(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】核酸製品及びその投与方法
(51)【国際特許分類】
A61K 48/00 20060101AFI20221226BHJP
A61K 31/7115 20060101ALI20221226BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20221226BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20221226BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20221226BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20221226BHJP
A61P 17/08 20060101ALI20221226BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20221226BHJP
A61P 17/12 20060101ALI20221226BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20221226BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20221226BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
A61K48/00
A61K31/7115
A61P17/00
A61P17/02
A61P17/04
A61P17/06
A61P17/08
A61P17/10
A61P17/12
A61P17/14
A61P17/16
A61P37/08
(21)【出願番号】P 2017542098
(86)(22)【出願日】2016-02-16
(86)【国際出願番号】 US2016018065
(87)【国際公開番号】W WO2016131052
(87)【国際公開日】2016-08-18
【審査請求日】2019-02-08
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-01
(32)【優先日】2016-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514141673
【氏名又は名称】ファクター バイオサイエンス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】エンジェル,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ローデ,クリストファー
【合議体】
【審判長】岡崎 美穂
【審判官】冨永 みどり
【審判官】齋藤 恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/078199(WO,A1)
【文献】GAY, D. et al.,Nature Medicine,2013年 7月,Vol.19, No.7,pp.916-923
【文献】KARIKO, K. et al.,Generationg the optimal mRNA for therapy: HPLC purification eliminates immune activation and improves translation of nucleoside-modified protein-encoding mRNA,Nucleic Acids Research,2011年,Vol.39, No.21, e142,pp.1-10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K38/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象において、
皮膚の疾患、障害、又は状態を治療するための組成物であって、目的タンパク質をコードするRNAを含み、前記RNAは、5-メトキシウリジン(5moU)を含有し、
前記組成物は約300n
gの単位用量で皮内投与用に製剤化される、組成物。
【請求項2】
前記目的タンパク質が、IL2、IL15、IL16、及びIL22から任意に選択されるインターロイキンであるか、LIF、FGF1、FGF9、FGF15、FGF19、FGF21、FGF23、BDNF、SERPINB1、カスパーゼ-1、BMP2、及びBMP6から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記RNAが、更に、5-ヒドロキシシチジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メトキシシチジン、プソイドウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-ホルミルウリジン、5-ヒドロキシプソイドウリジン、5-メチルプソイドウリジン、5-ヒドロキシメチルプソイドウリジン、5-カルボキシプソイドウリジン、5-ホルミルプソイドウリジン、及び5-メトキシプソイドウリジンのうちの1つ以上を、任意に、前記5moUの少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%の量で含み;
任意に、シチジン残基の少なくとも約50%、少なくとも約75%又は少なくとも約90%が、非標準ヌクレオチドであり、前記非標準ヌクレオチドが、5-ヒドロキシシチジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、及び5-メトキシシチジンから選択される;
任意に、ウリジン残基の少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、又は少なくとも約90%が、非標準ヌクレオチドであり、前記非標準ヌクレオチドが、プソイドウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-ホルミルウリジン、5-ヒドロキシプソイドウリジン、5-メチルプソイドウリジン、5-ヒドロキシメチルプソイドウリジン、5-カルボキシプソイドウリジン、5-ホルミルプソイドウリジン、及び5-メトキシプソイドウリジンから選択される;
任意に、グアニン残基の少なくとも約10%が、非標準ヌクレオチドであり、前記非標準ヌクレオチドが、7-デアザグアノシンである;
任意に、前記RNAが、グアノシン残基の代わりに、約50%以下の7-デアザグアノシンを含有する;ならびに/あるいは
任意に、前記RNAが、アデノシン残基の代わりに非標準ヌクレオチドを含有しない;
請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記RNAが、5’キャップ構造を含み;
任意に、前記RNAが、コザックコンセンサス配列を含む5’-UTR、RNA安定性をインビボで増加させる配列を含む5’-UTR、及び/又はαグロビン又はβグロビン5’-UTRを含む5’-UTRを含み;
任意に、前記RNAが、RNA安定性をインビボで増加させる配列を含む3’-UTR配列、及び/又はαグロビン又はβグロビン3’-UTRを含み;
任意に、前記RNAが、3’ポリ(A)テールを含み、任意に、前記RNA 3’ポリ(A)テールが、約20のヌクレオチド~約250のヌクレオチドの長さである;
請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記RNAが、約200のヌクレオチド~約5000のヌクレオチドの長さであり;
任意に、前記RNAが、約500~約2000のヌクレオチドの長さ、又は約500~約1500のヌクレオチドの長さ、又は約500~約1000のヌクレオチドの長さであり;
任意に、前記RNAが、インビトロ転写によって調製される;
請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、細胞によるRNAの取り込みを強化するように1つ以上の脂質をさらに含有し;
任意に、前記組成物がカチオン性リポソーム製剤であり、前記脂質が、表1から任意に選択される;
請求項1~
5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記疾患、障害、又は状態が、ざ瘡、酒さ、角化症、蕁麻疹、アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脱毛症、発毛、色素沈着障害、熱傷、創傷、うおのめ、嚢胞、乾燥肌、疱疹性皮膚炎、湿疹、外胚葉異形成症、脂性肌、毛嚢炎、掻痒、乾癬、多汗症、瘢痕、しわ、くすみ、尋常性ざ瘡、夏期ざ瘡、集簇性ざ瘡、化粧ざ瘡、電撃性ざ瘡、項部ざ瘡ケロイド、機械的ざ瘡、薬剤性ざ瘡、粟粒性壊死性ざ瘡、壊疽性ざ瘡、紅斑性ざ瘡、光線性角化症、急性蕁麻疹、アレルギー性接触皮膚炎、円形脱毛症、血管浮腫、足白癬、自家感作性皮膚炎、乳児ざ瘡、脱毛、ブラストミセス症、黒色面皰、母斑、皮膚色素沈着障害、吹出物、挫傷、虫咬傷、虫刺傷、蜂巣炎、ツツガムシ、塩素ざ瘡、コリン性蕁麻疹又はストレス蕁麻疹、慢性蕁麻疹、寒冷蕁麻疹、融合性細網状乳頭腫症、頭部粃糠疹、皮膚描記症、汗疱状湿疹、おむつかぶれ、発汗異常症、外胚葉異形成症、発汗減少性外胚葉異形成症、X連鎖発汗減少性外胚葉異形成症、湿疹、疣贅状表皮発育異常症、結節性紅斑、剥脱性ざ瘡、運動誘発性アナフィラキシー毛嚢炎、皮脂過剰、雀卵斑、凍瘡、爪白癬、毛髪密度、ハロゲンざ瘡、紅色汗疹、血腫、単純ヘルペス感染症、化膿性汗腺炎、蕁麻疹、色素沈着過度、発汗減少性外胚葉異形成症、色素脱失症、膿痂疹、内方発育毛、温熱蕁麻疹、陥入爪、小児ざ瘡又は新生児ざ瘡、刺激性接触皮膚炎、いんきんたむし、ケロイド、毛孔性角化症、扁平苔癬、硬化性苔癬、顔面播種状粟粒性狼瘡、肝斑、黒子、伝染性軟属腫、爪成長速度、爪健康状態、神経皮膚炎、貨幣状湿疹、職業性ざ瘡、油性ざ瘡、爪真菌症、物理的蕁麻疹、毛巣嚢胞、ばら色粃糠疹、癜風、ウルシかぶれ、ポマードざ瘡、須毛部仮性毛包炎又は項部ざ瘡ケロイド、乾癬性関節炎、圧蕁麻疹又は遅発性圧蕁麻疹、切傷及び擦り傷などの刺傷、発疹、希少蕁麻疹又は水蕁麻疹、鼻形成術、白癬、ロスムンド・トムソン症候群、皮膚のたるみ、疥癬、脂漏症、脂漏性皮膚炎、帯状疱疹、皮膚癌、皮膚垂、日光蕁麻疹、クモ咬症、伸展線、日焼け、タールざ瘡、熱帯ざ瘡、皮膚菲薄化、鷲口瘡、癜風、一過性棘融解性皮膚症、ざ瘡壊死汗疹、静脈瘤、静脈性湿疹、振動血管浮腫、白斑、いぼ、ウェーバー・クリスチャン病、X連鎖発汗減少性外胚葉異形成症、乾燥性湿疹、酵母感染症、老化の一般徴候、基底細胞癌、黒色腫、カポジ肉腫、及び/又は扁平上皮癌から選択される、請求項1~
6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
(a)請求項1~
7のいずれかに記載の組成物、及び
(b)表1から選択される脂質
を含む、医薬製剤。
【請求項9】
(a)請求項1~
7のいずれかに記載の組成物、及び
(b)トランスフェクション試薬、
を含み、
固体の形態で提供される、医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、全内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、2015年2月13日に出願された米国特許出願第62/116,232号、2015年7月22日に出願された同第62/195,462号、2015年10月16日に出願された同第62/242,383号、2015年10月23日に出願された同第62/245,726号、及び2016年2月1日に出願された同第62/289,617号の優先権の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は部分的に、核酸を生成及び細胞、組織、器官、及び患者に送達するための方法、組成物、及び製品と、細胞、組織、器官、及び患者においてタンパク質を発現させるための方法と、並びにこれらの方法、組成物、及び製品を用いて生成される細胞、治療薬、及び化粧品に関する。
【0003】
電子的に提出されたテキストファイルの記載
本明細書と共に電子的に提出されたテキストファイルの内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。配列表のコンピュータ可読フォーマットコピー(ファイル名:FAB-009PC_Sequence.txt、記録日:2016年2月16日、ファイルサイズ:2.3MB)。
【背景技術】
【0004】
合成RNA及び核酸治療薬
リボ核酸(RNA)は、原核細胞及び真核細胞の両方に遍在し、そこで、メッセンジャーRNAの形態で遺伝情報をコードし、トランスファーRNAの形態でアミノ酸を結合及び輸送し、リボソームRNAの形態でアミノ酸をタンパク質に組み立て、マイクロRNA及び長い非コードRNAの形態で遺伝子発現制御を含む多数の他の機能を行う。RNAは、直接的な化学合成及びインビトロ転写を含む方法により、合成的に生成することができ、治療的使用のために患者に投与することができる。しかしながら、以前に記載されている合成RNA分子は、ヒト細胞において不安定であり、強力な先天性免疫応答を誘発する。加えて、患者、器官、組織、及びインビボの細胞に、核酸を効率的に非ウイルス的送達するための方法は、以前に記載されていない。既存の合成RNA技術及び核酸の送達のための方法の多くの欠点により、それらの技術及び方法が、治療的または美容的使用にとって望ましくないものになる。
【0005】
細胞リプログラミング及び細胞ベースの治療法
細胞は、それらを、特定の細胞外キューに曝露させることにより、及び/または特定のタンパク質、マイクロRNAなどの異所性発現によりリプログラミングすることができる。いくつかのリプログラミング方法が以前に記載されているが、異所性発現に依存するほとんどのものは、変異の危険を伴う可能性がある外来DNAの導入を必要とする。リプログラミングタンパク質の直接送達に基づく、DNAフリーのリプログラミング方法が報告されている。しかしながら、これらの方法は、商業的使用には、あまりにも非効率的で信頼できない。加えて、RNAベースのリプログラミング方法が記載されている(例えば、Angel.MIT Thesis.2008.1-56、Angel et al.PLoS ONE.2010.5,107、Warren et al.Cell Stem Cell.2010.7,618-630、Angel.MIT Thesis.2011.1-89、及びLee et al.Cell.2012.151,547-558(これらの全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。しかしながら、既存のRNAベースのリプログラミング方法は、成熟細胞に実施される場合、時間がかかり、信頼できず、非効率的であり、(著しい費用及びエラーの可能性をもたらす)多くのトランスフェクションを必要とし、限られた数の細胞型のみをリプログラミングすることができ、限られた数の細胞型にしかリプログラミングすることができず、免疫抑制剤の使用を必要とし、血液由来HSA及びヒト線維芽細胞フィーダーを含む複数のヒト由来構成成分の使用を必要とする。以前に開示されたRNAベースのリプログラミング方法の多くの欠点により、それらの方法が、研究、治療的、または美容的使用にとって望ましくないものになっている。
【0006】
遺伝子編集
いくつかの自然発生タンパク質は、特定のDNA配列を認識することができるDNA結合ドメイン、例えば、ジンクフィンガー(ZF)及び転写活性化因子様エフェクター(TALE)を含有する。これらのDNA結合ドメイン及びFokIエンドヌクレアーゼの切断ドメインのうちの1つ以上を含有する融合タンパク質を、細胞内のDNAの所望の領域に、二本鎖切断を形成するために用いることができる(例えば、米国特許出願公開第US2012/0064620号、米国特許出願公開第US2011/0239315号、米国特許第8,470,973号、米国特許出願公開第US2013/0217119号、米国特許第8,420,782号、米国特許出願公開第US2011/0301073号、米国特許出願公開第US2011/0145940号、米国特許第8,450,471号、米国特許第8,440,431号、米国特許第8,440,432号、及び米国特許出願公開第2013/0122581号(これら全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。他の遺伝子編集タンパク質としては、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖回文反復(CRISPR)関連タンパク質が挙げられる。しかしながら、細胞を遺伝子編集するための現在の方法は、非効率的であり、制御されない突然変異誘発の危険を伴い、それらの方法が、研究、治療的、及び美容的使用にとって望ましくないものとなっている。体細胞のDNAフリーの遺伝子編集のための方法は、以前に検討されておらず、体細胞の同時または順次の遺伝子編集及びリプログラミングのための方法もまた、検討されていない。加えて、患者において(即ち、インビボで)、細胞を直接遺伝子編集するための方法は、以前に検討されておらず、そのような方法の開発は、DNA結合ドメインの乏しい結合にある程度起因する、許容可能な標的の欠如、非効率的な送達、遺伝子編集タンパク質/タンパク質(複数)の非効率的な発現、発現された遺伝子編集タンパク質/タンパク質(複数)による非効率的な遺伝子編集と、FokI切断ドメインの無向二量体形成及びDNA結合ドメインの乏しい特異性にある程度起因する、過剰なオフターゲット効果と、並びに他の要因により制限されている。最終的に、抗菌、抗ウイルス、及び抗癌治療における遺伝子編集の使用は、以前に検討されていない。
【0007】
したがって、核酸を生成及び細胞、組織、器官、及び患者に送達するための改善された方法及び組成物に対するニーズが依然としてある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は部分的には、細胞、組織、器官、及び患者に核酸を送達するための、組成物、方法、物品、及び器具、タンパク質を発現させるように細胞を誘導するための方法、これらの組成物、方法、物品、及び器具を作成するための、方法、物品、及び器具、並びにこれらの組成物、方法、物品、及び器具を用いて作成される細胞、生体、化粧品、及び治療薬を含む組成物及び物品を提供する。以前に報告された方法とは異なり、本発明のある特定の実施形態は、ヒトにおける著しくかつ長続きするタンパク質発現を達成するために少量の核酸を提供する。
【0009】
種々の態様では、本発明は、ヒト対象における核酸薬物の安全かつ有効な用量、及び投与パラメータの驚くべき発見に基づいている。いくつかの態様では、有効用量の核酸薬物を、それを必要とするヒト対象に投与することを含む、核酸薬物を送達するための方法を提供する。種々の実施形態では、核酸薬物は、1つ以上の非標準ヌクレオチド(別名「修飾RNA」)を含むRNAを含む。他の実施形態では、有効用量は、ヒト対象における核酸薬物によりコードされるタンパク質の量を実質的に増加させる、及び/またはヒト対象における免疫応答を実質的に回避させるのに十分な量であり、該免疫応答は、任意に、先天性免疫系によって仲介される。
【0010】
いくつかの態様では、哺乳類対象中の細胞集団において目的タンパク質を発現させるための方法であって、目的タンパク質をコードするRNAの有効用量を含む非ウイルス性トランスフェクション組成物を前記細胞に投与することを含み、トランスフェクション組成物が、実質的な細胞毒性なしで、前記細胞中で前記タンパク質を少なくとも約6時間~約5日間発現させることができる量で投与される、方法を提供する。いくつかの実施形態では、RNAは、実質的な細胞毒性を回避する1つ以上の非標準ヌクレオチドを含有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、有効用量は、約100ng~約2000ng(例えば、約100ngまたはそれ以下、または約200ngまたはそれ以下、または約300ngまたはそれ以下、または約400ngまたはそれ以下、または約500ngまたはそれ以下、または約600ngまたはそれ以下、または約700ngまたはそれ以下、または約800ngまたはそれ以下、または約900ngまたはそれ以下、または約1000ngまたはそれ以下、または約1100ngまたはそれ以下、または約1200ngまたはそれ以下、または約1300ngまたはそれ以下、または約1400ngまたはそれ以下、または約1500ngまたはそれ以下、または約1600ngまたはそれ以下、または約1700ngまたはそれ以下、または約1800ngまたはそれ以下、または約1900ngまたはそれ以下、または約2000ngまたはそれ以下)である。他の実施形態では、有効用量は、約100ng未満である。ある特定の実施形態では、有効用量は、約10ng~約100ng(例えば、約10ngまたはそれ以下、または約20ngまたはそれ以下、または約30ngまたはそれ以下、または約40ngまたはそれ以下、または約50ngまたはそれ以下、または約60ngまたはそれ以下、または約70ngまたはそれ以下、または約80ngまたはそれ以下、または約90ngまたはそれ以下、または約100ngまたはそれ以下)である。
【0012】
いくつかの実施形態では、有効用量は、約1.4ng/kg~約30ng/kg(例えば、約1.4ng/kgまたはそれ以下、または約2.5ng/kgまたはそれ以下、または約5ng/kgまたはそれ以下、または約10ng/kgまたはそれ以下、または約15ng/kgまたはそれ以下、または約20ng/kgまたはそれ以下、または約25ng/kgまたはそれ以下、または約30ng/kgまたはそれ以下である。他の実施形態では、有効用量は、約1.5ng/kg未満である。ある特定の実施形態では、有効用量は、約0.14ng/kg~約1.4ng/kg(例えば、約0.14ng/kgまたはそれ以下、または約0.25ng/kgまたはそれ以下、または約0.5ng/kgまたはそれ以下、または約0.75ng/kgまたはそれ以下、または約1ng/kgまたはそれ以下、または約1.25ng/kgまたはそれ以下、または約1.4ng/kgまたはそれ以下)である。
【0013】
いくつかの実施形態では、有効用量は、約350ng/cm2~約7000ng/cm2(例えば、約350ng/cm2またはそれ以下、または約500ng/cm2またはそれ以下、または約750ng/cm2またはそれ以下、または約1000ng/cm2またはそれ以下、または約2000ng/cm2またはそれ以下、または約3000ng/cm2またはそれ以下、または約4000ng/cm2またはそれ以下、または約5000ng/cm2またはそれ以下、または約6000ng/cm2またはそれ以下、または約7000ng/cm2またはそれ以下)である。他の実施形態では、有効用量は、約350ng/cm2未満である。ある特定の実施形態では、有効用量は、約35ng/cm2~約350ng/cm2(例えば、約35ng/cm2またはそれ以下、または約50ng/cm2またはそれ以下、または約75ng/cm2またはそれ以下、または約100ng/cm2またはそれ以下、または約150ng/cm2またはそれ以下、または約200ng/cm2またはそれ以下、または約250ng/cm2またはそれ以下、または約300ng/cm2またはそれ以下、または約350ng/cm2またはそれ以下である。
【0014】
いくつかの実施形態では、有効用量は、約0.28ピコモル~約5.7ピコモル(例えば、約0.28ピコモルまたはそれ以下、または約0.5ピコモルまたはそれ以下、または約0.75ピコモルまたはそれ以下、または約1ピコモルまたはそれ以下、または約2ピコモルまたはそれ以下、または約3ピコモルまたはそれ以下、または約4ピコモルまたはそれ以下、または約5ピコモルまたはそれ以下、または約5.7ピコモルまたはそれ以下)である。他の実施形態では、有効用量は、約0.28ピコモル未満である。ある特定の実施形態では、有効用量は、約0.028ピコモル~約0.28ピコモル(例えば、約0.028ピコモルまたはそれ以下、または約0.05ピコモルまたはそれ以下、または約0.075ピコモルまたはそれ以下、または約0.1ピコモルまたはそれ以下、または約0.15ピコモルまたはそれ以下、または約0.2ピコモルまたはそれ以下、または約0.25ピコモルまたはそれ以下、または約0.28ピコモルまたはそれ以下)である。
【0015】
いくつかの実施形態では、有効用量は、約0.004ピコモル/kg~約0.082ピコモル/kg(例えば、約0.004ピコモル/kgまたはそれ以下、または約0.01ピコモル/kgまたはそれ以下、または約0.02ピコモル/kgまたはそれ以下、または約0.03ピコモル/kgまたはそれ以下、または約0.04ピコモル/kgまたはそれ以下、または約0.05ピコモル/kgまたはそれ以下、または約0.06ピコモル/kgまたはそれ以下、または約0.07ピコモル/kgまたはそれ以下、または約0.08ピコモル/kgまたはそれ以下、または約0.082ピコモル/kgまたはそれ以下)である。他の実施形態では、有効用量は、約0.004ピコモル/kg未満である。ある特定の実施形態では、有効用量は、約0.0004ピコモル/kg~約0.004ピコモル/kg(例えば、約0.0004ピコモル/kgまたはそれ以下、または約0.001ピコモル/kgまたはそれ以下、または約0.002ピコモル/kgまたはそれ以下、または約0.003ピコモル/kgまたはそれ以下、または約0.004ピコモル/kgまたはそれ以下)である。
【0016】
いくつかの実施形態では、有効用量は、約1ピコモル/cm2~約20ピコモル/cm2(例えば、約1ピコモル/cm2またはそれ以下、または約2ピコモル/cm2またはそれ以下、または約3ピコモル/cm2またはそれ以下、または約4ピコモル/cm2またはそれ以下、または約5ピコモル/cm2またはそれ以下、または約6ピコモル/cm2またはそれ以下、または約7ピコモル/cm2またはそれ以下、または約8ピコモル/cm2またはそれ以下、または約9ピコモル/cm2またはそれ以下、または約10ピコモル/cm2またはそれ以下、または約12ピコモル/cm2またはそれ以下、または約14ピコモル/cm2またはそれ以下、または約16ピコモル/cm2またはそれ以下、または約18ピコモル/cm2またはそれ以下、または約20ピコモル/cm2またはそれ以下)である。他の実施形態では、有効用量は、約1ピコモル/cm2未満である。ある特定の実施形態では、有効用量は、約0.1ピコモル/cm2~約1ピコモル/cm2(例えば、約0.1ピコモル/cm2またはそれ以下、または約0.2ピコモル/cm2またはそれ以下、または約0.3ピコモル/cm2またはそれ以下、または約0.4ピコモル/cm2またはそれ以下、または約0.5ピコモル/cm2またはそれ以下、または約0.6ピコモル/cm2またはそれ以下、または約0.7ピコモル/cm2またはそれ以下、または約0.8ピコモル/cm2またはそれ以下、または約0.9ピコモル/cm2またはそれ以下、または約1ピコモル/cm2またはそれ以下)である。
【0017】
種々の実施形態では、核酸薬物は、薬学的に許容される製剤、例えば、注入(例えば、皮下注入、皮内注入(真皮または表皮を含む)、皮下注入、筋肉内注入、眼内注入、硝子体内注入、関節内注入、心臓内注入、静脈内注入、硬膜外注入、髄腔内注入、腫瘍内注入)、及び局所投与、及び/または外皮系(例えば、表皮(角質層、淡明層、顆粒層、有棘層、及び基底層から任意に選択される)、基底膜、真皮(乳頭領域、及び網状領域から任意に選択される)、皮下組織、及び結膜のうちの1つ以上)への投与、及び/または眼球(例えば、角膜、強膜、虹彩、水晶体、角膜輪部、視神経、脈絡膜、毛様体、前眼部、前眼房、及び網膜のうちの1つ以上)への投与のうちの1つ以上に適している製剤に投与される。
【0018】
種々の実施形態では、核酸薬物は、細胞による核酸薬物の取り込みを強化するように1つ以上の脂質で配合され、該脂質は、表1から任意に選択される。他の実施形態では、核酸薬物は、細胞による核酸薬物の取り込みを強化するように、タンパク質発現の持続期間を強化するように、またはそれ以外に核酸薬物の安全性及び/または有効性を強化するように、1つ以上のナノ粒子、任意に、脂質または高分子ナノ粒子で製剤化される。
【0019】
種々の実施形態では、核酸薬物は、局所、任意に、皮下注入、皮内注入、皮下注入、及び筋肉内注入のうちの1つ以上によって投与され、有効用量は、約4mm2~約1000mm2(例えば、約4mm2またはそれ以下、または約5mm2またはそれ以下、または約10mm2またはそれ以下、または約25mm2またはそれ以下、または約50mm2またはそれ以下、または約75mm2またはそれ以下、または約100mm2またはそれ以下、または約125mm2またはそれ以下、または約150mm2またはそれ以下、または約200mm2またはそれ以下、または約500mm2またはそれ以下、または約1000mm2またはそれ以下)の表面積に投与される。
【0020】
種々の実施形態では、核酸薬物は、治療計画で、任意に、本明細書に記載されるさらなる薬剤または補助療法と共に投与され、投与は、約週1回~約24週おきに1回(例えば、約週1回またはそれ以下、または約2週おきに1回またはそれ以下、または約3週おきに1回またはそれ以下、または約4週おきに1回またはそれ以下、または約5週おきに1回またはそれ以下、または約6週おきに1回またはそれ以下、または約7週おきに1回またはそれ以下、または約8週おきに1回またはそれ以下、または約9週おきに1回またはそれ以下、または約9週おきに1回またはそれ以下、または約9週おきに1回またはそれ以下、または約9週おきに1回またはそれ以下、または約10週おきに1回またはそれ以下、または約11週おきに1回またはそれ以下、または約12週おきに1回またはそれ以下、または約13週おきに1回またはそれ以下、または約14週おきに1回またはそれ以下、または約15週おきに1回またはそれ以下、または約20週おきに1回またはそれ以下、または約24週おきに1回またはそれ以下)である。他の実施形態では、核酸薬物は、治療計画で、任意に、本明細書に記載されるさらなる薬剤または補助療法と共に投与され、投与は、約1日1回~約週1回(例えば、約1日1回またはそれ以下、または約2日おきに1回またはそれ以下、または約3日おきに1回またはそれ以下、または約4日おきに1回またはそれ以下、または約5日おきに1回またはそれ以下、または約6日おきに1回またはそれ以下、または約週1回またはそれ以下)である。
【0021】
種々の実施形態では、核酸薬物は、任意に、ピリミジンの2C、及び/または4C、及び/または5C位で、またはプリンの6C、及び/または7N、及び/または8C位で1つ以上の置換を有する1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNAを含む。種々の実施形態では、非標準ヌクレオチドは、本明細書に記載される非標準ヌクレオチドのうちの1つ以上であり、例えば、5-ヒドロキシシチジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メトキシシチジン、プソイドウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-ヒドロキシプソイドウリジン、5-メチルウリジン、5-メチルプソイドウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-ヒドロキシメチルプソイドウリジン、5-カルボキシウリジン、5-カルボキシプソイドウリジン、5-ホルミルウリジン、5-ホルミルプソイドウリジン、5-メトキシウリジン、及び5-メトキシプソイドウリジンが挙げられる。さらに、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNAは、コザックコンセンサス配列を含む5’-UTR、RNA安定性をインビボで増加させる配列を含む5’-UTRまたは3’-UTR(例えば、αグロビンまたはβグロビン5’-UTRまたはαグロビンまたはβグロビン3’-UTR)、約20のヌクレオチド~約250のヌクレオチドの長さ(例えば、約20、または約30、または約40、または約50、または約60、または約70、または約80、または約90、または約100、または約110、または約120、または約130、または約140、または約150、または約160、または約170、または約180、または約190、または約200、または約210、または約220、または約230、または約240、または約250のヌクレオチドの長さ)の3’ポリ(A)テールのうちの1つ以上を有し得る。
【0022】
さらに、本明細書に記載される方法のいくつかの態様は、実例として、外皮系の疾患、障害、及び/または状態を治療すること、または(例えば、美容的に)外皮系を変更、修正、及び/または変化させることを含む、種々の医療的処置における使用を見出す。
【0023】
約10ng~約2000ng(例えば、約10ngまたはそれ以下、または約20ngまたはそれ以下、または約50ngまたはそれ以下、または約100ngまたはそれ以下、または約200ngまたはそれ以下、または約300ngまたはそれ以下、または約400ngまたはそれ以下、または約500ngまたはそれ以下、または約600ngまたはそれ以下、または約700ngまたはそれ以下、または約800ngまたはそれ以下、または約900ngまたはそれ以下、または約1000ngまたはそれ以下、または約1100ngまたはそれ以下、または約1200ngまたはそれ以下、または約1300ngまたはそれ以下、または約1400ngまたはそれ以下、または約1500ngまたはそれ以下、または約1600ngまたはそれ以下、または約1700ngまたはそれ以下、または約1800ngまたはそれ以下、または約1900ngまたはそれ以下、または約2000ngまたはそれ以下)の単位剤形での本明細書に記載される核酸薬物、及び注入針を含む、ヒト療法で使用するのに適したキットも企図される。
【0024】
さらに、いくつかの態様では、本発明は、本明細書に記載される核酸薬物、及び本明細書に記載されるビヒクル(別名「トランスフェクション試薬」、例えば、脂質)のうちの1つ以上を含む医薬製剤を提供し、該製剤は、任意に、皮下注入、皮内注入、皮下注入、筋肉内注入、眼内注入、硝子体内注入、関節内注入、心臓内注入、静脈内注入、硬膜外注入、髄腔内注入、腫瘍内注入、及び局所投与のうちの1つ以上に適している。
【0025】
いくつかの態様では、核酸送達パッチを提供する。一態様では、電場を用いて核酸を送達するための器具を提供する。他の態様は、核酸を皮膚に送達するための方法及び組成物に関する。さらに別の態様は、皮膚内でタンパク質を発現するための方法及び組成物に関する。
【0026】
一態様では、本発明は、予防的治療、皮膚科の希少疾患を含むがこれらに限定されない希少疾患に対する治療、並びに医療皮膚科及び美容医学で用いられる治療を含むがこれらに限定されない、ヒトの疾患及び状態を治療するための方法及び組成物を提供する。別の態様では、本発明は、核酸を含む化粧品を提供する。さらに別の態様は、色素沈着を変更するための、例えば、色素沈着障害の治療のための方法及び組成物に関する。さらに別の態様は、創傷または手術に対応した治癒を含むがこれらに限定されない、治癒を増強するための方法及び組成物に関する。本発明の組成物は、限定されないが、皮膚、毛髪、及び爪などの、対象の外皮系のメンバーの外観を変更、修正、及び/または変化させることがある。そのような変更、修正、及び/または変化は、非限定例として、皮膚科的治療及び美容的処置を含む、本明細書に記載されるような治療方法及び/または治療的使用との関連であり得る。
【0027】
さらに、種々の実施形態では、本発明は、皮膚科的用途に限定されない種々の治療用タンパク質を標的化することに関する。例えば、種々の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、例えば、本明細書に示されるような種々の可溶性タンパク質の発現増加によって仲介される治療の方法における使用を見出す。種々の実施形態では、核酸薬物は、循環タンパク質、細胞外マトリックスタンパク質、操作タンパク質、遺伝子編集タンパク質、タンパク質またはペプチドホルモン、酵素、エリスロポエチン、ダルベポエチンα、NOVEPOETIN、エラスチン、コラーゲン、抗体または抗体断片(例えば、中和抗体または抗体断片)、細胞内タンパク質、テロメラーゼ逆転写酵素、膜タンパク質、融合タンパク質、受容体、リガンド結合ドメイン、タンパク質阻害剤、または生物学的に活性な断片、それらの類似体または変異体のうちの1つ以上の発現をコードする、及び/または増加させる。他の実施形態では、核酸薬物の投与は、ヘマトクリットの増加、組織弾性の増加、組織強度の増加、及び皮膚の水和及び/または保水の増加、発毛、脂肪減少、DNAの挿入、欠失または突然変異、プロドラッグの活性薬物への変換、腫瘍サイズ及び/または数の減少、プラークサイズ及び/または数の減少、血管新生の増加、血管新生の減少、視力の増加、疼痛の減少、心拍出量(例えば、駆出率、及び1回拍出量)の増加、心拍異常の減少、線維症の減少、1つ以上の有害な神経学的症状、状態、または障害(例えば、うつ病、食欲の異常調節、多食、拒食症、痴呆、頭痛、疲労、痺れ、震え、及び眩暈)の減少、勃起不全の減少、活力の増加、肺機能の増加、腎機能の増加、肝機能の増加、インスリン感受性の増加、インスリン感受性の減少、炎症の減少、涙液産生の増加、聴力の改善、聴覚の増加、耳鳴りの減少、発汗の減少、感染の部分的または総クリアランス、出生力の増加、出生力の減少、タンパク質の阻害または中和、免疫系の1つ以上の成分の動員または刺激、テロメアの延長、細胞の老化の阻害、複製能力、リプログラミング、増殖、分化の増加、及び分化能の増加のうちの1つ以上をもたらす。
【0028】
いくつかの態様では、低い毒性及び高い翻訳効率を有するRNA分子が提供される。一態様では、細胞の、高効率のインビボトランスフェクション、リプログラミング、及び遺伝子編集のための細胞培養培地が提供される。他の態様は、リプログラミングタンパク質をコードするRNA分子を生成するための方法に関する。さらに別の態様は、遺伝子編集タンパク質をコードするRNA分子を生成するための方法に関する。
【0029】
一態様では、本発明は、操作されたヌクレアーゼ切断ドメインを含む、高効率の遺伝子編集タンパク質を提供する。別の態様では、本発明は、操作されたヌクレアーゼ切断ドメインを含む、高忠実度の遺伝子編集タンパク質を提供する。他の態様は、操作されたDNA結合ドメインを含む、高効率の遺伝子編集タンパク質に関する。さらに別の態様は、操作されたDNA結合ドメインを含む、高忠実度の遺伝子編集タンパク質に関する。さらに別の態様は、操作された反復配列を含む、遺伝子編集タンパク質に関する。いくつかの態様は、遺伝子編集タンパク質で細胞をトランスフェクトすること、またはそれを発現させるように細胞を誘導することにより、細胞のDNA配列を変更するための方法に関する。他の態様は、インビトロ培養で存在する細胞のDNA配列を変更するための方法に関する。さらに別の態様は、インビボで存在する細胞のDNA配列を変更するための方法に関する。
【0030】
いくつかの態様では、本発明は、治療的有効量の遺伝子編集タンパク質または遺伝子編集タンパク質をコードする核酸を、患者に投与することを含む、癌を治療するための方法を提供する。一態様では、遺伝子編集タンパク質は、癌関連遺伝子のDNA配列を変更することが可能である。別の態様では、癌関連遺伝子は、BIRC5遺伝子である。さらに他の態様は、例えば、1型糖尿病、虚血性及び拡張型心筋症を含む心疾患、黄斑変性症、パーキンソン病、嚢胞性線維症、鎌状赤血球性貧血、地中海貧血、ファンコニ貧血、重症複合免疫不全症、遺伝性感覚神経障害、色素性乾皮症、ハンチントン病、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、癌、並びに肝炎及びHIV/AIDSを含む感染症を治療するための、核酸及び/または細胞を含む治療薬、並びに核酸及び/または細胞を含む治療薬を用いる方法に関する。いくつかの態様では、核酸は、RNAを含む。他の態様では、RNAは、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む。さらに他の態様では、核酸は、ウイルスを用いて細胞に送達される。いくつかの態様では、ウイルスは、複製可能ウイルスである。他の態様では、ウイルスは、複製不能ウイルスである。
【0031】
本発明の詳細が、以下の付随する説明に記載される。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法及び材料が、本発明の実施または試験に用いることができるが、例示的方法及び材料が、ここで記載される。本発明の他の特長、目的、及び利点は、説明により、及び特許請求の範囲により明らかとなるであろう。本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形は、文脈が明らかに別途示さない限り複数形も含む。別途定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術及び科学用語は、本発明が属する当該技術分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】緑色蛍光タンパク質(「GFP」)をコードするRNAでトランスフェクトされ、示されたヌクレオチドを含む初代成人ヒト皮膚線維芽細胞を示す。
【
図2】一段階リアルタイムRT-PCR及びヒトインターフェロンβmRNAを増幅するように設計されたプライマーを用いた
図1の初代成人ヒト皮膚線維芽細胞の遺伝子発現分析の結果を示す。トランスフェクトされていない試料(「陰性」)にデータを正規化した。GAPDHを負荷対照として使用した。
【
図3】
図2と同様に行った、示されたヌクレオチドを含むRNAでトランスフェクトされた細胞の遺伝子発現分析の結果を示す。トランスフェクトされていない試料(「陰性」)にデータを正規化した。GAPDHを負荷対照として使用した。
【
図4】
図2と同様に行った、示された転写産物を増幅するように設計されたプライマーを用いた、示されたヌクレオチドを含むRNAでトランスフェクトされた細胞の遺伝子発現分析の結果を示す。トランスフェクトされていない試料(「陰性」)にデータを正規化した。GAPDHを負荷対照として使用した。
【
図5】
図2と同様に行った、NOVEPOETINをコードするRNAでトランスフェクトされ、かつ、示されたヌクレオチドを含む初代ヒト表皮ケラチノサイトの遺伝子発現分析の結果を示す。トランスフェクトされていない試料(「陰性」)にデータを正規化した。GAPDHを負荷対照として使用した。
【
図6】GFPをコードするRNAを含む溶液の、健康な、33歳、70kg、男性のヒト対象の腹側前腕への皮内注入を示す。
【
図7】5-メトキシウリジンを含み、GFP(注射部位1-3)またはCOL7(注射部位4)をコードするRNAで治療後の、
図6に示す対象の腹側前腕の領域を示す。画像は、最終注入の直後に撮影した。
【
図9】示された蛍光チャネルを用いた、
図7の領域の蛍光イメージングの結果を示す。各注射部位の用量も示す。画像は、注入24時間後に撮影した。
【
図10】FITC蛍光チャネルを用いた、
図7の領域の蛍光イメージングの結果を示す。各注射部位の用量を示す。画像は、注射の48時間後に撮影した。
【
図11】FITC蛍光チャネルを用いた、
図7の領域の定量的蛍光イメージングの結果を示す。水平軸は、注入後の時間を示す。
【
図12】
図6に示す対象の腹側前腕の領域を、5-メトキシウリジンを含み、GFPをコードするRNAで治療した独立した実験の蛍光イメージングの結果を示す。画像は、注入24時間後に撮影した。
【
図13】示されたヌクレオチドを含み、NOVEPOETINをコードするRNAでトランスフェクトされた初代ヒト表皮ケラチノサイトの培養培地中のダルベポエチンαを検出するように設計されたELISAの結果を示す。
【
図14】示されたヌクレオチドを含み、NOVEPOETINをコードするRNAでトランスフェクトされた初代ヒト表皮ケラチノサイトの培養培地中のダルベポエチンαを検出するように設計されたELISAの結果を示す。
【
図15】示されたヌクレオチドを含み、NOVEPOETINをコードするRNAでトランスフェクトされた初代ヒト表皮ケラチノサイトの培養培地中のダルベポエチンαを検出するように設計されたELISAの結果を示す。
【
図16】5-メトキシウリジンを含み、hTERTをコードするRNAでトランスフェクトされた初代ヒト皮膚線維芽細胞を示す。細胞を固定し、トランスフェクション24時間後に抗体標的化hTERTを用いて染色した。
【
図17】緑色蛍光タンパク質(「GFP」)をコードするRNAでトランスフェクトし、示したように調製して保管した初代成人ヒト皮膚線維芽細胞を示す。
【
図18】血清中のNOVEPOIETINの急速な増加と持続的レベルを誘発させたNOVECRITの単回投与を示す。Y軸は、NOVEPOIETINタンパク質(mU/mL)の濃度を示す。
【
図19】赤血球生成を刺激し、ヘマトクリットの上昇を少なくとも14日間もたらしたNOVECRITの単回投与を示す。左パネルは、Y軸上のヘマトクリット%を示し、右パネルは、網状赤血球%を示す。
【
図20】実施例35の雄のSprague Dawleyラット試験においてNOVECRITの最大耐量から収集した血漿試料中のTNFα、IL-6、及びIFNαサイトカインレベルをまとめた表を示す。
【
図21】COL7A1遺伝子内に位置する配列TGAGCAGAAGTGGCTCAGTG(配列番号467)及びTGGCTGTACAGCTACACCCC(配列番号468)を標的にするRNA TALENでトランスフェクトされた初代成人ヒト皮膚線維芽細胞のDNAを用いたSURVEYORアッセイを示す。+RNAレーンに存在するバンドは、ジストロフィー表皮水疱症に頻繁に関与する遺伝子の領域の編集を示す。
【
図22】COL7A1遺伝子内に位置する配列TTCCACTCCTGCAGGGCCCC(配列番号469)及びTCGCCCTTCAGCCCGCGTTC(配列番号470)を標的にするRNA TALENでトランスフェクトされた初代成人ヒト皮膚線維芽細胞のDNAを用いたSURVEYORアッセイを示す。+RNAレーンに存在するバンドは、ジストロフィー表皮水疱症に頻繁に関与する遺伝子の領域の編集を示す。
【
図23】遺伝子編集との関連における種々の合成RNA構築物(即ち、未修飾ヌクレオチド「A、G、U、C」と、プソイドウリジンのみ「psU」と、5-メチルシチジンのみ「5mC」と、プソイドウリジン及び5-メチルシチジンの両方「psU+5mC」と、陰性対照「陰性」)の免疫原性を示す。
【
図24】種々の合成RNA構築物(即ち、未修飾ヌクレオチド「A、G、U、C」と、プソイドウリジンのみ「psU」と、5-メチルシチジンのみ「5mC」と、プソイドウリジン及び5-メチルシチジンの両方「psU+5mC」と、陰性対照「陰性」)でトランスフェクトされた細胞中の遺伝子編集活性を示す。
【
図25】TALENをコードするRNA、及び示された長さの一本鎖DNA修復テンプレート(「RT」)でトランスフェクトされた初代ヒト表皮ケラチノサイト中のCOL7A1遺伝子の遺伝子編集を示す。アスタリスク(「
*」)で示される位置でのバンドの存在は、遺伝子編集が成功したことを示す。
【
図26】示されたRNA対修復テンプレートの比で、TALENをコードするRNA、及び80nt一本鎖DNA修復テンプレート(「RT」)でトランスフェクトされた初代ヒト表皮ケラチノサイト中のCOL7A1遺伝子の遺伝子編集を示す。アスタリスク(「
*」)で示される位置でのバンドの存在は、遺伝子編集が成功したことを示す。
【
図27】TALENをコードするRNA、及び示された長さの一本鎖DNA修復テンプレート(「RT」)でトランスフェクトされた初代ヒト表皮ケラチノサイト中のCOL7A1遺伝子の遺伝子修正を示す。アスタリスク(「
*」)で示される位置でのバンドの存在は、遺伝子修正が成功したことを示す。
【
図28】示されたRNA対修復テンプレートの比で、TALENをコードするRNA、及び80nt一本鎖DNA修復テンプレート(「RT」)でトランスフェクトされた初代ヒト表皮ケラチノサイト中のCOL7A1遺伝子の遺伝子修正を示す。アスタリスク(「
*」)で示される位置でのバンドの存在は、遺伝子修正が成功したことを示す。
【
図29】TALENをコードするRNA、及び80nt一本鎖DNA修復テンプレート(「RT」)でトランスフェクトされた初代ヒト表皮ケラチノサイト中のCOL7A1遺伝子の遺伝子編集(「T7E1」)及び修正(「消化」)を示す。アスタリスク(「
*」)で示される位置でのバンドの存在は、遺伝子編集(「T7E1」)及び修正(「消化」)が成功したことを示す。
【
図30】ELISAで測定した、示されたBMP7変異体をコードするRNAでトランスフェクトされた初代ヒト皮膚線維芽細胞及び初代ヒト表皮ケラチノサイトで分泌されたBMP7タンパク質の量を示す。アスタリスク(「
*」)は、ELISAアッセイの飽和を示す。
【
図31】ELISAで測定した、PTHをコードするRNAでトランスフェクトされた初代ヒト表皮ケラチノサイトで分泌された副甲状腺ホルモンの量を示す。
【
図32】NOVECRITの反復投与が、赤血球生成を刺激し、ヘマトクリットの上昇を少なくとも14日間もたらしたことを示す。各データセットでは、左から右のヒストグラムの順序は、1群、2群、3群、4群、及び5群である。
【
図33】糖尿病性腎症の予防及び治療に対する、BMP7変異体をコードするRNAの効果を試験するための例示的実験設計を提供する。
【
図34】実施例42に記載されるように、BMP7変異体をコードするRNAで治療したラット中のBMP7タンパク質レベルを示す。エラーバーは、SEM(n=6)を示す。
【
図35】実施例42に記載されるように、BMP7変異体をコードするRNAで治療したラット中の尿量、尿中アルブミン、及び尿中クレアチニンレベルを示す。各データセットでは、左から右のヒストグラムの順序は、尿量、尿中クレアチニン、及び尿中アルブミンである。
【
図36】実施例42に記載されるように、糖尿病性腎症の治療における、BMP7変異体をコードするRNAの効果を示す。各データセットでは、左から右のヒストグラムの順序は、6群-ビヒクル、及び7群-FTB-2(BMP7変異体A)である。
【
図37】パネルA~Iは、BDNF、BMP-2、BMP-6、IL-2、IL-6、IL-15、IL-22、LIF、またはFGF-21をコードするRNAでトランスフェクトされたヒト表皮ケラチノサイトの遺伝子発現分析の結果を示す。
【
図38】IL-15またはIL-15及びIL-15RAをコードするRNAでトランスフェクトされたヒト表皮ケラチノサイトの遺伝子発現分析の結果を示す。
【
図39】実施例45に記載されるように、これらのタンパク質をコードする種々のRNAの単回皮内注入後のFGF21、IL15、IL6、IL22、及びNovepoietinの血清レベルを示す。試験したRNAごとに3匹のラットを分析した。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は部分的には、ヒトにおける、非標準(または「修飾」)ヌクレオチドを含むRNAなどのRNAを含む核酸薬物の安全かつ効果的な投与戦略の発見に基づいている。本発明者らは、これが、ヒトにおけるRNA分子、例えば、非標準ヌクレオチドを含むものの安全かつ効果的な投与の最初の報告であると考えている。哺乳動物の投与には非常に大量のRNA分子が必要とされているという、当該技術分野における報告にもかかわらず、達成される治療効果は高投与にもかかわらず最低限である(例えば、米国特許公報第2013/0245103号を参照されたい)。本発明者らは、驚くべきことに、ヒトに合成RNAを投与し、免疫学的または他の副作用を最小限にして著しい標的タンパク質発現を何とか達成した。
