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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】光学的測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/89 20060101AFI20221226BHJP
   G01N 21/3559 20140101ALI20221226BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
G01N21/89 Z
G01N21/3559
G01N21/27 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018229155
(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公開番号】P2020091225
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000133526
【氏名又は名称】株式会社チノー
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】深山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】寺田 大亮
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 隆介
【審査官】赤木 貴則
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-044729(JP,A)
【文献】特開2013-061175(JP,A)
【文献】特開2006-226709(JP,A)
【文献】特開2013-107347(JP,A)
【文献】特開2000-266526(JP,A)
【文献】特開2003-139702(JP,A)
【文献】特開2014-041115(JP,A)
【文献】国際公開第2010/113987(WO,A1)
【文献】特開平11-237377(JP,A)
【文献】特開平09-269296(JP,A)
【文献】特開平06-034533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
G01N 21/84-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
G01J 3/00-G01J 4/04
G01J 7/00-G01J 9/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定速度または所定間隔で搬送される測定対象の成分を測定する光学的測定装置であって、
前記測定対象に該測定対象の吸収ピークの波長を含む異なる複数の波長を有する光を照射する光源部と、
前記測定対象側に配置される複数のレンズで構成され、前記光源部から照射された光のうち前記測定対象の搬送方向と直交する当該測定対象の幅方向表面の複数の位置からの光を前記複数のレンズで集光する第1レンズと、
前記第1レンズにて集光された光を、前記測定対象の吸収ピークの波長を含む異なる複数の波長の光に分光する複数のバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタにて分光された前記異なる複数の波長の光を同時に検出する1本のラインセンサと、
前記第1レンズと前記バンドパスフィルタとの間に複数配置され、前記ラインセンサの検出面上で複数の像が互いに重ならないように、前記第1レンズにて集光した光を、前記バンドパスフィルタを介して前記ラインセンサの検出面に同時に結像させる第2レンズと、
前記測定対象ごとの標準物質の成分と測定値との関係を示す検量線を記憶する記憶部と、
前記ラインセンサにて前記異なる複数の波長の光に分光して検出された光の測定値と前記記憶部に記憶された検量線に基づき、前記複数の位置の波長ごとの成分を測定する測定部とを備えたことを特徴とする光学的測定装置。
【請求項2】
前記第1レンズに代えて鏡を用いることを特徴とする請求項に記載の光学的測定装置。
【請求項3】
前記光源部は、棒状の光源、ランプ、LEDの何れかを複数並べた光源であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学的測定装置。
【請求項4】
前記光源部は、照射面を均一にするための拡散板を備えたことを特徴とする請求項に記載の光学的測定装置。
【請求項5】
