(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】複数のコンデンサを使用する非接触電圧測定システム
(51)【国際特許分類】
G01R 15/16 20060101AFI20221226BHJP
G01R 19/00 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
G01R15/16
G01R19/00 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017218394
(22)【出願日】2017-11-13
【審査請求日】2020-08-31
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509233459
【氏名又は名称】フルークコーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Fluke Corporation
【住所又は居所原語表記】6920 Seaway Boulevard, Everett, Washington 98203 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・ステウエアー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ラッダ
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第7755347(US,B1)
【文献】国際公開第2016/175123(WO,A1)
【文献】特開昭58-174856(JP,A)
【文献】国際公開第2015/182187(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/189864(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0346240(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0047846(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/00-15/26
G01R 19/00-19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体と該導体を囲繞する絶縁体とからなる絶縁導体の交流(AC)電圧を測定するため のシステムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに物理的に結合されるセンサアセンブリであって、前記センサアセンブ リは前記絶縁導体の導体と接触せずに、前記絶縁導体に近接して位置決め可能であり、前記センサアセンブリは、第1の導電センサと、第2の導電センサと、第3の導電センサとを備え、前記第1、第2、及び第3の導電センサは、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、それぞれ動作時に前記導体に容量的に結合し、前記第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれは、容量結合に影響を及ぼす少なくとも1つの特性に関して前記第1、第2及び第3の導電センサのうちの他の2つの導電センサと
異なっており、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、前記第1及び第2の導電センサを前記絶縁導体から絶縁する第1の絶縁材層であって、第1の厚さを有する第1の絶縁材層と、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、前記第3の導電センサを前記絶縁導体から絶縁する第2の絶縁材層であって、前記第1の厚さと異なる第2の厚さを有する第2の絶縁材層と、を備える、センサアセンブリと、
前記第1、第2、及び第3の導電センサと電気的に結合された電圧測定サブシステムで あって、動作中、それぞれ前記第1、第2、及び第3の導電センサでの電圧を示す第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を生成する電圧測定サブシステムと、
前記電圧測定サブシステムに通信可能に接続された少なくとも1つのプロセッサであって、動作中、前記電圧測定サブシステムから前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を受信し、 前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号の
各々に基づいて前記絶縁導体の前記AC電圧を決定する、少なくとも1つのプロセッサと、を備えるシステム。
【請求項2】
容量結合に影響を及ぼす前記少なくとも1つの特性が、少なくとも1つの物理的寸法を 含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
容量結合に影響を及ぼす前記少なくとも1つの特性は、前記センサアセンブリが前記絶 縁導体に近接して位置付けられるとき、物理的な面積、物理的な向き、又は前記絶縁導体からの物理的な間隔の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
導体と該導体を囲繞する絶縁体とからなる絶縁導体の交流(AC)電圧を測定するためのシステムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに物理的に結合されるセンサアセンブリであって、前記センサアセンブリは前記絶縁導体の導体と接触せずに、前記絶縁導体に近接して位置決め可能であり、前記センサアセンブリは、第1の導電センサと、第2の導電センサと、第3の導電センサとを備え、前記第1、第2、及び第3の導電センサは、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、それぞれ動作時に前記導体に容量的に結合し、前記第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれは、容量結合に影響を及ぼす少なくとも1つの特性に関して前記第1、第2及び第3の導電センサのうちの他の2つの導電センサと異なり、前記第1及び第2の導電センサのそれぞれが、直角を形成する第1の縁部及び第2の縁部、並びに前記直角と反対側の斜辺縁部を画定する平面直角三角形状を有し、前記第1の導電センサ及び前記第2の導電センサの前記斜辺縁部が、互いに近接して位置付けられている、センサアセンブリと、
前記第1、第2、及び第3の導電センサと電気的に結合された電圧測定サブシステムであって、動作中、それぞれ前記第1、第2、及び第3の導電センサでの電圧を示す第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を生成する電圧測定サブシステムと、
前記電圧測定サブシステムに通信可能に接続された少なくとも1つのプロセッサであって、動作中、前記電圧測定サブシステムから前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を受信し、前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号の各々に基づいて前記絶縁導体の前記AC電圧を決定する、少なくとも1つのプロセッサと、を備える、システム。
【請求項5】
前記第3の導電センサが、平面矩形状を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1及び第2の導電センサが、第1の平面に位置付けられ、前記第3の導電センサが、第2の平面に位置付けられ、前記第1の平面は、前記第2の平面に対して鋭角で配置されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の平面が、前記第2の平面に対し、20度~50度である所定の角度で配置されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
