(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-23
(45)【発行日】2023-01-06
(54)【発明の名称】マイクロホンアレイ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/40 20060101AFI20221226BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
H04R1/40 320A
H04R1/00 328Z
(21)【出願番号】P 2018240292
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000145806
【氏名又は名称】株式会社小野測器
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】楠美 貴大
【審査官】辻 勇貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-047784(JP,A)
【文献】特開平11-065588(JP,A)
【文献】特開2016-209623(JP,A)
【文献】実開平06-085589(JP,U)
【文献】特開平06-241882(JP,A)
【文献】特開2006-214740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-1/08
1/12-1/14
1/20-1/46
11/00-11/06
11/14-17/02
17/10-19/04
21/00-21/02
23/00-23/02
31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体において発生する音を検出するための複数のマイクロホンと、
前記被検体の表面に沿って配置されるメッシュシートとを有し、
前記複数のマイクロホンは、相互に間隔を空けて前記メッシュシートに固定されて
おり、
前記メッシュシートは、第1磁性部材を含んでおり、着磁された前記第1磁性部材の磁力によって前記被検体の表面に取り付け可能である、
マイクロホンアレイ。
【請求項2】
被検体において発生する音を検出するための複数のマイクロホンと、
前記被検体の表面に沿って配置されるメッシュシートと
、
相互に間隔を空けて前記メッシュシートに固定された複数のマイクロホンホルダとを有し、
前記複数のマイクロホンホルダの各々が1つの前記マイクロホンを保持し、
前記メッシュシートは、第1磁性部材を含んでおり、着磁された前記第1磁性部材の磁力によって前記被検体の表面に取り付け可能である、
マイクロホンアレイ。
【請求項3】
前記複数のマイクロホンホルダの各々は、第2磁性部材を含んでおり、着磁された前記第2磁性部材の磁力によって前記被検体の表面に取り付け可能である、
請求項
2に記載のマイクロホンアレイ。
【請求項4】
被検体において発生する音を検出するための複数のマイクロホンと、
前記被検体の表面に沿って配置されるメッシュシートと
、
相互に間隔を空けて前記メッシュシートに固定された複数のマイクロホンホルダとを有し、
前記複数のマイクロホンホルダの各々が1つの前記マイクロホンを保持し、
前記複数のマイクロホンホルダの各々は、第2磁性部材を含んでおり、着磁された前記第2磁性部材の磁力によって前記被検体の表面に取り付け可能である、
マイクロホンアレイ。
【請求項5】
前記マイクロホンは、音の検出信号を伝送するためのケーブルに接続されており、
前記ケーブルを前記マイクロホンホルダに固定するための第1ケーブルクランプを有する、
請求項
2~4のいずれか一項に記載のマイクロホンアレイ。
【請求項6】
前記マイクロホンは、検出対象の音を導入するための音孔を有し、
前記音孔は、前記被検体の表面に対して反対側に開口しており、
前記第1ケーブルクランプは、前記音孔よりも前記被検体の表面に近い位置で前記ケーブルを前記マイクロホンホルダに固定する、
請求項5に記載のマイクロホンアレイ。
【請求項7】
被検体において発生する音を検出するための複数のマイクロホンと、
前記被検体の表面に沿って配置されるメッシュシートと
、
相互に間隔を空けて前記メッシュシートに固定された複数のマイクロホンホルダとを有し、
前記複数のマイクロホンホルダの各々が1つの前記マイクロホンを保持し、
前記マイクロホンは、音の検出信号を伝送するためのケーブルに接続されており、
前記ケーブルを前記マイクロホンホルダに固定するための第1ケーブルクランプを有し、
前記マイクロホンは、検出対象の音を導入するための音孔を有し、
前記音孔は、前記被検体の表面に対して反対側に開口しており、
前記第1ケーブルクランプは、前記音孔よりも前記被検体の表面に近い位置で前記ケーブルを前記マイクロホンホルダに固定する、
マイクロホンアレイ。
【請求項8】
前記マイクロホンは、音の検出信号を伝送するためのケーブルに接続されており、
前記ケーブルを前記メッシュシートに固定するための第2ケーブルクランプを有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載のマイクロホンアレイ。