【0034】
種々の実施形態では、本発明は、非標準ヌクレオチド(例えば、アデニン、グアニン、チミン、ウラシル、及びシトシン、または標準ヌクレオシド、ヌクレオチド、デオキシヌクレオシド、またはそのデオキシヌクレオチド誘導体以外の残基)を含有し得る、RNAを含む、核酸薬物の改善された用量、製剤、投与、及び使用方法を提供する。種々の実施形態では、非標準ヌクレオチドを含むRNAは、RNAによりコードされるタンパク質の発現をもたらし、該タンパク質は、治療上の有益性の1つであることが多い(「標的」または「目的タンパク質」と呼ばれることもある)。さらに、この治療用タンパク質の発現は、最小限または無視できる程の毒性で達成される。
【0035】
種々の態様では、本発明は、ヒト対象に対する核酸薬物の安全かつ有効な用量及び投与パラメータの驚くべき発見に基づいている。核酸薬物には、dsDNA分子、ssDNA分子、RNA分子、dsRNA分子、ssRNA分子、プラスミド、オリゴヌクレオチド、合成RNA分子、miRNA分子、mRNA分子、及びsiRNA分子が含まれる。種々の実施形態では、RNAは、非標準ヌクレオチドを含む。
【0036】
いくつかの態様では、核酸薬物を送達するための方法であって、有効用量の核酸薬物を、それを必要とするヒト対象に投与することを含み、核酸薬物は、合成RNAを含む、方法を提供する。種々の実施形態では、有効用量は、ヒト対象において核酸薬物によりコードされるタンパク質の量を実質的に増加させるのに十分な量である。例えば、核酸薬物が、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含む合成RNAである場合、核酸薬物は、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含まない核酸薬物(例えば、標準ヌクレオチドA、G、U、及びCを含むRNA)で得られるレベルよりも高いタンパク質発現をもたらし得る。いくつかの実施形態では、核酸薬物は、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含まない核酸薬物で得られるレベルと比較して、約2倍、または約3倍、または約4倍、または約5倍、または約10倍、または約15倍、または約20倍、または約25倍、または約30倍、または約35倍、または約40倍、または約45倍、または約50倍、または約100倍のタンパク質発現の増加をもたらす。
【0037】
いくつかの実施形態では、核酸薬物は、任意に、標的タンパク質の持続発現によって仲介される持続的な治療効果をもたらす。例えば、いくつかの実施形態では、治療効果は、投与後に約1日間、または約2日間、または約3日間、または約4日間、または約5日間、または約6日間、または約7日間、または約8日間、または約9日間、または約10日間、または約14日間存在する。いくつかの実施形態では、この持続効果は、維持用量の必要性を取り除く、またはその量を減少させる。
【0038】
いくつかの実施形態では、核酸薬物は、持続した標的タンパク質レベルをもたらす。例えば、いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、投与後に約1日間、または約2日間、または約3日間、または約4日間、または約5日間、または約6日間、または約7日間、または約8日間、または約9日間、または約10日間、または約14日間(例えば、測定可能な量で、例えば、核酸薬物が投与されている患者の血清中で)存在する。いくつかの実施形態では、この持続効果は、維持用量の必要性を取り除く、またはその量を減少させる。
【0039】
種々の実施形態では、核酸薬物は、核酸薬物自体を持続的に存在させずに治療作用をもたらす。いくつかの実施形態では、核酸薬物は、例えば、投与から約6時間、または約12時間、または約18時間、または約24時間、または約2日、または約3日、または約4日、または約5日、または約1週間以内に急速に代謝される。
【0040】
種々の実施形態では、有効用量は、細胞毒性をインビボで実質的に回避させる量である。種々の実施形態では、有効用量は、ヒト対象における免疫応答を実質的に回避させる量である。例えば、免疫応答は、先天性免疫系によって仲介される免疫応答であってもよい。免疫応答は、当該技術分野で知られるマーカー(例えば、サイトカイン、インターフェロン、TLR)を用いて監視することができる。いくつかの実施形態では、有効用量は、残留毒性を穏やかにするために用いられる免疫抑制剤(例えば、B18R)でヒト対象を治療する必要性を取り除く。したがって、いくつかの実施形態では、本方法は、タンパク質発現の増加をもたらし、かつ、毒性を減少させる投与を行うことができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、免疫応答は、対応する未修飾核酸によって誘発された免疫応答と比較して、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%、約99.9%、または約99.9%超減少する。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫応答マーカーの上方調節は、対応する未修飾核酸によって誘発された1つ以上の免疫応答マーカーの上方調節と比較して、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%、約99.9%、または約99.9%超減少する。いくつかの実施形態では、免疫応答マーカーは、インターフェロン遺伝子のmRNAまたはタンパク質生成物を含み、例えば、インターフェロンα遺伝子、IFNB1、TLR3、RARRES3、EIF2AK2、STAT1、STAT2、IFIT1、IFIT2、IFIT3、IFIT5、OAS1、OAS2、OAS3、OASL、ISG20、またはその断片、変異体、類似体、またはファミリーメンバーである。いくつかの実施形態では、免疫応答マーカーは、TNF遺伝子のmRNAまたはタンパク質生成物を含み、例えば、TNFα遺伝子、TNFRSF1Aと、TNFRSF1Bと、LTBRと、TNFRSF4と、CD40と、FASと、TNFRSF6Bと、CD27と、TNFRSF8と、TNFRSF9と、TNFRSF10Aと、TNFRSF10Bと、TNFRSF10Cと、TNFRSF10Dと、TNFRSF11Aと、TNFRSF11Bと、TNFRSF12Aと、TNFRSF13Bと、TNFRSF13Cと、TNFRSF14と、NGFRと、TNFRSF17と、TNFRSF18と、TNFRSF19と、TNFRSF21と、TNFRSF25と、EDA2R、またはその断片、変異体、類似体、またはファミリーメンバーである。いくつかの実施形態では、免疫応答マーカーは、インターロイキン遺伝子のmRNAまたはタンパク質生成物を含み、例えば、IL-6遺伝子、IL-1と、IL-2と、IL-3と、IL-4と、IL-5と、IL-6と、IL-7と、IL-8またはCXCL8と、IL-9と、IL-10と、IL-11と、IL-12と、IL-13と、IL-14と、IL-15と、IL-16と、IL-17と、IL-18と、IL-19と、IL-20と、IL-21と、IL-22と、IL-23と、IL-24と、IL-25と、IL-26と、IL-27と、IL-28と、IL-29と、IL-30と、IL-31と、IL-32と、IL-33と、IL-35と、IL-36、またはその断片、変異体、類似体、またはファミリーメンバーである。
【0042】
いくつかの実施形態では、細胞死は、対応する未修飾核酸で観察された細胞死よりも約10%、約25%、約50%、約75%、約85%、約90%、約95%、または約95%超少ない。さらに、細胞死は、修飾核酸と接触させた細胞の約50%、約40%、約30%、約20%、約10%、約5%、約1%、約0.1%、約0.01%、または約0.01%未満よりも少ない細胞に影響を及ぼし得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、哺乳類対象中の細胞集団において目的タンパク質を発現させるための方法であって、目的タンパク質をコードするRNAの有効用量を含む非ウイルス性トランスフェクション組成物を前記細胞に投与することを含み、RNAは、実質的な細胞毒性を回避する1つ以上の非標準ヌクレオチドを含有し、トランスフェクション組成物は、実質的な細胞毒性なしで、前記細胞中で前記タンパク質を少なくとも約5日間(例えば、約5日間、または約6日間、または約7日間、約8日間、または約9日間、または約10日間、または約14日間)発現させることができる量で投与される、方法を提供する。いくつかの実施形態では、哺乳類対象中の細胞集団において目的タンパク質を発現させるための方法であって、目的タンパク質をコードするRNAの有効用量を含む非ウイルス性トランスフェクション組成物を前記細胞に投与することを含み、RNAは、実質的な細胞毒性を回避する1つ以上の非標準ヌクレオチドを含有し、トランスフェクション組成物は、実質的な細胞毒性なしで、前記細胞中で前記タンパク質を少なくとも約6時間(例えば、約6時間、または約12時間、または約1日間、または約2日間、または約3日間、または約4日間、または約5日間)発現させることができる量で投与される、方法を提供する。
【0044】
いくつかの実施形態では、核酸薬物、例えば、合成RNAの有効用量は、約100ng~約2000ng、または約200ng~約1900ng、または約300ng~約1800ng、または約400ng~約1700ng、または約500ng~約1600ng、または約600ng~約1500ng、または約700ng~約1400ng、または約800ng~約1300ng、または約900ng~約1200ng、または約1000ng~約1100ng、または約500ng~約2000ng、または約500ng~約1500ng、または約500ng~約1000ng、または約1000ng~約1500ng、または約1000ng~約2000ng、または約1500ng~約2000ng、または約100ng~約500ng、または約200ng~約400ng、または約10ng~約100ng、または約20ng~約90ng、または約30ng~約80ng、または約40ng~約70ng、または約50ng~約60ngである。
【0045】
いくつかの実施形態では、核酸薬物、例えば、合成RNAの有効用量は、約50ng、または約100ng、または約200ng、または約300ng、または約400ng、または約500ng、または約600ng、または約700ng、または約800ng、または約900ng、または約1000ng、または約1100ng、または約1200ng、または約1300ng、または約1400ng、または約1500ng、または約1600ng、または約1700ng、または約1800ng、または約1900ng、または約2000ng以下である。
【0046】
いくつかの実施形態では、核酸薬物、例えば、合成RNAの有効用量は、約50ng、または約100ng、または約200ng、または約300ng、または約400ng、または約500ng、または約600ng、または約700ng、または約800ng、または約900ng、または約1000ng、または約1100ng、または約1200ng、または約1300ng、または約1400ng、または約1500ng、または約1600ng、または約1700ng、または約1800ng、または約1900ng、または約2000ngである。
【0047】
いくつかの実施形態では、核酸薬物、例えば、合成RNAの有効用量は、約0.028pmol、または約0.05pmol、または約0.1pmol、または約0.2pmol、または約0.3pmol、または約0.4pmol、または約0.5pmol、または約0.6pmol、または約0.7pmol、または約0.8pmol、または約0.9pmol、または約1.0pmol、または約1.2pmol、または約1.4pmol、または約1.6pmol、または約1.8pmol、または約2.0pmol、または約2.2pmol、または約2.4pmol、または約2.6pmol、または約2.8pmol、または約3.0pmol、または約3.2pmol、または約3.4pmol、または約3.6pmol、または約3.8pmol、または約4.0pmol、または約4.2pmol、または約4.4pmol、または約4.6pmol、または約4.8pmol、または約5.0pmol、または約5.5pmol、または約5.7pmolである。
【0048】
いくつかの実施形態では、核酸薬物、例えば、合成RNAは、約0.1nM、または約0.25nM、または約0.5nM、または約0.75nM、または約1nM、または約2.5nM、または約5nM、または約7.5nM、または約10nM、または約20nM、または約30nM、または約40nM、または約50nM、または約60nM、または約70nM、または約80nM、または約90nM、または約100nM、または約110nM、または約120nM、または約150nM、または約175nM、または約200nMの濃度で投与される。
【0049】
いくつかの実施形態では、有効用量の核酸薬物は、約350ng/cm2、または約500ng/cm2、または約750ng/cm2、または約1000ng/cm2、または約2000ng/cm2、または約3000ng/cm2、または約4000ng/cm2、または約5000ng/cm2、または約6000ng/cm2、または約7000ng/cm2である。他の実施形態では、有効用量は、約350ng/cm2未満である。ある特定の実施形態では、有効用量は、約35ng/cm2、または約50ng/cm2、または約75ng/cm2、または約100ng/cm2、または約150ng/cm2、または約200ng/cm2、または約250ng/cm2、または約300ng/cm2、または約350ng/cm2である。
【0050】
いくつかの実施形態では、有効用量の核酸薬物は、約35ng/cm2~約7000ng/cm2、または約50ng/cm2~約5000ng/cm2、または約100ng/cm2~約3000ng/cm2、または約500ng/cm2~約2000ng/cm2、または約750ng/cm2~約1500ng/cm2、または約800ng/cm2~約1200ng/cm2、または約900ng/cm2~約1100ng/cm2である。
【0051】
いくつかの実施形態では、有効用量の核酸薬物は、約1ピコモル/cm2、または約2ピコモル/cm2、または約3ピコモル/cm2、または約4ピコモル/cm2、または約5ピコモル/cm2、または約6ピコモル/cm2、または約7ピコモル/cm2、または約8ピコモル/cm2、または約9ピコモル/cm2、または約10ピコモル/cm2、または約12ピコモル/cm2、または約14ピコモル/cm2、または約16ピコモル/cm2、または約18ピコモル/cm2、または約20ピコモル/cm2である。他の実施形態では、有効用量は、約1ピコモル/cm2未満である。ある特定の実施形態では、有効用量は、約0.1ピコモル/cm2、または約0.2ピコモル/cm2、または約0.3ピコモル/cm2、または約0.4ピコモル/cm2、または約0.5ピコモル/cm2、または約0.6ピコモル/cm2、または約0.7ピコモル/cm2、または約0.8ピコモル/cm2、または約0.9ピコモル/cm2、または約1ピコモル/cm2である。
【0052】
いくつかの実施形態では、有効用量の核酸薬物は、約0.1ピコモル/cm2~約20ピコモル/cm2、または約0.2ピコモル/cm2~約15ピコモル/cm2、または約0.5ピコモル/cm2~約10ピコモル/cm2、または約0.8ピコモル/cm2~約8ピコモル/cm2、または約1ピコモル/cm2~約5ピコモル/cm2、または約2ピコモル/cm2~約4ピコモル/cm2である。
【0053】
種々の実施形態では、核酸薬物、例えば、合成RNAは、薬学的に許容される製剤で投与される。種々の実施形態では、核酸薬物、例えば、合成RNAは、注入及び局所投与のうちの1つ以上のために製剤化される。一例として、核酸薬物、例えば、合成RNAは、目的組織、例えば、疾患の部位(非限定例を挙げると、腫瘍)に注入するように配合してもよい。種々の実施形態では、注入は、パッチを介した送達を含む。いくつかの実施形態では、送達は、電気刺激によって仲介される。種々の実施形態では、核酸薬物、例えば、合成RNAは、表皮(角質層、淡明層、顆粒層、有棘層、及び基底層から任意に選択される)、基底膜、真皮(乳頭領域、及び網状領域から任意に選択される)、皮下組織、結膜、角膜、強膜、虹彩、水晶体、角膜輪部、視神経、脈絡膜、毛様体、前眼部、前眼房、及び網膜のうちの1つ以上に投与するように製剤化される。種々の実施形態では、核酸薬物、例えば、合成RNAは、皮下注入、皮内注入、皮下注入、筋肉内注入、眼内注入、硝子体内注入、関節内注入、心臓内注入、静脈内注入、硬膜外注入、髄腔内注入、腫瘍内注入、及び局所投与のうちの1つ以上のために製剤化される。種々の実施形態では、核酸薬物、例えば、合成RNAは、真皮または表皮のうちの1つ以上に皮内(ID)注入するように製剤化される。種々の実施形態では、核酸薬物、例えば、合成RNAは、ケラチノサイト及び線維芽細胞のうちの1つ以上に作用する(例えば、これらの細胞に1つ以上の治療用タンパク質を発現させる)ような方法で投与される。
【0054】
したがって、本発明は、本明細書に記載されるような種々の製剤を提供する。さらに、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される製剤は、本発明の種々の送達及び/または治療方法における使用を見出す。例えば、製剤は、小胞、例えば、リポソームを含むことができる(Langer,1990,Science 249:1527-1533、Treat et al.,in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease,and Cancer,Lopez-Berestein,and Fidler(eds.),Liss,New York,pp.353-365(1989)を参照されたい)。種々の実施形態では、製剤は、リポソームの水性懸濁液を含む。代表的なリポソーム成分を表1に記載するが、例として与えられ、限定するものではない。種々の実施形態では、表1の脂質の1つ以上、または2つ以上、または3つ以上、または4つ以上、または5つ以上を製剤中に組み合わせる。
【0055】
【0056】
いくつかの実施形態では、リポソームは、リポフェクタミン3000を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、米国特許第4,897,355号または同第7,479,573号または国際特許公報第WO/2015/089487号、またはFelgner,P.L.et al.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413-7417(各々の内容全体は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている1つ以上の脂質を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、リポソームは、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を含む。
【0058】
一実施形態では、リポソームは、PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG800、PEG1000、PEG1500、PEG2000、PEG3000、及びPEG4000から任意に選択される1つ以上のポリエチレングリコール(PEG)鎖を含む。いくつかの実施形態では、PEGは、PEG2000である。いくつかの実施形態では、リポソームは、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)またはその誘導体を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、製剤は、N-(カルボニル-エトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(MPEG2000-DSPE)、完全水素化ホスファチジルコリン、コレステロール、リポフェクタミン3000、カチオン性脂質、ポリカチオン性脂質、及び1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[葉酸(ポリエチレングリコール)-5000](FA-MPEG5000-DSPE)のうちの1つ以上を含む。
【0060】
一実施形態では、製剤は、約3.2mg/mLのN-(カルボニル-エトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(MPEG2000-DSPE)、約9.6mg/mLの完全水素化ホスファチジルコリン、約3.2mg/mLのコレステロール、約2mg/mLの硫酸アンモニウム、及び緩衝液としてのヒスチジンを含み、約0.27mg/mLの1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[葉酸(ポリエチレングリコール)-5000](FA-MPEG5000-DSPE)は、脂質混合物に添加する。別の実施形態では、核酸は、約1μgの核酸当たり1μLのリポフェクタミン3000を組み合わせて、室温で少なくとも約5分間インキュベートすることによって複合体化される。一実施形態では、リポフェクタミン3000は、約1mg/mLの濃度で脂質を含む溶液である。いくつかの実施形態では、核酸は、約1μgの核酸当たり約10μgのリポソーム製剤を組み合わせて、室温で約5分間インキュベートすることによって封入される。
【0061】
いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上のナノ粒子を含む。一実施形態では、ナノ粒子は、高分子ナノ粒子である。種々の実施形態では、製剤は、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、テトラブロック共重合体、及びマルチブロック共重合体のうちの1つ以上を含む。種々の実施形態では、製剤は、ポリエチレングリコール(PEG)-修飾ポリ乳酸(PLA)ジブロック共重合体(PLA-PEG)、及びPEG-ポリプロピレングリコール-PEG-修飾PLA-テトラブロック共重合体(PLA-PEG-PPG-PEG)を含む高分子ナノ粒子のうちの1つ以上を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、製剤は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるWO/2000/027795に記載されている1つ以上の脂質を含む。
【0063】
一実施形態では、治療薬は、1つ以上のリガンドを含む。別の実施形態では、治療薬は、アンドロゲン、CD30(TNFRSF8)、細胞透過性ペプチド、CXCR、エストロゲン、上皮成長因子、EGFR、HER2、葉酸、インスリン、インスリン様成長因子I、インターロイキン13、インテグリン、プロゲステロン、間質由来因子1、トロンビン、ビタミンD、及びトランスフェリン、またはそれらの生物学的に活性な断片もしくは変異体のうちの少なくとも1つを含む。
【0064】
本発明の活性組成物は、典型的な医薬製剤を含んでもよい。本発明によるこれらの組成物の投与は、標的組織がその経路を介して利用可能である限り、任意の一般的な経路を介してもよい。これは、経口、経鼻、または口内を含む。あるいは、投与は、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、もしくは静脈内注入によるもの、または疾患組織、例えば、癌組織中への直接注入によるものでもよい。本明細書に開示される剤はさらに、カテーテルシステムにより投与してもよい。そのような組成物は通常、本明細書に記載されるような薬学的に許容される組成物として投与される。
【0065】
本明細書に記載される組成物の投与は、例えば、注入、局所投与、眼投与及び経鼻投与によるものであってもよい。注入は、いくつかの実施形態では、電気力(例えば、電気化学療法における使用を見出す器具(例えばCLINIPORATOR,IGEA Srl,Carpi[MO],Italy)を使用するエレクトロポレーション)に連結してもよい。局所投与は、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、スプレー、溶液などとしてもよいが、これらに限定されない。局所投与はさらに、界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸、キレート剤、非キレート非界面活性剤、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-20-セチルエーテル、胆汁酸及び/または塩と組み合わせた脂肪酸及び/または塩、ラウリン酸、カプリン酸、及びUDCAと組み合わせたナトリウム塩などであるがこれらに限定されない浸透増強剤を含んでもよい。局所投与はさらに、香料、着色剤、日焼け止め剤、抗菌剤、及び/または保湿剤を含んでもよい。本明細書に記載される組成物は、額、頭皮、毛包、毛、上まぶた、下まぶた、眉毛、まつげ、眼窩下エリア、眼窩周囲のエリア、こめかみ、鼻、鼻梁、頬、舌、鼻唇溝、唇、眼周囲のエリア、あごのライン、耳、首、胸、前腕、上腕、手のひら、手、指、爪、背中、腹、脇腹、尻、太もも、ふくらはぎ、足、つま先などであるがこれらに限定されない少なくとも1つの部位に投与してもよい。
【0066】
投与経路としては、例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、舌下、鼻腔内、脳内、膣内、経皮、経直腸、吸入、または局所(特に、耳、鼻、目、または皮膚)が挙げられる。いくつかの実施形態では、投与することは、経口または非経口注入によって行われる。
【0067】
配合時に、溶液は、本明細書に記載されるような投薬製剤と適合する方法で、及び治療的に有効であるような量で投与してもよい。製剤は、注入可能な液剤、薬剤放出カプセル剤などの種々の剤形で簡単に投与してもよい。水溶液での非経口投与のために、例えば、溶液は一般に、適当に緩衝され、液体希釈剤はまず、例えば、十分な生理食塩水またはグルコースで等張にされる。そのような水溶液は、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、及び腹腔内投与のために用いてもよい。好ましくは、滅菌水性培地は、当業者に知られているように、特に本開示に照らして用いられる。
【0068】
種々の実施形態では、核酸薬物、例えば、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNA、及び/またはそれを含む製剤は、任意に、皮下注入、皮内注入、皮下注入、及び筋肉内注入のうちの1つ以上によって局所投与され、有効用量は、約4mm2~約150mm2(例えば、約4mm2またはそれ以下、または約5mm2またはそれ以下、または約6mm2またはそれ以下、または約7mm2またはそれ以下、または約8mm2またはそれ以下、または約10mm2またはそれ以下、または約20mm2またはそれ以下、または約50mm2またはそれ以下、または約100mm2またはそれ以下、または約150mm2またはそれ以下)の表面積に投与される。種々の実施形態では、核酸薬物、例えば、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNA、及び/またはそれを含む製剤は、任意に、皮下注入、皮内注入、皮下注入、及び筋肉内注入のうちの1つ以上によって局所投与され、有効用量は、約4mm2、または約5mm2、または約6mm2、または約7mm2、または約8mm2、または約10mm2、または約20mm2、または約50mm2、または約100mm2、または約150mm2以下の表面積に投与される。種々の実施形態では、核酸薬物、例えば、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNA、及び/またはそれを含む製剤は、任意に、皮下注入、皮内注入、皮下注入、及び筋肉内注入のうちの1つ以上によって局所投与され、有効用量は、約4mm2、または約5mm2、または約6mm2、または約7mm2、または約8mm2、または約10mm2、または約20mm2、または約50mm2、または約100mm2、または約150mm2の表面積に投与される。
【0069】
種々の実施形態では、核酸薬物、例えば、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNA、及び/またはそれを含む製剤は、任意に、皮下注入、皮内注入、皮下注入、及び筋肉内注入のうちの1つ以上によって局所投与され、有効用量(重量RNA/注入の表面積)は、約35ng/cm2~約7000ng/cm2である。種々の実施形態では、核酸薬物、例えば、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNA、及び/またはそれを含む製剤は、任意に、皮下注入、皮内注入、皮下注入、及び筋肉内注入のうちの1つ以上によって局所投与され、有効用量(重量RNA/注入の表面積)は、約35ng/cm2、または約50ng/cm2、または約75ng/cm2、または約100ng/cm2、または約125ng/cm2、または約150ng/cm2、または約175ng/cm2、または約200ng/cm2、または約225ng/cm2、または約250ng/cm2、または約500ng/cm2、または約1000ng/cm2、または約2000ng/cm2、または約5000ng/cm2、または約7000ng/cm2以下である。種々の実施形態では、核酸薬物、例えば、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNA、及び/またはそれを含む製剤は、任意に、皮下注入、皮内注入、皮下注入、及び筋肉内注入のうちの1つ以上によって局所投与され、有効用量(重量RNA/注入の表面積)は、約35ng/cm2、または約50ng/cm2、または約75ng/cm2、または約100ng/cm2、または約125ng/cm2、または約150ng/cm2、または約175ng/cm2、または約200ng/cm2、または約225ng/cm2、または約250ng/cm2、または約500ng/cm2、または約1000ng/cm2、または約2000ng/cm2、または約5000ng/cm2、または約7000ng/cm2である。
【0070】
医薬製剤はさらに、送達試薬(別名「トランスフェクション試薬」、別名「ビヒクル」、別名「送達ビヒクル」)、及び/または賦形剤を含んでもよい。薬学的に許容される送達試薬、賦形剤、並びに患者(別名「対象」)に、医薬製剤を調製及び投与するための方法を含むそれらの調製及び使用方法は、当技術分野で周知であり、例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2008/0213377号を含む多数の刊行物に記載されている。
【0071】
例えば、本発明の組成物は、薬学的に許容される塩の形態をとることができる。そのような塩は、例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる、J.Pharma.Sci.66,2-19(1977)、及びThe Handbook of Pharmaceutical Salts、Properties,Selection,and Use.P.H.Stahl and C.G.Wermuth(eds.),Verlag,Zurich(Switzerland)2002に記載されているものを含む。薬学的に許容される塩の非限定例としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、パモ酸塩、フェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、クロロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン-2-安息香酸塩、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、α-ヒドロキシ酪酸塩、ブチン-1,4-ジカルボン酸塩、ヘキシン-1,4-ジカルボン酸塩、カプリン酸塩、カプリル酸塩、ケイ酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、リンゴ酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ニコチン酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、プロピオル酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、セバシン酸塩、スベリン酸塩、p-ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エチルスルホン酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、ナフタレン-1,5-スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、及び酒石酸塩と、ナトリウム、カリウム、及びリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物と、カルシウム及びマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物と、アルミニウム及び亜鉛などの他の金属の水酸化物と、アンモニア及び未置換またはヒドロキシ置換モノ-、ジ-、またはトリ-アルキルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの有機アミンと、トリブチルアミンと、ピリジンと、N-メチル、N-エチルアミンと、ジエチルアミンと、トリエチルアミンと、モノ-、ビス-、またはトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、2-ヒドロキシ-tert-ブチルアミン、またはトリス-(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどのモノ-、ビス-、またはトリス-(2-OH-低級アルキルアミン)と、N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミンまたはトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミンなどのN,N-ジ-低級アルキル-N-(ヒドロキシル-低級アルキル)-アミンと、N-メチル-D-グルカミンと、アルギニン、リジンなどのアミノ酸などが挙げられる。
【0072】
本医薬組成物は、水並びにピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの、石油、動物、植物、または合成由来のものを含む油などの液体を含む賦形剤を含むことができる。医薬賦形剤は、例えば、生理食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプン糊、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素などとすることができる。加えて、補助剤、安定剤、増粘剤、滑沢剤、及び着色剤を用いることができる。一実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、対象に投与される場合に無菌である。好適な医薬賦形剤はさらに、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ナトリウムステアレート、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを含む。本明細書に記載される任意の剤はさらに、必要に応じて少量の湿潤剤もしくは乳化剤またはpH緩衝剤を含んでもよい。
【0073】
非経口投与(例えば、皮下、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内、関節内、及び輸液)に適している剤形としては、例えば、溶液、懸濁液、分散液、エマルションなどが挙げられる。それは、使用直前に滅菌注入可能培地中に溶解または懸濁させることができる滅菌固体組成物(例えば、凍結乾燥組成物)の形態で製造してもよい。これらは、例えば、当該技術分野で知られる懸濁剤または分散剤を含有してもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される製剤は、アルブミン、及び核酸分子を含み得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、本発明は、化粧品組成物に関する。一実施形態では、化粧品組成物は、アルブミンを含む。別の実施形態では、アルブミンは、イオン交換樹脂または活性炭で処理される。さらに別の実施形態では、化粧品組成物は、核酸分子を含む。さらなる実施形態では、化粧品組成物は、アルブミン及び核酸分子の両方を含む。さらに他の実施形態は、患者に組成物を送達するように構成される器具に含有される化粧品組成物を含む美容的治療物品に関する。さらに他の実施形態は、患者に化粧品組成物を送達するように構成される器具に関する。一実施形態では、核酸分子は、エラスチン、コラーゲン、チロシナーゼ、メラノコルチン1受容体、ケラチン、フィラグリン、抗体、及びヒアルロン酸合成酵素、またはそれらの生物学的に活性な断片、変異体、類似体またはファミリーメンバーの群のメンバーをコードする。
【0076】
いくつかの実施形態では、本発明は、治療計画を提供する。本発明者らは、本明細書に記載される用量及び投与が、実質的なタンパク質発現効果を急速に(例えば、約6、または約12、または約24、または約36、または約48時間で)生成できることを発見した。さらに、これらの効果は、約7日間またはそれ以上持続することができる。いくつかの実施形態では、本方法は、核酸薬物、例えば、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNAの投与を約週1回~約20週おきに1回提供する。
【0077】
いくつかの実施形態では、核酸薬物、例えば、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNAは、約週1回で少なくとも2週間(例えば、3、または4、または5、または6、または7、または8、または9、または10週間)投与される。いくつかの実施形態では、核酸薬物、例えば、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNAは、約隔週1回で少なくとも1ヵ月(例えば、1、または2、または3、または4、または5、または6、または12ヵ月間)投与される。いくつかの実施形態では、核酸薬物、例えば、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNAは、月1回または約隔月1回投与される。いくつかの実施形態では、核酸薬物、例えば、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNAは、少なくとも2ヵ月間、または少なくとも4ヵ月間、または少なくとも6ヵ月間、または少なくとも9ヵ月間、または少なくとも1年間投与される。
【0078】
いくつかの実施形態では、核酸薬物、例えば、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNAは、約週1回、または約2週おきに1回、または約3週おきに1回、または約4週おきに1回、または約5週おきに1回、または約6週おきに1回、または約7週おきに1回、または約8週おきに1回、または約9週おきに1回、または約10週おきに1回、または約11週おきに1回、または約12週おきに1回、または約13週おきに1回、または約14週おきに1回、または約15週おきに1回、または約20週おきに1回、または約24週おきに1回投与される。
【0079】
いくつかの実施形態では、核酸薬物、例えば、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNAは、約週1回、または約2週おきに1回、または約3週おきに1回、または約4週おきに1回、または約5週おきに1回、または約6週おきに1回、または約7週おきに1回、または約8週おきに1回、または約9週おきに1回、または約10週おきに1回、または約11週おきに1回、または約12週おきに1回、または約13週おきに1回、または約14週おきに1回、または約15週おきに1回、または約20週おきに1回、または約24週おきに1回以下で投与される。
【0080】
ある特定のタンパク質は、長い半減期を有し、数時間、数日、数週間、数ヶ月、または数年の間、組織内で存続することができる。例えば、患者を治療するある特定の方法は、例えば、1つ以上の有益なタンパク質を含む、1つ以上のタンパク質の蓄積をもたらすことができることが、現在発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、1つ以上のタンパク質をコードする核酸を、一連の投与量で患者に送達することを含む、患者を治療するための方法に関する。一実施形態では、核酸は、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNAを含む。別の実施形態では、第1の投与量は、第1の時点で与えられる。さらに別の実施形態では、第2の投与量は、第2の時点で与えられる。さらなる実施形態では、第2の時点での患者における1つ以上のタンパク質のうちの少なくとも1つの量は、第1の時点での前記タンパク質の量より多い。さらに別の実施形態では、方法は、患者において前記タンパク質の蓄積をもたらす。
【0081】
種々の実施形態では、本発明は、核酸薬物、種々の実施形態では、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNAに関する。ある特定の非標準ヌクレオチドは、RNA分子に組み込まれる場合、部分的には、理論に束縛されるものではないが、外来核酸を検出するタンパク質、例えば、タンパク質キナーゼR、Rig-1、及びオリゴアデニル酸シンセターゼファミリーのタンパク質の結合を妨害することにより、RNA分子の毒性を減少させることができる。RNAの中に組み込まれる場合に、RNA分子の毒性を減少させることが報告されている非標準ヌクレオチドとしては、プソイドウリジン、5-メチルウリジン、2-チオウリジン、5-メチルシチジン、N6-メチルアデノシン、及びそれらのある特定の組み合わせが挙げられる。しかしながら、非標準ヌクレオチドにRNA分子のインビボ毒性を低下させることを可能にすることができる、非標準ヌクレオチドの化学的特性は、現時点まで、依然として知られていない。さらに、大量のほとんどの非標準ヌクレオチド、例えば、5-メチルウリジン、2-チオウリジン、5-メチルシチジン、及びN6-メチルアデノシンを組み込むことにより、RNA分子がタンパク質に翻訳することができる効率を減少させる可能性があり、タンパク質発現を必要とする用途での、これらのヌクレオチドを含有するRNA分子の利用が制限される。加えて、プソイドウリジンは、合成RNA分子がタンパク質に翻訳することができる効率を減少させることなく、RNA分子中のウリジンと完全に置換することができるが、ある特定の状況、例えば、頻繁に繰り返しトランスフェクションを実施する場合では、アデノシン、グアノシン、シチジン、及びプソイドウリジンのみを含有する合成RNA分子は、過剰な毒性を示す可能性がある。
【0082】
ピリミジンの場合2C位及び/または4C位及び/または5C位に、またはプリンの場合6C位及び/または7N位及び/または8C位に、1つ以上の置換を含む、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含有するRNA分子は、これらの位置での置換が、外来核酸を検出するタンパク質による合成RNA分子の認識を妨害する能力を有することにある程度起因して、標準ヌクレオチドのみを含有する合成RNA分子よりも低い毒性である可能性があり、さらに、これらの位置での置換が、塩基対形成及び塩基スタッキング相互作用を十分に妨害しないことにある程度起因して、これらの位置での置換が、合成RNA分子がタンパク質に翻訳することができる効率に、最小限の影響を有する可能性があることが、現在発見されており、いくつかの実施形態では、本発明は、それに関する。
【0083】
【0084】
ピリミジンの場合2C位及び/または4C位及び/または5C位に、またはプリンの場合6C位及び/または7N位及び/または8C位に、1つ以上の置換を含む非標準ヌクレオチドの例としては、2-チオウリジン、5-アザウリジン、プソイドウリジン、4-チオウリジン、5-メチルウリジン、5-メチルプソイドウリジン、5-アミノウリジン、5-アミノプソイドウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-ヒドロキシプソイドウリジン、5-メトキシウリジン、5-メトキシプソイドウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-ヒドロキシメチルプソイドウリジン、5-カルボキシウリジン、5-カルボキシプソイドウリジン、5-ホルミルウリジン、5-ホルミルプソイドウリジン、5-メチル-5-アザウリジン、5-アミノ-5-アザウリジン、5-ヒドロキシ-5-アザウリジン、5-メチルプソイドウリジン、5-アミノプソイドウリジン、5-ヒドロキシプソイドウリジン、4-チオ-5-アザウリジン、4-チオプソイドウリジン、4-チオ-5-メチルウリジン、4-チオ-5-アミノウリジン、4-チオ-5-ヒドロキシウリジン、4-チオ-5-メチル-5-アザウリジン、4-チオ-5-アミノ-5-アザウリジン、4-チオ-5-ヒドロキシ-5-アザウリジン、4-チオ-5-メチルプソイドウリジン、4-チオ-5-アミノプソイドウリジン、4-チオ-5-ヒドロキシプソイドウリジン、2-チオシチジン、5-アザシチジン、プソイドイソシチジン、N4-メチルシチジン、N4-アミノシチジン、N4-ヒドロキシシチジン、5-メチルシチジン、5-アミノシチジン、5-ヒドロキシシチジン、5-メトキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メチル-5-アザシチジン、5-アミノ-5-アザシチジン、5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、5-メチルプソイドイソシチジン、5-アミノプソイドイソシチジン、5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、N4-メチル-5-アザシチジン、N4-メチルプソイドイソシチジン、2-チオ-5-アザシチジン、2-チオプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-メチルシチジン、2-チオ-N4-アミノシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシシチジン、2-チオ-5-メチルシチジン、2-チオ-5-アミノシチジン、2-チオ-5-ヒドロキシシチジン、2-チオ-5-メチル-5-アザシチジン、2-チオ-5-アミノ-5-アザシチジン、2-チオ-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、2-チオ-5-メチルプソイドイソシチジン、2-チオ-5-アミノプソイドイソシチジン、2-チオ-5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-アザシチジン、2-チオ-N4-メチルプソイドイソシチジン、N4-メチル-5-メチルシチジン、N4-メチル-5-アミノシチジン、N4-メチル-5-ヒドロキシシチジン、N4-メチル-5-メチル-5-アザシチジン、N4-メチル-5-アミノ-5-アザシチジン、N4-メチル-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、N4-メチル-5-メチルプソイドイソシチジン、N4-メチル-5-アミノプソイドイソシチジン、N4-メチル-5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、N4-アミノ-5-アザシチジン、N4-アミノプソイドイソシチジン、N4-アミノ-5-メチルシチジン、N4-アミノ-5-アミノシチジン、N4-アミノ-5-ヒドロキシシチジン、N4-アミノ-5-メチル-5-アザシチジン、N4-アミノ-5-アミノ-5-アザシチジン、N4-アミノ-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、N4-アミノ-5-メチルプソイドイソシチジン、N4-アミノ-5-アミノプソイドイソシチジン、N4-アミノ-5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、N4-ヒドロキシ-5-アザシチジン、N4-ヒドロキシプソイドイソシチジン、N4-ヒドロキシ-5-メチルシチジン、N4-ヒドロキシ-5-アミノシチジン、N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシシチジン、N4-ヒドロキシ-5-メチル-5-アザシチジン、N4-ヒドロキシ-5-アミノ-5-アザシチジン、N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、N4-ヒドロキシ-5-メチルプソイドイソシチジン、N4-ヒドロキシ-5-アミノプソイドイソシチジン、N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-メチルシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-アミノシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-ヒドロキシシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-メチル-5-アザシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-アミノ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-メチルプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-アミノプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-メチル-5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-アミノプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-メチルシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-アミノシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-ヒドロキシシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-メチル-5-アザシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-アミノ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-メチルプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-アミノプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-アミノ-5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-メチルシチジン、N4-ヒドロキシ-5-アミノシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-メチル-5-アザシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-アミノ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシ-5-アザシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-メチルプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-アミノプソイドイソシチジン、2-チオ-N4-ヒドロキシ-5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、N6-メチルアデノシン、N6-アミノアデノシン、N6-ヒドロキシアデノシン、7-デアザアデノシン、8-アザアデノシン、N6-メチル-7-デアザアデノシン、N6-メチル-8-アザアデノシン、7-デアザ-8-アザアデノシン、N6-メチル-7-デアザ-8-アザアデノシン、N6-アミノ-7-デアザアデノシン、N6-アミノ-8-アザアデノシン、N6-アミノ-7-デアザ-8-アザアデノシン、N6-ヒドロキシアデノシン、N6-ヒドロキシ-7-デアザアデノシン、N6-ヒドロキシ-8-アザアデノシン、N6-ヒドロキシ-7-デアザ-8-アザアデノシン、6-チオグアノシン、7-デアザグアノシン、8-アザグアノシン、6-チオ-7-デアザグアノシン、6-チオ-8-アザグアノシン、7-デアザ-8-アザグアノシン、6-チオ-7-デアザ-8-アザグアノシン、及び5-メトキシウリジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