導体と該導体を囲繞する絶縁体とからなる絶縁導体の交流(AC)電圧を測定するためのシステムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに物理的に結合されるセンサアセンブリであって、前記センサアセンブリは前記絶縁導体の導体と接触せずに、前記絶縁導体に近接して位置決め可能であり、前記センサアセンブリは、第1の導電センサと、第2の導電センサと、第3の導電センサとを備え、前記第1、第2、及び第3の導電センサは、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、それぞれ動作時に前記導体に容量的に結合し、前記第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれは、容量結合に影響を及ぼす少なくとも1つの特性に関して前記第1、第2及び第3の導電センサのうちの他の2つの導電センサと異なる、センサアセンブリと、
前記第1、第2、及び第3の導電センサと電気的に結合された電圧測定サブシステムであって、動作中、それぞれ前記第1、第2、及び第3の導電センサでの電圧を示す第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を生成する電圧測定サブシステムと、
前記電圧測定サブシステムに通信可能に接続された少なくとも1つのプロセッサであって、動作中、前記電圧測定サブシステムから前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を受信し、前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号の各々に基づいて前記絶縁導体の前記AC電圧を決定する、少なくとも1つのプロセッサと、
前記第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれを少なくとも部分的に囲む少なくとも1つの内部接地ガードと、を備える、システム。
【請求項9】
導体と該導体を囲繞する絶縁体とからなる絶縁導体の交流(AC)電圧を測定するため のシステムを操作する方法であって、前記システムは、ハウジングと、前記ハウジングに物理的に結合されるセンサアセンブリと、を含み、前記センサアセンブリは、前記絶縁導体の導体と接触せずに、前記絶縁導体に近接して位置決め可能であり、前記センサアセンブリは、第1の導電センサと、第2の導電センサと、第3の導電センサと、を備え、前記第1、第2、及び第3の導電センサは、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、それぞれ動作中、前記導体に容量的に結合し、前記第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれは、容量結合に影響を及ぼす少なくとも1つの特性に関して前記第1、第2及び第3の導電センサのうちの他の2つの導電センサと異なり、更に、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、前記第1及び第2の導電センサを前記絶縁導体から絶縁する第1の絶縁材層であって、第1の厚さを有する第1の絶縁材層と、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、前記第3の導電センサを前記絶縁導体から絶縁する第2の絶縁材層であって、前記第1の厚さと異なる第2の厚さを有する第2の絶縁材層と、を前記センサアセンブリが備え、
前記方法が、前記第1、第2、及び第3の導電センサと電気的に結合された電圧測定サブシステムを介して、それぞれ前記第1、第2、及び第3の導電センサでの電圧を示す第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を生成する工程と、
前記電圧測定サブシステムに通信可能に接続された少なくとも1つのプロセッサによって、前記電圧測定サブシステムから前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を受信する工程と、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号の各々に基づいて前記絶縁導体の前記AC電圧を決定する工程と、を含む方法。
【請求項10】
導体と該導体を囲繞する絶縁体とからなる絶縁導体の交流(AC)電圧を測定する方法 であって、
前記絶縁導体の導体と接触せずに、第1の導電センサと、第2の導電センサと、第3の導電センサとを備えるセンサアセンブリを前記絶縁体に近接して位置決めする工程であって、前記第1、第2、及び第3の導電センサが、前記センサアセンブリが前記導体に近接して位置付けられるとき、それぞれ前記導体に容量的に結合し、前記第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれは、容量結合に影響を及ぼす少なくとも1つの特性に関して前記第1、第2及び第3の導電センサのうちの他の2つの導電センサと異なり、更に、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、前記第1及び第2の導電センサを前記絶縁導体から絶縁する第1の絶縁材層であって、第1の厚さを有する第1の絶縁材層と、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、前記第3の導電センサを前記絶縁導体から絶縁する第2の絶縁材層であって、前記第1の厚さと異なる第2の厚さを有する第2の絶縁材層と、を前記センサアセンブリが備えている工程と、
前記第1、第2、及び第3の導電センサと電気的に結合された電圧測定サブシステムを介して、それぞれ前記第1、第2、及び第3の導電センサでの電圧を示す第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を生成する工程と、
前記電圧測定サブシステムに通信可能に接続された少なくとも1つのプロセッサによって、前記電圧測定サブシステムから前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を受信する工程と、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号の各々に基づいて前記絶縁導体の前記AC電圧を決定する工程と、を含む方法。
【請求項11】
前記第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれの導電センサは、少なくとも1つの物理的寸法に関して前記第1、第2、及び第3の導電センサのうちの他の2つの導電センサと異なる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれの導電センサは、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、物理的な面積、物理的向き、又は前記絶縁導体からの物理的な間隔の少なくとも1つに関して前記第1、第2、及び第3の導電センサのうちの他の2つの導電センサと異なる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
導体と該導体を囲繞する絶縁体とからなる絶縁導体の交流(AC)電圧を測定する方法であって、
