(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】配筋検査方法及び配筋検査システム
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20221226BHJP
E04G 21/12 20060101ALI20221226BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
G01B11/02 H
E04G21/12 105Z
E04G21/12 ESW
G01N21/84 Z
(21)【出願番号】P 2018091291
(22)【出願日】2018-05-10
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉武 謙二
(72)【発明者】
【氏名】大山 巧
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-057190(JP,A)
【文献】登録実用新案第3198287(JP,U)
【文献】特開2010-122008(JP,A)
【文献】特開2012-021323(JP,A)
【文献】特開2014-002536(JP,A)
【文献】特開平09-001983(JP,A)
【文献】特開2016-089358(JP,A)
【文献】特開平08-209938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/02
E04G 21/12
G01N 21/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート構造物の構築時において、鉄筋の配筋前または配筋後に、用いられる鉄筋の径を含む鉄筋種別を示す種別マーカを付する種別マーカ取付工程と、
前記種別マーカが配列された位置にスケールを配置するスケール配置工程と、
前記スケール及び前記種別マーカを含めた配筋検査画像を取得する配筋検査画像取得工程と、
前記配筋検査画像内の前記スケール及び前記種別マーカをもとに画像処理を施し、配筋された鉄筋の鉄筋種別、配筋本数、及び配筋ピッチを含む配筋検査情報を生成する配筋検査情報生成工程と、
を含み、
前記種別マーカは、所定間隔で間引き配置され、
前記配筋検査情報をもとに配筋検査を行うことを特徴とする配筋検査方法。
【請求項2】
配筋検査領域を区分する区分マーカを前記鉄筋に付する区分マーカ取付工程を含み、
前記配筋検査画像取得工程は、前記区分マーカによって区切られた検査領域に対応する配筋検査画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の配筋検査方法。
【請求項3】
前記検査領域毎に、施工位置の場所情報及び施工部位を示す部位情報が少なくとも記載された情報記録板を配置し、
前記配筋検査画像取得工程は、前記配筋検査画像内に前記情報記録板を含めて撮像することを特徴とする請求項
2に記載の配筋検査方法。
【請求項4】
前記種別マーカは、異なる色で前記鉄筋種別を示すことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の配筋検査方法。
【請求項5】
前記配筋検査情報と配筋設計情報とを比較して配筋の異常を検出する配筋異常検出工程を含み、
前記配筋検査情報に前記配筋の異常の有無を含めた検査情報として出力することを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の配筋検査方法。
【請求項6】
鉄筋コンクリート構造物に用いられる鉄筋の径を含む鉄筋種別を示す種別マーカが付された鉄筋と、
配筋された鉄筋に付された前記種別マーカが配列された位置に配置されるスケールと、
前記スケール及び前記種別マーカを含めた配筋検査画像を取得する撮像カメラと、
前記撮像カメラが取得した前記配筋検査画像内の前記スケール及び前記種別マーカをもとに画像処理を施し、配筋された鉄筋の鉄筋種別、配筋本数、及び配筋ピッチを含む配筋検査情報を生成する配筋検査情報生成部と、
を備え、
前記種別マーカは、所定間隔で間引き配置され、
前記配筋検査情報をもとに配筋検査を行うことを特徴とする配筋検査システム。
【請求項7】
配筋検査領域を区分する区分マーカが前記鉄筋に付され、
前記撮像カメラは、前記区分マーカによって区切られた検査領域に対応する配筋検査画像を取得することを特徴とする請求項6に記載の配筋検査システム。
【請求項8】
前記検査領域毎に、施工位置の場所情報及び施工部位を示す部位情報が少なくとも記載された情報記録板を配置し、
前記撮像カメラは、前記配筋検査画像内に前記情報記録板を含めて撮像することを特徴とする請求項