いくつかの実施形態では、本発明は、5-ヒドロキシシチジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メトキシシチジン、5-ヒドロキシウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-ホルミルウリジン、5-メトキシウリジン、プソイドウリジン、5-ヒドロキシプソイドウリジン、5-メチルプソイドウリジン、5-ヒドロキシメチルプソイドウリジン、5-カルボキシプソイドウリジン、5-ホルミルプソイドウリジン、及び5-メトキシプソイドウリジンから選択される1つ以上の非標準ヌクレオチドに関する。いくつかの実施形態では、非標準ヌクレオチドの少なくとも50%、または少なくとも55%、または少なくとも60%、または少なくとも65%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または100%は、5-ヒドロキシシチジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メトキシシチジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-ホルミルウリジン、5-メトキシウリジン、プソイドウリジン、5-ヒドロキシプソイドウリジン、5-メチルプソイドウリジン、5-ヒドロキシメチルプソイドウリジン、5-カルボキシプソイドウリジン、5-ホルミルプソイドウリジン、及び5-メトキシプソイドウリジンのうちの1つ以上である。
【0086】
いくつかの実施形態では、シチジン残基の少なくとも約50%、または少なくとも約55%%、または少なくとも60%、または少なくとも65%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または100%は、5-ヒドロキシシチジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メトキシシチジンから選択される非標準ヌクレオチドである。
【0087】
いくつかの実施形態では、ウリジン残基の少なくとも約20%、または約30%、または約40%、または約50%、または少なくとも約55%、または少なくとも60%、または少なくとも65%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または100%は、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-ホルミルウリジン、5-メトキシウリジン、プソイドウリジン、5-ヒドロキシプソイドウリジン、5-メチルプソイドウリジン、5-ヒドロキシメチルプソイドウリジン、5-カルボキシプソイドウリジン、5-ホルミルプソイドウリジン、及び5-メトキシプソイドウリジンから選択される非標準ヌクレオチドである。
【0088】
いくつかの実施形態では、グアノシン残基の少なくとも約10%(例えば、10%、または約20%、または約30%、または約40%、または約50%)は、非標準ヌクレオチドであり、非標準ヌクレオチドは、任意に、7-デアザグアノシンである。いくつかの実施形態では、RNAは、グアノシン残基の代わりに約50%以下の7-デアザグアノシンを含有する。
【0089】
いくつかの実施形態では、RNAは、アデノシン残基の代わりに非標準ヌクレオチドを含有しない。
【0090】
ある特定の非標準ヌクレオチドに対して、代替的な命名体系が存在することに注意を要する。例えば、ある特定の状況では、5-メチルプソイドウリジンは、「3-メチルプソイドウリジン」または「N3-メチルプソイドウリジン」または「1-メチルプソイドウリジン」または「N1-メチルプソイドウリジン」と称することができる。
【0091】
接頭語「アミノ」を含有するヌクレオチドは、ヌクレオチドの所定の位置の原子に結合される窒素原子を含有する任意のヌクレオチドを指すことができ、例えば、5-アミノシチジンは、5-アミノシチジン、5-メチルアミノシチジン、及び5-ニトロシチジンを指すことができる。同様に、接頭語「メチル」を含むヌクレオチドは、ヌクレオチドの所定の位置の原子に結合される炭素原子を含有する任意のヌクレオチドを指すことができ、例えば、5-メチルシチジンは、5-メチルシチジン、5-エチルシチジン、及び5-ヒドロキシメチルシチジンを指すことができ、接頭語「チオ」を含むヌクレオチドは、ヌクレオチドの所与の位置の原子に結合される硫黄原子を含有する任意のヌクレオチドを指すことができ、接頭語「ヒドロキシ」を含有するヌクレオチドは、ヌクレオチドの所与の位置の原子に結合される酸素原子を含有する任意のヌクレオチドを指すことができ、例えば、5-ヒドロキシウリジンは、5-ヒドロキシウリジン及びウリジンの5C位の原子に結合される酸素原子に結合されるメチル基を有するウリジンを指すことができる。
【0092】
したがって、ある特定の実施形態は、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNAに関し、RNA分子は、ピリミジンの場合2C位及び/または4C位及び/または5C位に、またはプリンの場合6C位及び/または7N位及び/または8C位に、1つ以上の置換を含む1つ以上のヌクレオチドを含有する。他の実施形態は、治療薬が1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む1つ以上のRNA分子を含有し、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む1つ以上のRNA分子が、ピリミジンの場合2C位及び/または4C位及び/または5C位に、またはプリンの場合6C位及び/または7N位及び/または8C位に、1つ以上の置換を含む1つ以上のヌクレオチドを含有する治療薬に関する。一実施形態では、治療薬は、トランスフェクション試薬を含む。別の実施形態では、トランスフェクション試薬は、カチオン性脂質、リポソーム、またはミセルを含む。さらに別の実施形態では、リポソームまたはミセルは葉酸を含み、治療用組成物は抗癌活性を有する。別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドウリジン、2-チオウリジン、4-チオウリジン、5-アザウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-アミノウリジン、2-チオプソイドウリジン、4-チオプソイドウリジン、5-ヒドロキシプソイドウリジン、5-メチルプソイドウリジン、5-アミノプソイドウリジン、プソイドイソシチジン、N4-メチルシチジン、2-チオシチジン、5-アザシチジン、5-ヒドロキシシチジン、5-アミノシチジン、5-メチルシチジン、N4-メチルプソイドイソシチジン、2-チオプソイドイソシチジン、5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、5-アミノプソイドイソシチジン、5-メチルプソイドイソシチジン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、6-チオグアノシン、及び6-チオ-7-デアザグアノシンのうちの少なくとも1つを含む。別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドウリジン、2-チオウリジン、4-チオウリジン、5-アザウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-アミノウリジン、2-チオプソイドウリジン、4-チオプソイドウリジン、5-ヒドロキシプソイドウリジン、5-メチルプソイドウリジン、及び5-アミノプソイドウリジンのうちの少なくとも1つ、並びにプソイドイソシチジン、N4-メチルシチジン、2-チオシチジン、5-アザシチジン、5-ヒドロキシシチジン、5-アミノシチジン、5-メチルシチジン、N4-メチルプソイドイソシチジン、2-チオプソイドイソシチジン、5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、5-アミノプソイドイソシチジン、及び5-メチルプソイドイソシチジンのうちの少なくとも1つを含む。さらに別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドウリジン、2-チオウリジン、4-チオウリジン、5-アザウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-アミノウリジン、2-チオプソイドウリジン、4-チオプソイドウリジン、5-ヒドロキシプソイドウリジン、及び5-メチルプソイドウリジン、5-アミノプソイドウリジンのうちの少なくとも1つ、プソイドイソシチジン、N4-メチルシチジン、2-チオシチジン、5-アザシチジン、5-ヒドロキシシチジン、5-アミノシチジン、5-メチルシチジン、N4-メチルプソイドイソシチジン、2-チオプソイドイソシチジン、5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、5-アミノプソイドイソシチジン、及び5-メチルプソイドイソシチジンのうちの少なくとも1つ、並びに7-デアザグアノシン、6-チオグアノシン、6-チオ-7-デアザグアノシン、及び5-メトキシウリジンのうちの少なくとも1つを含む。さらに別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、5-メチルシチジン及び7-デアザグアノシンを含む。別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドはさらに、プソイドウリジンまたは4-チオウリジンまたは5-メチルウリジンまたは5-アミノウリジンまたは4-チオプソイドウリジンまたは5-メチルプソイドウリジンまたは5-アミノプソイドウリジンを含む。さらに別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドはさらに、7-デアザアデノシンを含む。別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドイソシチジン及び7-デアザグアノシン及び4-チオウリジンを含む。さらに別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドイソシチジンまたは7-デアザグアノシン及びプソイドウリジンを含む。さらに別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、5-メチルウリジン及び5-メチルシチジン及び7-デアザグアノシンを含む。さらなる実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドウリジンまたは5-メチルプソイドウリジン及び5-メチルシチジン及び7-デアザグアノシンを含む。別の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドは、プソイドイソシチジン及び7-デアザグアノシン及びプソイドウリジンを含む。一実施形態では、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNAは、インビボで存在する。
【0093】
ある特定の非標準ヌクレオチドは、標準的な塩基対形成相互作用及び塩基スタッキング相互作用に関与する、並びに対応する標準ヌクレオチドがRNAポリメラーゼと相互作用する様式と同様の様式でRNAポリメラーゼと相互作用する、これらのある特定の非標準ヌクレオチドの傾向にある程度起因して、インビトロ転写のために一般に用いられるRNAポリメラーゼにより、RNA分子に、他の非標準ヌクレオチドよりも効率的に組み込むことができる。その結果、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含有するある特定のヌクレオチド混合物は、1つには、これらのヌクレオチド混合物を含有するインビトロ転写反応により多量のRNAを得ることができるために、有益である可能性がある。したがって、ある特定の実施形態は、ピリミジンの場合2C位及び/または4C位及び/または5C位に、またはプリンの場合6C位及び/または7N位及び/または8C位に、1つ以上の置換を含む1つ以上のヌクレオチドを含有するヌクレオチド混合物に関する。ヌクレオチド混合物としては、(各ヌクレオチドの前の数は、インビトロ転写反応における非標準ヌクレオチド三リン酸の代表的分率を表示し、例えば、0.2のプソイドイソシチジンは、アデノシン-5′-三リン酸、グアノシン-5′-三リン酸、ウリジン-5′-三リン酸、シチジン-5′-三リン酸、及びプソイドイソシチジン-5′-三リン酸を含有する反応を指し、プソイドイソシチジン-5′-三リン酸は、量がモル基準または質量基準のいずれかで測定された状態で、反応に存在するプソイドイソシチジン-5′-三リン酸+シチジン-5′-三リン酸の総量の0.2倍にほぼ等しい量で反応に存在し、ヌクレオチドの前の2つ以上の数は、代表的分率の範囲を表示する)1.0のプソイドウリジン、0.1~0.8の2-チオウリジン、0.1~0.8の5-メチルウリジン、0.2~1.0の5-ヒドロキシウリジン、0.2~1.0の5-メトキシウリジン、0.1~1.0の5-アミノウリジン、0.1~1.0の4-チオウリジン、0.1~1.0の2-チオプソイドウリジン、0.1~1.0の4-チオプソイドウリジン、0.1~1.0の5-ヒドロキシプソイドウリジン、0.2~1の5-メチルプソイドウリジン、0.2~1.0の5-メトキシプソイドウリジン、0.1~1.0の5-アミノプソイドウリジン、0.2~1.0の2-チオシチジン、0.1~0.8のプソイドイソシチジン、0.2~1.0の5-メチルシチジン、0.2~1.0の5-ヒドロキシシチジン、0.2~1.0の5-ヒドロキシメチルシチジン、0.2~1.0の5-メトキシシチジン、0.1~1.0の5-アミノシチジン、0.2~1.0のN4-メチルシチジン、0.2~1.0の5-メチルプソイドイソシチジン、0.2~1.0の5-ヒドロキシプソイドイソシチジン、0.2~1.0の5-アミノプソイドイソシチジン、0.2~1.0のN4-メチルプソイドイソシチジン、0.2~1.0の2-チオプソイドイソシチジン、0.2~1.0の7-デアザグアノシン、0.2~1.0の6-チオグアノシン、0.2~1.0の6-チオ-7-デアザグアノシン、0.2~1.0の8-アザグアノシン、0.2~1.0の7-デアザ-8-アザグアノシン、0.2~1.0の6-チオ-8-アザグアノシン、0.1~0.5の7-デアザアデノシン、及び0.1~0.5のN6-メチルアデノシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
種々の実施形態では、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNA組成物または合成ポリヌクレオチド組成物(例えば、インビトロ転写により調製され得る)は、遺伝コードのアデニンまたは「A」を有する位置に標準ヌクレオチドを実質的にまたは完全に含有する。本文脈中の「実質的に」という用語は、少なくとも90%を指す。これらの実施形態では、RNA組成物または合成ポリヌクレオチド組成物はさらに、遺伝コードの「G」の位置に7-デアザグアノシン、及び対応する標準ヌクレオチド「G」を含有(例えば、からなる)してもよく、Gの位置の標準及び非標準ヌクレオチドは、5:1~1:5の範囲内に、またはいくつかの実施形態では、2:1~1:2の範囲内にあってもよい。これらの実施形態では、RNA組成物または合成ポリヌクレオチド組成物はさらに、遺伝コードの「C」の位置に5-ヒドロキシシチジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メトキシシチジンのうちの1つ以上(例えば、2つ、3つ、または4つ)、並びに標準ヌクレオチド「C」を含有(例えば、からなる)してもよく、Cの位置の標準及び非標準ヌクレオチドは、5:1~1:5の範囲内に、またはいくつかの実施形態では、2:1~1:2の範囲内にあってもよい。いくつかの実施形態では、「C」の位置の非標準ヌクレオチドのレベルは、前記段落に記載の通りである。これらの実施形態では、RNA組成物または合成ポリヌクレオチド組成物はさらに、遺伝コードの「U」の位置に5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-ホルミルウリジン、5-メトキシウリジン、プソイドウリジン、5-ヒドロキシプソイドウリジン、5-メチルプソイドウリジン、5-ヒドロキシメチルプソイドウリジン、5-カルボキシプソイドウリジン、5-ホルミルプソイドウリジン、及び5-メトキシプソイドウリジンのうちの1つ以上(例えば、2つ、3つ、または4つ)、並びに標準ヌクレオチド「U」を含有(例えば、からなる)してもよく、「U」の位置の標準及び非標準ヌクレオチドは、5:1~1:5の範囲内に、またはいくつかの実施形態では、2:1~1:2の範囲内にあってもよい。いくつかの実施形態では、「U」の位置の非標準ヌクレオチドのレベルは、前記段落に記載の通りである。
【0095】
ある特定の非標準ヌクレオチドを組み合わせることは、1つには、RNA分子の毒性を低下させる非標準ヌクレオチドの寄与を追加することができるために、有益である可能性があることが、現在発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、例えば、ヌクレオチド混合物が、プソイドイソシチジン及び7-デアザグアノシンの両方を含有し、またはヌクレオチド混合物が、N4-メチルシチジン及び7-デアザグアノシンの両方を含有するなど、ヌクレオチド混合物が、前記非標準ヌクレオチドのうちの2つ以上を含有するヌクレオチド混合物に関する。一実施形態では、ヌクレオチド混合物は、前記非標準ヌクレオチドのうちの2つ以上を含有し、非標準ヌクレオチドのそれぞれは、前記分率で混合物に存在する。例えば、ヌクレオチド混合物は、0.1~0.8のプソイドイソシチジン及び0.2~1.0の7-デアザグアノシンを含有し、またはヌクレオチド混合物は、0.2~1.0のN4-メチルシチジン及び0.2~1.0の7-デアザグアノシンを含有するなどである。
【0096】
ある特定の状況では、例えば、インビトロ転写反応の収率を最大にすることが、必要でないまたは望ましくないことがある場合、前記以外のヌクレオチド画分を用いてもよい。前記の代表的な分率及び画分の範囲は、通常の純度(90%を超える純度)のヌクレオチド三リン酸溶液に関連する。これらの及び他のヌクレオチドのより大きい分率は、例えば、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)などの既存の化学精製技術を用いて、ヌクレオチド三リン酸溶液を精製することにより、または他の手段により達成することができるより高い純度、例えば、約95%を超える純度または約98%を超える純度または約99%を超える純度または約99.5%を超える純度のヌクレオチド三リン酸溶液を用いることにより、用いることができる。一実施形態では、複数の異性体を有するヌクレオチドは、所望の異性体を高めるように精製される。
【0097】
他の実施形態は、ピリミジンの場合2C位及び/または4C位及び/または5C位に、またはプリンの場合6C位及び/または7N位及び/または8C位に、1つ以上の置換を含む1つ以上の非標準ヌクレオチドを含有するRNA分子と細胞を接触させることにより、目的タンパク質を発現させるようにインビボの細胞を誘導するための方法に関する。さらに他の実施形態は、ピリミジンの場合2C位及び/または4C位及び/または5C位に、またはプリンの場合6C位及び/または7N位及び/または8C位に、1つ以上の置換を含む1つ以上の非標準ヌクレオチドを含有するRNA分子と細胞を接触させることにより、インビボの細胞をトランスフェクション、リプログラミング、及び/または遺伝子編集するための方法に関する。一実施形態では、RNA分子は、インビトロ転写により産生される。一実施形態では、RNA分子は、1つ以上のリプログラミング因子をコードする。別の実施形態では、1つ以上のリプログラミング因子は、Oct4タンパク質を含む。別の実施形態では、細胞をさらに、Sox2タンパク質をコードするRNA分子と接触させる。さらに別の実施形態では、細胞をさらに、Klf4タンパク質をコードするRNA分子と接触させる。さらに別の実施形態では、細胞をさらに、c-Mycタンパク質をコードするRNA分子と接触させる。さらに別の実施形態では、細胞をさらに、Lin28タンパク質をコードするRNA分子と接触させる。
【0098】
T7 RNAポリメラーゼなどの酵素は、標準及び非標準ヌクレオチドの両方を含有するインビトロ転写反応で、標準ヌクレオチドを優先的に組み込むことがある。その結果、ある特定の分率の非標準ヌクレオチドを含有するインビトロ転写反応により、非標準ヌクレオチドが反応に存在した分率と異なる、多くの場合それよりも低い分率の非標準ヌクレオチドを含有するRNAを得ることがある。したがって、ある特定の実施形態では、ヌクレオチド組み込み分率への言及(例えば、「50%のプソイドイソシチジンを含有する合成RNA分子」または「0.1~0.8のプソイドイソシチジン」)は、そのような反応により、非標準ヌクレオチドが反応に存在した分率と異なる分率のヌクレオチドを含有するRNAを得ることがある場合であっても、所定の分率のヌクレオチドを含有するRNA分子、及び所定の分率のヌクレオチド(または、ヌクレオチド誘導体、例えば、ヌクレオチド-三リン酸)を含有する反応で合成されるRNA分子の両方を指すことができる。
【0099】
異なるヌクレオチド配列は、代替的コドンを利用することにより、同じタンパク質をコードすることができる。したがって、ある特定の実施形態では、ヌクレオチド組み込み分率への言及は、所定の分率のヌクレオチドを含有するRNA分子、及び異なるRNA分子と同じタンパク質をコードするRNA分子の両方を指すことができ、異なるRNA分子は、所定の分率のヌクレオチドを含有する。
【0100】
ある特定の実施形態は、本発明を実行するために必要とされる1つ以上の材料を含有するキットに関する。一実施形態では、キットは、1つ以上の合成RNA分子を含有する。一実施形態では、キットは、1つ以上のリプログラミング因子及び/または遺伝子編集タンパク質をコードする1つ以上の合成RNA分子を含有する。別の実施形態では、1つ以上の合成RNA分子は、ピリミジンの場合2C位及び/または4C位及び/または5C位に、またはプリンの場合6C位及び/または7N位及び/または8C位に、1つ以上の置換を含む1つ以上の非標準ヌクレオチドを含有する。別の実施形態では、キットは、トランスフェクション培地、トランスフェクション試薬、複合体形成培地、及びマトリックス溶液のうちの1つ以上を含有する。一実施形態では、マトリックス溶液は、フィブロネクチン及び/またはビトロネクチン、または組換えフィブロネクチン及び/または組換えビトロネクチンを含有する。一実施形態では、キットの構成成分のうちの1つ以上は、複数のアリコートとして存在する。一実施形態では、キットは、核酸トランスフェクション試薬複合体のアリコートを含有する。別の実施形態では、キットは、固体の形態で、例えば、凍結したまたは凍結乾燥したペレットとして、提供される核酸トランスフェクション試薬複合体のアリコートを含有する。さらに別の実施形態では、キットは、培地のアリコートを含み、各アリコートは、化学処理または凍結のいずれかにより安定化されるトランスフェクション試薬-核酸複合体を含有する。
【0101】
一般にトランスフェクション、及び特にリプログラミングは、反復的でエラーを生じる傾向にある可能性がある、困難で時間のかかる技術である可能性がある。しかしながら、これらの技術は多くの場合は、自動化されたトランスフェクション装置の不足のために、手動で実施されることが多い。したがって、ある特定の実施形態は、自動化または半自動化された様式で、インビボの細胞をトランスフェクション、リプログラミング、及び/または遺伝子編集することができるシステムに関する。
【0102】
5-メチルシチジン脱メチル化経路の非標準ヌクレオチドメンバーは、合成RNA内に組み込まれる場合、合成RNAがインビボでタンパク質に翻訳することができる効率を増大させることができ、インビボで合成RNAの毒性を低減させることができることが、現在発見されている。これらの非標準ヌクレオチドは、例えば、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-ホルミルシチジン、及び5-カルボキシシチジン(別称「シチジン-5-カルボン酸」)を含む。したがって、ある特定の実施形態は、核酸に関する。いくつかの実施形態では、核酸は、インビボで存在する。一実施形態では、核酸は、合成RNA分子である。別の実施形態では、核酸は、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む。一実施形態では、核酸は、5-メチルシチジン脱メチル化経路の1つ以上の非標準ヌクレオチドメンバーを含む。別の実施形態では、核酸は、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-ホルミルシチジン、及び5-カルボキシシチジンまたはそれらの誘導体のうちの少なくとも1つを含む。さらなる実施形態では、核酸は、プソイドウリジン、5-メチルプソイドウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、N4-メチルシチジン、N4-アセチルシチジン、及び7-デアザグアノシンまたはそれらの誘導体のうちの少なくとも1つを含む。
【0103】
【0104】
ある特定の実施形態は、タンパク質に関する。他の実施形態は、タンパク質をコードする核酸に関する。一実施形態では、タンパク質は、目的タンパク質である。別の実施形態では、タンパク質は、リプログラミングタンパク質及び遺伝子編集タンパク質から選択される。一実施形態では、核酸は、プラスミドである。別の実施形態では、核酸は、ウイルスにまたはウイルスベクターに存在する。さらなる実施形態では、ウイルスまたはウイルスベクターは、複製不能である。さらに別の実施形態では、ウイルスまたはウイルスベクターは、複製可能である。一実施形態では、ウイルスまたはウイルスベクターは、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルス、またはそれらの天然もしくは操作された変異体、及び操作されたウイルスのうちの少なくとも1つを含む。
【0105】
非標準ヌクレオチドのある特定の組み合わせにより、合成RNAがインビボでタンパク質に翻訳することができる効率を増大させること、及びインビボでの合成RNAの毒性を低減させることにおいて特に有効である可能性があることも、発見されており、例えば、その組み合わせは、5-メチルウリジン及び5-メチルシチジン、5-ヒドロキシウリジン及び5-メチルシチジン、5-ヒドロキシウリジン及び5-ヒドロキシメチルシチジン、5-メチルウリジン及び7-デアザグアノシン、5-メチルシチジン及び7-デアザグアノシン、5-メチルウリジン、5-メチルシチジン、及び7-デアザグアノシン、並びに5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、及び7-デアザグアノシンである。したがって、ある特定の実施形態は、5-メチルウリジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、及び7-デアザグアノシン、またはそれらの1つ以上の誘導体のうちの少なくとも2つを含む核酸に関する。他の実施形態は、5-メチルウリジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、及び7-デアザグアノシン、またはそれらの1つ以上の誘導体のうちの少なくとも3つを含む核酸に関する。他の実施形態は、5-メチルウリジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、及び7-デアザグアノシン、またはそれらの1つ以上の誘導体のうちの全てを含む核酸に関する。一実施形態では、核酸は、1つ以上の5-メチルウリジン残基、1つ以上の5-メチルシチジン残基、及び1つ以上の7-デアザグアノシン残基、または1つ以上の5-メチルウリジン残基、1つ以上の5-ヒドロキシメチルシチジン残基、及び1つ以上の7-デアザグアノシン残基を含む。
【0106】
ある特定の分率のある特定の非標準ヌクレオチド及びそれらの組み合わせを含有する合成RNA分子は、インビボで特に高い翻訳効率並びに低い毒性を示す可能性があることが、さらに発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、1つ以上のウリジン残基、1つ以上のシチジン残基、及び1つ以上のグアノシン残基のうちの少なくとも1つを含み、及び1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む核酸に関する。一実施形態では、ウリジン残基の約20%~約80%は、5-メチルウリジン残基である。別の実施形態では、ウリジン残基の約30%~約50%は、5-メチルウリジン残基である。さらなる実施形態では、ウリジン残基の約40%は、5-メチルウリジン残基である。一実施形態では、シチジン残基の約60%~約80%は、5-メチルシチジン残基である。別の実施形態では、シチジン残基の約80%~約100%は、5-メチルシチジン残基である。さらなる実施形態では、シチジン残基の約100%は、5-メチルシチジン残基である。さらに別の実施形態では、シチジン残基の約20%~約100%は、5-ヒドロキシメチルシチジン残基である。一実施形態では、グアノシン残基の約20%~約80%は、7-デアザグアノシン残基である。別の実施形態では、グアノシン残基の約40%~約60%は、7-デアザグアノシン残基である。さらなる実施形態では、グアノシン残基の約50%は、7-デアザグアノシン残基である。一実施形態では、シチジン残基の約20%~約80%、または約30%~約60%、または約40%は、N4-メチルシチジン及び/またはN4-アセチルシチジン残基である。別の実施形態では、各シチジン残基は、5-メチルシチジン残基である。さらなる実施形態では、シチジン残基の約100%は、5-メチルシチジン残基及び/または5-ヒドロキシメチルシチジン残基、及び/またはN4-メチルシチジン残基及び/またはN4-アセチルシチジン残基及び/またはそれらの1つ以上の誘導体である。さらに別の実施形態では、ウリジン残基の約40%は、5-メチルウリジン残基であり、シチジン残基の約20%~約100%は、N4-メチルシチジン及び/またはN4-アセチルシチジン残基であり、グアノシン残基の約50%は、7-デアザグアノシン残基である。一実施形態では、ウリジン残基の約40%は、5-メチルウリジン残基であり、シチジン残基の約100%は、5-メチルシチジン残基である。別の実施形態では、ウリジン残基の約40%は、5-メチルウリジン残基であり、グアノシン残基の約50%は、7-デアザグアノシン残基である。さらなる実施形態では、シチジン残基の約100%は、5-メチルシチジン残基であり、グアノシン残基の約50%は、7-デアザグアノシン残基である。さらなる実施形態では、ウリジン残基の約100%は、5-ヒドロキシウリジン残基である。一実施形態では、ウリジン残基の約40%は、5-メチルウリジン残基であり、シチジン残基の約100%は、5-メチルシチジン残基であり、グアノシン残基の約50%は、7-デアザグアノシン残基である。別の実施形態では、ウリジン残基の約40%は、5-メチルウリジン残基であり、シチジン残基の約20%~約100%は、5-ヒドロキシメチルシチジン残基であり、グアノシン残基の約50%は、7-デアザグアノシン残基である。いくつかの実施形態では、シチジン残基の100%未満は、5-メチルシチジン残基である。他の実施形態では、シチジン残基の100%未満は、5-ヒドロキシメチルシチジン残基である。一実施形態では、合成RNA分子の各ウリジン残基は、プソイドウリジン残基または5-メチルプソイドウリジン残基である。別の実施形態では、ウリジン残基の約100%は、プソイドウリジン残基及び/または5-メチルプソイドウリジン残基である。さらなる実施形態では、ウリジン残基の約100%は、プソイドウリジン残基及び/または5-メチルプソイドウリジン残基であり、シチジン残基の約100%は、5-メチルシチジン残基であり、グアノシン残基の約50%は、7-デアザグアノシン残基である。
【0107】
5-メチルウリジンの代わりに、またはそれと組み合わせて用いることができる他の非標準ヌクレオチドは、プソイドウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-ヒドロキシプソイドウリジン、5-メトキシウリジン、5-メトキシプソイドウリジン、5-カルボキシウリジン、5-カルボキシプソイドウリジン、5-ホルミルウリジン、5-ホルミルプソイドウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-ヒドロキシメチルプソイドウリジン、及び5-メチルプソイドウリジン(別称「1-メチルプソイドウリジン」、別称「N1-メチルプソイドウリジン)」)、またはそれらの1つ以上の誘導体を含むが、これらに限定されない。5-メチルシチジン及び/または5-ヒドロキシメチルシチジンの代わりに、またはそれと組み合わせて用いることができる他の非標準ヌクレオチドは、プソイドイソシチジン、5-メチルプソイドイソシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-ホルミルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-メトキシシチジン、N4-メチルシチジン、N4-アセチルシチジン、またはそれらの1つ以上の誘導体を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、例えば、単一のトランスフェクション、注入、または送達のみを実施する場合、あるいはトランスフェクション、注入、または送達される細胞、組織、器官、または患者が、特にトランスフェクション関連の毒性または先天性免疫シグナル伝達に対する感受性がない場合、非標準ヌクレオチドの分率を減少させることができる。非標準ヌクレオチドの分率を減少させることは、1つには、非標準ヌクレオチドの分率を減少することにより、核酸のコストを減少させることができるために、有益である可能性がある。ある特定の状況では、例えば、核酸の最小の免疫原性が望まれる場合、非標準ヌクレオチドの分率を増大させることができる。
【0108】
T7 RNAポリメラーゼなどの酵素は、標準及び非標準ヌクレオチドの両方を含有するインビトロ転写反応で、標準ヌクレオチドを優先的に組み込むことがある。その結果、ある特定の分率の非標準ヌクレオチドを含有するインビトロ転写反応により、非標準ヌクレオチドが反応に存在した分率と異なる、多くの場合それよりも低い分率の非標準ヌクレオチドを含有するRNAを得ることがある。したがって、ある特定の実施形態では、ヌクレオチド組み込み分率(例えば、「50%の5-メチルウリジン」)への言及は、そのような反応により、非標準ヌクレオチドが反応に存在した分率と異なる分率のヌクレオチドを含有する核酸を得ることがある場合であっても、所定の分率のヌクレオチドを含有する核酸、及び所定の分率のヌクレオチド(または、ヌクレオチド誘導体、例えば、ヌクレオチド-三リン酸)を含有する反応で合成される核酸の両方を指すことができる。加えて、異なるヌクレオチド配列は、代替的コドンを利用することにより、同じタンパク質をコードすることができる。したがって、ある特定の実施形態では、ヌクレオチド組み込み分率への言及は、所定の分率のヌクレオチドを含有する核酸、及び異なる核酸と同じタンパク質をコードする核酸の両方を指すことができ、異なる核酸は、所定の分率のヌクレオチドを含有する。
【0109】
ある特定の実施形態は、キャップ0、キャップ1、キャップ2、及びキャップ3、またはそれらの誘導体から選択される5′キャップ構造を含む核酸に関する。一実施形態では、核酸は、1つ以上のUTRを含む。別の実施形態では、1つ以上のUTRは、核酸の安定性を増大させる。さらなる実施形態では、1つ以上のUTRは、αグロビンまたはβグロビン5′UTRを含む。さらに別の実施形態では、1つ以上のUTRは、αグロビンまたはβグロビン3′UTRを含む。さらに別の実施形態では、合成RNA分子は、αグロビンまたはβグロビン5′UTR、及びαグロビンまたはβグロビン3′UTRを含む。一実施形態では、5′UTRは、コザックコンセンサス配列と実質的に同様のコザック配列を含む。別の実施形態では、核酸は、3′ポリ(A)テールを含む。さらなる実施形態では、3′ポリ(A)テールは、約20nt~約250nt、または約120nt~約150ntの長さである。さらなる実施形態では、3′ポリ(A)テールは、約20nt、または約30nt、または約40nt、または約50nt、または約60nt、または約70nt、または約80nt、または約90nt、または約100nt、または約110nt、または約120nt、または約130nt、または約140nt、または約150nt、または約160nt、または約170nt、または約180nt、または約190nt、または約200nt、または約210nt、または約220nt、または約230nt、または約240nt、または約250ntの長さである。
【0110】
ある特定の実施形態は、核酸薬物、例えば、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含むRNAを作成するための方法に関する。そのような方法は、実質的に安定的なRNAを生成する。
【0111】
種々の実施形態では、本方法及び組成物は、疾患、障害、及び/または状態を治療、予防、または改善するための方法における使用を見出す。例えば、いくつかの実施形態では、種々の有効用量、投与戦略、及び製剤を含む、インビボ送達の記載された方法は、治療方法で使用される。
【0112】
種々の実施形態では、本方法及び組成物は、組織を(例えば、美容的に)変更、修正、及び/または変化させるための方法における使用を見出す。
【0113】
種々の実施形態では、本方法及び組成物は、合成RNAを含む核酸薬物を、本明細書に記載される疾患、障害、及び/または状態を診断、治療、予防、または改善するために使用することを含む。種々の実施形態では、本方法及び組成物は、合成RNAを含む核酸薬物を、組織を(例えば、美容的に)変更、修正、及び/または変化させるために使用することを含む。
【0114】
一般的に言えば、種々の実施形態では、本明細書に記載されるような合成RNAは、本明細書に記載される特定用量でヒトに投与され、合成RNAは、配列(治療用タンパク質であり得る目的タンパク質をコードする標的配列と呼ばれることもある)を含む。
【0115】
標準ヌクレオチドのみを含む合成RNAは、パターン認識受容体に結合することができ、病原体関連分子パターンとして認識することができ、翻訳遮断、炎症性サイトカインの分泌、及び細胞死をもたらす可能性がある、細胞において強力な免疫応答を誘発することができる。ある特定の非標準ヌクレオチドを含む合成RNAは、先天性免疫系による検出を回避することができ、例えば、ヒト中でタンパク質に高効率で翻訳することができることが、現在発見されている。本明細書に記載される非標準ヌクレオチドのうちの少なくとも1つ、例えば、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メトキシシチジン、プソイドウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-メトキシウリジン、5-ホルミルウリジン、5-ヒドロキシプソイドウリジン、5-メチルプソイドウリジン、5-ヒドロキシメチルプソイドウリジン、5-カルボキシプソイドウリジン、5-メトキシプソイドウリジン、及び5-ホルミルプソイドウリジンの群のメンバーを含む合成RNAは、先天性免疫系による検出を回避することができ、例えば、ヒト中でタンパク質に高効率で翻訳することができることが、さらに発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、合成RNAと細胞を接触させることを含む、目的タンパク質を発現させるように細胞を誘導するための方法に関する。他の実施形態は、1つ以上の合成RNA分子を含む溶液と細胞を接触させることを含む、合成RNAで細胞をトランスフェクションするための方法に関する。さらに他の実施形態は、合成RNAを患者に投与することを含む、患者を治療するための方法に関する。一実施形態では、合成RNAは、本明細書に記載される非標準ヌクレオチドのうちの少なくとも1つ、例えば、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メトキシシチジン、プソイドウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-メトキシウリジン、5-ホルミルウリジン、5-ヒドロキシプソイドウリジン、5-メチルプソイドウリジン、5-ヒドロキシメチルプソイドウリジン、5-カルボキシプソイドウリジン、5-メトキシプソイドウリジン、及び5-ホルミルプソイドウリジンの群のメンバーを含む。別の実施形態では、合成RNAは、目的タンパク質をコードする。代表的RNAは、本明細書に記載される任意の目的タンパク質の発現に関するものを含む、本明細書の他の場所に記載されるような標準及び非標準ヌクレオチドの組み合わせ及びレベルを含有してもよい。さらに別の実施形態では、方法は、目的タンパク質の発現をもたらす。さらなる実施形態では、方法は、患者の皮膚において、目的タンパク質の発現をもたらす。
【0116】
他の実施形態は、インビボの細胞に核酸を送達するための方法に関する。さらに他の実施形態は、目的タンパク質を発現させるようにインビボの細胞を誘導するための方法に関する。さらに他の実施形態は、患者を治療するための方法に関する。一実施形態では、方法は、角質層を破壊することを含む。別の実施形態では、方法は、核酸と細胞を接触させることを含む。さらに別の実施形態では、方法は、核酸を内在化する細胞をもたらす。さらなる実施形態では、方法は、目的タンパク質を発現する細胞をもたらす。さらに別の実施形態では、方法は、患者において目的タンパク質の発現をもたらす。さらに別の実施形態では、方法は、患者の症状のうちの1つ以上の改善をもたらす。さらに別の実施形態では、患者は、目的タンパク質を必要としている。さらに別の実施形態では、患者は、目的タンパク質が欠損している。
【0117】
さらに他の実施形態は、組成物を患者に送達することを含む患者を治療するための方法に関する。一実施形態では、組成物は、イオン交換樹脂または活性炭で処理されたアルブミンを含む。別の実施形態では、組成物は、1つ以上の核酸分子を含む。さらに別の実施形態では、1つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、目的タンパク質をコードする。一実施形態では、方法は、患者の皮膚においてタンパク質の発現をもたらす。別の実施形態では、方法は、患者において治療的または美容的有効量の目的タンパク質の発現をもたらす。さらに別の実施形態では、方法は、ステロイドを投与することを含む。さらなる実施形態では、ステロイドは、ヒドロコルチゾン及びデキサメタゾンの群のメンバーである。
【0118】
いくつかの実施形態は、1つ以上のタンパク質をコードする核酸分子を含む治療用組成物及び/または方法に関し、1つ以上のタンパク質のうちの少なくとも1つは、細胞外マトリックスタンパク質である。さらに他の実施形態は、1つ以上のタンパク質をコードする核酸分子を含む化粧品組成物に関し、1つ以上のタンパク質のうちの少なくとも1つは、細胞外マトリックスタンパク質である。
【0119】
色素沈着障害は、患者において重篤な症状を引き起こす可能性がある。色素沈着障害は、チロシナーゼをコードする核酸を患者に送達することにより治療することができることが、現在発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、色素沈着障害を治療するための方法に関する。他の実施形態は、患者の色素沈着を変更するための方法に関する。一実施形態では、方法は、チロシナーゼをコードする核酸を患者に送達することを含む。他の実施形態は、チロシナーゼをコードする核酸を含む化粧品組成物に関する。さらに他の実施形態は、チロシナーゼをコードする核酸を含む治療用組成物に関する。さらに他の実施形態は、患者の皮膚の紫外線吸収を増大させるための方法に関する。一実施形態では、方法は、チロシナーゼをコードする核酸を患者に送達することを含む。別の実施形態では、方法は、患者の皮膚の紫外線吸収における増大をもたらす。さらに他の実施形態は、紫外線に曝露する際のヒトの皮膚の光損傷を減少させるための方法に関する。一実施形態では、方法は、紫外線に曝露する際のヒトの皮膚の光損傷の減少をもたらす。さらに他の実施形態は、色素性乾皮症を治療するための方法に関する。一実施形態では、方法は、チロシナーゼをコードする核酸を患者に送達することを含む。さらに他の実施形態は、表皮水疱症を治療するための方法に関する。一実施形態では、方法は、ケラチン5、ケラチン14、プレクチン、インテグリンファミリーメンバー、ラミニン、ラミニンサブユニット、XVII型コラーゲン、VII型コラーゲン、またはそれらの生物学的に活性な断片、変異体、類似体またはファミリーメンバーのうちの1つ以上をコードする核酸を患者に送達することを含む。一実施形態では、方法は、VII型コラーゲンをコードする核酸を患者に送達することを含む。別の実施形態では、方法は、メラノコルチン1受容体をコードする核酸を患者に送達することを含む。さらに他の実施形態は、乾燥症を治療するための方法に関する。一実施形態では、方法は、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸を患者に送達することを含む。別の実施形態では、患者は、アトピー性皮膚炎と診断されている。さらに別の実施形態では、患者は、魚鱗癬と診断されている。ある特定の実施形態は、美容的状態を処置するための方法に関する。他の実施形態は、組織治癒を誘導するための方法に関する。一実施形態では、方法は、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸を患者に送達することを含む。別の実施形態では、美容的状態は、しわ、たるみ肌、薄い皮膚、変色、及び乾燥肌の群のメンバーである。さらに別の実施形態では、患者は、白内障手術を受けている。いくつかの実施形態では、核酸は、合成RNAである。他の実施形態では、方法は、患者の症状のうちの1つ以上の改善をもたらす。他の実施形態は、タンパク質またはペプチドをコードする核酸を細胞または患者に送達することにより、適応症を治療するための方法に関する。さらに他の実施形態は、タンパク質またはペプチドをコードする核酸を含む組成物に関する。本発明の方法及び組成物を用いて治療できる適応症、並びに本発明の組成物によりコードすることができるタンパク質及びペプチドは、表2A及び/または表2Bに記載され、制限のためでなく例示のために与えられる。一実施形態では、適応症は、表2A及び/または表2Bから選択される。別の実施形態では、タンパク質またはペプチドは、表2A及び/または表2Bから選択される。さらに別の実施形態では、適応症及びタンパク質またはペプチドは、表2A及び/または表2Bの同じ行から選択される。さらなる実施形態では、目的タンパク質は、UCP1、UCP2、及びUCP3の群のメンバーである。他の実施形態は、複数の目的タンパク質を発現させるように細胞を誘導するための方法に関する。一実施形態では、目的タンパク質は、リパーゼ、UCP1、UCP2、及びUCP3の群のうちの少なくとも2つのメンバーを含む。別の実施形態では、目的タンパク質は、リパーゼ並びにUCP1、UCP2、及びUCP3の群のメンバーを含む。別の実施形態では、タンパク質は、遺伝子編集タンパク質である。さらに別の実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、少なくとも部分的に疾患の表現型の原因となる遺伝子を標的とする。さらに別の実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、表2A及び/または表2Bから選択されるタンパク質をコードする遺伝子を標的とする。さらに別の実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、少なくとも部分的に疾患の表現型の原因となる変異を、単独または1つ以上の他の分子または遺伝子編集タンパク質との組み合わせのいずれかで、修正または削除する。
【0120】
種々の実施形態では、本発明は、表2A及び/または表2Bに開示されたタンパク質のいずれかの前駆体形態及び/または成熟形態及び/またはアイソフォーム及び/または突然変異体、及びそのようなタンパク質の標的化を企図する。いくつかの実施形態では、前駆体形態及び/または成熟形態及び/またはアイソフォーム及び/または突然変異体のいずれかは、対応する野生型タンパク質と比較して分泌が強化されている。いくつかの実施形態では、前駆体形態及び/または成熟形態及び/またはアイソフォーム及び/または突然変異体のいずれかは、半減期(例えば、血清、血漿、細胞内)が変更されている-例えば、半減期が長くまたは短くなっている。いくつかの実施形態では、これは、野生型に対してである。
【0121】
【表2A-1】
【表2A-2】
【表2A-3】
【表2A-4】
【表2A-5】
【表2A-6】
【表2A-7】
【表2A-8】
【0122】