前記絶縁導体の導体と接触せずに、第1の導電センサと、第2の導電センサと、第3の導電センサとを備えるセンサアセンブリを前記絶縁体に近接して位置決めする工程であって、前記第1、第2、及び第3の導電センサが、前記センサアセンブリが前記導体に近接して位置付けられるとき、それぞれ前記導体に容量的に結合し、前記第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれは、容量結合に影響を及ぼす少なくとも1つの特性に関して前記第1、第2及び第3の導電センサのうちの他の2つの導電センサと異なり、前記第1及び第2の導電センサのそれぞれは、直角を形成する第1の縁部及び第2の縁部、並びに前記直角と反対側の斜辺縁部を画定する平面直角三角形状を有し、前記第1の導電センサ及び前記第2の導電センサの前記斜辺縁部は、互いに近接して位置付けられる工程と、
前記第1、第2、及び第3の導電センサと電気的に結合された電圧測定サブシステムを介して、それぞれ前記第1、第2、及び第3の導電センサでの電圧を示す第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を生成する工程と、
前記電圧測定サブシステムに通信可能に接続された少なくとも1つのプロセッサによって、前記電圧測定サブシステムから前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を受信する工程と、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号の各々に基づいて前記絶縁導体の前記AC電圧を決定する工程と、を含む方法。
【請求項14】
前記第3の導電センサは、平面矩形状を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1及び第2の導電センサは、第1の平面に位置付けられ、前記第3の導電センサ は、第2の平面に位置付けられ、前記第1の平面は、前記第2の平面に対して鋭角に配置されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
導体と該導体を囲繞する絶縁体とからなる絶縁導体の交流(AC)電圧を測定する方法であって、
前記絶縁導体の導体と接触せずに、第1の導電センサと、第2の導電センサと、第3の導電センサとを備えるセンサアセンブリを前記絶縁体に近接して位置決めする工程であって、前記第1、第2、及び第3の導電センサが、前記センサアセンブリが前記導体に近接して位置付けられるとき、それぞれ前記導体に容量的に結合し、前記第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれは、容量結合に影響を及ぼす少なくとも1つの特性に関して前記第1、第2及び第3の導電センサのうちの他の2つの導電センサと異なる工程と、
前記第1、第2、及び第3の導電センサと電気的に結合された電圧測定サブシステムを介して、それぞれ前記第1、第2、及び第3の導電センサでの電圧を示す第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を生成する工程と、
前記電圧測定サブシステムに通信可能に接続された少なくとも1つのプロセッサによって、前記電圧測定サブシステムから前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を受信する工程と、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号の各々に基づいて前記絶縁導体の前記AC電圧を決定する工程と、を含む方法において、
前記センサアセンブリが、前記第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれを少なくとも部分的に囲む少なくとも1つの内部接地ガードを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、電気特性の測定に関し、より具体的には、交流(AC)電圧の非接触測定に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧計は、電気回路内の電圧を測定するために使用される計器である。2つ以上の電気特性を測定する計器は、マルチメータ又はデジタルマルチメータ(DMM)と呼ばれ、一般にサービス、トラブルシューティング、及び保守の用途に必要とされる多くのパラメータを測定するように動作する。そのようなパラメータには、一般に交流(AC)電圧及び電流、直流(DC)電圧及び電流、並びに抵抗又は導通が挙げられる。電力特性、周波数、静電容量、及び温度などのその他のパラメータはまた、特定用途の必要条件を満たすように測定されてもよい。
【0003】
AC電圧を測定する従来の電圧計又はマルチメータを使用するときは、少なくとも1つの測定電極又はプローブを導体とガルバニック接触させることが必要であり、多くの場合、絶縁電線の絶縁部分を切り離すこと、又はあらかじめ測定用端子を提供することが必要である。ガルバニック接触のために露出させた導線又は端子を必要とする他に、剥離した導線又は端子に電圧計プローブを当てる工程は、ショック又は感電死のリスクにより比較的危険である場合がある。
【0004】
非接触電圧検出器は、一般的に回路とガルバニック接触する必要なしに、交流(AC)電圧、典型的には高電圧の存在を検出するために使用される。電圧が検出されると、ユーザーは、光、ブザー、又は振動モーターなどの提示によって警告される。しかしながら、そのような非接触電圧検出器は、AC電圧の有無だけを提示し、AC電圧の実際の大きさ(例えば、RMS値)を提示しない。
【0005】
このため、試験されている回路とガルバニック接触する必要なしに便利かつ正確な電圧測定を提供するAC電圧測定システムの必要が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-177571
【文献】特開2012-137496
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
導体と該導体を囲繞する絶縁体とからなる絶縁導体の交流(AC)電圧を測定するためのシステムは、ハウジングと、ハウジングに物理的に結合されるセンサアセンブリであって、そのセンサアセンブリは絶縁導体の導体と接触せずに、前記絶縁導体に近接して位置決め可能であり、前記センサアセンブリは、第1の導電センサと、第2の導電センサと、第3の導電センサとを備え、前記第1、第2、及び第3の導電センサは、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、それぞれ動作時に前記導体に容量的に結合し、前記第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれは、容量結合に影響を及ぼす少なくとも1つの特性に関して前記第1、第2及び第3の導電センサのうちの他の2つの導電センサと異なっており、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、前記第1及び第2の導電センサを前記絶縁導体から絶縁する第1の絶縁材層であって、第1の厚さを有する第1の絶縁材層と、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、前記第3の導電センサを前記絶縁導体から絶縁する第2の絶縁材層であって、前記第1の厚さと異なる第2の厚さを有する第2の絶縁材層と、を備える、センサアセンブリと、前記第1、第2、及び第3の導電センサと電気的に結合された電圧測定サブシステムであって、動作中、それぞれ前記第1、第2、及び第3の導電センサでの電圧を示す第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を生成する電圧測定サブシステムと、前記電圧測定サブシステムに通信可能に接続された少なくとも1つのプロセッサであって、動作中、前記電圧測定サブシステムから前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を受信し、前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号の各々に基づいて前記絶縁導体の前記AC電圧を決定する、少なくとも1つのプロセッサと、を含むと要約され得る。
