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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】電子機器、商品識別方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20221226BHJP
【FI】
G06Q30/06 302
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018133297
(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公開番号】P2020013205
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】398058588
【氏名又は名称】Dynabook株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒井 隆宏
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-235478(JP,A)
【文献】特開2007-264891(JP,A)
【文献】特開2017-041216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラと、
前記カメラから出力された、複数の商品情報が掲載されている第1紙媒体の少なくとも一部に関する第1撮影信号に基づいて前記第1紙媒体を識別し、前記カメラから出力された、前記複数の商品情報の中の第1商品情報を少なくとも含む前記第1紙媒体内の一領域に関する第2撮影信号に基づいて前記第1商品情報を識別する識別手段と、
前記第1撮影信号又は前記第2撮影信号に基づいて前記第1紙媒体の画像を表示し、前記画像内で前記複数の商品情報を第1表示態様で表示する表示部と、を具備し、
前記識別手段は、
前記カメラと前記第1紙媒体との距離が所定値以下であり、かつ、前記第2撮影信号に含まれる前記第1商品情報の位置が前記第2撮影信号に対応する前記表示部の画面の中央である第1状態で所定時間が経過した場合、前記第1商品情報を選択し、前記表示部の画面の中央の前記第1商品情報に対応する商品を暫定注文リストに追加し、
前記所定時間が経過する前に前記カメラが前記第1紙媒体から前記所定値より離れた場合、前記表示部の画面の中央の前記第1商品情報に対応する商品を暫定注文リストに追加することなく、前記第1状態で前記所定時間が経過するか否かを判定し直す電子機器。
【請求項2】
前記識別手段は、複数の商品情報が掲載されている複数の第2紙媒体の夫々の第2特徴情報を記憶する第1メモリを具備し、
前記識別手段は、前記第1撮影信号から前記第1紙媒体の第1特徴情報を求め、前記第1特徴情報と前記第1メモリから読み出された前記複数の第2紙媒体の前記第2特徴情報とのパターンマッチングにより、前記複数の第2紙媒体の中で前記第1紙媒体に一致する1つの第2紙媒体を決定する請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記識別手段は、前記複数の第2紙媒体の夫々に掲載されている前記複数の商品情報の位置情報を記憶する第2メモリを具備し、
前記識別手段は、前記第2撮影信号に含まれる前記第1商品情報の位置と、前記第2メモリに記憶されている前記複数の第2紙媒体の中で前記第1紙媒体に一致する1つの第2紙媒体の前記複数の商品情報の位置情報とに基づき、前記第1商品情報を識別する請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記識別手段が識別した前記第1商品情報に関する第1商品をユーザに知らせる第1報知手段をさらに具備する請求項1乃至請求項のいずれか一項記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1報知手段は、テキストを表示する手段、音を発する手段又は振動手段を具備する請求項記載の電子機器。
【請求項6】
前記識別手段が前記第1紙媒体の識別に成功した場合、識別成功を前記ユーザに知らせる第2報知手段をさらに具備する請求項記載の電子機器。
【請求項7】
前記第2報知手段は、テキストを表示する手段、音を出力する手段又は振動手段を具備する請求項記載の電子機器。
【請求項8】
前記識別手段は、前記第1紙媒体の少なくとも一部に関する前記第1撮影信号に基づく前記第1紙媒体の識別に失敗した場合、前記カメラから出力された新たな第1撮影信号に基づいて、前記第1紙媒体の識別を繰り返す請求項1乃至請求のいずれか一記載の電子機器。
【請求項9】
前記第1紙媒体は、
異なる発行日を有し、夫々が複数ページからなる複数のカタログ、
異なる発行日を有し、夫々が表裏2ページからなる複数のチラシ、
異なる発行日を有し、夫々が単一ページからなる複数のチラシ、の少なくとも1つを含む請求項1乃至請求項のいずれか一項記載の電子機器。
【請求項10】
前記複数の商品情報は夫々対応する複数の商品を識別する複数の商品番号を含み、
前記複数の商品番号は前記第1紙媒体内の予め決められている位置に印刷されている請求項記載の電子機器。
【請求項11】
前記複数の商品情報は前記複数の商品の写真、名称及び価格をさらに含み、
前記複数の商品の写真、名称及び価格は前記第1紙媒体内の予め決められている位置に印刷されている請求項10記載の電子機器。
【請求項12】
前記表示部は、前記第1紙媒体が識別されると、前記第1紙媒体の画像及び前記複数の商品番号を枠で囲まれた第2表示態様で表示する請求項11記載の電子機器。
【請求項13】
前記表示部は、前記第1商品情報が識別されると、前記第1商品情報の商品番号を第3表示態様で表示する請求項11記載の電子機器。
【請求項14】
前記第3表示態様は、前記第1商品情報の商品番号を特定色の枠で囲まれた状態で表示するものである請求項13記載の電子機器。
【請求項15】
前記表示部は、前記第1商品情報が識別されると、前記第1商品情報の商品名と個数と合計金額をさらに表示する請求項14記載の電子機器。
【請求項16】
カメラにより複数の商品情報が掲載されている第1紙媒体の少なくとも一部を撮影して得られた第1撮影信号に基づいて、コンピュータが、前記第1紙媒体を識別することと、
前記コンピュータが、前記複数の商品情報の中の第1商品情報を少なくとも含む前記第1紙媒体内の一領域を撮影して得られた第2撮影信号に基づいて前記第1商品情報を識別することと、