前記光源部は、前記照射面に光を効率よく与えるための高反射率の反射体を備えたことを特徴とする請求項に記載の光学的測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば生産ライン上を搬送される紙、シート、フィルムなどを測定対象として、水分、厚さ、塗工量などの成分を測定する光学的測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば工場などの生産ラインでは、ライン上を搬送される測定対象の成分(例えば紙、シート、フィルムなどの水分、厚さ、塗工量など)の測定を広範囲で行う手法の一つとしてトラバースシステムが従来より利用されている。
【0003】
トラバースシステムでは、ライン上を搬送される測定対象に対し、測定機を測定対象の上で測定対象の搬送方向と直交する方向に所定速度で移動させることにより広範囲の成分測定を可能にしている。
【0004】
従来、この種のトラバースシステムを採用した測定装置としては、例えば下記特許文献1に開示される測定装置が知られている。この特許文献1に開示される測定装置では、ラミネートフィルムを測定対象とし、搬送されるラミネートフィルムの幅方向に対し、ラミネートフィルムより広幅に非接触式厚み検知センサーを定速で往復運動させる。これにより、ラミネートフィルムの斜め方向に対し、非接触式厚みセンサーをジグザグにトラバースして走査を行い、ラミネートフィルムの幅方向の厚みを測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-181905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トラバースシステムは、図6に示すように、測定機21を測定対象Wの幅方向に走査することで測定を行う。測定対象Wの幅方向の成分分布を測定することが目的のため、測定範囲は測定対象Wの幅方向の端から端までである。測定対象Wのフィルムが送られると、走査中に測定対象Wが動くことになり、測定領域(図6中の丸で囲む領域)が点線で示すように幅方向から斜め方向になる。測定領域が斜め方向になると測定不可領域(図6中の斜線で囲む領域)が発生し、トラバース速度とフィルム送り速度の間に大きな差があると、測定不可領域は大きくなる。また、フィルム送り速度が速くなっても、トラバースシステムはフィルムの幅方向の端から端まで走査し続けるため、測定範囲は変わらず、測定不可領域だけが大きくなっていく。
【0007】
このように、上述した特許文献1に開示されるトラバースシステムを採用した従来の測定装置では、測定対象の斜め方向に対し、測定機(非接触式厚みセンサー)をジグザグにトラバースして走査を行うので、測定対象の搬送方向と直交する方向の複数箇所の測定を同時に行うことができなかった。しかも、測定対象を搬送する送り速度とトラバースシステムの測定機の移動速度との間に大きな差があると、測定できない測定不可領域が大きくなってしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、測定不可領域を小さくして広範囲で測定対象の測定を行うことができる光学的測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載された光学的測定装置は、所定速度または所定間隔で搬送される測定対象の成分を測定する光学的測定装置であって、
前記測定対象に該測定対象の吸収ピークの波長を含む異なる複数の波長を有する光を照射する光源部と、
前記測定対象側に配置される複数のレンズで構成され、前記光源部から照射された光のうち前記測定対象の搬送方向と直交する当該測定対象の幅方向表面の複数の位置からの光を前記複数のレンズで集光する第1レンズと、
前記第1レンズにて集光された光を、前記測定対象の吸収ピークの波長を含む異なる複数の波長の光に分光する複数のバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタにて分光された前記異なる複数の波長の光を同時に検出する1本のラインセンサと、
前記第1レンズと前記バンドパスフィルタとの間に複数配置され、前記ラインセンサの検出面上で複数の像が互いに重ならないように、前記第1レンズにて集光した光を、前記バンドパスフィルタを介して前記ラインセンサの検出面に同時に結像させる第2レンズと、
前記測定対象ごとの標準物質の成分と測定値との関係を示す検量線を記憶する記憶部と、
