(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20221226BHJP
B62M 6/50 20100101ALI20221226BHJP
【FI】
B62M6/45
B62M6/50
(21)【出願番号】P 2018229885
(22)【出願日】2018-12-07
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-044565(JP,A)
【文献】特開2015-164836(JP,A)
【文献】国際公開第2013/069300(WO,A1)
【文献】特開2009-234577(JP,A)
【文献】特開2016-203813(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0144928(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/45
B62M 6/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、アシスト比を除く前記モータの搭乗時駆動条
件を制御
し、
前記モータの前記搭乗時駆動条件は、前記人力駆動車のアシストを開始するための条件、前記人力駆動車の変速機の駆動に関する変速条件、および、前記人力駆動車の発進時の回転比に関する条件の少なくとも1つを含む、制御装置。
【請求項2】
前記人力駆動車は、前記人力駆動車のクランクの回転と前記人力駆動車の車輪の回転との
前記回転比を変更する
前記変速機をさらに含み、
前記制御部は、
前記人力駆動車の走行状態、前記人力駆動車の走行環境、および、前記人力駆動車の推進に関するアシスト状態の少なくとも1つに応じて前記変速機を制御し、
前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、前記変速機の駆動に関する変速条件、および、前記人力駆動車の発進時の前記回転比の少なくとも1つを変更する、請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、前記モータの応答速度を制御する、制御装置。
【請求項4】
前記人力駆動車は、前記人力駆動車のクランクの回転と前記人力駆動車の車輪の回転との回転比を変更する変速機をさらに含み、
前記制御部は、
前記人力駆動車の走行状態、前記人力駆動車の走行環境、および、前記人力駆動車の推進に関するアシスト状態の少なくとも1つに応じて前記変速機を制御し、
前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、前記変速機の駆動に関する変速条件、および、前記人力駆動車の発進時の前記回転比の少なくとも1つを変更する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、
前記人力駆動車は、前記人力駆動車のクランクの回転と前記人力駆動車の車輪の回転との回転比を変更する変速機を含み、
前記制御部は、
前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、アシスト比を除く前記モータの搭乗時駆動条件、前記モータの応答速度、および、前記モータの出力上限値の少なくとも1つを制御し、
前記人力駆動車の走行状態、前記人力駆動車の走行環境、および、前記人力駆動車の推進に関するアシスト状態の少なくとも1つに応じて前記変速機を制御し、
前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、前記変速機の駆動に関する変速条件、および、前記人力駆動車の発進時の前記回転比の少なくとも1つを変更する、制御装置。
【請求項6】
前記搬送部に関する情報は、前記搬送部の種類、前記搬送部の形状、前記搬送部のサイズ、前記搬送部の年式、前記搬送部の最大積載量、前記搬送部への荷重状態、および、前記搬送部の重量情報の少なくとも1つを含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、アシスト比を除く前記モータの搭乗時駆動条件、前記モータの応答速度、および、前記モータの出力上限値の少なくとも1つを制御し、
前記搬送部に関する情報は、前記搬送部の種類、前記搬送部の形状、前記搬送部のサイズ、前記搬送部の年式、および、前記搬送部の最大積載量の少なくとも1つを含む、制御装置。
【請求項8】
前記搬送部の重量情報は、前記搬送部の重量、および、前記搬送部の総重量の少なくとも1つを含む、請求項
6または7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記搬送部の連結状態は、前記人力駆動車の第1連結部と前記搬送部の第2連結部との連結または非連結状態、前記第1連結部と前記第2連結部との間に作用する荷重、操作装置による連結モードと非連結モードとの間の切り替え、および、前記人力駆動車と前記搬送部との相対距離の少なくとも1つを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、アシスト比を除く前記モータの搭乗時駆動条件、前記モータの応答速度、および、前記モータの出力上限値の少なくとも1つを制御し、
前記搬送部の連結状態は、前記人力駆動車の第1連結部と前記搬送部の第2連結部との間に作用する荷重、および、操作装置による連結モードと非連結モードとの間の切り替え、の少なくとも1つを含む、制御装置。
【請求項11】
前記搬送部に関する情報は、前記搬送部の種類、前記搬送部の形状、前記搬送部のサイズ、前記搬送部の年式、前記搬送部の最大積載量、前記搬送部への荷重状態、および、前記搬送部の重量情報の少なくとも1つを含む、請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記搬送部の重量情報は、前記搬送部の重量、および、前記搬送部の総重量の少なくとも1つを含む、請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記搬送部が前記人力駆動車に連結していない場合、前記モータの出力上限値を第1出力上限値に設定し、前記搬送部が前記人力駆動車に連結している場合、前記モータ
の出力上限値を前記第1出力上限値よりも大きい第2出力上限値に設定する、請求項1から
12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
前記モータは、前記人力駆動車の推進をアシスト可能であり、
前記制御部は、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて前記モータを制御する、請求項1
から13のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項15】
運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車に取り付けられ
、前記人力駆動車の推進をアシスト可能なモータを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて前記モータを制御し、
前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、アシスト比を
変更せずに、前記モータの出力上限
値を制御
し、
前記搬送部が前記人力駆動車に連結していない場合、前記モータの出力上限値を第1出力上限値に設定し、前記搬送部が前記人力駆動車に連結している場合、前記モータの出力上限値を前記第1出力上限値よりも大きい第2出力上限値に設定する、制御装置。
【請求項16】
前記搬送部に関する情報は、前記搬送部の種類、前記搬送部の形状、前記搬送部のサイズ、前記搬送部の年式、前記搬送部の最大積載量、前記搬送部への荷重状態、および、前記搬送部の重量情報の少なくとも1つを含む、請求項15に記載の制御装置。
【請求項17】
前記搬送部の重量情報は、前記搬送部の重量、および、前記搬送部の総重量の少なくとも1つを含む、請求項16に記載の制御装置。
【請求項18】
前記搬送部の連結状態は、前記人力駆動車の第1連結部と前記搬送部の第2連結部との連結または非連結状態、前記第1連結部と前記第2連結部との間に作用する荷重、操作装置による連結モードと非連結モードとの間の切り替え、および、前記人力駆動車と前記搬送部との相対距離の少なくとも1つを含む、請求項15から17のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項19】
前記制御部は、前記搬送部が前記人力駆動車に連結していない場合に前記人力駆動力が第1閾値以上になると前記モータの駆動を開始し、前記搬送部が前記人力駆動車に連結している場合に前記人力駆動力が前記第1閾値よりも小さい第2閾値以上になると前記モータの駆動を開始する、請求項
14から18のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項20】
運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車に取り付けられ、前記人力駆動車の推進をアシスト可能なモータを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて前記モータを制御し、
前記搬送部が前記人力駆動車に連結していない場合に前記人力駆動力が第1閾値以上になると前記モータの駆動を開始し、前記搬送部が前記人力駆動車に連結している場合に前記人力駆動力が前記第1閾値よりも小さい第2閾値以上になると前記モータの駆動を開始する、制御装置。
【請求項21】
前記制御部は、前記搬送部が前記人力駆動車に連結していない場合に前記人力駆動力が入力されると第1応答速度で前記モータを制御し、前記搬送部が前記人力駆動車に連結している場合に前記人力駆動力が入力されると前記第1応答速度よりも大きい第2応答速度で前記モータを制御する、請求項
14から20のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項22】
前記搬送部は、チャイルドシート、荷台、および、被牽引車の少なくとも1つを含む、請求項1から
21のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項23】
前記人力駆動車は、前記搬送部の連結状態を検出する連結状態検出部をさらに含み、
前記制御部は、前記連結状態検出部の検出状態に応じて前記モータを制御する、請求項1から
22のいずれか一項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人力駆動車に搭載される電動コンポーネントを制御する人力駆動車用の制御装置が知られている。電動コンポーネントは、人力駆動車に取り付けられるモータを含む。従来の人力駆動車用の制御装置は、電動コンポーネントに含まれるモータを制御する。特許文献1は、従来の人力駆動車用の制御装置の一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人力駆動車を運転する運転者が快適に走行できることが望ましい。