【請求項9】
被検体において発生する音を検出するための複数のマイクロホンと、
前記被検体の表面に沿って配置されるメッシュシートとを有し、
前記複数のマイクロホンは、相互に間隔を空けて前記メッシュシートに固定されて
おり、
前記マイクロホンは、音の検出信号を伝送するためのケーブルに接続されており、
前記ケーブルを前記メッシュシートに固定するための第2ケーブルクランプを有し、
前記第2ケーブルクランプは、第3磁性部材を含んでおり、着磁された前記第3磁性部材の磁力によって前記被検体の表面に取り付け可能である、
マイクロホンアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のマイクロホンを備えたマイクロホンアレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロホンアレイは、被検体から発生する音を複数の異なる場所で同時に測定することが可能であり、製品から発生する音を測定する装置などに用いられる。下記の特許文献1には、2つのマイクロホンアレイを用いた音響計測装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示すように、従来のマイクロホンアレイでは、棒状の部材を組み合わせて構成されたフレームの上に複数のマイクロホンが固定されており、複数のマイクロホンは概ね平面状に配置されている。
【0005】
図6は、被検体9が放射する近接音を測定するためにマイクロホンアレイを被検体9の近くに配置した状態を示す図である。この図において、マイクロホンアレイを構成する各マイクロホン80はフレーム85に固定されている。横向きの矢印は、マイクロホン80の収音部と被検体9との距離を示す。複数のマイクロホン80が直線的に並んでいるのに対して、被検体9の表面が曲面となっているため、横向きの矢印が示すように、被検体9からの距離がマイクロホン80ごとに異なっている。マイクロホン80において測定される音の強さは、被検体9からの距離に応じて変化するため、
図6に示すようにマイクロホン80と被検体9との距離が異なっていると、この距離の違いが音の測定値の誤差となってしまう。その結果、被検体9の近接音を正しく測定できないという問題が生じる。
【0006】
このような問題を回避するために、被検体9の表面の形状に合わせて各マイクロホン80のフレーム85における取り付け位置を移動させることも考えられる。しかしながら、そのような取り付け位置の移動は非常に煩雑な作業であり、測定に携わる作業者の負担が大きいという問題がある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、各マイクロホンを被検体の表面に対して一定の距離に配置させることができるマイクロホンアレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るマイクロホンアレイは、被検体において発生する音を検出するための複数のマイクロホンと、被検体の表面に沿って配置されるメッシュシートとを有し、複数のマイクロホンが、相互に間隔を空けてメッシュシートに固定されている。
この構成によれば、複数のマイクロホンが固定されたメッシュシートを被検体の表面に沿って配置させることにより、各マイクロホンが被検体の表面に対して一定の距離に配置される。
【0009】
メッシュシートは、第1磁性部材を含んでおり、着磁された第1磁性部材の磁力によって被検体の表面に取り付け可能であってよい。
この構成によれば、メッシュシートに含まれた第1磁性部材の磁力により、被検体の表面へメッシュシートを取り付け易くなる。
【0010】
上記マイクロホンアレイは、相互に間隔を空けてメッシュシートに固定された複数のマイクロホンホルダを有してよい。複数のマイクロホンホルダの各々が、1つのマイクロホンを保持してよい。
この構成によれば、メッシュシートに固定されたマイクロホンホルダにおいてマイクロホンが保持されるため、マイクロホンのサイズが小さい場合でも、メッシュシートに対してマイクロホンが確実に固定される。
【0011】
複数のマイクロホンホルダの各々は、第2磁性部材を含んでおり、着磁された第2磁性部材の磁力によって被検体の表面に取り付け可能であってよい。
この構成によれば、マイクホンホルダに含まれた第2磁性部材の磁力により、被検体の表面へメッシュシート及びマイクロホンホルダを取り付け易くなる。
【0012】
マイクロホンは、音の検出信号を伝送するためのケーブルに接続されてよい。上記マイクロホンアレイは、ケーブルをマイクロホンホルダに固定するための第1ケーブルクランプを有してよい。
この構成によれば、各マイクロホンのケーブルが第1ケーブルクランプによってマイクロホンホルダに固定されることで、メッシュシートの近くにケーブルがまとまり易くなり、マイクロホンによる音の測定結果に対してケーブルが影響を与え難くなる。
【0013】