前記ラインセンサにて前記異なる複数の波長の光に分光して検出された光の測定値と前記記憶部に記憶された検量線に基づき、前記複数の位置の波長ごとの成分を測定する測定部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項に記載された光学的測定装置は、前記第1レンズに代えて鏡を用いることを特徴とする。
【0012】
請求項に記載された光学的測定装置は、請求項1または2の光学的測定装置において、
前記光源部は、棒状の光源、ランプ、LEDの何れかを複数並べた光源であることを特徴とする。
【0013】
請求項に記載された光学的測定装置は、請求項の光学的測定装置において、
前記光源部は、照射面を均一にするための拡散板を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項に記載された光学的測定装置は、請求項の光学的測定装置において、
前記光源部は、前記照射面に光を効率よく与えるための高反射率の反射体を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、測定対象の搬送方向と直交する方向の複数箇所における成分の測定を同時に行うことができる。これにより、従来のトラバースシステムと比較して、測定不可領域を小さくでき、より広範囲の測定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)本発明に係る光学的測定装置の概略構成を示す図、(b)光源部の概略断面図である。
図2】本発明に係る光学的測定装置で反射光を測定する場合の概略図である。
図3】本発明に係る光学的測定装置の検出部の他の構成を示す概略斜視図である。
図4】本発明に係る光学的測定装置に用いられる検量線の一例を示す図である。
図5】ポリエチレンフィルムの分光スペクトルを示す図である。
図6】トラバースシステムの測定概要の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
[本発明の概要について]
物体は特定の波長において固有の吸収ピークをもつことが知られている。図5はポリエチレンフィルムが厚み50μmの時と厚み100μmの時でそれぞれ測定した分光スペクトルを示す。図5において、横軸は波長、縦軸は吸光度である。
【0019】
ここで、吸光度とは、分光法において、ある物体に光を通した際、光の強度がどの程度弱まるかを示す無次元量である。例えばポリエチレンフィルムは2300nmに一つのピークがある。これは、ポリエチレンフィルムが2300nmの波長の光を吸収し、弱めていることを示す。また、図5に示すように、ポリエチレンフィルムが厚み100μmの時の吸光度は厚み50μmの時の2倍の値となっている。これにより、吸光度は濃度と光路長に比例して大きくなることが分かる。
【0020】
ここで、測定対象の基準となる物質の成分(例えば厚み、濃度など)と吸光度との関係を示す検量線を用いれば、吸光度を測定することで測定対象の成分(例えば厚み、濃度など)を測定することができる。
【0021】
また、参照波長として、測定対象の吸収ピークに近く、かつ対象の成分の吸収がない波長(例えば2100nm)を同時に測定し、演算することにより、測定対象の吸収ピーク以外の要因による強度変化を補正することができ、測定精度が向上する。
【0022】
そこで、本発明では、例えば900~2550nmの波長に対応した1本のラインセンサに対し、レンズとバンドパスフィルタを複数取り付けた複眼型の光学系を備えた構成により、測定対象の広範囲の成分分布を同時に測定することを可能にした。
【0023】
[光学的測定装置の構成について]
本発明に係る光学的測定装置は、例えば工場などの生産ラインに好適に採用され、ライン上を所定速度/所定間隔で搬送される紙、シート、フィルムなどを測定対象とし、水分、厚さ、塗工量などの成分の測定を広範囲で行う機能を有する。
【0024】
そして、図1(a)に示すように、本実施の形態の光学的測定装置1は、上記機能を実現するため、光源部2、検出部3、記憶部4、測定部5、表示部6を備えて概略構成される。
【0025】
光源部2は、図1(a),(b)に示すように、測定対象Wに対して、吸収ピークの波長を含む異なる複数の波長を有する光を直線状に照射する光源2aを備えた線状光源ユニットで構成される。光源部2は、例えば棒状のハロゲンヒーターが用いられる。測定対象Wと対面する光源部2の照射面には、光量ムラを抑制するための光拡散板2bを含む拡散部材などが配置される。また、光源部2には、光を照射面に効率よく与えるための反射板2cが光源を挟んで光拡散板2bの反対側に配置される。なお、光源部2としては、棒状の光源、ランプ、LED(発光ダイオード)の何れかを複数並べた光源を用いることができる。