本発明の目的は、人力駆動車の快適な走行に貢献できる人力駆動車用の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う人力駆動車用の制御装置は、運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、アシスト比を除く前記モータの搭乗時駆動条件、前記モータの応答速度、および、前記モータの出力上限値の少なくとも1つを制御する。
上記第1側面の人力駆動車用の制御装置によれば、搬送部の連結状態および搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、人力駆動車に取り付けられるモータの制御態様が変更されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の人力駆動車用の制御装置において、前記モータは、前記人力駆動車の推進をアシスト可能であり、前記制御部は、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて前記モータを制御する。
上記第2側面の人力駆動車用の制御装置によれば、搬送部の連結状態および搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、人力駆動車の推進をアシスト可能なモータの制御態様が変更されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0007】
前記第2側面に従う第3側面の人力駆動車用の制御装置において、前記制御部は、前記搬送部が前記人力駆動車に連結していない場合に前記人力駆動力が第1閾値以上になると前記モータの駆動を開始し、前記搬送部が前記人力駆動車に連結している場合に前記人力駆動力が前記第1閾値よりも小さい第2閾値以上になると前記モータの駆動を開始する。
上記第3側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の走行に関する運転者の負荷が大きくなることが想定される場合、人力駆動力が第2閾値以上になるとモータの駆動が開始される。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0008】
前記第2または第3側面に従う第4側面の人力駆動車用の制御装置において、前記制御部は、前記搬送部が前記人力駆動車に連結していない場合に前記人力駆動力が入力されると第1応答速度で前記モータを制御し、前記搬送部が前記人力駆動車に連結している場合に前記人力駆動力が入力されると前記第1応答速度よりも大きい第2応答速度で前記モータを制御する。
上記第4側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の走行に関する運転者の負荷が大きくなることが想定される場合、人力駆動力が入力されると第2応答速度でモータが制御される。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0009】
前記第1から第4側面のいずれか1つに従う第5側面の人力駆動車用の制御装置において、前記搬送部は、チャイルドシート、荷台、および、被牽引車の少なくとも1つを含む。
上記第5側面の人力駆動車用の制御装置によれば、各種の搬送部を連結可能な人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0010】
前記第1から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の人力駆動車用の制御装置において、前記人力駆動車は、前記搬送部の連結状態を検出する連結状態検出部をさらに含み、前記制御部は、前記連結状態検出部の検出状態に応じて前記モータを制御する。
上記第6側面の人力駆動車用の制御装置によれば、連結状態検出部の検出状態に応じてモータが好適に制御されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0011】
前記第1から第6側面のいずれか1つに従う第7側面の人力駆動車用の制御装置において、前記搬送部に関する情報は、前記搬送部の種類、前記搬送部の形状、前記搬送部のサイズ、前記搬送部の年式、前記搬送部の最大積載量、前記搬送部への荷重状態、および、前記搬送部の重量情報の少なくとも1つを含む。
上記第7側面の人力駆動車用の制御装置によれば、搬送部に関する情報に含まれる各種の情報に応じてモータの制御態様が変更される。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0012】
前記第7側面に従う第8側面の人力駆動車用の制御装置において、前記搬送部の重量情報は、前記搬送部の重量、および、前記搬送部の総重量の少なくとも1つを含む。
上記第8側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0013】
前記第1から第8側面のいずれか1つに従う第9側面の人力駆動車用の制御装置において、前記搬送部の連結状態は、前記人力駆動車の第1連結部と前記搬送部の第2連結部との連結または非連結状態、前記第1連結部と前記第2連結部との間に作用する荷重、操作装置による連結モードと非連結モードとの間の切り替え、および、前記人力駆動車と前記搬送部との相対距離の少なくとも1つを含む。
上記第9側面の人力駆動車用の制御装置によれば、搬送部の連結状態に含まれる各種の状態に応じてモータの制御態様が変更される。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0014】
前記第1から第9側面のいずれか1つに従う第10側面の人力駆動車用の制御装置において、前記制御部は、前記搬送部が前記人力駆動車に連結していない場合、前記モータの出力上限値を第1出力上限値に設定し、前記搬送部が前記人力駆動車に連結している場合、前記モータの前記出力上限値を前記第1出力上限値よりも大きい第2出力上限値に設定する。
上記第10側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の走行に関する運転者の負荷が大きくなることが想定される場合、モータの出力上限値が第2出力上限値に設定される。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0015】
前記第1から第10側面のいずれか1つに従う第11側面の人力駆動車用の制御装置において、前記人力駆動車は、前記人力駆動車のクランクの回転と前記人力駆動車の車輪の回転との回転比を変更する変速機をさらに含み、前記制御部は、前記人力駆動車の走行状態、前記人力駆動車の走行環境、および、前記人力駆動車の推進に関するアシスト状態の少なくとも1つに応じて前記変速機を制御し、前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、前記変速機の駆動に関する変速条件、および、前記人力駆動車の発進時の前記回転比の少なくとも1つを変更する。
上記第11側面の人力駆動車用の制御装置によれば、搬送部の連結状態および搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて変速機の制御態様が変更されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0016】
本発明の第12側面に従う人力駆動車用の制御装置は、チャイルドシートを連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて、前記人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記チャイルドシートの連結状態および前記チャイルドシートに関する情報の少なくとも1つに応じて、前記人力駆動力に対する前記モータの出力比率を制御する。
上記第12側面の人力駆動車用の制御装置によれば、チャイルドシートの連結状態およびチャイルドシートに関する情報の少なくとも1つに応じて、人力駆動車の推進をアシストするモータの制御態様が変更されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0017】
前記第12側面に従う第13側面の人力駆動車用の制御装置において、前記人力駆動車は、前記チャイルドシートの連結状態を検出する連結状態検出部をさらに含み、前記制御部は、前記連結状態検出部の検出状態に応じて前記モータを制御する。
上記第13側面の人力駆動車用の制御装置によれば、連結状態検出部の検出状態に応じてモータが好適に制御されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0018】
前記第13側面に従う第14側面の人力駆動車用の制御装置において、前記制御部は、前記チャイルドシートが前記人力駆動車に連結している場合、前記チャイルドシートが前記人力駆動車に連結していない場合よりも前記モータの出力比率を高くする。
上記第14側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の走行に関する運転者の負荷が大きくなることが想定される場合、モータの出力比率が高くなるようにモータが制御される。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0019】
前記第13または第14側面に従う第15側面の人力駆動車用の制御装置において、前記チャイルドシートは、前記チャイルドシートに搭乗する搭乗者を前記チャイルドシートに保持する保持部を含み、前記連結状態検出部は、前記保持部の保持状態を検出し、前記制御部は、前記搭乗者が前記保持部によって保持されている場合、前記搭乗者が前記保持部によって保持されていない場合よりも前記モータの出力比率を高くする。
上記第15側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の走行に関する運転者の負荷が大きくなることが想定される場合、モータの出力比率が高くなるようにモータが制御される。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0020】
前記第12から第15側面のいずれか1つに従う第16側面の人力駆動車用の制御装置において、前記制御部は、搭乗者が前記チャイルドシートに搭乗していない場合、前記モータの前記出力比率が第1出力比率になるように前記モータを制御し、前記搭乗者が前記チャイルドシートに搭乗している場合、前記モータの前記出力比率が前記第1出力比率よりも大きい第2出力比率になるように前記モータを制御する。
上記第16側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の走行に関する運転者の負荷が大きくなることが想定される場合、モータの出力比率が第2出力比率になるようにモータが制御される。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態の人力駆動車用の制御装置を含む人力駆動車の側面図。