マイクロホンは、検出対象の音を導入するための音孔を有してよく、音孔は、被検体の表面に対して反対側に開口してよい。第1ケーブルクランプは、音孔よりも被検体の表面に近い位置でケーブルをマイクロホンホルダに固定してよい。
この構成によれば、マイクロホンの音孔が被検体の表面に対して反対側に開口しており、音孔よりも被検体の表面に近い位置でケーブルがマイクロホンホルダに固定されるため、マイクロホンによる音の測定結果に対してケーブルが影響を与え難くなる。
【0014】
マイクロホンは、音の検出信号を伝送するためのケーブルに接続されてよい。上記マイクロホンアレイは、ケーブルをメッシュシートに固定するための第2ケーブルクランプを有してよい。
この構成によれば、各マイクロホンのケーブルが第2ケーブルクランプによってメッシュシートに固定されることで、メッシュシートの近くにケーブルがまとまり易くなり、マイクロホンによる音の測定結果に対してケーブルが影響を与え難くなる。
【0015】
第2ケーブルクランプは、第3磁性部材を含んでおり、着磁された第3磁性部材の磁力によって被検体の表面に取り付け可能であってよい。
この構成によれば、第2ケーブルクランプに含まれた第3磁性部材の磁力により、被検体の表面へメッシュシート及び第2ケーブルクランプを取り付け易くなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各マイクロホンを被検体の表面に対して一定の距離に配置させることができるマイクロホンアレイを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るマイクロホンアレイの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るマイクロホンアレイの一部をメッシュシートの平面に対して垂直な方向から見た部分拡大図である。
【
図3】
図3A及び
図3Bは、本実施形態に係るマイクロホンアレイにおけるマイクロホン及びマイクロホンホルダの一例を示す図であり、メッシュシートの平面に対して平行な方向からみた部分側面図である。
【
図4】
図4は、第2の実施形態に係るマイクロホンアレイの一例を示す図であり、メッシュシートの平面に対して垂直な方向から見た部分拡大図である。
【
図5】
図5A及び
図5Bは、第2の実施形態に係るマイクロホンアレイにおける第2ケーブルクランプの一例を示す図であり、メッシュシートの平面に対して平行な方向から見た部分側面図である。
【
図6】
図6は、従来のマイクロホンアレイを用いて被検体の近接音を測定する場合の各マイクロホンの配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るマイクロホンアレイ1の一例を示す図である。本実施形態に係るマイクロホンアレイ1は、被検体9において発生する音を検出するための複数のマイクロホン10と、被検体9の表面に沿って配置されるメッシュシート20とを有する。メッシュシート20には、複数のマイクロホン10が相互に間隔を空けて固定される。
【0019】
メッシュシート20は、柔軟性を有する材料(樹脂など)によって形成された網目状のシートであり、音響抵抗が小さくなるように適度な隙間が形成される。メッシュシート20の網目の密度や柔軟性は、測定対象の音の性質やマイクロホン10の数、測定範囲の広さ、被検体9の表面形状(起伏の大きさ)などに合わせて適宜選択される。
【0020】
例えば、メッシュシート20の網目を粗くした場合、音響抵抗が小さくなるというメリットや、被検体9の起伏に合わせてメッシュシート20を沿わせ易くなるというメリットがある一方、メッシュシート20の変形によってマイクロホン10の配置パターンが崩れ易くなり、被検体9の表面にマイクロホン10を配置させる作業が面倒になるというデメリットがある。逆に、メッシュシート20の網目を細かくした場合、マイクロホン10の配置パターンが崩れ難くなり、被検体9の表面にマイクロホン10を配置させる作業が簡単になるというメリットがある一方、音響抵抗が大きくなるため音の測定結果への影響が大きくなるというデメリットや、起伏の大きい被検体9の表面にメッシュシート20を沿わせ難くなるというデメリットがある。従って、メッシュシート20の網目の密度や柔軟性を選択する場合には、マイクロホン10を配置させる作業の効率性、音響抵抗の測定結果への影響、被検体9の形状や起伏の大きさなどが勘案される。
【0021】
メッシュシート20は、例えば、着磁された鉄などの磁性部材(第1磁性部材)を含む。この場合、被検体9が磁性材料を含んだものであれば、メッシュシート20を第1磁性部材の磁力によって被検体9の表面に取り付けることが可能となる。
【0022】
図2は、第1の実施形態に係るマイクロホンアレイ1の部分拡大図であり、メッシュシート20の平面に対して垂直な方向から見た図である。
図2の例において、マイクロホンアレイ1は、相互に間隔を空けてメッシュシート20に固定された複数のマイクロホンホルダ30を有する。複数のマイクロホンホルダ30は、それぞれ1つのマイクロホン10を保持する。
【0023】