前記コンピュータが、前記第1撮影信号又は前記第2撮影信号に基づいて前記第1紙媒体の画像を表示部において表示させ、前記画像内で前記複数の商品情報を第1表示態様で表示部により表示させることと、
前記カメラと前記第1紙媒体との距離が所定値以下であり、かつ、前記第2撮影信号に含まれる前記第1商品情報の位置が前記第2撮影信号に対応する前記表示部の画面の中央である第1状態で所定時間が経過した場合、前記コンピュータが、前記第1商品情報を選択し、前記表示部の画面の中央の前記第1商品情報に対応する商品を暫定注文リストに追加することと、
前記所定時間が経過する前に前記カメラが前記第1紙媒体から前記所定値より離れた場合、前記コンピュータが、前記表示部の画面の中央の前記第1商品情報に対応する商品を暫定注文リストに追加することなく、前記第1状態で前記所定時間が経過するか否かを判定し直すことと、を具備する商品識別方法。
【請求項17】
コンピュータにより実行されるプログラムであって、前記プログラムは前記コンピュータに、
カメラにより複数の商品情報が掲載されている第1紙媒体の少なくとも一部を撮影して得られた第1撮影信号に基づいて前記第1紙媒体を識別することと、
前記複数の商品情報の中の第1商品情報を少なくとも含む前記第1紙媒体内の一領域を撮影して得られた第2撮影信号に基づいて前記第1商品情報を識別することと、
表示部において、前記第1撮影信号又は前記第2撮影信号に基づいて前記第1紙媒体の画像を表示させ、前記画像内で前記複数の商品情報を第1表示態様で表示させることと、
前記カメラと前記第1紙媒体との距離が所定値以下であり、かつ、前記第2撮影信号に含まれる前記第1商品情報の位置が前記第2撮影信号に対応する前記表示部の画面の中央である第1状態で所定時間が経過した場合、前記第1商品情報を選択し、前記表示部の画面の中央の前記第1商品情報に対応する商品を暫定注文リストに追加することと、
前記所定時間が経過する前に前記カメラが前記第1紙媒体から前記所定値より離れた場合、前記表示部の画面の中央の前記第1商品情報に対応する商品を暫定注文リストに追加することなく、前記第1状態で前記所定時間が経過するか否かを判定し直すことと、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態はチラシ又はカタログ等に掲載されている商品を電子的に識別する電子機器、商品識別方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Webカタログ等の電子コンテンツ上の商品を電子的に注文するネットショッピングが盛んになっている。しかし、一覧性において、電子コンテンツよりチラシ又はカタログ等の紙媒体の方が優れているので、電子コンテンツよりチラシ又はカタログの方が訴求効果は高い。そのため、チラシ又はカタログに掲載されている商品を電子的に注文するシステムが検討されている。
【0003】
チラシ又はカタログに掲載されている商品の注文方法としては、購買者が注文用紙に購入したい商品の品番コードや個数を記入して販売者に提出する手段が従来からある。この場合、販売者は提出された注文用紙に対し光学的読み取り(OCR)技術等を利用して読み取りを行い、注文を電子的に受け付ける。しかし、読み取りミスによる注文失敗のリスクがある。また、販売者側で注文用紙を紛失するリスクもある。
【0004】
近年、電子システム上でユーザが直接入力する手段が充実されてきており、この手段であれば、上記のリスクを無くすことができる。電子コンテンツからの注文は当然ながら電子システム上で行うことが可能だが、チラシ又はカタログ等の商品の注文においても、スマートフォンのアプリケーションプログラムを用い、アプリケーションプログラムの画面上にテンキーを表示させ、テンキーから品番コードや個数を示す数字をキー入力して注文する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-227875号公報
【文献】米国特許第8896685号明細書
【文献】特開2017-041216号公報
【文献】特開2014-191600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
チラシ又はカタログ等に掲載されている商品を電子的に注文する手段として従来からある、テンキーによる品番コードや個数を入力する手段では、入力に煩わしさを感じるので、利便性を感じにくい課題がある。
本発明の目的はチラシ又はカタログ等に掲載されている商品を電子的に選択できる手段として、少ない動作かつ直感的な操作で選択可能な電子機器、商品識別方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態による電子機器は、カメラと、識別手段と、表示部とを具備する。前記表示部は、前記第1撮影信号又は前記第2撮影信号に基づいて前記第1紙媒体の画像を表示し、前記画像内で前記複数の商品情報を第1表示態様で表示する。前記識別手段は、前記カメラから出力された、複数の商品情報が掲載されている第1紙媒体の少なくとも一部に関する第1撮影信号に基づいて前記第1紙媒体を識別し、前記カメラから出力された、前記複数の商品情報の中の第1商品情報を少なくとも含む前記第1紙媒体内の一領域に関する第2撮影信号に基づいて前記第1商品情報を識別する。前記識別手段は、前記カメラと前記第1紙媒体との距離が所定値以下であり、かつ、前記第2撮影信号に含まれる前記第1商品情報の位置が前記第2撮影信号に対応する前記表示部の画面の中央である第1状態で所定時間が経過した場合、前記第1商品情報を選択し、前記表示部の画面の中央の前記第1商品情報に対応する商品を暫定注文リストに追加する。前記識別手段は、前記所定時間が経過する前に前記カメラが前記第1紙媒体から前記所定値より離れた場合、前記表示部の画面の中央の前記第1商品情報に対応する商品を暫定注文リストに追加することなく、前記第1状態で前記所定時間が経過するか否かを判定し直す
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態による注文システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図2】カタログ12のあるページの一例を示す図である。
図3】電子機器14の一例を示すブロック図である。
図4】第1辞書データ(特徴情報)の一例を示す図である。
図5】第2辞書データ(商品情報)の一例を示す図である。
図6】商品情報内の申込番号の印刷領域の一例を示す図である。
図7】カタログ識別処理の一例を示すフローチャートである。