【0008】
容量結合に影響を及ぼす少なくとも1つの特性には、少なくとも1つの物理的寸法が挙げられ得る。容量結合に影響を及ぼす少なくとも1つの特性には、センサアセンブリが絶縁導体に近接して位置付けられるときの物理的な面積、物理的な向き、又は前記絶縁導体からの物理的な間隔のうちの少なくとも1つが挙げられ得る。第1及び第2の導電センサのそれぞれは、直角を形成する第1の縁部及び第2の縁部、並びに直角と反対側の斜辺縁部を画定する平面直角三角形状を有してもよく、第1の導電センサ及び第2の導電センサの斜辺縁部は、互いに近接して位置付けられてもよい。第3の導電センサは、平面矩形状を有してもよい。第1及び第2の導電センサは、第1の平面に位置付けられてもよく、第3の導電センサは、第2の平面に位置付けられてもよく、第1の平面は、第2の平面に対して鋭角で配置されてもよい。第1の平面は、第2の平面に対し、20度~50度であり得る所定の角度で配置されてもよい。第1の絶縁材層の第1の厚さは、第2の絶縁材層の第2の厚さより小さくてもよい。
【0009】
絶縁導体の交流(AC)電圧を測定するためのシステムは、第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれを少なくとも部分的に囲む少なくとも1つの内部接地ガードを更に含んでもよい。
【0010】
少なくとも1つのプロセッサは、動作中、第2のセンサ電圧信号で割られた第1のセンサ電圧信号か、第1のセンサ電圧信号及び第2のセンサ電圧信号の合計か、若しくは第1のセンサ電圧信号、第2のセンサ電圧信号、及び第3のセンサ電圧信号の合計のうちの少なくとも1つを決定し得る。少なくとも1つのプロセッサは、動作中、前記第1のセンサ電圧信号及び第2のセンサ電圧信号の合計を第3のセンサ電圧信号で割ったものを決定し得る。少なくとも1つのプロセッサは、動作中、第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号から導出された少なくとも1つの値をルックアップ表と比較して、受信した第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号の少なくとも一部に基づいて絶縁導体のAC電圧を決定してもよい。少なくとも1つのプロセッサは、動作中、第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号から導出された少なくとも1つの値を使用して、第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号の各々に基づいて絶縁導体のAC電圧を決定してもよい。
【0011】
導体と該導体を囲繞する絶縁体とからなる絶縁導体の交流(AC)電圧を測定するため のシステムを操作する方法は、ハウジングと、ハウジングに物理的に結合されるセンサアセンブリであって、そのセンサアセンブリは絶縁導体の導体と接触せずに、絶縁導体に近接して位置決め可能であり、そのセンサアセンブリは、第1の導電センサ、第2の導電センサ、及び第3の導電センサを備え、第1、第2、及び第3の導電センサは、センサアセンブリが絶縁導体に近接して位置付けられるとき、それぞれ動作中導体に容量的に結合し、第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれは、容量結合に影響を及ぼす少なくとも1つの特性に関して第1、第2、及び第3の導電センサのうちの他の2つの導電センサと異なり、更に、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、前記第1及び第2の導電センサを前記絶縁導体から絶縁する第1の絶縁材層であって、第1の厚さを有する第1の絶縁材層と、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、前記第3の導電センサを前記絶縁導体から絶縁する第2の絶縁材層であって、前記第1の厚さと異なる第2の厚さを有する第2の絶縁材層と、を前記センサアセンブリが備えると要約されてもよく、その方法は、第1、第2、及び第3の導電センサと電気的に結合された電圧測定サブシステムを介して、それぞれ第1、第2、及び第3の導電センサでの電圧を示す第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を生成する工程と、電圧測定サブシステムに通信可能に接続された少なくとも1つのプロセッサによって、電圧測定サブシステムから第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を受信する工程と、少なくとも1つのプロセッサによって、第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号の各々に基づいて絶縁導体のAC電圧を決定する工程と、を含む。
【0012】
絶縁導体のAC電圧を決定する工程は、第2のセンサ電圧信号で割られた第1のセンサ電圧信号か、第1のセンサ電圧信号及び第2のセンサ電圧信号の合計か、若しくは第1のセンサ電圧信号、第2のセンサ電圧信号、及び第3のセンサ電圧信号の合計のうちの少なくとも1つを決定する工程を含んでもよい。絶縁導体のAC電圧を決定する工程は、第1のセンサ電圧信号及び第2のセンサ電圧信号の合計を第3のセンサ電圧信号で割ったものを決定する工程を含んでもよい。絶縁導体のAC電圧を決定する工程は、第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号から導出された少なくとも1つの値をルックアップ表と比較して、第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号の各々に基づいて絶縁導体のAC電圧を決定する工程を含んでもよい。絶縁導体のAC電圧を決定する工程は、第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号から導出された少なくとも1つの値を使用して、第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号の各々に基づいて絶縁導体のAC電圧を決定する工程を含んでもよい。
【0013】
導体と該導体を囲繞する絶縁体とからなる絶縁導体の交流(AC)電圧を測定する方法 は、絶縁導体の導体と接触せずに、第1の導電センサと、第2の導電センサと、第3の導電センサとを備えるセンサアセンブリを前記絶縁体に近接して位置決めする工程であって、その第1、第2、及び第3の導電センサが、前記センサアセンブリが前記導体に近接して位置付けられるとき、それぞれ前記導体に容量的に結合し、前記第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれは、容量結合に影響を及ぼす少なくとも1つの特性に関して前記第1、第2及び第3の導電センサのうちの他の2つの導電センサと異なり、更に、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、前記第1及び第2の導電センサを前記絶縁導体から絶縁する第1の絶縁材層であって、第1の厚さを有する第1の絶縁材層と、前記センサアセンブリが前記絶縁導体に近接して位置付けられるとき、前記第3の導電センサを前記絶縁導体から絶縁する第2の絶縁材層であって、前記第1の厚さと異なる第2の厚さを有する第2の絶縁材層と、前記センサアセンブリが備えている、工程と、前記第1、第2、及び第3の導電センサと電気的に結合された電圧測定サブシステムを介して、それぞれ前記第1、第2、及び第3の導電センサでの電圧を示す第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を生成する工程と、前記電圧測定サブシステムに通信可能に接続された少なくとも1つのプロセッサによって、前記電圧測定サブシステムから前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号を受信する工程と、前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記第1、第2、及び第3のセンサ電圧信号の各々に基づいて前記絶縁導体の前記AC電圧を決定する工程と、を含むと要約され得る。
