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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】水熱交換器、ガスクーラ
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20221226BHJP
   F28D 7/02 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
F28F9/02 301E
F28D7/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018114765
(22)【出願日】2018-06-15
(65)【公開番号】P2019219079
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】松本 航平
(72)【発明者】
【氏名】小阪 正朋
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0012307(US,A1)
【文献】特開平09-250894(JP,A)
【文献】特開2008-008584(JP,A)
【文献】特開2002-181486(JP,A)
【文献】特開2006-242458(JP,A)
【文献】特開2002-243310(JP,A)
【文献】特開2008-190778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
F28D 7/02
F28F 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一軸線方向に延びるとともに、該第一軸線方向一方側に向かって水が流通する管状をなすヘッダ本体を有するヘッダと、
前記ヘッダ本体の外周面から前記ヘッダ内に突出するように設けられ、前記ヘッダ本体の外周側に向かうに従って前記第一軸線方向一方側に向かって延びる第二軸線に沿う管状をなす伝熱管と、
を備え、
前記ヘッダは、入口側ヘッダと、出口側ヘッダと、を有し、
前記入口側ヘッダ内部では、前記水が前記第一軸線方向一方側に向かって流通し、
前記出口側ヘッダ内部では、前記伝熱管を流通した後の前記水が前記第一軸線方向他方側に向かって流通し、
前記伝熱管は、前記第一軸線方向に間隔をあけて複数設けられており、
前記第一軸線に直交する基準軸線に対して前記第二軸線がなす角度である傾斜角度が、前記第一軸線方向他方側に位置する前記伝熱管になるほど大きくなる水熱交換器。
【請求項2】
前記第一軸線に直交する基準軸線に対して前記第二軸線がなす角度である傾斜角度が、10~45°である請求項1に記載の水熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水熱交換器と、
前記伝熱管の外周面に接するとともに内側にガスが流通するガス流通管と、
を有するガスクーラ。
【請求項4】
第一軸線方向に延びるとともに、該第一軸線方向一方側に向かって水が流通する管状をなすヘッダ本体を有するヘッダと、前記ヘッダ本体の外周面から前記ヘッダ内に突出するように設けられ、前記ヘッダ本体の外周側に向かうに従って前記第一軸線方向一方側に向かって延びる第二軸線に沿う管状をなす伝熱管と、を有する水熱交換器と、
前記伝熱管の外周面に接するとともに内側にガスが流通するガス流通管と、
を有し
前記ヘッダは、入口側ヘッダと、出口側ヘッダと、を有し、
前記入口側ヘッダ内部では、前記水が前記第一軸線方向一方側に向かって流通し、
前記出口側ヘッダ内部では、前記伝熱管を流通した後の前記水が前記第一軸線方向他方側に向かって流通するガスクーラ。
【請求項5】
第一軸線方向に延びるとともに、該第一軸線方向一方側に向かって水が流通する管状をなすヘッダ本体を有するヘッダと、
前記ヘッダ本体の外周面から前記ヘッダ内に突出するように設けられ、前記ヘッダ本体の外周側に向かうに従って前記第一軸線方向一方側に向かって延びる第二軸線に沿う管状をなす伝熱管と、
を備え、
前記伝熱管は、前記第一軸線方向に間隔をあけて複数設けられており、