図3Aは、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1におけるマイクロホン10及びマイクロホンホルダ30の一例を示す図であり、メッシュシート20の平面に対して平行な方向からみた部分側面図である。
図2及び
図3Aに示すように、マイクロホンホルダ30は、メッシュシート20の表面に接着剤等で固定される板状の本体部31を含む。マイクロホン10は、本体部31の表面に接着剤や両面粘着テープなどによって固定される。
図2に示すマイクロホンホルダ30は平面視において概ね矩形であり、その略中央にマイクロホン10が固定される。
【0024】
マイクロホン10は、検出対象の音を導入するための音孔11を有する。この音孔11は、被検体の表面に対して反対側に開口している。
図2及び
図3Aの例において、マイクロホン10は直方体に近い形状を持っており、この直方体形状の1つの面に音孔11が開口している。音孔11が開口した面に対して反対側の面は、マイクロホンホルダ30の表面に接着される。マイクロホン10は、例えば無指向性マイクロホンであるため、被検体9の表面に対して反対側に音孔11が開口していても、被検体9の表面付近の近接音を感度よく検出することができる。
【0025】
マイクロホン10は、音の検出信号を伝送するためのケーブル15に接続される。
図2及び
図3Aの例において、ケーブル15は、音孔11が形成される面とは異なるマイクロホン10の側面に接続される。ケーブル15が接続されるマイクロホン10の側面は、
図3Aに示すように、メッシュシート20の平面に対して概ね垂直である。これにより、ケーブル15は、メッシュシート20の表面に沿って容易に引き回すことができる。
【0026】
本実施形態に係るマイクロホンアレイ1は、
図2及び
図3Aに示すように、マイクロホン10のケーブル15をマイクロホンホルダ30に固定するための第1ケーブルクランプ40を有する。
図2では、マイクロホンホルダ30ごとに3つの第1ケーブルクランプ40が設けられている。
【0027】
第1ケーブルクランプ40は、
図3Aに示すように、音孔11よりも被検体9の表面に近い位置でケーブル15をマイクロホンホルダ30に固定する。これにより、音孔11へ導入される音波に対してケーブル15が影響を与え難くなる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1によれば、複数のマイクロホン10が固定されたメッシュシート20を被検体9の表面に沿って配置させることにより、各マイクロホン10を被検体9の表面に対して一定の距離に配置させることができる。従って、各マイクロホン10を被検体9に対して適切な位置にセットする作業が非常に簡単になり、測定に携わる作業者の負担を軽減できるとともに、測定作業の効率を大幅に向上できる。
【0029】
また、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1によれば、着磁された第1磁性部材がメッシュシート20に含まれることにより、磁性材料を含んだ被検体9とメッシュシート20との間に磁力が働くため、被検体9の表面へメッシュシート20を簡単に取り付けることができる。
【0030】
更に、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1によれば、メッシュシート20にマイクロホンホルダ30が固定され、そのマイクロホンホルダ30にマイクロホン10が保持されるため、マイクロホン10のサイズが小さい場合でも、メッシュシート20に対してマイクロホン10を確実に固定できる。
【0031】
また、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1によれば、各マイクロホン10のケーブル15が第1ケーブルクランプ40によってマイクロホンホルダ30に固定されることで、メッシュシート20の近くにケーブル15がまとまり易くなり、ケーブル15がメッシュシート20から離れて浮き上がる状態を生じ難くすることができる。そのため、マイクロホン10による音の測定結果に対するケーブル15の影響を低減し、測定精度を高めることができる。
【0032】
しかも、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1によれば、マイクロホン10の音孔11が被検体9の表面に対して反対側に開口しており、音孔11よりも被検体9の表面に近い位置でケーブル15がマイクロホンホルダ30に固定されるため、マイクロホン10による音の測定結果に対するケーブル15の影響を更に低減できる。
【0033】
なお、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1において、マイクロホンホルダ30は着磁された磁性部材32(第2磁性部材)を含んでもよい。
図3Bは、磁性部材32を含んだマイクロホンホルダ30の一例を示す図であり、
図3Aと同様に、メッシュシート20の平面に対して平行な方向から見た部分側面図である。