本発明の追加の例示的目的物は、内容全体が参照により本明細書に組み込まれる国際特許公報第WO2013/151671号の表6に記載される化粧品の目的物を含む。
【0123】
種々の実施形態では、本発明の薬剤は、ヒトの外皮系に作用させるための方法に使用される。本組成物及び方法は、生物学的及び/または生理学的プロセスを変更するために用いてもよい。例えば、皮膚のたるみを減少させるため、皮膚の厚みを増大させるため、皮膚のボリュームを増大させるため、しわの数、しわの長さ及び/またはしわの深さを減少させるため、皮膚のはり、硬さ、色調、及び/または弾力性を増大させるため、皮膚の水和並びに水分、水流、及び浸透性バランスを保持する能力を増大させるため、皮膚脂質のレベルを増大させるためと、細胞外マトリックス及び/または接着及び伝達ポリペプチドを増大させるためと、皮膚のエネルギー生成、利用、及び保全を増大させるためと、酸素利用能を改善するためと、皮膚細胞の寿命を改善するためと、皮膚細胞の免疫防御、熱ショックストレス応答、フリーラジカルを中和する抗酸化防御能力、及び/または毒物防御を改善するためと、紫外線からの保護と回復を改善するためと、皮膚細胞の伝達及び皮膚細胞の神経刺激伝達を改善するためと、細胞粘着/接着を改善するためと、カルシウムミネラル及び他のミネラル代謝を改善するためと、細胞のターンオーバーを改善するためと、細胞の概日リズムを改善するために用いてもよい。
【0124】
さらにまた、いくつかの実施形態では、本組成物は、疾患、障害、及び/または状態を治療、制御、または予防するために用いてもよく、及び/または疾患、障害、及び/または状態に罹患している対象の外皮系のメンバーの外観を、変更する、修正する、または変化させてもよく、これらの疾患、障害、及び/または状態は、尋常性ざ瘡、夏季ざ瘡、集簇性ざ瘡、化粧ざ瘡、電撃性ざ瘡、項部ざ瘡ケロイド、機械的ざ瘡、薬剤性ざ瘡、粟粒性壊死性ざ瘡、壊疽性ざ瘡、紅斑性ざ瘡、光線性角化症、尋常性ざ瘡、夏季ざ瘡、集簇性ざ瘡、化粧ざ瘡、電撃性ざ瘡、項部ざ瘡ケロイド、機械的ざ瘡、薬剤性ざ瘡、粟粒性壊死性ざ瘡、壊疽性ざ瘡、紅斑性ざ瘡、急性蕁麻疹、アレルギー性接触皮膚炎、円形脱毛症、血管浮腫、足白癬、アトピー性皮膚炎、自家感作性皮膚炎、乳児ざ瘡、脱毛、ブラストミセス症、黒色面皰、母斑、及び他の皮膚色素沈着問題、吹出物、挫傷、虫咬傷及び虫刺傷、熱傷、蜂巣炎、ツツガムシ、塩素ざ瘡、コリン性蕁麻疹またはストレス蕁麻疹、慢性蕁麻疹、寒冷蕁麻疹、融合性細網状乳頭腫症、うおのめ、嚢胞、頭部粃糠疹、疱疹性皮膚炎、皮膚描記症、汗疱状湿疹、おむつかぶれ、乾燥肌、発汗異常症、発汗減少性外胚葉異形成症及びX連鎖発汗減少性外胚葉異形成症などの外胚葉異形成症、湿疹、疣贅状表皮発育異常症、結節性紅斑、剥脱性ざ瘡、運動誘発性アナフィラキシー、毛嚢炎、皮脂過剰、毛嚢炎、雀卵斑、凍瘡、爪白癬、毛髪密度、毛髪成長速度、ハロゲンざ瘡、脱毛症、紅色汗疹、血腫、単純ヘルペス感染症(例えば、非生殖器)、化膿性汗腺炎、蕁麻疹、多汗症、色素沈着過度、発汗減少性外胚葉異形成症、色素脱失症、膿痂疹、内方発育毛、温熱蕁麻疹、陥入爪、小児ざ瘡または新生児ざ瘡、掻痒、刺激性接触皮膚炎、いんきんたむし、ケロイド、毛孔性角化症、扁平苔癬、硬化性苔癬、顔面播種状粟粒性狼瘡、肝斑、黒子、伝染性軟属腫、爪成長速度、爪健康状態、神経皮膚炎、貨幣状湿疹、職業性ざ瘡、油性ざ瘡、爪真菌症、物理的蕁麻疹、毛巣嚢胞、ばら色粃糠疹、癜風、ウルシかぶれ、ポマードざ瘡、須毛部仮性毛包炎または項部ざ瘡ケロイド、乾癬、乾癬性関節炎、圧蕁麻疹または遅発性圧蕁麻疹、切傷及び擦り傷などの刺傷、発疹、希少蕁麻疹または水蕁麻疹、鼻形成術、白癬、酒さ、ロスムンド・トムソン症候群、皮膚のたるみ、疥癬、瘢痕、脂漏症、脂漏性皮膚炎、帯状疱疹、皮膚癌、皮膚垂、日光蕁麻疹、クモ咬症、伸展線、日焼け、タールざ瘡、熱帯ざ瘡、皮膚菲薄化、鷲口瘡、癜風、一過性棘融解性皮膚症、ざ瘡壊死汗疹または粟粒性壊疽性ざ瘡、くすみ、静脈瘤、静脈性湿疹、振動血管浮腫、白斑、いぼ、ウェーバー・クリスチャン病、しわ、X連鎖発汗減少性外胚葉異形成症、乾燥性湿疹、酵母感染症、並びに老化の一般徴候などであるが、これらに限定されない。
【0125】
いくつかの実施形態では、本組成物で乾燥肌を治療、制御、または予防する方法が提供される。いくつかの実施形態では、プロフィラグリン(フィラグリンに転化されたタンパク質)が、目的タンパク質である(例えば、尋常性魚鱗癬を治療する場合)。
【0126】
いくつかの実施形態では、様々な種類の乾癬(例えば、尋常性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬、逆乾癬、及び乾癬性紅皮症)のうちの任意の1つを治療、制御、または予防する方法が提供される。種々の実施形態では、目的タンパク質は、乾癬感受性遺伝子1~9(PSORSI-PSORS9)の任意の産物である。
【0127】
種々の実施形態は、湿疹(例えば、アトピー性皮膚炎、貨幣状湿疹、汗疱状湿疹、脂漏性皮膚炎、刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、発汗異常症、静脈性湿疹、疱疹性皮膚炎、神経皮膚炎、自家感作性皮膚炎、及び乾燥性湿疹)の治療、制御、または予防に関し、任意に、次のうちの1つ以上を標的としてもよい。フィラグリン、湿疹と関連している3つの遺伝子変異体、OVO様1(OVOL1)、アクチン様9(ACTL9)、及びキネシンファミリーメンバー3A(KIF3A)、並びに遺伝子脳由来神経栄養因子(BDNF)及びタキキニン、前駆体1(TAC1)。
【0128】
急性蕁麻疹、慢性蕁麻疹及び血管浮腫、物理的蕁麻疹、圧蕁麻疹または遅発性圧蕁麻疹、コリン性蕁麻疹またはストレス蕁麻疹、寒冷蕁麻疹、温熱蕁麻疹、日光蕁麻疹、希少蕁麻疹または水蕁麻疹、振動血管浮腫、運動誘発性アナフィラキシー及び皮膚描記症を含むがこれらに限定されない、蕁麻疹性丘疹または蕁麻疹は、例えば、PLCG-2を標的とすることにより、本組成物で治療してもよい。
【0129】
種々の実施形態は、紅斑毛細血管拡張型酒さ、丘疹膿疱性酒さ、鼻瘤型酒さ、及び眼性酒さを含むがこれらに限定されない酒さの治療、制御、または予防に関する。任意に、カテリシジン抗菌ペプチド(CAMP)及び/またはカリクレイン関連ペプチダーゼ5(角質トリプシン酵素(SCTE)としても知られる)が、目的タンパク質である。
【0130】
いくつかの実施形態では、本組成物でざ瘡を治療、制御、または予防する方法が提供される。例えば、ざ瘡は、ざ瘡様発疹、夏期ざ瘡、集簇性ざ瘡、化粧ざ瘡、電撃性ざ瘡、項部ざ瘡ケロイド、機械的ざ瘡、薬剤性ざ瘡、粟粒性壊疽性ざ瘡、壊疽性ざ瘡、紅斑性ざ瘡、乳児ざ瘡、黒色面皰、塩素ざ瘡、剥脱性ざ瘡、ハロゲンざ瘡、小児ざ瘡または新生児ざ瘡、顔面播種状粟粒性狼瘡、職業性ざ瘡、油性ざ瘡、ポマードざ瘡、タールざ瘡、熱帯ざ瘡、ざ瘡壊死汗疹または粟粒性壊疽性ざ瘡、須毛部仮性毛包炎または項部ざ瘡ケロイド、及び化膿性汗腺炎を含んでもよいが、これらに限られない。これらの実施形態においては、目的タンパク質は、1つ以上のマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP-1または間質コラゲナーゼ)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-9(MMP-9)、及びマトリックスメタロプロテイナーゼ-13(MMP-13)であってもよい。
【0131】
さらなる実施形態では、白斑は、例えば、NLRファミリー、ピリンドメイン含有1遺伝子(NALP1)遺伝子が標的とされる本組成物で治療される。
【0132】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、例えば、エクトジスプラシンA遺伝子(EDA)、受容体(EDAR)、及び受容体関連死ドメイン(EDARADD)を介して、発汗減少性外胚葉異形成症(HED)の治療、制御、または予防における使用を見出す。
【0133】
いくつかの実施形態では、本組成物は、脱毛または薄毛(例えば、男性型脱毛症またはアンドロゲン性脱毛症(AGA))の治療、制御、または予防における使用を見出し、任意に、次のうちの1つ以上が、目的タンパク質であってもよい。アンドロゲン受容体(AR)、エクトジスプラシンA2受容体(EDA2R)、及びリゾホスファチジン酸受容体6(P2RY5)。
【0134】
本組成物はさらに、例えば、コラーゲン、リボソームs6キナーゼ、分泌されるリンタンパク質1(オステオポンチンとしても知られる)、またはトランスフォーミング成長因子β3での、瘢痕及び伸展線(線条)を治療、制御、または予防する方法における使用を見出す。
【0135】
さらに、疣贅状表皮発育異常症(ルッツ-レバンドウスキー表皮異形成としても知られる)は、希少常染色体性劣性遺伝子の遺伝性皮膚障害であり、例えば、標的とされる膜貫通チャネル様6(EVER1)または膜貫通チャネル様8(EVER2)遺伝子により、本発明の組成物で治療してもよい。
【0136】
いくつかの実施形態では、皮膚のたるみ、菲薄化、またはしわを、例えば、コラーゲン、エラスチン、線維芽細胞成長因子7、TIMPメタロペプチダーゼ阻害剤、マトリックスメタロペプチダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、及び他の細胞外マトリックスタンパク質、並びにプロテオグリカンなどの目的タンパク質のうちの1つ以上を標的とすることにより、本組成物で治療、制御、または予防してもよい。
【0137】
さらなる実施形態は、例えば、メラノサイト刺激ホルモン及び/またはプロオピオメラノコルチンを介する皮膚の日焼けに用いられる。
【0138】
いくつかの実施形態では、本組成物は、創傷治療のために用いてもよい。いくつかの実施形態では、本組成物で創傷を治療、制御、または予防する方法は、追加のステップを含み、例えば、創面切除、鋭い創面切除(創傷からの死んだまたは感染した組織の外科的除去)を含むがこれらに限定されない、壊死組織を除去するための、酵素などの化学的創面切除剤を任意に含む、創傷治癒及び閉鎖を容易にするための創傷床を洗浄することと、創傷に湿った暖かい環境を提供するための、並びに組織の修復及び治癒を促進するための創傷被覆材(例えば、ヒドロゲルを含む創傷被覆材(例えば、AQUASORB、DUODERM)、親水コロイドを含む創傷被覆材(例えば、AQUACEL、COMFEEL)、発泡体を含む創傷被覆材(例えば、LYOFOAM、SPYROSORB)、及びアルギネートを含む創傷被覆材(例えば、ALGISITE、CURASORB)と、細胞分裂及び増殖を刺激するための、及び創傷治癒を促進するための成長因子、例えば、ベカプレルミンの投与と、並びに(iv)軟組織創傷被覆(皮膚移植は、きれいで治癒していない創傷の被覆を得るために必要とすることがある(例えば、自家皮膚移植、死体皮膚移植、生物工学代用皮膚(例えば、APLIGRAF、DERMAGRAFT))である。
【0139】
種々の実施形態では、本明細書に記載される核酸薬物は、限定されないが、皮膚移植、及び美容外科または整形手術を伴う外科手術手順(例えば、眼瞼形成、鼻形成術、しわ切除、オトガイ形成術、顔面インプラント、耳形成術、植毛、口唇裂、及び口蓋裂の修復を含むがこれらに限定されない顔の整形手術手順、及び/または腹壁形成術、上腕形成術、太もものリフト、乳房縮小術、豊胸術、体形矯正、脂肪吸引、手の外科手術を含むがこれらに限定されない体の整形手術手順)を含む種々の美容/整形手術手順において使用することができる。
【0140】
種々の実施形態では、種々の癌(例えば、結腸直腸癌、胆嚢癌、肺癌、膵臓癌、及び胃癌)が、本組成物で治療、制御、または予防される。いくつかの実施形態では、皮膚癌が、本組成物で治療される。例えば、皮膚癌は、光線性角化症、基底細胞癌、黒色腫、カポジ肉腫、及び扁平上皮癌のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、周辺の末梢及び深部マージンアセスメント、モース術、放射線(例えば、外部ビーム放射線療法または近接照射療法)、化学療法(例えば、イミキモドまたは5-フルオロウラシルでの局所的な化学療法を含むがこれらに限定されない)、並びに凍結療法を完成させるためのアジュバントとして用いられる。本組成物はさらに、対癌米国合同委員会(AJCC)TNMシステムのステージ(例えば、TX、T0、Tis、T1、T1a、T1b、T2、T2A、T2B、T3、T3a、T3b、T4、T4a、T4b、NX、N0、N1、N2、N3、M0、M1a、M1b、M1cのうちの1つ以上)、及び/または、ステージングシステム(例えば、ステージ0、ステージIA、ステージIB、ステージIIA、ステージIIB、ステージIIC、ステージIIIA、ステージIIIB、ステージIIIC、ステージIV)などの皮膚癌(例えば、基底細胞癌(BCC)、扁平上皮細胞癌(SCC)、及び黒色腫)を含む、種々のステージの癌の治療における使用を見出す。
【0141】
本発明の代表的な癌及び/または腫瘍としては、基底細胞癌、胆道癌と、膀胱癌と、骨癌と、脳及び中枢神経系の癌と、乳癌と、腹膜癌と、子宮頚癌と、絨毛癌と、結腸直腸癌と、結合組織癌と、消化器系の癌と、子宮内膜癌と、食道癌と、眼癌と、頭頸部癌と、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)と、膠芽腫と、肝癌(hepatic carcinoma)と、肝細胞癌と、上皮内腫瘍と、腎癌(kidney cancer)または腎癌(renal cancer)と、喉頭癌と、白血病と、肝癌(liver cancer)と、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、及び肺の扁平上皮癌)と、黒色腫と、骨髄腫と、神経芽腫と、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)と、卵巣癌と、膵癌と、前立腺癌と、網膜芽細胞腫と、横紋筋肉腫と、直腸癌と、呼吸器系の癌と、唾液腺癌と、肉腫と、皮膚癌と、扁平上皮癌と、胃癌(stomach cancer)と、精巣癌と、甲状腺癌と、子宮癌または子宮内膜癌と、泌尿器系の癌と、外陰癌と、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、及びB細胞リンパ腫(軽度悪性リンパ腫/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む)と、小リンパ球性(SL)NHLと、中等度/濾胞性NHLと、中等度びまん性NHLと、重度免疫芽球姓NHLと、高悪性度リンパ腫NHLと、重度小非分割細胞性NHLと、巨大腫瘤病変NHLと、マントル細胞リンパ腫と、エイズ関連リンパ腫と、及びワルデンストレームマクログロブリン血症と、慢性リンパ性白血病(CLL)と、急性リンパ芽球性白血病(ALL)と、毛髪様細胞白血病と、慢性骨髄芽球性白血病と、並びに他の癌腫及び肉腫と、並びに移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、並びに母斑症と関係した異常な血管増殖、浮腫(脳腫瘍と関係しているもののような)、及びメーグス症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
種々の実施形態では、1つ以上の希少疾患が、本組成物で治療、制御、または予防され、実例としては、赤血球産生性プロトポルフィリン症、ヘイリー・ヘイリー病、表皮水疱症(EB)、色素性乾皮症、エーラス-ダンロス症候群、皮膚弛緩症、プロテインC&プロテインS欠乏、アルポート症候群、線条掌蹠角皮症、致死棘融解EB、弾力線維性偽性黄色腫(PXE)、尋常性魚鱗癬、尋常性天疱瘡、及び基底細胞母斑症候群が挙げられる。
【0143】
種々の実施形態では、本組成物は、炎症、急性炎症、慢性炎症、呼吸器系疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、敗血症ショック、関節リウマチ、炎症性腸疾患、炎症性骨盤疾患、疼痛、目の炎症性疾患、セリアック病、リー症候群、グリセロールキナーゼ欠乏、家族性好酸球増加症(FE)、常染色体劣性痙性運動失調、喉頭炎症性疾患と、結核、慢性胆嚢炎、気管支拡張症、珪肺症、及び他の塵肺症などの1つ以上の炎症性疾患または状態を治療、制御、または予防するために用いられる。
【0144】
種々の実施形態では、本組成物は、多発性硬化症、糖尿病、狼瘡、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、ギラン・バレー症候群、強皮症、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー肉芽腫、自己免疫性てんかん、ラスムッセン脳炎、原発性胆道硬化症、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、アジソン病、橋本甲状腺炎、線維筋痛症、メニエール症候群、移植拒絶反応(例えば、同種移植反応の予防)、悪性貧血、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、紅斑性狼瘡、多発性硬化症、重症筋無力症、ライター症候群、グレーブス病、及び他の自己免疫性疾患などの1つ以上の自己免疫性疾患または状態を治療、制御、または予防するために用いられる。
【0145】
種々の実施形態では、本組成物は、ADHD、AIDS-神経合併症、透明中隔欠損、後天性てんかん様失語症、急性散在性脳脊髄炎、副腎白質ジストロフィー、脳梁欠損症、失認症、アイカルディ症候群、アレキサンダ-病、アルパース病、交代性片麻痺、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、無脳症、動脈瘤、アンジェルマン症候群、血管腫症、無酸素症、失語症、失行症、くも膜嚢胞、くも膜炎、アーノルド・キアリ奇形、動静脈奇形、アスパルテーム、アスペルガー症候群、毛細血管拡張性運動失調症、運動失調症、注意欠陥多動性障害、自閉症、自律神経機能障害、背痛、バース症候群、バッテン病、ベーチェット病、ベル麻痺、良性特発性眼瞼痙攣、良性局所性筋萎縮症、良性頭蓋内圧亢進症、ベルンハルト・ロート症候群、ビンスワンガー病、眼瞼痙攣、ブロッホ・サルツバーガー症候群、腕神経叢分娩外傷、腕神経叢外傷、ブラッドバリ・エグルストン症候群、脳動脈瘤、脳損傷、脳及び脊髄腫瘍、ブラウン-セカール症候群、球脊髄型筋萎縮症、カナバン病、手根管症候群、灼熱痛、海綿腫、海綿状血管腫、海綿状奇形、頸髄中心症候群、脊髄中心症候群、中枢痛症候群、頭部障害、小脳変性症、小脳形成不全、脳動脈瘤、脳動脈硬化症、脳萎縮症、脳性脚気、脳性巨人症、脳低酸素症、脳性小児麻痺、COFS(脳・眼・顔・骨格)症候群、シャルコー・マリー・トゥース病、キアリ奇形、舞踏病、有棘赤血球舞踏病、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP)、慢性起立不耐症、慢性疼痛、II型コケイン症候群、コフィンローリー症候群、遅延性植物状態を含む昏睡、複合性局所疼痛症候群、先天性両側顔面神経麻痺、先天性筋疾患、先天性筋障害、先天性血管海綿状奇形、大脳皮質基底核変性症、頭部動脈炎、頭蓋骨癒合症、クロツフェルト・ヤコブ病、蓄積外傷疾患、クッシング症候群、巨大細胞性封入体症(CIBD)、サイトメガロウイルス感染、ダンシングアイズ-ダンス足症候群、ダンディ・ウォーカー症候群、ドーソン病、ド・モルシエ症候群、デジェリン-クルムプケ麻痺、多発梗塞性認知症、皮質下認知症、レヴィー小体認知症、皮膚筋炎、発達性行動不全、デビック症候群、糖尿病性神経障害、びまん性硬化症、ドラベ症候群、自律神経障害、書字障害、失読症、嚥下障害、行動不全、筋失調症、早期幼児てんかん性脳症、トルコ鞍空虚症候群、嗜眠性脳炎、脳炎及び髄膜炎、脳ヘルニア、脳障害、脳三叉神経領域血管腫症、てんかん、エルブ麻痺、エルブ・デュシェーヌ及びデジェリン-クルムプケ麻痺、ファブリー病、ファール症候群、失神、家族性自律神経失調症、家族性血管腫、家族性特発性基底核石灰化、家族性痙攣性麻痺、熱性発作(例えば、GEFS及びGEFS+)、フィッシャー症候群、フロッピーインファント症候群、フリードライヒ運動失調症、ゴーシェ病、ゲルストマン症候群、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、巨細胞性動脈炎、巨大細胞性封入体症、球様細胞白質萎縮症、舌咽神経痛、ギラン・バレー症候群、HTLV-1関連脊髄症、ハラーフォルデン・スパッツ病、頭部損傷、頭痛、持続性片側頭痛、片側顔面痙攣、交代性片麻痺、遺伝性ニューロパシー、遺伝性痙性対麻痺、遺伝性多発神経炎性失調、耳帯状疱疹、帯状疱疹、ヒラヤマ症候群、全前脳症、ハンチントン病、内水頭症、正常圧水頭症、水頭症、水脊髄症、副腎皮質機能亢進症、過眠症、筋緊張亢進症、低血圧症、低酸素症、免疫介在性脳脊髄症、封入体筋炎、色素失調症、小児低血圧症、小児フィタン酸蓄積症、小児レフサム病、小児痙攣、炎症性筋疾患、腸性脂肪異栄養症、頭蓋内嚢胞、頭蓋内圧亢進、アイザック症候群、ジュベール症候群、カーンズ・セイアー症候群、ケネディ病、キンズボーン症候群、クライネ・レヴィン症候群、クリッペル・ファイル症候群、クリッペル・トレノネー症候群(KTS)、クリューバー・ビューシー症候群、コルサコフ健忘症候群、クラッベ病、クーゲルバーグ・ウェランダー病、クールー、ランバート・イートン筋無力症候群、ランダウ・クレフナ-症候群、外側大腿皮神経絞扼、外側髄症候群、学習障害、リー症候群、レノックス・ガストー症候群、レッシュ・ナイハン症候群、大脳白質萎縮症、レバイン・クリッチュリー症候群、レヴィー小体認知症、脳回欠損、閉じ込め症候群、ルー・ゲーリック病、狼瘡-神経学的後遺症、ライム病-神経合併症、マシャド・ジョセフ病、大脳髄症、巨大脳髄症、メルカーソン・ローゼンタール症候群、髄膜炎、メンケス病、知覚異常性大腿神経痛、異染性白質萎縮症、小頭症、片頭痛、ミラ-・フィッシャー症候群、小卒中、ミトコンドリア性筋障害、メビウス症候群、単肢筋萎縮症、運動ニューロン疾患、もやもや病、ムコ脂質症、ムコ多糖症、多発梗塞性認知症、多巣性運動神経障害、多発性硬化症、起立性低血圧を伴う多系統萎縮症、多系統萎縮症、筋ジストロフィー、先天性筋無力症、重症筋無力症、髄鞘破壊性びまん性硬化症、小児ミオクローヌス脳症、ミオクローヌス、先天性筋疾患、甲状腺中毒性筋疾患、筋疾患、先天性ミオトニー、ミオトニー、ナルコレプシー、神経有棘赤血球症、脳への鉄の蓄積による神経変性、神経線維腫症、神経弛緩薬性悪性症候群、AIDSの神経合併症、ポンペ病の神経症状、視神経脊髄炎、神経性筋強直症、神経性セロイド・リポフスチン症、ニューロン移動障害、遺伝性神経障害、神経サルコイド-シス、神経毒症状、海綿状母斑、ニーマン・ピック病、オサリバン・マクラウド症候群、後頭神経痛、潜在性脊椎管癒合異常続発、大田原症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、眼球クローヌスミオクローヌス、起立性低血圧症、使い過ぎ症候群、慢性疼痛、腫瘍随伴性症候群、知覚障害、パーキンソン病、先天性異常筋強直症、発作性舞踏病アテトーゼ、発作性片側頭痛、パリー・ロンバーグ病、ペリツェウス・メルツバッハー病、ペナショッカーII型症候群、神経周囲嚢胞、周期性四肢麻痺、末梢神経障害、脳室周囲白質軟化症、遷延性植物状態、広汎性発達障害、フィタン酸蓄積症、ピック病、梨状筋症候群、下垂体部腫瘍、多発性筋炎、ポンペ病、孔脳症、ポリオ後症候群、ヘルペス後神経痛、感染後脳脊髄炎、起立性低血圧、体位性起立頻脈症候群、体位性頻脈症候群、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性顔面片側萎縮症、進行性脊髄癆、進行性多巣性白質脳症、進行性硬化性灰白質ジストロフィー、進行性核上麻痺、偽脳腫瘍、ピリドキシン依存性及びピリドキシン応答性発作性疾患、ラムゼイ・ハント症候群I型、ラムゼイ・ハント症候群II型、ラスムッセン脳炎及び他の自己免疫性てんかん、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、小児レフサム病、レフサム病、反復運動障害、反復運動過多損傷、下肢静止不能症候群、レトロウイルス関連脊髄症、レット症候群、ライ症候群、ライリー・デイ症候群、SUNCT頭痛、仙椎神経根嚢胞、舞踏病、唾液腺病、サンドホフ病、シルダー病、裂脳症、発作性疾患、中隔視神経異形成、小児重症ミオクローヌスてんかん(SMEI)、揺さぶられっ子症候群、帯状疱疹、シャイ・ドレーガー症候群、シェーグレン症候群、睡眠時無呼吸、嗜眠性脳炎、ソトス症候群、痙縮、脊椎披裂、脊髄梗塞、脊髄損傷、脊髄腫瘍、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳萎縮症、スティール・リチャードソン・オルゼウスキー症候群、全身硬直症候群、線条体黒質変性症、卒中、スタージ・ウェーバー症候群、亜急性硬化性全脳炎、皮質下動脈硬化性脳症、嚥下障害、シデナム舞踏病、失神、梅毒性脊髄硬化症、水脊髄空洞症、脊髄空洞症、全身性エリテマトーデス、脊髄癆、遅発性ジスキネジア、ターロブ嚢胞、テイ・サックス病、側頭動脈炎、脊髄係留症候群、トムセン病、胸郭出口症候群、甲状腺中毒性筋疾患、疼痛性チック、トッド麻痺、トゥレット症候群、一過性脳虚血発作、伝達性海綿状脳症、横断性脊髄炎、外傷性脳損傷、振戦、三叉神経痛、熱帯性痙性不全対麻痺、結節硬化症、血管拡張性腫瘍、側頭動脈炎を含む血管炎、フォン-エコーノモ病、フォン・ヒッペル・リンドウ病(VHL)、フォン・レックリングハウゼン病、ワレンベルグ症候群、ウェルドニッヒ・ホフマン病、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、ウェスト症候群、ウィップル病、ウィリアムス症候群、ウィルソン病、X連鎖性脊髄及び延髄性筋萎縮症、及びツェルヴェーガー症候群を含む1つ以上の神経疾患を治療、制御、または予防するために用いられる。
【0146】
種々の実施形態では、本組成物は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、肺血管収縮、炎症、アレルギー、呼吸障害、呼吸窮迫症候群、嚢胞性線維症、肺高血圧症、肺血管収縮、肺気腫、ハンタウイルス肺症候群(HPS)、レフラー症候群、グッドパスチャー症候群、胸膜炎、肺炎、肺水腫、肺線維症、サルコイドーシス、呼吸器合胞体ウイルス感染に伴う合併症、及び他の呼吸器疾患などの1つ以上の呼吸器疾患を治療するために用いられる。
【0147】
種々の実施形態では、本組成物は、冠動脈心疾患(CHD)、脳血管疾患(CVD)、大動脈弁狭窄、末梢血管疾患、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、心筋梗塞(心臓発作)、脳血管疾患(卒中)、一過性脳虚血発作(TIA)、(安定及び不安定な)アンギナ、心房細動、不整脈、弁膜症、及び/またはうっ血性心不全を含むがこれらに限定されない、心臓及び血管系に影響を及ぼす疾患または状態などの心血管疾患を治療、制御、または予防するために用いられる。
【0148】
種々の実施形態では、本組成物は、1つ以上の代謝関連障害を治療、制御、または予防するために用いられる。種々の実施形態では、本発明は、1型及び2型糖尿病、及び肥満と関連する糖尿病を含む糖尿病を治療、制御、または予防するのに有用である。本発明の組成物及び方法は、糖尿病性腎症、高血糖症、耐糖能異常、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、高LDLレベル、アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、血管再狭窄、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患(クローン病、及び潰瘍性大腸炎、他の炎症性状態を含む)、膵炎、腹部肥満、神経変性疾患、網膜症、新生物状態、脂肪細胞腫、脂肪細胞癌腫、例えば、脂肪肉腫、前立腺癌、及び胃、乳房、膀胱、及び結腸癌を含む他の癌、血管新生、アルツハイマー病、乾癬、高血圧、メタボリックシンドローム(例えば、以下の障害:腹部肥満、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール、高血圧、及び高空腹時血漿グルコースの3つ以上を有する人)、卵巣アンドロゲン過剰(多嚢胞性卵巣症候群)、及びインスリン抵抗性が構成要素である他の障害、例えば、睡眠時無呼吸を含むがこれらに限定されない糖尿病関連障害を治療または予防するのに有用である。本発明の組成物及び方法は、遺伝性または環境性を含む肥満及び肥満関連障害を治療、制御、または予防するのに有用である。本明細書の肥満関連障害は、肥満と関連している、肥満によって引き起こされる、または肥満からもたらされる。肥満関連障害の例としては、肥満、糖尿病、過食(overeating)、過食(binge eating)、及び過食症、高血圧症、上昇した血漿インスリン濃度、及びインスリン抵抗性、脂質異常症、高脂血症、子宮内膜、乳房、前立腺、腎臓、及び結腸癌、変形性関節症、閉塞性睡眠時無呼吸、胆石、心疾患、心拍異常、及び不整脈、心筋梗塞、うっ血性心不全、冠状動脈性心疾患、突然死、卒中、多嚢胞性卵巣疾患、頭蓋咽頭腫、プラダー・ウィリー症候群、フレーリッヒ症候群、GH欠乏対象、正常変異小人症、ターナー症候群、及び他の病理学的状態が挙げられ、これは、例えば、急性リンパ芽球性白血病の子供の全除脂肪体重のパーセンテージとして代謝活性の低減または静止時エネルギー消費量の減少を示す。肥満関連障害のさらなる例は、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性症候群、生殖ホルモン異常、性機能及び生殖機能障害、例えば、生殖障害、不妊症、男性の性腺機能低下症、及び女性の多毛症、母体肥満症と関連する胎児欠陥、消化管運動障害、例えば、肥満関連の胃食道逆流、呼吸器障害、例えば、肥満低換気症候群(ピックウィック症候群)、息切れ、心血管障害、炎症、例えば、全身性脈管炎、動脈硬化症、高コレステロール血症、腰痛、胆嚢疾患、高尿酸血症、痛風、及び腎臓癌、及び麻酔危険度の増加である。本発明の組成物及び方法は、アルツハイマー病の治療にも有用である。
【0149】
核酸、例えば、核酸を含有するリポソーム製剤は、インビボで送達する場合、肝臓及び/または脾臓中に蓄積し得る。タンパク質をコードする核酸は、肝臓及び脾臓中のタンパク質発現を調節することができ、このようにして使用される核酸は、肝臓及び脾臓の疾患を治療するための強力な治療薬を構成できることが、現在発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、目的タンパク質をコードする核酸を患者に送達することによって、肝臓及び/または脾臓の疾患を治療するための方法に関する。他の実施形態は、肝臓及び/または脾臓の疾患を治療するための、目的タンパク質をコードする核酸を含む治療用組成物に関する。治療することができる肝臓及び/または脾臓の疾患及び状態としては、肝炎、アルコール誘発肝疾患、薬物誘発肝疾患、エプスタイン・バーウイルス感染、アデノウイルス感染、サイトメガロウイルス感染、トキソプラズマ症、ロッキー山紅斑熱、非アルコール性脂肪肝疾患、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、ギルバート病、並びに肝臓及び/または脾臓の癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法は、1型糖尿病、虚血性及び拡張型心筋症を含む心疾患、黄斑変性症、パーキンソン病、嚢胞性線維症、鎌状赤血球性貧血、地中海貧血、ファンコニ貧血、重症複合免疫不全症、遺伝性感覚神経障害、色素性乾皮症、ハンチントン病、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、癌、並びに肝炎及びHIV/AIDSを含む感染症の治療に関する。
【0151】
さらに、いくつかの実施形態では、本方法及び組成物は、表2Bのタンパク質のいずれかの標的化、または表2Bの疾患または障害のいずれかの治療における使用を見出す。種々の実施形態では、本発明は、表2Bに開示されるタンパク質のいずれかの完全長及び/または切断形態の標的化を企図する。種々の実施形態では、本発明は、表2Bに開示されるタンパク質のいずれかの前駆体形態、及び/または成熟形態、及び/またはアイソフォームの標的化を企図する。
【0152】
種々の実施形態では、本発明は、本明細書で開示される(例えば、表2Bの)タンパク質配列のいずれかと約60%(例えば、約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%)の配列同一性を有するタンパク質の標的化を企図する。
【0153】
種々の実施形態では、本発明は、本明細書で開示される(例えば、表2Bの)タンパク質配列のいずれかに対して1つ以上のアミノ酸突然変異を有するアミノ酸配列を含むタンパク質の標的化を企図する。例えば、本発明は、本明細書で開示される(例えば、表2Bの)タンパク質配列のいずれかに対して1、または2、または3、または4、または5、または6、または7、または8、または9、または10、または11、または12のアミノ酸突然変異を有するアミノ酸配列を含むタンパク質の標的化を企図する。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸突然変異は、置換、挿入、欠失、及び切断から独立して選択してもよい。
【0154】
いくつかの実施形態では、アミノ酸突然変異は、アミノ酸置換であり、保存的及び/または非保存的置換を含んでもよい。
【0155】
「保存的置換」は、例えば、関与するアミノ酸残基の極性、電荷、サイズ、溶解性、疎水性、親水性、及び/または両親媒性の性質の類似性に基づいて作製してもよい。20個の天然に存在するアミノ酸は、以下の6つの標準アミノ酸のグループに分類され得る。(1)疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ileと、(2)中立親水性:Cys、Ser、Thrと、Asn、Glnと、(3)酸性:Asp、Gluと、(4)塩基性:His、Lys、Argと、(5)鎖の配向に影響を及ぼす残基:Gly、Proと、(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0156】
本明細書で使用する場合、「保存的置換」は、上で示す6つの標準アミノ酸グループの同じグループ内に記載される別のアミノ酸によるアミノ酸の交換として定義される。例えば、GluによってAspを交換することは、そのように修飾されたポリペプチド中で1つの負の電荷を保持する。加えて、グリシン及びプロリンは、α-ヘリックスを破壊させる能力に基づいて、互いに置換されてもよい。
【0157】
本明細書で使用する場合、「非保存的置換」は、上で示す6つの標準アミノ酸グループ(1)~(6)の異なるグループに記載される別のアミノ酸によるアミノ酸の交換として定義される。
【0158】
種々の実施形態では、置換は、非古典的アミノ酸(例えば、一般に、セレノシステイン、ピロリジン、N-ホルミルメチオニンβ-アラニン、GABA、及びδ-アミノレブリン酸、4-アミノ安息香酸(PABA)、共通アミノ酸のD異性体、2,4-ジアミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコスメ、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えば、β-メチルアミノ酸、C-α-メチルアミノ酸、N-α-メチルアミノ酸、及びアミノ酸類似体)も含み得る。
【0159】
表2Bでは、全ての代表的な識別子(例えば、遺伝子配列番号及び参照は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【表2B-1】
【表2B-2】
【表2B-3】
【表2B-4】
【表2B-5】
【表2B-6】
【表2B-7】
【表2B-8】
【表2B-9】
【表2B-10】
【表2B-11】
【表2B-12】
【表2B-13】
【表2B-14】
【表2B-15】
【表2B-16】
【表2B-17】
【表2B-18】
【表2B-19】
【表2B-20】
【表2B-21】
【表2B-22】
【表2B-23】
【表2B-24】
【表2B-25】
【表2B-26】
【表2B-27】
【表2B-28】
【表2B-29】
【表2B-30】
【表2B-31】
【表2B-32】
【表2B-33】
【表2B-34】
【表2B-35】
【表2B-36】
【表2B-37】
【表2B-38】
【表2B-39】
【表2B-40】
【表2B-41】
【表2B-42】
【表2B-43】
【表2B-44】
【表2B-45】
【表2B-46】
【表2B-47】
【表2B-48】
【表2B-49】
【表2B-50】
【表2B-51】
【表2B-52】
【表2B-53】
【表2B-54】
【表2B-55】
【表2B-56】
【表2B-57】
【表2B-58】
【表2B-59】
【表2B-60】
【表2B-61】
【表2B-62】
【表2B-63】
【表2B-64】
【表2B-65】
【表2B-66】
【表2B-67】
【表2B-68】
【表2B-69】
【表2B-70】
【表2B-71】
【表2B-72】
【表2B-73】
【表2B-74】
【表2B-75】
【表2B-76】
【表2B-77】
【表2B-78】
【表2B-79】
【表2B-80】
【表2B-81】
【表2B-82】
【表2B-83】
【表2B-84】
【表2B-85】
【表2B-86】
【表2B-87】
【表2B-88】
【表2B-89】
【表2B-90】
【表2B-91】
【表2B-92】
【表2B-93】
【表2B-94】
【表2B-95】
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【表2B-97】
【表2B-98】
【表2B-99】
【表2B-100】
【表2B-101】
【表2B-102】
【表2B-103】
【表2B-104】
【表2B-105】
【表2B-106】
【表2B-107】
【表2B-108】
【表2B-109】
【表2B-110】
【表2B-111】
【表2B-112】
【表2B-113】
【表2B-114】
【表2B-115】
【表2B-116】
【表2B-117】
【表2B-118】
【表2B-119】
【表2B-120】
【表2B-121】
【表2B-122】
【表2B-123】
【表2B-124】
【表2B-125】
【表2B-126】
【表2B-127】
【表2B-128】
【表2B-129】
【表2B-130】
【表2B-131】
【表2B-132】
【表2B-133】
【表2B-134】
【表2B-135】
【表2B-136】
【表2B-137】
【表2B-138】
【表2B-139】
【表2B-140】
【表2B-141】
【表2B-142】
【表2B-143】
【表2B-144】
【0160】
種々の実施形態では、核酸薬物、例えば、合成RNAは、ケラチノサイト及び線維芽細胞のうちの1つ以上に効果をもたらす(例えば、これらの細胞に1つ以上の治療用タンパク質を発現させる)方法で投与される。例えば、本方法により、患者の細胞を使用して、治療用タンパク質を生成する方法が可能になり、そのようなタンパク質のレベルは、合成RNA投与によって調整される。
【0161】
特定の実施形態では、合成RNAは、可溶性タンパク質を標的にする。いくつかの実施形態では、合成RNAは、タンパク質の以下のファミリー:トランスフォーミング成長因子(TGF)β、骨形成タンパク質(BMP)、線維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、及びインターロイキンのうちの1つ以上のタンパク質を標的にする。用語「ファミリー」、「スーパーファミリー」、及び「サブファミリー」は、交換可能に使用することができる。
【0162】
特定の実施形態では、合成RNAは、TGFβファミリーのメンバーを標的にする。TGF-βスーパーファミリータンパク質は、6保存システイン残基によって特徴付けられるサイトカインを含む(Lander et al.,(2001)Nature,409:860-921)。ヒトゲノムは、TGF-βスーパーファミリータンパク質をコードする少なくとも約42のオープンリーディングフレームを含有する。TGF-βスーパーファミリータンパク質は、配列類似性、及び該タンパク質が活性化する特異的なシグナル伝達経路に基づいて、BMPサブファミリーとTGF-βサブファミリーに少なくとも分けることができる。種々の実施形態では、合成RNAは、TGF(例えば、TGF-β1、TGF-β2、及びTGF-β3)、アクチビン(例えば、アクチビンA)、及びインヒビン、マクロファージ阻害サイトカイン-1(MIC-1)、ミュラー管抑制物質、抗ミュラー管ホルモン、及び神経膠細胞系由来神経栄養因子(GDNF)のうちの1つ以上を標的にする。
【0163】
TGF-βスーパーファミリーは、システインノットサイトカインスーパーファミリーのサブセットを含む。システインノットサイトカインスーパーファミリーのさらなるメンバーとしては、血小板由来成長因子(PDGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、胎盤成長因子(P1GF)、ノギン、ニューロトロフィン(BDNF、NT3、NT4、及びβNGF)、性腺刺激ホルモン、フォリトロピン、ルトロピン、インターロイキン-17、及びコアグロゲンが挙げられるが、これらに限定されない。このファミリーのタンパク質は、本発明によって包含される標的のうちでもある。
【0164】
種々の実施形態では、本発明は、種々の免疫学的障害、癌、気管支喘息、肺線維症、心疾患、糖尿病、遺伝性出血性毛細管拡張症、マルファン症候群、血管型エーラス・ダンロス症候群、ロイス・ディーツ症候群、パーキンソン病、慢性腎臓病、多発性硬化症、及びAIDSを治療または予防するためのTGFβファミリーメンバーを標的化することに関する。
【0165】
特定の実施形態では、合成RNAは、BMPファミリーのメンバーを標的にする。BMPサブファミリーとしては、BMP-2、BMP-3(オステオゲニン)、BMP-3b(GDF-10)、BMP-4(BMP-2b)、BMP-5、BMP-6、BMP-7(骨形成タンパク質-1またはOP-1)、BMP-8(OP-2)、BMP-8B(OP-3)、BMP-9(GDF-2)、BMP-10、BMP-11(GDF-11)、BMP-12(GDF-7)、BMP-13(GDF-6、CDMP-2)、BMP-15(GDF-9)、BMP-16、GDF-1、GDF-3、GDF-5(CDMP-1)、及びGDF-8(ミオスタチン)を含むがこれらに限定されない。種々の実施形態では、合成RNAは、BMP-2、BMP-3(オステオゲニン)、BMP-3b(GDF-10)、BMP-4(BMP-2b)、BMP-5、BMP-6、BMP-7(骨形成タンパク質-1またはOP-1)、BMP-8(OP-2)、BMP-8B(OP-3)、BMP-9(GDF-2)、BMP-10、BMP-11(GDF-11)、BMP-12(GDF-7)、BMP-13(GDF-6、CDMP-2)、BMP-15(GDF-9)、BMP-16、GDF-1、GDF-3、GDF-5(CDMP-1)、及びGDF-8(ミオスタチン)のうちの1つ以上を標的にする。BMPは、骨形成タンパク質(OP)、成長分化因子(GDF)、または軟骨由来形態形成タンパク質(CDMP)と呼ばれることもある。特定の実施形態では、合成RNAは、(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許公報第2009/0202638号に記載されるように)1つ以上のBMP融合、及び/または(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許公報第2011/0039773号に記載されるように)1つ以上のBMP突然変異体を標的にする。
【0166】
種々の実施形態では、本発明は、再生医療または代謝用途、例えば、限定されないが、脊椎固定術、偽関節、及び口腔外科などの整形外科用途、代謝性疾患、前糖尿病、糖尿病、熱産生、インスリン感受性、インスリン抵抗性、及び脂質生成、例えば、褐色脂肪脂質生成のためのBMPファミリーメンバーを標的化することに関する。種々の他の代謝用途は、本明細書の別の場所で記載している。種々の実施形態では、本発明は、BMPファミリーメンバー、例えば、BMP-7を標的にして、慢性腎臓病(CKD)を治療する、及び/または硬化による糸球体の損失を逆にすることに関する。
【0167】
種々の実施形態では、本発明は、BMPファミリーメンバーを標的化して、身体の種々の位置において骨及び軟骨の増殖を誘導することに関する。例えば、膝、肘、足首、及び指関節などの関節の修復も本発明により企図される。例えば、BMPファミリーメンバーの標的化は、関節炎または他の軟骨変性疾患に罹患している患者において軟骨の再生をもたらし得る。さらに、本発明は、損傷による軟骨の裂傷を治療することに関する。加えて、本発明は、患者における骨成長を誘導すること、例えば、限定するものではないが、骨折または骨破折、骨粗鬆症に罹患している患者、または脊椎固定術または脊椎、椎骨などの修復を必要としている患者の治療に使用することに有用である。
【0168】
種々の実施形態では、本発明は、BMPファミリーメンバーを標的化して、骨または骨軟骨とは異なる哺乳動物中の種々の組織の骨形態形成、及び組織形態形成の発生カスケードを誘導することに関する。この形態形成活性には、前駆体細胞の増殖及び分化を誘導する能力、及び骨、軟骨、非鉱化骨格または結合組織、及び他の成体組織の形成をもたらす事象の進行を介して分化表現型を支持し、維持する能力が含まれる。
【0169】
例えば、本発明は、代謝性骨疾患における骨量の損失及び/または増加を防止する治療に使用してもよい。骨形成タンパク質を用いて代謝性骨疾患における骨量の損失を防止する及び/または骨量を増加させる治療の一般的な方法は、米国特許第5,674,844号に開示され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、本発明の組成物及び方法は、骨破折、骨折、及び軟骨裂傷などの損傷部位での骨または軟骨の置換または修復、歯周組織再生(例えば、骨形成タンパク質を用いた歯周組織再生の一般的方法は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,733,878号に開示される)、肝再生、例えば、部分肝切除後に(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,849,686号を参照されたい)、慢性腎不全の治療(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,861,404号を参照されたい)、中枢神経系の虚血または外傷後の機能回復の強化(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,407,060号を参照されたい)、樹枝状成長の誘発(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,949,505号を参照されたい)、神経細胞接着の誘発(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,800,603号を参照されたい)、及びパーキンソン病の治療及び予防(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,506,729号を参照されたい)における使用を見出す。別の例として、本発明の組成物及び方法は、例えば、1つ以上のBMPを標的化する場合、象牙質形成を誘導するために使用することができる。現在まで、損傷に対する歯髄組織の予測不可能な反応は、歯科における基本的な臨床的問題である。標準的な歯科外科手順を用いて、サンプル歯のエナメル、及び歯髄直上の象牙質を(ドリルによって)除去することによって小面積(例えば、2mm)の歯髄を外科的に曝露することができ、歯冠歯髄組織の部分切断を行い、止血を誘発し、歯髄治療を適用し、標準手順によって空洞を密封し、充填する。
【0170】
種々の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるような1つ以上の代謝関連障害の治療のためにBMPファミリーメンバーを標的化することに関する。
【0171】
特定の実施形態では、合成RNAは、FGFファミリーのメンバーを標的にする。FGFは、血管新生、創傷治癒、胚発生、及び種々の内分泌シグナル伝達経路に関与するメンバーを有する成長因子のファミリーである。種々の実施形態では、以下のFGF:FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF13、FGF14(FGF11、FGF12、FGF13、及びFGF14はFGF相同因子1-4(FHF1-FHF4)である)、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19(別名FHF15/19)、FGF20、FGF21、FGF22、及びFGF22のいずれか1つは、本発明の標的である。いくつかの実施形態では、合成RNAは、上記のFGFのいずれかの同族受容体を標的にする。種々の実施形態では、本発明は、FGFファミリーメンバーを標的化して、FGFの異常な機能及び/または発現に関連する疾患または障害、代謝性疾患または障害(例えば、糖尿病、肥満、脂質異常症、高血糖症、高インスリン血症、高血圧症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などの脂肪肝など)、癌、脂質代謝障害に関連する疾患または障害、腎機能障害に関連する疾患または障害、肝機能障害に関連する疾患または障害、異常な細胞増殖、血管疾患または障害(例えば、冠状動脈疾患、末梢動脈疾患、アテローム性動脈硬化症、腹部大動脈瘤、血餅、深部静脈血栓症、静脈うっ血疾患、静脈炎、静脈瘤など)、血管新生、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患または障害、血管形成障害に関連する疾患または障害、細胞シグナル伝達障害に関連する疾患または障害、キナーゼ活性障害に関連する疾患または障害、及びグルコースの脂肪細胞への取り込み障害に関連する疾患または障害を治療または予防することに関する。
【0172】
特定の実施形態では、合成RNAは、VEGFファミリーのメンバーを標的にする。いくつかの実施形態では、標的は、VEGF-A(全てのアイソフォームを含む、例えば、VEGF121、VEGF165、及びVEGF189)、胎盤成長因子(PGF、全てのアイソフォームを含む、例えば、PGF-1、PGF-2、及びPGF-3)、VEGF-B、VEGF-C、及びVEGF-D、及びそれらの任意の変異体(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,078,860号を参照されたい)のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、合成RNAは、上記のVEGFのいずれかの同族受容体を標的にする。また、本発明は、VEGF-Eと呼ばれるオルフウイルスコード化VEGF様タンパク質、及びVEGF-Fと呼ばれる一連の蛇毒を含むVEGF関連タンパク質を標的として包含する。VEGF及びVEGF関連タンパク質は、シスチンノット成長因子の血小板由来成長因子(PDGF)超遺伝子ファミリーのメンバーである。PDGF超遺伝子ファミリーの全メンバーは、PDGFと高度な構造的相同性を共有する。
【0173】