前記第一軸線に直交する基準軸線に対して前記第二軸線がなす角度である傾斜角度が、前記第一軸線方向他方側に位置する前記伝熱管になるほど大きくなる水熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水熱交換器、ガスクーラに関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器の一例として、下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に係る熱交換器は、円筒状に形成された一対の第一ヘッダ、及び一対の第二ヘッダと、一対の第一ヘッダ同士の間を接続する複数の第一伝熱管、及び一対の第二ヘッダ同士の間を接続する第二伝熱管と、を備えている。複数の第一伝熱管は、対となる第一ヘッダの間で互いに間隔をあけて配列されている。同様に、複数の第二伝熱管は、対となる第二ヘッダの間で互いに間隔をあけて配列されている。第一ヘッダ、及び第二ヘッダの外周面には、第一伝熱管、及び第二伝熱管を挿通するための穴が形成されている。第一伝熱管の端部、及び第二伝熱管の端部は、第一ヘッダ、及び第二ヘッダの内側の空間にわずかずつ突出している。第一伝熱管と第二伝熱管とが互いに当接していることで、両者の内部を流れる流体同士の間で熱交換が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-21682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1に記載された構成では、第一ヘッダ、及び第二ヘッダの内部に、第一伝熱管、及び第二伝熱管の端部(差し込みしろ)が露出している。さらに、第一伝熱管、及び第二伝熱管は、第一ヘッダ、及び第二ヘッダに対してそれぞれ直交する方向に差し込まれている。そのため、ヘッダから伝熱管に冷媒が流入する際に、冷媒の流れに剥離を生じる可能性がある。冷媒の流れに剥離が生じると、局部流速が増大し、当該部分で潰蝕や孔蝕が発生する虞がある。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、耐久性が向上した水熱交換器、ガスクーラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様によれば、水熱交換器は、第一軸線方向に延びるとともに、該第一軸線方向一方側に向かって水が流通する管状をなすヘッダ本体を有するヘッダと、前記ヘッダ本体の外周面から前記ヘッダ内に突出するように設けられ、前記ヘッダ本体の外周側に向かうに従って前記第一軸線方向一方側に向かって延びる第二軸線に沿う管状をなす伝熱管と、を備え、前記ヘッダは、入口側ヘッダと、出口側ヘッダと、を有し、前記入口側ヘッダ内部では、前記水が前記第一軸線方向一方側に向かって流通し、前記出口側ヘッダ内部では、前記伝熱管を流通した後の前記水が前記第一軸線方向他方側に向かって流通し、前記伝熱管は、前記第一軸線方向に間隔をあけて複数設けられており、前記第一軸線に直交する基準軸線に対して前記第二軸線がなす角度である傾斜角度が、前記第一軸線方向他方側に位置する前記伝熱管になるほど大きくなる。
【0007】
この構成によれば、伝熱管は、ヘッダ本体の外周側に向かうに従って第一軸線方向他方側から一方側に向かうように延びている。ここで、ヘッダ本体の内部では、第一軸線方向他方側から一方側に向かって水が流れている。即ち、伝熱管はこの水の流れ方向成分を含む方向に延びている。したがって、例えば伝熱管が第一軸線に直交する方向に延びている構成を採った場合に比べて、上記の構成ではヘッダ本体内の水をより円滑に伝熱管に導くことができる。その結果、水の流れにおける剥離や渦が低減され、ヘッダ本体、及び伝熱管内における水の流速を均一化することができる。
また、水はヘッダ本体内を第一軸線方向他方側から一方側に向かって流れている。その中途で、水は複数の伝熱管に順次流入する。即ち、第一軸線方向他方側に位置する伝熱管ほど、高い流速の水が流入する。上記の構成によれば、第一軸線方向他方側に位置する伝熱管になるほど傾斜角度が大きいことから、高い流速の水を円滑に伝熱管内に向かって導くことができる。即ち、水の流れに乱れが生じる可能性をさらに低減することができる。
【0008】
本発明の第二の態様によれば、前記第一軸線に直交する基準軸線に対して前記第二軸線がなす角度である傾斜角度が、10~45°であってもよい。
【0009】
この構成によれば、ヘッダ本体内の水を伝熱管に向かってさらに円滑に案内することができる。その結果、水の流れにおける剥離や渦が低減され、ヘッダ本体、及び伝熱管内における水の流速を均一化することができる。
【0014】
本発明の第の態様によれば、ガスクーラは、上記いずれか一の態様に係る水熱交換器と、前記伝熱管の外周面に接するとともに内側にガスが流通するガス流通管と、を有する。