【
図3】
図1の制御装置と各種の要素との電気的な接続関係を示すブロック図。
【
図4】人力駆動力とモータ出力との関係の一例を示すグラフ。
【
図5】各種の所定条件に応じた人力駆動力とモータ出力との関係を示すグラフ。
【
図6】
図1の制御装置が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図7】第2実施形態の人力駆動車用の制御装置において、各種の所定条件に応じたモータの応答速度を示すグラフ。
【
図8】
図7の制御装置が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図9】第3実施形態の人力駆動車用の制御装置において、各種の所定条件に応じた人力駆動力とモータ出力との関係を示すグラフ。
【
図10】
図9の制御装置が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図11】第4実施形態の人力駆動車用の制御装置において、変速機の制御に用いられる変速条件の一例を示すマップ。
【
図12】
図11の制御装置が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図13】第5実施形態の人力駆動車用の制御装置が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図14】第6実施形態の人力駆動車用の制御装置を含み、チャイルドシートが搭載された人力駆動車の側面図。
【
図15】搭乗者が搭乗した状態を示すチャイルドシートの斜視図。
【
図16】各種の所定条件に応じた人力駆動力とモータ出力との関係を示すグラフ。
【
図17】
図14の制御装置が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
図1を参照して、人力駆動車用の制御装置10を含む人力駆動車Aについて説明する。
ここで、人力駆動車は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両を意味し、電動で人力を補助する車両を含む。人力以外の原動力のみを用いる車両は、人力駆動車には含まれない。特に、内燃機関のみを原動力に用いる車両は、人力駆動車には含まれない。通常、人力駆動車には、小型軽車両が想定され、公道での運転に免許を要しない車両が想定される。図示される人力駆動車Aは、電気エネルギーを用いて人力駆動車Aの推進を補助する電動補助ユニットEを含む自転車である。具体的には、図示される人力駆動車Aは、シティサイクルである。人力駆動車Aは、フレームA1、フロントフォークA2、車輪W、ハンドルH、および、ドライブトレインBをさらに含む。車輪Wは、前輪WFおよび後輪WRを含む。
【0024】
ドライブトレインBは、例えばチェーンドライブタイプである。ドライブトレインBは、クランクC、フロントスプロケットD1、リアスプロケットD2、および、チェーンD3を含む。クランクCは、フレームA1に回転可能に支持されるクランク軸C1、および、クランク軸C1の両端部のそれぞれに設けられる一対のクランクアームC2を含む。各クランクアームC2の先端には、ペダルPDが回転可能に取り付けられる。ドライブトレインBは、任意のタイプから選択でき、ベルトドライブタイプ、または、シャフトドライブタイプであってもよい。
【0025】
フロントスプロケットD1は、クランク軸C1と一体に回転するようにクランクCに設けられる。リアスプロケットD2は、後輪WRのハブHRに設けられる。チェーンD3は、フロントスプロケットD1およびリアスプロケットD2に巻き掛けられる。人力駆動車Aを運転する運転者によってペダルPDに加えられる人力駆動力は、フロントスプロケットD1、チェーンD3、および、リアスプロケットD2を介して後輪WRに伝達される。
【0026】
人力駆動車Aは、電動コンポーネントCEをさらに含む。電動コンポーネントCEは、人力駆動車Aに搭載される操作装置への入力、および、操作装置への入力とは異なる条件の少なくとも1つに応じて電気的に動作するように構成される。本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組合せ」を意味する。電動コンポーネントCEは、人力駆動車Aに搭載されるバッテリBTから供給される電力、または、個々の電動コンポーネントCEに搭載される専用の電源から供給される電力等によって動作する。一例では、電動コンポーネントCEは、電動補助ユニットE、変速機T、サスペンションSU、アジャスタブルシートポストASP、および、制動装置BDの少なくとも1つを含む。電動補助ユニットE、変速機T、サスペンションSU、アジャスタブルシートポストASP、および、制動装置BDのうち、電動コンポーネントCEに含まれない要素は、操作装置への入力に応じて機械的に動作するように構成されてもよく、人力駆動車Aから省略されてもよい。
【0027】
電動補助ユニットEは、人力駆動車Aの推進をアシストするように動作する。電動補助ユニットEは、例えば人力駆動車AのペダルPDに入力される人力駆動力に応じて動作する。人力駆動力は、クランクCに与えられる回転トルク、クランクCの回転速度、および、クランクCの回転トルクとクランクCの回転速度との積であるクランクCの仕事率の少なくとも1つで示される。電動補助ユニットEは、モータM1を含む。モータM1は、例えば減速機構を介してクランクCに接続される。モータM1は、人力駆動車Aの推進をアシスト可能である。
【0028】
人力駆動車Aは、人力駆動車AのクランクCの回転と人力駆動車Aの車輪Wの回転との回転比を変更する変速機Tをさらに含む。変速機Tは、外装変速機を含む。一例では、変速機Tは、フロントディレーラTFおよびリアディレーラTRの少なくとも1つを含む。フロントディレーラTFは、フロントスプロケットD1付近に設けられる。フロントディレーラTFの駆動に伴って、チェーンD3が巻き掛けられるフロントスプロケットD1が変更され、人力駆動車Aの回転比が変更される。人力駆動車Aの回転比は、フロントスプロケットD1の歯数とリアスプロケットD2の歯数との関係に基づいて規定される。一例では、人力駆動車Aの回転比は、リアスプロケットD2の歯数に対するフロントスプロケットD1の歯数の割合で定義される。換言すれば、人力駆動車Aの回転比は、フロントスプロケットD1の回転速度に対するリアスプロケットD2の回転速度の割合で定義される。リアディレーラTRは、フレームA1のリアエンドA3に設けられる。リアディレーラTRの駆動に伴って、チェーンD3が巻き掛けられるリアスプロケットD2が変更され、人力駆動車Aの回転比が変更される。変速機Tが電動コンポーネントCEに含まれる場合、変速機Tは、モータM2(
図3参照)を含む。一例では、変速機Tは、フロントディレーラTFの駆動に関するモータM2、および、リアディレーラTRの駆動に関するモータM2の少なくとも1つを含む。変速機Tは、外装変速機に代えて、内装変速機または無段変速機を含んでいてもよい。
【0029】
サスペンションSUは、フロントサスペンションSFおよびリアサスペンションの少なくとも1つを含む。フロントサスペンションSFは、前輪WFが地面から受ける衝撃を緩和するように動作する。リアサスペンションは、後輪WRが地面から受ける衝撃を緩和するように動作する。サスペンションSUが電動コンポーネントCEに含まれる場合、サスペンションSUは、モータM3(
図3参照)を含む。一例では、サスペンションSUは、フロントサスペンションSFの駆動に関するモータM3、および、リアサスペンションの駆動に関するモータM3の少なくとも1つを含む。
【0030】
アジャスタブルシートポストASPは、運転者着座部SDの高さを変更するように動作する。運転者着座部SDは、人力駆動車Aを運転する運転者が着座可能なサドルを含む。一例では、アジャスタブルシートポストASPの駆動に伴って、フレームA1に対する運転者着座部SDの高さが変更される。アジャスタブルシートポストASPが電動コンポーネントCEに含まれる場合、アジャスタブルシートポストASPは、モータM4(
図3参照)を含む。
【0031】
制動装置BDは、車輪Wの数に対応する制動装置BDを含む。本実施形態では、前輪WFに対応する制動装置BD、および、後輪WRに対応する制動装置BDが人力駆動車Aに設けられる。2つの制動装置BDは、互いに同様の構成を有する。制動装置BDは、例えば人力駆動車AのリムRを制動するリムブレーキ装置である。制動装置BDが電動コンポーネントCEに含まれる場合、制動装置BDは、モータM5(
図3参照)を含む。一例では、制動装置BDは、前輪WFに対応する制動装置BDの駆動に関するモータM5、および、後輪WRに対応する制動装置BDの駆動に関するモータM5の少なくとも1つを含む。制動装置BDは、人力駆動車Aに搭載されるディスクブレーキロータを制動するディスクブレーキ装置であってもよい。
【0032】
図2に示されるように、人力駆動車Aは、運転者着座部SDとは異なる搬送部TPを連結可能に構成される。搬送部TPは、人および荷物の少なくとも1つを積載可能に構成される。搬送部TPは、人力駆動車Aの走行に伴って移動するように人力駆動車Aに連結される。一例では、人力駆動車Aの第1連結部CL1と搬送部TPの第2連結部CL2とが互いに連結される。搬送部TPは、人力駆動車Aに着脱可能に連結されてもよく、人力駆動車Aに着脱不能に連結されてもよい。搬送部TPは、チャイルドシートCS(
図14参照)、荷台CR、および、被牽引車TTの少なくとも1つを含む。本実施形態では、人力駆動車Aは、荷台CRおよび被牽引車TTの少なくとも1つを連結可能に構成される。
【0033】
荷台CRは、荷物を積載可能に構成される。荷台CRの最大積載量は、道路交通法に基づいて規定される。荷台CRは、例えば人力駆動車Aの後輪WR上に配置されるように、人力駆動車AのフレームA1に連結される。
図2に示される例では、荷台CRの第2連結部CL2は、フレームA1において、リアエンドA3およびシートステイA4に連結される。この場合、リアエンドA3およびシートステイA4が第1連結部CL1に相当し、荷台CRのうちのフレームA1と連結される部分が第2連結部CL2に相当する。荷台CRは、人力駆動車Aの前輪WF上に配置されるように、人力駆動車AのフレームA1に連結されてもよい。
【0034】
被牽引車TTは、人および荷物の少なくとも1つを積載可能に構成される。被牽引車TTの最大積載量は、被牽引車TTの規格に基づいて規定される。被牽引車TTは、例えば人力駆動車Aの後方に配置されるように人力駆動車Aに連結される。被牽引車TTは、アジャスタブルシートポストASP、フレームA1のうちのアジャスタブルシートポストASPを支持する部分、シートステイA4、荷台CR、および、後輪WRのハブHRを構成するハブ軸の少なくとも1つに連結される。
【0035】