図8】カタログ識別完了をユーザに知らせるためのユーザインターフェースの一例を示す図である。
図9】カタログ識別完了をユーザに知らせるためのユーザインターフェースの他の例を示す図である。
図10】商品識別処理の一例を示すフローチャートである。
図11】商品識別確定をユーザに知らせるためのユーザインターフェースの一例を示す図である。
図12】暫定注文リスト26Aの一例を示す図である。
図13】第2実施形態による商品識別時のユーザインターフェース画面の他の例を示す図である。
図14】第3実施形態による注文システムの概略構成の一例を示す図である。
図15】第4実施形態による注文システムの概略構成の一例を示す図である。
図16】第4実施形態による注文システムにおける商品識別処理の一例を示すフローチャートである。
図17】第5実施形態による注文システムの概略構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0010】
[注文システム構成]
図1は第1実施形態による注文システムの概略構成の一例を示すブロック図である。このシステムは、主に、ポータブルな電子機器14、カタログサーバ18及び注文サーバ20を含む。電子機器14は撮影機能と表示機能と通信機能等を備える。これらの機能を備える電子機器14の一例としてはスマートフォン、タブレット、グラス型ウェアラブル機器、カメラ機器等があるが、これらに限らず、撮影機能と表示機能と通信機能等を別個のデバイス、例えばカメラ、ディスプレイ、無線機器等により実現し、これらを無線又はケーブルで接続するシステムでも良い。また、電子機器14が通信機能を備えない場合、通信機能を備える機器、例えばパーソナルコンピュータに電子機器14を無線又はケーブルで接続してもよい。実施形態の一例では、表示機能を用いてガイダンス表示、操作完了表示、アラート表示等が行われるが、画面上でのテキスト表示に代えて、スピーカからの合成音声や電子音の出力、電子機器14の振動等により情報を出力する機能を設け、表示機能を省略しても良い。
【0011】
実施形態による注文システムはどのような業者のどのような商品の注文にも適用できるが、ここでは、紙媒体のカタログ12を会員に配って、注文を受けた商品を会員の自宅まで配送するスーパーマーケット、デパートの例を説明する。図1は1つの電子機器14しか示さないが、電子機器14は会員(以下、ユーザとも称する)毎に用意され、多数の電子機器14がネットワークに接続される。
【0012】
ユーザは電子機器14を用いてカタログ12を撮影すると、電子機器14は、撮影した画像に対して画像認識処理を行い、注文商品を決定することができる。画像処理の対象を求めるために実際に静止画を撮影しても良いが、実施形態では、カメラ機能をオンにしてライブビュー画像を表示し、その間に特定の条件が満たされると、その時表示されている1枚の画像が処理対象とされる。大量の商品を販売する業者の場合、カタログ12は、複数ページの冊子からなる。扱う商品は時間ともに変わっていくし、同じ商品でも価格が変わることがある。そのため、販売者は最新のカタログを随時(例えば、毎月曜日に)発行する。この場合、ユーザの手元には、異なる発行日の複数のカタログが存在する可能性がある。最新のカタログのみ有効であり、それ以外のカタログは有効期限が切れ、無効である。なお、カタログ12の代わりに、片面1ページあるいは両面2ページの1枚もののチラシが用いられても良い。以下、カタログ12はカタログとチラシの両方を意味するものとする。
【0013】
電子機器14が無線又はケーブルによりネットワーク16に接続される。販売者側のサーバの一例であるカタログサーバ18と注文サーバ20がネットワーク16に接続される。カタログサーバ18は、ユーザに配布されるカタログ12の各ページの画像の特徴情報を示す第1辞書データ22を格納するストレージと、カタログ12の各ページの各商品の商品情報を示す第2辞書データ24を格納するストレージを備える。特徴情報は画像のパターンマッチングが可能な情報であれば、何でも良い。例えば、特徴情報は、画像から抽出したエッジやコーナー等の特徴点を示す情報でも良い。
【0014】
なお、第1辞書データ22と第2辞書データ24は別々のストレージに格納されるのではなく、単一のストレージに格納されても良い。カタログサーバ18は、新しいカタログ12がユーザに配布されると、その都度、配布されたカタログ12の第1辞書データ22と第2辞書データ24を多数の電子機器14に配信する。ただし、第1辞書データ22と第2辞書データ24はともにページ毎のデータ構造を有する(第2辞書データ24はさらに商品毎のデータ構造も有する)ので、第1辞書データ22と第2辞書データ24を合体させて単一の辞書データとしても良い。
【0015】
注文サーバ20は各ユーザの注文状況を示す注文リスト26を格納するストレージを備える。カタログサーバ18と注文サーバ20とが別々のストレージを備えるのではなく、単一のストレージを共用してもよい。各ユーザの電子機器14からユーザ毎の注文リスト26が注文サーバ20に送信される。注文サーバ20は注文リスト26を受け取ると、決済処理をして、注文リスト26を商品発送サーバ(図示せず)に送信し、商品が発送される。なお、カタログサーバ18と注文サーバ20と商品発送サーバが別々のサーバからなるのではなく、いくつかのサーバが単一のサーバからなってもよい。
【0016】
[カタログ12の構成]
図2は、カタログ12のあるページの一例を示す。カタログは食料品に限らず、日用雑貨、衣料品等多岐に亘っていても良いし、分野毎に異なるカタログとしてもよい。ページの上には、発行日とページ番号が記載されている。発行日に加えて/代えて号数が記載されていても良い。また、分野毎に異なるカタログの場合は、余白に分野が記載されていても良い。図2は商品「パン」に関するページを示す。基本的に1ページはm(縦)×n(横)の区画を有し、1つの商品の商品情報が1つ又は複数の区画にほぼ割り当てられる。1ページの区画割は各ページで異なっていても良い。図2の例では、1ページは3行×3列の9個の区画を有し、1商品が1個又は2個の区画に割り当てられる。例えば、1行目の1列目の区画に酵母食パンの商品情報が印刷される。同様に、1行目の2、3列目の2個の区画にこだわりパニーニ、2行目の1列目の区画に食パン、2行目の2列目の区画にバケット、2、3行目の3列目の2個の区画にマーマレード、3行目の1列目の区画にクリームパン、3行目の2列目の区画にクロワッサンの商品情報が印刷される。
【0017】