本発明の第四の態様によれば、ガスクーラは、第一軸線方向に延びるとともに、該第一軸線方向一方側に向かって水が流通する管状をなすヘッダ本体を有するヘッダと、前記ヘッダ本体の外周面から前記ヘッダ内に突出するように設けられ、前記ヘッダ本体の外周側に向かうに従って前記第一軸線方向一方側に向かって延びる第二軸線に沿う管状をなす伝熱管と、を有する水熱交換器と、前記伝熱管の外周面に接するとともに内側にガスが流通するガス流通管と、を有し、前記ヘッダは、入口側ヘッダと、出口側ヘッダと、を有し、前記入口側ヘッダ内部では、前記水が前記第一軸線方向一方側に向かって流通し、前記出口側ヘッダ内部では、前記伝熱管を流通した後の前記水が前記第一軸線方向他方側に向かって流通する。
【0015】
この構成によれば、耐久性の向上したガスクーラを提供することができる。
本発明の第の態様によれば、水熱交換器は、第一軸線方向に延びるとともに、該第一軸線方向一方側に向かって水が流通する管状をなすヘッダ本体を有するヘッダと、前記ヘッダ本体の外周面から前記ヘッダ内に突出するように設けられ、前記ヘッダ本体の外周側に向かうに従って前記第一軸線方向一方側に向かって延びる第二軸線に沿う管状をなす伝熱管と、を備え、前記伝熱管は、前記第一軸線方向に間隔をあけて複数設けられており、前記第一軸線に直交する基準軸線に対して前記第二軸線がなす角度である傾斜角度が、前記第一軸線方向他方側に位置する前記伝熱管になるほど大きくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、耐久性の向上した水熱交換器、ガスクーラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第一実施形態に係るガスクーラの構成を示す模式図である。
図2】本発明の第一実施形態に係るガスクーラの要部拡大断面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係るバーリング部の構成を示す拡大断面図である。
図4】本発明の第二実施形態に係るガスクーラの要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について、図1図2を参照して説明する。本実施形態に係るガスクーラ100は、一例として給湯器のサイクル内に配置される。より具体的にはガスクーラ100は、水と、熱媒体としてのガスとの間で熱交換を行うことで、水を加熱する。
【0019】
図1に示すように、ガスクーラ100は、水熱交換器90と、複数のガス流通管3と、を備えている。水熱交換器90は、ヘッダ1と、複数の伝熱管2と、を有している。ヘッダ1は、入口側ヘッダ1Aと、出口側ヘッダ1Bと、を有している。入口側ヘッダ1Aは、第一軸線A1に沿って延びる管状のヘッダ本体11と、導入部12と、バーリング部13(図2参照)と、を有している。第一軸線A1方向におけるヘッダ本体11の他方側の端部には、外部から水を導くための導入部12が設けられている。導入部12から導かれた水は、第一軸線A1方向他方側から一方側に向かって流れる。出口側ヘッダ1Bは、入口側ヘッダ1Aと平行に配置された管状の部材である。出口側ヘッダ1Bの端部には、加熱された水を外部に導くための排出部14が設けられている。なお、導入部12は、ヘッダ本体11の端部に設けるのみならず、ヘッダ本体11の延在方向の中間部に設けてもよい。
【0020】
入口側ヘッダ1Aと出口側ヘッダ1Bとの間には、複数の伝熱管2が配置されている。複数の伝熱管2は、入口側ヘッダ1A及び出口側ヘッダ1Bの延びる方向に間隔をあけて配列されている。各伝熱管2の内部には、水が流通するための流路が形成されている。入口側ヘッダ1Aに流れ込んだ水は、これら伝熱管2を通じて出口側ヘッダ1Bに流れる。各伝熱管2の外周面には、当該外周面に接するようにしてガス流通管3が螺旋状に巻き付けられている。ガス流通管3の内部には、熱媒体としての高温のガスが流通している。このようなガスとしては、例えば二酸化炭素が好適に用いられる。複数のガス流通管3は、上記入口側ヘッダ1A及び出口側ヘッダ1Bとは異なるヘッダに接続されている。
【0021】
次に、入口側ヘッダ1Aと伝熱管2との接続部分の詳細について、図2を参照して説明する。図2は、入口側ヘッダ1Aと複数の伝熱管2との接続部分を拡大して示している。同図に示すように、入口側ヘッダ1Aは、第一軸線A1を中心とする円筒状をなしている。各伝熱管2は、入口側ヘッダ1Aと出口側ヘッダ1Bとの間で、第一軸線A1方向に交差する方向である第二軸線A2に沿って延びている。第一軸線A1に直交する基準軸線Acに対して、第二軸線A2がなす角度(傾斜角度θ)は10°から45°であることが望ましい。さらに望ましくは、傾斜角度θは基準軸線Acに対して20°から35°とされる。最も望ましくは、傾斜角度θは基準軸線Acに対して30°とされる。なお、本実施形態では各伝熱管2における傾斜角度θは互いに同一である。