図3Bに示すマイクロホンホルダ30は、上述した本体部31に加えて、被検体9と直接接触する板状の磁性部材32を含む。本体部31と磁性部材32とは、メッシュシート20を間に挟んで接着剤等により固定される。着磁された磁性部材32がマイクロホンホルダ30に含まれることによって、磁性材料を含んだ被検体9とマイクロホンホルダ30との間に磁力が働くため、被検体9の表面へマイクロホンホルダ30及びメッシュシート20を簡単に取り付けることができる。
【0034】
また磁性部材32と本体部31は、
図3Bに示すようにメッシュシート20を間に挟んで間接的に固定されるのではなく、接着剤等によって互いに直接固定されてもよい。この場合、メッシュシート20の表面に磁性部材32が固定され、磁性部材32と被検体9との間にメッシュシート20が介在する。本体部31自体が磁性部材である場合は、磁性部材32を省略してもよい。
【0035】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係るマイクロホンアレイ1について説明する。
図4は、第2の実施形態に係るマイクロホンアレイ1の部分拡大図であり、メッシュシート20の平面に対して垂直な方向から見た図である。第2の実施形態に係るマイクロホンアレイ1は、上述した第1の実施形態に係るマイクロホンアレイ1におけるマイクロホンホルダ30をマイクロホンホルダ30Aに変更し、第1ケーブルクランプ40を第2ケーブルクランプ50に置換したものであり、他の構成は上述したマイクロホンアレイ1と概ね同じである。
【0036】
マイクロホンホルダ30Aは、第1ケーブルクランプ40によってケーブル15が固定されないため、
図4に示すように、上述したマイクロホンホルダ30(
図2)に比べてサイズが小さい。マイクロホン10は、マイクロホンホルダ30Aのサイズが小さくなることによって、被検体9の近接音をより精度よく検出することができる。
【0037】
図5Aは、第2の実施形態に係るマイクロホンアレイ1における第2ケーブルクランプ50の一例を示す図であり、メッシュシート20の平面に対して平行な方向からみた部分側面図である。第2ケーブルクランプ50は、接着剤等でメッシュシート20に固定される板状の本体部51と、本体部51に設けられたクランプ部52とを有する。クランプ部52は、
図4に示すように、1以上のケーブル15を挟持することができる。
【0038】
本実施形態に係るマイクロホンアレイ1によれば、各マイクロホン10のケーブル15が第2ケーブルクランプ50によってメッシュシート20に固定されることで、メッシュシート20の近くにケーブル15がまとまり易くなり、ケーブル15がメッシュシート20から離れて浮き上がる状態を生じ難くすることができる。そのため、マイクロホン10による音の測定結果に対するケーブル15の影響を低減し、測定精度を高めることができる。
【0039】
なお、本実施形態に係るマイクロホンアレイ1において、第2ケーブルクランプ50は着磁された磁性部材53(第3磁性部材)を含んでもよい。
図5Bは、磁性部材53を含んだ第2ケーブルクランプ50の一例を示す図であり、
図5Aと同様に、メッシュシート20の平面に対して平行な方向から見た部分側面図である。
図5Bに示す第2ケーブルクランプ50は、上述した本体部51及びクランプ部52に加えて、被検体9と直接接触する板状の磁性部材53を含む。本体部51と磁性部材53とは、メッシュシート20を間に挟んで接着剤等により固定される。着磁された磁性部材53が第2ケーブルクランプ50に含まれることによって、磁性材料を含んだ被検体9と第2ケーブルクランプ50との間に磁力が働くため、被検体9の表面へ第2ケーブルクランプ50及びメッシュシート20を簡単に取り付けることができる。
【0040】
また磁性部材53と本体部51は、
図5Bに示すようにメッシュシート20を間に挟んで間接的に固定されるのではなく、接着剤等によって互いに直接固定されてもよい。この場合、メッシュシート20の表面に磁性部材53が固定され、磁性部材53と被検体9との間にメッシュシート20が介在する。本体部51自体が磁性部材である場合は、磁性部材53を省略してもよい。
【0041】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0042】
上述した実施形態では、被検体において発生する音を検出する複数のマイクロホンを有したマイクロホンアレイの例が挙げられているが、本発明はこれらの例に限定されない。本発明は、上述したように音を検出対象としてもよいし、音以外の種々の物理量(例えば振動、熱、磁気、静電容量、光など)を検出対象としてもよい。すなわち本発明は、所定の物理量を検出する複数のセンサを有したセンサアレイにも適用可能である。この場合、上述した実施形態における「マイクロホン」は「センサ」と読み替え、「音」は「センシング対象の物理量」と読み替えてよい。
【符号の説明】
【0043】
1…マイクロホンアレイ、9…被検体、10…マイクロホン、11…音孔、15…ケーブル、20…メッシュシート、30,30A…マイクロホンホルダ、31…本体部、32…磁性部材、40…第1ケーブルクランプ、50…第2ケーブルクランプ、51…本体部、52…クランプ部、53…磁性部材