【0026】
光源部2は、光学的測定装置1で反射光を測定する場合、図2に示すように、測定エリアを照らすように、片側または両側に設置される。図2では、光源部2を測定エリアの両側に設置した場合を図示している。
【0027】
検出部3は、測定対象Wの搬送方向と直交する測定対象Wの幅方向X表面の複数の位置P1,P2,…,Pnからの光を、測定対象Wの吸収ピークの波長を含む異なる複数の波長に分光して検出するもので、光学レンズ11、バンドパスフィルタ12、ラインセンサ13を備える。以下では、異なる複数の波長として、測定対象Wの吸収ピークの測定波長λ1と測定対象Wの吸収ピークに近い参照波長λ2の2つ波長を例にとって説明する。
【0028】
光学レンズ11は、測定対象Wからの光をラインセンサ13の検出面に結像させるもので、第1レンズ11Aと第2レンズ11Bから構成される。なお、図1では、第1レンズ11Aと第2レンズ11Bを簡易的に1枚のレンズで表現している。
【0029】
第1レンズ11Aは、測定対象W側に配置され、1枚もしくは複数枚のレンズで構成される。なお、測定視野を広くし、収差を無い結像を可能とするためには、例えば1枚の凸レンズと1枚の凹レンズを組み合わせたダブレットレンズを複数群用いて第1レンズ11Aを構成するのが好ましい。第1レンズ11Aは、図1に示すように、測定対象Wの搬送方向(図1の紙面の奥行き方向)と直交する測定対象Wの幅方向X表面の複数の位置P1,P2,…,Pnからの光を集光する。
【0030】
第2レンズ11Bは、第1レンズ11Aと同様に、1枚もしくは複数枚のレンズで構成される。なお、収差を無い結像を可能とするためには、例えば1枚の凸レンズと1枚の凹レンズを組み合わせた第1レンズ11Aと同様のダブレットレンズを複数群用いて第2レンズ11Bを構成するのが好ましい。第2レンズ11Bは、第1レンズ11Aとバンドパスフィルタ12との間に複数(図1の例では2つ)配置され、ラインセンサ13上で複数の像が互いに重ならないように、第1レンズ11Aにて集光された複数の位置P1,P2,…,Pnからの光を、バンドパスフィルタ12を介してラインセンサ2Cの検出面に同時に結像させる。
【0031】
なお、第2レンズ11Bは、1枚の凸レンズを2枚の凹レンズで挟み込んだトリプレットレンズを用いることもできる。また、図1では、第2レンズ11Bが2つの場合を図示したが、第2レンズ11Bとバンドパスフィルタ12の数を増やせば、第2レンズ11Bとバンドパスフィルタ12の数だけ波長を分けて測定することができる。さらに、測定視野が十分な場合には、第1レンズ11Aを省く構成としてもよい。
【0032】
また、図3に示すように、検出部3において視野角を広くするために用いられた第1レンズ11Aを二枚のミラー11C,11Dに置き換えた光学系で構成することもできる。図3において、第1ミラー11Cは、例えば凸面ミラーからなり、光源部2から照射され測定対象Wを透過、もしくは反射してきた光を集め平行光に変換した上で、第2ミラー11Dへ導く。第2ミラー11Dは、例えば平面ミラーからなり、第2レンズ11Bへと平行光を導く。
【0033】
なお、図3では、第1ミラー11Cとして凸面ミラー、第2ミラー11Dとして平面ミラーを用いた例を示すが、球面ミラーや放物線ミラーを用いてもよい。また、図3では、第1レンズ11Aの代わりにミラーを二枚用いた例を示したが、ミラーは一枚でも三枚以上でもよく、第1レンズ11Aとミラーを組み合わせた系としてもよい。
【0034】
バンドパスフィルタ12は、光学レンズ11とラインセンサ13との間に配置され、光学レンズ11にてラインセンサ13の検出面に同時に結像される複数の位置P1,P2,…,Pnからの光を測定波長λ1と参照波長λ2に分けて通過させる。
【0035】
ラインセンサ13は、バンドパスフィルタ12の後段に配置され、バンドパスフィルタ12を通過して測定波長λ1と参照波長λ2に分光された複数の位置P1,P2,…,Pnからの光を同時に受光検出する。ラインセンサ13は、例えば900~2550nmの近赤外光の波長に対応しており、受光領域を測定する波長の数で分割して用いる。ここでは、測定する波長の数が2つ(測定波長λ1,参照波長λ2)なので、受光領域を2分割して用い、複数の位置P1,P2,…,Pnから光学レンズ11(第1レンズ11A,第2レンズ11B)を介してバンドパスフィルタ12を通過した測定波長λ1の光と参照波長λ2の光を同時に検出する。
【0036】
記憶部4は、測定対象Wごとの検量線を記憶する。検量線は、予め測定により成分(例えば水分、厚さ、塗工量など)に対する測定値(例えば図4の黒丸で示す濃度に対する吸光度比)が判っている測定対象Wごとの標準物質の成分と測定値との関係を直線近似したものである。なお、測定値は、上述した吸光度比の他、光の強度、透過率、反射率などを含む。