種々の実施形態では、本発明は、VEGFファミリーメンバーを標的化して、充実性腫瘍癌、血管腫、関節リウマチ、変形性関節症、化膿性関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、特発性肺線維症、血管再狭窄、動静脈奇形、髄膜腫、血管新生緑内障、乾癬、カポジ症候群、血管線維腫、血友病関節、肥大瘢痕、オスラー-ウェーバー症候群、化膿性肉芽腫、水晶体後線維増殖症、強皮症、トラコーマ、フォン・ヒッペル・リンドウ病、血管接着病理学、滑膜炎、皮膚炎、神経学変性疾患、子癇前症、原因不明の女性不妊、子宮内膜症、原因不明の男性不妊、翼状片、創傷、痛み、皮膚潰瘍、胃潰瘍、及び十二指腸潰瘍を含むがこれらに限定されない血管新生に関連する疾患及び状態を治療することに関する。種々の実施形態では、本発明は、VEGFファミリーメンバーを標的化して、未熟児網膜症、糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞、及び加齢黄斑変性症、並びに糖尿病性黄斑浮腫、及び網膜静脈閉塞を含むがこれらに限定されない異常な眼内新血管形成に関連する任意の眼疾患を含むがこれらに限定されない血管新生関連の眼疾患を治療することに関する。実施形態では、本発明の組成物及び方法は、滲出型加齢黄斑変性症の治療に関する。
【0174】
特定の実施形態では、合成RNAは、インターロイキンファミリーのメンバーを標的にする。インターロイキンは、多様な機能をもつ大規模なグループのサイトカインを表し、白血球中での発現によって最初に特徴付けられ、それ以来幅広い細胞、例えば、マクロファージ、TH-1、及びTH-2細胞、T-リンパ球、単球、及び骨髄間質で発現されることが示されている。広義には、免疫系の機能は、インターロイキンの発現及び機能に大部分が依存する。いくつかの実施形態では、標的は、インターロイキン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、35、及び36、及びインターロイキンの各種内で、種々のアイソタイプ、及び/またはインターロイキン受容体(例えば、IL-1R、IL-2R、IL-3R、IL-4R、IL-5R、IL-6R、IL-7R、IL-8R、IL-9R、IL-10R、IL-11R、IL-12R、IL-13R、IL-14R、IL-15R、IL-16R、IL-17R、IL-18R、IL-19R、IL-20R、IL-21R、IL-22R、IL-23R、IL-24R、IL-25R、IL-26、IL-27R、IL-28R、IL-29R、IL-30R、IL-31R、IL-32R、IL-33R、IL-34R、IL-35R、及びIL-36R)のうちの1つ以上である。特定の実施形態では、IL-15及びIL-15R(例えば、IL-15RA)の両方が標的化される。理論に束縛されるものではないが、インターロイキン(例えば、IL-15)及びその認知インターロイキン受容体(例えば、IL-15RA)の両方の標的化が、有益な相乗効果をもたらすと考えられる。種々の実施形態では、本発明は、インターロイキンファミリーのメンバーを標的化して、対象または生体における、本明細書に記載されるような癌、炎症、呼吸、自己免疫、心血管、神経性、代謝性、及び/または増殖性疾患、障害、及び/または状態を治療することに関する。特定の実施形態では、本発明は、インターロイキンファミリーのメンバーを標的化して、癌を治療することに関する。特定の実施形態では、本発明は、インターロイキンファミリーのメンバーを標的化して、関節リウマチを治療することに関する。
【0175】
特定の実施形態では、合成RNAは、EPO遺伝子またはその誘導体(例えば、配列番号164、配列番号165、配列番号166、及び配列番号167)を標的にする。いくつかの実施形態は、NOVEPOETINタンパク質(配列番号167)に関する。他の実施形態は、NOVECRIT(配列番号168)に関する。
【0176】
エリスロポエチンは、エリスロポエチンの内因性産生が損なわれている慢性腎不全の貧血患者において赤血球生成を刺激することができる。理論に束縛されるものではないが、赤血球生成に多くの場合に必要な時間の長さ(赤血球前駆体が成熟し、血流中に放出されるまで数日)のため、ヘモグロビンの臨床的に有意な増加は、通常、2週間未満では観察されず、一部の患者においては最長10週間が必要な場合もある。本方法及び組成物は、いくつかの実施形態では、より急速な治療効果をもたらす。本方法及び組成物は、いくつかの実施形態では、例えば、野生型EPO、及び/または非標準ヌクレオチドを有さないEPO、及び/またはタンパク質生物製剤として送達されたEPOと比較した場合により急速な治療効果をもたらす。本方法及び組成物は、いくつかの実施形態では、持続的な治療効果をもたらす。本方法及び組成物は、いくつかの実施形態では、例えば、野生型EPO、及び/または非標準ヌクレオチドを有さないEPO、及び/またはタンパク質生物製剤として送達されたEPOと比較した場合に持続的な治療効果をもたらす。
【0177】
例えば、EPOでは、本方法及び組成物は、約6週間未満、または約5週間未満、または約4週間未満、または約3週間未満、または約2週間未満、または約1週間未満にヘマトクリットの臨床的に有意な増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本方法及び組成物は、約2週間、または約10日、または約1週間、または約3日、または約1日でヘマトクリットの臨床的に有意な増加をもたらす。種々の実施形態では、本方法及び組成物は、赤血球前駆体が成熟し、血流中に放出されるプロセスを加速させる。
【0178】
いくつかの実施形態では、本発明のEPO関連組成物は、野生型EPO、及び/または非標準ヌクレオチドを有さないEPO、及び/またはタンパク質生物製剤として送達されたEPOと比較した場合に、投与の用量及び/または頻度の減少における使用を見出す。例えば、本発明のEPO関連組成物は、月1回、または隔週1回、または週1回に基づいた投与を伴う、本明細書で開示される疾患(例えば、限定されないが、1つ以上の貧血)の治療計画における使用を見出し得る。いくつかの実施形態では、したがって、本発明のEPO関連組成物は、1日1回、またはいくつかの実施形態では、週1回に投与する必要を減らす。いくつかの実施形態では、本発明のEPO関連組成物は、野生型EPO、及び/または非標準ヌクレオチドを有さないEPO、及び/またはタンパク質生物製剤として送達されたEPOと比較してより少ない維持用量を必要とする。ある特定の実施形態は、化学療法誘発貧血の治療に特に有用である。他の実施形態は、関節リウマチを含むがこれらに限定されない炎症と関連する貧血の治療に特に有用である。
【0179】
いくつかの実施形態では、本方法及び組成物は、RBC輸血の必要性を取り除く急速かつロバストな反応をもたらす。例えば、いくつかの実施形態では、本方法及び組成物により、輸血に同意しない患者を治療することができる。
【0180】
いくつかの実施形態では、本方法及び組成物は、ヘマトクリットの増加速度を高める。いくつかの実施形態では、本方法及び組成物は、持続期間(例えば、約1月間、または約2ヵ月間、または約3ヵ月間、または約4ヵ月間、または約5ヵ月間、または約6ヵ月間、または約9ヵ月間)にヘマトクリットの上昇(例えば、25%、または30%、または35%、または40%以上)を維持する。
【0181】
いくつかの実施形態では、本方法及び組成物は、赤血球細胞産生を刺激する。いくつかの実施形態では、本方法及び組成物は、骨髄においてコミットした赤血球前駆体の分裂及び分化を刺激する。
【0182】
いくつかの実施形態では、限定されないが、EPOを標的にする場合、本発明は、貧血のうちの1つ以上、例えば、慢性腎臓病(例えば、透析由来)、及び/または化学療法、及び/またはHIV治療(例えば、ジドブジン(INN)またはアジドチミジン(AZT))、炎症性腸疾患(例えば、クローン病、及び潰瘍大腸炎)がもたらす貧血、炎症性状態(例えば、関節炎、狼瘡、IBD)に関連した貧血、糖尿病、統合失調症、脳マラリア(再生不良性貧血として)、及び癌の治療(例えば、化学療法、及び/または放射線)由来の骨髄異形成、及び種々の骨髄異形成症候群疾患(例えば、鎌状赤血球性貧血、ヘモグロビンSC疾患、ヘモグロビンC疾患、α-、及びβ-地中海貧血、早産後の新生児貧血、及び相当する状態)に関連した貧血の治療に関する。
【0183】
いくつかの実施形態では、限定されないが、EPOを標的にする場合、本発明は、癌、心不全、自己免疫性疾患、鎌状赤血球病、地中海貧血、失血、輸血反応、糖尿病、ビタミンB12欠乏、膠原病性血管系疾患、シュワックマン症候群、血小板減少性紫斑、セリアック病、内分泌欠乏状態、例えば、甲状腺機能低下またはアジソン病、自己免疫性疾患、例えば、クローン病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチまたは若年性関節リウマチ、潰瘍性大腸炎免疫不全症、例えば、好酸球性筋膜炎、低免疫グロブリン血症、または胸腺腫/胸腺癌腫、移植片対宿主病、前白血病、非血液学的症候群(ダウン症候群、デュボヴィッツ症候群、ゼッケル症候群)、フェルティ症候群、溶血尿毒症症候群、骨髄異形成症候群、夜間発作性血色素尿、骨骨髄線維症、汎血球減少症、赤芽球ろう、シェーンライン-ヘノッホ紫斑病、マラリア、タンパク質飢餓、月経過多症、全身硬化症、肝硬変、代謝低下状態、うっ血性心不全、慢性感染症、例えば、HIV/AIDS、結核、骨髄炎、B型肝炎、C型肝炎、エプスタイン・バーウイルスまたはパルボウイルス、T細胞白血病ウイルス、細菌異常増殖症候群、真菌または寄生虫感染、及び/または赤血球膜障害、例えば、遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症、遺伝性耐熱奇形赤血球症、遺伝性有口赤血球症、赤血球酵素異常症、脾機能亢進、免疫溶血、または発作性夜間血色素尿のうちの1つ以上の治療、または該疾患のうちの1つ以上を有する患者に関する。
【0184】
いくつかの実施形態では、限定されないが、EPOを標的にする場合、本発明は、貧血、即ち、赤血球細胞の数、及び/または赤血球細胞中に見られるヘモグロビンの量が正常を下回る状態の治療、または該疾患を有する患者に関する。種々の実施形態では、貧血は、急性または慢性であってもよい。例えば、貧血としては、鉄欠乏性貧血、腎性貧血、慢性疾患/炎症の貧血、悪性貧血、例えば、太球性無分泌性貧血、若年悪性貧血及び先天性悪性貧血、癌関連貧血、化学療法関連貧血、放射線療法関連貧血、赤芽球ろう、芽球が過剰な不応性貧血、再生不良性貧血、X連鎖鉄芽球性貧血、溶血性貧血、鎌状赤血球性貧血、ESAの産生不全によって生じた貧血、骨髄異形成症候群、低色素性貧血、小赤血球性貧血、鉄芽球性貧血、自己免疫性溶血性貧血、クーリー貧血、地中海貧血、ダイアモンドブラックファン貧血、ファンコニ貧血、及び薬剤誘発性免疫性溶血性貧血が挙げられるが、これらに限定されない。貧血は、低酸素症、慢性疲労、集中力欠如、蒼白、低血圧、眩暈、及び心不全を含む重篤な症状を引き起こし得る。
【0185】
いくつかの実施形態では、貧血は、貧血の原因の1つである化学療法によって誘発される。例えば、化学療法は、任意の骨髄抑制化学療法であってもよい。いくつかの実施形態では、化学療法は、シスプラチン(例えば、PLATINOL)、及びカルボプラチン(例えば、PARAPLATIN)を含む1つ以上の白金系薬物である。いくつかの実施形態では、化学療法は、本明細書に記載される薬剤のいずれか1つである。いくつかの実施形態では、化学療法は、その内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれるGroopman et al.J Natl Cancer Inst(1999)91(19):1616-1634に記載されている任意の薬剤である。いくつかの実施形態では、本組成物及び方法は、後期癌(例えば、ステージIV、またはステージIII、またはステージII癌)の患者における化学療法関連貧血の治療に使用される。いくつかの実施形態では、本組成物及び方法は、用量密な化学療法または他の積極的な化学療法計画を受けている癌患者における化学療法関連貧血の治療に使用される。
【0186】
いくつかの実施形態では、本発明は、白血病、リンパ腫、及び多発性骨髄腫などの1つ以上の血液系の癌を有する患者における貧血の治療に関する。そのような癌は、骨髄に直接影響を及ぼし得る。さらに、本発明は、骨または骨髄に広がっている転移癌に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、放射線療法を受けている患者における貧血の治療に関する。そのような放射線療法は、骨髄に損傷を与え、赤血球細胞を作製する能力を低下させ得る。さらなる実施形態では、本発明は、鉄、ビタミンB12、及び葉酸のうちの1つ以上の減少または欠乏を有する患者における貧血の治療に関する。さらなる実施形態では、本発明は、限定されないが、手術後、または内出血を引き起こしている腫瘍由来を含む出血過多を有する患者における貧血の治療に関する。さらなる実施形態では、本発明は、慢性疾患の貧血を有する患者における貧血の治療に関する。
【0187】
いくつかの実施形態では、本発明は、慢性腎不全がもたらす貧血の治療に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、透析、血液透析、腹膜透析、血液濾過、血液透析濾過、及び腎移植を含む1つ以上の腎代替療法の使用がもたらす貧血の治療に関する。
【0188】
いくつかの実施形態では、本発明は、透析していない慢性腎臓病を有する患者における貧血の治療に関する。例えば、本発明は、ステージ1のCKD(慢性腎臓病)、またはステージ2のCKD、またはステージ3のCKD、またはステージ4のCKD、またはステージ5のCKDの患者に関する。いくつかの実施形態では、本患者は、ステージ4のCKDまたはステージ5のCKDである。いくつかの実施形態では、本患者は、腎移植を受けている。いくつかの実施形態では、本発明は、急性腎損傷(AKI)を有する患者における貧血の治療に関する。
【0189】
種々の実施形態では、本組成物及び方法は、患者における疲労、眩暈、及び息切れを低減または排除するために用いられる。
【0190】
種々の実施形態では、本組成物及び方法は、赤血球生成刺激剤療法に対して低応答性または耐性を呈している患者を治療するために用いられる。いくつかの実施形態では、エリスロポエチンに対する低応答性またはESA耐性貧血は、以下の状態:i)一定用量のESA治療でヘモグロビンレベルの著しい減少、ii)ある特定のヘモグロビンレベルを達成または維持するために必要なESA用量の著しい増加、iii)ダルベポエチン-αの150IU/kg/週または0.75mg/kg/週よりも多いエリスロポエチンに等価なESA用量であるにもかかわらず、ヘモグロビンレベルの標的範囲への上昇が不良であること、または、標的ヘモグロビンレベルを維持するためにそのような高用量のESAが継続的に必要であることの少なくとも1つの存在を指す。例えば、CDKを有する患者のおおよそ5~10%は、ESAに対する低応答性を示し、これは、300IU/kg/週を超えるエリスロポエチンまたは1.5ng/kg/週を超えるダルベポエチンを皮下経路によって投与することが継続的に必要であるとして定義される。
【0191】
種々の実施形態では、本組成物及び方法は、赤血球生成刺激剤療法の用量漸増の必要性を軽減するため、必要に応じて、副作用(例えば、関節痛、虚弱、眩暈、及び疲れなどのインフルエンザ様症状、皮膚炎、有害な心血管合併症のリスクの増加)を回避する。
【0192】
種々の実施形態では、本組成物及び方法は、ヘモグロビンレベルを約12.5~13g/dLに維持するために用いられる。種々の実施形態では、本組成物及び方法は、ヘモグロビンレベルが約12g/dL、または約11g/dL、または約10g/dL、または約9g/dL、または約8g/dL、または約7g/dL、または約6g/dL、または約5g/dLを下回る患者に使用される。種々の実施形態では、本組成物及び方法は、血液病理を示す鉄血液検査スコア、例えば、約200ng/Lを下回るフェリチンスコア、及び/または約30%を下回るトランスフェリン飽和スコアを有する患者に使用される。
【0193】
種々の実施形態では、本組成物及び方法は、ヘモグロビンレベルを9~10g/dLの範囲の標的レベル、9g/dL~11g/dLの範囲の標的レベル、9g/dL~12g/dLの範囲の標的レベル、9g/dL~14g/dLの範囲の標的レベル、10g/dL~14g/dLの範囲の標的レベル、または12g/dL~14g/dLの範囲の標的レベルに増加または維持するために用いられる。
【0194】
種々の実施形態では、本組成物及び方法は、患者のヘモグロビンレベルを正常に戻すために用いられる。種々の実施形態では、ヒトの正常なヘモグロビン範囲は、男性では約14~18g/dl、女性では12~16g/dlであり、男性の平均ヘモグロビン値は、約16g/dL、女性では約14g/dLである。
【0195】
いくつかの実施形態では、例えば、EPOを標的にする場合、本発明は、以下の毒性評価基準(例えば、NCI共通毒性基準):グレード1(軽度)、10.0gのヘモグロビン/dLから正常な範囲内と、グレード2(中程度)、8.0~10.0gのヘモグロビン/dLと、グレード3(深刻または重篤)、6.5~7.9gのヘモグロビン/dLと、及びグレード4(生命に関わる)、6.5g未満のヘモグロビン/dLのうちの1つ以上の貧血の治療に関する。種々の実施形態では、本発明は、約1ポイント、または約2ポイント、または約3ポイント、または約4ポイントの毒性評価基準の増加をもたらす。種々の実施形態では、本発明は、レベルが0または1の患者をもたらす。種々の実施形態では、本組成物及び方法は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるGroopman et al.J Natl Cancer Inst(1999)91(19):1616-1634に記載されている1つ以上のスケールによって評価されるように貧血を改善する。
【0196】
いくつかの実施形態では、EPOを標的にする場合、本発明は、1つ以上のEPOとの併用療法に関する。例えば、本発明の組成物は、別のEPOの即効性を補うことができる持続効果をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本組成物は、他のEPOに対するアジュバントとして使用される。いくつかの実施形態では、本組成物は、他のEPOに対する維持療法として使用される。他のEPOとしては、以下のもの:エポエチンα、例えば、限定されないが、DARBEPOETIN(ARANESP)、EPOCEPT(LUPIN PHARMA)、NANOKINE(NANOGEN PHARMACEUTICAL)、EPOFIT(INTAS PHARMA)、EPOGEN(AMGEN)、EPOGIN、EPREX(JANSSEN-CILAG)、BINOCRIT(SANDOZ)、PROCRITと、エポエチンβ、例えば、限定されないが、NEORECORMON(HOFFMANN-LA ROCHE)、RECORMON、メトキシポリエチレングリコール-エポエチンβ(MIRCERA、ROCHE)と、エポエチンδ、例えば、限定されないが、DYNEPO(赤血球生成刺激タンパク質、SHIRE PLC)と、エポエチンΩ、例えば、限定されないが、EPOMAXと、エポエチンζ、例えば、限定されないが、SILAPO(STADA)、及びRETACRIT(HOSPIRA)、及び他のEPO、例えば、限定されないが、EPOCEPT(LUPIN PHARMACEUTICALS)、EPOTRUST(PANACEA BIOTEC LTD)、ERYPRO SAFE(BIOCON LTD.)、REPOITIN(SERUM INSTITUTE OF INDIA LIMITED)、VINTOR(EMCURE PHARMACEUTICALS)、EPOFIT(INTAS PHARMA)、ERYKINE(INTAS BIOPHARMACEUTICA)、WEPOX(WOCKHARDT BIOTECH)、ESPOGEN(LG LIFE SCIENCES)、RELIPOIETIN(RELIANCE LIFE SCIENCES)、SHANPOIETIN(SHANTHA BIOTECHNICS LTD)、ZYROP(CADILA HEALTHCARE LTD.)、EPIAO(RHUEPO)(SHENYANG SUNSHINE PHARMACEUTICAL CO.LTD)、CINNAPOIETIN(CINNAGEN)が挙げられる。
【0197】
いくつかの実施形態では、EPOを標的にする場合、本発明は、輸血との併用療法に関する。例えば、本発明の組成物は、輸血を補い得る。いくつかの実施形態では、EPOを標的にする場合、本発明は、鉄補給剤との併用療法に関する。
【0198】
いくつかの実施形態では、本発明はまた、例えば、疾患の治療における以下のタンパク質標的:成長ホルモン(GH)、例えば、ヒト及びウシ成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモンと、α-、β-、またはγ-インターフェロンなどを含むインターフェロン、インターロイキンIと、インターロイキンIIと、α-、及びβ-エリスロポエチン(EPO)を含むエリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、抗血管新生タンパク質(例えば、アンジオスタチン、エンドスタチン)、PACAPポリペプチド(脳下垂体のアデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド)、血管作動性腸管ペプチド(VIP)、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)、バソプレシン、アルギニンバソプレシン(AVP)、アンジオテンシン、カルシトニン、心房性ナトリウム利尿因子、ソマトスタチン、副腎皮質刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン、オキシトシン、インスリン、ソマトトロピン、プラスミノーゲン組織活性化因子、凝固因子VIII及びIXを含む凝固因子、グルコシルセラミダーゼ、サルグラモスチム、レノグラスチン、フィルグラスチン、ドルナーゼ-α、モルグラモスチム、PEG-L-アスパラギナーゼ、PEG-アデノシンデアミナーゼ、ヒルジン、エプタコグ-α(ヒト血液凝固因子VIIa)神経成長因子、トランスフォーミング成長因子、上皮成長因子、塩基性線維芽細胞成長因子、VEGFと、低分子量ヘパリンを含むヘパリン、カルシトニンと、抗原と、モノクローナル抗体と、バンコマイシンと、デスフェリオキサミン(DFO)と、副甲状腺ホルモン、免疫原または抗原、及びモノクローナル抗体などの抗体に関する。
【0199】
いくつかの実施形態では、本方法は、さらなる治療剤(例えば、本明細書に記載されるもの)の活性を効果的にし、及び/または目的細胞及び/または組織に標的化することができる。例えば、本合成RNAは、さらなる治療薬を治療箇所に指向させる1つ以上の標的分子の発現増加をもたらすことができる。例えば、さらなる治療剤は、合成RNAがコードする結合パートナーを有し得る。例えば、合成RNAは、併用してもよい抗体の治療薬活性を指向させる抗原の発現を誘発し得る(例えば、ハーセプチン、リツキサン、カンパス、ゲムツズマブ、ハーセプチン、パノレックス、リツキシマブ、ベクサール、エドレコロマブ、アレムツズマブ、ミロトラグ、IMC-C225、スマルチン195、及びミトモマブ)。いくつかの実施形態では、合成RNAは、本明細書に記載される腫瘍のうちの1つ以上に直接注入し、治療用抗体を腫瘍に誘導することができる。
【0200】
いくつかの実施形態では、本方法は、特に、さらなる治療剤が、例えば、薬物の活性形態を生成するプロドラッグである場合に、効果的なさらなる治療剤を生成することができる。いくつかの実施形態では、合成RNAは、本明細書に記載される腫瘍のうちの1つ以上に直接注入し、プロドラッグを腫瘍に誘導することができる。例えば、合成RNAは、非毒性の全身に送達される薬剤から強力な化学療法剤への局在化変換に触媒作用を及ぼす酵素をコードし得る。実例として(本明細書に記載されるプロドラッグまたは薬物のいずれかが、本明細書で使用されるさらなる薬剤であることに留意されたい):
【表A-1】
【表A-2】
【表A-3】
【0201】
ある特定の実施形態では、合成RNAは、以下の例で示されるように、種々のプロドラッグから5-FU及び/またはドキソルビシンへの変換に触媒作用を及ぼす酵素をコードし得る:
【表B】
【0202】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される用量及びレジメンでの核酸薬物を、1つ以上のさらなる薬剤(別名、補助療法または併用剤)と併用してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される用量及びレジメンでの核酸薬物は、1つ以上のさらなる薬剤で治療を受けているヒト患者で使用してもよい。いくつかの実施形態では、核酸薬物は、本明細書に記載されるさらなる薬剤のいずれかに対するアジュバントまたはネオアジュバントとして使用される。いくつかの実施形態では、本発明は、共投与及び/または共製剤化に関する。本明細書に記載される組成物のいずれかは、共製剤化、及び/または共投与されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される任意の核酸薬物は、別の薬剤と共投与された場合に相乗的に作用し、そのような薬剤が単独療法として使用される場合に一般に採用される用量未満の用量で投与してもよい。
【0203】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される任意の核酸薬物は、修飾される、即ち、任意のタイプの分子が組成物に共有結合することによって修飾される誘導体と含んでもよく、その結果、共有結合は、組成物の活性を防止しない。例えば、限定されないが、誘導体としては、とりわけ、グリコシル化、脂質化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロック基による誘導体化、タンパク分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への連結などによって修飾されている組成物が挙げられる。多数の任意の化学修飾は、ツニカマイシンの特定の化学切断、アセチル化、ホルミル化、代謝性合成などを含むがこれらに限定されない公知の技術によって行うことができる。さらに、誘導体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含有し得る。種々の実施形態では、1つ以上のさらなる薬剤(別名、補助療法または併用剤)は、本明細書に記載される任意の核酸薬物に抱合されてもよい。
【0204】
細胞をステロイドと接触させることで、外来核酸への先天性免疫応答を抑制することができ、核酸送達及び翻訳の効率を増すことができる。したがって、ある特定の実施形態は、細胞をステロイドと接触させることに関する。他の実施形態は、ステロイドを患者に投与することに関する。代表的なステロイドとしては、コルチコステロイドステロイドが挙げられる。いくつかの実施形態では、ステロイドは、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、トリアムシノロン、及びベタメサゾンのうちの1つ以上である。一実施形態では、ステロイドは、ヒドロコルチゾンである。別の実施形態では、ステロイドは、デキサメタゾンである。
【0205】
他の実施形態は、抗生物質、抗真菌剤、及びRNAse阻害剤の群のメンバーを患者に投与することに関する。
【0206】
A型ボツリヌス毒素は、特発性眼瞼痙攣、12歳を超える患者の斜視及び片側顔面痙攣、頸部ジストニア、眉間のしわ、(顔面の)しわの治療について、並びに多汗症の治療について、米国食品医薬品局(FDA)により承認されており、B型ボツリヌス毒素は、頸部ジストニアの治療について承認されている。本組成物は、これらの疾患及び関連疾患の治療において、これらの毒素と組み合わせてもよい。いくつかの実施形態は、神経毒を標的にする核酸薬物に関する。種々の実施形態では、神経毒は、ボツリヌス毒素またはその生物学的に活性な断片、変異体、類似体またはファミリーメンバーである。
【0207】
さらに、前述の毒素のうちの任意の1つの組み合わせは、顔のしわ、多動性皮膚線、眉間のしわ、目尻のしわ、ほうれい線、皮膚障害、鼻唇溝、眼瞼痙攣、斜視、片側顔面痙攣、及び発汗障害を含むがこれらに限定されない、種々の美容的処置のために、本組成物と組み合わせて用いてもよい。あるいは、本組成物は、単剤療法として、これらの美容的処置において、用いてもよい。
【0208】
ある特定の実施形態は、本発明の医薬組成物または化粧品組成物のうちの1つ以上及び1つ以上の補助療法または美容的治療を含む併用療法に関する。ある特定の実施形態では、本発明の治療薬または化粧品組成物のうちの1つ以上は、1つ以上の補助療法または美容的治療で治療を受けている対象に投与される。補助療法及び美容的治療の例は、内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第61/721,302号の表3及び表5に記載され、制限のためでなく、例示のために与えられる。
【0209】
【0210】
いくつかの実施形態では、さらなる薬剤は、細胞毒性剤であり、例示の実施形態では、毒素、化学療法剤、放射性同位体、及びアポトーシスまたは細胞死を引き起こす薬剤が挙げられる。
【0211】
代表的な細胞毒性剤としては、メトトレキサート、アミノプテリン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジンと、メクロレタミン、チオエパクロラムブチル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、マイトマイシンC、ロムスチン(CCNU)、1-メチルニトロソウレア、シクロホスファミド、メクロレタミン、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、cis-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン、及びカルボプラチン(パラプラチン)などのアルキル化剤と、ダウノルビシン(以前は、ダウノマイシン)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、デトルビシン、カルミノマイシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、及びビサントレンを含むアントラサイクリン系と、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ブレオマイシン、カリケアマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC)を含む抗生物質と、並びに、ビンカアルカロイド系、ビンクリスチン、及びビンブラスチンなどの抗有糸分裂剤が挙げられるが、これらに限定されない。他の細胞毒性剤としては、パクリタキセル(タキソール)、リシン、緑膿菌外毒素、ゲムシタビン、シトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、エトポシド、テノポシド、コルチシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、アスパラギナーゼ、副腎皮質ステロイド、ミトタン(O,P’-(DDD))、インターフェロン、並びにこれらの細胞毒性剤の混合物が挙げられる。
【0212】
さらなる細胞毒性剤としては、カルボプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、カリケアマイシン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ブレオマイシン、VEGFアンタゴニスト、EGFRアンタゴニスト、白金、タキソール、イリノテカン、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、ロイコボリン、ステロイド、シクロホスファミド、メルファラン、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、及びビノレルビン)、ムスチン、チロシンキナーゼ阻害剤、放射線療法、性ホルモンアンタゴニスト、選択的アンドロゲン受容体モジュレーター、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、PDGFアンタゴニスト、TNFアンタゴニスト、IL-1アンタゴニスト、インターロイキン(例えば、IL-12またはIL-2)、IL-12Rアンタゴニスト、毒素抱合モノクローナル抗体、腫瘍抗原特異的モノクローナル抗体、Erbitux、Avastin、Pertuzumab、抗CD20抗体、Rituxan、オクレリズマブ、オファツムマブ、DXL625、HERCEPTINなどの化学療法剤、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。リシン、ジフテリア毒素、及びシュードモナス毒素などの植物及び細菌からの毒性酵素は、細胞型特異的殺傷試薬を産生するために、治療薬(例えば、抗体)に抱合され得る(Youle,et al.,Proc.Nat’l Acad. Sci.USA77:5483(1980)、Gilliland,et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA77:4539(1980)、Krolick,et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA77:5419(1980))。
【0213】
他の細胞毒性薬としては、米国特許第6,653,104号のGoldenbergによって記述される、細胞傷害性リボヌクレアーゼが挙げられる。本発明の実施形態はまた、αまたはβ粒子を放射する放射性核種が、複合体形成剤の使用を伴って、または使用なしで、安定的に抗体またはその結合フラグメントに結合される、放射性免疫抱合体に関する。そのような放射性核種としては、リン32、スカンジウム47、銅67、ガリウム67、イットリウム88、イットリウム90、ヨウ素125、ヨウ素131、サマリウム153、ルテチウム177、レニウム186、またはレニウム188などのβ放射体、及びアスタチン211、鉛212、ビスマス212、ビスマス213、またはアクチニウム225などのα放射体が挙げられる。
【0214】
代表的な検出可能な部分としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、及びルシフェラーゼがさらに挙げられるが、これらに限定されない。さらなる例示の蛍光物質としては、ローダミン、フルオレセイン、イソチオシアン酸フルオレセイン、ウンベリフェロン、ジクロロトリアジニルアミン、フィコエリトリン、及びダンシルクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる例示の化学発光部分としては、ルミノールが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる例示の生物発光材料としては、ルシフェリン、及びエクオリンが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる例示の放射性物質としては、ヨウ素125、炭素14、硫黄35、トリチウム、及びリン32が挙げられるが、これらに限定されない。
【0215】
本明細書に記載される任意のさらなる薬剤の投与量、並びに投与スケジュールは、限定されないが、ヒト患者の一般的な健康状態、及び投与する医師及び/またはヒト患者の裁量を含む種々のパラメータに依存し得る。共投与は、同時または順次であってもよい。本明細書に記載される任意のさらなる薬剤は、核酸薬物のそれを必要とするヒト患者への投与前(例えば、約5分前、約15分前、約30分前、約45分前、約1時間前、約2時間前、約4時間前、約6時間前、約12時間前、約24時間前、約48時間前、約72時間前、約96時間前、約1週間前、約2週間前、約3週間前、約4週間前、約5週間前、約6週間前、8週間前、または約12週間前)、投与と同時、または投与に続いて(例えば、約5分後、約15分後、約30分後、約45分後、約1時間後、約2時間後、約4時間後、約6時間後、約12時間後、約24時間後、約48時間後、約72時間後、約96時間後、約1週間後、約2週間後、約3週間後、約4週間後、約5週間後、約6週間後、約8週間後、または約12週間後)投与することができる。種々の実施形態では、本明細書に記載される任意の薬剤は、約1分間隔、約10分間隔、約30分間隔、約1時間未満間隔、約1時間間隔、約1時間~約2時間間隔、約2時間~約3時間間隔、約3時間~約4時間間隔、約4時間~約5時間間隔、約5時間~約6時間間隔、約6時間~約7時間間隔、約7時間~約8時間間隔、約8時間~約9時間間隔、約9時間~約10時間間隔、約10時間~約11時間間隔、約11時間~約12時間間隔、または約24時間間隔以下、または約48時間間隔以下に投与される。
【0216】
特定の実施形態では、併用レジメンは、本発明の核酸薬物の投与及び製剤が短時間(例えば、約6時間、または約12時間、または約24時間、または約30時間、または約36時間、または約48時間)で強力な効果を有し、その効果が約7日間またはそれ以上持続することができる知見を活用するように設計される。
【0217】
核酸薬物の用量を本明細書に開示する。一般に、有用な任意のさらなる薬剤の用量は、当業者に知られている。例えば、用量は、その内容が全体として参照により組み込まれる参考文献Physicians’Desk Reference,66th Edition,PDR Network;2012 Edition(December 27,2011)で決定してもよい。いくつかの実施形態では、本発明により、患者は、参考文献Physicians’Desk Referenceで決定されたものを超える用量を受けることができる。本明細書に記載される任意のさらなる薬剤の投与量は、状態の重篤度、状態が治療されるのかまたは予防されるのか、及び治療される患者の年齢、体重、及び健康を含むいくつかの因子に依存し得る。さらに、特定のヒト患者の薬理ゲノム学(治療薬の薬物動態、薬力学的または有効性プロファイルにおける遺伝子型の効果)情報は、使用される投与量に影響を及ぼし得る。さらに、正確な個別の投与量は、投与される薬剤の特定の組み合わせ、投与時間、投与経路、製剤の性質、排泄速度、治療している特定の疾患、障害の重篤度、及び障害の解剖学的位置を含む種々の因子に応じて幾分調整することができる。投与量のある程度の変動が予測できる。
【0218】
例えば、外来生体及び核酸に対するバリアとして機能することができる角質層を含む、細胞、組織、器官、及びヒトを含むがこれらに限定されない生体は、核酸の送達を阻害または防止することができる、いくつかの特徴を有する。したがって、これらの特徴は、核酸を含む、治療薬及び化粧品の効果を阻害し得る。これらの特徴の多くは、柔軟な膜及び複数の針を備えるパッチを用いて回避または克服することができること、並びにそのようなパッチは、核酸の送達のための効果的かつ安全な物品として機能することができることが、現在発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、核酸送達パッチに関する。一実施形態では、核酸送達パッチは、柔軟な膜を備える。別の実施形態では、核酸送達パッチは、複数の針を備える。さらに別の実施形態では、複数の針は、柔軟な膜に取り付けられる。いくつかの実施形態では、パッチは、核酸を含む。一実施形態では、核酸は、溶液中に存在する。一実施形態では、複数の針は、管腔を有する1つ以上の針を含む。別の実施形態では、パッチはさらに、第2の柔軟な膜を含む。さらに別の実施形態では、柔軟な膜及び第2の柔軟な膜は、空洞を形成するように配置される。さらなる実施形態では、空洞は、核酸を含有する。さらに別の実施形態では、膜は、核酸が通過することができる1つ以上の穴を備える。さらに別の実施形態では、1つ以上の穴及び管腔を有する1つ以上の針は、1つ以上の穴のうちの少なくとも1つを通した、及び管腔を有する1つ以上の針のうちの少なくとも1つを通した、核酸を含有する溶液の通過を可能にするように配置される。いくつかの実施形態では、パッチは、皮膚に溶液を送達するように構成される。一実施形態では、溶液は、核酸を含む。別の実施形態では、溶液は、ビヒクルを含む。さらに別の実施形態では、ビヒクルは、脂質または脂質様物質である。さらに別の実施形態では、ビヒクルは、脂質系トランスフェクション試薬である。
【0219】
細胞膜は、外来核酸に対するバリアとして機能することができる。電場と本発明のパッチを組み合わせることにより、核酸送達の効率を増大させることができることが、現在発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、少なくとも2つの針が高電圧回路の一部を形成する複数の針を備える核酸送達パッチに関する。ある特定の実施形態は、マイクロニードル送達のための埋め込み式の「タトゥー」に関する(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるNature Materials 12,pp367-376(2013)を参照されたい)。一実施形態では、高電圧回路は、約10Vを超える電圧を発生する。別の実施形態では、高電圧回路は、約20Vを超える電圧を発生する。さらに別の実施形態では、電場は、2つの針の間に生成される。さらなる実施形態では、電場の大きさは、少なくとも約100V/cmである。さらに別の実施形態では、電場の大きさは、少なくとも約200V/cmである。いくつかの実施形態では、パッチは、表皮に核酸を送達するように構成される。他の実施形態では、パッチは、真皮に核酸を送達するように構成される。さらに他の実施形態では、パッチは、皮下組織に核酸を送達するように構成される。さらに他の実施形態では、パッチは、筋肉に核酸を送達するように構成される。ある特定の実施形態は、複数の電極を備える核酸送達パッチに関する。一実施形態では、複数の電極は、柔軟な膜に取り付けられる。他の実施形態は、剛性構造体を備える核酸送達パッチに関する。一実施形態では、複数の電極は、剛性構造体に取り付けられる。
【0220】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、対象の患部を覆う針アレイを用いて投与される。いくつかの実施形態では、治療領域は、投与後に機械的にマッサージされる。いくつかの実施形態では、治療領域は、投与後に電気パルスに曝露される。いくつかの実施形態では、電気パルスは、約50マイクロ秒~約1秒間、約10V~約200Vである。いくつかの実施形態では、電気パルスは、多電極アレイによって治療領域の周りに生成される。
【0221】
いくつかの実施形態では、本発明は、膜内に封入される非ウイルス性RNAトランスフェクション組成物、及び約100cm2以下、または約50cm2以下、または約10cm2以下、または約5cm2以下、または約1cm2以下、または約0.5cm2以下、または約0.2cm2以下の治療領域当たり10ng~約2000ngのRNAを送達する送達針のアレイを含む、パッチ送達系を提供する。いくつかの実施形態では、非ウイルス性トランスフェクション組成物は、約20μL~約1mlの注入量当たり約10ng~約2000ngを含有する。いくつかの実施形態では、各針は、1μL~500μLの注入量を送達する。
【0222】
いくつかの実施形態では、送達パッチは、核酸薬物を保持するアクリル容器を含む。いくつかの実施形態では、微細な濃縮薬物細胞の半固体懸濁液を作製するためにシリコン接着剤を添加する。さらに、いくつかの実施形態は、1つ以上のエンハンサー(これらとしては、イオン導入、超音波、ゲルを含む化学物質、マイクロニードル、ソノフォレーシス、レーザー、及び電気穿孔法が挙げられるが、これらに限定されない)と関連付けられるパッチを誇る。
【0223】
いくつかの実施形態では、送達は、ゲル、任意に、エンハンサー(例えば、COMBIGEL(ANTARES PHARMA))の組み合わせを含有する水性アルコールゲルを介して作用をもたらす。
【0224】
種々の実施形態では、RNAは、ニードルアレイを用いて送達される。例示的なニードルアレイとしては、AdminPen 600、及びそれらの開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,658,728号、同第7,785,301号、及び同第8,414,548号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。針の他の例としては、例えば、3M(商標)中空微細経皮システム及び3M(商標)中実微細経皮システム(sMTS)が挙げられる。例えば、それらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,034,507号、及び同第3,675,766号と、Microneedles for Transdermal Drug Delivery.Advanced Drug Delivery Reviews.56:581-587(2004);Pharm Res.2011 Jan;28(1):31-40を参照されたい。
【0225】
いくつかの実施形態では、マイクロニードル及び/またはマイクロニードルアレイを使用してもよい。種々の実施形態では、マイクロニードル及び/またはマイクロニードルアレイは、限定されないが、中実、RNA被覆、溶解性、生分解性、及び/または中空であってもよい。いくつかの実施形態では、送達は、任意に、特定の時間または要求に応じて薬物を送達する電子制御式マイクロポンプと組み合わせた、マイクロニードルシステムを介して作用をもたらす。例えば、MACROFLUX(Alza)システムを使用してもよい。
【0226】
他の実施形態は、インビボの細胞を含有する組織に核酸を適用することを含む、インビボの細胞に核酸を送達するための方法に関する。一実施形態では、方法はさらに、細胞の付近で過渡電場を印加することを含む。別の実施形態では、方法は、核酸を内在化するインビボの細胞をもたらす。さらに別の実施形態では、核酸は、合成RNAを含む。さらなる実施形態では、方法はさらに、治療的または美容的有効量の核酸を内在化する細胞をもたらす。一実施形態では、細胞は、皮膚細胞である。別の実施形態では、細胞は、筋細胞である。さらに別の実施形態では、細胞は、皮膚線維芽細胞である。さらなる実施形態では、細胞は、ケラチノサイトである。さらに別の実施形態では、細胞は、筋芽細胞である。いくつかの実施形態では、核酸は、目的タンパク質を含む。一実施形態では、目的タンパク質は、蛍光タンパク質である。別の実施形態では、目的タンパク質は、細胞外マトリックスタンパク質である。さらに別の実施形態では、目的タンパク質は、エラスチン、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、リシルオキシダーゼ、エラスチン結合タンパク質、成長因子、線維芽細胞増殖因子、トランスフォーミング成長因子β、顆粒球コロニー刺激因子、マトリックスメタロプロテイナーゼ、アクチン、フィブリリン、ミクロフィブリル結合糖タンパク質、リシルオキシダーゼ様タンパク質、血小板由来成長因子、リパーゼ、脱共役タンパク質、サーモゲニン、フィラグリン、線維芽細胞成長因子、抗体、及び色素産生に関与するタンパク質の群のメンバーである。いくつかの実施形態では、方法はさらに、表皮に核酸を送達することを含む。他の実施形態では、方法はさらに、真皮に核酸を送達することを含む。さらに他の実施形態では、方法はさらに、真皮の下に核酸を送達することを含む。一実施形態では、送達は、注入による。別の実施形態では、送達は、マイクロニードルアレイを用いた注入による。さらに別の実施形態では、送達は、局所投与による。さらなる実施形態では、送達は、組織の一部の破壊または除去を含む。さらに別の実施形態では、送達は、角質層の破壊または除去を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、溶液中に存在する。一実施形態では、溶液は、成長因子を含む。別の実施形態では、成長因子は、線維芽細胞成長因子及びトランスフォーミング増殖因子の群のメンバーである。さらに別の実施形態では、成長因子は、塩基性線維芽細胞増殖因子及びトランスフォーミング増殖因子βの群のメンバーである。他の実施形態では、溶液は、コレステロールを含む。
【0227】
別の実施形態では、方法はさらに、1つ以上の核酸分子と細胞を接触させることを含む。さらに別の実施形態では、1つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、目的タンパク質をコードする。さらなる実施形態では、方法は、目的タンパク質を発現する細胞をもたらす。さらに別の実施形態では、方法は、治療的または美容的有効量の目的タンパク質を発現させる細胞をもたらす。
【0228】
別の実施形態では、細胞は、核酸分子と接触する。さらに別の実施形態では、方法は、核酸分子を内在化する細胞をもたらす。さらなる実施形態では、方法は、治療的または美容的有効量の核酸分子を内在化する細胞をもたらす。一実施形態では、核酸は、目的タンパク質をコードする。一実施形態では、核酸分子は、dsDNA分子、ssDNA分子、RNA分子、dsRNA分子、ssRNA分子、プラスミド、オリゴヌクレオチド、合成RNA分子、miRNA分子、mRNA分子、及びsiRNA分子の群のメンバーを含む。種々の実施形態では、RNAは、1つ以上の非標準ヌクレオチドを含む。
【0229】
いくつかの実施形態では、本発明は、それらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,711,964号と、同第5,891,468号と、同第6,316,260号と、同第6,413,544号と、同第6,770,291号と、及び同第7,390,780号に記載されている1つ以上の投与技術に関する。
【0230】
本発明は、本明細書に記載される核酸薬物及び/または本明細書に記載される任意のさらなる薬剤の投与を簡単にできるキットも提供する。本発明の例示的なキットは、本明細書に記載される核酸薬物及び/または任意のさらなる薬剤を単位剤形で含む。一実施形態では、単位剤形は、本明細書に記載される任意の薬剤及び薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、またはビヒクルを含有する、滅菌してもよいプレフィルド・シリンジなどの容器である。キットは、本明細書に記載される任意の薬剤の使用を指示するラベルまたは印刷説明書をさらに含み得る。キットまたはキットの1つ以上の成分は、室温、約4℃、約-20℃、約-80℃、または約-196℃で保管してもよい。キットは、投与位置に対する開瞼器、局所麻酔薬、及び洗浄剤も含んでもよい。キットは、本明細書に記載される1つ以上のさらなる薬剤をさらに含み得る。一実施形態では、キットは、本明細書で開示される核酸薬物の有効量、及び本明細書に記載されるようなさらなる薬剤などの別の組成物の有効量を含有する容器を含む。いくつかの実施形態では、単位剤形は、予備装入(別名、予投与またはプレフィルド)シリンジまたはペン針注入器(注入ペン))である。そのような単位剤形は、本明細書に記載される核酸薬物の有効用量、例えば、約10ng~約2000ng、例えば、約10ng、または約20ng、または約50ng、または約100ng、または約200ng、または約300ng、または約400ng、または約500ng、または約600ng、または約700ng、または約800ng、または約900ng、または約1000ng、または約1100ng、または約1200ng、または約1300ng、または約1400ng、または約1500ng、または約1600ng、または約1700ng、または約1800ng、または約1900ng、または約2000ngを含み得る。
【0231】