商品情報は、商品を表す情報であれば、何でも良いが、写真、商品名、申込番号、価格、税込価格等からなることが多い。写真や価格、税込価格は必須ではなく、極端な場合、申込番号と商品名があれば良い。申込番号は商品毎に決められた所定の桁数のシリアル番号で良く、商品番号、品番とも称される。申込番号は目立つように、黒の下地に白で印刷されていても良い。商品の写真、商品名、価格等のサイズは商品毎に可変であるが、申込番号のサイズは全ての商品において統一しても良い。
【0018】
実施形態では、電子機器14をカタログ12にかざしてカタログ12のライブビュー画像を表示することにより、商品を注文することができる。先ず、カタログ12の少なくとも一部の画像情報を得て、第1辞書データとのパターンマッチングによりカタログ12の発行日、ページ等を識別する。その後、希望の商品が画面の中央に位置するようにカタログ12に対する電子機器14の位置を調整し、画面中央の商品が選択される。図2の例では、区画は矩形の形状であり、ページが区画でぴったり分けられているので、区画の中心を画面の中心に一致させると、希望の商品を画面の中心に簡単に合わせることができる。
【0019】
しかし、カタログの中には、商品情報が印刷される区画が矩形ではなく任意形状の区画で、形状や大きさも商品毎に異なり、商品の写真が他の写真とオーバーラップしている場合もある。このような場合、カタログ上の商品情報の何処あるいは何を画面の中心に合わせるかについての目安が無いと、希望の商品を選択し難い場合がある。そのため、実施形態では、申込番号が画面の中央に位置するように電子機器14をカタログ12にかざすことにより、注文商品の決定が行われるように構成されている。注文用紙に記入して販売者に提出する従来手法のカタログには申込番号は必須であるので、そのカタログをそのまま実施形態に利用すれば、カタログ12に本手法のための追加情報をわざわざ掲載する必要はない。
【0020】
なお、申込番号の代わりに、商品名、価格又は税込価格が画面の中心に位置するように電子機器14をカタログ12にかざしても良い。この場合、申込番号は記載されていなくても良い。
図2には図示していないが、商品の簡単な説明も商品情報に含めても良い。1つの商品情報のレイアウトも任意であり、商品毎に商品情報のレイアウトが異なっても良い。例えば、図2には示していないが、ある商品に関して、写真の上に商品名、価格、税込価格が印刷されても良いし、商品名、価格、税込価格の文字、数字のフォントサイズが揃っていなくても良い。商品毎に商品の品名、価格、税込価格の文字、数字のフォントサイズは異なっていても良い。
【0021】
[電子機器14の構成]
図3は電子機器14の一例を示すブロック図である。ここでは、電子機器14はスマートフォン又はタブレット(以下、スマートフォンと称する)からなる例を説明する。
電子機器14は、プロセッサ(CPU)を含むシステムコントローラ42を備える。主メモリ44、BIOS-ROM50、HDD又はSSDからなるストレージデバイス52、オーディオコーデック54、グラフィクスコントローラ62、タッチパネル70、USB(登録商標)コネクタ72、無線LANデバイス74、ブルートゥース(登録商標)デバイス76、カメラ78、バイブレータ80、メモリカードコントローラ82、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)84等がシステムコントローラ42に接続される。
【0022】
システムコントローラ42はストレージデバイス52から主メモリ44にロードされる様々なプログラムを実行する。これらプログラムは、オペレーティングシステム(OS)46、アプリケーションプログラムを含む。アプリケーションプログラムは、注文リスト作成プログラム48、注文リスト送信プログラム49を含む。システムコントローラ42は不揮発性メモリであるBIOS-ROM50に格納された基本入出力システム(BIOS)も実行する。BIOSはハードウェア制御のためのシステムプログラムである。
【0023】
オーディオコーデック54は、再生対象のデジタルのオーディオ信号をアナログのオーディオ信号に変換して、スピーカ60に供給する。また、オーディオコーデック54は、マイク56から入力されるアナログのオーディオ信号をデジタル信号に変換する。オーディオ信号は、確認・アラート等に関する合成音声や電子音を含む。
【0024】
グラフィックスコントローラ62は、電子機器14のディスプレイモニタとして使用されるLCD(液晶表示器)64を制御する。LCD64の画面上にタッチパネル(例えば静電容量式のタッチパネル)70が重ねられ、タッチパネル70は画面に指等が近接又は接触することを検出する。
【0025】
USBコネクタ72は、USBケーブルを介して外部機器に接続され、外部機器と電子機器14の間でデータが送受信される。外部機器として、IEEE802.3規格の有線LAN通信によりネットワーク16に接続される有線LANデバイス78を用いても良い。あるいは、外部機器の例としては、後述するバッテリ92を充電する又は電子機器14に電力を供給する電源装置もある。無線LANデバイス74は、ネットワーク22との接続のためにIEEE802.11規格の無線LAN通信を実行する。ブルートゥースデバイス76は、外部機器との接続のためにブルートゥース規格の無線通信を実行する。このように、電子機器14とネットワーク22との接続は無線通信によってもよいし、有線通信によってもよい。
【0026】
カメラ78は電子機器14のカメラ機能がオンの場合、被写体の画像情報を出力し、LCD64でライブビュー画像が表示される。
バイブレータ80は振動することにより、電子機器14のユーザに予め決められた情報を知らせることができる。バイブレータ80の振動周波数は可変であり、振動周波数を変えること又は振動回数を変えることに種々の情報を出力することができる。情報の例は、電子機器14でカタログ12を撮影して注文する際、注文準備が完了したことや注文が完了したこと等を含む。
【0027】
メモリカードコントローラ82は、記憶媒体、例えばSDカード(登録商標)等のメモリカードにデータを書き込み、メモリカードからデータを読み出す。
EC/KBC84は電力管理コントローラであり、ワンチップマイクロコンピュータとして実現されていても良い。EC/KBC84は、電源スイッチ86の操作に応じて電子機器14をパワーオン又はパワーオフする機能を有する。パワーオン及びパワーオフの制御は、EC/KBC84と電源回路90との協働動作によって実行される。EC/KBC84はオペレータ端末12がパワーオフされている期間中も、バッテリ92又はUSBコネクタ72を介する外部機器からの電力によって動作する。電源回路90は、バッテリ92からの電力又は外部機器からの電力を用いて、各コンポーネントへ供給すべき電力を生成する。