被牽引車TTは、本体TT1、車輪TT2、接続部TT3、および、連結部TT4を含む。本体TT1は、人および荷物の少なくとも1つを積載可能に構成される。車輪TT2は、本体TT1に設けられる。好ましくは、車輪TT2の数は、2輪以上である。接続部TT3は、本体TT1と連結部TT4とを互いに接続するように構成される。接続部TT3は、本体TT1および連結部TT4の少なくとも1つと一体に構成されてもよく、本体TT1および連結部TT4とは別体で構成されてもよい。接続部TT3は、荷物を積載可能に構成されてもよい。連結部TT4は、例えば接続部TT3から延び、人力駆動車Aに連結される。
図2に示される例では、被牽引車TTの連結部TT4は、フレームA1のうちのアジャスタブルシートポストASPを支持する部分に連結される。この場合、フレームA1のうちのアジャスタブルシートポストASPを支持する部分が第1連結部CL1に相当し、被牽引車TTの連結部TT4が第2連結部CL2に相当する。被牽引車TTは、人力駆動車Aの前方または側方に配置されるように人力駆動車Aに連結されてもよい。被牽引車TTは、接続部TT3を省略して構成されてもよい。
【0036】
図3を参照して、人力駆動車用の制御装置10の構成について説明する。
人力駆動車Aは、制御システム1をさらに含む。制御システム1は、人力駆動車用の制御装置10を含む。人力駆動車用の制御装置10は、運転者着座部SDとは異なる搬送部TPを連結可能な人力駆動車Aに搭載される。以下では、人力駆動車用の制御装置10を、単に制御装置10と記載する。制御装置10は、例えば電動補助ユニットEのハウジングE1内に収容される(
図1参照)。制御装置10は、バッテリBTから供給される電力によって動作する。
【0037】
制御装置10は、人力駆動車Aに取り付けられるモータMを制御する制御部12を備える。制御部12は、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)である。モータMは、例えば電気モータを含む。モータMは、モータM1、モータM2、モータM3、モータM4、および、モータM5の少なくとも1つを含む。本実施形態では、モータMは、少なくともモータM1を含む。一例では、制御部12は、人力駆動車Aに入力される人力駆動力に応じてモータM1を制御する。制御装置10は、各種の情報を記憶する記憶部14をさらに備える。記憶部14は、不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。記憶部14は、例えば制御のための各種プログラム、および、予め設定される情報等を記憶する。
【0038】
制御部12は、搬送部TPの連結状態および搬送部TPに関する情報の少なくとも1つに応じて、アシスト比を除くモータMの搭乗時駆動条件、モータMの応答速度、および、モータMの出力上限値VPの少なくとも1つを制御する。モータMの搭乗時駆動条件は、人力駆動車Aに運転者が搭乗した状態におけるモータMの駆動条件である。モータMの搭乗時駆動条件は、例えば人力駆動車Aを運転する運転者がペダルPDを漕ぎ始めたときの運転者の負荷に影響を与えるモータMの駆動条件を含む。一例では、モータMの搭乗時駆動条件は、人力駆動車Aのアシストを開始するための条件、変速機Tの駆動に関する変速条件、および、人力駆動車Aの発進時の回転比に関する条件の少なくとも1つを含む。モータMの搭乗時駆動条件は、人力駆動力に対するモータM1の出力比率であるアシスト比に関する条件を含まない。モータMの応答速度は、人力駆動車Aへの入力に対して、モータMの出力が予め設定される設定値に到達するまでの速度である。モータMの出力上限値VPは、モータMの最大出力である。モータMの最大出力は、モータMの性能に基づく最大出力とは相違する。
【0039】
搬送部TPの連結状態は、人力駆動車Aの第1連結部CL1と搬送部TPの第2連結部CL2との連結または非連結状態、第1連結部CL1と第2連結部CL2との間に作用する荷重、操作装置ODによる連結モードと非連結モードとの間の切り替え、および、人力駆動車Aと搬送部TPとの相対距離の少なくとも1つを含む。第1連結部CL1と第2連結部CL2との連結または非連結状態は、人力駆動車Aと搬送部TPとの連結の有無を規定する。第1連結部CL1と第2連結部CL2との間に作用する荷重は、第1連結部CL1および第2連結部CL2の少なくとも1つに作用する荷重を含む。第1連結部CL1と第2連結部CL2との間に作用する荷重が所定荷重以上の場合、第1連結部CL1と第2連結部CL2とが連結している状態を示す。第1連結部CL1と第2連結部CL2との間に作用する荷重が所定荷重未満の場合、第1連結部CL1と第2連結部CL2とが連結していない状態を示す。操作装置ODは、人力駆動車Aに搭載可能な操作装置を含む。操作装置ODは、例えばサイクルコンピュータSC(
図1参照)を含む。連結モードは、第1連結部CL1と第2連結部CL2とが連結している状態を示す。非連結モードは、第1連結部CL1と第2連結部CL2とが連結していない状態を示す。人力駆動車Aと搬送部TPとの相対距離が所定距離未満の場合、第1連結部CL1と第2連結部CL2とが連結している状態を示す。人力駆動車Aと搬送部TPとの相対距離が所定距離以上の場合、第1連結部CL1と第2連結部CL2とが連結していない状態を示す。
【0040】
搬送部TPに関する情報は、搬送部TPの種類、搬送部TPの形状、搬送部TPのサイズ、搬送部TPの年式、搬送部TPの最大積載量、搬送部TPへの荷重状態、および、搬送部TPの重量情報の少なくとも1つを含む。搬送部TPへの荷重状態は、人および荷物の少なくとも1つが搬送部TPに積載される場合に搬送部TPに作用する荷重を含む。搬送部TPの重量情報は、搬送部TPの重量、および、搬送部TPの総重量の少なくとも1つを含む。搬送部TPの総重量は、搬送部TPの重量と、搬送部TPに積載される人および荷物等の重量との合計である。搬送部TPに積載される人および荷物等の重量は、人および荷物の少なくとも1つが搬送部TPに積載される場合に搬送部TPに作用する荷重と実質的に同じである。
【0041】
図4に示されるように、制御部12は、人力駆動力が閾値TH以上になるとモータM1の駆動を開始する。具体的には、制御部12は、人力駆動力が閾値TH未満の状態から閾値TH以上の状態になるとモータM1の駆動を開始する。制御部12は、人力駆動力が大きくなるにつれてモータM1の出力が比例して大きくなるようにモータM1を制御する。以下では、モータM1の出力をモータ出力と称する。モータ出力は、減速機構を介したモータM1の出力である。モータ出力は、例えば人力駆動力と同じ単位で示される。一例では、モータ出力は、モータM1の回転トルク、モータM1の回転速度、および、モータM1の回転トルクとモータM1の回転速度との積であるモータM1の仕事率の少なくとも1つで示される。制御部12は、人力駆動力が第1所定閾値TA以上になると、モータ出力が出力上限値VPを維持するようにモータM1を制御する。第1所定閾値TAは、閾値THよりも大きい。制御部12は、例えば人力駆動力が閾値TH以上かつ第1所定閾値TA未満の範囲に含まれる場合、人力駆動力とモータ出力との比率が所定比率になるようにモータM1を制御する。人力駆動力とモータ出力との関係は、人力駆動車Aの車速と道路交通法との関係に応じて規定される。
【0042】
図5に示されるように、閾値THは、第1閾値TH1と、第1閾値TH1とは異なる第2閾値TH2とを含む。制御部12は、第1所定条件が成立する場合、人力駆動力が第1閾値TH1以上になるとモータM1の駆動を開始する。制御部12は、例えば第1条件から第12条件の少なくとも1つが成立する場合、第1所定条件が成立すると判定する。
【0043】
制御部12は、人力駆動車Aの第1連結部CL1と搬送部TPの第2連結部CL2とが連結していない場合、第1条件が成立すると判定する。制御部12は、第1連結部CL1と第2連結部CL2との間に作用する荷重が所定荷重未満の場合、第2条件が成立すると判定する。制御部12は、操作装置ODによる操作によって連結モードから非連結モードに切り替えられる場合、第3条件が成立すると判定する。制御部12は、人力駆動車Aと搬送部TPとの相対距離が所定距離以上の場合、第4条件が成立すると判定する。
【0044】
制御部12は、搬送部TPの種類が第1種類の場合、第5条件が成立すると判定する。第1種類は、例えば人力駆動車Aを運転する運転者に第1負荷未満の負荷を与える搬送部TPの種類を示す。制御部12は、搬送部TPの形状が第1形状の場合、第6条件が成立すると判定する。第1形状は、例えば運転者に第2負荷未満の負荷を与える搬送部TPの形状を示す。制御部12は、搬送部TPのサイズが所定サイズ未満の場合、第7条件が成立すると判定する。制御部12は、搬送部TPの年式が第1年式の場合、第8条件が成立すると判定する。第1年式は、例えば所定年以降に製造された搬送部TPの年式を示す。制御部12は、搬送部TPの最大積載量が所定最大積載量未満の場合、第9条件が成立すると判定する。制御部12は、搬送部TPへの荷重状態が第1荷重状態の場合、第10条件が成立すると判定する。第1荷重状態は、例えば搬送部TPに積載される人および荷物等によって搬送部TPに作用する荷重が小さい状態を示す。制御部12は、搬送部TPの重量が所定重量未満の場合、第11条件が成立すると判定する。制御部12は、搬送部TPの総重量が所定総重量未満の場合、第12条件が成立すると判定する。
図5の実線で示されるグラフは、第1所定条件が成立する場合の人力駆動力とモータ出力との関係の一例を示す。
【0045】
制御部12は、第2所定条件が成立する場合、人力駆動力が第2閾値TH2以上になるとモータM1の駆動を開始する。第2閾値TH2は、第1閾値TH1よりも小さい。この場合、第2所定条件の成立に基づくモータM1の駆動を開始するタイミングは、第1所定条件の成立に基づくモータM1の駆動を開始するタイミングよりも早い。制御部12は、例えば第13条件から第24条件の少なくとも1つが成立する場合、第2所定条件が成立すると判定する。
【0046】
制御部12は、人力駆動車Aの第1連結部CL1と搬送部TPの第2連結部CL2とが連結している場合、第13条件が成立すると判定する。制御部12は、第1連結部CL1と第2連結部CL2との間に作用する荷重が所定荷重以上の場合、第14条件が成立すると判定する。制御部12は、操作装置ODによる操作によって非連結モードから連結モードに切り替えられる場合、第15条件が成立すると判定する。制御部12は、人力駆動車Aと搬送部TPとの相対距離が所定距離未満の場合、第16条件が成立すると判定する。
【0047】
制御部12は、搬送部TPの種類が第2種類の場合、第17条件が成立すると判定する。第2種類は、例えば人力駆動車Aを運転する運転者に第1負荷以上の負荷を与える搬送部TPの種類を示す。制御部12は、搬送部TPの形状が第2形状の場合、第18条件が成立すると判定する。第2形状は、例えば運転者に第2負荷以上の負荷を与える搬送部TPの形状を示す。制御部12は、搬送部TPのサイズが所定サイズ以上の場合、第19条件が成立すると判定する。制御部12は、搬送部TPの年式が第2年式の場合、第20条件が成立すると判定する。第2年式は、例えば所定年以前に製造された搬送部TPの年式を示す。制御部12は、搬送部TPの最大積載量が所定最大積載量以上の場合、第21条件が成立すると判定する。制御部12は、搬送部TPへの荷重状態が第2荷重状態の場合、第22条件が成立すると判定する。第2荷重状態は、例えば搬送部TPに積載される人および荷物等によって搬送部TPに作用する荷重が第1荷重状態よりも大きい状態を示す。制御部12は、搬送部TPの重量が所定重量以上の場合、第23条件が成立すると判定する。制御部12は、搬送部TPの総重量が所定総重量以上の場合、第24条件が成立すると判定する。