7に記載の配筋検査システム。
【請求項9】
前記種別マーカは、異なる色で前記鉄筋種別を示すことを特徴とする請求項6~8のいずれか一つに記載の配筋検査システム。
【請求項10】
前記配筋検査情報と配筋設計情報とを比較して配筋の異常を検出する配筋異常検出部を備え、
前記配筋検査情報に前記配筋の異常の有無を含めた検査情報として出力することを特徴とする請求項6~9のいずれか一つに記載の配筋検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配筋検査画像を用いて配筋検査情報を簡易な構成で取得し、迅速かつ精度の高い配筋検査を行うことができる配筋検査方法及び配筋検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート構造物の配筋検査における重要な検査項目には、鉄筋径種、表面加工種、配置本数、配筋ピッチなどがある。この配筋検査では、直接、配筋位置でスケールを用いて配筋ピッチなどを計測している。しかし、配筋位置におけるスケールを用いた配筋検査が完了するまでに、その検査結果の記録を含めて多大な時間がかかってしまう。
【0003】
そこで、デジタルカメラを用いて撮像した配筋画像を用いて配筋情報を取得して配筋検査を行うことにより、配筋検査の時間短縮を図る試みがある(特許文献1参照)。なお、特許文献2には、作業現場に装着され、場所情報と部材情報とを記録した情報記録カードを備え、情報読取機能付きのデジタルカメラにより施工位置を撮影することにより、画像と日付・時刻情報を記録し、同時に、情報記録カードに記録された場所情報と部材情報とを読み込み、読み取られた画像情報、日付・時刻情報、場所情報および部材情報をデータベースに記録するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6236199号公報
【文献】特開2005-16108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、配筋に用いられる鉄筋は、その径によって、例えば、D6、D10、D13、D16などのように約3mmピッチという微小な間隔で分類され、しかも鉄筋表面には竹節模様やねじ節模様などの表面加工がされている異形鉄筋である場合が殆どであり、また、その断面が真円以外(楕円など)の場合もある。
【0006】
したがって、配筋状態を撮像した配筋検査画像を用いて迅速な配筋検査を行うことができても、径ピッチが小さく、かつ、撮像される鉄筋の角度によって鉄筋の径が異なって計測されるため、鉄筋径種を精度高く判別することができない。この結果、従来の配筋検査画像を用いた配筋検査では、配筋に用いられた鉄筋の鉄筋径を含む鉄筋種別、配置本数や配筋ピッチなどの配筋状態を含む各種の配筋検査情報を精度高く得ることは困難である。
【0007】
なお、配筋検査画像上の距離を計測するためには、例えば2つのカメラを用いたステレオカメラが用いられるが、上記したように、撮像する角度によって鉄筋の径が異なるため、たとえ、ステレオカメラを用いても、配筋に用いられた鉄筋の鉄筋種別や配筋状態を含む配筋情報を精度高く取得することは困難である。なお、ステレオカメラを用いて配筋ピッチなどの配筋情報を得ようとすると構成が複雑になる。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、配筋検査画像を用いて配筋検査情報を簡易な構成で取得し、迅速かつ精度の高い配筋検査を行うことができる配筋検査方法及び配筋検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる配筋検査方法は、鉄筋コンクリート構造物の構築時において、鉄筋の配筋前または配筋後に、用いられる鉄筋の径を含む鉄筋種別を示す種別マーカを付する種別マーカ取付工程と、前記種別マーカが配列された位置にスケールを配置するスケール配置工程と、前記スケール及び前記種別マーカを含めた配筋検査画像を取得する配筋検査画像取得工程と、前記配筋検査画像内の前記スケール及び前記種別マーカをもとに画像処理を施し、配筋された鉄筋の鉄筋種別、配筋本数、及び配筋ピッチを含む配筋検査情報を生成する配筋検査情報生成工程と、を含み、前記配筋検査情報をもとに配筋検査を行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる配筋検査方法は、上記の発明において、配筋検査領域を区分する区分マーカを前記鉄筋に付する区分マーカ取付工程を含み、前記配筋検査画像取得工程は、前記区分マーカによって区切られた検査領域に対応する配筋検査画像を取得することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる配筋検査方法は、上記の発明において、前記検査領域毎に、施工位置の場所情報及び施工部位を示す部位情報が少なくとも記載された情報記録板を配置し、前記配筋検査画像取得工程は、前記配筋検査画像内に前記情報記録板を含めて撮像することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる配筋検査方法は、上記の発明において、前記種別マーカは、所定間隔で間引き配置されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる配筋検査方法は、上記の発明において、前記種別マーカは、異なる色で前記鉄筋種別を示すことを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる配筋検査方法は、上記の発明において、前記配筋検査情報と配筋設計情報とを比較して配筋の異常を検出する配筋異常検出工程を含み、前記配筋検査情報に前記配筋の異常の有無を含めた検査情報として出力することを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる配筋検査システムは、鉄筋コンクリート構造物に用いられる鉄筋の径を含む鉄筋種別を示す種別マーカが付された鉄筋と、配筋された鉄筋に付された前記種別マーカが配列された位置に配置されるスケールと、前記スケール及び前記種別マーカを含めた配筋検査画像を取得する撮像カメラと、前記撮像カメラが取得した前記配筋検査画像内の前記スケール及び前記種別マーカをもとに画像処理を施し、配筋された鉄筋の鉄筋種別、配筋本数、及び配筋ピッチを含む配筋検査情報を生成する配筋検査情報生成部と、を備え、前記配筋検査情報をもとに配筋検査を行うことを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる配筋検査システムは、上記の発明において、配筋検査領域を区分する区分マーカが前記鉄筋に付され、前記撮像カメラは、前記区分マーカによって区切られた検査領域に対応する配筋検査画像を取得することを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる配筋検査システムは、上記の発明において、前記検査領域毎に、施工位置の場所情報及び施工部位を示す部位情報が少なくとも記載された情報記録板を配置し、前記撮像カメラは、前記配筋検査画像内に前記情報記録板を含めて撮像することを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる配筋検査システムは、上記の発明において、前記種別マーカは、所定間隔で間引き配置されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる配筋検査システムは、上記の発明において、前記種別マーカは、異なる色で前記鉄筋種別を示すことを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかる配筋検査システムは、上記の発明において、前記配筋検査情報と配筋設計情報とを比較して配筋の異常を検出する配筋異常検出部を備え、前記配筋検査情報に前記配筋の異常の有無を含めた検査情報として出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、配筋検査画像を用いて配筋検査情報を簡易な構成で取得し、迅速かつ精度の高い配筋検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である配筋検査システムの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、配筋検査システム1よる配筋検査処理手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、入出力部に出力された検査情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態である配筋検査システム1の構成を示す模式図である。
図1に示すように、配筋検査システム1は、制御装置2に撮像カメラ3が接続されている。撮像カメラ3は、鉄筋コンクリート構造物に用いられる配筋検査対象を撮像する。
【0025】