【0028】
[カタログ識別処理]
注文は、主にカタログ識別と商品識別の2つの処理を含む。なお、注文の前に本人認証が行われ、注文後に決済処理が行われるが、これらは本発明に直接関係しないので、これらの説明は省略する。
先ず、図4乃至図9を参照して、カタログ識別処理を説明する。カタログ識別処理はシステムコントローラ42が注文リスト作成プログラム48を実行することにより開始される。上述したように、カタログ12には発行日が異なる版があり、最新版以外の画像情報では注文できないようになっている。そのため、最新版のカタログ12であることを識別することが必要である。また、カタログ12は複数ページの場合もあるので、カタログ12のページを識別することも必要である。
【0029】
なお、電子機器14にはカタログサーバ18から最新版のカタログ12の第1辞書データ22と第2辞書データ24が配信され、これらのデータはストレージデバイス52に格納されているとする。配信された新しい辞書データは過去の辞書データに上書き(過去の辞書データが削除)され、現在有効である最新の辞書データのみが格納されても良いし、何号か前までの辞書データが別々に格納されても良い。
【0030】
第1辞書データ22の一例を図4に示す。第1辞書データ22は、発行日毎のページ毎の画像情報の特徴情報からなる。カタログサーバ18は、例えば各ページのカタログ12を撮影して得た各頁の画像情報からの特徴点を示す特徴情報を抽出し、第1辞書データ22を生成する。
【0031】
第2辞書データ24の一例を図5に示す。第2辞書データ24は、発行日毎のページ毎の商品毎の商品情報のリストからなる。カタログサーバ18は、各ページのカタログ12を発行する際、元となる電子データから第2辞書データ24を生成する。商品情報は、申込番号と、申込番号の印刷領域、商品名、価格、税込価格からなる。申込番号の印刷領域は、図6に示すように、ページの中心を原点とする2次元座標系における申込番号の印刷領域の左端、右端のx座標、上端、下端のy座標からなる。上述したように、申込番号の代わりに商品名、価格、税込価格を画面の中央に位置するように電子機器14をカタログ12にかざすことにより商品を選択する場合は、商品名、価格、税込価格の印刷領域の左端、右端のx座標、上端、下端のy座標が申込番号の印刷領域の代わりに第2辞書データ24に含まれても良い。さらに、上述したように、図2に示すように、ページが矩形の区画でぴったり分けられているようなカタログの場合、申込番号の代わりにカタログ上の商品区画の左右上下の端部の座標が第2辞書データ24に含まれても良い。
【0032】
図7のフローチャートを参照して、カタログ識別処理を説明する。
ブロック102で、ユーザは、カメラ42がカタログ12のあるページの少なくとも一部分を撮影するように電子機器14をカタログ12の上にかざすことにより、システムコントローラ42は、カタログ12のあるページの少なくとも一部分のライブビュー画像をLCD64で表示させる。
【0033】
ブロック104で、システムコントローラ42は、LCD46で表示されているライブビュー画像の画像情報を解析し、特徴点を抽出することにより、ライブビュー画像の特徴情報を求める。
ブロック106で、システムコントローラ42は、ライブビュー画像の特徴情報とストレージデバイス52に保存されている第1辞書データ22の各ページの特徴情報のパターンマッチングを行い、ライブビュー画像の特徴情報と一致する特徴情報を含む第1辞書データ22のページを探す。第1辞書データ22はページ全体の特徴情報を含んでいるが、ページの一部分のライブビュー画像の特徴情報とのパターンマッチングでも一致するページを探すことができる場合がある。例えば、ライブビュー画像の対象であるページの一部分の画像が1つのページにしか存在しない場合は、ページの一部分のライブビュー画像の特徴情報に基づくパターンマッチングによっても一致するページを探すことができる。これ以外の場合は、ページ全体のライブビュー画像の特徴情報が必要な場合がある。
【0034】
ブロック108で、システムコントローラ42は、パターンマッチングの結果、ライブビュー画像に一致する第1辞書データのページがあるか否か判定する。一致するページがあると判定された場合、ユーザが撮影しているカタログのページと当該一致するページがある、例えば、ユーザが撮影しているカタログのページは6月4日発行のカタログの1ページであると識別される。第1辞書データ22は最新号のカタログのみならず過去のカタログの特徴情報を含む場合もあるので、ブロック112で、システムコントローラ42は、一致するページが最新号のカタログのページであるか否か判定する。この判定によって、ユーザが過去のカタログを使って誤って注文しようとする誤操作を防ぐことができる。
【0035】
ブロック112で、一致するページが最新号のカタログのページでないと判定された場合、ブロック114で、システムコントローラ42は、「このカタログの有効期間は終了しています。最新のカタログを使ってやり直して下さい。」のようなカタログ取り替えガイダンステキストをLCD64で表示させる。システムコントローラ42は、ブロック114で、テキスト表示に加えて又はテキスト表示に代えて、ガイダンスメッセージの合成音声をスピーカ60から出力させる、所定の電子音をスピーカ60から出力させる、又は所定の周波数で所定回数バイブレータ80をオンし、電子機器14を所定の周波数で所定回数振動させても良い。
【0036】
ユーザがカタログを最新号のカタログに取り替えた後、ブロック102以下の処理が繰り返される。
ブロック112で、一致するページが最新号のカタログのページであると判定された場合、ブロック116で、システムコントローラ42は、一致するページ(例えば、6月4日発行のカタログの1ページ)を注文ページであると決定する。ブロック118で、カタログ識別完了(注文ページの決定)をユーザに知らせるために、システムコントローラ42は、所定の周波数で一定時間バイブレータ80をオンし、電子機器14を所定の周波数で一定時間振動させる、又はガイダンスメッセージ又は報知音をスピーカ60から出力させる。同様に、ブロック122でも、カタログ識別完了をユーザに認識させるために、システムコントローラ42は、図8又は図9に示すように、LCD64で表示されているカタログのライブビュー画像内の申込番号の印刷領域の縁及びライブビュー画像の縁に第1色(例えば、青色)の枠を表示させる。図8は、カメラ42がカタログ12のページの一部分を撮影する場合のLCD64の表示画像の一例を示す。図9は、カメラ42がカタログ12のページ全体を撮影する場合のLCD64の表示画像の一例を示す。この後、図10のフローチャートに示す商品識別処理に進む。なお、ブロック118とブロック122の順番はこの逆でも良い。