図5の二点鎖線で示されるグラフは、第2所定条件が成立する場合の人力駆動力とモータ出力との関係の一例を示す。
【0048】
本実施形態では、制御部12は、第1条件から第4条件の少なくとも1つの成立に基づいて第1所定条件が成立すると判定し、第13条件から第16条件の少なくとも1つの成立に基づいて第2所定条件が成立すると判定する。一例では、制御部12は、搬送部TPが人力駆動車Aに連結していない場合に人力駆動力が第1閾値TH1以上になるとモータM1の駆動を開始し、搬送部TPが人力駆動車Aに連結している場合に人力駆動力が第1閾値TH1よりも小さい第2閾値TH2以上になるとモータM1の駆動を開始する。本実施形態では、制御部12は、第1所定条件および第2所定条件のいずれが成立する場合においても、モータM1の応答速度が一定となるようにモータM1を制御する。制御部12は、第1連結部CL1と第2連結部CL2との間に作用する荷重、搬送部TPへの荷重、および、搬送部TPの重量情報の少なくとも1つに比例して変化するように、モータMの搭乗時駆動条件、モータMの応答速度、および、モータMの出力上限値VPの少なくとも1つを制御してもよい。
【0049】
図2に示されるように、人力駆動車Aは、搬送部TPの連結状態を検出する連結状態検出部16をさらに含む。連結状態検出部16は、人力駆動車Aおよび搬送部TPの少なくとも1つに設けられる。一例では、連結状態検出部16は、人力駆動車Aの第1連結部CL1に設けられる。連結状態検出部16は、例えば検出した各種の情報を制御部12に出力する。制御部12は、連結状態検出部16の検出状態に応じてモータMを制御する。
【0050】
連結状態検出部16は、接触センサ、第1荷重センサ、無線通信可能な第1通信部、および、第1読取センサの少なくとも1つを含む。接触センサは、人力駆動車Aと搬送部TPとの接触を検出可能に構成される。第1荷重センサは、第1連結部CL1と第2連結部CL2との間に作用する荷重を検出可能に構成される。第1通信部は、第1通信部とは異なる第2通信部と通信可能に構成される。一例では、人力駆動車Aおよび搬送部TPの一方に第1通信部が設けられ、人力駆動車Aおよび搬送部TPの他方に第2通信部が設けられる。この例では、人力駆動車Aと搬送部TPとの相対距離が所定距離未満の場合、第1通信部と第2通信部との通信が実行される。第1読取センサは、バーコードおよび二次元コードの少なくとも1つを読み取り可能に構成される。一例では、人力駆動車Aおよび搬送部TPの一方に第1読取センサが設けられ、人力駆動車Aおよび搬送部TPの他方にバーコードおよび二次元コードの少なくとも1つが設けられる。連結状態検出部16は、カメラを含んでいてもよい。
【0051】
人力駆動車Aは、搬送部TPに関する情報を検出する搬送情報検出部18をさらに含む。搬送情報検出部18は、人力駆動車Aおよび搬送部TPの少なくとも1つに設けられる。一例では、搬送情報検出部18は、人力駆動車Aの第1連結部CL1に設けられる。搬送情報検出部18は、例えば検出した各種の情報を制御部12に出力する。制御部12は、搬送情報検出部18の検出結果に応じてモータMを制御する。
【0052】
搬送情報検出部18は、第2荷重センサ、重量センサ、第3通信部、および、第2読取センサの少なくとも1つを含む。第2荷重センサは、搬送部TPに作用する荷重を検出可能に構成される。重量センサは、搬送部TPの重量、および、搬送部TPに積載される人および荷物等の重量の少なくとも1つを検出可能に構成される。一例では、搬送部TPの重量と、搬送部TPに積載される人および荷物等の重量との和が演算されることによって、搬送部TPの総重量が算出される。第3通信部は、第3通信部とは異なる第4通信部と通信可能に構成される。一例では、人力駆動車Aおよび搬送部TPの一方に第3通信部が設けられ、人力駆動車Aおよび搬送部TPの他方に第4通信部が設けられる。第3通信部は、第4通信部と通信することによって、搬送部TPに関する情報を取得する。第1通信部および第3通信部は、共通の1つの通信部であってもよい。第2読取センサは、バーコードおよび二次元コードの少なくとも1つを読み取り可能に構成される。一例では、人力駆動車Aおよび搬送部TPの一方に第2読取センサが設けられ、人力駆動車Aおよび搬送部TPの他方にバーコードおよび二次元コードの少なくとも1つが設けられる。第2読取センサは、バーコードおよび二次元コードの少なくとも1つを読み取ることによって、搬送部TPに関する情報を取得する。第1読取センサおよび第2読取センサは、共通の1つの読取センサであってもよい。
【0053】
連結状態検出部16および搬送情報検出部18の少なくとも1つは、制御システム1に含まれる。換言すれば、制御システム1は、連結状態検出部16および搬送情報検出部18の少なくとも1つを含む。制御システム1は、搬送部TPの連結状態および搬送部TPに関する情報の少なくとも1つを、連結状態検出部16および搬送情報検出部18とは異なる要素を用いて取得する場合、連結状態検出部16および搬送情報検出部18の少なくとも1つを省略してもよい。連結状態検出部16および搬送情報検出部18とは異なる要素は、例えば操作装置ODの操作に関する情報を含む。
【0054】
図6を参照して、制御装置10が実行する制御の一例について説明する。
制御部12は、ステップS11において、各種の情報を取得する。具体的には、制御部12は、連結状態検出部16、搬送情報検出部18、および、操作装置ODの少なくとも1つから、搬送部TPの連結状態および搬送部TPに関する情報の少なくとも1つを取得する。一例では、制御部12は、連結状態検出部16から人力駆動車Aと搬送部TPとの連結の有無に関する情報を取得する。制御部12は、ステップS12において、第1所定条件が成立するか否かを判定する。制御部12は、ステップS12において、第1所定条件が成立すると判定した場合、ステップS13の処理に移行する。
【0055】
制御部12は、ステップS13において、人力駆動力が第1閾値TH1以上か否かを判定する。制御部12は、ステップS13において、人力駆動力が第1閾値TH1未満であると判定した場合、ステップS11に処理を戻す。制御部12は、ステップS13において、人力駆動力が第1閾値TH1未満であると判定した場合、ステップS13の処理を繰り返してもよい。制御部12は、ステップS13において、人力駆動力が第1閾値TH1以上であると判定した場合、ステップS14の処理に移行する。制御部12は、ステップS14において、モータM1の駆動を開始する。
【0056】
制御部12は、ステップS12において、第1所定条件が成立しないと判定した場合、ステップS15の処理に移行する。制御部12は、ステップS15において、第2所定条件が成立するか否かを判定する。制御部12は、ステップS15において、第2所定条件が成立しないと判定した場合、ステップS11に処理を戻す。制御部12は、ステップS15において、第2所定条件が成立すると判定した場合、ステップS16の処理に移行する。
【0057】
制御部12は、ステップS16において、人力駆動力が第2閾値TH2以上か否かを判定する。制御部12は、ステップS16において、人力駆動力が第2閾値TH2未満であると判定した場合、ステップS11に処理を戻す。制御部12は、ステップS16において、人力駆動力が第2閾値TH2未満であると判定した場合、ステップS16の処理を繰り返してもよい。制御部12は、ステップS16において、人力駆動力が第2閾値TH2以上であると判定した場合、ステップS17の処理に移行する。制御部12は、ステップS17において、モータM1の駆動を開始する。
【0058】
以上の処理を経て、ステップS11からステップS17の処理を終了する。制御部12は、人力駆動車Aの走行中においてステップS11からステップS17の処理を繰り返し実行してもよく、人力駆動車Aが発進するタイミングにおいてステップS11からステップS17の処理を実行してもよい。
【0059】
<第2実施形態>
図7および
図8を参照して、第2実施形態の制御装置10について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0060】
図7は、第1所定閾値TA以上の人力駆動力がペダルPDに入力された状態における、モータ出力と時間との関係の一例を示す。
モータM1の応答速度は、第1応答速度と、第1応答速度とは異なる第2応答速度とを含む。制御部12は、第1所定条件が成立する場合、人力駆動力が入力されると第1応答速度でモータM1を制御する。一例では、制御部12は、第1所定条件が成立する場合、第1所定閾値TA以上の人力駆動力がペダルPDに入力されると、モータ出力が時刻t2において出力上限値VPとなるようにモータM1を制御する。
図7の実線で示されるグラフの傾きは、第1応答速度の一例を示す。
【0061】
制御部12は、第2所定条件が成立する場合、人力駆動力が入力されると第2応答速度でモータM1を制御する。第2応答速度は、第1応答速度よりも大きい。一例では、制御部12は、第2所定条件が成立する場合、第1所定閾値TA以上の人力駆動力がペダルPDに入力されると、モータ出力が時刻t1において出力上限値VPとなるようにモータM1を制御する。時刻t1までに要する時間は、時刻t2までに要する時間よりも短い。
図7の二点鎖線で示されるグラフの傾きは、第2応答速度の一例を示す。
【0062】
本実施形態では、制御部12は、第1条件から第4条件の少なくとも1つの成立に基づいて第1所定条件が成立すると判定し、第13条件から第16条件の少なくとも1つの成立に基づいて第2所定条件が成立すると判定する。一例では、制御部12は、搬送部TPが人力駆動車Aに連結していない場合に人力駆動力が入力されると第1応答速度でモータM1を制御し、搬送部TPが人力駆動車Aに連結している場合に人力駆動力が入力されると第1応答速度よりも大きい第2応答速度でモータM1を制御する。
【0063】
図8を参照して、制御装置10が実行する制御の一例について説明する。
制御部12は、ステップS21において、各種の情報を取得する。具体的には、制御部12は、連結状態検出部16、搬送情報検出部18、および、操作装置ODの少なくとも1つから、搬送部TPの連結状態および搬送部TPに関する情報の少なくとも1つを取得する。一例では、制御部12は、連結状態検出部16から人力駆動車Aと搬送部TPとの連結の有無に関する情報を取得する。制御部12は、ステップS22において、第1所定条件が成立するか否かを判定する。制御部12は、ステップS22において、第1所定条件が成立すると判定した場合、ステップS23の処理に移行する。制御部12は、ステップS23において、第1応答速度でモータM1を制御する。
【0064】