いくつかの実施形態は、低い毒性及び高い翻訳効率を有する合成RNA分子に関する。他の実施形態は、細胞の、高効率のインビボトランスフェクション、リプログラミング、及び遺伝子編集のための細胞培養培地に関する。他の実施形態は、リプログラミングタンパク質をコードする合成RNA分子を生成するための方法に関する。さらに別の実施形態は、遺伝子編集タンパク質をコードする合成RNA分子を生成するための方法に関する。
【0232】
いくつかの実施形態は、遺伝子編集及び/または遺伝子修正の方法に関する。いくつかの実施形態は、例えば、非標準ヌクレオチドを含むRNA、例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ニッカーゼ、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖回文反復(CRISPR)関連タンパク質またはそれらの天然もしくは操作された変異体、ファミリーメンバー、相同分子種、断片または融合構築物のうちの1つ以上をコードするRNAによる合成RNAベースの遺伝子編集及び/または遺伝子修正を包含する。いくつかの実施形態では、遺伝子編集及び/または遺伝子修正の効率は、高く、例えば、DNAベースの遺伝子編集及び/または遺伝子修正よりも高い。いくつかの実施形態では、遺伝子編集及び/または遺伝子修正の本方法は、インビボ適用に十分に効率的である。いくつかの実施形態では、遺伝子編集及び/または遺伝子修正の本方法は、細胞選択(例えば、編集されている細胞の選択)を必要としないように十分に効率的である。種々の実施形態では、本方法の遺伝子編集の効率は、約1%、または約2%、または約3%、または約4%、または約5%、または約6%、または約7%、または約8%、または約9%、または約10%、または約20%、または約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約100%である。種々の実施形態では、本方法の遺伝子修正の効率は、約1%、または約2%、または約3%、または約4%、または約5%、または約6%、または約7%、または約8%、または約9%、または約10%、または約20%、または約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約100%である。
【0233】
いくつかの実施形態は、操作されたヌクレアーゼ切断ドメインを含む、高効率の遺伝子編集タンパク質に関する。他の実施形態は、操作されたヌクレアーゼ切断ドメインを含む、高忠実度の遺伝子編集タンパク質に関する。種々の実施形態は、操作されたDNA結合ドメインを含む、高効率の遺伝子編集タンパク質に関する。他の実施形態は、操作されたDNA結合ドメインを含む、高忠実度の遺伝子編集タンパク質に関する。さらに他の実施形態は、操作された反復配列を含む、遺伝子編集タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、1つ以上のCRISPR関連ファミリーメンバーを含む遺伝子編集タンパク質に関する。いくつかの実施形態は、遺伝子編集タンパク質で細胞をトランスフェクトすること、またはそれを発現させるように細胞を誘導することにより、細胞のDNA配列を変更するための方法に関する。他の実施形態は、インビトロ培養で存在する細胞のDNA配列を変更するための方法に関する。さらに別の実施形態は、インビボで存在する細胞のDNA配列を変更するための方法に関する。
【0234】
いくつかの実施形態は、ポリペプチドの分泌または細胞内局在を調節するための方法に関する。そのような実施形態では、本発明は、生物学的機能性を有するポリペプチドに作動可能に連結されるシグナルペプチドを含むタンパク質をコードするRNAを提供する。ある実施形態では、シグナルペプチドは、ポリペプチドの分泌を調節する。別の実施形態では、シグナルペプチドは、ポリペプチドの細胞内局在を調節する。例えば、少なくとも1つのFGF21シグナルペプチドを含むBMP7は、BMP7の分泌の増加をもたらし得る。別の例では、内因性BMP7シグナルペプチドの代わりに少なくとも1つのFGF21シグナルペプチドを含むBMP7は、BMP7の分泌の増加をもたらし得る。種々の実施形態では、以下の表に記載される少なくとも1つのシグナルペプチドを含む表2Aまたは表2Bに記載されるタンパク質のいずれかは、タンパク質の分泌の増加をもたらし得る。
【表C】
【0235】
いくつかの実施形態は、タンパク質をコードするRNA、及びタンパク質の受容体をコードするRNAを投与することを含む、タンパク質の血清半減期、分泌、バイオアベイラビリティ、及び/または活性を調節するための方法に関する。例えば、IL15は、IL15の血清半減期、分泌、バイオアベイラビリティ、及び活性のうちの1つ以上を増強するために、その受容体、例えば、IL15RAと共に投与してもよい。
【0236】
多くのタンパク質及びペプチドは、インビトロ転写RNAから翻訳した場合、活性の低減を示すことができ、これは不完全または不十分な翻訳後処理からである。RNAトランスフェクション後に産生された活性タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの量は、ポリペプチドをタンパク質、ペプチド、またはポリペプチドに処理することができる第2のタンパク質と細胞を接触させること、及び/またはポリペプチドをタンパク質、ペプチド、またはポリペプチドに処理することができる第2のタンパク質を発現させるように細胞を誘導することによって増加できることが、現在発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、第1のポリペプチドをコードする合成RNA分子と細胞を接触させること、及び第1のポリペプチドを活性タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに処理することができる第2のタンパク質と細胞を接触させることを含む、活性タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを発現させるように細胞を誘導するための方法に関する。
【0237】
ある特定の実施形態では、第2のタンパク質を患者に投与する。一実施形態では、第2のタンパク質は、組換えタンパク質である。別の実施形態では、第2のタンパク質をコードする合成RNA分子と細胞を接触させる。さらなる実施形態では、第2のタンパク質を阻害する分子の阻害剤と細胞を接触させる、及び/または第2のタンパク質を阻害する分子の阻害剤を発現させるように細胞を誘導させる。一実施形態では、阻害剤は、短干渉RNA分子である。
【0238】
ある特定の実施形態では、第2のタンパク質は、PCSKファミリーのメンバーである。他の実施形態では、第2のタンパク質は、プロタンパク質コンベルターゼである。さらに他の実施形態では、第2のタンパク質は、プロホルモンコンベルターゼである。さらに他の実施形態では、第2のタンパク質は、カルボキシペプチダーゼである。一実施形態では、第2のタンパク質は、PCSK3(フリン/PACE)である。別の実施形態では、第2のタンパク質は、主に分泌される。さらに別の実施形態では、第2のタンパク質は、主に細胞内である。さらなる実施形態では、第1のポリペプチド、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドは、プロオピオメラノコルチンの産物、レニン、エンケファリンの産物、プロダイノルフィンの産物、ソマトスタチン、インスリン、アグーチ関連ペプチド、グルカゴン、副甲状腺ホルモン、トランスフォーミング成長因子βスーパーファミリーのメンバー、アルブミン、β-セクレターゼ1、神経成長因子、カルデスモン、α-インテグリン、第IX因子、α-メラノサイト刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、β-エンドルフィン、及びメトエンケファリンからなる群から選択される。
【0239】
糖化及びグリコシル化は、1つ以上の糖分子が、タンパク質に結合するプロセスである。糖化及びグリコシル化部位の、数または位置を変更することにより、タンパク質の安定性を増大または低減させることができることが、現在発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、1つ以上の糖化またはグリコシル化部位を有するタンパク質に関する。一実施形態では、タンパク質は、タンパク質の天然変異体より多くの糖化またはグリコシル化部位を有するように操作される。別の実施形態では、タンパク質は、タンパク質の天然変異体よりも少ない糖化またはグリコシル化部位を有するように操作される。さらに別の実施形態では、タンパク質は、増大した安定性を有する。さらに別の実施形態では、タンパク質は、低減した安定性を有する。いくつかの実施形態では、タンパク質は、循環タンパク質である。一実施形態では、タンパク質は、エリスロポエチンまたはその生物学的に活性な断片、変異体、類似体、またはファミリーメンバーである。別の実施形態では、タンパク質は、ダルベポエチンαまたはその生物学的に活性な断片、変異体、類似体、またはファミリーメンバーである。別の実施形態では、タンパク質は、NOVEPOETINまたはその生物学的に活性な断片、変異体、類似体、またはファミリーメンバーである。
【0240】
トランスフェクション培地に、1つ以上のステロイド及び/または1つ以上の抗酸化剤を含むある特定の状況では、インビボトランスフェクション効率、インビボリプログラミング効率、及びインビボ遺伝子編集効率を増大させることができることが、さらに発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾンまたはベタメタゾンなどのグルココルチコイドと細胞または患者を接触させることに関する。他の実施形態は、ステロイドを含有する培地と細胞を接触させることにより、及び1つ以上の核酸分子と細胞を接触させることにより、目的タンパク質を発現させるように細胞を誘導するための方法に関する。一実施形態では、核酸分子は、合成RNAを含む。別の実施形態では、ステロイドは、ヒドロコルチゾンである。さらに別の実施形態では、ヒドロコルチゾンは、約0.1μM~約10μM、または約1μMの濃度で培地に存在する。他の実施形態は、抗酸化剤を含有する培地とインビボの細胞を接触させることにより、及び1つ以上の核酸分子と細胞を接触させることにより、目的タンパク質を発現させるように細胞を誘導するための方法に関する。一実施形態では、酸化防止剤は、アスコルビン酸またはアスコルビン酸-2-リン酸である。別の実施形態では、アスコルビン酸またはアスコルビン酸-2-リン酸は、約50mg/Lを含む、約0.5mg/L~約500mg/Lの濃度で培地に存在する。さらに他の実施形態は、ステロイド及び/または抗酸化剤を含有する培地と細胞を接触させることにより、並びに1つ以上の核酸分子と細胞を接触させることにより、インビボの細胞をリプログラミング及び/または遺伝子編集するための方法に関し、1つ以上の核酸分子は、1つ以上のリプログラミング及び/または遺伝子編集タンパク質をコードする。ある特定の実施形態では、細胞は、生体に存在し、ステロイド及び/または抗酸化剤は、生体に送達される。
【0241】
複合体形成培地にトランスフェリンを添加することにより、ある特定の状況においてプラスミドトランスフェクションの効率を増大させることが報告されている。複合体形成培地にトランスフェリンを添加することにより、合成RNA分子でのインビボトランスフェクションの効率を同様に増大させることができることが、現在発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、トランスフェリンを含有する溶液に、1つ以上の合成RNA分子及びトランスフェクション試薬を添加することにより、目的タンパク質を発現させるようにインビボの細胞を誘導するための方法に関する。一実施形態では、トランスフェリンは、約5mg/Lなどの、約1mg/L~約100mg/Lの濃度で溶液に存在する。別の実施形態では、トランスフェリンは、組換え型である。
【0242】
ある特定の状況では、例えば、培養に関しては、1つには、非動物由来及び/または組換え成分が、動物由来成分よりも高い度合いの一貫性で生成することができるために、並びに、1つには、非動物由来及び/または組換え成分が、動物由来成分よりも低い毒性及び/または病原性物質での汚染の危険を伴うために、非動物由来及び/または組換え成分と、動物由来成分を交換することが望ましいことがある。したがって、ある特定の実施形態は、非動物由来及び/または組換え型であるタンパク質に関する。他の実施形態は、培地の成分の一部または全てが、非動物由来及び/または組換え型である培地に関する。
【0243】
他の実施形態は、インビボの細胞をトランスフェクトするための方法に関する。一実施形態では、インビボの細胞が、1つ以上の核酸でトランスフェクトされ、トランスフェクションは、脂質系トランスフェクション試薬などのトランスフェクション試薬を用いて実施される。一実施形態では、1つ以上の核酸は、少なくとも1つのRNA分子を含む。別の実施形態では、細胞は、1つ以上の核酸でトランスフェクトされ、1つ以上の核酸は、p53、TERT、抗体、細胞外マトリックスタンパク質、サイトカイン、分泌タンパク質、膜結合タンパク質、酵素、遺伝子編集タンパク質、クロマチン修飾タンパク質、DNA結合タンパク質、転写因子、ヒストン脱アセチル化酵素、病原体結合分子パターン、及び腫瘍関連抗原またはその生物学的に活性な断片、類似体、変異体、もしくはファミリーメンバーのうちの少なくとも1つをコードする。別の実施形態では、細胞は、繰り返し、例えば、連続した約10日間に少なくとも約2回、または連続した約7日間に少なくとも約3回、または連続した約6日間に少なくとも約4回トランスフェクトされる。いくつかの実施形態は、線維芽細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、心筋幹細胞、毛包幹細胞、神経幹細胞、腸管幹細胞、内皮幹細胞、嗅覚幹細胞、神経堤幹細胞、精巣細胞、及びケラチノサイトの1つにおけるテロメラーゼの発現を増加させる方法に関する。いくつかの実施形態は、線維芽細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、心筋幹細胞、毛包幹細胞、神経幹細胞、腸管幹細胞、内皮幹細胞、嗅覚幹細胞、神経堤幹細胞、精巣細胞、及びケラチノサイトの1つにおけるテロメアの長さを増加させる方法に関する。他の実施形態は、患者から細胞を単離し、細胞を、テロメラーゼの構成要素(例えば、TERT)をコードする核酸薬物と接触させ、及び細胞を患者に再導入するための方法に関する。種々の実施形態は、細胞の複製能力を増加させる方法に関する。
【0244】
リプログラミングは、1つ以上のリプログラミング因子をコードする1つ以上の核酸で細胞をトランスフェクトすることにより実施することができる。リプログラミング因子の例としては、Oct4タンパク質、Sox2タンパク質、Klf4タンパク質、c-Mycタンパク質、I-Mycタンパク質、TERTタンパク質、Nanogタンパク質、Lin28タンパク質、Utf1タンパク質、Aicdaタンパク質、miR200マイクロRNA、miR302マイクロRNA、miR367マイクロRNA、miR369マイクロRNA、並びにその生物学的に活性な断片、類似体、変異体、及びファミリーメンバーが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、ある特定の実施形態は、インビボの細胞をリプログラミングするための方法に関する。一実施形態では、インビボの細胞は、1つ以上のリプログラミング因子をコードする1つ以上の核酸で細胞をトランスフェクトすることによりリプログラミングされる。一実施形態では、1つ以上の核酸は、Oct4タンパク質をコードするRNA分子を含む。別の実施形態では、1つ以上の核酸はさらに、Sox2タンパク質、Klf4タンパク質、及びc-Mycタンパク質をコードする1つ以上のRNA分子を含む。さらに別の実施形態では、1つ以上の核酸はさらに、Lin28タンパク質をコードするRNA分子を含む。一実施形態では、細胞は、ヒト皮膚細胞であり、ヒト皮膚細胞は、多能性幹細胞にリプログラミングされる。別の実施形態では、細胞は、ヒト皮膚細胞であり、ヒト皮膚細胞は、グルコース応答性インスリン産生細胞にリプログラミングされる。リプログラミングすることができる他の細胞、及び細胞がリプログラミングすることができる他の細胞の例としては、皮膚細胞、多能性幹細胞、間葉系幹細胞、β細胞、網膜色素上皮細胞、造血細胞、心臓細胞、気道上皮細胞、神経幹細胞、神経細胞、グリア細胞、骨細胞、血液細胞、及び歯髄幹細胞が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、細胞を、リプログラミングされた細胞をサポートする培地に接触させる。一実施形態では、培地はさらに、細胞をサポートする。
【0245】
重要なことに、心筋細胞の成長をサポートする培地で細胞を培養することと組み合わせて、Oct4、Sox2、Klf4、及びc-Mycをコードするウイルスに皮膚細胞を感染させることにより、最初に多能性幹細胞に皮膚細胞をリプログラミングすることなく、心筋細胞への皮膚細胞のリプログラミングを引き起こすことが報告されている(その内容が参照により本明細書に組み込まれる、Efs et al Nat Cell Biol.2011;13:215-22を参照されたい)。ある特定の状況では、直接リプログラミング(「分化転換」としても知られる、先に多能性幹細胞に体細胞をリプログラミングすることなく、別の体細胞に1つの体細胞をリプログラミングすること)は、望ましいことがあり、これは、1つには、多能性幹細胞を培養することは、時間がかかり、高価である可能性があるために、安定した多能性幹細胞を樹立し、特徴付けることに伴う追加の処理には、汚染の増大した危険を伴う可能性があり、先に多能性幹細胞を産生することに関連した培養の追加の時間には、ゲノム不安定性、並びに、点突然変異、コピー数の変化、及び核型異常を含む突然変異の獲得の増加した危険を伴う可能性があるからである。したがって、ある特定の実施形態は、インビボの体細胞をリプログラミングするための方法に関し、細胞は体細胞にリプログラミングされ、特徴付けられた多能性幹細胞株は産生されない。
【0246】
ある特定の状況では、他の方法に従うよりも少ない総トランスフェクションが、本発明の方法に従って細胞をリプログラミングするために必要とされることがあることが、さらに発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、インビボの細胞をリプログラミングするための方法に関し、約1~約12のトランスフェクションが連続した約20日間に実施され、または約4~約10のトランスフェクションが連続した約15日間に実施され、または約4~約8のトランスフェクションが連続した約10日間に実施される。細胞が、核酸分子を含有する培地と接触する場合、細胞は恐らく、同時または異なる時のいずれかに、2つ以上の核酸分子と接触するようになる、及び/またはそれを内在化することがあることが認識される。したがって、細胞を、核酸を含有する培地と1回のみ接触させる場合でさえ、細胞を、2回以上、例えば、繰り返し核酸と接触させることができる。
【0247】
注目すべきは、核酸は、本明細書に記載されるような1つ以上の非標準的なまたは「修飾された」残基を含有することができる。例えば、本明細書に記載される非標準ヌクレオチドのいずれかは、本リプログラミング方法において使用することができる。一実施形態では、プソイドウリジン-5′-三リン酸は、合成RNAを得るために、インビトロ転写反応で、ウリジン-5′-三リン酸と置換することができ、合成RNAのウリジン残基のうちの最大100%は、プソイドウリジン残基と交換してもよい。インビトロ転写により、プソイドウリジン及び5-メチルシチジンが、それぞれウリジン及びシチジンに完全に置換される場合でさえ、残留した免疫原性を有するRNAを得ることができる(例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、Angel.Reprogramming Human Somatic Cells to Pluripotency Using RNA[Doctoral Thesis].Cambridge,MA:MIT;2011を参照されたい)。このため、RNAで細胞をトランスフェクトする場合、トランスフェクション培地に免疫抑制剤を添加することが一般的である。ある特定の状況では、トランスフェクション培地に免疫抑制剤を添加することは、1つには、この目的のために最も一般的に用いられる組換え免疫抑制剤B18Rが、高価及び製造困難である可能性があるために、望ましくないことがある。インビボの細胞は、B18Rまたは任意の他の免疫抑制剤を用いることなく、本発明の方法に従ってトランスフェクト及び/またはリプログラミングすることができることが、現在発見されている。免疫抑制剤を用いずに、本発明の方法に従ってインビボの細胞をリプログラミングすることは、迅速で、効率がよく、信頼性が高い可能性があることが、さらに発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、トランスフェクション培地が免疫抑制剤を含有しない、インビボの細胞をトランスフェクトするための方法に関する。他の実施形態は、トランスフェクション培地が免疫抑制剤を含有しない、インビボの細胞をリプログラミングするための方法に関する。ある特定の状況では、例えば、高い細胞密度を用いる場合、トランスフェクション培地に免疫抑制剤を添加することが有益であることがある。したがって、ある特定の実施形態は、トランスフェクション培地が免疫抑制剤を含有する、インビボの細胞をトランスフェクトするための方法に関する。他の実施形態は、トランスフェクション培地が免疫抑制剤を含有する、インビボの細胞をリプログラミングするための方法に関する。一実施形態では、免疫抑制剤は、B18Rまたはその生物学的に活性な断片、類似体、変異体、もしくはファミリーメンバー、あるいはデキサメタゾンまたはその誘導体である。一実施形態では、トランスフェクション培地は、免疫抑制剤を含有せず、核酸用量は、過度の毒性を防止するように選択される。別の実施形態では、核酸用量は、組織1cm2あたり約1mg未満、または細胞100,000個あたり約1mg未満、または1kgあたり約10mg未満である。
【0248】
本発明のある特定の実施形態に従って生成されたリプログラミングされた細胞は、望ましくない外来DNA配列を含有せず、動物由来またはヒト由来の生成物であって、不明確であることがあり、毒性及び/または病原性汚染物質を含有し得る、生成物に曝露されないので、治療的及び/または美容的用途に適している。さらに、本発明のある特定の実施形態の高い速度、効率、及び信頼性により、突然変異及び他の染色体異常の獲得及び蓄積の危険が減少することがある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、治療的及び/または美容的用途で用いられるために適切な安全性プロファイルを有する細胞を生成するために用いることができる。例えば、本発明のRNAと、動物またはヒト由来の成分を含有しない培地とを用いて細胞をリプログラミングすることにより、同種異系材料に曝露されていない細胞を得ることができる。したがって、ある特定の実施形態は、望ましい安全性プロファイルを有するリプログラミングされた細胞に関する。一実施形態では、リプログラミングされた細胞は、正常な核型を有する。別の実施形態では、リプログラミングされた細胞は、患者ゲノムに対して約5未満のコピー数多型(CNV)、例えば、患者ゲノムに対して約3未満のコピー数多型を有し、または患者ゲノムに対してコピー数多型を有さない。さらに別の実施形態では、リプログラミングされた細胞は、正常な核型、及び患者ゲノムに対してコード領域内に約100未満の単一ヌクレオチド変異体、または患者ゲノムに対してコード領域内に約50未満の単一ヌクレオチド変異体、または患者ゲノムに対してコード領域内に約10未満の単一ヌクレオチド変異体を有する。
【0249】
エンドトキシン及びヌクレアーゼは、同時精製することができ、及び/または、血清アルブミンなどの他のタンパク質と関連付けることができる。特に、組換えタンパク質は多くの場合、産生中に起こる可能性がある細胞の溶解にある程度起因して、関連エンドトキシン及びヌクレアーゼのレベルが高い可能性がある。エンドトキシン及びヌクレアーゼは、例えば、アセチル化による、オクタン酸ナトリウムなどの安定剤の添加に続いて熱処理することによるもの、アルブミン溶液及び/または培地にヌクレアーゼ阻害剤を添加することによるもの、結晶化によるもの、1つ以上のイオン交換樹脂と接触させることによるもの、活性炭と接触させることによるもの、分取電気泳動によるもの、またはアフィニティークロマトグラフィーによるものを含む、本発明の多くの方法に従って、減少させる、除去する、交換する、または別の方法で不活性化させることができる。エンドトキシン及び/またはヌクレアーゼを、培地から及び/または培地の1つ以上の成分から、部分的または完全に減少させる、除去する、交換する、または別の方法で不活性化させることにより、細胞がトランスフェクト及びリプログラミングすることができる効率を増大できることが、現在発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、トランスフェクション培地が、1つ以上のエンドトキシン及び/またはヌクレアーゼを部分的にまたは完全に減少させる、除去する、交換する、または別の方法で不活性化させるように処理される、1つ以上の核酸でインビボの細胞をトランスフェクトするための方法に関する。他の実施形態は、核酸の最小限の分解を引き起こす培地に関する。一実施形態では、培地は、約1EU/mL未満、または約0.1EU/mL未満、または約0.01EU/mL未満を含有する。
【0250】
ある特定の状況では、血清アルブミンなどのタンパク質系脂質担体は、メチル-β-シクロデキストリンなどの非タンパク質系脂質担体と交換することができる。本発明の培地はさらに、例えば、トランスフェクションが、脂質担体の存在を必要としないことがある、または、それから利益を享受しないことがある方法を用いて実施される場合、例えば、1つ以上のトランスフェクション試薬、ポリマー系トランスフェクション試薬、もしくはペプチド系トランスフェクション試薬を用いて、または電気穿孔法を用いて、脂質担体なしに用いることができる。金属などの多くのタンパク質関連分子は、インビボの細胞に対し高い毒性がある可能性がある。この毒性は、低減した生存率及び突然変異の獲得を引き起こす可能性がある。したがって、ある特定の実施形態は、毒性分子を含まない細胞を産生するさらなる利益を有する。
【0251】
タンパク質の関連分子成分は、溶液中でタンパク質を懸濁させること、及び溶液の伝導率を測定することによって測定することができる。したがって、ある特定の実施形態は、約10%のタンパク質水溶液が約500μmho/cm未満の伝導率を有する、タンパク質を含有する培地に関する。一実施形態では、溶液は、約50μmho/cm未満の伝導率を有する。別の実施形態では、約0.65%未満の乾燥重量のタンパク質は脂質を含み、及び/または約0.35%未満の乾燥重量のタンパク質は遊離脂肪酸を含む。
【0252】
インビボの細胞に送達される核酸の量は、核酸の所望の効果を増大させるために、増大させることができる。しかしながら、特定の点を超えてインビボの細胞に送達される核酸の量を増大させることにより、トランスフェクション試薬の毒性にある程度起因して、細胞の生存率の低減を引き起こす可能性がある。核酸が、一定量のインビボの細胞(例えば、組織のある領域内の細胞)の集団に送達される場合、各細胞に送達される核酸の量は、細胞の集団に及び細胞の密集に送達される核酸の総量に依存する可能性があり、細胞密度が高いと、各細胞に送達される核酸がより少なくなることが、現在発見されている。ある特定の実施形態では、インビボの細胞は、1つ以上の核酸で2回以上トランスフェクトされる。ある特定の条件下では、例えば、細胞が増殖する場合、細胞密度は、1つのトランスフェクションから次のトランスフェクションまで変化することがある。したがって、ある特定の実施形態は、核酸でインビボの細胞をトランスフェクトするための方法に関し、細胞は2回以上トランスフェクトされ、細胞に送達される核酸の量は、2つのトランスフェクションで異なる。一実施形態では、細胞は、2つのトランスフェクションの間で増殖し、細胞に送達される核酸の量は、2つのトランスフェクションのうちの1回目に対するより、2つのトランスフェクションのうちの2回目に対する方が多い。別の実施形態では、細胞は、3回以上トランスフェクトされ、細胞に送達される核酸の量は、3つのトランスフェクションのうちの2回目に対する方が、同じ3つのトランスフェクションのうちの1回目に対するより多く、細胞に送達される核酸の量は、同じ3つのトランスフェクションのうちの3回目に対する方が、同じ3つのトランスフェクションのうちの2回目に対するより多い。さらに別の実施形態では、細胞は、2回以上トランスフェクトされ、各トランスフェクションの間に細胞に送達される核酸の最大量は、少なくとも2つの連続するトランスフェクションに対して少なくとも約80%の生存率を得るためには十分に低い。
【0253】
一連のトランスフェクションで、増殖するインビボの細胞の集団に送達される核酸の量を調節することは、核酸の増大した効果及び細胞の増大した生存率をもたらすことができることが、現在発見されている。ある特定の状況では、インビボの細胞が、一連のトランスフェクションで、1つ以上のリプログラミング因子をコードする1つ以上の核酸と接触する場合、リプログラミングの効率は、一連のトランスフェクションの少なくとも一部に対し、後のトランスフェクションで送達される核酸の量が先のトランスフェクションで送達される核酸の量より多い場合に、増大させることができることが、さらに発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、1つ以上の核酸が、一連のトランスフェクションで細胞に繰り返し送達され、細胞に送達される核酸の量が、少なくとも1つの後のトランスフェクションに対する方が、少なくとも1つの先のトランスフェクションに対するより多い、インビボの細胞をリプログラミングするための方法に関する。一実施形態では、細胞は、約2~約10回、または約3~約8回、または約4~約6回トランスフェクトされる。別の実施形態では、1つ以上の核酸は、少なくとも1つのRNA分子を含み、細胞は約2~約10回トランスフェクトされ、各トランスフェクションで細胞に送達される核酸の量は、直近の前のトランスフェクションで細胞に送達される核酸の量と同じ、またはそれよりも多い。さらに別の実施形態では、1回目のトランスフェクションで細胞に送達される核酸の量は、約20ng/cm2~約250ng/cm2、または100ng/cm2~600ng/cm2である。さらに別の実施形態では、細胞は、約12~約48時間の間隔で約5回トランスフェクトされ、細胞に送達される核酸の量は、1回目のトランスフェクションに対し約25ng/cm2、2回目のトランスフェクションに対し約50ng/cm2、3回目のトランスフェクションに対し約100ng/cm2、4回目のトランスフェクションに対し約200ng/cm2、5回目のトランスフェクションに対し約400ng/cm2である。さらに別の実施形態では、細胞はさらに、5回目のトランスフェクションの後に少なくとも1回トランスフェクトされ、細胞に送達される核酸の量は、約400ng/cm2である。
【0254】
ある特定の実施形態は、核酸でインビボの細胞をトランスフェクトするための方法に関し、核酸の量は細胞密度を測定することにより決定され、細胞密度の測定値に基づいてトランスフェクトするための核酸の量を選択する。一実施形態では、細胞密度は、光学的手段により測定される。別の実施形態では、細胞は、繰り返しトランスフェクトされ、細胞密度は、2つのトランスフェクションの間で増大し、トランスフェクトされる核酸の量は、2つのトランスフェクションのうちの2回目に対する方が、2つのトランスフェクションのうちの1回目に対するより多い。
【0255】
ある特定の状況では、患者内で産生される循環タンパク質の量は、複数の投与部位で核酸を患者に投与することによって増加させることができることが、現在発見されている。ある特定の実施形態では、循環タンパク質の量は、単回注射部位で核酸を患者に投与することによって、患者内で産生される循環タンパク質の量と比較して増加する。一実施形態では、投与することは、注射によってである。別の実施形態では、注射は、皮内注射である。さらに別の実施形態では、注射は、皮下または筋肉内注射である。いくつかの実施形態では、複数の投与部位は、皮膚における投与部位を含む。他の実施形態では、複数の投与部位は、少なくとも約1、または少なくとも約2、または少なくとも約5、または少なくとも約10、または少なくとも約20、または少なくとも約50、または少なくとも約100の投与部位である。一実施形態では、投与することは、少なくとも約5分、または少なくとも約10分、または少なくとも約30分、または少なくとも約1時間、または少なくとも約2時間、または少なくとも約5時間、または少なくとも約12時間、または少なくとも約1日以内に実施する。ある特定の実施形態では、循環タンパク質の量は、少なくとも約10%、または少なくとも約20%、または少なくとも約50%、または少なくとも約100%、または少なくとも約3倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍、または少なくとも約20倍、または少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍、または少なくとも約500倍、または少なくとも約1000倍、または1000倍を超えて増加する。
【0256】
ある特定の状況では、本発明の培地と接触した細胞のインビボトランスフェクション効率及び生存率は、培地を馴化することにより改善することができることが、現在発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、培地を馴化するための方法に関する。他の実施形態は、馴化される培地に関する。一実施形態では、フィーダーは、線維芽細胞であり、培地は約24時間馴化される。他の実施形態は、トランスフェクション培地が馴化される、インビボの細胞をトランスフェクトするための方法に関する。他の実施形態は、培地が馴化される、インビボの細胞をリプログラミング及び/または遺伝子編集するための方法に関する。一実施形態では、フィーダーは、例えば、マイトマイシン-Cなどの化学物質に曝露させることにより、またはガンマ線に曝露させることにより、有糸分裂的に不活性化される。ある特定の実施形態では、ある程度、例えば、理論に拘束されることを望むものではないが、フィーダーから細胞または患者への疾患伝播の危険を回避するために、自己由来材料のみを用いることが有益であることがある。したがって、ある特定の実施形態は、トランスフェクション培地が馴化され、フィーダーがトランスフェクトされる細胞と同じ個体に由来する、インビボの細胞をトランスフェクトするための方法に関する。他の実施形態は、培地が馴化され、フィーダーがリプログラミング及び/または遺伝子編集される細胞と同じ個体に由来する、インビボの細胞をリプログラミング及び/または遺伝子編集するための方法に関する。
【0257】
いくつかの分子は、馴化により培地に添加することができる。したがって、ある特定の実施形態は、馴化培地に存在する、1つ以上の分子が補充される培地に関する。一実施形態では、培地は、Wnt1、Wnt2、Wnt3、Wnt3a、またはそれらの生物学的に活性な断片、類似体、変異体、アゴニスト、もしくはファミリーメンバーが補充される。別の実施形態では、培地は、TGF-βまたはその生物学的に活性な断片、類似体、変異体、アゴニスト、もしくはファミリーメンバーが補充される。さらに別の実施形態では、インビボの細胞は、培地が約1~約5日の間はTGF-βが補充されず、その後少なくとも約2日間TGF-βが補充される、本発明の方法に従ってリプログラミングされる。さらに別の実施形態では、培地は、IL-6、IL-6R、またはそれらの生物学的に活性な断片、類似体、変異体、アゴニスト、もしくはファミリーメンバーが補充される。さらに別の実施形態では、培地は、スフィンゴ脂質または脂肪酸が補充される。さらに別の実施形態では、スフィンゴ脂質は、リゾホスファチジン酸、リゾスフィンゴミエリン、スフィンゴシン-1-ホスフェート、またはその生物学的に活性な類似体、変異体、もしくは誘導体である。
【0258】
細胞を有糸分裂的に不活性化することに加えて、ある特定の条件下で、照射は、細胞の遺伝子発現を変化させることができ、照射されない細胞よりも、細胞に特定のタンパク質をより少なく、他の特定のタンパク質、例えば、タンパク質のWntファミリーのメンバーをより多く産生させる。加えて、タンパク質のWntファミリーの特定のメンバーは、細胞の成長及び形質転換を促進することができる。ある特定の状況では、リプログラミングの効率は、マイトマイシン-C処理されたフィーダーの代わりに照射されたフィーダーを用いて馴化される培地と、インビボの細胞を接触させることにより、大幅に増大させることができることが、現在発見されている。照射されたフィーダーを用いた場合に観察されるリプログラミング効率の増大が、ある程度、フィーダーにより分泌されるWntタンパク質により引き起こされることが、さらに発見されている。したがって、ある特定の実施形態は、細胞を、Wnt1、Wnt2、Wnt3、Wnt3a、またはそれらの生物学的に活性な断片、類似体、変異体、ファミリーメンバー、もしくはアゴニスト、例えば、Wntタンパク質の下流標的のアゴニスト、及び/またはWntタンパク質の生物学的効果のうちの1つ以上を模倣する剤、例えば、2-アミノ-4-[3,4-(メチレンジオキシ)ベンジルアミノ]-6-(3-メトキシフェニル)ピリミジンと接触させる、インビボの細胞をリプログラミングするための方法に関する。
【0259】
多くのDNAに基づくリプログラミング方法の効率が低いため、これらの方法は、少数の細胞のみを含有し得る、患者試料に由来する細胞と用いることが、困難または不可能であることがある。対照的に、本発明のある特定の実施形態の高効率性により、単一の細胞を含む、少数の細胞の信頼できるリプログラミングを可能にすることができる。ある特定の実施形態は、少数の細胞をリプログラミングするための方法に関する。他の実施形態は、単一細胞をリプログラミングするための方法に関する。一実施形態では、細胞を、1つ以上の酵素と接触させる。別の実施形態では、酵素は、コラゲナーゼである。さらに別の実施形態では、コラゲナーゼは、動物成分を含有しない。一実施形態では、コラゲナーゼは、約0.1mg/mL~約10mg/mL、または約0.5mg/mL~約5mg/mLの濃度で存在する。別の実施形態では、細胞は、血液細胞である。さらに別の実施形態では、細胞を、患者の血液に由来する1つ以上のタンパク質を含有する培地と接触させる。さらに別の実施形態では、細胞を、DMEM/F12+2mMのL-アラニル-L-グルタミン+約5%~約25%の患者由来の血清または約10%~約20%の患者由来の血清または約20%の患者由来の血清を含む培地と接触させる。
【0260】
ある特定の状況では、本発明の培地を用いて、Oct4、Sox2、Klf4、及びc-MycをコードするRNAの混合物でインビボの細胞をトランスフェクトすることにより、細胞の増殖速度を増大させることができることが、現在発見されている。細胞に送達されるRNAの量が少なすぎて、細胞の全てがトランスフェクトされたことを確認できない場合、細胞の一部のみが、増大する増殖速度を示すことがある。個人用にカスタマイズされた治療薬を作成する場合などのある特定の状況では、細胞の増殖速度を増大させることは、1つには、そうすることにより、治療薬を作成するために必要な時間を減少させることができ、その結果、治療薬の費用を減少させることができるために、望ましいことがある。したがって、ある特定の実施形態は、Oct4、Sox2、Klf4、及びc-MycをコードするRNAの混合物でインビボの細胞をトランスフェクトするための方法に関する。一実施形態では、細胞は、増大した増殖速度を示す。別の実施形態では、細胞は、リプログラミングされる。
【0261】
多くの疾患は、1つ以上の突然変異と関連する。突然変異は、単独または他の分子との組み合わせのいずれかで、突然変異を修正するタンパク質をコードする核酸と細胞を接触させることにより、改変することができる(遺伝子編集の一例)。そのようなタンパク質の例としては、ヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ニッカーゼ、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖回文反復(CRISPR)関連タンパク質またはそれらの天然もしくは操作された変異体、ファミリーメンバー、相同分子種、断片または融合構築物が挙げられる。したがって、ある特定の実施形態は、核酸が単独または他の分子との組み合わせのいずれかでDNA分子において一本鎖または二本鎖切断を形成するタンパク質をコードする核酸で、インビボの細胞をトランスフェクトするための方法に関する。一実施形態では、タンパク質は、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。別の実施形態では、核酸は、RNA分子である。さらに別の実施形態では、一本鎖または二本鎖切断は、CCR5、CXCR4、GAD1、GAD2、CFTR、HBA1、HBA2、HBB、HBD、FANCA、XPA、XPB、XPC、ERCC2、POLH、HTT、DMD、SOD1、APOE、PRNP、BRCA1、及びBRCA2またはそれらの類似体、変異体、もしくはファミリーメンバーの群から選択される遺伝子の転写開始部位の約5,000,000塩基以内にある。一実施形態では、本発明は、任意に、TALENによる、MYCタンパク質の遺伝子編集(例えば、癌と関連し得る1つ以上の突然変異を修正すること)に関する。さらに別の実施形態では、細胞は、一本鎖もしくは二本鎖切断の領域にDNA配列の挿入を引き起こすこと、または一本鎖もしくは二本鎖切断の領域のDNA配列を別の方法で変化させることのいずれかによって修復テンプレートとして作用する核酸でトランスフェクトされる。さらに別の実施形態では、細胞はリプログラミングされ、その後に細胞は遺伝子編集される。さらに別の実施形態では、細胞は遺伝子編集され、その後に細胞はリプログラミングされる。さらに別の実施形態では、遺伝子編集及びリプログラミングは、互いに約7日以内に実施される。さらに別の実施形態では、遺伝子編集及びリプログラミングは、同時に、または同日に生じる。さらに別の実施形態では、細胞は、皮膚細胞であり、皮膚細胞は、CCR5遺伝子を阻害するように遺伝子編集され、皮膚細胞は、造血幹細胞にリプログラミングされ、それによりHIV/AIDSに対する治療薬を生成し、治療薬は、HIV/AIDSをもつ患者を治療するために用いられる。さらに別の実施形態では、皮膚細胞は、治療薬が治療するために用いられる患者と同じ患者に由来する。
【0262】
本発明の治療薬を生成するように、本発明の方法に従って編集できる遺伝子は、正常な機能を回復させるように編集できる、及び機能を減少または排除するように編集することができる遺伝子を含む。そのような遺伝子としては、突然変異が鎌状赤血球病(SCD)及びβ-地中海貧血を引き起こす可能性があるβグロビン(HBB)と、突然変異が乳癌に対する感受性を増大させる可能性がある、乳癌1、早発型(BRCA1)、及び乳癌2、早発型(BRCA2)と、突然変異がHIV感染に対する耐性を与える可能性があるC-Cケモカイン受容体型5(CCR5)及びC-X-Cケモカイン受容体型4(CXCR4)と、突然変異が嚢胞性線維症を引きこす可能性がある嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)と、突然変異が、デュシェンヌ型筋ジストロフィー及びベッカー型筋ジストロフィーを含む筋ジストロフィーを引き起こす可能性があるジストロフィン(DMD)と、突然変異がβ細胞の自己免疫破壊を防止する可能性がある、グルタミン酸デカルボキシラーゼ1及びグルタミン酸デカルボキシラーゼ2(GAD1、GAD2)と、突然変異が地中海貧血を引き起こす可能性がある、ヘモグロビンα1、ヘモグロビンα2、及びヘモグロビンδ(HBA1、HBA2、及びHBD)と、突然変異が表皮水疱症を引き起こす可能性がある、デスモプラキン、ケラチン5、ケラチン14、プレクチン、インテグリンα-6、インテグリンβ-4、ラミニンサブユニットα-3、ラミニンサブユニットβ-3、ラミニンサブユニットγ-2、コラーゲンVII型α1、コラーゲンXVII型α1、及びマトリックスメタロプロテイナーゼ-1(DSP、KRT5、KRT14、PLEC1、ITGA6、ITGB4、LAMA3、LAMB3、LAMC2、COL7A1、COL17A1、及びMMP1)と、突然変異がハンチントン病を引き起こす可能性がある、ハンチントン(HTT)と、突然変異が筋萎縮性側索硬化症(ALS)を引き起こす可能性があるスーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)と、突然変異が色素性乾皮症を引き起こす可能性がある、XPA、XPB、XPC、XPD(ERCC6)、及びポリメラーゼ(DNA依存性)、η(POLH)と、突然変異がパーキンソン病を引き起こす可能性があるロイシンリッチ反復キナーゼ2(LRRK2)と、並びに突然変異がファンコニ貧血を引き起こす可能性がある、ファンコニ貧血、相補群A、B、C、D1、D2、E、F、G、I、J、L、M、N、P(FANCA、FANCB、FANCC、FANCD1、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、FANCI、FANCJ、FANCL、FANCM、FANCN、FANCP)、及びRAD51ホモログC(S.cerevisiae)(RAD51C)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0263】
ある特定の実施形態は、核酸を含む治療薬に関する。一実施形態では、核酸は、1つ以上の遺伝子編集タンパク質をコードする。他の実施形態は、本発明の方法に従って、トランスフェクション、リプログラミング、及び/またはインビボで遺伝子編集される、1つ以上の細胞を含む治療薬に関する。一実施形態では、細胞は、トランスフェクション、リプログラミング、及び/または遺伝子編集され、トランスフェクション、リプログラミング、及び/または遺伝子編集された細胞は、患者に導入される。別の実施形態では、細胞は、トランスフェクション、リプログラミング、及び/または遺伝子編集された細胞が導入される患者と同じ患者から採取される。本発明の治療薬で治療することができる疾患の例としては、アルツハイマー病、脊髄損傷、筋萎縮性側索硬化症、嚢胞性線維症、虚血性及び拡張型心筋症を含む心疾患、黄斑変性症、パーキンソン病、ハンチントン病、糖尿病、鎌状赤血球性貧血、地中海貧血、ファンコニ貧血、色素性乾皮症、筋ジストロフィー、重症複合免疫不全症、遺伝性感覚神経障害、癌、及びHIV/AIDSが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、治療薬は、化粧品を含む。一実施形態では、細胞は患者から採取され、細胞は化粧品を産生するために多数の脂肪細胞にリプログラミング及び拡張され、化粧品は患者に導入される。さらに別の実施形態では、化粧品は、組織再生のために用いられる。
【0264】
特定の種類の細胞の産生、及び特定の種類の細胞を含む治療薬の生成に関する詳細な例が、本明細書で提供されるが、本発明の方法は、例えば、本発明の方法に従って細胞をリプログラミングし、発育中の細胞の微小環境に存在する条件に類似した条件を提供することにより発育の1つ以上の態様を模倣する条件下で細胞を培養することにより、多くの他の種類の細胞を産生するために、及び多くの他の種類の細胞のうちの1つ以上を含む治療薬を生成するために用いることができることが認識される。
【0265】
ある特定の実施形態は、種々のヒト白血球抗原(HLA)型を有する細胞のライブラリー(「HLA適合ライブラリー」)に関する。HLA適合ライブラリーは、1つには、患者が、治療薬が患者の細胞から産生されるのを待つ必要なく、治療薬の迅速な産生及び/または配布を提供することができるために、有益であることがある。そのようなライブラリーは、化粧品の産生にとって、並びに患者が治療薬または化粧品をすぐに入手できることから利益を享受し得る心疾患並びに血液及び/または免疫系の疾患の治療にとって特に有益であることがある。
【0266】
細胞のDNA配列は、遺伝子編集タンパク質と細胞を接触させること、または遺伝子編集タンパク質を発現させるように細胞を誘導することにより、変更することができる。しかしながら、以前に開示された遺伝子編集タンパク質には、低い結合効率及び過剰なオフターゲット活性という欠点があり、これらは、例えば、治療的及び美容的用途において、細胞のDNAに望ましくない突然変異を導入する可能性があり、インビボでのそれらの使用が大幅に制限される。これらの用途において、患者の細胞に望ましくない突然変異が導入されると、癌の発症につながる可能性がある。StsIエンドヌクレアーゼ切断ドメイン(配列番号1)を含む遺伝子編集タンパク質が、高レベルのインビボでのオンターゲット活性を維持しながら、以前に開示された遺伝子編集タンパク質よりも実質的に低いインビボでのオフターゲット活性を示す可能性があることが、現在発見されている。遺伝子編集タンパク質:StsI-HA(配列番号2)、StsI-HA2(配列番号3)、StsI-UHA(配列番号4)、StsI-UHA2(配列番号5)、StsI-HF(配列番号6)、及びStsI-UHF(配列番号7)のヌクレアーゼドメインとして用いられる場合に、高いインビボでのオンターゲット活性、低いインビボでのオフターゲット活性、小さなサイズ、溶解性、及び他の望ましい特性を示すことができる他の新規の操作されたタンパク質も発見されている。StsI-HA、StsI-HA2(高活性)、StsI-UHA、及びStsI-UHA2(超高活性)は、34位及び61位のN末端領域内の特定のアミノ酸置換にある程度起因して、野生型StsI及び野生型FokIの両方よりも高いインビボでのオンターゲット活性を示すことができ、一方、StsI-HF(高忠実度)及びStsI-UHF(超高忠実度)は、141位及び152位のC末端領域内の特定のアミノ酸置換にある程度起因して、野生型StsI及び野生型FokIの両方よりも低いインビボでのオフターゲット活性を示すことができる。
【0267】
したがって、ある特定の実施形態は、タンパク質に関する。いくつかの実施形態では、タンパク質は、インビボで存在する。他の実施形態では、タンパク質は、ヌクレアーゼドメインを含む。一実施形態では、ヌクレアーゼドメインは、FokIエンドヌクレアーゼ(配列番号53)の切断ドメイン、StsIエンドヌクレアーゼ(配列番号1)、StsI-HA(配列番号2)、StsI-HA2(配列番号3)、StsI-UHA(配列番号4)、StsI-UHA2(配列番号5)、StsI-HF(配列番号6)、及びStsI-UHF(配列番号7)の切断ドメイン、またはそれらの生物学的に活性な断片もしくは変異体のうちの1つ以上を含む。
【0268】