【0037】
ブロック108で、一致するページが無いと判断された場合、ブロック102以下の処理が繰り返される。
[商品識別処理]
図10は、図7のブロック122に後続する商品識別処理を示すフローチャートである。
ブロック132で、システムコントローラ42は、「購入したい商品の申込番号を画面の中央にしてスマートフォンをカタログから10cmほどの距離に近づけて下さい。」のような商品選択ガイダンステキストをLCD64で表示させる。システムコントローラ42は、ブロック132で、テキスト表示に加えて又はテキスト表示に代えて、ガイダンスメッセージの合成音声をスピーカ60から出力させる、所定の電子音をスピーカ60から出力させる、又は所定の周波数で所定回数バイブレータ80をオンし、電子機器14を所定の周波数で所定回数振動させても良い。
【0038】
システムコントローラ42は、ブロック106でパターンマッチングによりライブビュー画像と一致する第1辞書データのページを検出すると、その時点でカメラ78の撮影範囲の中心がカタログ12の何処に位置しているかが分かる。その後、カメラ78の構図が変わり、撮影範囲が変化しても、常に撮影範囲の中心がカタログ12の何処に位置しているかを追跡している。そのため、商品選択のためにいずれかの商品をアップで撮影するブロック134においても、システムコントローラ42は、申込番号の印刷領域が画面中央に位置するか否かを判定することができる。
【0039】
カタログ12上の申込番号の印刷領域のサイズは既知であるので、ライブビュー画像上の申込番号の印刷領域の表示サイズから、カタログ平面からの高さを算出できる。ブロック134では、購入したい商品の申込番号を画面の中央にして、電子機器14をカタログ12から10cm以下の距離に近づけたことが判定される。ここで、電子機器14とカタログ12との距離10cmは一例であり、他の任意の所定値でもよい。
【0040】
ブロック134で、購入したい商品の申込番号が画面の中央ではなく、電子機器14がカタログ12から10cm以下でもないことが判定されると、ブロック136で、システムコントローラ42は、検出中のカタログがライブビュー画面上で追跡されているか否か、すなわち撮影範囲の中心がカタログ12の何処に位置しているかが追跡されているか否かを判定する。追跡されている場合、ブロック134の処理が繰り返され、他の商品が選択可能である。追跡されてない場合、図7のブロック102に戻り、カタログ識別処理が繰り返される。
【0041】
購入したい商品の申込番号を画面の中央に位置するようにして電子機器14をカタログ12から10cm以下の距離に近づけると、ブロック134の判定結果がイエスとなり、ブロック138で、システムコントローラ42は、商品選択をユーザに知らせるために、所定の周波数でバイブレータ80を一定時間あるいは所定回数オンし、電子機器14を所定の周波数で一定時間あるいは所定回数振動させる又は報知音をスピーカ60から出力させる。システムコントローラ42は、ブロック138で、報知音に加えて又は報知音に代えて、ガイダンスメッセージの合成音声をスピーカ60から出力させても良い。
【0042】
システムコントローラ42は、ブロック140で、この状態でかつカメラ78の撮影構図が大きく変わらないよう静止させた状態で一定時間(例えば、0.5秒)が経過したか否か判定する。ブロック140の判定結果がノーの場合、すなわち一定時間が経過していない場合、システムコントローラ42は、カメラ78がカタログ12から10cmより離れたかを判定する。カメラ78がカタログ12から10cmより離れていない場合、ブロック140の判定が繰り返される。カメラ78がカタログ12から一旦10cmより離れた場合、処理はブロック134に戻り、上述の商品識別処理が繰り返され、他の商品が選択可能である。ブロック140で一定時間の経過を判定するのは、ユーザが意図しない商品を選択した場合、その商品を注文しないようにするためである。一定時間が経過するまでは選択が確定しないようになっており、この間に申込番号枠を画面から外し、意図しない商品の注文を避けることができる。
【0043】
ブロック140で一定時間が経過したことが判定されると、ブロック142で、システムコントローラ42は、画面中央に位置している申込番号に対応する商品を暫定注文リスト26A(後述する)に追加する。暫定注文リストはストレージデバイス52に保存される。ブロック144で、システムコントローラ42は、商品選択の確定、すなわち商品識別完了をユーザに知らせるために、画面中央に表示されている申込番号の印刷領域の縁及びライブビュー画像の縁の枠の色を第2色(例えば、赤色)に変え、注文商品名と合計金額をLCD64で表示させる。この時のLCD64の表示の一例を図11の斜線部に示す。中央の申込番号006の商品が選択されると、「申込番号006のクロワッサンを注文リストに入れました」のようなテキストがカタログ画面の一番下の行に表示され、「計613円」のような合計金額がカタログ画面の一番上の行の右端に表示される。
【0044】
なお、商品を暫定注文リストに追加した後、図7に示すカタログ識別処理が再び行われる場合、注文済みの商品については、図7のブロック122でライブビュー画像内の申込番号の印刷領域の縁に表示される枠の色は、注文済みを示す第2色である。
ブロック146でも、システムコントローラ42は、商品選択の確定をユーザに知らせるために、所定の周波数でバイブレータ80を一定期間あるいは所定回数オンし、電子機器14を所定の周波数で一定期間あるいは所定回数振動させる又は報知音をスピーカ60から出力させる。システムコントローラ42は、ブロック146で、報知音に加えて又は報知音に代えて、ガイダンスメッセージの合成音声をスピーカ60から出力させても良い。
【0045】
ブロック148で、システムコントローラ42は、カメラ78がカタログ12から10cmより離れたかを判定する。一旦カメラ78がカタログ12から離れた後は、処理はブロック134に戻り、上述の商品識別処理が繰り返され、他の商品が選択される。なお、同じ商品を2個以上注文したい場合は、上述した商品識別処理が同じ商品に関して繰り返されれば良い。カメラ78がカタログ12から10cmより離れない場合、処理は終了する。
【0046】