制御部12は、ステップS22において、第1所定条件が成立しないと判定した場合、ステップS24の処理に移行する。制御部12は、ステップS24において、第2所定条件が成立するか否かを判定する。制御部12は、ステップS24において、第2所定条件が成立しないと判定した場合、ステップS21に処理を戻す。制御部12は、ステップS24において、第2所定条件が成立すると判定した場合、ステップS25の処理に移行する。制御部12は、ステップS25において、第2応答速度でモータM1を制御する。
【0065】
以上の処理を経て、ステップS21からステップS25の処理を終了する。制御部12は、人力駆動車Aの走行中においてステップS21からステップS25の処理を繰り返し実行してもよく、人力駆動車Aが発進するタイミングにおいてステップS21からステップS25の処理を実行してもよい。制御部12は、
図6に示されるステップS11からステップS17の処理を並列して実行してもよい。
【0066】
<第3実施形態>
図9および
図10を参照して、第3実施形態の制御装置10について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0067】
図9に示されるように、出力上限値VPは、第1出力上限値VP1と、第1出力上限値VP1とは異なる第2出力上限値VP2とを含む。制御部12は、第1所定条件が成立する場合、モータM1の出力上限値VPを第1出力上限値VP1に設定する。一例では、制御部12は、第1所定条件が成立する場合、人力駆動力が第1所定閾値TA以上になると、モータ出力が第1出力上限値VP1を維持するようにモータM1を制御する。
図9の実線で示されるグラフは、第1所定条件が成立する場合の人力駆動力とモータ出力との関係の一例を示す。
【0068】
制御部12は、第2所定条件が成立する場合、モータM1の出力上限値VPを第2出力上限値VP2に設定する。第2出力上限値VP2は、第1出力上限値VP1よりも大きい。一例では、制御部12は、第2所定条件が成立する場合、人力駆動力が第2所定閾値TB以上になると、モータ出力が第2出力上限値VP2を維持するようにモータM1を制御する。第2所定閾値TBは、第1所定閾値TAよりも大きい。第2所定閾値TBは、第1所定閾値TAと同じであってもよく、第1所定閾値TAよりも小さくてもよい。
図9の二点鎖線で示されるグラフは、第2所定条件が成立する場合の人力駆動力とモータ出力との関係の一例を示す。
【0069】
本実施形態では、制御部12は、第1条件から第4条件の少なくとも1つの成立に基づいて第1所定条件が成立すると判定し、第13条件から第16条件の少なくとも1つの成立に基づいて第2所定条件が成立すると判定する。一例では、制御部12は、搬送部TPが人力駆動車Aに連結していない場合、モータM1の出力上限値VPを第1出力上限値VP1に設定し、搬送部TPが人力駆動車Aに連結している場合、モータM1の出力上限値VPを第1出力上限値VP1よりも大きい第2出力上限値VP2に設定する。
【0070】
図10を参照して、制御装置10が実行する制御の一例について説明する。
制御部12は、ステップS31において、各種の情報を取得する。具体的には、制御部12は、連結状態検出部16、搬送情報検出部18、および、操作装置ODの少なくとも1つから、搬送部TPの連結状態および搬送部TPに関する情報の少なくとも1つを取得する。一例では、制御部12は、連結状態検出部16から人力駆動車Aと搬送部TPとの連結の有無に関する情報を取得する。制御部12は、ステップS32において、第1所定条件が成立するか否かを判定する。制御部12は、ステップS32において、第1所定条件が成立すると判定した場合、ステップS33の処理に移行する。制御部12は、ステップS33において、モータM1の出力上限値VPを第1出力上限値VP1に設定する。
【0071】
制御部12は、ステップS32において、第1所定条件が成立しないと判定した場合、ステップS34の処理に移行する。制御部12は、ステップS34において、第2所定条件が成立するか否かを判定する。制御部12は、ステップS34において、第2所定条件が成立しないと判定した場合、ステップS31に処理を戻す。制御部12は、ステップS34において、第2所定条件が成立すると判定した場合、ステップS35の処理に移行する。制御部12は、ステップS35において、モータM1の出力上限値VPを第2出力上限値VP2に設定する。
【0072】
以上の処理を経て、ステップS31からステップS35の処理を終了する。制御部12は、人力駆動車Aの走行中においてステップS31からステップS35の処理を繰り返し実行してもよく、人力駆動車Aが発進するタイミングにおいてステップS31からステップS35の処理を実行してもよい。制御部12は、
図6に示されるステップS11からステップS17の処理、および、
図8に示されるステップS21からステップS25の処理の少なくとも1つを並列して実行してもよい。
【0073】
<第4実施形態>
図11および
図12を参照して、第4実施形態の制御装置10について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0074】
制御部12は、人力駆動車Aの変速機Tを変速条件に応じて自動的に制御する。制御部12は、人力駆動車Aに取り付けられるモータMを制御する。本実施形態では、モータMは、少なくともモータM2を含む。一例では、制御部12は、人力駆動車Aの走行状態、人力駆動車Aの走行環境、および、人力駆動車Aの推進に関するアシスト状態の少なくとも1つに応じて変速機Tを制御する。人力駆動車Aの走行状態は、ケイデンス、人力駆動車AのクランクCに作用するトルク、車速、加速度、および、パワーの少なくとも1つを含む。ケイデンスは、クランクCの回転速度と同義である。パワーは、ケイデンスとトルクとの積である。人力駆動車Aの走行環境は、路面の状態、人力駆動車Aの走行抵抗、天候、および、気温の少なくとも1つを含む。アシスト状態は、人力駆動車Aのアシスト比、人力駆動車Aのアシストを開始するための条件、モータM1の応答速度、および、モータM1の出力上限値VPの少なくとも1つを含む。変速機Tの自動的な制御に用いられる情報は、例えば人力駆動車Aに搭載される各種のセンサによって検出される。
【0075】
図11に示されるように、変速条件は、参照値RVおよび変速閾値TSに基づいて規定される。参照値RVは、例えば人力駆動車Aの走行状態に関する値を含む。一例では、参照値RVは、ケイデンスを含む。変速閾値TSは、第1変速閾値TS1および第2変速閾値TS2を含む。制御部12は、参照値RVと第1変速閾値TS1との関係に応じて人力駆動車Aの回転比が大きくなるように変速機Tを制御し、参照値RVと第2変速閾値TS2との関係に応じて人力駆動車Aの回転比が小さくなるように変速機Tを制御する。第1変速閾値TS1は、第2変速閾値TS2とは異なる。本実施形態では、第1変速閾値TS1は、第2変速閾値TS2よりも大きい。
【0076】
一例では、制御部12は、参照値RVが第1変速閾値TS1を上回ると人力駆動車Aの回転比が大きくなるように変速機Tを制御し、参照値RVが第2変速閾値TS2を下回ると人力駆動車Aの回転比が小さくなるように変速機Tを制御する。制御部12は、人力駆動車Aの回転比が最大回転比である場合、参照値RVが第1変速閾値TS1を上回っても、人力駆動車Aの回転比が維持されるように変速機Tを制御しない。最大回転比は、フロントスプロケットD1とリアスプロケットD2との関係に基づく最大の回転比である。制御部12は、人力駆動車Aの回転比が最小回転比である場合、参照値RVが第2変速閾値TS2を下回っても、人力駆動車Aの回転比が維持されるように変速機Tを制御しない。最小回転比は、フロントスプロケットD1とリアスプロケットD2との関係に基づく最小の回転比である。
【0077】
制御部12は、搬送部TPの連結状態および搬送部TPに関する情報の少なくとも1つに応じて、変速機Tの駆動に関する変速条件、および、人力駆動車Aの発進時の回転比の少なくとも1つを変更する。本実施形態では、制御部12は、搬送部TPの連結状態および搬送部TPに関する情報の少なくとも1つに応じて変速条件を変更する。制御部12は、第1所定条件が成立する場合、変速条件を維持する。制御部12は、第2所定条件が成立する場合、変速条件を変更する。一例では、制御部12は、第2所定条件が成立する場合、変速条件を規定する第2変速閾値TS2が大きくなるように変速条件を変更する。換言すれば、制御部12は、第2所定条件が成立する場合、第2変速閾値TS2が第1変速閾値TS1に近づくように変速条件を変更する。本実施形態では、制御部12は、第2所定条件が成立する場合、第2変速閾値TS2が第3変速閾値TS3となるように変速条件を変更する。第3変速閾値TS3は、第1変速閾値TS1よりも小さく、第2変速閾値TS2よりも大きい。第3変速閾値TS3は、第2変速閾値TS2よりも小さくてもよい。制御部12は、変速条件を変更した後に第1所定条件が成立すると、変速条件を元に戻す。
図11に示される二点鎖線は、第3変速閾値TS3の一例を示している。
【0078】
変速条件は、参照値RVおよびテーブル値に基づいて規定されてもよい。テーブル値は、参照値RVと関連付けられた人力駆動車Aの回転比を規定するテーブルを含む。この場合、制御部12は、参照値RVとテーブル値との関係に応じて、参照値RVおよびテーブル値に応じた人力駆動車Aの回転比となるように変速機Tを制御する。一例では、制御部12は、第1所定条件が成立する場合、変速条件を維持し、第2所定条件が成立する場合、テーブル値を規定する参照値RVと関連付けられた人力駆動車Aの回転比が小さくなるように変速条件を変更する。
【0079】
図12を参照して、制御装置10が実行する制御の一例について説明する。
制御部12は、ステップS41において、各種の情報を取得する。具体的には、制御部12は、連結状態検出部16、搬送情報検出部18、および、操作装置ODの少なくとも1つから、搬送部TPの連結状態および搬送部TPに関する情報の少なくとも1つを取得する。一例では、制御部12は、連結状態検出部16から人力駆動車Aと搬送部TPとの連結の有無に関する情報を取得する。制御部12は、ステップS42において、第1所定条件が成立するか否かを判定する。制御部12は、ステップS42において、第1所定条件が成立すると判定した場合、ステップS43の処理に移行する。制御部12は、ステップS43において、変速条件を維持する。
【0080】
制御部12は、ステップS42において、第1所定条件が成立しないと判定した場合、ステップS44の処理に移行する。制御部12は、ステップS44において、第2所定条件が成立するか否かを判定する。制御部12は、ステップS44において、第2所定条件が成立しないと判定した場合、ステップS41に処理を戻す。制御部12は、ステップS44において、第2所定条件が成立すると判定した場合、ステップS45の処理に移行する。制御部12は、ステップS45において、第2変速閾値TS2が第3変速閾値TS3となるように変速条件を変更する。
【0081】
以上の処理を経て、ステップS41からステップS45の処理を終了する。制御部12は、人力駆動車Aの走行中においてステップS41からステップS45の処理を繰り返し実行してもよく、人力駆動車Aが発進するタイミングにおいてステップS41からステップS45の処理を実行してもよい。制御部12は、