配筋検査対象には、配筋検査画像D1に示すように、例えば、水平方向AHの鉄筋4hと垂直方向AVの鉄筋4Vとからなる鉄筋Mが配筋されている。鉄筋4hには、それぞれ鉄筋の径を含む鉄筋種別を示す種別マーカM2が付されて配列され、鉄筋4Vには、それぞれ種別マーカM1が付されて配列される。種別マーカM1,M2は、例えば、D6、D10、D13、D16などのような径と、断面が楕円などの異形鉄筋の種別と、鉄筋表面の表面加工種別とを識別するものであるが、径のみであってもよい。種別マーカM1,M2は、各鉄筋Mに対し、配筋前に付しておくことが好ましい。
【0026】
配列された種別マーカM1,M2の位置に沿ってそれぞれスケール5h,5Vが配置される。なお、スケール5h,5Vには、目盛り以外に目盛りの数値が記載されている。配筋検査対象が広域である場合、配筋検査対象を区分する区分マーカM10,M20が対応する鉄筋に付される。2つの区分マーカM10は、水平方向AHの検査領域幅を規定し、2つの区分マーカM20は、垂直方向AVの検査領域幅を規定する。したがって、区分マーカM10,M20によって矩形の検査領域を規定することができる。この区分マーカM10,M20は、配筋前あるいは配筋後に、対応する鉄筋Mに付される。
【0027】
鉄筋4Vに付される種別マーカM1は、配筋時に垂直方向AVの位置がほぼ同一で水平方向AHに沿って配置されることが好ましい。また、鉄筋4hに付される種別マーカM2は、配筋時に水平方向AHの位置がほぼ同一で垂直方向AVに沿って配置されることが好ましい。そして、スケール5hは、種別マーカM1の配列方向に沿って近接配置され、スケール5Vは、種別マーカM2の配列方向に沿って近接配置される。
【0028】
なお、種別マーカM1,M2はそれぞれ種別に応じた異なる色が配色される。また、区分マーカM10,M20は、種別マーカM1,M2とは異なる色が配色される。種別マーカM1,M2及び区分マーカM10,M20は、塗料などで塗布したものであってもよいし、テープを取り付けたものであってもよい。
【0029】
また、区分マーカM10,M20で区分された検査領域内には、施工位置の場所情報及び施工部位を示す部位情報が少なくとも記載された情報記録板6が配置される。なお、情報記録板6に、日付情報などの時間情報を記載してもよいが、時間情報は、撮像カメラ3が配筋検査画像D1を撮像したときの撮像カメラ3の情報を用いるようにしている。
【0030】
制御部10は、制御装置2全体を制御する制御部10、タッチパネルなどの入出力デバイスであり、各種情報の入出力を行う入出力部11、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ又はハードディスク装置等の二次記憶媒体等からなる記憶デバイスである記憶部12を有する。記憶部12は、配筋検査画像D1、配筋検査情報D2、予め記憶される配筋設計情報D3、検査情報D4、種別マーカM1,M2及び区分マーカM10,M20に関する設定情報であるマーカ情報D5を記憶する。
【0031】
制御部10は、画像取得部13、配筋検査情報生成部14、及び配筋異常検出部15を有する。画像取得部13は、撮像カメラ3が撮像した、スケール5h,5V、種別マーカM1,M2、区分マーカM10,M20、情報記録板6を含めた配筋検査画像D1を取得する。
【0032】
配筋検査情報生成部14は、画像取得部13が取得した配筋検査画像D1内の区分マーカM10,M20を識別して検査領域を特定し、この検査領域内のスケール5h,5V及び種別マーカM1,M2を画像処理し、検査領域内で、配筋された鉄筋4h,4Vの鉄筋種別、配筋本数、及び配筋ピッチを含む配筋検査情報D2を生成する。なお、配筋検査情報生成部14は、同時に情報記録板6に表示された施工位置の場所情報及び施工部位を示す部位情報を読み取り、配筋検査情報D2に加えるとともに、現在時刻を日付情報として配筋検査情報D2に加える。
【0033】
配筋異常検出部15は、配筋検査情報D2と、予め記憶部12に記憶された配筋設計情報D3とを比較して配筋の異常を検出し、配筋検査情報D2に配筋の異常の有無(異常検出結果)を含めた検査情報D4として出力する。検査情報D4は、例えば、入出力部11に表示出力され、さらには図示しない外部装置に出力される。
【0034】
<配筋検査処理>
ここで、
図2に示したフローチャートを参照して配筋検査システム1による配筋検査処理手順について説明する。
図2に示すように、まず、鉄筋コンクリート構造物に用いられる鉄筋の径を含む鉄筋種別を示す種別マーカM1,M2を鉄筋4h,4Vに取り付ける(ステップS101)。その後、鉄筋4h、4Vを配筋する(ステップS102)。配筋後、区分マーカM10,M20を取り付けて検査領域を規定する(ステップS103)。さらに、検査領域内の種別マーカM1,M2が配列された位置にスケール5h,5Vを配置する(ステップS104)とともに、情報記録板6を配置する。
【0035】