なお、購入したい商品の申込番号を画面の中央に位置する際の目安として、画面の中央に所定サイズの枠を表示し、その枠と申込番号の印刷領域が合致するように電子機器14を動かしても良い。
[注文確定処理]
図12はストレージデバイス52に記憶されている暫定注文リスト26Aの一例を示す。この実施形態では、暫定注文リスト26Aが作成されても、自動的に注文が確定し、注文が販売者に送信されるものではない。カタログ12が更新される前まで暫定注文リスト26Aの変更(追加、削除等)が可能である。
【0047】
注文リスト送信プログラム49を実行すると、図12に示すような暫定注文リスト26A(発行日とページは削除され、代わりに個数の右に+ボタンと-ボタンが追加される)を表示しても良い。暫定注文リスト26Aが画面に収まらない場合はスクロールされる。+ボタンと-ボタンをタッチすることにより、新たな注文の前に現在の注文個数や注文商品を変更することができる。個数を0にすることにより、その商品の注文自体をキャンセルすることができる。
【0048】
暫定注文リスト26Aの送信(注文確定)のために、図12に示すような暫定注文リスト26Aが表示され、ユーザが注文確定操作をすると、暫定注文リスト26Aが注文サーバ20に送信され、確定した注文リスト26とされるように構成されても良い。なお、ユーザによる注文確定操作を必要とせず、所定の期日になったら自動的に注文が確定されるように構成されても良い。
【0049】
実施形態によれば、電子機器14が備えるカメラ78のカメラフレーム内にカタログ12の少なくとも一部を配すると、カメラ78から得られたカタログのライブビュー画像に基づいてカタログ12が識別される。電子機器14は、カタログ12の各ページに掲載される商品の位置情報を示す商品情報を格納する第2辞書データ24を記憶している。カタログ12が識別されると、電子機器14は、カメラ78の撮影範囲の中心がカタログ12の何処に位置しているかが分かる。その後、カメラ78の撮影範囲の中心に購入したい商品を配すると、カメラ78から得られたカタログのライブビュー画像に基づいて商品を識別することができる。
【0050】
このため、電子機器14をカタログ12にかざすだけで、商品選択、すなわち注文ができる。カタログ12という紙媒体に掲載されている商品を少ない動作かつ直感的な操作で電子的に選択することができる。
[他の実施形態]
第1実施形態では、商品識別時は図11に示すように、カタログ画像の上端及び/又は下端に合計金額と選択した商品名が表示される、すなわち選択結果のみが表示される。そして、注文の変更は別のユーザインターフェースで行われる。また、商品を複数個選択するためには、同じ動作を繰り返す必要がある。
【0051】
図13は、第2実施形態における商品識別時のユーザインターフェース画面の例を示す。図13では、図11に示す情報に加えて図12に示すような暫定注文リスト26A(発行日とページは削除され、代わりに個数の右に+ボタンと-ボタンが追加される)が画像の上にオーバーラップして表示される。暫定注文リスト26Aの視認を妨害しないように、カタログ画像は低輝度で表示される。あるいは、カタログ画像の表示は停止して、暫定注文リスト26Aのみを表示しても良い。この状態で、+ボタンをタッチすることにより、注文直後に注文個数を増やすこと又は他の商品を選択することができる。あるいは、-ボタンをタッチすることにより個数を0にすると、その商品の注文自体をキャンセルすることができる。
【0052】
図13は、ブロック116で一致するページを決定した後、一致したページに対応する暫定注文リスト26Aが表示され、暫定注文リスト26A上で+ボタンをタッチすることにより、食パンを追加選択した例を示す。食パンの選択時にも、図10のブロック146と同様に、振動、音の出力により商品の選択をユーザに知らせてもよい。
【0053】
なお、図13はライブビュー画像に基づいて1つの商品を選択した後のユーザインターフェース画面の他の例であるが、カタログ12の識別後、1つの商品も選択していない時に、図13のようなユーザインターフェース画面(この場合、全ての商品の個数は0である)を表示させても良い。ライブビュー画像はカタログの識別のために用いられるが、商品識別のためには用いられず、商品識別は全て暫定注文リスト上で+ボタン、-ボタンをタッチすることにより行っても良い。
【0054】
第1、第2実施形態では、電子機器14は撮影機能と表示機能と通信機能を備えるスマートフォンとしたが、他の電子機器を用いた実施形態を図14に示す。
図14は、撮影機能と通信機能を備えるが、表示機能は備えない電子機器としてペン型カメラ402を用いる第3実施形態を示す。ペン型カメラ402の電気的な構成は図3に示したブロック回路図と略同じであるが、LCD64、グラフィクスコントローラ62、タッチパネル70を備えない点が異なる。ペン型カメラ402は無線又はケーブルによりタッチパネル機能を有する外部ディスプレイ404に接続されても良い。図14の実施形態は表示部が電子機器とは別体であるだけで、第1、第2実施形態と動作は同じである。
【0055】
すなわち、先ず、図14(a)に示すようにカタログ12のページ全体あるいは一部をペン型カメラ402で撮影すると、カタログ12が識別される。その後、図14(b)に示すように、購入したい商品の申込番号を画面の中央に位置するようにカタログ12のページの一部をペン型カメラ402で撮影すると、商品が識別され、注文決定テキストが外部ディスプレイ404で表示される。注文確定のための暫定注文リストも外部ディスプレイ404で表示される。
【0056】
なお、ペン型カメラ402はバイブレータ80、スピーカ60を備えるので、振動及び/又は音の発生により、カタログ識別完了、商品識別完了、アラート等の状況をユーザに伝えることができるので、外部ディスプレイ404は必須ではなく、ペン型カメラ402のみからなるシステムでも良い。ライブビュー画像が無いと、ペン型カメラ402の撮影範囲が判り難い場合があるが、全体を撮影する又は商品をアップで撮影する際のペン型カメラ402とカタログの距離が既知であるので、その距離に基づいて撮影範囲を認識することができる。
【0057】
さらに、電子機器14として、撮影機能と表示機能と通信機能を備えるメガネ型ウェアラブル機器を用いても良い。メガネ型ウェアラブル機器は、スマートフォンと形態・外観は異なるが、撮影機能、表示機能、通信機能を備えるので、上述の実施形態と動作は同じである。
【0058】
メガネ型ウェアラブル機器のハンズフリー機能を利用すると、上述した動作とは異なる動作も可能である。図15図16を参照して、上述の商品識別とは異なる商品識別を実施する第4実施形態を説明する。