【0014】
第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれの導電センサは、少なくとも1つの物理的寸法に関して前記第1、第2、及び第3の導電センサのうちの他の2つの導電センサと異なってもよい。第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれの導電センサは、センサアセンブリが絶縁導体に近接して位置付けられるとき、物理的な面積、物理的な向き、又は前記絶縁導体からの物理的な間隔の少なくとも1つに関して前記第1、第2、及び第3の導電センサのうちの他の2つの導電センサと異なってもよい。第1及び第2の導電センサのそれぞれは、直角を形成する第1の縁部及び第2の縁部、並びに直角と反対側の斜辺縁部を画定する平面直角三角形状を有してもよく、第1の導電センサ及び第2の導電センサの斜辺縁部は、互いに近接して位置付けられてもよい。第3の導電センサは、平面矩形状を有してもよい。第1及び第2の導電センサは、第1の平面に位置付けられてもよく、第3の導電センサは、第2の平面に位置付けられてもよく、第1の平面は、第2の平面に対して鋭角に配置されてもよい。
【0016】
センサアセンブリが、第1、第2、及び第3の導電センサのそれぞれを少なくとも部分的に囲む少なくとも1つの内部接地ガードを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面では、同一の参照番号は、類似の構成要素又は動作を示す。図面における構成要素のサイズ及び相対位置は、必ずしも尺度どおりに描かれていない。例えば、様々な構成要素の形状及び角度は、必ずしも尺度どおりに描かれておらず、これらの構成要素のいくつかは、図面の読みやすさを向上させるために適宜拡大して位置付けてもよい。更に、描かれた構成要素の特定の形状は、必ずしも特定の構成要素の実際の形状に関して何らかの情報を伝えることを目的としておらず、図面中の認識のしやすさのために単に選択された場合がある。
【
図1A】
図1Aは、1つの例示した実装による、導線とガルバニック接触する必要なしに絶縁導線内に存在するAC電圧を測定するために、非接触電圧測定システムがオペレータによって使用され得る環境の絵図である。
【
図1B】
図1Bは、1つの例示した実装による、絶縁導線と、非接触電圧測定システムの導電センサとの間に形成される結合容量を示す
図1Aの非接触電圧測定システムの平面図である。
【
図2】
図2は、1つの例示した実装による、非接触電圧測定システムの様々な内部コンポーネントの概略図である。
【
図3】
図3は、1つの例示した実装による、被試験絶縁導線に近接して位置付けられた非接触電圧測定システムの導電センサを示す概略図である。
【
図4A】
図4Aは、1つの例示した実装による、非接触電圧測定システムの第1及び第2の導電センサ並びに内部接地ガードの平面図であり、第1及び第2の導電センサの例示の形状を示している。
【
図4B】
図4Bは、1つの例示した実装による、非接触電圧測定システムの第3の導電センサ及び内部接地ガードの平面図であり、第3の導電センサの例示の形状を示している。
【
図5】
図5は、1つの例示した実装による、非接触電圧測定システムの前側端部(frond end)又はプローブ端部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明では、様々な開示された実装を完全に理解するために、特定の詳細を明らかにする。しかしながら、当業者は、実装がこれらの具体的な詳細の1つ若しくは2つ以上を使用せずに、又は他の方法、コンポーネント、材料などを使用して実施され得ることを認識するだろう。その他の場合では、コンピュータシステム、サーバーコンピュータ、及び/又は通信ネットワークに関連した周知の構造は、実装の説明を不要にわかりにくくするのを避けるため詳細に示されていない又は説明されていない。
【0019】
文脈上他の意味に解すべき場合を除いて、明細書及び続く特許請求の範囲を通して、単語「含むこと(comprising)」は、「含むこと(including)」と同義であり、包括的又は無制限である(即ち、追加の、列挙されていない要素又は方法行為を除外しない)。
【0020】
本明細書全体を通じて、「一実装」又は「実装」を参照することは、実装に関して記述された特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実装に含まれることを意味する。このため、本明細書全体の様々な位置での語句「一実装では」又は「実装では」は、必ずしも同じ実装に全てを援用するものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の実装において任意の好適な方法で組み合わせてもよい。
【0021】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別途明らかに示されない限り、複数の指示対象を含む。用語「又は」は、文脈上別途明らかに示されない限り、「及び/又は」を含む意味で一般に利用されることも留意するべきである。
【0022】
本明細書で提供される見出し及び要約書は、便宜のためだけであり、実装の範囲又は意味を解釈しない。
【0023】
本開示の1つ又は2つ以上の実装は、導体と試験電極又はプローブとの間でガルバニック接続する必要なしに、絶縁又は未加工の非絶縁導体(例えば、絶縁導線)の交流(AC)電圧を測定するためのシステム及び方法を目的としている。一般に、複数の容量センサを使用して接地に対する絶縁導体中のAC電圧信号を測定する非ガルバニック接触(又は「非接触」)電圧測定システムが提供される。ガルバニック接続を必要としないそのようなシステムは、本明細書において「非接触」と呼ばれる。本明細書で使用するとき、「電気的に結合された」は、特に明記しない限り、直接的な電気的結合及び間接的な電気的結合の両方を含む。
【0024】
図1Aは、非接触電圧測定システムと導線106との間でガルバニック接触する必要なしに絶縁導線106内に存在するAC電圧を測定するために、本開示の非接触電圧測定システム102が、オペレータ104によって使用され得る環境100の絵図である。
図1Bは、操作中の非接触電圧測定システムの様々な電気特性を示す、
図1Aの非接触電圧測定システム102の平面図である。非接触電圧測定システム102は、把持部又は端部110、及び把持部と反対側の、本明細書において前端とも呼ばれるプローブ部又は端部112を含むハウジング又は本体108を含む。ハウジング108はまた、非接触電圧測定システム102とのユーザー相互作用を容易にするユーザーインタフェース114も含んでもよい。ユーザーインタフェース114は、任意の数の入力(例えば、ボタン、ダイアル、スイッチ、タッチセンサ)及び任意の数の出力(例えば、ディスプレイ、LED、スピーカー、ブザー)を含んでもよい。非接触電圧測定システム102はまた、他の構内又は遠隔地に設置されたデバイスとの通信を促進するために、1つ又は2つ以上の有線及び/又は無線の通信インタフェース(例えば、USB、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標))も含んでもよい。
【0025】
少なくともいくつかの実装において、
図1Bに最も良く示されるように、プローブ部112は、第1及び第2の延出部118及び120によって画定された凹部116を含んでもよい。凹部116は、測定を実行するとき、絶縁導線106(
図1Aを参照)を受容する。絶縁導線106は、導体122及び導体122を囲む絶縁体124を含む。凹部116は、非接触電圧測定システム102の凹部116内に絶縁導線が位置付けられるとき、絶縁導線106の絶縁体124に近接して位置付けられるセンサ又は電極S