特定の新規の反復配列を含むDNA結合ドメインを含む操作された遺伝子編集タンパク質が、高レベルのインビボでのオンターゲット活性を維持しながら、以前に開示された遺伝子編集タンパク質よりも低いインビボでのオフターゲット活性を示し得ることも、発見されている。これらの操作された遺伝子編集タンパク質の一部は、例えば、増大した結合効率をもたらすことができる、反復配列を接続させるリンカー領域の向上した可動性を含む、以前に開示された遺伝子編集タンパク質に勝るいくつかの利点を提供することができる。したがって、ある特定の実施形態は、複数の反復配列を含むタンパク質に関する。一実施形態では、反復配列のうちの少なくとも1つは、アミノ酸配列:GabGを含有し、「a」及び「b」は、それぞれ任意のアミノ酸を表す。一実施形態では、タンパク質は、遺伝子編集タンパク質である。別の実施形態では、反復配列のうちの1つ以上は、DNA結合ドメインに存在する。さらなる実施形態では、「a」及び「b」はそれぞれ独立して、H群及びG群から選択される。さらに別の実施形態では、「a」及び「b」はそれぞれ、H及びGである。一実施形態では、アミノ酸配列は、反復配列のC末端の約5アミノ酸内に存在する。別の実施形態では、アミノ酸配列は、反復配列のC末端に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列GabGの1つ以上のGは、G以外の、例えば、A、H、またはGGの、1つ以上のアミノ酸と交換される。一実施形態では、反復配列は、約32~約40のアミノ酸、または約33~約39のアミノ酸、または約34~38のアミノ酸、または約35~約37のアミノ酸、または約36のアミノ酸、または約32を超えるアミノ酸、または約33を超えるアミノ酸、または約34を超えるアミノ酸、または約35を超えるアミノ酸の長さを有する。他の実施形態は、1つ以上の転写活性化因子様エフェクタードメインを含むタンパク質に関する。一実施形態では、転写活性化因子様エフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、反復配列を含む。他の実施形態は、転写活性化因子様エフェクタードメインの反復配列のうちの少なくとも2つの間に、1つ以上のアミノ酸を挿入することにより生成される複数の反復配列を含むタンパク質に関する。一実施形態では、1つ以上のアミノ酸は、少なくとも1つの反復配列のC末端から約1または約2または約3または約4または約5アミノ酸に挿入される。さらに他の実施形態は、約1つおきの反復配列が、反復配列の直前または直後の反復配列と異なる長さを有する複数の反復配列を含むタンパク質に関する。一実施形態では、1つおきの反復配列は、約36アミノ酸長である。別の実施形態では、1つおきの反復配列は、36アミノ酸長である。さらに他の実施形態は、複数の反復配列を含むタンパク質に関し、複数の反復配列は、それぞれ少なくとも36アミノ酸長である少なくとも2つの反復配列を含み、少なくとも36アミノ酸長である反復配列のうちの少なくとも2つは、36未満のアミノ酸長である少なくとも1つの反復配列により隔てられている。いくつかの実施形態は、例えば、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、及び配列番号60から選択される1つ以上の配列を含むタンパク質に関する。
【0269】
他の実施形態は、DNA結合ドメインを含むタンパク質に関する。いくつかの実施形態では、DNA結合ドメインは、複数の反復配列を含む。一実施形態では、複数の反復配列は、標的DNA分子の結合部位の高特異性の認識を可能にする。別の実施形態では、反復配列のうちの少なくとも2つは、互いに少なくとも約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または約98%、または約99%の相同性を有する。さらなる実施形態では、反復配列のうちの少なくとも1つは、標的DNA分子の結合部位に結合することが可能な1つ以上の領域を含む。さらに別の実施形態では、結合部位は、長さが約1~約5塩基の明確な配列を含む。一実施形態では、DNA結合ドメインは、ジンクフィンガーを含む。別の実施形態では、DNA結合ドメインは、転写活性化因子様エフェクター(TALE)を含む。さらなる実施形態では、複数の反復配列は、TALEと少なくとも約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または約98%、または約99%の相同性を有する少なくとも1つの反復配列を含む。さらに別の実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖回文反復(CRISPR)関連タンパク質を含む。一実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、核局在化配列を含む。別の実施形態では、核局在化配列は、アミノ酸配列PKKKRKV(配列番号471)を含む。一実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、ミトコンドリア局在化配列を含む。別の実施形態では、ミトコンドリア局在化配列は、アミノ酸配列:LGRVIPRKIASRASLM(配列番号472)を含む。一実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、リンカーを含む。別の実施形態では、リンカーは、ヌクレアーゼドメインにDNA結合ドメインを接続させる。さらなる実施形態では、リンカーは、約1~約10アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、リンカーは、約1、約2、または約3、または約4、または約5、または約6、または約7、または約8、または約9、または約10アミノ酸長である。一実施形態では、遺伝子編集タンパク質は、標的DNA分子に、ニックまたは二本鎖切断を生成することが可能である。
【0270】
ある特定の実施形態は、インビボの細胞のゲノムを改変するための方法に関し、方法は、長さが36アミノ酸の1つ以上の反復単位及びエンドヌクレアーゼドメインを含む人工転写活性化因子様(TAL)エフェクター反復ドメインを含む非自然発生融合タンパク質をコードする核酸分子をインビボの細胞に導入することを含み、反復ドメインは、所定のヌクレオチド配列の認識のために操作され、融合タンパク質は、所定のヌクレオチド配列を認識する。一実施形態では、細胞は、真核細胞である。別の実施形態では、細胞は、動物細胞である。さらなる実施形態では、細胞は、哺乳類細胞である。さらに別の実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。一実施形態では、細胞は、植物細胞である。別の実施形態では、細胞は、原核細胞である。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、細胞のゲノムが改変される細胞の核酸にエンドヌクレアーゼの切断を導入する。
【0271】
ある特定の実施形態は、核酸が遺伝子編集タンパク質をコードする核酸を含むインビボの細胞のDNA配列を変更するための組成物に関する。他の実施形態は、核酸混合物が、第1の遺伝子編集タンパク質をコードする第1の核酸及び第2の遺伝子編集タンパク質をコードする第2の核酸を含む核酸混合物を含む、インビボの細胞のDNA配列を変更するための組成物に関する。一実施形態では、第1の遺伝子編集タンパク質の結合部位及び第2の遺伝子編集タンパク質の結合部位は、同じ標的DNA分子に存在する。別の実施形態では、第1の遺伝子編集タンパク質の結合部位及び第2の遺伝子編集タンパク質の結合部位は、約50個未満の塩基、もしくは約40個未満の塩基、もしくは約30個未満の塩基もしくは約20個未満の塩基、もしくは約10個未満の塩基、または約10個~約25個の塩基もしくは約15個の塩基によって隔てられている。一実施形態では、第1の遺伝子編集タンパク質のヌクレアーゼドメイン及び第2の遺伝子編集タンパク質のヌクレアーゼドメインは、二量体を形成することが可能である。別の実施形態では、二量体は、標的DNA分子にニックまたは二本鎖切断を生成することが可能である。
【0272】
ある特定の実施形態は、治療用組成物に関する。他の実施形態は、化粧品組成物に関する。いくつかの実施形態では、組成物は、修復テンプレートを含む。さらなる実施形態では、修復テンプレートは、一本鎖DNA分子または二本鎖DNA分子である。
【0273】
他の実施形態は、タンパク質またはタンパク質をコードする核酸を合成するための製造物品に関する。一実施形態では、物品は、核酸である。別の実施形態では、タンパク質は、DNA結合ドメインを含む。さらなる実施形態では、核酸は、DNA結合ドメインをコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、タンパク質は、ヌクレアーゼドメインを含む。別の実施形態では、核酸は、ヌクレアーゼドメインをコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、タンパク質は、複数の反復配列を含む。別の実施形態では、核酸は、複数の反復配列をコードする。さらなる実施形態では、ヌクレアーゼドメインは、FokI、StsI、StsI-HA、StsI-HA2、StsI-UHA、StsI-UHA2、StsI-HF、及びStsI-UHF、またはそれらの天然もしくは操作された変異体もしくは生物学的に活性な断片から選択される。一実施形態では、核酸は、RNAポリメラーゼプロモーターを含む。別の実施形態では、RNAポリメラーゼプロモーターは、T7プロモーターまたはSP6プロモーターである。さらなる実施形態では、核酸は、ウイルスプロモーターを含む。一実施形態では、核酸は、非翻訳領域を含む。別の実施形態では、核酸は、インビトロ転写テンプレートである。
【0274】
ある特定の実施形態は、インビボでタンパク質を発現させるように細胞を誘導するための方法に関する。他の実施形態は、遺伝子編集タンパク質でインビボの細胞をトランスフェクトすること、またはインビボで遺伝子編集タンパク質を発現させるように細胞を誘導することを含む、インビボの細胞のDNA配列を変更するための方法に関する。さらに他の実施形態は、インビボの細胞において、目的タンパク質の発現を減少させるための方法に関する。一実施形態では、細胞は、遺伝子編集タンパク質が標的DNA分子にニックまたは二本鎖切断を作成することが可能である遺伝子編集タンパク質を発現させるように誘導される。別の実施形態では、ニックまたは二本鎖切断は、遺伝子の不活性化をもたらす。さらに他の実施形態は、インビボで、不活性な、活性の減少した、またはドミナントネガティブ型のタンパク質を生成する方法に関する。一実施形態では、タンパク質は、サバイビンである。さらに他の実施形態は、インビボの細胞において、1つ以上の突然変異を修復するための方法に関する。一実施形態では、細胞を、修復テンプレートと接触させる。別の実施形態では、修復テンプレートは、DNA分子である。さらなる実施形態では、修復テンプレートは、遺伝子編集タンパク質の結合部位を含有しない。さらに別の実施形態では、修復テンプレートは、遺伝子編集タンパク質の結合部位を含むDNA配列によりコードされるアミノ酸配列をコードする。
【0275】
種々の実施形態では、修復テンプレートは、約20のヌクレオチド、または約30のヌクレオチド、または約40のヌクレオチド、または約50のヌクレオチド、または約60のヌクレオチド、または約70のヌクレオチド、または約80のヌクレオチド、または約90のヌクレオチド、または約100のヌクレオチド、または約150のヌクレオチド、または約200のヌクレオチド、または約300のヌクレオチド、または約400のヌクレオチド、または約500のヌクレオチド、または約750のヌクレオチド、または約1000のヌクレオチドである。種々の実施形態では、修復テンプレートは、約20~1000のヌクレオチド、または約20~500のヌクレオチド、または約20~400のヌクレオチド、または約20~200のヌクレオチド、または約20~100のヌクレオチド、または約80~100のヌクレオチド、または約50~100のヌクレオチドである。
【0276】
種々の実施形態では、RNA(例えば、遺伝子編集タンパク質をコードする合成RNA)対修復テンプレートの質量比は、約1:10、または約1:9、または約1:8、または約1:7、または約1:6、または約1:5、または約1:4、または約1:3、または約1:2、または約1:1、または約2:1、または約3:1、または約4:1、または約5:1、または約6:1、または約7:1、または約8:1、または約9:1、または約10:1である。
【0277】
種々の実施形態では、RNA(例えば、遺伝子編集タンパク質をコードする合成RNA)対修復テンプレートのモル比は、約1:10、または約1:9、または約1:8、または約1:7、または約1:6、または約1:5、または約1:4、または約1:3、または約1:2、または約1:1、または約2:1、または約3:1、または約4:1、または約5:1、または約6:1、または約7:1、または約8:1、または約9:1、または約10:1である。
【0278】
種々の実施形態では、修復テンプレートは、遺伝子編集標的配列に修復を引き起こし、かつ、遺伝子編集タンパク質のさらなる結合を防止する二重機能を有することで、さらなる遺伝子編集を(例えば、遺伝子編集タンパク質結合部位であったものを遺伝子編集タンパク質結合に適さなくさせる修復を引き起こす修復テンプレートを介して)減少または排除する。したがって、いくつかの実施形態では、遺伝子編集の本方法は、標的部位当たり単一の遺伝子編集を保証するように調整可能である。
【0279】
他の実施形態は、治療的または美容的有効量の、タンパク質またはタンパク質をコードする核酸を、患者に投与することを含む、患者を治療するための方法に関する。一実施形態では、治療は、患者の症状のうちの1つ以上が改善されることをもたらす。ある特定の実施形態は、a.目的タンパク質をコードする核酸でインビボの細胞をトランスフェクトすることにより、目的タンパク質を発現させるように細胞を誘導すること、及び/または、b.インビボの細胞をリプログラミングすることを含む、患者を治療するための方法に関する。一実施形態では、細胞は、より分化されていない状態にリプログラミングされる。別の実施形態では、細胞は、1つ以上のリプログラミングタンパク質をコードする1つ以上の合成RNA分子で細胞をトランスフェクトすることにより、リプログラミングされる。さらなる実施形態では、細胞は、分化される。さらに別の実施形態では、細胞は、皮膚細胞、グルコース応答性インスリン産生細胞、造血細胞、心臓細胞、網膜細胞、腎細胞、神経細胞、間質細胞、脂肪細胞、骨細胞、筋細胞、卵母細胞、及び精子細胞のうちの1つに分化される。他の実施形態は、a.遺伝子編集タンパク質をコードする核酸でインビボの細胞をトランスフェクトすることにより、遺伝子編集タンパク質を発現させるように細胞を誘導すること、及び/または、b.インビボの細胞をリプログラミングすることを含む、患者を治療するための方法に関する。
【0280】
他の実施形態は、複合体形成培地に関する。一実施形態では、複合体形成培地は、約7を超える、または約7.2を超える、または約7.4を超える、または約7.6を超える、または約7.8を超える、または約8.0を超える、または約8.2を超える、または約8.4を超える、または約8.6を超える、または約8.8を超える、または約9.0を超えるpHを有する。別の実施形態では、複合体形成培地は、トランスフェリンを含む。さらなる実施形態では、複合体形成培地は、DMEMを含む。さらに別の実施形態では、複合体形成培地は、DMEM/F12を含む。さらに他の実施形態は、核酸-トランスフェクション試薬の複合体を形成するための方法に関する。一実施形態では、トランスフェクション試薬は、複合体形成培地でインキュベートされる。別の実施形態では、インキュベーションは、混合工程の前に生じる。さらなる実施形態では、インキュベーション工程は、約5秒~約5分、または約10秒~約2分、または約15秒~約1分、または約30秒~約45秒である。一実施形態では、トランスフェクション試薬は、表1から選択される。別の実施形態では、トランスフェクション試薬は、脂質または脂質様物質である。さらなる実施形態では、トランスフェクション試薬は、カチオンを含む。さらに別の実施形態では、カチオンは、多価カチオンである。さらに別の実施形態では、トランスフェクション試薬は、N1-[2-((1S)-1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-4-[ジ(3-アミノプロピル)アミノ]ブチルカルボキシアミド)エチル]-3,4-ジ[オレイルオキシ]-ベンズアミド(別名MVL5)またはその誘導体である。
【0281】
ある特定の実施形態は、インビボで核酸と細胞を接触させることにより、タンパク質を発現させるように細胞を誘導するための方法に関する。一実施形態では、細胞は、哺乳類細胞である。別の実施形態では、細胞は、ヒト細胞または齧歯類細胞である。他の実施形態は、本発明の方法のうちの1つ以上を用いて生成される細胞に関する。一実施形態では、細胞は、患者に存在する。別の実施形態では、細胞は、患者から単離される。他の実施形態は、本発明の方法のうちの1つ以上を用いて生成される細胞を含むスクリーニングライブラリーに関する。一実施形態では、スクリーニングライブラリーは、心毒性スクリーニング、神経毒性スクリーニング、及び肝毒性スクリーニングを含む毒性スクリーニング、効力スクリーニング、ハイスループットスクリーニング、ハイコンテントスクリーニング、並びに他のスクリーニングのうちの少なくとも1つに対して用いられる。
【0282】
他の実施形態は、核酸を含有するキットに関する。一実施形態では、キットは、送達試薬(別名「トランスフェクション試薬」)を含有する。別の実施形態では、キットは、リプログラミングキットである。さらなる実施形態では、キットは、遺伝子編集キットである。他の実施形態は、核酸を生成するためのキットに関する。一実施形態では、キットは、プソイドウリジン-三リン酸、5-メチルウリジン三リン酸、5-メチルシチジン三リン酸、5-ヒドロキシメチルシチジン三リン酸、N4-メチルシチジン三リン酸、N4-アセチルシチジン三リン酸、及び7-デアザグアノシン三リン酸、または1つ以上のそれらの誘導体のうちの少なくとも2つを含有する。他の実施形態は、核酸を含む治療薬または化粧品に関する。一実施形態では、治療薬または化粧品は、医薬組成物である。別の実施形態では、医薬組成物が製剤化される。さらなる実施形態では、製剤は、リポソームの水性懸濁液を含む。リポソーム成分の例は、表1に記載され、制限のためでなく例示のために与えられる。一実施形態では、リポソームは、1つ以上のポリエチレングリコール(PEG)鎖を含む。別の実施形態では、PEGは、PEG2000である。さらなる実施形態では、リポソームは、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)またはその誘導体を含む。一実施形態では、治療薬は、1つ以上のリガンドを含む。別の実施形態では、治療薬は、アンドロゲン、CD30(TNFRSF8)、細胞透過性ペプチド、CXCR、エストロゲン、上皮成長因子、EGFR、HER2、葉酸、インスリン、インスリン様成長因子I、インターロイキン13、インテグリン、プロゲステロン、間質由来因子1、トロンビン、ビタミンD、及びトランスフェリン、またはそれらの生物学的に活性な断片もしくは変異体のうちの少なくとも1つを含む。さらに他の実施形態は、本発明の方法のうちの1つ以上を用いて生成される細胞を含む治療薬または化粧品に関する。一実施形態では、治療薬は、限定するものではないが、1型糖尿病、虚血性及び拡張型心筋症を含む心疾患、黄斑変性症、パーキンソン病、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、地中海貧血、ファンコニ貧血、重症複合免疫不全症、遺伝性感覚神経障害、色素性乾皮症、ハンチントン病、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、癌、並びに肝炎及びHIV/AIDSを含む感染症を含む本明細書に記載される疾患または障害のいずれかを治療するために、患者に投与される。
【0283】
他の実施形態は、インビボの細胞をリプログラミングするための方法に関する。一実施形態では、細胞は、1つ以上の核酸と細胞を接触させることによりリプログラミングされる。一実施形態では、細胞を、Oct4タンパク質、Sox2タンパク質、Klf4タンパク質、c-Mycタンパク質、Lin28タンパク質、またはそれらの生物学的に活性な断片、変異体、もしくは誘導体のうちの少なくとも1つをコードする複数の核酸と接触させる。別の実施形態では、細胞を、Oct4タンパク質、Sox2タンパク質、Klf4タンパク質、及びc-Mycタンパク質、またはそれらの1つ以上の生物学的に活性な断片、変異体、もしくは誘導体を含む複数のタンパク質をコードする複数の核酸と接触させる。さらに他の実施形態は、インビボの細胞を遺伝子編集するための方法に関する。一実施形態では、細胞は、1つ以上の核酸と細胞を接触させることにより遺伝子編集される。
【0284】
ある特定の実施形態は、イオン交換樹脂または活性炭で処理されるアルブミン、及び1つ以上の核酸分子を含む溶液と、インビボの細胞を接触させることを含む、目的タンパク質を発現させるようにインビボの細胞を誘導するための方法に関し、1つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、目的タンパク質をコードする。一実施形態では、方法は、目的タンパク質を発現する細胞をもたらす。別の実施形態では、1つ以上の核酸分子は、合成RNA分子を含む。一実施形態では、細胞は、皮膚細胞である。別の実施形態では、細胞は、筋細胞である。さらに別の実施形態では、細胞は、皮膚線維芽細胞である。さらに別の実施形態では、細胞は、筋芽細胞である。一実施形態では、目的タンパク質は、細胞外マトリックスタンパク質である。別の実施形態では、目的タンパク質は、エラスチン、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、リシルオキシダーゼ、エラスチン結合タンパク質、成長因子、線維芽細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子β、顆粒球コロニー刺激因子、マトリックスメタロプロテイナーゼ、アクチン、フィブリリン、ミクロフィブリル結合糖タンパク質、リシルオキシダーゼ様タンパク質、及び血小板由来成長因子から選択される。一実施形態では、溶液は、真皮に送達される。別の実施形態では、送達は、注入による。さらに別の実施形態では、送達は、マイクロニードルアレイを用いた注入による。一実施形態では、溶液はさらに、成長因子を含む。別の実施形態では、成長因子は、線維芽細胞成長因子及びトランスフォーミング成長因子βから選択される。さらに別の実施形態では、溶液はさらに、コレステロールを含む。他の実施形態は、コレステロール及び1つ以上の核酸分子を含む溶液とインビボの細胞を接触させることを含む、目的タンパク質を発現させるようにインビボの細胞を誘導するための方法に関し、1つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、目的タンパク質をコードする。一実施形態では、方法は、目的タンパク質を発現する細胞をもたらす。さらに他の実施形態は、イオン交換樹脂または活性炭で処理されるアルブミン、及び核酸分子を含む溶液とインビボの細胞を接触させることを含む、核酸分子でインビボの細胞をトランスフェクトするための方法に関する。一実施形態では、方法は、細胞が核酸分子でトランスフェクトされることをもたらす。別の実施形態では、核酸分子は、dsDNA分子、ssDNA分子、dsRNA分子、ssRNA分子、プラスミド、オリゴヌクレオチド、合成RNA分子、miRNA分子、mRNA分子、siRNA分子のうちの1つである。さらに他の実施形態は、イオン交換樹脂または活性炭で処理されるアルブミン、及び1つ以上の核酸分子を含む組成物を、患者に送達することを含む、患者を治療するための方法に関し、1つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、目的タンパク質をコードする。一実施形態では、方法は、患者において目的タンパク質の発現をもたらす。別の実施形態では、方法は、患者の真皮において目的タンパク質の発現をもたらす。
【0285】
ある特定の実施形態は、イオン交換樹脂または活性炭で処理されるアルブミン、及び核酸分子を含む化粧品組成物に関する。他の実施形態は、美容的治療物品に関する。一実施形態では、美容的治療物品は、患者に組成物を送達するように構成される器具を備える。別の実施形態では、核酸分子は、エラスチンタンパク質またはコラーゲンタンパク質をコードする。さらに他の実施形態は、コレステロールまたはコレステロール類似体、及び1つ以上の核酸分子を含む、インビボの細胞をトランスフェクトするための溶液に関する。一実施形態では、コレステロールまたはコレステロール類似体は、1つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つに共有結合される。別の実施形態では、コレステロール類似体は、オキシステロールである。さらに別の実施形態では、コレステロール類似体は、A環置換、B環置換、D環置換、側鎖置換、コレスタン酸、コレステン酸、多価不飽和部分、重水素化部分、フッ素化部分、スルホン化部分、リン酸化部分、及び蛍光部分のうちの1つ以上を含む。さらに別の実施形態では、方法は、皮膚充填剤、神経毒(実例として、ナトリウムチャネル阻害剤(例えば、テトロドトキシン)、カリウムチャネル阻害剤(例えば、テトラエチルアンモニウム)、塩素チャネル阻害剤(例えば、クロロトキシン及びクラーレ)、カルシウムチャネル阻害剤(例えば、コノトキシン)、シナプス小胞放出の阻害剤(例えば、ボツリヌス毒素及び破傷風毒素)、及び血液脳関門の阻害剤(例えば、アルミニウム、水銀))並びに修復誘導治療のうちの1つ以上で患者を治療することを含む。
【0286】
トランスフェクション試薬核酸複合体は、数分間以上保存した場合に、沈殿、凝集を形成、あるいはさもなければ分解しやすい傾向にもかかわらず、本発明者らは、驚くべきことに、本発明のいくつかの実施形態に従って生成されたトランスフェクション試薬核酸複合体が、種々の温度、例えば、室温、約4℃、約-20℃、約-80℃、及び約-196℃で長期間、例えば、数時間、約1日、約1週間、約1ヵ月、約1年、及び約1年以上凍結及び/または保存することができることを発見した。したがって、いくつかの実施形態は、合成RNA、及びトランスフェクション試薬を含み、固体の形態で提供される医薬製剤に関する。他の実施形態は、合成RNAトランスフェクション試薬複合体を含み、合成RNAトランスフェクション試薬複合体が固体の形態で提供される、医薬製剤に関する。種々の実施形態では、合成RNAトランスフェクション試薬複合体は、凍結形態で提供される。種々の実施形態は、核酸トランスフェクション試薬複合体を形成すること、及び核酸トランスフェクション試薬複合体またはかかるものが含有される容器を低温液体と接触させることを含み、安定化した核酸トランスフェクション試薬複合体を生成する、核酸トランスフェクション試薬複合体を安定化させるための方法に関する。一実施形態では、核酸トランスフェクション試薬複合体は、出荷用または保存用に安定化される。
【0287】
代表的な対象または患者は、ヒト及び他の霊長類(例えば、チンパンジー及び他の類人猿並びにサル種)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、及びウマ)、家庭用哺乳動物(例えば、イヌ及びネコ)、実験動物(例えば、マウス、ラット、及びモルモットなどの齧歯類)、並びに鳥類(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、及び他の家禽鳥、アヒル、ガチョウなどの、家庭用、野生の、及び狩猟用の鳥)を含むが、これらに限定されない、任意の脊椎動物を指す。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0288】
定義
「分子」は、分子実体(分子、イオン、複合体など)を意味する。
【0289】
「RNA分子」は、RNAを含む分子を意味する。
【0290】
「合成RNA分子」は、細胞外で生成される、または生物工学を用いて細胞内で産生されるRNA分子、非限定例として、インビトロ転写反応で産生されるRNA分子、直接化学合成により生成されるRNA分子、または遺伝子操作された大腸菌細胞で産生されるRNA分子を意味する。
【0291】
「トランスフェクション」は、分子と細胞を接触させることを意味し、分子は細胞により内在化される。
【0292】
「トランスフェクション時に」は、トランスフェクションの間、またはトランスフェクションの後を意味する。
【0293】
「トランスフェクション試薬」は、分子と会合し、細胞への分子の送達、及び/またはそれによる分子の内在化を容易にする、物質または物質の混合物、非限定例として、カチオン性脂質、荷電ポリマー、または細胞透過性ペプチドを意味する。
【0294】
「試薬ベースのトランスフェクション」は、トランスフェクション試薬を用いるトランスフェクションを意味する。
【0295】
「培地」は、溶媒または溶媒を含む溶液、及び溶質、非限定例として、ダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)、DMEM+10%のウシ胎仔血清(FBS)、生理食塩水、または水を意味する。
【0296】
「複合体形成培地」は、トランスフェクション試薬及びトランスフェクションされる分子が添加され、トランスフェクション試薬がトランスフェクションされる分子と会合する培地を意味する。
【0297】
「トランスフェクション培地」は、トランスフェクションに使用することができる培地、非限定例を挙げると、ダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)、DMEM/F12、生理食塩水、または水を意味する。
【0298】
「組換えタンパク質」は、動物またはヒトで産生されないタンパク質またはペプチドを意味し、非限定例としては、細菌で産生されるヒトトランスフェリン、マウス細胞のインビトロ培養で産生されるヒトフィブロネクチン、及びイネで産生されるヒト血清アルブミンが挙げられる。
【0299】
「Oct4タンパク質」は、POU5F1遺伝子によりコードされるタンパク質、またはそれらの天然もしくは操作された変異体、ファミリーメンバー、相同分子種、断片、もしくは融合構築物、非限定例として、ヒトOct4タンパク質(配列番号8)、マウスOct4タンパク質、Oct1タンパク質、POU5F1偽遺伝子2によりコードされるタンパク質、Oct4タンパク質のDNA結合ドメイン、またはOct4-GFP融合タンパク質を意味する。いくつかの実施形態では、Oct4タンパク質は、配列番号8と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、または、他の実施形態では、配列番号8と少なくとも75%、80%、85%、90%、または95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、Oct4タンパク質は、配列番号8に対して(全体で)1~20のアミノ酸の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配列を含む。あるいは、他の実施形態では、Oct4タンパク質は、配列番号8に対して(全体で)1~15または1~10のアミノ酸の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配列を含む。
【0300】
「Sox2タンパク質」は、SOX2遺伝子によりコードされるタンパク質、またはそれらの天然もしくは操作された変異体、ファミリーメンバー、相同分子種、断片、もしくは融合構築物、非限定例として、ヒトSox2タンパク質(配列番号9)、マウスSox2タンパク質、Sox2タンパク質のDNA結合ドメイン、またはSox2-GFP融合タンパク質を意味する。いくつかの実施形態では、Sox2タンパク質は、配列番号9と少なくとも70%の同一性、または他の実施形態では、配列番号9と少なくとも75%、80%、85%、90%、もしくは95%の同一性を有する、アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、Sox2タンパク質は、配列番号9に対して1~20のアミノ酸の挿入、欠失、または置換(集団的に)を有するアミノ酸配列を含む。または他の実施形態では、Sox2タンパク質は、配列番号9に対して1~15または1~10のアミノ酸の挿入、欠失、または置換(集団的に)を有するアミノ酸配列を含む。
【0301】
「Klf4タンパク質」は、KLF4遺伝子によりコードされるタンパク質、またはそれらの天然もしくは操作された変異体、ファミリーメンバー、相同分子種、断片、もしくは融合構築物、非限定例として、ヒトKlf4タンパク質(配列番号10)、マウスKlf4タンパク質、Klf4タンパク質のDNA結合ドメイン、またはKlf4-GFP融合タンパク質を意味する。いくつかの実施形態では、Klf4タンパク質は、配列番号10と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、または、他の実施形態では、配列番号10と少なくとも75%、80%、85%、90%、または95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、Klf4タンパク質は、配列番号10に対して(全体で)1~20のアミノ酸の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配列を含む。あるいは、他の実施形態では、Klf4タンパク質は、配列番号10に対して(全体で)1~15または1~10のアミノ酸の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配列を含む。
【0302】
「c-Mycタンパク質」は、MYC遺伝子によりコードされるタンパク質、またはそれらの天然もしくは操作された変異体、ファミリーメンバー、相同分子種、断片、もしくは融合構築物、非限定例として、ヒトc-Mycタンパク質(配列番号11)、マウスc-Mycタンパク質、l-Mycタンパク質、c-Myc(T58A)タンパク質、c-Mycタンパク質のDNA結合ドメイン、またはc-Myc-GFP融合タンパク質を意味する。いくつかの実施形態では、c-Mycタンパク質は、配列番号11と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、または、他の実施形態では、配列番号11と少なくとも75%、80%、85%、90%、または95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、c-Mycタンパク質は、配列番号11に対して(全体で)1~20のアミノ酸の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸を含む。あるいは、他の実施形態では、c-Mycタンパク質は、配列番号11に対して(全体で)1~15または1~10のアミノ酸の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配列を含む。
【0303】
「エリスロポエチン」または「エリスロポエチンタンパク質」は、EPO遺伝子によりコードされるタンパク質、またはそれらの天然もしくは操作された変異体、ファミリーメンバー、相同分子種、断片、もしくは融合構築物、非限定例として、ヒトエリスロポエチン(配列番号164)、マウスエリスロポエチン、ダルベポエチン、ダルベポエチンα、NOVEPOETIN、エリスロポエチンの結合ドメイン、またはエリスロポエチンGFP融合タンパク質を意味する。いくつかの実施形態では、エリスロポエチンは、配列番号164と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、または、他の実施形態では、配列番号164と少なくとも75%、80%、85%、90%、または95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、エリスロポエチンは、配列番号164に対して(全体で)1~20のアミノ酸の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸を含む。あるいは、他の実施形態では、エリスロポエチンは、配列番号164に対して(全体で)1~15または1~10のアミノ酸の挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配列を含む。
【0304】
「リプログラミング」は、細胞の表現型に変化を引き起こすこと、非限定例として、成熟β細胞にβ細胞の前駆細胞を分化させること、多能性幹細胞に線維芽細胞を脱分化させること、心臓幹細胞にケラチノサイトを分化転換させること、細胞のテロメアを長くさせること、またはューロンの軸索を成長させることを意味する。
【0305】
「リプログラミング因子」は、細胞が分子と接触し、及び/または細胞が分子を発現させる場合、単独または他の分子との組み合わせのいずれかで、リプログラミングを引き起こすことができる分子、非限定例として、Oct4タンパク質、Tertタンパク質、またはエリスロポエチンを意味する。
【0306】
「生殖細胞」は、精子細胞または卵細胞を意味する。
【0307】
「多能性幹細胞」は、インビボで、全ての3つの胚葉(内胚葉、中胚葉、及び外胚葉)の細胞に分化することができる細胞を意味する。
【0308】
「体細胞」は、多能性幹細胞または生殖細胞でない細胞、非限定例として、皮膚細胞を意味する。
【0309】
「造血細胞」は、血液細胞または血液細胞に分化することができる細胞、非限定例として、造血幹細胞または白血球を意味する。
【0310】
「心臓細胞」は、心臓細胞または心臓細胞に分化することができる細胞、非限定例として、心筋幹細胞または心筋細胞を意味する。
【0311】
「網膜細胞」は、網膜細胞または網膜細胞に分化することができる細胞、非限定例として、網膜色素上皮細胞を意味する。
【0312】
「皮膚細胞」は、通常は皮膚に見出される細胞、非限定例として、線維芽細胞、ケラチノサイト、メラノサイト、脂肪細胞、間葉系幹細胞、脂肪幹細胞、または血液細胞を意味する。
【0313】
「免疫抑制剤」は、免疫系の1つ以上の側面を抑制することができ、哺乳動物に通常存在しない物質、非限定例として、B18Rまたはデキサメタゾンを意味する。
【0314】
「一本鎖切断」は、ヌクレオチドを連結させる共有結合のうちの1つ以上が、一本鎖または二本鎖のうちの1つで切断されている、一本鎖または二本鎖DNAの領域を意味する。
【0315】
「二本鎖切断」は、ヌクレオチドを連結させる共有結合のうちの1つ以上が、二本鎖のそれぞれで切断されている、二本鎖DNAの領域を意味する。
【0316】
「ヌクレオチド」は、ヌクレオチドもしくはその断片または誘導体、非限定例として、核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド三リン酸などを意味する。
【0317】
「ヌクレオシド」は、ヌクレオチドもしくはその断片または誘導体、非限定例として、核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド三リン酸などを意味する。
【0318】
「遺伝子編集」は、細胞のDNA配列を変更すること、非限定例として、細胞のDNAに変異を引き起こすタンパク質で、細胞をトランスフェクトすることによるものを意味する。
【0319】
「遺伝子編集タンパク質」は、単独または1つ以上の他の分子との組み合わせのいずれかで、細胞のDNA配列を変更することができるタンパク質、非限定例として、ヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ニッカーゼ、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖回文反復(CRISPR)関連タンパク質、またはこれらの自然もしくは操作された変異体、ファミリーメンバー、相同分子種、断片、もしくは融合構築物を意味する。
【0320】
「修復テンプレート」は、遺伝子編集タンパク質の標的部位の10kbの範囲内にある配列と少なくとも約70%の相同性をもつ領域を含有する核酸を意味する。
【0321】
「反復配列」は、少なくとも約10%の相同性の範囲内で、タンパク質中の2つ以上のコピーに存在するアミノ酸配列、非限定例として、転写活性化因子様エフェクターのモノマーリピートを意味する。
【0322】
「DNA結合ドメイン」は、DNA分子に結合することが可能な分子の領域、非限定例として、1つ以上のジンクフィンガーを含むタンパク質ドメイン、1つ以上の転写活性化因子様(TAL)エフェクター反復配列を含むタンパク質ドメイン、またはDNA分子に結合することが可能な小分子の結合ポケットを意味する。
【0323】
「結合部位」は、遺伝子編集タンパク質、DNA結合タンパク質、DNA結合ドメイン、またはその生物学的に活性な断片もしくは変異体により認識されることが可能な核酸配列、あるいは遺伝子編集タンパク質、DNA結合タンパク質、DNA結合ドメイン、またはその生物学的に活性な断片もしくは変異体が高い親和性を有する核酸配列、非限定例として、ヒトBIRC5遺伝子のエクソン1におけるDNAの約20塩基対配列を意味する。
【0324】
「標的」は、結合部位を含有する核酸を意味する。
【0325】
他の定義は、米国特許出願第13/465,490号、米国仮特許出願第61/664,494号、米国仮特許出願第61/721,302号、国際出願第PCT/US12/67966号、米国仮特許出願第61/785,404号、米国仮特許出願第61/842,874号、国際出願第PCT/US13/68118号、米国仮特許出願第61/934,397号、米国特許出願第14/296,220号、米国仮特許出願第62/038,608号、米国仮特許出願第62/069,667号、及び国際出願第PCT/US2015/013949号に記載されており、これらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【表D-1】
【表D-2】
【表D-3】
【表D-4】
【表D-5】
【0326】
本発明はさらに、以下の非限定例により説明される。
【実施例】
【0327】
実施例1 RNA合成
緑色蛍光タンパク質(「GFP」)、NOVEPOETIN(「EPO」)、エラスチン(「ELN」)、チロシナーゼ(「TYR」)、メラノコルチン1受容体(「MC1R」)、HAS1、HAS2、HAS3、COL3A1、COL7A1、COL1A1、COL1A2、hTERT、ホリーGFP、フレズノRFP、Blitzen Blue、RIBOSLICE遺伝子編集タンパク質、TALEN、Cas9、Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc-2(T58A)、Lin28、IL2、IL6、IL15、IL22、BMP2、BDNF、LIF、BMP6、IL15RA、FGF21、LIF、及びPTHをコードし、かつ、標準及び非標準ヌクレオチドの種々の組み合わせを含むRNAを、製造者の指示並びに本発明者らにより先に開示された発明(米国特許出願第13/465,490号(現在米国特許第8,497,124号)、国際出願第PCT/US12/67966号、米国特許出願第13/931,251号、国際特許出願第PCT/US13/68118号、及び国際出願第PCT/US2015/013949号、これら全ての内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる)に従って、T7高収率RNA合成キット及びmRNAキャップ2′-O-メチルトランスフェラーゼを有するワクシニアキャッピングシステムキット(全てNew England Biolabs,Inc.製)を用いて、DNAテンプレートから合成した(表4)。次に、RNAを、100ng/μL~2000ng/μLまでヌクレアーゼ非含有水で希釈した。ある特定の実験のために、RNAse阻害剤(Superase・In、Life Technologies Corporation)を、RNA100μg当たり1μLの濃度で添加した。RNA溶液を室温、4℃、-20℃、または-80℃で保存した。リプログラミング実験のために、Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc-2(T58A)、及びLin28をコードするRNAを、3:1:1:1:1のモル比で混合した。
【0328】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【0329】
「A」は、アデノシン-5′-三リン酸を指し、「G」は、グアノシン-5′-三リン酸を指し、「U」は、ウリジン-5′-三リン酸を指し、「C」は、シチジン-5′-三リン酸を指し、「7dG」は、7-デアザグアノシン-5′-三リン酸を指し、「sG」は、チエノグアノシン-5′-三リン酸を指し、「5mC」は、5-メチルシチジン-5′-三リン酸を指し、「5hmC」は、5-ヒドロキシメチルシチジン-5′-三リン酸を指し、「5cC」は、5-カルボキシシチジン-5′-三リン酸を指し、「5fC」は、5-ホルミルシチジン-5′-三リン酸を指し、「5hC」は、5-ヒドロキシシチジン-5′-三リン酸を指し、「psU」は、5-プソイドウリジン-5′-三リン酸を指し、「5mU」は、5-メチルウリジン-5′-三リン酸を指し、「5hmU」は、5-ヒドロキシメチルウリジン-5′-三リン酸を指し、「5cU」は、5-カルボキシウリジン-5′-三リン酸を指し、及び「5moU」は、5-メトキシウリジン-5′-三リン酸を指す。
【0330】
実施例2 RNA-トランスフェクション試薬複合体の調製
RNA1マイクログラムごとに、1μgのRNA、及び1μLのトランスフェクション試薬(リポフェクタミン3000、Life Technologies Corporation)を、まず、複合体形成培地(Opti-MEM、Life Technologies Corporation、またはDMEM/F12+10μg/mLのインスリン+5.5μg/mLのトランスフェリン+6.7ng/mLの亜セレン酸ナトリウム+2μg/mLのエタノールアミン)で別々に希釈して、それぞれ5μL~100μLの総量にした。次に、希釈したRNA及びトランスフェクション試薬を、トランスフェクション試薬の製造者の指示に従って、混合し、室温で10分間インキュベートした。
【0331】
実施例3 合成RNAでの細胞のトランスフェクション
複合体を実施例2に従って調製した後、培養中の細胞に直接添加した。6ウェルプレートでトランスフェクトするため、10μL~250μLの複合体を、1ウェル当たり2mLのトランスフェクション培地を既に含有していた6ウェルプレートの各ウェルに添加した。プレートを穏やかに振盪して、複合体をウェル全体に分配させた。細胞を4時間から一晩、複合体とインキュベートした後、培地を新しいトランスフェクション培地(2mL/ウェル)と交換した。あるいは、培地は交換しなかった。量を、24ウェル及び96ウェルプレートでのトランスフェクションのためにスケール調整した。
【0332】
実施例4 非標準ヌクレオチドを含有する合成RNAの毒性及びそれからのタンパク質翻訳
初代ヒト線維芽細胞を、実施例1に従って合成されたRNAを用いて、実施例2に従ってトランスフェクトした。トランスフェクションの20~24時間後に、細胞を固定し、Oct4に対する抗体を用いて染色した。RNAの相対的な毒性を、固定時の細胞密度を評価することにより決定した。
【0333】
実施例5 合成RNAの皮膚への送達
表5に示す複合体形成反応物は、実施例1に従って合成された、緑色蛍光タンパク質(GFP)またはVII型コラーゲンαI(COL7)をコードするRNAを用いて調製した。RNAストック溶液の濃度は、500μg/mLであった。
【0334】
【0335】
各管をピペッティングにより混合し、トランスフェクション試薬溶液管を室温で30秒間インキュベートした。次に、トランスフェクション試薬溶液をRNA溶液に移し、内容物を10回上下に急速にピペッティングすることにより混合した。10分間のインキュベーション後、希釈液を以下に従って調製した。
【0336】
【0337】
注入ごとに、相当する溶液を8mmの31ゲージ針(Becton,Dickinson and Company、パーツ番号:328291)を有する3ccインスリンシリンジに吸引し、気泡を除去した。クリアな領域を健康な33歳の男性のヒト対象の左前腕部上で選択し、70%イソプロパノールで消毒し、乾燥させた。ベベルを上向きにした状態で前側(掌側)前腕部に対しておおよそ10°の角度で針を配置し、ベベルがちょうど覆われるまで挿入した。30μLのRNA溶液を約10秒間にわたって皮内注入した。注入プロセス中に明らかな膨疹が現れた。針を引き抜き、膨疹は約1分間残留し、流体は注射部位から逃出しなかった。合計で4回の注射を表6に従って行い、全ての注射は、RNA複合体形成反応物を調製した後、11~28分間で行った。腫れ、赤み、または痛みは、注射の結果として生じなかった。部位2及び4から針を取り除く際に少量の出血が生じ、これらの部位で小さな赤い斑点の外観がもたらされた。
【0338】
表7のスケジュールに従って、かつ、その後24時間ごとに6日間、注射部位を撮像した。蛍光画像を、EXFO X-Cite(商標)120蛍光照明システムを備えた倒立顕微鏡(Nikon Eclipse TS100)を用いて取得し、フィルターセットを表7に示す。蛍光画像は、ソニーNEX-7デジタルカメラを用いて取り込んだ(
図9~12)。
【0339】
【0340】
1.2μg用量のGFP RNAを用いて、独立した実験を実施し、同様の結果が得られた(
図12)。
【0341】
【0342】
実施例6 NOVEPOETINをコードするRNAによるヒトケラチノサイトのトランスフェクション
NOVEPOETINをコードするRNAを、ヌクレオチドの3つの組み合わせ:1)U、G、U、C、2)U、G、5moU、C、及び3)U、G、psU、Cで、実施例1に従って合成した。EpiLife培地中で培養された初代ヒトケラチノサイトの副集密層を、1ウェル当たり1μgのRNAで、実施例3に従って6ウェルプレートのウェルにトランスフェクトした。トランスフェクションの12、24、36、及び48時間後に、0.5mLの培地を除去し、0.5mLの新しいEpiLife培地をプレートに添加した。最後の培地サンプリングの後、細胞をトリプシン処理により収集し、全RNAを、RNeasyミニキット(Qiagen)を用いて単離した。ゲノムDNAを、DNase Iを用いて消化し、RNAを精製した。インターフェロン-β及びGAPDHの発現は、RT-PCRで測定した(
図5)。
【0343】
実施例7 hTERTをコードするRNAによるヒト細胞のトランスフェクション
ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)をコードするRNAを、以下のヌクレオチド:U、G、5moU、Cで、実施例1に従って合成した。DMEM+10%FBS中で培養された初代ヒト皮膚線維芽細胞の副集密層を、1ウェル当たり0.25μgのRNAで、実施例3に従って24ウェルプレートのウェルにトランスフェクトした。トランスフェクションの12時間後に細胞を固定し、ウサギ抗hTERT抗体(Millipore、パーツ番号:MABE14)の1:50希釈液を用いて、染色した(
図16)。
【0344】
実施例8 RIBOSLICEでの繰り返しのトランスフェクションによる高効率遺伝子編集
初代ヒト線維芽細胞を、10,000細胞/トランスフェクション培地中のウェルの密度で、組換えヒトフィブロネクチン及び組換えヒトビトロネクチン(それぞれ1μg/mL、1mL/ウェルの濃度までDMEM/F12で希釈し、1時間室温でインキュベートした)でコーティングされた6ウェルプレートに載置した。翌日、細胞を、実施例1に従って合成されたRNAで、実施例2と同様にトランスフェクトした。翌日、ウェルのうちの1つの中の細胞に、2回目のトランスフェクションを行った。2回目のトランスフェクションの2日後に、遺伝子編集の効率を、突然変異特異的ヌクレアーゼアッセイを用いて測定した。
【0345】