図6に示されるステップS11からステップS17の処理、
図8に示されるステップS21からステップS25の処理、および、
図10に示されるステップS31からステップS35の処理の少なくとも1つを並列して実行してもよい。
【0082】
<第5実施形態>
図13を参照して、第5実施形態の制御装置10について説明する。第4実施形態と共通する構成については、第4実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0083】
制御部12は、搬送部TPの連結状態および搬送部TPに関する情報の少なくとも1つに応じて、変速機Tの駆動に関する変速条件、および、人力駆動車Aの発進時の回転比の少なくとも1つを変更する。本実施形態では、制御部12は、搬送部TPの連結状態および搬送部TPに関する情報の少なくとも1つに応じて、人力駆動車Aの発進時の回転比を変更する。人力駆動車Aの発進時は、例えば人力駆動車Aが停車した状態から、クランクCが所定回数回転した時点、または、人力駆動車Aの車速が所定車速に到達した時点を含む。一例では、人力駆動車Aの発進時の回転比は、人力駆動車Aを運転する運転者がペダルPDを漕ぎ始めたときの人力駆動車Aの回転比である。換言すれば、人力駆動車Aの発進時の回転比は、人力駆動車AのクランクCが回転し始めたときの人力駆動車Aの回転比である。別の一例では、人力駆動車Aの発進時の回転比は、人力駆動車Aが走行し始めたときの人力駆動車Aの回転比である。
【0084】
制御部12は、例えば以下の第1例から第3例のいずれかに従ってモータM2を制御し、人力駆動車Aの発進時の回転比を変更する。第1例では、制御部12は、人力駆動車Aの発進時の回転比を変更するように、人力駆動車Aの発進に伴いモータM2を制御する。第1例に関する制御は、外装変速機、内装変速機、および、無段変速機のいずれの変速機Tにおいても適用できる。第2例では、制御部12は、人力駆動車Aの発進時にスムーズな変速が実現されるように人力駆動車Aの停車時にモータM2を制御する。具体的には、制御部12は、変速先のフロントスプロケットD1およびリアスプロケットD2にチェーンD3を掛け替える準備として、フロントディレーラTFのムーバブルメンバおよびリアディレーラTRのムーバブルメンバの少なくとも1つが動作するように、人力駆動車Aの停車時にモータM2を制御する。そして、人力駆動車Aの発進に伴いフロントスプロケットD1およびリアスプロケットD2が回転することによって、人力駆動車Aの発進時の回転比が変更される。第2例に関する制御は、外装変速機を含む変速機Tに適用できる。第3例では、制御部12は、人力駆動車Aの停車時において人力駆動車Aの回転比を変更するように、変速機TのモータM2と、フロントスプロケットD1およびリアスプロケットD2の少なくとも1つを回転させるモータとを制御する。一例では、制御部12は、変速先のフロントスプロケットD1およびリアスプロケットD2にチェーンD3を掛け替える準備として、フロントディレーラTFのムーバブルメンバおよびリアディレーラTRのムーバブルメンバの少なくとも1つが動作するように、人力駆動車Aの停車時にモータM2を制御する。その後、フロントスプロケットD1およびリアスプロケットD2の少なくとも1つを回転させるモータが制御されることによって、人力駆動車Aの停車時において人力駆動車Aの発進時の回転比が変更される。第3例に関する制御は、外装変速機を含む変速機Tに適用できる。内装変速機を含む変速機Tが適用される例では、制御部12は、人力駆動車Aの発進時の回転比を変更するように、人力駆動車Aの停車に伴いモータM2を制御してもよい。
【0085】
制御部12は、第1所定条件が成立する場合、人力駆動車Aの発進時の回転比が第1回転比となるように変速機Tを制御する。第1回転比は、予め設定された人力駆動車Aの回転比であってもよく、人力駆動車Aの停車時の回転比であってもよい。制御部12は、第2所定条件が成立する場合、人力駆動車Aの発進時の回転比が第2回転比となるように変速機Tを制御する。第2回転比は、第1回転比よりも小さい。
【0086】
図13を参照して、制御装置10が実行する制御の一例について説明する。
制御部12は、ステップS51において、各種の情報を取得する。具体的には、制御部12は、連結状態検出部16、搬送情報検出部18、および、操作装置ODの少なくとも1つから、搬送部TPの連結状態および搬送部TPに関する情報の少なくとも1つを取得する。一例では、制御部12は、連結状態検出部16から人力駆動車Aと搬送部TPとの連結の有無に関する情報を取得する。制御部12は、ステップS52において、第1所定条件が成立するか否かを判定する。制御部12は、ステップS52において、第1所定条件が成立すると判定した場合、ステップS53の処理に移行する。制御部12は、ステップS53において、人力駆動車Aの発進時の回転比が第1回転比となるように変速機Tを制御する。
【0087】
制御部12は、ステップS52において、第1所定条件が成立しないと判定した場合、ステップS54の処理に移行する。制御部12は、ステップS54において、第2所定条件が成立するか否かを判定する。制御部12は、ステップS54において、第2所定条件が成立しないと判定した場合、ステップS51に処理を戻す。制御部12は、ステップS54において、第2所定条件が成立すると判定した場合、ステップS55の処理に移行する。制御部12は、ステップS55において、人力駆動車Aの発進時の回転比が第2回転比となるように変速機Tを制御する。
【0088】
以上の処理を経て、ステップS51からステップS55の処理を終了する。制御部12は、人力駆動車Aの走行中においてステップS51からステップS55の処理を繰り返し実行してもよく、人力駆動車Aが発進するタイミングにおいてステップS51からステップS55の処理を実行してもよい。制御部12は、
図6に示されるステップS11からステップS17の処理、
図8に示されるステップS21からステップS25の処理、
図10に示されるステップS31からステップS35の処理、および、
図12に示されるステップS41からステップS45の処理の少なくとも1つを並列して実行してもよい。
【0089】
<第6実施形態>
図14から
図17を参照して、第6実施形態の制御装置10について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0090】
図14に示されるように、人力駆動車Aは、運転者着座部SDとは異なる搬送部TPを連結可能に構成される。本実施形態では、人力駆動車Aは、チャイルドシートCSおよび荷台CRの少なくとも1つを連結可能に構成される。チャイルドシートCSは、人および荷物の少なくとも1つを積載可能に構成される。一例では、チャイルドシートCSは、搭乗者を搭乗可能に構成される。チャイルドシートCSは、運転者着座部SDに対して前方に設けられる第1チャイルドシートCS1、および、運転者着座部SDに対して後方に設けられる第2チャイルドシートCS2の少なくとも1つを含む。
【0091】
第1チャイルドシートCS1は、第1搭乗者を搭乗可能に構成される。第1チャイルドシートCS1は、例えば人力駆動車AのハンドルHに連結可能に設けられる。一例では、第1チャイルドシートCS1は、人力駆動車Aの前後方向において、第1搭乗者がハンドルHと運転者着座部SDとの間に搭乗可能にハンドルHまわりに設けられる。この場合、ハンドルHのうちの第1チャイルドシートCS1と連結される部分が第1連結部CL1に相当し、第1チャイルドシートCS1のうちのハンドルHと連結される部分が第2連結部CL2に相当する。第2チャイルドシートCS2は、第2搭乗者を搭乗可能に構成される。第2チャイルドシートCS2は、例えば人力駆動車Aの荷台CRに連結可能に設けられる。この場合、荷台CRのうちの第2チャイルドシートCS2と連結される部分が第1連結部CL1に相当し、第2チャイルドシートCS2のうちの荷台CRと連結される部分が第2連結部CL2に相当する。以下の説明において、第1チャイルドシートCS1および第2チャイルドシートCS2に共通する構成については、チャイルドシートCSを用いて説明する。
【0092】
図15に示されるように、チャイルドシートCSは、チャイルドシートCSに搭乗する搭乗者をチャイルドシートCSに保持する保持部SBを含む。保持部SBは、シートベルトSB1およびロック部SB2を含む。シートベルトSB1は、ロック部SB2に装着可能に構成される。搭乗者がチャイルドシートCSに搭乗し、シートベルトSB1がロック部SB2に装着されることによって、搭乗者が保持部SBによって保持される。
図15に示されるチャイルドシートCSは、第2チャイルドシートCS2を示している。
【0093】
図14に示されるように、制御装置10は、チャイルドシートCSを連結可能な人力駆動車Aに搭載される。制御部12は、人力駆動車Aに取り付けられるモータMを制御する。本実施形態では、モータMは、少なくともモータM1を含む。制御部12は、人力駆動車Aに入力される人力駆動力に応じて、人力駆動車Aの推進をアシストするモータM1を制御する。制御部12は、チャイルドシートCSの連結状態およびチャイルドシートCSに関する情報の少なくとも1つに応じて、人力駆動力に対するモータM1の出力比率を制御する。
【0094】
チャイルドシートCSの連結状態は、人力駆動車Aの第1連結部CL1とチャイルドシートCSの第2連結部CL2との連結または非連結状態、第1連結部CL1と第2連結部CL2との間に作用する荷重、操作装置ODによる連結モードと非連結モードとの間の切り替え、および、人力駆動車AとチャイルドシートCSとの相対距離の少なくとも1つを含む。チャイルドシートCSの連結状態は、チャイルドシートCSに搭乗する搭乗者の有無をさらに含んでいてもよい。チャイルドシートCSに関する情報は、チャイルドシートCSの種類、チャイルドシートCSの形状、チャイルドシートCSのサイズ、チャイルドシートCSの年式、チャイルドシートCSの最大積載量、チャイルドシートCSへの荷重状態、および、チャイルドシートCSの重量情報の少なくとも1つを含む。
【0095】
一例では、制御部12は、チャイルドシートCSが人力駆動車Aに連結している場合、チャイルドシートCSが人力駆動車Aに連結していない場合よりもモータM1の出力比率を高くする。別の一例では、制御部12は、搭乗者が保持部SBによって保持されている場合、搭乗者が保持部SBによって保持されていない場合よりもモータM1の出力比率を高くする。換言すれば、制御部12は、搭乗者がチャイルドシートCSに搭乗している場合、搭乗者がチャイルドシートCSに搭乗していない場合よりもモータM1の出力比率を高くする。制御部12は、第1搭乗者および第2搭乗者のそれぞれがチャイルドシートCS1、CS2に搭乗している場合、第1搭乗者および第2搭乗者の一方がチャイルドシートCS1、CS2に搭乗している場合よりもモータM1の出力比率を高くしてもよい。制御部12は、第1搭乗者が第1チャイルドシートCS1に搭乗し、第2搭乗者が第2チャイルドシートCS2に搭乗しない場合、第1搭乗者が第1チャイルドシートCS1に搭乗せず、第2搭乗者が第2チャイルドシートCS2に搭乗する場合よりもモータM1の出力比率を高くしてもよい。