【0022】
入口側ヘッダ1A(ヘッダ本体11)の外周面には、各伝熱管2の端部を支持するバーリング部13が設けられている。バーリング部13は、入口側ヘッダ1Aの外周面から第一軸線A1に対する径方向外側に向かって突出する環状をなしている。より詳しくは図3に示すように、バーリング部13の外周面は基準軸線Acを中心とする円筒面状である。一方で、バーリング部13の内周面(差し込み穴15)は、上述の第二軸線A2を中心とする円筒面状をなしている。即ち、第一軸線A1を含む断面視において、差し込み穴15は基準軸線Acに対して、上述の傾斜角度θの分だけ傾斜する方向に延びている。
【0023】
再び図2に示すように、各差し込み穴15には、上記の伝熱管2の端部が外周側から挿入されている。差し込み穴15に挿入された状態において、各伝熱管2の端部は入口側ヘッダ1A内に突出している。伝熱管2の外周面には、差し込み穴15への挿入量を決定する(位置決めする)ための突起Pが少なくとも1つ設けられている。即ち、突起Pがバーリング部13の端面に当接するまで各伝熱管2が差し込み穴15に挿入される。このように、各伝熱管2の外周面がバーリング部13の内周面(差し込み穴15)に当接することで、各伝熱管2は変位不能に支持されている。なお、本実施形態ではバーリング部13はヘッダ本体11に対して一体に設けられている。しかしながら、ヘッダ本体11とは別に用意されたバーリング部13を、ロウ付け等によってヘッダ本体11に取り付ける構成を採ることも可能である。
【0024】
続いて、本実施形態に係るガスクーラ100の動作について説明する。給湯器の運転開始に伴って、ヘッダ1、及び各伝熱管2には低温の水(加熱前の水)が流通する。具体的には、入口側ヘッダ1Aの導入部12から水が供給され、各伝熱管2に分配される。同時に、ガス流通管3には相対的に高温のガス(熱媒体)が流通している。上記のようにガス流通管3は伝熱管2の外周面に接していることから、これら水とガスとの間で熱の移動が生じる。即ち、相対的に高温のガスの熱が、相対的に低温である伝熱管2内の水に伝播することで水が加熱される。加熱された水は、各伝熱管2から出口側ヘッダ1Bに集約された後、排出部14を経て外部に取り出される。
【0025】
ここで、各伝熱管2は、入口側ヘッダ1Aに対して角度をなしている。そのため、入口側ヘッダ1Aから伝熱管2に水が流入する際に、流れの剥離を生じる可能性がある。水の流れに剥離が生じると、局部流速が増大し、当該部分で潰蝕や孔蝕が発生する虞がある。特に、入口側ヘッダ1Aと各伝熱管2とが互いに直交するように接続されている場合、水の流れの向きが急激に変化するため、上記のような事象が生じやすい。
【0026】
しかしながら、本実施形態に係るガスクーラ100では、伝熱管2は、ヘッダ本体11の外周側に向かうに従って第一軸線A1方向他方側から一方側に向かうように延びている。ここで、ヘッダ本体11の内部では、第一軸線A1方向他方側から一方側に向かって水が流れている。即ち、伝熱管2はこの水の流れ方向成分を含む方向に延びている。したがって、例えば伝熱管2が第一軸線A1に直交する方向に延びている構成を採った場合に比べて、上記の構成ではヘッダ本体11内の水をより円滑に伝熱管2に導くことができる。その結果、水の流れにおける剥離や渦が低減され、ヘッダ本体11、及び伝熱管2内における水の流速を均一化することができる。したがって、ガスクーラ100内部で潰蝕や孔蝕が発生する可能性が低減され、ガスクーラ100の耐久性を向上させることができる。
【0027】
さらに、上記の構成では、第一軸線A1に直交する基準軸線Acに対して第二軸線A2がなす角度である傾斜角度θが、10°から45°とされている。さらに望ましくは、傾斜角度θは基準軸線Acに対して20°から35°とされる。最も望ましくは、傾斜角度θは基準軸線Acに対して30°とされる。この構成によれば、ヘッダ本体11内の水を伝熱管2に向かってさらに円滑に案内することができる。その結果、水の流れにおける剥離や渦が低減され、ヘッダ本体11、及び伝熱管2内における水の流速を均一化することができる。
【0028】