実施例9 非標準ヌクレオチドを含有する合成RNA及び修復テンプレートをコードするDNAでの細胞のトランスフェクション
6ウェルプレートでのトランスフェクションのために、1μgのヒトAPP遺伝子のエクソン16を標的とする遺伝子編集タンパク質をコードするRNA、1μgの標的細胞に存在しなかったPstI制限部位を含有する一本鎖修復テンプレートDNA、及び6μLのトランスフェクション試薬(リポフェクタミンRNAiMAX、Life Technologies Corporation)を、まず、複合体形成培地(Opti-MEM、Life Technologies Corporation)で別々に希釈して、120μLの総量にした。次に、希釈されたRNA、修復テンプレート、及びトランスフェクション試薬を、トランスフェクション試薬の製造者の指示に従って、混合し、室温で15分間インキュベートした。複合体を、培養中の細胞に添加した。約120μLの複合体を、1ウェル当たり2mLのトランスフェクション培地を既に含有していた6ウェルプレートの各ウェルに添加した。プレートを穏やかに振盪して、複合体をウェル全体に分配させた。細胞を4時間から一晩、複合体とインキュベートした後、培地を新しいトランスフェクション培地(2mL/ウェル)と交換した。翌日、培地をDMEM+10%のFBSに交換した。トランスフェクションの2日後、ゲノムDNAを分離及び精製した。APP遺伝子内の領域をPCRにより増幅し、増幅された産物を、PstIで消化し、ゲル電気泳動により分析した。
【0346】
実施例10 インビボのRIBOSLICEの安全性実験
40匹の雌のNCr nu/nuマウスに、50%のマトリゲル(BD Biosciences)中の5×106のMDA-MB-231腫瘍細胞を皮下注入した。細胞注入量は、0.2mL/マウスであった。試験開始時のマウスの週齢は、8~12週であった。腫瘍が100~150mm3の平均サイズに達した時に、ペアマッチを行い、動物をそれぞれ10匹ずつの4つのグループに分け、治療を開始した。体重を、初めの5日間は毎日、その後試験の終了までは隔週で測定した。治療は、ビヒクル(リポフェクタミン2000、Life Technologies Corporation)と複合したRIBOSLICE BIRC5-1.2で構成された。各群に対する投与溶液を調製するために、308μLの複合体形成緩衝液(Opti-MEM、Life Technologies Corporation)を、2つの滅菌RNaseフリーの1.5mLの管のそれぞれにピペッティングした。22μLのRIBOSLICE BIRC5-1.2(500ng/μL)を、2つの管のうちの1つに添加し、管の内容物をピペッティングにより混合した。22μLのビヒクルを、第2の管に添加した。第2の管の内容物を混合し、次に第1の管に移し、ピペッティングにより第1の管の内容物と混合し、複合体を形成した。複合体を、10分間室温でインキュベートした。インキュベーションの間、シリンジを装填した。動物に、動物1匹当たり60μLの総量で、動物1匹当たり1μgのRNAの総用量で、静脈内または腫瘍内注入した。合計5回の治療を、注入が1日おきに実施される状態で施された。用量は、体重に対して調整されなかった。動物を、17日間観察した。平均体重に著しい減少は観察されず、RIBOSLICE遺伝子編集RNAのインビボの安全性が実証された。
【0347】
実施例11 細胞に核酸を送達するための試薬のスクリーニング
ポリエチレンイミン(PEI)、種々の商用の脂質系トランスフェクション試薬、ペプチド系トランスフェクション試薬(N-TER、Sigma-Aldrich Co.LLC.)、並びにいくつかの脂質系及びステロール系送達試薬を含む送達試薬を、インビトロでのトランスフェクション効率及び毒性についてスクリーニングした。送達試薬を、RIBOSLICE BIRC5-1.2と複合し、複合体を培養中のHeLa細胞に送達した。毒性を、トランスフェクションの24時間後に細胞密度を分析することにより評価した。トランスフェクション効率を、形態学的変化を分析することにより評価した。試験された試薬は、広範囲の毒性及びトランスフェクション効率を示した。より高い割合のエステル結合を含有する試薬は、より低い割合のエステル結合を含有する試薬またはエステル結合を含有しない試薬よりも低い毒性を示した。
【0348】
実施例12 高濃度リポソームRIBOSLICE
500ng/μLのRNA1μgを3μLの複合体形成培地(Opti-MEM、Life Technologies Corporation)と混合し、RNA1μg当たり2.5μLのトランスフェクション試薬(リポフェクタミン2000、Life Technologies Corporation)を2.5μLの複合体形成培地と混合することにより、高濃度リポソームRIBOSLICEを調製した。次に、希釈したRNA及びトランスフェクション試薬を、混合し、室温で10分間インキュベートして、高濃度リポソームRIBOSLICEを形成した。あるいは、DOSPAまたはDOSPERを含有するトランスフェクション試薬が用いられる。
【0349】
実施例13 インビボのRIBOSLICE効力実験-皮下神経膠腫モデル
40匹の雌のNCr nu/nuマウスに、1×107のU-251腫瘍細胞を皮下注入した。細胞注入量は、0.2mL/マウスであった。試験開始時のマウスの週齢は、8~12週であった。腫瘍が35~50mm3の平均サイズに達した時に、ペアマッチを行い、動物をそれぞれ10匹ずつの4つのグループに分け、治療を開始した。体重を、初めの5日間は毎日、その後試験の終了までは隔週で測定した。キャリパー測定を隔週で行い、腫瘍サイズを算出した。治療は、ビヒクル(リポフェクタミン2000、Life Technologies Corporation)と複合したRIBOSLICE BIRC5-2.1で構成された。投与溶液を調製するために、294μLの複合体形成緩衝液(Opti-MEM、Life Technologies Corporation)を、196μLのRIBOSLICE BIRC5-1.2(500ng/μL)を含有する管にピペッティングし、管の内容物をピペッティングにより混合した。245μLの複合体形成緩衝液を、245μLのビヒクルを含有する管にピペッティングした。第2の管の内容物を混合し、次に第1の管に移し、ピペッティングにより第1の管の内容物と混合し、複合体を形成した。複合体を、10分間室温でインキュベートした。インキュベーションの間、シリンジを装填した。動物に、動物1匹当たり2μgまたは5μgのRNAの総用量のいずれかで、動物1匹当たり20μLまたは50μLの総量のいずれかで、腫瘍内注入した。合計5回の治療は、注入が1日おきに実施される状態で施された。用量は、体重に対して調整されなかった。動物を、25日間観察した。
【0350】
実施例14 リポソーム製剤及び核酸のカプセル化
リポソームを、以下の製剤:3.2mg/mLのN-(カルボニル-エトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(MPEG2000-DSPE)、9.6mg/mLの完全水素化ホスファチジルコリン、3.2mg/mLのコレステロール、2mg/mLのアンモニウムスルフェート、及び緩衝液としてのヒスチジンを用いて調製する。pHを、水酸化ナトリウムを用いて制御し、等張性を、ショ糖を用いて維持する。リポソームを形成するため、脂質を、有機溶媒中で混合し、乾燥させ、撹拌しながら水和させ、800nmの平均孔径を有するポリカーボネートフィルターを通して押出すことにより寸法決めをする。核酸を、核酸1μg当たり10μgのリポソーム製剤を組み合わせ、5分間室温でインキュベートすることによりカプセル化する。
【0351】
実施例15 葉酸標的リポソーム製剤
リポソームを、以下の製剤:3.2mg/mLのN-(カルボニル-エトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(MPEG2000-DSPE)、9.6mg/mLの完全水素化ホスファチジルコリン、3.2mg/mLのコレステロール、2mg/mLのアンモニウムスルフェート、及び緩衝液としてのヒスチジンを用いて調製し、0.27mg/mLの1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[葉酸(ポリエチレングリコール)-5000](FA-MPEG5000-DSPE)を脂質混合物に添加した。pHを、水酸化ナトリウムを用いて制御し、等張性を、ショ糖を用いて維持する。リポソームを形成するため、脂質を、有機溶媒中で混合し、乾燥させ、撹拌しながら水和させ、800nmの平均孔径を有するポリカーボネートフィルターを通して押出すことにより寸法決めをする。核酸を、核酸1μg当たり10μgのリポソーム製剤を組み合わせ、5分間室温でインキュベートすることによりカプセル化する。
【0352】
実施例16 リポソームのタンパク質をコードするRNAを含む療法
実施例1に従って合成された治療用タンパク質をコードする合成RNAをカプセル化するリポソームを、実施例14または実施例15に従って調製する。リポソームを、注入または静脈内注入により投与する。
【0353】
実施例17 エラスチンivT-RNAテンプレートの生成
全RNAを、製造業者の指示に従って、RNeasyミニキット(QIAGEN GmbH)を用いて、ヒト新生児皮膚線維芽細胞から抽出した。ヒトエラスチンをコードするcDNAを、MonsterScript(商標)逆転写酵素(Epicentre Biotechnologies)及びプライマー:AAAAAAACCGGTTCATTTTCTCTTCCGGCCAC(配列番号483)を用いて調製した。インビトロ転写(ivT)テンプレートを、プライマー:F:AAAAAAGCTAGCATGGCGGGTCTGACG(配列番号484)、及びR:AAAAAAACCGGTTCATTTTCTCTTCCGGCCAC(配列番号485)を用いて、エラスチンコード配列(CDS)のPCR増幅によりcDNAから調製した。次に、PCR産物を、アガロースゲル電気泳動及びQIAquickゲル抽出キット(QIAGEN GmbH)を用いることにより精製し、ヒトβグロビン(HBB)5′及び3′非翻訳領域並びに強いコザック配列を含有するベクターにクローニングした。ベクターを、RNA合成に先立って増幅させ、精製し、線形化させた。
【0354】
実施例18 チロシナーゼivT-RNAテンプレートの生成
全RNAを、製造業者の指示に従って、RNeasyミニキット(QIAGEN GmbH)を用いて、ヒト表皮メラノサイトから抽出した。ヒトチロシナーゼをコードするcDNAを、MonsterScript(商標)逆転写酵素(Epicentre Biotechnologies)を用いて調製した。インビトロ転写(ivT)テンプレートを、チロシナーゼコード配列(CDS)のPCR増幅によりcDNAから調製した。次に、PCR産物を、アガロースゲル電気泳動及びQIAquickゲル抽出キット(QIAGEN GmbH)を用いることにより精製し、ヒトβグロビン(HBB)5′及び3′非翻訳領域並びに強いコザック配列を含有するベクターにクローニングした。ベクターを、RNA合成に先立って増幅させ、精製し、線形化させた。
【0355】
実施例19 チロシナーゼRNAの合成
ヒトチロシナーゼをコードするRNAを、製造者の指示に従って、実施例18のDNAテンプレート及びT7高収率RNA合成キット(New England Biolabs,Inc.)を用いて実施例1に従って合成した(表4)。RNAの試料を、アガロースゲル電気泳動により分析して、RNAの品質を評価した。次に、RNAを1μg/μLまで希釈した。RNA溶液を4℃で保存した。
【0356】
実施例20 チロシナーゼをコードするRNAのシリンジでの経皮注入による皮膚での増大するメラニン産生
実施例19のRNAを、シリンジに装填し、約30秒間にわたって健康な33歳の男性患者の腹側前腕の真皮に送達した。
【0357】
実施例21 チロシナーゼをコードするRNAの送達及び電気穿孔法を組み合わせることによる皮膚での増大するメラニン産生
実施例20で治療された皮膚の範囲を、コンデンサーに電気的に接続された2電極アレイを用いて、10V~155V及び約10ミリ秒~約1秒の電気パルスに曝露した。患者は、全ての電圧と侵入深度で刺痛知覚を報告した。治療範囲が、24~48時間後に黒くなった。実験を、同様の結果で数回繰り返した。
【0358】
実施例22 チロシナーゼをコードするRNAの局所または皮内適用による皮膚での増大するメラニン産生
実施例19のRNAまたは実施例16のリポソームを、角質層の破壊を伴ってまたは伴わずに皮膚に直接適用し、または平方センチメートル当たり1マイクログラム以下の用量を用いて皮内注入する。任意に、電場を、RNAの送達を増強するために、実施例21と同様に、または表面接触パッチを用いて適用する。
【0359】
実施例23 エラスチンをコードするRNAの経皮送達による皮膚での増大するエラスチン産生
エラスチンをコードするRNAを、実施例1に従って調製した。RNAを、実施例20、21、または22と同様に送達する。
【0360】
実施例24 コラーゲンをコードするRNAの経皮送達による皮膚での増大するコラーゲン産生
コラーゲンをコードするRNAを、実施例1に従って調製した。RNAを、実施例20、21、または22と同様に送達する。
【0361】
実施例25 NOVEPOETINをコードするRNAの送達を含む貧血治療
NOVEPOETINをコードするRNAを、実施例1に従って調整した。RNAを、実施例20、21、または22と同様に送達する。
【0362】
実施例26 アクチンをコードするRNAの筋肉内送達による骨格筋での増大するアクチン産生
アクチンをコードするRNAを、実施例1に従って調製する。RNAを、実施例20、21、または22と同様に電場を用いて、または用いずに筋肉注射で患者に送達する。
【0363】
実施例27 創傷治癒治療
塩基性線維芽細胞増殖因子をコードするRNAを、実施例1に従って調製する。RNAを、実施例20、21、または22と同様に送達する。
【0364】
実施例28 抗瘢痕治療
コラゲナーゼをコードするRNAを、実施例1に従って調製する。RNAを、実施例20、21、または22と同様に送達する。
【0365】
実施例29 ボツリヌス毒素の産生
ボツリヌス毒素をコードするRNAを、実施例1に従って調製する。RNAを、実施例20、21、または22と同様に送達する。
【0366】
実施例30 コラーゲンIをコードするRNAでトランスフェクトすることによる皮膚細胞での増大するコラーゲン産生
ヒトCOL1A1遺伝子のコード配列を含むRNAを、実施例1に従って合成した。初代ヒト皮膚線維芽細胞を、24ウェルプレートのウェルに載置し、実施例2に従ってトランスフェクトした。トランスフェクションの24~72時間後に、細胞を固定し、コラーゲンIを標的とする抗体を用いて染色した。コラーゲンの多くの細胞外沈着物が、トランスフェクトされたウェル中で見えた。
【0367】
実施例31 コラーゲンVIIをコードするRNAでトランスフェクトすることによる皮膚細胞での増大するコラーゲン産生
ヒトCOL7遺伝子のコード配列を含むRNAを、実施例1に従って合成した。初代ヒト皮膚線維芽細胞を、24ウェルプレートのウェルに載置し、実施例2に従ってトランスフェクトした。トランスフェクションの24~72時間後に、細胞を固定し、コラーゲンVIIを標的とする抗体を用いて染色した。トランスフェクトされた細胞は、トランスフェクトされていない対照と比較して、高レベルのコラーゲンVIIを示した。
【0368】
実施例32 コラーゲンIまたはコラーゲンVIIをコードするRNAのシリンジでの経皮注入による皮膚での増大するコラーゲン産生
ヒトCOL1A1遺伝子またはヒトCOL7遺伝子のコード配列を含むRNAを、実施例1に従って合成した。RNAをシリンジに装填し、約30秒にわたって、または実施例20、21、または22と同様に患者の真皮に送達する。
【0369】
実施例33 コラーゲンIまたはコラーゲンVIIをコードするRNAの送達及び電気穿孔法を組み合わせることによる皮膚での増大するコラーゲン産生
実施例32で処置された皮膚の範囲を、電源に電気的に接続された多電極アレイを用いて、10V~155V及び約50マイクロ秒~約1秒の電気パルスに曝露する。
【0370】
実施例34 合成RNA複合体の保存及び安定性
GFPをコードするRNAを用いた複合体形成反応物を、実施例5に従って調製した。10分間のインキュベーション後、複合体形成反応物を3つの等分に分割し、1つは、FactorPlex(商標)複合体形成培地中で1:10に希釈し、1つは、滅菌したヌクレアーゼ非含有水中で1:10に希釈し、1つは、未希釈のままにした。次いで、3部の各々をさらに4つの等分に分割し、1つは、実施例3に従って初代ヒト皮膚線維芽細胞に塗布し、1つは、室温で6時間放置した後に、実施例3に従って初代ヒト皮膚線維芽細胞に塗布し、1つは、4℃で6時間放置した後に、実施例3に従って初代ヒト皮膚線維芽細胞に塗布し、1つは、液体窒素中でスナップ凍結し、-80℃で6時間放置した後に、実施例3に従って初代ヒト皮膚線維芽細胞に塗布した。細胞は、最初のトランスフェクションの約24時間後に蛍光顕微鏡を用いて撮像した(
図17)。全てのウェルは、GFP陽性細胞を含有し、合成RNA複合体が、試験した全ての保存条件で安定かつ活性を維持したことが実証された。
【0371】
実施例35:NOVECRITのインビボ分析
NOVEPOETINをコードするRNAは、A、G、5moU、Cのヌクレオチド組み合わせで、実施例1に従って合成された。本実施例では、NOVECRITは、脂質送達ビヒクル、特に、リポフェクタミン3000で製剤化された。本実施例では、NOVECRITは、新規の高安定性赤血球生成刺激剤であるNOVEPOETINをコードした。
【0372】
15日最大耐量(MTD)試験を行い、安全性を評価した(ラット、n=62)。特に、赤血球生成における、インビボ毒物学、及び生体分布、並びに薬力学、及び用量反応、及び治療効果を評価した。さらに、処置動物におけるサイトカインの分析によって免疫応答を監視した。
【0373】
受領時に253~274グラムの重さの69匹の未感作の8週齢の雄のSprague-Dawleyラット(ドブネズミ)を使用した(HARLAN LABORATORIES)。動物を、投与前に少なくとも7日間、試験室に順化させた。-2日目に、全ての動物の背部腰椎領域を剃り、背部の4つの皮内部位(左上、右上、右下、及び左下)を、油性マーカーを用いて指定した。64匹の動物を4つの治療群にランダムに割り当て、残りの5匹の動物はスペアとしての役割を果たした。2匹の動物は、不完全投与のため試験から除外した。
【0374】
以下の試験設計を使用した(全投与量(μL)は一定であった):
【表E】
【0375】
血液は、剖検または末端組職収集前に麻酔下の動物の大静脈から収集した。可能ならいつでも、血液は、単回の採血を介して収集した後、適切に分割した。毒物動態学分析用の血液検体は、投与の6時間後、及び15日目にグループ1の時点あたり2匹の動物から収集した。グループ2~4では、血液検体を、投与の6時間後及び24時間後、3日目、4日目、6日目、8日目、及び15日目に収集した。
【0376】
血液学的評価用の血液検体は、一晩絶食後の15日目に全ての毒性動物から収集し、全てのTK動物は、投与の6時間後及び24時間後、8日目、及び15日目に末端組職収集のスケジュール設定がなされた。全血(1.3mL)をK2EDTA管に堆積して、Advia 120自動分析装置を用いて分析した。
【0377】
凝固評価用の血液検体は、一晩絶食後の15日目に全ての毒性動物から収集した。凝固検体(1.8mL)を3.2%クエン酸ナトリウム管に収集し、標準手順に従って処理し、STAコンパクト自動分析装置を用いて分析した。
【0378】
血清化学評価用の血液検体は、一晩絶食後の15日目に全ての毒性動物から収集した。血清化学検体(1mL)を血清分離管に収集し、標準手順に従って処理し、AU680分析装置を用いて分析した。
【0379】
サイトカイン分析用の血液検体は、投与の5時間後及び24時間後、及び8日目に末端組職収集のスケジュール設定がなされた動物から収集した。サイトカイン検体(1mL)をK2EDTA管に収集し、標準手順に従って血漿に処理した。血漿試料中のTNFα、IL-6、及びIFNαサイトカインレベルを試験した。試験は、被験物質を1日目(投与の6時間後)、2日目(投与の24時間後)、及び8日目に投与後に、血漿試料中のTNFα、IL-6、及びIFNαサイトカインの産生を測定した。
【0380】
【0381】
TNFα分析では、血漿試料を、R&D SYSTEMS(カタログ番号RTA00)からの市販のアッセイキットを用いて分析した。ラットTNFα ELISAは、固相酵素結合免疫吸着アッセイである。ELISAキットは、固相固定化用に(マイクロタイタープレート上にプレコートされた)TNFα特異的抗ラットモノクローナル抗体、検出用に抗ラットTNFαポリクローナル抗体に抱合されたHRPを採用する。キットで提供された参照標準は、組換えラットTNFαである。アッセイごとに、それぞれ別個のキットで提供した希釈剤で血漿試料及び標準を希釈した。TNFα ELISAでは、血漿試料を1:2に希釈した。標準曲線は、800~12.5pg/mLの範囲の6つの連続2倍濃度から構成された。対照は、希釈剤で再構成し、ブランクは、希釈剤のみを含有した。
【0382】
試料、標準、対照、または希釈剤の添加後(50μL/ウェル、各々二連)、プレートを室温で2時間インキュベートした。未結合物質を除去する洗浄工程後、HRP抱合体を各ウェルに添加し(100μL/ウェル)、プレートを室温で2時間インキュベートした。第2の洗浄工程後、100μL/ウェルのTMB基質をプレートに添加した。プレートを室温で30分間インキュベートし、光から保護し、呈色反応を発生させた。HCl停止液(100μL/ウェル)の添加後、反応を停止させた。停止液を添加してから30分以内に、450nmにおいてSpectraMax 340(MOLECULAR DEVICES)プレートリーダーで光学密度を読み取った。測定した色の強度は、開始工程で結合したラットTNFαの量に比例していた。標準曲線をアッセイプレートごとに生成し、試験試料のTNFα濃度は、標準曲線及び希釈因子の吸光度A450値の補間によって決定された。TNFαキットのアッセイ範囲は、12.5~800pg/mLであり、最小検出濃度は、10pg/mL未満であった(血漿試料の最小必要希釈度は、1:2であった)。
【0383】
IL-6分析では、血漿IL-6試料を、R&D SYSTEMS(カタログ番号R6000B-IL-6)からの市販のアッセイキットを用いて分析した。ラットIL-6 ELISAは、固相酵素結合免疫吸着アッセイである。ELISAキットは、固相固定化用に(マイクロタイタープレート上にプレコートされた)抗ラットIL-6モノクローナル抗体、検出用にIL-6特異的抗ラットポリクローナル抗体に抱合されたHRPを採用する。キットで提供された参照標準は、組換えラットIL-6である。血漿試料は、(提供されたまま)未希釈で使用し、標準は、キットで提供した希釈剤で希釈した。標準曲線は、4,000~62.5pg/mLの範囲の6つの連続2倍濃度から構成された。対照は、希釈剤で再構成し、ブランクは、希釈剤のみを含有した。試料、標準、対照、または希釈剤の添加後(50μL/ウェル、各々二連)、プレートを室温で2時間インキュベートした。未結合物質を除去する洗浄工程後、HRP抱合体を各ウェルに添加し(100μL/ウェル)、プレートを室温で2時間インキュベートした。第2の洗浄工程後、100μL/ウェルのTMB基質をプレートに添加した。プレートを室温で30分間インキュベートし、光から保護し、呈色反応を発生させた。HCl停止液(100μL/ウェル)の添加後、反応を停止させた。停止液を添加してから30分以内に、450nmにおいてSpectraMax 340(MOLECULAR DEVICES)プレートリーダーで光学密度を読み取った。測定した色の強度は、開始工程で結合したラットIL-6の量に比例していた。標準曲線をアッセイプレートごとに生成し、試験試料のIL-6濃度は、標準曲線及び希釈因子の吸光度A450値の補間によって決定された。IL-6キットのアッセイ範囲は、62.5~4,000pg/mLであり、最小検出濃度は、21pg/mL未満であった。
【0384】
IFNα分析では、血漿IFNα試料を、NOVATEINBIO(カタログ番号BG-RAT11380)からの市販のアッセイキットを用いて分析した。ELISAは、固相酵素結合免疫吸着アッセイである。ELISAキットは、固相固定化用に(マイクロタイタープレート上にプレコートされた)抗ラットIFNαモノクローナル抗体、検出用にIFNαに特異的なHRP抱合抗体を採用する。血漿試料は、1:4に希釈し、標準は、キットで提供されたまま使用した。標準曲線は、100~3.1pg/mLの範囲の6つの連続2倍濃度から構成された。ブランクは、希釈剤のみを含有した。試料、標準、対照、または希釈剤の添加後(50μL/ウェル、各々二連)、HRP抱合体を各ウェルに添加し(100μL/ウェル)、プレートを37℃で1時間インキュベートした。洗浄工程後、50μL/ウェルの色素原溶液A及び色素原溶液Bの各々をプレートに添加した。プレートを37℃で15分間インキュベートし、光から保護し、呈色反応を発生させた。停止液(50μL/ウェル)の添加後、反応を停止させた。450nmにおいてSpectraMax 340(MOLECULAR DEVICES)プレートリーダーで光学密度を読み取った。測定した色の強度は、開始工程で結合したラットIFNαの量に比例していた。標準曲線をアッセイプレートごとに生成し、試験のIFNα濃度は、標準曲線及び希釈因子の吸光度A450値の補間によって決定された。IFNαキットのアッセイ範囲は、3.1~100pg/mLであり、最小検出濃度は、1pg/mL未満であった(4pg/mL、血漿試料の必要希釈度は、1:4であった)。
【0385】
この試験の結果は、とりわけ、NOVECRITが、(RT-PCRで評価されるように)投与の24時間後に注射部位で検出されなかった。より具体的には、NOVECRITは、以下の試料(RT-PCR):血清(投与の6時間後、24時間後、48時間後、及び72時間後)、肝臓(投与の6時間後、及び24時間後)、及び腎臓(投与の6時間後、及び24時間後)のいずれでも検出されなかった。さらに、(NOVECRITでスパイクした)陽性対照は、(RT-PCRで評価されるように)全ての組織でロバストなシグナルを得た。
図18は、NOVECRITの単回投与が、血清中のNOVEPOIETINの急速な増加、及び持続的なレベルを誘発させたことを示す。Y軸は、NOVEPOIETINタンパク質(mU/mL)の濃度を示す。これは、理論に束縛されるものではないが、試験したRNA治療薬が、治療的に重要な薬力学的性質をもたらすことができることを示唆している。事実、このPD挙動は、(約4~12時間の半減期をもつことが当該技術分野で知られている)野生型EPOと比較して大幅に改善される。
【0386】
さらに、NOVECRITでスパイクした血清は、(RT-PCRで評価されるように)RNAのほぼ瞬時の劣化を示した。理論に束縛されるものではないが、このデータは、本RNA治療薬が安全であり、毒性、例えば、肝毒性または腎毒性の制限の可能性がほとんどないことを示している。
【0387】
図19は、NOVECRITの単回投与が、赤血球生成を刺激し、ヘマトクリットの上昇が少なくとも14日間得られたことを示す。左パネルは、Y軸上にヘマトクリット%を示す一方、右パネルは、網状赤血球%を示す。したがって、試験したRNA治療薬は、完全に機能的である。
【0388】
サイトカインに関して、IL-6及びTNFαサイトカインレベルは、本試験で評価された各時点で全ての動物のアッセイ検出閾値を下回った。低レベルのIFNαのみが、グループ3及び4の動物由来の8日目の試料で検出可能であった。
図20は、雄のSprague Dawleyラットにおける最大耐量のNOVECRITから収集した血漿試料中のTNFα、IL-6、及びIFNαサイトカインレベルをまとめた表を示す。理論に束縛されるものではないが、このデータは、本RNA治療薬が、ある特定のRNA治療薬の治療的有用性を制限する不都合な免疫原性を刺激しないことを示唆している。
【0389】
実施例36:COL7A遺伝子の遺伝子編集
本RNAベースの遺伝子編集アプローチをCOL7A1遺伝子に適用した。この遺伝子は、とりわけ、ジストロフィー表皮水疱症に頻繁に関与するために興味深い。
図21は、COL7A1遺伝子内に位置する配列TGAGCAGAAGTGGCTCAGTG(配列番号467)及びTGGCTGTACAGCTACACCCC(配列番号468)を標的にするRNA TALENでトランスフェクトされた初代成人ヒト皮膚線維芽細胞のDNAを用いたSURVEYORアッセイを示す。+RNAレーンに存在するバンドは、ジストロフィー表皮水疱症に頻繁に関与する遺伝子の領域の編集を示す。
図22は、今度はCOL7A1遺伝子内に位置する配列TTCCACTCCTGCAGGGCCCC(配列番号469)及びTCGCCCTTCAGCCCGCGTTC(配列番号470)を標的にするRNA TALENでトランスフェクトされた初代成人ヒト皮膚線維芽細胞のDNAを用いた別のSURVEYORアッセイを示す。+RNAレーンに存在するバンドは、ジストロフィー表皮水疱症に頻繁に関与する遺伝子の領域の編集を示す。このデータは、とりわけ、ジストロフィー表皮水疱症などの特定の遺伝性障害の治療に対する遺伝子編集アプローチを指し示す。
【0390】
実施例37:非標準ヌクレオチドを含有する合成RNAを用いたMYC遺伝子の遺伝子編集
実験は、非標準ヌクレオチドを含有し、遺伝子編集タンパク質をコードするインビトロ転写合成RNA分子で実施した。(1)非標準ヌクレオチドとしてプソイドウリジン(psU)のみ;(2)非標準ヌクレオチドとして5-メチルシチジン(5mC)のみ;及び(3)非標準ヌクレオチドとしてプソイドウリジン及び5-メチルシチジンの両方を有するインビトロ転写合成RNA分子(並びに対照)の免疫原性、及び遺伝子編集効率を評価した。
【0391】
すなわち、以下のヌクレオチド組み合わせ:(i)A、G、U、C、(ii)A、G、psU、C、(iii)A、G、U、5mC、及び(iv)A、G、psU、5mCを含有し、MYC遺伝子内で見ることができる以下のDNA配列:TCGGCCGCCGCCAAGCTCGT(配列番号474)、及びTGCGCGCAGCCTGGTAGGAG(配列番号475)を標的にするTALEN対をコードするmRNAを、本明細書に記載される方法に従って合成した。ヒト皮膚線維芽細胞(MA001SK)を、10%FBSを含有するDMEM中の6ウェル及び24ウェル組織培養プレートに、それぞれ、100,000細胞/ウェル、及び10,000細胞/ウェルで載置した。翌日、本明細書に記載される方法に従って、2μgのRNA(TALEN対の成分ごとに1μg)を含有する6ウェルプレートで細胞をトランスフェクトし、0.2μgのRNA(TALEN対の成分ごとに0.1μg)を含有する24ウェルプレートで細胞をトランスフェクトした。トランスフェクション24時間後に、24ウェル培養プレートの細胞由来の全RNAを、RNeasyミニキット(74106;QIAGEN)を用いて単離し、例えば、RNAでトランスフェクトされなかった細胞の試料(陰性対照;
図23の「陰性」)由来の全RNAを単離した。DNase I(RNaseフリー)(M0303L;NEW ENGLAND BIOLABS)による15分消化によってゲノムDNAを除去し、RNeasyミニキットを用いて反応物を精製した。1μLの全RNAを使用して、免疫原性マーカーTLR3、IFIT1、及びIFIT2(
図23)の発現を検出するように設計されたTAQMAN遺伝子発現アッセイ(APPLIED BIOSYSTEMS)を用いてリアルタイムRT-PCRによって遺伝子発現を評価した。データを、陽性実験対照試料(「A、G、U、C」)、及び負荷対照(GAPDH)の両方に正規化した。
【0392】
トランスフェクション48時間後に、ゲノムDNAを、DNeasy血液及び組織キット(69506;QIAGEN)を用いて6ウェル培養プレートで細胞から単離し、例えば、RNAでトランスフェクトされなかった細胞の試料(陰性対照;
図24の「陰性」)から単離した。予測されたTALEN切断位置を取り囲むMYC遺伝子の970bp領域は、以下のプライマー:TAACTCAAGACTGCCTCCCGCTTT(配列番号476)、及びAGCCCAAGGTTTCAGAGGTGATGA(配列番号477)を含有する35サイクルの2段階PCR反応を用いて増幅された。2つの配列を0.5μLの1M KCl、及び0.5μLの25mM MgCl
2と混合し、サーモサイクラーで以下のプログラム:95℃で10分間;95℃~85℃で0.625C/s;85℃~25℃で0.125C/sを実行することによって、RNA処理細胞由来の増幅配列5μL中の160ngを、未処理MA001SK細胞由来の増幅配列5μL中の160ngにハイブリダイズした。SURVEYOR突然変異検出キット(706020l;INTEGRATED DNA TECHNOLOGIES)からの0.5μLのSURVEYORヌクレアーゼ及び0.5μLのエンハンサーを、ハイブリダイズした生成物に添加し、混合し、42℃で25分間インキュベーションすることによって、SURVEYORアッセイを実施した。また、上記のプロトコルを使用して、SURVEYORアッセイに対する陽性実験対照(
図24の「アッセイ陽性」)として、SURVEYOR突然変異検出キットで提供された陽性対照DNA試料を処理した。試料をアガロースゲル電気泳動により分析した(
図24)。試料ごとに、遺伝子編集効率を、消化バンド(
図24に「
*」で示す)の強度対未消化バンドの強度の比率として算出した。
【0393】
以下の
図23に示すように、陽性対照RNA(A、G、U、C)でトランスフェクトされた細胞由来の試料、及びプソイドウリジンまたは5-メチルシチジンのいずれかを含有するRNAでトランスフェクトされた細胞由来の試料は、免疫原性マーカーTLR3、IFIT1、及びIFIT2の3つ全ての上方調節を示した。プソイドウリジン及び5-メチルシチジンの両方を含有するRNAでトランスフェクトされた細胞由来の試料は、免疫原性マーカーの無視できるほどの上方調節(陽性対照の0.01倍未満)を示し、プソイドウリジン及び5-メチルシチジンの両方を含有し、遺伝子編集タンパク質をコードするインビトロ転写合成RNAが、哺乳類細胞の先天性免疫系による検出を回避できることが実証された。
【0394】
さらに、以下の
図24に示すように、プソイドウリジン及び5-メチルシチジンの両方を含有するRNAでトランスフェクトされた細胞由来の試料は、高効率の遺伝子編集(41.7%)を示し、これは、プソイドウリジンのみを含有するRNAでトランスフェクトされた細胞由来の試料で示された効率(35.2%)よりも大きく、プソイドウリジン及び5-メチルシチジンの両方を含み、遺伝子編集タンパク質をコードするインビトロ転写合成RNAが、(i)哺乳類細胞を高効率で遺伝子編集し、かつ、(ii)プソイドウリジンを含み、5-メチルシチジンを含まないインビトロ転写合成RNAよりも高効率で哺乳類細胞を遺伝子編集することができることが実証された。
【0395】
実施例38:ヒト細胞中のCOL7A1遺伝子編集及び修復
COL7A1遺伝子中の以下の配列を標的にする遺伝子編集タンパク質をコードするRNAを、実施例1に従って合成した:TGAGCAGAAGTGGCTCAGTG(配列番号473)、及びTGGCTGTACAGCTACACCCC(配列番号468)(以下の表も参照されたい)。
【表G】
【0396】
50,000個の初代ヒト表皮ケラチノサイト(HEKn、Gibco)を、EpiLife+サプリメントS7中の6ウェルプレートのウェルに載置した。翌日、細胞を、実施例3に従って、遺伝子編集対の各成分をコードする1μgのRNA、及び60、70、80、90または100の長さのヌクレオチド(「nt」)を有する2μgの一本鎖DNA修復テンプレートでトランスフェクトした。トランスフェクション48時間後に、ゲノムDNAを精製した。COL7A1遺伝子のセグメントを、535bpアンプリコンを生成するプライマーGCATCTGCCCTGCGGGAGATC(配列番号478)、及びCCACGTTCTCCTTTCTCTCCCCGTTC(配列番号479)を用いて増幅した。遺伝子編集の効率は、製造業者の指示に従って、T7エンドヌクレアーゼI(「T7E1」、New England Biolabs)を用いて評価した。おおよそ385bp及び150bpのバンドは、遺伝子編集が成功したことを示す。
図25及び
図29は、アガロースゲル電気泳動により分析した、T7EIによる消化の結果を示す。
図27及び
図29は、アガロースゲル電気泳動により分析した、MluI-HFによる消化の結果を示す。修復テンプレートは、配列ACGCGT(配列番号480)を含有するため、増幅された生成物のMluI-HF(New England Biolabs)による消化は、遺伝子修復が成功した場合には、おおよそ385bp及び150bpのバンドを生成する。
【0397】
COL7A1遺伝子中の以下の配列を標的にする遺伝子編集タンパク質をコードするRNAを、実施例1に従って合成した:TGAGCAGAAGTGGCTCAGTG(配列番号473)、及びTGGCTGTACAGCTACACCCC(配列番号468)。50,000個の初代ヒト表皮ケラチノサイト(HEKn、Gibco)を、EpiLife+サプリメントS7中の6ウェルプレートのウェルに載置した。翌日、細胞を、実施例3に従って、遺伝子編集対の各成分をコードする1μgのRNA、及び80の長さのヌクレオチドを有する1~4μgの一本鎖DNA修復テンプレートでトランスフェクトした。トランスフェクション48時間後に、ゲノムDNAを精製した。COL7A1遺伝子のセグメントを、535bpアンプリコンを生成するプライマーGCATCTGCCCTGCGGGAGATC(配列番号481)、及びCCACGTTCTCCTTTCTCTCCCCGTTC(配列番号482)を用いて増幅した。遺伝子編集の効率は、製造業者の指示に従って、T7エンドヌクレアーゼI(「T7E1」、New England Biolabs)を用いて評価した。おおよそ385bp及び150bpのバンドは、遺伝子編集が成功したことを示す。
図26は、アガロースゲル電気泳動により分析した、T7EIによる消化の結果を示す。
図28は、アガロースゲル電気泳動により分析した、MluI-HFによる消化の結果を示す。修復テンプレートは、配列ACGCGT(配列番号480)を含有するため、増幅された生成物のMluI-HF(New England Biolabs)による消化は、遺伝子修復が成功した場合には、おおよそ385bp及び150bpのバンドを生成する。
【0398】
実施例39:ヒト細胞中のBMP7変異体の発現
野生型BMP7をコードするRNA、及びBMP7の変異体をコードするRNAを、実施例1に従って合成した(以下の表も参照されたい)。
【表H】
【0399】
50,000個の初代ヒト皮膚線維芽細胞(MA001SK、Factor Bioscience)または100,000個の初代ヒト表皮ケラチノサイト(HEKn、Gibco)を、それぞれ、DMEM+10%FBSまたはEpiLife+サプリメントS7に載置した。細胞を、実施例3に従って、野生型BMP7またはその変異体をコードする1μgのRNAでトランスフェクトした。トランスフェクション24時間後に、培地をサンプリングし、分泌されたBMP7レベルを、製造業者の指示に従って、10倍希釈した培地を用いてヒトBMP7 ELISAキット(ab99985、Abcam)で測定した。分泌されたBMP7レベルを、マイクロプレートリーダー(EMax Plus、Molecular Devices)を用いて、450nmの吸光度を測定することによって決定した。分泌されたBMP7レベルを
図30に示す。
【0400】
実施例40:ヒト細胞中の副甲状腺ホルモン(PTH)の発現
PTHをコードするRNAを、実施例1に従って合成した(以下の表も参照されたい)。
【表I】
【0401】
100,000個のヒト表皮ケラチノサイト(HEKn、Gibco)を、EpiLife+サプリメントS7に載置した。細胞を、実施例3に従って、PTHをコードする1μgのRNAでトランスフェクトした。トランスフェクション24時間後に、培地をサンプリングし、分泌されたPTHレベルを、製造業者の指示に従って、ヒトPTH ELISAキット(EIA-PTH-1、Ray Biotech)を用いて測定した。分泌されたPTHレベルを、マイクロプレートリーダー(EMax Plus、Molecular Devices)を用いて、450nmの吸光度を測定することによって決定した。分泌されたPTHレベルを
図31に示す。
【0402】
実施例41:貧血を治療するためのNOVECRITの皮内、皮下、直腸、及び鼻腔投与
貧血を治療するためのNovecritの繰り返し投与毒性試験を実施した。すなわち、8~10週齢の雄のSprague Dawleyラットに、1日目、8日目、及び15日目に1日1回、皮内、皮下、直腸、または鼻腔経路を介してNovecritを投与した。動物をグループに割り当て、以下の表に示すように治療した:
【表J】
【0403】
特に、グループ1には、皮内注射を介して投与した。各用量は、50μL/注入の皮内注射を4回、動物当たり合計200μLを投与した。注射は、背部腰椎領域の正中線近くの予め印が付けられた部位(左上、右上、左下、及び右下象限)で実施した。グループ2には、各々0.25μgの皮内注射を4回(合計1.0μg)、背部腰椎領域の正中線近くの予め印が付けられた部位(左上、右上、左下、及び右下象限)に投与した。グループ3には、低背側胸部/腰椎領域に位置する背中の領域に皮下注射で投与した。グループ4には、直腸投与で投与した。動物を手で拘束し、各ラットの腹部を触診し、任意の糞便を除去した。必要と認められる場合、直腸を、浣腸用の最大2mlの生理食塩水で洗浄した後、腹部を触診して、必要に応じて、糞便を除去した。Novecritをシリンジに吸引し、丸い先端(ボール)を備えた適切なサイズの胃管栄養用の針をシリンジに取り付けた。挿入を支援するために潤滑ゼリーを挿入器具に塗布し;結腸の内腔に約1cm進め、Novecritを注入した。その後、ラットを、頭部が下を向いた位置に約20~30秒間維持し、溶液の排出を制限した。グループ5には、鼻の経路を介して投与した。動物に麻酔をかけた(SNBL USA SOPに準拠)。動物を、頭を高く保った状態で仰向けにした。用量を鼻孔にゆっくりと分注した。投与量の約半分を1つの鼻孔に投与した。残りの投与量を別の鼻孔に投与した。初回投与を1日目に、最終投与を15日目に投与した。
【0404】
ラットを、食物摂取量、及び体重を含めて臨床的に監視した。加えて、血液を収集し、以下に示すように血液学、凝固、及び血清化学分析を行った:
【表K】
【0405】
以下のように毒物動態学グループの分析を行った:
【表L】
【0406】
毒性動物の終末剖検は、44日目に起こった。TK動物は、2日目、16日目、23日目、及び44日目に安楽死させた。病理学分析を動物で実施した。
【0407】
図32に示すように、NOVECRITの投与は、赤血球生成を刺激し、対照と比較して4つ全ての試験群で少なくとも14日間ヘマトクリットの上昇をもたらした。
【0408】
実施例42:糖尿病性腎症を治療するための、BMP7変異体をコードするRNAの皮内投与
ZDSDラットモデルを利用して、糖尿病性腎症を予防及び治療するための、BMP7変異体をコードするRNAの効果を試験した。すなわち、ZDSDラットを、皮内投与された、BMP7変異体をコードするRNAで治療した。試験設計の概要を
図33に提供する。動物をグループに割り当て、以下の表に示すように治療した:
【表M】
【0409】
糖尿病性腎症の予防におけるRNAの効果を試験するために、バリア(PCO-5638)からビバリウム(PCO-Rm C)に動物を移送し、3日間順応させた。全ての動物を、5SCA糖尿病誘発食餌に3週間置いた(週1回の体重測定を行った)。その後、動物を、試験の期間中、通常の5008食餌に戻した(週1回の体重測定を行った)。5008食餌の2週間後、体重測定、採血(500ul)、及び24時間ベースライン尿収集(尿中アルブミン、及びクレアチニン測定)を全ての動物で実施した。36匹のラットを、体重、グルコース、及び尿中アルブミンに基づいて、グループ1、2、及び3に無作為化した。グループ1、2、3、及び4は、皮内投与を介してビヒクルまたは被験物質(皮内)のいずれかを受けた(2×/週、月曜日及び木曜日)。グループ5には、5008食餌に混合したリシノプリルを投与した(食物摂取量は、このグループの動物で開始する)。採血(500ul、尾静脈)を、最初の2週間の各投与の24時間後に、グループ2、3、及び4から採取し、その後は、1×/週で採取した。投与の4週間後、尾静脈(500ul)を介して血液試料を全ての動物(グループ1~5)から採取した。8週間の投与の終わりに、(n=18、治療群に入る)グループ1からの尾静脈(500ul)血液試料と一緒に、24時間尿収集を実施した(尿中アルブミン、及びクレアチニン測定)。尿量、クレアチニン、及びアルブミンの結果を
図35に示す。
図35に示すように、BMP7変異体AをコードするRNAによる治療は、対照と比較して、糖尿病性腎症に罹患したラットの尿中アルブミンレベルの低下をもたらし、対照動物(プラセボ群)と比較して治療動物において優れた腎機能を示した。試験を終了するために、全ての動物をCO
2窒息で安楽死させ、心臓穿刺を介して採血を実施し、BUN、クレアチニン、及びグルコース、及び血漿のための血清を収集し、化合物の曝露及びバイオマーカー分析を行った。両方の腎臓を解剖し、組織学用に固定した。
図34は、グループ1、2、3、及び4におけるBMP7タンパク質の血清レベルを示す。結果は、これらの群におけるBMP7タンパク質の血清レベルが、以下の通りであったことを示す:グループ4、グループ3>グループ2、グループ1。
【0410】
試験は、糖尿病性腎症を治療するためのBMP7変異体をコードするRNAの効果を分析するためにも実施した。すなわち、グループ1(予防群、n=18)からのビヒクル動物を、体重、グルコース、及び尿中アルブミンに基づいて無作為化した(グループ6、n=20;7、n=10)。動物は、グループ6及び7のそれぞれで、ビヒクルまたはBMP7変異体コードRNAのいずれかを受けた(皮内、2×/週、月曜日及び木曜日)。治療の4週間後、動物をCO
2窒息で安楽死させ、心臓穿刺を介して採血を実施し、BUN、クレアチニン、及びグルコース、及び血漿のための血清を収集し、化合物の曝露及びバイオマーカー分析を行った。両方の腎臓を解剖し、組織学用に固定した。
図36に示すように、BMP7変異体AをコードするRNAによる治療は、糖尿病性腎症に罹患したラットの尿中アルブミンレベルを低下させ、治療動物において優れた腎機能を示した。この結果は、BMP7変異体コードRNAが、糖尿病性腎症を効果的に治療し、対照動物(プラセボ群)と比較して優れた腎機能を促進させたことを示唆した。
【0411】
例示的な試験プロトコルを以下に提供する:
【表N-1】
【表N-2】
【0412】
例示的な試験では、プロトコルは、試験の終わりに向かって、以下のように上記から修正した:
【表O】
【0413】
両方の試験中に、病理学分析を以下のように実施する:
【表P】
【0414】
全体で、BMP-7変異体をコードするRNAが、ラットにおける糖尿病性腎症の発症を効果的に予防したことが、これらの結果により示唆された。加えて、これらのRNAはまた、糖尿病性腎症に既に罹患しているラットの腎機能を効果的に治療し、回復させた。BMP7変異体AをコードするRNAは、ラットにおける糖尿病性腎症の予防及び治療において特に効果的であった。
【0415】
実施例43:BDNF、BMP-2、BMP-6、IL-2、IL-6、IL-15、IL-22、LIF、またはFGF-21をコードするRNAによるヒトケラチノサイトのトランスフェクション
100,000個のヒト表皮ケラチノサイト(HEKn、Gibco)を、EpiLife+サプリメントS7に載置した。細胞を、実施例3に従って、BDNF、BMP-2、BMP-6、IL-2、IL-6、IL-15、IL-22、LIF、またはFGF-21をコードする2μgのRNAでトランスフェクトした。トランスフェクション24時間後に、培地をサンプリングし、分泌されたタンパク質レベルを、製造業者の指示に従って、ヒトELISAキット(以下の表を参照)を用いて測定した。分泌されたタンパク質レベルを、マイクロプレートリーダー(EMax Plus、Molecular Devices)を用いて、450nmの吸光度を測定することによって決定した。分泌されたタンパク質レベルを
図34、パネルA-Iに示す。
【表Q】
【0416】
実施例44:IL-15、及び/またはIL-15RAをコードするRNAによるヒトケラチノサイトのトランスフェクション
100,000個のヒト表皮ケラチノサイト(HEKn、Gibco)を、EpiLife+サプリメントS7に載置した。細胞を、実施例3に従って、IL-15をコードする2μgのRNA、またはIL-15をコードする1μgのRNA、及びIL-15RAをコードする1μgのRNAでトランスフェクトした。トランスフェクション24時間後に、培地をサンプリングし、分泌されたIL-15レベルを、製造業者の指示に従って、ヒトIL-15 ELISAキット(D1500、R&D Systems)を用いて測定した。分泌されたIL-15レベルを、マイクロプレートリーダー(EMax Plus、Molecular Devices)を用いて、450nmの吸光度を測定することによって決定した。分泌されたIL-15レベルを
図35に示す。
図35に示すように、IL-15とIL-15RAの共トランスフェクションは、IL-15のみによるトランスフェクションと比較して、分泌されたIL-15レベルを著しく増加させた。
【0417】
実施例45:ラットにおける皮内注射を介した薬物動態試験
試験は、種々のRNAの皮内投与に対するSprague Dawleyラットの応答を評価するために実施した。すなわち、8~10週齢の雌の約200g~約350gの重さのSprague Dawleyラットをこの試験に使用した。全部で33匹のラットを試験し、動物を試験群に割り当て、以下の表に示すように治療した:
【表R】
【0418】
試験では、動物を4ugのRNAのいずれかで治療した。全てのグループには、皮内注射を介して投与した。各用量は、50μL/注入の皮内注射を4回、動物当たり合計200μLを投与した。注射は、背部腰椎領域の正中線近くの予め印が付けられた部位(左上、右上、左下、及び右下象限)で実施した。(最後の注射後の)投与時間を記録した。さらなる印を必要に応じて付けて、投与部位を同定できるようにした。動物には、1日目にRNAを投与し、3日目に安楽死させた。ラットの臨床観察を1日に2回行った。食物摂取量、及び体重も監視した。
【0419】
試験中に、約1mlの血液試料を頸静脈から収集し、以下のように薬物動態分析を行った:
【表S】
【0420】
FGF21、IL15、IL15、及びIL15R、IL6、IL22、及びNOVEPOEITINをコードするRNAの投与後、これらのタンパク質は、血中で容易に検出され、タンパク質レベルは、注入の約12時間後にピークに達したことが、結果により示される(
図39)。注目すべきは、この試験で試験したタンパク質は、細胞及び組織によって取り込むことができ、及び/または、体血流でかなり蓄積することなく、発現部位の近くで効果を発揮することができる。
【0421】
均等物
当業者は、日常の実験のみを用いて、本明細書に具体的に記載される特定の実施形態に対する多数の均等物を認識し、または確認することができるであろう。かかる均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【0422】
参照による組み込み
本明細書で参照される全ての特許及び刊行物は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】