その後、画像取得部13は、撮像カメラ3が撮像した配筋検査画像D1を取得する(ステップS105)。その後、配筋検査情報生成部14は、配筋検査画像D1内のスケール5h,5V及び種別マーカM1,M2をもとに画像処理を施し、配筋された鉄筋の鉄筋種別、配筋本数、及び配筋ピッチを含む配筋検査情報を生成する(ステップS106)。
【0036】
その後、配筋異常検出部15は、配筋検査情報D2と配筋設計情報D3とを比較して配筋の異常を検出する配筋異常の検出処理を行う(ステップS107)。そして、配筋異常検出部15は、配筋検査情報D2に配筋の異常の有無を含めた検査情報D4として、入出力部11等に出力し(ステップS108)、本処理を終了する。
【0037】
図3は、入出力部11に出力された検査情報D4の一例を示す図である。
図3に示すように、検査情報D4には、情報記録板6から読み取った施工位置、施工部位、撮像カメラ3あるいは制御装置2の時刻情報であって配筋検査画像D1を取得した時刻情報である検査日時、及び鉄筋種別毎の本数、位置、ピッチが表示される。位置、ピッチに関しては、配筋設計情報D3との比較結果の情報が表示される。鉄筋種別毎の本数、位置、ピッチは検査結果が合格であれば○、不合格であれば×が表示される。本数は、配筋設計情報D3と一致している場合に合格となり、不一致の場合には不合格となる。位置は、配筋設計情報D3の位置に対するずれの平均が所定ずれ量内であって、最大ずれ量を超えるものがない場合のみ合格としている。同様にピッチは、配筋設計情報D3のピッチに対するずれの平均が所定ずれ量内であって、最大ずれ量を超えるものがない場合のみ合格としている。また、位置及びピッチについての詳細情報は、その格納先を示す格納先情報P1~P4が表示される。
【0038】
本実施の形態では、鉄筋に種別マーカM1,M2を取り付けるとともに、種別マーカM1,M2に沿ってスケール5h,5Vを配置しておき、種別マーカM1,M2及びスケール5h,5Vを含む配筋検査画像D1を取得し、配筋検査画像D1を画像処理して、種別マーカM1,M2により配筋された鉄筋4h,4Vの鉄筋種別、配筋本数を識別し、さらにスケール5h,5Vを参照して鉄筋4h,4Vの配筋ピッチを算出し、これらを含む配筋検査情報D2を生成するようにしている。この結果、ステレオカメラなどの高度な撮像カメラを用いずとも、単眼カメラを用いた簡易な構成で、精度の高い配筋検査情報D2を迅速に得ることができる。もちろん、ステレオカメラを用いてさらに精度の高い配筋検査情報D2を得るようにしてもよい。
【0039】
なお、種別マーカM1,M2は、各鉄筋4h,4Vの全てに取り付ける必要はなく、所定間隔で間引いてもよい。
【0040】
また、配筋検査システム1は、GPS機能などの測位機能を有するドローンなどの無人飛行機に搭載するようにしてもよい。あるいは、配筋検査システム1内の撮像カメラ3を無人飛行機に搭載し、撮像した配筋検査画像を送信できるようにしてもよい。
【0041】
さらに、上記の配筋検査システム1では、配筋異常検出部15が検査情報D4を生成するようにしていたが、これに限らず、配筋検査情報D2のみを入出力部11に表示出力し、検査者が、紙情報である配筋設計情報D3を参照して配筋検査を行うようにしてもよい。
【0042】
また、配筋検査システム1の撮像カメラ3と制御装置2とは、スマートフォンなどの携帯装置と同様に、一体形成されていてもよい。また、撮像カメラ3に無線通信機能を設け、撮像カメラ3で撮像した配筋検査画像D1を別途配置された制御装置2側に送信するものであってもよい。
【0043】
さらに、上記の配筋検査システム1では、水平方向AH及び垂直方向AVに配筋された状態のものを検査するようにしていたが、これに限らず、水平方向AH及び垂直方向AVが形成する平面に垂直な方向に配置された配筋に対しても検査することができる。この場合、水平方向AH及び垂直方向AVが形成する平面に垂直な方向に延びるスケールを配置する。さらに、これらを組み合わせることによって水平方向AH及び垂直方向AVが形成する平面が平面に垂直な方向に所定の間隔空け2段以上に配筋されている場合にも適用可能である。
【0044】
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1 配筋検査システム
2 制御装置
3 撮像カメラ
4h,4V,M 鉄筋
5h,5V スケール
6 情報記録板
10 制御部
11 入出力部
12 記憶部
13 画像取得部
14 配筋検査情報生成部
15 配筋異常検出部
AH 水平方向
AV 垂直方向
D1 配筋検査画像
D2 配筋検査情報
D3 配筋設計情報
D4 検査情報
D5 マーカ情報
M1,M2 種別マーカ
M10,M20 区分マーカ
P1 格納先情報