うことができ、かつ搬送時の図書の落下を防止できる。
【0059】
以上、本発明による図書保管設置用のトレイ、及びトレイを備えた図書保管装置の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0060】
例えば、本実施の形態では、トレイ4の収納保持壁42が後板423(垂直壁)と横板421を有する構成としているが、これらを省略することも可能である。要は、図書載置面41aの上方の一部を覆う上板422(上壁)が設けられていれば良いのである。そして、上壁の位置もトレイ4の奥側(後側)の位置に限定されることもない。
【0061】
さらに、本実施の形態のようなトレイ4に限定されることはなく、図書を収容可能で移動装置で移動可能であればどのような形態であってもかまわない。
例えば、トレイ4の図書載置面41aは、全面が平面である必要は無い。例えば、図18図20に示す変形例によるトレイ4Aのように、図書載置面41aの周辺部である前端部及び左右両端部に上方に突となるわずかな盛り上がり部41dを設けても良い。この盛り上がり部41dは、上端部から図書載置面41aにおける内側に向かうに従い漸次下方に傾斜する斜面が形成されている。この場合、図書を図書載置面41a上で滑らせて図書の一部を盛り上がり部41dまで移動させることで、図書が少しだけ浮き上がるため、図書を図書載置面41a上から取り上げることが容易となる。
【0062】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 図書保管装置
2 移動装置
3 スライド蓋
4 トレイ
11 収納棚(保管設置部)
11A 収納スペース
12 搬入出部
13 外装カバー体
16 ライト
15 操作室
21 移載ユニット
26 押出し装置
30 操作パネル
34 案内溝
41 載置板
41a 図書載置面
42 収納保持壁
43 係止片
46 第1長穴
47 第2長穴
48 図書検知センサ
49 受光センサ
121 操作台
122 開口部
421 横板
422 上板(上壁)
423 後板(垂直壁)
M 図書
P1 閉止位置
P2 退避位置
X1 左右方向
X2 前後方向
X3 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20