1、S
2、及びS
3を含んでもよい。図示された例では、センサS
1及びS
2は、ハウジング108の延出部118の内部に配置されており、センサS
3は、延出部120の内部に配置されている。延出部119の表面119は、センサS
1及びS
2を凹部116から分離して、センサと他の物体(例えば、絶縁導線106、金属物体)との間の物理的及び電気的接触を妨げるために提供され得る。同様に、延出部120の表面121は、センサS
3を凹部116から分離し得る。
図5を参照して更に後述されるように、少なくともいくつかの実装では、表面119は、センサS
1及びS
2を距離(例えば、
図5の厚さT
1)によって凹部116から分離してもよく、この距離は、表面121がセンサS
3を凹部から分離する距離(例えば、
図5の厚さT
2)とは異なる。
【0026】
図1Aに示されるように、使用時にオペレータ104は、非接触電圧測定システム102が接地に対して導線内に存在する(又は別の参照ノード)AC電圧を正確に測定することができるように、ハウジング108の把持部110を把持し、絶縁導線106に近接してプローブ部112を配置してもよい。プローブ端部112は、凹部116を有するように示されているが、他の実装においてプローブ部112は、異なるように構成されてもよい。例えば、少なくともいくつかの実装において、プローブ部112は、選択的に移動可能なクランプ、鉤、センサを含む平坦若しくは弧状面、又は非接触電圧測定システム102のセンサアセンブリを絶縁導線106に近接して位置付けられるようにする他のタイプのインタフェースを含んでもよい。
【0027】
プローブ部112が、絶縁導線106に近接して位置付けられるとき、センサS1、S2、及びS3はそれぞれ容量的に導線の導体122に結合し、容量C1、C2、及びC3をそれぞれ生成する。更に後述されるように、センサS1、S2、及びS3のそれぞれは、絶縁導線106との容量結合に影響を及ぼす少なくとも1つの特性に関して互いに異なり、その結果センサS1、S2、及びS3において異なる電圧V1、V2、及びV3を検出し、これらを使用して、絶縁導線106のAC電圧(VO)を正確に決定することができる。
【0028】
少なくともいくつかの実装では、出力電圧V1、V2、及びV3間の様々な割合を使用して、絶縁導体106の特性を決定する。決定された特性を使用して、校正されたルックアップ表及び/又は1つ若しくは2つ以上の決定された等式を介して絶縁導体106のAC電圧を決定してもよい。
【0029】
AC電圧を測定するために非接触電圧測定システム102によって使用される特定のシステム及び方法は、
図2~5を参照して後述される。
【0030】
図2は、
図1A及び1Bにも示される非接触電圧測定システム102の様々な内部コンポーネントの概略図を示す。この例では、非接触電圧測定システム102の導電センサS
1、S
2、及びS
3は、被試験絶縁導線106に近接して位置付けられている。センサS
1、S
2、及びS
3のそれぞれは、絶縁導線106の導体122に容量的に結合し、センサ結合コンデンサC
1、C
2、及びC
3(
図1B)をそれぞれ形成する。導線122のAC電圧信号(V
O)は、センサS
1、S
2、及びS
3で、センサ電圧信号V
1、V
2、及びV
3をそれぞれ生成し、この電圧信号は、対応のセンサS
1、S
2、及びS
3の結合容量C
1、C
2、及びC
3に依存する。
【0031】
測定する導線122のAC電圧(V
O)は、外部接地128(例えば、ニュートラル)への接続を有する。非接触電圧測定システム102自体はまた、接地128に対する静電容量も有し、これはオペレータ104(
図1)が非接触電圧測定システムを手に保持するとき、主に人体静電容量(C
B)からなる。静電容量C
1、C
2、及びC
3のそれぞれは、C
Bを介して導電ループを形成し、ループ内部の電圧は、それぞれ信号電流(I
1、I
2、及びI
3)を生成する。電流信号(I
1、I
2、及びI
3)は、導電センサS
1、S
2、及びS
3に容量的にそれぞれ結合される絶縁導線106の導体122のAC電圧信号(V
O)によって生成され、非接触電圧測定システム102のハウジング108及び接地128に対する人体コンデンサ(C
B)を経由して外部接地128に対してループバックする。電流信号(I
1、I
2、及びI
3)は、導電センサS
1、S
2、及びS
3それぞれと、被試験絶縁導線106との間の距離、導電センサS
1、S
2、及びS
3の特定の形状及び寸法、並びに導体122の寸法、電圧レベル(V
O)及び相対位置にそれぞれ依存する。電圧V
1、V
2、及びV
3は、電流信号I
1、I
2、及びI
3にそれぞれ比例する。内部接地ガード154(
図3、4A、4B、及び5を参照)から試験導線などの測定された基準電位までの接続が存在する場合、接地(人体静電容量C
B)に対する任意の他の基準電位もまた、使用することができる。使用される場合、この接続は、接地/アースに接続された場合の低い人体静電容量C
Bの影響を打ち消すこともできる。例は、内部接地ガード154を1つの相に接続し、別の相には非接触センサ112を使用する多相環境における相間測定となる。
【0032】
迷走電流を低減する又は回避するために、非接触電圧測定システム102の少なくとも一部(例えば、センサS
1、S
2、及びS
3)は、電流の大部分が、絶縁導線106の導体122との結合コンデンサC
1、C
2、及びC
3をそれぞれ形成する導電センサS
1、S
2、及びS
3を通って流れるようにする導電内部接地ガード又はスクリーン132A~Bによって少なくとも部分的に囲まれ得る(
図4A~Bにも示される)。内部接地ガード132A~Bは、任意の好適な導電材料(例えば、銅)から形成されてもよく、また中実(例えば、箔)であってもよく、又は1つ若しくは2つ以上の開口部(例えば、メッシュ)を有してもよい。センサS
1、S
2、及びS
3の周囲のガード132A~Bはまた、センサに近い近接導線の漂遊の影響を低減し得る。
図3、4A、4B、及び5で参照番号154によっても参照されるガード132A~Bは、非接触電圧測定システム102の内部接地接続を提供する。
【0033】
図2に示されるように、非接触電圧測定システム102は、電圧信号V
1、V
2、及びV
3をそれぞれ検出する、並びに/又は電圧信号に比例する対応の電流信号I
1、I
2、及びI
3を検出するよう機能する電圧測定コンポーネント136A、136B、及び136Cを含む電圧測定サブシステム136を含んでもよい。非限定的な例として、電圧測定コンポーネント136のそれぞれは、電圧信号V
1、V
2、及びV
3を検出するアナログデジタル変換器(ADC)及び関連回路を備えてもよい。別の非限定的な例として、電圧測定コンポーネント136A、136B、及び136Cのそれぞれは、入力電流I
1、I
2、及びI
3(これらは電圧信号V
1、V
2、及びV
3に比例する)を電圧レベルに変換するための電流-電圧反転変換器として動作する入力増幅器及びフィードバック回路を含んでもよい。
【0034】
電圧信号V1、V2、及びV3(又はそれを表す信号)は、更に後述されるように電圧信号V1、V2、及びV3を処理して絶縁導線106の導体122のAC電圧(VO)を決定する信号処理モジュール140に供給され得る。信号処理モジュール140は、デジタル及び/又はアナログ回路の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0035】
非接触電圧測定システム102はまた、信号処理モジュール140に通信可能に接続されたユーザーインタフェース142(例えば、ディスプレイ)も含んで、決定されたAC電圧(VO)を提示する、又は非接触電圧測定システムのオペレータ104にインタフェースによって通信することができる。
【0036】
図3は、1つの例示した実装による、絶縁導線の測定中に絶縁導線106に近接して位置付けられた非接触電圧測定システム102の導電センサS
1、S
2、及びS