【0037】
測定部5は、検出部3にて分光検出した複数の位置P1,P2,…,Pnからの測定波長λ1,参照波長λ2の光の強度I1,I2の比R(=I1/I2)に対して記憶部4に記憶された検量線に基づき、複数の位置P1,P2,…,Pnの成分(例えば水分、厚さ、塗工量など)を測定する。すなわち、測定部5は、複数の位置P1,P2,…,Pnからの測定波長λ1,参照波長λ2の光の強度I1,I2の比Rに対応する成分(例えば厚さ、濃度など)を記憶部4に記憶された検量線から算出する。
【0038】
なお、本例では光の強度I1,I2の比Rを計算したが、透過率や吸光度の比を計算してもよい。また、測定対象Wの複数の位置P1,P2,…,Pnの位置情報をラインセンサ13の画素に対応させて成分量と位置情報を結びつければ、測定部5にて測定波長λ1と参照波長λ2の光の強度、または透過率、吸光度、反射率などを同時に測定することができる。
【0039】
表示部6は、液晶やELなどの表示器で構成され、測定部5にて測定した測定対象Wの成分分布を測定結果として表示画面に表示する。
【0040】
次に、上記のように構成される光学的測定装置1を用いた測定対象Wの成分(例えば厚さ、濃度)の測定方法について説明する。
【0041】
ライン上を所定速度/所定間隔で搬送される測定対象Wの搬送方向(図1の紙面の奥行き方向)と直交する測定対象Wの幅方向X表面の複数の位置P1,P2,…,Pnからの光を検出部3にて検出する。
【0042】
すなわち、検出部3は、光学レンズ11の第1レンズ11Aが測定対象Wの複数の位置P1,P2,…,Pnからの光を集光し、この集光した光をバンドパスフィルタ12にて測定波長λ1と参照波長λ2に分け、2つの第2レンズ11Bによりラインセンサ13の検出面に同時に結像させる。
【0043】
例えば図1の測定対象Wの位置P1からの光に着目して説明すると、光学レンズ11の第1レンズ11Aが位置P1からの光を集光し、この集光した位置P1からの光をバンドパスフィルタ12にて測定波長λ1と参照波長λ2に分け、2つの第2レンズ11Bによりラインセンサ13の検出面に同時に結像させる。他の位置P2,…,Pnからの光についても同様であり、測定対象Wの複数の位置P1,P2,…,Pnからの測定波長λ1と参照波長λ2の光がラインセンサ13にて同時に検出される。
【0044】
そして、測定部5は、ラインセンサ13にて検出した測定対象Wの複数の位置P1,P2,…,Pnの成分を、記憶部4に記憶された検量線を用いて、測定波長λ1と参照波長λ2の光の強度I1とI2の比R(=I1/I2)について測定する。このとき、測定対象Wの複数の位置P1,P2,…,Pnの位置情報をラインセンサ13の画素に対応させて成分量と位置情報を結びつけ、測定波長λ1と参照波長λ2の光の強度の比Rにより求められた成分分布を同時に測定する。測定波長λ1と参照波長λ2の光の強度の比Rをとることによって、測定対象Wの吸収以外の要因による強度変化を補正して測定精度を向上させることができる。なお、ここでは、光の強度の比Rを計算したが、透過率や吸光度の比を計算してもよい。
【0045】
ところで、上述した実施の形態では、測定波長λ1と参照波長λ2による2波長のみに対応した構成を例にとって説明したが、複数の波長に対応して第2レンズ11Bとバンドパスフィルタ12を複数並設して構成することができる。また、ラインセンサ13は、近赤外光に対応したものに限定されず、他の波長領域(例えば、紫外線や可視光線など)に対応したものであってもよい。
【0046】
このように、本実施の形態によれば、測定対象の成分を測定するにあたって、測定対象の搬送方向と直交する測定対象の幅方向表面の複数箇所における成分の測定を同時に行うことができる。これにより、従来のトラバースシステムよりも高速な測定が可能となり、測定不可領域を極めて小さくでき、より広範囲の測定を行うことが可能となる。
【0047】
以上、本発明に係る光学的測定装置の最良の形態について説明したが、この形態による記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0048】
1 光学的測定装置
2 光源部
2a 光拡散板
2b 反射板
3 検出部
4 記憶部
5 測定部
6 表示部
11 光学レンズ
11A 第1レンズ
11B 第2レンズ
11C 第1ミラー
11D 第2ミラー
12 バンドパスフィルタ
13 ラインセンサ
21 測定機
W 測定対象
図1
図2
図3
図4
図5
図6