図15(a)に示すように、電子機器としてメガネ型のウェアラブル機器412を用いても良い。メガネ型のウェアラブル機器412は、テンプルにカメラ414を備え、視線上に表示部416を備え、通信機能も有する。カメラ414は第1実施形態のカメラ78と等価であり、表示部416は第1実施形態のLCD64と等価である。第1実施形態と同様に、カメラ414を用いてカタログ12のあるページの少なくとも一部のライブビュー画像を得て、カタログ12を識別する。カタログ識別処理のフローチャートは図7に示す第1実施形態と同じである。
【0059】
図16のフローチャートを参照して第4実施形態の商品識別処理を説明する。ウェアラブル機器412を装着したユーザがカタログ12を視野に入れるだけで、カメラ414はカタログ12のライブビュー画像を出力する。第1実施形態と同様に、カメラ414を用いてカタログ12のあるページの少なくとも一部のライブビュー画像を得て、カタログ12を識別する。カタログ識別処理のフローチャートは図7に示す第1実施形態と同じである。
【0060】
カタログ12の識別が完了(図7のブロック122)すると、ブロック302で、システムコントローラ42は、識別したカタログ画像を第1画像として主メモリ44に書き込む。ブロック304で、システムコントローラ42は、「購入したい商品を指差して下さい。」のような商品選択ガイダンステキストを表示部416で表示させる。ウェアラブル機器412がスピーカを備えている場合、システムコントローラ42は、ブロック304で、テキスト表示に加えて又はテキスト表示に代えて、ガイダンスメッセージの合成音声をスピーカから出力させる、所定の電子音をスピーカから出力させても良い。
【0061】
システム306で、システムコントローラ42は、カタログ12のライブビュー画像(第2画像)と主メモリ44から読み出した第1画像とを比較する。
システムコントローラ42は、システム306で、カタログ12のライブビュー画像(第2画像)と主メモリ44から読み出した第1画像とを比較し、システム308で、時間差のある第1画像と第2画像に差分があるか否か判定する。差分が無い場合、処理はブロック306に戻る。ブロック304で表示される商品選択ガイダンステキストに従って、図15(b)に示すように、購入したい商品をユーザが指218で指差すと、第1画像と第2画像に差分が生じる。
【0062】
第1画像と第2画像に差分がある場合、ブロック312で、システムコントローラ42は、第2画像内の差分箇所に最も近い位置の申込番号を検索し、当該申込番号に対応する商品を暫定注文リスト26Aに追加する。
ブロック314で、システムコントローラ42は、商品選択の確定、すなわち商品識別完了をユーザに知らせるために、申込番号の印刷領域の縁及びライブビュー画像の縁の枠の色を第2色(例えば、赤色)に変え、注文決定テキストと合計金額をLCD64で表示させる。
【0063】
ブロック316で、システムコントローラ42は、カメラ78がカタログ12から10cmより離れたかを判定する。一旦カメラ78がカタログ12から離れた後は、処理はブロック306に戻り、上述の商品識別処理が繰り返され、他の商品が選択される。なお、同じ商品を2個以上注文したい場合は、上述した商品識別処理が同じ商品に関して繰り返されれば良い。カメラ78がカタログ12から10cmより離れない場合、処理は終了する。
【0064】
図17は、ウェアラブル機器412を利用する第5実施形態の商品識別処理を説明するための図である。図17(a)はカタログ識別処理を示す図であり、カタログ識別処理は、図17(a)に示す第4実施形態と同じである。第4実施形態の商品識別処理は、ブロック308に示すように、時間差のある第1画像と第2画像に差分が検出されるまで、商品を指差している必要がある。第5実施形態は、指差しの代わりに、図17(b)に示すように、カタログ12上の購入したい商品をサインペン等で印(形状・大きさ・色は何でも良い)をつけることが要求される。印は単一の商品に限らず、複数の商品につけても良い。印をつける間、ユーザはウェアラブル機器412を装着していても、装着していなくても良い。
【0065】
図17(c)に示すように、購入したい商品にサインペン等で印がつけられたカタログ12をカメラ414の視野に入れると、第4実施形態と同様に、サインペン等で印がつけられる前のカタログ識別時のカタログの第1画像と、印がつけられた後のカタログの第2画像との差分に基づいて商品が選択される。第5実施形態では、複数の商品が同時に選択されることも可能である。
【0066】
なお、第5実施形態はメガネ型ウェアラブル機器に限らず、スマートフォン、ペン型カメラ等の電子機器を用いても実現可能である。
上述の実施形態では、ユーザが電子機器を用いて紙媒体であるカタログのあるページの少なくとも一部の画像情報を電子機器に取り込みカタログを識別し、次に、ユーザが電子機器を用いてそのページ内の購入したい商品を再び撮影して商品を識別する。しかし、再撮影は紙媒体のカタログを対象とするのではなく、電子機器が取り込んだ画像情報をユーザがディスプレイに表示させ、画面上のカタログ画像内の購入したい商品を撮影して商品を識別するように構成しても良い。さらに、カタログを識別するためにユーザが電子機器を用いて紙媒体であるカタログを撮影する代わりに、販売者がカタログの画像情報をユーザに提供し、ディスプレイに表示されたカタログ画像をユーザが撮影しても良い。
【0067】
本実施形態による処理はコンピュータプログラムによって実現することができるので、このコンピュータプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じてこのコンピュータプログラムをコンピュータにインストールして実行するだけで、本実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。
【0068】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0069】
12…カタログ、14…電子機器、16…ネットワーク、18…カタログサーバ、20…注文サーバ、22…第1辞書データ(特徴情報)、24…第2辞書データ(商品情報)、26…注文リスト。
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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図11
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