3を示す概略図である。この例では、導電センサS
1は、第1の距離D
1によって絶縁導線106から分離され、導電センサS
2は、第2の距離D
2によって絶縁導線106から分離され、導電センサS
3は、第3の距離D
3によって絶縁導線106から分離される。少なくともいくつかの実装では、距離D
1、D
2、及びD
3の少なくとも1つは、少なくとも1つの他の距離D
1、D
2、及びD
3と異なってもよい。例えば、少なくともいくつかの実装では、距離D
1及びD
2は、互いに等しくてもよく、また距離D
3は、距離D
1及びD
2と異なってもよい。
図5に示されるように、距離D
1、D
2、及びD
3は、1つ又は2つ以上の絶縁材層の物理特性(例えば、厚さ)によって少なくとも部分的に制御され得る。
【0037】
図3にも示されるように、導電センサS
1、S
2、及びS
3は、異なる物理的寸法(例えば、高さ、幅、形状、面積)を有してもよい。図示された例では、導電センサS
1は、導電センサS
2の幅(W
2)を下回る幅(W
1)を有し、導電センサS
2は、導電センサS
3の幅(W
3)を下回る幅(W
2)を有する。センサS
1、S
2、及びS
3間のそのような差は、電圧V
1、V
2、及びV
3の測定を可能にして絶縁導線のAC電圧を一意に決定する。
【0038】
図4Aは、内部接地ガード132Aによって少なくとも部分的に囲まれている第1及び第2の導電センサS
1及びS
2の平面図である。この例では、センサS
1は、角部151で直角を形成する第1の縁部150A及び第2の縁部150B、並びに直角と反対側の斜辺縁部150Cを画定する平面直角三角形状を有する。同様に、センサS
2は、角部153で直角を形成する第1の縁部152A及び第2の縁部152B、並びに直角と反対側の斜辺縁部152Cを画定する平面直角三角形状を有する。この例では、センサS
1及びS
2は、第1及び第2の導電センサS
1及びS
2の斜辺縁部150C及び152Cが、それぞれ、間に小さな間隙を有して隣同士に位置付けられる(例えば、実質的に隣接する)ように互いに対して反転している。
【0039】
図4Bは、内部接地ガード132Bによって少なくとも部分的に囲まれている第3の導電センサS
3の平面図である。この例では、第3の導電センサS
3は、方形の形をしている。少なくともいくつかの実装では、第3のセンサS
3の面積は、そのような特徴は必要とされないものの第1及び第2の導電センサS
1及びS
2を合わせた面積と同じ(又は実質的に同じ)である。第3のセンサS
3が、第1及び第2の導電センサS
1及びS
2を合わせた面積と同じであり、かつセンサS
1及びS
2が、センサS
3の絶縁導線から離間している距離と異なる距離によって絶縁導線から離間している場合では、組み合わせたセンサS
1及びS
2を、単一の静電容量(C
1+C
2)と見なすことができ、これを静電容量C
3と比較して、同様の形状のコンデンサで距離の差を説明することができる。
【0040】
センサS1、S2、及びS3の特定の形状、寸法、相対位置、及び配向は、実例であり、限定していないことを理解されたい。実際には、センサS1、S2、及びS3のそれぞれの形状、寸法、相対位置、及び配向は、多数の組み合わせで変更することができる。
【0041】
図5は、センサS
1、S
2、及びS
3を含む非接触電圧測定システム102の前端112の断面図である。センサS
1及びS
2は、回路基板156Aによって支持されてもよく、これは内部接地ガード132Aによって少なくとも部分的に囲まれている。同様に、センサS
3は、回路基板156Bによって支持されてもよく、これは内部接地ガード132Bによって少なくとも部分的に囲まれている。
【0042】
第1の絶縁材層158Aは、センサS1及びS2を前端112の凹部118から分離する。第2の絶縁材層158Bは、センサS3を前端の凹部118から分離する。第1及び第2の絶縁材層158A及び158Bは、平面119及び121をそれぞれ有してもよく、これらは、互いに対して鋭角(α)で配置されて、絶縁導体を中に受容する「V」型凹部116を画定する。非限定的な例として、角度(α)は、少なくともいくつかの実装において20度~50度(例えば、39度、42度)であってもよい。例示の絶縁導体162、164、及び166は、平面119及び121に近接して凹部116内部に配置されて示される。絶縁導体162は、絶縁材162Aによって囲まれた導電導線162Bを含み、絶縁導体164は、絶縁材164Aによって囲まれた導電導線164Bを含み、また絶縁導体166は、絶縁材166Aによって囲まれた導電導線166Bを含む。
【0043】
図5に示される例では、前端又はプローブ端部112は、比較的大きな直径を有する絶縁導線162、又は比較的小さな直径を有する絶縁導線166などの様々な直径の絶縁導線を収容する形状にされている。絶縁導線162、164、及び166は
、また、それぞれ、異なる直径を有する導体162
B、164B、及び166
B、並びに/又は異なる厚さを有するそれぞれの絶縁材層162
A、164
A、及び166
Aを有してもよい。
【0044】
第1の絶縁材層158Aは、第1の厚さT1を有してもよく、第2の絶縁材層158Bは、第2の厚さT2を有してもよい。少なくともいくつかの実装において、第1の厚さT1は、第2の厚さT2と異なってもよい。例えば、少なくともいくつかの実装において第1の厚さは、約0.5ミリメートル(mm)であってもよく、第2の厚さT2は、約2.5mmであってもよい。
【0045】
被試験絶縁導線との容量結合に影響を及ぼす少なくとも1つの特性(例えば、寸法、形状、絶縁導体106からの距離)に関して互いに異なる3つのセンサS1、S2、及びS3を提供することによって、非接触電圧測定システム102が、センサと絶縁導体102との間の容量結合に影響を及ぼす異なる変数を補うことが可能になる。そのような変数は、絶縁導体106の直径、絶縁導体106の絶縁材の厚さ、前端112の凹部116内部の絶縁導体106の位置などを含んでもよい。
【0046】
有利なことに、センサS1、S2、及びS3における電圧V1、V2、及びV3の電圧測定値をそれぞれ得ることによって、非接触電圧測定システム102の少なくとも1つのプロセッサは、絶縁導体106上のAC電圧を正確に決定することができる。そのような決定を行なうために、周知のAC電圧で周知の絶縁導体106を使用して非接触電圧測定システム102を(例えば、製造又は設計中に)校正してもよい。追加的又は代替的に、非接触電圧測定システム102の少なくとも1つのプロセッサは、電圧V1、V2、及びV3を入力として利用して、1つ又は2つ以上の決定された等式を利用し、絶縁導体106のAC電圧を出力として提供することができる。動作中、非接触電圧測定システム102の少なくとも1つのプロセッサは、電圧V1、V2、及びV3を得て、次にルックアップ表を用いて、又は電圧を入力として受け取り、絶縁導線のAC電圧を出力する1つ若しくは2つ以上の等式を用いて絶縁導線のAC電圧を決定することができる。
【0047】
図4A、4B、及び5に示される例示のセンサ構成に関して、センサS
1、S
2、及びS
3においてそれぞれ測定された電圧V
1、V
2、及びV
3の間の様々な関係を使用して被試験絶縁導体のAC電圧を決定することができる。少なくともいくつかの実装において、非接触電圧測定システム102は、次の関係のうち1つ又は2つ以上を利用し得る:
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
上記の関係(1)~(4)を使用して、絶縁導体(例えば、絶縁導体106)の未知のAC電圧に対する関数を提供することができ、これは様々な寸法の絶縁導体のAC電圧を測定することができるように絶縁導体とセンサS1、S2、及びS3との間の距離から独立している。
【0053】
センサS1及びS2に関して、次の等式:
【0054】
【数5】
を使用してもよく、式中、V
Oは、絶縁導体のAC電圧であり、kは、上記関係(1)の関数である(即ち、k=f(V
1/V