加えて、上記の構成によれば、ヘッダ本体11の外周面における伝熱管2の挿入部分にバーリング部13が設けられている。即ち、このバーリング部13によって伝熱管2をヘッダ本体11に対して固定することができる。その結果、バーリング部13が設けられていない場合に比べて、ヘッド本体に対する伝熱管2の差し込み量(差し込みしろ)を小さく抑えることができる。ここで、伝熱管2の差し込み量が大き過ぎる場合、ヘッダ本体11内を流通する水の流れが伝熱管2の端部によって乱される可能性がある。その結果、水の流れに剥離や渦が生じてしまう。しかしながら、上記の構成によれば、差し込みしろが小さいことから、このような可能性を低減することができる。
【0029】
以上、本発明の第一実施形態について、図1から図3を参照して説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記実施形態では、水を加熱する給湯器にガスクーラ100を適用した例について説明した。しかしながら、ガスクーラ100の適用対象は給湯器に限定されず、流体同士の間で熱交換を行うための装置であれば、空気調和機等を含めていかなる装置にもガスクーラ100を適用することができる。
【0030】
[第二実施形態]
続いて、本発明の第二実施形態について、図4を参照して説明する。なお、上記第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図4に示すように、本実施形態に係るガスクーラ200では、複数の伝熱管2の傾斜角度θ、即ち第一軸線A1に対して伝熱管2の第二軸線A2がなす角度が互いに異なっている。以降の説明では、図4中に示された3つの伝熱管2のうち、第一軸線A1方向において最も一方側に位置する伝熱管2を第一伝熱管21と呼び、最も他方側に位置する伝熱管2を第三伝熱管23と呼び、両者の間に位置する伝熱管2を第二伝熱管22と呼ぶ。第一伝熱管21は第二軸線A21に沿って延びており、第二伝熱管22は第二軸線A22に沿って延びている。第三伝熱管23は第二軸線A23に沿って延びている。第二軸線A21が基準軸線Acに対してなす角度(傾斜角度θ)をθ1とし、第二軸線A22が基準軸線Acに対してなす角度(傾斜角度)をθ2とし、第三軸線が基準軸線Acに対してなす角度(傾斜角度)をθ3と呼ぶ。本実施形態では、これら傾斜角度θ1,θ2,θ3は以下の(1)式に示す関係を満たしている。
θ1<θ2<θ3 ・・・(1)
即ち、第一軸線A1方向他方側に位置する伝熱管2になるほど、傾斜角度θが大きくなっている。なお、図4の例では簡略化のため、3つの伝熱管2のみを図示しているが、4つ以上の伝熱管2を備えている場合であっても、上記(1)式に準ずる関係を満足するように各傾斜角度θが設定される。
【0031】
ここで、水はヘッダ本体11内(入口側ヘッダ1A内)を第一軸線A1方向他方側から一方側に向かって流れている。その中途で、水は複数の伝熱管2に順次流入する。即ち、第一軸線A1方向他方側に位置する伝熱管2ほど、高い流速の水が流入する。上記の構成によれば、第一軸線A1方向他方側に位置する伝熱管2になるほど傾斜角度θが大きいことから、高い流速の水を円滑に伝熱管2内に向かって導くことができる。即ち、水の流れに乱れが生じる可能性をさらに低減することができる。その結果、水の流れにおける剥離や渦が低減され、ヘッダ本体11、及び伝熱管2内における水の流速を均一化することができる。したがって、ガスクーラ200内部で潰蝕や孔蝕が発生する可能性が低減され、ガスクーラ200の耐久性をさらに向上させることができる。
【0032】
以上、本発明の第二実施形態について、図4を参照して説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記実施形態では、水を加熱する給湯器にガスクーラ200を適用した例について説明した。しかしながら、ガスクーラ200の適用対象は給湯器に限定されず、流体同士の間で熱交換を行うための装置であれば、空気調和機等を含めていかなる装置にもガスクーラ200を適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1…ヘッダ
2…伝熱管
3…ガス流通管
11…ヘッダ本体
12…導入部
13…バーリング部
14…排出部
15…差し込み穴
21…第一伝熱管
22…第二伝熱管
23…第三伝熱管
90…水熱交換器
100,200…ガスクーラ
1A…入口側ヘッダ
1B…出口側ヘッダ
A1…第一軸線
A2…第二軸線
A21…A第二軸線
A22…B第二軸線
A23…C第二軸線
Ac…基準軸線
θ…傾斜角度
図1
図2
図3
図4