【0096】
図16に示されるように、モータM1の出力比率は、第1出力比率と、第1出力比率とは異なる第2出力比率とを含む。制御部12は、第3所定条件が成立する場合、モータM1の出力比率が第1出力比率になるようにモータM1を制御する。一例では、制御部12は、第3所定条件が成立する場合、人力駆動力が閾値TH以上になるとモータM1の駆動を開始し、人力駆動力が第1所定閾値TA以上になるとモータ出力が出力上限値VPを維持するようにモータM1を制御する。制御部12は、例えば第1条件から第12条件、第25条件、および、第26条件の少なくとも1つが成立する場合、第3所定条件が成立すると判定する。制御部12は、搭乗者が保持部SBによって保持されていない場合、第25条件が成立すると判定する。制御部12は、搭乗者がチャイルドシートCSに搭乗していない場合、第26条件が成立すると判定する。
図16の実線で示されるグラフは、第3所定条件が成立する場合の人力駆動力とモータ出力との関係の一例を示す。
【0097】
制御部12は、第4所定条件が成立する場合、モータM1の出力比率が第2出力比率になるようにモータM1を制御する。第2出力比率は、第1出力比率よりも大きい。一例では、制御部12は、第4所定条件が成立する場合、人力駆動力が閾値TH以上になるとモータM1の駆動を開始し、人力駆動力が第3所定閾値TC以上になるとモータ出力が出力上限値VPを維持するようにモータM1を制御する。第3所定閾値TCは、第1所定閾値TAよりも小さい。制御部12は、例えば第13条件から第24条件、第27条件、および、第28条件の少なくとも1つが成立する場合、第4所定条件が成立すると判定する。制御部12は、搭乗者が保持部SBによって保持されている場合、第27条件が成立すると判定する。制御部12は、搭乗者がチャイルドシートCSに搭乗している場合、第28条件が成立すると判定する。
図16の二点鎖線で示されるグラフは、第4所定条件が成立する場合の人力駆動力とモータ出力との関係の一例を示す。
【0098】
本実施形態では、制御部12は、第25条件および第26条件の少なくとも1つの成立に基づいて第3所定条件が成立すると判定し、第27条件および第28条件の少なくとも1つの成立に基づいて第4所定条件が成立すると判定する。一例では、制御部12は、搭乗者がチャイルドシートCSに搭乗していない場合、モータM1の出力比率が第1出力比率になるようにモータM1を制御し、搭乗者がチャイルドシートCSに搭乗している場合、モータM1の出力比率が第1出力比率よりも大きい第2出力比率になるようにモータM1を制御する。
【0099】
人力駆動車Aは、チャイルドシートCSの連結状態を検出する連結状態検出部16をさらに含む。一例では、連結状態検出部16は、第1チャイルドシートCS1の連結状態を検出する連結状態検出部16、および、第2チャイルドシートCS2の連結状態を検出する連結状態検出部16の少なくとも1つを含む。連結状態検出部16は、保持部SBの保持状態を検出する。具体的には、連結状態検出部16は、保持部SBの保持状態を検出可能なセンサを含む。連結状態検出部16は、接触センサ、第1荷重センサ、無線通信可能な第1通信部、および、第1読取センサの少なくとも1つを含んでいてもよい。制御部12は、連結状態検出部16の検出状態に応じてモータM1を制御する。
【0100】
図17を参照して、制御装置10が実行する制御の一例について説明する。
制御部12は、ステップS61において、各種の情報を取得する。具体的には、制御部12は、連結状態検出部16、搬送情報検出部18、および、操作装置ODの少なくとも1つから、チャイルドシートCSの連結状態およびチャイルドシートCSに関する情報の少なくとも1つを取得する。一例では、制御部12は、連結状態検出部16からチャイルドシートCSに搭乗する搭乗者の有無に関する情報を取得する。制御部12は、ステップS62において、第3所定条件が成立するか否かを判定する。制御部12は、ステップS62において、第3所定条件が成立すると判定した場合、ステップS63の処理に移行する。制御部12は、ステップS63において、モータM1の出力比率が第1出力比率になるようにモータM1を制御する。
【0101】
制御部12は、ステップS62において、第3所定条件が成立しないと判定した場合、ステップS64の処理に移行する。制御部12は、ステップS64において、第4所定条件が成立するか否かを判定する。制御部12は、ステップS64において、第4所定条件が成立しないと判定した場合、ステップS61に処理を戻す。制御部12は、ステップS64において、第4所定条件が成立すると判定した場合、ステップS65の処理に移行する。制御部12は、ステップS65において、モータM1の出力比率が第2出力比率になるようにモータM1を制御する。
【0102】
以上の処理を経て、ステップS61からステップS65の処理を終了する。制御部12は、人力駆動車Aの走行中においてステップS61からステップS65の処理を繰り返し実行してもよく、人力駆動車Aが発進するタイミングにおいてステップS61からステップS65の処理を実行してもよい。制御部12は、
図6に示されるステップS11からステップS17の処理、
図8に示されるステップS21からステップS25の処理、
図10に示されるステップS31からステップS35の処理、
図12に示されるステップS41からステップS45の処理、および、
図13に示されるステップS51からステップS55の処理の少なくとも1つを並列して実行してもよい。この場合、制御部12は、第1所定条件の成立に関するステップS12、ステップS22、ステップS32、ステップS42、および、ステップS52の少なくとも1つをステップS62に置き換え、第2所定条件の成立に関するステップS15、ステップS24、ステップS34、ステップS44、および、ステップS54の少なくとも1つをステップS64に置き換えてもよい。
【0103】
<変形例>
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従う人力駆動車用の制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う人力駆動車用の制御装置は、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、各実施形態の形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0104】
・制御部12の制御内容は、任意に変更可能である。第1例では、制御部12は、第1所定条件が成立する場合に人力駆動力が第2閾値TH2以上になるとモータM1の駆動を開始し、第2所定条件が成立する場合に人力駆動力が第1閾値TH1以上になるとモータM1の駆動を開始する。第2例では、制御部12は、第1所定条件が成立する場合に人力駆動力が入力されると第2応答速度でモータM1を制御し、第2所定条件が成立する場合に人力駆動力が入力されると第1応答速度でモータM1を制御する。第3例では、制御部12は、第1所定条件が成立する場合、モータM1の出力上限値VPを第2出力上限値VP2に設定し、第2所定条件が成立する場合、モータM1の出力上限値VPを第1出力上限値VP1に設定する。第4例では、制御部12は、第1所定条件が成立する場合、変速条件を維持し、第2所定条件が成立する場合、第1変速閾値TS1が第4変速閾値となるように変速条件を変更する。第4変速閾値は、第1変速閾値TS1よりも大きい。第4変速閾値は、第1変速閾値TS1よりも小さく、第2変速閾値TS2よりも大きくてもよい。第5例では、制御部12は、第1所定条件が成立する場合、第2変速閾値TS2が第3変速閾値TS3となるように変速条件を変更し、第2所定条件が成立する場合、変速条件を維持する。第6例では、制御部12は、第1所定条件が成立する場合、人力駆動車Aの発進時の回転比が第2回転比となるように変速機Tを制御し、第2所定条件が成立する場合、人力駆動車Aの発進時の回転比が第1回転比となるように変速機Tを制御する。第7例では、制御部12は、第3所定条件が成立する場合、モータM1の出力比率が第2出力比率になるようにモータM1を制御し、第4所定条件が成立する場合、モータM1の出力比率が第1出力比率になるようにモータM1を制御する。
【0105】
・制御部12の制御対象は、任意に変更可能である。第1例では、モータMは、少なくともモータM3を含む。制御部12は、第2所定条件および第4所定条件の少なくとも1つが成立する場合、第1所定条件および第3所定条件の少なくとも1つが成立する場合よりも、車輪Wが地面から受ける衝撃の緩和性が大きくなるようにサスペンションSUを制御する。第2例では、モータMは、少なくともモータM4を含む。制御部12は、第2所定条件および第4所定条件の少なくとも1つが成立する場合、第1所定条件および第3所定条件の少なくとも1つが成立する場合よりも、フレームA1に対する運転者着座部SDの高さが高くなるようにアジャスタブルシートポストASPを制御する。第3例では、モータMは、少なくともモータM5を含む。制御部12は、第2所定条件および第4所定条件の少なくとも1つが成立する場合、第1所定条件および第3所定条件の少なくとも1つが成立する場合よりも、操作装置の操作に対して車輪Wに作用する制動力が大きくなるように制動装置BDを制御する。
【0106】
・搬送部TPの構成は、任意に変更可能である。搬送部TPは、チャイルドシートCS、荷台CR、および、被牽引車TTの少なくとも1つに代えてまたは加えて、同乗者着座部を含む。同乗者着座部は、人力駆動車Aの前後方向において、運転者着座部SDの後方に配置されるように人力駆動車Aに設けられる。同乗者着座部は、運転者着座部SDと実質的に同じ構成を有する。一例では、人力駆動車Aは、タンデム自転車である。
【0107】
・操作装置ODの構成は、任意に変更可能である。第1例では、操作装置ODは、人力駆動車AのハンドルHに設けられる操作部を含む。第2例では、操作装置ODは、スマートデバイスを含む。スマートデバイスは、スマートウォッチ等のウェアラブルデバイス、スマートフォン、および、タブレットコンピュータの少なくとも1つを含む。
【0108】
・人力駆動車Aの種類は、任意に変更可能である。第1例では、人力駆動車Aは、ロードバイク、マウンテンバイク、クロスバイク、トレッキングバイク、カーゴバイク、または、リカンベントである。第2例では、人力駆動車Aは、キックスケータである。
【符号の説明】
【0109】
10…制御装置(人力駆動車用の制御装置)、12…制御部、16…連結状態検出部、A…人力駆動車、C…クランク、CL1…第1連結部、CL2…第2連結部、CR…荷台、CS…チャイルドシート、M…モータ、M1…モータ、M2…モータ、M3…モータ、M4…モータ、M5…モータ、OD…操作装置、SB…保持部、SD…運転者着座部、T…変速機、TH1…第1閾値、TH2…第2閾値、TP…搬送部、TT…被牽引車、VP…出力上限値、VP1…第1出力上限値、VP2…第2出力上限値、W…車輪。