2))。
【0055】
測定された電圧V1、V2、及びV3は、センサS1、S2、及びS3のそれぞれと絶縁導体との間の静電容量C1、C2、及びC3に依存している。このため、静電容量C1、C2、及びC3は、平面又は壁部(例えば、センサS1、S2、及びS3のそれぞれ)に平行である導線(例えば、絶縁導体)の間の静電容量用の周知の等式に従って計算されてもよい。センサのそれぞれの静電容量C用の等式は次のとおりである:
【0056】
【数6】
式中「a」は、導電導線の半径であり、「d」は、導線とセンサとの間の距離であり(ここで「d」>「a」)、「l」は、センサに近接している導線の長さであり、即ち等価的にセンサの幅である。
【0057】
上述のように、電圧V1、V2、及びV3は、1つ若しくは2つ以上のADC、又はセンサS1、S2、及びS3のそれぞれを通る電流を対応の電圧に変換する1つ若しくは2つ以上の反転演算増幅器などの好適な電圧測定コンポーネント136A、136B、及び136Cでそれぞれ測定され得る。
【0058】
上記の関係(1)、(2)、及び(3)は、電圧V1、V2、及びV3の所与の測定に固有値を与える3つの等式を特定する。所与の測定は、被試験導電導線の直径並びに導電導線の絶縁材の厚さを特定し、上記等式(6)を用いて静電容量C1、C2、及びC3を計算するために使用され得る。次に、絶縁導線のAC電圧は、次の等式に従って計算され得る:
【0059】
【数7】
式中「x」は、センサS
1、S
2、及びS
3に対してそれぞれ1、2、及び3に等しい。
【0060】
3つのセンサS1、S2、及びS3の3つの出力電圧V1、V2、及びV3は、導体の直径及び絶縁材の厚さによる被試験絶縁導線の特性化を可能にする。上記の関係(1)は、絶縁導線の外径を主に定義し、関係(4)は、絶縁導線の導体の直径を主に定義する。上述のように、電圧V1、V2、及びV3は、ルックアップ表から校正係数を得るための入力として、又はそのような1つ又は2つ以上の等式を利用して計算するために使用される。
【0061】
例として、電圧V1、V2、及びV3の所与の測定に関して、上記等式(6)を使用して、関係(1)は、被試験絶縁導線の導線直径及び絶縁材の厚さの可能な組み合わせを限定する。同様に、関係(2)は、被試験絶縁導線の導線直径及び絶縁材の厚さの可能な組み合わせを限定する。このため、関係(1)及び(2)を使用すると特定の導線直径及び特定の絶縁材の厚さを有する仮想導線を決定することができる。決定された仮想導線の物理特性を使用して、上記の関係(1)及び(2)の両方に依存している係数「k」を特定してもよい。決定された仮想導線並びに測定された電圧V1及びV2を使用すると、被試験絶縁導線の異なる位置によって生成される校正表は、位置とは無関係に最終の電圧結果を提供する。
【0062】
電圧V1及びV2だけを使用すると、結果は不正確な値を提供し得る。このため、センサS3からの電圧V3を上述のものと同様の方法で使用して、より良好な位置定義を提供することができる。とりわけ、関係(4)は、電圧V1、及びV2の合計を利用する。センサS1及びS2の形状は、組み合わせると、センサS3の形状と類似しているので、関係(4)は、類似のコンデンサの割合(即ち、C1+C2及びC3)を2つの異なる距離(即ち、T1及びT2)で提供する。
【0063】
センサS1、S2、及びS3の実際の寸法及び形状は、センサと被試験絶縁導体との間で適切な静電容量(例えば、数ピコファラド)を得るように、また更に人体静電容量(CB)(例えば、30~200ピコファラド)よりはるかに低いように選択することができ、これを小型の適用例の接地に対する可能な基準として使用してもよい。
【0064】
前述の発明を実施するための形態は、ブロック図、模式図、及び例の仕様によってデバイス及び/又は工程の様々な実装を示した。そのようなブロック図、模式図、及び例が、1つ又は2つ以上の機能及び/又は動作を含む限りにおいて、そのようなブロック図、フローチャート、又は例内の各機能及び/又は動作を、幅広いハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は実質上それらの任意の組み合わせによって個々にかつ/又は集合的に実装することができることを、当業者らは理解するであろう。一実装では、本主題を、特定用途向け集積回路(ASIC)によって実装してもよい。しかしながら、当業者らは、本明細書に開示された実装が、全部又は一部において、1つ若しくは2つ以上のコンピュータ上で実行する1つ若しくは2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1つ若しくは2つ以上のコンピュータシステム上で実行する1つ若しくは2つ以上のプログラムとして)、1つ若しくは2つ以上のコントローラ上で実行する1つ若しくは2つ以上のプログラムとして(例えば、マイクロコントローラ)、1つ若しくは2つ以上のプロセッサ上で実行する1つ若しくは2つ以上のプログラムとして(例えば、マイクロプロセッサ)、ファームウェアとして、又は実質上それらの任意の組み合わせとして標準的な集積回路で等価的に実装することができること、並びに、回路の設計並びに/又はソフトウェア及び又はファームウェア用のコードの書き込みが、本開示を考慮すれば十分当業者の技能の範囲内であることを認識するだろう。
【0065】
当業者らは、本明細書で提示される方法又はアルゴリズムの多くが、追加の行為を使用してもよく、いくつかの行為を省略してもよく、及び/又は指定されたものと異なる順序で行為を実行してもよいことを認識するだろう。例として、少なくともいくつかの実装では、非接触電圧測定システムは、命令を実行するのにプロセッサを利用しない場合がある。例えば、非接触電圧測定システムは、本明細書で記述される機能性のいくつか又は全てを提供するようにハードワイヤードされていてもよい。加えて、少なくともいくつかの実装では、非接触電圧測定システムは、本明細書で記述される異なる測定をもたらす又は開始するのにプロセッサを利用しない場合がある。例えば、そのような非接触電圧測定システムは、測定を行わせるユーザーにより作動されるボタンなどの1つ又は2つ以上の別個の入力に頼ってもよい。
【0066】
更に、当業者らには、本明細書で教示される機構をプログラム製品として様々な形態で配布することができること、及び例示の実装が、配布を実際に実施するのに使用される信号保持媒体の特定のタイプに左右されず等しく適用されることが、理解されよう。信号保持媒体の例としては、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、CD-ROM、デジタルテープ、及びコンピュータメモリなどの記録可能型媒体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0067】
上述の様々な実装は、更なる実装を提供するために組み合わせてもよい。本明細書の特定の教示及び定義と矛盾しない限りにおいて、本明細書中で参照される、及び/又は出願データシートに列挙される、米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び非特許刊行物の全ては(2016年11月11日に出願された米国特許仮出願第62/421,124号が挙げられるがこれに限定されない)、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。本実装の態様は、様々な特許、特許出願、及び刊行物のシステム、回路、及び概念を用いて、尚更なる実装を提供するために、必要に応じて修正することができる。
【0068】
上記の発明を実施するための形態を考慮すれば、実装へのこれらの及び他の変更を行うことができる。概して、次の請求項では、使用する用語は、明細書及び請求項に開示された特定の実装に対する請求項を制限するものと解釈すべきではないが、こうした請求項に権利を与えた等価物の全範囲と共に全ての考えられる実装を含むものと解釈すべきである。したがって、請求項は、開示によって制限されるものではない。